(54)【発明の名称】溶解炉の操業計画作成装置、そのためのコンピュータプログラム、プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体、及び溶解炉の操業計画作成方法
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属材料を溶解して溶湯とし、その溶湯を保持する溶解炉と、該溶解炉からの溶湯を受けて鋳造品を製造する鋳造機とを備え、前記溶解炉は、金属材料を溶解する溶解用熱源と、溶解された溶湯の温度を維持する保持用熱源とを備える溶解炉の操業計画作成装置であって、
製造される前記鋳造品の種類、数量、鋳造品単位数量当たりの鋳込み重量を含む生産計画に基づいて前記鋳造機を使用して前記鋳造品を製造するための操業計画を作成する計画作成手段と、
該計画作成手段による操業計画に基づいて前記鋳造品を製造するために必要な溶湯量を把握して、その溶湯を用意するための作業を指示する作業指示手段とを備え、
前記作業指示手段は、
前記計画作成手段による操業計画に基づいて操業シミュレーションを行うため、少なくとも前記溶解炉への金属材料総投入量を求める条件算出手段と、
前記計画作成手段及び前記条件算出手段に基づいて溶湯保持量が適正値となるように操業開始から終了までの操業シミュレーションを行うシミュレーション手段と、
該シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて前記溶解炉への金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う材料投入指示手段と、
前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて各時刻における前記溶解用熱源の溶解熱量、及び各時刻における前記保持用熱源の保持熱量を算出する熱量算出手段とを備え、
前記シミュレーション手段は、
前記溶解炉内に投入されている金属材料の各時刻における重量を算出する材料重量算出手段を備え、
材料重量算出手段は、返り材又は不良品の量を考慮して前記溶解炉への金属材料投入量を算出し、
前記返り材は、前記鋳造品に付随する部位で前記鋳造品を取り出す際に除去され、前記溶解炉に返されて溶湯に戻されるものであり、
不良品は、設計どおりに製造されなかった鋳造品で、前記溶解炉に返されて溶湯に戻されるものであり、
前記材料投入指示手段は、前記材料重量算出手段により算出された金属材料の重量推移に基づいて金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う溶解炉の操業計画作成装置。
金属材料を溶解して溶湯とし、その溶湯を保持する溶解炉と、該溶解炉からの溶湯を受けて鋳造品を製造する鋳造機とを備え、前記溶解炉は、金属材料を溶解する溶解用熱源と、溶解された溶湯の温度を維持する保持用熱源とを備える溶解炉の操業計画作成装置用コンピュータプログラムにおいて、
製造される鋳造品の種類、数量、鋳造品単位数量あたりの鋳込み重量を含む生産計画に基づいて前記鋳造機を使用して前記鋳造品を製造するための操業計画を作成する計画作成手段、
該計画作成手段による操業計画に基づいて前記鋳造品を製造するために必要な溶湯量を把握して、その溶湯を用意するための作業を指示する作業指示手段としてコンピュータを機能させるプログラムであり、
前記作業指示手段は、
前記計画作成手段による操業計画に基づいて操業シミュレーションを行うため、少なくとも前記溶解炉への金属材料総投入量を求める条件算出手段と、
前記計画作成手段及び前記条件算出手段に基づいて溶湯保持量が適正値となるように操業開始から終了までの操業シミュレーションを行うシミュレーション手段と、
該シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて前記溶解炉への金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う材料投入指示手段と、
前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて各時刻における前記溶解用熱源の溶解熱量、並びに各時刻における前記保持用熱源の保持熱量を算出する熱量算出手段とを備え、
前記シミュレーション手段は、
前記溶解炉内に投入されている金属材料の各時刻における重量を算出する材料重量算出手段を備え、
材料重量算出手段は、返り材又は不良品の量を考慮して前記溶解炉への金属材料投入量を算出し、
前記返り材は、前記鋳造品に付随する部位で前記鋳造品を取り出す際に除去され、前記溶解炉に返されて溶湯に戻されるものであり、
不良品は、設計どおりに製造されなかった鋳造品で、前記溶解炉に返されて溶湯に戻されるものであり、
前記材料投入指示手段は、前記材料重量算出手段により算出された金属材料の重量推移に基づいて金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う溶解炉の操業計画作成装置用コンピュータプログラム。
金属材料を溶解して溶湯とし、その溶湯を保持する溶解炉と、該溶解炉からの溶湯を受けて鋳造品を製造する鋳造機とを備え、前記溶解炉は、金属材料を溶解する溶解用熱源と、溶解された溶湯の温度を維持する保持用熱源とを備える溶解炉の操業計画作成装置用コンピュータプログラムにおいて、
製造される鋳造品の種類、数量、鋳造品単位数量あたりの鋳込み重量を含む生産計画に基づいて前記鋳造機を使用して前記鋳造品を製造するための操業計画を作成する計画作成手段、
該計画作成手段による操業計画に基づいて前記鋳造品を製造するために必要な溶湯量を把握して、その溶湯を用意するための作業を指示する作業指示手段としてコンピュータを機能させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、
前記作業指示手段は、
前記計画作成手段による操業計画に基づいて操業シミュレーションを行うため、少なくとも前記溶解炉への金属材料総投入量を求める条件算出手段と、
前記計画作成手段及び前記条件算出手段に基づいて溶湯保持量が適正値となるように操業開始から終了までの操業シミュレーションを行うシミュレーション手段と、
該シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて前記溶解炉への金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う材料投入指示手段と、
前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて各時刻における前記溶解用熱源の溶解熱量、並びに各時刻における前記保持用熱源の保持熱量を算出する熱量算出手段とを備え、
前記シミュレーション手段は、
前記溶解炉内に投入されている金属材料の各時刻における重量を算出する材料重量算出手段を備え、
材料重量算出手段は、返り材又は不良品の量を考慮して前記溶解炉への金属材料投入量を算出し、
前記返り材は、前記鋳造品に付随する部位で前記鋳造品を取り出す際に除去され、前記溶解炉に返されて溶湯に戻されるものであり、
不良品は、設計どおりに製造されなかった鋳造品で、前記溶解炉に返されて溶湯に戻されるものであり、
前記材料投入指示手段は、前記材料重量算出手段により算出された金属材料の重量推移に基づいて金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う溶解炉の操業計画作成装置用コンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
金属材料を溶解して溶湯とし、その溶湯を保持する溶解炉と、該溶解炉からの溶湯を受けて鋳造品を製造する鋳造機とを備え、前記溶解炉は、金属材料を溶解する溶解用熱源と、溶解された溶湯の温度を維持する保持用熱源とを備える溶解炉の操業計画作成方法であって、
製造される鋳造品の種類、数量、鋳造品単位数量あたりの鋳込み重量を含む生産計画に基づいて前記鋳造機を使用して前記鋳造品を製造するための操業計画を作成する計画作成手順と、
該計画作成手順による操業計画に基づいて前記鋳造品を製造するために必要な溶湯量を把握して、その溶湯を用意するための作業を指示する作業指示手順とを備え、
前記作業指示手順は、
前記計画作成手順による操業計画に基づいて操業シミュレーションを行うため、少なくとも前記溶解炉への金属材料総投入量を求める条件算出手順と、
前記計画作成手順及び前記条件算出手順に基づいて溶湯保持量が適正値となるように操業開始から終了までの操業シミュレーションを行うシミュレーション手順と、
該シミュレーション手順によるシミュレーション結果に基づいて前記溶解炉への金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う材料投入指示手順と、
前記シミュレーション手順によるシミュレーション結果に基づいて各時刻における前記溶解用熱源の溶解熱量、並びに各時刻における前記保持用熱源の保持熱量を算出する熱量算出手順とを備え、
前記シミュレーション手順は、
前記溶解炉内に投入されている金属材料の各時刻における重量を算出する材料重量算出手順を備え、
材料重量算出手順は、返り材又は不良品の量を考慮して前記溶解炉への金属材料投入量を算出し、
前記返り材は、前記鋳造品に付随する部位で前記鋳造品を取り出す際に除去され、前記溶解炉に返されて溶湯に戻されるものであり、
不良品は、設計どおりに製造されなかった鋳造品で、前記溶解炉に返されて溶湯に戻されるものであり、
前記材料投入指示手順は、前記材料重量算出手順により算出された金属材料の重量推移に基づいて金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う溶解炉の操業計画作成方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1における制御は、単なるフィードバック制御であり、現実の鋳造現場では溶湯量の過不足が生じる可能性がある。例えば、鋳造機20が稼働中で金属材料31の投入量が少ない場合、鋳造機20で使用される溶湯33の消費量によっては溶湯量の不足が生じる。また、工場の操業が終了して鋳造が停止され、溶湯33が長期間消費されない状態では、保持室12に保持される溶湯33の量は少ない方が省エネルギーとなるが、操業終了前に金属材料31の投入量を多くすると、操業終了後に保持室12に残る溶湯33の量は多くなってしまう。
【0006】
本発明の課題は、鋳造機にて使用を予定される溶湯の量に合わせて溶解炉の溶湯量を制御するように計画することにより、溶解炉における溶湯量を適正量とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明は、金属材料を溶解して溶湯とし、その溶湯を保持する溶解炉と、該溶解炉からの溶湯を受けて鋳造品を製造する鋳造機とを備え、前記溶解炉は、金属材料を溶解する溶解用熱源と、溶解された溶湯の温度を維持する保持用熱源とを備える溶解炉の操業計画作成装置であって、製造される前記鋳造品の種類、数量、鋳造品単位数量当たりの鋳込み重量を含む生産計画に基づいて前記鋳造機を使用して前記鋳造品を製造するための操業計画を作成する計画作成手段と、該計画作成手段による操業計画に基づいて前記鋳造品を製造するために必要な溶湯量を把握して、その溶湯を用意するための作業を指示する作業指示手段とを備える。前記作業指示手段は、前記計画作成手段による操業計画に基づいて操業シミュレーションを行うため、少なくとも前記溶解炉への金属材料総投入量を求める条件算出手段と、前記計画作成手段及び前記条件算出手段に基づいて溶湯保持量が適正値となるように操業開始から終了までの操業シミュレーションを行うシミュレーション手段と、該シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて前記溶解炉への金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う材料投入指示手段と、前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて各時刻における前記溶解用熱源の溶解熱量、及び各時刻における前記保持用熱源の保持熱量を算出する熱量算出手段とを備える。
【0008】
