特許第6869717号(P6869717)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6869717撮像装置および撮像装置の製造方法、並びに、電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869717
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】撮像装置および撮像装置の製造方法、並びに、電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20210426BHJP
   H04N 5/335 20110101ALI20210426BHJP
【FI】
   H04N5/225 700
   H04N5/335
【請求項の数】18
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-256829(P2016-256829)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-110302(P2018-110302A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(72)【発明者】
【氏名】木村 勝治
(72)【発明者】
【氏名】関 大一
【審査官】 高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−170977(JP,A)
【文献】 特開2012−068540(JP,A)
【文献】 特開2011−237633(JP,A)
【文献】 特開2012−018993(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/151697(WO,A1)
【文献】 特開2009−003073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222−5/257
H04N 5/335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光した光を光量に応じた電気信号に光電変換する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子を固定するガラス基板とを有し、
前記固体撮像素子および前記ガラス基板が一体となったCSP固体撮像素子と、
前記光電変換された電気信号を外部に転送する回路を有した回路基板と、
前記CSP固体撮像素子、および前記回路基板を固定するためのスペーサとを含む撮像装置において、
前記スペーサは、
前記CSP固体撮像素子を実装する際に、前記CSP固体撮像素子を、前記回路基板上の所定の位置に誘導する固定部と、
前記CSP固体撮像素子が実装されるとき、前記CSP固体撮像素子と前記スペーサとの間に、前記CSP固体撮像素子と前記回路基板とを接続する固定剤が注入される空間とを含む
撮像装置。
【請求項2】
前記回路基板を生成する材料は、その線膨張率が、前記固体撮像素子の線膨張率に近い材料である
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記回路基板を生成する材料は、その弾性率が、所定の弾性率よりも小さい材料である
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記固定部は、方形の前記固体撮像素子の少なくとも2辺以上の辺を前記回路基板上の所定の位置に誘導する
請求項1乃至3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記固定部は、方形の前記固体撮像素子の4か所の角部を前記回路基板上の所定の位置に誘導する
請求項1乃至3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記CSP固体撮像素子は、
受光した光より赤外光を削除する赤外カットフィルタをさらに含み、
前記固体撮像素子と前記ガラス基板とが透明の接着剤により接着され、
前記ガラス基板と前記赤外カットフィルタとが透明の接着材により接着される
請求項1乃至5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記CSP固体撮像素子の上部には、
前記受光した光を集光するレンズ群の一部からなる上位層レンズが配置される
請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記赤外カットフィルタ上、または、前記ガラス基板上の少なくともいずれかに配置される、前記光を集光するレンズ群のうちの前記一部と異なる他の一部からなり、前記固体撮像素子の前段であって、かつ、前記上位層レンズよりも前記固体撮像素子に近い位置に配置される下位層レンズをさらに含む
請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記CSP固体撮像素子は、
受光した光より赤外光を削除する赤外カットフィルタをさらに含み、
前記赤外カットフィルタは、前記ガラス基板と前記固体撮像素子との間に配置される
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記受光した光を集光するレンズ群の上位層レンズと、
前記上位層レンズにより前記受光した光を所定の位置に合焦させる合焦部とをさらに含む
請求項1乃至9のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項11】
前記合焦部は、前記上位層レンズを駆動することにより前記受光した光を所定の位置に合焦させるように調整するアクチュエータを含む
請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記アクチュエータは、前記上位層レンズを駆動させることで、前記合焦させる機能および手ぶれ補正機能の少なくともいずれかを備える
請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記ガラス基板は、反りおよび歪みの小さい、赤外カットフィルタとしての機能を備える
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記ガラス基板は、青板ガラスである
請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記受光した光を集光するレンズ群の一部からなる上位層レンズと、
前記受光した光より赤外光を削除する赤外カットフィルタをさらに含み、
前記赤外カットフィルタは、前記CSP固体撮像素子とは別体であって、かつ、前記上位層レンズと前記固体撮像素子との間に配置される
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記回路基板は、前記固体撮像素子より出力される画素信号を外部に出力するコネクタ、または、ACF(Anisotropic Conductive Film)端子を含む
