特許第6869470号(P6869470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869470
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】便座装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/10 20060101AFI20210426BHJP
   H02P 7/28 20160101ALI20210426BHJP
【FI】
   A47K13/10
   H02P7/28 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-107548(P2017-107548)
(22)【出願日】2017年5月31日
(65)【公開番号】特開2018-201646(P2018-201646A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛人
(72)【発明者】
【氏名】萩野 誠一郎
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−111343(JP,A)
【文献】 特開2003−339576(JP,A)
【文献】 特開2003−235258(JP,A)
【文献】 特開2008−237331(JP,A)
【文献】 特開2004−81444(JP,A)
【文献】 実開平4−138397(JP,U)
【文献】 特開2014−223161(JP,A)
【文献】 特開平11−235293(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1347758(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00−17/02
H02P 7/03− 7/343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座または便蓋を開閉させるモータと、電源からの電力を前記モータに供給して該モータを正転または逆転させると共に該電源から前記モータへの電力供給を停止させるモータ駆動回路と、前記電源からの電圧を変換する電圧変換器と、前記電圧変換器から電力の供給を受けて前記モータ駆動回路を制御する制御装置とを備える便座装置であって、
前記制御装置は、前記電源から電力が供給されていない状態で前記電圧変換器から前記便座または前記便蓋の手動開閉操作に伴って発生した前記モータの逆起電力に基づく電力が供給された際に、前記モータが正転、逆転または停止するように前記モータ駆動回路を制御する便座装置。
【請求項2】
請求項1に記載の便座装置において、
前記電圧変換器から電力の供給を受けて前記便座または前記便蓋の回動軸の回転変位を検出する回転変位検出器を更に備え、
前記制御装置は、前記回転変位検出器からの信号に基づいて前記モータ側から電力が供給されているか否かを判定し、前記モータ側から電力が供給されていると判定した際に、前記モータが正転、逆転または停止するように前記モータ駆動回路を制御する便座装置。
【請求項3】
請求項2に記載の便座装置において、
前記制御装置は、前記モータ側から電力が供給された際に、前記回転変位検出器からの信号に基づいて前記便座または前記便蓋の開き角度を取得し、取得した開き角度に応じて前記モータが正転または逆転するように前記モータ駆動回路を制御する便座装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の便座装置において、
前記モータ駆動回路は、直列に接続された2つのスイッチング素子が2組並列に接続されたHブリッジ回路である便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便座や便蓋をモータにより開閉させることができる便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ駆動回路として、直列接続された電源側出力トランジスタおよびグランド側出力トランジスタからなり、それらの中間接続点を出力端子とし、2つの出力端子間にモータが接続される2組の出力回路と、2組の出力回路の各々の電源側出力トランジスタおよびグランド側出力トランジスタに制御電圧を与える制御電圧生成手段と、モータから発生する逆起電力によって生じる過電圧を抑圧する保護手段とを含むものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このモータ駆動回路の保護手段は、電源電圧の低下自体またはモータの両端に発生する逆起電力の上昇を電源電圧の低