(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869356
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60K 17/04 20060101AFI20210426BHJP
F16H 3/091 20060101ALI20210426BHJP
B60K 6/36 20071001ALI20210426BHJP
B60K 6/387 20071001ALI20210426BHJP
B60K 6/44 20071001ALI20210426BHJP
B60K 6/547 20071001ALI20210426BHJP
B60K 1/02 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
B60K17/04 G
F16H3/091
B60K6/36
B60K6/387
B60K6/44
B60K6/547
B60K1/02
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-539204(P2019-539204)
(86)(22)【出願日】2017年12月12日
(65)【公表番号】特表2020-506105(P2020-506105A)
(43)【公表日】2020年2月27日
(86)【国際出願番号】CN2017115667
(87)【国際公開番号】WO2018137421
(87)【国際公開日】20180802
【審査請求日】2019年9月19日
(31)【優先権主張番号】201710059916.8
(32)【優先日】2017年1月24日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン−ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ピン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チャンチー
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジエンウェン
【審査官】
前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−033077(JP,A)
【文献】
特開平10−291421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/00
B60K 1/00
B60K 6/00
F16H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクスルハーフシャフトに連結される横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリであって、
第一の動力源と、第二の動力源と、自動変速機とを含み、前記自動変速機に第一の入力軸及び第二の入力軸が設けられ、前記第一及び第二の動力源がそれぞれ2本の入力軸に連結され、前記自動変速機と前記アクスルハーフシャフトとの連結箇所に差動装置が設けられており、
前記自動変速機において、第一の中間軸が前記第一の入力軸と同じ軸心方向に設けられ、第二の中間軸が前記第一の中間軸と同じ軸心方向に設けられ、前記第二の入力軸が前記第二の中間軸と同じ軸心方向に設けられ、第三の中間軸が前記第一の入力軸と平行に設けられ、第四の中間軸が前記第三の中間軸と同じ軸心方向に設けられており、
前記第三の中間軸と前記第四の中間軸との間に第一のクラッチが設けられ、前記第一の中間軸と前記第二の中間軸との間に第二のクラッチが設けられており、
前記第一の中間軸に第一のギアが直結して設けられ、前記第三の中間軸に第二のギアが直結して設けられ、前記第一のギアが前記第二のギアと噛合伝動し、前記第二の中間軸に第三のギアが直結して設けられ、前記第四の中間軸に第四のギアが直結して設けられ、前記第三のギアが前記第四のギアと噛合伝動し、前記差動装置に第五のギアが設けられ、前記第三のギアが前記第四のギアと噛合伝動すると同時に、前記第四のギアが前記第五のギアと噛合伝動する、
ことを特徴とする横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項2】
前記第一のギアと前記第二のギアとの噛合伝動比をi1とし、前記第三のギアと前記第四のギアとの噛合伝動比をi2とし、前記第四のギアと前記第五のギアとの噛合伝動比をi3とすると、
