特許第6869724号(P6869724)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869724
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】映像処理装置、及び、映像処理方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/10 20060101AFI20210426BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20210426BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20210426BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20210426BHJP
   H04N 5/57 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   G09G5/10 B
   G09G5/00 550B
   G09G3/20 670K
   G09G3/20 612U
   G09G3/20 660U
   G09G3/20 642Z
   H04N5/66 A
   H04N5/57
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-275(P2017-275)
(22)【出願日】2017年1月4日
(65)【公開番号】特開2018-109702(P2018-109702A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000214984
【氏名又は名称】TVS REGZA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】新井 隆之
【審査官】 塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/143134(WO,A1)
【文献】 特開2014−126698(JP,A)
【文献】 特開2007−228474(JP,A)
【文献】 特開2011−039420(JP,A)
【文献】 特開平08−322017(JP,A)
【文献】 特開2011−028149(JP,A)
【文献】 特開2010−139783(JP,A)
【文献】 特開2009−186919(JP,A)
【文献】 特開2001−013914(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0123651(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00−5/42
G09G 3/20−3/38
H04N 5/57
H04N 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示領域を複数に分割したブロックにおいて、受信した映像情報の各ブロックが静止している時間であるブロック静止時間を測定する、ブロック静止時間測定部と、
前記ブロック静止時間と、前記ブロック静止時間だけ静止している前記ブロックの数との関係を示す分布情報に基づいて、前記映像表示領域に表示する映像における静止度合いを表す指標である所定面積静止時間を算出する、所定面積静止時間算出部と、
前記所定面積静止時間に基づいて、出力する画像の明るさを調節する明るさ調節値を算出する、明るさ調節値算出部と、
前記明るさ調節値に基づいて、前記映像情報を出力する輝度を調節する、明るさ調節部と、
を備え
前記所定面積静止時間算出部は、前記分布情報に基づいて、前記ブロック静止時間が最大の値となる前記ブロックの数から前記ブロック静止時間が小さい値へとなる順番に、又は、前記ブロック静止時間が最小の値となる前記ブロックの数から前記ブロック静止時間が大きい値へとなる順番に、前記ブロックの数を累積加算し、累積加算した前記ブロックの数が、所定の数に達した前記ブロック静止時間を、前記所定面積静止時間として算出する、
映像処理装置。
【請求項2】
前記各ブロックの輝度を検出する、ブロック輝度検出部と、
検出された前記輝度に基づいて、前記各ブロックが静止しているか否かを検出する、ブロック静止検出部と、
前記各ブロックにおける前記ブロック静止時間を記憶する、ブロック静止時間記憶部と、
をさらに備え、
前記ブロック静止時間測定部は、前記ブロック静止検出部の検出結果に基づいて、前記ブロック静止時間記憶部に記憶されている前記ブロック静止時間を更新し、
前記所定面積静止時間算出部は、前記ブロック静止時間記憶部に記憶されている前記ブロック静止時間に基づいて前記分布情報を生成する、請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項3】
前記所定面積静止時間算出部は、前記累積加算したブロックの数が、前記ブロックの総数における所定の割合に達した場合に、前記所定の数に達したとする、請求項1又は請求項2に記載の映像処理装置。
【請求項4】
前記明るさ調節値算出部は、前記所定面積静止時間が第1の所定静止時間以上となる場合に、表示する映像が、前記第1の所定静止時間の前より、暗くなるように前記明るさ調節値を制御する請求項1乃至請求項のいずれかに記載の映像処理装置。