下として検出し、2組の出力回路に与えられる電源電圧の低下に応答して当該2組の出力回路の各々のグランド側トランジスタを強制的にオンにすることによりモータの回転にブレーキをかけて逆起電力による過電圧を抑圧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−262628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のモータ駆動回路は、電源電圧の低下を検出するために電源電圧の低下またはモータの両端に発生する逆起電力の上昇を検出する検出回路を必要とするものであり、コストアップや基板のサイズアップを抑制し得ないものである。従って、かかるモータ駆動回路を便座装置の便座や便蓋を開閉させるモータと共に用いた場合、当該便座装置のコストアップやサイズアップを招いてしまう。
【0005】
そこで、本開示の発明は、便座装置のコストアップやサイズアップを抑制しつつ、便座や便蓋を開閉させるモータの逆起電力から当該モータやモータ駆動回路を保護することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の便座装置は、便座または便蓋を開閉させるモータと、電源からの電力を前記モータに供給して該モータを正転または逆転させると共に該電源から前記モータへの電力供給を停止させるモータ駆動回路と、前記電源からの電圧を変換する電圧変換器と、前記電圧変換器から電力の供給を受けて前記モータ駆動回路を制御する制御装置とを備える便座装置であって、前記制御装置が、前記電源から電力が供給されていない状態で前記電圧変換器から前記便座または前記便蓋の手動開閉操作に伴って発生した前記モータの逆起電力に基づく電力が供給された際に、前記モータが正転、逆転または停止するように前記モータ駆動回路を制御するものである。
【0007】
この便座装置において、電源から電力が供給されていない状態で便座または便蓋が手動で開閉されると、それに伴って発生したモータの逆起電力が電圧変換器により電圧変換されて制御装置に供給される。そして、制御装置は、当該モータの逆起電力に基づく電力により起動され、モータが正転、逆転または停止するようにモータ駆動回路を制御する。これにより、この便座装置では、逆起電力の上昇等を検出する保護回路等を用いることなく、便座または便蓋の手動開閉操作に伴って発生したモータの逆起電力からモータやモータ駆動回路を保護することが可能となり、コストアップやサイズアップを抑制することができる。
【0008】
また、前記便座装置は、前記電圧変換器から電力の供給を受けて前記便座または前記便蓋の回動軸の回転変位を検出する回転変位検出器を更に備えてもよく、前記制御装置は、前記回転変位検出器からの信号に基づいて前記モータ側から電力が供給されているか否かを判定し、前記モータ側から電力が供給されていると判定した際に、前記モータが正転、逆転または停止するように前記モータ駆動回路を制御するものであってもよい。このように、便座または便蓋を開閉させるモータの制御に用いられる回転変位検出器からの信号に基づいて当該モータ側から制御装置に電力が供給されているか否かを判定することで、便座装置のコストアップやサイズアップをより良好に抑制することが可能となる。
【0009】
更に、前記制御装置は、前記モータ側から電力が供給された際に、前記回転変位検出器からの信号に基づいて前記便座または前記便蓋の開き角度を取得し、取得した開き角度に応じて前記モータが正転または逆転するように前記モータ駆動回路を制御するものであってもよい。これにより、モータにより手動開閉操作をアシストしたり、手動開閉操作を規制したりすることが可能となる。
【0010】
また、前記モータ駆動回路は、直列に接続された2つのスイッチング素子が2組並列に接続されたHブリッジ回路であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の便座装置が取り付けられた便器を示す斜視図である。
図2】本開示の便座装置の電気系統図である。
図3】本開示の便座装置において実行される制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0013】
図1は、本開示の便座装置10が取り付けられた便器1を示す斜視図である。同図に示す便器1は、洋式腰掛便器であり、便座装置10は、当該便器1の上面に固定される。便座装置10は、図1に示すように、ケーシング11と、当該ケーシング11により回動自在に支持された便座12と、当該便座12と同様にケーシング11により回動自在に支持された便蓋13と、操作パネル14と、人体の局部に洗浄水(水または温水)を噴出する洗浄ノズル15とを含む。
【0014】
