(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869435
(24)【登録日】2021年4月15日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】スライドラックカルーセル
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20210426BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
G01N35/04 E
G01N35/02 G
【請求項の数】19
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-524863(P2020-524863)
(86)(22)【出願日】2018年11月30日
(65)【公表番号】特表2021-502552(P2021-502552A)
(43)【公表日】2021年1月28日
(86)【国際出願番号】US2018063460
(87)【国際公開番号】WO2019109027
(87)【国際公開日】20190606
【審査請求日】2020年5月7日
(31)【優先権主張番号】62/593,444
(32)【優先日】2017年12月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503293765
【氏名又は名称】ライカ バイオシステムズ イメージング インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Leica Biosystems Imaging, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ニューバーグ
(72)【発明者】
【氏名】プレンタッシュ ジェロセヴィッチ
【審査官】
長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−071876(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/189471(WO,A1)
【文献】
米国特許第6615763(US,B2)
【文献】
特開2013−068612(JP,A)
【文献】
特開2014−095587(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01225450(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/04
G01N 35/02
B01L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスライドガラスラックを保持するデジタルスライド走査装置のカルーセルであって、前記デジタルスライド走査装置のカルーセルは、
下面、上面および外縁を有する基部であって、前記基部の前記外縁は、上面図の観点から全体的に環状である基部と、
前記基部から上方向に延在する複数のラックスペーサと、
を備え、
ラックスペーサの隣接するペアは、3つの側面上で、前記基部と、第1のラックスペーサの第1の側面と、第2のラックスペーサの第2の側面と、によって境界付けられたラックスロットを定義し、各々のラックスペーサは、
前記ラックスペーサの第1の側面上の第1のラックストッパと、
前記ラックスペーサの第2の側面上の第2のラックストッパと、
を含み、
前記基部の前記上面の少なくとも一部は、前記基部上のより外側位置から前記基部上のより中心部分に向かって下方向に傾き、角度は、少なくとも1度であり、
前記基部は、いずれかの方向に360度で回転するように構成される、
デジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項2】
前記デジタルスライド走査装置のカルーセルは、いずれかの方向に前記カルーセルを回転させるように構成されたモータをさらに備える、
請求項1に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項3】
前記基部の前記上面の前記傾けられた部分の角度は、少なくとも5度である、
請求項1に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項4】
各々のラックストッパは、前記スライドラックスロットにおいてスライドラックの存在を検出するように構成されたスライドラック検出器を含む、
請求項1に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項5】
前記カルーセルは、15個の別個のラックスロットにより構成される、
請求項1に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項6】
各々のラックスロットは、番号付けられる、
請求項5に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項7】
前記デジタルスライド走査装置のカルーセルは、各々のラックスロットと関連付けられたマルチカラー状態インジケータライトをさらに備える、
請求項1に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項8】
前記外縁に隣接する前記基部の前記上面の外側部分は、実質的に平坦であり、前記基部の前記上面の傾斜部は、実質的に平坦な部分よりも中心である、
請求項1に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項9】
前記基部は、リング形状を形成する、
請求項1に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項10】
前記複数のラックスペーサの各々は、前記基部に固定される、
請求項1に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項11】
前記デジタルスライド走査装置のカルーセルは、前記複数のラックスペーサの各々の上部に固定されたリングをさらに備える、
請求項1に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項12】
第1のラックスペーサおよび第2のラックスペーサは、第1のラックスロットを定義し、前記第1のラックスペーサの前記第1のラックストッパは、前記第2のラックスペーサの前記第2のラックストッパに対向し、前記第1のラックストッパと前記第2のラックストッパとの間の距離は、スライドラックの幅よりも短い、
請求項1に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項13】
前記第1のラックストッパおよび前記第2のラックストッパのうちの少なくとも1つは、前記ラックストッパの端と前記カルーセルの基部の表面との間のラックストッパ隙間を定義する、