前記第一のクラッチが噛み合い、前記第二のクラッチが切断されている場合、前記第一の動力源が、前記第一の入力軸、前記第一の中間軸、前記第一のギア、前記第二のギア、前記第三の中間軸、前記第一のクラッチ、前記第四の中間軸、前記第四のギア、前記第五のギア及び前記差動装置を順次に介して、動力を前記アクスルハーフシャフトに伝達し、前記自動変速機における噛合伝動比がi1×i3となる、
ことを特徴とする請求項1に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項3】
前記第二のクラッチが噛み合い、前記第一のクラッチが切断されている場合、前記第一の動力源が、前記第一の入力軸、前記第一の中間軸、前記第二のクラッチ、前記第二の中間軸、前記第三のギア、前記第四のギア、前記第五のギア及び前記差動装置を順次に介して、動力を前記アクスルハーフシャフトに伝達し、前記自動変速機において、前記第三のギアと、前記第四のギアと、前記第五のギアとによって噛合伝動し、その伝動比がi4となることを特徴とする請求項2に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項4】
前記第一のクラッチ及び前記第二のクラッチが切断されている場合、前記第二の動力源が、前記第二の入力軸、前記第二の中間軸、前記第三のギア、前記第四のギア、前記第五のギア及び前記差動装置を順次に介して、動力を前記アクスルハーフシャフトに伝達し、前記自動変速機において、前記第三のギアと、前記第四のギアと、前記第五のギアとによって噛合伝動し、その伝動比がi4となることを特徴とする請求項2に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項5】
アクスルハーフシャフトに連結される横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリであって、
第一の動力源と、第二の動力源と、自動変速機とを含み、前記自動変速機に第一の入力軸及び第二の入力軸が設けられ、前記第一及び第二の動力源がそれぞれ2本の入力軸に連結され、前記自動変速機と前記アクスルハーフシャフトとの連結箇所に差動装置が設けられており、
前記自動変速機において、第一の中間軸が第一の入力軸と同軸心方向に設けられ、第二の中間軸が第一の中間軸と同軸心方向に設けられ、第二の入力軸が第二の中間軸と同軸心方向に設けられ、第三の中間軸が第一の入力軸と平行に設けられ、第四の中間軸が第三の中間軸と同軸心方向に設けられており、
前記第三の中間軸と前記第四の中間軸との間に第一のクラッチが設けられ、前記第一の中間軸と前記第二の中間軸との間に第二のクラッチが設けられており、
前記第一の中間軸に第一のギアが直結して設けられ、前記第三の中間軸に第二のギアが直結して設けられ、前記第一のギアが前記第二のギアと噛合伝動し、前記第二の中間軸に第三のギアが直結して設けられ、前記第四の中間軸に第四のギアが直結して設けられ、前記差動装置に第五のギアが設けられており、
前記第四の中間軸に第六のギアが更に直結して設けられ、前記第六のギアが前記第二の中間軸における前記第三のギアと噛合伝動し、前記第四のギアが前記第五のギアのみと噛合伝動することを特徴とする横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項6】
前記第一のギアと前記第二のギアとの噛合伝動比をi1とし、前記第三のギアと前記第四のギアとの噛合伝動比をi2とし、前記第四のギアと前記第五のギアとの噛合伝動比をi3とし、前記第三のギアと前記第六のギアとの噛合伝動比をi5とすると、
前記第一のクラッチが噛み合い、前記第二のクラッチが切断されている場合、前記自動変速機における噛合伝動比がi1×i3となり、
前記第一のクラッチが切断され、前記第二のクラッチが噛み合っている場合、前記第一の動力源が、前記自動変速機を介して、i5×i3の噛合伝動比で動力を出力し、
前記第一のクラッチ及び前記第二のクラッチが共に切断されている場合、前記第二の動力源が、前記自動変速機を介して、i5×i3の噛合伝動比で動力を出力する、
ことを特徴とする請求項5に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項7】
前記第一の動力源が、電動モータであり、又は、エンジンとISGモータとの組み合せであり、前記エンジンと前記ISGモータとの間にねじり振動ダンパーが設けられており、前記第二の動力源が電動モータであることを特徴とする請求項1又は5に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項8】
