(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記試験信号受信部により試験信号が受信されると、試験信号が受信されたことを通知する試験表示情報を前記電子看板に表示させる試験表示制御部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の防災システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.実施形態
1−1.防災システム1の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る防災システム1の構成の一例を示す図である。防災システム1は、自動火災報知設備2(以下、「自火報設備2」)と、表示システム3と、携帯端末9とを備える。
【0009】
1−1−1.自火報設備2の構成
自火報設備2は、防火対象物である施設に設置される。ここで施設とは、駅やデパートやショッピングセンター等の商業施設や、空港等の公共施設や、病院等の医療施設や、大学等の教育施設である。自火報設備2は、施設の各所に設置される火災感知器4と、施設の防災センタに設置される火災受信機5とを備える。火災感知器4と火災受信機5は、信号線を介して接続される。火災受信機5は、直接または通信回線8を介して表示制御サーバ7とも接続される。ここで通信回線8は、例えば、インターネットや無線LAN等の通信ネットワークである。自火報設備2は、P型設備であってもR型設備であってもよい。以下の説明において、自火報設備2がR型設備であるものとする。
【0010】
1−1−1−1.火災感知器4の構成
火災感知器4は火災感知手段の一例であり、例えば光電式の煙感知器である。火災感知器4は、図示を省略するが、火災時に発生する煙を検知して火災を検出する火災検出部と、火災検出部が火災を検出すると自己の識別情報であるアドレスを含む火災感知信号を火災受信機5に送信する信号送信部とを備える。なお、変形例として、火災感知器4は、熱感知器や炎感知器等の他の種類の感知器であってもよい。
【0011】
1−1−1−2.火災受信機5の構成
図2は、火災受信機5の構成の一例を示す図である。火災受信機5は、制御部51と、記憶部52と、表示部53と、操作入力部54と、第1通信部55と、第2通信部56とを備える。
【0012】
制御部51は、CPU等の演算処理装置とRAM等の揮発性メモリとを備え、記憶部52に記憶されるプログラムを実行する。記憶部52は、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置であり、制御部51により実行されるプログラムと、感知器データベース521と、試験結果データベース522を記憶する。
図3(a)は、感知器データベース521の一例を示す図である。感知器データベース521は、火災感知器4のアドレスと対応付けて、当該感知器の設置場所の地区番号及び地区名称を格納する。
図3(b)は、試験結果データベース522の一例を示す図である。試験結果データベース522は、試験日時と対応付けて、表示システム3の表示装置6の表示装置アドレスと、通信機能又は経路の状態と、表示機能の状態とを格納する。なお、変形例として、記憶部52は外部記憶装置であってもよい。次に、表示部53は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示器である。操作入力部54は、操作ボタンやタッチパネル等の入力装置である。第1通信部55は、火災感知器4と信号線を介して通信を行うための通信インタフェースである。第2通信部56は、表示制御サーバ7と通信回線8を介して通信を行うための通信インタフェースである。
【0013】
火災受信機5の制御部51は、記憶部52に記憶されるプログラムを実行することにより、火災感知信号受信部511と、火災判定部512と、火災情報信号送信部513と、試験指示信号送信部514と、試験結果情報受信部515とを備える。
【0014】
火災感知信号受信部511は、火災感知器4から火災感知信号を受信すると、感知器データベース521を参照して、当該信号に含まれるアドレスに対応する設置場所を特定する。また、火災感知信号受信部511は、図示せぬ発信機から信号線を介して火災信号を受信する。
【0015】
火災判定部512は、火災感知信号受信部511により受信された信号に基づいて火災の発生を判定する。具体的には、2台目の火災感知器4から火災感知信号が受信された場合と、1台目の火災感知器4から火災感知信号が受信されてから一定時間が経過した場合と、発信機から火災信号が受信された場合に、火災の発生を判定する。また、火災判定部512は、操作入力部54を用いて火災確定操作がなされた場合にも火災の発生を判定する。
【0016】
火災情報信号送信部513は、火災感知信号受信部511により火災感知信号が受信されると、表示制御サーバ7に対して火災情報信号を送信する。具体的には、火災感知器4が作動したことを通知する感知器発報信号を表示制御サーバ7に送信する。この感知器発報信号には、作動した火災感知器4のアドレスと設置場所情報とが含まれる。なお、感知器発報情報信号は、作動した火災感知器4のアドレスのみとしてもよい。また、火災情報信号送信部513は、火災判定部512により火災の発生が判定されると、火災の確定を通知する火災確定信号を表示制御サーバ7に送信する。また、火災情報信号送信部513は、操作入力部54を用いて復旧操作がなされると、非火災信号を表示制御サーバ7に送信する。
【0017】
試験指示信号送信部514は、操作入力部54により試験の指示が受け付けられると、又は定期的に(例えば1週間ごとに)、表示装置6の試験を指示する試験指示信号を表示制御サーバ7に対して送信する。この試験指示信号には、試験対象とすべき個別の表示装置6のアドレスが含まれてもよい。
【0018】
試験結果情報受信部515は、表示制御サーバ7から試験結果情報を受信し、試験結果データベース522に格納する。その際、受信した試験結果情報を参照して、機能や通信経路に異常を有する表示装置6を検出した場合には、表示部53や図示せぬ表示灯や音響装置を介して異常を警報し、現場作業者に対応を促す。
【0019】
1−1−2.表示システム3の構成
表示システム3は、防火対象物である各種の施設で日常的に用いられるものであり、施設の各所に設置される表示装置6と、表示制御サーバ7とを備える。表示装置6と表示制御サーバ7は、通信回線8を介して接続される。
【0020】
1−1−2−1.表示装置6の構成