請求項1乃至15のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項17】
受光した光を光量に応じた電気信号に光電変換する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子を固定するガラス基板とを有し、
前記固体撮像素子および前記ガラス基板が一体となったCSP固体撮像素子と、
前記光電変換された電気信号を外部に転送する回路を有した回路基板と、
前記CSP固体撮像素子、および前記回路基板を固定するためのスペーサとを含み、
前記スペーサは、前記CSP固体撮像素子を実装する際に、前記CSP固体撮像素子を、前記回路基板上の所定の位置に誘導する固定部を有する撮像装置の製造方法であって、
前記CSP固体撮像素子を前記回路基板に固定する工程と、
前記スペーサの前記固定部で前記CSP固体撮像素子を前記回路基板上の所定の位置に誘導するようにはめ込んで前記スペーサを前記回路基板に固定する工程と、
前記固体撮像素子と前記スペーサとの間に固定剤を注入する工程とを含む
撮像装置の製造方法。
【請求項18】
受光した光を光量に応じた電気信号に光電変換する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子を固定するガラス基板とを有し、
前記固体撮像素子および前記ガラス基板が一体となったCSP固体撮像素子と、
前記光電変換された電気信号を外部に転送する回路を有した回路基板と、
前記CSP固体撮像素子、および前記回路基板を固定するためのスペーサとを含む電子機器において、
前記スペーサは、
前記CSP固体撮像素子を実装する際に、前記CSP固体撮像素子を、前記回路基板上の所定の位置に誘導する固定部と、
前記CSP固体撮像素子が実装されるとき、前記CSP固体撮像素子と前記スペーサとの間に、前記CSP固体撮像素子と前記回路基板とを接続する固定剤が注入される空間とを含む
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置および撮像装置の製造方法、並びに、電子機器に関し、特に、撮像素子の反りや傾きを低減し、歩留まりを向上できるようにした撮像装置および撮像装置の製造方法、並びに、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ付き移動体端末装置、およびデジタルスチルカメラなどの撮像装置において、カメラの高画素化及び小型化、薄型化が進んでいる。小型化、薄型化の手法としては、固体撮像素子をCSP(Chip Size Package)型にすることが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開公報2016−056510号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のCSP型の固体撮像素子を用いる場合、実装時に反りや傾きが発生し、歩留りや光学性能が低下することがあった。
【0005】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、特に、CSP型の固体撮像素子を用いる際に生じ易い反りや傾きを低減させることで、歩留りや光学性能の低下を抑制するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面の撮像装置は、受光した光を光量に応じた電気信号に光電変換する固体撮像素子と、前記固体撮像素子を固定するガラス基板とを有し、前記固体撮像素子および前記ガラス基板が一体となったCSP固体撮像素子と、前記光電変換された電気信号を外部に転送する回路を有した回路基板と、前記CSP固体撮像素子、および前記回路基板を固定するためのスペーサとを含む撮像装置において、前記スペーサは、前記CSP固体撮像素子を実装する際に、前記CSP固体撮像素子を、前記回路基板上の所定の位置に誘導する固定部と、前記CSP固体撮像素子が実装されるとき、前記CSP固体撮像素子と前記スペーサとの間に、前記CSP固体撮像素子と前記回路基板とを接続する固定剤が注入される空間とを含む撮像装置である。
【0007】
前記回路基板を生成する材料は、その線膨張率が、前記固体撮像素子の線膨張率に近い材料とすることができる。
【0008】
前記回路基板を生成する材料は、その弾性率が、所定の弾性率よりも小さい材料とすることができる。
【0009】
前記固定部には、方形の前記固体撮像素子の少なくとも2辺以上の辺を前記回路基板上の所定の位置に誘導させるようにすることができる。
【0010】
前記固定部には、方形の前記固体撮像素子の4か所の角部を前記回路基板上の所定の位置に誘導させるようにすることができる。
【0011】
前記CSP固体撮像素子には、受光した光より赤外光を削除する赤外カットフィルタをさらに含ませるようにすることができ、前記固体撮像素子と前記ガラス基板とが透明の接着剤により接着され、前記ガラス基板と前記赤外カットフィルタとが透明の接着材により接着されるようにすることができる。
【0012】
前記CSP固体撮像素子の上部には、前記受光した光を集光するレンズ群の一部からなる上位層レンズが配置されるようにすることができる。
【0013】
前記赤外カットフィルタ上、または、ガラス基板上の少なくともいずれかに配置される、前記光を集光するレンズ群のうちの前記一部とは異なる他の一部からなり、前記固体撮像素子の前段であって、かつ、前記上位層レンズよりも前記固体撮像素子に近い位置に配置される下位層レンズをさらに含ませるようにすることができる。
【0014】
前記CSP固体撮像素子には、受光した光より赤外光を削除する赤外カットフィルタをさらに含ませるようにすることができ、前記赤外カットフィルタは、前記ガラス基板と前記固体撮像素子との間に配置されるようにすることができる。
【0015】
前記受光した光を集光するレンズ群の上位層レンズと、前記上位層レンズにより前記受光した光を所定の位置に合焦させる合焦部とをさらに含ませるようにすることができる。
【0016】
前記合焦部には、前記上位層レンズを駆動することにより前記受光した光を所定の位置に合焦させるように調整するアクチュエータを含ませるようにすることができる。
【0017】
前記アクチュエータには、前記上位層レンズを駆動させることで、前記合焦させる機能および手ぶれ補正機能の少なくともいずれかを設けるようにさせることができる。
【0018】
前記ガラス基板は、反りおよび歪みの小さい、赤外カットフィルタとして機能させるようにすることができる。
【0019】
前記ガラス基板は、青板ガラスとすることができる。
【0020】
前記受光した光を集光するレンズ群の一部からなる上位層レンズと、前記受光した光より赤外光を削除する赤外カットフィルタをさらに含ませるようにすることができ、前記赤外カットフィルタは、前記CSP固体撮像素子とは別体であって、かつ、前記上位層レンズと前記固体撮像素子との間に配置されるようにすることができる。
