(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記ノズル格納ユニットにおいて一の前記ヘッドユニットに着脱される前記ノズルに不具合が生じた場合、異なる前記ヘッドユニットに着脱される前記ノズルを共用ノズルに切り替える請求項2から請求項7のいずれか一項に記載の表面実装機。
部品を保持して基板に搭載するノズルが着脱可能な複数のヘッドユニットと、複数の前記ノズルを収容し、前記複数のヘッドユニットが前記ノズルを着脱するノズル格納ユニットとを備えた表面実装機のノズル交換プログラムであって、
前記ノズル格納ユニットは、基板搬送用のコンベアとは独立して、前記複数のヘッドユニットの実装領域間を移動可能であり、
それぞれの前記ヘッドユニットがノズル交換のため前記ノズル格納ユニットを使用する使用時期を、前記ノズル格納ユニットがノズル交換のため前記実装領域間を移動する移動時間以上ずらす表面実装機のノズル交換プログラム。
部品を保持して基板に搭載するノズルが着脱可能な複数のヘッドユニットと、複数の前記ノズルを収容し、前記複数のヘッドユニットが前記ノズルを着脱するノズル格納ユニットとを備えた表面実装機のノズルの交換方法であって、
前記ノズル格納ユニットは、基板搬送用のコンベアとは独立して、前記複数のヘッドユニットの実装領域間を移動可能であり、
それぞれの前記ヘッドユニットがノズル交換のため前記ノズル格納ユニットを使用する使用時期を、前記ノズル格納ユニットがノズル交換のため前記実装領域間を移動する移動時間以上ずらす表面実装機のノズルの交換方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の電子部品実装装置のように、電子部品を搭載するヘッドユニット毎に部品吸着用のノズルを収納するノズル格納ユニットを設ける場合、ヘッドユニットの数が増加した場合、各ヘッドユニットが着脱するノズルを格納するノズル格納ユニットも増加することなり、部品点数が増加すると共に、生産コストが増加してしまうため、複数のヘッドユニットによりノズル格納ユニットを共用することが検討されている。
【0007】
ところが、複数のヘッドユニットにおいてノズル格納ユニットを共用する場合、複数のヘッドユニットのうちの一のヘッドユニットがノズル格納ユニットを利用していると他のヘッドユニットがノズル格納ユニットを利用することができず、これに伴って各ヘッドユニットにおける実装時間に遅延が生じてしまう。
【0008】
本明細書では、部品点数を削減しつつ、実装時間に遅延が生じることを抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書によって開示される技術は、部品を保持して基板に搭載するノズルが着脱可能な複数のヘッドユニットと、複数の前記ノズルを収容し、前記複数のヘッドユニットが前記ノズルを着脱するノズル格納ユニットと、制御部とを備えた表面実装機であって、前記制御部は、それぞれの前記ヘッドユニットが前記ノズル格納ユニットにおいて前記ノズルを使用する使用時期の重複が少なくなるように前記使用時期をずらす構成とした。
【0010】
また、本明細書によって開示される技術は、部品を保持して基板に搭載するノズルが着脱可能な複数のヘッドユニットと、複数の前記ノズルを収容し、前記複数のヘッドユニットが前記ノズルを着脱するノズル格納ユニットとを備えた表面実装機のノズル交換プログラムであって、それぞれの前記ヘッドユニットが前記ノズル格納ユニットにおいて前記ノズルを使用する使用時期の重複が少なくなるように前記使用時期をずらす。
【0011】
また、本明細書によって開示される技術は、部品を保持して基板に搭載するノズルが着脱可能な複数のヘッドユニットと、複数の前記ノズルを収容し、前記複数のヘッドユニットが前記ノズルを着脱するノズル格納ユニットとを備えた表面実装機のノズルの交換方法であって、それぞれの前記ヘッドユニットが前記ノズル格納ユニットにおいて前記ノズルを使用する使用時期の重複が少なくなるように前記使用時期をずらすようにする。
【0012】
このような構成の表面実装機、ノズル交換プログラム、ノズルの交換方法によると、複数のヘッドユニットにおいてノズル格納ユニットを共用することで、部品点数を削減することができる。また、ノズル格納ユニットを共用するものの、各ヘッドユニットがノズル格納ユニットにおいてノズルの使用時期をずらすことでノズル交換ユニットを使用する時期の重複が少なくなるから、ノズル交換に伴って各ヘッドユニットにおける実装時間が遅延することを抑制することができる。
【0013】
本明細書によって開示される表面実装機は、以下の構成としてもよい。
【0014】
前記ノズル格納ユニットには、前記複数のヘッドユニットに共通して着脱可能な前記ノズルである共用ノズルが収容されており、前記制御部は、それぞれの前記ヘッドユニットが前記共用ノズルを使用する使用時期の重複が少なくなるように前記使用時期をずらす構成としてもよい。
【0015】
このような構成によると、各ヘッドユニットにおける共用ノズルの使用時期をずらすことで共用ノズルの使用時期が重複しなくなるから、一のヘッドユニットが共用ノズルを使用することに伴う他のヘッドユニットにおける共用ノズルの使用時期が遅延することを抑制できる。ひいては他のヘッドユニットにおいて共用ノズルが使用できるようになるまでの待ち時間を短縮し、実装時間が遅延することを抑制することができる。
【0016】
前記ノズル格納ユニットは移動可能とされており、前記制御部は、それぞれの前記ヘッドユニットにおける前記共用ノズルの使用時期をずらす際に、前記ノズル格納ユニットの移動時間を含めて前記共用ノズルの前記使用時期をずらす構成としてもよい。
