【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、現場工期の縮小・効率化、狭小地にも最大限に建てることができることを可能にすべく、実寸大での細部の検討など経たうえで、最終的に、鋼製型枠を工場で製作し、現場に搬入するプレフォーム工法を提供することを着想するに至った。より詳細には、鋼製の型枠パネルユニットを予め工場で製作し、建築施工現場に搬入することで、道幅の狭い住宅密集地でも利用が可能となるばかりか、取り扱いがしやすく、且つ、内外壁面・天面・床面・擁壁等を少ない職人で容易且つ迅速に組み立てることができること、に着眼した。これらはつまり、現場作業を減らすことに繋がるから、現場作業員の必要数の削減を果たすのみならず、作業員が占める物理的場所を低減することにもなる。その際に、支保工/支保梁がなくても/或いは実質的になくても済むこと、さらには、施工現場において埋設型枠同士を跨ぐように後から鉄筋の配筋を可能にすること、工期をさらに短縮できるようにすること、をそれぞれ実現するための方法を具体的解決手段として着想した。
【0012】
そこで、上述した課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る鉄筋コンクリート構造物のコンクリート打設前段階工事の施工方法は、一定厚を有する鋼板の一面側の四周に金属製中空棒状材からなる縦方向枠材及び横方向枠材を取り付け前記四周内の縦方向に略内接するように金属製中空棒状材からなる縦桟材を複数互いに離隔するように略並行に取り付けて前記縦方向枠材・前記横方向枠材・前記縦桟材・前記横方向枠材もしくは前記縦桟材・前記横方向枠材・前記縦桟材・前記横方向枠材を枠内四周とする短冊状区画を複数含むように形成し、前記複数の短冊状区画のそれぞれの横方向に略内接するように金属製中空棒状材からなる横桟材を必要に応じて単数もしくは複数取り付けることで、四周の端部に配設された前記金属製中空棒状材と前記鋼板とが略一体化された支保材組込型枠構造体を形成する短冊内分割区画が単数もしくは複数構成されるようにする第1のステップと、第1の前記支保材組込型枠構造体の内の特定の前記短冊状区画もしくは特定の短冊内分割区画を脱着可能支保材組込型枠構造体として形成する第2のステップと、前記第1の支保材組込型枠構造体もしくは第2の前記支保材組込型枠構造体の前記一面側と対向する他面側において鉄筋を配筋し該型枠体と組付けることで配筋組付済支保材組込型枠構造体を形成する第3のステップとを具備する。
【0013】
上記態様によれば、一定の厚を有する鋼製プレートの外面に一定の厚さ・太さ・(剛性をもった)形状を備えた金属製中空棒状材にて構造力学的に必要な程度の一定ピッチもしくは不定ピッチで縦桟及び/もしくは横桟を四周に備えた支保材組込型枠構造体を型枠として使用するので、配筋作業を含む相当の作業工程までたとえば工場もしくはバックヤードにて先行施工をすることができる。これに加えて、支保材組込型枠構造体が一つの短冊状区画に複数形成され、それぞれの支保材組込型枠構造体がそれ自体でコンクリート打設時の側圧に略抗する剛性を有しているので、現場搬入後コンクリート打設前に、支保工を、木造型枠の場合に比して大幅に減縮する、場合によっては消滅せしめることができる。すなわち、壁面からの側圧は大部分を支保材組込型枠構造体自体で抗することができ、これによって、鉄筋コンクリート打設時/後の側圧に対向する壁型枠支保工に係る仮設工事を略省くことができる。この場合、「支保材組込型枠構造体」とは、従来の型枠を構成する平面体に従来の壁型枠支保工を構成する一部もしくは全部を組み込んで一体化したものであり、たとえば一定厚を有する鋼製プレートの一方側の面に金属製棒状材を四周及び必要なピッチで桟状/井桁状に配設することで各分割区画でみれば四周を金属製中空棒状材による枠構造で緊結されたものにプレート材が張り付いた構造によって実現される。