(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869375
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】吻合を作成するための単一カテーテル電極組織切断システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/11 20060101AFI20210426BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20210426BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20210426BHJP
A61B 17/32 20060101ALI20210426BHJP
A61B 17/12 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
A61B17/11
A61B18/14
A61M25/00 534
A61B17/32 510
A61B17/12
【請求項の数】27
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-559313(P2019-559313)
(86)(22)【出願日】2018年5月17日
(65)【公表番号】特表2020-518355(P2020-518355A)
(43)【公表日】2020年6月25日
(86)【国際出願番号】US2018033259
(87)【国際公開番号】WO2018213626
(87)【国際公開日】20181122
【審査請求日】2019年10月31日
(31)【優先権主張番号】62/507,362
(32)【優先日】2017年5月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518053703
【氏名又は名称】アベニュ メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】ケラーマン、ブラッド、エム
(72)【発明者】
【氏名】マン、ジャスティン、ケー
【審査官】
北川 大地
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−528472(JP,A)
【文献】
特表2013−545494(JP,A)
【文献】
特開平11−019091(JP,A)
【文献】
特表2000−511787(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/145202(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/11
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一解剖学的構造及び第二解剖学的構造の間に吻合を経皮的に作成するためのカテーテル及び組織切断システムであって、
ルーメン及び先細遠隔端を有する本体を含み、第一ガイドワイヤにより前記第一解剖学的構造に遠位に移動するカテーテルと、
第二ガイドワイヤに追随するルーメンと共に前記本体に格納され、前記第二解剖学的構造に挿入可能である、長尺の、エネルギー供給可能な均一材料のみからなる切断電極と、
前記第一解剖学的構造を定義する組織壁を切断するために前記切断電極にエネルギーを供給するエネルギー供給機構と、を備え、
前記切断電極は弾性的に偏向すると共に前記第二解剖学的構造に前進する際に前記解剖学的構造の壁の間に対して圧力をかけることを特徴とする、
カテーテル及び組織切断システム。
【請求項2】
インナールーメンを有し、前記本体に対して遠位に移動を行うと共に前記第一解剖学的構造の壁を穿刺して前記第二解剖学的構造に進入する同軸穿刺部材と、前記第一解剖学的構造に遠位に前進する第一ガイドワイヤと、患者の体内にガイドレールを形成するために前記穿刺部材の前記インナールーメンにより配置され、前記第一解剖学的構造を通過させて前記第二解剖学的構造に進入する第二ガイドワイヤと、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項3】
前記穿刺部材は前記本体ルーメンに退縮されることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項4】
前記本体ルーメンから遠位に延出され、前記カテーテル本体が遠位に追随して前記第一解剖学的構造に進入する第一ガイドワイヤを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項5】
前記第一解剖学的構造から前記第二解剖学的構造に進入し、前記切断電極から遠位に延出され、前記切断電極が前記本体から分離して隣接解剖学的構造に進入する第二ガイドワイヤを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項6】
