(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
排気口を有して電動工具に装着可能な本体ケースと、フィルタを内設するダストボックスと、前記本体ケースに基端が接続され、前端に吸込口を備えて前後方向へスライド可能な筒状のスライド部とが設けられ、内部に、前記吸込口から前記フィルタを通過して前記排気口に至る集塵経路が形成される電動工具用集塵装置であって、
前記スライド部は、前記本体ケースに支持される外側パイプと、前記外側パイプに同軸で遊挿されて前後方向へスライド可能な内側パイプと、前記内側パイプの前端に結合されて前記吸込口を備えるノズルパイプと、先端が前記内側パイプに接続され、基端が前記本体ケースに接続されるフレキシブルホースとを含み、
前記外側パイプが、前記本体ケースの左右方向の中心よりも左右何れか一方側へずれた位置で前記本体ケースに支持されて、前記本体ケースの前面に、前方を照射する照射部材が設けられていることを特徴とする電動工具用集塵装置。
前記照射部材は、前記電動工具に設けたトリガのON/OFF操作に連動して点灯/消灯動作することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、電動工具であるハンマードリルに電動工具用集塵装置(以下単に「集塵装置」という。)を装着した集塵システムSの一例を示す前方からの斜視図、
図2は中央縦断面図、
図3は本体ハウジングのみのA−A線拡大断面図である。
(ハンマードリルの説明)
ハンマードリル1は、左右の半割ハウジング2a,2bをネジ止めして形成され、ブラシレスモータ3等を収容する本体ハウジング2の前側上部に、回転可能且つ前後移動可能なツールホルダ6と、ツールホルダ6の下方で平行に配置され、回転可能な中間軸7とを収容する先細り筒状の前ハウジング5を前向きに突設し、本体ハウジング2の後側上部に、トリガ10を備えたスイッチ9を収容するハンドル8を設けてなる。11は、本体ハウジング2の後側下部に後方からスライド装着されて電源となるバッテリーパックで、その上方には本機側コントローラ12が収容されている。
【0010】
ブラシレスモータ3は、本体ハウジング2内で回転軸4を上向きで且つ斜め後方へ向けた傾斜姿勢で収容されて、回転軸4の先端に設けた第1ギヤ13を、前ハウジング5内に突出させて、中間軸7に設けた第2ギヤ14に噛合させている。15は回転軸4に固定された遠心ファンで、その回転に伴い、ブラシレスモータ3の下方で本体ハウジング2の左右の側面に形成した本機側吸気口16,16・・から外気を吸い込み、遠心ファン15の外側で本体ハウジング2の左右の側面に形成した本機側排気口17,17・・(
図13)から排気することで、ブラシレスモータ3を冷却する空気流を発生させる。
【0011】
第2ギヤ14の前方で中間軸7には、中間軸7と別体で回転可能なボススリーブ18、中間軸7と一体回転して前後へスライド可能なクラッチ19、前後へスライド可能で、前進位置では中間軸7との係合が外れ、後退位置では中間軸7と係合して一体回転する第3ギヤ20がそれぞれ設けられている。クラッチ19は、ツールホルダ6に設けた係止プレート21を介してツールホルダ6と連係して前後移動し、後方へのスライド位置では、ボススリーブ18と噛合する。
【0012】
前ハウジング5の内部には、ツールホルダ6と中間軸7との後端を支持するインナハウジング22が保持され、ツールホルダ6は、インナハウジング22との間に設けたコイルバネ23により、前進位置へ突出付勢されている。ツールホルダ6の外周には、中間軸7の第3ギヤ20と噛合する第4ギヤ24が設けられている。
また、ツールホルダ6の後側内部には、ピストンシリンダ25が前後移動可能に収容されて、後端がボススリーブ18に設けたアーム26と連結されている。ピストンシリンダ25内には、空気室27を介してストライカ28が前後へ往復動可能に収容されている。ストライカ28の前方には、インパクトボルト29が収容されて、ツールホルダ6の前端に挿入した図示しないビットの後端に当接可能となっている。ツールホルダ6の前端には、ビットの着脱用の操作スリーブ30が設けられ、その後方で前ハウジング5の前端には、サイドハンドル31が設けられている。
【0013】
