特許第6869434号(P6869434)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869434
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】スライドラッククランプ装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20210426BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20210426BHJP
   G02B 21/34 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   G01N35/04 H
   G01N35/04 E
   G01N1/00 101A
   G02B21/34
【請求項の数】19
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-524850(P2020-524850)
(86)(22)【出願日】2018年11月30日
(65)【公表番号】特表2021-502551(P2021-502551A)
(43)【公表日】2021年1月28日
(86)【国際出願番号】US2018063464
(87)【国際公開番号】WO2019109031
(87)【国際公開日】20190606
【審査請求日】2020年5月7日
(31)【優先権主張番号】62/593,138
(32)【優先日】2017年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503293765
【氏名又は名称】ライカ バイオシステムズ イメージング インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Leica Biosystems Imaging, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ニューバーグ
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−292999(JP,A)
【文献】 米国特許第6905300(US,B1)
【文献】 特開平02−216458(JP,A)
【文献】 特開2002−116122(JP,A)
【文献】 特開2012−155324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/04
G01N 1/00
G02B 21/34
B01L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドラッククランプ装置であって、前記スライドラッククランプ装置は、
下部クランプと、
上部クランプと、
モータと、
を備え、
前記下部クランプは、係合面と、前記係合面から外方向に延在する2つ以上の下部クランプ突出部と、を含み、前記下部クランプ突出部は、スライドラックの底面中の1つ以上のスライドラック凹部を係合するように構成され、
前記上部クランプは、係合面と、前記係合面から外方向に延在する2つ以上の上部クランプ突出部と、を含み、前記上部クランプ突出部は、前記スライドラックの上面中の1つ以上のスライドラック凹部を係合するように構成され、
前記モータは、
前記下部クランプを直線軸沿いに駆動し、前記下部クランプ突出部を前記スライドラックの前記底面中の前記1つ以上のスライドラック凹部と係合させ、
前記下部クランプを前記スライドラックと係合させた後に、前記下部クランプと前記上部クランプとの間で前記スライドラックを完全に係合させるために、前記下部クランプをさらに前記直線軸沿いに駆動し、前記スライドラックの前記上面中の前記1つ以上のスライドラック凹部を前記上部クランプ突出部と係合させる、
ように構成される、
スライドラッククランプ装置。
【請求項2】
前記2つ以上の下部クランプ突出部は、前記下部クランプの前記係合面から固定された距離に延在する、
請求項1に記載の前記スライドラッククランプ装置。
【請求項3】
前記2つ以上の上部クランプ突出部は、前記上部クランプの前記係合面から固定された距離に延在する、
請求項1に記載の前記スライドラッククランプ装置。
【請求項4】
前記2つ以上の下部クランプ突出部のうちの少なくとも1つは、それが前記スライドラックの前記底面中の前記1つ以上のスライドラック凹部のうちの1つと係合されるときに延在したままであり、前記スライドラックの前記底面と直接係合されるときに前記下部クランプの前記係合面の凹部中に後退するように、ばね付勢される、
請求項1に記載の前記スライドラッククランプ装置。
【請求項5】
前記2つ以上の下部クランプ突出部のすべては、ばね付勢される、
請求項4に記載の前記スライドラッククランプ装置。
【請求項6】
前記2つ以上の上部クランプ突出部のうちの少なくとも1つは、それが前記スライドラックの前記上面中の前記1つ以上のスライドラック凹部のうちの1つと係合されるときに延在したままであり、前記スライドラックの前記上面と直接係合されるときに前記上部クランプの前記係合面の凹部中に後退するように、ばね付勢される、
請求項1に記載の前記スライドラッククランプ装置。
【請求項7】
前記2つ以上の上部クランプ突出部のすべては、ばね付勢される、
請求項6に記載の前記スライドラッククランプ装置。
【請求項8】
前記スライドラックが前記下部クランプと前記上部クランプとの間で完全に係合されるときに、前記モータは、前記下部クランプを前記直線軸沿いに駆動しながら、前記上部クランプは、前記モータに対して抵抗を与えるように構成される、
請求項1に記載の前記スライドラッククランプ装置。
【請求項9】
前記抵抗は、前記上部クランプの重量を含む、
請求項8に記載の前記スライドラッククランプ装置。
【請求項10】
前記下部クランプ突出部は、前記スライドラックの前記底面中の前記1つ以上のスライドラック凹部と係合されるときに、前記下部クランプ突出部の長手方向軸に垂直である平面中で、前記スライドラックのX−Y移動を防止するように構成される、
請求項1に記載の前記スライドラッククランプ装置。
【請求項11】
前記上部クランプ突出部は、前記スライドラックの前記上面中の前記1つ以上のスライドラック凹部と係合されるときに、前記上部クランプ突出部の長手方向軸に垂直である平面中で、前記スライドラックのX−Y移動を防止するようにさらに構成される、
請求項1に記載の前記スライドラッククランプ装置。
【請求項12】
前記2つ以上の下部クランプ突出部のぞれぞれは、前記2つ以上の上部クランプ突出部の同一のものに対応する、
請求項1に記載の前記スライドラッククランプ装置。
【請求項13】
前記2つ以上の下部クランプ突出部のそれぞれは、前記下部クランプ突出部の長手方向軸沿いに、前記2つ以上の上部クランプ突出部の前記同一のものとアライメントを取る、
請求項12に記載の前記スライドラッククランプ装置。
【請求項14】
前記2つ以上の下部クランプ突出部のそれぞれおよび前記2つ以上の上部クランプ突出部のそれぞれは、斜面に縁取られた縁部を備える、
請求項1に記載の前記スライドラッククランプ装置。
【請求項15】
前記2つ以上の下部クランプ突出部および前記2つ以上の上部クランプ突出部は、位置固定される、
請求項1に記載の前記スライドラッククランプ装置。
【請求項16】
前記2つ以上の下部クランプ突出部および前記2つ以上の上部クランプ突出部のそれぞれが2つ以上の異なるスライドラックのそれぞれの中の少なくとも1つの凹部内に嵌合するように、前記2つ以上の下部クランプ突出部の輪郭および前記2つ以上の上部クランプ突出部の輪郭は、前記2つ以上の異なるスライドラックについての凹部の2つ以上の異なる輪郭とアライメントを取る、
請求項15に記載の前記スライドラッククランプ装置。
【請求項17】
請求項1に記載の前記スライドラッククランプ装置と、
スライドを前記スライドラックから走査ステージ上に装着し、スライドを前記走査ステージから前記スライドラック中に脱離するための組立体と、
を備えるデジタルスライド走査装置。
【請求項18】
方法であって、前記方法は、
係合面と、前記係合面から外方向に延在する2つ以上の下部クランプ突出部と、を含む下部クランプをスライドラックの底面に向かい駆動するようにモータを制御するステップと、