前記切断電極は前記本体のサイドポートから前記本体に出し入れされることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項7】
前記切断電極はステンレス鋼、ニチノール、またはニクロムのうちの1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項8】
前記エネルギー供給は高周波、超音波、または抵抗熱エネルギーを前記切断電極に供給することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項9】
前記穿刺部材は微細穿刺針を備えることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項10】
前記切断電極は切断ワイヤを備えることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項11】
前記第一解剖学的構造は静脈であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項12】
前記第二解剖学的構造は動脈であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項13】
前記切断ワイヤはポリアミド絶縁体を備え、前記切断電極は前記ポリアミド絶縁体部分の遠隔端に配置されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項14】
前記本体にある位置決め機構を更に備え、前記位置決め機構は前記電極が前記第二解剖学的構造に進入した際に検出を行うことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項15】
前記位置決め機構は圧力センサー、放射線不透過マーカー、またはブリードポートのうちの1つを備えることを特徴とする請求項14に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項16】
血管内アクセスを作成すると共にガイドワイヤを留置するためのカテーテル及び組織切断システムであって、
遠位に移動すると共に遠位に移動する際に組織を穿刺させる穿刺部材と、
前記穿刺部材により作成された開口部を通して血管に遠位に移動するルーメンを有する本体を含むカテーテルと、
前記本体ルーメンに配置可能であり、且つ前記本体ルーメンにより前記血管に遠位に挿入されるか前記血管に近接される、長尺の、エネルギー供給可能な均一材料のみからなる切断電極と、
前記切断電極の出し入れ操作を行うためのアクチュエータと、
前記血管を定義する組織壁を切断するために前記切断電極にエネルギーを供給するエネルギー供給機構と、を備え、
前記切断電極は弾性的に偏向すると共に前記第二解剖学的構造に前進する際に前記解剖学的構造の壁の間に対して圧力をかけることを特徴とする、
血管内アクセスとガイドワイヤの配置を作成するためのカテーテル及び組織切断システム。
【請求項17】
前記本体ルーメンから遠位に延出され、前記カテーテル本体が遠位に追随して前記血管に進入する第一ガイドワイヤを更に備えることを特徴とする請求項16に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項18】
前記切断電極から遠位に延出され、前記切断電極が前記本体から遠位に延出される第二ガイドワイヤを更に備えることを特徴とする請求項17に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項19】
前記切断電極は前記本体に向けて弾性的に偏向すると共に前記本体に完全に退縮されることを特徴とする請求項16に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項20】
前記切断電極は前記本体のサイドポートを介して前記本体から出入可能であることを特徴とする請求項16に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項21】
前記切断電極はステンレス鋼、ニチノール、またはニクロムのうちの1つを含むことを特徴とする請求項16に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項22】
前記エネルギー供給は高周波、超音波、または抵抗熱エネルギーを前記切断電極に供給することを特徴とする請求項16に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項23】
前記穿刺部材は微細穿刺針を備えることを特徴とする請求項16に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項24】
