特許第6869352号(P6869352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869352
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】電子降温装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/00 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   A61F7/00 330
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-532053(P2019-532053)
(86)(22)【出願日】2017年12月14日
(65)【公表番号】特表2020-503100(P2020-503100A)
(43)【公表日】2020年1月30日
(86)【国際出願番号】CN2017116064
(87)【国際公開番号】WO2018108120
(87)【国際公開日】20180621
【審査請求日】2019年6月14日
(31)【優先権主張番号】201611162022.3
(32)【優先日】2016年12月15日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517280742
【氏名又は名称】シンハイ テクノロジー グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シャン・チエン
(72)【発明者】
【氏名】ウー・ハイリャン
【審査官】 小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第106038039(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第105342748(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第1085770(CN,A)
【文献】 特表2012−505681(JP,A)
【文献】 米国特許第6189327(US,B1)
【文献】 中国実用新案第206822768(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/00 − 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属編組バンド(122)により、冷却プレート(6)の冷却面の冷源を冷伝導媒体(123)に伝達し、前記金属編組バンド(122)は、複数本の金属線で編まれた可撓性帯状体であり、
起毛布(121)を更に備え、
前記起毛布(121)は、前記金属編組バンド(122)の前記冷却プレート(6)に近い側に位置し、前記金属編組バンド(122)に固定連結され、
前記冷伝導媒体(123)は、前記金属編組バンド(122)の人体の額に近い側に位置し、薄膜(124)で被覆されて定形され、前記金属編組バンド(122)に固定連結される、ことを特徴とする電子降温装置。
【請求項2】
前記金属線はアルミニウム材質である、ことを特徴とする請求項1に記載の電子降温装置。
【請求項3】
前記冷伝導媒体(123)はヒドロゲル材料であり、前記薄膜(124)はPU薄膜またはTPU薄膜である、ことを特徴とする請求項に記載の電子降温装置。
【請求項4】
前記起毛布(121)、前記金属編組バンド(122)、前記冷伝導媒体(123)および前記薄膜(124)は、固定連結されて冷伝導モジュール(12)を構成するように、金型によって熱圧着成形される、ことを特徴とする請求項に記載の電子降温装置。
【請求項5】
ベース(8)を更に備え、
PCB基板群(7)、前記冷却プレート(6)、放熱シート(4)、放熱ファン(3)がそれぞれ前記ベース(8)内に取り付けられ、
制御ボタン(9)が前記ベースの外側に取り付けられ、
ヘッドバンド(10)がヘッドバンド押縁(11)によって前記ベース(8)の両端に取り付けられ、
前記ベース(8)の底部に取付孔が設けられ、前記冷却プレート(6)は、前記取付孔内に位置し、且つ前記冷伝導モジュールに接触する、ことを特徴とする請求項に記載の電子降温装置。