図4は、表示装置6の構成の一例を示す図である。表示装置6はデジタルサイネージである。ここでデジタルサイネージとは、電子的な表示装置を備え、広告やフロアガイド、ニュース等の情報を表示する電子看板である。デジタルサイネージ(業務用表示装置)に表示される情報は、当該装置に記憶される情報を更新することで変更することができ、表示情報を一定時間ごとに表示を切り替えることもできる。デジタルサイネージは、建物の各所に設置される。この表示装置6は、制御部61と、記憶部62と、表示部63と、通信部64とを備える。
【0021】
制御部61は、CPU等の演算処理装置とRAM等の揮発性メモリとを備え、記憶部62に記憶されるプログラムを実行する。記憶部62は、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置であり、制御部61により実行されるプログラムと、広告やフロアガイド等の非防災情報と、非防災情報の表示スケジュールと、自己の識別情報である表示装置アドレスを記憶する。表示部63は、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイやプロジェクタ等の表示器である。表示部63は、通常、制御部61による制御の下、記憶部62に記憶される非防災情報を表示スケジュールに従って表示する。通信部64は、表示制御サーバ7と通信回線8を介して通信を行うための通信インタフェースである。
【0022】
表示装置6の制御部61は、記憶部62に記憶されるプログラムを実行することにより、防災情報表示指示受信部611と、防災情報表示制御部612と、試験信号受信部613と、試験応答信号送信部614と、試験表示制御部615という機能を実現する。
【0023】
防災情報表示指示受信部611は、表示制御サーバ7から防災情報表示指示を受信する 。
【0024】
防災情報表示制御部612は、防災情報表示指示受信部611により防災情報表示指示が受信されると、当該表示指示に従って表示部63に防災情報を表示させる。具体的には、感知器発報画面の表示を指示されると、表示部63の表示を非防災情報から感知器発報画面に切り替える。火災画面の表示を指示されると、表示部63の表示を非防災情報又は感知器発報画面から火災画面に切り替える。火災画面がすでに表示されている場合には、火災画面を更新する。非火災画面の表示を指示されると、表示部63の表示を感知器発報画面から非火災画面に切り替える。
【0025】
試験信号受信部613は、表示制御サーバ7から試験信号を受信する。
【0026】
試験応答信号送信部614は、試験信号受信部613により試験信号が受信されると、表示装置6の試験の結果を示す試験応答信号を、表示制御サーバ7に対して送信する。具体的には、試験信号が受信されると、表示部63が認識されるか否かを判定し、表示部63が認識されない場合には(例えば、表示部63が故障しているか、またはその接続が外れている場合には)、自装置のアドレスを含む異常信号を表示制御サーバ7に対して送信する。一方、表示部63が認識される場合には、自装置のアドレスを含む正常信号を表示制御サーバ7に対して送信する。これらの異常信号及び正常信号は、表示装置6の表示機能の状態を示すとともに、表示制御サーバ7により受信された場合には、表示装置6の通信機能と通信経路が正常であることを示すことになる。もしも通信機能と通信経路のうち、いずれかに異常が生じている場合には、これらの信号は表示制御サーバ7により受信されることはない。
【0027】
試験表示制御部615は、試験信号受信部613により試験信号が受信されると、試験信号が受信されたことを通知する試験表示情報を、所定時間(例えば5〜10秒)、表示部63に表示させる。試験表示情報とは、例えば、「試験中」というメッセージである。
図5は、表示部63に表示される試験表示情報の例を示す図である。試験表示情報は、
図5(a)に示すように、非防災情報表示画面の片隅に表示されてもよいし、
図5(b)に示すように、非防災情報表示画面を95%に縮小して形成されるL字型の余白に表示されてもよいし、
図5(c)に示すように、非防災情報表示画面の左右を95%に縮小して形成される門型の余白に表示されてもよい。また別の例として、試験表示情報を含む画面を、非防災情報表示画面から短時間(例えば0.5〜1秒)切り替えて表示するようにしてもよい。なお、試験表示情報は、現場作業者が試験中であることがわかる表示であればよく、上記のL字状の余白を作るだけでもよく、所定の図形を表示するようにしてもよい。
【0028】
1−1−2−2.表示制御サーバ7の構成
図6は、表示制御サーバ7の構成の一例を示す図である。表示制御サーバ7は、火災受信機5から送信される火災情報信号に基づいて、表示装置6に防災情報を表示させるコンピュータ装置である。この表示制御サーバ7は、制御部71と、記憶部72と、通信部73とを備える。
【0029】
制御部71は、CPU等の演算処理装置とRAM等の揮発性メモリとを備え、記憶部72に記憶されるプログラムを実行する。記憶部72は、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置であり、制御部71により実行されるプログラムと、表示装置6に表示させる防災情報とを記憶する。ここで防災情報とは、具体的には、防災情報を通知する防災画面の情報である。より具体的には、火災感知器4が作動したことを通知する感知器発報画面と、火災の確定を通知するとともに火災の発生場所と表示装置6の閲覧者の現在位置を通知する火災画面と、たばこの煙等による非火災の場合に火災が発生していないことが確認されたことを通知する非火災画面の情報である。
【0030】
また、記憶部72は、火災情報信号データベース721と、表示装置データベース722と、連動データベース723と、試験結果データベース724とを記憶する。
図7(a)は、火災情報信号データベース721の一例を示す図である。火災情報信号データベース721は、火災受信機5から受信される各火災情報信号について、信号の受信日時と、信号の種類と、信号に含まれる火災感知器4のアドレスとを対応付けて格納する。
図7(b)は、表示装置データベース722の一例を示す図である。表示装置データベース722は、施設の各所に設置される表示装置6のアドレスと対応付けて、当該装置の設置場所の地区番号及び地区名称を格納する。
図7(c)は、連動データベース723の一例を示す図である。連動データベース723は、火災感知器4が作動した際に、当該事象を表示させるべき表示装置6を特定するために参照されるデータベースである。連動データベース723は、火災感知器4のアドレスと表示装置6のアドレスとを対応付けて格納する。最後に、試験結果データベース724は、その構成が、
図3(b)に例示する試験結果データベース522と共通するため、その説明を省略する。なお、変形例として、記憶部72は外部記憶装置であってもよい。
【0031】
通信部73は、火災受信機5及び表示装置6と通信回線8を介して通信を行うための通信インタフェースである。
【0032】