【請求項5】
前記明るさ調節値算出部は、
前記所定面積静止時間が前記第1の所定静止時間以上であるが、前記第1の所定静止時間より長い第2の所定静止時間以下となる場合には、前記所定面積静止時間が長くなるに従って、表示する映像が次第に暗くなるように前記明るさ調節値を制御し、
前記所定面積静止時間が前記第2の所定静止時間より長い場合には、前記所定面積静止時間にかかわらず、前記明るさ調節値が前記第2の所定静止時間における前記明るさ調節値で一定となるように制御する請求項に記載の映像処理装置。
【請求項6】
ブロック静止時間測定部が、受信した映像情報の映像表示領域を複数に分割したブロックにおいて、各ブロックが静止している時間であるブロック静止時間を測定するステップと、
所定面積静止時間算出部が、前記ブロック静止時間と、前記ブロック静止時間だけ静止している前記ブロックの数との関係を示す分布情報に基づいて、前記映像表示領域に表示する映像における静止度合いを表す指標である所定面積静止時間を算出するステップと、
明るさ調節値算出部が、前記所定面積静止時間に基づいて、出力する画像の明るさを調節する明るさ調節値を算出するステップと、
明るさ調節部が、前記明るさ調節値に基づいて、前記映像情報を出力する輝度を調整するステップと、
を備え
前記所定面積静止時間算出部は、前記所定面積静止時間を算出するステップにおいて、前記分布情報に基づいて、前記ブロック静止時間が最大の値となる前記ブロックの数から前記ブロック静止時間が小さい値へとなる順番に、又は、前記ブロック静止時間が最小の値となる前記ブロックの数から前記ブロック静止時間が大きい値へとなる順番に、前記ブロックの数を累積加算し、累積加算した前記ブロックの数が、所定の数に達した前記ブロック静止時間を、前記所定面積静止時間として算出する、
映像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、映像処理装置、及び、映像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代のディスプレイとして、液晶ディスプレイに代わる技術として有機ELディスプレイが盛んに研究されている。有機ELディスプレイは、発光ダイオードの一種である有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)を用い、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)現象を応用したディスプレイである。この有機ELディスプレイは、バックライトを使用せず、OLEDである画素自体が発光するため、高輝度、高コントラスト、及び、高速応答を実現できる。一方で、液晶ディスプレイと比較すると、画面の焼き付きが発生しやすいという短所もある。
【0003】
近年、デジタル放送が本格的に始まり、映像とともにデータ配信を行う放送手法が増加している。このようなデータ配信においては、ディスプレイの特定領域が確保され、配信されたデータコンテンツは、当該特定領域に表示される。このような特定領域内のおけるデータコンテンツが表示される領域以外の領域は、同一輝度及び同一色で静止した表示となることが多く、画面の焼き付きが発生しやすい。このような焼き付き対策として、様々な研究がなされている。しかしながら、画素ごとや領域ごとに静止判定をすることは可能であるが、上記のような画面の特定の部分が静止しているようなパターンをリアルタイムに検出し、静止時間に応じて表示輝度を制御することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−304318号公報
【特許文献2】特開2011−28149号公報
【特許文献3】特開2014−126698号公報
【特許文献4】特開2011−39420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本実施形態は、所定の面積を占める領域の静止検出を行い、その静止時間を求めることが可能な映像処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
映像処理装置は、ブロック静止時間測定部と、所定面積静止時間算出部と、明るさ調節値算出部と、明るさ調節部と、を備える。ブロック静止時間測定部は、映像表示領域を複数に分割したブロックにおいて、受信した映像情報の各ブロックが静止している時間であるブロック静止時間を測定する。所定面積静止時間算出部は、前記ブロック静止時間と、前記ブロック静止時間だけ静止している前記ブロックの数との関係を示す分布情報に基づいて、前記映像表示領域に表示する映像における静止度合いを表す指標である所定面積静止時間を算出する。明るさ調節値算出部は、前記所定面積静止時間に基づいて、出力する画像の明るさを調節する明るさ調節値を算出する。明るさ調節部は、前記明るさ調節値に基づいて、前記映像情報を出力する輝度を調節する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る映像処理部を備えるディスプレイを模式的に示す図。
図2】一実施形態に係るディスプレイの表示領域を模式的に示す図。
図3】一実施形態に係る映像処理部の機能を説明する示すブロック図。
図4】一実施形態に係る映像処理部の処理を示すフローチャート。
図5】一実施形態に係る静止ブロックのヒストグラムの一例を示す図。
