特許第6869426号(P6869426)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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▶ バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869426
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】オレフィン重合用触媒成分の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/658 20060101AFI20210426BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   C08F4/658
   C08F10/00 510
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-514207(P2020-514207)
(86)(22)【出願日】2018年9月7日
(65)【公表番号】特表2020-528962(P2020-528962A)
(43)【公表日】2020年10月1日
(86)【国際出願番号】EP2018074086
(87)【国際公開番号】WO2019052900
(87)【国際公開日】20190321
【審査請求日】2020年3月9日
(31)【優先権主張番号】17191417.9
(32)【優先日】2017年9月15日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513076604
【氏名又は名称】バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ディエゴ・ブリタ
(72)【発明者】
【氏名】ニコロ・アリッチ・デ・フィネッティ
(72)【発明者】
【氏名】オフェリア・フスコ
(72)【発明者】
【氏名】ベネデッタ・ガッディ
【審査官】 久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−505955(JP,A)
【文献】 特表2016−501934(JP,A)
【文献】 特開平06−025331(JP,A)
【文献】 特開平09−110916(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0252636(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/60−4/70
C08F 10/00−10/14
C08F 110/00−110/14
C08F 210/00−210/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化マグネシウム系担持体上のTi化合物及び任意選択的に電子供与体を含む、CH=CHRオレフィン(ここで、Rは、水素または1〜12個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである)の(共)重合用固体触媒成分の製造方法であって、前記方法は、化学式(MgCl2−m)・nLB(ここで、mは、0〜2の範囲であり、nは、0〜6の範囲であり、Xは、独立的にハロゲン、R、OR、−OCORまたはO−C(O)−OR基であり、Rは、C−C20炭化水素基であり、LBは、ルイス塩基である)のMg系化合物を、少なくともTi−Cl結合を有するTi化合物をTi/Mgモル比が3を超過する量で含む液体媒体と反応させる、0〜150℃範囲の温度で実行される1つ以上のステップ(a);及び前記ステップ(a)から生成される固体生成物を10〜100℃範囲の温度で炭化水素を含む液体媒体中に懸濁させる少なくとも1つのステップ(b)を含み、前記方法は、
前記ステップ(a)及び/または(b)中の少なくとも1つのステップが、Mg化合物の量に対し0.2〜20.0重量%の固体化合物の粒子の存在下で実行されること、及び
前記固体化合物が50重量%超過のSiO単位を含みそして1〜100μm範囲の平均粒径を有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
50重量%超過のSiO単位を含む前記固体化合物が1〜30μm範囲の平均粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
50重量%超過のSiO単位を含む前記固体化合物がシリカ、ケイ酸塩及び珪藻土から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
50重量%超過のSiO単位を含む前記固体化合物がタルクである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
50重量%超過のSiO単位を含む前記固体化合物の量がステップ(a)で使用されるMg化合物の量に対し、0.5〜10重量%の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
50重量%超過のSiO単位を含む前記固体化合物がステップ(a)で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
50重量%超過のSiO単位を含む前記固体化合物がステップ(b)で添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(a)で、任意選択的に置換された芳香族ポリカルボン酸のアルキル及びアリールエステル、マロン酸のエステル、グルタル酸のエステル、マレイン酸のエステル、コハク酸のエステル;ジカルバメート、モノエステルモノカルバメート及びモノエステルモノカーボネートから選択されるジオール誘導体;及び下記化学式(I)の1,3−ジエーテルからなる群より選択される電子供与体化合物を使用することをさらに含む、請求項1に記載の方法:
【化1】