表示制御サーバ7の制御部71は、記憶部72に記憶されるプログラムを実行することにより、火災情報信号受信部711と、表示先特定部712と、防災情報生成部713と、防災情報表示制御部714と、試験指示信号受信部715と、試験信号送信部716と、試験応答信号受信部717と、試験結果情報送信部718という機能を実現する。
【0033】
火災情報信号受信部711は、火災受信機5の火災情報信号送信部513により送信される火災情報信号を受信する。具体的には、感知器発報信号、火災確定信号又は非火災信号を受信する。火災情報信号を受信すると、当該信号の情報を受信日時と対応付けて火災情報信号データベース721に登録する。
【0034】
表示先特定部712は、火災情報信号受信部711により火災情報信号が受信されると、防災情報を表示すべき表示装置6を特定する。具体的には、感知器発報信号又は非火災信号が受信されると、火災情報信号データベース721と連動データベース723とを参照して表示装置6を特定する。より具体的には、火災情報信号データベース721を参照して、それまでに作動した火災感知器4を特定し、次に連動データベース723を参照して、特定した火災感知器4に対応付けられている表示装置6を特定する。一方、火災確定信号が受信されると、表示装置データベース722を参照して表示装置データベース722に登録されているすべての表示装置6を特定する。
【0035】
防災情報生成部713は、火災情報信号受信部711により火災情報信号が受信されると、受信された火災情報信号に対応する防災情報を取得又は生成する。具体的には、第1報の感知器発報を示す感知器発報信号が受信されると、感知器発報画面情報を記憶部72から取得する。第2報以降の感知器発報を示す感知器発報信号又は火災確定信号が受信されると、火災画面情報を記憶部72から取得する。そして、火災情報信号データベース721を参照して、それまでに作動した火災感知器4の場所(すなわち火災発生場所)を、火災画面に示される施設の地図上にプロットする。また、表示装置データベース722を参照して、表示先特定部712により特定された表示装置6の設置場所(すなわち閲覧者の現在位置)を、火災画面に示される施設の地図上にプロットして、表示装置6に送信する火災画面情報を生成する。非火災信号が受信された場合には、非火災画面情報を記憶部72から取得する。
【0036】
防災情報表示制御部714は、火災情報信号受信部711により火災情報信号が受信されると、受信された火災情報信号に対応した防災情報を表示装置6に表示させる。具体的には、表示先特定部712により特定された表示装置6に対して、防災情報生成部713により当該装置のために取得又は生成された防災画面情報を含む防災情報表示指示を送信する。
【0037】
試験指示信号受信部715は、火災受信機5の試験指示信号送信部514、又は携帯端末9の試験指示信号送信部911により送信される試験指示信号を受信する。
【0038】
試験信号送信部716は、試験指示信号受信部715により試験指示信号が受信されると、表示装置6の試験を行うための試験信号を表示装置6に対して送信する。その際、受信された試験指示信号に、試験対象とすべき個別の表示装置6のアドレスが含まれている場合には、当該アドレスにより識別される表示装置6に対して試験信号を送信する。個別の表示装置6のアドレスが含まれていない場合には、表示装置データベース722に登録されているすべての表示装置6に対して試験信号を送信する。試験信号送信部716は、試験信号の送信後、送信日時と、送信先の表示装置6のアドレスとを対応付けて、試験結果データベース724に格納する。
【0039】
試験応答信号受信部717は、表示装置6の試験応答信号送信部614により送信される試験応答信号を受信する。試験応答信号として、正常信号が受信された場合には、当該信号に含まれる表示装置アドレスと対応付けて、通信機能又は経路の状態「正常」と、表示機能の状態「正常」を試験結果データベース724に格納する。一方、異常信号が受信された場合には、当該信号に含まれる表示装置アドレスと対応付けて、通信機能又は経路の状態「正常」と、表示機能の状態「異常」を試験結果データベース724に格納する。正常信号と異常信号のいずれも受信されないまま、試験信号の送信後、所定時間が経過した場合には、表示装置6が「無応答」であると判断し、いずれの信号も受信されない表示装置6のアドレスと対応付けて、通信機能又は経路の状態「異常」と、表示機能の状態「不明」を試験結果データベース724に格納する。
【0040】
試験結果情報送信部718は、試験結果データベース724に格納されている試験結果情報を、火災受信機5に対して送信する。その際、特に、試験結果データベース724に格納されている試験結果情報のうち、直近の試験指示信号を受信してから試験結果データベース724に格納された試験結果情報(言い換えると、最近の試験の結果情報)を、火災受信機5に対して送信する。その際、送信される試験結果情報が、携帯端末9からの指示に応じて行われた試験の結果を示す情報である場合には、当該試験結果情報を携帯端末9に対しても送信する。
【0041】
1−1−3.携帯端末9の構成
図8は、携帯端末9の構成の一例を示す図である。携帯端末9は、表示装置6の試験を行う現場作業者により携帯される端末である。具体的には、スマートフォンや携帯電話機やタブレット端末やウェアラブル端末である。この携帯端末9は、制御部91と、記憶部92と、表示部93と、操作入力部94と、通信部95とを備える。
【0042】
制御部91は、CPU等の演算処理装置とRAM等の揮発性メモリとを備え、記憶部92に記憶されるプログラムを実行する。記憶部92は、フラッシュメモリ等の記憶装置であり、制御部91により実行されるプログラムを記憶する。表示部93は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示器である。操作入力部94は、操作ボタンやタッチパネル等の入力装置である。通信部95は、表示制御サーバ7と通信回線8を介して通信を行うための通信インタフェースである。
【0043】
制御部91は、記憶部92に記憶されるプログラムを実行することにより、試験指示信号送信部911と、試験結果情報受信部912いう機能を実現する。
【0044】
試験指示信号送信部911は、操作入力部94により試験の指示が受け付けられると、表示装置6の試験を指示する試験指示信号を表示制御サーバ7に対して送信する。その際、操作入力部94により、試験対象とすべき個別の表示装置6のアドレスが受け付けられた場合には、受け付けられたアドレスを含む試験指示信号を表示制御サーバ7に対して送信する。なお、個別の表示装置6のアドレスの指定は、表示部93に表示される地図上の表示装置6のマークを選択することにより行われてもよい。または、音声入力により行われてもよい。または、表示装置6の筺体に取り付けられる、当該装置のアドレスを示す二次元コードを、携帯端末9により読み取ることにより行われてもよい。または、携帯端末9の位置情報を表示制御サーバ7に対して送信し、表示制御サーバ7の側で、表示装置データベース722を参照して、携帯端末9の最寄りの表示装置6を試験対象として特定するようにしてもよい。