図6】一実施形態に係る明るさ調節値の一例を示す図。
図7】一実施形態に係るディスプレイ表示とヒストグラムの一例を示す図。
図8】一実施形態に係るディスプレイ表示の別の例を示す図。
図9】一実施形態に係る映像処理部の設置例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0009】
本実施形態に係る映像処理部は、映像を表示する領域全体を複数の領域に分割し、領域ごとに輝度変化から静止判定を行い、領域の静止している時間、及び、静止している領域数に基づき、映像の輝度を制御することにより、表示領域における焼き付きを防止しようとするものである。
【0010】
図1は、本実施形態に係る映像処理部を備えるテレビ受像器1の一例を示す図である。テレビ受像器1は、映像を表示するディスプレイ2と、このディスプレイ2の筐体内に格納された映像処理部3(図3参照)と、を備える。例えば、データ配信放送を受信し、ユーザーがデータ配信によるコンテンツを見ている場合、この図1に示すように、ディスプレイ2における画像を表示する領域である映像表示領域は、受信した映像を表示する映像コンテンツ表示領域2Aと、受信したデータを表示するデータコンテンツ表示領域2Bと、を備える。ディスプレイ2は、例えば、有機ELディスプレイであり、画素はOLEDを備えている。なお、以下の説明においては、映像処理部3について説明するが、この映像処理部3は、特許請求の範囲の映像処理装置に該当するものである。
【0011】
映像コンテンツ表示領域2Aは、放送されている番組の内容を表示する領域であり、一般的には、動画である映像が表示されている矩形の領域となる。映像コンテンツ表示領域2Aにおいては、通常の放送における映像コンテンツが表示されているため、静止していたとしてもほんの数秒であり、たとえ固定カメラによって得られた映像であっても、輝度のぶれや位置のずれが起こるため、同じ画素において同じ輝度及び同じ色で長時間連続して表示されることはそれほど多くない。
【0012】
一方のデータコンテンツ表示領域2Bは、例えば、番組の内容に関連する情報、ニュース、又は、放送されている番組との双方向通信を行うための情報等が表示される。例えば、図1に示すように、ディスプレイ2の下側フレームに沿って横方向に延びる領域とディスプレイ2の右側フレームに沿って縦方向に延びる領域とが組み合わされて形成されており、ニュースのハイライトや、各地の天気予報のデータが表示されている。このような表示は、例えば、人工的に作成されたグラフィックスを表示しているものであり、文字や、天気記号以外の表示は変化しない。この結果、データコンテンツ表示領域2B内の多くの領域の画素においては、発光している光の輝度及び色が変化しないことが多く、焼き付きが起こる可能性が高い。
【0013】
なお、映像コンテンツ表示領域2A及びデータコンテンツ表示領域2Bは、一例であり、上記で説明したような形状に限られない。例えば、映像コンテンツ表示領域2Aがディスプレイ2の右下に位置し、データコンテンツ表示領域2Bがディスプレイ2の上側フレームに沿って横方向に延び、左側フレームに沿って縦方向に延びているものでもよい。また、ディスプレイ2の映像表示領域内に複数の映像コンテンツ表示領域2Aが存在し、その他の領域がデータコンテンツ表示領域2Bであるような構成でもよい。
【0014】
図2は、本実施形態に係るテレビ受像器1が備えるディスプレイ2の表示領域を模式的に示す図である。図2に示すように、ディスプレイ2の表示領域は、例えば、横3840ピクセル、高さ2160ピクセルの解像度を有する4K2Kディスプレイである。本実施形態においては、この表示領域を複数のブロック200に分割する。ブロック200は、例えば、横64ブロック、縦32ブロックの全2048ブロック存在し、表示領域は、これらブロック200により、2048個の領域に分割される。なお、ピクセル数、及び、ブロック数は、単なる一例であり、ピクセル数、及び、ブロック数は、これらの数に限定されるものではない。
【0015】
各ブロック200は、そのブロック内の明るさとして画素値を監視することにより当該ブロックが静止画像を構成するブロックであるか、動画を構成するブロックであるかを判定するために用いられる。そして、後述で説明するように、静止画像を構成するブロック200の静止時間に基づいて、ディスプレイ2の表示領域の明るさを制御する。画素値としては、一例として、輝度の値を用いることができるが、これには限られず、色合いや他の明るさを示す指標となり得る値を用いてもよい。なお、図2の概念図において、ブロックは正方形の領域を形成しているがこれには限られず、長方形であってもよい。
【0016】
図3は、図1のテレビ受像器1が備える映像処理部3の機能を説明するためのブロック図である。この図3に示すように、映像処理部3は、受信した映像情報の明るさを制御して出力する装置であり、映像情報受信部10と、ブロック輝度検出部12と、ブロック静止検出部14と、ブロック輝度記憶部16と、ブロック静止時間測定部18と、ブロック静止時間記憶部20と、所定面積静止時間算出部22と、明るさ調節値算出部24と、明るさ調節部26と、映像出力部28と、を備える。
【0017】
映像情報受信部10は、ディスプレイ2に表示する映像コンテンツ及びデータ配信コンテンツを受信する受信部である。この映像情報受信部10は、映像コンテンツ表示領域2Aに表示する動画のコンテンツを受信するとともに、配信されているデータコンテンツを受信する。映像情報受信部10が受信したデータは、ブロック輝度検出部12へと出力される。