【0021】
前記回路基板には、前記固体撮像素子より出力される画素信号を外部に出力するコネクタ、または、ACF(Anisotropic Conductive Film)端子を含ませるようにすることができる。
【0022】
本開示の一側面の撮像装置の製造方法は、受光した光を光量に応じた電気信号に光電変換する固体撮像素子と、前記固体撮像素子を固定するガラス基板とを有し、前記固体撮像素子および前記ガラス基板が一体となったCSP固体撮像素子と、前記光電変換された電気信号を外部に転送する回路を有した回路基板と、前記CSP固体撮像素子、および前記回路基板を固定するためのスペーサとを含み、前記スペーサは、前記CSP固体撮像素子を実装する際に、前記CSP固体撮像素子を、前記回路基板上の所定の位置に誘導する固定部を有する撮像装置の製造方法であって、前記回路基板と前記スペーサとを固定する工程と、前記スペーサの前記固定部で前記CSP固体撮像素子を前記回路基板上の所定の位置に誘導するようにはめ込んで前記スペーサを前記回路基板に固定する工程と、前記固体撮像素子と前記スペーサとの間に固定剤を注入する工程とを含む撮像装置の製造方法である。
【0023】
本開示の一側面の電子機器は、受光した光を光量に応じた電気信号に光電変換する固体撮像素子と、前記固体撮像素子を固定するガラス基板とを有し、前記固体撮像素子および前記ガラス基板が一体となったCSP固体撮像素子と、前記光電変換された電気信号を外部に転送する回路を有した回路基板と、前記CSP固体撮像素子、および前記回路基板を固定するためのスペーサとを含む電子機器において、前記スペーサは、前記CSP固体撮像素子を実装する際に、前記CSP固体撮像素子を、前記回路基板上の所定の位置に誘導する固定部と、前記CSP固体撮像素子が実装されるとき、前記CSP固体撮像素子と前記スペーサとの間に、前記CSP固体撮像素子と前記回路基板とを接続する固定剤が注入される空間とを含む電子機器である。
【0024】
本開示の一側面においては、固体撮像素子により、受光した光が光量に応じた電気信号に光電変換され、ガラス基板により前記固体撮像素子が固定され、前記固体撮像素子およびガラス基板が一体となったCSP固体撮像素子と、前記光電変換された電気信号を外部に転送する回路を有した回路基板とが、スペーサにより固定され、前記スペーサの固定部により、前記CSP固体撮像素子が実装される際に、前記CSP固体撮像素子が、前記回路基板上の所定の位置に誘導され、前記CSP固体撮像素子が実装されるとき、前記CSP固体撮像素子と前記スペーサとの間の空間に前記CSP固体撮像素子と前記回路基板とを接続する固定剤が注入される。
【発明の効果】
【0025】
本開示の一側面によれば、CSP型の固体撮像素子を用いる際に生じ易い反りや傾きを低減させることで、歩留りや光学性能の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示の撮像装置の第1の実施の形態の構成例を説明する図である。
図2】スペーサに設けられた固定部の構成を説明する図である。
図3】スペーサに設けられた固定部による効果を説明する図である。
図4図1の撮像装置の製造方法を説明するフローチャートである。
図5】本開示の撮像装置の第2の実施の形態の構成例を説明する図である。
図6】本開示の撮像装置の第3の実施の形態の構成例を説明する図である。
図7】本開示の撮像装置の第4の実施の形態の構成例を説明する図である。
図8】本開示の撮像装置の第5の実施の形態の構成例を説明する図である。
図9】本開示の撮像装置の第6の実施の形態の構成例を説明する図である。
図10】本開示の撮像装置の第7の実施の形態の構成例を説明する図である。
図11】固定部の配置例を説明する図である。
図12】本開示のCSP固体撮像素子の構成例を説明する図である。
図13】本開示の撮像装置の構成を適用した電子機器としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図14】本開示の技術を適用した撮像装置の使用例を説明する図である。
図15】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図16】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
図17】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図18】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
また、以下の順序で説明を行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.第4の実施の形態
5.第5の実施の形態
6.第6の実施の形態
7.第7の実施の形態
8.CSP固体撮像素子の構成について
9.電子機器への適用例
10.撮像素子の使用例
11.内視鏡手術システムへの応用例
12.移動体への応用例
【0029】
<<1.第1の実施の形態>>
図1は本開示の固体撮像素子を適用した撮像装置の第1の実施の形態を説明する構造図である。図1は、図中の上部が、撮像装置の側面断面図であり、下部が、上部のAB’断面の上面図である。ただし、図1の上部の左半分は、下部のAA’断面であり、図1の上部の右半分は、下部のBB’断面である。
【0030】
図1の撮像装置は、CSP(Chip Size Package)固体撮像素子20、レンズ6、回路基板7アクチュエータ8、およびスペーサ10より構成されている。
【0031】
CSP(Chip Size Package)固体撮像素子20は、固体撮像素子1、ガラス基板2、および、赤外カットフィルタ4が一体構造として形成された撮像素子である。
【0032】
より詳細には、固体撮像素子1は、例えば、CCD(Charged Coupled Devices)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などからなるイメージセンサであり、レンズ6を介して入射する光を、光量に応じて光電変換により電荷を発生し、対応する電気信号からなる画素信号を出力する。固体撮像素子1およびガラス基板2は、透明の接着剤31により接着されている。赤外カットフィルタ4は、赤外光をカットするフィルタであり、ガラス基板2と透明の接着剤32により接着されている。
【0033】
CSP固体撮像素子20は、図1で示されるような構成により、組み立て工程においては、1部品として扱われる。
【0034】
レンズ6は、被写体光を固体撮像素子1の撮像面に対して集光するための1枚以上のレンズから形成される。
【0035】
アクチュエータ8は、レンズ6を固体撮像素子1に対向する方向に対して、図中の上下及び水平方向に駆動させることで、オートフォーカスおよび手振れ補正機能の少なくともいずれか一つ以上の機能を備える。
【0036】