【0045】
試験結果情報受信部912は、表示制御サーバ7から試験結果情報を受信し、表示部93に表示させる。その際、受信した試験結果情報を参照して、機能や通信経路に異常を有する表示装置6を検出した場合には、異常を警報し、現場作業者に対応を促す。
【0046】
1−2.防災システム1の動作
防災システム1の動作について説明する。具体的には、火災発生時に防災情報を表示装置6に表示させる防災情報表示動作と、表示装置6の試験動作について説明する。
【0047】
1−2−1.防災情報表示動作
図9は、防災情報表示動作の一例を示すフローチャートである。この防災情報表示動作は、表示制御サーバ7が火災受信機5から火災情報信号を受信すると実行される。
【0048】
表示制御サーバ7の火災情報信号受信部711により受信された火災情報信号が感知器発報信号である場合(Sa1の「感知器発報信号」)、防災情報生成部713は、火災情報信号データベース721を参照して、当該信号が示す発報が第1報であるか否かを判定する(Sa2)。この判定の結果、第1報である場合には(Sa2のYES)、表示装置6に感知器発報画面を表示させるための処理が実行される。
【0049】
具体的には、ステップSa3において、防災情報生成部713は、記憶部72から感知器発報画面情報を取得する。画面情報が取得されると、表示先特定部712は、火災情報信号データベース721と連動データベース723とを参照して、感知器発報画面を表示させる表示装置6を特定する(Sa4)。表示先が特定されると、防災情報表示制御部714は、ステップSa3で取得された感知器発報画面情報を含む表示指示を、特定された表示装置6に対して送信する(Sa5)。表示指示の送信後、ステップSa4で複数の表示装置6が特定されて、それらすべての表示装置6に対して表示指示が送信されていない場合には(Sa6のNO)、表示指示が送信されていない別の表示装置6についてステップSa5が実行される。一方、ステップSa4で特定されたすべての表示装置6に対して表示指示が送信された場合には(Sa6のYES)、本表示制御動作は終了する。
【0050】
表示制御サーバ7により送信された表示指示が、表示装置6の防災情報表示指示受信部611により受信されると、当該装置の防災情報表示制御部612は、当該表示指示に従って表示部63の表示を非防災情報から感知器発報画面に切り替える。
【0051】
上記のステップSa1の判定において、表示制御サーバ7により受信された火災情報信号が火災確定信号である場合には(Sa1の「火災確定信号」)、または、ステップSa2の判定の結果、第1報でないと判定された場合には(Sa2のNO)、表示装置6に火災画面を表示させるための処理が実行される。
【0052】
具体的には、ステップSa7において、表示先特定部712は、表示装置データベース722を参照して、火災画面を表示させる表示装置6を特定する。表示先が特定されると、防災情報生成部713は、特定された表示装置6について、火災情報信号データベース721と表示装置データベース722とを参照して火災画面情報を生成する(Sa8)。画面情報が生成されると、防災情報表示制御部714は、生成された火災画面情報を含む防災情報表示指示を、ステップSa7で特定された表示装置6に対して送信する(Sa9)。表示指示の送信後、ステップSa7で複数の表示装置6が特定されて、それらすべての表示装置6に対して表示指示が送信されていない場合には(Sa10のNO)、表示指示が送信されていない別の表示装置6についてステップSa9が実行される。一方、特定されたすべての表示装置6に対して表示指示が送信された場合には(Sa10のYES)、本表示制御動作は終了する。
【0053】
表示制御サーバ7により送信された表示指示が、表示装置6の防災情報表示指示受信部611により受信されると、当該装置の防災情報表示制御部612は、当該表示指示に従って表示部63の表示を非防災情報又は感知器発報画面から火災画面に切り替える。
【0054】
上記のステップSa1の判定において、表示制御サーバ7により受信された火災情報信号が非火災信号である場合には(Sa1の「非火災信号」)、表示装置6に非火災画面を表示させるための処理が実行される。
【0055】
具体的には、ステップSa11において、防災情報生成部713は、記憶部72から非火災画面情報を取得する。画面情報が取得されると、表示先特定部712は、火災情報信号データベース721と連動データベース723とを参照して、非火災画面を表示させる表示装置6を特定する(Sa12)。表示先が特定されると、防災情報表示制御部714は、ステップSa11で取得された非火災画面情報を含む表示指示を、特定された表示装置6に対して送信する(Sa13)。表示指示の送信後、ステップSa12で複数の表示装置6が特定されて、それらすべての表示装置6に対して表示指示が送信されていない場合には(Sa14のNO)、表示指示が送信されていない別の表示装置6についてステップSa13が実行される。一方、特定されたすべての表示装置6に対して表示指示が送信された場合には(Sa14のYES)、本表示制御動作は終了する。
【0056】
表示制御サーバ7により送信された表示指示が、表示装置6の防災情報表示指示受信部611により受信されると、当該装置の防災情報表示制御部612は、当該表示指示に従って表示部63の表示を非防災情報又は感知器発報画面から非火災画面に切り替える。
以上が、防災情報表示動作についての説明である。なお、ステップSa4、Sa7およびSa12において、連動データベース723によらず、全ての表示装置6を特定して、一斉に防災情報を表示させるようにしてもよい。
【0057】
1−2−2.試験動作
表示装置6の試験動作には、火災受信機5において手動で開始が指示され、表示装置6を試験する手動試験と、火災受信機5において定期的に開始が指示され、すべての表示装置6を試験対象とする自動試験と、携帯端末9において手動で開始が指示され、表示装置6を試験する遠隔試験の3種類がある。以下、これら3種類の試験方法について説明する。
【0058】
1−2−2−1.手動試験
図10は、手動試験の動作例を示すシーケンスチャートである。なお、同図には、説明の便宜上、1つの表示装置6しか示されていないが、試験対象となる表示装置6は複数であってよい。
【0059】
