特許第6869713号(P6869713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869713
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】バッテリシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/20 20210101AFI20210426BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20210426BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M2/10 S
   H01M2/20 A
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-244827(P2016-244827)
(22)【出願日】2016年12月16日
(65)【公開番号】特開2018-98149(P2018-98149A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏行
【審査官】 結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/031862(WO,A1)
【文献】 特開2015−005412(JP,A)
【文献】 特開2004−031243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池と、
内側に前記複数の二次電池を保持する保持部を有する電池ホルダーであって、前記電池ホルダーが、互いに連結される第1ホルダーおよび第2ホルダーからなり、かつ、前記第1ホルダーと前記第2ホルダーが、前記複数の二次電池上下に挟んで定位置に保持している、該電池ホルダーと、
前記電池ホルダーを収納してなる外装ケースと、を備え、
前記第1ホルダーは、前記複数の二次電池と対向する電池保持面側に設けられる第1嵌合部と、前記電池保持面の反対側の面に設けられる第2嵌合部とを含んでおり、
複数の前記第1ホルダーがそれぞれの第1ホルダーに前記複数の二次電池が配置された状態で上下多段に段積み可能となるように、前記第1嵌合部と第2嵌合部は、互いに連結可能な形状を有していることを特徴とするバッテリシステム。
【請求項2】
請求項1に記載されるバッテリシステムであって、
前記第1ホルダーが上ホルダーで、前記第1ホルダーが、前記複数の二次電池を前記保持部に保持するストッパを設けてなることを特徴とするバッテリシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されるバッテリシステムであって、
前記第1ホルダーが、上下方向にのびる複数の段積み柱を有し、それぞれの段積み柱は、上端に前記第1嵌合部が形成されるとともに、下端に前記第2嵌合部が形成されることを特徴とするバッテリシステム。
【請求項4】
請求項3に記載されるバッテリシステムであって、
前記第1ホルダーが第1の周壁を、前記第2ホルダーが第2の周壁を有し、
前記段積み柱が、前記第1の周壁の上に突出する上方突出部と下に突出する下方突出部とを有し、
前記第2の周壁は、前記下方突出部を案内するガイド溝を有し、
前記下方突出部が前記ガイド溝に案内されて、前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとが定位置に連結されるようにしてなることを特徴とするバッテリシステム。
【請求項5】
請求項4に記載されるバッテリシステムであって、
前記上方突出部が断面形状を溝形として上端部に前記第1嵌合部を設けており、
前記下方突出部が前記第1嵌合部の溝内に嵌合されて、段積みされる前記第1ホルダーの上下位置と水平位置とを位置決めする前記第2嵌合部とを設けてなることを特徴とするバッテリシステム。
【請求項6】
請求項2に記載されるバッテリシステムであって、
前記ストッパが、前記二次電池に連結してなるバスバーを介して前記二次電池を保持部に保持することを特徴とするバッテリシステム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載されるバッテリシステムであって、
