(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869381
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】安全ハーネス装置
(51)【国際特許分類】
A62B 35/00 20060101AFI20210426BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
A62B35/00 A
E04G21/32 D
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-566105(P2019-566105)
(86)(22)【出願日】2018年6月14日
(65)【公表番号】特表2020-523066(P2020-523066A)
(43)【公表日】2020年8月6日
(86)【国際出願番号】AT2018060124
(87)【国際公開番号】WO2018227226
(87)【国際公開日】20181220
【審査請求日】2020年2月27日
(31)【優先権主張番号】A50498/2017
(32)【優先日】2017年6月14日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】519421639
【氏名又は名称】ハンス−ユリアン・ジュガン
【氏名又は名称原語表記】Hans−Julian DZUGAN
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ユリアン・ジュガン
【審査官】
村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】
特表2014−506815(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02724752(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00−99/00
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
具体的には建物建築活動において、人が落下した際に、人を受け止めるための安全ハーネス装置(1)であって、
胸部(2a)、肩部(2b)、及び背部(2c)を備える少なくとも1つの肩ストラップ(2)と、
安全ロープ(7)を着脱可能に取付けている、ロック要素(6)と、
を備え、
前記ロック要素(6)は、前記ロック要素(6)が前記肩ストラップ(2)の前記背部(2c)側に配置されているワーキングポジションと、前記ロック要素(6)が前記肩ストラップ(2)の前記胸部(2a)側に配置されているキャッチポジションとの間を移動でき、
前記ロック要素(6)を前記肩ストラップ(2)に接続するための保持要素(10)と、前記保持要素(10)から前記ロック要素(6)を解放するための解放装置(14)が設けられ、
前記解放装置(14)がラッチ(15)とラッチ受け(16)を備え、前記ワーキングポジションでは前記ラッチ(15)は前記ラッチ受け(16)に接続されており、所定の縦方向の力が前記ロック要素(6)に作用することで、前記ラッチ(15)は前記ラッチ受け(16)から解放された解放ポジションへと移動され得ることを特徴とする、前記安全ハーネス装置(1)。
【請求項2】
キャッチ要素(22)が、前記肩ストラップ(2)の前記胸部(2a)側に設けられ、前記ロック要素(6)の前記キャッチ要素(22)への接続のための、好ましくは接続コード(11a)である接続要素(11)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の前記安全ハーネス装置(1)。
【請求項3】
前記ワーキングポジションでの前記接続要素(11)が、少なくともある部分で、好ましくは実質的に前記接続要素(11)の縦方向の範囲全体で、前記肩ストラップ(2)に沿って案内されていることを特徴とする、請求項2に記載の前記安全ハーネス装置(1)。
【請求項4】
前記ワーキングポジションでの前記接続要素(11)が、前記肩ストラップ(2)と具体的には織布のカバーであるカバー部(12)との間に収容されていることを特徴とする、請求項3に記載の前記安全ハーネス装置(1)。
【請求項5】
前記カバー部(12)が具体的には縫い目(13)である継ぎ目を介して、前記肩ストラップ(2)に接続されていることを特徴とする、請求項4に記載の前記安全ハーネス装置(1)。
【請求項6】
前記ラッチ(15)は、具体的には回転可能に前記保持要素(10)に取り付けられており、前記ロック要素(6)が前記ラッチ受け(16)を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の前記安全ハーネス装置(1)。
【請求項7】
前記解放装置(14)は、バネ要素(21)を備え、前記バネ要素(21)のバネ力に反して、前記ロック要素(6)は前記保持要素(10)から解放され得ることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の前記安全ハーネス装置(1)。
【請求項8】
