(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記脚は、ブチルゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、スポンジゴム又は塩化ビニルを含んでなること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のミシン用くず受けプレート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、くず受けを備えた平台は、ミシンを載置するものであるため、ミシンよりも大きな広さを有しており、載置面は、平板の一面として構成されている。また、従来の平台の載置面の直下には、テーブル上に設置するための複数の脚がそれぞれ離間して設けられており、当該脚の上にミシンの脚を載せる仕様になっている。すなわち、載置面上にミシンを脚の位置を合わせるためのマークが施されており、ユーザはミシンの脚を当該マークに位置合わせしてミシンを載置面に載せる。
【0007】
しかし、ミシンは重く、脚が底部に設けられていることから、ミシンを持ち上げた状態で目視でミシンの脚をマークに設置することは難しく、ミシンの脚が平台の脚の真上に位置しないことが多い。この状態では、載置面に撓みが生じやすく、ミシンが上下に振動する。そのため、縫製作業をする箇所が見えづらくなり、作業がしづらくなるといった問題があった。特に、ロックミシンの場合、布を裁断するため、やり直しができないので、平台が撓んで上下振動する問題は縫製作業をする上で弊害となっていた。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、振動を抑制することにより縫製作業を容易にするミシン用くず受けプレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のミシン用くず受けプレートは、ミシンとテーブルとの間に挟まれ、前記ミシンによる縫製作業で生じたくずを受けるミシン用くず受けプレートであって、次の構成を備
えることを特徴とする。
(1)平板状のプレート本体を備えること。
(2)前記プレート本体は、前記プレート本体の一部の領域に設けられ、前記ミシンを載置する載置面と、前記領域に続いて隣接する前記プレート本体の残りの領域に設けられ、前記くずを受ける袋が取り付けられる開口部と、
前記開口部に嵌まり、前記開口部に前記くずを収容する袋を取り付けるための枠体と、を有すること。
(3)前記プレート本体の前記載置面が設けられた領域の裏面には、前記載置面に置かれる前記ミシンの複数の脚で囲まれる領域を含んで、前記裏面に拡がる肉薄の脚が設けられたこと。
(4)前記開口部の内周面には、前記枠体と接触するように前記開口部の内側に盛り上がってなる規制部が設けられていること。
【0010】
本発明において、次の構成を有していても良い。
(1)前記脚は、弾性材料からなり、前記脚の厚みは、3mm以下であること。
(2)前記脚は、ブチルゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、スポンジゴム又は塩化ビニルを含んでなること。
(3)前記プレート本体の周縁には、前記載置面を底面として立ち上がってなる折り曲げ部が前記プレート本体の周縁に沿って設けられていること
。
(4)前記枠体の前記開口部の内周面と対向する外周部分の形状は、上下、左右、及び前後に対称であること。
(
5)前記開口部の内周面の底部には、前記開口部内側に張り出し、前記開口部に嵌められた前記枠体を支持する張出部が設けられたこと。
(
6)前記張出部は、前記開口部の内周面に環状に設けられ、前記張出部の一部には、切欠きが設けられていること。
(
7)前記プレート本体の前記開口部を含む領域の裏面には、前記脚より突出した突出部が設けられ、前記突出部の前記脚と対向する縁は、前記テーブルの縁と接触する突き当て部であること。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、振動を抑制することにより縫製作業を容易にするミシン用くず受けプレートを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るミシン用くず受けプレートについて説明する。
【0014】
[1.実施形態]
[1−1.構成]
図1は、実施形態に係るミシン用くず受けプレートの斜視図であり、
図2は、その分解斜視図である。
図3は、実施形態に係るミシン用くず受けプレートの使用状態を示す図である。
【0015】
図1〜