前記電池ホルダーが複数の二次電池を水平面内に配置してなることを特徴とするバッテリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池を内蔵するバッテリシステムに関し、とくに二次電池を電池ホルダーを介して外装ケースに収納してなるバッテリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の二次電池を電池ホルダーで定位置に配置して外装ケースに収納するバッテリシステムは開発されている。(特許文献1参照)このバッテリシステムは、水平面内に配置する複数の二次電池を、上下に分割している第1ホルダーと第2ホルダーとで挟んで電池ホルダー内の定位置に配置して、電池ホルダーを外装ケースに収納して組み立てられる。電池ホルダーは、二次電池を定位置に配置して、隣接する電池を絶縁し、さらに各二次電池の温度差が少なくなる配列に保持する。この構造のバッテリシステムは、複数の二次電池を電池ホルダーの定位置に配置して、二次電池にバスバーを連結して電池を直列又は並列に接続して電池のホルダーアッセン(ASSY:Assembly)として組み立て、その後電池のホルダーアッセンを外装ケース内に組み込んで完成される。
【0003】
以上のバッテリシステムは、複数の二次電池を電池ホルダーに収納して電池のホルダーアッセンとする電池ホルダーの組み立て工程と、この工程で組み立てられた電池のホルダーアッセンを外装ケースに組み込んで完成する外装ケースの工程とで製造される。以上の製造方法は、電池ホルダーの組み立て工程と、外装ケースの組み立て工程を経て完成されるが、必ずしも電池ホルダーの組み立て工程と外装ケースの組み立て工程が連続して行われることはなく、また、電池ホルダーと外装ケースの組み立て工程とが別の工場で処理されて完成されることもある。したがって、電池ホルダーの組み立て工程で製作された電池のホルダーアッセンが、一次的にストックされて外装ケースの組み立て工程に送られて組み立てられることがあるが、この製造工程においては、多量の電池のホルダーアッセンをストックする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−270122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電池のホルダーアッセンは、複数の二次電池を接続した状態にあるので、出力端子等の通電部分を接触させることなくストックすることが大切である。このため、電池のホルダーアッセンのストックは、通電部分を絶縁し、さらに小さいスペースに能率よく配置し、さらにまた、荷崩れしないように安定してストックするには専用の棚を設ける必要があって、多量の電池のホルダーアッセンを省スペースに収納できない欠点があった。とくに、二次電池に接続された通電部分が露出するホルダーアッセンにあっては、ショート等の弊害を確実に阻止して安全にストックするのに手間がかかる欠点があった。
【0006】
本発明は、第1の目的は、通電部分が露出している多量のホルダーアッセンを、高い安全性を確保しながら、通電部分を絶縁するために専用の絶縁材などを使用することなく、省スペースに安定してストックできるバッテリシステムを提供することにある。
【0007】
さらに本発明の第2の目的は、多段に段積みするホルダーアッセンの上下間隔を狭くして、上下方向に接近してホルダーアッセンを段積みして、上下方向にも省スペースに効率よくホルダーアッセンをストックできるバッテリシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のバッテリシステムは、複数の二次電池と、内側に複数の二次電池を保持する保持部を有する電池ホルダーと、電池ホルダーを収納してなる外装ケースとを備る。電池ホルダーは、互いに連結される第1ホルダーおよび第2ホルダーからなり、かつ、第1ホルダーと第2ホルダーは、複数の二次電池上下に挟んで定位置に保持している。第1ホルダーは、複数の二次電池と対向する電池保持面側に設けてなる第1嵌合部と、電池保持面の反対側の面に設けてなる第2嵌合部とを含んでおり、複数の第1ホルダーは、それぞれの第1ホルダーに複数の二次電池が配置された状態で上下多段に段積み可能となるように、第1嵌合部と第2嵌合部は、互いに連結可能な形状を有している。
【0009】
本発明のバッテリシステムは、第1ホルダーを上ホルダーとして、第1ホルダーには二次電池を保持部に保持するストッパを設ける構造とすることができる。
【0010】
さらに、本発明のバッテリシステムは、第1ホルダーには、水平姿勢に配置して段積みされるように複数の段積み柱を設け、段積み柱を上下方向に延びる形状として、上端には第2嵌合部を、下端には第1嵌合部を設け、複数の段積み柱を上下端で嵌合構造に連結して段積みできる形状とすることができる。以上のバッテリシステムの段積み柱は、第1ホルダーに設けている第1の周壁の上に突出する上方突出部と下に突出する下方突出部とを設け、第2ホルダーに設けている第2の周壁には、下方突出部を案内するガイド溝を設け、下方突出部をガイド溝に案内して、第1ホルダーと第2ホルダーとを定位置に連結する構造とすることができる。
