特許第6869503号(P6869503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869503
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】液体採取器具
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/12 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   G01N1/12 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-73564(P2017-73564)
(22)【出願日】2017年4月3日
(65)【公開番号】特開2018-179512(P2018-179512A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】515102770
【氏名又は名称】ルーチェサーチ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 豊
(72)【発明者】
【氏名】平坂 直行
(72)【発明者】
【氏名】赤松 良久
【審査官】 瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3104831(JP,U)
【文献】 実開昭52−042685(JP,U)
【文献】 米国特許第04606233(US,A)
【文献】 実開昭51−013015(JP,U)
【文献】 特開2002−148154(JP,A)
【文献】 特開2008−241673(JP,A)
【文献】 中国実用新案第202382971(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00− 1/44
G01N 33/00−33/208
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する有底筒状の容器と、
該容器の開口周縁に対応する環状部を有し、上記容器の開口周縁を上記環状部に着脱可能な本体フレームと、
上記環状部を吊り下げる紐状体と、
上記環状部に沿うように取り付けられた環状の浮輪と、
上記本体フレームにおける環状部の径方向両側にそれぞれ離間して取り付けられ、上記浮輪よりも上記容器の底面側に重心が位置する第1及び第2錘とを備え、
上記第1錘は、上記容器及び上記第2錘よりも重く設定されていることを特徴とする液体採取器具。
【請求項2】
請求項1に記載の液体採取器具において、
上記第2錘の重心は、上記第1錘の重心よりも上記容器の底面側に位置するよう設定されていることを特徴とする液体採取器具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体採取器具において、
上記第1及び第2錘は、各々が上記本体フレームに対する取付位置を上記容器の筒中心線方向に変更可能に構成されていることを特徴とする液体採取器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、水質検査のために湖や河川等の水の採取をする際に使用する液体採取器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体の検査のために実施する液体試料の採取は、簡便な方法で採取可能であることが好まれる。例えば、特許文献1の液体採取器具は、開口を有する有底筒状の容器と、該容器の開口周縁に着脱可能な環状のキャップと、該キャップを吊り下げる紐状体とを備え、検査対象の液体が貯溜する貯溜部に容器を浸して容器内に液体試料を満たした後、紐状体を引き上げることにより液体試料を採取するようになっている。
【0003】
上述の如き液体採取器具を用いて液体試料を採取する際、異物の混入を防ぐ必要がある。したがって、例えば、作業者が液体採取器具を直接把持して作業を行う場合には、作業者は紐状体を把持して作業を行う必要があり、作業者が液体採取器具を直接把持して作業を行わない場合には、遠隔操作可能な飛行体等に紐状体を介して容器を吊り下げて作業を行うといった必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3104831号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液体採取器具の容器には、空気を巻き込まずに液体試料を満たすのが好ましい。