ここで、「金属製中空棒状材」としたのは、一定の剛性を確保するためである。「金属製中空棒状材」は、楊重性を確保して軽量化を図るために中空としたものである。また、ここで、「脱着可能支保材組込型枠構造体」とは、支保材組込型枠構造体の一部たとえば1短冊スパンに係る部分を、取り外しもしくは装着し直しすることを可能な構造にしたものをいう。このように1スパン分を取り外し/復旧可能とすることで、現場に組付けられた後、鉄筋の定着をとる作業をする前に当該1スパン分を取り外し、当該定着作業が完了したときに当該1スパン分を復旧させることが容易に行えるので、現場作業に利便性を提供することができる。
【0014】
上記の鉄筋コンクリート打設時/後の側圧に対向する壁型枠支保工に係る仮設工事を省くことができる、との効果は単にコスト低減というにとどまらない。すなわち、支保工が存在しないということは、サポート材、パイプ(角パイプ、丸パイプを含む)材、桟木材、根太材等の仮設材が従来物理的に場所を占有していたというプロセス自体がなくなることを意味するから、そのための空間・時間を低減/削減することができることとなり、その分現場作業員の作業の支障が減少し/或いは当該作業自体が消滅し、安全確保性及び作業性が向上する。さらに、これら仮設材の緊結/連結等に使用する釘、番線、ホームタイ(登録商標)等の仮設材が不要となるので、そのためのコストの削減が果たさせるだけでなく、現場の整頓された環境を実現することにもつながる。
【0015】
上述した課題を解決するために、本発明の第2の態様に係る鉄筋コンクリート構造物のコンクリート打設前段階工事の施工方法は、第1の態様において、施工現場に搬入された複数の前記配筋組付済支保材組込型枠構造体及び/もしくは複数の前記支保材組込型枠構造体をプランに沿って鉄筋コンクリート壁を形成する為の内側壁型枠及び/もしくは外側壁型枠として設置する第4のステップと、前記設置された第1の前記配筋組付済支保材組込型枠構造体について、前記脱着可能支保材組込型枠構造体を外して得られる開口から、前記第1の前記配筋組付済支保材組込型枠構造体に係る前記配筋された鉄筋と、前記第1の配筋組付済支保材組込型枠構造体と隣接して設置される第2の前記配筋組付済支保材組込型枠構造体に係る前記配筋された鉄筋との間で結束もしくは定着を行い、然る後に前記脱着可能支保材組込型枠構造体を前記開口に再び装着する第5のステップと、前記設置された内側壁型枠及び外側壁型枠について互いに連接する前記支保材組込型枠構造体同士を結合することでコンクリート打設前仮設構造体を形成するステップであって、前記コンクリート打設前仮設構造体は前記支保材組込型枠構造体同士が角度をもって突合されることで形成される略L字状隅角部を有する、第6のステップとをさらに具備する。
【0016】
上記態様によれば、略L字状隅角部が形成されることで、平板上の場合よりもさらに応力度が増大するので、コンクリート等の重量/側圧にもより強力に抗することができる。しかも、建築工事施工現場に配筋組付済支保材組込型枠構造体もしくは支保材組込型枠構造体を搬入した後は、脱着可能支保材組込型枠構造体を外して鉄筋(たとえば横筋)の定着を行うことができ、かかる定着が完了したら脱着可能支保材組込型枠構造体を再び装着することで、壁型枠仮設工事を容易に完了することができる。
【0017】
本発明の第3の態様として、第1もしくは第2の態様において、前記金属製中空棒状材は角型鋼管であるようにしてもよい。このようにすることで、壁面との取り合いが安定するのみならず、断面角型である形状上、一定のせん断応力度及び曲げ応力度を発揮するから、コンクリート等の重量/側圧にもより強力に抗することに資する。