前記切断電極は切断ワイヤを備えることを特徴とする請求項16に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項25】
前記切断ワイヤはポリアミド絶縁体を備え、前記切断電極は前記ポリアミド絶縁体部分の遠隔端に配置されることを特徴とする請求項24に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項26】
前記本体にある位置決め機構を更に備え、前記位置決め機構は前記本体が前記血管に進入した際に検出を行うことを特徴とする請求項16に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【請求項27】
前記位置決め機構は圧力センサー、放射線不透過マーカー、またはブリードポートのうちの1つを備えることを特徴とする請求項26に記載のカテーテル及び組織切断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
体内には様々な流動体が導管を通して組織の隅々まで運ばれ、種々の基本機能を実行している。血管、動脈、静脈、及び毛管は血液を身体の隅々まで運び、栄養素及び排泄物を別の器官及び組織に送って処理させる。胆管は胆汁を肝臓から十二指腸に輸送する。尿管は尿を腎臓から膀胱に送る。腸は栄養素及び排泄物を口から肛門に運ぶ。
【背景技術】
【0002】
診療において、導管を他の導管に接続するか代替導管に接続して病気や機能不全に陥った既存の導管を処置する必要が生じることがままある。導管の間に形成される接続は吻合と呼ばれる。
【0003】
血管では、吻合は静脈と動脈との間、動脈と動脈との間、または静脈と静脈との間に作成される。これらの接続の目的は、動脈と血管の間に高流量接続や瘻を作成すること、或いは代替導管の障害物の周りやバイパスに血液を送ることである。バイパスのための前記導管は血管、動脈、または補綴用グラフトである。
【0004】
吻合は手術中に2つの脈管や導管を1つに直接接続することで形成される。前記脈管は縫合糸やクリップにより接合される。前記吻合は端端、端側、または惻々吻合である。血管では、前記吻合は楕円形状を呈し、手で連続縫合されるのが最も一般的である。吻合作成の他の方法として炭酸ガスレーザーを含み、種々の接続用補綴具、クリップ、ステントを使用する様々な方法が存在する。
【0005】
動静脈瘻(AVF)は動脈と血管とを接続することで形成される。この種の接続は血液透析に用いられ、運動耐性を高め、動脈や静脈を開いた状態に維持させ、化学療法のための信頼性の高いアクセスを提供する。
【0006】
このほか、補綴用グラフトを動脈から血管に接続し、同様に動脈と静脈との間に高流量の接続を作成する方法もある。これは動静脈グラフトと呼ばれ、2つの吻合が必要となる。1つは動脈とグラフトとのの間に作成され、もう1つはグラフトと静脈との間に作成される。
【0007】
バイパスは動静脈グラフトと相似する。障害物を迂回させるために2つの吻合及び導管が必要となる。血管から導管に近位吻合が形成される。前記導管は前記障害物の周りを延伸させ、第二遠位吻合が前記導管と脈管との間に前記障害物を越えるように形成される。
【0008】
上述のように、近年の診療では、血液透析のために動脈と静脈とを接続して瘻を作成することが求められている。血液透析のプロセスでは、血液を体内から素早く抜いて、前記血液に透析装置を通過させて体内に戻す必要がある。前記血液循環へのアクセスは、(1)大静脈に配置されるカテーテル、(2)動脈及び血管に装着される補綴用グラフト、または(3)動脈が静脈に直接接合される瘻、により達成される。
【0009】
腎不全の患者にとっては血液透析が必要となる。自家血管を使用した瘻は高い血流量を実現するため1つの手段である。前記瘻は、血液を体内から抽出して透析装置に流入させ、排泄物を除去した後に体内に戻すことが可能な高い血流量を提供する。前記血液は前記動脈付近の大型アクセス針を通して抽出され、第二大型回流針を通して前記瘻に戻される。これらの瘻は通常前腕か上腕に作成され、大腿に作成されることは少なく、その他の身体の部位に作成されることは稀である。大事な点は、前記瘻は毎分500ml以上の流量を達成可能であり、静脈を成熟または成長させることができる点である。静脈は成熟すると4mm超に達し、大型針でアクセス可能となる。前記アクセス針及び回流針を確実に分離し、前記瘻に挿入された前記針の間を透析済みの血液と未透析の血液とが再循環するのを防止するために、前記瘻が作成される静脈の部位には十分な長さ(6cm超)が必要である。
【0010】