【0018】
ブロック輝度検出部12は、受信した映像データを画面に表示した場合に、ディスプレイ2の各ブロック200において表示される予定である映像から、当該ブロック200内に備えられる各画素の輝度値から、ブロック200の輝度値を検出する。検出された輝度値は、ブロック静止検出部14へと出力される。
【0019】
ブロック静止検出部14は、各ブロックが静止画像であるか、動画であるかを検出する。ブロックが静止画像であるか、動画であるかは、例えば、各ブロック内に存在する画素の輝度値と、ブロック輝度記憶部16に記憶された前のフレームの輝度値との比較に基づいて検出される。この検出結果は、ブロック静止時間測定部18へと出力される。
【0020】
ブロック輝度記憶部16は、ブロック静止検出部14において当該ブロックが静止画であるか、動画であるかを検出した後、当該ブロックの輝度値を記憶する。記憶した輝度値に基づいて、当該ブロックにおける次の静止検出が行われる。
【0021】
ブロック静止時間測定部18は、ブロック静止検出部14の検出結果を用いて、各ブロックが静止画像として検出されている時間(ブロック静止時間)を測定する。静止画検出された場合は、ブロック静止時間記憶部20に記憶された時間をカウントアップし、動画の場合はリセットを行う。ブロック静止時間記憶部20は、この測定された各ブロックのブロック静止時間を記憶する。
【0022】
所定面積静止時間算出部22は、ブロック静止時間記憶部20に記憶されている各ブロックのブロック静止時間の情報を用い、ディスプレイ2内において静止画像として認識される静止画像領域の静止時間に基づいて表示領域全体としての静止時間を算出する。例えば、ブロック静止時間と、当該ブロック静止時間だけ静止しているブロック数との関係を示す分布情報である静止時間ヒストグラムを算出し、分布に従って静止時間を算出する。すなわち、所定面積静止時間算出部22は、ブロック静止時間測定部18の測定結果に基づいて、所定面積静止時間を算出する。なお、表示領域全体としての静止時間(所定面積静止時間)は、ディスプレイ2内において静止画像として認識される静止画像領域の静止時間に基づいてデータ放送等のグラフィックス映像か否かを、グラフィックス映像判定部(図示しない)が判定し、当該判定結果にしたがって算出するようにしてもよい。
【0023】
明るさ調節値算出部24は、算出された静止時間に基づいて画面全体の輝度値を算出する。そして、明るさ調節部26は算出された輝度値に基づいて映像情報受信部10が受信した各画素の輝度値を調節し、映像出力部28が、明るさ調節部26により輝度が調節された映像をディスプレイ2へと出力する。
【0024】
図4は、本実施形態に係る映像処理部3の動作のフローを示すフローチャートである。
【0025】
まず、所定面積静止時間算出部22は、ブロック静止時間の単位時間あたりの分布を示すブロック静止時間ヒストグラムを初期化する(ステップS100)。このブロック静止時間ヒストグラムは、ブロック静止時間記憶部20に記憶されている。
【0026】
次に、映像情報受信部10は、ディスプレイ2に表示する映像情報を受信する(ステップS102)。この映像情報は、例えば、放送局から放送用の電波を介して送信される映像情報であり、映像情報の他に、データ配信コンテンツを備えているものである。また、データ配信コンテンツを備えていない映像情報であってもよい。さらには、無線LANや有線LANといったインターネット回線を介して受信された映像情報でもよいし、ケーブル回線を介して受信された映像情報であってもよい。
【0027】
映像情報受信部10は、例えば、アンテナが受信したデータがチューナ等を介して伝送され、当該データを受信する回路等であってもよいし、チューナ等に内蔵されているものであってもよい。以下の処理は、実際にディスプレイ2に表示される映像、すなわち、データ配信コンテンツであるグラフィックスを含む映像、又は、グラフィックスを含まない映像コンテンツのデータに対して行われる。
【0028】
次に、受信した映像情報を用いてブロック静止時間と、当該ブロック静止時間を有するブロックの個数との分布情報であるヒストグラムを算出する処理へと移行する(ステップS104乃至ステップS116)。この処理は、例えば、図2におけるディスプレイ2の各ブロック200に対して行われる。すなわち、ステップS104とステップS116で挟まれた間の処理ステップS106からステップS114は、ブロックごとに処理され、ブロックの個数分反復して処理される。以下、各ブロックに対して行われる処理について説明する。
【0029】
まず、ブロック輝度検出部12は、ブロックの明るさとして、例えば、ブロックの輝度を検出する(ステップS106)。ブロックの輝度の検出は、例えば、ブロック内の全ての画素の輝度値を計算し、平均値を算出することにより検出される。または、平均値とはせずに、加算した値を用いるようにしてもよい。平均値とした場合には、ブロックの輝度値を記憶する際の記憶容量を削減することが可能であるし、加算値とした場合には、ブロック内の画素数で除算をするための計算量を削減することが可能である。
【0030】