(前記式において、R、R、RII、RIII、RIV及びRは、互いに同一であるかまたは異なり、水素または1〜18個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルであり;
VI及びRVIIは、互いに同一であるかまたは異なり、RVI及びRVIIが水素であってはならないということを除いては、R〜Rと同一の意味を有し;R〜RVII基中の1つ以上は結合されてサイクルを形成することができる)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、Mg、Ti及びハロゲン元素、及び任意選択的に少なくとも電子供与体化合物を含む、オレフィン、特にプロピレンの(共)重合用チーグラー−ナッタ触媒成分の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンの重合のために産業的に使用されるチーグラー−ナッタ触媒は、チタニウム化合物及び任意選択的に、液体形態であり得るAl−アルキル化合物との接触によって活性化された内部電子供与体化合物が担持されたマグネシウムジハライドで構成された固体触媒成分を含むことができる。
【0003】
固体触媒成分の製造は、二塩化マグネシウムまたはその前駆体であり得るMg化合物を電子供与体化合物の任意選択的な存在下でチタニウム化合物と反応させる1つ以上のステップを含むことができる。最後に、触媒固体を液体炭化水素で洗浄した後、乾燥させる。
【0004】
反応及び洗浄段階は、液体チタニウム化合物または液体炭化水素またはこれら両方からなり得る過量の液相中に固体を懸濁させることによって得られるスラリーで実行され得る。次いで、スラリー段階では、それぞれの連続的なステップで生成された固体触媒前駆体から液体を分離することが重要な側面である。除去時間を短縮させれば生産性を高めることができ、所望の製品と副産物との間の接触を最小化にすることができる。
【0005】
スラリーステップが比較的高温で実行される場合、いくつかの成分、たとえば、電子供与体は分解の問題で影響を受ける可能性がある。このような場合、液相の迅速な除去は、分解過程を最小化にし、より信頼できる触媒を生成するであろう。
【0006】
国際特許公開第WO03/076480号は、濾過によって液相を除去する一連のスラリー段階を通してチーグラー−ナッタ触媒を製造する方法を開示している。これらの技術は、場合によっては効率的であり得るが、これらの技術はまた、フィルタ手段が詰まったり、製造する触媒等級の粒径に基づいて変更されたりする必要があるため、フィルタ手段の交換などの追加手順を伴う。
【0007】
サイフォニング(Siphoning)は、スラリーの液相を除去する代替的な方法である。固体回収の側面で効率的であるために、サイフォニングは、固体粒子の沈降が完了された後に行われるべきである。したがって、工程の効率及び生産性は、固体沈降ステップの沈降時間に絶対的に依存する。
【0008】
したがって、触媒性能を変化させずに保持するとともに、スラリー中での触媒粒子の沈降時間を短縮させる方法を見つけることが有用であろう。
【0009】
驚くべきことに、上記はTi化合物との反応ステップ及び/または炭化水素洗浄が特定化合物の存在下で実行される場合に達成されることが明らかになった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本開示の目的は、塩化マグネシウム系担持体上のTi化合物及び任意選択的に電子供与体を含む、CH=CHRオレフィン(ここで、Rは、水素または1〜12個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである)の(共)重合用固体触媒成分の製造方法であって、上記方法は、化学式(MgCl2−m)・nLB(ここで、mは、0〜2の範囲であり、nは、0〜6の範囲であり、Xは、独立的にハロゲン、R、OR、−OCORまたはO−C(O)−OR基であり、Rは、C−C20炭化水素基であり、LBは、ルイス塩基である)のMg系化合物を、少なくともTi−Cl結合を有するTi化合物をTi/Mgモル比が3を超過する量で含む液体媒体と反応させる、0〜150℃範囲の温度で実行される1つ以上のステップ(a);及び上記ステップ(a)から生成される固体生成物を10〜100℃範囲の温度で炭化水素を含む液体媒体中に懸濁させる少なくとも1つのステップ(b)を含み、上記方法は、上記ステップ(a)及び/または(b)中の少なくとも1つのステップが、Mg化合物の量に対し0.2〜20.0重量%の固体化合物の粒子の存在下で実行されること、及び前記固体化合物が50重量%超過のSiO単位を含みそして1〜100μm、好ましくは1〜30μm範囲の平均粒径を有することを特徴とする、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましくは、50重量%超過のSiO単位を含む固体化合物は、シリカ、ケイ酸塩及び珪藻土から選択される。ケイ酸塩の中でも、タルクのようなフィロケイ酸塩が特に好ましい。好ましい類型のシリカは、親水性シリカ、すなわち、疎水性につくるために変形されないシリカである。また、珪藻土の使用が好ましい。セライト(登録商標)(Celite(登録商標))という名称で商品化された珪藻土の使用が特に好ましい。
【0012】
50重量%超過のSiO単位を含む固体化合物の量は、好ましくはステップ(a)でMg化合物の量に対し、0.5〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の範囲である。
【0013】
特定の実施形態において、50重量%超過のSiO単位を含む固体化合物がステップ(a)に存在する。
【0014】
平均粒径は、実験セクションで提示される手順に従って実行される決定から得られたP50値として定義される。特に、このような決定は、粉末を予め超音波処理することによって得られた、凝集体を含まない粉末サンプルに対して実行される。
【0015】