前記第二の入力軸と前記第二の中間軸とが一体化設計になっており、又は前記第二の入力軸と前記第二の中間軸との間に第三のクラッチが設けられていることを特徴とする請求項1又は5に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項9】
前記第一の入力軸と前記第一の中間軸とが一体化設計になっており、又は前記第一の入力軸と前記第一の中間軸との間に第四のクラッチが設けられていることを特徴とする請求項8に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項10】
前記アクスルハーフシャフトがフロントアクスルハーフシャフト又はリアアクスルハーフシャフトであり、前記第一のクラッチ、前記第二のクラッチ、前記第三のクラッチ及び前記第四のクラッチが端面歯クラッチであることを特徴とする請求項9に記載の横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントアクスル又はリアアクスルに連結され、車両を駆動するための横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の純粋な電気自動車又はハイブリッド新エネルギー自動車は、それに用いられる電動モータの動力特性と車両全体の要求とに差があるため、変速比及びモーメントの要求を満たすことができない。新エネルギー自動車が益々複雑になる運転状況や道路状況に対応する必要があるため、新エネルギー自動車の快適さ及び航続距離に対するユーザの要求がますます高くなり、単純な電動モータ直接駆動モード、電動モータに減速機を接続したモード、又は、燃料−電気ハイブリッドモードの新エネルギー自動車は、新エネルギー自動車産業の発展要求を満たすことができなくなる。
【0003】
現在の車両の動力アセンブリにおいて、動力源、クラッチ、ギアボックス又は減速機、及び駆動軸は、通常縦方向に配置され、長さが比較的に大きくて、車両における占有空間も大きく、コンパクトな構造を必要とするコンパクト車両には適していない。
なお、現在、純粋な電気自動車又はハイブリッド新エネルギー自動車の減速機は、電動モータのロータ軸への衝撃が大きい(ロータ軸と入力軸とが一体的ではない)ため、従来の摩擦クラッチを使用することができなくなり、それに用いられたクラッチがハード接続という方式しか採用できず、緩衝機能を有しないので、新エネルギー自動車の要求を満たすことができない。
【0004】
従来の電動モータ直接駆動モードの自動車において、動力系にはクラッチ機能がないので、従来の慣性摩擦シンクロナイザを使用することができず、変速機がシフトできず、単一の変速比しか使用できなく、車両全体の発進及び停止が電動モータの発停にしか依存できず、電動モータの性能の発揮に影響を与えてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術における上記問題について、本発明は、従来の動力アセンブリが単一の変速比で伝動し、複雑な道路状況や運転状況に適応できないという問題を解決するための横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリを提供している。
【0006】
同時に、従来の動力アセンブリの縦寸法が大きくてコンパクト車に使用できないこと、及び変速機のギア数が多くて伝動構造が複雑であるという問題が解決される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下のようにして実現される。
第1の発明は、アクスルハーフシャフトに連結される横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリを提供しており、前記横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリは、第一の動力源と、第二の動力源と、自動変速機とを含み、前記自動変速機に第一の入力軸及び第二の入力軸が設けられ、前記動力源がそれぞれ2本の入力軸に連結され、前記自動変速機と前記アクスルハーフシャフトとの連結箇所に差動装置が設けられており、前記自動変速機において、第一の中間軸が第一の入力軸と同じ軸心方向に設けられ、第二の中間軸が第一の中間軸と同じ軸心方向に設けられ、第二の入力軸が第二の中間軸と同じ軸心方向に設けられ、第三の中間軸が第一の入力軸と平行に設けられ、第四の中間軸が第三の中間軸と同じ軸心方向に設けられており、前記第三の中間軸と前記第四の中間軸との間に第一のクラッチが設けられ、前記第一の中間軸と前記第二の中間軸との間に第二のクラッチが設けられており、前記第一の中間軸に第一のギアが
直結して設けられ、前記第三の中間軸に第二のギアが
