(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1制約条件、前記第2制約条件および前記第3制約条件では、前記ヒータへの通電を制限するか否かを判断するための監視対象が互いに異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の吸引器用コントローラ。
前記吸引器用コントローラは、電源と、前記電源の出力電圧をヒータ駆動電圧に変換して前記ヒータ駆動電圧を前記ヒータへの電力供給ラインに出力する電圧変換器を更に備え、
前記プロセッサは、前記電圧変換器における前記ヒータ駆動電圧の出力を禁止することにより前記ヒータの通電を制限する、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の吸引器用コントローラ。
前記吸引器用コントローラは、前記ヒータへの電力供給ライン上に設けられた第2抵抗と、前記第2抵抗の電圧に応じて前記ヒータの通電を停止する保護回路と、を更に備え、
前記保護回路は、前記プロセッサの制御に拠らずに動作する、ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の吸引器用コントローラ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0023】
図1には、一実施形態の吸引器100の構成例が模式的に示されている。吸引器100は、ユーザによる吸引動作などのエアロゾルを要求する動作(以下、霧化要求ともいう)に応じて、エアロゾルを含む気体、または、エアロゾルおよび香味物質を含む気体、または、エアロゾル、または、香味物質を含むエアロゾルを吸口部130を通してユーザに提供するように構成されうる。吸引器100は、コントローラ102と、霧化器104とを備えうる。吸引器100は、霧化器104を取り外し可能な状態で保持する保持部103を備えうる。コントローラ102は、吸引器用コントローラとして理解されてもよい。霧化器104は、エアロゾル源を霧化するように構成されうる。エアロゾル源は、例えば、グリセリンまたはプロピレングリコール等の多価アルコール等の液体でありうる。あるいは、エアロゾル源は、薬剤を含んでもよい。エアロゾル源は、液体であってもよいし、固体であってもよいし、液体および固体の混合物であってもよい。エアロゾル源に代えて、水等の蒸気源が用いられてもよい。
【0024】
吸引器100は、香味源131を含むカプセル106を更に備えてもよく、霧化器104は、カプセル106を取り外し可能な状態で保持するカプセルホルダ105を含みうる。カプセルホルダ105は、霧化器104ではなくコントローラ102に含められていてもよい。香味源131は、例えば、たばこ材料を成形した成形体でありうる。あるいは、香味源131は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ、漢方、コーヒー豆等)によって構成されてもよい。香味源には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。香味源131は、エアロゾル源に添加されてもよい。吸引器100又は霧化器104がカプセルホルダ105を含む構成に代えて、霧化器104とカプセルホルダ105を一体としてもよい。
【0025】
コントローラ102は、電源BATを含む電気部品110を備えうる。電源BATは、リチウムイオン二次電池のような二次電池で構成されていてもよいし、リチウムイオンキャパシタのような電気二重層キャパシタで構成されていてもよい。電気部品110は、ユーザインターフェース116を含みうる。あるいは、コントローラ102は、電気部品110およびユーザインターフェース116を含むものとして理解されてもよい。ユーザインターフェース116は、例えば、ユーザに情報を提供する表示部116a(例えば、LED等の発光素子、および/または、LCD等の画像表示器)、および/または、ユーザの操作を受け付ける操作部116b(例えば、ボタンスイッチ等のスイッチ、および/または、タッチディスプレイ)を含みうる。また、コントローラ102は、外部電源による充電を可能にするため、外部電源のコネクタと電気的に接続されるコネクタPGを備えうる。コネクタPGは、電気部品110に電気的に接続される。
図1に示す例では、コネクタPGは、コントローラ102において、霧化器104が設けられる位置とは反対側の位置に設けられているが、コントローラ102におけるコネクタPGの位置は任意でありうる。また、コネクタPGは雌型(凹型)のレセプタクルであってもよいし、雄型(凸型)のプラグであってもよい。
【0026】
コントローラ102の保持部103は、第1電気接点C1および第2電気接点C2を含みうる。保持部103によって霧化器104が保持された状態において、保持部103の第1電気接点C1は、霧化器104の第3電気接点C3に接し、また、保持部103の第2電気接点C2は、霧化器104の第4電気接点C4に接しうる。コントローラ102は、第1電気接点C1および第2電気接点C2を通して霧化器104(ヒータHT)に電力を供給しうる。
【0027】
霧化器104は、前述の第3電気接点C3および第4電気接点C4を含みうる。また、霧化器104は、エアロゾル源を加熱して霧化するためのヒータHTと、エアロゾル源を保持する容器125、容器125によって保持されたエアロゾル源をヒータHTによる加熱領域に輸送し且つ加熱領域で保持する輸送部(ウィック)126とを含みうる。該加熱領域の少なくとも一部は、霧化器104内に設けられた流路128に配置されうる。第1電気接点C1、第3電気接点C3、ヒータHT、第4電気接点C4および第2電気接点C2は、ヒータHTに電流を流すための電流経路を形成する。輸送部126は、例えば、ガラス繊維のような繊維素材またはセラミックのような多孔質素材またはこれらの組合せで構成されうる。なお、容器125に保持されたエアロゾル源を加熱領域に輸送する手段は、ウィックに限られず、スプレーのような噴霧装置やまたはポンプのような輸送手段を代わりに用いられてもよい。
【0028】