回路基板7は、CSP固体撮像素子20の電気信号を外部に出力する。スペーサ10は、回路基板7、およびCSP固体撮像素子20を固定剤13により接続することで、固定する。また、スペーサ10は、図中の上面部分においてアクチュエータ8を搭載することでレンズ6、およびアクチュエータ8を固定する。
【0037】
回路基板7やスペーサ10は、CSP固体撮像素子20の固体撮像素子1およびアクチュエータ8の駆動に必要なコンデンサやアクチュエータ制御LSI(Large-Scale Integration)などの半導体部品12が実装される。
【0038】
さらに、CSP固体撮像素子20は、図2で示されるように、スペーサ10に設けられた固定部11−1乃至11−4により、4か所の角部が、はめ込まれる構成とされており、角部がはめ込まれるだけで回路基板7に対して固定剤13が注入される前の状態でも、重力の作用のみで、回路基板7上の略適切な位置に誘導し固定することができる。換言すれば、固定部11−1乃至11−4は、CSP固体撮像素子20が、スペーサ10の開口部にはめ込まれると、CSP固体撮像素子20の4か所の角部を回路基板7上の適切な位置に誘導するように、スペーサ10に形成されているものである。
【0039】
尚、固定部11−1乃至11−4は、CSP固体撮像素子20がスペーサ10の開口部の適切な位置に配置されるとき、CSP固体撮像素子20との間には、交差が許容される範囲で、極僅かに隙間が生じるサイズに構成されている。しかしながら、固定部11−1乃至11−4は、CSP固体撮像素子20に反り、歪み、または、収縮などが生じるときには、CSP固体撮像素子20に当接して適切な位置に誘導し、CSP固体撮像素子20の反り、歪み、または、収縮による、傾きやずれの発生を防止する構造である。
【0040】
したがって、CSP固体撮像素子20は、図2で示される固定部11−1乃至11−4に、4か所の角部を合わせて、スペーサ10に対してはめ込まれるように載置されることにより、自重による重力の作用を受けて、固定部11−1乃至11−4により、回路基板7上の適切な位置に誘導されるように配置することが可能となる。
【0041】
また、回路基板7上の適切な位置に誘導されて配置された後、CSP固体撮像素子20とスペーサ10との間の空間に固定剤13が注入されても、位置がずれないので、固定剤13が乾燥して固着(硬化)するまでの間に、固定剤13が変形するなどしても、回路基板7に対して、CSP固体撮像素子20の歪み、反り、および傾きを防止することができる。
【0042】
より詳細には、スペーサ10に固定部11−1乃至11−4が設けられていない状態の場合、例えば、図3の上段で示されるように、固定剤13がCSP固体撮像素子20とスペーサ10との間に注入された後、固着するまでの間に、図3の上段の範囲Z1で示されるように、薄く変形し易い回路基板7をたわませてしまう恐れがあった。このようなたわみにより、例えば、図3の上段における点線で囲まれている範囲Z2のように、アクチュエータ8とスペーサ10とが適切に組み合わない部位が発生し、レンズ6の光軸が、点線で示される固体撮像素子1の受光面の軸に対して傾いてしまう恐れがあった。
【0043】
また、同様に、固定剤13が注入された後、固着するまでの間に、図3の中段の範囲Z11で示されるように、薄く変形し易い回路基板7をたわませる恐れがあった。このようなたわみにより、点線で囲まれている範囲Z12のように、アクチュエータ8とスペーサ10とが適切に組み合わない部位が発生し、レンズ6の光軸が、点線で示される固体撮像素子1の受光面の軸に対して傾いてしまう恐れがあった。
【0044】
これに対して、固定部11−1乃至11−4がスペーサ10に設けられるようにすることで、CSP固体撮像素子20は、スペーサ10との間の空間に対して固定剤13が注入されていない状態でも、4か所の角の部分が固定部11−1乃至11−4により適切な位置に誘導されることで、すなわち、重力の作用により載置されただけの状態でも、自重の作用により、略適正な位置に誘導されて固定されるので、固定剤13が注入されて固着するまでの間に、図3の上段、および中段で示されるような歪み、反り、および傾きの発生が抑制される。これにより、図3の下段で示されるように、歪み、反り、および傾きのない適切な位置に固定された状態で固定剤13を固着させることが可能となる。
【0045】
また、CSP固体撮像素子20は、製造時のみならず、使用時においても高温や外部からの応力等により歪み、反り、および傾きが生じ易い負荷を受けることが知られているが、固定部11−1乃至11−4で固定された状態で、さらに、固定剤13が注入されて、スペーサ10と接着されることにより、歪み、反り、および傾きが生じ易い負荷に対しても耐性を高めることが可能となる。
【0046】
結果として、CSP固体撮像素子の歪み、反り、および傾きを抑制することが可能となるので、撮像装置の歩留まりや光学性能の低下を抑制することが可能となり、高性能な小型で、かつ、薄型の撮像装置を実現することが可能となる。
【0047】
尚、スペーサ10にも回路基板7と同様の回路構成を持たせるような構成としてもよい。また、回路基板7の材質は、固体撮像素子1の材質であるシリコンの線膨張率に近い(線膨張率が類似した)材質であることや、所定の弾性率よりも低い低弾性率の材質であることが望ましい。
【0048】
さらに、アクチュエータ8は、オートフォーカス及び手振れ補正機能のいずれか一つ以上を有したものでもよいし、オートフォーカス及び手振れ補正のいずれも有しない、短焦点のレンズホルダでもよい。
【0049】
また、オートフォーカスや手振れ補正に関してはアクチュエータ以外で実現してもよい。
【0050】
<撮像装置の製造方法>
次に、図4のフローチャートを参照して、図1の撮像装置の製造方法について説明する。
【0051】
ステップS11において、CSP固体撮像素子20が、回路基板7上に搭載される。
【0052】
ステップS12において、スペーサ10の固定部11−1乃至11−4が、CSP固体撮像素子20の4か所の角部をそれぞれ回路基板7上の適切な位置に誘導するようにはめ込まれた状態で、スペーサ10が回路基板7に接着剤で搭載される。この結果、CSP固体撮像素子20は、自重の重力の作用により、固定部11−1乃至11−4により誘導されて、薄くたわみなどが発生し易い回路基板7上であっても、回路基板7上の電気的に接続が可能な適切な位置に配置される。
【0053】
ステップS13において、CSP固体撮像素子20とスペーサ10との空間に固定剤13が注入され、ステップS14において、固定剤13が硬化(固着)される。この結果、CSP固体撮像素子20、スペーサ10、および回路基板7が固定剤13を介して固着されることになる。固定剤13が注入された後、固定剤13が固着するまでの間も、CSP固体撮像素子20は、固定部11−1乃至11−4により適切な位置に配置された状態が維持されるので、歪み、反り、および傾きを発生させることなく、適切に固定される。
【0054】
ステップS15において、スペーサ10に対して、アクチュエータ8が搭載される。
【0055】