火災受信機5の試験指示信号送信部514は、操作入力部54により試験の指示が受け付けられると、表示装置6の試験を指示する試験指示信号を表示制御サーバ7に対して送信する(Sb1)。表示制御サーバ7の試験信号送信部716は、試験指示信号受信部715により試験指示信号が受信されると、表示装置6の試験を行うための試験信号を表示装置6に対して送信する(Sb2)。試験信号の送信後、送信日時と、送信先の表示装置6のアドレスとを対応付けて、試験結果データベース724に格納する(Sb3)。
【0060】
表示装置6の試験応答信号送信部614は、試験信号受信部613により試験信号が受信されると、表示装置6の試験の結果を示す試験応答信号を、表示制御サーバ7に対して送信する(Sb4)。具体的には、表示部63が認識されるか否かを判定し、表示部63が認識されない場合には、自装置のアドレスを含む異常信号を表示制御サーバ7に対して送信し、表示部63が認識される場合には、自装置のアドレスを含む正常信号を表示制御サーバ7に対して送信する。また、ステップSb4と並行して、試験表示制御部615は、試験信号が受信されたことを通知する試験表示情報を、所定時間、表示部63に表示させる(Sb5)。
【0061】
表示制御サーバ7の試験応答信号受信部717は、表示装置6から受信する試験応答信号に基づいて、試験結果を試験結果データベース724に格納する(Sb6)。試験応答信号として、正常信号を受信した場合には、当該信号に含まれる表示装置アドレスと対応付けて、通信機能又は経路の状態「正常」と、表示機能の状態「正常」を試験結果データベース724に格納する。一方、異常信号を受信した場合には、当該信号に含まれる表示装置アドレスと対応付けて、通信機能又は経路の状態「正常」と、表示機能の状態「異常」を試験結果データベース724に格納する。正常信号と異常信号のいずれも受信されないまま、試験信号の送信後、所定時間が経過した場合には、表示装置6のアドレスと対応付けて、通信機能又は経路の状態「異常」と、表示機能の状態「不明」を試験結果データベース724に格納する。試験結果情報送信部718は、試験対象であるすべての表示装置6についての試験結果が試験結果データベース724に格納されると、試験結果データベース724に格納された試験結果情報を、火災受信機5に対して送信する(Sb7)。
【0062】
火災受信機5の試験結果情報受信部515は、表示制御サーバ7から試験結果情報を受信すると、試験結果データベース522に格納する(Sb8)。その際、受信した試験結果情報を参照して、機能や通信経路に異常を有する表示装置6を検出すると、表示部53や図示せぬ表示灯を介して異常を警報し、現場作業員に対応を促す。
以上が、手動試験についての説明である。
【0063】
なお、以上説明した手動試験では、すべての表示装置6を試験対象としてもよいし、個別の表示装置6が試験対象として指定されてもよい。また、表示制御サーバ7の試験結果情報送信部718は、火災受信機5に送信した試験結果情報を、携帯端末9にも送信してもよい。当該送信は、異常が検出された場合にのみ、行われてもよい。
【0064】
1−2−2−2.自動試験
自動試験は、現場作業員による手動の指示によらずに、自動的に試験が行われる点で、上記の手動試験と異なる。具体的には、ステップSb1において、火災受信機5の試験指示信号送信部514が、定期的に自動で、試験指示信号を表示制御サーバ7に対して送信する点で、上記の手動試験と異なる。その他の処理は、上記の手動試験と同様である。
【0065】
1−2−2−3.遠隔試験
遠隔試験は、試験指示信号が、火災受信機5ではなく携帯端末9から送信される点において、上記の手動試験と異なる。具体的には、ステップSb2において、表示制御サーバ7の試験指示信号受信部715が、火災受信機5ではなく携帯端末9から試験指示信号を受信し、試験信号送信部716が、受信された試験指示信号に含まれる表示装置アドレスにより識別される表示装置6に対して試験信号を送信する点において、上記の手動試験と異なる。また、ステップSb7において、表示制御サーバ7の試験結果情報送信部718が、火災受信機5だけでなく、携帯端末9に対しても試験結果情報を送信する点において、上記の手動試験と異なる。その他の処理は、上記の手動試験と同様である。なお、遠隔試験では、全ての表示装置6を試験対象としてもよい。また、火災受信機5に表示制御サーバ7の試験指示信号受信部715と同様に携帯端末9からの試験指示信号を受信する機能を設け、携帯端末9からの試験指示信号を火災受信機5で受信し、手動試験同様に火災受信機5から試験指示信号を送信するようにしてもよい。
以上が、試験動作についての説明である。
なお、各種試験において、試験結果が正常である場合は、正常であることを試験日時とともに火災受信機5が備える図示しないプリンタで印字したり、火災受信機5の表示部53に表示したり、携帯端末9の表示部93に表示したりして確認できるようにするとよい。
【0066】
以上説明した防災システム1によれば、実際に火災感知器4を火災状態にしなくとも表示装置6の試験を行うことができ、火災発生時等に表示装置6に防災情報が表示されないという事態を防ぐことができる。特に、試験時に、表示装置6に試験表示情報が表示されるため、表示装置6の試験を行う現場作業者は、当該表示装置に試験信号が受信されたことを目視で確認することができる。また、自動試験の場合には、定期的に試験が行われ、異常が有る場合には警報されるため、火災発生時に表示装置6に火災画面が表示されないという事態を防ぐことができる。また、遠隔試験の場合には、現場作業者が火災受信機5を操作することなく、表示装置6の前で試験を実施することができるので、一人で点検作業を行うことができる。
【0067】
2.変形例
上記の実施形態は、下記のように変形してもよい。なお、下記の2以上の変形例は、互いに組み合わせてもよい。
【0068】
2−1.変形例1
防火対象物である施設にスプリンクラが設置されている場合には、スプリンクラを火災感知手段として利用してもよい。その場合、火災受信機5の火災感知信号受信部511は、作動したスプリンクラの識別情報であるアドレスを含む火災感知信号を受信し、図示せぬスプリンクラデータベースを参照して、当該アドレスに対応する当該スプリンクラの設置場所を特定する。火災情報信号送信部513は、火災感知信号受信部511により火災感知信号が受信されると、スプリンクラが作動したことを通知するスプリンクラ作動信号を、感知器発報信号の代わりに表示制御サーバ7に送信する。このスプリンクラ作動信号には、作動したスプリンクラのアドレスと設置場所情報とが含まれる。
【0069】
2−2.変形例2