第1発明において、前記条件算出手段は、前記鋳造品の種類、数量、鋳造品単位数量あたりの鋳込重量等の生産計画情報に基づき、溶解炉から鋳造機へ単位時間あたりに汲み出される溶湯量を算出する手段を備えるものとする。
【0009】
第1発明によれば、鋳造工場の操業計画に基づいて溶解炉への金属材料総投入量を求め、溶解炉の溶湯保持量が適正値となるように操業開始から終了までのシミュレーションを行い、このシミュレーションの結果に基づいて溶解炉への金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う。また、シミュレーションの結果に基づいて溶解用熱源の溶解熱量、及び保持用熱源の保持熱量の算出を行う。そのため、製造の各時点において過不足なく適正量の金属材料の投入を行わせ、溶解炉の溶湯量を適正値とすることができる。
【0010】
第2発明は、上記第1発明において、前記溶解炉への金属材料の投入量、投入時刻、前記溶解用熱源の溶解熱量、及び前記保持用熱源の保持熱量をリアルタイムで監視・収集する監視収集手段と、前記作業指示手段により指示される指示内容に対して、前記監視収集手段により監視収集された結果を比較評価する評価手段とを備える。
【0011】
第2発明において、前記金属材料の投入量監視収集手段は、直接監視のみならず前記材料投入量設定手段と投入時刻により算出する手段も含まれる。
【0012】
第2発明によれば、監視収集手段により、溶解炉への金属材料の投入時刻、投入量、並びに溶解用熱源の溶解熱量及び保持用熱源の保持熱量が監視・収集される。これらの監視結果が、作業指示手段の指示内容に対して比較評価される。そのため、溶解炉の操業状態が作業指示手段により指示された内容に対して評価される。従って、溶解炉の操業状態が指示内容に近づくように修正され、溶解炉の操業を効率的に行うことができる。
【0013】
第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記条件算出手段は、返り材又は不良品の量を考慮して前記溶解炉への金属材料投入量を設定する材料投入量設定手段を備え、前記返り材は、前記鋳造品に付随する部位で前記鋳造品を取り出す際に除去され、前記溶解炉に返されて溶湯に戻されるものであり、不良品は、設計どおりに製造されなかった鋳造品で、前記溶解炉に返されて溶湯に戻されるものである。
【0014】
第3発明によれば、返り材又は不良品の量並びに溶解炉から鋳造機へ汲み出される鋳込み重量を考慮して溶解炉への金属材料の投入量を決定する。そのため、金属材料の投入量をより適切な量とすることができる。
【0015】
第4発明は、上記第1〜第3発明のいずれかにおいて、前記条件算出手段は、前記溶解炉から前記鋳造機へ溶湯の汲み出しが開始された後、前記溶解炉の溶湯保持量が下限値に達するまでに金属材料を前記溶解炉に投入して溶解可能とするよう溶解所要時間を考慮して金属材料の溶解開始時刻を決定する溶解開始時刻決定手段を備える。
【0016】
第4発明によれば、金属材料を溶解炉に投入して溶解されるまでに必要な溶解所要時間を考慮して金属材料の溶解開始時刻を決定する。そのため、溶解開始時刻が遅れることを回避して、金属材料の溶解が遅れることにより溶湯保持量が下限値を下回る事態を回避することができる。
【0017】
第5発明は、上記第1〜第4発明のいずれかにおいて、前記シミュレーション手段は、前記条件算出手段により与えられる各時刻における鋳込み必要量に基づいて各時刻における前記溶解炉の溶湯保持量を算出する溶湯保持量算出手段と、前記溶解炉内に投入されている金属材料の各時刻における重量を算出する材料重量算出手段とを備える。前記材料投入指示手段は、前記材料重量算出手段により設定された金属材料の重量推移に基づいて金属材料の投入時刻と投入量の指示を行い、前記熱量算出手段は、前記溶湯保持量算出手段により算出された溶湯保持量に基づいて各時刻における前記溶解用熱源の溶解熱量、並びに各時刻における前記保持用熱源の保持熱量を算出する。
【0018】
第5発明によれば、操業開始から終了までのシミュレーションを行うに際し、各時刻における溶解炉から鋳造機への鋳込み重量に基づいて各時刻における溶解炉の溶湯保持量を算出し、この溶湯保持量に基づいて各時刻における溶解用熱源及び保持用熱源の熱量を算出する。また、溶解炉内の各時刻における金属材料の重量を算出し、その金属材料重量に基づいて溶解炉への金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う。そのため、作業員に対し製造の各時点において過不足なく適正量の金属材料の投入を行わせ、溶解炉の溶湯保持量を適正値とすることができる。
【0019】
第6発明は、上記第5発明において、前記材料重量算出手段により算出された金属材料の重量は、前記条件算出手段により与えられる各時刻における前記鋳込み重量をAとし、前記溶湯保持量算出手段により算出された溶湯保持量をBとし、予め設定された溶湯保持量の目標値をCとして、A=B−Cが成立するタイミングで当日の鋳造機の操業終了前の金属材料投入時刻と投入量を制御し、鋳造機の操業終了時点で溶解炉の溶湯保持量を目標値Cに近づけるような操業計画を作成する。
【0020】
第6発明によれば、この溶解炉操業を行った場合、鋳造機の操業終了前の材料投入量は返り材のみとなり、各時刻における返り材のみの溶解に起因する溶湯保持量Bと目標値Cとの差が各時刻における鋳込み重量Aとほぼ一致した運用を継続し、最終的に鋳造機の操業終了時点においては返り材もゼロとなることから、溶解炉の溶解保持量Bが目標値Cに一致して終了する。そのため、鋳造機の操業終了時点で溶湯保持量を目標値に近づけることができる。従って、鋳造機の操業終了後の溶解炉保持用熱源のエネルギー使用量を抑制することができる。
【0021】