前記2つ以上の下部クランプ突出部を前記スライドラックの前記底面中の1つ以上のスライドラック凹部と係合させるステップと、
前記2つ以上の下部クランプ突出部を前記スライドラックの前記底面中の前記1つ以上のスライドラック凹部と係合させた後に、スライドラック係合面と、前記係合面から外方向に延在する2つ以上の上部クランプ突出部と、を含む上部クランプに向かい前記下部クランプおよび前記スライドラックを駆動するように前記モータを制御するステップと、
前記スライドラックの前記上面中の1つ以上のスライドラック凹部を前記2つ以上の上部クランプ突出部と係合させ、前記下部クランプと前記上部クランプとの間で前記スライドラックを完全に係合させるステップと、
前記完全に係合したスライドラックをデジタルスライド走査装置内の走査ステージに向けて駆動するように前記モータを制御するステップと、
を含む方法。
【請求項19】
前記下部クランプを駆動するように前記モータを制御するステップは、前記下部クランプを直線軸沿いに駆動するステップを含む、
請求項18に記載の前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/593,138号に優先権を主張し、この出願は、完全に記載されているかのように参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、一般に、デジタルスライド走査装置(例えば、病理学用の)に関し、さらに特に、デジタルスライド走査装置内の内部運搬のためのスライドラックを固定する内部スライドラッククランプ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
デジタルパソロジーは、物理的なスライドから生成される情報の管理を可能にするコンピュータ技術によって対応される画像に基づく情報環境である。デジタルパソロジーは、物理的なスライドガラス上で検体を走査し、コンピュータモニタ上に格納され、表示され、管理され、分析されることができるデジタルスライド画像を作成する方法である、仮想顕微鏡によって部分的に可能にされる。スライドガラス全体を撮像する機能によって、デジタルパソロジー分野は急激に発展し、がんなどの重大な疾患の、さらによりよい、より高速な、そしてより安価な診断、予後および予測を達成するために、診断医学の最も有望な手段の1つと現在見なされている。
【0004】
いくつかのデジタルスライド走査装置は、複数のスライドラックを保持するように変更されているため、デジタルスライド走査装置が中断することなく数十または数百枚のスライドガラスを連続して処理することができる。しかしながら、スライドラックから走査ステージへの個々のスライドガラスの搬送は、重要な課題のままである。したがって、上述されているような従来のシステムに見られるこれらの重要な問題を解決するシステムおよび方法が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
その結果、実施形態において、スライドラッククランプ装置は、デジタルスライド走査装置内の走査ステージに、またこの走査ステージからの搬送のために、デジタルスライド走査装置内部にスライドラックを固定することが本明細書に記載されている。スライドラッククランプ装置は、上部クランプおよび下部クランプを含むことができる。上部クランプおよび下部クランプのそれぞれは、1つ以上のクランプ突出部を含む。1つ以上のクランプ突出部は、複数の異なるスライドラック製造元からの複数の異なるスライドラックの1つ以上のスライドラック凹部を係合するように構成されることができる。下部クランプを直線軸沿いにモータによって駆動し、下部クランプ突出部をスライドラックの下面の1つ以上のスライドラック凹部と係合させる。このモータは、上部クランプと下部クランプとの間にスライドラックを完全に係合させるために、下部クランプおよび係合したスライドラックを上方向に駆動し、スライドラックの上面の1つ以上のスライドラック凹部を上部クランプのクランプ突出部と係合させる。
【0006】
実施形態において、スライドラッククランプ装置は、係合面、およびこの係合面から外方向に延在する2つ以上の下部クランプ突出部を含む下部クランプであって、これらの下部クランプ突出部がスライドラックの底面中の1つ以上のスライドラック凹部を係合するように構成される、この下部クランプと、係合面、およびこの係合面から外方向に延在する2つ以上の上部クランプ突出部を含む上部クランプであって、これらの上部クランプ突出部がスライドラックの上面中の1つ以上のスライドラック凹部を係合するように構成される、この上部クランプと、下部クランプと上部クランプとの間にスライドラックを完全に係合させるために、下部クランプを直線軸沿いに駆動し、下部クランプ突出部をスライドラックの底面中の1つ以上のスライドラック凹部と係合させ、下部クランプをスライドラックと係合させた後に、下部クランプを直線軸沿いにさらに駆動し、スライドラックの上面中の1つ以上のスライドラック凹部を上部クランプ突出部と係合させるように構成されるモータとを備える。下部クランプおよび/または上部クランプの2つ以上のクランプ突出部は、それぞれのクランプの係合面から固定された距離に延在することができる。下部クランプおよび/または上部クランプの2つ以上の突出部のうちの少なくとも1つ(例えば、すべて)は、それがスライドラックのそれぞれの表面中の1つ以上のスライドラック凹部のうちの1つと係合するときに延在したままであり、そしてスライドラックのそれぞれの表面と直接係合するときにそれぞれのクランプの係合面の凹部中に後退するように、ばね付勢される。
【0007】
実施形態において、上部クランプは、スライドラックが下部クランプと上部クランプとの間で完全に係合しているときに、モータが下部クランプを直線軸沿いに駆動している間、モータに対して抵抗を与えるように構成される。この抵抗は、上部クランプの重量を含むことができる。
【0008】
実施形態において、下部クランプ突出部および/または上部クランプ突出部は、スライドラックのそれぞれの表面中の1つ以上のスライドラック凹部と係合するときに、クランプ突出部の長手方向軸に垂直である平面中で、スライドラックのX−Y移動を防ぐように構成される。2つ以上の下部クランプ突出部のそれぞれは、2つ以上の上部クランプ突出部のうちの同一のものに対応することができる。加えて、2つ以上の下部クランプ突出部のそれぞれは、下部クランプ突出部の長手方向軸沿いに、2つ以上の上部クランプ突出部のうちの同一のものとアライメントを取ることができる。
【0009】
実施形態において、2つ以上の下部クランプ突出部のそれぞれ、および2つ以上の上部クランプ突出部のそれぞれは、斜面に縁取られた縁部を備える、および/またはそれらのそれぞれのクランプの係合面に関して位置固定される。2つ以上の下部クランプ突出部、および2つ以上の上部クランプ突出部のそれぞれが2つ以上の異なるスライドラックのそれぞれの中の少なくとも1つの凹部内に嵌合するように、2つ以上の下部クランプ突出部の輪郭、および2つ以上の上部クランプ突出部の輪郭は、2つ以上の異なるスライドラックについての凹部の2つ以上の異なる輪郭とアライメントを取ることができる。
【0010】
実施形態において、デジタルスライド走査装置は、請求項1のスライドラッククランプ装置、およびスライドラックから走査ステージ上にスライドを装着し、走査ステージからスライドラック中にスライドを脱離するための組立体を備える。
【0011】
実施形態において、方法は、係合面、およびこの係合面から外方向に延在する2つ以上の下部クランプ突出部を含む下部クランプをスライドラックの底面に向けて駆動するようにモータを制御すること、これら2つ以上の下部クランプ突出部をスライドラックの底面中の1つ以上のスライドラック凹部と係合させること、2つ以上の下部クランプ突出部をスライドラックの底面中の1つ以上のスライドラック凹部と係合させた後に、スライドラックの係合面、およびこの係合面から外方向に延在する2つ以上の上部クランプ突出部を含む上部クランプに向けて、下部クランプおよびスライドラックを駆動するようにモータを制御すること、スライドラックの上面中の1つ以上のスライドラック凹部を2つ以上の上部クランプ突出部と係合させて、下部クランプと上部クランプとの間にスライドラックを完全に係合すること、ならびに完全に係合されたスライドラックをデジタルスライド走査装置内の走査ステージに向けて駆動するようにモータを制御することを備えることが開示されている。下部クランプを駆動するようにモータを制御することは、直線軸沿いに下部クランプを駆動することを備えることができる。