【0011】
本発明のバッテリシステムは、上方突出部の断面形状を溝形として上端部に第2嵌合部を設け、下方突出部の第1嵌合部は、第2嵌合部の溝内に嵌合して、段積みされる第1ホルダーの上下位置と水平位置とを位置決めする構造とすることができる。
【0012】
本発明のバッテリシステムは、二次電池に連結しているバスバーにストッパを引っ掛けて、二次電池を保持部に保持する構造とすることができる。
【0013】
本発明のバッテリシステムの電池ホルダーは、複数の二次電池を水平面内に配置する構造とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明はバッテリシステムは、通電部分が露出している多数のホルダーアッセンを、高い安全性を確保しながら、通電部分を絶縁するために専用の絶縁材などを使用することなく、省スペースに安定してストックできる特徴がある。それは、第1のバッテリシステムが、互いに嵌合構造に連結される第1ホルダーと第2ホルダーとからなる電池ホルダーでもって、複数の二次電池を上下で挟んで保持部で定位置に配置する構造としながら、第1ホルダーには、上下多段に嵌合構造で段積みされる第1嵌合部と第2嵌合部を設け、第1嵌合部を第2嵌合部に連結して、二次電池を保持部に配置している第1ホルダーを水平姿勢で多段に段積みできるからである。
【0015】
さらに、以上のバッテリシステムは、第1ホルダーに第1嵌合部と第2嵌合部とを設けて、第1ホルダーの第1嵌合部を段積みする第1ホルダーの第2嵌合部に嵌合して、複数の第1ホルダーを多段に段積みできるので、第1ホルダーに第2ホルダーを連結することなく、第1ホルダーのみを段積みしてストックできる。第2ホルダーが連結されない第1ホルダーは、段積みする状態で上下の第1ホルダーの間に、第2ホルダーを配置するスペースを必要とせず、段積みしている第1ホルダーの上下間隔を狭くできる。とくに、回路基板やコネクタ等の他の電子部品部材を固定している第2ホルダーは上下幅が広くなるので、これを連結する状態で段積みすると上下間隔を広くする必要がある。本発明のバッテリシステムは、二次電池を連結する第1ホルダーのみを多段に段積みするので、ホルダーアッセンの上下間隔を狭くし、上下方向に互いに接近する状態でホルダーアッセンを段積みできる。このため、上下方向にも省スペースに効率よく多数のホルダーアッセンをストックできる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例にかかるバッテリシステムの斜視図である。
図2図1に示すバッテリシステムの分解斜視図である。
図3図1に示すバッテリシステムの分解斜視図である。
図4図1に示すバッテリシステムの断面図である。
図5図1に示すバッテリシステムの第1ホルダーを3段に段積みした状態を示す斜視図である。
図6図5の一部拡大斜視図である。
図7図5の垂直断面図である。
図8図7の一部拡大断面図である。
図9図2に示すバッテリシステムの第1ホルダーを2段に段積みした正面図である。
図10図1に示すバッテリシステムの電池ホルダーの平面図である。
図11図10のA−A線断面図である。
図12図10のB−B線断面図である。
図13図2に示すバッテリシステムのバスバー21を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのバッテリシステムを例示するものであって、本発明はバッテリシステムを以下の構造や材質ものに特定しない。
【0018】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0019】
本発明のバッテリシステムは、主として車両に搭載され、あるいは蓄電装置の電源として使用される。ただ、本発明はバッテリシステムの用途を特定するものでなく、複数の二次電池を電池ホルダーを介して外装ケースに収納してなる全ての電源として使用できる。
【0020】
以下の実施例は、車両の電装用バッテリと並列に接続して使用されるバッテリシステムを詳述するが、本発明はバッテリシステムを以下の用途のものには特定しない。とくに、車両用のバッテリシステムにあっては、車両の走行モータに電力を供給する電源として使用されるバッテリシステムにも使用できる。電装用バッテリと並列に接続される以下のバッテリシステムは、出力電圧を電装用バッテリの電圧、たとえば12Vとして、電装用バッテリと並列に接続して使用される。走行モータに電力を供給するバッテリシステムは、多数の二次電池を直列に接続して、例えば出力電圧を100V〜400Vとする。