第7発明は、金属材料を溶解して溶湯とし、その溶湯を保持する溶解炉と、該溶解炉からの溶湯を受けて鋳造品を製造する鋳造機とを備え、前記溶解炉は、金属材料を溶解する溶解用熱源と、溶解された溶湯の温度を維持する保持用熱源とを備える溶解炉の操業計画作成装置用コンピュータプログラムにおいて、製造される鋳造品の種類、数量、鋳造品単位数量あたりの鋳込み重量を含む生産計画に基づいて前記鋳造機を使用して前記鋳造品を製造するための操業計画を作成する計画作成手段、該計画作成手段による操業計画に基づいて前記鋳造品を製造するために必要な溶湯量を把握して、その溶湯を用意するための作業を指示する作業指示手段としてコンピュータを機能させるプログラムであり、前記作業指示手段は、前記計画作成手段による操業計画に基づいて操業シミュレーションを行うため、少なくとも前記溶解炉への金属材料総投入量を求める条件算出手段と、前記計画作成手段及び前記条件算出手段に基づいて溶湯保持量が適正値となるように操業開始から終了までの操業シミュレーションを行うシミュレーション手段と、該シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて前記溶解炉への金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う材料投入指示手段と、前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて各時刻における前記溶解用熱源の溶解熱量、並びに各時刻における前記保持用熱源の保持熱量を算出する熱量算出手段とを備える。
【0022】
第7発明によれば、第1発明と同様の作用効果を達成することができる。
【0023】
第8発明は、金属材料を溶解して溶湯とし、その溶湯を保持する溶解炉と、該溶解炉からの溶湯を受けて鋳造品を製造する鋳造機とを備え、前記溶解炉は、金属材料を溶解する溶解用熱源と、溶解された溶湯の温度を維持する保持用熱源とを備える溶解炉の操業計画作成装置用コンピュータプログラムにおいて、製造される鋳造品の種類、数量、鋳造品単位数量あたりの鋳込み重量を含む生産計画に基づいて前記鋳造機を使用して前記鋳造品を製造するための操業計画を作成する計画作成手段、該計画作成手段による操業計画に基づいて前記鋳造品を製造するために必要な溶湯量を把握して、その溶湯を用意するための作業を指示する作業指示手段としてコンピュータを機能させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、前記作業指示手段は、前記計画作成手段による操業計画に基づいて操業シミュレーションを行うため、少なくとも前記溶解炉への金属材料総投入量を求める条件算出手段と、前記計画作成手段及び前記条件算出手段に基づいて溶湯保持量が適正値となるように操業開始から終了までの操業シミュレーションを行うシミュレーション手段と、該シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて前記溶解炉への金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う材料投入指示手段と、前記シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて各時刻における前記溶解用熱源の溶解熱量、並びに各時刻における前記保持用熱源の保持熱量を算出する熱量算出手段とを備える。
【0024】
第8発明によれば、第1発明と同様の作用効果を達成することができる。
【0025】
第9発明は、金属材料を溶解して溶湯とし、その溶湯を保持する溶解炉と、該溶解炉からの溶湯を受けて鋳造品を製造する鋳造機とを備え、前記溶解炉は、金属材料を溶解する溶解用熱源と、溶解された溶湯の温度を維持する保持用熱源とを備える溶解炉の操業計画作成方法であって、製造される鋳造品の種類、数量、鋳造品単位数量あたりの鋳込み重量を含む生産計画に基づいて前記鋳造機を使用して前記鋳造品を製造するための操業計画を作成する計画作成手順と、該計画作成手順による操業計画に基づいて前記鋳造品を製造するために必要な溶湯量を把握して、その溶湯を用意するための作業を指示する作業指示手順とを備え、前記作業指示手順は、前記計画作成手順による操業計画に基づいて操業シミュレーションを行うため、少なくとも前記溶解炉への金属材料総投入量を求める条件算出手順と、前記計画作成手順及び前記条件算出手順に基づいて溶湯保持量が適正値となるように操業開始から終了までの操業シミュレーションを行うシミュレーション手順と、該シミュレーション手順によるシミュレーション結果に基づいて前記溶解炉への金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う材料投入指示手順と、前記シミュレーション手順によるシミュレーション結果に基づいて各時刻における前記溶解用熱源の溶解熱量、並びに各時刻における前記保持用熱源の保持熱量を算出する熱量算出手順とを備える。
【0026】
第9発明によれば、第1発明と同様の作用効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【
図3】上記実施形態のコンピュータプログラムの一部であり、生産スケジュール作成処理内容を示すフローチャートである。
【
図4】上記実施形態のコンピュータプログラムの一部であり、初期条件算出処理内容を示すフローチャートである。
【
図5】上記実施形態のコンピュータプログラムの一部であり、操業シミュレーション処理内容を示すフローチャートである。
【
図6】
図5のフローチャートにおける溶湯保持量推定ステップの詳細フローチャートである。
【
図7】
図5のフローチャートにおける溶解開始前の溶解室内材料重量推移算出ステップの詳細フローチャートである。
【
図8】
図5のフローチャートにおける溶解開始後の溶解室内材料重量推移算出ステップの詳細フローチャートである。
【
図9】上記実施形態において操業開始から終了までの間に複数の鋳型を使用して生産する計画を示す計画図である。
【
図10】上記実施形態において操業開始から終了までの間の各鋳型への鋳込み総重量算出の様子、並びに金属材料投入計画を示す計画図である。
【
図11】上記実施形態において操業開始から終了までの間の各鋳造機のショット数、及びそのショット数の累積値を示すタイムチャートである。
【
図12】上記実施形態において操業開始から終了までの間の返り材の重量推移を示すタイムチャートである。
【
図13】
図12と同様のタイムチャートであり、操業終了部分を拡大して示す拡大図である。