【0006】
しかし、特許文献1の液体採取器具では、容器がキャップを介して紐状体に吊り下げられているだけなので、作業者や飛行体が紐状体を操作して容器を所望する姿勢にするのは困難である。したがって、検査対象の液体が貯溜する貯溜部に液体採取器具を投入すると、容器が成り行き任せの姿勢で液体試料を採取するようになり、容器内に多くの空気を巻き込んだ状態で液体試料を採取してしまうおそれがある。
【0007】
これを回避するために、容器の姿勢を遠隔操作できる制御機構を液体採取器具に取り付けることも考えられるが、費用が嵩むうえに重量が増加してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容器内に空気を巻き込まずに簡便に液体試料を満たすことができ、しかも、軽量で、且つ、低コストな液体採取器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、液体採取器具における容器の開口部分周縁に2種類の錘を設けたことを特徴とする。
【0010】
すなわち、第1の発明では、開口を有する有底筒状の容器と、該容器の開口周縁に対応する環状部を有し、上記容器の開口周縁を上記環状部に着脱可能な本体フレームと、上記環状部を吊り下げる紐状体と、上記環状部に沿うように取り付けられた環状の浮輪と、上記本体フレームにおける環状部の径方向両側にそれぞれ離間して取り付けられ、上記浮輪よりも上記容器の底面側に重心が位置する第1及び第2錘とを備え、上記第1錘は、上記容器及び上記第2錘よりも重く設定されていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、上記第2錘の重心は、上記第1錘の重心よりも上記容器の底面側に位置するよう設定されていることを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、上記第1及び第2錘は、各々が上記本体フレームに対する取付位置を上記容器の筒中心線方向に変更可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明では、作業者が紐状体を把持したり、或いは、紐状体を飛行体に取り付けた状態で検査対象の液体が溜まる貯溜部に器具を投入すると、第1錘が容器及び第2錘よりも重いので、第1錘が容器の下側になった状態で容器が液体の貯溜部に浮く。このとき、容器の開口部分には浮輪が位置する一方、第1錘の重心が浮輪よりも容器の底面側に位置しているので、容器の開口が斜め上方に向くように傾いた姿勢で容器が次第に沈んでいく。容器が次第に沈むことで容器の開口周縁の下端部分が貯溜部の液面に到達すると、容器内に貯溜部の液体が流れ込み始めるので、容器内に貯溜部の液体が容器の底面側から次第に満たされていく。すると、容器の底面側が次第に重くなっていくので、第1及び第2錘で容器のバランスを取りながら容器が次第に直立する姿勢になっていき、容器の開口部分が上向いた状態になると、容器内に空気が巻き込まれていない状態で液体試料が満たされる。このように、液体試料を採取する際、採取する検査対象の液体が溜まる貯溜部に器具を投入するだけで良く、容器内に液体を採取するために作業者が紐状体を操作して容器の姿勢を変更したり、或いは、紐状体が取り付けられた飛行体を操作して容器の姿勢を変更したりするといった必要が無く、液体の採取作業が簡便である。また、容器を傾けた姿勢から直立する姿勢に変更させながら水を容器内に流入させているので、容器内に空気を巻き込まずに液体試料を満たすことができる。さらに、容器の姿勢を遠隔操作する制御機構を液体採取器具に設けるといった必要がないので、費用が嵩むことがなく、しかも器具の重量も軽くなり、作業時において作業者や飛行体に負荷を掛かり難くすることができる。
【0014】
第2の発明では、容器内に貯溜部の流体が流れ込み始めて容器の姿勢が次第に変わる際、第1及び第2錘の重量バランスによって容器が貯溜部内で直立する姿勢となる方向に回動し易くなる。したがって、液体の採取作業時における容器の姿勢変更動作がスムーズになり、容器内に液体を効率良く流し込むことができる。
【0015】
第3の発明では、第1錘と第2錘との間の重量バランスを任意に変更できるようになるので、例えば、採取する液体試料の種類や量が変わって容器を種類の異なるものに交換した際、その交換した容器に対して第1錘及び第2錘が最適な重量バランスとなるように簡単に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る液体採取器具の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る液体採取器具の分解斜視図である。