【0017】
このような構成によると、ノズル格納ユニットの移動時間も考慮して共用ノズルの使用時期をずらしているから、一のヘッドユニットが共用ノズルを使用することに伴う他のヘッドユニットにおける共用ノズルの使用時期が遅延することをさらに抑制できる。
【0018】
前記制御部は、前記複数のヘッドユニットのうちの一の前記ヘッドユニットにおける前記共用ノズルの使用時期と、他の前記ヘッドユニットにおける前記共用ノズルの使用時期との重複が少なくなるように、それぞれの前記ヘッドユニットにおける前記部品の搭載順序および/または前記基板の生産順序を決定する構成としてもよい。
【0019】
このような構成によると、供給ノズルを使用する複数のヘッドユニットを1つのヘッドユニットとして捉えて、各ヘッドユニットにおける部品の搭載順序や基板の生産順序を決定するから、一のヘッドユニットが共用ノズルを使用している間に、他のヘッドが他のノズルによって部品を搭載することができ、基板に部品を搭載する総生産時間(全体の作業時間)を短縮することができる。
【0020】
前記基板を搬送し、前記ヘッドユニットにおいて前記基板に前記部品を搭載する搬送路が複数設けられ、それぞれの前記搬送路には、前記共用ノズルを使用する前記ヘッドユニットが設けられており、前記ノズル格納ユニットには、前記共用ノズルが複数収容されており、前記複数の搬送路のうちの一の前記搬送路の前記ヘッドユニットが複数の前記共用ノズルの大部分を使用する時期と、前記複数の搬送路のうちの他の前記搬送路の前記ヘッドユニットが複数の前記共用ノズルの大部分を使用する時期の重複が少なくなるように前記部品の搭載順序および/または前記基板の生産順序を決定する構成としてもよい。
【0021】
このような構成によると、生産する基板に搭載する部品と、部品に対応する共用ノズルとの組み合わせなどより、部品の搭載順序や基板の生産順序を決定し、複数の搬送路における複数の共用ノズルの使用時期をずらして重複を少なくするから、基板に部品を搭載する総生産時間(全体の作業時間)を短縮することができる。
【0022】
前記制御部は、前記複数のヘッドユニットにおいて前記共用ノズルの使用時期が重複した場合の前記ヘッドユニットの優先順位を予め決定しておく構成としてもよい。
【0023】
このような構成によると、各ヘッドユニット間において使用時期が重複した場合の優先順位を総生産時間などを考慮して予め決定しておくことで、共用ノズルの待ち時間に起因したヘッドユニット間や搬送路間における生産時間のバランスの悪化や、総生産時間の遅れを抑制することができる。
【0024】
前記制御部は、前記ノズル格納ユニットにおいて、それぞれの前記ヘッドユニットの使用頻度が高い前記ノズルを対応する前記ヘッドユニット側に配置する構成としてもよい。
【0025】
このような構成によると、ノズルが使用頻度に基づいて配置されるから、ヘッドユニットと使用頻度の高いノズルとの間の距離を短くすることができ、総生産時間の短縮を図ることができる。
【0026】
前記ノズル格納ユニットは、前記複数のヘッドユニットによって着脱可能な予備の前記ノズルである予備ノズルを収容しており、前記制御部は、前記複数のヘッドユニットにおいて前記ノズルに不具合が生じた場合に、前記予備ノズルを使用する構成としてもよい。
【0027】
このような構成によると、共用ノズルだけでなく、予備ノズルも共用することができるから、ヘッドユニット毎に予備ノズルを準備する必要がなく、部品点数を削減することができる。すなわち、ノズル格納ユニットを共用するものの、ノズルの使用時期をずらすことで、ノズル交換に伴って各ヘッドユニットにおける実装時間が遅延することを抑制することができる場合に、有効である。
【0028】
前記制御部は、前記ノズル格納ユニットにおいて一の前記ヘッドユニットに着脱される前記ノズルに不具合が生じた場合、異なる前記ヘッドユニットに着脱される前記ノズルを共用ノズルに切り替える構成としてもよい。
【0029】
このような構成によると、複数のヘッドユニットのうちの一のヘッドユニットにおいて使用されるノズルに不具合が生じた時に、異なるヘッドユニットにおいて使用するノズルを代用することができるから、予備ノズルの数を削減することができると共に、実装時間が遅延することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0030】
本明細書によって開示される技術によれば、部品点数を削減しつつ、実装時間に遅延が生じることを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<実施形態>
本明細書に開示された技術における一実施形態について
図1から
図10を参照して説明する。
【0033】
本実施形態は、プリント基板(「プリント基板」の一例)P上に電子部品(「部品」の一例)Eを実装して実装基板を生産する表面実装機10を例示している。
【0034】
表面実装機10は、
図1に示すように、基台11と、基台11上に配置される一対の基板搬送路(「搬送路」の一例)12と、プリント基板P上に電子部品Eを実装するための部品実装装置20と、部品実装装置20に電子部品Eを供給するための複数の部品供給装置13と、部品実装装置20に設けられた後述する実装ヘッド32の吸着ノズル(「ノズル」の一例)34を交換するための一対のノズル交換装置60とを備えて構成されている。なお、以下の説明において、左右方向とは、
図1における左右方向を基準とし、前後方向とは、