【
図14】上記実施形態において操業開始から終了までの間の鋳込み重量累積値を示すタイムチャートである。
【
図15】上記実施形態において操業開始から終了までの間の鋳込み重量合計値の残量を示すタイムチャートである。
【
図16】上記実施形態において操業開始から終了までの間の溶湯保持量の推移を示すタイムチャートである。
【
図17】上記実施形態において操業開始から終了までの間の溶解室内材料重量の推移を示すタイムチャートである。
【
図18】上記実施形態のコンピュータの表示画像を示し、生産計画作成時に使用される表示図である。
【
図19】
図18と同様、生産計画作成時に使用される表示図であり、作成された生産計画の確認図を示す。
【
図20】上記実施形態のコンピュータの表示画像を示し、生産計画作成に基づく生産シミュレーションの結果を示す表示図である。
【
図21】上記実施形態のコンピュータの表示画像を示し、作業指示の表示図である。
【
図22】上記実施形態のコンピュータの表示画像を示し、溶解炉の溶解用及び保持用ガスバーナーのガス消費量を表す表示図である。
【
図23】上記実施形態のコンピュータの表示画像を示し、生産の進捗状況を表す表示図である。
【
図24】上記実施形態のコンピュータの表示画像を示し、生産実績を表す表示図である。
【
図25】上記実施形態のコンピュータの表示画像を示し、計画と実績を対比して示す表示図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の一実施形態を示す。この実施形態は、複数の溶解炉10及び鋳造機20を使用して鋳造品を製造する工場にて使用される溶解炉10の操業支援システムであり、溶解炉10の操業計画作成装置を含み、その操業計画に基づいて溶解炉10に材料を投入するように作業者に作業指示を与えるものである。また、実際の溶解炉10の操業状況を監視して、作業指示との乖離に基づく評価を行うものである。なお、溶解炉10及び鋳造機20は、
図26にて説明したものと同一である。
【0029】
図2は、操業支援システムのシステム構成を示す。コンピュータ41は、表示器42を備え、LANケーブル43に接続されている。LANケーブル43には、各溶解炉10の金属材料投入時刻、投入量、溶湯量等を計測する計測機器46が接続されている。なお、一部の計測機器46は、無線通信機45、46を介してLANケーブル43に接続されている。
【0030】
実施形態の操業支援システムは、製造される鋳造品の種類、数量を含む生産計画に基づいて鋳造機20を使用して鋳造品を製造するための操業計画を作成する計画作成手段と、計画作成手段による操業計画に基づいて鋳造品を製造するために必要な溶湯量を把握して、その溶湯を用意するための作業を指示する作業指示手段とを備える。作業指示手段は、計画作成手段による操業計画に基づいて操業シミュレーションを行うため、少なくとも溶解炉10への金属材料総投入量を求める条件算出手段と、計画作成手段及び条件算出手段に基づいて溶湯保持量が適正値となるように操業開始から終了までの操業シミュレーションを行うシミュレーション手段と、シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて溶解炉10への金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う材料投入指示手段と、シミュレーション手段によるシミュレーション結果に基づいて各時刻における溶解用ガスバーナー(本発明における溶解用熱源に相当)11aのガス供給量(本発明における溶解熱量に相当)、及び各時刻における保持用ガスバーナー(本発明における保持用熱源に相当)12aのガス供給量(本発明における保持熱量に相当)を算出する熱量算出手段とを備える。
【0031】
条件算出手段は、返り材又は不良品の量を考慮して溶解炉10への金属材料投入量を設定する材料投入量設定手段を備える。後述のように、溶解炉10では、金属材料としてバージン材としてのインゴットの他に、返り材と不良品が投入されている。返り材は、鋳造品に付随する部位で、鋳造品を取り出す際に除去され、溶解炉10に返されて溶湯に戻されるものである。不良品は、設計どおりに製造されなかった鋳造品で、溶解炉10に返されて溶湯に戻されるものである。
【0032】
シミュレーション手段は、作業指示手段により与えられる各時刻における鋳込み必要量に基づいて各時刻における溶解炉10の溶湯保持量を算出する溶湯保持量算出手段と、溶解炉10内に投入されている金属材料の各時刻における重量を算出する材料重量算出手段とを備える。材料投入指示手段は、材料重量算出手段により算出された金属材料の重量推移に基づいて金属材料の投入時刻および投入量の指示を行う。また、熱量算出手段は、溶湯保持量算出手段により算出された溶湯保持量に基づいて各時刻における溶解用ガスバーナー11aのガス供給量、並びに各時刻における保持用ガスバーナー12aのガス供給量を算出する。
【0033】
実施形態の操業支援システムは、各時刻における溶解炉10への金属材料の投入量、並びに各時刻における溶解用ガスバーナー11aのガス供給量、並びに各時刻における保持用ガスバーナー12aのガス供給量を監視する監視手段と、作業指示手段により指示される指示内容に対して、監視手段により監視された結果を比較評価する評価手段とを備える。監視手段は、計測機器46からコンピュータ41に取り込まれる溶解炉10の計測データを処理する部分により構成されている。
【0034】
実施形態によれば、鋳造工場の操業計画に基づいて溶解炉10への金属材料総投入量を求め、溶解炉10の溶湯保持量が適正値となるように操業開始から終了までのシミュレーションを行い、このシミュレーションの結果に基づいて溶解炉10への金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う。また、シミュレーションの結果に基づいて溶解用ガスバーナー11aのガス供給量、及び保持用ガスバーナー12aのガス供給量の算出を行う。そのため、製造の各時点において過不足なく適正量の金属材料の投入を行わせ、溶解炉10の溶湯量を適正値とすることができる。
【0035】