【0012】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付図面を再考した後、当業者にとってさらに容易に明らかになるであろう。
【0013】
本発明の構造および動作は、以下の詳細な説明および同様の参照番号が同様の部分を指す添付図面を検討することにより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】実施形態に従い、第1の製造元からの例示的なスライドラックをスライドガラスとともに示す上面図である。
図1B】実施形態に従い、第2の製造元からの例示的なスライドラックをスライドガラスとともに示す上面図である。
図2A】実施形態に従い、スライドラッククランプ装置を第1の製造元からの例示的なスライドラックとともに示す斜視図である。
図2B】実施形態に従い、スライドラッククランプ装置を第2の製造元からの例示的なスライドラックとともに示す斜視図である。
図2C】実施形態に従い、第1の製造元からのスライドラックに関する上部クランプの突出部の係合位置を示す斜視図である。
図2D】本発明の実施形態に従い、第2の製造元からのスライドラックに関する上部クランプの突出部の係合位置を示す斜視図である。
図3A】実施形態に従い、スライドラックの部分係合を示す斜視図である。
図3B】実施形態に従い、スライドラックの完全係合を示す斜視図である。
図3C】実施形態に従い、スライドラックの部分係合を示す斜視図である。
図3D】実施形態に従い、スライドラックの完全係合を示す斜視図である。
図4A】本明細書に記載されているさまざまな実施形態に関連して使用されることができる例示的なプロセッサ対応デバイスを示すブロック図である。
図4B】実施形態に従い、単一のリニアアレイを有するライン走査カメラの例を示すブロック図である。
図4C】実施形態に従い、3つのリニアアレイを有するライン走査カメラの例を示すブロック図である。
図4D】実施形態に従い、複数のリニアアレイを有するライン走査カメラの例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に開示されている、ある特定の実施形態は、複数の製造元からのスライドラックの下面および上面を係合し、デジタルスライド走査装置内の内部運搬のためにスライドラック、およびその中にスライドガラスを固定する、スライドラッククランプ装置を提供する。この説明を読んだ後、さまざまな代替の実施形態および代替用途において、本発明をどのようにして実施するかが当業者には明らかになるであろう。しかし、本発明のさまざまな実施形態が本明細書で説明されるが、これらの実施形態は、限定ではなく、例としてのみ提示されることが理解されよう。したがって、さまざまな代替実施形態のこの詳細な説明は、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲または広さを限定するものと解釈されるべきではない。
【0016】
1.例示的なスライドラック
【0017】
図1Aは、実施形態に従い、第1の製造元からの例示的なスライドラック100Aをスライドガラス585とともに示す上面図である。図示された実施形態において、スライドラック100Aは、スライドラック100Aの上面110A中に2つのスライドラック凹部120Aおよび120Bを含む。加えて、スライドラック100Aの上面110Aは、スライドラック100Aの上面110Aの内縁部および/または外縁部のうちの1つ以上に沿って斜面を含む。具体的には、凹部120Aおよび120Bは、それぞれ斜面に縁取られた内縁部122Aおよび122Bによってそれぞれ形成される。また、斜面を含む上面110Aの外縁部を示す。代替の実施形態において、スライドラック100Aの上面110Aの内縁部および/または外縁部の異なる部分は、斜面に縁取られる(例えば、上面110Aからスライドラック100Aの側面に斜面で移行する)、および/または斜面に縁取られない(例えば、上面110Aからスライドラック100Aの側面に直角で移行する)ことができる。
【0018】
図1Bは、実施形態に従い、第2の製造元からの例示的なスライドラック100Bをスライドガラス585とともに示す上面図である。図示された実施形態において、スライドラック100Bは、単一のスライドラック凹部120Cをスライドラック100Bの上面110B中に含む。加えて、スライドラック100Bの上面110Bは、スライドラック100Bの上面110Bの内縁部および/または外縁部のうちの1つ以上に沿って斜面を含む。具体的には、凹部120Cは、斜面に縁取られた内縁部122Cによって形成される。しかしながら、上面110Bの外縁部は、斜面に縁取られていないように示される。代替の実施形態において、スライドラック100Bの上面110Bの内縁部および/または外縁部の異なる部分は、斜面に縁取られる、および/または斜面に縁取られていないことができる。
【0019】
示されていないが、スライドラック100Aおよび100Bの底面は、それぞれ上面110Aおよび110Bに同様である、または同一であることができる。例えば、スライドラック100Aの底面は、同一の凹部120Aおよび120B、ならびに同一の斜面に縁取られた縁部122Aおよび122Bを含むことができる。同様に、スライドラック100Bの底面は、同一の凹部120C、および同一の斜面に縁取られた縁部122Cを含むことができる。
【0020】
2.例示的なスライドラッククランプ装置
【0021】
図2Aは、実施形態に従い、スライドラッククランプ装置を第1の製造元からの例示的なスライドラック100Aとともに示す斜視図である。図2Bは、実施形態に従い、同一のスライドラッククランプ装置を第2の製造元からの例示的なスライドラック100Bとともに示す斜視図である。図示された実施形態において、スライドラッククランプ装置は、上部クランプ200、および下部クランプ250を含む。
【0022】
実施形態において、上部クランプ200は、スライドラック100の少なくとも1つの係合面(例えば、上面110)を係合するように構成される係合面202(上部クランプ200の向きにより図2Aおよび2Bに示されない)を含む。同様に、下部クランプ250は、スライドラック100の少なくとも1つの係合面(例えば、スライドラック100の底面)を係合するように構成される係合面252を含む。上部クランプ200の係合面202、および下部クランプ250の係合面252のそれぞれは、それぞれの係合面から外方向に延在する複数の突出部を含む。例えば、図示された実施形態において、上部クランプ200の係合面202は、複数の下方向に延在する突出部204を含む。同様に、下部クランプ250の係合面252は、複数の上方向に延在する突出部254を含む。スライドラッククランプ装置のいずれかの係合面上の複数の突出部は、形状および/またはサイズにおいて同一である、または異なることができ、一方のクランプの係合面上の複数の突出部は、他方のクランプの係合面上の複数の突出部と、数、形状、および/またはサイズにおいて同一である、または異なることができる。図示された実施例において、上部クランプ200は、互いに異なる形状およびサイズである、2つの突出部204Aおよび204Bを含み、下部クランプ250は、互いに異なる形状およびサイズである、2つの突出部254Aおよび254Bを含む。しかしながら、上部クランプ200上の突出部204Aは、下部クランプ250上の突出部254Aと同一であり、上部クランプ200の突出部204Bは、下部クランプ250上の突出部254Bと同一である。換言すれば、同一の係合面上の複数の突出部は、互いに異なるが、一方の係合面上の1セットの突出部は、他方の係合面上の1セットの突出部と同一である。示されるように、同一の突出部の各対は、上部クランプ200と下部クランプ250との間で長手方向軸に沿って互いにアライメントを取る(すなわち、互いに鏡映する)ことができる。
【0023】
