(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記方法は、各閾値電圧が比較される別個の基準電圧を利用することなく、前記メモリセルの各閾値電圧を比較することによって前記メモリセルのそれぞれの状態を検知することを含む、請求項1に記載の方法。
前記特定の時間は、前記特定の時間の後の前記電圧ランプの大きさが、前記第2のデータ値を記憶する前記グループの前記セルを切り替えるには不十分であるように選択される、請求項1に記載の方法。
前記コントローラは、前記各閾値電圧が比較される別個の基準電圧を利用することなく、前記メモリセルの前記各閾値電圧を比較することにより、前記符号化データパターンを検知するように構成される、請求項8に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0005】
メモリセルの検知は、メモリセルのグループに電圧ランプを印加して、各メモリセルの状態を検知することと、印加された電圧ランプに応答してメモリセルの1つに最初の切り替えイベントが発生したときを検知することと、最初の切り替えイベントが発生した後、特定の時間後に電圧ランプの印加を停止することと、グループのどの追加メモリセルが特定の時間中に切り替えイベントを経験したかを決定することとを含むことができる。印加された電圧ランプに応答して切り替えイベントを経験したと決定されたセルは第1のデータ値を記憶するとして検知され、印加された電圧ランプに応答して切り替えイベントを経験しなかったと決定されたセルは第2のデータ値を記憶するとして検知される。グループは、各コードパターンが、第1のデータ値を有する少なくとも1つのデータユニットを含むように制約された符号化関数に従ってデータを記憶する。
【0006】
本開示の実施形態は、抵抗可変メモリセル等の一部のメモリセルが古くなる及び/または温度が変わると生じ得る閾値電圧ドリフトに関連する問題を克服することによって、以前のアプローチを超える技術的長所を提供する。例えば、読み取り動作等の検知動作中に、検知電圧をメモリセルに印加して、メモリセルの閾値電圧に対応するメモリセルの状態を決定し得る。しかしながら、メモリセルが新しいデータで上書きされる回数が増えると(例えば、メモリセルが古くなるにつれて)及び/またはメモリセルの温度が変化すると、セルの状態に対応する閾値電圧が変化し、検知電圧を使用してメモリセルの状態を正確に決定することが困難になる場合がある。
【0007】
しかしながら、本開示の実施形態は、検知電圧を使用する必要性を回避するので、ドリフトに関連する問題を克服する。例えば、メモリセルのグループの1つのメモリセルが、メモリセルがグループ内の追加のメモリセルの前に(例えば、ランプ電圧に応答して)切り替えイベントを経験するように、特定の状態にプログラムされてよい。次に、特定の状態にプログラムされた1つのメモリセルが切り替えイベントを経験するときから特定の時間内に、グループ内の追加のメモリセルがランプ電圧に応答して切り替えイベントを経験するかどうかに基づいて、それらの追加のメモリセルの状態が決定されてよい。これにより、残りのメモリセルの状態を、1つのメモリセルの特定の状態に対して決定できるため、検知が特定の状態のドリフトを効果的に追跡できるようになり、ドリフトに関連する問題が克服される。
【0008】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、コンピューティングシステム100の形態の装置のブロック図である。コンピューティングシステム100は、例えば、SSD、UFSデバイス、組み込みeMMCデバイス等のストレージシステムであってよいメモリシステム102を含む。しかし、実施形態は、特定のタイプのメモリシステムに限定されない。例えば、メモリシステム102は、システム100のメインメモリとして機能することができる。
【0009】
図1に示すように、システム102は、メモリ106とホスト104とに結合されたコントローラ108を含むことができる。ホスト104は、様々なタイプのホストの中で特に、パーソナルラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、デジタルカメラ、モバイルデバイス(例えば、携帯電話)、ネットワークサーバ、インターネットオブシングズ(IoT)対応デバイス、または、メモリカードリーダ等のホストシステムであってよい。例えば、ホスト104は、バスを含み得るインタフェースを介して(例えば、コントローラ108を介して)メモリ106にアクセス可能な1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。インタフェースは、様々なインタフェースの中で特に、シリアルアドバンストテクノロジアタッチメント(SATA)、ペリフェラルコンポーネントインターコネクトエクスプレス(PCIe)、ユニバーサルシリアルバス(USB)等の標準的なインタフェースであってよい。