また、返り材又は不良品の量を考慮して溶解炉10への金属材料の投入量を決定する。そのため、金属材料の投入量をより適切な量とすることができる。
【0036】
更に、操業開始から終了までのシミュレーションを行うに際し、各時刻における溶解炉10から鋳造機20への鋳込み重量に基づいて各時刻における溶解炉10の溶湯保持量を算出し、この溶湯保持量に基づいて各時刻における溶解用ガスバーナー11aのガス供給量、及び保持用ガスバーナー12aのガス供給量を設定する。また、溶解炉10内の各時刻における金属材料の重量を設定し、その金属材料重量に基づいて溶解炉10への金属材料の投入時刻と投入量の指示を行う。そのため、作業員に対し製造の各時点において過不足なく適正量の金属材料の投入を行わせ、溶解炉10の溶湯量を適正値とすることができる。
【0037】
更にまた、監視手段により、溶解炉10への金属材料の投入量、並びに溶解用ガスバーナー11aのガス供給量、及び保持用ガスバーナー12aのガス供給量が監視される。これらの監視結果が、作業指示手段の指示内容に対して比較評価される。そのため、溶解炉10の操業状態が作業指示手段により指示された内容に対して評価される。従って、溶解炉10の操業状態が指示内容に近づくように修正され、溶解炉10の操業を効率的に行うことができる。
【0038】
図3〜8は、実施形態の操業支援システムを機能させるコンピュータ41のプログラム内容を示す。コンピュータ41にて生産スケジュール作成が選択されると、
図3の生産スケジュール作成処理ルーチンが起動され、表示器42に
図18の生産計画入力画面が表示される。
【0039】
図3のステップS1では、
図18の生産計画入力画面により、各溶解炉10毎に型番、数量及び不良品数を入力する。型番は、鋳造品の種類毎にことなる金型を意味し、不良品は、設計どおりに製造されなかった鋳造品で、溶解炉10に返されて溶湯に戻されるものである。なお、不良品は過去の製造過程で発生したものである。ステップS2では、生産スケジュール作成時刻を操業開始時刻として設定する。ステップS3では、このとき生産する型番nが直前に生産されていた型番と同じか否か判定する。ステップS3が否定判断される場合は、ステップS4において、生産スケジュールに型換え時間を加算する。ステップS3が肯定判断される場合は、ステップS4はスキップされ、ステップS5において、生産スケジュールに捨打時間を加算する。次に、ステップS6では、生産スケジュールに生産時間を加算する。ステップS7では、nが型番の種類数に達したか否かを判定する。即ち、全ての型番の生産スケジュールの設定が完了したか否か判定する。ステップS7が否定判断される場合は、ステップS3に戻って、引き続き生産スケジュールに型換え時間、捨打時間、生産時間を加算する。
図9は、このようにして設定された生産スケジュールを示す。ここでは、型の種類が10個ある場合を示す。
【0040】
ステップS7が肯定判断される場合は、ステップS8において、休憩時間と重複する作業を抽出する。休憩時間は、鋳造機20が停止する時間であり、休憩時間は、開始時刻と時間が予め決められている。ステップS9では、途中で休憩時間を挟む作業の開始から休憩開始までの時間を算出する。例えば、
図9の休憩1の前の生産2と表示された時間を算出する。ステップS10では、休憩終了からの生産時間を算出する。例えば、
図9の休憩1の後の生産2と表示された時間を算出する。ステップS11では、休憩時間と重複した作業時間の終了時刻を算出する。例えば、
図9の生産2の終了時刻を算出する。ステップS12では、休憩時間を含む生産時間を生産スケジュールに加算する。ステップS13では、予め決められた休憩時間の全ての考慮が完了したかを判定する。ステップS13が否定判断される場合は、ステップS8に戻って、上記と同様に別の休憩時間の設定を行う。ステップS13が肯定判断される場合は、ステップS14において、生産スケジュールの終了時刻が操業終了時刻より早いか否かを判定する。生産スケジュールの終了時刻が操業終了時刻より遅い場合は、ステップS14は否定判断されて、ステップS1に戻って、生産計画の入力をやり直す。一方、生産スケジュールの終了時刻が操業終了時刻より早い場合は、ステップS14は肯定判断されて生産スケジュール作成処理ルーチンの処理を終了する。これにより生産スケジュールの設定が完了する。
【0041】
以上のように生産スケジュールの設定が完了すると、
図19のように設定されたスケジュールが表示される。
図18において、51は生産スケジュール作成日、52は登録ボタン、53は生産スケジュール登録欄、54は不良品登録欄を示す。また、
図19において、61は生産計画表示ボタン(生産計画表示画面を表示していることを示す)、62は今日か明日を選択するボタン、63は修正入力ボタン(「修正」ボタンを押した場合は、当日の生産計画の編集画面を開く。「入力」ボタンを押した場合は、翌日以降の生産計画の編集画面を開く。)、64は開始ボタン(上記62で選択された日のシミュレーション結果を
図20の画面により表示)、65は生産計画表示(上記62で選択された日の設備毎の生産計画を表示する)を示す。
【0042】
次に操業シミュレーションを行うための初期条件の算出が、
図4の初期条件算出処理ルーチンにより行われる。まず、ステップS21では、生産スケジュールに基づきショット数を算出する。この算出の様子を
図11の上段のタイムチャートに示す。そのタイムチャートにおいて、ショット数が立ち上がる複数個の固まり1〜10が各鋳造機のショット数を表す。その中で、ショット数の少ないaで示す領域は、捨打ちに相当する部分であり、ショット数の多いbで示す領域は、生産に相当する部分である。次のステップS22では、ショット数の累積値の推移を算出する。ここでは、ステップS21で算出したショット数の累積を行い、その結果は、
図11の下段のタイムチャートのとおりとなる。ステップS23では、生産スケジュールに基づく鋳込み総重量を算出する。即ち、ステップS21で算出したショット数と1ショット当たりの鋳込み重量から鋳込み総重量を算出する。ステップS24では、不良品の総重量を算出する。即ち、既に発生している各鋳造機(型番)毎の不良品の重量を算出する。ステップS25では、返り材の総重量を算出する。即ち、ステップS21で算出したショット数と各ショット毎に発生する返り材の重量から返り材の総重量を算出する。ステップS26では、次直用返り材の重量を算出する。返り材は、発生しても溶解炉に戻されて消費されて操業終了時にはなくなるようにされる。