霧化器104は、前述のように、カプセル106を取り外し可能に保持するカプセルホルダ105を含むことができる。カプセルホルダ105は、一例において、カプセル106の一部をカプセルホルダ105内または霧化器104内に収容し、吸口部130を含む他の一部を露出させるようにカプセル106を保持しうる。ユーザは、吸口部130を口で銜えて、エアロゾルを含有する気体又はエアロゾルを吸引することができる。このように吸口部130が取り外し可能なカプセル106に備えられることで、吸引器100を清潔に保つことができる。
【0029】
ユーザが吸口部130を銜えて吸引動作を行うと、
図1において矢印で例示されるように、不図示の開口を通じて霧化器104の流路128に空気が流入し、ヒータHTがエアロゾル源を加熱することによって蒸気化及び/又はエアロゾル化されたエアロゾル源がその空気によって吸口部130に向けて輸送される。吸口部130に向けて輸送される過程において、蒸気化及び/又はエアロゾル化されたエアロゾル源が冷却されて微小な液滴が形成されることで、エアロゾル化が促進されうる。そして、香味源131が配置されている構成においては、そのエアロゾルに香味源131が発生する香味物質が添加されて吸口部130に輸送され、ユーザの口に吸い込まれる。香味源131が発生する香味物質はエアロゾルに添加されるため、ユーザの口腔内に留まらず、効率的にユーザの肺まで効率的に香味物質を輸送することができる。
【0030】
図2には、コントローラ102の電気部品110の構成例が示されている。また、
図2では、コントローラ102のコネクタPGも図示されている。電気部品110は、例えば、電源BATと、霧化器104(のヒータHT)に電力を供給する電力供給部と、ヒータHTの抵抗値を検出するための検出部と、当該検出部で得られた情報に応じてヒータHTの通電を制御する通電制御部とを含みうる。ヒータHTは、ヒータHTの温度によって変化する抵抗値R
HTRを有する。抵抗値は、ヒータHTの温度が高くなるほど増大する正の温度係数特性(所謂、PTC特性)を有していてもよいし、ヒータHTの温度が低くなるほど増大する負の温度係数特性(所謂、NTC特性)を有していてもよい。上述したように、ヒータHTの第3電気接点C3はコントローラ102の第1電気接点C1に接し、ヒータのHTの第4電気接点C4はコントローラ102の第2電気接点C2に接する。
【0031】
ヒータHTに電力を供給する電力供給部は、電源BATからヒータHTへの電力供給ライン上に、電圧変換器11とスイッチQ1とを含みうる。電圧変換器11(第1レギュレータ)は、例えばDC/DCコンバータを含み、電源BATのプラス端子から供給される電圧Vbをヒータ駆動電圧V1に変換して出力端子VOUTから出力する。電圧変換器11の出力端子VOUTから出力されたヒータ駆動電圧V1は、ヒータHTの第3電気接点C3に接する第1電気接点C1に供給される。ヒータHTの第4電気接点C4に接する第2電気接点C2は電源BATのマイナス端子に電気的に接続されているため、電圧変換器11の出力端子VOUTと電源BATのマイナス端子との間に、ヒータHTに電流を流すための電流経路が構成されうる。ヒータHTに印加する電圧が高いほど生成されるエアロゾルの量は増大する傾向にあるため、好ましくは、電圧変換器11は、昇圧DC/DCコンバータ又は昇降圧DC/DCコンバータを含む。また、スイッチQ1は、例えば電界効果トランジスタ(FET)を含み、スイッチQ1の開閉(オフ、オン)は、プロセッサ14によって制御されうる。スイッチQ1は、電圧変換器11の出力端子VOUTとヒータHT(第1電気接点C1)とを繋ぐライン(電流経路)上に配置されうるが、それに限られず、ヒータHT(第2電気接点C2)と電源BATのマイナス端子とを繋ぐライン上に配置されてもよい。なお、
図2においてスイッチQ1に付されているダイオードは、電界効果トランジスタのボディ(寄生)ダイオードを表している。
【0032】
ヒータHTの抵抗値R
HTRを検出するための検出部は、電圧変換回路12と、増幅器13とを含みうる。電圧変換回路12(第2レギュレータ)は、例えばLDO(Low DropOut)などのリニアレギュレータを含み、電源BATのプラス端子から供給される電圧Vbを、ヒータHTの抵抗値R
HTRを検出するための検出電圧V2に変換して出力端子VOUTから出力する。増幅器13は、例えば、非反転入力端子、反転入力端子および出力端子を有するオペアンプを含みうる。増幅器13の正側電源端子は電圧変換回路12の出力端子VOUTに接続され、負側電源端子はグランドラインに接続されうる。増幅器13の非反転入力端子は第1電気接点C1に接続され、反転入力端子は第2電気接点C2に接続される。したがって、増幅器13は、第1電気接点C1と第2電気接点C2との電位差、即ち、ヒータHTに生じる電圧V
HTRを増幅し、出力電圧V
AMPとして出力しうる。増幅器13の出力電圧V
AMPはプロセッサ14に入力されうる。なお、
図2に示す例では、増幅器13の非反転入力端子とグランドラインとの間にツェナーダイオードPEが設けられている。ツェナーダイオードPEは、増幅器13の非反転入力端子に過大な電圧が入力されて、増幅器13が予期せぬ動作をしたり故障をしたりすることを抑制するために用いられる。
【0033】
また、ヒータHTの抵抗値R
HTRを検出するための検出部は、スイッチQ2と、シャント抵抗Rs(以下では、シャント抵抗Rsの抵抗値も「Rs」を示すことがある)とを更に含みうる。シャント抵抗Rsの抵抗値は、シャント抵抗Rsの温度が変化しても殆ど変化しないものとする。スイッチQ2は、例えば電界効果トランジスタ(FET)を含み、スイッチQ2の開閉(オフ、オン)は、プロセッサ14によって制御されうる。スイッチQ2は、電圧変換回路12の出力端子VOUTとヒータHT(第1電気接点C1)とを繋ぐライン上に配置されうるが、それに限られず、ヒータHT(第2電気接点C2)と電源BATのマイナス端子とを繋ぐライン上に配置されてもよい。電圧変換回路12の出力端子VOUTとスイッチQ2とを繋ぐライン上にはダイオードBEが設けられうる。シャント抵抗Rsは、スイッチQ2とヒータHTとを繋ぐライン上において、スイッチQ2と直列に配置されうる。なお、
図2においてスイッチQ2に付されているダイオードは、電界効果トランジスタのボディ(寄生)ダイオードを表している。また、
