特許第6869488号(P6869488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869488
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】斜め切断判別用治具
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/16 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   B26D3/16 Z
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-189240(P2017-189240)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-63895(P2019-63895A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】延島 大地
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3183616(JP,U)
【文献】 特開2016−223469(JP,A)
【文献】 特開2015−102198(JP,A)
【文献】 特開2006−336712(JP,A)
【文献】 特開2010−138980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の先端が挿入される筒状部と、
前記筒状部内に設けられ、前記管の先端の挿入位置を当接規定する当接部と、
前記筒状部の外面に開口され、前記管の先端の挿入位置が前記当接部によって当接規定された状態にあることを確認するための確認窓と、
前記筒状部に設けられ、前記管の先端の斜め切断を判別するための基準目印と
を備えた斜め切断判別用治具において、
前記基準目印が前記確認窓の内面に設けられている斜め切断判別用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の斜め切断が過大であるのか否かを判別するために用いられる斜め切断判別用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
管を継手に対して接続する場合、当該継手に挿入する管の先端が過大に斜め切断されていると、当該斜め切断部分の外周面においてシール部材の接触状態が悪くなり、継手内部のシール性が低下する問題を生じる。このため、管の先端の切断面は、管の軸線に直交する垂直面に沿ったものであることが望ましい。つまり、管の斜め切断とは、当該切断面が当該垂直面に対して傾斜した状態のことを指す。
【0003】
ここで、特許文献1には、合成樹脂管の外周面に対して、融着継手への適切な差し込み長さを確認するマーキングを描くための接合用治具が開示されている。当該接合用治具には、合成樹脂管の斜め切断が過大であるのか否かを判別するための機能が付加されている。
【0004】
当該接合用治具は、合成樹脂管が挿入される筒体からなっている。当該筒体内には、合成樹脂管の先端が当接する当接部が設けられている。筒体の外周には、合成樹脂管の先端が当接部に当接されていることを確認するために、複数の窓が設けられている。そして、接合用治具に合成樹脂管を挿入し、当該合成樹脂管を当接部に対して当接させた状態で、筒体の筒端をガイドとして利用して、合成樹脂管の外周面に対してマーキングを描く。
【0005】
また、前記筒体の外周面において窓の近傍には、当接部から軸線方向へ所定距離だけ離れた位置に、許容罫線が引かれている。当該許容罫線が、合成樹脂管の斜め切断が過大であるのか否かを判別する基準となる。つまり、当接部に対して当接された状態にある合成樹脂管について、窓から見える合成樹脂管の先端の外周縁が、許容罫線に対して当接部と反対側に位置しているのか否かで、合成樹脂管の斜め切断が過大であるのか否かを判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3183616号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の接合用治具は、許容罫線が筒体の外周面に設けられている。したがって、合成樹脂管を接合用治具に挿入した状態で、当該接合用治具を斜め方向から見ると、筒体の肉厚が認識される分だけ、許容罫線と合成樹脂管の外周面との間の見かけの距離が大きくなり、当該合成樹脂管の斜め切断が過大であるのか否かの正確な判別が困難であった。
【0008】
