(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、プルワイヤルーメンのために、これら及び他の短所を克服するように改善された封止部構成を有する潅注アブレーションカテーテルを提供することが望ましい。以下に記述されるように、本開示はこれら及び他の目的を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、細長い本体と、細長い本体の遠位端部に装着された電極アセンブリと、細長い本体の中に配置された第1の内側ルーメン及び第2の内側ルーメンと、を備え、封止部は第1の内側ルーメンに対応する第1の開口部及び第2の内側ルーメンに対応する第2の開口部を有し、封止部は細長い本体の遠位端部に係留的に取り付けられる、カテーテルを目的とする。
【0006】
一態様では、細長い本体は複数の外側ルーメンを有するスパインカラーを更に備え、第1の内側ルーメン及び第2の内側ルーメンはスパインカラーの中に配置される。
【0007】
一態様では、電極アセンブリは複数のスパインを備え、複数のスパインはバスケット形状の電極アセンブリを形成し、そして複数のスパインの各々は複数の外側ルーメンのうちの1つに取り付けられ、かつこれと連通する。
【0008】
一態様では、第2の内側ルーメンはプルワイヤを収容し、プルワイヤは第2の内側ルーメンの中に長手方向で配置され、そして封止部の第2の開口部はプルワイヤの外側表面の周りに摩擦嵌め封止部を提供する寸法である。
【0009】
一態様では、封止部はケイ素から構成されており、第1の開口部及び第2の開口部はレーザーカットされる。
【0010】
一態様では、それぞれのスパインは少なくとも1つのリング電極を備え、少なくとも1つのリング電極はコントローラと電気的導通する少なくとも1つのワイヤを有する。
【0011】
一態様では、カテーテルは、電極アセンブリ及びコントローラへと動作可能に接続される少なくとも1つのセンサも含む。
【0012】
一態様では、第1の内側ルーメンは灌注ルーメンである。
【0013】
本開示は、カテーテルを患者の中へと挿入することを含むオペレータによる患者の組織の一部分のアブレーションのための方法も目的とし、カテーテルは、細長い本体と、細長い本体の遠位端部に装着された電極アセンブリと、細長い本体の中に配置された第1の内側ルーメンと、第1の内側ルーメンと隣接して配置された第2の内側ルーメンと、封止部と、を備え、封止部は第1の内側ルーメンに対応する第1の開口部及び第2の内側ルーメンに対応する第2の開口部を有し、封止部は細長い本体の遠位端部に係留的に取り付けられる。方法は、カテーテルを複数のセンサから信号を受信しそして電力を電極アセンブリへと送達することが可能なシステムコントローラへと接続することと、組織をアブレーションするための電極アセンブリへの電力を制御することと、を更に含む。
【0014】
一態様では、方法は組織をアブレーションするための前記電極への前記電力を制御することが、前記複数のセンサからの測定値に少なくとも部分的に基づいていることを含む。
【0015】
一態様では、方法は、スパインカラーが複数の外側ルーメンを有する細長い本体を挿入することも含み、第1の内側ルーメン及び第2の内側ルーメンはスパインカラーの中に配置される。更に、封止部の第2の開口部は、プルワイヤの外側表面の周りに摩擦嵌め封止部を提供する寸法である。
【0016】
一態様では、方法はセンサから受信した信号をデジタル化してから、細長い本体に沿って信号を送信することも含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
最初に、本開示は、具体的に例示された材料、構成、手順、方法、又は構造に限定されず、変化し得ることを理解されたい。したがって、本明細書に記載されている選択肢と同様又は同等の多くの選択肢が本開示の実施又は実施形態において使用され得るが、好ましい材料及び方法が本明細書に記載されている。
【0019】
また、本明細書で使用される専門用語が、単に本開示の特定の実施形態を説明するためのものであり、限定するようには意図されていないことも理解されたい。