前記解放装置(14)は、前記保持要素(10)に対する前記ロック要素(6)の解放動作を制動するための緩衝要素(17)を備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の前記安全ハーネス装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的には建物建築活動において、仮に作業者が落下した際に受け止めるための、
胸部、肩部、及び背部を備えている少なくとも1つの肩ストラップと、
着脱可能に安全ロープを取り付けるためのロック要素(locking element)と、
を備える、安全ハーネス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
閉鎖装置と保持装置を有する、このような安全ハーネスは、例えばドイツ実用新案第200 22 993号において既知である。安全ハーネスはベルトストラップラインと肩ストラップラインを有する。肩ストラップラインは、着用者の背中で交差されて配置される2つの部分を有する。この交差点は、安全コードが繋ぎ止められ得る安全アイレットを含む。
【0003】
建物建築活動においては、標準の安全ハーネスが使われ、この安全ハーネスでは安全ロープ(落下保護ロープ)は、着用者の背中領域で安全アイレットに繋ぎ止められている。この結果として、安全ハーネスの着用者は、作業活動の実施を妨げられない。しかし、この実施形態には、落下の際に着用者が可能な限り迅速に、安全ロープから解放されなくてはならないという、深刻な欠点がある。背中から吊るされている状態は、短期間で生死に関わる負荷(圧迫)をもたらすかもしれない。ある状況では、僅か20分の負荷時間で死に至るかもしれない。これの理由は、背中から吊るすことは、自身の体重により、胸部と脚の動脈、脚の静脈とに高い圧を掛けることであり、それによって呼吸と血液循環が大幅に損なわれるためである。
【0004】
一方、安全ハーネスは、具体的には登山用ハーネスである他の用途として知られており、この登山用ハーネスでは保持ロープは着用者の前側ないし胸側に取り付けられており、それにより落下後に人が「ロープ上に留まっていられる」、非致死性の時間が少なくとも60分に増加する。しかし、保持ロープの胸への装着により着用者の腕の動きの自由が損なわれるかもしれないので、個人が作業活動を効率的に実施することができなくなり得るであろうから、この実施形態は建設現場では適切であると思われない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ドイツ実用新案第200 22 993号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、先行技術の欠点を解消する、又は少なくとも補うことである。従って、本発明の目的は、落下の際の着用者への圧迫(負荷)を軽減させる、建物建築活動のための安全ハーネス装置を生み出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は請求項1に記載の安全ハーネス装置により達成される。好ましい実施形態は従属請求項に含まれる。
【0008】
本発明によればロック要素は、ロック要素が肩ストラップの背部側に配置されているワーキングポジションと、ロック要素が肩ストラップの胸部側に配置されているキャッチポジションとの間を移動させることができる。
【0009】
作業活動が自由に行われ、妨げられないことを可能にするために、ワーキングポジションでは、ロック要素は安全ハーネス装置の着用者の後ろ側に配置されている。従って、例えば金属骨格構造において、建物建築活動が実施されている際に、ロック要素に接続されている安全ロープの終端部は、着用者の背中領域に位置する。換言すると、安全ロープの背中への取り付けは、ワーキングポジションに設けられる(すなわち、補助ロープは肩ストラップの背部に配置されている)。従って、作業活動を自由に、制限されることなく実施することが可能となり、同時に落下に対する必要な保護が実現される。落下の際に、ワーキングポジションからキャッチポジションへのロック要素の独立した移動が引き起こされる。ワーキングポジションからキャッチポジションへの移動の間、ロック要素ひいては安全ロープも、着用者の背側から着用者の胸側ないし前側へと案内される。このポジションでは、安全ロープは着用者の前側ないし胸側に配置されている。従って、ロック要素又はそこに接続された安全ロープの終端領域は、着用者の背中から、好ましくは肩を通って、胸領域までの移動経路をたどる。胸領域での取り付けのため、キャッチポジションでは、有利なことに着用者の胸部は最小負荷(圧迫)にわずかにさらされているだけである。落下中又は落下後の数秒で、安全ロープは背中の配置から胸領域の配置へと移動されるので、着用者は、圧縮力の結果としての健康を危険にさらす程の負荷が生じる前に、安全ロープ上に大幅に長く留まることができる。従って、有利なことに、作業活動を実施する際の動きの自由が、落下の際のより高い安全性に結び付けられることが可能となる。
【0010】
本開示の目的において、位置と方向の詳細は、安全ハーネスを目的通りに利用した際の状態に関連する。例えば、「前」や「前側」などは着用者の胸領域に関連しており、「後ろ」や「後ろ側」などは着用者の背中領域に関連している。
【0011】