直結して設けられ、第一のギアが第二のギアと噛合伝動し、前記第二の中間軸に第三のギアが
直結して設けられ、前記第四の中間軸に第四のギアが
直結して設けられ、第三のギアが第四のギアと噛合伝動し、前記差動装置に第五のギアが設けられ、前記第三のギアが前記第四のギアと噛合伝動すると同時に、前記第四のギアが前記第五のギアと噛合伝動する。
【0008】
また、前記第一のギアと前記第二のギアとの噛合伝動比をi1とし、前記第三のギアと前記第四のギアとの噛合伝動比をi2とし、前記第四のギアと前記第五のギアとの噛合伝動比をi3とすると、前記第一のクラッチが噛み合い、前記第二のクラッチが切断されている場合、前記第一の動力源が、前記第一の入力軸、前記第一の中間軸、前記第一のギア、前記第二のギア、前記第三の中間軸、前記第一のクラッチ、前記第四の中間軸、前記第四のギア、前記第五のギア及び前記差動装置を順次に介して、動力を前記アクスルハーフシャフトに伝達し、前記自動変速機において、前記第三のギアと、前記第四のギアと、前記第五のギアとによって噛合伝動し、その伝動比がi4となるようにしてもよい。
【0009】
また、前記第二のクラッチが噛み合い、前記第一のクラッチが切断されている場合、前記第一の動力源が、前記第一の入力軸、前記第一の中間軸、前記第二のクラッチ、前記第二の中間軸、前記第三のギア、前記第四のギア、前記第五のギア及び前記差動装置を順次に介して、動力を前記アクスルハーフシャフトに伝達し、前記自動変速機において、前記第三のギアと、前記第四のギアと、前記第五のギアとによって噛合伝動し、その伝動比がi4となるようにしてもよい。
【0010】
また、前記第一のクラッチ及び前記第二のクラッチが切断されている場合、前記第二の動力源が、前記第二の入力軸、前記第二の中間軸、前記第三のギア、前記第四のギア、前記第五のギア及び前記差動装置を順次に介して、動力を前記アクスルハーフシャフトに伝達し、前記自動変速機における噛合伝動比がi1×i3となるようにしてもよい。
【0011】
また、第2の発明は、アクスルハーフシャフトに連結される横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリであって、第一の動力源と、第二の動力源と、自動変速機とを含み、前記自動変速機に第一の入力軸及び第二の入力軸が設けられ、前記
第一及び第二の動力源がそれぞれ2本の入力軸に連結され、前記自動変速機と前記アクスルハーフシャフトとの連結箇所に差動装置が設けられており、前記自動変速機において、第一の中間軸が第一の入力軸と同軸心方向に設けられ、第二の中間軸が第一の中間軸と同軸心方向に設けられ、第二の入力軸が第二の中間軸と同軸心方向に設けられ、第三の中間軸が第一の入力軸と平行に設けられ、第四の中間軸が第三の中間軸と同軸心方向に設けられており、前記第三の中間軸と前記第四の中間軸との間に第一のクラッチが設けられ、前記第一の中間軸と前記第二の中間軸との間に第二のクラッチが設けられており、前記第一の中間軸に第一のギアが
直結して設けられ、前記第三の中間軸に第二のギアが
直結して設けられ、
前記第一のギアが
前記第二のギアと噛合伝動し、前記第二の中間軸に第三のギアが
直結して設けられ、前記第四の中間軸に第四のギアが
直結して設けられ、前記差動装置に第五のギアが設けられており、前記第四の中間軸に第六のギアが更に
直結して設けられ、前記第六のギアが前記第二の中間軸における前記第三のギアと噛合伝動し、前記第四のギアが前記第五のギアのみと噛合伝動する。
【0012】
また、前記第一のギアと前記第二のギアとの噛合伝動比をi1とし、前記第三のギアと前記第四のギアとの噛合伝動比をi2とし、前記第四のギアと前記第五のギアとの噛合伝動比をi3とし、前記第三のギアと前記第六のギアとの噛合伝動比をi5とすると、
前記第一のクラッチが噛み合い、前記第二のクラッチが切断されている場合、前記自動変速機における噛合伝動比がi1×i3となり、前記第一のクラッチが切断され、前記第二のクラッチが噛み合っている場合、前記第一の動力源が、前記自動変速機を介して、i5×i3の噛合伝動比で動力を出力し、前記第一のクラッチ及び前記第二のクラッチが共に切断されている場合、前記第二の動力源が、前記自動変速機を介して、i5×i3の噛合伝動比で動力を出力するようにしてもよい。
【0013】
また、前記第一の動力源が、電動モータであり、又はエンジンとISGモータとの組み合せであり、前記エンジンと前記ISGモータとの間にねじり振動ダンパーが設けられており、前記第二の動力源が電動モータであるようにしてもよい。
【0014】
また、前記第二の入力軸と前記第二の中間軸とが一体化設計になっており、又は、前記第二の入力軸と前記第二の中間軸との間に第三のクラッチが設けられているようにしてもよい。