実施形態において、突出部204および254の1つ以上の縁部は、斜面に縁取られる。例えば、図示された実施形態において、上部クランプ200の突出部204Aおよび204Bは、それぞれ斜面に縁取られた縁部206Aおよび206Bを含む。同様に、下部クランプ250の突出部254Aおよび254Bは、それぞれ斜面に縁取られた縁部256Aおよび256Bを含む。有利に、上部クランプ200がスライドラック100を係合するときに、突出部204の斜面に縁取られた縁部206は、スライドラック100の上面110と上部クランプ200のアライメントを容易にすることができ、そして下部クランプ250がスライドラック100を係合するときに、突出部254の斜面に縁取られた縁部256は、スライドラック100の底面と下部クランプ250のアライメントを容易にすることができる。
【0024】
実施形態において、これらの突出部の1つ以上の斜面に縁取られた縁部は、斜面に縁取られた縁部を含んでも、含まなくてもよい、1つ以上のスライドラック100の対応する係合面中の凹部(複数可)を鏡映する。例えば、図示された実施形態において、上部クランプ200の突出部204Aの斜面に縁取られた縁部206Aは、両方のスライドラック100Aおよび100Bのそれぞれの上面110中の凹部120Aの内部の斜面に縁取られた縁部122A、および凹部120Cの内部の斜面に縁取られた縁部122Cを鏡映し、上部クランプ200の突出部204Bの斜面に縁取られた縁部206Bは、両方のスライドラック100Aおよび100Bのそれぞれの上面110中の凹部120Bの内部の斜面に縁取られた縁部122B、および凹部120Cの内部の斜面に縁取られた縁部122Cを鏡映する。同様に、下部クランプ250の突出部254Aの斜面に縁取られた縁部256Aは、両方のスライドラック100Aおよび100Bのそれぞれの底面中の凹部120Aの内部の斜面に縁取られた縁部122A、および凹部120Cの内部の斜面に縁取られた縁部122Cを鏡映し、下部クランプ250の突出部254Bの斜面に縁取られた縁部256Bは、両方のスライドラック100Aおよび100Bのそれぞれの底面中の凹部120Bの内部の斜面に縁取られた縁部122B、および凹部120Cの内部の斜面に縁取られた縁部122Cを鏡映する。代替の実施形態において、これらの突出部の1つ以上の斜面に縁取られた縁部は、スライドラック100の対応する係合面を鏡映しない。
【0025】
図2Cは、実施形態に従い、第1の製造元からのスライドラック100Aに関する上部クランプ200の突出部204の係合位置を示す斜視図である。図示された実施形態において、上部クランプ200の係合面202上の複数の突出部204は、凹部120Aおよび120B内に嵌合することによって、第1のスライドラック100Aの2つのスライドラック凹部120Aおよび120Bを係合するように構成される。具体的に、突出部204Aは、スライドラック100Aの上面110A中の凹部120A内に嵌合し、突出部204Bは、スライドラック100Aの上面110A中の凹部120B内に嵌合する。示されないが、下部クランプ250の突出部254Aおよび254Bは、同一の方式において、スライドラック100Aの底面上の凹部120Aおよび120B内に嵌合する。
【0026】
図2Dは、実施形態に従い、第2の製造元からのスライドラック100Bに関する上部クランプ200の突出部204の係合位置を示す斜視図である。図示された実施形態において、上部クランプ200の係合面202上の複数の突出部204は、凹部120C内に嵌合することによって、第2のスライドラック100Bの単一のスライドラック凹部120Cを係合するように構成される。具体的に、突出部204Aは、スライドラック100Bの上面110B中の凹部120Cの第1の領域内に嵌合し、突出部204Bは、スライドラック100Bの上面110B中の同一の凹部120Cの第2の領域内に嵌合する。示されないが、下部クランプ250の突出部254Aおよび254Bは、同一の方式において、スライドラック100Bの底面上の凹部120C内に嵌合する。
【0027】
図示されるように、上部クランプ200および下部クランプ250は、2つ以上の異なるスライドラック100Aおよび100Bによって使用可能である(すなわち、これらのスライドラックによる係合を支持する)ように構成される。これは、各突出部204および254の断面(すなわち、突出部の長手方向軸に垂直である切断面内の)がスライドラッククランプ装置によって支持される各スライドラック100の頂部および/または底部の係合面中の凹部120内に嵌合するように、複数の突出部204および254の輪郭を構成することによって達成される。この方式において、スライドラッククランプ装置は、いずれかの数(例えば、2、3、5、10、20、50、100個など)のスライドラック100を支持するように構成されることができる。
【0028】
図示された実施形態において、複数の突出部204および254は、それらが移動しないように固定されている。有利に、各スライドラック100の上面110および底面中のスライドラック凹部(複数可)120と突出部204および254の係合は、スライドラック100のX−Y移動を防ぐ。具体的に、上面および底面の凹部(複数可)120内の突出部204および254の挿入は、スライドラック100が突出部204および254の長手方向軸に垂直である平面内で摺動する、または偏位することを防ぐ。
【0029】
代替の実施形態において、上部クランプ200および下部クランプ250の一方または両方の上の、1つ以上の突出部204および/または254は、移動するように構成されることができる。例えば、力を突出部の開口端部に加えるときに、突出部は、それがそのそれぞれのクランプの凹部中に後退するように、その長手方向軸に沿って摺動することができる。突出部は、係合面202または252から(この係合面中に後退することとは対照的に)延在する方向に向かい偏向されることができる。この偏向は、突出部が突出部の長手方向軸沿いに後退して、押すように構成されるクランプ中の凹部内で、突出部(例えば、スライドラック100を係合する)の開口端部に対向する突出部の閉口端部上に、ばねを使用して達成されることができる。力を突出部の開口端部に加えるときに、ばねは、突出部がクランプ中に後退するように圧縮され、力が除去されるときに、ばねは、除圧されることにより、クランプから延在するようにクランプ中の凹部から外に突出部を押す。この方式において、突出部がスライドラック100の係合面のいかなる凹部120内にも嵌合しない場合に、スライドラック100の係合面との直接係合の力は、突出部をクランプ中のその凹部内に押すため、突出部を退ける。スライドラック100の係合面の凹部120内に嵌合するいずれかの突出部は、クランプ中に後退しないため、凹部120中に延在し、スライドラック100のX−Y移動を防ぐ。1つ以上の可動突出部を使用する利点は、スライドラック100の係合面の凹部120内に嵌合しない突出部が退くようにクランプ中のそれらの対応する凹部中に押し込まれることから、複数の突出部204および254の輪郭が支持されているスライドラック100のそれぞれの中の凹部120の輪郭に対応する必要がないことである。固定された突出部とは対照的に、可動突出部を使用する不利な点は、機械的な複雑さ(例えば、クランプ内のばねおよび凹部)の追加である。実施形態において、固定されることができる突出部(例えば、すべての支持されたスライドラック100中の凹部120に対応する突出部)もあれば、可動であることができる突出部(例えば、支持されたスライドラック100の部分的な1サブセットのみの中の凹部120に対応する突出部)もあることを理解するであろう。
【0030】
図3Aは、実施形態に従い、スライドラック100の部分係合を示す斜視図である。具体的に、初期状態において、スライドラック100は、下部クランプ250と係合するが、まだ上部クランプ200と係合していない。実施形態において、モータ(示されない)は、直線軸(例えば、突出部254の長手方向軸に平行であり、係合面252の平面に垂直である)に沿って下部クランプ250を駆動し、下部クランプ250の突出部254をスライドラック100の底面中の1つ以上のスライドラック凹部120と係合させるように構成される。上部クランプ200は、同一の直線軸に沿って置かれ、突出部204は、直線軸内の突出部254とアライメントを取る。したがって、モータが直線軸に沿って下部クランプ250を駆動する場合に、下部クランプ250をスライドラック100と係合させながら、スライドラック100の上面110を上部クランプ200と係合させる。実施形態において、モータは、それが上部クランプ200の係合面202から抵抗を検出する(例えば、スライドラック100の上面110に対して上部クランプ200の重量によって生成される)まで、下部クランプ250を直線軸に沿って駆動することができる。