前ハウジング5の左側面には、モード切替レバー32が設けられて、モード切替レバー32の回転操作により、ツールホルダ6の後退を規制してクラッチ19をボススリーブ18から離れる前進位置に維持し、第3ギヤ20を中間軸7と結合するドリルモードと、ツールホルダ6の後退が規制されず、クラッチ19と共に後退位置まで移動でき、移動したクラッチ19がボススリーブ18に噛合するハンマドリルモードと、ツールホルダ6の後退が規制されず、クラッチ19と共に後退位置まで移動でき、第3ギヤ20が前進して中間軸7の回転が伝達されないハンマモードとが選択可能となっている。すなわち、ドリルモードでは、ブラシレスモータ3の駆動によってツールホルダ6のみが回転し、ハンマドリルモードでは、ツールホルダ6の回転に加えて、ボススリーブ18を回転させてピストンシリンダ25を往復動させ、ストライカ28がインパクトボルト29を打撃する。そして、ハンマモードでは、ボススリーブ18のみが回転してインパクトボルト29を打撃する。
【0014】
そして、バッテリーパック11の前方で本体ハウジング2の前側下部は、集塵装置50が連結される連結部33となっており、連結部33の内部に、電源用と通信用との3つのメス端子35,35・・を左右方向に並設したメスコネクタ34が開口を下向きにして設けられて、連結部33の下面におけるメスコネクタ34の下方には、四角形状の差込口36が開口形成されている。メスコネクタ34の上部左側面には、
図3に示すように、支持ピン37が一体に連結されて、上部右側面には、支持ピン37と同軸の筒部38が形成されている。
支持ピン37は、半割ハウジング2aの内面に形成される受け凹部39によって回転可能に支持され、筒部38には、半割ハウジング2bから突設されるボス40が挿入している。よって、メスコネクタ34は、支持ピン37及びボス40を中心として、開口が差込口36の真上となる下向き位置と、開口が差込口36から後方へ離間して連結部33内のストッパ41に当接するまで傾動する傾動位置との間で揺動可能となっている。支持ピン37には、トーションスプリング42が巻回されて、一端を半割ハウジング2aの内面に、他端をメスコネクタ34に係止させて、メスコネクタ34を傾動位置に付勢している。
【0015】
また、メスコネクタ34の下端には、メスコネクタ34の傾動位置で差込口36の真上に位置して差込口36を内側から塞ぐ閉塞位置となり、メスコネクタ34の下向き位置で差込口36の真上から退避する開放位置となるシャッタ部材43が一体に設けられている。連結部33の左右の側面で支持ピン37の前方には、上下方向に一対のガイド溝44,44が凹設されており、左側のガイド溝44の後側内面に形成した透孔45から、メスコネクタ34の傾動位置(シャッタ部材43の閉塞位置)で支持ピン37から放射方向に突設した連動片46が突出している。
さらに、差込口36の後方には、下向きに開口する係止凹部47が形成されて、係止凹部47の後側内面の下端には、前向きに係合爪48が設けられている。係合爪48の後方には、側面視U字状の板バネ49が、ネジボスを下方から巻く格好で収容されて、後端を連結部33の後面から突出させている。この板バネ49は、装着されたバッテリーパック11の前面を弾性的に押圧して装着時のがたつきを防止するものである。
【0016】
(集塵装置の説明)
集塵装置50は、
図4〜7にも示すように、左右の半割ケース51a,51bをネジ止めして形成され、ハンマードリル1へ装着される本体ケース51と、本体ケース51へ着脱可能に装着されて粉塵を貯留するダストボックス52と、本体ケース51に連結されて加工位置から吸い込んだ粉塵をダストボックス52に導く筒状のスライド部53とからなる。
まず、本体ケース51は、前板部54と、後板部55と、上板部56と、下板部57と、左右の側板部58,58とを有する箱状体で、本体ケース51の下部には、側板部58,58を残して後方へ凹み、ダストボックス52を収容する収容凹部59が形成されている。また、本体ケース51の下部には、側板部58,58と共に後方へ突出し、ハンマードリル1の連結部33が結合される結合凸部60が形成されている。
【0017】
収容凹部59は、前板部54の下端から後方へ折曲し、本体ケース51内と収容凹部59との間を仕切って上側にDCモータ88の収容室61aを形成する仕切板61と、仕切板61の後端から下方へ折曲し、下板部57に繋がる底板62と、左右の側板部58,58とによって囲まれた空間となっている。仕切板61には、中心に集塵側吸気口64を有する凹部63が形成されて、集塵側吸気口64の下側で凹部63内には、樹脂リング65と、中心穴にメッシュ67を張設した樹脂製の上側リング66とが同軸で保持されて、上側リング66が仕切板61の下面よりも下方へ突出している。
また、左側の側板部58には、
図8に示すように、外面側にリング状の立ち上げ部69を周設した接続口68が形成されて、この接続口68に、内側から樹脂製の横側リング70が嵌着されている。仕切板61の前端で前板部54の中央には、下端が仕切板61よりも下方へ突出する逃げ部71が凹設されている。下板部57は、底板62よりも前方へ突出して、前端には、ネジボスを利用した支持軸72が左右方向に形成されている。