【0015】
また、前記第一の入力軸と前記第一の中間軸とが一体化設計になっており、
又は、前記第一の入力軸と前記第一の中間軸との間に第四のクラッチが設けられているようにしてもよい。
【0016】
また、前記アクスルハーフシャフトがフロントアクスルハーフシャフト又はリアアクスルハーフシャフトであり、前記第一のクラッチ、前記第二のクラッチ、前記第三のクラッチ及び前記第四のクラッチが端面歯クラッチであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
上記構造を用いて配置された本発明の利点は、以下の通りである。
本発明による車デュアル動力アセンブリは、車両のリアアクスルハーフシャフト又はフロントアクスルハーフシャフトに連結され、前記車デュアル動力アセンブリは、デュアル動力源による入力、3つの変速比での伝動を実現することができ、伝動方式及び動力入力方式が柔軟であり、さまざまな道路状況での車両全体の運転ニーズが満たされ、車両が重い負荷で坂を登っている場合、車両全体の駆動力を向上させ、車両全体の駆動力不足という欠陥を補うためには、デュアル動力入力、大きい変速比での伝動を選択することができ、車両全体が巡航している場合、車両全体の高速運転要求を満たし、エネルギーを節約し、車両の航続距離を向上させるためには、単一動力入力、小さい変速比での伝動を選択することができる。なお、車両の発進時に、第一の動力源と第二の動力源が共にオンされると、駆動アセンブリの総駆動力を増大させ、車両の加速過程を短縮し、高速走行をより早く実現することができる。
【0018】
ねじり振動ダンパーと端面歯クラッチとを組み合わせる設計モードでは、運動エネルギー損失を最小にすることが可能であり、従来の摩擦クラッチが電動モータのパワーショックに耐えることができないため、寿命が短すぎるという欠陥を埋めることができる。
【0019】
本発明による横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリは、駆動アセンブリの縦寸法を短くして、コンパクト車に適している一方で、使用されるギアの数が少ないため、伝動構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリの実施例1を示す構造模式図である。
【
図2】本発明による横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリの実施例2を示す構造模式図である。
【
図3】本発明による横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリの実施例3を示す構造模式図である。
【
図4】本発明による横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリの実施例4を示す構造模式図である。
【
図5】本発明による横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリの実施例5を示す構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の目的、技術案及び利点が更に明白になるように、以下、図面を参照して、本発明の実施形態について更に詳しく説明する。
【0022】
(実施例1)
本発明の実施例1において、アクスルハーフシャフトに連結される横置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリが提供され、
図1に示すように、該車両用駆動アセンブリは、第一の動力源と、第二の動力源と、自動変速機とを含み、自動変速機に第一の入力軸21及び第二の入力軸22が設けられ、動力源がそれぞれ2本の入力軸に連結され、第一の動力源が第一の入力軸21に連結され、第二の動力源が第二の入力軸22に連結され、自動変速機10とアクスルハーフシャフト(以下、「アクスル80」という)との連結箇所に差動装置50が設けられている。
【0023】
自動変速機10において、第一の中間軸31が第一の入力軸21と同じ軸心方向に設けられ、第二の中間軸32が第一の中間軸31と同じ軸心方向に設けられ、第二の入力軸22が第二の中間軸32と同じ軸心方向に設けられ、第三の中間軸33が第一の入力軸21と平行に設けられ、第四の中間軸34が第三の中間軸33と同じ軸心方向に設けられ、第三の中間軸33と第四の中間軸34との間に第一のクラッチ41が設けられ、第一の中間軸31と第二の中間軸32との間に第二のクラッチ42が設けられている。
【0024】
第一の中間軸31に第一のギア11が