【請求項6】
前記起毛布(121)の前記冷却プレート(6)に対応する位置に逃げ孔が設けられ、
前記金属編組バンド(122)の前記冷却プレート(6)に対応する位置に銅片が設けられ、ネジは、前記銅片および前記逃げ孔を貫通し、前記銅片と前記ベース(8)とを固定連結する、ことを特徴とする請求項に記載の電子降温装置。
【請求項7】
前記放熱ファン(3)に対応する位置に吸気孔が設けられ、前記放熱シート(4)に対応する位置に排気孔が設けられ、両端がそれぞれ前記ベース(8)に連結されるメッシュカバー(1)と、
フレーム構造であり、前記メッシュカバー(1)の内側面と前記ベース()との間に位置する防塵ネットフレーム(2)と、
孔径が前記吸気孔および/または前記排気孔の孔径よりも小さい防塵孔が設けられた前記フレーム構造に設けられたスクリーンと、
前記メッシュカバー(1)の内側に設けられ、前記吸気孔と前記排気孔との間に位置し、熱風が前記吸気孔に還流することを防止するバッフル(5)と、を更に備える、ことを特徴とする請求項に記載の電子降温装置。
【請求項8】
前記スクリーンがナイロン糸で編まれ、且つ、前記防塵ネットフレーム(2)が前記スクリーンと共に射出成形される、ことを特徴とする請求項に記載の電子降温装置。
【請求項9】
USBインタフェース、5V〜1A出力のモバイル電源で給電され、
および/または、前記放熱シート(4)は一体に加工された歯付き放熱シートであり、
および/または、前記放熱ファン(3)はフレームレスファンである、ことを特徴とする請求項に記載の電子降温装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用および医療用補助器具の技術分野に関し、特に、電子降温装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小児の発熱は頻繁に見られる疾患であり、体温が39°C以下である場合、臨床的に物理降温を採用することが提案される。特に、体温が39°Cを超えると、小児の身体はまだ完全に発育していないため、大脳へのダメージが最大で、ひいては大脳機能障害が発生して意識喪失、全身痙攣等の症状を引き起こしやすく、医学的には熱性痙攣(febrile convulsion)と呼ばれる。はやめに介護せずに痙攣回数が多すぎると、脳細胞損傷になってしまい、知力の発育に影響する。降温シート、アイスバッグ、ウェットタオル、アルコール拭き等のような従来の物理降温方式には様々な欠陥が存在するため、市場から安全、有効、軽量、携帯可能な降温装置が要求されている。
【0003】
従来技術において、半導体冷却プレートを冷却部材とする降温装置製品の冷却構造は、主に以下の部材等で構成される。
【0004】
a.冷源を発生し、一方の面が冷却し、他方の面が加熱するように構成される半導体冷却プレート。
b.放熱面積を拡大するように構成される放熱シート。
c.換気を強化し、連続した空気対流を製造し、循環放熱するように構成されるファン。
d.冷却プレートの冷却面の冷源を冷伝導媒体に伝達するように構成される冷伝導金属板。
e.冷伝導媒体。
半導体冷却プレートに連結された冷伝導金属板が冷源を均一に伝達することができないため、伝達中に損失する冷量を低減するように、水嚢または水袋等の冷伝導媒体を用いて冷伝導金属板における不均一な冷源を均一に伝達する必要がある。
【0005】
上記技術案には、降温装置の形状(特に、冷伝導モジュールの形状)が固定されて変形できず、1種類の人体の額の形状のみに密着でき、汎用性が悪く、密着度が低く、快適性が低いという欠陥が存在する。密着が不完全であれば、伝冷面積が小さくなり、降温効率が低く、且つ局部温度が低すぎると、冷量の損耗が大きくなり、消費電力が大きくなるため、降温作用を良好に果たすことができないだけでなく、消費電力が大きく、製作コストが高い。
【0006】