瘻は麻酔下の患者の動脈及び静脈を周辺の組織から慎重に解離させ、前記脈管を細い縫合糸やクリップで縫い合わせることで作成される。これにより、吻合に接続が作成される。前記吻合は素早く正確に作成し、解離を少なくし、痛みを少なくすることが強く求められている。前記吻合は正しい大きさでスムーズに作成し、前記動脈と静脈とが絡まないようにすることが重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るカテーテル及び組織切断システムは、第一解剖学的構造及び第二解剖学的構造の間に吻合を経皮的に作成する。前記システムはルーメン及び先細遠隔端で構成される本体を有するカテーテルを備え、第一ガイドワイヤにより前記第一解剖学的構造に遠位に移動する。切断電極は第二ガイドワイヤに追随するルーメンと共に前記本体に格納され、前記第二解剖学的構造に挿入可能である。エネルギー供給は、組織壁を切断して前記第一解剖学的構造を定義するために前記切断電極にエネルギーを供給するために操作される。使用方法の例では、前記第一解剖学的構造及び前記第二解剖学的構造は静脈及び動脈等の隣接血管を含む。
【0012】
上述の前記システムはインナールーメンを有する同軸穿刺部材を更に備え、前記同軸穿刺部材は前記本体に対して遠位に移動を行うと共に前記第一解剖学的構造の壁を穿刺させて前記第二解剖学的構造に進入する。前記第一解剖学的構造に遠位に前進する第一ガイドワイヤが提供され、前記穿刺部材の前記インナールーメンにより第二ガイドワイヤが配置されて患者の体内にガイドレールが形成され、前記第一解剖学的構造を通過させて前記第二解剖学的構造に進入する。前記穿刺部材は前記本体ルーメンに退縮される。
前記第一ガイドワイヤは前記本体ルーメンから遠位に延出され、前記カテーテル本体が遠位に追随して前記第一解剖学的構造に進入する。前記第二ガイドワイヤは、前記第一解剖学的構造から前記第二解剖学的構造に進入し、前記切断電極から遠位に延出され、前記切断電極が前記本体から分離して前記隣接解剖学的構造に進入する。前記切断電極はばね荷重等により弾性的に偏向すると共に、前記第二解剖学的構造に前進する際に前記解剖学的構造の壁の間に対して圧力をかける。図示する実施形態では、前記切断電極は前記本体のサイドポートから前記本体に出し入れされる。
【0013】
前記切断電極はステンレス鋼、ニチノール、またはニクロムのうちの1つを含む。前記エネルギー供給は高周波、超音波、または抵抗熱エネルギーを前記切断電極に供給する。幾つかの実施形態では、前記穿刺部材は微細穿刺針を備える。幾つかの実施形態では、前記切断電極が切断ワイヤを備える。図示する方法では、前記第一解剖学的構造は静脈であり、前記第二解剖学的構造は動脈である。前記切断ワイヤはポリアミド絶縁体を含み、前記切断電極は端前記ポリアミド絶縁体部分の遠隔に配置される。
【0014】
位置決め機構は前記本体に配置され、前記電極が前記第二解剖学的構造に進入した際に検出を行う。前記位置決め機構は圧力センサー、放射線不透過マーカー、またはブリードポートのうちの1つを備える。
【0015】
本発明の他の特徴は、血管内アクセスを作成し、ガイドワイヤを留置するためのカテーテル及び組織切断システムを提供することにある。前記システムは組織に遠位に移動すると共に遠位に移動する際に組織を穿刺させる穿刺部材を備え、カテーテルは、前記穿刺部材により作成された開口部を通して血管に遠位に移動するルーメンを有する本体を備え、切断電極は前記本体ルーメンに配置可能であり、且つ前記本体ルーメンにより前記血管遠位に挿入されるか隣接血管に近接される。アクチュエータは、前記切断電極の出し入れ操作に用いられる。エネルギー供給は組織壁を切断して前記血管を定義するための前記切断電極にエネルギーを供給する。
【0016】
第一ガイドワイヤは前記本体ルーメンから遠位に延出され、前記カテーテル本体が遠位に追随して前記血管に進入する。第二ガイドワイヤは前記切断電極から遠位に延出され、前記切断電極が前記本体から遠位に延出される。前記切断電極はばね荷重等により弾性的に偏向すると共に前記本体に完全に退縮される。前記切断電極は前記本体のサイドポートを介して前記本体から出入可能である。
【0017】
前記切断電極は1つステンレス鋼、ニチノール、またはニクロムのうちの1つを含む。前記エネルギー供給は高周波、超音波、または抵抗熱エネルギーを前記切断電極に供給する。幾つかの実施形態では、前記穿刺部材は微細穿刺針を備える。幾つかの実施形態では、前記切断電極はポリアミド絶縁体を含む切断ワイヤを備え、前記切断電極が端前記ポリアミド絶縁体部分の遠隔に配置される。
【0018】
前記本体は位置決め機構を含み、前記本体が前記血管に進入した際に検出を行う。前記位置決め機構は圧力センサー、放射線不透過マーカー、またはブリードポートのうちの1つを備える。
【0019】