【0018】
本発明の第4の態様として、第1〜第3の態様のうちのいずれかの態様において、前記脱着可能支保材組込型枠構造体を前記開口に再び装着する、もしくは前記互いに連接する前記支保材組込型枠構造体同士を結合するについては、互いに隣接する前記金属製中空棒状材について該金属製中空棒状材の側面に穿設された孔に結合具を貫通させて装着もしくは結合するようにしてもよい。かかる態様によれば、たとえば縦桟材が隣立した状態でこの2本の桟材を結合具が貫通するようにして緊結されることから、当該結合箇所は2本の縦桟材による剛性が期待でき、さらに、上記からコンクリート打設時の側圧のかかる方向と略直交する方向に軸方向を有することになる結合具の剪断力をも期待できることになる。よって、コンクリート打設時の側圧にもより抗する力が生成されることになる
【0019】
本発明の第5の態様として、第1〜4の態様のうちのいずれかの態様において、前記縦方向枠材もしくは前記横方向枠材の正面から螺子機構を有するセパレータを挿通可能なセパレータ穴を複数穿設するセパレータ孔穿設ステップと、前記支保材組込型枠構造体にセパレータを配設するステップであって、前記縦方向枠材もしくは前記横方向枠材、前記内側壁型枠に係る前記鋼板、前記外側壁型枠に係る前記鋼板、前記縦方向枠材もしくは前記横方向枠材の順で前記セパレータがそれぞれを挿通するように配設ししかる後に前記螺子機構にて前記縦方向枠材もしくは前記横方向枠材に前記セパレータが固定される、セパレータ配設ステップとをさらに具備するようにしてもよい。この態様によれば、セパレータが型枠パネルのみならず、縦桟(もしくは横桟)及び鋼板がセパレータを介して実質的に剛に接続される構造が実現されるから、安定性に資するのみならず、コンクリート打設時にも鉄筋等のずれを生じない構造を実現できる。また、縦桟(もしくは横桟)材に支保材組込型枠構造体に固定的に配設されることで、型枠間の距離が一定に保たれるのみならず、セパレータに鉄筋等を仮止めすることもできる。また、セパレータに一定径を有する材を選択することで、本体仮設材であるセパレータに鉄筋を溶接等して略固定したものとして扱うことができ、セパレータを含めた実質的剛構造を実現することができる。これにより、壁配筋・型枠工事等のコンクリート打設用前段階工程工事を安定化させることに資する。さらに、セパレータを含めた実質的剛構造を形成することから、この単位で現場への搬入を行うことができ、工期の短縮化にさらに資することになる。
【0020】
本発明の第6の態様として、第2の態様において、前記鋼板及び前記縦桟並びに前記横桟による剛性、前記支保材組込型枠構造体の持つ壁体の付いたラーメン構造としての性質、隣接する前記支保材組込型枠構造体同士が連結される前記結合具の剪断力、前記コンクリート打設前仮設構造体の持つ壁体の付いたラーメン構造としての性質、前記略L字状隅角部が持つ立体的剛性、の組合せによって、コンクリート打設時の側圧に対抗できるように構成されるようにしてもよい。
【0021】
上記態様によれば、鋼板が一定厚であることからそれ自体で一定の剛性が発揮され、縦桟及び横桟はたとえば鋼材からなるコラム材であるから材質による剛性及び形状からくる剛性が発揮され、支保材組込型枠構造体は鋼製プレートの一面にコラム材の枠体で四周が形成されたものが配設されてなる構造であるから壁体の付いたラーメン構造としての剛性が発揮され、隣接する前記支保材組込型枠構造体同士がたとえば一定径を有する(ボルト締め可能な)芯材によって連結・結合されるからかかる芯材の剪断力による剛性が発揮され、コンクリート打設前仮設構造体は支保材組込型枠構造体が複数緊結されて実質的に一体化されることで略ラーメン構造としての剛性が発揮され、また、(平面視)略L字状隅角部は立体的には出隅部を有しかかる出隅部はトラス構造を内包することから側圧方向の力に対して軸力で対抗することによる一定を剛性を獲得できることとなり、これらの各剛性が組み合わさって、コンクリート打設時の側圧に抗する力を生じることになる。