次に、ブロック静止検出部14は、単位時間前の明るさと現明るさとの差が所定のしきい値よりも大きいか否かを判断する(ステップS108)。具体的には、|(単位時間前の明るさ)−(現明るさ)|>しきい値であるか否かを判定する。この場合において、単位時間とは、静止画像か動画かを判断するための所定の時間のことであり、例えば、1フレームや、500ミリ秒、又は、1分などとすることができる。この設定は、デバイスに応じて焼き付けが起こらない範囲で変更することも可能であるし、ユーザーが設定できるようにしてもよい。明るさとしては、例えば、ブロック輝度検出部12が検出した輝度値を用いる。
【0031】
単位時間前の明るさは、ブロック輝度記憶部16に記憶されている。電源投入時等や、映像を受信するチャネルが変更した場合などには、初期状態としてブロック輝度記憶部16には所定の値、例えば、全てブロックにおいて0が代入されているようにしてもよい。所定の値であるしきい値は、あらかじめ決められた値が設定されている。例えば、輝度値が10ビットで得られる場合には、16、32や64等と設定してもよいし、ユーザーが任意に設定できるようにしてもよいし、2の累乗とする必要もない。この設定は、焼き付きが起こらない範囲であれば、ノイズが多い、又は、少ないと言った映像の特性を考慮して設定することも可能である。また、ディスプレイ2の性能により製造時に設定できるようにしてもよい。
【0032】
単位時間前の明るさと現明るさとの差がしきい値よりも大きい場合(ステップS108:Yes)、当該ブロック内に出力される画像が動画であると判断し、ブロック静止時間記憶部20に記憶されている着目しているブロックのタイマーカウントを初期化して更新する(ステップS110)。初期化とは、例えば、タイマーのカウントを0へとする処理である。
【0033】
一方、単位時間前の明るさと現明るさとの差がしきい値以下である場合(ステップS108:No)、当該ブロック内に出力される画像が静止画であると判断し、ブロック静止時間記憶部20に記憶されている着目しているブロックのタイマーカウントを増加して更新する(ステップS112)。タイマーカウントを増加するとは、例えば、タイマーカウントをインクリメントすることによりタイマーカウントの値を増加させる処理のことを言う。
【0034】
このようにステップS108からステップS112の処理を行うことにより、当該ブロックが静止画として判定されている単位時間を算出する。例えば、ブロック静止時間記憶部20に記録されている当該ブロックのカウント値がnである場合、当該ブロックは、nフレームの間静止している、n×100ミリ秒の間静止している、又は、n分間静止しているというように当該ブロックの静止状況を判断することが可能となる。n=0の場合は、ブロック内の画像は動画であると判定されるし、nが0では無い場合は、nはブロックの静止状態を表す指標となる。このカウンターへの操作が終了すると、ブロック輝度記憶部16には、ブロック輝度検出部12が検出した当該ブロックの現明るさが記憶される。静止画として判定されたブロックは更新しなくても良い。
【0035】
次に、カウント値をブロック静止時間ヒストグラムに反映する(ステップS114)。ステップS110又はステップS112により状態が更新されたタイマーカウントに基づいて、ブロック静止時間ヒストグラムを更新する。すなわち、当該ブロックにおいて、静止状態がn続いている場合には、ヒストグラムのnに対応するカウント値をインクリメントする。
【0036】
図5は、ブロック数と時間を示す簡単な例である。この図5においては、ブロック数は、30個としている。横軸は、ブロックが静止している時間を単位時間で示したものであり、縦軸は、タイマーカウントの値が各々の時間となるブロック数を示したものである。例えば、0単位時間静止した状態にあるブロック数は、7ブロックあり、1単位時間静止した状態にあるブロック数は5ブロックであることを示す。
【0037】
ステップS114では、当該ブロックのタイマーカウントが横軸の単位時間に相当するグラフの値を+1することにより、ヒストグラムを作成する。例えば、当該ブロックにおいて、タイマーカウントが3であれば、横軸の3に対応するグラフの値を+1にする。すなわち、3単位時間(横軸)に対応する静止ブロック数(縦軸)が4であった場合には、その値を5と更新する。説明のために図に表したがこれには限られず、単純な数値の情報として分布情報であるブロック静止時間ヒストグラムを表すものとしてもよい。
【0038】
次に、各ブロックにおいてステップS106からステップS114の処理を行ったか否かを判断する(ステップS116)。まだヒストグラムに反映されていないブロックがある場合には、次のブロックに対してステップS106以降の処理を行い、全てのブロックについてヒストグラムに反映されている場合には、ステップS106からステップS114の反復演算を抜ける。
【0039】
この反復処理が終了すると、ブロック静止時間の分布として、ブロック静止時間とブロック数との関係を表す分布情報であるヒストグラムが作成される。例えば、図5においては、全30ブロックの静止状態が反映されると、図に示すように30ブロック分のヒストグラムが作成される。別の例として、図2のように表示領域を2048個のブロック200に分割した場合、2048ブロック分のヒストグラムが作成される。
【0040】
次に、所定面積静止時間算出部22は、静止しているブロックの数から、所定面積静止時間を算出する(ステップS118)。本実施形態においては、所定面積静止時間は、ディスプレイ2に表示する映像における静止度合いを表す指標である。所定面積静止時間の算出は、例えば、ディスプレイの全領域に対して50%のブロックが静止画像であるような時間を算出する。
