(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
中空形状のハウジング、前記ハウジング内を第1の空間と第2の空間に分けるダイヤフラム、及び前記第1の空間に流入する流体の圧力による前記ダイヤフラムの変形に伴って前記第2の空間の気体を出力する出力ポートを有するチャンバと、
前記出力ポートと接続する継手を有し、前記継手から出力される前記気体の圧力を検出する圧力センサを有する圧力検出装置に取り付けられた接続部と、
前記出力ポートの側面と前記継手の側面に挟まれ、前記チャンバと前記接続部を接続したり、抜いたりする際にシール位置を変更しながら移動するシール部材と、
を備えた接続構造。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】第1の実施の形態の接続構造が採用された血液浄化装置の一例の図である。
【
図1B】第1の実施の形態に係る血液浄化装置の構成の一例の図である。
【
図2A】第1の実施の形態に係る接続構造の一例の斜視図である。
【
図2B】第1の実施の形態に係る接続構造を構成する接続部の一例の図である。
【
図3A】第1の実施の形態に係るチャンバの一例の断面図である。
【
図3B】第1の実施の形態に係る接続部及びOリングの一例の断面図である。
【
図4A】第1の実施の形態に係る接続構造のチャンバを挿入する際のOリングの位置の一例を説明する断面図である。
【
図4B】第1の実施の形態に係るチャンバを抜く際のOリングの位置の一例を説明する断面図である。
【
図5A】第1の実施の形態に係るOリングのつぶし率の一例について説明する図である。
【
図5B】第1の実施の形態に係るOリングが回転しない場合のダメージを受ける領域の一例について説明する図である。
【
図5C】第1の実施の形態に係るOリングが回転する場合のダメージを受ける領域の一例について説明する図である。
【
図6A】第1の実施の形態に係る接続構造におけるチャンバと接続部の位置合わせの一例の図である。
【
図6B】第1の実施の形態に係る接続構造におけるチャンバを接続部に押し込んだ一例の図である。
【
図6C】第1の実施の形態に係る接続構造におけるチャンバを接続部にさらに押し込んだ一例の図である。
【
図6D】第1の実施の形態に係る接続構造におけるチャンバを回転させてロックさせた一例の図である。
【
図7A】第1の実施の形態に係る接続構造におけるチャンバと接続部の位置合わせの一例の断面図である。
【
図7B】第1の実施の形態に係る接続構造におけるチャンバを接続部に押し込んだ一例の断面図である。
【
図7C】第1の実施の形態に係る接続構造におけるチャンバを接続部にさらに押し込んだ一例の断面図である。
【
図8】第1の実施の形態に係るOリングの交換の一例を説明する図である。
【
図9A】
図9Aは、第2の実施の形態に係る継手の一例の断面図である。
【
図9B】
図9Bは、第3の実施の形態に係る継手の一例の断面図である。
【
図10A】第4の実施の形態に係る接続構造のチャンバと接続部との挿入開始時の一例の図である。
【
図10B】第4の実施の形態に係る接続構造のチャンバと接続部との挿入途中の一例の図である。
【
図10C】第4の実施の形態に係る接続構造のチャンバと接続部との挿入終了の一例の図である。
【
図11A】第5の実施の形態に係る接続構造のチャンバと接続部との挿入開始時の一例の図である。
【
図11B】第5の実施の形態に係る接続構造のチャンバと接続部との挿入途中の一例の図である。
【
図11C】第5の実施の形態に係る接続構造のチャンバと接続部との挿入終了の一例の図である。
【
図12A】第6の実施の形態に係る接続構造のチャンバと接続部との挿入開始時の一例の図である。
【
図12B】第6の実施の形態に係る接続構造のチャンバと接続部との挿入途中の一例の図である。
【
図12C】第6の実施の形態に係る接続構造のチャンバと接続部との挿入終了の一例の図である。
【
図13A】第7の実施の形態に係る接続構造のチャンバと接続部との挿入開始時の一例の図である。
【
図13B】第7の実施の形態に係る接続構造のチャンバと接続部との挿入途中の一例の図である。
【
図13C】第7の実施の形態に係る接続構造のチャンバと接続部との挿入終了の一例の図である。
【
図14】第8の実施の形態に係る血液浄化装置の構成の一例の図である。
【
図15A】第9の実施の形態に係る接続構造の一例の斜視図である。
【
図15B】第9の実施の形態に係るキャップの一例の断面図である。
【
図15C】第9の実施の形態に係る継手の一例の側面図である。
【
図16A】第9の実施の形態に係るキャップが取り付けられた継手の一例を示す断面図である。
【
図16B】第9の実施の形態に係るチャンバを接続部に接続した一例の断面図である。
【
図17A】実施例に係る転がり代が0.8mmである場合におけるチャンバを継手に500回挿抜した後のOリングの表面状態の図である。
【
図17B】実施例に係る転がり代が0.4mmである場合におけるチャンバを継手に500回挿抜した後のOリングの表面状態の図である。
【
図17C】実施例に係る転がり代が0mmである場合におけるチャンバを継手に500回挿抜した後のOリングの表面状態の図である。
【
図18A】実施例に係る転がり代が0.8mmである場合におけるチャンバを継手に1000回挿抜した後のOリングの表面状態の図である。
【
図18B】実施例に係る転がり代が0.4mmである場合におけるチャンバを継手に1000回挿抜した後のOリングの表面状態の図である。
【
図18C】実施例に係る転がり代が0mmである場合におけるチャンバを継手に1000回挿抜した後のOリングの表面状態の図である。
【
図19A】実施例に係る転がり代が0.8mmである場合におけるチャンバを継手に1000回挿抜した後のOリングの内周側の表面状態を拡大した図である。
【
図19B】実施例に係る転がり代が0.4mmである場合におけるチャンバを継手に1000回挿抜した後のOリングの内周側の表面状態を拡大した図である。
【
図19C】実施例に係る転がり代が0mmである場合におけるチャンバを継手に1000回挿抜した後のOリングの内周側の表面状態を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施の形態]
(血液浄化装置9の概要)
図1Aは、第1の実施の形態の接続構造が採用された血液浄化装置の一例の図であり、
図1Bは、血液浄化装置の構成の一例の図である。
図2Aは、第1の実施の形態に係る接続構造の一例の斜視図であり、
図2Bは、接続構造を構成する接続部の一例の図である。