そのため、降温装置の汎用性、密着度および快適性の向上は、現在では当業者が早急に解決すべき技術的課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに鑑み、本発明の目的は、従来技術における金属冷伝導板の代わりに、可撓性冷伝導材料として金属編組バンドを用い、異なる形状の額に密着して適応でき、コストが低いだけでなく、更に、高い汎用性、密着度および快適性を有する電子降温装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、2016年12月15日に中国専利局に出願された公開番号が201611162022.3で、発明名称が「電子降温装置」である中国特許に対して、優先権の利益を主張するものであり、その内容の全てを引用により本開示に援用する。
【0009】
上記目的を実現するために、本発明は以下のような技術案を提供する。
【0010】
金属編組バンドにより、冷却プレートの冷却面の冷源を冷伝導媒体に伝達し、前記金属編組バンドは、複数本の金属線で編まれた可撓性帯状体である、電子降温装置。
【0011】
好ましくは、上記電子降温装置において、前記金属線はアルミニウム材質である。
【0012】
好ましくは、上記電子降温装置において、起毛布を更に備え、
前記起毛布は、前記金属編組バンドの前記冷却プレートに近い側に位置し、前記金属編組バンドに固定連結され、
前記冷伝導媒体は、前記金属編組バンドの人体の額に近い側に位置し、薄膜で被覆されて定形され、前記金属編組バンドに固定連結される。
【0013】
好ましくは、上記電子降温装置において、前記冷伝導媒体はヒドロゲル材料であり、前記薄膜はPU薄膜またはTPU薄膜である。
【0014】
好ましくは、上記電子降温装置において、前記起毛布、前記金属編組バンド、前記冷伝導媒体および前記薄膜は、固定連結されて冷伝導モジュールを構成するように、金型によって熱圧着成形される。
【0015】
好ましくは、上記電子降温装置において、ベースを更に備え、
PCB基板群、前記冷却プレート、放熱シート、放熱ファンがそれぞれ前記ベース内に取り付けられ、
制御ボタンが前記ベースの外側に取り付けられ、
ヘッドバンドがヘッドバンド押縁によって前記ベースの両端に取り付けられ、
前記ベースの底部に取付孔が設けられ、前記冷却プレートは、前記取付孔内に位置し、且つ前記冷伝導モジュールに接触する。
【0016】
好ましくは、上記電子降温装置において、
前記起毛布の前記冷却プレートに対応する位置に逃げ孔が設けられ、
前記金属編組バンドの前記冷却プレートに対応する位置に銅片が設けられ、ネジは、前記銅片および前記逃げ孔を貫通し、前記銅片と前記ベースとを固定連結する。
【0017】
好ましくは、上記電子降温装置において、
前記放熱ファンに対応する位置に吸気孔が設けられ、前記放熱シートに対応する位置に排気孔が設けられ、両端がそれぞれ前記ベースに連結されるメッシュカバーと、
フレーム構造であり、前記メッシュカバーの内側面と前記ベースとの間に位置する防塵ネットフレームと、
孔径が前記吸気孔および/または前記排気孔の孔径よりも小さい防塵孔が設けられた前記フレーム構造に設けられたスクリーンと、
前記メッシュカバーの内側に設けられ、前記吸気孔と前記排気孔との間に位置し、熱風が前記吸気孔に還流することを防止するバッフルと、
を更に備える。
【0018】
好ましくは、上記電子降温装置において、前記スクリーンがナイロン糸で編まれ、且つ、前記防塵ネットフレームが前記スクリーンと共に射出成形される。
【0019】
好ましくは、上記電子降温装置において、前記電子降温装置は、USBインタフェース、5V〜1A出力のモバイル電源で給電され、
および/または、前記放熱シートは一体に加工された歯付き放熱シートであり、
および/または、前記放熱ファンはフレームレスファンである。
【発明の効果】
【0020】
上記技術案から分かるように、本発明に係る電子降温装置において、従来技術における金属冷伝導板の代わりに、可撓性冷伝導材料として金属編組バンドを用い、すなわち、金属編組バンドにより、冷却プレートの冷却面の冷源を冷伝導媒体に伝達する。該金属編組バンドは、編まれたまたは織られたものであるため、一定の可撓性を有し、曲げ変形が可能であり、異なる形状の額に密着して適応でき、その汎用性、密着度および快適性はいずれも効果的に向上した。更に、密着度が高いと、局部温度が低すぎて冷量の消費が大きいという問題は発生しないため、熱伝達効率の向上、省エネに寄与する。