【0041】
より具体的に、図5を用いて説明する。この図5においては、全ブロック数は30であるので、50%のブロックというのは、15ブロックのことを示す。まず、時間区分の大きい方からヒストグラムを累積し、15ブロック以上となる時間を検出する。5単位時間におけるヒストグラムの値が4、4単位時間におけるヒストグラムの値が6、3単位時間におけるヒストグラムの値が5であるので、4+6+5=15となり、この場合、少なくとも3単位時間の期間、50%のブロックが静止していたこととなる。この場合所定面積とは、表示領域の50%の面積のことを示す。
【0042】
すなわち、所定面積静止時間算出部22は、所定面積静止時間として、ブロック静止時間が最大値となるブロックの数からブロック静止時間が小さい値へとなる方へ順番にブロックの数を累積加算し、当該累積加算値がブロックの総数における所定の割合に達したブロック静止時間を所定面積静止時間とする。例えば、上記の例においては、所定面積静止時間は、3単位時間である算出される。なお、50%というのは一例であり、所定面積の表示領域に対する割合はこれには限られず、他の所定の割合、例えば40%等としてもよいし、又は、放送局ごとに別々の値としてもよい。さらには、所定面積は、表示領域に対する割合ではなく、所定の値としてもよい。
【0043】
なお、別の例としては、ブロック静止時間が最小値となるブロックの数、あるいは、ブロック静止時間が0となるブロックの数からブロック静止時間が大きい値へとなる方へ順番にブロックの数を累積加算してもよい。どちらの場合においても、同等の結果を得ることが可能である。
【0044】
次に、明るさ調節値算出部24は、所定面積静止時間算出部22が算出した所定面積静止時間に基づいて出力する映像の明るさ調節値を算出する(ステップS120)。図6は、所定面積静止時間と明るさ調節値の一例であるゲインを示す一例である。横軸は、所定面積静止時間を単位時間であらわしたものであり、縦軸は、輝度に対するゲインである。例えば、図6に示すように、第1の所定静止時間である1単位時間までは受信した映像をそのまま出力し、1単位時間から3単位時間までは線形にゲインが減少し、第2の所定静止時間である3単位時間を超えると、ゲインの最小値である0.5で一定値となる。図6におけるゲインの例においては、明るさの調節を行う際の標準的なディスプレイの表示の明るさを1としているが、これには限られず、例えば、ガンマ補正前の明るさに基づいたゲインとすることも可能である。
【0045】
すなわち、第1の所定静止時間までは、ゲインは1のままであり、第1の所定静止時間以上の所定面積静止時間である場合に、ゲインを1から減少し始め、第2の所定静止時間まではゲインの減少を続け、第2の所定静止時間以上となるとゲインを所定の値に固定する。この結果、ディスプレイ2に表示される映像は、所定面積静止時間が第1の所定静止時間以上であるが第2の所定静止時間以下の場合、所定面積静止時間が次第に長くなるに従って暗くなり、所定面積静止時間が第2の所定静止時間より長くなると、第2の所定静止時間における暗さで一定となる。
【0046】
図6の例においては、所定面積静止時間は、3単位時間であるので、ゲインは0.5となる。なお、ゲイン関数は、図6に示したものに限られず、ゲインが検出前の値から最小値までになる下がり方であればよく、すなわち、第1の所定静止時間から第2の所定静止時間までのゲインの変化は、線形である必要は無い。例えば、三角関数、シグモイド関数、指数関数、又は、階段関数等を用いた関数を用いて、最大値から最小値までが徐々に減少するものであってもよい。最小値についても、0.5である必要は無く、0.8や0.7等の他の値であってもよい。さらに、説明のために簡単にしているが、横軸の単位時間は、さらに細かく設定されているものとしてもよい。特に、ゲインの抑制を開始するタイミング(第1の所定静止時間)は1単位時間後である必要はなく、ユーザーが画面を見ていて違和感が無いように、マージンをさらに大きくとることも考えられる。
【0047】
なお、タイマーカウントとして、最大値を設けるようにしてもよい。例えば、図6に示すようなゲインである場合には、タイマーカウントの値の最大値を5単位時間程度にしておけば十分であると考えられるため、タイマーカウントの値の最大値を5と設定してもよい。さらには、これらタイマーカウントの最大値、所定面積静止時間を判定する所定の値、ブロックごとの輝度値の差のしきい値等の所定の値は、インターネット回線等を介して変更できるものであってもよいし、データコンテンツの配信状況に基づいて変更するように設計されていてもよい。また、いくつかの組合せを提示してユーザーが選択できるようにしてもよい。
【0048】
次に、明るさ調節部26は、算出された明るさ調節値に基づいて受信した映像情報に明るさ調節値を掛けることにより出力画像の輝度値を調整する(ステップS122)。輝度値の調整は、出力画像全体に明るさ調節値を掛けるようにしてもよいし、ブロックの明るさや、所定面積静止時間、画面位置によって調整するようにしてもよい。または、別の例として、明るさ調節値として、ゲインではなく、表示領域の明るさから減算する値の指標を明るさ調節値として選択することも可能である。この場合、表示する明るさから明るさ調節値に基づいた値を減算するようにしてもよい。