各試験において、個別の表示装置6を試験対象として指定する場合は、表示装置6に代えて火災感知器4のアドレスを指定して試験を指示することで、火災感知器4と表示装置6の対応関係の試験を行ってもよい。その場合、試験指示信号を受信する表示制御サーバ7の試験信号送信部716は、受信された信号に含まれる火災感知器4のアドレスに対応付けて格納されている表示装置6を、連動データベース723を参照して特定し、特定した表示装置6に対して試験信号を送信する。このとき、試験信号を受信する表示装置6に、当該装置のアドレスと、当該装置が連動する火災感知器4のアドレスとを含む試験表示情報を表示させることで、現場作業者は、表示装置6と火災感知器4の対応関係を確認することができる。すなわち、連動データベース723が正しく設定されているか確認することができる。なお、火災感知器4のアドレスの指定は、火災受信機5の操作入力部54からの入力や携帯端末9の操作入力部94からの入力のほか、火災受信機5が備えるアドレスを指定して火災感知器4を試験する火災試験の際に同時に指定されるようにしてもよいし、火災受信機5を試験モードに設定した上で実際に火災感知器4に煙や熱を加えて火災状態にする加煙試験や加熱試験で火災発報したアドレスが指定されるようにしてもよい。
また、表示装置6や火災感知器4のアドレスのほか、設置場所によって試験対象を指定するようにしてもよい、例えば試験対象の地区番号を「1棟1階」として指定すれば、表示制御サーバ7は、表示装置データベース722を参照して特定し、「1棟1階」に設置される表示装置6の試験を行うことができる。このようにすれば、点検作業が数日にわたる場合に、棟単位や階単位など所定の設置場所毎に試験を行うことができるため、点検作業の管理がしやすい。
2−3.変形例3
表示制御サーバ7に記憶される防災情報と表示装置6の設置場所情報は、各表示装置6に予め記憶されていてもよい。本変形によれば、表示制御サーバ7は、火災情報信号データベース721を参照して特定される作動した火災感知器4の設置場所(すなわち火災発生場所)さえ表示装置6に通知すれば、上記の実施形態と同様に、表示装置6に防災画面を表示させることができる。また、各種試験の際に、設置場所さえ表示装置6に通知すれば、上記の実施形態と同様に、表示装置6を指定して各種試験を行うことができる。
【0070】
2−4.変形例4
表示装置6は、表示部63に実際に試験表示情報が表示されていることを検出するための機能をさらに備えて、検出の有無を表示制御サーバ7に通知するようにしてもよい。具体的には、表示装置6は、表示部63に表示される画面を撮影するためのカメラと、撮影された画像を解析して試験表示情報(例えば、「試験中」というテキスト)を検出するための画像解析部という機能を備えてもよい(いずれも図示略)。または、試験表示情報が、表示部63の特定の位置に表示される特定色の画像である場合には、当該画像を検出するためのセンサを備えてもよい。試験表示情報の検出結果を示す情報は、試験応答信号に含められて表示制御サーバ7に送信され、表示装置データベース722に、付加的に格納されてよい。この変形によれば、表示装置6に実際に試験表示情報が表示されているか否かを確認するにあたり、現場作業者が現場に赴いて、表示装置6の画面を目視で確認する必要がない。なお、カメラを使って試験表示情報を検出する場合、撮影画像の解析処理は、表示制御サーバ7の側で行われてもよい。
【0071】
2−5.変形例5
携帯端末9は、AR(拡張現実)技術を用いて、最寄りの表示装置6に関する情報を表示部93に表示させてもよい。具体的には、携帯端末9は、自端末の位置情報と方位情報とを表示制御サーバ7に送信するための送信部と、表示制御サーバ7から、送信した位置情報と方位情報とに基づいて特定される最寄りの表示装置6に関する情報を受信するための受信部と、受信した情報を、カメラで撮影されている実際の風景に重畳して、表示部93に表示させるための表示制御部という機能を備えてもよい(いずれも図示略)。この場合、表示制御サーバ7は、表示装置6のアドレスと、当該装置に対応する位置情報と方位情報とを対応付けて格納するデータベースを予め記憶しておく必要がある。なおここで、最寄りの表示装置6に関する情報とは、例えば、表示装置6のアドレスや、試験結果データベース724に格納される表示装置6の試験結果である。この機能により、現場作業者が携帯端末9のカメラで表示装置6を撮影すると、携帯端末9の表示部93に表示装置6の表示部63に表示されている表示に重畳して、表示装置6に関する情報が表示される。この変形によれば、表示装置6の表示部63に施設情報等の表示を行ったまま表示装置6に関する情報を表示せず周囲の一般利用者には見えず、携帯端末9を介して表示装置6の表示部63を見る現場作業者のみ、試験対象の表示装置6のアドレスや試験結果を知ることができる。なお、表示装置6に関する情報は、所謂電子透かし技術を利用して入手するようにしてもよく、表示装置6の表示部63に人に情報と認識できない表示を行い、その表示を携帯端末のカメラで撮影すると携帯端末9の表示部93に表示されるようにしてもよい。また、表示装置6に近距離無線通信部を備え、携帯端末9が近距離通信で入手するようにしてもよい。
【0072】
2−6.変形例6
表示装置6に表示される試験表示情報には、当該情報を表示している表示装置6を特定するための電子看板特定情報が含まれてもよい。ここで電子看板特定情報とは、例えば、表示装置6のアドレスである。その場合、携帯端末9は、表示装置6に表示される試験表示情報に基づいて電子看板特定情報を入力するための入力部と、入力された電子看板特定情報を表示制御サーバ7に対して送信するための電子看板特定情報送信部という機能を備えてもよい(いずれも図示略)。ここで、入力部とは、具体的には、表示部63に表示される画面を撮影して、画像情報を生成するためのカメラである。または、試験表示情報が、電子看板特定情報を含む二次元コードで表される場合には、試験表示情報を読み取って電子看板特定情報を抽出するためのリーダである。
【0073】
一方、電子看板特定情報を受信する側である表示制御サーバ7は、携帯端末9から送信される電子看板特定情報を受信するための電子看板特定情報受信部と、電子看板特定情報受信部により電子看板特定情報が受信されると、受信された電子看板特定情報に基づいて、試験表示情報が表示された電子看板を特定するための電子看板特定部という機能を備えてもよい(いずれも図示略)。電子看板特定部により特定された電子看板、すなわち表示装置6は、表示部63に実際に試験表示情報が表示されたことを確認された表示装置であるから、そのアドレスと、実際に試験表示情報が表示されたことを示す情報とが、表示装置データベース722に付加的に格納されてよい。この変形によれば、表示装置6に実際に試験表示情報が表示されていることを表示制御サーバ7に報告するにあたり、現場作業者は、当該表示装置のアドレスを携帯端末9に手入力する必要がない。
【0074】
2−7.変形例7