【0020】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、本開示の例示的実施形態を説明するよう意図されており、本開示が実施され得る限定的な例示的実施形態を表すようには意図されていない。本説明全体にわたって使用される用語「例示的」とは、「実施例、事例、又は実例としての機能を果たす」ことを意味し、必ずしも他の例示的な実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。詳細な説明には、本明細書の例示的な実施形態の徹底した理解を提供するために、具体的な詳細が含まれる。本明細書の例示的実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施され得ることは、当業者には明らかであろう。場合によっては、本明細書に提示される例示的実施形態の新規性を明確にするために、周知の構造及び装置がブロック図形態で示される。
【0021】
単に便宜上かつ明確にするために、上、下、左、右、上方、下方、上側、下側、裏側、後側、背側、及び前側などの方向を示す用語が、添付図面に関して使用され得る。これら及び同様の方向を示す用語は、いかなる方法によっても本開示の範囲を制限するものと見なされるべきではない。
【0022】
別段の規定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されている意味と同一の意味を有する。
【0023】
最後に、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容が別段の明確に指示しない限り、複数の指示対象を包含する。
【0024】
本発明は、複数のスパインを備える遠位アセンブリを有するバスケット形状の電極アレイを有するカテーテルを目的とする。遠位アセンブリは、少なくとも1つの位置センサを保持し、それぞれのスパインは、少なくとも1つの電極、好ましくは、少なくとも1つのリング電極を保持し、これにより、スパインが心臓血管組織の管状領域内の組織と接触して配置されたとき、それぞれのスパインは、マッピング及び/又はアブレーションのために電気エネルギー、例えば、RFエネルギーを送受電するための、電気的データ、機械的データ、及び場所データを得る能力を有する。
【0025】
図1に示すように、カテーテル10は、近位端及び遠位端を有する細長いカテーテル本体12と、カテーテル本体の近位端における制御ハンドル14と、を備え、カテーテル本体12の遠位端に搭載された、それぞれ複数の電極19を保持する複数のスパイン18を有するバスケット形状の電極アセンブリ16を有する。カテーテル本体12は、単一の軸方向又は中央ルーメン(図示せず)を有する細長い管状構造を備えるが、所望により、任意選択で複数のルーメンを有することもできる。電気信号の正確なマッピングを可能にするために、例えば、右心房又は左心房のほとんど又は実質的にすべての電気的機能を単一の心拍でさえ細かく検出するために、比較的高い密度で電極のアレイを提供することが望ましい。このため、採用するスパイン18の数は、8個、10個、12個、又は任意の好適な数とし得る。スパイン18は径方向に均一に又は不均一に配分され得る。更に、それぞれのスパイン18は、スパイン当たり少なくとも10個でかつ最高で約16個の電極など、複数の電極19を含んでもよい。同様に、電極は、スパインに沿って均一に配分されてもよく、又は測定される電気信号の分析を容易にするために近位に、中央に、又は遠位に歪められてもよい。
【0026】
カテーテル本体12は、可撓性、すなわち屈曲可能であるが、その長さに沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の好適な構成のものであってもよく、任意の好適な材料で作製されていてもよい。他の構成は、ポリウレタン又はPEBAX(登録商標)(ポリエーテルブロックアミド)で作製された外壁を備える。外壁は、カテーテル本体12の捩り剛性を高めるために、ステンレス鋼などの埋め込まれた編組みメッシュを備えており、それにより制御ハンドル14が回転すると、カテーテル本体の遠位端が対応する様式で回転するようになる。カテーテル本体12の外径は重要ではないが、一般に可能な限り小さくあるべきであり、所望の用途に応じて約3ミリメートル(10フレンチ)未満であってもよい。同様に、外壁の厚さも重要ではないが、中央ルーメンがプーラワイヤ、リードワイヤ、センサケーブル、及び任意の他のワイヤ、ケーブル、又はチューブを収容することができるように十分に薄いものであってもよい。所望により、外壁の内表面は補剛チューブ(図示せず)で裏張りされて、捩り安定性の改善を提供する。本発明と共に使用するのに好適なカテーテル本体構造の例が、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,064,905号に記載及び図示されている。