図1における上下方向を基準として図示手前側を前側とする。また、上下方向とは、
図2における上下方向基準として説明する。
【0035】
基台11は、
図1に示すように、前後方向に長い平面視略矩形状をなしており、基台11上にプリント基板P用の基板搬送路12が前後方向に一対に並んで設置されている。各基板搬送路12の下方には、プリント基板P上に電子部品Eを実装する際に、プリント基板Pをバックアップするための図示しないバックアップ装置等が設けられている。
【0036】
一対の基板搬送路12は、
図1に示すように、基台11の前後方向の略中央部を境に前後方向に並んで配されており、それぞれがプリント基板Pを右側である上流から左側である下流側に搬送する。各基板搬送路12は、左右方向に循環駆動する一対のコンベアベルト15を有しており、一対のコンベアベルト15には、プリント基板Pが架設する形でセットされる。一対のコンベアベルト15に架設されたプリント基板Pは、コンベアベルト15によって右側(上流側)から基台11の左右方向略中央部よりも右側の実装領域WAに搬入され、右側の実装領域WAにおいて電子部品Eの実装作業がされた後、コンベアベルト15によって基台11の左右方向略中央部よりも左側(下流側)の左側の実装領域WAに搬送される。そして、左側の実装領域WAにおいて電子部品Eの実装作業がされた後、コンベアベルト15によって基台11の左側(下流側)に搬出されるようになっている。
【0037】
したがって、右側の実装領域WAと左側の実装領域WAとに搬送されるプリント基板Pの時期は、同期されている。
【0038】
複数の部品供給装置13は、
図1に示すように、基台11の上下方向両端部に一対配されている。各部品供給装置13は、フィーダ型とされ、各部品供給装置13には、複数のフィーダ16が左右方向に整列した状態で取り付けられている。各フィーダ16は、複数の電子部品Eが収容された部品供給テープをリールから引き出す図示しない電動式の送出装置などを有しており、フィーダ16の端部から電子部品Eが一つずつ供給されるようになっている。
【0039】
部品実装装置20は、
図1および
図2に示すように、ヘッド駆動装置40と、ヘッド駆動装置40に設けられた複数(本実施形態では4つ)のヘッドユニット30とを備えて構成されている。
【0040】
ヘッド駆動装置40は、基台11上において各ヘッドユニット30を前後左右に移動させるものである。ヘッド駆動装置40は、
図1および
図2に示すように、基台11の左右方向両側に配置された一対の縦軸フレーム41と、一対の縦軸フレーム41に支持された4つの横軸フレーム43とを備えて構成されており、各横軸フレーム43にヘッドユニット30が取り付けられている。
【0041】
一対の縦軸フレーム41は、前後方向に延びた形態をなしており、各縦軸フレーム41は、前後方向に2つ並んだヘッドユニット30に共通して設けられている。
【0042】
各縦軸フレーム41には、一対の横軸フレーム43が前後方向に移動可能に取り付けられた縦軸ガイドレール42と、縦軸フレーム41と各横軸フレーム43とに亘って設けられた縦軸リニアモータ51とがそれぞれ取り付けられており、縦軸リニアモータ51が通電制御されることで、各横軸フレーム43を縦軸フレーム41に沿うように前後方向に移動させることができるようになっている。
【0043】
また、前側に配された横軸フレーム43の前後方向の移動範囲は、基台11における前側の部品供給装置13上から基台11の前後方向略中央部までの範囲とされており、後側に配された横軸フレーム43の前後方向の移動範囲は、基台11における後側の部品供給装置13上から基台11の前後方向略中央部までの範囲とされている。
これにより、横軸フレーム43に取り付けられたヘッドユニット30が基台11の前後方向略中央部まで移動可能とされている。
【0044】
一方、各横軸フレーム43は、縦軸フレーム41から基台11の内側に向かって左右方向に延びる片持ち状をなしており、横軸フレーム43には、横軸フレーム43に沿って設けられた横軸ガイドレール44と、ボールナットが螺合された横軸ボールねじ45と、横軸ボールねじ45の端部に設けられた横軸サーボモータ52とが取り付けられている。
【0045】
横軸ガイドレール44には、ヘッドユニット30が左右方向に移動可能に取り付けられており、横軸サーボモータ52が通電制御されると、横軸ボールねじ45に沿ってボールナットが進退し、ボールナットに固定されたヘッドユニット30が横軸ガイドレール44を左右方向に移動するようになっている。
【0046】
また、ヘッドユニット30は、横軸フレーム43の縦軸ガイドレール42側の端部から基台11の中央側の端部まで移動可能とされており、左右方向に隣り合う2つのヘッドユニット30が、横軸フレーム43の中央側の端部まで移動した状態で横軸フレーム43が前後方向に移動した場合でも、ヘッドユニット30同士が接触しないようになっている。
【0047】
つまり、各ヘッドユニット30は、
図4に示すように、基台11上を前後左右に4分割したそれぞれの実装領域WA内を前後左右に移動可能とされている。そして、実装領域WAは、ヘッドユニット30毎に独立した占有領域OAとされているものの、各ヘッドユニット30におけるヘッドユニット本体31が隣り合う実装領域WA内に乗り入れることで、隣り合う実装領域WAの近傍まで実装領域を広げることができるようになっている。