請求項1に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項14】
前記ラックストッパ隙間は、ラックセンサとラックスロットとの間の明瞭な経路をもたらすように構成される、
請求項1に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項15】
複数のスライドガラスラックを保持するデジタルスライド走査装置のカルーセルであって、前記デジタルスライド走査装置のカルーセルは、
下面、上面および環状形状外縁を有する基部であって、前記上面は、傾斜中心部分および平坦外側部分を有す基部と、
前記基部から上方向に延在する複数のラックスペーサと、
いずれかの方向に360度で前記基部を駆動するように構成されたモータと、
を備え、
ラックスペーサの隣接するペアは、3つの側面上で、前記基部の前記上面と、第1のラックスペーサの第1の側面と、第2のラックスペーサの第2の側面と、によって境界付けられたラックスロットを定義し、各々のラックスペーサは、
前記ラックスペーサの第1の側面上の第1のラックストッパと、
前記ラックスペーサの第2の側面上の第2のラックストッパと、
を含むデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項16】
前記基部の前記上面の傾斜部の角度は、1〜5度である、
請求項15に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項17】
前記モータは、いずれかの方向に360度でロータを駆動するように構成され、
前記デジタルスライド走査装置のカルーセルは、前記ロータおよび前記基部の一部と接触したベルトをさらに備え、前記モータの制御の下での第1の方向における前記ロータの回転によって、前記ベルトは、前記基部を第1の方向に移動させる、
請求項15に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項18】
前記基部の前記下面は、切り出し部を含み、
前記デジタルスライド走査装置のカルーセルは、回転の間に前記基部を安定化するように構成された3つ以上のv状ホイールベアリングをさらに備える、
請求項17に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【請求項19】
前記v状ホイールベアリングのうちの少なくとも1つは、調節可能である、
請求項18に記載のデジタルスライド走査装置のカルーセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月1日に出願された米国仮特許出願第62/593,444号の優先権を主張し、完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は概して、デジタルパソロジ走査装置に関し、特に、複数の物理スライドラックを支持するカルーセルに関する。
【背景技術】
【0003】
デジタルパソロジは、物理スライドから生成された情報の管理を可能にするコンピュータ技術によって有効にされる画像に基づく情報環境である。デジタルパソロジは、物理的なスライドガラス上で検体を走査し、コンピュータモニタ上で記憶、表示、管理、および分析することができるデジタルスライド画像を作成する方法である、仮想顕微鏡によって部分的に可能にされる。スライドガラス全体を撮像する能力により、デジタルパソロジの分野は急激に拡大し、現在、癌および他の重大な疾患のより良い、より速い、かつより安価な診断、予後および予測を達成するための、診断医学の最も有望な手段の1つと見なされている。
【0004】
デジタルスライド走査装置は、典型的には、一度に単一のスライドを走査する。デジタルスライド走査装置が数十個または数百個のスライドガラスを処理することができるように、1つ以上のスライドラックを保持するためにいくつかのデジタルスライド走査装置が修正されてきた。しかしながら、それらのシステムはなお、それらの能力において制限される。したがって、上述したような従来のシステムに見られるこれらの重大な問題を解決するシステムおよび方法が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本明細書で説明されるのは、デジタルスライド走査装置がスライドガラスを同時にデジタル化している間、カルーセルへのスライドラックの連続した積載および取り外しを可能にするデジタルスライド走査装置と共に使用するためのスライドラックカルーセルである。本明細書で使用されるように、用語「連続した積載」および/または「連続した取り外し」は、スライドガラスの一部のデジタル画像を生成するようスライドガラスの走査の間にスライドラックをカルーセルに積載することおよび取り外すことを意味する。有利なことに、スライドラックカルーセルは、連続した積載および取り外しを可能にするように機能し、スライドラックカルーセルはまた、スライドガラスをスライドラックカルーセルにおけるそれらのそれぞれのスライドラック内のより安定した位置に移動させ、スライドラックをスライドラックカルーセルにおけるそれらのそれぞれのスライドラックスロット内のより安定した位置に移動させるよう、装置の動作によって生じた振動を使用するように機能する。
【0006】
また、デジタル走査装置のハウジングは、連続した積載を容易にし、ドアによって引き起こされる追加の振動を除去するために、カルーセルの少なくとも一部がオペレータに常にアクセス可能となるようなドアを有さない。スライドラックカルーセルはまた、ラックスロットごとのマルチカラー状態インジケータを含む。
【0007】
したがって、実施形態では、複数のスライドガラスラックを保持するデジタルスライド走査装置のカルーセルは、下面、上面、および外縁を有する基部を含み、基部の外縁は、上面図の観点から全体的に環状である。カルーセルはまた、基部から上方向に延在する複数のラックスペーサを含む。ラックスペーサの隣接するペアは、3つの側面上で、基部と、第1のラックスペーサの第1の側面と、第2のラックスペーサの第2の側面と、によって境界付けられたラックスロットを画定する。各々のラックスペーサはそれぞれ、ラックスペーサの第1の側面上の第1のラックストッパ、ラックスペーサの第2の側面上の第2のラックストッパを含む。カルーセルの基部の上面の少なくとも一部は、基部上のより外側位置から基部上のより中心位置に向かって下方向に傾斜する。加えて、基部は、いずれかの方向に360度で回転するように構成される。
【0008】
実施形態では、複数のスライドガラスラックを保持するデジタルスライド走査装置のカルーセルは、下面、上面、および環状形状外縁を有する基部を含み、上面は、傾斜中心部分および平坦外側部分を有する。カルーセルはまた、基部から上方向に延在する複数のラックスペーサを含み、ラックスペーサの隣接するペアは、3つの側面上で、基部の上面と、第1のラックスペーサの第1の側面と、第2のラックスペーサの第2の側面と、によって境界付けられたラックスロットを画定する。各々のラックスペーサはそれぞれ、ラックスペーサの第1の側面上の第1のラックストッパ、およびラックスペーサの第2の側面上の第2のラックストッパを含む。カルーセルはまた、いずれかの方向に360度で基部を駆動するように構成されたモータを含む。