【0021】
図1の斜視図と、図2及び図3の分解斜視図と、図4の断面図とに示すバッテリシステムは、複数の二次電池1を定位置に配置している電池ホルダー2と、二次電池1を定位置に配置している電池ホルダー2を収納している外装ケース5とを備える。
【0022】
以上の図は、車両の電装用バッテリと並列に接続して使用されるバッテリシステムを示している。このバッテリシステムは、二次電池1をニッケル水素電池からなる円筒電池としている。ただし、二次電池1には円筒電池であるニッケル水素電池に代わって、リチウムイオン二次電池等の現在使用され、あるいはこれから開発される他の全ての二次電池を使用できる。図に示すバッテリシステムは、電装用バッテリと並列に接続して使用されるので、二次電池1をニッケル水素電池として、10個の二次電池1を電池ホルダー2で定位置に配置している。10個の二次電池1は直列に接続されて定格電圧を鉛バッテリの12Vとしている。
【0023】
電池ホルダー2は、複数の二次電池1を水平面内に配置して外装ケース5に収納している。電池ホルダー2は、複数の二次電池1を上下で挟んで定位置に配置する保持部8を有し、互いに嵌合構造で連結される第1ホルダー3と第2ホルダー4とを備える。第1ホルダー3は第1の周壁9を、第2ホルダー4は第2の周壁10を周囲に設けている。図3の斜視図は、第1ホルダー3と第2ホルダー4を連結した状態を示す。この図に示すように、第1ホルダー3と第2ホルダー4は、連結された状態で、第1の周壁9の下端縁は第2の周壁10の上端縁に配置される。
【0024】
電池ホルダー2は、振動を受ける車両に搭載されて充分な強度を実現するために、ガラス繊維等の補強繊維を、ポリエステル系のエンジニアリングプラスチックであるポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)などの硬質プラスチックに埋設している繊維強化プラスチックの成形体である。電池ホルダー2は、振動や衝撃を受ける状態においても、重い二次電池1を位置ずれしないように安定して定位置に配置する強度が要求される。この特性を満足するために、電池ホルダー2は、繊維強化プラスチック等の強靭な硬質プラスチックで成形される。電池ホルダー2は、上下に配置している第1ホルダー3と第2ホルダー4とで二次電池1を上下を挟んで定位置に配置する。
【0025】
第1ホルダー3と第2ホルダー4は、円筒電池を定位置にセットする溝形の保持部8を周壁内側の対向面に設けている。図のバッテリシステムは、円筒電池を5列に配置するので、第1ホルダー3と第2ホルダー4は、対向面に溝形の保持部8を5列に設けている。各列の保持部8には、2本の円筒電池を直線状に連結しているニッケル水素電池を案内している。図2に示す第2ホルダー4は、保持部8の底部には、二次電池1を冷却するための通気穴を設けて、円筒電池と第2ホルダー4との間に放熱シート11を配置している。
【0026】
電池ホルダー2は、第1ホルダー3と第2ホルダー4を嵌合構造で連結する段積み柱12は、第1ホルダー3に設けている。段積み柱12は、プラスチック製の第1ホルダー3に一体的に成形して設けられる。段積み柱12は、第1の周壁9から上下方向に延びる形状であって、第1の周壁9から下方に突出する下方突出部13と上方突出部14とを有する。下方突出部13を挿入して第1ホルダー3を第2ホルダー4に嵌合構造で連結するために、第2ホルダーには下方突出部13を案内するガイド溝15を第2の周壁10の内側に設けている。ガイド溝15は、下方突出部13を挿入して、第1ホルダー3を第2ホルダー4の定位置に配置する。したがって、ガイド溝15は、段積み柱12の下方突出部13を上から下に向かって挿入でき、挿入状態で第1ホルダー3と第2ホルダー4とを定位置に配置する位置と形状に成形される。
【0027】
さらに、図4の断面図に示す下方突出部13は、下端に引っ掛け爪16を設けている。引っ掛け爪16は、下方突出部13をガイド溝15に挿入される状態で、第1の周壁9の下縁に引っ掛けられて、第1ホルダー3が第2ホルダー4から外れるのを阻止する。この構造は、第1ホルダー3と第2ホルダー4とを外れない状態に連結できる。
【0028】