本発明の目的は、管の斜め切断が過大であるのか否かを正確に判別できる斜め切断判別用治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために請求項1の発明は、管の先端が挿入される筒状部と、前記筒状部内に設けられ、前記管の先端の挿入位置を当接規定する当接部と、前記筒状部の外面に開口され、前記管の先端の挿入位置が前記当接部によって当接規定された状態にあることを確認するための確認窓と、前記筒状部に設けられ、前記管の先端の斜め切断を判別するための基準目印とを備えた斜め切断判別用治具において、前記基準目印が前記確認窓の内面に設けられている。
【発明の効果】
【0010】
上記構成によれば、確認窓の内面に基準目印が設けられているため、管を筒状部に挿入した状態において、当該管の外周面と基準目印とが接近することになる。したがって、管の外周面と基準目印との間の距離感が、確認窓の見る方向に影響され難くなり、よって管の先端と基準目印とを対比しやすくなって、管の斜め切断が過大であるのか否かを正確に判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態のマーキング用治具の正面図。
図2】マーキング用治具の左側面図。
図3】マーキング用治具の右側面図。
図4】マーキング用治具の平面図。
図5】マーキング用治具の底面図。
図6図1の要部拡大図であってマーキング用治具の使用方法を説明するための図。
図7】マーキング用治具の使用方法を説明するための斜視図。
図8図5の要部拡大図であってマーキング用治具の使用方法を説明するための図。
図9】樹脂管が挿入されたワンタッチ継手を示す縦断面図。
図10】マーキング用治具にストラップ及びマーカーが取り付けられた状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、斜め切断判別用治具としても用いられるマーキング用治具に具体化した一実施形態について、図1図10にしたがって説明する。なお、当該マーキング用治具について詳細に説明する前に、当該マーキング用治具を用いてマーキングが施された樹脂管及び当該樹脂管が接続されたワンタッチ継手について説明する。
【0013】
図9に示すように、樹脂管22は、例えば給水・給湯用配管に用いられるものであって、架橋ポリエチレンやポリブテン等の合成樹脂材料からなっている。樹脂管22の外周面27において、樹脂管22の先端28の端面28a(先端28の斜め切断が無いと仮定する)から、軸線方向(図9の左右方向)に所定距離だけ離れた位置には、十字状をなすマーキング16が、マーカー19(図10参照)によって描かれている。マーキング16は、樹脂管22の周方向に延びる周方向線14と、樹脂管22の軸線方向に延びる軸方向線15とを有している。作業者は、マーキング16の周方向線14を目印として作業を行うことで、樹脂管22をワンタッチ継手20に対して適切な深さで挿入し接続することができる。
【0014】
ここで、樹脂管22のサイズ(呼び径)は、「13A(外径17mm,内径12.8mm)」である。本実施形態では、樹脂管22以外にも、呼び径が「10A(外径13mm,内径9.8mm)」の樹脂管21、呼び径が「16A(外径21.5mm,内径16.2mm)」の樹脂管23、及び呼び径が「20A(外径27mm,内径20.5mm)」の樹脂管24が用いられている。
【0015】
樹脂管21〜24は、相互にサイズが異なるのみで、その他の構成は同様であり、特に区別して説明する必要が無い場合には樹脂管22についてのみ説明して、繰り返しの説明を省略する。また、ワンタッチ継手20は、各サイズの樹脂管21〜24に対して個別に対応したサイズのものがそれぞれ別個に存在することは言うまでもない。
【0016】
樹脂管22の先端28には、インコア60が挿入されている。インコア60は、円筒状をなす筒部61と、筒部61の一端に筒部61に対して直交するように外方へ延びる円環状の鍔部62とを有している。インコア60は、真鍮や青銅等の金属材料からなっている。筒部61の他端の外周面には、先端に向かうにしたがい縮径するテーパ面63が形成され、このテーパ面63によって、インコア60を樹脂管22へ容易に挿入することができる。
【0017】
ワンタッチ継手20は、略円筒状の本体31と押し輪41とを有している。本体31及び押し輪41は、それぞれ真鍮や青銅等の金属材料からなっている。本体31の一端の外周面には、雄ねじ部32が形成され、図示しない水道管等の管体に螺合可能となっている。本体31の他端の外周面には、雌ねじ部36が形成されており、押し輪41の雄ねじ部42が螺入されている。押し輪41には挿入孔43が形成されている。樹脂管22は、挿入孔43を介してワンタッチ継手20へと挿入される。
【0018】