好ましくは、ステップ(a)は、50重量%超過のSiO単位を含む固体化合物を懸濁させることによって実行され、液体媒体中のMg化合物は、化学式Ti(ORq−yClのチタニウム化合物を含み、上記化学式において、qは、チタニウムの原子価であり、yは、1〜qの数であり、Rは、C−C20炭化水素基である。
【0016】
これらの中でも、チタニウムテトラハライドまたはハロゲンアルコラートなどのチタニウムポリハロゲン化化合物が特に好ましい。好ましい特定のチタニウム化合物は、TiCl及びTi(OEt)Clである。
【0017】
Ti化合物を含む液体媒体は、別の液体希釈剤中のTi化合物の混合物であり得る。好ましい希釈剤は、室温で液体である、任意選択的には塩素化された炭化水素である。非常に好ましい実施形態において、液体媒体は、液体チタニウム化合物で構成される。
【0018】
1つ以上のステップ(a)の最初ステップで出発化合物として使用されるマグネシウム系化合物は、好ましくは化学式MgCl・nROHの付加物の中から選択され、上記化学式において、nは、0.1〜6の数であり、Rは、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルである。好ましくは、nは、1〜5、より好ましくは1.5〜4.5の範囲である。好ましい実施形態において、Rは、エチルである。
【0019】
付加物は、アルコール及び塩化マグネシウムを混合し、付加物の溶融温度(100〜130℃)で攪拌条件下で作動させることによって適切に製造されてもよい。次いで、付加物を、上記付加物と混和されない不活性炭化水素と混合することによってエマルジョンを生成させ、これを迅速に急冷させて上記付加物を球形粒子状に固化させる。このような手順に従って製造された球形付加物の例が米国特許第4,399,054号及び米国特許第4,469,648号に記述されている。
【0020】
球形化工程(spherulization process)のための別の有用な方法は、たとえば、米国特許第5,100,849号及び米国特許第4,829,034号に記述されている噴霧冷却方法である。好ましい最終アルコール含量を有する付加物は、付加物製造時に選択された量のアルコールを直接使用することによって得ることができる。
【0021】
上述の付加物をTi化合物と直接反応させることができるか、またはこれを予め熱制御式脱アルコール化(thermal controlled dealcoholation)(80〜130℃)させることによって、アルコールのモル数が減少され、その多孔性が増加された付加物を得ることができる。脱アルコール化が実行される場合、Mgのモル当たりのアルコールのモル数は、3未満、好ましくは0.1〜2.5に減少されてもよい。
【0022】
Mg系化合物、特にMgCl−アルコール付加物とTi化合物との間の反応は、Mg系化合物及び50重量%超過のSiO単位を含む固体化合物を過量の冷却されたTiCl(たとえば、0℃)中に懸濁させることによって実行されてもよい。混合物を60〜140℃範囲の温度まで加熱した後、その温度で0.1〜4時間、好ましくは0.5〜2時間保持させる。
【0023】
反応時間が終了された後、ステップ(a)の攪拌を中止し、固体粒子を沈殿させる。沈降が完了された後、液相が除去される。完全な沈降の表示は、固相上の液相が透明になることを観察した結果であり得る。また、適切な光検出器を使用して液相を通過する光の量を規則的に検出することによって、より正確な表示がなされてもよい。液相を通過する光の量がそれ以上増加しなければ、沈降工程が完了したと結論付けられ得る。非常に暗色の懸濁液の場合、反応器の底から同一の高さで液相を持続的にサイフォニングするが、回数が増加した後、液体とともに除去された固体粒子の量を検出することによって学習曲線を開発することに基づいて代替的な方法が使用され得る。検出される量が実質的に無視され得る場合、沈降は完了したものと見なされる。50重量%超過のSiO単位を含む固体化合物を使用すれば、短い時間で液体とともに除去される固体粒子の最小量に到達するのに役立つ。
【0024】
反応ステップ(a)は、同一であるか、異なる条件下で1回以上繰り返され得る。たとえば、処理温度及び時間は変更され得る。好ましい実施形態において、ステップ(a)の回数は、1回〜3回で構成される。
【0025】
反復ステップ(a)で、50重量%超過のSiO単位を含む新たな固体化合物を添加することができる。しかしながら、好ましい実施形態は、一連のステップ(a)の最初ステップで上記化合物を添加し、好ましくはステップ(b)では上記化合物を添加しないことを含む。
【0026】
使用される場合、電子供与体化合物は、Mg系化合物と液体Ti化合物との間の1つ以上の反応ステップ(a)中に所望の比率で添加され得る。
【0027】
好ましくは、電子供与体化合物は、少なくともMg系化合物とTi化合物との間の反応の第1ステップ(a)中に添加される。場合によっては、このような処理は1回または2回さらに繰り返され得る。
【0028】
別の実施形態において、電子供与体化合物は、国際特許公開第WO2004/106388号に記述されているように、上記付加物とTi化合物との間の上述の反応によって得られた固体中間体触媒成分に新たな反応物として添加され得る。
【0029】
最終ステップ(a)の終わりに、固体触媒成分はステップ(b)で処理され、それに従って好ましくは塩素イオンが電位差滴定によってそれ以上検出できなくなるまで炭化水素溶媒を使用した洗浄が実行される。
【0030】
生成された固体を炭化水素溶媒に懸濁させた後、10〜100℃範囲の温度で1分〜1時間範囲の時間攪拌する。ステップ(a)で添加されていない場合、50重量%超過のSiO単位を含む固体化合物は、ステップ(b)で同一の方法論及び量で添加され得る。
【0031】
最終固体触媒成分の粒子は、球形の形態及び5〜150μm、好ましくは20〜100μm、より好ましくは30〜90μm範囲の平均直径を有し得る。球形の形態を有する粒子として、より長い軸とより短い軸との間の比は、1.5以下、好ましくは1.3以下であるものと見なされる。
【0032】