段積み柱12は、第1ホルダー3と第2ホルダー4とを定位置に連結することに加えて、保持部8に二次電池1をセットする複数の第1ホルダー3を段積みする部材にも併用される。第1ホルダー3を複数に段積みする状態は、図5図9に示している。これ等の図に示す第1ホルダー3は、段積み柱12の上下端に、第1嵌合部17と第2嵌合部18とを設けて、上下多段に嵌合構造で段積みする。図の第1ホルダー3は、第1嵌合部を嵌合凸部とし、第2嵌合部を嵌合凸部を挿入して嵌合構造に連結する構造とするが、本発明は嵌合構造を以上の構造に特定するものてなく、たとえば、第1嵌合部を嵌合凹部として第2嵌合部を嵌合凸部とするなど、嵌合状態で位置ずれしない全ての嵌合構造とすることができる。第1ホルダー3は、保持部8に二次電池1をセットする状態で、第1嵌合部17を第2嵌合部18に嵌合して、水平姿勢で定位置に多段に段積みされる。
【0029】
第1ホルダー3は、両側に複数の段積み柱12を設けて、水平姿勢で多段に段積みできる形状としている。図の第1ホルダー3は、両側に2組、全体で4組の段積み柱12を設けて、水平姿勢で段積みされる。この形状の第1ホルダー3は、安定して水平姿勢に段積みできる。ただし、第1ホルダー3は、図示しないが、両側に1組の段積み柱を設けて水平姿勢に段積みすることもできる。
【0030】
段積み柱12は、第1の周壁9から上に突出する上方突出部14の上端に第2嵌合部18を設けて、第1の周壁9から下に突出する下方突出部13の下端には、第2嵌合部18に嵌合構造で連結する第1嵌合部17を設けている。上方突出部14は、第1の周壁9の外側に開口するコ字形の溝形に成形されて、溝内に第2嵌合部18を上端に設けている。下方突出部13は、第2嵌合部18の溝内に挿入され挿入される第1嵌合部17を下端から突出して設けている。さらに、下方突出部13は、第1嵌合部17の両側に、上方突出部14の上端縁に載せる載面19を設けている。載面19は、断面形状を溝形とする上方突出部14の上端面、すなわち、溝形として第2嵌合部18を設けている、溝の両側に配置している側壁の上端面に載せられる。
【0031】
以上の形状の段積み柱12は、上段に段積みされる第1ホルダー3の下方突出部13下端に設けている第1嵌合部17を、下段に段積みする第1ホルダー3の上方突出部14の第2嵌合部18に挿入して、水平面内に定位置に連結される。また、上段に段積みしている第1ホルダー3の下方突出部13の載面19を、下段に段積みされる第1ホルダー3の上方突出部14の上端面に載せて、上下方向に位置ずれすることなく、水平姿勢で段積みされる。以上の段積み柱12は、図の下方突出部13の載面19を溝両側の側壁の上面に載せて上下方向の位置決めするが、載面19は上方突出部14の上端面のいずれの部分に載せても、第1ホルダー3と第2ホルダー4の上下位置を定位置に配置できる。また、以上の段積み柱12は、上端に第2嵌合部18を設けて、下端に第1嵌合部17を設けているが、上端に第1嵌合部17を設けて、下端に第2嵌合部18を設けて、複数の第1ホルダー3を段積みすることもできる。
【0032】
第1ホルダー3は、図5図9に示すように、保持部8に二次電池1をセットする状態で段積みされる。つまり、第1ホルダー3の周壁内側の面(図において下側)を電池保持面としている。これ等の図に示す第1ホルダー3を下方を開口する状態で二次電池1を保持部8にセットしている。これ等の図に示す第1ホルダー3は、第2ホルダー4を連結しない状態で段積みされて、二次電池1を落下しないように保持する。下方を開口する状態で二次電池1の落下を防止するために、第1ホルダー3は二次電池1の落下を防止するストッパ20を設けている。図11はストッパ20を示している。この図のストッパ20は、第1の周壁9の内側に突出するフック爪である。フック爪のストッパ20は、バスバーを図において下からスムーズに挿入できるように、下端面を面取りされた傾斜面としている。
【0033】
ストッパ20は、二次電池1に固定しているバスバー21を引っ掛けて二次電池1が保持部8から落下するのを阻止する。ストッパ20に引っ掛けられるバスバー21の斜視図を図13に示している。この図のバスバー21は、隣接する2本の二次電池1端部の電極端子に両端部をスポット溶接して固定される溶接部22と、溶接部22の中間に設けられてフック爪のストッパ20の引っ掛け穴23とを設けている。
【0034】
溶接部22は電極端子にスポット溶接される厚さの金属板で、中央凸に湾曲する形状として、湾曲面の中央部に設けた中心孔から半径方向にスリットを設けてスポット溶接される領域を4分割している。引っ掛け穴23は四角形で、ストッパ20のフック爪が案内されて、バスバー21の落下が防止される。図11の断面図は、ストッパ20のフック爪を引っ掛け穴23に案内して、バスバー21の落下を阻止する状態を示している。この図のストッパ20は、バスバー21をスムーズに挿入できるように、ストッパ20のフック爪は下端を傾斜面としている。バスバー21が挿入されるとき、周壁が弾性変形してストッパ20は引っ掛け穴23に案内される。