火災受信機5は、表示装置6の試験を行う機能に加えて、表示制御サーバ7の試験を行う機能を有していてもよい。その場合、火災受信機5は、試験信号送信部516と、試験応答信号受信部517という機能をさらに備える(いずれも図示略)。一方、試験対象となる表示制御サーバ7は、試験信号受信部719と、試験応答信号送信部720という機能をさらに備える(いずれも図示略)。
【0075】
火災受信機5の試験信号送信部516は、操作入力部54により試験の指示が受け付けられると、又は定期的に(例えば1週間ごとに)、表示制御サーバ7の試験を行うための試験信号を表示制御サーバ7に対して送信する。試験信号送信部516は、試験信号の送信後、送信日時と、表示制御サーバ7の識別情報とを対応付けて、試験結果データベース522に格納する。
【0076】
試験応答信号受信部517は、表示制御サーバ7の試験応答信号送信部720により送信される試験応答信号を受信すると、表示制御サーバ7の識別情報と対応付けて、通信機能又は経路の状態「正常」を試験結果データベース522に格納する。一方、試験応答信号が受信されないまま、試験信号の送信後、所定時間が経過した場合には、表示制御サーバ7の識別情報と対応付けて、通信機能又は経路の状態「異常」を試験結果データベース522に格納する。そして、表示部53や図示せぬ表示灯を介して異常を警報し、現場作業員に対応を促す。
【0077】
表示制御サーバ7の試験信号受信部719は、火災受信機5から試験信号を受信する。
【0078】
試験応答信号送信部720は、試験信号受信部719により試験信号が受信されると、表示制御サーバ7の試験の結果を示す試験応答信号を、火災受信機5に対して送信する。この試験応答信号は、火災受信機5により受信された場合には、表示制御サーバ7の通信機能と通信経路が正常であることを示すことになる。もし通信機能と通信経路のうち、いずれかに異常が生じている場合には、この信号は火災受信機5により受信されることはない。
【0079】
図11は、表示制御サーバ7の試験動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【0080】
火災受信機5の試験信号送信部516は、操作入力部54により試験の指示が受け付けられると、又は定期的に、表示制御サーバ7の試験を行うための試験信号を表示制御サーバ7に対して送信する(Sc1)。試験信号の送信後、送信日時と、表示制御サーバ7の識別情報とを対応付けて、試験結果データベース522に格納する(Sc2)。表示制御サーバ7の試験応答信号送信部720は、試験信号受信部719により試験信号が受信されると、表示制御サーバ7の試験の結果を示す試験応答信号を、火災受信機5に対して送信する(Sc3)。火災受信機5の試験応答信号受信部517は、表示制御サーバ7から受信する試験応答信号に基づいて、試験結果を試験結果データベース522に格納する(Sc4)。試験応答信号を受信した場合には、表示制御サーバ7の識別情報と対応付けて、通信機能又は経路の状態「正常」を試験結果データベース522に格納する。一方、試験応答信号が受信されないまま、試験信号の送信後、所定時間が経過した場合には、表示制御サーバ7の識別情報と対応付けて、通信機能又は経路の状態「異常」を試験結果データベース522に格納する。そして、表示部53や図示せぬ表示灯を介して異常を警報し、現場作業員に対応を促す。
以上が、表示制御サーバ7の試験動作の一例である。
【0081】
以上説明した試験動作によれば、防火対象物である施設が工事中でまだ複数の表示装置6が設置されていないような状況でも、火災受信機5と表示制御サーバ7の通信機能又は経路の状態の試験を行うことができる。
【0082】
2−8.変形例8
上記の実施形態に係る表示装置6は、通信回線8に代えて、火災受信機5から延びる信号線に接続されて、火災受信機5から火災情報信号を受信して防災情報を表示するようにしてもよい。
図12は、このような動作を実現する表示装置6Aの構成の一例を示す図である。同図に示す表示装置6Aは、記憶部62と通信部64に代えて、記憶部62Aと通信部64Aを備える点と、制御部61が記憶部62Aに記憶されるプログラムを実行することにより、火災情報信号受信部616と、防災情報生成部617と、防災情報表示制御部612Aと、試験信号受信部613Aと、試験応答信号送信部614Aと、試験表示制御部615Aという機能を実現する点において、上記の実施形態に係る表示装置6と相違している。
【0083】
記憶部62Aは、表示制御サーバ7の記憶部72に記憶される防災情報と、火災情報信号データベース721と、自装置の設置場所情報をさらに記憶する点において、上記の実施形態に係る記憶部62と相違している。
【0084】
通信部64Aは、火災受信機5と信号線を介して通信を行うための通信インタフェースである。
【0085】
火災情報信号受信部616は、火災受信機5の火災情報信号送信部513により送信された火災情報信号を受信する。具体的には、感知器発報信号、火災確定信号又は非火災信号を受信する。火災情報信号を受信すると、当該信号の情報を受信日時と対応付けて火災情報信号データベース721に登録する。
【0086】
防災情報生成部617は、火災情報信号受信部616により火災情報信号が受信されると、受信された火災情報信号に対応する防災情報を取得又は生成する。具体的には、第1報の感知器発報を示す感知器発報信号が受信されると、感知器発報画面情報を記憶部62Aから取得する。第2報以降の感知器発報を示す感知器発報信号か又は火災確定信号が受信されると、火災画面情報を記憶部62Aから取得する。そして、火災情報信号データベース721を参照して、それまでに作動した火災感知器4の場所(すなわち火災発生場所)を、火災画面に示される施設の地図上にプロットする。また、自装置の設置場所(すなわち閲覧者の現在位置)を、火災画面に示される施設の地図上にプロットして、火災画面情報を生成する。非火災信号が受信された場合には、非火災画面情報を記憶部62Aから取得する。
【0087】
防災情報表示制御部612Aは、防災情報生成部617により防災情報が取得又は生成されると、当該防災情報を表示部63に表示させる。
【0088】
試験信号受信部613Aは、火災受信機5から試験信号を受信する。
【0089】
試験応答信号送信部614Aは、試験信号受信部613Aにより試験信号が受信されると、表示装置6Aの試験の結果を示す試験応答信号を、火災受信機5に対して送信する。具体的には、試験信号が受信されると、表示部63が認識されるか否かを判定し、表示部63が認識されない場合には、自装置のアドレスを含む異常信号を火災受信機5に対して送信する。一方、表示部63が認識される場合には、自装置のアドレスを含む正常信号を火災受信機5に対して送信する。これらの異常信号及び正常信号は、表示装置6Aの表示機能の状態を示すとともに、火災受信機5により受信された場合には、表示装置6Aの通信機能と通信経路が正常であることを示すことになる。もしも通信機能と通信経路のうち、いずれかに異常が生じている場合には、これらの信号は火災受信機5により受信されることはない。