一般に、Mgの量は、好ましくは固体触媒成分の総重量に対し、8〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%の範囲である。
【0033】
Tiの量は、固体触媒成分の総重量に対し、0.5〜5重量%、より好ましくは0.7〜3重量%の範囲であり得る。
【0034】
使用される場合、内部電子供与体は、エーテル、アミン、シラン、カルバメート、ケトン、脂肪族酸のエステル、任意選択的に置換された芳香族モノまたはポリカルボン酸のアルキル及びアリールエステル、モノエステルモノカルバメート及びモノエステルモノカーボネートの中から選択されたジオール誘導体、またはこれらの混合物からなる群より選択される。
【0035】
内部供与体が任意選択的に置換された芳香族ポリカルボン酸のアルキル及びアリールエステルから選択される場合、好ましい供与体は、フタル酸のエステルである。脂肪族酸の好ましいエステルは、マロン酸、グルタル酸、マレイン酸及びコハク酸から選択される。このようなエステルの具体例は、n−ブチルフタラート、ジ−イソブチルフタラート、及びジ−n−オクチルフタラートである。
【0036】
好ましくは、エーテルは、下記化学式(I)の1,3−ジエーテルから選択され得る:
【0037】
【化1】
【0038】
(上記式において、R、R、RII、RIII、RIV及びRは、互いに同一であるかまたは異なり、水素または1〜18個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルであり;RVI及びRVIIは、互いに同一であるかまたは異なり、RVI及びRVIIが水素であってはならないということを除いては、R〜Rと同一の意味を有し;R〜RVII基中の1つ以上は、結合されてサイクルを形成することができる)。RVI及びRVIIが、C−Cアルキルラジカルから選択される1,3−ジエーテルが特に好ましい。
【0039】
また、上述の供与体の混合物を使用することができる。特定の混合物は、国際特許公開第WO2011/061134号に開示されているような、コハク酸のエステル及び1,3−ジエーテルで構成されるものである。
【0040】
一般に、固体触媒成分中の電子供与体化合物の最終的な量は、固体触媒成分の総重量に対し、0.5〜40重量%、好ましくは1〜25重量%の範囲であってもよい。
【0041】
本開示に従って得られる固体触媒成分は、20〜500m/g、好ましくは50〜400m/gの範囲の(ブルナウアー−エメット−テラー(Brunauer−Emmett−Teller)(B.E.T.)方法に従って決定された)表面的、及び0.2cm/g以上、好ましくは0.3〜0.6cm/gの(BET方法に従って決定された)全孔隙率(total porosity)を示すことができる。1μm以下の半径を有する気孔による気孔率(Hg方法)は、0.3〜1.5cm/g、好ましくは0.45〜1cm/gの範囲であってもよい。
【0042】
固体触媒成分は、好ましくは5〜120μm、より好ましくは10〜100μm範囲の平均粒径を有する。
【0043】
本開示の方法は、触媒性能に影響を及ぼすことなく、50重量%超過のSiO単位を含む固体化合物を固体触媒成分に混入させる。したがって、これを触媒粉末から全く除去する必要がないことが有利である。
【0044】
本開示の方法に従って製造される固体触媒成分は、それを有機アルミニウム化合物と反応させることによってオレフィン重合用触媒に転換される。
【0045】
有機アルミニウム化合物は、好ましくは、たとえば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム及びトリ−n−オクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム化合物から選択される。また、アルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムヒドリド、またはAlEtCl及びAlEtClなどのアルキルアルミニウムセスキクロリドを任意選択的に上述のトリアルキルアルミニウムとの混合物として使用することもできる。
【0046】
Al/Ti比は、1以上であり、50〜2000、好ましくは50〜500の範囲であってもよい。
【0047】
任意選択的に、外部電子−供与体化合物が使用され得る。これは好ましくは、シリコン化合物、エーテル、エステル、アミン、ヘテロ環化合物及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、及びケトンから選択される。別のクラスの好ましい外部供与体化合物は。化学式(R(RSi(ORを有するシリコン化合物のクラスであり、ここで、a及びbは、0〜2の整数であり、cは、1〜4の整数であり、(a+b+c)の合計は、4であり;R、R、及びRはヘテロ原子を任意選択的に含む1〜18個の炭素原子を有するアルキル、シクルロアルキルまたはアリールラジカルである。aが1であり、bが1であり、cが2であり、R及びR中の少なくとも1つがヘテロ原子を任意選択的に含む3〜10個の炭素原子を有する分岐アルキル、シクロアルキルまたはアリール基から選択され、RがC−C10アルキル基、特にメチル基であるシリコン化合物が特に好ましい。このような好ましいシリコン化合物の例は、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン(C供与体)、ジフェニルジメトキシシラン、メチル−t−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン(D供与体)、ジイソプロピルジメトキシシラン、(2−エチルピペリジニル)t−ブチルジメトキシシラン、(2−エチルピペリジニル)t−ヘキシルジメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2−エチルピペリジニル)ジメトキシシラン及びメチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)ジメトキシシランである。さらに、aが0であり、cが3であり、Rは、ヘテロ原子を任意選択的に含む分岐アルキルまたはシクルロアルキル基であり、Rがメチルであるシリコン化合物もまた好ましい。このような好ましいシリコン化合物の例は、シクロヘキシルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン及びt−ヘキシルトリメトキシシランである。