直結して設けられ、第三の中間軸33に第二のギア12が
直結して設けられ、第一のギア11が第二のギア12と噛合伝動し、第二の中間軸32に第三のギア13が
直結して設けられ、第四の中間軸34に第四のギア14が
直結して設けられ、第三のギア13が第四のギア14と噛合伝動し、差動装置50に第五のギア15が設けられ、第三のギア13が第四のギア14と噛合伝動すると同時に、第四のギア14が第五のギア15と噛合伝動する。
【0025】
本発明の実施例1
において、第一の入力軸21と第一の中間軸31とが一体化設計になっており、第二の入力軸22と第二の中間軸32とも一体化設計になっている。勿論、第一の入力軸21と第一の中間軸31とをそれぞれ独立した2本の軸として設けて、2本の軸の間にクラッチを増設してもよく、同様に、第二の入力軸22と第二の中間軸32とをそれぞれ独立した2本の軸として設けて、2本の軸の間にクラッチを増設してもよい。
【0026】
この実施例1において、第一の動力源は、エンジン71とISGモータ72との組み合せであり、エンジン71とISGモータ72との間にねじり振動ダンパー73が設けられている。エンジン71のアイドル損失及び汚染を低減することができる一方で、ISGモータ72が発電機として機能し、電力を回生して、エネルギーを回収し、省エネルギー効果を実現することができる。第二の動力源が電動モータ60である。
【0027】
上記から分かるように、本発明の実施例1による車両用駆動アセンブリの自動変速機10は、従来の変速機の入力軸、中間軸及び出力軸のレイアウト方式とは異なり、駆動アセンブリの縦寸法を短くして、コンパクト車に適している一方で、使用されるギアの数が少ないため、伝動過程が簡素化され、効率がより高くなる。
【0028】
上記駆動アセンブリの動力伝動方式は、具体的に、次の通りである。
第一のギア11と第二のギア12との噛合伝動比をi1とし、第三のギア13と第四のギア14との噛合伝動比をi2とし、第四のギア14と第五のギア15との噛合伝動比をi3とすると、第一のクラッチ41が噛み合い、第二のクラッチ42が切断されている場合、第一の動力源が、第一の入力軸21、第一の中間軸31、第一のギア11、第二のギア12、第三の中間軸33、第一のクラッチ41、第四の中間軸34、第四のギア14、第五のギア15及び差動装置50を順次に介して、動力をアクスル80に伝達し、自動変速機10における噛合伝動比がi1×i3となる。これは、運転状況一である。
【0029】
第二のクラッチ42が噛み合い、第一のクラッチ41が切断されている場合、第一の動力源が、第一の入力軸21、第一の中間軸31、第二のクラッチ42、第二の中間軸32、第三のギア13、第四のギア14、第五のギア15及び差動装置50を順次に介して、動力をアクスル80に伝達し、自動変速機10において、第三のギア13と、第四のギア14と、第五のギア15とによって噛合伝動し、その伝動比がi4となり、このとき、第四のギア14がアイドルギヤとなる。これは、運転状況二である。
【0030】
第一のクラッチ41及び第二のクラッチ42が切断されている場合、第二の動力源が、第二の入力軸22、第二の中間軸32、第三のギア13、第四のギア14、第五のギア15及び差動装置50を順次に介して、動力をアクスル80に伝達し、自動変速機10において、第三のギア13と、第四のギア14と、第五のギア15とによって噛合伝動し、その伝動比がi4となり、このとき、第四のギア14がアイドルギヤとなる。これは、運転状況三である。
【0031】
運転状況三にある場合、第一の動力源を補助動力源とすることができ、第一のクラッチ41又は第二のクラッチ42を噛み合わせると、運転状況三の場合では、より大きな駆動力を提供することが可能になる。
【0032】
さらに、運転状況三にある場合、第一の動力源がオンされ、第一の動力源の動力がアクスル80に伝達することができず、ISGモータ72のみが発電機として機能し、電力を回生可能であり、電力がバッテリに蓄えられたり、第二の動力源(電動モータ60)の稼動に使用されたりする。
【0033】
そのうち、伝動比i1、i2、i3の大きさが、ギアの寸法や歯数を変えることで変更することができ、これにより、自動変速機10の伝動比が変更される。
【0034】
上記から分かるように、本発明による駆動アセンブリの実施例1では、3つの伝動比を実現することができる。
【0035】
第一の動力源がオンされ、第一のクラッチ41が噛み合い、第二のクラッチ42が切断されている場合は、自動変速機10における噛合伝動比がi1×i3となる。このとき、第二の動力源(電動モータ60)がオンにされてもオフにされてもよい。第二の動力源(電動モータ60)がオンされれば、駆動アセンブリの総駆動力を増大させることができ、車両の発進時に、車両の加速過程を短縮し、高速走行をより早く実現することができる。