図3Aは、第1の実施の形態に係るチャンバの断面の一例の断面図であり、
図3Bは、接続部及びOリングの一例の断面図である。
図4Aは、第1の実施の形態に係る接続構造のチャンバを挿入する際のOリングの位置の一例を説明する断面図であり、
図4Bは、チャンバを抜く際のOリングの位置の一例を説明する断面図である。なお以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。数値範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下の意味で用いるものとする。
【0024】
図1Aに示す血液浄化装置9は、透析治療(血液浄化治療)を行うためのものである。この血液浄化装置9は、例えば、
図1A及び
図1Bに示すように、接続構造1、圧力検出部10、動脈側血液回路11と、静脈側血液回路12と、ダイアライザ13と、透析液導入ライン14と、透析液排出ライン15と、複式ポンプ16とを備えている。このうち、圧力検出部10、透析液導入ライン14、透析液排出ライン15、及び複式ポンプ16は、本体90として構成される。本体90には、動脈側血液回路11、静脈側血液回路12、及びダイアライザ13が着脱可能に装着される。なお、動脈側血液回路11及び静脈側血液回路12の少なくとも一方を血液回路として表現し、透析液導入ライン14及び透析液排出ライン15の少なくとも一方を透析液回路として表現し、血液回路及び透析液回路の各々を液体回路として表現できる。
【0025】
動脈側血液回路11は、患者の動脈に穿刺される動脈側穿刺針110と、動脈側穿刺針110が接続されるコネクタ111と、バルブの開閉により血液の流れを制御するクランプ112と、しごき型ポンプである血液ポンプ113と、接続構造1を介して動脈側血液回路11に接続された圧力検出部10と、を備えて概略構成されている。この動脈側血液回路11は、ダイアライザ13の血液導入口13aに接続されている。
【0026】
静脈側血液回路12は、患者の静脈に穿刺される静脈側穿刺針120と、静脈側穿刺針120が接続されるコネクタ121と、この血液回路を流れる流体が血液であるか判別する血液判別部122と、バルブの開閉により血液の流れを制御するクランプ123と、この血液回路に流れる流体に混入した気泡を検出する気泡検出部124と、流体に混入した気泡を分離する静脈チャンバ125と、接続構造1を介して静脈側血液回路12に接続された圧力検出部10と、を備えて概略構成されている。この静脈側血液回路12は、ダイアライザ13の血液導出口13bに接続されている。
【0027】
患者の血液は、動脈側穿刺針110及び静脈側穿刺針120を穿刺した状態で血液ポンプ113を可動させると、動脈側血液回路11を通ってダイアライザ13に至った後、ダイアライザ13によって血液浄化処理が行われ、静脈側血液回路12を通って患者の体内に戻るようになっている。
【0028】
ダイアライザ13は、血液導入口13a、血液導出口13b、透析液導入口13c及び透析液導出口13dを備えている。透析液導入口13c及び透析液導出口13dは、血液浄化装置9の本体90から伸びる透析液導入ライン14及び透析液排出ライン15にそれぞれ接続されている。
【0029】
ダイアライザ13は、複数の中空糸を有し、この中空糸によって血液を浄化するように構成されている。またダイアライザ13は、血液浄化膜を介して血液導入口13aと血液導出口13bを繋ぐ血液流路と、透析液導入口13cと透析液導出口13dを繋ぐ透析液流路と、が形成されている。血液浄化膜を構成する中空糸は、外周面と内周面とを貫通した微小な孔が形成されて中空糸膜を形成しており、この中空糸膜を介して血液中の不純物などが透析液内に透過する。
【0030】
複式ポンプ16は、透析液導入ライン14及び透析液排出ライン15に跨って血液浄化装置9の本体90に配置されている。また透析液排出ライン15においては、複式ポンプ16をバイパスするように除水ポンプ17が接続されている。この除水ポンプ17は、ダイアライザ13を流れる患者の血液から水分を除去するために設けられている。
【0031】
透析液導入ライン14の一端は、ダイアライザ13に接続され、他端は、所定濃度の透析液を調整する濃度調整手段に接続されている。なお、濃度調整手段は、血液浄化装置9、又は血液浄化装置9に透析液を供給する透析液供給装置に配置される。また透析液排出ライン15の一端は、ダイアライザ13に接続され、他端は、排液手段に接続されている。透析液は、透析液供給装置から透析液導入ライン14を通ってダイアライザ13に至った後、透析液排出ライン15を通って排液手段に送られる。
【0032】
動脈側血液回路11及び静脈側血液回路12には、圧力検出部10が接続されている。この圧力検出部10は、動脈側血液回路11及び静脈側血液回路12に流れる血液の圧力P
Rを検出するように構成されている。この圧力検出部10は、血液浄化装置9の本体90のパネル101内に配置された圧力センサ10aと、接続構造1の接続部3と、がチューブ10bによって接続されて構成されている。
【0033】
具体的には、接続構造1は、
図2A〜
図3Bに示すように、中空形状のハウジング20、ハウジング20内を第1の空間23と第2の空間24に分けるダイヤフラム25、及び第1の空間23に流入する流体(血液R)の圧力P
Rによるダイヤフラム25の変形に伴って第2の空間24の気体Kを出力する出力ポート27を有するチャンバ2と、出力ポート27と接続する継手30を有し、継手30から出力される気体Kの圧力P
Kを検出する圧力センサ10aを有する圧力検出装置としての本体90に取り付けられた接続部3と、出力ポート27の側面270と継手30の側面302に挟まれ、チャンバ2と接続部3を接続したり、抜いたりする際にシール位置を変更しながら移動するシール部材と、を備えて概略構成されている。なお本実施の形態の流体は、血液であるがこれに限定されず、透析液などの他の流体であっても良い。また圧力検出部10は、血液Rの圧力P
Rによるダイヤフラム25の変形に基づく気体Kの圧力P
Kを検出することで、間接的に血液Rの圧力P
Rを検出するように構成されている。
【0034】
本実施の形態のシール部材は、リング形状を有するOリング5であるがこれに限定されず、接続したり、抜いたりする際、つまり挿抜する際にシール位置を変更しながら移動可能であれば良い。なおOリング5は、チャンバ2の挿抜方向に沿ってシール位置を変更しながら移動する。具体的には、Oリング5は、チャンバ2が挿入される際、
図4Aの紙面において内側が挿入方向に移動するように、つまり反時計回りに回転する。そしてOリング5は、チャンバ2が抜かれる際、