【0049】
最後に、映像出力部28は、明るさ調節部26が輝度を調節した出力画像をディスプレイへと出力する(ステップS124)。映像処理部3は、以上のように、映像情報を受信して、当該受信した映像情報に基づいて出力映像の輝度値を調整して出力する。なお、上記においては、データ配信コンテンツを表示しない場合についても処理を行うものとしたが、データ配信コンテンツを表示しない設定の場合においては、この処理を行わないようにして、受信した映像情報を出力映像として出力することもできる。すなわち、データ配信コンテンツを表示する設定の場合にのみ、上述した処理を行うようにしてもよい。
【0050】
なお、上述した処理は、単位時間ごとに行われる処理のみを記載したが、出力映像の輝度値を調整する処理は、映像を出力するのに必要な頻度、例えば、毎フレーム行われる。すなわち、次の単位時間が到来するまでの間、明るさ調節値は算出された一定値としておき、当該明るさ調節値にしたがってさらに細かい頻度で毎フレーム少しずつ出力する画像の輝度値を調節する。このように、単位時間ごとに明るさ調節値を算出する処理と輝度値を調節する処理の双方が行われ、他のタイミングにおいては、明るさ調節値を算出する処理を行わずに出力映像の輝度値を調節する処理が行われる。もっとも、明るさ調節値を算出する処理が毎フレーム行われる、すなわち、1単位時間が1フレームであるような場合には、上述した全てのステップの処理が毎フレーム行われる。
【0051】
別の例としては、ステップS100からステップS120までの処理と、ステップS122及びステップS124の処理とを完全に分離するものであってもよい。例えば、1フレームごとに明るさ調節部26により出力される画像の輝度が、算出された明るさ調節値に基づいて調節され、映像が出力される処理が行われる(ステップS122乃至ステップS124)のと並行して、単位時間ごとに明るさ調節値算出部24が明るさ調節値を算出するまでの処理が行われ、明るさ調節値が更新される(ステップS100乃至ステップS120)ものとしてもよい。例えば、これらの2つの処理系統が並列化され、別々のプロセスとして起動しているものとしてもよい。すなわち、2つのプロセスを立ち上げておき、第1プロセスにおいて、毎フレーム明るさ調節をしながら、第2プロセスの中で単位時間ごとに明るさ調節値を算出し、算出した明るさ調節値を第1プロセスへと反映するようにしてもよい。
【0052】
図5及び図6は、一例であるので、その値は説明のため単純化されているが、以下、より具体的な例を時系列に沿って説明する。
【0053】
図7(a)乃至図7(c)は、映像の受信を始めてからディスプレイ2に表示される映像と、それぞれの場合におけるヒストグラムの値を示す図である。この各図においては、映像コンテンツ表示領域2Aについて、常に動画であると判定されているものとする。また、図7(a)の時点において映像の受信を始めたものとする。なお、タイマーカウンタの最大値は、30単位時間であるものとする。
【0054】
映像の受信を始めた図7(a)の状態において、ディスプレイ2のデータコンテンツ表示領域2Bには、下側にニュースのハイライトが、右側に各地の天気情報がデータ配信コンテンツとして表示されている。ヒストグラムは、全てのブロックにおいてタイムカウンターがリセットされた状態であるので、全ブロックが0単位時間の箇所に集中している。この場合、映像情報の所定面積静止時間は0単位時間となるため、輝度の抑制は行わずディスプレイ2に表示される。
【0055】
図7(b)は、映像の受信を始めてから30単位時間後のディスプレイ2とヒストグラムを示す図である。ヒストグラムに示されているとおり、全ブロックの半数以上を占めるデータ配信コンテンツを表示する部分のブロックが静止画像であると判定されるため、30単位時間の箇所に分布が集中している。そして、図示しない明るさ調節値の関数にしたがい、ディスプレイ2に表示されている画面の輝度が明るさ調節部26により調節され、図に示すように図7(a)の場合と比較して、全体的に暗く表示される。なお、暗さに関しては、図のわかりやすさのため、極端に暗くしているが、暗くする程度は、明るさ調節値の関数にしたがうものとする。
【0056】
図7(c)は、図7(b)の状態から、各地の天気情報が別の地域の情報へと切り替わってから15単位時間後を示す図である。この場合、データコンテンツ表示領域2Bにおける大部分においては、30単位時間以降も静止画像と判定されるので、タイマーカウントの最大値である30単位時間として800ブロック弱が存在する。そして、15単位時間の箇所には、天気情報の更新により15単位時間前に動画と判定され、それ以降静止画像として判定されている300ブロック強が存在する。この場合、例えば、単位時間の大きい方から累積して、2048ブロックのうち、50%を超えるのは、15単位時間であるので、15単位時間に対するゲイン関数の値により、ディスプレイ2の明るさが決定される。そして、図7(b)の状態よりも少し明るい出力画像が表示される。また、別の例としては、天気情報の更新は変更の度合いが小さく、静止が継続されているものとし、図7(b)の状態を維持されても良い。
【0057】