【0009】
一実施形態では、モータは、いずれかの方向に360度でロータを駆動するように構成され、ロータは、モータの制御の下での第1の方向におけるロータの回転によって、ベルトが基部を第1の方向に移動させるようにベルトと接触する。
【0010】
実施形態では、基部の下面は、切り出し部を含み、カルーセルはまた、回転の間に基部を安定化するように構成された3つ以上のv状ホイールベアリングを含む。v状ホイールベアリングのうちの少なくとも1つは、実施形態では、調節可能である。
【0011】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付図面を検討した後、当業者にとってより容易に明らかになるであろう。
【0012】
本発明の構造および動作は、以下の詳細な説明および添付図面の検討から理解され、添付図面では、同一の参照番号は、同一の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】発明の実施形態に従った、例示的なスライドラックカルーセル基部を例示する斜視図である。
【
図2】発明の実施形態に従った、例示的なスライドラックカルーセル基部を例示する上面図である。
【
図3】発明の実施形態に従った、スライドラック300のカルーセル基部の例示的な断面を例示する斜視図である。
【
図4】発明の実施形態に従った、スライドラックカルーセル基部の例示的な断面を例示する側面図である。
【
図5A】発明の実施形態に従った、v状ホイールと係合したスライドラックカルーセル基部の1つの側面の例示的な断面を例示する側面図である。
【
図5B】発明の実施形態に従った、カルーセル基部の向きを変えるカルーセルベルトと係合した例示的なスライドラックカルーセル基部を例示する斜視図である。
【
図5C】発明の実施形態に従った、カルーセル基部の向きを変えるカルーセルベルトと係合したスライドラックスペーサを有する例示的なスライドラックカルーセル基部を例示する斜視図である。
【
図5D】発明の実施形態に従った、複数のv状ホイールベアリングと係合した例示的なスライドラックカルーセル基部を例示する斜視図である。
【
図5E】発明の実施形態に従った、複数のv状ホイールベアリングと係合した
図5Dの例示的なスライドラックカルーセル基部を例示する代替的な斜視図である。
【
図5F】発明の実施形態に従った、機台によって支持され、カルーセル基部の向きを変えるカルーセルベルトと係合した例示的なスライドラックカルーセル基部を例示する上面図である。
【
図6】発明の実施形態に従った、ラックスペーサを有する例示的なスライドラックカルーセル基部を例示する斜視図である。
【
図7】発明の実施形態に従った、ラックスペーサを有する例示的なスライドラックカルーセル基部を例示する上面図である。
【
図8】発明の実施形態に従った、スライドガラスを有する例示的なスライドラックを例示する斜視図である。
【
図9】発明の実施形態に従った、スライドガラスを有する例示的なスライドラックを例示する上面図である。
【
図10】発明の実施形態に従った、スライドガラスを有する例示的なスライドラックを例示する側面図である。
【
図11】発明の実施形態に従った、スライドガラスを有する例示的なスライドラックを例示する斜視図である。
【
図12】発明の実施形態に従った、スライドガラスを有する例示的なスライドラックを例示する上面図である。
【
図13】発明の実施形態に従った、スライドガラスを有する例示的なスライドラックを例示する側面図である。
【
図14】発明の実施形態に従った、ラックスペーサを有する例示的なスライドラックカルーセル基部およびスライドガラスを有するスライドラックを例示する斜視図である。
【
図15】発明の実施形態に従った、ラックスペーサを有する例示的なスライドラックカルーセル基部およびスライドガラスを有するスライドラックを例示する上面図である。
【
図16A】本明細書で説明されるさまざまな実施形態に関連して使用され得る例示的なプロセッサ使用可能デバイスを例示するブロック図である。
【
図16B】単一のリニアアレイを有する例示的なライン走査カメラ」を例示するブロック図である。
【
図16C】3つのリニアアレイを有する例示的なライン走査カメラ」を例示するブロック図である。
【
図16D】複数のリニアアレイを有する例示的なライン走査カメラ」を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で開示される特定の実施形態は、異なる高さのおよび異なる製造者からの複数のスライドラックを保持するように構成されたスライドラックカルーセルを提供する。スライドラックカルーセルは、スライドガラスがデジタルスライド走査装置によって走査されている間、連続したスライドラックの積載および取り外しを可能にする。この説明を読んだ後、さまざまな代替的な実施形態および代替的な適用において発明をどのように実装するかが当業者にとって明らかになるであろう。しかしながら、本発明のさまざまな実施形態が本明細書で説明されるが、それらの実施形態が、限定ではなく、例としてのみ提示されることが理解されよう。そのようにして、さまざまな代替的な実施形態のこの詳細な説明は、添付の特許請求の範囲において記載されるような本発明の範囲または広さを限定するものと解釈されるべきではない。
【0015】
1.例示的なスライドラックカルーセル
【0016】
図1は、発明の実施形態に従った、例示的なスライドラックカルーセル基部10を例示する斜視図である。例示される実施形態では、基部10は、実質的に環状であり、リング400の形式にある。基部10は下面および上面を有し、上面の少なくとも一部は、リング400の中心に向かって下方に傾斜する。
【0017】
図2は、発明の実施形態に従った、例示的なスライドラックカルーセル基部10を例示する上面図である。例示される実施形態では、基部10の上面は、より中心に位置する傾斜部を有し、基部10の上面はまた、リング400の形式にある円形の基部10の外周の近くでより外側に位置する平坦部分を有する。
【0018】
図3は、発明の実施形態に従った、スライドラックカルーセル基部10の例示的な断面を例示する斜視図である。例示される実施形態では、基部は、下面において切り出し部40を有し、切り出し部40は、基部10がドライブに固定されることを可能にするように構成され、ドライブは、モータによって電力供給され、それによって、左方向または右方向のいずれかに360度で基部10を移動させる。
【0019】
図4は、発明の実施形態に従った、スライドラックカルーセル基部10の例示的な断面を例示する側面図である。例示される実施形態に示されるように、基部10は、リング400の形式にある。
【0020】