図12は返り材重量の推移を示す。
図13のように、返り材が減少して、予め設定された次直用返り材重量以下となると、そのとき残っている返り材を次直用返り材として保存する。ステップS27では、金属材料のバージン材としてのインゴットの総投入量を算出する。
図10は算出の仕方を示す。
図10の鋳込み重量合計値は、ステップS23で算出したものであり、
図10の材料計算の次直用返り材重量(前直分、次直分)、不良品(合計値)、返り材重量(1〜10)は、ステップS24〜26で算出したものである。これらのデータからインゴット総投入量は、次の式により算出する。
インゴット総投入量=鋳込み重量合計値−次直用返り材重量(前直分)−不良品投入量−返り材重量(1〜10)+次直用返り材重量(次直分)
【0043】
ステップS28、29では、溶解室内材料重量及び材料投入量を初期条件としてゼロとする。ステップS30では、溶湯保持量を、直前の溶湯保持量推定値、設定値、又は修正値のいずれかに初期条件として設定する。ステップS31では、溶解ガス量を初期条件としてゼロとし、ステップS32では、保持ガス量を直前の溶湯保持量推定値における保持ガス量として設定する。また、ステップS33では、溶解開始時刻を算出する。
図14に基づいて算出の仕方を説明する。ステップS30にて算出した溶湯保持量と溶湯保持量の下限値(設定値)との差分値を求める。一方、ステップS22にて算出したショット数の累積値の推移に各鋳造機の鋳込み重量を乗算して鋳込み重量の累積値を求める。この鋳込み重量の累積値と上記差分値とから、鋳込み重量の累積値が差分値を超えない時刻を、保持量限界時刻として求める。この保持量限界時刻から溶解炉において金属材料を溶解するために必要な時間だけ遡って溶解開始時刻を求める。これにより初期条件算出処理ルーチンの処理を終了する。
【0044】
次に操業シミュレーションを開始すると、
図5の操業シミュレーション処理ルーチンが実行される。以下、
図16を参照しながら説明する。
【0045】
ステップS41では鋳込み総重量を算出する。これは上述のステップS23と同様である。ステップS42では、ステップS41で求めた鋳込み総重量を初期値とし、ステップS41で算出される各時刻の鋳込み重量を減算して、各時刻における鋳込み重量残量を算出する。ステップS42の算出結果は、
図15のとおりとなる。
【0046】
次のステップS50では、溶湯保持量を推定する。このステップS50の処理内容の詳細を
図6にて説明する。ステップS51では、溶湯保持量を上述のステップS30において設定された初期値とする。ステップS52では、計算時刻に単位時間を加算する。ステップS53では、上述のステップS33で求めた保持量限界時刻に達したか否かを判定する。保持量限界時刻に達しておらず、ステップS33が否定判断されると、ステップS54において、次式1により現溶湯保持量を算出し、ステップS53が肯定判断されるまでステップS52〜54の処理を繰り返す。
現溶湯保持量=直前の溶湯保持量−現時刻の鋳込み重量・・・式1
【0047】
保持量限界時刻に達して、ステップS
53が肯定判断されると、ステップS55において、鋳込み重量残量が溶湯保持量とその目標値との差分より大きいか否かを判定する。ここで、目標値は、下限値に近い値とされている。その結果、操業終了時の溶湯保持量は目標値とされ、保持用ガスバーナーのガス消費量を抑制することができる。ステップS55が否定判断される場合は、ステップS56において、上記式1により現溶湯保持量を算出する。一方、ステップS55が肯定判断される場合は、ステップS57において、次式2により現溶湯保持量を算出する。このとき、既に溶解炉での溶解は始まっているので、式2では溶解量が加算される。
現溶湯保持量=直前の溶湯保持量−現時刻の鋳込み重量+単位時間における溶解量
・・・
式2
【0048】
ステップS58では、現溶湯保持量が溶解保持量の上限値に達しているか否かを判定する。このステップS58が肯定判断されるまでは、ステップS59により単位時間が加算され、ステップS55、57の処理を繰り返す。ステップS58が肯定判断されると、ステップS60において、溶解ガスバーナーを停止し、予め設定されている溶解ガスバーナー停止時間に溶解必要時間を加算した時間において上記式1により現溶湯保持量を算出する。以後、ステップS55以降の処理を繰り返す。
【0049】
以上のように
図6の溶湯保持量推定処理が終了すると、
図5のステップS43では、保持用ガスバーナーのガス量を算出する。ここでは、ステップS50において求められる溶湯保持量に応じてガス量が求められる。また、ステップS44では、溶解用ガスバーナーのガス量を算出する。ここでは、ステップS50において求められる溶湯保持量が増加する時刻に対し溶解必要時間だけ遡った時刻で溶解用ガスバーナーを作動させる。このときのガス量は予め設定したガス量とされる。溶解用ガスバーナーは溶湯保持量が減少する時刻で作動停止させる。
【0050】
ステップS70では、溶解開始前の溶解室内材料重量の推移を算出する。このステップS70の処理内容の詳細を
図17を参照しながら
図7にて説明する。ステップS71では、この時刻で不良品があるか否かを判定する。不良品がある場合、ステップS71が肯定判断され、ステップS72において、不良品を加味した材料投入時刻を算出する。即ち、溶解開始時刻までに次直用返り材(前直分)、不良品及びインゴットを投入するため、溶解開始時刻から投入間隔時間分だけ早い時刻をインゴット投入時刻、インゴット投入時刻より投入間隔時間分だけ早い時刻を不良品投入時刻、不良品投入時刻より投入間隔時間分だけ早い時刻を次直用返り材(前直分)投入時刻とする。ステップS73では、不良品を加味した溶解室内材料重量を算出する。即ち、溶解開始時刻までの溶解室内重量は、次直用返り材(前直分)投入時刻から不良品投入時刻直前までは次直用返り材(前直分)、不良品投入時刻からインゴット投入時刻の直前までは次直用返り材(前直分)に不良品投入量を加算し、不良品投入時刻から溶解開始時刻までは次直用返り材(前直分)と不良品投入量にインゴット基本投入量を加算する。
