特許第6869574号(P6869574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869574
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】加熱調理装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20210426BHJP
   F24C 1/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   A47J37/06 371
   F24C1/00 320C
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-8653(P2020-8653)
(22)【出願日】2020年1月22日
(62)【分割の表示】特願2015-52696(P2015-52696)の分割
【原出願日】2015年3月16日
(65)【公開番号】特開2020-72982(P2020-72982A)
(43)【公開日】2020年5月14日
【審査請求日】2020年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】508157370
【氏名又は名称】バルミューダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】仁泉 大輔
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−217933(JP,A)
【文献】 特開昭54−52771(JP,A)
【文献】 実公昭44−27492(JP,Y1)
【文献】 実開昭54−29193(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
F24C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状の筐体と、
この筐体内に配置され、調理対象物を収容する調理庫と、
上記調理庫内に配置されたヒータと、
上記調理庫内に配置された水蒸気発生器と、
上記筐体に形成され、上記水蒸気発生器に水を供給する水供給部と、
上記調理庫の壁面に沿って形成され、上記水供給部から上記水蒸気発生器に上記水を供給する水案内路とを備え、
上記水案内路は、その少なくとも一部が上記調理庫に露出して配置されると共に、上記調理庫に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする加熱調理装置。
【請求項2】
上記水案内路は、上記水を下方への傾斜方向に案内する第1案内部と鉛直方向に案内する第2案内部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン等の調理対象物を加熱調理する際に水蒸気を供給する加熱調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱調理装置には、ヒータのみを用いたものと、ヒータに加えて水蒸気発生器(ボイラ等)を用いたものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。調理対象物によっては、加熱時に水蒸気を加える調理方法も知られている。水蒸気発生用の水は、水タンク等の水供給部から供給路を通ってボイラに供給するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−055155号公報
【特許文献2】特開平08−128653号公報
【特許文献3】特開2014−023801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した加熱調理装置では、次のような問題があった。すなわち、加熱調理が終わった時点で水タンクからの水の供給は停止するが、供給路内に多少の水が残ることがあった。この水は放置すると、腐敗して衛生面の問題が生じたり、供給路を腐食させる等の問題があるため、洗浄したり、水を捨てて乾燥させる等の手間がかかっていた。
【0005】
そこで本発明は、スチーム機能を有しながら、水供給部からボイラへの供給路内の水を残さないことで、装置の衛生状態を保ち、装置の腐食を防止することができる加熱調理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の加熱調理装置は次のように構成されている。
【0007】
箱状の筐体と、この筐体内に配置され、調理対象物を収容する調理庫と、上記調理庫内に配置されたヒータと、上記調理庫内に配置された水蒸気発生器と、上記筐体に形成され、上記水蒸気発生器に水を供給する水供給部と、上記調理庫の壁面に沿って形成され、上記水供給部から上記水蒸気発生器に上記水を供給する水案内路とを備え、上記水案内路は、その少なくとも一部が上記調理庫に露出して配置されると共に、上記調理庫に着脱自在に取り付けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スチーム機能を有しながら、水供給部からボイラへの供給路内の水を残さないことで、装置の衛生状態を保ち、装置の腐食を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係る加熱調理装置を示す斜視図。
図2】同加熱調理装置の内部構造を示す説明図。
図3】同加熱調理装置の内部構造を側方から示す説明図。
図4】同加熱調理装置の内部構造を下方から示す説明図。
図5】同加熱調理装置に組み込まれた水案内路を外した状態を示す断面図。
図6】加熱調理装置における制御装置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明の一実施の形態に係る加熱調理装置10を示す斜視図、図2は加熱調理装置10の内部構造を示す説明図、図3は加熱調理装置10の内部構造を側方から示す説明図、図4は加熱調理装置10の内部構造を下方から示す説明図、図5は加熱調理装置10に組み込まれた水案内路50を外した状態を示す断面図、図6は加熱調理装置10における制御部100を示す説明図である。
【0011】
加熱調理装置10は、直方体の箱状の筐体11と、この筐体11内に配置され、調理対象物を収容する直方体状の調理庫20と、調理庫20内に配置されたヒータ部30と、調理庫20内に配置されたボイラ(水蒸気発生器)40と、ヒータ部30及びボイラ40の動作を制御する制御部100とを備えている。
【0012】
筐体11前面には、開閉蓋12が設けられ、この開閉蓋12の前面に操作部13が設けられている。操作部13には、加熱時間を設定したり、調理モードを切り替えるための入力部14及びLEDやブザー等の報知部15が設けられている。