本体31の内周面には、本体31の軸線と直交する平面上に、当該軸線を中心とした円環状の当接面33が形成されている。ワンタッチ継手20に挿入された樹脂管22は、当接面33に対してインコア60の鍔部62の先端面が当接することで、先端28のワンタッチ継手20への挿入位置が当接規定されている。この状態では、マーキング16の周方向線14と押し輪41の挿入孔43の開口端面とが、軸線方向においてほぼ同じ位置となる。このことを目視で確認することにより、作業者は、樹脂管22がワンタッチ継手20に対して適切な深さで挿入されていると判断する。
【0019】
本体31の内周面には、環状溝34,35が形成されている。環状溝34,35には、断面円形状のシールリング51,52がそれぞれ収容されている。ワンタッチ継手20に挿入された樹脂管22は、シールリング51,52によって、外周面27の環状領域が押圧される。したがって、シールリング51,52によって、本体31の内周面と樹脂管22の外周面との間がシールされ、ワンタッチ継手20の内部におけるシール性が確保されている。
【0020】
本体31と押し輪41との間には、ロックリング53,55が配置されている。ワンタッチ継手20に挿入された樹脂管22は、外周面27に対してロックリング53,55が食い込むことで、ワンタッチ継手20からの抜け止めがなされている。
【0021】
次に、本実施形態のマーキング用治具について説明する。
図1に示すように、マーキング用治具1は、樹脂管21に対してマーキング16を描くために用いられる第1筒状部101と、樹脂管22に対してマーキング16を描くために用いられる第2筒状部102と、樹脂管23に対してマーキング16を描くために用いられる第3筒状部103と、樹脂管24に対してマーキング16を描くために用いられる第4筒状部104とが、ポリプロピレン等の合成樹脂材料によって一体成形されている。
【0022】
複数(本実施形態においては4つ)のサイズの樹脂管21〜24に対応した第1〜第4筒状部101〜104を一体化することで、例えばサイズ毎に別体とされた小さなマーキング用治具を複数持ち運ぶような面倒や紛失のおそれがない。
【0023】
図1図3に示すように、第1〜第4筒状部101〜104は、それぞれ有底円筒状をなしている。第1〜第4筒状部101〜104は、対応する樹脂管21〜24の外径に応じて、内径が同順に大きくなるように設定されている。当該内径の相違に応じて、第1〜第4筒状部101〜104の外径も同順に大きくなるように設定されている。
【0024】
図1に示すように、外径が最も小さい第1筒状部101と外径が最も大きい第4筒状部104とは、並列(図1の上下方向)に配置されているとともに、周壁の一部が一体化されている。残りの第2筒状部102と第3筒状部103とは、並列に配置されているとともに、周壁の一部が一体化されている。また、第1筒状部101と第2筒状部102とは、軸線方向に沿って直列様(図1の左右方向)に配置されているとともに、第1筒状部101と第2筒状部102とは、軸線方向に沿って直列様に配置されている。したがって、マーキング用治具1を正面視すると、縦の長さと横の長さの比が小さい矩形内に収まっており、マーキング用治具1は携帯性や作業性に優れたものとなっている。
【0025】
第1筒状部101と第2筒状部102との間には、ストラップホール13が径方向(図1の紙面表裏方向)に貫通形成されている。したがって、図10に示すように、ストラップホール13にストラップ18を取り付けるとともに、ストラップ18を例えば作業者のズボンのベルトホール(図示しない)に対して連結することで、マーキング用治具1の持ち運びがさらに便利となる。
【0026】
図2及び図3に示すように、第3筒状部103の内底面と、当該内底面と隣接する第4筒状部104の内底面との間には、貫通孔17が形成されている。第3筒状部103の内空間と第4筒状部104の内空間とは、貫通孔17を介して連通されて軸線方向に連続した空間となっている。第3筒状部103の外周面及び第4筒状部104の外周面には、それぞれ係止用凹部12が形成されている。
【0027】
図10に示すように、貫通孔17を介して連続する第3筒状部103の内空間及び第4筒状部104の内空間には、マーカー19の一部を収容可能である。当該収容状態において、マーカー19のクリップ部19aの先端を、第3筒状部103又は第4筒状部104の係止用凹部12に引っ掛けることで(図10においては第4筒状部104の係止用凹部12に引っ掛けられている)、マーカー19がマーキング用治具1から脱落し難くなっている。このように、マーキング用治具1は、マーカー19と一体的に取り扱うことができ、持ち運びや収納に便利である。
【0028】