【0031】
図3Bは、実施形態に従い、スライドラック100の完全係合を示す斜視図である。具体的に、スライドラック100を下部クランプ250および上部クランプ200の両方と係合させる。図示された実施形態において、図3Aに示される下部クランプ250とスライドラック100との間の最初の部分的な係合の後に、モータは、下部クランプ250だけではなく、部分的な係合によりスライドラック100も駆動して、上部クランプ200をさらに係合させる。その結果ここで、スライドラック100を上部クランプ200と下部クランプ250との間で完全に係合する。加えて、スライドラック100が突出部204および254のために上部クランプ200と下部クランプ250との間に、すべての三軸沿いに固定されているため、スライドラック100は、スライドラッククランプ装置に関するX−Y−Z移動を妨げられる。同一のモータ、および/または異なるモータは、この完全に係合した状態において、スライドラック100をデジタルスライド走査装置の走査ステージに移動させるために、スライドラッククランプ装置を駆動するように構成されることができる。
【0032】
下部クランプ250が上部クランプ200に向かい駆動されるように説明されているが、代替の実施形態において、上部クランプ200がスライドラック100と最初に係合した後に、直線軸沿いにスライドラック100を駆動して下部クランプ250と係合することができることを理解するであろう。別の代替例として、スライドラック100は、モータを必要とせずに下部クランプ250と最初に係合するように、下部クランプ250上に位置している(例えば、回転式スライドラック、オペレータなどによって)ことができ、次いで、モータは、上部クランプ200を直線軸沿いに駆動し、スライドラック100の上面110と係合させることができる。さらに別の代替例として、スライドラック100は、モータを必要とせずに、上部クランプ200と最初に係合するように位置していることができ、次いで、モータは、下部クランプ250を直線軸沿いに駆動し、スライドラック100の底面と係合させることができる。初期の、また完全な係合の他の方式およびシーケンスも企図される。
【0033】
図3Cは、実施形態に従い、スライドラック100の部分係合を示す斜視図である。具体的に、初期状態において、スライドラック100を下部クランプ250と係合させるが、まだ上部クランプ200と係合させていない。実施形態において、モータ(示されない)は、直線軸レール350によってガイドされる直線軸(例えば、突出部254の長手方向軸に平行であり、係合面252の平面に垂直である)に沿って下部クランプ250を駆動し、下部クランプ250の突出部254をスライドラック100の底面中の1つ以上のスライドラック凹部120と係合させるように構成される。上部クランプ200は、直線軸レール300によってガイドされ、下部クランプ250と同一の直線軸沿いに置かれ、突出部204は、直線軸内の突出部254とアライメントを取る。したがって、モータが直線軸レール350に沿って下部クランプ250を駆動し、直線軸に沿って下部クランプ250を駆動する場合に、下部クランプ250をスライドラック100と係合させながら、スライドラック100の上面110を上部クランプ200と係合させる。実施形態において、モータは、それが上部クランプ200の係合面202から抵抗を検出する(例えば、スライドラック100の上面110に対して上部クランプ200の重量によって生成される)まで、下部クランプ250を直線軸レール350に沿って駆動し、下部クランプ250を直線軸に沿って駆動することができる。
【0034】
図3Dは、実施形態に従い、スライドラック100の完全係合を示す斜視図である。具体的に、スライドラック100を下部クランプ250および上部クランプ200の両方と係合させる。図示された実施形態において、図3Cに示される下部クランプ250とスライドラック100との間の最初の部分的な係合の後に、モータは、下部クランプ250だけではなく、部分的な係合によりスライドラック100も駆動して、上部クランプ200をさらに係合させる。その結果ここで、スライドラック100を上部クランプ200と下部クランプ250との間で完全に係合する。加えて、スライドラック100が突出部204および254のために上部クランプ200と下部クランプ250との間に、すべての三軸沿いに固定されているため、スライドラック100は、スライドラッククランプ装置に関するX−Y−Z移動を妨げられる。同一のモータ、および/または異なるモータは、この完全に係合した状態において、スライドラック100をデジタルスライド走査装置の走査ステージに直線軸に沿って移動させるために、スライドラッククランプ装置をそれぞれ直線軸レール300および350に沿って駆動するように構成されることができる。
【0035】
下部クランプ250が上部クランプ200に向かい駆動されるように説明されているが、代替の実施形態において、上部クランプ200がスライドラック100と最初に係合した後に、スライドラック100をそれぞれ直線軸レール300および350に沿って駆動し、スライドラック100を直線軸に沿って移動させ、下部クランプ250と係合させることができることを理解するであろう。別の代替例として、スライドラック100は、モータを必要とせずに、下部クランプ250と最初に係合するために、下部クランプ250上に位置している(例えば、回転式スライドラック、オペレータなどによって)ことができ、次いで、モータは、上部クランプ200を直線軸レール300に沿って駆動し、スライドラック100の上面110と係合させることができる。さらに別の代替例として、スライドラック100は、モータを必要とせずに、上部クランプ200と最初に係合するように位置していることができ、次いで、モータは、下部クランプ250を直線軸レール300に沿って駆動し、スライドラック100の底面と係合させることができる。初期の、また完全な係合の他の方式およびシーケンスも企図される。
【0036】
3.例示的な実施形態
【0037】
実施形態において、スライドラッククランプ装置は、スライドラック係合面、およびこのスライドラック係合面から上方向に延在する2つ以上の下部クランプ突出部を有する下部クランプを含む。下部クランプ突出部は、スライドラックの底面中の1つ以上のスライドラック凹部を係合するように構成される。また、スライドラッククランプ装置は、スライドラック係合面、およびこのスライドラック係合面から下方向に延在する2つ以上の上部クランプ突出部を有する上部クランプを含む。上部クランプ突出部は、スライドラックの上面中の1つ以上のスライドラック凹部を係合するように構成される。また、スライドラッククランプ装置は、下部クランプを直線軸沿いに駆動し、下部クランプ突出部をスライドラックの底面中の1つ以上のスライドラック凹部と係合させるように構成される第1のモータを含む。また、第1のモータは、下部クランプをスライドラックと係合させた後に、下部クランプを直線軸沿いに駆動し、上部クランプ突出部をスライドラックの上面中の1つ以上のスライドラック凹部と係合させ、下部クランプと上部クランプとの間にスライドラックを完全に係合させるように構成される。
【0038】
実施形態において、スライドラッククランプ装置の2つ以上の下部クランプ突出部は、下部クランプのスライドラック係合面に固定され、下部クランプのスライドラック係合面から固定された距離に延在する。
【0039】
実施形態において、スライドラッククランプ装置の2つ以上の下部クランプ突出部は、固定されておらず、スライドラックの底面と係合するときに、スライドラックの底面中の1つ以上のスライドラック凹部中に延在したままであるように、または下部クランプのスライドラック係合面中に後退するように構成されている。例えば、2つ以上の下部クランプ突出部は、ばね付勢されることができる。
【0040】
実施形態において、スライドラッククランプ装置の2つ以上の上部クランプ突出部は、上部クランプのスライドラック係合面に固定され、上部クランプのスライドラック係合面から固定された距離に延在する。
【0041】