図3図1のIII−III線における断面図であり、液体試料を採取する直前の状態を示す図である。
図4図3の後、検査する液体の貯溜部に器具を投入した直後の状態を示す図である。
図5図4の後、器具の容器内に液体が入り込み始めた直後の状態を示す図である。
図6図5の後、器具の容器内に液体が溜まっている途中の状態を示す図である。
図7図6の後、器具の容器内に液体が満たされた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る液体採取器具1を示す。該液体採取器具1は、水質検査のために湖や河川等の水の試料を採取する際に使用するものであり、検査する水を満たす樹脂製の容器2と、液体採取器具1の骨格をなす金属製の本体フレーム3とを備えている。
【0019】
容器2は、図2に示すように、開口を有する短い筒状をなす口部2aと、該口部2aに連続して形成され、当該口部2aから離れるにつれて次第に拡径する肩部2bと、該肩部2bに連続して形成された有底円筒状をなす胴部2cとを備え、上記口部2aの外周面には、雄ネジ部2dが形成されている。
【0020】
本体フレーム3は、図2及び図3に示すように、短い筒状の環状フレーム3a(環状部)と、該環状フレーム3aにおける一方の開口周縁の径方向両側に設けられ、当該環状フレーム3aの中心線を挟んで互いに離間する方向に延びる一対の棒状延長フレーム3bと、該各延長フレーム3bの延出端に設けられ、上記環状フレーム3aの中心線に沿って延びる略長方形板状の一対の支持フレーム3cとを備え、該支持フレーム3cには、複数の取付用孔3dが貫通形成されている。
【0021】
環状フレーム3aは、上記容器2の口部2aに対応する環状をなし、その内面には、上記口部2aの雄ネジ部2dが螺合可能な雌ネジ部3eが形成されている。
【0022】
すなわち、環状フレーム3aには、容器2の口部2aが着脱可能になっている。
【0023】
上記環状フレーム3aには、当該環状フレーム3aに沿うように環状の浮輪4が外嵌合しており、該浮輪4は、多孔質のウレタン材からなっている。
【0024】
上記一方の支持フレーム3cには、環状フレーム3aに取り付けられた容器2側に上記環状フレーム3aの中心線に沿って延びる長方形板状の金属製第1錘5が取り付けられ、第1錘5は容器2における胴部2cの外周面に接近した位置となっている。
【0025】
該第1錘5には、複数の第1貫通孔5aが形成され、図示しないネジを用いて第1貫通孔5aと一方の支持フレーム3cの取付用孔3dとを共締めすることにより、第1錘5が一方の支持フレーム3cに取り付けられるようになっている。
【0026】
また、第1錘5は、各第1貫通孔5a及び各取付用孔3dの共締めの位置を変えることにより、本体フレーム3に対する取付位置を当該本体フレーム3に取り付けられた容器2の筒中心線方向に変更可能となっている。
【0027】
また、上記第1錘5は、上記容器2及び後述する第2錘6よりも重く設定され、その重心は、上記浮輪4よりも容器2の底面側の位置となっている。
【0028】
上記他方の支持フレーム3cには、環状フレーム3aに取り付けられた容器2側に上記環状フレーム3aの中心線に沿って延びる長方形板状の金属製第2錘6が取り付けられ、第2錘6は容器2における胴部2cの外周面に接近した位置となっている。
【0029】
上記第2錘6の板厚は、上記第1錘5の板厚よりも薄く設定され、第2錘6の長手方向の寸法は、上記第1錘5の長手方向の寸法よりも長く設定されている。
【0030】
上記第2錘6には、複数の第2貫通孔6aが形成され、図示しないネジを用いて第2貫通孔6aと他方の支持フレーム3cの取付用孔3dとを共締めすることにより、第2錘6が他方の支持フレーム3cに取り付けられるようになっている。
【0031】
また、第2錘6は、各第2貫通孔6a及び各取付用孔3dの共締めの位置を変えることにより、本体フレーム3に対する取付位置を当該本体フレーム3に取り付けられた容器2の筒中心線方向に変更可能となっている。
【0032】
さらに、上記第2錘6は、上記容器2よりも重く設定され、その重心は、上記浮輪4及び第1錘5よりも容器2の底面側の位置となっている。
【0033】
上記環状フレーム3aには、液体採取器具1を吊り下げるための紐状体7が取り付けられている。
【0034】