本発明の更なる他の特徴は、血管内アクセスを作成する方法を提供し、前記方法は、装置の前記本体がガイドワイヤにより前記第一解剖学的構造内に定位される工程と、切断電極が第二ガイドワイヤにより前記本体から延出されると共に第二隣接解剖学的構造に進入させ、隣接する壁により前記第一解剖学的構造及び前記第二解剖学的構造が各々定義される工程と、前記第二ガイドワイヤが退縮されて前記切断電極により前記隣接する壁同士が圧着される工程と、を含む。前記切断電極にエネルギーが供給され、続く切断工程では前記第一解剖学的構造及び前記第二解剖学的構造の間に前記隣接する壁によりアクセス開口部が形成される。
【0020】
前記方法は前記切断電極が前記本体に格納される工程を更に含む。前記第二ガイドワイヤにより前記カテーテルが前進する工程中に、前記切断電極が前記本体から展開されると共に前記第二解剖学的構造に進入する。次に、前記方法は、前記本体が処置箇所から引き抜かれた後に前記開口部が作成される工程を更に含む。
【0021】
前記カテーテルの前記先細遠隔端は、シース無しに前記皮膚から挿入されて前記第一解剖学的構造に進入する。
【0022】
本発明は、前記定位工程の前に、針により前記第一血管及び前記第二血管への経皮的なアクセスが得られる工程を更に含む。前記針はガイドワイヤに追随される。前記針は前記定位工程前に引き抜かれる。
【0023】
前記延出工程前に、前記切断電極のルーメンにより第二電極ガイドワイヤが前記血管のうちの1つに配置される。
【0024】
本発明の更なる他の特徴は、血管内アクセスを作成する方法を提供し、装置の前記本体が第一血管内に定位される工程と、切断電極が前記本体から延出されて第二隣接血管に進入し、隣接する壁により前記第一血管及び前記第二血管が各々定義される工程と、前記切断電極が退縮され、前記隣接する壁同士が圧着される工程と、前記切断電極にエネルギーが供給される工程と、前記隣接する壁が切断されて前記第一血管及び前記第二血管の間にアクセス開口部が形成される工程と、を含む。
【0025】
前記方法は前記切断電極が前記本体に退縮される工程、及びその後に前記本体が前記処置箇所から引き抜かれる工程を更に含む。前記定位工程の前に、前記針により前記第一血管及び前記第二血管への経皮的なアクセスが得られる。前記針はガイドワイヤに追随され、その後に前記定位工程の前に引き抜かれる。前記延出工程の前に、前記切断電極のルーメンにより第二電極ガイドワイヤが前記血管のうちの1つに配置される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る装置が本発明の原理に従って構築される側面概略図である。
【
図1A】
図1に示す装置の遠隔端の拡大等角図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る弾性的に偏向する「固定」電極の一実施例であり、針が第一脈管から挿通されて隣接脈管に進入することを図示する。
【
図3】
図2と相似し、前記針が引き抜かれ、前記カテーテルの前記本体がガイドワイヤにより前進されて第一脈管に進入し、前記電極が主カテーテル本体から分離されると共に隣接脈管のルーメンに進入することを図示する。
【
図4】
図3と相似し、ガイドワイヤが引き抜かれ、2つの脈管の隣接側壁が圧着され、前記電極にエネルギーが供給されると共に脈管壁を切断することを図示する。
【
図5】
図4と相似し、2つの脈管の間に吻合が形成された後に前記電極が引き抜かれて主カテーテル本体に格納されることを図示する。
【
図6】
図2と相似し、本発明の実施形態の典型的な改修例を図示する。
【
図7】
図3と相似し、処置箇所に対する改修されたカテーテルの実施形態の発展を図示する。
【
図8】
図7と相似し、電極により電極ガイドワイヤが第一脈管に延出されることを図示する。
【
図9】
図8と相似し、前記カテーテルが遠位に前進し、前記電極が前記カテーテル本体から持ち上げられ、脈管側壁同士を圧着させることを図示する。
【
図10】
図9と相似し、電極ガイドワイヤが引き抜かれると共に前記電極にエネルギーが供給されて脈管の間の吻合が切断されることを図示する。
【
図11】
図10と相似し、前記吻合が切断されると共に前記電極が主カテーテル本体内に格納されることを図示する。
【
図13】
図8と相似し、改修されたカテーテルの実施形態の発展及び拡張器先端が隣接脈管に進入し、ガイドワイヤがカテーテル本体のサイドポートから第一脈管に進入することを図示する。
【
図14】
図13と相似し、カテーテルルーメンが前記カテーテルのサイドポートから遠位に延出されて第一脈管に進入することを図示する。
【
図15】
図14と相似し、第一脈管ガイドワイヤが引き抜かれると共に切断ワイヤが第一脈管のカテーテルルーメンに前進し、第一脈管に進入することを図示する。
【
図16】
図15と相似し、前記第一脈管カテーテルが主カテーテル本体に退縮され、前記切断ワイヤにエネルギーが供給されて吻合が形成されることを図示する。
【
図17】
図12乃至
図16の実施形態の切断ワイヤが保持されると共に解除される一典型的アプローチの概略図を図示する。
【
図19】