【0010】
メモリ106は、いくつかのメモリデバイス(例えば、メモリダイ、チップ等)を含むことができ、これらはそれぞれ、いくつかのアレイ110を含むことができる。アレイ110は、クロスポイントアレイ構造等の2次元(2D)及び/または3次元(3D)アレイ構造を含むことができる。メモリセルは、例えば、様々なタイプの抵抗可変(例えば、PCRAMセル、RRAMセル、3Dクロスポイントセル)を含むことができ、これらは、抵抗可変記憶素子及び/またはスイッチ素子を備えてよい。いくつかの実施形態では、メモリセルは、単一の材料が記憶素子とメモリ素子の両方として機能することができる自己選択メモリ(SSM)セルであってよい。
【0011】
一例として、メモリセルは相変化メモリ(PCM)セルであってよく、これは、セルの記憶素子及びスイッチ素子の両方として機能する単一のカルコゲニド材料、及び/または、第1のカルコゲニド材料がスイッチ素子として機能し、第2のカルコゲニドがセルの記憶素子として機能する材料のスタックを含むカルコゲニドベースのメモリセルであってよい。しかしながら、実施形態は、特定のアレイアーキテクチャ及び/またはメモリセルタイプに限定されない。例えば、アレイ110は、特に、NANDフラッシュメモリセル及び/またはNORフラッシュメモリセルを含み得る。
【0012】
メモリデバイス106は、本開示の実施形態による、メモリセルを動作させることに関連する様々な回路を備え得る読み取りコンポーネント112を含む。例えば、以下にさらに記載するように、読み取りコンポーネントは、センス増幅器を含むことができる。
【0013】
コントローラ108は、例えば、状態機械、シーケンサ、及び/または他の何らかのタイプの制御回路を備えることができ、メモリデバイス106と通信して、動作の中で特に、データの読み取り、書き込み、及び消去操作を制御することができる。コントローラ108は、例えば、いくつかのメモリデバイス106へのアクセスを制御するために及び/またはホスト104とメモリデバイス106との間のデータ転送を容易にするために、ハードウェア(例えば、1つまたは複数の集積回路)及び/またはソフトウェア(例えば、ファームウェアの形態であってよい命令)の形態のいくつかのコンポーネントを含むことができる。一般に、コントローラ108は、ホスト104からのコマンドを受信及び実行して、メモリ106への所望のアクセスを達成することができる。コントローラ108は、特に、本明細書に記載される実施形態に従ってメモリ動作を改善するための様々な方法の実行を担当し得る。
【0014】
コントローラ108は、本明細書でさらに記載するように、記憶したデータパターンとコードパターンとの間のマッピングに使用できるエンコーダ/デコーダ111を含むことができる。一部の例では、メモリセルのグループは、エンコーダ/デコーダ111によって実施される符号化関数に従ってデータを記憶することができる。例えば、符号化関数は、セルのグループによって記憶されたデータパターンに対応する各コードパターンが、特定のデータ値を有する少なくとも1つのデータユニットを含むように制約することができる。
【0015】
コントローラ108は、いくつかの実施形態による、読み取り等、本明細書に開示される方法を行うように構成される。例えば、メモリセルのグループのメモリセルは、メモリセルがプログラムされ得る最低の状態等の特定の状態を有するようにプログラムされてよい。例えば、2つのメモリセルのグループの場合、コントローラ108は、特定の状態のメモリセルが切り替えイベントを経験した後、特定の時間内に、残りのメモリセルが切り替えイベントを経験するかどうかに基づいて、残りのメモリセルの状態を決定してよい。例えば、特定の状態にプログラムされたメモリセルが切り替えイベントを経験した後、特定の時間内に、残りのメモリセルが切り替えイベントを経験した場合、コントローラ108は、2つのメモリセルは同じ状態を有すると決定してよい。そうでない場合、コントローラ108は、2つのメモリセルは異なる状態を有すると決定してよい。例えば、切り替えイベントは、メモリセルの非導通状態からメモリセルの導通状態への切り替えを含み得る。