図4Bの紙面において内側が抜去方向に移動するように、つまり時計回りに回転する。この挿抜方向とは、挿入方向が
図4Aの紙面において上から下方向(左の矢印の方向)であり、抜去方向が
図4Bの紙面において下から上方向(左の矢印)である。なお
図4A及び
図4Bの中央の矢印は、Oリング5がシール位置を変更しながら移動する方向を示している。またOリング5のシール位置を変更しながらの移動とは、回転しながらの移動に限定されず、挿抜方向にねじれながらの移動、又はねじれながらの移動に近い移動を含んでいる。
【0035】
また接続構造1は、継手30に配置され、Oリング5の抜け止めのためにOリング5の位置を規定する第1のストッパとしてのキャップ4を備えている。つまり接続構造1は、チャンバ2と、接続部3と、キャップ4と、Oリング5と、を備えて概略構成されている。
【0036】
(チャンバ2の構成)
チャンバ2は、
図2A及び
図3Aに示すように、第1のハウジング21及び第2のハウジング22によってハウジング20が形成されている。第1のハウジング21には、出力ポート27が一体に形成されている。第2のハウジング22には、ドーム形状を有する上面220に接続ポート221及び接続ポート222が一体に形成されている。
【0037】
このハウジング20は、射出成型性に優れ、また機械加工性が良く、さらに表面粗さを調整し易い材料を用いて形成される。またハウジング20は、例えば、超音波溶着が可能な材料を用いて形成される。そしてハウジング20は、ヒト体液が触れる可能性があるので、生体毒性がなく、絶縁性の高い材料を用いて形成される。従ってハウジング20は、例えば、ポリカーボネートを用いて形成される。なおチャンバ2は、血液が第1の空間23に流入することから再利用せず、使い捨てとなる。
【0038】
第1のハウジング21は、その内部の底面210に流路211が形成されている。またこの底面210は、流路211上にフィルタ26が配置されている。このフィルタ26は、第2の空間24内に流入した血液などが流路211に流れ込まないように設けられている。流路211は、第2の空間24内の気体Kが流れる通路である。
【0039】
また第1のハウジング21は、底面280(第1の底面)を有する筒形状の挿入部28を有し、底面280から突出するように出力ポート27が設けられている。出力ポート27は、筒形状の一例として円筒形状を有し、その内部が流路211となっている。また出力ポート27は、先端にテーパー処理が施されてテーパー面271が形成されている。なお、出力ポート27の先端は、テーパー面に限らず、例えばR形状であっても良い。また出力ポート27は、円筒形状に限定されず、角筒形状であっても良い。
【0040】
挿入部28は、出力ポート27を囲む円筒形状を有し、出力ポート27と共に一体に形成されている。挿入部28の開口281には、継手30が挿入される。
【0041】
さらに第1のハウジング21は、例えば、
図2Aに示すように、挿入部28の側面282から突出する突起29が設けられている。この突起29は、例えば、
図2Bに示す接続部3のクランク溝32に挿入される。突起29は、接続部3のクランク溝32の数に応じて2つ形成されている。なお変形例として、突起29が接続部3側に設けられ、クランク溝32が第1のハウジング21側に設けられても良い。
【0042】
第2のハウジング22の接続ポート221及び接続ポート222は、動脈側血液回路11又は静脈側血液回路12に接続される。動脈側血液回路11及び静脈側血液回路12を流れる血液Rは、例えば、接続ポート221から第1の空間23に流入してダイヤフラム25に圧力P
Rを付加し、接続ポート222から流出する。
【0043】
ダイヤフラム25は、例えば、
図3Aに示すように、ドーム形状を有し、その端部が第1のハウジング21及び第2のハウジング22に挟まれることで、ハウジング20に取り付けられている。ダイヤフラム25は、第1の空間23及び第2の空間24の圧力変化に追従して変位又は変形可能な柔軟な材料を用いて形成されている。ダイヤフラム25は、例えば、血液Rと気体Kとを遮断することが可能なシリコンゴムなどの合成ゴムシートや塩化ビニルシートなどの可撓性シートを用いて形成される。
【0044】
(接続部3の構成)
接続部3は、例えば、
図2B及び
図3Bに示すように、底面310(第2の底面)を有する筒形状のガイド部31を有し、底面310から突出するように継手30が設けられ、ガイド部31の開口311にチャンバ2の挿入部28が挿入されてチャンバ2と接続するように構成されている。なお本実施の形態の継手30とガイド部31は、別の部材として形成されているがこれに限定されず、一体で形成されても良い。
【0045】
接続部3は、血液浄化装置9に取り付けられているので、チャンバ2と異なり、使い捨てされない。そこで接続部3は、防錆性、剛性、耐薬品性、対候性が高い材料を用いて形成される。そのため接続部3の継手30は、例えば、SUS316やSUS304などの硬質材料であるステンレス鋼を用いて細長い円筒形状に形成されているがこれに限定されず、非金属であっても良い。またガイド部31は、継手30と同様に、SUS316やSUS304などのステンレス鋼を用いて形成されている。なお本実施の形態の継手30は、ガイド部31の挿入孔315に圧入されている。また継手30は、円筒形状に限定されず、角筒形状であっても良い。
【0046】
継手30は、例えば、
図3Bに示すように、接続相手(出力ポート27)と対向する端部300に設けられ、Oリング5の抜け止めのために、接続相手を抜いた後のOリング5の位置を規定する第1のストッパとしてのキャップ4が取り付けられている。また継手30は、キャップ4に対向して設けられ、キャップ4とOリング5の直径Wより離れた第2のストッパが設けられている。
【0047】
具体的には、継手30は、チャンバ2と対向する端部300にOリング5が挿入されると共に気体Kの流路305と繋がる挿入開口301を有している。この挿入開口301の先端側には、第1のストッパとしてのキャップ4が取り付けられ、また挿入開口301の底面303が第2のストッパとなっている。この挿入開口301は、出力ポート27の挿入方向に直角な断面の形状が円形であり、流路305の付近で半径が小さくなる先端領域304を有し、この先端領域304と流路305とが繋がっている。この先端領域304には、出力ポート27の端部272が挿入される。また継手30の終端部309は、圧力検出部10の圧力センサ10aに繋がれたチューブ10bが接続されている。
【0048】