図3に示すように、本実施形態に係るミシン用くず受けプレート(以下、単にプレートとも言う。)1は、概略平らな板状体であり、ミシン30とテーブル40との間に挟まれ、ミシンによる縫製作業で生じたくずを受けるプレートである。ミシン30は、布を裁断するメス、カッターなどの裁断部材を備えたミシンである。ここでは、ミシン30は、ロックミシンである。本プレート1は、例えば、ロックミシンに設けられた裁断部材で布を裁断した際に発生するくずを受けるのに使用される。「くず」には、ロックミシンの裁断部材で切断された布の切れ端や糸くず、埃などのゴミが含まれる。
【0016】
図4〜
図8は、実施形態に係るミシン用くず受けプレート1の上面図、正面図、背面図、右側面図、底面図である。なお、当該プレート1の左側面図は、右側面図と同じであるので省略する。
図9は、実施形態に係るミシン用くず受けプレート1のプレート本体の上面図である。なお、特に断りがない限り、
図1〜
図9に示す太線はプレート1の外形を示す線であり、細線及び破線はプレート1の模様ではなく、立体感を表すための線である。
【0017】
図1〜
図9に示すように、本実施形態に係るミシン用くず受けプレート1は、プレート本体10と、プレート本体10の裏面に設けられた脚20とを備える。
【0018】
プレート本体10は、概略平らな板状体であり、例えば、ABSなどの樹脂で一体成型によって構成される。ここでは、プレート本体10は、その外形が矩形状に形成されており、大まかに領域が二分されている。すなわち、プレート本体10は、その領域の大部分を占める載置領域と、残りの領域で載置領域に続いて隣接して設けられたくず受け領域とに分けられている。本実施形態では、プレート本体10には、ミシンを載置する載置面11と、載置面に隣接して設けられ、くずを受けるための開口部12とが設けられている。
【0019】
載置面11は、ミシンを載置するための平面であり、プレート本体10の表面の大部分の領域を占める。プレート本体10の載置面11が設けられた領域の厚みは、薄ければ薄い程良く、数mm、例えば、3mmとすることができる。
【0020】
開口部12は、載置面11が設けられた載置領域と隣接し、プレート本体10を貫通して設けられた矩形状の開口である。開口部12には、開口部12の形状に倣った形状(ここでは矩形状)の枠体13が嵌め込まれる。枠体13に、くずを収容するためのビニール袋などの袋が取り付けられ、その状態で枠体13を開口部12に嵌め込むことで、本プレート1に袋が設置され、開口部12がくず受け部として機能する。なお、開口部12、枠体13の形状を矩形状としたが、くずを受けられる形状であれば、特に限定されない。
【0021】
脚20は、プレート本体10を支持するための支持部材である。脚20は、プレート本体10の載置面11が設けられた載置領域の裏面に設けられており、当該裏面に拡がる肉薄の支持部材である。脚20は、載置領域の裏面のほぼ全域をカバーするように拡がっている。すなわち、脚20は、ミシン30の複数の脚で囲まれる領域を含み、載置領域の裏面に設けられている。ミシン30の複数の脚で囲まれる領域は、ミシン30の複数の脚で囲まれる領域の最大範囲である。例えば、ミシン30の脚が4本であれば、当該領域は各脚を頂点とする四角形である。
【0022】
脚20は、プレート本体10を構成する材料よりも柔らかく、弾性を有する材料で構成されている。脚20は、ミシンの上下振動、すなわち、ミシンに設けられたミシン針の進退方向の振動を抑制する弾性材料で構成することが好ましい。また、脚20は、本プレート1をテーブルに載置した際の滑り止めとなる材料で構成することが好ましい。ミシンの上下振動及び滑り止め効果を有する脚20の弾性材料としては、ブチルゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、スポンジゴム又は塩化ビニルを用いることができる。脚20をスポンジゴムで構成する場合、表面に複数の小さな吸盤が設けられたシート材とすることが好ましい。例えば、脚20を表面にエンボス加工を施したアクリル・ウレタン・ゴム共重合発泡体シートで構成することができる。エンボス加工により形成された表面の凹みが吸盤として機能し、滑り止め効果を奏する。
【0023】
脚20の厚みは、3mm以下であることが好ましい。ここでは、脚20は、ブチルゴムで構成され、その厚みは1mmである。
【0024】