【0022】
本発明の第7の態様として、第2の態様において、前記内側壁型枠及び/もしくは前記外側壁型枠として設置された複数の前記配筋組付済支保材組込型枠構造体及び/もしくは複数の前記支保材組込型枠構造体の一部はコンクリート打設の後も該コンクリート中に埋め込まれるようにしてもよい。
【0023】
上記第1〜第6の態様においては、型枠(外壁側型枠、内壁側型枠)は埋設される態様でも、埋設されずコンクリート打設→養生、後に解体・撤去される態様であってもよい。この点で、上記第7の態様によれば、コンクリート打設の後も該コンクリート中に埋め込まれる部分を型枠が持つことから、仮設工事に係る型枠の少なくとも一部を解体する工程が省かれるから、その分工期が短縮される、という効果が奏されるだけでなく、狭小地、たとえば隣地との隙間が極めて限定された距離しか持てないような施工場所においても、外壁側型枠の取り外し工事をなくせることから、一般的には施工不可能な場所であっても施工を行うことができる、という独自の効果を奏することができる。
【0024】
本発明の第8の態様として、第1〜第7の態様のうちのいずれかの態様において、前記内側壁型枠及び/もしくは前記外側壁型枠として設置された複数の前記配筋組付済支保材組込型枠構造体及び/もしくは複数の前記支保材組込型枠構造体の一部に対して外壁仕上げ材を取り付けるステップをさらに具備するようにしてもよい。
【0025】
ここで、外壁仕上げ材は、外壁の最終態様として露出する態様を表す材であり、各種素材によることができ、セメント製や金属製であってもよい。また、工法として湿式でも乾式でもよく、さらには湿式としての塗り壁・タイル張りであっても、また、乾式としてのサイディングであってもよい。上記態様によれば、仮設段階において仕上げまで組み込んだ型枠とし、かかる型枠を埋め込みとするので、仮設型枠取り外し工程のない、「やりっ放し」型枠工事を実現することができる。これにより、工期が短縮されるだけでなく、労力、材料の削減も実現できる。しかも、外壁仕上げ材を適宜選択することで、多種多様な外壁を仕上げることができる。
【0026】
本発明の第9の態様として、第1〜第8の態様のうちのいずれかの態様において、前記脱着可能支保材組込型枠構造体は、該脱着可能支保材組込型枠構造体を構成する前記鋼板が前記脱着可能支保材組込型枠構造体を形成しない前記鋼板から別体とされ、前記特定の前記短冊状区画もしくは前記特定の短冊内分割区画を構成する前記枠内四周の第1の前記金属製中空棒状材の内側に別の第2の金属製中空棒状材が略内接して内側四周が形成され、互いに隣接する前記第1の金属製中空棒状材と前記第2の金属製中空棒状材とが複数個所、結合具(緊結具)にて緊結される構造を有するようにしてもよい。
【0027】
上記態様によれば、脱着可能支保材組込型枠構造体部分がその周囲部分との関係で、二重の周壁を形成することとなるので、脱着可能支保材組込型枠構造体を脱着可能にしつつも十分な剛性を確保することができる。しかも、緊結具を備えさせることにより、脱着の手間を軽減することができる。また、この際に、結合具(緊結具)の軸行方向がコンクリート打設時/後の側圧方向と略直交することから、結合具(緊結具)の剪断力も期待できる。
【0028】