【0018】
結合凸部60の上方で左右の側板部58,58との間には、ハンマードリル1の連結部33が嵌合可能な嵌合凹部73が形成される。嵌合凹部73の底となる結合凸部60の上面には、ハンマードリル1のメス端子35,35・・に対応した3つのオス端子75,75・・を左右方向に並設したオスコネクタ74が上向きに突設されている。結合凸部60内には、下端が左右方向の軸77によって前後へ回転可能に支持され、上端に設けた後向きのフック部78が、後板部55に設けた透孔79を貫通して嵌合凹部73内へ突出するフック板76が設けられている。このフック板76は、透孔79の前後幅の分だけ前後へ揺動可能であるが、軸77の上側に設けられて後板部55に設けた窓81から露出する解除ボタン80が、結合凸部60内に設けたコイルバネ82によって後方へ押圧されることで、後側への揺動位置に付勢されている。83は、透孔79を覆うカバー部で、フック板76の後方には、上方へ湾曲する板バネ84が保持されている。
【0019】
また、オスコネクタ74の前方で左右の側板部58,58の内面には、互いに対向する上向きのレール部85,85が形成されている。このレール部85,85は、ハンマードリル1の連結部33の結合状態でその側面に設けたガイド溝44,44に嵌合する位置に設けられている。
さらに、上板部56の上面には、ハンマードリル1の前ハウジング5の下面形状に合わせた凹面部86が形成されると共に、凹面部86の前端に、前ハウジング5を載せた状態でその上下方向の前端面5aに当接する当接片87が上向きに突設されている。
【0020】
一方、仕切板61の上方の本体ケース51内で左右方向の中央には、DCモータ88が、
図8に示すように、左右の半割ケース51a,51bの内面から対向状に突設された上下一対の保持リブ90,90により、その先端に保持されたラバーピン91,91を介して、出力軸89を前方に向けた前向き姿勢で収容されている。出力軸89には、遠心ファンである集塵ファン92が固着されて、集塵ファン92の外側で右側の側板部58には、複数の集塵側排気口93,93・・が形成されている。94は、DCモータ88と集塵ファン92との間に設けられて中心側から外周側へ空気を導くバッフルプレート、95は、前板部54の内側に突設されて出力軸89の軸受96を保持する円形リブである。
【0021】
また、円形リブ95の上方で前板部54の左右方向の中央には、LED97が設けられている。このLED97は、基板98上に実装されて、
図6,7に示すように、前板部54から斜め上向きに突設された保持筒99内に基板98と共に前向きに収容されている。LED97の前方で保持筒99の前端には、レンズ100が設けられて、LED97の光を前方斜め上へ照射可能としている。
【0022】
さらに、収容室61aにおけるDCモータ88の後方には、集塵側コントローラ101が左右方向で縦向きに収容されて、オス端子75からのリード線75aと、DCモータ88の正負の端子からのリード線88a,88aと、基板98からのリード線98aとが、それぞれ集塵側コントローラ101に接続されている。
ここで、左側の半割ケース51aには、仕切板61から前板部54の内側で所定間隔をおいて立ち上がり、円形リブ95を除いて前板部54に沿って上昇した後、上板部56の内側で所定間隔をおいて上板部56に沿って後退し、集塵側コントローラ101の前方でDCモータ88の後端を通って下降して仕切板61に繋がる倒コ字状の内側リブ102が立設されている。DCモータ88の通過位置で内側リブ102には、
図8,9に示すように、半円状の切り欠き103が形成されている。
【0023】
一方、右側の半割ケース51bにおいて、内側リブ102の前側との対向位置には、
図13に示すように、仕切板61から前板部54の内側で所定間隔をおいて立ち上がり、円形リブ95を除いて前板部54に沿って上昇して上板部56に繋がる前縦リブ104が立設されている。
また、内側リブ102の後側との対向位置には、仕切板61から立ち上がり、DCモータ88の後端を通って上板部56に繋がる後縦リブ105が立設されている。DCモータ88の通過位置で後縦リブ105にも半円状の切り欠き106が形成されている。
【0024】
この内側リブ102と前後縦リブ104,105とにより、収容室61a内には、集塵側コントローラ101の前方でDCモータ88及び集塵ファン92が囲まれる吸気室107が仕切り形成される。DCモータ88は、内側リブ102と後縦リブ105とに設けた切り欠き103,106内に嵌合して、端子を有する後端のみが吸気室107の後方へ突出して、リード線88a,88aをそのまま集塵側コントローラ101に接続している。