図1、2に示すように、プレート本体10の周縁には、載置面11を底面として立ち上がってなる折り曲げ部14が設けられている。折り曲げ部14は、プレート本体10の周縁に沿って連なって設けられている。本実施形態では、折り曲げ部14は、開口部12と最近接する1辺を除き、矩形状のプレート本体10の3辺の周縁が丸みを帯びるようにして湾曲し、その先端が上方に延びて構成されている。折り曲げ部14は、技術面として、リブとして機能するとともに、美観面として、観者に載置面11の低背感を与える。また、折り曲げ部14は、丸みを帯びて湾曲していることにより、プレート本体10の表面全体がくずを受ける皿形状となり、かつ、折り曲げ部14が直線的に曲がっている場合と比べて角部分に埃が溜まる弊害が防止できる。
【0025】
図10は、枠体13の斜視図である。
図10に示すように、枠体13は、開口部12にくずを収容する袋を取り付けるために使用される枠部品である。枠体13は、例えば樹脂からなり、上下、左右、及び前後で対称に形成されている。ここでは、枠体13は、矩形状に形成されており、開口部12に嵌め込まれて使用される。すなわち、くずを収容する袋は、その端部分が開口部12の内周面と枠体13とに挟まれて保持される。なお、ここでは、枠体13の断面も上下及び前後に対称である。但し、枠体13は、開口部12の内周面と面する外周部分が上下、左右及び前後に対称であれば良く、枠体13の内周部分は上下、左右又は前後に対称でなくても良い。なお、ここにいう、「上」とは、プレート本体10の載置面11側をいい、「下」とは、テーブル40と対面する脚20側をいう。「前」とは、開口部12が設けられたくず受け領域側をいい、「後」とは、載置領域側をいう。「左右」方向は、上下方向及び前後方向の双方に直交する方向であり、載置面11側を上方、脚20側を下方としたときのくず受け領域側である前方から見たときの方向である。
【0026】
図9に示すように、開口部12の内周面の底部には、開口部12の内側に張り出した張出部12aが設けられている。すなわち、張出部12aは、開口部12の内周面から開口部12の内側に環状に突出しており、開口部12に嵌められた枠体13を支持する。
【0027】
張出部12aの一部には、切欠き121が設けられている。切欠き121は、張出部12aの一部であれば、どこに設けられていても良いが、本実施形態では、折り曲げ部14が設けられていない矩形状のプレート本体10の一辺と平行かつ近接する開口部12の一辺に設けられている。
【0028】
図11は、
図4のA−A断面図である。
図11に示すように、枠体13の断面は上下及び前後に対称であり、開口部12の内周面には、規制部12bが設けられている。規制部12bは、開口部12の内側に盛り上がってなり、所謂スナップフィット構造である。規制部12bは、開口部12の内周一周全部に設けられていなくても良い。ここでは、開口部12の一対の長辺の中央部分に設けられている。規制部12bは、開口部12に嵌め込まれた枠体13と接触し、枠体13が振動などにより外れてしまうことを防止する。
【0029】
開口部12の内周面の形状は、枠体13の形状に倣って形成されており、枠体13が規制部12bをくぐるように撓ませて開口部12に取り付けられた後は、枠体13の形状は元の矩形状に戻る。
【0030】
図3、7、8に示すように、プレート本体10の開口部12を含むくず受け領域の裏面には、脚20より突出した突出部21が設けられている。突出部21は、ブロック状に設けても良いが、ここでは、くず受け領域を囲うように設けられた壁として構成されている。
図8に示すように、開口部12の両側には、亀の甲羅状にリブが設けられている。突出部21の脚20と対向する縁は、テーブルの縁と接触する突き当て部21aとなる。
【0031】
また、
図1に示すように、プレート本体10には、位置合わせ部15が設けられている。位置合わせ部15は、プレート本体10に設けられた溝であり、ここでは2箇所に設けられている。すなわち、一方の位置合わせ部15は、開口部12の短辺方向と平行に、開口部12のユーザの手前側の長辺からプレート本体10の端に至って設けられた溝であり、くずを開口部12へ案内する案内溝などと位置合わせする目印である。他方の位置合わせ部15は、開口部12の長辺方向と平行に、開口部12の短辺からプレート本体10の一辺に至らない程度まで設けられた溝であり、ミシンの手前側の端と位置合わせするための目印である。
【0032】
[1−2.作用]
本実施形態に係るミシン用くず受けプレートの作用について説明する。
図3に示すように、本プレート1は、テーブル40とミシン30との間に挟んで使用される。すなわち、開口部12がテーブル40上からはみ出て、かつ、脚20がテーブル40上に位置するように大まかにプレート1をテーブル40に載置する。その際、突出部21をテーブル40からはみ出させて、プレート1をテーブル40の奥へと押し、突出部21の脚部20と対向する縁である突き当て部21aをテーブル40の縁に突き当てる。