以上の一連の製造方法により、CSP固体撮像素子20が、薄くたわみやすい回路基板7に対して適切な位置に配置された状態で、固定剤13により固着させることが可能となる。
【0056】
結果として、撮像装置の歩留まりや光学性能の低下を抑制することが可能となり、高性能な小型で、かつ、薄型の撮像装置を実現することが可能となる。
【0057】
<<2.第2の実施の形態>>
近年、市場のカメラ小型化の要求により、図1の撮像装置におけるレンズ6をレンズ61,62からなる2群に分離し、上位層のレンズ61から光の透過方向に対して、最下位層のレンズ62を固体撮像素子1の直上に配置する構成が知られている。したがって、本開示の撮像装置についても同様の構成を採用するようにしてもよい。
【0058】
また、例えば、図5の撮像装置で示されるように、最下位層のレンズ62を赤外カットフィルタ4上に配置するように構成してもよい。このような構成にすることで、図1の撮像装置と同様に光学的な歪みや傾きを低減した小型で、かつ、薄型の撮像装置を実現することができる。
【0059】
尚、図5の撮像装置におけるCSP固体撮像素子20には、図1のCSP固体撮像素子20の構成に加えて、最下位層のレンズ62が、図中の最上層に加えられて一体化された構成となっている。
【0060】
尚、複数のレンズからレンズ6が構成される場合について、2群以上に分けるようにしてもよい。また、各郡は、少なくとも1枚以上のレンズより構成される限り、それぞれの群を構成するレンズの枚数は、必要に応じて何枚であってもよいものである。
【0061】
<<3.第3の実施の形態>>
近年、市場のカメラ商品の多様化により、撮像装置の回路基板7の形状が商品毎に変更されることが知られている。そこで、図6で示されるように、コネクタ9に代えて、回路基板7上にACF(Anisotropic Conductive Film)機構91を設けるようにして、撮像装置としての生産方式を変更することなく、カメラ商品の多様化に応じた光学的な反り、歪み、および傾きを低減した小型で、かつ、薄型の撮像装置を実現するようにしてもよい。
【0062】
<<4.第4の実施の形態>>
図1図5図6の撮像装置において採用されている赤外カットフィルタ4は、反りや歪が小さいものが使用されているが、反りや歪みが小さい赤外カットフィルタ4は高価であることが知られている。
【0063】
また、赤外カットフィルタ4は、CSP固体撮像素子20に搭載においては、反りや歪みが固体撮像素子1の歪み、反り、および傾きに影響するため、高価な赤外カットフィルタ4を実装しなければならないことも知られている。
【0064】
そこで、赤外カットフィルタ4は、CSP固体撮像素子20の外部構成として、撮像装置に搭載するようにしてもよい。
【0065】
図7は、赤外カットフィルタ4をCSP固体撮像素子20の外部構成とし、アクチュエータ8の最下部に搭載するようにした撮像装置の構成例を示している。
【0066】
図7の撮像装置は、赤外カットフィルタ4をCSP固体撮像素子20の外部である、アクチュエータ8の最下部に搭載している。このような構成により、安価な赤外カットフィルタ4を用いるようにしても、CSP固体撮像素子20の外部構成とされているので、光学的な歪みや傾きを低減することが可能となる。
【0067】
結果として、光学的な歪み、反り、および傾きの少ない、小型で、かつ、薄型の撮像装置を、低コストで実現することが可能となる。
【0068】
尚、図7の撮像装置におけるCSP固体撮像素子20は、図5のCSP固体撮像素子20の構成から赤外カットフィルタ4が除かれた構成とされている。
【0069】
<<5.第5の実施の形態<>
以上においては、赤外カットフィルタ4をアクチュエータ8の最下部に搭載することで、CSP固体撮像素子20に一体化させないようにして、反りや歪みの小さい赤外カットフィルタ4を採用できるようにすることで、コストを低減させる例について説明してきたが、赤外カットフィルタ4に代えて、ガラス基板2と同様の材質であって、赤外光を削減可能なものを利用するようにしてもよい。
【0070】
すなわち、反りや歪みが小さい赤外カットフィルタ4は、図1図5図6の撮像装置の基軸となるガラス基板2を代用することができる。
【0071】
図8は、反りや歪みが小さい赤外カットフィルタ4に代えて、図1図5図6の撮像装置の基軸となるガラス基板2と同様の材質からなる赤外光の削減が可能なガラス基板41を用いた撮像装置の構成例を示している。
【0072】
このような構成により、反りや歪みが小さい高価な赤外カットフィルタ4を用いることなく、反りや歪を抑制することができるので、光学的な反り、歪み、および傾きの少ない、小型で、かつ、薄型の撮像装置を、低コストで実現させることが可能となる。
【0073】
尚、図8の撮像装置におけるCSP固体撮像素子20は、図5のCSP固体撮像素子20の構成から赤外カットフィルタ4が除かれ、ガラス基板2に代えて、赤外光のカットが可能なガラス基板41が含まれた構成とされ、透明な接着剤33により固体撮像素子1と接着されている。赤外光のカットが可能なガラス基板41は、例えば、近赤外光を吸収する青板ガラスである。
【0074】
<<6.第6の実施の形態>>
以上においては、赤外カットフィルタ4に代えて、ガラス基板41を用いる例について説明してきたが、赤外カットフィルタ4をガラス基板2と固体撮像素子1との間に挟み込むようにすることで、安価な赤外カットフィルタ4を用いるようにしてもよい。
【0075】
図9の撮像装置は、赤外カットフィルタ4の反りや歪みを軽減のため、赤外カットフィルタ4を反りや歪の小さいガラス基板2と固体撮像素子1に挟みこむことで、赤外カットフィルタ4の反りや歪みを低減したCSP固体撮像素子20を搭載している。
【0076】
このような構成により、反りや歪みが比較的大きい、安価な赤外カットフィルタ4を用いても、反りや歪みの少ないガラス基板2と固体撮像素子1で挟み込む構成とすることにより、安価な赤外カットフィルタ4の反りや歪を物理的に抑制することができるので、光学的な反り、歪み、および傾きの少ない、小型で、かつ、薄型の撮像装置を、低コストで実現させることが可能となる。
【0077】
尚、図9の撮像装置におけるCSP固体撮像素子20は、図5のCSP固体撮像素子20の構成における赤外カットフィルタ4とガラス基板2との配置が入れ替えられた構成とされている。
【0078】
<<7.第7の実施の形態>>
以上においては、固定部11−1乃至11−4が、スペーサ10上のCSP固体撮像素子20の4か所の角部を適切な位置に誘導するように設けられる構成例について説明してきたが、それ以外の位置に設けられるように構成してもよい。
【0079】
図10は、固定部11−1乃至11−4に代えて、固定部11−11乃至11−14が設けられる撮像装置の構成例が示されている。
【0080】
すなわち、固定部11−11乃至11−14は、CSP固体撮像素子20の4辺のそれぞれの中央付近を適切な位置に誘導するようにスペーサ10上に設けられている。これに伴って、固定剤13は、CSP固体撮像素子20の4か所の角部付近に注入され、スペーサ10と固定される。
【0081】