基板98のリード線98aは、吸気室107の外側で内側リブ102に沿って半割ケース51a内を引き回されて集塵側コントローラ101に接続される。オス端子75のリード線75aは、後板部55と底板62との間を通って上方へ引き回されて集塵側コントローラ101に接続される。
【0025】
スライド部53は、
図8〜10に示すように、本体ケース51の左側上部に突設された筒状のホルダ108に、前後方向へスライド可能に保持される外側パイプ109と、外側パイプ109に前方から同軸で遊挿される内側パイプ110と、内側パイプ110の前端に直角に結合されるノズルパイプ111と、内側パイプ110と本体ケース51との間に接続されるフレキシブルホース112とを有する。ホルダ108の下方で本体ケース51の左側の側板部58には、接続口68と連通して後向きに開口するL字筒状のエルボ113が設けられて、フレキシブルホース112の上端は内側パイプ110に後方から接続され、下端はエルボ113にジョイント114を介して後方から接続されている。
【0026】
外側パイプ109において、本体ケース51側の側面には、
図7に示すように、複数の突起115,115・・が等間隔で軸方向と平行に並設されている。本体ケース51内には、
図8に示すように、突起115に係止可能な係止歯118を上端に有する上向片117と、ホルダ108の下方で外向きに突出して本体ケース51の下窓120から露出する横向片119とからなるL字状のロック部材116が設けられている。このロック部材116は、上向片117と横向片119との結合部分が、ホルダ108の下方で支持される前後方向の結合軸121によって、左右へ揺動可能に支持されると共に、係止歯118と、その右側で本体ケース51内に設けた受け部123との間に設けたコイルバネ122によって、係止歯118が突起115に係止するロック位置に付勢されている。
【0027】
このロック位置から横向片119を上側へ押し込み操作すると、ロック部材116を回転させて係止歯118を突起115から離間させ、外側パイプ109を、前端外周に設けた前ストッパ124と、後端に差し込み装着した後ストッパ125とがそれぞれホルダ108の前後端に当接する範囲で前後方向へスライドさせることができる。任意のスライド位置で横向片119の押し込みを解除すれば、ロック位置に復帰した上向片117の係止歯118が突起115に係止して外側パイプ109のスライドはロックされる。
【0028】
外側パイプ109の前端側には、後側よりも内径が小さく、且つ内径が二面幅の嵌合孔127となる肉厚部126が形成されており、内側パイプ110は、嵌合孔127に嵌合する外形を有して回転規制された状態で肉厚部126を前後方向へスライド可能に貫通している。また、内側パイプ110の後端外周には、リング状のストッパ部128が設けられ、外側パイプ109に設けた後ストッパ125との間にコイルバネ129が外装されている。よって、内側パイプ110は、常態ではストッパ部128が外側パイプ109の肉厚部126に当接する前進位置へ突出付勢される。
【0029】
ノズルパイプ111は、前後方向に開口する筒状の吸込口130を上端に備えて吸込口130が本体ケース51の前方上側で左右方向の中央に位置するように内側パイプ110から斜めに連結されている。吸込口130の前側の開口には、リング状のゴムシール131が設けられ、後側の開口には、ビットの貫通孔133を有するゴムキャップ132が設けられている。
フレキシブルホース112は、外側パイプ109内で内側パイプ110の後端に接続されて後方へ引き出された後、Uターンして前向きに延びて、エルボ113の後向きの開口にジョイント114を介して後方から接続される。エルボ113は、本体ケース51の側板部58に形成された接続口68の立ち上げ部69に嵌着されて、横側リング70との間にはOリング134が介在されている。接続口68は、
図10に示すように、接続口68はダストボックス52の上半分側で且つ前後方向の中央部に位置している。
【0030】
ダストボックス52は、上面及び後面を開口させた四角箱状のボックス本体135を有し、ボックス本体135の上面は、キャップ136によって閉塞されている。キャップ136の上面には、中心に出口138を形成した円形凸部137が形成されている。ボックス本体135の左右の側面の後側には、本体ケース51の左右の側板部58,58が嵌合する薄肉部139,139が形成され、左側の薄肉部139には、接続口68と対応する入口140が穿設されている。
また、ボックス本体135の後面は、下端がヒンジ結合された蓋体141によって閉塞されており、蓋体141の上端には、キャップ136の上面に弾性係止する左右一対の係止片142,142が設けられて、係止片142,142の係脱によって蓋体141の開閉が可能となっている。