保護される人の後ろ側から前側へのロック要素の移動を可能にするために、キャッチ要素(catch element)が好ましくは肩ストラップの胸部側に設けられており、また好ましくは接続コードであるロック要素をキャッチ要素に接続するための接続要素(connection element)が、好ましくは設けられている。キャッチ要素は前側、すなわち肩ストラップの胸部側に固定されている。例えば、具体的には肩ストラップの胸部に接続されている安全アイレットが、キャッチ要素として設けられてもよい。接続要素が、一方では着用者の前側のキャッチ要素に接続されており、他方ではロック要素に接続され、そしてロック要素がワーキングポジションで着用者の後ろ側に位置している。好ましくは、接続コードが接続要素として設けられ、本開示の目的においては、これは縦方向に対して横に変形可能な、ベルト、ストラップ又はその他の縦方向の要素をも意味すると理解される。落下の際に、ロック要素が、安全ロープを介した縦方向の力によって、着用者の後ろ側から前側に移動させられるので、着用者の重量は、前側のキャッチ要素を介して持ち上げられる。
【0012】
この目的においては、接続要素の一方の端がロック要素に接続されており、接続要素の他方の端がキャッチ要素に接続されていることが好ましい。ワーキングポジションでは、接続要素は、安全ハーネスの着用者の重量による負荷が掛かっていない状態であり、着用者の重量は、後ろ側のロック要素により持ち上げられている。安全ポジションでは、接続要素は負荷が掛かっている状態であり、着用者の重量は、前側ないし胸側のキャッチ要素を介して持ち上げられている。
【0013】
着用者に最大限の動作の自由を提供するために、並びに高い安全基準に達するために、さらに肩ストラップをより容易に着用するために、ワーキングポジションでの接続要素は、少なくともある部分で、好ましくは、実質的に接続要素の縦方向の範囲全体で、肩ストラップに沿って案内されていることが好ましい。
【0014】
上述の理由のため、接続要素が、ワーキングポジションで、肩ストラップと具体的には織布のカバーであるカバー部との間に収容されていることが追加的に有利である。
【0015】
好ましい実施形態によれば、カバー部は具体的には縫い目である接合部を介して、肩ストラップに接続されている。従って、落下の際の後ろ側から前側への懸架装置の移動は、遅らされるであろう。従って有利なことに、落下の際の着用者の重量は、背中の懸架装置から胸の懸架装置へ、比較的穏やかに移らされる。落下の最後で、着用者は、呼吸又は血液循環に実質的に有害ではない、安定したポジションで安全ロープに吊るされている。
【0016】
より好ましい実施形態によれば、ロック要素の肩ストラップへの接続のための保持要素(holding element)と、保持要素からロック要素を解放するための解放装置とが設けられている。保持要素は、着用者の後ろ側で、具体的には肩ストラップの背部であるが肩ストラップに固定的に接続されている。落下の際に力を捉えることで、解放装置により、ロック要素は保持要素から解放される。従って、着用者の重量は前側のキャッチ要素に移動させられる。
【0017】
好ましい別形によれば、解放装置はラッチとラッチ受けとを備え、ワーキングポジションでのラッチはラッチ受けに接続されており、所定の縦方向の力がロック要素に作用することで、ラッチはラッチ受けから解放された解放ポジションへと移動され得る。従って、通常の場合では、安全ロープは作業活動を実施している際に着用者を妨げないように、着用者の後ろ側のロック要素に配置されている。落下の際にのみ解放装置が作動し、それにより、ロック要素の前側への移動を可能にするために、ロック要素が保持要素から解放される。
【0018】
構造上の観点から、ラッチは具体的には回転可能に保持要素に取り付けられていることが好ましく、そしてロック要素がラッチ受けを備えている。しかし、ラッチはロック要素に、そしてラッチ受けは保持要素に設けられてもよい。
【0019】
具体的な解放力を定義するために、解放装置がバネ要素(spring element)を備えており、バネ要素のバネ力に反して、ロック要素が保持要素から解放され得る点が有利である。
【0020】
特に好ましくは、解放装置は、保持要素に対するロック要素の解放動作を制動するための緩衝要素(damping element)を備える。緩衝要素によって、解放過程に時間の遅れが生じる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
好ましい例示的な実施形態に基づき、本発明を以下にさらに説明するが、本発明はその実施形態に制限されることを意図するものではない。
【
図1】本発明に係る、肩ストラップと脚ループを有する安全ハーネス装置の、ワーキングポジションでの着用者の後ろ側を示し、建築活動が妨げられることなく実施されるように、着用者の背中のロック要素から安全ロープが掛けられている。
【
図2】ワーキングポジションでの安全ハーネス装置の着用者の前側を示し、着用者の胸部のキャッチ要素は、接続コードを介してロック要素に接続されている。
【
図3a】ワーキングポジションでの背中からの安全ロープの懸架装置の詳細図を示し、ロック要素は肩ストラップの背部の保持要素にラッチを掛けられている。
【
図3b】安全ハーネスでの、落下の際の解放過程における、ロック要素の詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
建物建築活動を行っており、落下の際に労働者を受け止めるための安全ハーネス装置1によって保護されている労働者の、