本発明の第10の態様として、第2〜第9の態様のうちのいずれかの態様において、前記配筋組付済支保材組込型枠構造体(ただし堰板は一方側のみ)及び/もしくは前記支保材組込型枠構造体(ただし堰板は一方側のみ)をスラブ型枠として形成する床板第1のステップと、第1の前記スラブ型枠と前記第1のスラブ型枠に隣接する第2の前記スラブ型枠とを連接し、前記スラブ型枠のうち前記内側壁型枠及び/もしくは前記外側壁型枠と係合する箇所について前記スラブ型枠と前記内側壁型枠及び/もしくは前記外側壁型枠及び/もしくは前記略L字状隅角部とを連結して全体ラーメン仮設構造体を形成する床板第2のステップと、前記スラブ型枠に配設される鉄筋と前記内側壁型枠及び/もしくは前記外側壁型枠に配設される鉄筋との間で定着もしくは連接をとる床板第3のステップとをさらに具備するようにしてもよい。
【0029】
上記態様によれば、スラブ部分の配筋作業、配筋後の状態、ひいてはコンクリート打設迄の施工作業を安定化することができる。また、スラブ型枠を構成する支保材組込型枠構造体と壁型枠を構成する支保材組込型枠構造体とを一体化することで、全体構造をラーメン構造様剛構造もしくは実質的箱型剛構造とすることができるから、かかる全体構造としてのコンクリート打設時の側圧対抗力を上昇させることができる。
【0030】
本発明の第11の態様として、第10の態様において、前記スラブ型枠に連接され複数段を構成する鋼板を有する階段型枠を形成する階段第1のステップと、前記階段型枠と前記スラブ型枠とを連結し、必要に応じて前記階段型枠と前記内側壁型枠及び/もしくは前記外側壁型枠及び/もしくは前記略L字状隅角部とを連結する階段第2のステップと、前記階段型枠の上側に鉄筋を配筋し、前記内側壁型枠及び/もしくは前記外側壁型枠及び/もしくは前記略L字状隅角部及び/もしくは前記スラブ型枠に配設される鉄筋との間で定着もしくは連接をとる階段第3のステップとをさらに具備するようにしてもよい。
【0031】
上記態様によれば、階段部分の配筋作業、配筋後の状態、ひいてはコンクリート打設迄の施工作業を安定化することができる。また、階段型枠を構成する支保材組込型枠構造体とスラブ型枠を構成する支保材組込型枠構造体と壁型枠を構成する支保材組込型枠構造体とを一体化することで、全体構造をラーメン構造様剛構造もしくは実質的箱型剛構造とすることができるから、かかる全体構造としてのコンクリート打設時の側圧対抗力をさらに上昇させることができる。また、階段型枠が他型枠と上記一体化されることで作業動作に堪え得る一定の剛性を得るので、仮設階段に似た構造体が実現され、仮設工事の際の作業導線の利便性を向上することができる。
【0032】
本発明の第12の態様として、第1〜第11の態様のうちのいずれかの態様において、前記縦方向枠材、横方向枠材、前記縦桟材、前記横桟材のうち少なくともいずれかは前記鋼板の前記一面に溶接されて取り付けられるようにしてもよい。
【0033】
上記態様によれば、支保材組込型枠構造体としての剛性を強力に保持することができる。
【0034】
本発明の第13の態様として、第5の態様において、前記鉄筋と前記セパレータとが仮結合され、及び/もしくは、前記鉄筋と前記セパレータとが互いに溶接され、或いは第1の前記セパレータと第2の前記セパレータとが互いを介在する部材に溶接されるようにしてもよい。
【0035】
上記態様によれば、配筋された鉄筋のずれを減少させる、もしくは略なくすことができる。
【0036】
上述した課題を解決するために、本発明の第14の態様に係る鉄筋コンクリート構造物の施工方法は、第1〜第13の態様のうちのいずれかの態様に係る鉄筋コンクリート構造物のコンクリート打設前段階工事の施工方法によって得られた前記コンクリート打設前仮設構造体に対して、コンクリートを打設するステップをさらに有して構成される。
【0037】