なお、本実施形態では、基台11上を前後左右に4分割したそれぞれの実装領域WAがヘッドユニット30毎に独立した占有領域OAとされているが、縦軸ガイドレール42に取り付けられた各横軸フレーム43の前後方向の移動範囲を大きくすると共に、横軸フレーム43におけるヘッドユニット30の移動範囲を左右方向に大きくすることで、前後左右に隣り合う実装領域WAの端部に隣り合うヘッドユニット30が互いに実装可能な共有領域を設けた構成にすることもできる。
【0048】
ヘッドユニット30は、部品供給装置13から基台11上に供給される電子部品Eを取り出してプリント基板P上に実装するものであって、
図2に示すように、箱形状をなすヘッドユニット本体31と、ヘッドユニット本体31から下方に突出した複数の実装ヘッド32とを有している。
【0049】
複数の実装ヘッド32は、
図2に示すように、ヘッドユニット本体31の下端部から下方に突出した形態で左右方向に7つ並んで配されており、各実装ヘッド32は、上下方向に延びるノズルシャフト33と、ノズルシャフト33の下端部に着脱可能に取り付けられた略円筒状の吸着ノズル34とを有している。つまり、ヘッドユニット30は、いわゆるインライン型のヘッドユニット30とされている。
【0050】
吸着ノズル34には、ノズルシャフト33が上方から内部に嵌合可能とされており、吸着ノズル34内にノズルシャフト33が嵌合されると、ノズルシャフト33に設けられた図示しない弾性保持片と吸着ノズル34に設けられた図示しない保持突起とが係止することで、吸着ノズル34がノズルシャフト33に保持されるようになっている。
【0051】
そして、ノズルシャフト33に保持された吸着ノズル34には、ノズルシャフト33を通じてエア供給装置50から正圧および負圧が供給される。吸着ノズル34に負圧が供給されると、吸着ノズル34の下端部に電子部品Eを吸着保持することができ、吸着ノズル34に正圧が供給されると、吸着ノズル34から電子部品Eが解放することができるようになっている。
【0052】
また、吸着ノズル34は、小型の電子部品Eを吸着する吸着ノズル、大型の電子部品Eを吸着する大型吸着ノズルなどがあり、プリント基板Pに搭載する電子部品Eの種類や大きさに応じて吸着ノズル34を交換する。
【0053】
つまり、吸着ノズル34においてノズルシャフト33に保持される部分は、全ての吸着ノズル34において共通した形状となっており、各ヘッドユニット30のノズルシャフト33に共通して着脱可能な吸着ノズル34を共用ノズル34Aとして共用することもできるようになっている。
【0054】
また、各実装ヘッド32は、
図2に示すように、ヘッドユニット本体31においてノズルシャフト33毎に設けられた昇降サーボモータ53の駆動によって上下方向に昇降可能とされると共に、ヘッドユニット30に設けられたR軸サーボモータ54によって軸周りの回転動作が可能とされている。これにより、ヘッドユニット30は、部品供給装置13から供給される電子部品Eを吸着ノズル34によって吸着保持し、電子部品Eをプリント基板Pの実装位置に適切に配置することができるようになっている。
【0055】
なお、ヘッドユニット30には、基板認識カメラ46が設けられており、この基板認識カメラ46は、ヘッドユニット30を移動させることで、プリント基板Pなど、基台11上の任意の位置の画像を撮像することができるようになっている。また、基台11上における部品供給装置13の近傍には、部品認識カメラ17が複数設けられており、各部品認識カメラ17は、吸着ノズル34が部品供給装置13において保持した電子部品Eの画像を撮像することができるようになっている。
【0056】
一対のノズル交換装置60は、
図1に示すように、基板搬送路12と部品供給装置13との間にそれぞれ設けられている。
【0057】
各ノズル交換装置60は、
図1および
図3に示すように、複数のノズル収容孔62を有する平面視略矩形状のノズル格納ユニット61を有しており、複数のノズル収容孔62はノズル格納ユニット61において、前後左右に整列して配されている。また、各ノズル収容孔62は、上方に向けて開口する有底の円孔であって、ノズル収容孔62内には、吸着ノズル34が上方から収容可能とされている。
【0058】
ノズル格納ユニット61におけるノズル収容孔62には、
図6に示すように、左右方向に隣り合うヘッドユニット30において共用する共用ノズル34Aと、ヘッドユニット30においてそれぞれ専用に使用される吸着ノズル34である専用ノズル34Bとが収容可能とされている。また、吸着ノズル34に故障など不具合が生じた場合に備えて、予備の吸着ノズル34であるスペアノズル(「予備ノズル」の一例)34Cが収容可能とされている。
【0059】
詳細には、
図6に示すように、ノズル格納ユニット61の最前列のノズル収容孔62にスペアノズル34Cが配置されており、スペアノズル34Cよりも後方の部分では、左右方向略中央部を中心に右側(上流側)に右側のヘッドユニット30による使用頻度が高い右側専用ノズル34BR、左側(下流側)に左側のヘッドユニット30による使用頻度が高い左側専用ノズル34BLが配置され、左右方向略中央部に共用ノズル34Aが配置されている。
【0060】
また、ノズル交換装置60は、左右方向に隣り合う占有領域OAの間においてノズル格納ユニット61を左右方向に移動させるアクチュエータ部65を有している。
【0061】
アクチュエータ部65は、
図3に示すように、左右方向に対向する一対の位置決め部66と、一対の位置決め部66間において前後方向に対向した形態で配置された一対のガイド部67と、ノズル格納ユニット61の端部に固定された駆動部68とを備えて構成されている。
【0062】
一対のガイド部67間の寸法は、ノズル格納ユニット61の前後方向の長さ寸法とほぼ同じに設定されており、一対のガイド部67の間には、ノズル格納ユニット61を適合して配置することができるようになっている。