【0090】
試験表示制御部615Aは、試験信号受信部613Aにより試験信号が受信されると、試験信号が受信されたことを通知する試験表示情報を、所定時間(例えば5〜10秒)、表示部63に表示させる。試験表示情報とは、例えば、「試験中」というメッセージであり、表示方法は、
図5に示す通りである。
【0091】
表示装置6Aが火災受信機5に対して表示制御サーバ7を介さずに接続される場合、火災受信機5は、表示装置6Aの試験を行うために、試験信号送信部516Aと、試験応答信号受信部517Aという機能をさらに備える(いずれも図示略)。
【0092】
試験信号送信部516Aは、操作入力部54により試験の指示が受け付けられると、又は定期的に(例えば1週間ごとに)、表示装置6Aの試験を行うための試験信号を表示装置6Aに対して送信する。試験信号送信部516Aは、試験信号の送信後、送信日時と、表示装置6Aのアドレスとを対応付けて、試験結果データベース522に格納する。
【0093】
試験応答信号受信部517Aは、表示装置6Aの試験応答信号送信部614Aにより送信される試験応答信号を受信する。試験応答信号として、正常信号が受信された場合には、当該信号に含まれる表示装置アドレスと対応付けて、通信機能又は経路の状態「正常」と、表示機能の状態「正常」を試験結果データベース522に格納する。一方、異常信号が受信された場合には、当該信号に含まれる表示装置アドレスと対応付けて、通信機能又は経路の状態「正常」と、表示機能の状態「異常」を試験結果データベース522に格納する。正常信号と異常信号のいずれも受信されないまま、試験信号の送信後、所定時間が経過した場合には、表示装置6Aのアドレスと対応付けて、通信機能又は経路の状態「異常」と、表示機能の状態「不明」を試験結果データベース522に格納する。いずれかの異常が検出された場合には、表示部53や図示せぬ表示灯を介して異常を警報し、現場作業員に対応を促す。
【0094】
図13は、表示装置6Aにより実行される防災情報表示動作の一例を示すフローチャートである。この防災情報表示動作は、表示装置6Aが火災受信機5から火災情報信号を受信すると実行される。
【0095】
表示装置6Aにより受信された火災情報信号が感知器発報信号である場合(Sd1の「感知器発報信号」)、火災情報信号受信部616は、火災情報信号データベース721を参照して、当該信号が示す発報が第1報であるか否かを判定する(Sd2)。この判定の結果、第1報である場合には(Sd2のYES)、表示装置6Aに感知器発報画面を表示させるための処理が実行される。具体的には、ステップSd3において、防災情報生成部617は、記憶部62Aから感知器発報画面情報を取得する。画面情報が取得されると、取得された感知器発報画面を表示部63に表示させる(Sd4)。感知器発報画面が表示されると、本表示制御動作は終了する。
【0096】
上記のステップSd1の判定において、表示装置6Aにより受信された火災情報信号が火災確定信号である場合には(Sd1の「火災確定信号」)、または、ステップSd2の判定の結果、第1報でないと判定された場合には(Sd2のNO)、表示部63に火災画面を表示させるための処理が実行される。具体的には、ステップSd5において、防災情報生成部617は、火災情報信号データベース721と記憶部62Aに記憶される自装置の設置場所情報とを参照して火災画面情報を生成する。画面情報が生成されると、生成された火災画面を表示部63に表示させる(Sd6)。火災画面が表示されると、本表示制御動作は終了する。
【0097】
上記のステップSd1の判定において、表示装置6Aにより受信された火災情報信号が非火災信号である場合には(Sd1の「非火災信号」)、表示部63に非火災画面を表示させるための処理が実行される。具体的には、ステップSd7において、防災情報生成部617は、記憶部62Aから非火災画面情報を取得する。画面情報が取得されると、取得された非火災画面を表示部63に表示させる(Sd8)。非火災画面が表示されると、本表示制御動作は終了する。
以上が、防災情報表示動作についての説明である。
【0098】
図14は、表示装置6Aの試験動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【0099】
火災受信機5の試験信号送信部516Aは、操作入力部54により試験の指示が受け付けられると、又は定期的に、表示装置6Aの試験を行うための試験信号を表示装置6Aに対して送信する(Se1)。試験信号の送信後、送信日時と、表示装置6Aのアドレスとを対応付けて、試験結果データベース522に格納する(Se2)。
【0100】
表示装置6Aの試験応答信号送信部614Aは、試験信号受信部613Aにより試験信号が受信されると、表示装置6Aの試験の結果を示す試験応答信号を、表示制御サーバ7に対して送信する(Se3)。具体的には、表示部63が認識されるか否かを判定し、表示部63が認識されない場合には、自装置のアドレスを含む異常信号を火災受信機5に対して送信し、表示部63が認識される場合には、自装置のアドレスを含む正常信号を火災受信機5に対して送信する。また、ステップSe3と並行して、試験表示制御部615Aは、試験信号が受信されたことを通知する試験表示情報を、所定時間、表示部63に表示させる(Se4)。
【0101】
火災受信機5の試験応答信号受信部517Aは、表示装置6Aから受信する試験応答信号に基づいて、試験結果を試験結果データベース522に格納する(Se5)。試験応答信号として、正常信号を受信した場合には、当該信号に含まれる表示装置アドレスと対応付けて、通信機能又は経路の状態「正常」と、表示機能の状態「正常」を試験結果データベース522に格納する。一方、異常信号を受信した場合には、当該信号に含まれる表示装置アドレスと対応付けて、通信機能又は経路の状態「正常」と、表示機能の状態「異常」を試験結果データベース522に格納する。正常信号と異常信号のいずれも受信されないまま、試験信号の送信後、所定時間が経過した場合には、表示装置6Aのアドレスと対応付けて、通信機能又は経路の状態「異常」と、表示機能の状態「不明」を試験結果データベース522に格納する。いずれかの異常が検出された場合には、表示部53や図示せぬ表示灯を介して異常を警報し、現場作業員に対応を促す。
以上が、表示装置6Aの試験動作の一例である。
【0102】
以上説明した試験動作によれば、火災受信機5に対して表示制御サーバ7を介さずに接続される表示装置6Aの試験を行うことができる。
2−9.変形例9
各種試験において、表示装置6の表示部63に試験表示情報を表示せず、通信機能又は経路の状態のみを確認する試験としてもよい。