【0036】
第一の動力源がオンされ、第二のクラッチ42が噛み合い、第一のクラッチ41が切断されている場合は、自動変速機10における噛合伝動比がi2×i3となる。このとき、第二の動力源(電動モータ60)がオンにされてもオフにされてもよい。同様に、第二の動力源がオンされれば、駆動アセンブリの総駆動力を増大させることができる。
【0037】
第二の動力源がオンされ、第一のクラッチ41及び第二のクラッチ42が切断されている場合は、自動変速機10における噛合伝動比がi1×i3となる。このとき、第一の動力源がオンにされてもオフにされてもよい。第一の動力源がオンされれば、第一の動力源の動力がアクスル80に伝達することができず、ISGモータ72のみが発電機として機能し、電力を回生可能であり、電力がバッテリに蓄えられたり、第二の動力源の稼動に使用されたりする。
【0038】
上記から分かるように、該車両用駆動アセンブリは、デュアル動力源による入力、3つの変速比での伝動を実現することができ、伝動形式が柔軟であり、さまざまな道路状況での車両全体の運転ニーズが満たされる。また、車両が重い負荷で坂を登っている場合には、車両全体の駆動力を向上させ、車両全体の駆動力不足という欠陥を補うために、デュアル動力入力、大きい変速比での伝動を選択することができる。車両全体が巡航している場合、車両全体の高速運転要求を満たし、エネルギーを節約することができる。さらに、車両の航続距離を向上させるためには、単一動力入力、小さい変速比での伝動を選択することができる。なお、車両の発進時に、第一の動力源と第二の動力源が共にオンされると、駆動アセンブリの総駆動力を増大させ、車両の加速過程を短縮し、高速走行をより早く実現することができる。
【0039】
本発明の実施例1において、アクスル80がフロントアクスルハーフシャフト又はリアアクスルハーフシャフトであり、車両用駆動アセンブリがフロントアクスルハーフシャフトに連結された場合、車両が前輪駆動モードとなり、車両用駆動アセンブリがリアアクスルハーフシャフトに連結された場合、車両が後輪駆動モードとなる。
【0040】
第一のクラッチ41及び第二のクラッチ42が端面歯クラッチであり、噛合伝動する可動ギアプレートと固定ギアプレートとを含み、可動ギアプレートに端面伝動歯又は端面歯溝が設けられ、それに応じて、固定ギアプレートに端面歯溝又は端面伝動歯が設けられている。端面歯クラッチは、摩擦クラッチと比較して、運動エネルギー損失を最大限に低減することが可能であり、従来の摩擦クラッチが電動モータのパワーショックに耐えることができないため、寿命が短すぎるという欠陥を埋めることができる。
【0041】
端面歯クラッチの駆動方式は、電磁駆動式(電磁吸引による駆動)、流体駆動式(液圧機構による駆動)、空圧駆動式(空圧機構による駆動)、電気駆動式(電動モータによる駆動)のいずれであってもよく、可動ギアプレートが軸方向に移動して固定ギアプレートと噛み合うように駆動される。
【0042】
第一のクラッチ41及び第二のクラッチ42が電磁ドッグクラッチである場合、車両用駆動アセンブリが動力入力状態にあるとき、電磁ドッグクラッチによって、動力が随時、車両全体と瞬時に解除されたり結合されたりすることができ、動力の円滑な切換えが達成され、車両の走行安定性が向上する。
【0043】
(実施例2)
本発明の実施例2は、実施例1に基づいて改良されたものである。本発明の実施例2は、実施例1と比べると、
図2に示すように、第四の中間軸34にさらに第六のギア16が
直結して設けられ、第六のギア16が第二の中間軸32における第三のギア13と噛合伝動し、第四のギア14が第五のギア15のみと噛合伝動する点で異なっている。
【0044】
第三のギア13と第六のギア16との噛合伝動比をi5とすると、第一のクラッチ41が噛み合い、第二のクラッチ42が切断されている場合、自動変速機10における噛合伝動比がi1×i3となり、第一の動力源が、第一の入力軸21、第一の中間軸31、第一のギア11、第二のギア12、第三の中間軸33、第一のクラッチ41、第四の中間軸34、第四のギア14、第五のギア15及び差動装置50を順次に介して、アクスル80に動力を伝達する。
【0045】
第一のクラッチ41が切断され、第二のクラッチ42が噛み合っている場合、第一の動力源が、自動変速機10を介して、i5×i3の噛合伝動比で動力を出力し、第一の動力源が、第一の入力軸21、第一の中間軸31、第二のクラッチ42、第二の中間軸32、第三のギア13、第六のギア16、第四の中間軸34、第四のギア14、第五のギア15及び差動装置50を順次に介して、動力をアクスル80に伝達する。