【0063】
一対の位置決め部66は、それぞれの両端部が、左右方向に隣り合うヘッドユニット30の占有領域OA内に配置されており、ノズル格納ユニット61の左右方向のいずれか一方の端部が位置決め部66に当接することで、
図3に示すように、ノズル格納ユニット61が位置決め部66によって占有領域OA内に位置決めされるようになっている。
【0064】
駆動部68は、ノズル格納ユニット61が先端に固定されたプランジャ69を左右方向駆動させる直動式のソレノイドであって、駆動部68のスイッチをオン状態にして通電すると、
図3に示すように、ノズル格納ユニット61が右側の位置決め部66に当接した右側交換位置WPRから左側の位置決め部66に当接した左側交換位置WPLまで左方に向かって移動する。そして、スイッチがオフ状態にされて駆動部68への通電が停止されると、駆動部68に設けられた図示しないばね部材によってプランジャ69が右側に向かって移動し、ノズル格納ユニット61が右側交換位置WPRに移動するようになっている。
【0065】
つまり、実装ヘッド32の吸着ノズル34を交換する場合、まず、後述するモータ制御部112がヘッドユニット30をノズル交換装置60の上方に移動させると共に、後述する交換装置制御部118がヘッドユニット30の下方にノズル格納ユニット61を移動させて交換する。
【0066】
具体的には、右前に配置されたヘッドユニット30において吸着ノズル34を交換する場合、
図3に示すように、前側のノズル交換装置60のノズル格納ユニット61が左側交換位置WPL(左前に配置されたヘッドユニット30の占有領域OA内)に配置されていると、交換装置制御部118は、モータ制御部112がヘッドユニット30を移動させる前に、アクチュエータ部65の駆動部68の通電を停止し、プランジャ69を右側に向かって移動させることでノズル格納ユニット61を右前のヘッドユニット30における占有領域OA内の右側交換位置WPRに移動させる。
【0067】
そして、吸着ノズル34を取り外す際には、モータ制御部112は、昇降サーボモータ53により実装ヘッド32のノズルシャフト33を降下させて吸着ノズル34をノズル収容孔62内にロックし、ノズルシャフト33を上昇させることで、ノズルシャフト33の弾性保持片と吸着ノズル34の保持突起との係止を解除し、ノズルシャフト33から吸着ノズル34を取り外す。
【0068】
一方、吸着ノズル34を取り付ける際には、ヘッドユニット30もしくはノズル格納ユニット61を移動させて交換用の吸着ノズル34が収容されたノズル収容孔62上にノズルシャフト33を配置し、モータ制御部112によってノズルシャフト33を降下させることで、ノズルシャフト33に交換用の吸着ノズル34を装着する。
【0069】
次に、表面実装機10の電気的構成について、
図5を参照して説明する。
【0070】
表面実装機10は、制御部110によって全体が制御統括されており、制御部110は、CPUなどにより構成される演算処理部111を備えている。演算処理部111には、モータ制御部112、記憶部113、画像処理部114、外部入出力部115、部品供給装置制御部116、管理装置通信部117、交換装置制御部118、操作部119などが接続されている。
【0071】
記憶部113には、電子部品Eなどを実装するための実装プログラム、電子部品Eの搭載順序および共用ノズル34Aの使用時期の決定などを決定し、ノズルの交換を行うノズル交換プログラム、各種データなどが記憶されている。各種データには、生産が予定されているプリント基板Pの生産枚数や品種に関する基板情報、部品供給装置13に収容された電子部品Eの数や種類に関する情報などが含まれている。
【0072】
画像処理部114は、基板認識カメラ46や部品認識カメラ17から出力される画像信号が取り込まれるようになっており、取り込んだ画像信号に基づいて画像を生成する。
【0073】
外部入出力部115は、いわゆるインターフェースであって、表面実装機10におけるエア供給装置50の圧力センサなどの各種センサ類47から出力される検出信号が取り込まれる。また、外部入出力部115は、演算処理部111から出力される制御信号をエア供給装置50や各種アクチュエータ類48に出力する。
【0074】
部品供給装置制御部116は、部品供給装置13に接続されており、部品供給装置13を統括して制御する。
【0075】
交換装置制御部118は、ノズル交換装置60に接続されており、ノズル交換装置60におけるアクチュエータ部65の駆動部68を制御し、左右方向に隣り合う占有領域OA内においてノズル格納ユニット61を移動させる。
【0076】
操作部119は、液晶モニタなどの図示しない表示装置、キーボードやマウスなどの図示しない入力装置などを備えており、作業者からの入力の受付や作業者への出力を行う。
【0077】
モータ制御部112は、記憶部113に記憶されている実装プログラムに基づいて、縦軸リニアモータ51、横軸サーボモータ52、昇降サーボモータ53、R軸サーボモータ54、基板搬送路12のコンベアベルト15などを制御し、電子部品Eを実装する。
【0078】
管理装置通信部117は、管理装置90と通信可能に接続されている。管理装置90は、管理装置通信部117を介して制御部110からの指令によって動作する。そして、管理装置90は、生産予定のプリント基板Pの種類および各ヘッドユニット30における共用ノズル34Aの使用時間に基づいて、プリント基板Pの生産順序、電子部品Eを実装する搭載順序、共用ノズル34Aの使用時期および吸着ノズル34の交換時期を、ノズル交換プログラムにより実装基板を生産する前に決定する。そして、モータ制御部112は、事前に決定された搭載順序や共用ノズル34Aの使用時期に基づいて実装プログラムにより、プリント基板Pに電子部品Eを実装する。