継手30の端部300の上部は、外側にテーパー面306が形成され、内側に嵌合部307が形成されている。テーパー面306は、キャップ4との間にスペースを作るために形成されている。このスペースに工具を差し込んでガイド部31を支点にてこの原理を用いることにより、キャップ4を継手30から容易に取り外すことができる。
【0049】
嵌合部307は、挿入開口301の側面302から凹んだ凹部307aと、上部が側面302よりも直径が大きく、凹部307aより突出する凸部307bと、により構成され、凹部307aと凸部307bとがS字形状となるように滑らかな曲線で繋がっている。この嵌合部307は、挿入開口301の周方向に渡って形成されている。
【0050】
ガイド部31は、上面312の開口311側にテーパー面313が設けられている。ガイド部31の上面312は、
図3Bに示すように、キャップ4よりも高く位置している。従って掃除などの際に布などが誤ってキャップ4に触れて継手30から外れるトラブルが少ない。
【0051】
またガイド部31は、チャンバ2の挿入部28の挿入を案内すると共にチャンバ2が挿入され、継手30と出力ポート27がOリング5を介して接続された状態を保持するためのクランク溝32を有している。
【0052】
このクランク溝32は、
図2A及び
図2Bに示すように、チャンバ2を挿入する方向に沿って形成された縦溝320と、縦溝320に対して直角方向に形成された横溝321と、を備えている。このクランク溝32は、継手30を挟んで対向するように設けられている。
【0053】
チャンバ2の突起29が縦溝320に挿入され、出力ポート27と継手30とが接続された後、
図2Bの紙面左方向にチャンバ2を回転させて突起29を横溝321に嵌め込めば、チャンバ2と接続部3との接続がロックされる。なおガイド部31の開口311の側面311aには、突出する爪部311bが形成され、チャンバ2の第1のハウジング21に設けられた凸部を乗り越えることで、接続部3に対するチャンバ2の回転をロックする。
【0054】
(キャップ4の構成)
キャップ4は、例えば、弾性、靱性、耐薬品性、耐候性が高い材料を用いて形成される。本実施の形態のキャップ4は、例えば、ポリプロピレンを用いて形成されている。
【0055】
キャップ4は、例えば、
図4A及び
図4Bに示すように、上部40と下部41とを備えている。上部40は、円板形状を有している。上部40は、挿入開口45の上側の角が丸く形成されている。
【0056】
下部41の挿入開口45側には、上部40と段差46が形成されている。そして下部41は、Oリング5が接触する端部が斜面47となっている。また下部41は、継手30の嵌合部307と嵌め合う嵌合部48が形成されている。
【0057】
この嵌合部48は、嵌合部307のS状に凹んだ凹部307aに応じた角が曲面となる凸部48aと、嵌合部307の凸部307bに嵌る形状を有する凹部48bと、から構成されている。
図4A及び
図4Bに示すように、嵌合部307の凹部307aと嵌合部48の凸部48aは、嵌り合わず、隙間が生じるようになっている。この隙間は、上述のてこの原理を用いてキャップ4を外す際、キャップ4が撓むのを許容するように設けられている。
【0058】
Oリング5は、後述するように、継手30の挿入開口301の幅よりも大きい外周の直径を有する。従ってOリング5は、挿入開口301に挿入されると、自重で下がり難い。挿入されたチャンバ2を接続部3から抜く場合、
図4Bに矢印で示すように、上向きに出力ポート27が移動するのにつれてOリング5も上方向にシール位置を変更しながら移動する。この移動によってOリング5は、キャップ4の斜面47に接触し、主に、この斜面47に垂直な方向、つまり斜面47の法線方向と逆向きの方向に力Fを付加する。この力Fは、キャップ4を嵌合部307に押し付ける力であってキャップ4の嵌合部48と嵌合部307との嵌め合いが強固となる方向の力である。従って接続構造1は、継手30からOリング5が抜け難い構造を有している。
【0059】
またチャンバ2を接続部3から抜いた後、
図4Aに示すように、Oリング5は、挿入開口301の上部に位置する。そしてチャンバ2を接続部3に挿入する場合、
図4Aに矢印で示すように、下向きに出力ポート27が移動するのにつれてOリング5も下方向にシール位置を変更しながら移動し、底面303で移動が停止する。
【0060】
(Oリング5の構成)
図5Aは、第1の実施の形態に係るOリングのつぶし率の一例について説明する図であり、
図5Bは、Oリングが回転しない場合のダメージを受ける領域の一例について説明する図であり、
図5Cは、Oリングが回転する場合のダメージを受ける領域の一例について説明する図である。
【0061】
Oリング5は、耐摩耗性、耐薬品性、弾性(低い圧縮永久歪み)、耐候性が高い材料を用いてリング形状に形成される。さらにOリング5は、低摩擦、つまり摩擦係数μが小さい、つまり摩擦抵抗が小さい材料が良い。本実施の形態のOリング5は、ゴム硬度が50°〜80°であり、ねじれ方向に均等に回転しうるフッ素ゴムを用いてリング形状に形成されている。なおOリング5は、シール部材としての役割を果たすのであれば材質を問わず、表面をコーティングすることによって摩擦抵抗を低くされても良い。
【0062】
ここでチャンバ2の出力ポート27の幅D
1、継手30の挿入開口301の直径D
2、Oリング5の直径Wを用いると、以下の式(1)に示す関係がある。
0<1−(D
2−D
1)/2W<α・・・(1)
この式(1)を満足する場合、Oリング5がシール性を保ちながら挿抜に対してシール位置を変更しながら移動する。閾値αは、出力ポート27、継手30及びOリング5の材料や寸法、表面状態によって異なる値となる。なお、一般的なつぶし量は、およそ8〜25%であるが(“1−(D
2−D
1)/2W”では0.08〜0.25である)、本実施の形態のつぶし量は、例えば、十数%である。
【0063】
図5Bに示すように、Oリング5が取り付けられる取付溝30bが固定壁30aに形成され、この取付溝30bの第1のストッパ30c(上面)と第2のストッパ30d(下面)に接触することによって、Oリングがシール位置を変更しながら移動できないように拘束される場合、摺動部材27aがOリング5と接触しながら下方向に移動すると、Oリング5がシール位置を変更しながら移動できないので、摺動部材27aと擦れ合う領域55が大きなダメージを受ける。
【0064】
一方
図5Cに示すように、取付溝30bの第1のストッパ30c(上面)と第2のストッパ30d(下面)に接触しても、Oリングがシール位置を変更しながら移動できないように拘束されない場合、摺動部材27aがOリング5と接触しながら下方向に移動すると、Oリング5がシール位置を変更しながら下に移動するので、ダメージを受ける領域55が取付溝30b側と摺動部材27a側とに分散する。つまり、