図5Aは、発明の実施形態に従った、スライドラックカルーセル基部10の1つの側面の例示的な断面を例示する側面図である。例示される実施形態では、カルーセル基部10の上面の一部は平坦であり、カルーセル基部10の上面の外周縁は、斜面を有する。上面の平坦部分は、カルーセル基部10の上面の外周近くにある。斜面は、スライドラック300のカルーセルのスライドラックスロット220へのスライドラック300の積載を容易にする。さらに、カルーセル基部10の上面の異なる部分は、θ°の角度で傾斜している。有利なことに、カルーセル基部10の上面の少なくとも一部は傾斜しており、θ°の角度は、1°〜10°の範囲にわたり、または45°までさらに高くなる場合がある。前述のように、スライドラック300がカルーセル基部10の傾斜した上面上に配置されると、スライドラック300の任意の振動によって誘起されるまたは他の移動は、カルーセルの中央に向かって付勢され、そこで、スライドラックストッパ230が、スライドラック300のさらなる移動を防止する。さらに、スライドラック300内の個々のスライドは、振動に誘発される移動または他の移動も経験する場合があり、個々のスライドが配置されるスライドラック300の傾いた位置も、個々のスライドの移動が、スライドラック300の端部がスライドラック300のさらなる移動を防ぐ、カルーセルの中心に向かって偏向されるように個々のスライドを斜めに配置する。
【0021】
さらに、カルーセル基部10は、デジタルパソロジ走査装置をも支持する機台60によって支持される。1つ以上のv状ホイールベアリング70は、ベルト凹部80に位置付けられたベルトによって向きが変わるように、カルーセル基部10の位置を維持するために、切り出し部40の表面を係合させるよう位置付けられる。
【0022】
図5Bは、発明の実施形態に従った、カルーセル基部10の向きを変えるカルーセルベルト90と係合した例示的なスライドラックカルーセル基部10を例示する斜視図である。例示される実施形態では、カルーセル基部10は、機台60によって支持される。機台60は、プロセッサによって制御され、カルーセル基部10と係合したカルーセルベルト90の向きを変えるように構成されたカルーセルモータ100をも支持する。有利なことに、カルーセルベルト90の向きを変えることによって、カルーセルが回転する。カルーセルモータ100は、カルーセルが左または右に回転することができるような2つの方向にカルーセルベルト90の向きを変えるように構成される。
【0023】
図5Cは、発明の実施形態に従った、カルーセル基部10の向きを変えるカルーセルベルト90と係合したスライドラックスペーサ210を有する例示的なスライドラックカルーセル基部10を例示する斜視図である。
【0024】
図5Dは、発明の実施形態に従った、複数のv状ホイールベアリング70と係合した例示的なスライドラックカルーセル基部10を例示する斜視図である。例示される実施形態では、複数のv状ホイールベアリング70は、カルーセル基部10の切り出し部40の内面と係合し、または内面に近接するように位置付けられる。例示される実施形態では、有利なことに、横方向の移動からカルーセル基部10を固定するよう反対の三角形の方位に位置付けられ、カルーセル基部10が回転することを可能にする3つのv状ホイールベアリング70が存在する。一実施形態では、v状ホイールベアリング70のうちの少なくとも1つは、対向するv状ホイールベアリング70の間のカルーセルの初期の位置付けを可能にする調節可能なv状ホイールベアリング72であり、他のv状ホイールベアリング70は、調節可能でないv状ホイールベアリング74であってもよい。代替的な実施形態では、v状ホイールベアリング70のうちの2つ以上は、調節可能であってもよい。一実施形態では、v状ホイールベアリング70は、機台60(図示せず)に固定される。一実施形態では、調節可能なv状ホイールベアリングは、手動で調節可能であり、代替的な実施形態では、調節可能なv状ホイールベアリングは、プロセッサの制御の下に調節される。
【0025】
図5Eは、発明の実施形態に従った、複数のv状ホイールベアリング70と係合した
図5Dの例示的なスライドラックカルーセル基部10を例示する代替的な斜視図である。
【0026】
図5Fは、発明の実施形態に従った、機台60によって支持され、カルーセル基部10の向きを変えるカルーセルベルト90と係合した例示的なスライドラックカルーセル基部10を例示する上面図である。例示される実施形態では、カルーセルベルト90は、カルーセル基部10のベルト凹部80に位置付けられ、カルーセルベルト90は、カルーセル基部10の周りで延在し、カルーセルベルト90はまた、カルーセルモータ100(図示せず)によって向きを変える少なくとも1つのロータ110の周りで延在する。有利なことに、カルーセルモータ100は、左方向または右方向にロータ110の向きを変え、それによって、左方向または右方向にカルーセルベルト90の向きを変え、それによって、左方向または右方向にカルーセル基部10を回転させるように、プロセッサの制御の下に動作してもよい。
【0027】
代替的な実施形態では、カルーセル基部10は、ベルトまたはダイレクトギアリングもしくはダイレクトドライブなどの別の機構を採用するドライブシステムを有してもよい。有利なことに、ドライブシステムは、カルーセル基部10の移動を実施するよう、さまざまなタイプのベアリングシステムと対にされてもよい。
【0028】
図6は、発明の実施形態に従った、ラックスペーサ210を有する例示的なスライドラックカルーセル基部10を例示する斜視図である。例示される実施形態では、基部10は、スライドラック300が位置付けられることになる、より外側の平坦部およびより中心の傾斜部を有する上面を有する。カルーセルは、基部10の上面から上方向に延在する複数のラックスペーサ210を含む。隣接するラックスペーサ210は、異なる製造業者によって作成された多種多様な異なるタイプのスライドラック300を受けるように構成されたラックスロット220を形成する。一実施形態では、スライドラック300は、異なる高さおよび/または幅のスライドラックであってもよく、少なくとも1つのラックスロット220内でなおも適合し得る。
【0029】
図7は、発明の実施形態に従った、ラックスペーサ210を有する例示的なスライドラックカルーセル基部10を例示する上面図である。例示される実施形態では、各々のラックスペーサ210は、第1の側面上に第1のラックストッパ230、および第2の側面上に第2のラックストッパ230を含む。単一のラックスペーサ210の第1および第2のラックストッパ230の各々は、異なるラックスロット200に対向する。したがって、第1のラックスペーサ210の第1のラックストッパ230および第2のラックスペーサ210の第2のラックストッパ230は、相互に対向する。有利なことに、特定のラックスロット220の第1のラックストッパ230と第2のラックストッパ230との間の距離は、スライドラック300の幅よりも短い。この方式では、対向する第1のラックストッパ230および第2のラックストッパ230の組み合わせは、スライドラック300がスライドラック300のカルーセルの中心に向かってこれ以上進むことを防止する。一実施形態では、対向する第1および第2のラックストッパ230のうちの少なくとも1つは、スライドラック300の存在の検出を促進するように構成されたラックストッパ隙間240を含む。