図1は後ろ側を、
図2は前側を示す。安全ハーネス装置1は2つの肩ストラップ2を備え、そのそれぞれが胸部2a、肩部2b、及び背部2cを有する。例示的な本実施形態では、胸部2a、肩部2b、及び背部2cは1部品に形成されている。肩ストラップ2の背部2c及び胸部2aは、それぞれが交差するように配置されている。安定性を向上させるために、背部2cは、横断部3を介して接続されている。安全ハーネス装置1は、さらに2つの脚ストラップ4を備え、それらは左右の脚に対して、環状又は引き紐状(noose)に形成されている。脚ストラップ4は、接続箇所5で肩ストラップ2に固定的に接続されている。代案として、脚ストラップ4と肩ストラップ2は1部品として形成されていてもよい。安全ハーネス装置1は、着脱可能に安全ロープ7(落下保護ロープ7)を取り付けるための、ロック要素6を備える。ロック要素6は、安全ロープ7の一端に着脱可能に接続されており、安全ロープ7の他端は足場の棒材8に締結されている。足場の棒材8への締結は、締結リング9を介して実現されており、そして本実施形態では、締結リング9は、足場の棒材8の縦方向の延びに沿って変位可能である。
【0023】
この点について安全ハーネス装置1は、先行技術から原理的には既知であり、従って、この点において、これ以上の説明は不要である。安全ハーネス装置1の既知の要素は、図面に模式的にのみ示されている。
【0024】
安全ロープ7のためのロック要素6が、ロック要素6が肩ストラップ2の後部2c側に配置されている(
図1)ワーキングポジションと、ロック要素6が肩ストラップ2の胸部2a側に配置されているキャッチポジションとの間で移動され得ることが、安全ハーネス装置1の本実施形態に不可欠である。
【0025】
この目的のため、肩ストラップ2は、胸部2a側にキャッチ要素22を備える。キャッチ要素22は、例えば、DIN規格EN361:2002に従う、安全アイレットとして形成されている。キャッチ要素22は、接続要素11を介し、ロック要素6に接続されている。例示的な本実施形態では、接続要素11は接続コード11aであり、この接続コード11aはワーキングポジションでは肩ストラップ2に沿って案内されている。接続コード11aは、肩ストラップ2と本形態では織布のカバーであるカバー部12との間に収容されている。カバー部12は、具体的には縫い目13である継ぎ目を介して、肩ストラップ2に接続されている。落下の結果として、安全ハーネス装置1のワーキングポジションからキャッチポジションへの移動の際に、ロック要素6は、肩ストラップ2の背部2cから肩ストラップ2の胸部2aまで、肩ストラップ2に沿って案内されている。この移動の間に、縫い目13は、背部2cを始端として連続的に裂け、それにより接続コード11aが解放され、ロック要素6と共に胸部2aの方向に移動する。キャッチポジションでは、接続コード11aは完全に開放されており、肩ストラップ2とカバー部12との間に、もはや収容されていない。キャッチポジションでは、安全ロープ7は、ロック要素6と接続コード11aとを介して、肩ストラップ2の胸部2aのキャッチ要素22へと接続されている。従って、キャッチポジションでは、安全ロープ7は着用者の胸側に配置されている。従って着用者は、着用者の背中が下を向き、胸が上を向いた状態でロープに吊るされる。
【0026】
図3a,3bに見られるように、保持要素10は、肩ストラップ2にロック要素6を接続している。保持要素10は、保持開口10aを介して、肩ストラップ2の背部2cに固定的に接続されている。
【0027】
保持要素10からロック要素6を解放するために、解放装置14が設けられている。解放装置14は、少なくとも1つの回転可能に取り付けられたラッチ15を備え、本実施形態では2つの対応するラッチ15が設けられている。ロック要素6は、対応したラッチ受け16(図示の実施形態では2つのラッチ受け)を備え、ワーキングポジションでのそれぞれのラッチ15は、関連したラッチ受け16に収容されている(
図3a参照)。落下の際に、ロック要素に対する所定の縦方向の力(
図3bの矢印20参照)が作用することで、ラッチ15はラッチ受け16から解放された解放ポジションへと移動させられる。本実施形態では、ラッチ15は保持要素10に回転可能に取り付けられている。ロック要素6での矢印方向20の縦方向の力の影響により、ラッチ15は回転する。解放装置14はバネ要素21もまた備え、バネ要素21のバネ力に反して、ロック要素6は保持要素10から解放され得る。バネ力は、保持要素10からロック要素6を解放するために作用されなければならない力と定義される。本実施形態では、保持要素10は、保持開口10aによって、ストラップ要素2に固定的に接続されている第1部分19aと、第1部品19aに対して変位可能に取り付けられている第2部品19bとを備える。ラッチ15がラッチ受け16から解放されるまで、衝撃の結果ロック要素6に作用する引張力の下で、バネ要素21が圧縮されるように、バネ要素21は第1部分19aと第2部分19bとの間に配置されている。保持要素10からロック要素6が外れた後、バネ要素21は弛緩した開始位置に戻る。
【0028】
本実施形態では、解放過程を制動するための緩衝要素17が、さらに設けられている。本実施形態では、液圧式バネ緩衝器(hydraulic spring damper)18が、バネ要素21と緩衝要素17とを形成するために、設けられている。