図5Cに示す領域55は、
図5Bに示す領域55と比べて、広範囲となる。従ってOリング5は、挿抜による表面荒れが発生し難い、つまりシール面51(Oリング5の表面)を傷つけるようなことが抑制され、ダメージが小さく、挿抜耐久性が高く長寿化する。
【0065】
図5Aに示すように、Oリング5が移動可能な距離Lは、出力ポート27がOリング5に接触してから接続が終了するまでのストロークに応じて定められ、Oリング5の直径Wよりも大きい。なお距離Lは、キャップ4の斜面47の上部から底面303までの距離である。
【0066】
上述のように、チャンバ2は、使い捨てである。しかし接続部3は、血液浄化装置9の本体90に取り付けられているため、使い捨てとはならない。Oリング5は、コスト面から使い捨てするよりも繰り返し使える方が良いので、接続部3に配置されるが何度も挿抜を繰り返すと劣化し、圧力もれが生じて検出精度が低下する。本実施の形態の接続構造1は、Oリング5がシール位置を変更しながら移動するように構成されているので、検出精度が低下するまでの寿命が長くなる。
【0067】
(チャンバ2と接続部3の取り付けについて)
図6A〜
図6Dは、第1の実施の形態に係る接続構造におけるチャンバと接続部の接続の一例の図である。
図7A〜
図7Cは、第1の実施の形態に係る接続構造におけるチャンバと接続部の接続の一例の断面図である。接続部3は、血液浄化装置9の本体90に固定されているとして説明する。
【0068】
図6A及び
図7Aに示すように、チャンバ2の挿入部28の先端を接続部3の開口311に挿入し、接続部3の縦溝320とチャンバ2の突起29の位置を合わせる。この際、チャンバ2の挿入部28は、ガイド部31にガイドされて開口311内に挿入される。
【0069】
次に
図6B及び
図7Bに示すように、チャンバ2を接続部3にさらに押し込むと、出力ポート27のテーパー面271にOリング5が接触する。接続構造1は、ガイド部31によるガイドが始まって出力ポート27がOリング5に接触するまでの距離が長い、つまり挿入部28が開口311にガイドされながら移動する距離を十分長くすることにより、チャンバ2の傾きを抑制し、出力ポート27を垂直にOリング5に挿入することができる。この距離が短い場合、出力ポート27が傾いてOリング5に挿入される可能性がある。
図7Aに示すように、ガイド部31による挿入部28のガイド開始時において、このガイド開始点からOリング5の頂点までの距離L
2は、出力ポート27の先端から挿入部28の下面283までの距離L
1より長い。
【0070】
次に
図6C及び
図7Cに示すように、チャンバ2を接続部3にさらに押し込むと、チャンバ2の下面183が接続部3の底面310に接触し、挿入が終了する。この際、出力ポート27がOリング5を下に押し下げながら移動するので、Oリング5がシール位置を変更しながら下に移動する。そしてOリング5は、継手30の底面303に接触する。この際、チャンバ2の突起29が横溝321に移動可能となる。
【0071】
次に
図6Dに示すように、チャンバ2を回転させて突起29を横溝321に移動させ、チャンバ2と接続部3とをロックする。チャンバ2を抜く際は、上記の手順を逆に行う。Oリング5は、出力ポート27の移動に応じて上方向にシール位置を変更しながら移動し、キャップ4と接触する位置に留まる。
【0072】
図8は、第1の実施の形態に係るOリングの交換の一例を説明する図である。
図8に示すように、キャップ4と継手30の間に形成された隙間7に工具8の先端80を差し込み、ガイド部31を支点として、てこの原理によって容易にキャップ4を取り外すことができる。そしてキャップ4を外した後、Oリング5が挿入開口301に嵌っているだけなので、容易に取り出すことができる。
【0073】
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る接続構造1は、シール部材であるOリング5の耐久性を向上させることができる。具体的には、接続構造1は、チャンバ2を接続部3に挿抜する際、出力ポート27とOリング5が接触してOリング5がシール位置を変更しながら移動するので、シール部材がシール位置を変更しながら移動しない場合と比べて、チャンバ2の挿抜によるOリング5のダメージが少なく、挿抜耐久性が高い。そして接続構造1は、Oリング5の挿抜耐久性が高いので、交換サイクルが長くなり、運用コストを低減することができる。さらに接続構造1は、Oリング5の挿抜耐久性が高いので、シール性が良く、圧力センサ10aによる圧力の検出精度が安定する。
【0074】
接続構造1は、継手30から取り外し容易なキャップ4がOリング5の抜け止めとなっているので、この構成を採用しない場合と比べて、Oリング5の交換が容易となる。
【0075】
接続構造1は、ガイド部31の上面312よりも下にキャップ4が位置するので、上面312以上の位置にキャップ4がある場合と比べて、掃除の際に布などが意図せずキャップ4に触れて外れるようなことを抑制することができる。また接続構造1は、ガイド部31の上面312がキャップ4よりも高く、さらにキャップ4と継手30の隙間7に工具(マイナスドライバーなど)を挿入することが容易なので、ガイド部31を支点としたてこの原理を用いて容易にキャップ4を外すことができる。
【0076】
接続構造1は、出力ポート27がOリング5に接触する前に挿入部28がガイド部31にガイドされてチャンバ2の傾きが抑制されるので、この構成を採用しない場合と比べて、出力ポート27がOリング5の挿入開口50に垂直に挿入される。また接続構造1は、垂直に挿入されることで、Oリング5がねじれ方向に均等に回転するので、Oリングは局所的な負荷を受けにくく、シール性能を長く維持することができる。
【0077】
血液浄化装置9は、接続構造1を採用することにより、Oリング5の交換サイクルが長くなると共に血液Rの圧力の検出精度を長く維持することができるので、運用コストが抑制されると共に性能を長く維持することができる。
【0078】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、接続構造1がチャンバ2、接続部3及びOリング5によって構成される点で他の実施の形態と異なっている。
【0079】
図9Aは、第2の実施の形態に係る継手の一例の断面図である。なお以下に記載する実施の形態において、第1の実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分は、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0080】