また、従来技術における冷伝導金属板と比べ、該金属編組バンドのコストはより低い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の実施例または従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例または従来技術の説明における使用する必要のある図面について簡単に説明し、明らかに、以下の説明における図面は、本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働を行わない前提で、更に、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0022】
図1】本発明の実施例に係る電子降温装置の全体構成の模式図である。
図2】本発明の実施例に係る電子降温装置の装着効果図である。
図3】本発明の実施例に係る電子降温装置の分解模式図である。
図4】本発明の実施例に係る冷伝導モジュールの分解模式図である。
図5】本発明の実施例に係る電子降温装置の側面断面図である。
図6】本発明の実施例に係るベースの構造模式図である。
図7】本発明の実施例に係るベース、ヘッドバンド、ヘッドバンド押縁の取付構造の模式図である。
図8図7の平面図である。
図9】本発明の実施例に係る放熱ファンおよび放熱シートの取付構造の模式図である。
図10図9の平面図である。
図11】本発明の実施例に係るベース、放熱ファン、放熱シート、冷却プレートの取付構造の模式図である。
図12図11の平面図である。
図13】本発明の実施例に係るベース、冷却プレート、PCB基板群の取付構造の模式図である。
図14図13の平面図である。
図15】本発明の実施例に係る電源の形態図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、従来技術における金属冷伝導板の代わりに、可撓性冷伝導材料として金属編組バンドを用い、異なる形状の額に密着して適応でき、コストが低いだけでなく、更に、より高い汎用性、密着度および快適性を有する電子降温装置を開示する。
【0024】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案について明確かつ完全に説明し、明らかに、説明する実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者は、創造的な労働を行わない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0025】
図1図15に示すように、図1は本発明の実施例に係る電子降温装置の全体構成の模式図であり、図2は本発明の実施例に係る電子降温装置の装着効果図であり、図3は本発明の実施例に係る電子降温装置の分解模式図であり、図4は本発明の実施例に係る冷伝導モジュールの分解模式図であり、図5は本発明の実施例に係る電子降温装置の側面断面図であり、図6は本発明の実施例に係るベースの構造模式図であり、図7は本発明の実施例に係るベース、ヘッドバンド、ヘッドバンド押縁の取付構造の模式図であり、図8図7の平面図であり、図9は本発明の実施例に係る放熱ファンおよび放熱シートの取付構造の模式図であり、図10図9の平面図であり、図11は本発明の実施例に係るベース、放熱ファン、放熱シート、冷却プレートの取付構造の模式図であり、図12図11の平面図であり、図13は本発明の実施例に係るベース、冷却プレート、PCB基板群の取付構造の模式図であり、図14図13の平面図であり、図15は本発明の実施例に係る電源の形態図である。
【0026】
本発明の実施例に係る電子降温装置において、金属編組バンド122により、冷却プレート6の冷却面の冷源を冷伝導媒体123に伝達する。ここで、金属編組バンド122が複数本の金属線で編まれた可撓性帯状体である。ここで、金属編組バンド122が複数本の金属線で編まれるとは、金属編組バンド122は手作業で編まれてもよく、機器で編まれてもよく、その製造過程について、本発明は特に限定しない。
【0027】