図2に示す例では、直列に配置された抵抗R1、R2が、スイッチQ2とシャント抵抗Rsとを繋ぐラインとグランドラインとの間に設けられており、抵抗R1と抵抗R2との間の電圧がプロセッサ14に供給されている。
【0034】
増幅器12の非反転入力端子は、シャント抵抗RsとヒータHTの間に接続され、シャント抵抗RsとヒータHTの直列回路は、電圧変換回路12の出力端子VOUTと電源BATのマイナス極との間に接続される。つまり、増幅器12の非反転入力端子には、検出電圧V2(から後述するダイオードBEの順方向電圧Vfを引いた電圧)をシャント抵抗RsとヒータHTによって分圧した電圧が入力される。抵抗値R
HTRはヒータHTの温度によって変化するため、
図2に示したコントローラ102の電気部品110の構成例によれば、増幅器12はヒータHTの温度に応じて変化する出力電圧V
AMPを出力しえる。
【0035】
ヒータHTの抵抗値R
HTRを検出するときには、スイッチQ1がオフされ、スイッチQ2がオンされる。本実施形態では、ユーザの霧化要求に応じてスイッチQ1をオンしてヒータHTに給電した後、スイッチQ2をオンしてからスイッチQ1をオフする。このとき、ダイオードBEの順方向電圧をVf、ヒータHTを流れる電流をI
HTRとすると、ヒータHTの抵抗値R
HTRは式(1)となる。
R
HTR=V
HTR/I
HTR=V
HTR・(R
HTR+Rs)/(V2−Vf)
・・・式(1)
式(1)を変形すると、抵抗値R
HTRを与える式(2)が得られる。
R
HTR=Rs・V
HTR/(V2−Vf−V
HTR) ・・・式(2)
検出部の増幅器13の出力電圧V
AMPは、増幅器13が増幅率Aを有する場合、式(3)で与えられる。
V
AMP=A・V
HTR ・・・式(3)
式(3)を変形すると、ヒータHTの電圧V
HTRを与える式(4)が得られる。
V
HTR=V
AMP/A ・・・式(4)
よって、式(2)および式(4)に従って、ヒータHTの抵抗値R
HTRを得ることができる。なお、スイッチQ2は、ヒータHTの抵抗値R
HTRを検出するための増幅器13の出力電圧V
AMPが得られた後にオフされる。
【0036】
ヒータHTの通電制御を行う通電制御部は、プロセッサ14を含みうる。プロセッサ14は、電源BATの電圧Vbによって動作しうる。具体的には、プロセッサ14の電源端子VPには、
図2の太線ラインBLで示されるように、電源BATのプラス端子とプロセッサ14の電源端子VPとを繋ぐラインを介して、電源BATの電圧Vbが印加されうる。当該ライン上には、スイッチQ3と並列に配置されたダイオードSDが設けられうる。ダイオードSDは、例えばショットキーバリアダイオードであり、スイッチQ3と並列に配置されうる。ショットキーバリアダイオードの順方向電圧はボディダイオードの順方向電圧よりも小さい傾向にあるため、ショットキーバリアダイオードを有することで、電源BATからプロセッサ14の電源端子VPへ高効率で電力を供給することができる。ここで、プロセッサ14は、例えばMCU(Micro Controller Unit(マイクロコントローラユニット))で構成されうるが、MCUとアナログ回路とによって構成されてもよい。
【0037】
プロセッサ14は、上記の検出部で得られた情報(ここでは、増幅器13の出力電圧V
AMP)に応じて、ヒータHTの通電を制御するための制御信号を発生する。制御信号は、例えば、スイッチQ1の開閉を制御する信号でありうるが、他の制御信号(例えば、表示部116aを制御する制御信号)を含むこともできる。制御信号は、例えば、ヒータHTの過熱を抑制するためのものであってもよいし、ヒータHTの温度を目標温度に収束させるためのものであってもよい。また、プロセッサ14は、電源BATのマイナス端子とヒータHT(第2電気接点C2)とを繋ぐライン上に配置された抵抗R
D(第1抵抗)に生じる電圧に基づいて、抵抗R
Dを流れる電流値I
D、即ち、ヒータHTの電流値I
HTRを検知することができる。そして、プロセッサ14は、ヒータHTに過電流が検知された場合、スイッチQ1をオフすることによりヒータHTの通電を停止するなどの処理を行うことができる。
【0038】
プロセッサ14は、抵抗値Rs、電圧Vf、電圧V2、および増幅器13の出力電圧V
AMPに基づいて、上記の式(2)および式(4)に従ってヒータHTの抵抗値R
HTRを計算しうる。抵抗値Rs、電圧Vfおよび電圧V2は、既知の値である。そして、プロセッサ14は、以下の式(5)に従ってヒータHTの推定温度T
HTRを計算し、計算した推定温度T
HTRに基づいて、ヒータHTの温度が目標温度に一致又は収束するように、スイッチQ1の開閉を制御しうる。
T
HTR=T
ref+(1/α)・(R
HTR−R
ref)・(1/R
ref)・10
6
・・・式(5)
【0039】
式(5)において、T
refはヒータHTの基準温度である。R
refはヒータHTの基準抵抗値であり、これは基準温度におけるヒータHTの抵抗値R
HTRである。αはヒータHTの温度係数[ppm/℃]であり、既知の値である。ここで、基準温度は、任意の温度とすることができ、基準抵抗値と対応付けられて(紐付けられて)プロセッサ14のメモリに記憶されうる。基準温度としては、事前に設定された温度が用いられてもよいし、基準抵抗値を取得する際に得られるヒータHTの温度が用いられてもよい。基準抵抗値を取得する際に得られるヒータHTの温度は、上記の式(1)〜(5)を用いて新たに計算されたヒータHTの推定温度T
HTRが適用されてもよいし、吸引器100内の任意箇所の温度を検出するセンサ(例えば温度センサTM)の出力から換算されてもよい。
【0040】
また、コントローラ102の電気部品110は、コントローラ102のコネクタPGが外部電源のコネクタに接続された場合に、当該外部電源による電源BATの充電を制御するための充電回路を更に備えうる。充電回路は、例えば、ブリッジ回路BCと、保護回路15と、スイッチQ3、Q4とを含みうる。ブリッジ回路BCは、コネクタPGが反転して(例えば紙面上下方向を逆にして)外部電源のコネクタに接続されたとしても、コントローラ102を正常に動作させるための回路であり、例えば4個のダイオードによって構成されうる。保護回路15は、コネクタPGを介して外部電源からコントローラ102の電源BATに過電流が流れることを防止するための回路である。