【0033】
これにより、載置面11がテーブル40上に位置し、開口部12をテーブル40からはみ出させてプレート1を載置することができる。このように位置合わせすることで、ミシン30の脚がテーブル40から外れてプレート1が震動源となることを抑制でき、その結果ミシン30がテーブル40から落下する事故を防止することができる。
【0034】
テーブル40上へのプレート1の位置合わせをした後、載置面11上にミシンを載置する。脚20は、載置面11が設けられた領域の裏面のほぼ全面をカバーするように設けられているので、載置面11のどこにミシンを載せても、ミシン30の脚の真下に脚20が位置するようになっている。そのため、従来のように、ミシンの脚の真下に平台の脚が位置せず、ミシンを載せる板部分の撓みの原因となったり、ミシンの上下振動と相俟って振動増幅の原因になることを防止することができる。
【0035】
上記のように、脚20が載置領域の裏面のほぼ全面をカバーし、大雑把にミシン30を置くことができる一方で、脚20が載置領域の裏面に拡がっていることから、脚20のどこにでも荷重が加わることになる。ミシン30の荷重がミシン30の複数の脚のうち、いずれかの脚に局所的に荷重が加わった場合、脚20の厚みが肉厚だと局所的に荷重が加わった箇所から脚20の撓みが周囲に伝搬し、振動発生の原因となり得る。そのため、脚20の厚みを、脚20の拡がり幅より十分小さい肉薄とし、3mm以下とすることが好ましい。本実施形態では、脚20を弾性材料であるブチルゴムを含み構成し、脚20の厚みを1mmとした。これにより、正確な位置合わせをしてミシン30を載置する必要がなくなるとともに、脚20を拡げたことによる弊害を取り除くことができる。
【0036】
また、プレート本体10の周縁を脚20側に下方に向けて折り曲げてリブを構成することも可能であるが、脚20が肉薄であるため、ミシン30の上下振動などにより当該リブがテーブル40と接触し、振動発生源となる虞がある。そのため、本実施形態では、折り曲げ部14を、載置面11を底面として上方に立ち上げて構成している。
【0037】
また、プレート1をテーブルに載置する際には、位置合わせ部15によってミシンと位置合わせを行うことも可能である。脚20は、ブチルゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、スポンジゴム又は塩化ビニルからなるので、テーブル上で滑りにくくなっており、かつ、ゴムの弾性によりミシンの上下振動による振動を抑制することができる。そのため、プレート1は、テーブル上で位置が固定されやすく、振動によりプレート1及びミシンがテーブルから落下するなどの事故を防止することができる。また、振動が抑制されるので、縫製作業を行う手元を見やすくなり、縫製作業をしやすくすることができる。
【0038】
開口部12には、規制部12bが設けられているため、枠体13を開口部12に嵌め込む際には、枠体13の平行する二辺を挟み、又は枠体13を上から押し込むことで撓ませて開口部12に嵌め込む。枠体13を開口部12に嵌め込んだ後は、枠体13は元の矩形状に戻り、張出部12aに支持される。また、枠体13は、開口部12の内周面に設けられた規制部12bにより引っかかるため、プレート1やミシンの振動によって枠体13が開口部12から外れるのを抑止することができる。
【0039】
すなわち、従来のミシン用くず受け平台では、開口部12の内周面と枠部品とでくずを受ける袋の端を挟んで袋を当該平台に取り付けていたが、くず受け用開口に嵌め込む枠部品がミシンの上下振動によりずれたり外れたりして、袋が落下する虞があった。これに対し、上記のような脚20についての振動抑制のための構成を有することにより、枠体13のずれや開口部12からの外れを抑制することができる。その上、本実施形態では、規制部12bを設けたことにより、枠体13が規制部12bに引っかかるので、枠体13が外れたり、袋が落下したりすることを抑止することができる。
【0040】
なお、枠体13を開口部12から取り外す際には、切欠き121から指などで枠体13を押し出すことで取り外し可能である。
【0041】
[1−3.効果]
(1)本実施形態に係るミシン用くず受けプレートは、ミシンとテーブルとの間に挟まれ、ミシンによる縫製作業で生じたくずを受けるミシン用くず受けプレートであって、平板状のプレート本体10を備え、プレート本体10は、プレート本体10の一部の領域に設けられ、ミシンを載置する載置面11と、当該領域に続いて隣接するプレート本体10の残りの領域に設けられ、くずを受ける袋が取り付けられる開口部12と、を有し、プレート本体10の載置面11が設けられた領域の裏面には、載置面11に置かれるミシンの複数の脚で囲まれる領域を含んで、当該裏面に拡がる肉薄の脚20を設けるようにした。