上記技術案から分かるように、本発明の実施例に係る電子降温装置において、従来技術における金属冷伝導板の代わりに、可撓性冷伝導材料として金属編組バンド122を用い、すなわち、金属編組バンド122により、冷却プレート6の冷却面の冷源を冷伝導媒体123に伝達する。該金属編組バンド122は、編まれたまたは織られたものであるため、一定の可撓性を有し、曲げ変形が可能であり、異なる形状の額に密着して適応でき、その汎用性、密着度および快適性はいずれも効果的に向上した。更に、密着度が高いと、部分的な温度が低すぎて冷量の消費が大きいという問題は発生しないため、熱伝達効率の向上、省エネに寄与する。また、従来技術における冷伝導金属板と比べ、該金属編組バンド122コストはより低い。
【0028】
本発明の実施例に係る電子降温装置の基本的な動作原理は、冷却プレート6が通電されると、発生する冷量を金属編組バンド122に伝達し、冷伝導媒体123に伝達し、また、人体表皮に伝達することである。人体の温度が冷伝導媒体123の温度よりも高いため、人体表皮と冷伝導媒体123との間で熱伝達原理に基づいて熱交換を行うことにより、人体を降温する目的を達成する。また、主に放熱ファン3および放熱シート4により、冷却プレート6の他方の面で発生した熱量を強制的に空気中に伝達し、全過程が循環し続けることで、一定の降温効果に達する。
【0029】
具体的な実施例において、上記金属編組バンド122に用いられる金属線はアルミニウム材質である。しかし、これに限定されず、他の金属材料(例えば、鋼線、銅線等)を採用してもよいが、アルミニウム線は、これらの金属材料の中で軽量で冷伝導性能に優れているという特徴を有するため、アルミニウム線で上記金属編組バンド122を製造することは、本発明の保護すべき好ましい形態である。
【0030】
ここで、アルミニウム材質の金属線の線径は共通仕様であり、製造プロセスにおいて、一般的には金属線の本数に対して要求があり、アルミニウムの編成方法には様々な方式があり、本発明はここで特定の要求をしない。
【0031】
具体的な実施例において、図3および図4に示すように、上記電子降温装置における冷伝導モジュール12は、具体的に起毛布121、金属編組バンド122、冷伝導媒体123および薄膜124を備える。ここで、起毛布121は金属編組バンド122の冷却プレート6に近い側に位置し、金属編組バンド122に固定連結され、冷伝導媒体123は金属編組バンド122の人体の額に近い側に位置し、薄膜124で被覆されて定形され、金属編組バンド122に固定連結される。
【0032】
従来技術における電子降温装置は、冷伝導金属板の伝達する冷量が不均一であるため、別の冷伝導媒体を追加して冷量を均一に人体表皮に伝導する必要があり、該冷伝導媒体は一般に水袋である。しかし、水袋によって冷源を均一に人体表皮に伝達することは、製造プロセスが比較的複雑であり、更に、熱効率(人体に作用する有効な熱交換レベル)が低く、伝達に消費する冷源が比較的大きく、消費電力が大きく、継続能力が弱く、専用の電池または電源アダプタを用いて給電する必要があり、航続能力が1〜2h(入力電力9V〜2A)のみで、使用時間が短く、航続時間を増加しようとすると、電池の体積が倍増し、携帯負担を増加する。
【0033】
上記問題について、本発明は冷伝導媒体123としてヒドロゲル材料を用い、冷源を均一に人体表皮に伝達し、冷伝導の速度が速く、熱効率が比較的高く、冷量損失を低減し、消費電力を低減する。それにより、通常のUSBインタフェースの5V〜1A出力のモバイル電源(入力電力が5Wで、人体に作用するエネルギーは少しだけ減衰する)を使用することができ、使用がより容易、柔軟になり、同じ電力量の条件で、航続時間が4時間であり、従来の技術案よりも3時間程度の使用時間が増え、更に、モバイル電源を交換しやすく、より長い使用時間を取得することができる。
【0034】
また、具体的な実施例において、上記薄膜124はPU薄膜またはTPU薄膜である。ここで、起毛布121および薄膜124は、ゲル材の水分蒸発を防止するために、封止および密封の作用を果たす。しかし、これに限定されず、上記冷伝導モジュールにおいて、密封層として他の柔らかくて気体を通さない材料を用いてもよく、これについて、本発明は特に限定しない。
【0035】