実施形態において、スライドラッククランプ装置の2つ以上の上部クランプ突出部は、固定されておらず、スライドラックの上面と係合するときに、スライドラックの上面中の1つ以上のスライドラック凹部中に延在したままであるように、または上部クランプのスライドラック係合面中に後退するように構成されている。例えば、2つ以上の上部クランプ突出部は、ばね付勢されることができる。
【0042】
実施形態において、上部クランプは、スライドラックが下部クランプと上部クランプとの間で完全に係合しているときに、下部クランプを直線軸沿いに駆動する第1のモータに対して抵抗を与えるように構成される。例えば、抵抗は、上部クランプの重量によって与えられることができる。また、この抵抗は、代替の実施形態において、機械的または磁気的であることができる。有利に、この抵抗は、運搬中に上部クランプと下部クランプとの間にスライドラックを固定する。
【0043】
実施形態において、下部クランプ突出部は、スライドラックの底面中の1つ以上のスライドラック凹部と係合するときに、スライドラックのX−Y移動を防ぐようにさらに構成される。
【0044】
実施形態において、上部クランプ突出部は、スライドラックの上面中の1つ以上のスライドラック凹部と係合するときに、スライドラックのX−Y移動を防ぐようにさらに構成される。
【0045】
実施形態において、デジタルスライドスキャナ装置内にスライドラックを固定する方法は、モータを使用して、スライドラック係合面、およびこのスライドラック係合面から上方向に延在する2つ以上の下部クランプ突出部を含む下部クランプをスライドラックの底面に向けて駆動し、2つ以上の下部クランプ突出部をスライドラックの底面中の1つ以上のスライドラック凹部と係合させることを備える。また、この方法は、2つ以上の下部クランプ突出部をスライドラックの底面中の1つ以上のスライドラック凹部と係合させた後に、モータを使用して、スライドラック係合面、およびこのスライドラック係合面から下方向に延在する2つ以上の上部クランプ突出部を含む上部クランプに向けて下部クランプおよびスライドラックを駆動し、2つ以上の上部クランプ突出部をスライドラックの上面中の1つ以上のスライドラック凹部と係合させることを備える。また、この方法は、モータを使用して、デジタルスライドスキャナ装置内の走査ステージに向けて完全に係合したスライドラックを駆動することを備える。この方法の実施形態において、モータを使用して下部クランプを駆動することは、下部クランプを直線軸沿いに駆動することを備える。
【0046】
4.例示的なデジタルスライド走査装置
【0047】
図4Aは、本明細書に記載されているさまざまな実施形態に関連して使用されることができる例示的なプロセッサ対応デバイス550を示すブロック図である。デバイス550の代替的な形式も当業者によって理解されるように使用されてもよい。図示された実施形態において、デバイス550は、1つ以上のプロセッサ555、1つ以上のメモリ565、1つ以上の動きコントローラ570、1つ以上のインタフェースシステム575、1つ以上の試料590を有する1つ以上のスライドガラス585を各支持する1つ以上の可動ステージ580、試料を照明する1つ以上の照明システム595、光軸に沿って進む光路605を各定める1つ以上の対物レンズ600、1つ以上の対物レンズポジショナ630、1つ以上の任意選択の落射照明システム635(例えば、蛍光発光スキャナシステムに含まれる)、1つ以上のフォーカシング光学系610、1つ以上のライン走査カメラ615、および/または1つ以上のエリア走査カメラ620を含み、その各々が試料590および/またはスライドガラス585上で別個の視野625を定めるデジタル撮像デバイス(デジタルスライド走査装置、デジタルスライドスキャナ、スキャナ、スキャナシステム、デジタル撮像装置などとも称される)として提示される。スキャナシステム550のさまざまな要素は、1つ以上の通信バス560を介して通信可能に結合される。説明における簡略化のために、スキャナシステム550のさまざまな要素の各々のうちの1つ以上が存在してもよいが、それらの要素は、適切な情報を搬送するために複数であると説明される必要があるときを除き、単一であると説明される。
【0048】
1つ以上のプロセッサ555は、例えば、命令を並列に処理することが可能な中央処理装置(CPU)および別個のグラフィックプロセシングユニット(GPU)を含んでもよく、または1つ以上のプロセッサ555は、命令を並列に処理することが可能なマルチコアプロセッサを含んでもよい。追加の別個のプロセッサも、特定の構成要素を制御し、または画像処理などの特定の機能を実行するために設けられてもよい。例えば、追加のプロセッサは、データ入力を管理する補助プロセッサ、浮動小数点演算を実行する補助プロセッサ、信号処理アルゴリズムの高速実行に適切なアーキテクチャを有する特殊目的プロセッサ(例えば、デジタルシグナルプロセッサ)、メインプロセッサに従属するスレーブプロセッサ(例えば、バックエンドプロセッサ)、ライン走査カメラ615、ステージ580、対物レンズ225、および/またはディスプレイ(図示せず)を制御する追加のプロセッサを含んでもよい。そのような追加のプロセッサは、別個の離散プロセッサであってもよく、またはプロセッサ555と統合されてもよい。1つ以上のプロセッサは、クランプ装置のモータを制御することにより、デジタル撮像装置550のワークフロー全体を制御するように構成されることができる。
【0049】
メモリ565は、プロセッサ555によって実行されることができるプログラムに対してデータおよび命令の記憶をもたらす。メモリ565は、データおよびインストラクションを格納する1つ以上の揮発性および/または不揮発性コンピュータ可読記憶媒体、例えば、ランダムアクセスメモリ、リードオンリメモリ、ハードディスクドライブ、およびリムーバブルストレージドライブ、および/または同様のものを含んでもよい。プロセッサ555は、メモリ565に記憶された命令を実行し、スキャナシステム550の全体的な機能を実行するために、通信バス560を介してスキャナシステム550のさまざまな要素と通信するように構成される。
【0050】
1つ以上の通信バス560は、アナログ電気信号を搬送するように構成された通信バス560およびデジタルデータを搬送するように構成された通信バス560を含んでもよい。したがって、1つ以上の通信バス560を介したプロセッサ555、動きコントローラ570、および/またはインタフェースシステム575からの通信は、電気信号およびデジタルデータの両方を含んでもよい。プロセッサ555、動きコントローラ570、および/またはインタフェースシステム575はまた、無線通信リンクを介して、走査システム550のさまざまな要素のうちの1つ以上と通信するように構成されてもよい。
【0051】
動き制御システム570は、ステージ580および対物レンズ600のX−Y−Zの移動を正確に制御および調整する(例えば、対物レンズポジショナ630を介して)ように構成される。動き制御システム570はまた、スキャナシステム550におけるいずれかの他の移動部分の移動を制御するように構成される。例えば、蛍光発光スキャナの実施形態では、動き制御システム570は、落射照明システム635において光学フィルタなどの移動を調整するように構成される。
【0052】
インタフェースシステム575は、スキャナシステム550が他のシステムおよび人的操作と連動することを可能にする。例えば、インタフェースシステム575は、オペレータに情報を直接提供し、および/またはオペレータからの直接入力を可能にするユーザインタフェースを含んでもよい。インタフェースシステム575はまた、走査システム550と、直接接続された1つ以上の外部デバイス(例えば、プリンタ、着脱可能記憶媒体など)またはネットワーク(図示せず)を介してスキャナシステム550に接続された画像サーバシステム、オペレータステーション、ユーザステーション、および管理サーバシステムなどの外部デバイスとの間の通信およびデータ転送を促進するように構成される。
【0053】