洗浄ノズル15は、おしり洗浄用の第1噴出口、ビデ洗浄用の第2噴出口、および捨て水排出口を有するノズル本体と、図示しないモータを有すると共に当該ノズル本体をケーシング11内の収納位置と便器1の便鉢部側の洗浄位置との間で軸方向に進退移動させる駆動機構とを含む。また、洗浄ノズル15には、ウォーターバルブ、例えば瞬間加熱式の温水ヒータを有する熱交換ユニット、ロータリーバルブ等(何れも図示省略)を介して水源としての水道配管から洗浄水が供給される。ただし、便座装置10には、熱交換ユニットの代わりに、水道配管(水源)からの水を加熱するヒータや温度検出子等を有して当該ヒータにより加熱された温水を貯留可能な洗浄水タンクが設けられてもよい。
【0015】
図2は、便座装置10の電気系統図である。図示するように、便座装置10は、モータ(DCモータ)Msにより駆動されて便座12を開閉させる開閉機構16を含む。すなわち、便座装置10では、モータMsを正転させることにより開閉機構16を介して便座12を開くと共に、モータMsを逆転させることにより開閉機構16を介して便座12を閉じることができる。また、開閉機構16は、便座12およびモータMsに連結された回転軸の回転変位を検出するロータリエンコーダ(回転変位検出器)18を有する。同様に、便蓋13にも、モータ(DCモータ)Mlにより駆動される開閉機構17が連結されており、モータMlを正転させることにより開閉機構17を介して便蓋13を開くと共に、モータMlを逆転させることにより開閉機構17を介して便蓋13を閉じることができる。また、便蓋13の開閉機構17も、便蓋13およびモータMlに連結された回転軸の回転変位を検出するロータリエンコーダ(回転変位検出器)19を有する。
【0016】
更に、便座装置10は、便座12の開閉機構16のモータMsを駆動するモータ駆動回路20と、便蓋13の開閉機構17のモータMlを駆動するモータ駆動回路21と、モータ駆動回路20,21を制御する制御装置としてのマイコン25とを含む。モータ駆動回路20,21は、4つのスイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4を有するHブリッジ回路であり、互いに同一の構成を有している。本実施形態では、スイッチング素子SW1,SW2として、還流ダイオードD1またはD2を内蔵したpチャネル電界効果型トランジスタ(FET)T1,T2が採用され、スイッチング素子SW3,SW4として、還流ダイオードD3またはD4を内蔵したnチャネル電界効果型トランジスタ(FET)T3,T4が採用されている。そして、モータ駆動回路20,21では、直列に接続されたスイッチング素子SW1およびSW3の組と、直列に接続されたスイッチング素子SW2およびSW4の組とが並列に接続される。
【0017】
図2に示すように、スイッチング素子SW1およびSW3の接続点P1と、スイッチング素子SW2およびSW4の接続点P2とには、モータMsまたはMlの対応する端子が接続される。また、スイッチング素子SW1およびSW2の接続点Pvには、電源としての電源回路30からの電圧V1(DC12V)が印加され、スイッチング素子SW3およびSW4の接続点Pgは接地される。更に、スイッチング素子SW1およびSW2の接続点Pvと、スイッチング素子SW3およびSW4の接続点Pgとの間には、保護ダイオードとしてのツェナーダイオードD5が設置されている。
【0018】
電源回路30は、例えば、トランスや複数の電解コンデンサ、複数のダイオード、電源IC等を含むフライバックコンバータであり、家庭用の交流電源からの交流電力を電圧V1(DC12V)の直流電力に変換するものである。また、電源回路30には、電圧変換器35がモータ駆動回路20,21と並列に接続されている。電圧変換器35は、電源回路30からの電圧V1をそれよりも低圧の電圧V2(DC5V)に変換して出力する。電圧変換器35からの電圧V2は、マイコン25や、ロータリエンコーダ18,19といった各種センサ類等に電源電圧として供給される。
【0019】
制御装置としてのマイコン25は、何れも図示しないCPU、ROM、RAM、入出力ポート等を有するマイクロコンピュータである。マイコン25は、それぞれ対応するスイッチング素子SW1〜SW4(トランジスタT1〜T4)のゲート端子に接続される複数の出力ポートを有し、当該出力ポートからスイッチング素子SW1〜SW4へのゲート信号を出力することにより当該スイッチング素子SW1〜SW4をオンオフ制御する。また、マイコン25は、操作パネル14や図示しない人体センサ等からの信号を入力する。そして、マイコン25は、操作パネル14や各種センサからの信号等に基づいてモータ駆動回路20,21のスイッチング素子SW1〜SW4へのゲート信号を生成し、便座12や便蓋13の開閉機構16,17のモータMs,Mlを制御する。