【0031】
さらに、キャップ136の上面で円形凸部137の前方には、
図11,12に示すように、二股の後端がキャップ136上に保持され、前端がキャップ136から上方へ浮いた状態で前方へ突出するツマミ部144となる操作片143が設けられている。ツマミ部144の上面には、収容凹部59への収容状態で、本体ケース51の逃げ部71の下端に内側から係止する係止突起145が上向きに突設されている。146は、ボックス本体135の下面後側で左右方向に凹設され、収容凹部59への収容状態で本体ケース51の支持軸72に嵌合する凹溝である。
【0032】
ボックス本体135内には、フィルタ147が設けられている。このフィルタ147は紙製で、
図8,9に示すように、左右方向に折り畳んでその上端を四角形状の枠148に固着したもので、枠148の左右には、フィルタ147を左右から挟む格好で壁体149,149が設けられている。各壁体149の前後両端は、フィルタ147のコーナー部を囲むように内側へそれぞれ折曲されている。
このフィルタ147は、ボックス本体135の上面開口際に設けた受け段部150に上方から壁体149及び枠148を係止させてキャップ136を取り付けることで、フィルタ147と壁体149とがボックス本体135内に垂下する状態となる。この状態で、左側の壁体149は、入口140から離れた位置で対向し、右側の壁体149及びフィルタ147の前後面も、ボックス本体135の内面及び蓋体141の内面から離れた位置にあってフィルタ147の周囲には筒状に連続する空間が形成される。このフィルタ147の下方が集塵室Dとなっている。
【0033】
こうして形成されるダストボックス52を本体ケース51に取り付ける場合、
図11に示すように、本体ケース51の収容凹部59の下側から、蓋体141を後方にしてヒンジ側が上となる傾斜姿勢としたダストボックス52を差し込み、
図12に示すように支持軸72に凹溝146を嵌合させる。
次に、そのままダストボックス52の前側を上方へ持ち上げながら支持軸72を中心に回転させて収容凹部59に押し込むと、操作片143のツマミ部144に設けた係止突起145が本体ケース51の逃げ部71の下端に係止して装着が完了する。この装着状態で、キャップ136の上面に設けた円形凸部137が本体ケース51の仕切板61の上側リング66に当接して出口138と集塵側吸気口64とが連通する。同時に、側面に設けた入口140が、本体ケース51の側板部58の横側リング70に当接して接続口68と連通する。
【0034】
これにより、集塵装置50には、ノズルパイプ111の吸込口130から吸い込まれた空気が、内側パイプ110からフレキシブルホース112を通り、エルボ113を介して接続口68及び入口140からダストボックス52内に至り、フィルタ147を通過した後、出口138及び集塵側吸気口64から吸気室107に進入し、集塵側排気口93から排出される集塵経路が形成される。
なお、ダストボックス52を取り外す際は、上記手順と逆に、操作片143のツマミ部144を下方へ押し下げると、係止突起145が本体ケース51の逃げ部71の下端から外れるため、そのままダストボックス52の前側を押し下げるようにして支持軸72を中心に回転させて凹溝146を支持軸72から外して前側へ取り出せばよい。
【0035】
(ハンマードリルへの集塵装置の装着)
以上の如く構成されたハンマードリル1及び集塵装置50においては、まずダストボックス52を装着した集塵装置50をハンマードリル1に装着する場合、
図13に示すように、ハンマードリル1の連結部33を本体ケース51の嵌合凹部73内で後板部55に当接させた状態で、本体ケース51を上方へスライドさせる(またはハンマードリル1を下方へスライドさせる)。すると、前述のように側板部58,58の内側に設けたレール部85,85が、連結部33の左右に設けたガイド溝44,44に相対的に挿入する。左側のレール部85が連動片46に当接して押し上げると、支持ピン37を介してメスコネクタ34が下向き位置へ回転し、シャッタ部材43が差込口36から退避する開放位置となる。その後、本体ケース51のオスコネクタ74がメスコネクタ34の開口から進入し、オス端子75とメス端子35とが電気的に接続される。
【0036】
このオスコネクタ74の進入と共に、
図2に示すように、後方のフック板76も係止凹部47に進入してフック部78を係合爪48に係止させて結合凸部60と連結部33とを結合する。このとき結合凸部60の板バネ84が連結部33の下面を弾性的に押圧することで上下方向でのがたつきを抑える。