【0016】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、メモリセルがプログラムされ得る状態に対応するVt分布の例を示す。Vt分布220−1及び220−2は、それぞれ、低状態(例えば、Vtレベル)L及び高状態Hに対応する。状態Lを有するメモリセルは、1のコードビット(例えば、論理レベル1)で符号化することができ、状態Hを有するメモリセルは、0のコードビット(例えば、論理レベル0)で符号化することができる。例えば、H状態は状態0と呼ばれてよく、L状態は状態1と呼ばれてよい。
【0017】
状態0及び1は、それぞれの対応するメモリセルがプログラムされる異なる抵抗レベルにそれぞれ対応してよい。一部の例では、Vt分布220−1のボルトの幅W(例えば、Vt分布220−1に対応するVtの範囲)は、Vt分布220−1とVt分布220−2の間のボルトのマージンM(例えば、Vtの範囲)よりも小さい。
【0018】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、本明細書に開示された方法を使用して読み取ることができるメモリアレイ310の一部の例を示す。メモリアレイ310は、一部の例では、メモリアレイ110の一部であってよい。メモリアレイ310は、ワード線等の信号線315と、ビット線等の信号線316−1〜316−Nとの交点に配置された、クロスポイントメモリセル等のメモリセル314−1〜314−Nを含む。例えば、メモリセル314−1〜314−Nは、それぞれ、信号線316−1〜316−Nに結合され、共通で、信号線315に結合される。信号線316−1〜316−N、したがってメモリセル314−1〜314−Nは、例えば、読み取りコンポーネント112に含まれ得る読み取りコンポーネント312に結合することができる。読み取りコンポーネント312は、センス増幅器317−1〜317−Nを含むことができ、センス増幅器317−1〜317−Nは、信号線316−1〜316−Nに、したがってメモリセル314−1〜314−Nにそれぞれ結合される。
【0019】
センス増幅器317−1〜317−Nは、メモリセル314−1〜314−Nに印加される電圧がメモリセル314−1〜314−Nの閾値電圧(Vt)以上であることに応答して、閾値イベント(例えば、スナップバックイベント)等の切り替えイベントをメモリセル314−1〜314−Nが経験していることをそれぞれ示す電圧をそれぞれ、出力してよい。例えば、メモリセルは、低導電率状態(例えば、高抵抗状態)等のある導電率状態から、高導電率状態(例えば、低抵抗状態)等の別の導電率状態に切り替わってよい。センス増幅器は、センス増幅器の出力電圧に反映され得るメモリセルを通る電流の変化を検知することによって、切り替えイベントを検知してよい。
【0020】
一部の例では、信号線316−1〜316−Nに電圧(例えば、同じ電圧)を同時に印加しながら、時間的に増加するランプ電圧を信号線315に印加することができ、それにより、時間的に増加するランプ電圧がメモリセル314−1〜314−N全体に(例えば、に対して)同時に印加される。センス増幅器317−1〜317−Nは、メモリセル314−1〜314−Nにランプ電圧を印加することに応答して、メモリセル314−1〜314−Nのそれぞれの切り替えイベントを検知することができる。
【0021】
メモリセル314は、例えば、各メモリセルの状態(例えば、記憶されたデータ値)が各メモリセルのプログラムされた抵抗に依存する可変抵抗メモリセルであってよい。一部の例では、メモリセル314は、最初に消去されることなく個別に上書きすることができる。
【0022】
一部の例では、メモリセル314−1(A)及び314−2(B)等の2つのメモリセルの第1のグループは、メモリセル314−1(A)及び314−2(B)をそれぞれ状態1、0のうちの1つにプログラムすることによって集合的状態にプログラムされてよい。同様に、メモリセル314−3(C)及び314−4(D)等の2つのメモリセルの第2のグループは、メモリセル314−3(C)及び314−4(D)をそれぞれ状態1、0のうちの1つにプログラムすることにより、集合的状態にプログラムされてよい。他の例では、3個のセル、4個のセル、最大N個のセル等の他の数のセルを有する他のグループを想定する。以下、メモリセル314−1(A)、314−2(B)、314−3(C)、及び314−4(D)は、それぞれ、メモリセルA、B、C、及びDと呼ぶ。
【0023】
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態による、メモリセルのグループの2つのメモリセルが同じ状態を有すると決定されるグラフ図である。