このように固定部11は、CSP固体撮像素子20の4辺のそれぞれを適切な位置に誘導するように設けられることで、CSP固体撮像素子20を回路基板7に対して高い精度で適切な位置に配置することができる。
【0082】
固定部11の配置は、これ以外の配置であってもよく、例えば、図11の最上段で示されるように、スペーサ10上であって、CSP固体撮像素子20の各辺の端部に固定部11−21乃至11−24が設けられるようにしてもよい。この場合、固定剤13は、固定剤13−21乃至13−24に注入される。
【0083】
同様に、例えば、図11の上から2段目で示されるように、スペーサ10上であって、CSP固体撮像素子20のいずれかの対角線上の角部に固定部11−31,11−32が設けられるようにしてもよい。この場合、固定剤13は、固定剤13−31,13−32に注入される。図11の上から2段目の例においても、固定部11−31,11−32により、CSP固体撮像素子20の4辺が固定される。
【0084】
さらに、CSP固体撮像素子20の4辺の全てを適切な位置に誘導する固定部11ではなくても、その一部を適切な位置に誘導する構成により、固定部11が存在しない状態よりも高い精度で適切な位置に配置することができる。
【0085】
例えば、図11の下から2段目で示されるように、スペーサ10上であって、CSP固体撮像素子20の3辺を適切な位置に誘導するように固定部11−41乃至11−43が設けられるようにしてもよい。この場合、固定剤13は、例えば、固定剤13−41乃至13−43に注入される。この場合、CSP固体撮像素子20の3辺が固定されることになるが、少なくとも対辺が固定される方向に対しては、CSP固体撮像素子20を適切な位置に配置することができる。
【0086】
また、例えば、図11の最下段で示されるように、スペーサ10上であって、CSP固体撮像素子20の対辺となる2辺に固定部11−51,11−52が設けられるようにしてもよい。この場合、固定剤13は、例えば、固定剤13−51,13−52に注入される。この場合、CSP固体撮像素子20の図中の上下方向の対辺の2辺のみが固定されることになるが、少なくとも対辺が固定される図中の上下方向に対しては、CSP固体撮像素子20を適切な位置に配置することができる。
【0087】
すなわち、少なくとも方形状のCSP固体撮像素子20の対辺となる2辺を適切な位置に誘導するように固定部11が設けられるようにすることで、CSP固体撮像素子20の配置精度を向上させることが可能となる。
【0088】
<<8.CSP固体撮像素子の構成について>>
CSP固体撮像素子20の構成のうち、回路基板7の接続部位については、図12の上段部で示されるBGA(Ball Grid Array)端子101、または、図12の中段で示されるLGA(Land Grid Array)端子111のいずれの構成であってもよい。
【0089】
また、CSP固体撮像素子20の構成のうち、ガラス基板2については、図12の下段で示されるように、周囲にフレーム2aを設けて、固体撮像素子1とガラス基板2との間にキャビティ121が設けられる構成にしてもよい。
【0090】
いずれの接続部位の構成であっても、上述した構成により、光学的な反り、歪み、および傾きの少ない、小型で、かつ、薄型の撮像装置を実現させることが可能となる。
【0091】
本開示により、小型化、薄型化の手法として、CSP固体撮像素子の実装時の反り、歪み、および傾きを低減することが可能となる。結果として、撮像装置の歩留りや光学性能の低下を抑制し、小型で、かつ、薄型の高性能な撮像装置を実現することが可能となる。
【0092】
<<9.電子機器への適用例>>
上述した撮像素子は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像装置、撮像機能を備えた携帯電話機、または、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
【0093】
図13は、本技術を適用した電子機器としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0094】
図13に示される撮像装置201は、光学系202、シャッタ装置203、固体撮像素子204、駆動回路205、信号処理回路206、モニタ207、およびメモリ208を備えて構成され、静止画像および動画像を撮像可能である。
【0095】
光学系202は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの光(入射光)を固体撮像素子204に導き、固体撮像素子204の受光面に結像させる。
【0096】
シャッタ装置203は、光学系202および固体撮像素子204の間に配置され、駆動回路205の制御に従って、固体撮像素子204への光照射期間および遮光期間を制御する。
【0097】
固体撮像素子204は、上述した固体撮像素子を含むパッケージにより構成される。固体撮像素子204は、光学系202およびシャッタ装置203を介して受光面に結像される光に応じて、一定期間、信号電荷を蓄積する。固体撮像素子204に蓄積された信号電荷は、駆動回路205から供給される駆動信号(タイミング信号)に従って転送される。
【0098】
駆動回路205は、固体撮像素子204の転送動作、および、シャッタ装置203のシャッタ動作を制御する駆動信号を出力して、固体撮像素子204およびシャッタ装置203を駆動する。
【0099】
信号処理回路206は、固体撮像素子204から出力された信号電荷に対して各種の信号処理を施す。信号処理回路206が信号処理を施すことにより得られた画像(画像データ)は、モニタ207に供給されて表示されたり、メモリ208に供給されて記憶(記録)されたりする。
【0100】
このように構成されている撮像装置201においても、光学系202、および固体撮像素子204に、上述した図1図5乃至図10の撮像装置のレンズ6,61,62、およびCSP固体撮像素子20を適用することにより、装置全体の歩留まりや性能の低下を抑制させることが可能となる。
【0101】
<<10.撮像素子の使用例>>
図14は、上述の図1図5乃至図12の撮像装置を使用する使用例を示す図である。
【0102】
上述した撮像素子は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0103】
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0104】
<<11.内視鏡手術システムへの応用例>>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0105】
図15は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0106】