【0027】
バスケット形状の電極アセンブリ16は、カテーテル本体12と概ね同軸であり、カテーテル本体12の近位端から中央ルーメンを通じて延在し、スパイン18の遠位端に直接的又は間接的に取り付けられるプラー22も含んでもよい。プラー22は、カテーテル本体に対して長手方向の移動が許されており、それによりスパイン18の遠位端を、カテーテル本体12に対して近位又は遠位に移動させて、電極アセンブリをそれぞれ径方向に拡張及び収縮させることができる。スパイン18の近位端部はカテーテル本体12に係留されているので、これらがプラー22の近位方向の相対的な動きに関連付けられ得る、拡張した配置へと外側に張り出したとき、スパイン18の遠位端部と近位端部との間の距離は短くなる。あるいは又は加えて、スパイン18は、形状記憶材料などの拡張した配置をとるのを容易にする以下に記載される材料を含んでもよく、それによりプラー22は省略されてもよいか、又は拡張した配置と潰れた配置との間の移行を助けるために使用されてもよい。一実施形態では、プラー22は、以下に記載されるニッケルチタン合金などの好適な形状記憶材料から形成されたワイヤ又はハイポチューブを備えてもよい。当然のことながら、長手方向軸に沿ったプラー22の異なる相対量の移動は、スパイン18が心房組織上により大きな圧力をかけてスパイン上での組織と電極との間のより良好な接触をもたらすことができるように、張り出しの程度に影響を及ぼし得る。したがって、ユーザは、プラーの長手方向の延在又は引っ込みを調整することによって、電極アセンブリの形状を修正することができる。
【0028】
プラー22のその最も遠位の場所から比較的より近位場所までの移動距離の第1の範囲は、潰れた配置から
図1に示す概して楕円体形状を有する第1の展開して拡張した配置までの、バスケット形状の電極アセンブリ16の屈曲に対応する。潰れた配置になっているとき、スパインはガイドシースによるなどして拘束され得る。更に、スパイン18は充分に弾力的な材料を含んでもよく、プラー22に相対的にわずかな力しか又は力が全くかからずスパインが拘束されないとき、第1の拡張した展開した配置をとる。あるいは、スパイン18は、プラー22に充分な力をかけることによって潰れた配置から第1の拡張して展開した配置へと屈曲され得るように、拘束されていないときでさえも潰れた配置のままになるように構成されてもよい。当然のことながら、潰れた配置では、スパイン18は、患者の中への挿入及び患者からの引っ込みのために外径を最小にするように、カテーテル本体12と概して直線状に並ぶ。第1の展開して拡張した配置への拡張では、バスケット形状の電極アセンブリ16のスパイン18は外向きに張り出す。患者の中の所望の場所に配置されたとき、第1の展開して拡張した配置をとることによって、電極19を心室の壁と接触又は近接近させ得る。一態様では、第1の展開して拡張した配置になっているバスケット形状の電極アセンブリ16の楕円体形状は、その長手方向軸に沿った長さが少なくともその赤道軸に沿った長さと等しいとして特徴付けられ得る。更に、いくつかの実施形態では、長手方向軸長さは赤道軸方向長さより大きく、長手方向軸長さの赤道軸方向長さに対する比は5〜9:5〜8の範囲(5.5:5、6.5:6、及び7:6など、これらは例示に過ぎず、制限するものではない)であってもよい。一実施形態では、バスケット形状の電極アセンブリ16は、第1の展開して拡張した配置になっているとき、約65mmの長さ及び約55mmの幅を有してもよい。患者の解剖学的構造に依存して患者の調査される区域(右心房又は左心房など)に対する精密な適合を提供するために、異なる比率及びサイズを採用してもよい。
【0029】
バスケット形状の電極アセンブリ16の1つの実施形態の詳細図が
図2に示され、合計10個のスパイン配置の10個の電極19をそれぞれが保持する6個のスパイン18を示す(この図では、明瞭さを改善するために、中間の4つのスパインは省略されている)。上記したように、他の実施形態では、異なる数のスパイン18及び/又は電極20が採用されてもよく、そのそれぞれは所望されるように均一に又は不均一に配分され得る。スパイン18及びプラー22の遠位端部は遠位キャップ24に係留されてもよい。対応して、スパイン18の近位端は、カテーテル本体12の遠位端に固定されてもよく、一方でプラー22は、近位端が制御ハンドル14まで延在するように、カテーテル本体12のルーメン26を経由してもよい。いくつかの実施形態では、ルーメン26を使用して、ヘパリン加生理食塩水などの好適な洗浄液をバスケット形状の電極アセンブリ16に供給することもできる。制御ハンドル14内の取付け具(図示せず)は、洗浄液を好適な源から導くか、又はルーメン26内に圧送するために提供されてもよい。