【0051】
不良品がない場合、ステップS71が否定判断され、ステップS74において、不良品なしの材料投入時刻を算出する。即ち、溶解開始時刻までに次直用返り材(前直分)及びインゴットを投入するため、溶解開始時刻から投入間隔時間分だけ早い時刻をインゴット投入時刻、インゴット投入時刻より投入間隔時間分だけ早い時刻を次直用返り材(前直分)投入時刻とする。ステップS75では、不良品なしの溶解室内材料重量を算出する。即ち、溶解開始時刻までの溶解室内重量は、次直用返り材(前直分)投入時刻からインゴット投入時刻直前までは次直用返り材(前直分)、インゴット投入時刻から溶解開始時刻までは次直用返り材(前直分)にインゴット基本投入量を加算する。
【0052】
以上のように
図7の溶解開始前の溶解室内材料重量推移算出処理が終了すると、
図5のステップS80において、溶解開始後の溶解室内材料重量推移を算出する。このステップS80の処理内容の詳細を
図16、17を参照しながら
図8にて説明する。ステップS81では、溶解開始前に投入された材料を除く材料投入量を算出する。そして、ステップS82では、その時刻を溶解開始時刻として設定し、ステップS83では、溶解必要時間を加算した時刻を現時刻とする。ステップS84では、ステップS81にて算出された材料投入量のうち不良品投入量が不良品基本投入量以上かあるか否かを判定する。なお、不良品基本投入量は、溶解炉に不良品が投入される際の基本量をいう。ステップS84が肯定判断される場合は、ステップS85において、予め設定された溶解室内材料重量上限値とその時刻の溶解室内材料重量との差分が不良品基本投入量以上か否かを判定する。ステップS85が肯定判断される場合は、ステップS86において、不良品を投入する。ステップS87では、単位時間を加算し、ステップS88では、次式3により溶解室内材料重量を算出する。以後、ステップS85が否定判断されるまでステップS86〜88の処理が実行され、ステップS84が否定判断されるまでステップS85〜88の処理が実行される。
溶解室内材料重量=単位時間前の溶解室内材料重量−単位時間内における溶解時間×溶解量・・・式3
【0053】
ステップS
84が否定判断されると、ステップS89において、溶解室内材料重量上限値とその時刻の溶解室内材料重量との差分がインゴット基本投入量以上か否かを判定する。ステップS89が肯定判断される場合は、ステップS90において、インゴット基本投入量を溶解室内材料重量に加算し、インゴット合計値からインゴット基本投入量を減算する。ステップS91では、単位時間を加算し、ステップS92では、上記式3により溶解室内材料重量を算出する。ステップS93では、インゴットの合計値がインゴット基本投入量以上か否かを判定する。以後、ステップS89又はステップS93が否定判断されるまでステップS89〜93の処理が実行される。
【0054】
ステップS89又はステップS93が否定判断されると、ステップS94において、溶解室内材料重量上限値とその時刻の溶解室内材料重量との差分が返り材基本投入量以上か否かを判定する。ステップS94が肯定判断される場合は、ステップS95において、
返り材累積値が返り材基本投入量以上か否かを判定する。ステップS95が肯定判断される場合は、ステップS96において、返り材基本投入量を溶解室内材料重量に加算し、返り材累積値から返り材基本投入量を減算する。ステップS
97では、単位時間を加算し、ステップS
98では、上記式3により溶解室内材料重量を算出する。ステップS
99では、返り材累積値が返り材基本投入量以上か否かを判定する。以後、ステップS
99が
肯定判断されるまでステップS94〜
99の処理が実行される。
【0055】
以上のように
図8の溶湯保持量推定処理が終了すると、
図5のステップS45では、ステップS70、80で求めた材料の投入指示を行う。以上により操業シミュレーションが完了すると、
図20のようにシミュレーション結果を表示器42に表示する。
図20において、71は設備選択ボタン(表示する設備を切り替えるのに使用)、72は溶解用ガスバーナーのガス使用量の変化、73は溶解室内材料重量の推移、74は材料投入信号、75は溶湯保持量の推移を示す。
【0056】
図21は、操業指示を行う画面を示す。画面下左側は、作業指示を行う領域であり、画面下右側は、必要に応じて作業内容を手動で任意に変更可能とするための領域である。
図22〜24は、実際の鋳造機の操業状態を監視するための画面表示であり、
図22では、溶解用ガスバーナーのガス使用量を計画値と比較可能に表示している。
図23では、ショット数を計画値と比較可能に表示している。
図24では、生産数量とガス使用量を集計して表示している。また、
図25は、計画に対する操業実績を対比して表示している。
【0057】
以上のフローチャートで説明したコンピュータプログラムの処理内容と本発明の各手段及び各手順との対応は次のとおりである。
【0058】
図3のステップS1〜S14の処理は、本発明の計画作成手段に相当する。また、
図4のステップS21〜S33の処理は、本発明の作業指示手段に相当し、ステップS21〜S27の処理は、本発明の材料投入量設定手段に相当し、ステップS33の処理は、本発明の溶解開始時刻決定手段に相当する。更に、
図5のステップS41、S42、S50、S70、S80の処理は、本発明のシミュレーション手段に相当し、ステップS50の処理は、本発明の溶湯保持量算出手段に相当し、ステップS70、S80の処理は、本発明の材料重量算出手段に相当する。
図5のステップS
45の処理は、本発明の材料投入指示手段に相当し、ステップS
43、S44の処理は、本発明の熱量算出手段に相当する。
【0059】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、上記実施形態では、材料投入指示手段及び熱量算出手段により作業者に指示を行うものとしたが、材料投入指示手段により材料の投入をアクチュエータを使って行い、熱量算出手段により熱源に対して熱量を制御してもよい。