図4Bは、本開示のいくつかの実施形態による、メモリセルのグループの2つのメモリセルが異なる状態を有すると決定されるグラフ図である。例えば、
図4A及び4Bは、コントローラ108によって実行される読み取り動作に対応する(例えば、その間に生じることを示す)。
図4A及び4Bは、メモリセルB等のメモリセルの状態を、そのメモリセルが、メモリセルA等の別のメモリセルが切り替えイベントを経験するとき(例えば、後)の特定の時間(例えば、閾値遅延時間と呼ばれてよい)内に切り替えイベントを経験する(例えば、切り替わる)かどうかに基づいて、決定することを示す。
【0024】
図4A及び4Bの例に示されるように、時間的に増加するランプ電圧425が、メモリセルA及びBに同時に印加される。例えば、時間的に増加するランプ電圧が
図3のアクセスライン315に印加され、同じ固定電圧が
図3のアクセスライン316−1及び316−2に同時に印加され、ランプ電圧425を生じ得る。
【0025】
状態1と0に対応するVt分布は、
図4Aと4Bの電圧Vの軸に重ね合わされている。ランプ電圧425の開始電圧は、状態1に対応するVt分布のVtよりも低く、メモリセルをプログラムし得る最も低い状態に対応する。
【0026】
図4A及び4Bの例は、2つのメモリセルのそれぞれの個々の状態を決定することにより、2つのメモリセルのグループ(例えば、メモリセルA及びB)の集合的状態を決定することを含むが、任意の数のメモリセルを有するグループに適用されてよい。一部の例では、この例のメモリセルA等、グループの少なくとも1つのメモリセルは、状態1等の特定の状態にプログラムされ、この例の状態メモリセルB等、そのグループ内の他のメモリセルの状態は、その特定の状態に関連して決定される。一部の例では、状態1にプログラムされたメモリセルは、セットメモリセルと呼ばれてよく、ランプ電圧425に応答して切り替えイベントを経験するグループ内の最初のメモリセルであってよい。例えば、セットメモリセルは基準メモリセルとして機能し、メモリセルのグループの各集合的状態が状態1のメモリセルを有し得ることを必要とする。例えば、各メモリセルの状態は、各閾値電圧が比較される個別の基準電圧を利用することなく、決定できる。メモリセルA及びBを含むグループは、対応するコードパターンが、状態1に対応するデータ値1を有する少なくとも1つのデータユニットを含むように制約された符号化関数に従ってデータを記憶する。
【0027】
図4A及び4Bにおいて、メモリセルAは、ステップ427に示すように切り替わる最初のメモリセルであり、セットメモリセルであってよい。例えば、メモリセルAは状態1であってよい。電圧ランプ425の電圧がメモリセルAのVtに達すると、メモリセルAが切り替わる。メモリセルAが切り替わった後の閾値遅延時間に、ランプ電圧425がメモリセルA及びBに印加される。ステップ429が示すように、電圧ランプ425の電圧がメモリセルBのVtに達すると、メモリセルBが切り替わる。
【0028】
図4Aに示すように、メモリセルAが切り替わった後、閾値遅延時間内にメモリセルBが切り替わると、メモリセルBも状態1にあると決定される。例えば、メモリセルAとBはデータ値1を記憶していると検知される。
図4Aでは、メモリセルA及びBの集合的状態は11であると決定される。
【0029】
一部の例では、ランプ電圧425は、メモリセルAが切り替わった後、閾値遅延時間が経つとメモリセルA及びBから除去される。一例では、閾値遅延時間は、ランプ電圧425の傾きS(例えば、変化率)で除算された最低状態に対応する、Vt分布220−1等のVt分布の幅Wに等しくてよい。例えば、閾値遅延時間はW/Sであってよい。
【0030】
図4Bに示すように、メモリセルAが切り替わった後、メモリセルBが閾値遅延時間内に切り替わらないとき、メモリセルBは状態0であると決定される。例えば、メモリセルBは、メモリセルBが切り替わるのを待つことなく、状態0であると決定されてよい。例えば、ランプ電圧425が除去される前にメモリセルBが切り替わらないとき、メモリセルBは状態0であると決定される。
図4BのメモリセルA及びBの集合的状態は10であると決定され、メモリセルA及びBのそれぞれの個々の状態は
図4Bで決定される。メモリセルグループA及びBは、例えば、各コードパターン11及び10がデータ値1のデータユニットを少なくとも1つ含むように制約された符号化関数に従ってデータを記憶することに留意されたい。
【0031】
図4BのメモリセルBは、メモリセルBの電圧が電圧VBであり、
図4Bのステップ431によって示される時間tBまで切り替わらないことに留意されたい。しかし、メモリセルBの状態は、メモリセルAが切り替わった後の閾値遅延時間で、時間tBまで待たずに決定することができる。