【0042】
これにより、ミシンを正確に位置合わせして載置面11に置かずとも、ミシンの脚の真下に脚20が位置するため、ミシンの不正確な載置によるプレート本体10の撓みを防止することができる。
【0043】
このように、従来技術によれば、所定位置にミシンの脚を合わせて載置しなければならなかったが、本実施形態によれば、載置面11上に大雑把にミシンを載せても、載置面11の領域裏面に拡がる脚20によって支持されるので、ミシンの上下振動及びその増幅を抑制でき、縫製作業をする手元を見やすくでき、縫製作業を容易にすることができる。また、載置面11上であれば、ミシンを置く位置に制約がないので、脚の位置が異なる種類のミシンでも本プレート1を用いることができる。
【0044】
(2)脚20は、弾性材料からなり、脚20の厚みは、3mm以下とした。これにより、プレート本体10及びミシンの振動を抑制することができる。すなわち、脚20の厚みが3mm超となれば、脚20の厚みにより、脚20の反発力がそれだけ高くなるので、ミシンの上下振動が増幅され、振動抑制効果が得られないが、脚20の厚みを3mm以下とすることにより、ミシンの上下振動を吸収し、振動抑制効果を得ることができる。また、脚20に局所的な荷重が加わった場合でも、当該箇所の周囲に脚20の撓みが伝搬して振動源となるのを抑止することができる。
【0045】
(3)脚20は、ブチルゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、スポンジゴム又は塩化ビニルを含んでなるようにした。これにより、振動抑制効果とプレート1のテーブル上での位置固定効果を得ることができる。すなわち、これらの材料は、弾性材料の中でも比較的硬い種類のものであり、ミシンの上下振動が生じても、その反発力で振動が増幅されることもなく、振動を吸収しやすい。また、これらの材料は、テーブルとの摩擦力が強いので、ミシンの振動によりプレート1がテーブル上で位置ズレを起こすことも抑止でき、プレート1の位置固定が可能となる。このように、振動抑制と位置固定との相乗的な効果を得ることができる。
【0046】
(4)プレート本体10の周縁には、載置面11を底面として立ち上がってなる折り曲げ部14を、プレート本体10の周縁に沿って設けるようにした。これにより、プレート本体10の剛性を高めることができ、プレート本体10の強度を高め、プレート本体10を撓みにくくすることができる。その結果、ミシンの振動によるプレート本体10の振動が抑止される。特に、プレート本体10を樹脂で一体成型した場合に、金型内に充填した樹脂が硬化する際に、プレート本体10が反る可能性があるが、そうした問題を解消することができる。これにより、プレート本体10の厚み、特に載置領域の厚みを薄くして、テーブルと同じような使用感で本プレート1を用いることができる。
【0047】
(5)開口部12に嵌まり、開口部12にくずを収容する袋を取り付けるための枠体13を備え、開口部12の内周面には、枠体13と接触するように開口部12の内側に盛り上がってなる規制部12bを設けるようにした。
【0048】
これにより、開口部12に嵌め込まれた枠体13は、ミシンによりプレート1が振動しても規制部12bに引っかかるので、開口部12から外れるのを防止することができる。すなわち、従来のミシン用くず受け平台では、ミシンの不正確な載置による平台の撓みによって振動が大きくなり、開口部に嵌め込んだ枠部品が外れてしまい、結果としてくずを回収する袋が外れるという問題があったが、そのような問題を解消することができる。
【0049】
また、従来のミシン用くず受け平台では、矩形状の枠部品は、くず受け用の開口内周との摩擦力により保持されていた。すなわち、くず受け用の開口内周と対面する枠部品の外周面に突起が設けられており、この突起が開口内周面と接する状態とすることで保持していた。その際、摩擦力を強くするため、枠部品は内側に湾曲させた状態で開口に取り付け、その復元力を開口内周に対する抗力として作用させていたが、開口に取り付けられた樹脂製の枠部品には、常時応力が加わることとなるため、クリープ変形を引き起こし、湾曲したまま元の矩形の形状に戻らなくなっていた。その結果、突起を開口内周面に押しつける復元力が著しく低下し、摩擦力によって枠部品を開口で保持できないか、保持できても少しの振動で枠部品が外れる問題が生じていた。また、枠部品が変形した状態で取り付けられるため、外観上も好ましくなかった。