該紐状体7は、ナイロン等の合成繊維からなり、図1及び図2に示すように、液体採取器具1を空中において吊り下げる際、容器2が直立な姿勢となるように各端部が第1錘5側に偏った位置に固定されている。
【0035】
次に、液体採取器具1を用いて水面から水を採取する作業について詳述する。
【0036】
まず始めに、採取する水の量に応じた容器2を用意し、本体フレーム3に取り付ける。
【0037】
次いで、図1に示すように、飛行体(例えば、ドローン)の取付部8に上記液体採取器具1の紐状体7を取り付けるとともに、図3に示すように、飛行体を操作して液体採取器具1を空中に浮かす。このとき、紐状体7の各端部が環状フレーム3aにおける第1錘5側に偏った位置に固定されているので、容器2が直立する姿勢になる。
【0038】
しかる後、飛行体を下降させて液体採取器具1を水面に投入する。すると、第1錘5が容器2及び第2錘6よりも重いので、図4に示すように、第1錘5が容器2の下側になった状態で容器2が水面に浮く。このとき、容器2の口部2aには浮輪4が位置する一方、第1錘5の重心が浮輪4よりも容器2の底面側に位置しているので、容器2の開口が斜め上方に向くように傾いた姿勢で容器2が次第に沈んでいく。
【0039】
図5に示すように、容器2が次第に沈むことで容器2の開口周縁の下端部分が水面に到達すると、容器2内に水が流れ込み始めるので(図5の矢印X1)、容器2内に水が容器2の底面側から次第に満たされていく。すると、図6に示すように、容器2内に流れ込む水の量が次第に多くなって水が容器2に溜まっていき(図6の矢印X2)、容器2の底面側が次第に重くなっていくので、第1錘5及び第2錘6で容器2のバランスを取りながら容器2が次第に直立する姿勢になっていく。そして、図7に示すように、容器2の開口部分が上向いた状態なると、容器2内に空気が巻き込まれていない状態で水が満たされる。
【0040】
このように、水面から水を採取する際、水面に液体採取器具1を投入するだけで良く、容器2内に水を採取するために飛行体を操作して容器2の姿勢を変更するといった必要が無く、水の採取作業が簡便である。
【0041】
また、容器2を傾けた姿勢から直立する姿勢に変更させながら水を容器2内に流入させているので、容器2内に空気を巻き込まずに水を満たすことができる。
【0042】
さらに、容器2の姿勢を遠隔する制御機構を液体採取器具1に設けるといった必要がないので、費用が嵩むことがなく、しかも液体採取器具1の重量も軽くなり、作業時において飛行体に負荷を掛かり難くすることができる。
【0043】
また、第2錘6の重心が第1錘5の重心よりも容器2の底面側に位置するよう設定されているので、容器2内に水が流れ込み始めて容器2の姿勢が次第に変わる際、第1錘5及び第2錘6の重量バランスによって容器2が水中で直立する姿勢となる方向(図6の矢印Y1)に回動し易くなる。したがって、水の採取作業時における容器2の姿勢変更動作がスムーズになり、容器2内に水を効率良く流し込むことができる。
【0044】
さらに、第1錘5及び第2錘6は、各々が本体フレーム3に対する取付位置を容器2の筒中心線方向に変更可能に構成されているので、第1錘5と第2錘6との間の重量バランスを任意に変更できるようになる。したがって、例えば、採取する液体試料の種類や量が変わって容器2を種類の異なるものに交換した際、その交換した容器2に対して第1錘5及び第2錘6が最適な重量バランスとなるように簡単に調整することができる。
【0045】
尚、本発明の実施形態では、液体採取器具1を飛行体に取り付けて水面の水の採取作業を行っているが、作業者が液体採取器具1の紐状体7を把持して水面の水の採取作業を行うこともできる。
【0046】
また、本発明の実施形態では、液体採取器具1を用いて水面の水の採取作業を行っているが、本発明の液体採取器具1は、例えば、湖、河川及び海等の水の採取作業を行うことができる。また、検査対象の液体が製造過程における液体食品等であっても本発明の液体採取器具1を試料の採取作業に用いることができる。
【0047】
また、本発明の実施形態では、本体フレーム3、第1錘5及び第2錘6を金属材で形成しているが、樹脂材等で形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、例えば、水質検査のために湖や河川等の水の採取をする際に使用する液体採取器具に適している。
【符号の説明】
【0049】
1 液体採取器具
2 容器
3 本体フレーム
3a 環状フレーム(環状部)
4 浮輪
5 第1錘
6 第2錘
7 紐状体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7