【0048】
外部電子供与体化合物は、0.1〜500、好ましくは1〜300、より好ましくは3〜100の有機アルミニウム化合物と上記外部電子供与体化合物との間のモル比を提供する量で使用される。
【0049】
本開示に従って製造される触媒は、CH=CHRオレフィン(ここで、Rは、水素または1〜12個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである)の(共)重合工程で使用され得る。
【0050】
重合工程は、利用可能な技術、たとえば、希釈剤として不活性炭化水素溶媒を使用するスラリー重合、または反応媒体として液体モノマー(たとえば、プロピレン)を使用するバルク重合に従って実行され得る。さらに、1つ以上の流動式または機械攪拌式床反応器で気相作動する重合方法を実行することができる。
【0051】
重合は、20〜120℃、好ましくは40〜80℃の温度で実行される。重合が気相で実行される場合、作動圧力は0.5〜5MPa、好ましくは1〜4MPaの範囲であってもよい。バルク重合で、作動圧力は、1〜8MPa、好ましくは1.5〜5MPaの範囲であってもよい。
【0052】
下記実施例は、本開示を制限することなく、よりよく例示するために提供される。
【実施例】
【0053】
Mg及びTiの決定
固体触媒成分中のMg及びTi含量の決定は、「I.C.PスペクトロメータARLアキュリス(I.C.P Spectrometer ARL Accuris)上で誘導結合プラズマICP放出分光法によって実行された。
【0054】
「フラックシー(Fluxy)」白金るつぼ中で、0.1〜0.3グラムの触媒及び2グラムのリチウムメタボレート/テトラボレート(1/1混合物)を分析的に秤量することによってサンプルを製作した。数滴のヨウ化カリウム(KI)溶液を添加した後、るつぼを「クレイスフラックシー(Claisse Fluxy)」装置に入れて完全燃焼させた。残渣を5%v/vHNO溶液で収集した後、次の波長でICPを介して分析した:マグネシウム、279.08nm;チタニウム、368.52nm。
【0055】
内部電子供与体の含量の決定
固体触媒化合物中の内部供与体の含量の決定は、ガスクロマトグラフィーを通して行った。固体成分をアセトンに溶解させ、内部標準を添加した後、有機相のサンプルをガスクロマトグラフィーで分析し、出発触媒化合物に存在する供与体の量を決定した。
【0056】
X.I.の決定
2.5gのポリマー及び250mlのo−キシレンを冷却器及び還流コンデンサが備えられた丸底フラスコに入れた後、窒素下に保持させた。得られた混合物を135℃に加熱した後、約60分間攪拌しながら保持させた。最終溶液を連続的に攪拌しながら25℃まで冷却し、不溶性ポリマーを濾過した。次いで、濾過物を140℃で窒素流中に蒸発させて一定の重量に達するようにした。上記キシレン−可溶性分画の含量は、最初2.5g中の百分率として表現し、次に、その差はキシレン不溶性百分率(X.I.%)で表現する。
【0057】
バルク密度の決定(BDP)
DIN−53194を使用して決定した。
【0058】
溶融流量(MIL)
ISO1133(230℃,2.16Kg)に従ってポリマーの溶融流量(MIL)を決定した。
【0059】
平均粒径
「マルバーンインストルメント2000(Malvern Instruments 2000)」装置を使用して単色レーザー光の光学回折原理に基づいた方法で決定した。平均の大きさは、P50として提供される。P10及びP90もまたこのような方法で決定する。
【0060】
マルバーンマスターサイザー2000(Malvern Mastersizer 2000)粒度分析器は、下記の3つのユニットに分けられる:
1)光学グユニット;2つのレーザー光源:赤色He/Neレーザー、出力5mw、波長633nm、青色(ダイオード)レーザー、波長450nmを装備した、0.02〜2000μの範囲の大きさの固体を測定するための光学コアグユニット。
2)サンプリンググユニット;内部キャパシティー、遠心ポンプ、攪拌器及び40W出力の超音波プローブで作動する、50〜120mlの体積のヒドロ2000S自動サンプリングユニット(Hidro 2000S automatic Sampling Unit)。
3)PCコンソール;ウインドウ2000またはNT用のマルバーン・プロフェッショナルソフトウェアを使用するポータブルLGペンチウム・シリーズ(Portable LG Pentium series)。ミー光学理論を利用したデータ精巧化方法(サンプルの屈折率=1.596;n−ヘプタンの屈折率=1.39)。
【0061】
方法説明
本明細書に記載された測定のために、n−ヘプタン(+2g/lの帯電防止スパン80)が分散剤として使用される。
測定セルには、分散剤がローディングされる一方、ポンプ/攪拌器速度は2205RPM以下に設定される。次いで、バックグラウンド測定(Background measurement)が実行される。次に、固体またはスラリー専用ローディング手段を使用してサンプルをローディングする。その時点で、PS決定をする前に、サンプルを30秒間超音波処理する。その後に、測定が実行される。
【0062】
9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンを含む触媒用プロピレンの重合のための一般的な手順