図13と相似し、カテーテルが先行して配置されたガイドワイヤに追随され、前記第一脈管を通過させて隣接する第二脈管に進入することを図示する。
【
図20】
図19と相似し、切断電極が第二脈管に展開されることを図示する。
【
図21】
図20と相似し、前記切断電極が係合されるまで前記カテーテルが引き抜かれ、脈管側壁が密着するように圧着され、前記電極にエネルギーが供給されて吻合が切断されることを図示する。
【
図22】
図21と相似し、前記吻合が形成されることを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は本発明の実施例に従って装置が構築される概略図を図示する。前記装置30は、第一アクチュエータ2(ボタンとして図示する)及び第二アクチュエータ3(親指タブとして図示する)で構成されるハンドル1を備える。本体ルーメンルアー4及び電極ルーメンルアー5は前記ハンドル1に配置される。カテーテル6は前記ハンドル5から遠位に延出される。前記カテーテル6は拡張器先端7と、カテーテルシャフト8と、本体9と、を備える。
【0028】
図1Aは
図1の楕円Aに示される前記カテーテル6の前記拡張器先端7の拡大等角図を示す。前記拡張器先端7は本体ルーメン末端10及び弾性的に偏向する切断電極21を備える。この弾性的偏向は前記電極にばね荷重がかけられることにより達成される。
【0029】
図2は本発明に係る前記装置のばね荷重がかけられた「固定」電極の実施形態の一実施例を図示する。シース23及び静脈ガイドワイヤ13は第一導管或いは静脈14に配置される。針26は前記静脈14から挿通させて隣接する第二脈管または動脈15に進入する。電極ガイドワイヤ16は前記針26のルーメンにより挿入されて前記動脈15に進入する。ここでは、前記針26が引き抜かれる。ちなみに、ここでは処置箇所に対する本発明について説明し、前記第一脈管は静脈であり、前記第二脈管は動脈である。本出願において説明する本発明に係るシステム及び方法は、当然ながら、他の箇所にも応用可能であり、解剖学的方法は隣接する空間または導管の間に吻合を作成するのに適することが本技術分野の技術者ならば理解できる。
【0030】
図3を参照する。前記針26が引き抜かれた後(
図2参照)、前記カテーテル6の前記本体9が前記静脈ガイドワイヤ13に追随され、本体ルーメン24により延出され、前記静脈14に進入する。前記電極ガイドワイヤ16は電極ルーメン25に挿入される。前記カテーテルが前進すると、前記電極21が前記本体9から分離されると共に前記動脈ルーメン16に進入する。
【0031】
図4を参照する。次の前記電極ガイドワイヤ16が引き抜かれ、ばね荷重がかけられた前記電極21が前記カテーテル本体の方向へ弾性的に偏向するため、動脈壁及び静脈壁に対して圧力がかけられる。前記電極21にエネルギーが供給されると共に前記脈管壁が切断される。
【0032】
前記電極はステンレス鋼、ニチノール、ニクロム、または相似する材料で構築される。前記電極の形状は前記壁を圧迫させるか、緊張ワイヤが前記脈管壁に対して前記電極を引っ張るために用いられる。前記電極21に高周波(Radio Frequency)、超音波、または抵抗熱エネルギーが供給される。
【0033】
図5に示されるように、起動後に、前記電極21が前記カテーテル6の前記本体内に完全に格納される。前記カテーテル6が引き抜かれ、前記静脈14及び前記動脈15を接続する吻合32が残される。
【0034】
次いで、
図6乃至
図11を参照する。弾性的に偏向する切断電極21の第二実施例を図示する。本実施例において、ばね荷重がかけられた「固定」電極を備え、針26は患者の皮膚27を挿通させると共に前記静脈14へのアクセスを獲得し、前記隣接動脈15に挿通させるために用いられる。
図6に示されるように、A.014”ガイドワイヤ13が前記針ルーメンにより配置され、前記動脈15に進入する。
【0035】
図7に示されるように、前記カテーテル6はガイドワイヤ13に追随して前記静脈14に進入し、前記拡張器先端7が前記動脈15に進入する。前記本体9及び切断電極21は前記静脈に留置される。
【0036】
特に
図8によると、続いて前記電極21により電極ガイドワイヤ16が前記静脈14に配置される。
図9によれば、前記カテーテル6が前進し、ばね荷重がかけられた前記電極21が前記本体9から持ち上げられ、前記動脈(15)壁及び前記静脈(14)壁を圧着させる。
【0037】
図10に示されるように、続いて前記電極ガイドワイヤ16が引き抜かれ、ばね荷重がかけられた前記電極21により前記動脈15及び前記静脈14が前記カテーテル前記本体9に対して圧迫される。ここでは、高周波、超音波、または抵抗熱技術により前記電極21にエネルギーが供給され、前記脈管の間の吻合が切断される。エネルギーが供給された後、
図11に示されるように、前記電極21が前記本体9内に格納され、前記動脈と静脈との間の前記吻合が切断される。前記吻合が完成すると、前記装置30が引き抜かれる。