【0079】
以下に、ノズル交換プログラムによる電子部品Eの搭載順序および共用ノズル34Aの使用時期などの決定と、これに伴う吸着ノズル34の交換について説明する。
【0080】
例えば、生産予定のプリント基板Pが、
図1に示すように、同一の基板搬送路12において左右に並ぶ占有領域OAに同期して搬送され、左右方向に隣り合う各ヘッドユニット30において共用ノズル34Aを使用して電子部品Eを実装する場合、管理装置90は、各ヘッドユニット30により共用ノズル34Aを使用して電子部品Eを実装する共用ノズル使用時間Tcと、専用ノズル34Bを使用して電子部品Eを実装する専用ノズル使用時間Toとを算出する。なお、共用ノズル使用時間Tcには、ノズルシャフト33に装着された専用ノズル34Bを共用ノズル34Aに交換、もしくは共用ノズル34Aを専用ノズル34Bに交換する時間、すなわち、共用ノズル34Aの着脱時間も含まれるものとする。
【0081】
そして、管理装置90は、
図7に示すように、実装基板の生産過程において、隣り合うヘッドユニット30における共用ノズル使用時間(「使用時期」の一例)Tcが重複しないように、共用ノズル使用時間Tc同士をずらして割り当て、共用ノズル使用時間Tc以外の部分に専用ノズル使用時間Toを割り当てることで電子部品Eの搭載順序を決定する。
【0082】
言い換えると、隣り合うヘッドユニット30を1つのヘッドユニットとして捉え、実装基板の生産過程において、共用ノズル使用時間Tc同士が重複することに起因して共用ノズル34Aが使用できなくならないようにし、残りの生産時間に専用ノズル使用時間Toを割り当てて電子部品Eの搭載順序を決定する。
【0083】
さらに、管理装置90は、一方の占有領域OAから他方の占有領域OAまでノズル格納ユニット61を移動させる移動時間Tdを考慮し、共用ノズル使用時間Tc同士がノズル格納ユニット61の移動時間Td以上ずれるように、実装基板の生産時間内における電子部品Eの搭載順序を決定する。
【0084】
したがって、隣り合うヘッドユニット30においてノズル格納ユニット61や共用ノズル34Aの使用時期が重複することを抑制することができるようになっている。
【0085】
また、ノズル交換プログラムによる電子部品Eの搭載順序および共用ノズル34Aの使用時期の決定としては、例えば、前後に隣り合う基板搬送路12において複数種類の実装基板の生産を計画しており、複数種類のプリント基板Pの実装において共用ノズル34Aの大部分を使用する場合、管理装置90は、ノズル交換プログラムにより、共用ノズル34Aを使用するプリント基板Pを一方の基板搬送路12のみで使用するように電子部品Eの搭載順序を決定する。
そして、仮に、実装基板の生産時間などの関係により、前後に隣り合ういずれの基板搬送路12においても共用ノズル34Aを使用して実装基板を生産する必要がある場合、共用ノズル34Aの大部分を使用するプリント基板Pを前後に隣り合う基板搬送路12において同時期に使用しないようにし、共用ノズル34Aの大部分を使用するプリント基板Pを生産する基板搬送路12とは異なる基板搬送路12において共用ノズル34Aの使用が少ないプリント基板Pを生産するようにプリント基板Pの生産順序、電子部品Eの搭載順序を決定する。
【0086】
具体的には、例えば、A型プリント基板の実装時間Pa、B型プリント基板の実装時間Pb、C型プリント基板の実装時間Pcのそれぞれが共用ノズル34Aの大部分(4つの共用ノズル34Aのうち3つの共用ノズル34A)を使用し、D型プリント基板の実装時間Pd、E型プリント基板の実装時間Pe、F型プリント基板の実装時間Pfのそれぞれが共用ノズル34Aの使用が少ない(4つの共用ノズル34Aのうち1つの共用ノズル34A)場合について説明する。
上記のような場合、管理装置90は、
図8に示すように、A型プリント基板の実装時間Paと、D型プリント基板の実装時間PdおよびE型プリント基板の実装時間Peの一部とが同時期となり、B型プリント基板の実装時間PbとE型プリント基板の実装時間Peの一部とが同時期となるように、一方の基板搬送路12(
図8の下側の搬送路12)では、まずA型プリント基板、次にB型プリント基板の順に生産し、他方の基板搬送路12(
図8の上側の搬送路12)では、D型プリント基板、E型プリント基板の順に生産するように1日の総生産時間におけるプリント基板Pの生産順序と、電子部品Eの搭載順序を決定する。また、管理装置90は、F型プリント基板の実装時間PfとE型プリント基板の実装時間Peの一部およびC型プリント基板の実装時間Pcとが同時期となるように、一方の基板搬送路12(
図8の下側の搬送路12)において、B型プリント基板の生産後、F型プリント基板を生産し、他方の基板搬送路12(
図8の上側の搬送路12)において、E型プリント基板の生産後、C型プリント基板を生産するようにプリント基板Pの生産順序と、電子部品Eの搭載順序を決定する。
【0087】
これにより、隣り合うヘッドユニット30間においてノズル格納ユニット61や共用ノズル34Aの使用時期が重複することを抑制することができる。
つまり、隣り合う基板搬送路12においても、実装基板の1日の生産過程において、共用ノズル34Aの大部分を使用するプリント基板Pを生産する基板搬送路12とは異なる基板搬送路12において共用ノズル34Aの使用が少ないプリント基板Pを生産するように、プリント基板Pの生産順序と、電子部品Eの搭載順序を決定することで、隣り合うヘッドユニット30間においてノズル格納ユニット61や共用ノズル34Aの使用時期が重複することを抑制しつつ、実装基板の1日における総生産時間を短縮することができる。