【0041】
スイッチQ3、Q4は、ブリッジ回路BCと電源BATのプラス端子とを繋ぐライン上において直列に配置される。スイッチQ3、Q4は、例えば電界効果トランジスタ(FET)を含み、スイッチQ3、Q4の開閉(オフ、オン)は、プロセッサ14によって制御されうる。プロセッサ14は、コネクタPGが外部電源のコネクタに接続された場合に、スイッチQ3をオンさせることにより、コネクタPGを介して外部電源から電源BATへ充電を行うことができる。なお、
図2においてスイッチQ3、Q4に付されているダイオードは、電界効果トランジスタのボディ(寄生)ダイオードを表している。プロセッサ14は、スイッチQ3のオン/オフを制御することで、コネクタPGから供給される電力から電源BATの充電に不要な電力を熱として捨てるドロッパ制御を実行してもよい。プロセッサ14がスイッチQ3を用いてこのドロッパ制御を実行すれば、専用の充電ICなどを用いなくとも、電源BATの充電を高度に制御することができる。
【0042】
コントローラ102の電気部品110は、スイッチ回路16と、保護回路17とを更に備えうる。スイッチ回路16は、コネクタPGが外部電源のコネクタに接続されてEN端子に所定の電圧が印加された場合に、プロセッサ14と外部電源との通信を可能にする回路である。保護回路17は、ヒータHTへの電力供給ライン上(
図2に示される構成例では、電源BATのマイナス端子とヒータHT(第2電気接点C2)とを繋ぐライン上)に配置された抵抗R
P(第2抵抗)生じる電圧に基づいて、抵抗R
Pに流れる電流、即ち、ヒータHTの電流を検知する。そして、保護回路17は、ヒータHTに過電流が検知された場合、ヒータHTの通電を停止するなどの処理を行う。例えば、ヒータHTへの電力供給ライン上(
図2に示される構成例では、電源BATのマイナス端子とヒータHT(第2電気接点C2)とを繋ぐライン上)には、電界効果トランジスタ等で構成されたスイッチ回路SPが設けられており、保護回路17は、過電流が検知された場合、スイッチ回路SPをオフにすることにより、ヒータHTの通電を停止することができる。なお、保護回路17は、プロセッサ14の制御に拠らずに動作するように構成されうる。
【0043】
コントローラ102の電気部品110は、LED駆動回路18と、電圧変換回路20と、パフセンサ21と、タッチセンサ22と、温度センサTMとを更に備えうる。LED駆動回路18は、ユーザインターフェース116の表示部116aを構成するLED19を駆動する。電圧変換回路20は、例えばLDO(Low DropOut)などのリニアレギュレータを含み、電源BATのプラス端子から供給される電圧Vbを、スイッチ16やパフセンサ21に入力するための電圧に変換して出力する。パフセンサ21(例えば圧力センサやマイクロフォンコンデンサ)は、ユーザのパフ動作を検出し、その検出信号をプロセッサ14に供給する。パフセンサ21を用いたパフ動作の検出は、前述した霧化要求の具体的一例である。また、タッチセンサ22は、ユーザインターフェース116の操作部116bを構成し、ユーザによる操作(例えばタッチ操作)を検出した場合、その検出信号をプロセッサ14に供給する。タッチセンサ22に対するタッチ操作は、前述した霧化要求の具体的一例である。温度センサTMは、電源BATの温度を検出するために設けられ、例えば、温度により抵抗値が変化するサーミスタを含みうる。プロセッサ14は、温度センサTMとしてのサーミスタに直列に接続された抵抗R5とサーミスタによって分圧された電圧を計測することにより、当該サーミスタの抵抗値を求め、当該サーミスタの抵抗値に基づいて電源BATの温度を計算することができる。好ましくは、温度センサTMは電源BATの近傍か電源BATの表面に設置される。
【0044】
ここで、
図2に示す例では、ブリッジ回路BC(保護回路15)とスイッチQ4とを繋ぐラインとグランドラインとが、抵抗R3、R4を介して接続されている。抵抗R3と抵抗R4との間の電圧は、スイッチ回路16のEN端子、およびプロセッサ14の電圧検知端子VDに入力されうる。プロセッサ14の電圧検知端子VDは、外部電源の電圧が印加されたか否か(即ち、外部電源からの給電が行われているか否か)を検知するための端子であり、プロセッサ14は、電圧検知端子VDにおいて所定の閾値以上の電圧が検知された場合に外部電源から電圧が印加されたと判断することができる。また、電源BATのプラス端子から供給される電圧Vbは、抵抗R6、R7を介してプロセッサ14に入力されうる。抵抗R6と抵抗R7との間の電圧もプロセッサ14に入力されうる。
【0045】
図3には、吸引器100の動作例が示されている。この動作は、ユーザの霧化要求に応じてヒータHTによりエアロゾル源を加熱し、吸口部130から霧化されたエアロゾル源を提供する処理(霧化処理)であり、プロセッサ14によって制御される。プロセッサ14は、プログラムを格納したメモリと、該プログラムに従って動作するCPUとを含む。
【0046】
ステップS11では、プロセッサ14は、霧化要求(具体的には、パフセンサ21および/またはタッチセンサ22から送信される検出信号)の受信を待ち、霧化要求を受信したら、ステップS12を実行する。霧化要求は、霧化器104を動作させること、より詳しくは、エアロゾル源からエアロゾルを発生させるようにヒータHTを目標温度範囲内に制御することの要求である。霧化要求は、ユーザが吸口部130を通して吸引動作(パフ動作)を行ったことをパフセンサ21が検出し、その検出をパフセンサ21がプロセッサ14に通知する動作(例えば、検出信号の送信)でありうる。あるいは、霧化要求は、ユーザが操作部116b(タッチセンサ22)を操作したことを操作部116bがプロセッサ14に通知する動作(例えば、操作信号の送信)でありうる。以下では、ユーザが吸引動作を行っている間、あるいはユーザが操作部116bを操作している間は、パフセンサ21あるいは操作部116bから霧化要求が継続的に送信され、ユーザが吸引動作あるいは操作部116bの操作を終了したときに霧化要求(の送信)が終了するものとする。