攪拌機、圧力ゲージ、温度計、触媒供給システム、モノマー供給ライン及び温度調節ジャケットが備えられた4リットルスチールオートクレーブ(4−liter steel autoclave)を70℃で1時間窒素流でパージングした。75mlの無水ヘキサン、0.6gのトリエチルアルミニウム(AlEt、5.3mmol)及び0.006〜0.010gの固体触媒成分を含み、総AlEtの10重量%と5分間事前に予備接触された懸濁液を充電した。オートクレーブを密閉させた後、所望の量の水素を添加した(1250cc)。次いで、攪拌しながら、1.2kgの液体プロピレンを供給した。約10分間温度を70℃まで上昇させ、その温度で2時間重合を実行した。重合終了時、未反応プロピレンを除去し;ポリマーを回収し、70℃で、真空下で3時間乾燥させた。生成されたポリマーを秤量し、特徴づける。
【0063】
ジ−イソブチルフタラートを含む触媒用プロピレンの重合のための一般的な手順
攪拌機、圧力ゲージ、温度計、触媒供給システム、モノマー供給ライン及び温度調節ジャケットが備えられた4リットルスチールオートクレーブを70℃で1時間窒素流でパージングした。75mlの無水ヘキサン、0.76gのAlEt(6.66mmol)、外部電子供与体として0.33mmolのシクロヘキシルメチルジメトキシシラン、及び0.006〜0.010gの固体触媒成分を含み、5分間事前に予備接触された懸濁液を充電した。オートクレーブを密閉させた後、所望の量の水素を添加した(2000cm)。次いで、攪拌しながら、1.2kgの液体プロピレンを導入した。約10分間温度を70℃まで上昇させ、その温度で2時間重合を実行した。重合終了時、未反応プロピレンを除去し;ポリマーを回収し、70℃で、真空下で3時間乾燥させた。生成されたポリマーを秤量し、特徴づける。
【0064】
MgCl・(EtOH)付加物の製造のための一般的な手順。
米国特許第4,399,054号の実施例2に記述されている方法に従って初期量の微小球形MgCl・2.8COHを製造した。生成された付加物の平均粒径は25μmであった。
【0065】
実施例1
9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン含有固体触媒成分の製造:
機械式攪拌機、冷却器及び温度計が備えられた2.0L丸底ガラス反応器に、1.0LのTiClを窒素大気下に室温で導入した。−5℃に冷却した後、攪拌しながら、(一般的な手順で開示されているように製造された)MgCl及びEtOHの微小球錯体50gを導入した。その後、22.4μmのP50を有する0.5gのセライト577(Celite577)微粒子(シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)社の商業製品)をまた反応器に添加した。次いで、温度を−5℃から40℃まで上昇させ、その温度に達したとき、内部電子供与体として使用された9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンを20のMg/9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンのモル比を生成する量で導入した。
【0066】
添加終了時、温度を100℃まで上昇させた後、その温度値で30分間保持した。その後、攪拌を止め、固体生成物を7分の一定時間沈降させた。次いで、温度を75℃に保持しながら、反応器内に300cmの定められた残留体積(fixed residual volume)のみを残し、上澄液(supernatant liquid)をサイフォニングして除去した。上澄液を除去した後、新たなTiCl及び9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンを添加して総体積を1Lに復元させ、Mg/9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンのモル比を5に保持させた。次いで、全体スラリー混合物を109℃に加熱した後、その温度で30分間保持した。再び攪拌を中断し;温度を109℃に保持しながら固体生成物を沈降させ、上澄液を吸い上げた(siphoned off)。この場合にもまた、沈降時間及びスラリー懸濁液残留体積は、第1処理段階(7分及び300cm)と同一に固定した。混合物を109℃で15分間攪拌しながら、新たなTiCl(総体積1L)中で第3処理を繰り返した後、上澄液をサイフォニングして除去した。沈降時間及びスラリー懸濁液残留体積は、第1処理段階(7分及び300cm)と同一に固定した。
【0067】
固体を50℃で5回(5×1.0L)及び室温で1回(1.0L)無水i−ヘキサンで洗浄した。また、i−ヘキサン洗浄時、各ステップで吸い上げた液体の体積と同様に沈降時間を固定した。
【0068】
最終的に、固体を真空下に乾燥させ、平量した後、分析した。
触媒組成:Mg=12.5重量%;Ti=3.7重量%;I.D.=20.7重量%;P50=30μm。
【0069】
質量平衡(mass balance)から、初期マグネシウムの93重量%が回収されたということを計算することができた。
【0070】
実施例2
0.3gのセライト577微粒子を反応器に添加したということを除いては、実施例1と同一の手順を実行した。
【0071】
触媒組成:Mg=11.9重量%;Ti=3.7重量%;I.D.=19.5重量%;P50=28μm。
【0072】
質量平衡から、初期マグネシウムの84重量%が回収されたということを計算することができた。
【0073】
比較例3
セライト577微粒子を反応器に添加しなかったという点で違うが、実施例1と同一の手順を実行した。
【0074】
触媒組成:Mg=12.8重量%;Ti=3.8重量%;I.D.=20.4重量%;P50=33μm。
【0075】
質量平衡から、初期マグネシウムの59重量%が回収されたということを計算することができた。
【0076】
実施例4
実施例1及び2ならびに比較例3で得られた、内部電子供与体として9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンを含む触媒を本明細書で報告された一般的な手順に従ってバルク重合で試験した。その結果が、下記表1に報告されている。
【0077】
【表1】
【0078】
実施例5