【0035】
図11に示す第1の周壁9は、バスバー21を定位置に配置する位置決め壁24を内面の上端部に突出して設けている。位置決め壁24は、バスバー21の長手方向に延びる形状で、ここにバスバー21の上縁を接触させて、バスバー21を定位置に配置する。バスバー21は、位置決め壁24に接触するまで挿入され、引っ掛け穴23にストッパ20のフック爪が案内されて、第1の周壁9内側に定位置に配置される。バスバー21は、定位置に仮止めされる状態で、二次電池1の電極端子にスポット溶接して固定される。バスバー21に固定された二次電池1は、バスバー21を介して第1ホルダー3の保持部8に落下しない状態でセットされる。二次電池1は直線状に連結された状態で、バスバー21にスポット溶接して固定される。以上の第1ホルダー3は、ストッパ20でもって、バスバー21を定位置に仮止めして二次電池1にスポット溶接できるので、バスバー21を二次電池1にスポット溶接する工程を簡素化できる。治具を使用してバスバー21を定位置に配置して、二次電池1にスポット溶接する必要がないからである。
【0036】
図11に示すように、バスバー21は隣接する二次電池1に固定されるので、図において左端に配置される二次電池1は、電極端子にバスバー21が固定されない。図において左端に配置される二次電池1は、電極端子に固定している金属端子に引っ掛けられストッパ20を第1の周壁9の内面に設けて、この二次電池1を保持部8から落下しないように保持する。
【0037】
外装ケース5は第1ケース5Aと第2ケース5Bとからなり、図2図3に示すように、第1ケース5Aと第2ケース5Bとの間に二次電池1を収納している電池ホルダー2を配置して連結される。第1ケース5Aと第2ケース5Bは周壁を連結して、内部に二次電池1を内蔵する電池ホルダー2を配置する。図4の断面図は、電池ホルダー2を外装ケース5に収納する断面図を示している。この図に示すように、第1ホルダー3の上方突出部14は、外装ケース5である第1ケース内に配置される。電池ホルダー2は、両側に設けている段積み柱12の上方突出部14の間に回路基板などの電子部品を配置しているので、これ等の電子部品を収納するスペースに上方突出部14を配置できる。
【0038】
以上のバッテリシステムは、電池ホルダーの組み立て工程において、複数の二次電池を電池ホルダーに収納して電池のホルダーアッセンとし、その後の組み立て工程において、電池のホルダーアッセンを外装ケースに組み込んで完成させる。バッテリシステムは、以上の方法で組み立てられるが、電池ホルダーの組み立て工程においては、第1ホルダーの保持部に二次電池をセットし、この状態でバスバーを第1ホルダーの定位置に仮止めしてバスバーをスポット溶接して二次電池に固定し、この状態で第2ホルダーを連結しない状態で、二次電池が保持部から落下しない電池のホルダーアッセンとする。ホルダーアッセンは全てが直ちにバッテリシステムとして組み立てられないので、これをストックする時には、第1ホルダーに二次電池をセットしている状態を電池のホルダーアッセンとして多段に段積みして省スペースに保管する。保管されたホルダーアッセンは、第1ホルダーに第2ホルダーを連結する状態で外装ケースに組み込まれて完成されたバッテリシステムに組み立てられる。段積みしてストックされる状態で、ホルダーアッセンは、二次電池がセットされて通電部分が露出している。ホルダーアッセンは、段積み柱で段積みされて、通電部分を接触させることなく、絶縁してストックされる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、電池ホルダーを介して二次電池を外装ケースに収納していバッテリシステムに有効に使用できる。
【符号の説明】
【0040】
1…二次電池
2…電池ホルダー
3…第1ホルダー
4…第2ホルダー
5…外装ケース
5A…第1ケース
5B…第2ケース
8…保持部
9…第1の周壁
10…第2の周壁
11…放熱シート
12…段積み柱
13…下方突出部
14…上方突出部
15…ガイド溝
16…引っ掛け爪
17…第1嵌合部
18…第2嵌合部
19…載面
20…ストッパ
21…バスバー
22…溶接部
23…引っ掛け穴
24…位置決め壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13