【0047】
ステップS12では、プロセッサ14は、電源BATの電圧Vbを不図示の電源管理回路から取得し、電圧Vbが放電終止電圧Vend(例えば3.2V)を上回っているかどうかを判断する。電圧Vbが放電終止電圧Vend以下ということは、電源BATの放電可能残量が十分ではないことを意味する。そこで、電圧Vbが放電終止電圧Vend以下である場合にはステップS29に進み、プロセッサ14は、ユーザインターフェース116の表示部116a(LED19)を使って、電源BATの充電を促す報知を行う。例えば、当該報知は、表示部116aに含まれるLED19を赤色で点灯又は点滅させることでありうる。これを受けて、ユーザは、コントローラ102(コネクタPG)を外部電源に接続させる。これにより、コントローラ102の電源BATへの充電が行われ、放電可能残量が増加しうる。一方、ステップS12において電圧Vbが放電終止電圧Vendを上回っている場合、プロセッサ14は加熱処理を実行する。加熱処理は、エアロゾル源の霧化要求の受信に応じて、ヒータHTに電力を供給するようにスイッチQ1を制御してエアロゾル源を加熱する処理であり、ステップS13〜S17を含みうる。
【0048】
ステップS13では、プロセッサ14は、ユーザインターフェース116の表示部116a(LED19)を使って、正常動作が可能であることを報知しうる。例えば、当該報知は、表示部116aに含まれるLED19を青色で点灯させることでありうる。次いで、ステップS14では、プロセッサ14は、ヒータHTに対する給電制御を開始する。ヒータHTに対する給電制御は、ヒータHTを目標温度範囲内に制御する温度制御を含む。温度制御は、ヒータHTの抵抗値R
HTRを検出することによってヒータHTの推定温度T
HTRを計算し、その推定温度T
HTRに基づいて、ヒータHTの温度が目標温度範囲内に収まるように(例えば、ヒータHTの温度が目標温度に一致又は収束するように)スイッチQ1の開閉を制御するフィードバック制御を含みうる。
【0049】
次いで、ステップS15では、プロセッサ14は、吸引時間T
Lを0にリセットする。その後、ステップS16では、プロセッサ14は、吸引時間T
LにΔtを加算する。Δtは、ステップS16の実行と次のステップS16の実行との時間間隔に相当する。
【0050】
次いで、ステップS17では、プロセッサ14は、霧化要求が終了しているかどうかを判断し、霧化要求が終了している場合にはステップS19に進み、ヒータHTに対する給電制御を停止する。一方、霧化要求が終了していない場合にはステップS18に進み、プロセッサ14は、吸引時間T
Lが上限時間に達したかどうかを判断し、吸引時間T
Lが上限時間に達していない場合にはステップS16に戻る。プロセッサ14は吸引時間T
Lが上限時間に達している場合にはステップS19に進む。一例として、上限時間は2.0〜2.5secであってもよい。
【0051】
ステップS19に次いで、ステップS20では、プロセッサ14は、青色で点灯させていたLED19を消灯させる。ステップS19とステップS20の順序は逆でもよいし、プロセッサ14はステップS19とステップS20を同時に実行してもよい。次いで、ステップS21では、プロセッサ14は、積算時間T
Aを更新する。より具体的には、ステップS21では、現時点での積算時間T
Aに吸引時間T
Lを加算する。積算時間T
Aは、カプセル106が吸引のために使用された積算時間、換言すると、カプセル106の香味源131を通してエアロゾルが吸引された積算時間でありうる。
【0052】
ステップS22では、プロセッサ14は、積算時間T
Aが吸引可能時間(例えば、120sec)を超えていないか否かを判断する。積算時間T
Aが吸引可能時間を超えていない場合には、カプセル106が未だ香味物質を提供可能であることを意味するため、ステップS11に戻る。一方、積算時間T
Aが吸引可能時間を超えている場合にはステップS23に進み、プロセッサ14は、霧化要求の発生を待つ。そして、霧化要求が発生したら、ステップS24において、プロセッサ14は、霧化要求が所定時間にわたって継続するのを待ち、その後、ステップS25において、プロセッサ14は、ヒータHTに対する給電制御を禁止する。なお、ステップS24は省略されてもよい。
【0053】
次いで、ステップS26では、プロセッサ14は、ユーザインターフェース116の表示部116aを使って、カプセル106の交換を促す報知を行う。例えば、当該報知は、表示部116aに含まれるLED19を青色で点滅(点灯、消灯の繰り返し)させることでありうる。これを受けて、ユーザは、カプセル106を交換しうる。一例において、1個の霧化器104と複数個(例えば、3個)のカプセル106とが1個のセットとして販売されうる。このような例では、1個のセットの1個の霧化器104および全てのカプセル106が消費された後、消費されたセットの霧化器104と最後のカプセル106が新しいセットの霧化器104およびカプセル106に交換されうる。ステップS25とステップS26の順序は逆でもよいし、プロセッサ14はステップS25とステップS26を同時に実行してもよい。
【0054】
ステップS27では、プロセッサ14は、カプセル106(または、カプセル106および霧化器104)の交換が完了するのを待つ。カプセル106の交換が完了したらステップS28に進み、プロセッサ14は、ヒータHTに対する給電制御の禁止を解除し、ステップS11に戻る。
【0055】
上述したコントローラ102では、ヒータHTの通電制御に第1制約条件、第2制約条件および第3制約条件を設定することにより、当該通電制御の安全性を向上させている。そして、プロセッサ14は、第1制約条件、第2制約条件および第3制約条件の少なくとも1つに該当する場合、パフセンサ21および/またはタッチセンサ22で霧化要求が検知されていてもヒータHTへの通電を制限(例えば停止)する。このように、ヒータHTの通電制御について3個以上の制約条件を設定することにより、吸引器100(コントローラ102)の安全性を向上させることができる。
【0056】