【0030】
一実施形態では、スライドラックストッパ230のうちの1つ以上は、スライドラック300のストッパ隙間240において方位付けられた検出器250により構成され、スライドラック300のストッパ隙間240は、スライドラック300のストッパ230が位置付けられたラックスロット220をスライドラック300が占有するかどうかを判定するよう位置付けられる。デジタル走査装置は、単一のラックスロット220の1つ以上の検出器250から信号を受信してもよく、信号または複数の信号に基づいて、特定のラックスロット220においてスライドラック300の有無に関する判定を行ってもよい。さらに、デジタル走査装置はまた、特定のラックスロット220におけるスライドラック300の有無に関する判定に基づいて、特定のラックスロット220と関連付けられた多色ステータスインジケータライトを照明してもよい。
【0032】
図8、
図9および
図10は、発明の実施形態に従った、スライドガラス310を有する例示的なスライドラック300を例示する斜視図、上面図、および側面図である。例示される実施形態では、スライドラック300は、第1の製造者からである。
【0033】
図11、
図12および
図13は、発明の実施形態に従った、スライドガラス310を有する例示的なスライドラック300を例示する斜視図、上面図、および側面図である。例示される実施形態では、スライドラック300は、第2の製造者からである。
【0034】
4.スライドラックと共に装着された例示的なスライドラックカルーセル
【0035】
図14および
図15は、発明の実施形態に従った、ラックスペーサ210を有する例示的なスライドラックカルーセル基部10およびスライドガラス310を有する、異なる高さのスライドラック300を例示する斜視図および上面図である。例示される実施形態では、カルーセルは、平坦上面部30および傾斜上面部20を有する基部を含む。ラックスペーサ210は、基部10の上面に取り付けられ、基部10の上面から上方向に延在する。隣接するラックスペーサ210は、ラックスロット220を画定し、スライドラック300が基部10の上面の傾斜部上に主に載せられるようにスライドラック300をラックスロット220の中に位置付けることができる。スライドガラス310は、スライドラック300においてさまざまなスロットを占有し、スライドガラス310は、有利なことに、基部10の上面の角度に従って斜めに配置される。さらに、カルーセルは、複数のラックスペーサ210の各々の上部に固定された中心リング400を含む。
【0037】
一実施形態では、複数のスライドガラス310のラック300を保持するデジタルスライド走査装置のカルーセルは、下面、上面、および外縁を有する基部を含む。基部10の外縁は、上面図の観点から見るときに全体的に環状の形状である。カルーセルはまた、基部10から上方向に延在する複数のラックスペーサ210を含む。この構成によって、ラックスペーサ210の隣接するペアが、3つの側面上で、基部10と、第1のラックスペーサ210の第1の側面と、第2のラックスペーサ210の第2の側面と、によって境界付けられたラックスロット220を画定する。各々のラックスペーサ210は、第1の側面上で第1のラックストップ、および第2の側面上で第2のラックストップを含む。さらに、基部10の上面の少なくとも一部は、基部10のより外側位置から基部10のより中心位置に向かって下方向に傾き、角度は、少なくとも1度である。有利なことに、この角度によって、カルーセルにおいてスライドガラス310上で課されるいずれかの振動が、それらのそれぞれのスライドラック300にさらにスライドガラス310を付勢する。加えて、基部10は、いずれかの方向に360度で回転するように構成される。
【0038】
デジタルスライド走査装置のカルーセルはまた、いずれかの方向にカルーセルを回転させるように構成されたモータを含んでもよい。一実施形態では、基部10の上面の傾斜部は、少なくとも5度で傾けられる。加えて、一実施形態では、各々のラックストップは、スライドラックスロット220においてスライドラック300の存在を検出するように構成されたスライドラック300の検出器を含む。
【0039】
一実施形態では、カルーセルは、15個の別個のラックスロット200により構成される。有利なことに、一実施形態では、各々のラックスロット220は、番号付けされてもよく、多色ステータスインジケータライトを含んでもよい。一実施形態では、外縁に隣接する基部10の上面の外側部分は、実質的に平坦であり、基部10の上面の傾斜部は、実質的に平坦な部分よりも中心である。一実施形態では、基部10は、リング形状を形成する。
【0040】
有利なことに、一実施形態では、複数のラックスペーサ210の各々は、基部10に固定される。また、一実施形態では、カルーセルも、複数のラックスペーサ210の各々の上部に固定されたリング400を含む。加えて、一実施形態では、第1のラックスペーサ210および第2のラックスペーサ210は、第1のラックスロット220を画定し、第1のラックスペーサ210の第1のラックストッパ230は、第2のラックスペーサ210の第2のラックストッパ230に対向する。この実施形態では、第1のラックストッパ230と第2のラックストッパ230との間の距離は、スライドラック300の幅よりも短い。有利なことに、これによって、基部10の上面上のある角度に配置されたスライドラック300が、カルーセルの中心に向かって振動により引き起こされた移動に対して付勢され、そのような潜在的な振動により引き起こされた移動は、第1のラックストッパ230および第2のラックストッパ230の組み合わせによって防止される。
【0041】
4.例示的なデジタルスライド走査装置
【0042】
本明細書で説明されるさまざまな実施形態は、
図16A〜16Dに関して説明されるような、デジタルパソロジ走査デバイスを使用して実装さてもよい。
【0043】
図16Aは、本明細書で説明されるさまざまな実施形態に関連して使用され得る例示的なプロセッサ使用可能デバイス550を例示するブロック図である。デバイス550の代替的な形式も、当業者によって理解されるように使用されてもよい。例示される実施形態では、デバイス550は、1つ以上のプロセッサ555、1つ以上のメモリ565、1つ以上の動きコントローラ570、1つ以上のインタフェースシステム575、1つ以上の試料590を有する1つ以上のスライドガラス585をそれぞれ支持する1つ以上の可動ステージ580、試料を照射する1つ以上の照明システム595、光学軸に沿って進む光学経路605をそれぞれ画定する1つ以上の対物レンズ600、1つ以上の対物レンズポジショナ630、1つ以上の任意選択の落射照明システム635(例えば、蛍光スキャナシステムに含まれる)、1つ以上のフォーカシング光学系610、それぞれが試料590および/またはスライドガラス585上の別個の視野625を画定する、1つ以上のライン走査カメラ」615および/または1つ以上のエリア走査カメラ」620を含む、デジタル撮像デバイス(デジタルスライド走査装置、デジタルスライドスキャナ、スキャナ、スキャナシステム、またはデジタル撮像装置などとも称される)として提示される。スキャナシステム550のさまざまな要素は、1つまたは複数の通信バス560を介して通信可能に結合される。スキャナシステム550のさまざまな要素の各々は、1つまたは複数であり得るが、説明を簡単にするために、これらの要素は、適切な情報を伝達するために複数形で説明する必要がある場合を除いて単数形で説明する。