【0032】
図4A及び
図4Bの例は、メモリセルAがセットメモリセルであることに限定されない。例えば、メモリセルA及びBは、
図4A及び4Bにおいて交換されてよく、その場合、メモリセルBがセットメモリセルである。したがって、メモリセルAとメモリセルBの両方が状態1になるので、
図4Aの集合的状態は同じ(例えば、11)ままである。しかしながら、
図4Aの集合的状態は、メモリセルAが状態0になり、メモリセルBが状態1になるので、反転する(例えば、01)。
【0033】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、2状態メモリセルA及びBのグループが有することができる集合的状態及び対応するビットコードを示す。例えば、ビットコードは、メモリセルA及びBの個々の状態に対応する個々のビットを含む。
図4A及び4Bに関連して記載される方法では、メモリセルA及びBの少なくとも1つは、状態1にプログラムされてよく、したがって、メモリセルAとBの両方が状態0である集合的状態535−1は除外される。これは、
図5に示すように、残りの集合的状態535−2〜535−4で、メモリセルAとBの少なくとも1つが状態1であることを意味する。
図5は、例えば、各コードパターンが少なくともデータ値1を含むように制約された符号化関数に従ってデータを記憶する例を示す。
【0034】
図4A及び4Bの例では、メモリセルA及びBにランプ電圧を印加し、メモリセルA等の状態1のセットメモリセルを有し、メモリセルAが切り替わる閾値遅延時間内にメモリセルBが切り替わるかどうかに基づいて、メモリセルBの状態を決定することによって、ドリフトに関連する問題を克服する。これは、状態1がドリフトしたかどうかに関係なく、ランプ電圧によりメモリセルAの状態を決定できるため、及び、状態1がドリフトしたかどうかに関係なく、メモリセルBの状態が状態1に対して決定されるためである。
【0035】
一部の例では、
図4A及び4Bと関連して記載する方法を使用して、
図3のメモリセルC及びDのグループの集合的状態を決定してよい。例えば、メモリセルC及びDをそれぞれ、
図4A及び4Bに関連して記載した方法及び
図5に示される例におけるメモリセルA及びBの代わりに使用してよい。例えば、メモリセルC及びDのグループは、
図5の例に記載される集合的状態535−2〜535−4を有してよい。
【0036】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、データパターンの3つのデータビット(例えば、データ状態)のグループを、2つのメモリセルの2つのグループを組み合わせることから生じるコードパターンのコードビットに割り当てることを示す。
図6では、データビットd1、d2、d3のそれぞれが2つの状態0と1の1つに対応する。したがって、8つの可能なデータ状態639−1〜639−8があり、それぞれが異なるデータパターンに対応する。
図6では、メモリセルA及びBのグループ(例えば、第1のグループ)と、メモリセルC及びDのグループ(例えば、第2のグループ)と、それらのそれぞれの集合的状態が組み合わされる。
図6は、組み合わされた第1のグループと第2のグループの9つの組み合わされた集合的状態637−1〜637−9を示し、各集合的状態は異なるコードパターンに対応する。
図6の例では、データ状態639−1〜639−8はそれぞれ、組み合わされた集合的状態637−1〜637−8に割り当てられ、それによって、組み合わされた集合的状態637−9は未使用のままである。集合的状態637−1〜637−8は、例えば、割り当てられた符号化639−1〜639−8に従ってそれぞれ符号化される。
【0037】
図6の例では、3ビットのデータパターンが4ビットのコードパターンにマッピングされる。一般に、符号化関数はnビットのデータパターン(例えば、
図6のn=3)を各(n+1)ビットのコードパターンにマッピングすることができ、ここで、「n」は2より大きい数であり、(n+1)ビットのコードパターンのそれぞれは、
図6のメモリセルA、B、C、及びD等のメモリセルのセットごとのコードパターンを含む組み合わされたコードパターンである。
【0038】
一部の例では、
図4A及び4Bに関して記載した方法を使用して、3つ以上のメモリセルを有するメモリセルのグループ内のメモリセルの状態を決定してよい。例えば、メモリセルA、B、C、及びD(例えば、それぞれが2状態セルとして動作する)は、メモリセルのグループとして扱われてよく、メモリセルA、B、C、及びDの個々の状態、ひいては、グループの集合的状態が決定されてよい。