具体的には、金属編組バンド122の縁部は、金型によって固定の寸法にプレスされてから、起毛布121、ヒドロゲル材料および薄膜124によって被覆され、熱圧着装置で熱圧着成形されることにより、封入の目的を達成する。このように製造された冷伝導モジュール12は、冷量伝達の効果が良く、更に、非常に柔らかく、快適性が良く、異なる頭の形に適応できる。
【0036】
また、具体的な実施例において、上記電子降温装置にはベース8を更に備える。ここで、図3および図4に示すように、冷伝導モジュール12では、起毛布121における冷却プレート6に対応する位置に逃げ孔(好ましくは角孔)が設けられ、金属編組バンド122における冷却プレート6に対応する位置に銅片(好ましくは角形銅片)が設けられ、ネジが銅片および逃げ孔を貫通し、銅片とベース8とを固定連結する。これにより分かるように、起毛布121の中心に逃げ孔が開設されたのは、冷却プレート6と銅片とを直接接触させ、逃げの役割を果たすためである。金属編組バンドの材質が柔らかく、ネジは直接金属編組バンドに締め付けることができないため、金属編組バンド122に銅片が設けられ、その役割は、冷伝導モジュール12とベース8とを締め付けて固定することである。
【0037】
更に、図3および図5に示すように、上記電子降温装置において、PCB(Printed Circuit Board、プリント基板)基板群7、冷却プレート6、放熱シート4、放熱ファン3はそれぞれベース8の内部に取り付けられ、ボタン9はベースの外側に取り付けられ、ヘッドバンド10はヘッドバンド押縁11によってベース8の両端に取り付けられ、ベース8の底部に取付孔が設けられ、冷却プレート6は取付孔内に位置し、且つ冷伝導モジュールに接触し、冷却プレート6は半導体冷却プレートである。ここで、冷却プレート6および放熱ファン3の電気エネルギーはモバイル電源から供給される。
【0038】
従来技術において、放熱シートとしてアルミ形材を用い、プロセスの制限により、単位体積の放熱表面積が限られ、且つ放熱ファンとの間の固定方式は重畳であり、このような方式により、電子降温装置の体積が大きく、質量が重く、装着しにくくなる。本発明の具体的な実施例において、採用された放熱シート4は歯付き放熱シートであり、一体に加工することによって形成され、放熱シート4全体におけるそれぞれの単一の放熱シートの厚さがより薄く、放熱シート4全体における単位体積の放熱面積がより大きくなる。よって、従来技術と比べ、本発明の具体的な実施例に係る歯付き放熱シートは、より小さい体積で同様な放熱面積を達成することができ、占有スペースがより小さい。あるいは、放熱シートの体積が同じであるが、その放熱面積がより大きく、放熱効果が効果的に向上する。
【0039】
更に、本発明の具体的な実施例において、採用された放熱ファン3はフレームレスファン(すなわち、従来技術における放熱ファンの外枠を取り除いたファン)であり、該フレームレスファン3は歯付き放熱シートに配置され、すなわち、図9および図10に示すように、歯付き放熱シートの中央箇所に、フレームレスファン3を配置するための取付空所が設けられ、歯付き放熱シートの両端は複数の単一の放熱シートであり、放熱面積を大きくさせ、放熱通路を構成し、放熱効率を効果的に向上させ、放熱モジュールの体積および重量を低減することができる。これにより分かるように、フレームレスファン3および極薄歯付き放熱シートを、ファンが内蔵されたような配置構造と組み合わせることにより、放熱モジュールのレイアウト空間をより合理的にすることができ、製品の小型化と薄型化、装着性の向上を図ることができる。
【0040】
更に、図3および図5に示すように、上記電子降温装置において、メッシュカバー1、防塵ネットフレーム2、スクリーンおよびバッフル5を更に備える。ここで、メッシュカバー1は、放熱ファンに対応する位置に吸気孔が設けられ、放熱シート4に対応する位置に排気孔が設けられ、メッシュカバー1の両端はそれぞれベース8に連結され、防塵ネットフレーム2はメッシュカバー1の内側面とベース5との間に位置し、且つ防塵ネットフレーム2はフレーム構造(特に、メッシュカバー1における換気孔に対応する位置はフレーム構造)であり、スクリーンは該フレーム構造に設けられ、スクリーンに、孔径がメッシュカバー1における換気孔(吸気孔および排気孔)の孔径よりも小さい防塵孔が設けられ、バッフル5はメッシュカバー1の内側に設けられ、吸気孔と排気孔との間に位置し、熱風が吸気孔に還流することを防止する。具体的には、上記スクリーンはナイロン糸で編まれ、300メッシュのナイロンメッシュを構成し、髪の毛もスクリーン上の防塵孔を通過することができず、防塵ネットフレーム2はスクリーンと共に射出成形される。且つ、メッシュカバー1は一般的に金属メッシュカバーであり、スルーホール工程では小さすぎる孔径の設置を実現することができないため、スクリーン付きの防塵ネットフレーム2を設けることにより、防塵効果を達成する。