【0030】
各スパイン18は、非導電性被覆物30を有する可撓性ワイヤ28を備えてもよく、その上に1つ又は2つ以上のリング電極19が装着される。一実施形態では、可撓性ワイヤ28は、形状記憶材料から形成されて、拡張した配置と潰れた配置との間の移行を容易にすることができ、非導電性被覆物30はそれぞれ、ポリウレタン又はポリイミド管状物などの生体適合性プラスチック管状物を含んでもよい。例えば、ニチノールとして知られているニッケル−チタン合金が使用されてもよい。ニチノール製ワイヤは、体温で可撓性及び弾性であり、大抵の金属のように、ニチノール製ワイヤは、最小限の力に曝されると変形し、その力の不在下ではそれらの形状に戻る。ニチノールは、ニチノールがその温度相に依存する「記憶形状」を有するのを可能にする形状記憶及び超弾性を含む、可撓性及び弾性を超える興味深い機械特性を有する形状記憶合金(SMA)と呼ばれる材料の群に属する。オーステナイト相は、単純な立方結晶構造を持つニチノールのより強力でより高温の相である。超弾性挙動は、この相(50〜60℃の温度の広がりにわたって)で生じる。対応して、マルテンサイト相は、双晶構造を持つ比較的脆弱なより低温の相である。ニチノール材料がマルテンサイト相にある場合、それは比較的容易に変形し、変形した状態に留まる。しかしながら、そのオーステナイト移行温度を超えて加熱されると、ニチノール材料は、その変形前形状に戻り、「形状記憶」効果をもたらす。ニチノールが加熱時にオーステナイトに変換し始める温度は、「As」温度と称される。ニチノールが加熱時にオーステナイトに変換し終えた温度は、「Af」温度と称される。したがって、バスケット形状の電極アセンブリ16は、ガイドシース内に送給されるように容易に潰され、その後、ガイドシースが取り除かれた後に患者の所望の領域に送達されると、その拡張した形状記憶配置に容易に戻され得る3次元形状を有することができる。
【0031】
あるいは、いくつかの実施形態では、十分に剛性の非導電性材料が非導電性被覆物30に使用されて、バスケット形状の電極アセンブリ16の径方向拡張を可能にする場合、スパインがその表面の少なくとも一部の上にリング電極19の装着のための非導電性の外側表面を有する限り、スパイン18が内部可撓性ワイヤ28なしで設計されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、
図1に示すように、プラー22は制御ハンドル14上でアクチュエータ44に連結されてもよい。アクチュエータ32は、スライド式レバー、回転式ノブ、又は任意の他の好適な実装であってもよい。このように、プラー22の相対的な長手方向位置を調整するためにアクチュエータ32を使用してもよく、そして特に少なくとも移動距離の第2の範囲を通してプラー22の位置を調整するように構成してもよい。更に、アクチュエータ32は、楕円体状のバスケット形状の電極アセンブリ16の、第1の展開して拡張した配置、及び/又は第2の展開して拡張した配置、ならびに所望する場合は中間位置などの、所望される配置に対応する調整された位置にプラー22を保持するように構成され得る。
【0033】
ここで
図3〜
図6を参照すると、カテーテル本体12は更にスパインカラー20を備える。
図3は、スパインカラー20の断面図を例示する。一実施形態では、スパインカラー20はステンレス鋼から構成される。別の実施形態では、スパインカラー20はPEEK又は他の好適なポリマーから構成される。スパインカラー20は、ハンドル16からカテーテル本体20の遠位端部の近くまでの距離にわたる長さを有する。スパインカラー20は、複数の長手方向外側ルーメン36を含む。外側ルーメン36のそれぞれはスパインカラー20の外周の周りに等距離で配置される。外側ルーメン36の数は、バスケット形状の電極アセンブリ18のスパイン24の数に対応し得る。一実施形態では、スパインカラー20は10個の電極スパイン24に対応して10個の長手方向外側ルーメン36を有する。別の実施形態では、長手方向外側ルーメン36及び対応する電極スパイン24の数は、カテーテルの適用に応じて少なくとも6個から18個の範囲であってもよい。外側ルーメン36は、電極及びセンサをコントローラへと動作可能に接続するために、遠位アセンブリ18の電極及びセンサからハンドル16に至るまで延在する必要な複数のワイヤを収容する。一実施形態では、カテーテルの保存の間及び使用の間ワイヤを保護し、かつ定位置に保つために、外側ルーメン36のそれぞれはエポキシ樹脂で充填される。