機械式攪拌機、冷却器回路及び温度計が備えられた0.5L丸底ジャケットガラス反応器に、250cmのTiClを窒素大気下に室温で導入した。−0℃に冷却した後、攪拌しながら、13.5gの微小球MgCl−EtOH付加物を一般的な手順で開示されているように製造しており、ここで、EtOH含量は、窒素流内で脱アルコール化させることにより、約45重量%に低下した。
【0079】
その後、0.135gのセライト577微粒子(シグマアルドリッチ社の商業製品)をスラリーに添加した。次いで、温度を約20分内で−0℃から40℃まで上昇させた。40℃の温度に達したとき、内部電子供与体として使用された9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンを5のMg/9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンのモル比を生成する量で導入した。
【0080】
添加終了時、温度を約60分内で100℃に上昇させた後、その温度値で攪拌しながら30分間保持した。
【0081】
このような実験条件での全体スラリーは完全に暗色であった。
【0082】
ランプをガラス反応器の中間背面に位置させた。このような条件で反応器の前方を見る観察者は光が全く見られなかった。
【0083】
その後、撹拌を中止した上で、記録されたビデオを見ながら、暗色スラリー相を横切るバックライトの外観が経時的に透明になることを観察し、固体生成物の沈降時間を推定した。信頼できる統計基礎を生成するために本試行を数回繰り返した。結局、上記条件下で固体沈降が3分以内に完了された。
【0084】
実施例6
実施例5と同一の手順を実行したが、セライト577微粒子の代わりに、PQコーポレーション(PQ Corporation)から市販中の0.13gのガシル(Gasil)AB735シリカ(P50 24μm)を使用した。沈降時間(実施例5に従って測定される)は、3分であった。
【0085】
実施例7
セライト577微粒子の代わりに、9μmのP50を有する0.13gのタルク(シグマアルドリッチ製品番号#243604)を使用したことを除いては、実施例5と同一の手順を実行した。沈降時間(実施例5に従って測定される)は、3分15秒であった。
【0086】
実施例8
セライト577の代わりに、PQコーポレーション社から市販中の、8μmのP50を有する0.13gのシリカガシル(Silica Gasil)AB200DFシリカを使用したことを除いては、実施例5と同一の手順を繰り返した。2分15秒持続される、より速く、完全な沈降が達成された(実施例5に従って測定される)。
【0087】
比較例9
セライト577微粒子の代わりに、この場合には、スペルコアナリティカル−シグマアルドリッチ(Supelco Analytical−Sigma Aldrich)で市販中の0.14gのカルボキセン(Carboxen)1000(特殊炭素吸着剤)を使用したことを除いては、実施例5と同一の手順を繰り返した。実施例5の方法に従って検出される好ましい生成物沈降を達成するためには、より長い時間(4分50秒)が必要であった。
【0088】
比較例10
内部供与体の導入後に他の添加剤は全くローディングしないことを除いては、実施例5と同一の手順を繰り返した。沈降時間(実施例5に従って測定される)は、4分20秒であった。
【0089】
実施例11:炭化水素スラリー中での沈降
機械式攪拌機が備えられた2.0L丸底目盛式ガラス反応器に、1.9Lのイソ−ヘキサンを窒素大気下に室温で導入した。その後、比較例3に開示された触媒を固体濃度が41g/Lになるように攪拌しながら導入した。室温で、炭化水素中の触媒スラリーを350rpmで10分間攪拌した。次いで、撹拌機を停止させると、黒色固体が徐々に漸次沈降し始め、上部に澄明な溶媒が残った。
【0090】
固体の前面は反応器の底に向かって移動し、観察者は球形触媒によって覆われた距離を経時的に測定することによって沈降速度を推定した。次いで、このような量のセライト577(シグマアルドリッチ;セライト577/触媒=1重量%)を反応器内に導入し、スラリーを10分間さらに攪拌した。次いで、撹拌を中止し、観察者は沈降速度を測定した。触媒のスラリーをさらに50分間攪拌し、沈降速度を測定した。
【0091】
セライト577の量の効果及び沈降速度に対する混合時間をすべて評価するために、このような方法を順次的に繰り返した。その結果は、表2に報告されているが、このとき、混合時間は、特定量の沈殿補助剤での全体混合時間を指す。
【0092】
実施例12
実施例11と同一の手順を繰り返したが、セライト577の代わりに、タルク(シグマアルドリッチ製品番号#2436040)を使用した(同一の重量パーセント比)。その結果は、下記表2に報告されている。
【0093】
実施例13
実施例11と同一の手順を繰り返したが、セライト577の代わりに、23μmのP50を有するHDK(登録商標)T30親水性発熱性シリカ(ワッカーシリコーン(Wacker Silicones))を使用した(同一の重量パーセント比)。その結果は、下記表2に報告されている。
【0094】
実施例14
実施例11と同一の手順を繰り返したが、セライト577の代わりに、4μmのP50を有するシリカフルカ(Silica Fluka)(シグマアルドリッチ製品番号#S5631)を使用した(同一の重量パーセント比)。その結果は、下記表2に報告されている。
【0095】
実施例15
実施例11と同一の手順を繰り返したが、セライト577の代わりに、ガシルAB735シリカ(PQコーポレーション)を使用した(同一の重量パーセント比)。その結果は、下記表2に報告されている。
【0096】
実施例16
実施例11と同一の手順を繰り返したが、セライト577の代わりに、ガシルAB200DFシリカ(PQコーポレーション)を使用した(同一の重量パーセント比)。その結果は、下記表2に報告されている。
【0097】
比較例17
実施例11と同一の手順を繰り返したが、セライト577の代わりに、グラファイト(シグマアルドリッチ製品番号#282863)を使用した(同一の重量パーセント比)。その結果は、下記表2に報告されている。
【0098】