ここで、第1制約条件、第2制約条件および第3制約条件では、ヒータHTへの通電を制限するか否かを判断するための監視対象を互いに異ならせるとよい。このように互いに異なる3個以上の監視対象についてそれぞれ個別に制約条件を設けることにより、互いに異なる3個以上の観点でコントローラ102(吸引器100)の異常を検出することができる。そのため、コントローラ102(吸引器100)の安全性をより向上させることができる。例えば、第1制約条件は、吸引時間T
Lに関する制約条件でありうる。この場合、第1制約条件では、パフセンサ21および/またはタッチセンサ22で検知されるユーザの霧化要求(具体的には、パフセンサ21および/またはタッチセンサ22から送信される検出信号)が監視対象となる。第2制約条件は、ヒータHTを流れる電流に関する制約条件でありうる。この場合、第2制約条件では、抵抗R
Dの電圧に基づいて検知される抵抗R
Dの電流値I
D(即ち、ヒータHTの電流I
HTR)が監視対象となる。また、第3制約条件は、ヒータHTの温度に関する制約条件でありうる。この場合、第3制約条件では、増幅器13の出力電圧V
AMP(即ち、ヒータHTの抵抗値R
HTR)に基づいて計算されるヒータHTの温度(推定温度T
HRT)が監視対象となる。
【0057】
以下、コントローラ102の異常の検出に関する検出関連処理について説明する。
図4には、吸引時間T
LおよびヒータHTの温度に関する異常を検出するための第1検出関連処理が示されている。
図4に示される第1検出関連処理は、
図3に示される処理(霧化処理)と並行して、プロセッサ14によって実行されうる。より具体的には、
図4に示される第1検出関連処理は、
図3に示される処理のうちステップS14からステップS19の間で実行されうる。または、
図4に示される第1検収関連処理のステップS102からステップS112までの処理は、
図3に示される処理のうちステップS14からステップS19までの処理の具体的態様であってもよい。
【0058】
ステップS101では、プロセッサ14は、霧化要求の検知が開始されたか否かを判断し、霧化要求の検知が開始された場合にステップS102に進む。例えば、プロセッサ14は、パフセンサ21および/またはタッチセンサ22から検出信号の受信を開始した否かに基づいて、霧化要求の検知が開始されたか否かの判断を行うことができる。次いで、ステップS102では、プロセッサ14は、電圧変換器11(第1レギュレータ)および電圧変換回路12(第2レギュレータ)のEN端子をHighレベル(ハイレベル)にすることにより、電圧変換器11および電圧変換回路12を起動させる。
【0059】
ステップS103では、プロセッサ14は、スイッチQ1をオンさせることにより、電圧変換器11の出力端子VOUTから出力された電圧V1をヒータHTに印加し、ヒータHTによるエアロゾル源の加熱を開始する。また、プロセッサ14は、ステップS104においてスイッチQ2をオンさせてから、ステップS105においてスイッチQ1をオフさせ、ヒータHTによるエアロゾル源の加熱を停止する。ステップS104とステップS105の順序は逆でもよいし、プロセッサ14はステップS104とステップS105を同時に実行してもよい。この状態で、ヒータHTの抵抗値R
HTRの検出が可能な状態となる。ステップS106では、プロセッサ14は、ヒータHTの抵抗値R
HTRに基づいて、ヒータHTの温度(推定温度T
HTR)を測定する。具体的には、プロセッサ14は、増幅器13の出力電圧V
AMPに基づいて、式(2)および式(4)からヒータHTの抵抗値R
HTRを算出し、算出された抵抗値R
HTRに基づいて、式(5)からヒータHTの温度(推定温度T
HTR)を算出する。ステップS107では、プロセッサ14は、スイッチQ2をオフさせる。ステップS106とステップS107の順序は逆でもよいし、プロセッサ14はステップS106とステップS107を同時に実行してもよい。
【0060】
ステップS108では、プロセッサ14は、ステップS106で計測されたヒータHTの温度(推定温度T
HTR)が閾値TH
TMPより低いか否かを判断する。ヒータHTの温度が閾値TH
TMP以上である場合、プロセッサ14は、ステップS109おいてエラー処理を行ってからステップS112に進み、電圧変換器11(第1レギュレータ)および電圧変換回路12(第2レギュレータ)のEN端子をLowレベル(ローレベル)にすることにより、電圧変換器11および電圧変換回路12を停止させる。このように、ステップS108は、ヒータHTの通電を制限するための制約条件(第3制約条件)であり、プロセッサ14は、ヒータHTの温度が閾値TH
TMP以上であるとの制約条件に該当する場合には、パフセンサ21および/またはタッチセンサ22により霧化要求が検知されていてもヒータHTへの通電を停止する。
【0061】
ここで、プロセッサ14は、ステップS109のエラー処理として、例えば、ユーザインターフェース116の表示部116aを使って、コントローラ102にエラー(異常)が生じたことを示す報知を行う。例えば、当該報知は、LED駆動回路18によりLED19を点灯または点滅させることでありうる。また、閾値TH
TMPは、温度の上限値であり、任意に設定されうるが、一例として250℃または300℃または250℃から300℃の間の任意の温度に設定されうる。
【0062】
ステップS108においてヒータHTの温度が閾値TH
TMPより低い場合(即ち、ヒータHTの温度が閾値TH
TMP以上であるとの制約条件に該当しない場合)には、ステップS110に進む。ステップS110では、プロセッサ14は、霧化要求の検知が終了したか否か(例えば、パフセンサ21および/またはタッチセンサ22からの検出信号の受信が終了したか否か)を判断する。霧化要求の検知が終了した場合にはステップS112に進み、プロセッサ14は、電圧変換器11および電圧変換回路12のEN端子をLowレベルにして、電圧変換器11および電圧変換回路12を停止させる。一方、霧化要求の検知が終了していない場合にはステップS111に進む。
【0063】
ステップS111では、プロセッサ14は、吸引時間T
Lが閾値TH
PRD以上か否かを判断する。吸引時間T
Lは、パフセンサ21および/またはタッチセンサ22において霧化要求が継続的に検知されている要求継続時間(検知時間)として理解されてもよい。吸引時間T