図1に示すように、第1〜第4筒状部101〜104の外周面には、対応する樹脂管21〜24のサイズ(「10A」、「13A」、「16A」、「20A」)を表示するサイズ表示部8が設けられている。第1〜第4筒状部101〜104の外周面には、マーキング位置指示部9が設けられている。マーキング位置指示部9は、マーキング16の周方向線14をマーカー19(図10参照)によって描く際に、第1〜第4筒状部101〜104の開口端4にマーカー19を沿わせるべきであることを矢印にて指示するものである。特に、第3筒状部103及び第4筒状部104のマーキング位置指示部9には、矢印以外にも「マーキング位置」なる文字による案内がなされている。
【0029】
次に、マーキング用治具1のマーキング機能及び斜め切断判別機能について詳細に説明する。なお、第1〜第4筒状部101〜104は、当該各機能について同様な構成を有しているため、特に区別して説明する必要が無い場合には、呼び径が「13A」の樹脂管22に対応する第2筒状部102についてのみ説明して、繰り返しの説明を省略する。
【0030】
図1及び図3に示すように、第2筒状部102の内底面には、当接部3が設定されている。当接部3には、第2筒状部102に挿入された樹脂管22の先端28が当接される。当該当接により、第2筒状部102に対する樹脂管22の先端28の挿入位置が規定される。
【0031】
図3に示すように、第2筒状部102の内周面には、周方向に等間隔で複数(本実施形態においては4つ)の凸部10が形成されている。凸部10は、樹脂管22の外周面27に対して適度な締め代を付与することで、第2筒状部102に対する樹脂管22の挿入のし易さと、樹脂管22を第2筒状部102から容易に抜け出させないこととを両立している。
【0032】
図1及び図5に示すように、第2筒状部102には、正面視で矩形状をなす確認窓5が、周方向に等間隔で複数(本実施形態においては2つ)設けられている。確認窓5は、第2筒状部102の外面で開口されているとともに、第2筒状部102の内空間まで貫通して形成されている。確認窓5は、当接部3を外部から容易に視認可能な位置に設けられている。したがって、作業者は、確認窓5を介することによって、第2筒状部102に挿入された樹脂管22について、その先端28と当接部3との当接の具合を容易に確認できる。
【0033】
確認窓5における、当接部3を基点とした軸線方向(図1の左右方向)へ長さYは、前述した樹脂管22と当接部3との当接の具合を容易に確認できる以上に、開口端4の側へと大きく設定されている。すなわち、当該長さYは、図9における樹脂管22の先端28の端面28aから、遠い方の環状溝35までの軸線方向における距離Xよりも大きい。
【0034】
これは、樹脂管22の外周面27における、ワンタッチ継手20の全てのシールリング51,52との当接領域を、確認窓5を介して外部から視認可能とするためである。このようにすれば、樹脂管22を回転させつつ、確認窓5を介して、当該当接領域にキズ、ゴミや汚れが付いていないか等、シール性を低下させる要因の有無を確認できる。
【0035】
図3図5及び図8に示すように、第2筒状部102には、開口端4から軸線方向へ直線状に延びる切欠き11が形成されている。図8に示すように、第2筒状部102に樹脂管22が挿入された状態では、樹脂管22の外周面27において開口端4付近に位置する部分の一部が、切欠き11を介して外部に露出される。
【0036】
マーキング用治具1を用いて樹脂管22にマーキング16を施すには、樹脂管22を、マーキング用治具1においてサイズが対応する第2筒状部102へと挿入する。そして、樹脂管22の先端28が当接部3に当接された状態において、マーカー19(図10参照)を開口端4に沿って周方向へと動かすことで、周方向線14を描く。また、一部では切欠き11を利用し、他部ではフリーハンドで、マーカー19(図10参照)を軸線方向へと動かすことで、軸方向線15を描く。
【0037】
前述したように、マーキング16の周方向線14は、樹脂管22がワンタッチ継手20に対して適切な深さで挿入接続されていることを作業者が確認するための目印である。それに対してマーキング16の軸方向線15、さらに詳述すれば軸方向線15においてワンタッチ継手20内に入り込む部分は、作業者がマーキング用治具1を使用せずに樹脂管22とワンタッチ継手20との接続作業を行っていないかを、後で監督者がチェックするためのものである。
【0038】
すなわち、マーキング16が周方向線14のみである場合、作業者がマーキング用治具を使用せずに、換言すれば周方向線14を描くことなく、樹脂管22とワンタッチ継手20とを感覚のみに頼って接続し、当該接続作業の後に周方向線14を便宜的に描いて監督者を欺く手抜き作業が考えられる。しかし、樹脂管22の外周面27において軸方向線15が描かれる部分は、当該接続作業の後には隠れてしまうため、軸方向線15は、周方向線14とは異なり、当該接続作業の前に描かざるを得ない。