【0020】
本実施形態では、モータ駆動回路20,21のスイッチング素子SW1およびSW4をオンする(導通させる)と共に、スイッチング素子SW2およびSW3をオフ(導通を解除)することで、モータMs,Mlを正転させて便座12または便蓋13を開くことができる。また、モータ駆動回路20,21のスイッチング素子SW2およびSW3をオンすると共に、スイッチング素子SW1およびSW4をオフすることで、モータMs,Mlを逆転させて便座12または便蓋13を閉じることができる。更に、モータ駆動回路20,21のスイッチング素子SW3およびSW4をオンすると共に、スイッチング素子SW1およびSW2をオフすることで、モータMs,Mlの端子同士を短絡させて当該モータMs,Mlの回転にブレーキ(ショートブレーキ)をかけることができる。
【0021】
便座装置10において、モータMs,Mlによる便座12や便蓋13の開閉は、基本的に、人体センサの信号の出力や使用者による操作パネル14の操作に応じて実行されるが、便座12や便蓋13は、使用者が手動で開閉することもできる。ただし、マイコン25やモータ駆動回路20,21に電源回路30側からの電力(DC5VまたはDC12V)が供給されていない状態(待機状態やコンセントが抜かれた状態)で便座12や便蓋13が使用者により手動で開閉された場合、モータMs,Mlの端子間に逆起電力が発生し、当該逆起電力による電流が還流ダイオードD1またはD2を流れることでスイッチング素子SW1およびSW2の接続点Pvにおける電圧が上昇し、モータ駆動回路20,21やモータMs,Mlに悪影響を及ぼしてしまうおそれがある。
【0022】
このため、本実施形態の便座装置10では、マイコン25やモータ駆動回路20,21に電源回路30側からの電力が供給されていない状態で便座12や便蓋13が使用者により手動で開閉された際にモータ駆動回路20,21やモータMs,Mlを保護するために、図3に示す制御ルーチンが実行される。図3に示す制御ルーチンは、便座装置10のマイコン25が起動された際に、当該マイコン25(CPU)により実行される。
【0023】
ここで、上述のようにマイコン25やモータ駆動回路20,21に電源回路30側からの電力が供給されていない状態で便座12や便蓋13が使用者により手動で開閉された際には、モータMs,Mlの逆起電力により接続点Pvに生じた電圧が電圧変換器35により降圧されてマイコン25やロータリエンコーダ18,19に供給される。そして、この場合、モータMs,Ml側からの電力によりマイコン25が起動されると共に、ロータリエンコーダ18,19による回転変位の検出が可能となる。従って、図3の制御ルーチンは、通常の手順に従ってマイコン25が起動された場合だけではなく、使用者による便座12や便蓋13の手動開閉操作に応じてマイコン25が起動された場合にも実行されることになる。
【0024】
図3のルーチンの開始に際して、マイコン25(CPU)は、ロータリエンコーダ18,19からの信号を入力し(ステップS100)、モータMs,Ml(開閉機構16,17の回転軸)の少なくとも何れか一方が回転しているか否かを判定する(ステップS110)。通常の手順に従ってマイコン25が起動された場合には、その時点でモータMs,Mlの双方が回転していることはない。従って、ステップS110にてモータMs,Mlの双方が回転していないと判断した場合(ステップS110:NO)、マイコン25は、その時点で本ルーチンを終了させる。
【0025】
これに対して、ステップS110にてモータMs,Mlの少なくとも何れか一方が回転している判断した場合(ステップS110:YES)、マイコン25は、ロータリエンコーダ18,19からの信号に基づいて使用者により開閉させられた便座12および便蓋13の少なくとも何れか一方の開き角度θを導出する(ステップS120)。更に、マイコン25は、導出した開き角度θが予め定められた閾値θref以上であるか否かを判定する(ステップS130)。
【0026】
ステップS130にて開き角度θが予め定められた閾値θref以上であると判定した場合(ステップS130:YES)、マイコン25は、モータMs,Mlのうちの回転している少なくとも何れか一方に対応したモータ駆動回路20,21のスイッチング素子SW1およびSW4をオンすると共に、スイッチング素子SW2およびSW3をオフし(ステップS140)、本ルーチンを終了させる。これにより、回転していたモータMs,Mlの少なくとも何れか一方は、接続点Pvからの電流が供給されることで正転し、それにより便座12および便蓋13の少なくとも何れか一方が開くことになる。
【0027】