【0044】
1つまたは複数のプロセッサ555は、例えば、命令を並列に処理することが可能な中央処理装置(「CPU」)および別個のグラフィック処理装置(「GPU」)を含んでもよく、または1つ以上のプロセッサ555は、命令を並列に処理することが可能なマルチコアプロセッサを含んでもよい。追加の別個のプロセッサも、特定の構成要素を制御し、または画像処理などの特定の機能を実行するために設けられてもよい。例えば、追加のプロセッサは、データ入力を管理する補助プロセッサ、浮動小数点演算を実行する補助プロセッサ、信号処理アルゴリズムの高速実行に適切なアーキテクチャを有する専用プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ)、メインプロセッサに従属するスレーブプロセッサ(例えば、バックエンドプロセッサ)、ライン走査カメラ615、ステージ580、対物レンズ225、および/またはディスプレイ(図示せず)を制御する追加のプロセッサを含んでもよい。そのような追加のプロセッサは、別個の離散プロセッサであってもよく、またはプロセッサ555と統合されてもよい。
【0045】
メモリ565は、プロセッサ555によって実行することができるプログラムのためのデータおよび命令の記憶装置を提供する。メモリ565は、例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、ハードディスクドライブ、取り外し可能記憶ドライブなどの、データおよび命令を格納する1つまたは複数の揮発性および/または不揮発性のコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。プロセッサ555は、メモリ565に記憶された命令を実行し、スキャナシステム550の全体的な機能を実行するために、通信バス560を介してスキャナシステム550のさまざまな要素と通信するように構成される。
【0046】
1つ以上の通信バス560は、アナログ電気信号を搬送するように構成された通信バス560およびデジタルデータを搬送するように構成された通信バス560を含んでもよい。したがって、1つ以上の通信バス560を介したプロセッサ555、動きコントローラ570、および/またはインタフェースシステム575からの通信は、電気信号およびデジタルデータの両方を含んでもよい。プロセッサ555、動きコントローラ570、および/またはインタフェースシステム575はまた、無線通信リンクを介して、走査システム550のさまざまな要素のうちの1つ以上と通信するように構成されてもよい。
【0047】
動き制御システム570は、ステージ580および対物レンズ600のXYZの移動を(例えば、対物レンズポジショナ630を介して)正確に制御および調整するように構成される。動き制御システム570はまた、スキャナシステム550におけるいずれかの他の移動部分の移動を制御するように構成される。例えば、蛍光スキャナの実施形態では、動き制御システム570は、落射照明システム635内の光学フィルタなどの移動を調整するように構成される。
【0048】
インタフェースシステム575は、スキャナシステム550が、他のシステムおよび人間のオペレータとインタフェースすることを可能にする。例えば、インタフェースシステム575は、オペレータに情報を直接提供し、および/またはオペレータからの直接入力を可能にするユーザインタフェースを含んでもよい。インタフェースシステム575はまた、走査システム550と、直接接続された1つ以上の外部デバイス(例えば、プリンタ、取り外し可能記憶媒体など)またはネットワーク(図示せず)を介してスキャナシステム550に接続された画像サーバシステム、オペレータステーション、ユーザステーション、および管理サーバシステムなどの外部デバイスとの間の通信およびデータ転送を容易にするように構成される。
【0049】
照明システム595は、試料590の一部を照射するように構成される。照明システム595は、例えば、光源および照明光学系を含んでもよい。光源は、光出力を最大化する凹形反射鏡および熱を抑制するKG−1フィルタを有する可変強度ハロゲン光源とすることができる。光源はまた、いずれかのタイプのアークランプ、レーザ、または他の光源であってもよい。一実施形態では、照明システム595は、ライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラ620が試料590を透過する光エネルギーを感知するように、透過モードで試料590を照射する。代わりにまたは加えて、照明システム595は、ライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラ620が試料590から反射される光エネルギーを感知するように、反射モードで試料590を照射するように構成されてもよい。全体的に、照明システム595は、光学顕微鏡検査のいずれかの既知のモードにおいて顕微鏡の試料590の検査に適切になるように構成される。
【0050】
一実施形態では、スキャナシステム550は任意選択で、蛍光走査のためにスキャナシステム550を最適化する落射照明システム635を含む。蛍光走査は、特定の波長において光を吸収することができる(励起)光子感光分子である、蛍光分子を含む試料590の走査である。これらの光子感知分子はまた、より高い波長において光を放射する(放射)。このフォトルミネセンス現象の効率性が非常に低いことを理由に、放射される光の量は非常に少ないことが多い。この少ない量の放射される光は典型的には、試料590を走査およびデジタル化するための従来の技術(例えば、透過モード顕微鏡検査)を妨げる。有利なことに、スキャナシステム550の任意選択の蛍光発光スキャナシステムの実施形態では、複数のリニアセンサアレイを含むライン走査カメラ615(例えば、時間遅延統合(「TDI」)ライン走査カメラ」)の使用は、ライン走査カメラ615の複数のリニアセンサアレイのそれぞれに試料590の同一の領域を露光することによって、ライン走査カメラの光への感度を高める。これは特に、放射された少ない光によりわずかな蛍光発光試料を走査するときに有用である。
【0051】
したがって、蛍光スキャナシステムの実施形態では、ライン走査カメラ615は好ましくは、モノクロTDIライン走査カメラである。有利なことに、モノクロ画像は、それらが試料上に存在するさまざまなチャネルからの実際の信号のより正確な表現を提供することを理由に、蛍光発光顕微鏡検査において理想である。当業者によって理解されるように、蛍光試料590は、「チャネル」とも称される、異なる波長において光を放射する複数の蛍光染料によりラベル付けすることができる。