Lが閾値TH
PRD以上である場合にはステップS112に進み、プロセッサ14は、電圧変換器11および電圧変換回路12のEN端子をLowレベルにして、電圧変換器11および電圧変換回路12を停止させる。つまり、ステップS111は、ヒータHTの通電を制限するための制約条件(第1制約条件)であり、プロセッサ14は、吸引時間T
Lが閾値TH
PRD(第1閾値)以上であるとの制約条件に該当する場合には、パフセンサ21および/またはタッチセンサ22により霧化要求が検知されていてもヒータHTへの通電を停止する。一方、吸引時間T
Lが閾値TH
PRDより短い場合にはステップS103に戻る。ここで、閾値TH
PRDは、時間の上限値であり、任意に設定されうるが、一例として、
図3のステップS17で用いられる上限時間と同様に2.0〜2.5secであってもよい。
【0064】
ここで、プロセッサ14は、ステップS108においてヒータHTの温度が閾値TH
TMP以上である場合、または、ステップS111において吸引時間T
Lが閾値TH
PRD以上である場合には、ステップS112においてヒータHTへの通電を禁止する通電禁止処理を行ってもよい。通電禁止処理は、例えば、電圧変換器11におけるヒータ駆動電圧V1の出力を禁止する処理、および/または、スイッチQ1のオン(即ち、ヒータHTの電力供給ラインをスイッチQ1で閉じること)を禁止する処理を含みうる。通電禁止処理は、所定期間において行われてもよい(即ち、ヒータHTへの通電禁止が所定期間において維持されてもよい)。
【0065】
図5には、ヒータHTの電流に関する異常を検出するための第2検出関連処理が示されている。
図5に示される第2検出関連処理は、
図3に示される処理(霧化処理)および
図4に示される第1検出関連処理と並行して、プロセッサ14によって実行されうる。
【0066】
第2検出関連処理では、抵抗R
Dの電流値I
Dが第1電流値TH
1を連続して超えた回数k、および当該電流値I
Dが第2電流値TH
2を連続して超えた回数nに基づいて、ヒータHTの過電流を検出しうる。なお本実施形態では、ヒータHT(第2電気接点C2)から電源BATのマイナス極に向かって流れる電流(放電電流)が正の値を示すように、プロセッサ14は電流値I
Dを取得するものとする。なお、放電電流に加え、放電電流とは逆向きに流れる電流(充電電流)も正の値を示すように、プロセッサ14は電流値I
Dを取得してもよい。
図6には、第1電流値TH
1、第2電流値TH
2、回数kの上限値k
max、および、回数nの上限値n
maxの関係が示されている。
図6における縦軸は電流値、横軸は時間を示している。回数kの上限値k
maxおよび回数nの上限値n
maxはそれぞれ、サンプリング周波数f(繰り返し周波数)で除することにより時間(第1時間k
max/f、第2時間n
max/f)に換算されうる。また、
図6には、吸引時間T
L(即ち、霧化要求の検知時間)の閾値TH
PRDも図示されている。
【0067】
第1電流値TH
1は、ヒータHTの一時的(瞬間的)な過電流を検出するために設定される電流閾値である。したがって、第1電流値TH
1は、通常のヒータHTの通電においてヒータHTに流れる電流値(以下、通常電流値と呼ぶことがある)より大きい値に設定されうる。例えば、スイッチQ1を介したヒータHTの通常電流値I
Q1は、以下の式(6)によって与えられ、スイッチQ2を介したヒータHTの通常電流値I
Q2は、以下の式(7)によって与えられうる。第1電流値TH
1は、通常電流値I
Q1と通常電流値I
Q2との合計値より大きい値に設定されうる。また、第1電流値TH
1は、一時的な過電流を検知するためのものであるため、回数kの上限値k
maxは、第1時間k
max/fが吸引時間T
Lの閾値TH
PRDより短い時間になるように設定されうる。
I
Q1=V1/R
HTR ・・・式(6)
I
Q2=(V2−Vf)/(Rs+R
HTR) ・・・式(7)
【0068】
第2電流値TH
2は、スイッチQ1、Q2の異常等に起因して発生しうるヒータHTの長期的な過電流を検出するために設定されるものである。具体的には、第2電流値TH
2は、吸引時間T
Lが閾値TH
PRDに達してヒータHTの通電を停止した後におけるヒータHTの過電流を検知するために設定されうる。したがって、第2電流値TH
2は、通常電流値(I
Q1およびI
Q2のそれぞれ)より小さい値に設定されうる。また、回数nの上限値n
maxは、第2時間n
max/f(第2閾値)が吸引時間T
Lの閾値TH
PRD(第1閾値)より長い時間になるように設定されうる。これにより、回数nが上限値n
maxに達した場合に行われるヒータHTの通電の停止処理が、吸引時間T
Lが閾値TH
PRDに達する前に実行されることを回避することができる。
【0069】
ステップS201では、プロセッサ14は、抵抗R
Dの電流値I
Dが第1電流値TH
1を超えた回数k、および当該電流値I
Dが第2電流値TH
2を超えた回数nを0にリセットする。次いで、ステップS202では、プロセッサ14は、抵抗R
Dに生じる電圧に基づいて、抵抗R
Dの電流値I
Dを検知する。ステップS203では、プロセッサ14は、ステップS202で検出した電流値I
Dが第1電流値TH
1より大きいか否かを判断する。電流値I
Dが第1電流値TH
1より大きい場合にはステップS204に進み、プロセッサ14は、回数kをカウントアップする(例えば、回数kに「1」を加える)。
【0070】
ステップS205では、プロセッサ14は、回数kが上限値k
max以上か否かを判断する。回数kが上限値k
maxより小さい場合にはステップS202に戻る。一方、回数kが上限値k