本実施の形態の継手30は、
図9Aに示すように、チャンバ2と対向する端部300に設けられ、Oリング5の抜け止めのために、出力ポート27を抜いた後のOリング5の位置を規定する第1のストッパ308を備えている。
【0081】
この第1のストッパ308は、挿入開口301の側面302より突出する、つまり側面302間の距離より短い距離となっている。この第1のストッパ308は、下側にテーパー面308aが形成されている。チャンバ2の出力ポート27が挿入される前、Oリング5は、このテーパー面308aに接触している。
【0082】
本実施の形態の接続構造1は、キャップを使用しないので、部品点数が少なく、低コストとなる。
【0083】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、第2の実施の形態の接続構造1において継手30の側面302がテーパー形状を有する点で他の実施の形態と異なっている。
【0084】
図9Bは、第3の実施の形態に係る継手の一例の断面図である。本実施の形態は、
図9Bに示すように、継手30の側面302がテーパー形状を有している。この側面302は、
図9Bの紙面上側が広く、下側が狭くなっている。従ってOリング5は、出力ポート27が挿入される前、挿入開口301の上部、つまり第1のストッパ308と接触する位置に留まり易くなっている。
【0085】
本実施の形態の接続構造1は、チャンバ2と接続部3との接続前のOリング5の位置が安定しているので、挿入開口301がテーパー形状を有していない場合と比べて、チャンバ2の出力ポート27が設計された位置でOリング5と接触し易い。また接続構造1は、連続的に挿入開口301の直径が変化するので、テーパー形状を形成しない場合と比べて、Oリング5の形状を設計し易い。
【0086】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態は、チャンバ2側にOリング5が配置される点で他の実施の形態と異なっている。
【0087】
図10A〜
図10Cは、第4の実施の形態に係る接続構造の一例の図である。
図10Aは、チャンバ2と接続部3との挿入開始時を示している。
図10Bは、挿入途中を示している。
図10Cは、挿入終了を示している。
【0088】
本実施の形態の接続構造1の出力ポート27は、
図10A〜
図10Cに示すように、継手30と対向する端部に設けられ、Oリング5の抜け止めのために、Oリング5の位置を規定する第1のストッパ273と、第1のストッパ273に対向して設けられ、第1のストッパ273とOリング5の直径より離れた第2のストッパ274と、を備えている。この接続構造1は、チャンバ2と接続部3との接続により、Oリング5がシール位置を変更しながら出力ポート27の第1のストッパ273側から第2のストッパ274側に移動する。
【0089】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態は、第4の実施の形態の接続構造1において継手30の側面302がテーパー形状を有している点で他の実施の形態と異なっている。
【0090】
図11A〜
図11Cは、第5の実施の形態に係る接続構造の一例の図である。
図11Aは、チャンバ2と接続部3との挿入開始時を示している。
図11Bは、挿入途中を示している。
図11Cは、挿入終了を示している。
【0091】
本実施の形態の接続構造1は、
図11A〜
図11Cに示すように、継手30の側面302がテーパー形状を有している。
【0092】
この接続構造1は、チャンバ2と接続部3との接続により、Oリング5が回転しながら出力ポート27の第1のストッパ273側から第2のストッパ274側に移動する。この際、出力ポート27の側面270と継手30の側面302との距離は、
図11A〜
図11Cの紙面下側ほど短くなるので、つぶし率が変動しながらOリング5がシール位置を変更しながら移動する。このつぶし率の変動は、つぶし率が小さくなる方向に変動する。
【0093】
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態は、出力ポート27の側面270が逆テーパー形状を有している点で他の実施の形態と異なっている。
【0094】
図12A〜
図12Cは、第6の実施の形態に係る接続構造の一例の図である。
図12Aは、チャンバ2と接続部3との挿入開始時を示している。
図12Bは、挿入途中を示している。
図12Cは、挿入終了を示している。
【0095】
本実施の形態の接続構造1は、
図12A〜
図12Cに示すように、出力ポート27の側面270がテーパー形状を有している。出力ポート27の側面270と継手30の側面302との距離は、他の実施の形態と異なり、
図12A〜
図12Cの紙面の下側が長く、上側が短くなっている。つまり本実施の形態における側面270のテーパー形状は、他の実施の形態のテーパー形状とはテーパーの向きが逆、つまり逆テーパー形状となっている。
【0096】
この接続構造1は、チャンバ2と接続部3との接続により、Oリング5がシール位置を変更しながら出力ポート27の第1のストッパ273側から第2のストッパ274側に移動する。しかし出力ポート27の側面270と継手30の側面302との距離は、
図12A〜
図12Cの紙面下側ほど長くなるので、つぶし率が大きくなる方向に変動しながらOリング5がシール位置を変更しながら移動する。
【0097】
[第7の実施の形態]
第7の実施の形態は、出力ポート27の側面270、及び継手30の側面302の双方にテーパー形状が形成されている点で他の実施の形態と異なっている。
【0098】
図13A〜
図13Cは、第7の実施の形態に係る接続構造の一例の図である。
図13Aは、チャンバ2と接続部3との挿入開始時を示している。
図13Bは、挿入途中を示している。
図13Cは、挿入終了を示している。
【0099】
本実施の形態の接続構造1は、
図13A〜
図13Cに示すように、出力ポート27の側面270、及び継手30の側面302がテーパー形状を有している。また継手30の側面302は、
図13A〜
図13Cの紙面の上側が垂直で、下側がテーパー形状となっている。このテーパー形状は、下側が太くなる形状である。
【0100】
この接続構造1は、チャンバ2と接続部3との接続により、Oリング5がシール位置を変更しながら出力ポート27の第1のストッパ273側から第2のストッパ274側に移動する。この際、つぶし率が変動しながらOリング5が移動するが出力ポート27と継手30のテーパー形状を調整することにより、つぶし率を途中から一定とすることもできる。