【0052】
さらに、ローエンドおよびハイエンド信号レベルのさまざまな蛍光発光試料が、検知するライン走査カメラ615についての広いスペクトルの波長を提示することを理由に、ライン走査カメラ615が検知することができるローエンドおよびハイエンド信号レベルが同様に広いことが望ましい。したがって、蛍光発光スキャナの実施形態では、蛍光発光走査システム550において使用されるライン走査カメラ615は、モノクロの10ビットの64個のリニアアレイTDIライン走査カメラ」である。ライン走査カメラ615についてのさまざまなビット深度が走査システム550の蛍光発光スキャナの実施形態による使用のために採用され得ることに留意されたい。
【0053】
可動ステージ580は、プロセッサ555または動きコントローラ570の制御の下、正確なX−Y軸の移動のために構成される。可動ステージはまた、プロセッサ555または動きコントローラ570の制御の下、Z軸における移動のために構成されてもよい。可動ステージは、ライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラによる画像データ捕捉の間に所望の位置に試料を位置付けるように構成される。可動ステージはまた、走査方向において実質的に一定の速度に試料590を加速させ、次いで、ライン走査カメラ615による画像データの捕捉の間、実質的に一定の速度を維持するように構成される。一実施形態では、スキャナシステム550は、可動ステージ580上の試料590の位置を補助するために、高精度および密接に調整されたX−Yグリッドを使用し得る。一実施形態では、可動ステージ580は、X軸およびY軸の両方に使用される高精度エンコーダを備えるリニアモータベースのX−Yステージである。例えば、非常に正確なナノメートルエンコーダは、走査方向における軸上で、および走査方向に垂直な方向における軸上で、且つ走査方向と同一の平面上で使用されることができる。ステージはまた、その上に試料590が配置されるスライドガラス585を支持するように構成される。
【0054】
試料590は、光学検鏡法により照合することができるいずれかのものであることができる。例えば、ガラス顕微鏡スライド585は、組織および細胞、染色体、DNA、タンパク質、血液、骨髄、尿、細菌、ビーズ、生検材料、または死んでいるか、生きているか、染色されているか、染色されていないか、標識されているか、標識されていない、任意の他の種類の生物学的材料または物質を含む試料のための観察基板として頻繁に使用される。試料590はまた、マイクロアレイとして一般的に既知であるいずれかの試料および全ての試料を含む、いずれかのタイプのDNA、またはいずれかのタイプのスライドもしくは他の基板上に堆積されたcDNA、RNA、もしくはタンパク質などのDNA関連材料のアレイであってもよい。試料590は、マイクロタイタープレート、例えば、96ウェルプレートであってもよい。試料590の他の実施例は、集積回路基板、電気泳動レコード、ペトリ皿、フィルム、半導体材料、法医学材料、および機械加工部品を含む。
【0055】
対物レンズ600は、対物レンズポジショナ630上に据え付けられ、対物レンズポジショナ630は、実施形態では、対物レンズ600によって画定された光学軸に沿って対物レンズ600を移動させる非常に緻密なリニアモータを採用してもよい。例えば、対物レンズポジショナ630のリニアモータは、50ナノメートルのエンコーダを含んでもよい。XYZ軸のステージ580と対物レンズ600との相対位置は、走査システム550の全体的な動作のためのコンピュータ実行可能なプログラムされたステップを含む、情報および命令を記憶するためのメモリ565を使用するプロセッサ555の制御下で、動きコントローラ570を使用して、閉ループ方式で調整および制御される。
【0056】
一実施形態では、対物レンズ600は、所望の最も高い空間分解能に対応する開口数を有する平面アポクロマート(「APO」)無限補正対物レンズであり、対物レンズ600は、透過モード照明顕微鏡、反射モード照明顕微鏡、および/または落射照明モード蛍光顕微鏡(例えば、Olympus 40X、0.75NAまたは20X、0.75NA)に適している。有利には、対物レンズ600は、色収差および球面収差を補正することが可能である。対物レンズ600が無限に補正されることを理由に、フォーカシング光学系610は、対物レンズを通過する光ビームがコリメート光ビームになる、対物レンズ600上の光学経路605に置かれてもよい。フォーカシング光学系610は、ライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラ620の光応答素子上で対物レンズ600によって捕捉された光信号の焦点を調節し、フィルタおよび/または倍率変換器レンズなどの光学素子を含んでもよい。フォーカシング光学系610と組み合わされた対物レンズ600は、走査システム550についての全倍率を提供する。実施形態では、フォーカシング光学系610は、チューブレンズおよび任意選択の2倍の倍率変換器を包含してもよい。有利なことに、2Xの倍率変換器は、本来の20Xの対物レンズ600が40Xの倍率において試料590を走査することを可能にする。
【0057】
ライン走査カメラ615は、画像要素(「ピクセル」)の少なくとも1つのリニアアレイを含む。ライン走査カメラは、モノクロまたはカラーであってもよい。カラーライン走査カメラは典型的には、少なくとも3つのリニアアレイを有し、モノクロライン走査カメラ」は、単一のリニアアレイまたは複数のリニアアレイを有してもよい。カメラの一部としてパッケージ化され、または撮像電子モジュールにカスタム統合されているかに関わらず、いずれかのタイプの単数または複数のリニアアレイが使用されてもよい。例えば、3つのリニアアレイ(「赤緑青」すなわち「RGB」)のカラーライン走査カメラまたは96リニアアレイモノクロTDIが使用されてもよい。TDIライン走査カメラは、典型的には、試料の以前に撮像された領域からの強度データを合計することによって、出力信号における実質的に良好な信号対雑音比(「SNR」)を提供し、積分ステージ数の平方根に比例するSNRの増加をもたらす。TDIライン走査カメラは、複数のリニアアレイを含む。例えば、TDIライン走査カメラは24、32、48、64、96、またはそれ以上のリニアアレイで利用可能である。スキャナシステム550はまた、512ピクセルを有するもの、1024ピクセルを有するもの、および4096ピクセルと同数のピクセルを有するものを含むさまざまなフォーマットで製造されたラインアレイをサポートする。同様に、さまざまなピクセルサイズを有するリニアアレイも、スキャナシステム550で使用することができる。任意の種類のライン走査カメラ615を選択するための顕著な要件は、ステージ580の移動をライン走査カメラ615のラインレートと同期させることができ、その結果、試料590のデジタル画像の取り込み中に、ステージ580をライン走査カメラ615に対して移動させることができることである。