照明システム595は、試料590の一部を照射するように構成される。照明システム595は、例えば、光源および照明光学系を含んでもよい。光源は、光出力を最大化する凹型反射ミラーおよび熱を抑制するKG−1フィルタを有する可変明度ハロゲン光源であってもよい。光源はまた、いずれかのタイプのアークランプ、レーザ、または他の光源であってもよい。実施形態では、照明システム595は、透過モードにおいて試料590を照射し、その結果、ライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラ620は、試料590を通じて伝送された光エネルギーを検知する。代替に、または加えて、照明システム595は、反射モードにおいて試料590を照射するように構成されてもよく、その結果、ライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラ620は、試料590から反射された光エネルギーを検知する。全体的に、照明システム595は、光学顕微鏡検査のいずれかの既知のモードにおいて顕微鏡の試料590の検査に適切になるように構成される。
【0054】
実施形態では、スキャナシステム550は任意選択で、蛍光発光走査のためにスキャナシステム550を最適化する落射照明システム635を含む。蛍光発光走査は、蛍光発光分子を含む試料590の走査であり、蛍光発光分子は、特定の波長(励起)で光を吸収することができる光子敏感分子である。それらの光子敏感分子はまた、より高い波長(放射)で光を放射する。このフォトルミネセンス現象の効率性が非常に低いことを理由に、放射される光の量が非常に少ないことが多い。この少ない量の放射される光は典型的には、試料590を走査およびデジタル化するための従来の技術(例えば、透過モード顕微鏡検査)を妨げる。有利なことに、スキャナシステム550の任意選択の蛍光発光スキャナシステムの実施形態では、複数のリニアセンサアレイを含むライン走査カメラ615(例えば、時間遅延統合(TDI)ライン走査カメラ)の使用は、ライン走査カメラ615の複数のリニアセンサアレイの各々に試料590の同一の領域を暴露することによって、ライン走査カメラの光への感度を増大させる。これは特に、放射された少ない光によりわずかな蛍光発光試料を走査するときに有益である。
【0055】
したがって、蛍光発光スキャナシステムの実施形態では、ライン走査カメラ615は好ましくは、モノクロTDIライン走査カメラである。有利なことに、モノクロ画像は、それらが試料に存在するさまざまなチャネルからの実信号のさらなる正確な表現を提供することを理由に、蛍光発光顕微鏡検査において理想である。当業者によって理解されるように、蛍光発光試料590は、異なる波長で光を放射する複数の蛍光染料によりラベル付けされることができ、異なる波長は、「チャネル」とも称される。
【0056】
さらに、最低の信号レベルおよび最高の信号レベルのさまざまな蛍光発光試料が、検知するライン走査カメラ615についての広いスペクトルの波長を提示することを理由に、ライン走査カメラ615が検知することができる最低の信号レベルおよび最高の信号レベルが同様に広いことが望ましい。したがって、蛍光発光スキャナの実施形態では、蛍光発光走査システム550において使用されるライン走査カメラ615は、モノクロの10ビットの64個のリニアアレイTDIライン走査カメラである。ライン走査カメラ615についてのさまざまなビット深度が走査システム550の蛍光発光スキャナの実施形態による使用のために採用されることができることに留意されるべきである。
【0057】
可動ステージ580は、プロセッサ555または動きコントローラ570の制御の下、正確なX−Y軸移動のために構成される。可動ステージはまた、プロセッサ555または動きコントローラ570の制御の下、Z軸での移動のために構成されてもよい。可動ステージは、ライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラによる画像データの捕捉の間、所望の位置に試料を位置付けるように構成される。可動ステージはまた、走査方向において実質的に一定の速度に試料590を加速させ、次いで、ライン走査カメラ615による画像データの捕捉の間、実質的に一定の速度を維持するように構成される。一実施形態では、スキャナシステム550は、可動ステージ580上での試料590の位置において支援する高精度且つ厳格に調整されたX−Y格子を採用してもよい。一実施形態では、可動ステージ580は、XおよびY軸の両方において採用された高精度エンコーダを有するリニアモータに基づくX−Yステージである。例えば、非常に正確なナノメートルエンコーダは、走査方向における軸上で、および走査方向に垂直な方向における軸上で、且つ走査方向と同一の平面上で使用されることができる。ステージはまた、試料590がその上に配置されたスライドガラス585を支持するように構成される。
【0058】
試料590は、光学顕微鏡検査によって検査されてもよい、いずれかのものであることができる。例えば、顕微鏡スライドガラス585は、組織および細胞、染色体、DNA、タンパク質、血液、骨髄、尿、バクテリア、気泡、生検材料、または死亡しもしくは生存しているかのいずれかであり、着色されもしくは着色されていないかのいずれかであり、ラベル付けされもしくはラベル付けされていないかのいずれかである、いずれかの他のタイプの生物材料を含む標本についての観察用の基板として頻繁に使用される。試料590はまた、マイクロアレイとして一般的に知られているいずれかの試料およびすべての試料を含む、いずれかのタイプのスライドまたは他の基板上に堆積された、いずれかのタイプのDNA、またはcDNA、RNA、もしくはタンパク質などのDNA関連材料のアレイであってもよい。試料590は、微量定量プレート、例えば、96ウェルプレートであってもよい。試料590の他の例は、集積回路ボード、電気泳動レコード、ペトリ皿、フィルム、半導体材料、法医学材料、および機械加工部品を含む。
【0059】
対物レンズ600は、対物レンズポジショナ630上に取り付けられ、対物レンズポジショナ630は、一実施形態では、対物レンズ600によって定められた光学軸に沿って対物レンズ600を移動させるために非常に正確なリニアモータを採用してもよい。例えば、対物レンズポジショナ630のリニアモータは、50ナノメートルのエンコーダを含んでもよい。X−Y−Z軸におけるステージ580および対物レンズ600の相対的な位置は、走査システム550の全体的な操作のためにコンピュータ実行可能プログラムされたステップを含む、情報および命令を記憶するためのメモリ565を採用するプロセッサ555の制御の下、動きコントローラ570を使用して閉ループ方式において調整および制御される。
【0060】
一実施形態では、対物レンズ600は、望ましい最高空間分解能に対応する開口数を有する平面アポクロマート(「APO」)無限補正対物レンズであり、対物レンズ600は、透過モード照明顕微鏡検査、反射モード照明顕微鏡検査、および/または落射照明モード蛍光発光顕微鏡検査(例えば、Olympus40X、0.75NAもしくは20X、0.75NA)に適切である。有利なことに、対物レンズ600は、色収差および球面収差を補正することが可能である。対物レンズ600が無限に補正されることを理由に、フォーカシング光学系610は、対物レンズ600の上で光路605内に配置されることができ、対物レンズを通過する光ビームは平行光ビームとなる。フォーカシング光学系610は、ライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラ620の光反応素子上で対物レンズ600によって捕捉された光信号のフォーカシングし、フィルタ、倍率変換器レンズ、および/または同様のものの光学構成要素を含んでもよい。フォーカシング光学系610と組み合わされる対物レンズ600は、走査システム550のための全倍率を提供する。一実施形態では、フォーカシング光学系610は、チューブレンズおよび任意選択の2Xの倍率変換器を包含してもよい。有利なことに、2Xの倍率変換器は、本来の20Xの対物レンズ600が40Xの倍率で試料590を走査することを可能にする。
【0061】