図15では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0107】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0108】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0109】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0110】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0111】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0112】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0113】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0114】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0115】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0116】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0117】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0118】
図16は、図15に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0119】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0120】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0121】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0122】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0123】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0124】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0125】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0126】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0127】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0128】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0129】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0130】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0131】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0132】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0133】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0134】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0135】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、内視鏡11100や、カメラヘッド11102の撮像部11402に適用され得る。具体的には、図1図5乃至図10の回路基板7、スペーサ10、固定部11、およびCSP固体撮像素子20は、撮像部10402に適用することができる。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、装置全体の歩留まりや性能の低下を抑制させることが可能となる。
【0136】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0137】
<<12.移動体への応用例>>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0138】
図17は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0139】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図17に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0140】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0141】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0142】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0143】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0144】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0145】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0146】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0147】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0148】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図17の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0149】
図18は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0150】
図18では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0151】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0152】
なお、図18には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0153】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0154】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0155】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0156】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0157】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用され得る。具体的には、図1図5乃至図10の回路基板7、スペーサ10、固定部11、およびCSP固体撮像素子20は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、装置全体の歩留まりや性能の低下を抑制させることが可能となる。
【0158】
尚、本開示は、以下のような構成も取ることができる。
<1> 受光した光を光量に応じた電気信号に光電変換する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子を固定するガラス基板とを有し、
前記固体撮像素子および前記ガラス基板が一体となったCSP固体撮像素子と、
前記光電変換された電気信号を外部に転送する回路を有した回路基板と、
前記CSP固体撮像素子、および前記回路基板を固定するためのスペーサとを含む撮像装置において、
前記スペーサは、前記CSP固体撮像素子を実装する際に、前記CSP固体撮像素子を、前記回路基板上の所定の位置に誘導する固定部を含む
撮像装置。
<2> 前記回路基板を生成する材料は、その線膨張率が、前記固体撮像素子の線膨張率に近い材料である
<1>に記載の撮像装置。
<3> 前記回路基板を生成する材料は、その弾性率が、所定の弾性率よりも小さい材料である
<1>または<2>に記載の撮像装置。
<4> 前記固定部は、方形の前記固体撮像素子の少なくとも2辺以上の辺を前記回路基板上の所定の位置に誘導する
<1>乃至<3>のいずれかに記載の撮像装置。
<5> 前記固定部は、方形の前記固体撮像素子の4か所の角部を前記回路基板上の所定の位置に誘導する
<1>乃至<3>のいずれかに記載の撮像装置。
<6> 前記CSP固体撮像素子は、
受光した光より赤外光を削除する赤外カットフィルタをさらに含み、
前記固体撮像素子と前記ガラス基板とが透明の接着剤により接着され、
前記ガラス基板と前記赤外カットフィルタとが透明の接着材により接着される
<1>乃至<5>のいずれかに記載の撮像装置。
<7> 前記CSP固体撮像素子は、
前記受光した光を集光するレンズ群の一部からなる上位層レンズをさらに含む
<6>に記載の撮像装置。
<8> 前記赤外カットフィルタ上、または、前記ガラス基板上の少なくともいずれかに配置される、前記光を集光するレンズ群のうちの前記一部と異なる他の一部からなり、前記固体撮像素子の前段であって、かつ、前記上位層レンズよりも前記固体撮像素子に近い位置に配置される下位層レンズをさらに含む
<7>に記載の撮像装置。
<9> 前記CSP固体撮像素子は、
受光した光より赤外光を削除する赤外カットフィルタをさらに含み、
前記赤外カットフィルタは、前記ガラス基板と前記固体撮像素子との間に配置される
<1>に記載の撮像装置。
<10> 前記受光した光を集光するレンズ群の上位層レンズと、
前記上位層レンズにより前記受光した光を所定の位置に合焦させる合焦部とをさらに含み、
前記合焦部は、前記上位層レンズを駆動することにより前記受光した光を所定の位置に合焦させるように調整するアクチュエータを含む
<1>乃至<9>のいずれかに記載の撮像装置。
<11> 前記合焦部は、前記上位層レンズを駆動することにより前記受光した光を所定の位置に合焦させるように調整するアクチュエータを含む
<10>に記載の撮像装置。
<12> 前記アクチュエータは、前記上位層レンズを駆動させることで、前記合焦させる機能および手ぶれ補正機能の少なくともいずれかを備える
<11>に記載の撮像装置。
<13> 前記ガラス基板は、反りおよび歪みの小さい、赤外カットフィルタとしての機能を備える
<1>に記載の撮像装置。
<14> 前記ガラス基板は、青板ガラスである
<13>に記載の撮像装置。
<15> 前記受光した光を集光するレンズ群の一部からなる上位層レンズと、
前記受光した光より赤外光を削除する赤外カットフィルタをさらに含み、
前記赤外カットフィルタは、前記CSP固体撮像素子とは別体であって、かつ、前記上位層レンズと前記固体撮像素子との間に配置される
<1>に記載の撮像装置。
<16> 前記回路基板は、前記固体撮像素子より出力される画素信号を外部に出力するコネクタ、または、ACF(Anisotropic Conductive Film)端子を含む
<1>乃至<15>のいずれかに記載の撮像装置。
<17> 受光した光を光量に応じた電気信号に光電変換する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子を固定するガラス基板とを有し、
前記固体撮像素子および前記ガラス基板が一体となったCSP固体撮像素子と、
前記光電変換された電気信号を外部に転送する回路を有した回路基板と、
前記CSP固体撮像素子、および前記回路基板を固定するためのスペーサとを含み、
前記スペーサは、前記CSP固体撮像素子を実装する際に、前記CSP固体撮像素子を、前記回路基板上の所定の位置に誘導する固定部を有する撮像装置の製造方法であって、
前記CSP固体撮像素子を前記回路基板に固定する工程と、
前記スペーサの前記固定部で前記CSP固体撮像素子を前記回路基板上の所定の位置に誘導するようにはめ込んで前記スペーサを前記回路基板に固定する工程と、
前記固体撮像素子と前記スペーサとの間に固定剤を注入する工程とを含む
撮像装置の製造方法。
<18> 受光した光を光量に応じた電気信号に光電変換する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子を固定するガラス基板とを有し、
前記固体撮像素子および前記ガラス基板が一体となったCSP固体撮像素子と、
前記光電変換された電気信号を外部に転送する回路を有した回路基板と、
前記CSP固体撮像素子、および前記回路基板を固定するためのスペーサとを含む電子機器において、
前記スペーサは、前記CSP固体撮像素子を実装する際に、前記CSP固体撮像素子を、前記回路基板上の所定の位置に誘導する固定部を含む
電子機器。
【符号の説明】
【0159】
1 固体撮像素子, 2 ガラス基板, 4 赤外カットフィルタ, 6 レンズ, 7 回路基板, 8 アクチュエータ, 9 コネクタ, 10 スペーサ, 11,11−1乃至11−4,11−21乃至11−24,11−31,11−32,11−41乃至11−43,11−51,11−52 固定部, 12 半導体部品, 13,13−1乃至13−4,13−21乃至13−24,13−31,13−32,13−41乃至1#−43,13−51,13−52 固定剤, 31,32 接着剤, 41 ガラス基板, 61 上位層レンズ, 62 下位層レンズ, 91 ACF端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18