【0088】
ところで、プリント基板Pの表面を前後に隣り合う一方の基板搬送路12において実装し、プリント基板Pの裏面を前後に隣り合う他方の基板搬送路12において実装することで、実装基板を完成させる場合、いずれか一方の面の実装が遅れると、実装基板が完成しなくなってしまう。
【0089】
そこで、例えば、プリント基板Pの表面を前後に隣り合う一方の基板搬送路12において実装し、プリント基板Pの裏面を前後に隣り合う他方の基板搬送路12において実装する場合であって、プリント基板Pの表面の実装時間Tfが裏面の実装時間Tbよりも長くなる場合、
図9に示すように、管理装置90は、ノズル交換プログラムにより、プリント基板Pの表面を実装する基板搬送路12側のヘッドユニット30の優先順位を、プリント基板Pの裏面を実装する基板搬送路12側のヘッドユニット30の優先順位よりも高くして、プリント基板Pの表面の実装終了時間Tfeと裏面の実装終了時間Tbeとがほぼ同じになるように電子部品Eの搭載順序を決定する。
【0090】
これにより、実装基板の表面の実装終了時間Tfeと裏面の実装終了時間Tbeとのバランスを調整し、実装基板の総生産時間が遅延することを抑制することができる。
【0091】
そして、仮に、プリント基板Pの裏面を実装する基板搬送路12において不具合が生じるなど、プリント基板Pの裏面の実装作業に遅れが生じる虞がある場合には、管理装置90は、
図10に示すように、プリント基板Pの裏面を実装する基板搬送路12側のヘッドユニット30の優先順位を、プリント基板Pの表面を実装する基板搬送路12側のヘッドユニット30の優先順位よりも高くするように変更(入れ替え)し、プリント基板Pの裏面の実装終了時間Tbeが表面の実装終了時間Tbfよりも大幅に遅延することを抑制する。
【0092】
そして、プリント基板Pにおける表面の実装終了時間Tfeと裏面の実装終了時間Tbeとがほぼ同じになるまでに、裏面の実装時間Tbの遅延が解消した場合には、管理装置90は、再度、前後に隣り合う基板搬送路12のヘッドユニット30の優先順位を入れ替える。
【0093】
これにより、隣り合う基板搬送路12間においてノズル格納ユニット61や共用ノズル34Aの使用時期が重複することを少なくすることができるようになっている。
【0094】
ところで、本実施形態によると、ノズル格納ユニット61にスペアノズル34Cが収容されているものの、ノズル格納ユニット61のスペアノズル34Cを全て使い切るなどスペアノズル34Cが不足した場合には、スペアノズル34Cが不足したことに伴って実装作業が停止してしまうことが懸念される。
【0095】
そこで、管理装置90は、ノズル格納ユニット61のスペアノズル34Cを全て使い切るなどスペアノズル34Cが不足した場合に、制御部110の指令により、ノズル交換プログラムにより、隣り合うヘッドユニット30が使用する専用ノズル34Bの一部を共用ノズル34Aに切り替えるように制御する。
【0096】
具体的には、
図6に示すように、ノズル格納ユニット61において、スペアノズル34Cを全て使い切った状態において、左側専用ノズル34BLと同じ種類の吸着ノズル34を右側のヘッドユニット30に装着する必要がある場合、管理装置90は、例えば、最後列の左から2番目の左側専用ノズル34BLを隣り合うヘッドユニット30が共通して使用する共用ノズル34Aとして利用できるように制御することができるようになっている。
【0097】
本実施形態は、以上のような構成であって、続いて、表面実装機10の作用および効果について説明する。
【0098】
本実施形態のノズル交換装置60によると、ノズル格納ユニット61を、交換を行うヘッドユニット30側に移動させて各ヘッドユニット30における実装ヘッド32の吸着ノズル34を交換することができるから、例えば、ノズル交換装置60をヘッドユニット30毎に設置する場合に比べて、ノズル交換装置60に関する部品点数を削減することができる。これにより、表面実装機10の生産コストを削減することができると共に、ヘッドユニット30毎にノズル格納ユニット61を設ける場合に比べて、表面実装機10が大型化することを抑制することができる。
【0099】
また、ノズル格納ユニット61には、隣り合うヘッドユニット30において共通して使用する共用ノズル34Aおよびスペアノズル34Cを収容しているから、使用頻度が低い吸着ノズル34やスペアノズル34Cを、それぞれのヘッドユニット30毎に設置する場合に比べて、使用頻度が低い吸着ノズル34やスペアノズル34Cの数を削減することができる。これにより、さらに、表面実装機10の生産コストを削減することができる。
【0100】
ところで、隣り合うヘッドユニット30においてノズル交換装置60を共用すると、ヘッドユニット30において吸着ノズル34を交換する際に、ノズル格納ユニット61が交換位置に配置されておらず、吸着ノズル34の交換に待ち時間が生じることが懸念される。
【0101】
ところが、本実施形態によると、制御部110の指令により、管理装置90は、表面実装機10において実装基板を生産する前に、生産予定のプリント基板Pの種類および各ヘッドユニット30における共用ノズル34Aの使用時間に基づいて、ノズル交換プログラムにより、電子部品Eを実装する搭載順序、共用ノズル34Aの使用時期および吸着ノズル34の交換時期を決定する。