【0058】
ライン走査カメラ615によって生成された画像データは、メモリ565の一部に記憶され、試料590の少なくとも一部の連続したデジタル画像を生成するために、プロセッサ555によって処理される。連続したデジタル画像は、プロセッサ555によってさらに処理することができ、処理された連続したデジタル画像もメモリ565に記憶することができる。
【0059】
2つ以上のライン走査カメラ615を有する一実施形態では、少なくとも1つのライン走査カメラ615は、撮像センサとして機能するように構成される少なくとも1つのライン走査カメラ615と組み合わせて動作するフォーカシングセンサとして機能するように構成することができる。フォーカシングセンサは、撮像センサと同じ光軸上に論理的に配置することができ、またはフォーカシングセンサは、スキャナシステム550の走査方向に関して撮像センサの前または後に論理的に配置され得る。焦点調節センサとして機能する少なくとも1つのライン走査カメラ615を有する一実施形態では、フォーカシングセンサによって生成された画像データは、メモリ565の一部に格納され、1つまたは複数のプロセッサ555によって処理されて焦点情報を生成し、スキャナシステム550が、試料590と対物レンズ600との間の相対距離を調整して、走査中の試料への焦点合わせを維持することを可能にする。さらに、一実施形態では、フォーカシングセンサとして機能する少なくとも1つのライン走査カメラ615は、フォーカシングセンサの複数の個々のピクセルのそれぞれが光路605に沿って異なる論理高さに配置されるように配向されてもよい。
【0060】
動作中、スキャナシステム550のさまざまな構成要素およびメモリ565に格納されたプログラムモジュールにより、スライドガラス585上に配置された試料590の自動走査およびデジタル化が可能となる。スライドガラス585は、試料590を走査するためのスキャナシステム550の可動ステージ580上に固定して配置される。プロセッサ555の制御下で、可動ステージ580は、ライン走査カメラ615による感知のために、試料590を実質的に一定の速度まで加速させ、ステージの速度はライン走査カメラ615のライン速度と同期される。画像データのストライプを走査した後、可動ステージ580は減速し、試料590を実質的に完全に停止させる。可動ステージ580は次いで、画像データの後続のストライプ、例えば、隣接するストライプの走査のために試料590を位置付けるように走査方向に直交して移動する。追加のストライプはその後、試料590の全体部分または試料590全体が走査されるまで走査される。
【0061】
例えば、試料590のデジタル走査の間、試料590の連続したデジタル画像は、画像ストリップを形成するように共に組み合わされた複数の連続した視野として取得される。複数の隣接する画像ストリップは、同様に組み合わされて、試料590の一部または試料590全体の連続したデジタル画像を形成する。試料590の走査は、垂直画像ストリップまたは水平画像ストリップを取得することを含んでもよい。試料590の走査は、上から下、下から上、またはその両方(双方向)のいずれかであってもよく、試料上の任意の点で開始してもよい。代わりに、試料590の走査は、左から右、右から左、またはその両方(双方向)のいずれかであってもよく、試料上の任意の点で開始してもよい。加えて、画像ストリップが隣接または連続した形で取得される必要はない。さらに、試料590の結果として生じる画像は、試料590の全体または試料590の一部のみの画像であってもよい。
【0062】
一実施形態では、コンピュータ実行可能命令(例えば、プログラムモジュールまたは他のソフトウェア)は、メモリ565に記憶され、実行されると、走査システム550が本明細書で説明されるさまざまな機能を実行することを可能にする。この説明では、用語「コンピュータ可読記憶媒体」は、コンピュータ実行可能命令を記憶し、プロセッサ555による実行のために走査システム550にコンピュータ実行可能命令を提供するために使用される任意の媒体を指すために使用される。これらの媒体の実施例は、メモリ565、およびいずれかの取り外し可能または直接もしくは間接的に(例えば、ネットワークを介して)走査システム550と通信可能に結合された外部記憶媒体(図示せず)を含む。
【0063】
図16Bは、電荷結合素子(「CCD」)アレイとして実装され得る、単一のリニアアレイ640を有するライン走査カメラを例示する。単一のリニアアレイ640は、複数の個々のピクセル645を含む。例示される実施形態では、単一のリニアアレイ640は、4096個のピクセルを有する。代替的な実施形態では、リニアアレイ640は、より多くのまたはより少ないピクセルを有してもよい。例えば、リニアアレイの共通フォーマットは、512個、1024個、および4096個のピクセルを含む。ピクセル645は、リニアアレイ640についての視野625を定めるためにリニア方式において配置される。視野のサイズは、スキャナシステム550の倍率に従って変化する。
【0064】
図16Cは、各々がCCDアレイとして実装され得る、3つのリニアアレイを有するライン走査カメラを例示する。3つのリニアアレイは、カラーアレイ650を形成するよう組み合わされる。一実施形態において、カラーアレイ650における各個別リニアアレイは、異なる色強度(例えば、赤、緑または青)を検出する。カラーアレイ650内の各々の個々のリニアアレイからのカラー画像データは、カラー画像データの単一の視野625を形成するよう組み合わされる。
【0065】
図16Dは、各々がCCDアレイとして実装され得る、複数のリニアアレイを有するライン走査カメラを例示する。複数のリニアアレイは、TDIアレイ655を形成するよう組み合わされる。有利なことに、TDIライン走査カメラは、標本の前に撮像された領域から強度データを合計することによって、その出力信号における大幅に良好なSNRをもたらし、リニアアレイ(統合ステージとも称される)の数の平方根に比例したSNRの増加をもたらし得る。TDIライン走査カメラは、より多くのさまざまな数のリニアアレイを含んでもよい。例えば、TDIライン走査カメラの共通形式は、24個、32個、48個、64個、96個、120個、およびさらに多くのリニアアレイを含む。
【0066】
開示される実施形態の上記説明は、いずれかの当業者が発明を作成または使用することを可能にするために提供される。それらの実施形態へのさまざまな修正は、当業者にとって容易に明らかであり、発明の精神または範囲から逸脱せず、本明細書で説明される一般的な原理を他の実施形態に適用することができる。よって、本明細書で提示される説明および図面は、発明の現時点で好ましい実施形態を表し、したがって、本発明によって広く考慮される主題を表すことを理解されたい。さらに、本発明の範囲は、当業者にとって明らかになり得る他の実施形態を完全に包含し、したがって、本発明の範囲は限定されないことが理解されよう。