【0013】
調理庫20の上部には、水受皿(水供給部)21が設けられている。水受皿21の底部には孔部21aが形成されている。また、筐体11内部には、水受皿21から、後述するボイラ容器41へ水Wを案内する筒状の水案内路50が設けられている。水案内路50は、水受皿21の底部から調理庫20の外側面上部に向けて斜め下方向に案内する第1案内部51、調理庫20の外側面上部から外側面下部に向けて鉛直方向に案内し、ボイラ容器41へ至る第2案内部52を備えている。第1案内部51は、開口部51aを有し、水受皿21の孔部21aに対向配置される。第1案内部51及び第2案内部52は、調理庫20の壁面に沿って形成されており、調理庫20内の熱が伝わり易く形成されている。
【0014】
水案内路50は、着脱式となっており、図5に示すように調理庫20から外すことで清掃を容易に行うことができる。
【0015】
水受皿21には、所定量(例えば10cc)の水Wが収容できる。調理庫20の中段には、調理対象物を載置する金属材製の焼き網22がほぼ水平に設けられている。さらに、調理庫20内には、庫内サーミスタ(温度センサ)24が設けられている。
【0016】
ヒータ部30は、調理庫20内の上部に配置された上面加熱ヒータ31と、下部に配置された下面加熱ヒータ32とを備えている。
【0017】
ボイラ40は、皿状に形成され、焼き網22の下方に位置するボイラ容器41と、ボイラ容器41を加熱するボイラヒータ42と、ボイラ容器41に取り付けられたボイラサーミスタ(温度センサ)43とを備えている。ボイラ容器41の容量は所定量(例えば、10cc)以上の容量を有している。
【0018】
制御部100は、所定の加熱調理フローを実行するためのプログラムによって動作命令・演算・検知を行う制御装置110と、上面加熱ヒータ31、下面加熱ヒータ32、及び、ボイラヒータ42をそれぞれ独立して通電させる電源装置120とを備えている。
【0019】
制御装置110は、庫内サーミスタ24、ボイラサーミスタ43からの入力、入力部14からの入力、報知部15への出力、電源装置120への出力が設けられている。
【0020】
電源装置120には、上面加熱ヒータ31、下面加熱ヒータ32、ボイラヒータ42にそれぞれ接続された第1のリレー121,第2のリレー122,第3のリレー123が設けられている。
【0021】
このように構成された加熱調理装置10では、次のようにして加熱調理を行う。最初に、開閉蓋12を開き、水受皿21に所定量の水Wを注ぐ。水受皿21に注がれた水Wは、水案内路50を通ってボイラ容器41に案内される。なお、水案内路50には水Wが多少付着する。次に、トースト等の調理対象物を焼き網22上に載置し、開閉蓋12を閉じる。
【0022】
調理モード及びタイマ設定を行う。タイマ設定は、最短1分〜最大15分の間で、任意の時間を設定し、焼き目の濃淡を調節することができる。これにより、加熱調理が開始され、ボイラ制御と加熱制御が行われる。
【0023】
ボイラ制御では、最初に第3のリレー123が作動し、ボイラヒータ42に通電されることで、ボイラ容器41内の水Wが加熱され、水蒸気となって調理庫20内に充満する。水蒸気は調理対象物を覆う。なお、水Wが残っている状態ではボイラサーミスタ43は、100℃を超えない。水Wは全て蒸発して、水Wが無くなると、ボイラ容器41の温度が急上昇し、ボイラサーミスタ43により120℃以上となった時点で、水Wが無くなったと判断し、制御装置110は、電源装置120に対し、第3のリレー123を開き、ボイラヒータ42への通電を停止する。
【0024】
加熱制御においては、選択された調理モードを応じた加熱パターンで第1のリレー121,第2のリレー122を作動させ、上面加熱ヒータ31、下面加熱ヒータ32に通電し、加熱調理を開始する。
【0025】
加熱開始からの経過時間がタイマ設定時間(例えば10分)が経過したら、上面加熱ヒータ31及び下面加熱ヒータ32への通電を停止し、加熱調理を終了する。
【0026】
なお、加熱開始前に水受皿21からボイラ容器41に供給され、水案内路50内に付着した水は、加熱時間内に調理庫20が高温となった際に蒸発し、水となって残ることはない。
【0027】
上述したように、本実施の形態に係る加熱調理装置10によれば、スチームを用いた加熱調理を行える。また、水受皿21に注がれ、水案内路50を通る際に付着した水は、加熱調理中に高温となった調理庫20に隣接していることから、全て蒸発して水としては残らない。
【0028】
このため、水が腐敗したり、水案内路50を形成している材料を腐食することがなく、装置の衛生状態を保ち、装置の腐食を防止することが可能となる。したがって、洗浄したり、水を捨てて乾燥させる等の手間が不要となる。
【0029】
このように本発明に係る加熱調理装置10によれば、スチーム機能を有しながら、水供給部からボイラへの供給路内の水を残さないことで、装置の衛生状態を保ち、装置の腐食を防止することが可能となる。
【0030】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、水蒸気発生器としてボイラ40を用いたが、超音波発生装置を用いて水蒸気を発生させてもよい。また、水供給部として水受皿21を示したが、調理停止後に水供給を停止できる水タンクを用いても良い。さらに、ヒータ部30の構成等は、調理庫20の大きさ・形状、調理対象物の種類等に応じて適宜変更してもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]箱状の筐体と、
この筐体内に配置され、調理対象物を収容する調理庫と
上記調理庫内に配置されたヒータと、
上記調理庫内に配置された水蒸気発生器と、
上記筐体に形成され、上記水蒸気発生器に水を供給する水供給部と、
上記調理庫の壁面に沿って形成され、上記水供給部から上記水蒸気発生器に上記水を供給する水案内路とを備えている加熱調理装置。
[2]上記水蒸気発生器は、ボイラ容器と、このボイラ容器を加熱するボイラヒータとを備えている[1]に記載の加熱調理装置。
【符号の説明】
【0031】
10…加熱調理装置、11…筐体、12…開閉蓋、13…操作部、14…入力部、15…報知部、20…調理庫、21…水受皿、22…焼き網、24…庫内サーミスタ(温度センサ)、30…ヒータ部、31…上面加熱ヒータ、32…下面加熱ヒータ、40…ボイラ(水蒸気発生器)、41…ボイラ容器、42…ボイラヒータ、43…ボイラサーミスタ(温度センサ)、50…水案内路、51…第1案内部、52…第2案内部、100…制御部、110…制御装置、120…電源装置、W…水。
図1
図2
図3
図4
図5
図6