一方、ステップS130にて開き角度θが予め定められた閾値θref未満であると判定した場合(ステップS130:NO)、マイコン25は、モータMs,Mlのうちの回転している少なくとも何れか一方に対応したモータ駆動回路20,21のスイッチング素子SW2およびSW3をオンすると共に、スイッチング素子SW1およびSW4をオフ(導通を解除)し(ステップS150)、本ルーチンを終了させる。これにより、回転していたモータMs,Mlの少なくとも何れか一方は、接続点Pvからの電流が供給されることで逆転し、それにより便座12および便蓋13の少なくとも何れか一方が閉じられることになる。
【0028】
上述のように、便座装置10では、マイコン25やモータ駆動回路20,21に電源回路30から電力が供給されていない状態で便座12および便蓋13の少なくとも何れか一方が使用者により手動で開閉されると、それに伴って発生したモータMs,Mlの少なくとも何れか一方の逆起電力が電圧変換器35により電圧変換されてマイコン25やロータリエンコーダ18,19に供給される。そして、マイコン25は、当該モータMs,Mlの少なくとも何れか一方の逆起電力に基づく電力により起動され、上述の制御ルーチンを実行してモータMs,Mlの少なくとも何れか一方が正転または逆転するようにモータ駆動回路20,21の少なくとも何れか一方を制御する。これにより、便座装置10では、逆起電力の上昇等を検出する保護回路等を用いることなく、便座12および便蓋13の少なくとも何れか一方の手動開閉操作に伴って発生したモータMs,Mlの少なくとも何れか一方の逆起電力を適正に放電させてモータMs,Mlやモータ駆動回路20,21を保護することが可能となり、コストアップやサイズアップを抑制することができる。
【0029】
また、便座装置10において、マイコン25は、ロータリエンコーダ18,19からの信号に基づいてモータMs,Ml側から電力が供給されているか否かを判定し(図3のステップS100,S110)、モータMs,Ml側から電力が供給されていると判定した際に、モータMs,Mlが正転または逆転するようにモータ駆動回路20,21を制御す(図3のステップS120〜S150)。このように、便座12または便蓋13を開閉させるモータMs,Mlの制御に用いられるロータリエンコーダ18,19からの信号に基づいて当該モータMs,Ml側からマイコン25に電力が供給されているか否かを判定することで、便座装置10のコストアップやサイズアップをより良好に抑制することが可能となる。
【0030】
更に、便座装置10において、マイコン25は、モータMs,Ml側から電力が供給された際に、ロータリエンコーダ18,19からの信号に基づいて便座12および便蓋13の少なくとも何れか一方の開き角度θを取得し(図3のステップS120)、取得した開き角度θに応じてモータMs,Mlが正転または逆転するようにモータ駆動回路20,21を制御する(図3のステップS130〜S150)。これにより、モータにより手動開閉操作をアシストしたり、手動開閉操作を規制したりすることが可能となる。
【0031】
ただし、図3のステップS140およびS150の何れか一方において、モータ駆動回路20,21のスイッチング素子SW3およびSW4をオンすると共に、スイッチング素子SW1およびSW2をオフし、モータMs,Mlの端子同士を短絡させて当該モータMs,Mlの回転にブレーキ(ショートブレーキ)をかけてもよい。また、ステップS120〜S150の処理の代わりに、ステップS110にて肯定判断がなされた後に、モータ駆動回路20,21のスイッチング素子SW3およびSW4をオンすると共に、スイッチング素子SW1およびSW2をオフしてモータMs,Mlの端子同士を短絡させてもよい。更に、図3のステップS130にて肯定判断がなされた場合の処理は、上述のものに限られない。すなわち、図3のステップS130にて肯定判断がなされた場合には、便座12や便蓋13の開き角度θや回動方向等に応じた適正な方向にてモータMs,Mlを回転させたり、ショートブレーキをかけたりすればよい。
【0032】
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本開示の発明は、便座装置の製造産業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 便器、10 便座装置、11 ケーシング、12 便座、13 便蓋、14 操作パネル、15 洗浄ノズル、16,17 開閉機構、18,19 ロータリエンコーダ、20,21 モータ駆動回路、25 マイコン、30 電源回路、35 電圧変換器、D1,D2,D3,D4 還流ダイオード、D5 ツェナーダイオード、P1,P2,Pv,Pg 接続点、SW1,SW2,SW3,SW4 スイッチング素子、T1,T2,T3,T4 トランジスタ。
図1
図2
図3