【0039】
例えば、メモリセルA、B、C、及びDのうちの1つは、セットメモリセルであってよく、状態1であってよい。ランプ電圧425が、メモリセルA、B、C、及びDに同時に印加されてよく、切り替わる最初のメモリセルは状態1で、セットメモリセルである。次に、セットメモリセルが切り替わった後の閾値遅延時間まで電圧ランプ425が印加され、その時点でランプ電圧425が除去される。ランプ電圧425が印加されている間に切り替わるグループ内の残りのメモリセルはいずれも状態1であると決定され、ランプ電圧425が印加されている間に切り替わらない残りのメモリセルはいずれも状態0である。
【0040】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、2状態メモリセルA、B、C、及びDのグループが有することができる可能な集合的状態及び対応するビットコードを示す。例えば、ビットコードは、メモリセルA、B、C、及びDの個々の状態に対応する個々のビットを含む。しかしながら、メモリセルA、B、C、及びDの少なくとも1つ(例えば、セットメモリセル)は状態1にプログラムされているため、メモリセルA、B、C、及びDのすべてが状態0にある集合的状態741−1は除外される。これは、残りの集合的状態741−2〜741−16では、
図7に示すように、メモリセルA、B、C、及びDの少なくとも1つは状態1であることを意味する。
図7は、各コードパターンが例えば、少なくともデータ値1を含むように制約された符号化関数に従ってデータを記憶する別の例を示す。符号化関数は、セットごとのコードパターンが、
図7のデータ値1等の第1のデータ値の少なくとも1つを有するコードパターンのみを含むように、セットごと(例えば、メモリセルA、B、C、及びDを含むセット)に適用できる。
【0041】
図5の例では、2つのメモリセルに対して2
2−1=3の入手可能な集合的状態があり、
図5の例では、4つのメモリセルに対して2
4−1=15の入手可能な集合的状態があることに留意されたい。一般に、N個のメモリセルに対して2
N−1個の入手可能な集合的状態がある。1つの状態が失われるのは、グループ内の1つのメモリセルが状態1のセットメモリセルであるためである。ただし、ドリフトに関連する問題は、セットセルがいつ切り替わるかに従って残りのセルの状態を決定することで克服される。
【0042】
図7の例では、メモリセルA、B、C、及びDの任意のセルは、それが、グループの切り替わる最初のメモリセルである限り、セットセルであってよい。例えば、メモリセルD、C、B、及びAは、それぞれ、集合的状態741−2、741−3、741−5、及び741−9のセットメモリセルである。
【0043】
他の例では、グループ内の同じメモリセルがセットセルであってよく、これは、グループ内の同じセルが常に最初に切り替わることを意味する。次に、残りのメモリセルの状態は、セットメモリセルが切り替わるときの閾値遅延時間内に切り替わるかどうかに従って決定されてよい。このような例では、残りのメモリセルのみをデータストレージに使用してよく、残りのメモリセルの状態はコードビットに対応し得る。
【0044】
図8は、いくつかの実施形態による、データパターンの3つのデータビット(例えば、データ状態)のグループを、グループの同じメモリセルが同じ状態に割り当てられているメモリセルのグループの集合的状態に対応するコードビットコードパターンに割り当てることを示す。
図8では、メモリセルA、B、C、及びDのグループのメモリセルDは常に状態1にプログラムされてよく、残りのメモリセルA、B、Cは状態1または状態0のいずれかにプログラムできる。これは、可能な集合的状態の数は3つのメモリセルに基づいているため、2
3=8であることを意味する。
【0045】
図8では、3ビットデータパターンの3つのデータビットd1、d2、d3がそれぞれメモリセルA、B、およびCに記憶される。例えば、データビットd1、d2、d3の状態は、
図6に関連して記載したように、メモリセルA、B、およびCのデータ状態と1対1で対応する。データ状態839−1〜839−8は、それぞれ、集合的状態847−1〜847−8に割り当てられ、集合的状態は、それぞれ、4ビットのコードパターンに対応する。例えば、集合的状態847−1〜847−8は、割り当てられた符号化839−1〜839−8に従ってそれぞれ符号化される。
【0046】
図8の例では、nビット(例えば、3ビット)のデータパターンが(n+1)ビットのコードパターンにマッピングされる。一般に、符号化関数はnビットのデータパターンを各(n+1)ビットのコードパターンにマッピングすることができる。