一方、本体ケース51の上面の凹面部86に前ハウジング5が嵌合して当接片87が前ハウジング5の前面に当接し、前後方向でのがたつきを抑える。
この装着状態で、スライド部53はハンマードリル1の本体ハウジング2の左側に位置し、ノズルパイプ111の吸込口130は操作スリーブ30の前方に位置して、装着されたビットが吸込口130の中心と同軸上に位置する。
【0037】
そして、内側パイプ110と共に突出付勢される吸込口130にビットの先端が位置するように、ホルダ108における外側パイプ109のスライド位置を調整した後、吸込口130を被加工面に当接させて、ハンマードリル1のトリガ10を押し込み操作してスイッチ9をONさせると、ブラシレスモータ3が駆動して回転軸4が回転する。このとき、モード切替レバー32によってドリルモード或いはハンマドリルモードが選択されていれば、ビットが回転して被加工面への穿孔が可能となり、穿孔が進むに連れてビットが吸込口130を貫通して内側パイプ110はコイルバネ129の付勢に抗してフレキシブルホース112と共に外側パイプ109から相対的に後退する。
しかし、内側パイプ110及びフレキシブルホース112はハンマードリル1より左側に配置されたホルダ108により貫通状態で保持されているため、後退した内側パイプ110及びフレキシブルホース112がハンマードリル1と干渉することがなく、ハンマードリル1の左側で支障なくスライドできる。
【0038】
(照明及び集塵作用)
トリガ10のON操作に伴い、本機側コントローラ12とメス端子35及びオス端子75を介して電気的に接続される集塵側コントローラ101にも給電及び駆動指令がなされる。よって、集塵側コントローラ101は、基板98へ通電させてLED97を点灯させると共に、DCモータ88にも通電させる。LED97の点灯により、レンズ100を介して光が吸込口130の前方へ向けて照射され、加工箇所が照明されることになるが、ここではLED97が本体ケース51の左右方向の中央に設けられているので、加工箇所に正対した位置から適切に照明することができる。
【0039】
また、DCモータ88の駆動により、出力軸89と共に集塵ファン92が回転すると、集塵装置50の吸込口130に吸引力が発生し、加工時に発生する粉塵と共に空気が吸込口130から吸い込まれる。そして、前述の集塵経路を通って空気がフィルタ147を通過し、吸気室107を通って集塵側排気口93から排出されることで、粉塵はフィルタ147で捕捉されてボックス本体135の集塵室D内に貯留する。
このとき、ボックス本体135内では、前述のようにフィルタ147の前後左右でクリアランスを形成しているので、粉塵がどの向きからフィルタ147に進入しても目詰まりしにくくなる。
また、フィルタ147を通過した空気が吸気室107を通過することで、DCモータ88も冷却される。ここで、DCモータ88のリード線88aや基板98のリード線98aは、内側リブ102や前後縦リブ104,105で区画されて吸気室107の外側に配線されているので、空気流がリード線88a,98aと接触することがない。
【0040】
そして、トリガ10の押し込みを解除してスイッチ9をOFFさせると、ブラシレスモータ3の回転軸4の回転が停止し、集塵側コントローラ101にも停止指令がなされるが、集塵側コントローラ101は、遅延回路によって停止指令から所定時間はDCモータ88及びLED97への給電を継続する。よって、集塵ファン92が回転することで内側パイプ110やフレキシブルホース112に残留した粉塵もダストボックス52内に回収することができると共に、LED97の残照によって次の作業位置の確認や後片付け等の別の作業の照明に利用できる。
【0041】
(集塵装置の取り外し及び粉塵の排出)
作業終了後、集塵装置50を取り外す際には、解除ボタン80を押し込んでフック板76を前方へ揺動させてフック部78と係合爪48との係止を解除させて、そのまま集塵装置50を下方へスライドさせると、オスコネクタ74がメスコネクタ34から離反して差込口36から抜き取られる。これと同時にレール部85,85がガイド溝44,44から抜き取られて連動片46の押圧を解除するため、メスコネクタ34は後方への傾動位置へ復帰してシャッタ部材43が差込口36を閉塞する。よって、集塵装置50をハンマードリル1から取り外すことができる。
【0042】
ダストボックス52からの粉塵の排出は、前述のように本体ケース51の前方からダストボックス52を取り外した後、蓋体141の係止片142,142をキャップ136の上面から外して蓋体141を回転させてボックス本体135の後面を開放させれば、ボックス本体135の集塵室D内に貯留した粉塵を後方の開口から排出することができる。このとき係止片142,142の係脱によって蓋体141が簡単に開閉できるので、粉塵の廃棄は容易に行える。なお、フィルタ147の清掃や交換は、キャップ136をボックス本体135から取り外すことで行える。