max以上である場合、プロセッサ14は、ステップS206においてヒータHTの過電流(一時的な過電流)を検出したと判断し、ステップS207においてヒータHTの通電を停止する。ステップS207におけるヒータHTの通電の停止処理は、例えば、スイッチQ1、Q2をオフさせる処理、および/または、電圧変換器11および電圧変換回路12のEN端子をLowレベルにして電圧変換器11および電圧変換回路12を停止させる処理でありうる。スイッチQ1、Q2をオフさせる処理は、ヒータHTの通電を停止する際の通電の過渡応答を、電圧変換器11および電圧変換器12を停止させる処理より低減させる。これにより、より早く一時的な過電流を停止させることができる。ただし、一時的な過電流が生じるような状況では、スイッチQ1とスイッチQ2と電圧変換器11と電圧変換器12の少なくとも1つに不具合が生じている虞がある。従って、スイッチQ1、Q2をオフさせる処理と電圧変換器11および電圧変換回路12を停止させる処理を同時に行えば、一時的な過電流をより確実に停止させることができる。このように、ステップS205は、ヒータHTの通電を制限するための制約条件(第2制約条件)である。即ち、プロセッサ14は、抵抗R
Dの電流値I
D(ヒータHTの電流値I
HTR)が第1電流値TH
1を超えた回数kが上限値k
max以上であるとの制約条件に該当する場合には、パフセンサ21および/またはタッチセンサ22により霧化要求が検知されていてもヒータHTへの通電を停止する。
【0071】
ステップS203において電流値I
Dが第1電流値TH
1以下である場合、ステップS208に進む。ステップS208では、プロセッサ14は、ステップS202で検出した電流値I
Dが第2電流値TH
2より大きいか否かを判断する。電流値I
Dが第2電流値TH
2より大きい場合にはステップS209に進み、プロセッサ14は、回数nをカウントアップする(例えば、回数nに「1」を加える)。
【0072】
ステップS210では、プロセッサ14は、回数nが上限値n
max以上か否かを判断する。回数nが上限値n
maxより小さい場合にはステップS202に戻る。一方、回数nが上限値n
max以上である場合、プロセッサ14は、ステップS211においてヒータHTの過電流(長期的な過電流)を検出したと判断し、ステップS207においてヒータHTの通電を停止する。このように、ステップS210は、ヒータHTの通電を制限するための制約条件(第2制約条件)である。即ち、プロセッサ14は、抵抗R
Dの電流値I
D(ヒータHTの電流値I
HTR)が第2電流値TH
2を超えた回数nが上限値n
max以上であるとの制約条件に該当する場合には、パフセンサ21および/またはタッチセンサ22により霧化要求が検知されていてもヒータHTへの通電を停止する。
【0073】
ここで、プロセッサ14は、ステップS207においてヒータHTへの通電を禁止する通電禁止処理を行ってもよい。通電禁止処理は、例えば、電圧変換器11におけるヒータ駆動電圧V1の出力を禁止する処理、および/または、スイッチQ1のオン(即ち、ヒータHTの電力供給ラインをスイッチQ1で閉じること)を禁止する処理を含みうる。一時的な過電流と同様に、スイッチQ1のオンを禁止する処理は、電圧変換器11におけるヒータ駆動電圧V1の出力を禁止する処理よりも早く長期的な過電流を停止させることができる。スイッチQ1のオンを禁止する処理と、電圧変換器11におけるヒータ駆動電圧V1の出力を禁止する処理とを同時に行えば、長期的な過電流をより確実に停止させることができる。通電禁止処理は、所定期間において行われてもよい(即ち、ヒータHTへの通電禁止が所定期間において維持されてもよい)。また、ステップS207では、ヒータHTの通電の停止に加えて、コントローラ102にエラー(異常)が生じたことを示す報知を行ってもよい。例えば、当該報知は、LED駆動回路18によりLED19を点灯または点滅させることでありうる。
【0074】
プロセッサ14に加えて保護回路17が第2検出関連処理を実行してもよい。複数の素子が独立してヒータHTの過電流を検出し、独立して過電流を停止できるようにすれば、一部の素子に不具合が生じている場合であっても過電流を停止できる可能性が向上する。特に、過電流は一部の素子の不具合に起因して生じる場合があるため、このような対策は重要である。一例として、プロセッサ14の不具合によって過電流が生じている場合、不具合が生じているプロセッサ14では過電流を停止できない虞がある。保護回路17が第2検出関連処理を実行すれば、このような虞を効果的に低減させることができる。なお、保護回路17が第2検出関連処理を実行する場合には、抵抗R
Dの電流値I
Dに代えて、抵抗R
Pの電流値を用いればよい。第1電流値TH
1と第2電流値TH
2と上限値k
maxと上限値n
maxは、プロセッサ14が実行する第2検出関連処理と同じでもよいし異なっていてもよい。また、保護回路17は、ヒータHTの過電流を検出したらスイッチ回路SPをオフにすればよい。
【0075】
第2電気接点C2と電源BATとの間に接続される抵抗R
Dと抵抗R
Pは、プロセッサ14と保護回路17のそれぞれがヒータHTを流れる電流を検出するために用いられる。これに代えて、抵抗R
Dと抵抗R
Pは、電源BATと第1電気接点C1の間に接続されてもよい。抵抗R
Dと抵抗R
Pを第2電気接点C2と電源BATとの間に接続する態様では、電源BATのプラス端子から供給される電圧Vbやヒータ駆動電圧V1をヒータHTなどで降圧した電圧が抵抗R
Dと抵抗R
Pへ印加されることになる。これにより、プロセッサ14と保護回路17のそれぞれが増幅器を用いて抵抗R
Dと抵抗R
Pに印加される電圧を検出する場合において、増幅器の同相入力電圧を低くすることができる。つまり、一般的に高価かつサイズが大きい高耐圧の増幅器を用いなくてよいため、コントローラ102や吸引器100のサイズやコストを低減することができる。
【0076】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【解決手段】吸引器用コントローラは、エアロゾル源の霧化要求を検知するセンサと、前記センサで検知された前記霧化要求に応じて、前記エアロゾル源を加熱するためのヒータの通電制御を行うプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記通電制御の第1制約条件、第2制約条件および第3制約条件にそれぞれ該当するか否かを判断し、前記第1制約条件、前記第2制約条件および前記第3制約条件の少なくとも1つに該当する場合、前記センサで前記霧化要求が検知されていても前記ヒータへの通電を制限する。