【0050】
これに対し、本実施形態では、開口部12の内周面に規制部12bを設けたことにより、枠体13には、湾曲させる応力が加わるのは、取付時又は取り外し時にしかないため、クリープ変形を起こすこともない。その上、取り付けた後は、枠体13は、元の形状に戻るので、美的外観を保つことができる。
【0051】
(6)枠体13の形状は、上下、左右、及び前後に対称とした。これにより、どの向きでも対称であるので、開口部12に取り付ける枠体13の向きの間違えをなくすことができる。すなわち、くず受け用の袋の取付け方法は、ユーザの混乱を招きやすく、従来の枠部品は、例えば上下非対称であったので、上下方向を間違えると枠部品が取り付けられず、袋の設置をやり直さなければならず、ユーザにとって手間としても負担であるし、心理的にも負担となっていた。
【0052】
これに対し、本実施形態によれば、枠体13の向きを気にすることなく袋を取り付けることができるので、手間及び心理的負担をなくすことができ、ユーザーフレンドリーな製品を提供することができる。
【0053】
(7)開口部12の内周面の底部には、開口部12内側に張り出し、開口部12に嵌められた枠体13を支持する張出部12aを設けるようにした。これにより、従来のような枠部品の変形に頼った摩擦力で枠部品を保持することはないので、摩擦力低下によって枠体13の落下の心配がない。
【0054】
(8)張出部12aは、開口部12の内周面に環状に設け、張出部12aの一部には、切欠き121を設けるようにした。これにより、開口部12から枠体13の取り外しを容易にすることができる。具体的には、切欠き121から指などで枠体13を押し上げることで、枠体13が規制部12bに当接しつつ、その外形に沿いながら変形するので、簡単に取り外すことができる。
【0055】
(9)プレート本体10の開口部12を含む領域の裏面には、脚20より突出した突出部21を設け、突出部21の脚20と対向する縁を、テーブル40の縁と接触する突き当て部21aとした。
【0056】
これにより、本プレート1のテーブル40上の位置合わせを簡単に行うことができる。すなわち、従来のミシン用くず受け平台では、その表面に設けられた位置合わせマークをテーブルの縁などに目視によって合わせることで位置合わせしていたが、ミシンを当該平台に置く際にずれてしまったり、ミシンの振動によってずれてしまうこともあった。これに対し、本実施形態によれば、突き当て部21aをテーブル40の縁に突き当てるだけで、載置面11がテーブル40上に位置するように位置合わせることが可能であり、目視に依らずとも触覚で簡便に位置合わせが可能である。
【0057】
また、載置面11上であればどの位置にミシンを置いても脚20により支えることができるが、仮にミシンを載置面11上でずらして置き直した場合でも、その際にプレート1がくず受け領域を含めてテーブル40上に乗り上げることを防止することができる。そのため、再度プレート1の位置合わせを行う必要をなくすことができる。
【0058】
[2.他の実施形態]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、下記に示す他の実施形態も包含する。また、本発明は、第1の実施形態及び下記の他の実施形態を全て又はいずれかを組み合わせた形態も包含する。さらに、これらの実施形態を発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができ、その変形も本発明に含まれる。
【0059】
(1)上記の実施形態では、プレート本体10を樹脂で構成するようにしたが、他の材料により構成するようにしても良い。例えば、ミシンの振動によるプレート1の撓みを抑制するためには、プレート本体10自体の剛性を高めれば良く、そのために、プレート本体10を、剛性の高い炭素繊維強化プラスチックや鉄、鋼材などにより構成するようにしても良い。
【0060】
(2)上記の実施形態では、脚20を肉薄の膜状に形成したが、脚20を吸盤状としても良い。これにより、プレート1がテーブルに吸着するので、テーブルの剛性をプレート1の剛性の一部として機能させることができる。その結果、プレート1の撓みを抑制することができる。
【0061】
(3)上記の実施形態では、張出部12aは、開口部12の内周面に環状に設け、矩形の一辺の中央部分に切欠き121を設けたが、張出部12aは、矩形の開口部12の一対の平行な二辺にのみ設け、他の平行な二辺には設けないようにしても良い。この場合、張出部12aが設けられていない二辺の部分を切欠き121としても良い。