【0041】
以上のことから、本発明の具体的な実施例に係る電子降温装置における各部品の基本的な役割は以下のとおりである。
【0042】
メッシュカバー1は、外観部品として、換気孔(吸気孔および排気孔)を設け、機器内部の部品を保護する役割を果たす。
【0043】
防塵ネットフレーム2は、髪の毛および異物が機器内部に入ることを防止する役割を果たす。
【0044】
放熱ファン3は、空気対流を強制的に増加し、放熱効率を向上させる役割を果たす。
【0045】
放熱シート4は、放熱面積を大きくする役割を果たす。
【0046】
バッフル5は、熱風が吸気孔に還流することを防止し、放熱効果を向上させる役割を果たす。
【0047】
PCB基板群7(PCBマザーボードとも呼ばれる)は、機器動作プログラムを制御する役割を果たす。
【0048】
冷却プレート6は、電気エネルギーを冷却源に変換する役割を果たす。
【0049】
ベース8は、外観部品として、機器内部の部品を取り付けて保護する役割を果たす。
【0050】
制御ボタン9は、機器のオンオフおよび切り換えの機能を実現する役割を果たす。
【0051】
ヘッドバンド10は、機器を頭部に装着する役割を果たす。
【0052】
ヘッドバンド押縁11は、ヘッドバンドを固定する役割を果たす。
【0053】
起毛布121は、PU薄膜またはTPU薄膜と共にヒドロゲル材料および金属編組バンドを熱圧着して封入する役割を果たす。
【0054】
金属編組バンド122は、可撓性冷伝導材料として冷却プレートの冷量を伝達する役割を果たし、可撓性材料であるため、曲げ変形が可能であり、異なる額の形状およびサイズに適応できる。
【0055】
冷伝導媒体123は、金属編組バンド上の冷量を均一に人体表皮に伝導する役割を果たし、柔らかくて快適である。
【0056】
薄膜124は、ヒドロゲル材料を固定するために使用される。
【0057】
最後に、本文において、「備える」、「含む」という用語、または任意の他の変形体は、非排他的な包含を含むことを意図し、一連の要素を含むプロセス、方法、物品または設備は、それらの要素を含むだけでなく、更に、明確に列挙されていない他の要素を含み、あるいは、このようなプロセス、方法、物品または設備に固有する要素を更に含む。より多くの制限がない場合、「1つの……を含む」という語句によって限定された要素は、前記要素を含むプロセス、方法、物品または設備に別の同じ要素が更に存在することを排除しない。
【0058】
本明細書において、各実施例は漸進的な方式で説明し、それぞれの実施例で重点として説明するのは、いずれも他の実施例との異なりであり、それぞれの実施例の間の同じ部分は互いに参照すれば良い。
【0059】
開示された実施例に対する上記説明により、当業者は本発明を実現または使用することができる。これらの実施例に対する様々な修正は、当業者にとって明らかであり、本文で定義された一般的な原理は、本発明の精神または範囲から逸脱しない前提で、他の実施例で実現できる。そのため、本発明は、本文に示すこれらの実施例に限定されるものではなく、本文に開示された原理および新規な特徴に一致する最も広い範囲に合致すべきである。
【符号の説明】
【0060】
1−メッシュカバー
2−防塵ネットフレーム
3−放熱ファン
4−放熱シート
5−バッフル
6−冷却プレート
7−PCB基板群
8−ベース
9−制御ボタン
10−ヘッドバンド
11−ヘッドバンド押縁
12−冷伝導モジュール
13−電源線
121−起毛布
122−金属編組バンド
123−冷伝導媒体
124−薄膜
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