ライン走査カメラ615は、画像素子(「ピクセル」)の少なくとも1つのリニアアレイを含む。ライン走査カメラは、白黒またはカラーであってもよい。カラーライン走査カメラは典型的には、少なくとも3つのリニアアレイを有し、モノクロライン走査カメラは、単一のリニアアレイまたは複数のリニアアレイを有してもよい。カメラの一部としてパッケージ化され、または撮像電子モジュールにカスタム統合されているかに関わらず、いずれかのタイプの単数または複数のリニアアレイも使用されることができる。例えば、3つのリニアアレイ(「赤−緑−青」すなわち「RGB」)カラーライン走査カメラまたは96個のリニアアレイモノクロTDIも使用されてもよい。TDIライン走査カメラは典型的には、標本の前に撮像された領域から明度データを合計することによって、出力信号における大幅に良好な信号対雑音比(SNR)をもたらし、統合ステージの数の平方根に比例したSNRにおける増大を得る。TDIライン走査カメラは、複数のリニアアレイを含む。例えば、24個、32個、48個、64個、96個、またはそれよりも多いリニアアレイを有するTDIライン走査カメラが利用可能である。スキャナシステム550はまた、512個のピクセルを有するもの、1024個のピクセルを有するもの、および4096個のピクセルと同数のピクセルを有するその他を含む、さまざまなフォーマットにおいて製造されたリニアアレイを支持する。同様に、さまざまなピクセルサイズを有するリニアアレイも、スキャナシステム550において使用されることができる。いずれかのタイプのライン走査カメラ615の選択のための突出した要件は、ステージ580の動きがライン走査カメラ615のライン速度と同期されることができ、その結果、試料590のデジタル画像の捕捉の間、ステージ580がライン走査カメラ615に対して動くことができることである。
【0062】
ライン走査カメラ615によって生成された画像データは、メモリ565の一部に記憶され、試料590の少なくとも一部の連続するデジタル画像を生成するようにプロセッサ555によって処理される。連続するデジタル画像はさらに、プロセッサ555によって処理されることができ、処理された連続するデジタル画像もメモリ565に記憶されることができる。
【0063】
2つ以上のライン走査カメラ615を有する実施形態では、ライン走査カメラ615のうちの少なくとも1つは、撮像センサとして機能するように構成されたライン走査カメラ615のうちの少なくとも1つとの組み合わせで動作するフォーカシングセンサとして機能するように構成されることができる。フォーカシングセンサは、撮像センサと同一の光軸上に論理的に位置付けられることができ、またはフォーカシングセンサは、スキャナシステム550の走査方向に対して撮像センサの前もしくは後に論理的に位置付けられてもよい。フォーカシングセンサとして機能する少なくとも1つのライン走査カメラ615を有する実施形態では、フォーカシングセンサによって生成された画像データは、メモリ565の一部に記憶され、スキャナシステム550が試料590と対物レンズ600との間の相対的な距離を調節して、走査の間の試料上の焦点を維持することを可能にするために焦点調節情報を生成するように1つ以上のプロセッサ555によって処理される。加えて、実施形態において、フォーカシングセンサとして機能する少なくとも1つのライン走査カメラ615は、フォーカシングセンサの複数の個々のピクセルのそれぞれが光路605に沿って異なる論理的な高さに位置しているように向けられることができる。
【0064】
動作中、スキャナシステム550のさまざまな構成要素およびメモリ565に記憶されたプログラムされたモジュールは、スライドガラス585上に配置された試料590の自動走査およびデジタル化を可能にする。スライドガラス585は、試料590を走査するためのスキャナシステム550の可動ステージ580上に固定して配置される。プロセッサ555の制御の下、可動ステージ580は、ライン走査カメラ615による検知のために実質的に一定の速度に試料590を加速させ、ステージの速度は、ライン走査カメラ615のライン速度と同期される。画像データのストライプを走査した後、可動ステージ580は、試料590を減速させ、実質的に完全停止に至らせる。可動ステージ580は次いで、画像データの後続のストライプ(例えば、隣接するストライプ)の走査のために試料590を位置付けるように走査方向に直交して移動する。追加のストライプはその後、試料590の全体部分または試料590全体が走査されるまで走査される。
【0065】
例えば、試料590のデジタル走査の間、試料590の連続するデジタル画像は、画像ストライプを形成するように共に組み合わされた複数の連続する視野として取得される。複数の隣接する画像ストライプは同様に、試料590の一部または試料590の全体の連続するデジタル画像を形成するように共に組み合わされる。試料590の走査は、垂直画像ストライプまたは水平画像ストライプを取得することを含んでもよい。試料590の走査は、上から下、下から上、またはその両方(双方向)のいずれかであってもよく、試料上のいずれかのポイントにおいて開始してもよい。代わりに、試料590の走査は、左から右、右から左、またはその両方(双方向)のいずれかであってもよく、試料上のいずれかのポイントにおいて開始してもよい。加えて、画像ストライプが隣接する方式または連続する方式において取得される必要はない。さらに、試料590の結果として生じる画像は、試料590の全体または試料590の一部のみの画像であってもよい。
【0066】
一実施形態では、コンピュータ実行可能命令(例えば、プログラムされたモジュールまたは他のソフトウェア)がメモリ565に記憶され、実行されるとき、走査システム550が本明細書で説明されるさまざまな機能を実行することを可能にする。この説明では、用語「コンピュータ可読記憶媒体」は、プロセッサ555による実行のためのコンピュータ実行可能命令を記憶し、走査システム550に提供するために使用されるいずれかの媒体を指すものとして使用される。それらの媒体の例は、メモリ565、および直接または間接的(例えば、ネットワークを介して)のいずれかで走査システム550と通信可能に結合されたいずれかの着脱可能または外部記憶媒体(図示せず)を含む。
【0067】
図4Bは、電荷結合素子(「CCD」)アレイとして実装されてもよい、単一のリニアアレイ640を有するライン走査カメラを例示する。単一のリニアアレイ640は、複数の個々のピクセル645を含む。例示される実施形態では、単一のリニアアレイ640は、4096個のピクセルを有する。代替的な実施形態では、リニアアレイ640は、さらに多くのまたはさらに少ないピクセルを有してもよい。例えば、リニアアレイの共通フォーマットは、512個、1024個、および4096個のピクセルを含む。ピクセル645は、リニアアレイ640についての視野625を定めるためにリニア方式において配置される。視野のサイズは、スキャナシステム550の倍率に従って変化する。
【0068】
図4Cは、各々がCCDアレイとして実装されてもよい、3つのリニアアレイを有するライン走査カメラを例示する。3つのリニアアレイは、カラーアレイ650を形成するように組み合わせる。一実施形態では、カラーアレイ650内の各々の個々のリニアアレイは、異なる色明度(例えば、赤、緑、または青)を検出する。カラーアレイ650内の各々の個々のリニアアレイからのカラー画像データは、カラー画像データの単一の視野625を形成するように組み合わされる。
【0069】
図4Dは、各々がCCDアレイとして実装されてもよい、複数のリニアアレイを有するライン走査カメラを例示する。複数のリニアアレイは、TDIアレイ655を形成するように組み合わせる。有利なことに、TDIライン走査カメラは、標本の前に撮像された領域から明度データを合計することによって、その出力信号における大幅に良好なSNRをもたらし、リニアアレイ(統合ステージとも称される)の数の平方根に比例したSNRにおける増大を得る。TDIライン走査カメラは、リニアアレイの数のより多い多様性を有することができる。例えば、TDIライン走査カメラの一般的な形式は、24個、32個、48個、64個、96個、120個およびそれよりも多いリニアアレイを有する。
【0070】
開示される実施形態の上記説明は、いずれかの当業者が発明を作成または使用することを可能にするために提供される。それらの実施形態に対するさまざまな修正は、当業者にとって容易に明らかであり、本明細書で説明された一般的な原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用されることができる。よって、本明細書で提示される説明および図面は、本発明の現時点で好ましい実施形態を表し、したがって、本発明によって広く考慮される主題を表すことが理解されることになる。さらに、本発明の範囲は、当業者にとって明白なることができる他の実施形態を完全に包含し、したがって、本発明の範囲は限定されないことが理解されよう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D