【0101】
[第8の実施の形態]
第8の実施の形態は、圧力検出部10が血液ポンプ113の前後に配置されている点で他の実施の形態と異なっている。
【0102】
図14は、第8の実施の形態に係る血液浄化装置の構成の一例の図である。本実施の形態の圧力検出部10は、
図14に示すように、動脈側血液回路11のクランプ112と血液ポンプ113との間に追加で配置、つまり血液ポンプ113の前後に配置されている。
【0103】
従って血液浄化装置9は、血液ポンプ113の前後で血液の圧力を検出することができるので、いずれか一方の場合と比べて、血液ポンプ113の制御をより適切に行うことができ、血液の圧力管理の精度が向上する。また血液浄化装置9は、圧力検出部10が増えても接続構造1を採用することでOリング5が長寿命となるので、接続構造1を採用しない場合と比べて、運用コストを低減することができる。
【0104】
[第9の実施の形態]
第9の実施の形態は、キャップ4と継手30とがネジ結合される点で他の実施の形態と異なっている。
【0105】
図15Aは、第9の実施の形態に係る接続構造の一例の斜視図であり、
図15Bは、キャップの一例の断面図であり、
図15Cは、継手の一例の側面図である。
図16Aは、第9の実施の形態に係るキャップが取り付けられた継手の一例の断面図であり、
図16Bは、チャンバを接続部に接続した一例の断面図である。なお
図16Bに示すチャンバ2は、第1のハウジング21のみを図示している。
【0106】
本実施の形態の接続構造1は、例えば、
図15A〜
図16Bに示すように、キャップ4と継手30とがネジ結合されている。
【0107】
キャップ4は、樹脂材料や金属材料を用いて円筒形状に形成されている。またキャップ4は、
図15Bに示すように、出力ポート27が挿入される挿入開口45と繋がる内部空間45aを有している。この内部空間45aの内壁45bには、嵌合部48が設けられている。本実施の形態の嵌合部48は、メネジ部48cとして構成されている。
【0108】
本実施の形態の挿入開口45は、
図15Aに示すように、六角形状を有している。従ってキャップ4は、この挿入開口45に応じた六角レンチが挿入され、継手30に対して回転させることにより、継手30とネジ結合される。
【0109】
なお挿入開口45の形状は、六角形状に限定されず、チャンバ2の出力ポート27が挿入可能な形状で、かつ使用されるヘックスローブなどの工具の形状に応じた形状としても良い。またキャップ4は、外形がソケットレンチなどの工具を嵌めることが可能な六角形状などであっても良い。
【0110】
継手30は、
図15Cに示すように、上側の端部300に嵌合部307が設けられている。本実施の形態の嵌合部307は、オネジ部307cとして構成されている。Oリング5が継手30の挿入開口301に配置された後、キャップ4のメネジ部48cがオネジ部307cに挿入される。そして継手30に対してキャップ4が回転させられることにより、メネジ部48cとオネジ部307cとがネジ結合してキャップ4と継手30とが接続される。
【0111】
本実施の形態の接続構造1は、キャップ4の嵌合部48と接続部3の嵌合部307とがネジ結合によって接続されるので、この構成を採用しない場合と比べて、キャップ4の取り外しが容易となる。また接続構造1は、キャップ4の挿入開口45に工具を挿入してキャップ4を取り外すことができるので、この構成を採用しない場合と比べて、キャップ4の取り外しがより容易になると共にガイド部31などを工具で傷つけることが抑制される。
【0112】
以上述べた少なくとも1つの実施の形態の接続構造1、及び接続構造1を採用する血液浄化装置9によれば、シール部材の耐久性を向上させることができる。
【0113】
[実施例]
図17A〜
図17Cは、チャンバを継手に500回挿抜した後のOリングの表面状態の図である。
図18A〜
図18Cは、チャンバを継手に1000回挿抜した後のOリングの表面状態の図である。
図19A〜
図19Cは、Oリングの内周側の表面状態を拡大した図である。
【0114】
図17A、
図18A及び
図19Aは、Oリング5の転がり代が0.8mmである。
図17B、
図18B及び
図19Bは、Oリング5の転がし代が0.4mmである。
図17C、
図18C及び
図19Cは、Oリング5の転がり代が0mmである。この転がり代とは、
図3Bに示すように、Oリング5がキャップ4に接触した状態におけるOリング5が移動可能な距離、言い換えるならチャンバ2の挿抜方向における挿入開口301内のOリング5の遊び(隙間長)であり、Oリング5の下部から継手30の底面303までの距離である。この転がり代が長いほど、Oリング5がシール位置を変更しながら移動し易くなる。
【0115】
また
図17A〜
図18Cに示す実線の囲みは、荒れ領域56を示している。荒れ領域56は、囲まれたOリング5の表面がチャンバ2の挿抜によって荒れた領域を示している。
【0116】
さらに
図19Aは、挿抜を800回行った後に内周側のシール面51に発生したエグレの周囲を実線で囲んでいる。
図19Bは、挿抜を500回行った後に内周側のシール面51に発生したエグレの周囲を実線で囲んでいる。
図19Cは、挿抜を200回行った後に内周側のシール面51に発生したエグレの周囲を実線で囲んでいる。
【0117】
図17A〜
図19Cに示すように、Oリング5は、内周側のシール面51にエグレが出現する時期が0mm、0.4mm、0.8mmの順で早くなっている。また
図19A〜
図19Cに示すように、転がり代が小さくなるに従ってOリング5のシール面51に発生するエグレが大きくなっている。特に
図19Cに示すエグレ部分57は、挿抜の回数が200回であるものの、
図19Aに示す転がり代が0.8mm(挿抜の回数が800回)である場合、及び
図19Bに示す転がり代が0.4mm(挿抜の回数が500回)である場合と比べて、挿抜の回数が少ないもののシール面51が大きく裂けている。なおエグレとは、圧力もれが生じるような許容し難い荒れ、或いは局所的な破損を示し、使用に支障が生じる荒れや破損、つまり圧力センサ10aによる圧力の検出精度が低下する荒れや破損を示している。
【0118】
また
図17A〜
図19Cに示すように、Oリング5は、荒れ領域56が0.8mm、0.4mm、0mmの順で大きくなっている。Oリング5は、転がり代が大きい方がシール位置を変更しながら移動し易く、挿抜されるチャンバ2と接触する領域が広くなるので、荒れ領域56が広範囲となる。
【0119】
以上より、以下の関係が成り立つ。