比較例18
実施例11と同一の手順を繰り返したが、セライト577の代わりに、CaF2(シグマアルドリッチ製品番号#449717)のサンプルを使用した(同一の重量パーセント比)。その結果は、下記表2に報告されている。
【0099】
比較例19
実施例11と同一の手順を繰り返したが、セライト577の代わりに、Cu−フタロシアニン(シグマアルドリッチ製品番号#546682)のサンプルを使用した(同一の重量パーセント比)。その結果は、下記表2に報告されている。
【0100】
比較例20
実施例11と同一の手順を繰り返したが、セライト577の代わりに、リン酸水素ジルコニウム(サンシャインファクトリーカンパニー、リミテッド(Sunshine Factory Co., Ltd)のサンプルを使用した(同一の重量パーセント比)。その結果は、下記表2に報告されている。
【0101】
比較例21
実施例11と同一の手順を繰り返したが、任意の追加的な化合物を添加せずに沈降速度を記録した。その結果は、下記表2に報告されている。
【0102】
【表2-1】
【0103】
【表2-2】
【0104】
【表2-3】
【0105】
【表2-4】
【0106】
実施例22
実施例11〜16及び比較例17〜21で得られた内部電子供与体として9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンを含む触媒を本明細書で報告された一般的な手順に従ってバルク重合で試験した。その結果は、下記表3に報告されている。
【0107】
【表3】
【0108】
実施例23
機械式の攪拌機、冷却器回路及び温度計が備えられた0.5L丸底ジャケットガラス反応器に、250cmのTiClを窒素大気下に室温で導入した。−0℃に冷却した後、攪拌しながら、一般的な手順で開示されているように製造された16gの微小球MgCl−EtOH付加物を導入した。
【0109】
その後、0.175gのセライト577微粒子(シグマアルドリッチ)をスラリーに添加した。攪拌下に同一の温度を保持しながら、内部電子供与体として使用されるジ−イソブチルフタラート2.5gを導入した(Mg/ジイソブチルフタラートモル比=8.0)。
【0110】
添加終了時、温度を約60分内に100℃まで上昇させた後、その温度で攪拌しながら60分間保持した。
【0111】
このような実験条件での全体スラリーは、均質の黄色がかった色相であった。
【0112】
ガラス反応器内での固体運動をよりよく観察するために、ランプをガラス反応器の中間背面に位置させた。
【0113】
その後、撹拌を中止した後、記録されたビデオを見ながら、反応器の底で増加する固体水準のみならず、時間が経つにつれ漸次濁りが少なくなる液相の外観を観察して固体生成物の沈降時間を推定した。このステップで、固体沈降は、2分15秒内に完了された。次いで、フラットフィルタを使用してガラス反応器の底から液体を排出させた。次いで、新たなTiClを添加して初期濃度を復元させた。次いで、全体スラリー混合物を120℃まで加熱した後、その温度で60分間保持させた。再び攪拌を中断し、温度を120℃において保持しながら、懸濁液を濾過する液体によって固体生成物を分離した。混合物を120℃で30分間攪拌しながら、新たなTiClで第3処理を実施した後、液体を濾過して除去した。固体を無水i−ヘキサンで50℃で5回(5×0.250L)、室温で1回洗浄した。
【0114】
最終的に、固体を真空下に乾燥させ、平量した後、分析した。
【0115】
触媒組成:Mg=17.3重量%;Ti=3.3重量%;I.D.=12.3重量%;P50=28μm。
【0116】
実施例24
実施例23と同一の手順を実行したが、セライト577微粒子の代わりに、フルカシリカ(シグマアルドリッチ製品番号#S5631)を使用した。このような場合の測定で、固体粒子沈降ステップを完了するのに必要な時間は、2分45秒であった。
【0117】
比較例25
実施例23と同一の手順を繰り返したが、このとき、沈降速度は、任意の追加的な化合物を添加せずに記録した。このような場合に測定は、固体粒子沈降ステップを完了するのに4分以上が必要であるということが示された。
【0118】
実施例26
実施例23、24及び比較例25で得られた内部電子供与体としてジイソブチルフタラートに基づいた触媒を本明細書で報告された一般的な手順に従ってバルク重合で試験した。その結果は、下記表4に報告されている。
【0119】
【表4】
【0120】
実施例27:炭化水素スラリー中での沈降
実施例11と同一の手順を繰り返したが、本実験で使用されるチーグラー−ナッタ触媒は、米国特許第6,127,304号の実施例2に従って製造した。その結果は、下記表5に報告されている。
【0121】
実施例28
実施例11と同一の手順を繰り返したが、セライト577の代わりに、タルク(シグマアルドリッチ製品番号#2436040)を使用した(同一の重量パーセント比)。その結果は、下記表5に報告されている。
【0122】
実施例29
実施例11と同一の手順を繰り返したが、セライト577の代わりに、ガシルAB200DFシリカ(PQコーポレーション)を使用した(同一の重量パーセント比)。その結果は、下記表5に報告されている。
【0123】
実施例30
実施例11と同一の手順を繰り返したが、セライト577の代わりに、ガシルAB735シリカ(PQコーポレーション)を使用した(同一の重量パーセント比)。その結果は、下記表5に報告されている。
【0124】
実施例31
実施例11と同一の手順を繰り返したが、セライト577の代わりに、フルカシリカ(シグマアルドリッチ製品番号#S5631)を使用した(同一の重量パーセント比)。その結果は、下記表5に報告されている。
【0125】
【表5-1】
【0126】
【表5-2】
【0127】
実施例32
実施例27〜31で得られた内部電子供与体としてジイソブチルフタラートに基づいた触媒を本明細書で報告された一般的な手順に従ってバルク重合で試験した。その結果は、下記表6に報告されており、イソ−ヘキサン中で任意に処理されない純粋な触媒と比較する。
【0128】
【表6】