【0046】
第一のクラッチ41及び第二のクラッチ42が共に切断されている場合は、第二の動力源が、自動変速機10を介して、i5×i3の噛合伝動比で動力を出力する。第二の動力源が、第二の入力軸22、第二の中間軸32、第三のギア13、第六のギア16、第四の中間軸34、第四のギア14、第五のギア15及び差動装置50を順次に介して、アクスル80に動力を伝達する。
【0047】
この実施例2によれば、異なる伝動比を設定するのがより柔軟であり、制約がより小さくなり、大きな伝動比を選択するとギアが小径になるので、自動変速機10の径方向寸法を効果的に縮小することができる。
【0048】
本発明の実施例2の他の内容は、実施例1と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0049】
(実施例3)
本発明の実施例3は、実施例2に基づいて変更をなされたものである。実施例3は、実施例2と比べると、
図3に示すように、第二の入力軸22と第二の中間軸32とがそれぞれ独立した2本の軸であり、第二の入力軸22と第二の中間軸32との間に第三のクラッチ43が設けられている点で異なっている。
【0050】
第二の動力源である電動モータ60が補助動力源とされる場合、電動モータ60をオンにしようとすると、第三のクラッチ43を結合させる必要がある。一方、第二の動力源である電動モータ60がオフにされると、第三のクラッチ43を切断してもよく、このとき、電動モータ60が車両全体の動作に伴って空転することはなく、車両全体の走行が電動モータ60の最高回転速度及びロータの回転慣性によって制約されることはない。
【0051】
本発明の実施例3の他の内容は、実施例2と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0052】
(実施例4)
本発明の実施例4は、実施例3に基づいて改良されたものである。実施例4は、実施例3と比べると、
図4に示すように、第一の入力軸21と第一の中間軸31とがそれぞれ独立した2本の軸であり、エンジン71が第一の入力軸21に設けられ、ISGモータ72が第一の中間軸31に設けられ、第一の入力軸21と第一の中間軸31との間に第四のクラッチ44が設けられている点で異なっている。
【0053】
第一の動力源であるエンジン71が補助動力源とされる場合、エンジン71をオンにしようとすると、第四のクラッチ44を結合させる必要がある。一方、エンジン71がオフにされると、第四のクラッチ44を切断してもよい。エンジン71がオフされた場合、電動モータとしてのISGモータ72が依然として補助動力源として第一の中間軸31を駆動することができ、このとき、ISGモータ72がエンジン71の動作特性によって制約されず、ISGモータの性能が十分に発揮される。
【0054】
本発明の実施例4の他の内容は、実施例3と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0055】
(実施例5)
本発明の実施例5は、実施例2に基づいて改良されたものである。本発明の実施例5は、実施例2と比べると、
図5に示すように、本発明の実施例5において、第一の動力源として、電動モータ60が用いられている点で異なっている。
【0056】
本発明の実施例5の他の内容は、実施例2と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0057】
以上は、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の上記教示の下で、当業者は、上記実施例に基づいて他の改良又は変形を行うことができる。当業者であれば、上記の詳しい記載は本発明の目的をより良く解釈するためのものであり、本発明の保護範囲が特許請求の範囲の保護範囲に基づくものであることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0058】
10…自動変速機、11…第一のギア、12…第二のギア、13…第三のギア、14…第四のギア、15…第五のギア、16…第六のギア、21…第一の入力軸、22…第二の入力軸、31…第一の中間軸、32…第二の中間軸、33…第三の中間軸、34…第四の中間軸、41…第一のクラッチ、42…第二のクラッチ、43…第三のクラッチ、44…第四のクラッチ、50…差動装置、60…電動モータ(第二の動力源)、71…エンジン(第一の動力源)、72…ISGモータ(第一の動力源)、73…ねじり振動ダンパー、80…アクスル(アクスルハーフシャフト)