【0043】
(照射部材に係る発明の効果)
このように、上記形態の集塵装置50及びハンマードリル1によれば、スライド部53が、本体ケース51の左右方向の中心よりも左側へずれた位置に配置されて、本体ケース51の前面に、前方を照射するLED97が設けられていることで、スライド部53に関わりなく、作業前や作業中も作業位置やビット位置を適切に照射することができる。
特にここでは、LED97を、本体ケース51の前面の左右方向の中央に配置しているので、1つのLED97でも作業位置に正対させて確実に照射可能となる。
【0044】
また、LED97の電源をハンマードリル1から供給しているので、ハンマードリル1のバッテリーパック11をLED97の電源として利用した合理的な構成となる。
さらに、LED97を、ハンマードリル1に設けたトリガ10のON/OFF操作に連動して点灯/消灯動作させているので、ハンマードリル1の使用状態に合わせて自動的に照明及びその停止が実行されて作業性が良好となる。
そして、LED97を、トリガ10のOFF操作後の所定時間経過後に消灯動作させるようにしているので、ハンマードリル1の使用直後にLED97の残照を他の作業に利用できる。
【0045】
なお、LEDの位置は厳密に左右方向の中央である必要はなく、多少は左右へずれた位置にあってもよい。上下方向の位置も上記形態に限らず、適宜変更可能である。また、上下方向や左右方向の角度を調整可能に設けることもできる。
さらに、LEDは複数あってもよいし、照射部材としてはLED以外に発光体やレーザーポインタ等も採用できる。
照射部材の残照機能も省略して、トリガのOFF操作と同時に照射部材を消灯させることは可能である。
【0046】
(スライド部の接続に係る発明の効果)
このように、上記形態の集塵装置50及びハンマードリル1によれば、本体ケース51におけるダストボックス52の左側面側に接続口68が設けられてスライド部53の基端が連結されると共に、ダストボックス52の左側面に、接続口68と連通する入口140が設けられていることで、スライド部53が後方へ突出して邪魔になることがなく、ハンマードリル1の本体ハウジング2の形状に制約も受けにくくなる。また、ダストボックス52の側面から粉塵が吸い込まれるので、フィルタ147の目詰まりも生じにくい。
【0047】
特にここでは、接続口68が、ダストボックス52の上半分側で且つ前後方向の中央部に配置されているので、側面側に接続口68を設けても粉塵が詰まりにくくなる。
また、スライド部53を、接続口68が設けられる左側面側へずれた位置に配置して、基端となるフレキシブルホース112を接続口68に接続しているので、内側パイプ110が後退してもハンマードリル1と干渉することがなく、スライドストロークを長く設定可能となる。
さらに、フレキシブルホース112は、接続口68との交差方向から接続口68に接続されるので、スライド部53を左側へオフセットさせても突出量を抑えることができる。
【0048】
また、接続口68をエルボ113によって後向きに開口させてフレキシブルホース112を後方から接続口68に接続しているので、前後へスライドするスライド部53を無理なく接続口68に接続することができる。
さらに、ダストボックス52における入口140とフィルタ147との間に所定の間隔を設定して、入口140に対向するフィルタ147の側面に壁体149を設けたことで、入口140から進入した粉塵が直接フィルタ147の側面に接触することがなく、入口140に対向させたフィルタ147の側面での目詰まりを防止することができる。
【0049】
なお、スライド部の左右位置は上記形態と逆であってもよく、ホルダや接続口、ダストボックスの入口もそれに合わせて右側面側に変更すればよい。本体ケースでの接続口の位置も上下及び前後方向への移動は可能である。
また、フレキシブルホースの接続の向きも、後からに限らず、エルボを後方斜め下向きや下向きに開口させてフレキシブルホースを後方斜め下からや下方から接続させるようにしてもよい。
【0050】
(リード線の保護に係る発明の効果)
このように、上記形態の集塵装置50及びハンマードリル1によれば、本体ケース51内に、DCモータ88の収容室61aを通過する空気流の流路と本体ケース51内の配線(リード線75a,88a,98a)との間を仕切って空気流と配線との接触を阻止する仕切部(内側リブ102、前縦リブ104、後縦リブ105)が設けられていることで、DCモータ88を冷却する空気流による配線の損傷のおそれを低減することができる。