図8(a)及び図8(b)は、ディスプレイ2に表示される別の例を示す図である。例えば、これらの図に示すように、受信映像が、黒い画面中に白い長方形がゆっくりと画面左方向から右方向へと移動していく場合を考える。このような場合単位時間に対する静止画像のブロック数のヒストグラムを用いれば、所定面積静止時間が短いブロックが多く、所定面積静止時間が長いブロックは存在しないため、図6のようなゲイン関数を使用すると、ゲインの抑制は行われない、又は小さくなるため、画面全体としての明るさはそれほど変わらないものとなる。
【0058】
比較例として、ヒストグラムを用いずに、単位時間前の画素、又は、ブロックの明るさとの差により静止画像を構成する画素か、動画を構成する画素かを判断し、静止画像を構成する画素が50%以上である場合に暗くすることを考える。この場合、ヒストグラムを用いないので、50%以上の画素において静止画像を構成する画素であると判断された場合には、すぐに画面が暗くなることとなるが、実際には動画であるので、誤判定となる。上述したように、本実施形態によるものであれば、このような誤判定を抑制することが可能である。
【0059】
図9は、本実施形態に係る映像処理部3の設置例である。この図9に示すように、テレビ受像器1は、アンテナ又はケーブル等からの信号を受信する外部信号入力部100と、画像処理やその他の処理を行うSoC(System-on-a-Chip)102と、メモリ104と、を備えて構成される。SoC102は、ハードウェア処理部110と、ソフトウェア処理部112と、を備える。映像処理部3は、このSoC102上のハードウェア処理部110又はソフトウェア処理部112上に構成されてもよい。また、各種記憶部は、メモリ104内に備えられていてもよいし、SoC102上のハードウェア処理部110に備えられていてもよい。また、図に示すようにハードウェア処理部110は、SoC102上に備えられていてもよいし、別途IC(Integral Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)として備えられるものであってもよいし、ソフトウェア処理部112は別途IC、マイクロコンピュータとして備えられるものであってもよい。上記に記載した例に限られず、その他様々な実装方法であってもよい。
【0060】
以上のように、本実施形態によれば、静止しているブロックと、そのブロック静止時間との分布情報としてヒストグラムを用いることにより、ディスプレイ2に表示する映像における静止度合いを表す指標である所定面積静止時間を正確に判定し、焼き付け防止のための輝度制御をより正確に行うことが可能である。このように、本実施形態に係るテレビ受像器1を映像処理部3により輝度制御を行うことで、誤判定して動画である領域が広いにも拘わらず、暗い画面に変化してしまったり、又は、静止画である領域が広いにも拘わらず、画面が明るく表示されたままであったりすることを抑制することが可能となり、焼き付け防止のための輝度制御を効率的に行うことが可能となる。
【0061】
なお、以上の説明において、ステップS106からステップS112までの処理はブロックごとに順番に行うものとしたが、高速化のために、一部又は全てのブロックについて並行して演算を行うようにしてもよい。
【0062】
さらに、上述した実施形態においては、ゲインの調整の処理を述べたが、ユーザーがリモコン操作等を行った場合には、タイマーカウントの値を初期化することにより、表示映像をリセットするようにしてもよい。このようにすることにより、ユーザーが何かしらの行動をしたときに画面を明るく表示することが可能となり、画面を見やすくしてユーザーの操作を補助することも可能である。さらに、ガンマ補正等、他の明るさ補正については、上記のゲインの適用とともに、適宜適用しうるものとする。
【0063】
本実施形態においては、映像を表示する媒体をテレビ受像器1としたが、コンピュータ用や、テレビ及びコンピュータ兼用のディスプレイであってもよいし、ディスプレイ2のサイズにも限定はない。ディスプレイ2は、例えば、4K2Kディスプレイであるが、解像度に限定はなく、他の解像度であってもよい。4K2Kディスプレイとして、2160pの解像度として説明したが、これには限られず、DCI4K(Digital Cinema Initiatives 4K)による4096×2160ピクセル等の解像度であってもよい。また、ディスプレイはタッチパネル式であってもよい。さらに、有機ELディスプレイである場合について説明したが、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイであってもよい。コンピュータ用のディスプレイの場合、上記の説明における映像表示領域は、例えば、画像表示領域としてもよい。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0065】
1:テレビ受像器、2:ディスプレイ、2A:映像コンテンツ表示領域、2B:データコンテンツ表示領域、3:映像処理部、10:映像情報受信部、12:ブロック輝度検出部、14:ブロック静止検出部、16:ブロック輝度記憶部、18:ブロック静止時間測定部、20:ブロック静止時間記憶部、22:所定面積静止時間算出部、24:明るさ調節値算出部、26:明るさ調節部、28:映像出力部、200:ブロック。
図1
図2
図3
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図5
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図9