【0034】
スパインカラー20は少なくとも2つの内側ルーメン38及び40を更に含む。内側ルーメン38及び40は、カテーテル本体12の中心から半径方向に離間される。一実施形態では、内側ルーメン38の直径は内側ルーメン40のよりわずかに大きい。別の実施形態では、直径は実質的に同じサイズである。一実施形態では、内側ルーメン38は灌注ルーメンである。灌注ルーメン38は、ステンレス鋼ルーメンを内張りするようにポリマーシースも含んでもよい。一実施形態では、このポリマーシースはポリイミド又は任意の他の当該技術分野において既知の生体適合性材料を含む。灌注ルーメン38はハンドル16からカテーテル本体12の遠位端部まで延びる長さを有する。灌注ルーメン38は、手技の間使用するための灌注流体の外部供与源と流体連通する。
【0035】
内側ルーメン40はプルワイヤ22を収容するためのプルワイヤルーメンを備える。プルワイヤルーメン40は灌注ルーメン38の長さと類似の長さを有する。一実施形態では、プルワイヤルーメン40はプルワイヤ22を収容するようにプラスチックシースを含む。一実施形態では、プラスチックシースはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又は他のポリマー材料を含む。別の実施形態では、プルワイヤルーメン40は、プルワイヤ22の長手方向の並進を容易にするために、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの潤滑コーティングを含む。
【0036】
ここで
図4及び
図5に移ると、本発明の封止部42が例示されている。封止部42は、2つの開口部44及び46を有するシリコーンディスクを備え、そのそれぞれは内側ルーメン38及び40にそれぞれ対応する。一実施形態では、開口部44及び46はケイ素のシートへレーザーカットされる。好ましい実施形態では、ケイ素シートの厚さは2mmである。他の実施形態では、ケイ素シートの厚さは0.5mm〜4mmの間である。開口部44の直径は灌注ルーメン38の直径と実質的に同じであり、灌注ルーメン38から治療部位への灌注流体の自由流を可能にする。
【0037】
開口部46は、使用の間に体液又は他の液体がプルワイヤルーメン40に入るのを防止するためにプルワイヤ封止部48を備える。
図4に示すように、開口部46は、
図3に示すように、プルワイヤルーメン40の直径より実質的に小さい直径を有する。プルワイヤ封止部48の寸法はプルワイヤ22の周りに摩擦嵌めを作り出すものである。プルワイヤ封止部48はプルワイヤ22の並進を可能にするが、同時にプルワイヤルーメンの中への流体の浸入を防止するために封止部を提供する。一実施形態では、封止部42はスパインカラー20の遠位端部表面50にポリウレタンエポキシを使用して係留的に取り付けられる。他の実施形態では、封止部42をスパインカラー20に接着するために他の生体適合性接着剤が使用されてもよい。
【0038】
バスケット形状の電極アセンブリ16の使用の例示を助けるために、
図7は、本発明の実施形態による、侵襲性医療手技の概略図である。バスケット形状の電極アセンブリ16(この図には示されていない)を遠位端に有するカテーテル10は、それらが検出する信号を記録して分析する目的で、それらのそれぞれの電極19(この図には示されていない)からコンソール72にワイヤを連結するためのコネクタ70を近位端に有してもよい。電気生理学者74は、患者の心臓78からの電極電位信号を取得するために、カテーテル10を患者76の体内に挿入することができる。専門家は、挿入を行うために、カテーテルに取り付けられた制御ハンドル14を使用する。コンソール72は、受信された信号を分析し、コンソールに取り付けられたディスプレイ82上に分析の結果を提示することができる処理ユニット80を含むことができる。この結果は、典型的には、信号から得られたマップ、数値表示、及び/又はグラフの形態である。
【0039】
更なる態様では、処理ユニット80は、