上記態様によれば、上記態様によるコンクリート打設前仮設構造体は略(工場を含む)バックヤードにて事前に形成することができ、現場施工作業を最小化でき、そのため、工期の大幅短縮を実現できる。さらに、現場作業を最小化できることから、異種作業もしくは同種作業同士の取り合い工事或いは錯綜作業を極端に減縮でき、これにより安全性を向上させることができる。
【0038】
上述した課題を解決するために、本発明の第15の態様に係る鉄筋コンクリート打設用型枠は、一定厚を有する鋼板の一面側に、四周の端部に金属製中空棒状材からなる縦方向枠材及び横方向枠材を有し、前記四周内の縦方向に略内接するように金属製中空棒状材からなる縦桟材が複数互いに離隔するように略並行に取り付けられて前記縦方向枠材・前記横方向枠材・前記縦桟材・前記横方向枠材もしくは前記縦桟材・前記横方向枠材・前記縦桟材・前記横方向枠材を枠内四周とする短冊状区画を複数含むように形成され、前記複数の短冊状区画のそれぞれの横方向に略内接するように金属製中空棒状材からなる横桟材が必要に応じて単数もしくは複数取り付けられることで単数もしくは複数の短冊内分割区画が構成され、前記短冊内分割区画の四周の端部に配設された前記金属製中空棒状材と前記鋼板とが略一体化された支保材組込型枠構造体と、第1の前記支保材組込型枠構造体の内の特定の前記短冊状区画もしくはその一部が有する脱着可能支保材組込型枠構造体とを具備して構成される。
【0039】
上記態様によれば、工期を大幅に短縮できるバックヤード作業に適した鉄筋コンクリート打設用型枠であって、楊重及び/もしくは搬出・搬入に便宜であるだけでなく、コンクリート打設時においても支保工を実質的に不要とする型枠が実現できる。
【0040】
本発明の第16の態様として、第15の態様において、前記鋼板及び前記縦桟並びに前記横桟による剛性、前記支保材組込型枠構造体の持つ壁体の付いたラーメン構造もしくは実質的箱型剛構造としての性質、のうちの少なくともいずれかがコンクリート打設時の側圧の一部に対抗できるように構成されるようにしてもよい。
【0041】
上記態様によれば、鋼板が一定厚であることからそれ自体で一定の剛性が発揮され、縦桟及び横桟はたとえば鋼材からなるコラム材であるから材質による剛性及び形状からくる剛性が発揮され、支保材組込型枠構造体は鋼製プレートの一面にコラム材の枠体で四周が形成されたものが配設されてなる構造であるからラーメン構造もしくは実質的箱型剛構造としての剛性が発揮されることとなり、これらの各剛性が組み合わさって、コンクリート打設時の側圧に抗する力を生じることになる。
【0042】
本発明の第17の態様として、第15もしくは第16の態様において、前記金属製中空棒状材は角型鋼管であるようにしてもよい。このようにすることで、壁面との取り合いが安定するのみならず、断面角型である形状上、一定のせん断応力度及び曲げ応力度を発揮するから、コンクリート等の重量/側圧にもより強力に抗することに資する。
【0043】
本発明の第18の態様として、第15〜第17の態様のうちのいずれかの態様において、前記縦方向枠材もしくは前記横方向枠材の正面にセパレータを挿通可能なセパレータ穴が複数穿設され、前記セパレータは螺子機構付セパレータであり、前記縦方向枠材もしくは前記横方向枠材、前記内側壁型枠に係る前記鋼板、前記外側壁型枠に係る前記鋼板、前記縦方向枠材もしくは前記横方向枠材を前記セパレータが挿通するように配設され前記螺子機構にて前記縦方向枠材もしくは前記横方向枠材に前記セパレータが固定されるようにしてもよい。
【0044】
この態様によれば、セパレータが型枠パネルのみならず、縦桟(もしくは横桟)材に支保材組込型枠構造体に固定的に配設されることで、型枠間の距離が一定に保たれるのみならず、セパレータに鉄筋等を仮止めすることもできる。また、セパレータに一定径を有する材を選択することで、本体仮説材であるセパレータに鉄筋を溶接等して略固定したものとして扱うことができ、セパレータを含めた略剛構造を実現することができる。これにより、壁配筋・型枠工事等のコンクリート打設用前段階工程工事を安定化させることに資する。