Oリング5がシール位置を変更しながら移動し易い場合、荒れ領域56が広範囲となる。この場合、Oリング5は、局所的な荒れが発生し難く耐久性が良い。
Oリング5がシール位置を変更しながら移動し難い場合、荒れ領域56が狭範囲となる。この場合、Oリング5は、局所的な荒れが発生し易く耐久性が悪い。
従ってOリング5は、荒れ領域56が広範囲に及ぶほど局所的な荒れが低減する。
【0120】
接続構造1は、Oリング5がシール位置を変更しながら移動し易いように構成されている。従って接続構造1、及び接続構造1を採用する血液浄化装置9は、Oリング5の荒れ領域56が広範囲となり、Oリング5の耐久性が良い。
【0121】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した複数の実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号などを援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号などは、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0122】
[1]中空形状のハウジング(20)、前記ハウジング(20)内を第1の空間(23)と第2の空間(24)に分けるダイヤフラム(25)、及び前記第1の空間(23)に流入する流体(血液R)の圧力(PR)による前記ダイヤフラム(25)の変形に伴って前記第2の空間(24)の気体(K)を出力する出力ポート(27)を有するチャンバ(2)と、
前記出力ポート(27)と接続する継手(30)を有し、前記継手(30)から出力される前記気体(K)の圧力(P
K)を検出する圧力センサ(10a)を有する圧力検出装置(本体90)に取り付けられた接続部(3)と、
前記出力ポート(27)の側面(270)と前記継手(30)の側面(302)に挟まれ、前記チャンバ(2)と前記接続部(3)を接続したり、抜いたりする際にシール位置を変更しながら移動するシール部材(Oリング5)と、
を備えた接続構造(1)。
【0123】
[2]前記出力ポート(27)の側面(270)、及び前記継手(30)の側面(302)の少なくとも一方がテーパー形状を有する、
[1]に記載の接続構造(1)。
【0124】
[3]前記出力ポート(27)の側面(270)又は前記継手(30)の側面(302)に配置され、前記シール部材(Oリング5)の抜け止めのために前記シール部材(Oリング5)の位置を規定する第1のストッパ(273又は308)と、
前記第1のストッパ(273又は308)に対向した位置、且つ前記出力ポート(27)の側面(270)又は前記継手(30)の側面(302)に配置され、前記第1のストッパ(273又は308)と前記シール部材(Oリング5)の直径(W)より離れた第2のストッパ(274又は底面303)と、
を備えた、
[1]又は[2]に記載の接続構造(1)。
【0125】
[4]前記継手(30)は、前記チャンバ(2)と対向する端部(300)に前記シール部材(Oリング5)が挿入されると共に前記気体(K)の流路(211)と繋がる挿入開口(301)を有し、
前記挿入開口(301)の先端側に前記第1のストッパ(308)が設けられ、前記挿入開口(301)の底面(303)が前記第2のストッパとなる、
[3]に記載の接続構造(1)。
【0126】
[5]前記第1のストッパは、前記端部(300)に取り付けられたキャップ(4)である、
[4]に記載の接続構造(1)。
【0127】
[6]前記チャンバ(2)は、第1の底面(底面280)を有する筒形状の挿入部(28)を有し、前記第1の底面(底面280)から突出するように前記出力ポート(27)が設けられ、
前記接続部(3)は、第2の底面(底面310)を有する筒形状のガイド部(31)を有し、前記第2の底面(底面310)から突出するように前記継手(30)が設けられ、前記ガイド部(31)の開口(311)に前記挿入部(28)が挿入されて前記チャンバ(2)と前記接続部(3)とが接続する、
[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の接続構造(1)。
【0128】
[7][1]乃至[6]のいずれか1項に記載の接続構造(1)と、
人間の血液(R)を浄化するために当該血液(R)が流通可能である血液回路(動脈側血液回路11及び静脈側血液回路12)と、
前記接続構造(1)を介して前記血液回路(動脈側血液回路11及び静脈側血液回路12)が装着されると共に、前記血液回路(動脈側血液回路11及び静脈側血液回路12)において流通する血液(R)の圧力(P
R)を前記圧力検出装置として検出する一方で当該血液(R)を浄化する血液浄化装置本体(90)と、
を備えた血液浄化装置(9)。
【0129】
[8]前記液体回路(動脈側血液回路11及び静脈側血液回路12)は、血液浄化治療の都度、廃棄される消耗品であり、
前記チャンバ(2)は、前記液体回路(動脈側血液回路11及び静脈側血液回路12)に設けられ、
前記接続部(3)及び前記シール部材(Oリング5)は、前記血液浄化装置本体(90)に設けられる、
[7]に記載の血液浄化装置(9)。
【0130】
[9][1]乃至[6]のいずれか1項に記載の接続構造(1)と、
人間の血液(R)又は透析液が流通可能であり、血液浄化治療の都度、廃棄される消耗品である液体回路(動脈側血液回路11及び静脈側血液回路12)と、
前記接続構造(1)を介して前記液体回路(動脈側血液回路11及び静脈側血液回路12)が装着される血液浄化装置本体(90)と、
前記血液浄化装置本体(90)内において着脱可能に前記シール部材(Oリング5)を封止する封止部材(キャップ4)と、
を備える血液浄化装置(9)であって、
前記チャンバ(2)は、前記液体回路(動脈側血液回路11及び静脈側血液回路12)に設けられ、
前記接続部(3)及び前記シール部材(Oリング5)は、前記血液浄化装置本体(90)に設けられる、
血液浄化装置(9)。
【0131】
以上、本発明のいくつかの実施の形態、実施例及び変形例を説明したが、これらの実施の形態、実施例及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態、実施例及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態、実施例及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態、実施例及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。