図1に概略的に示されるように、バスケット形状の電極アセンブリ16に隣接したカテーテル10の遠位端の近くに提供された1つ又は2つ以上の位置センサ64から信号を受信することもできる。センサ(複数化)はそれぞれ、磁界応答コイル又は複数のかかるコイルを備えてもよい。複数のコイルの使用は、6次元位置及び配向座標の判定を可能にする。したがって、センサは、外部コイルからの磁界に応答して電気位置信号を発生させ、それによりプロセッサ80が心臓腔内におけるカテーテル遠位端10の位置(例えば、場所及び配向)を判定することができる。その後、電気生理学者は、ディスプレイ82上の患者の心臓の画像にバスケット形状の電極アセンブリ16の位置を見ることができる。例として、この位置検知の方法は、Biosense Webster Inc.(米国カリフォルニア州Diamond Bar)によって生産されているCARTO(商標)システムを使用して実施されてもよく、かつ米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、PCT出願公開第WO96/05768号、及び米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号、及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に記載されており、これらの開示はすべて参照により本明細書に組み込まれる。当然のことながら、他の場所感知技術が用いられてもよい。所望される場合、少なくとも2つの場所センサは、バスケット形状の電極アセンブリ16の近位及び遠位に位置付けられてもよい。近位センサに対する遠位センサの座標が判定され、バスケット形状の電極アセンブリ16のスパイン18の湾曲に関連する他の既知の情報を用いて、電極19のそれぞれの位置を見つけるために使用されてもよい。
【0040】
一態様では、電気生理学医は、当該分野において一般に知られているように、ガイド用シース、ガイドワイヤ、及び拡張器を患者の体内に導入してもよい。本発明のカテーテルに関連する使用に好適なガイドシースの例は、PREFACE(商標)編組ガイドシース(Biosense Webster,Inc.(米国カリフォルニア州Diamond Bar)から市販されている)及びDiRex(商標)ガイドシース(BARD(米国ニュジャージー州Murray Hill)から市販されている)である。ガイドワイヤが挿入され、拡張器が取り除かれ、カテーテルがガイドシースを通じて導入され、それによりプラー内のガイドワイヤルーメンは、カテーテルがガイドワイヤの上を通過するのを可能にする。
図8に示される例示的な一手技では、カテーテルは、下大静脈(IVC)を介して右心房(RA)に最初に導入され、これが心房中隔(S)を通過して、左心房(LA)に到達する。
【0041】
当然のことながら、ガイドシースは、潰れた位置にあるバスケット形状の電極アセンブリ16のスパイン18を被覆し、それによりカテーテル全体が患者の脈管系を通過して所望の場所に至り得る。プラー22は、カテーテル本体の遠位に配置されてもよく、アセンブリがガイドシースを通過する間、アセンブリのスパインを平らにすることができる。カテーテルの遠位端部が所望の位置、例えば左心房、に到達すると、ガイドシースは引き抜かれて、バスケット形状の電極アセンブリ16がむき出しになる。プラー22はその移動距離の第1の範囲を通して近位に引かれるか、又は別の方法で遠位接合部と近位接合部との間でスパイン18が外向きに屈曲するように操作される。バスケット形状の電極アセンブリ16が径方向に拡張した状態で、リング電極19は心房の組織と接触する。当業者によって認識されるように、バスケット形状の電極アセンブリ16は、
図8に示されるように、第1の展開して拡張した配置へと完全に、又は部分的に拡張される。更に、バスケット形状の電極アセンブリ16の配置の態様は、上述のように展開した区域により緊密にぴったり一致するように合わせられ得る。
【0042】
上記の説明は、本発明の現在開示されている実施形態を参照して提示したものである。本発明が属する当業者であれば、本発明の原理、趣旨、及び範囲を有意に逸脱することなく、説明された構造に改変及び変更が実施されてもよいことを理解するであろう。当業者には理解されるように、図面は必ずしも縮尺通りではない。したがって、上記の説明は、添付図面に記載及び例示される精密な構造のみに関連するものとして読まれるべきではなく、むしろ以下の最も完全で公正な範囲を有するとされる特許請求の範囲と一致し、かつそれらを補助するものとして読まれるべきである。
【0043】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルであって、