【0045】
本発明の第19の態様として、第15〜第18の態様のうちのいずれかの態様において、前記脱着可能支保材組込型枠構造体は、前記特定の前記短冊状区画を構成する前記枠内四周の第1の前記金属製中空棒状材の内側に略内接して取り付けられる第2の金属製中空棒状材を備え、互いに隣接する前記第1の金属製中空棒状材と前記第2の金属製中空棒状材とが複数個所緊結具にて緊結される構造を有するようにしてもよい。
【0046】
上記態様によれば、脱着可能支保材組込型枠構造体部分がその周囲部分との関係で、二重の周壁を形成することとなるので、脱着可能支保材組込型枠構造体を脱着可能にしつつも十分な剛性を確保することができる。しかも、緊結具を備えさせることにより、脱着の手間を軽減することができる。
【0047】
なお、別の態様として、下記の技術思想も本願に包摂することができる。すなわち、本発明の別の第1の態様に係るプレフォーム工法は、鋼製型枠用プレートの外面に枠組を配設して井桁桟組鋼製型枠を形成する第1のステップと、前記井桁桟組鋼製型枠体に壁配筋し必要な設備スリーブを設置する第2のステップと、第1もしくは第2の前記井桁桟組鋼製型枠に穿設されたセパレータ孔からセパレータを前記第1もしくは第2の井桁桟組鋼製型枠間に挿通し第1及び第2の前記井桁桟組鋼製型枠を対にて対向立設するとともに前記壁配筋は前記セパレータに適宜仮固定して前記第1及び第2の井桁桟組鋼製型枠並びに前記セパレータを自立性を有した仮設構造体として一体化した井桁桟組鋼製型枠体を形成する第3のステップと、前記井桁桟組鋼製型枠体において、内壁面側に取り外し可能スパンを設定し当該スパンを係止具にて係止する第4のステップと、前記井桁桟組鋼製型枠体を制作された場所から搬出して現場に搬入して所定場所に設置する第5のステップと、前記係止具を取り外すことで前記取り外し可能スパン部分を開放したところから横筋の定着をとって横方向を固定したうえで、前記取り外し可能スパン部分を閉じて前記係止具にて係止する第6のステップと、コンクリートを打設する第7のステップとを具備する。
【0048】
このようにすると、一定の厚を有する鋼製プレートの外面に一定の厚さ・太さを備えたたとえば鋼材コラムにて一定ピッチの縦桟もしくは横桟もしくは桟を井桁状に組んだものが配設された(たとえば鋼製プレートに溶接された)鋼製型枠を型枠として使用するので、配筋作業を含む相当の作業工程までたとえば工場もしくはバックヤードにて先行施工をすることができるのみならず、現場搬入後コンクリート打設前に、支保工を、木造型枠の場合に比して大幅に減縮することができる。場合によっては、壁面からの側圧はすべて型枠自体で吸収させることができ、これによって、側圧に対向する支保工に係る仮設工事を省くことができる。
【0049】
本発明の別の第2の態様として、別の第1の態様において、階段部分について鋼製型枠プレート配置して配筋する階段施工ステップと、上階スラブ部分を鋼製型枠プレート配置して配筋する上階スラブ施工ステップとをさらに具備するようにしてもよい。
【0050】
そのようにすると、複層階の施工においても、上記メリットを享受することができる。
【0051】
本発明の別の第3の態様として、別の第2の態様において、前記上階スラブ施工ステップにおいては、トラス部材を導入して床配筋と適宜接合するようにしてもよい。
【0052】
そのようにすると、トラス部材がたとえば横方向のスラブ筋と直交する方向もしくは並行する方向に配されることでスラブ筋と緊結することができるので、スラブ部分の配筋作業、配筋後の状態、ひいてはコンクリート打設迄の施工作業を安定化させることができる。