【0038】
図12乃至
図17は、本発明の手順について論述するために前記切断電極21の第三実施形態を図示する。この実施形態及び方法では、
図12に示されるように、静脈(14)アクセス及び動脈(15)アクセスを獲得するために微細穿刺針12が用いられ、ガイドワイヤ13が前記動脈15に配置される。
図13に示されるように、静脈(14)アクセス及び動脈(15)アクセスが得られた後、前記拡張器先端7が前進して前記動脈15に進入し、静脈電極ガイドワイヤ16が前記静脈カテーテル6のルーメンに下方に前進すると共に前記静脈に進入する。
【0039】
図14を参照する。前記ハンドル1の前記親指タブ3が前進し、これにより前記静脈カテーテルルーメン17が延出されて前記静脈14に進入する。
図15に図示されるように、次いで前記静脈ガイドワイヤ13引き抜かれ、切断ワイヤ18は、好ましくはNiTiまたはステンレス鋼のような好適な材料で形成され、前記静脈カテーテルルーメン17に前進する。前記切断ワイヤ18の近位端の成形された取付部品は前記カテーテルのハンドル1の近位端に配置されるようにロックされ、前記切断ワイヤの長さが設定される。
【0040】
図16は前記親指タブ3が引き抜かれることにより前記静脈ルーメン17が引き抜かれることを図示する。この位置では、瘻を作成するために前記切断電極18が使用される。前記切断電極にエネルギー(高周波、超音波、または直接加熱)が供給された後、前記切断電極が隙間を切断し、前記吻合が形成される。前記吻合が完成すると、前記装置30が引き抜かれる。
【0041】
図17は
図12乃至
図17の具体的な実施例における前記切断ワイヤ18を保持及び解除する一アプローチを図示する。図示されるように、前記切断ワイヤ18はポリイミド絶縁体20または他の好適な材料を含み、前記切断電極21が前記部分20の遠隔端に配置される。高周波動力源等のエネルギー源に接続するためのコネクタ22により前記電極21にエネルギーが供給される。ルアーロックコネクタ19は前記静脈ルーメン17の反対端に配置され、前記ルアーロックコネクタ19から前記切断ワイヤ18が延出され、前記ルアーロックコネクタ19に進入するように前記切断ワイヤ18が引き抜かれる。
【0042】
図18乃至
図22は本発明の第四実施例に係る前記切断システムを図示する。この実施例では、
図18に示されるように、微細穿刺針26が前記皮膚27に挿通された後、前記静脈(14)アクセス及び前記動脈(15)アクセスを得るために使用される。前記針26の前記ルーメンによりガイドワイヤ16が前記動脈15に配置される。そして、
図19を参照する。前記カテーテル6が先行して配置された前記ガイドワイヤ16に前記静脈14を通して追随され、前記本体9が前記動脈に展開されるまで前記隣接動脈15に進入する。前記拡張器先端7はスムーズで先細になっており、前記皮膚及び脈管をシースを配置せずに拡張させる。
【0043】
前記本体9は位置決め機構28を有し、前記本体が前記動脈に進入した際に適切な位置で検出を行い、前記カテーテルを正しい場所に位置するように補助する。前記位置決め機構28は、例えば、圧力センサー、放射線不透過マーカー、またはブリードポートであり、高圧の動脈に位置される際に血液を外部可視ポートから絞り出し、これにより前記動脈への進入を施術者に示す。
【0044】
前記電極21は緊張ワイヤ、滑りカム、または他の好適な方法により前記動脈15中に展開される(
図20参照)。
【0045】
展開後、前記カテーテル6が引き抜かれ、
図21に示されるように、前記電極21が係合されると共に前記動脈(15)壁及び前記静脈(14)壁が圧迫される。次いで、前記電極21にエネルギーが供給され、前記吻合が切断される。
【0046】
前記吻合が完全に形成され、前記電極21が引き抜かれると共に前記本体9に完全に格納され、
図22に示されるように、その後前記カテーテル6が前記処置箇所から引き抜かれる。
【0047】
以上のように、本発明に係る実施例及び方法を図示して説明したが、ここで使用される全ての用語は説明に用いるのみであり、制限するためのものではない。本分野で通常知識を有する者ならば、本発明の精神及び目的から逸脱することなく、これらを変更、改修、及び代替可能であることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0048】
1 ハンドル
2 第一アクチュエータ
3 第二アクチュエータ
4 本体ルーメンルアー
5 電極ルーメンルアー
6 カテーテル
7 拡張器先端
8 カテーテルシャフト
9 本体
10 本体ルーメン末端
12 針
13 静脈ガイドワイヤ
14 第一導管或いは静脈
15 動脈
16 電極ガイドワイヤ
17 静脈カテーテルルーメン
18 切断ワイヤ
20 ポリイミド絶縁体
21 切断電極
23 シース
24 本体ルーメン
26 針
27 皮膚
28 位置決め機構
30 装置
32 吻合