細長い本体と、
前記細長い本体の遠位端部に装着された電極アセンブリと、
前記細長い本体の中に配置された第1の内側ルーメンと、
前記第1の内側ルーメンに隣接して配置された第2の内側ルーメンと、
前記第1の内側ルーメンに対応する第1の開口部及び前記第2の内側ルーメンに対応する第2の開口部を有し、前記細長い本体の遠位端部に係留的に取り付けられる封止部と、を備える、カテーテル。
(2) 前記細長い本体がスパインカラーを更に備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記スパインカラーが複数の外側ルーメンを備え、かつ前記第1の内側ルーメン及び第2の内側ルーメンが前記スパインカラーの中に配置されている、実施態様2に記載のカテーテル。
(4) 前記電極アセンブリが複数のスパインを備え、前記複数のスパインがバスケット形状の電極アセンブリを形成している、実施態様3に記載のカテーテル。
(5) 前記複数のスパインの各々が前記複数の外側ルーメンのうちの1つに取り付けられ、かつこれと連通する、実施態様4に記載のカテーテル。
【0044】
(6) 前記第2の内側ルーメンがプルワイヤを収容し、前記プルワイヤが前記第2の内側ルーメンの中に長手方向に配置されている、実施態様3に記載のカテーテル。
(7) 前記封止部の前記第2の開口部が前記プルワイヤの外側表面の周りに摩擦嵌め封止部を提供する寸法である、実施態様6に記載のカテーテル。
(8) 前記封止部がケイ素から構成されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記第1の開口部及び前記第2の開口部がレーザーカットされている、実施態様8に記載のカテーテル。
(10) それぞれのスパインが少なくとも1つのリング電極を備える、実施態様5に記載のカテーテル。
【0045】
(11) 前記少なくとも1つのリング電極が、コントローラと電気的導通する少なくとも1つのワイヤを有する、実施態様10に記載のカテーテル。
(12) 前記少なくとも1つのワイヤが、対応する外側ルーメンの中に配置されている、実施態様11に記載のカテーテル。
(13) 前記電極アセンブリ及びコントローラに動作可能に接続された少なくとも1つのセンサを更に備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(14) 前記第1の内側ルーメンが灌注ルーメンである、実施態様1に記載のカテーテル。
(15) オペレータが患者の組織の一部分をアブレーションするための方法であって、
カテーテルを前記患者に挿入することであって、前記カテーテルは、
細長い本体と、
前記細長い本体の遠位端部に装着された電極アセンブリと、
前記細長い本体の中に配置された第1の内側ルーメンと、
前記第1の内側ルーメンに隣接して配置された第2の内側ルーメンと、
前記第1の内側ルーメンに対応する第1の開口部及び前記第2の内側ルーメンに対応する第2の開口部を有し、前記細長い本体の遠位端部に係留的に取り付けられた封止部と、を備える、ことと、
複数のセンサから信号を受信し、かつ前記電極アセンブリに電力を送達することが可能なシステムコントローラに、前記カテーテルを接続することと、
前記組織をアブレーションするための前記電極アセンブリへの前記電力を制御することと、を含む方法。
【0046】
(16) 組織をアブレーションするための前記電極への前記電力を制御することが、前記複数のセンサからの測定値に少なくとも部分的に基づいている、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記細長い本体がスパインカラーを更に備え、前記スパインカラーが複数の外側ルーメンを備え、かつ前記第1の内側ルーメン及び第2の内側ルーメンが前記スパインカラーの中に配置されている、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記電極アセンブリが複数のスパインを備え、前記複数のスパインがバスケット形状の電極アセンブリを形成している、実施態様15に記載の方法。
(19) 前記封止部の前記第2の開口部が前記プルワイヤの外側表面の周りに摩擦嵌め封止部を提供する寸法である、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記センサから受信した信号をデジタル化してから、前記細長い本体に沿って前記信号を送信することを更に含む、実施態様15に記載の方法。