特にここでは、DCモータ88は、出力軸89が前後方向となる姿勢で本体ケース51内に収容されているので、収容室61a内で空気流の流路と配線とを容易に区画することができる。
【0051】
また、本体ケース51の下側にダストボックス52を配置し、DCモータ88をダストボックス52の上側に収容しているので、本体ケース51が前後及び上下の寸法が抑えられたコンパクトな形状となる。
さらに、本体ケース51を、左右一対の半割ケース51a,51bを組み付けて形成し、仕切部を、各半割ケース51a,51bの内面にそれぞれ立設した内側リブ102と前後リブ104,105同士の突き合わせによって形成しているので、半割ケース51a,51bの組み付けと共に仕切部が形成される合理的な構成となる。
そして、本体ケース51内でDCモータ88の収容室61aの後部に集塵側コントローラ101を配置しているので、DCモータ88との間のリード線88aを最短距離で配線することができる。
【0052】
なお、内側リブと前後縦リブは半割ケースに対して左右逆に設けてもよい。また、片方の前後縦リブに代えて、左右の半割ケース共に内側リブを設けて吸気室を仕切ることも可能である。
さらに、DCモータはダストボックスの上側に限らず、空気流と配線との仕切りが可能であればダストボックスの後方に収容してもよいし、前後方向でなく上下方向に収容してもよい。
【0053】
(集塵システムに係る発明の効果)
このように、上記形態の集塵システムSによれば、ハンマードリル1側のシャッタ部材43側に、差込口36の閉塞位置でガイド溝44内に突出する連動片46を一体に設けて、本体ケース51のレール部85が本体ハウジング2のガイド溝44に嵌合する際には、レール部85がシャッタ部材43の連動片46に係合してシャッタ部材43を差込口36の開放位置に移動させることで、集塵装置50の連結用のレール部85をシャッタ部材43の移動にも利用した合理的な構造となる。よって、ハンマードリル1と集塵装置50との連結及び電気的接続を部品点数の少ない簡単な構造で実現可能となる。
【0054】
特にここでは、ガイド溝44とレール部85とを上下方向に形成しているので、ハンマードリル1への集塵装置50の着脱操作がし易くなっている。
また、シャッタ部材43を、差込口36の開放位置と閉塞位置との間で回転可能に設けて、トーションスプリング42によって閉塞位置へ回転付勢しているので、シャッタ部材43を省スペースで配置することができる。
さらに、上側の本体ハウジング2に対して本体ケース51を下側から装着して、本体ハウジング2の下面と本体ケース51の上面との間に、装着状態で互いに係合する係合爪48とフック板76とをそれぞれ設けたことで、本体ハウジング2と本体ケース51との上下の合わせ面で両者を確実に結合することができる。
【0055】
そして、フック板76は、本体ケース51に設けた1つの解除ボタン80により、係合爪48からの解除位置へ操作可能であるので、集塵装置50の取り外しも容易に行える。
また、前ハウジング5の外面と本体ケース51の上面とに、本体ケース51の装着状態で互いに当接して前後方向の動きを規制する前端面5a及び当接片87がそれぞれ設けられているので、集塵装置50をがたつきなく装着できる。
【0056】
なお、上記形態では、連動片をシャッタ部材が設けられるメスコネクタと別体の支持ピンに設けているが、シャッタ部材に連動片を一体に設けてもよい。また、メスコネクタとシャッタ部材とは一体に設ける場合に限らず、メスコネクタを下向き位置で固定して別体のシャッタ部材のみを差込口に対して移動可能とすることもできる。シャッタ部材は回転移動でなく直線移動としても差し支えない。
さらに、ガイド溝とレール部とは上下方向でなく前後方向に形成して、ハンマードリルの前方から集塵装置を装着するようにしてもよい。この場合、係合部が設けられる合わせ面は本体ハウジングの前面と本体ケースの後面となる。
【0057】
一方、
図14,15に示すように、メスコネクタ34の上端後部に、下向き位置で後方へ突出する遮蔽板34aを一体に結合して、集塵装置50を装着した状態では、遮蔽板34aが上側の本機側吸気口16とストッパ41との間で後方へ突出させるようにしてもよい。このような遮蔽板34aを設ければ、メスコネクタ34とオスコネクタ74との結合部分の上方が遮蔽板34aによって覆われ、本機側吸気口16から進入した水等の異物が当該結合部分に侵入することを防ぐことができる。
【0058】
その他、各発明に共通して、ハンマードリルの形態も、モータが横向きであったり、DC機でなく商用電源を電源とするAC機であったりしても差し支えない。勿論ハンマードリルに限らず、集塵装置を装着可能であれば、電動ドリル等の他の電動工具であっても上記各発明は適用可能である。