【0039】
つまり、監督者は、樹脂管22が挿入接続された状態にあるワンタッチ継手20の挿入孔43付近の狭い隙間を介して、奥方に微かに見える軸方向線15の存在により、軸方向線15を描く作業が当該接続作業の前に行われたことを確信するとともに、取り決め通りにマーキング用治具1を用いて周方向線14が描かれたであろうことを推定する。
【0040】
さて、図1図6及び図7に示すように、第2筒状部102には、基準目印7が設けられている。基準目印7は、確認窓5を介して視認できる樹脂管22の先端28について、斜め切断が過大であるのか否かを、先端28の端面28aの外周縁との相対的な位置関係で判別するためのものである。
【0041】
基準目印7は、確認窓5の内面6において周方向(図1の上下方向)の前後に位置する両壁面に、それぞれ軸線方向(図1の左右方向)への段差を形成することで設けられている。当該段差を構成する壁面6aの外形線は、三角形状をなしている(図7参照)。
【0042】
当該三角形状を構成する三辺のうち、段差の稜線をなすとともに第2筒状部102の外周面上に位置する一辺が第1目印線7a、段差の谷線をなすとともに確認窓5の内面6上に位置する一辺が第2目印線7b、段差の稜線をなすとともに確認窓5の内面6上に位置する一辺が第3目印線7cとなっている。これら第1〜第3目印線7a〜7cによって、基準目印7が構成されている。なお、第1〜第3目印線7a〜7cと当接部3との軸線方向での離間距離Zは、樹脂管22の先端28の斜め切断が過大であるか否かの境界である、例えば2mmとなっている。
【0043】
したがって、樹脂管22の先端28と当接部3とが当接された状態において、確認窓5を介して当該当接部分を確認することで、先端28の端面28aの外周縁と第1〜第3目印線7a〜7cとの相対的な位置関係によって、樹脂管22の先端28の斜め切断が過大であるのか否かを判別することができる。
【0044】
図6に示すように、確認窓5を正面から見る場合には、基準目印7のうち、視認が困難な第2目印線7b及び第3目印線7cではなく、視認が容易な第1目印線7aを当該判別の基準として利用する。図6に示す樹脂管22は、先端28の斜め切断が過大であるため、先端28の端面28aの外周縁の一部が第1目印線7aに対して開口端4側に位置している。
【0045】
ここで、例えば、図7に示すように、確認窓5を斜め方向から見る場合には、基準目印7の近傍において第2筒状部102の肉厚が認識される分だけ、第1目印線7aと樹脂管22の外周面27とが径方向に大きく離れて見えてしまう。したがって、第1目印線7aを基準としたのでは、樹脂管22の斜め切断が過大であるのか否かの正確な判別が困難となる。
【0046】
このような場合には、基準目印7のうち、視認が容易な第2目印線7b又は第3目印線7cを基準として利用する。図7に示す樹脂管22は、先端28の斜め切断が過大であるため、先端28の端面28aの外周縁の一部が、第2目印線7b及び第3目印線7cに対して開口端4側に位置している。
【0047】
このように、確認窓5の内面6に第2目印線7b及び第3目印線7cを設けることで、樹脂管22の外周面27と第2目印線7b及び第3目印線7cとが接近する。したがって、樹脂管22の先端28と第2目印線7b及び第3目印線7cとを対比しやすくなって、樹脂管22の斜め切断が過大であるのか否かを正確に判別できる。
【0048】
<変形例>
なお、本発明は、例えば次の態様でも実施可能である。
○確認窓5の内面6に段差を形成せず、内面6に対して平面的な表示を付して基準目印とすること。
【0049】
○その他の管としては、アルミニウムをポリエチレン樹脂で内面及び外面から接着した構造のアルミ強化ポリエチレン管(いわゆるアルミ三層管)や、外周面をポリエチレン樹脂などで被覆し内層側の薄肉銅管と外層側の樹脂被覆部の間を接着性の樹脂等で接着強化した銅二層管等が挙げられる。
【0050】
○端面矯正用治具と兼用の斜め切断判別用治具において具体化してもよいし、他の機能と兼用しない斜め切断判別専用の治具に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…斜め切断判別用治具を兼ねるマーキング用治具、3…当接部、5…確認窓、6…内面、7…基準目印、7a…第1目印線、7b…第2目印線、7c…第3目印線、21,22,23,24…管としての樹脂管、101…第1筒状部、102…第2筒状部、103…第3筒状部、104…第4筒状部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10