図8に示すように、符号化関数は、nビットのデータパターンの各データパターンをデータ値1等の特定のデータ値を追加した追加ビットを有する(n+1)ビットのコードパターンの一致するコードパターンにマッピングすることができ、ここで、追加ビットは、(n+1)ビットのコードパターンの最後のビットである。
【0047】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による、コントローラ108によって実施されてよく、且つ、
図4A及び4Bに対応し得る、読み取り方法等の方法955のフローチャートを示す。ブロック957において、ランプ電圧がメモリセルのグループに印加される。ブロック959で、グループの最初の切り替えイベントが決定される。ランプ電圧は、ブロック961で、最初の切り替えイベント後の閾値遅延時間で除去される。ブロック963で、メモリセルの状態が、ランプ電圧が印加されている間にメモリセルが切り替わったかどうかに基づいて決定される。例えば、最初に切り替わったメモリセルを含め、ランプ電圧が印加されたときに切り替わるメモリセルは、状態1である。それ以外の場合、メモリセルは状態0である。状態1及び0を使用して、それぞれ、メモリセルの低状態及び高状態を表したが、本開示はそのように限定されない。例えば、状態0及び1を使用して、それぞれ低状態と高状態を表すことができる。
【0048】
前述の詳細な説明では、説明の一部を形成し、例示として特定の例が示される添付図面を参照する。図面では、類似の符号は、いくつかの図面を通して実質的に類似のコンポーネントを示す。本開示の範囲から逸脱することなく、他の例が利用されてよく、構造的、論理的、及び/または電気的変更が行われてよい。
【0049】
本明細書の図は、最初の桁(複数可)が図面番号に対応し、残りの桁が図面中の要素またはコンポーネントを識別するという番号付けの慣例に従う。異なる図面の類似の要素またはコンポーネントは、類似の桁の使用によって識別されてよい。認識されるように、本明細書における様々な実施形態に示す要素は、本開示のいくつかの追加の実施形態を提供するように、追加、交換、及び/または削除されてよい。さらに、認識されるように、図において提供される要素の比率及び相対的大きさは、本開示の実施形態を例示することを意図しており、限定的な意味に取られるべきではない。
【0050】
本明細書で使用される場合、「いくつかの(a number of)」何かは、そのようなもの1つまたは複数を指すことができる。例えば、いくつかのメモリセルは、1つまたは複数のメモリセルを指すことができる。「複数の(plurality)」何かは、2つ以上を意図している。本明細書で使用される場合、同時に実行される複数の動作は、特定の期間にわたって少なくとも部分的に重なる動作を指す。本明細書で使用される場合、用語「結合される(coupled)」は、電気的に結合されること、直接結合されること、及び/または介在要素なしに直接接続されること(例えば、直接の物理的接触による)、及び/または介在要素により間接的に結合及び/または接続されることを含んでよい。結合されるという用語はさらに、相互に協働または相互作用する2つ以上の要素を含んでよい(例えば、原因及び結果関係にあるような)。
【0051】
特定の例を本明細書で示し、説明したが、示した特定の実施形態は、同一の結果を達成するよう計算された構成と置き換えられてよいことを当業者は認識されよう。本開示は、本開示の1つまたは複数の実施形態の適合または変形を含むことを意図している。上記説明が非限定的ではなく、例示的に行われたことは理解されよう。本開示の1つまたは複数の例の範囲は、添付の請求項、及び、添付の請求項が権利を有するのと同等のものの全範囲とを参照して決定されるべきである。
メモリセルの検知は、メモリセルのグループに電圧ランプを印加して、各メモリセルの状態を検知することと、印加された電圧ランプに応答してメモリセルの1つに最初の切り替えイベントが発生したときを検知することと、最初の切り替えイベントが発生した後、特定の時間後に電圧ランプの印加を停止することと、グループのどの追加メモリセルが特定の時間中に切り替えイベントを経験したかを決定することとを含むことができる。印加された電圧ランプに応答して切り替えイベントを経験したと決定されたセルは、第1のデータ値を記憶するとして検知され、印加された電圧ランプに応答して切り替えイベントを経験しなかったと決定されたセルは、第2のデータ値を記憶するとして検知される。グループは、各コードパターンが第1のデータ値を有する少なくとも1つのデータユニットを含むように制約された符号化関数に従ってデータを記憶する。