【0053】
また一実施態様としては、工場内で予め所定区画に間仕切られた躯体を形成すべく、セパレータを介して互いに離間距離をおいて設置する複数の外側堰板と内側堰板との接合によりプレフォーム組立構成体を形成しておき、プレフォーム組立構成体を建設施工現場に搬送することを特徴とする。
【0054】
また別の一実施態様としては、上記一実施態様において、工場内で予め所定区画に間仕切られた鉄筋コンクリート躯体を形成すべく、前記セパレータを介して互いに離間距離をおいて設置する前記外側堰板と前記内側堰板との複数の壁用埋設型枠に分割形成しておき、スラブ上で前記壁用埋設型枠同士を接合し組付けることで前記プレフォーム組立構成体となし、前記プレフォーム組立構成体を建設施工現場に搬送することで、前記所定区画に間仕切りを構成した躯体構築用構造体としてもよい。
【0055】
さらに別の一実施態様としては、施工した鉄筋を挟むように、前記セパレータを介して互いに離間距離をおいて配される前記複数の外側堰板と前記複数の内側堰板とを設置して前記プレフォーム組立構成体を形成し、前記プレフォーム組立構成体を建設施工現場に搬送することで、前記プレフォーム組立構成体の内側にコンクリートを打設し、養生後には前記内側堰板の表面に内装材を張り付け、前記外側堰板の表面に外装材を貼り付けることを特徴とすることができる。
【0056】
また別の一実施態様として、上記態様において、前記壁用埋設型枠を構成する前記外側堰板と前記内側堰板との各外面には、縦方向に角筒状の支柱が配され、この支柱を介して前記セパレータが配されるようにしてもよい。
【0057】
さらに別の一実施態様としては、上記態様において、前記外側堰板と前記内側堰板との各外面には部分的に開口可能とする枠蓋手段が設けられ、前記壁用埋設型枠同士を跨ぐように後から枠蓋手段を開けて略U字型の連結用鉄筋の配筋を可能にしてもよい。
【0058】
また別の一実施態様としては、上記態様において、前記鉄筋には、前記外側堰板と前記内側堰板とを任意の間隔で保持した状態でコンクリートを打設するよう略円板形状のスペーサ部材の中心部が取り付けられているようにしてもよい。
【0059】
さらに別の一実施態様としては、上記態様において、鋼製取っ手の長手方向両端に鋼棒を突設し、一端の鋼棒は他端の鋼棒よりも長く、長い前記鋼棒の先端には取っ手と平行に差し込み鋼棒を備えたクランプ部材の前記差し込み鋼棒を、隣接する前記壁用埋設型枠の縦方向の前記支柱同士にかけて形成した横孔に通し、前記鋼製取っ手を前記壁用埋設型枠側に強打することで左右の長短の前記鋼棒で前記支柱同士を挟持したようにしてもよい。
【0060】
また別の一実施態様としては、上記態様において、前記プレフォーム組立構成体を形成するスラブ部分に係るプレフォーム組立構成体の床版パネル上に、たとえばスペーサーを介して下筋が敷設され、その上側にトラス型(ラチス筋)の斜材を介して、上筋が、たとえば前記下筋に垂直に取付けられたボルトの上端に固定されてなる床版用埋設型枠が取り付けられるようにしてもよい。
【0061】
さらに別の一実施態様としては、上記態様において、外側堰板の支柱の上下端には、他面側上枠及び他面側下枠を有し、その長さが、内側堰板の支柱の上下端に有する一面側上枠又は一面側下枠より長く、前記外側堰板は、その幅が、前記内側堰板より大きいようにしてもよい。
【0062】
また別の一実施態様としては、上記態様において、前記外壁側支柱は、前記内壁側支柱より長く、前記外側堰板は、前記内壁堰板より長いようにしてもよい。
【0063】
さらに別の一実施態様としては、上記態様において、前記建設施工現場において、支保工/支保梁を省くようにしてもよい。