【0102】
したがって、例えば、生産予定のプリント基板Pが、
図1、
図4および
図6に示すように、同一の基板搬送路12において左右に並ぶ占有領域OAに同期して搬送され、左右方向に隣り合う各ヘッドユニット30において共用ノズル34Aを使用して電子部品Eを実装する場合、隣り合うヘッドユニット30を1つのヘッドユニットとして捉える。そして、実装基板の生産過程において共用ノズル使用時間Tc同士が重複することに起因して共用ノズル34Aが使用できなくならないようにし、残りの生産時間に専用ノズル使用時間Toを割り当てて電子部品Eの搭載順序を決定する。
【0103】
また、管理装置90は、実装基板の生産過程において、共用ノズル使用時間Tc同士がノズル格納ユニット61の移動時間Td以上ずれるように電子部品Eの搭載順序を決定する。
【0104】
つまり、隣り合うヘッドユニット30におけるノズル格納ユニット61や共用ノズル34Aの使用時期が重複することを抑制し、ノズル格納ユニット61や共用ノズル34Aが使用できるまでの待ち時間を短縮する。これにより、ノズル交換に伴って各ヘッドユニット30における生産時間が遅延することを抑制することができる。ひいては、プリント基板Pに電子部品Eを搭載して実装基板を生産する総生産時間(全体の作業時間)を短縮することができる。
【0105】
また、本実施形態によると、例えば、前後に隣り合う基板搬送路12において複数種類の実装基板の生産を計画しており、複数種類のプリント基板Pの実装において共用ノズル34Aの大部分を使用する場合、共用ノズル34Aを使用するプリント基板Pを一方の基板搬送路12で使用するように電子部品Eの搭載順序を決定する。そして、仮に、前後に隣り合ういずれの基板搬送路12においても共用ノズル34Aを使用する必要がある場合には、
図8に示すように、共用ノズル34Aの大部分を使用するプリント基板Pを前後に隣り合う基板搬送路12において同時期に使用しないようにプリント基板Pの生産順序や電子部品Eの搭載順序を決定する。
つまり、前後に隣り合う基板搬送路12においても、各ヘッドユニット30においてノズル格納ユニット61や共用ノズル34Aの使用時期が重複することを抑制し、ノズル格納ユニット61や共用ノズル34Aの空きの待ち時間を短縮することができる。
【0106】
また、本実施形態によると、例えば、プリント基板Pの表面を前後に隣り合う一方の基板搬送路12において実装し、プリント基板Pの裏面を前後に隣り合う他方の基板搬送路12において実装する場合であって、プリント基板Pの表面の実装時間Tfが裏面の実装時間Tbよりも長くなる場合においても、
図9に示すように、プリント基板Pの表面を実装する基板搬送路12側のヘッドユニット30の優先順位を、プリント基板Pの裏面を実装する基板搬送路12側のヘッドユニット30の優先順位よりも高くなるように電子部品Eの搭載順序を決定し、プリント基板Pの表面の実装終了時間Tfeと裏面の実装終了時間Tbeとをほぼ同じにすることができる。
【0107】
そして、仮に、プリント基板Pの裏面を実装する基板搬送路12において不具合が生じるなど、プリント基板Pの裏面の実装作業に遅れが生じる虞がある場合には、
図10に示すように、管理装置90は、プリント基板Pの裏面を実装する基板搬送路12側のヘッドユニット30の優先順位を、プリント基板Pの表面を実装する基板搬送路12側のヘッドユニット30の優先順位よりも高くするように変更(入れ替え)し、プリント基板Pの表面の実装終了時間Tfeと裏面の実装終了時間Tbeとがほぼ同じになるまで裏面の実装終了時間Tbeの遅延が解消した場合、再度、前後に隣り合う基板搬送路12のヘッドユニット30の優先順位を入れ替える。これにより、プリント基板Pの裏面の実装終了時間Tbeが遅延することを抑制し、いずれか一方の面の実装が著しく遅れることに起因して実装基板の完成が著しく遅延することを抑制することができる。
【0108】
また、本実施形態によると、ノズル格納ユニット61にスペアノズル34Cが収容されているものの、ノズル格納ユニット61のスペアノズル34Cを全て使い切るなどスペアノズル34Cが不足した場合に、
図6に示すように、隣り合うヘッドユニット30が専用ノズル34Bとして使用する吸着ノズル34の一部を共用ノズル34Aに切り替えるから、スペアノズル34Cが不足したことに伴って実装作業が停止することを防ぐことができる。
【0109】
さらに、本実施形態のノズル格納ユニット61は、
図6に示すように、左右方向略中央部よりも右側(上流側)と左側とにそれぞれのヘッドユニット30において使用頻度が高い専用ノズル34Bを配置しているから、例えば、左右の専用ノズル34Bが反対側の隅に配置されていたり、共用ノズル34Aが一側に偏って配置されていたりする場合に比べて、ヘッドユニット30の移動距離を短くすることができ、表面実装機10の稼働時におけるヘッドユニット30の移動経路を短縮、ひいては、生産時間の短縮を図ることができる。
【0110】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0111】
(1)上記実施形態では、実装基板の生産過程において共用ノズル34Aの使用時期が重複しない構成とした。しかしながら、これに限らず、実装基板の生産過程において共用ノズルの使用時期の一部が重複してもよい。
【0112】
(2)上記実施形態では、ノズル交換装置60におけるノズル格納ユニット61が左右に移動する構成にした。しかしながら、これに限らず、ノズル格納ユニットが前後方向にも移動する構成にしてもよく、ノズル交換装置を各ヘッドユニットが互いに移動可能な共有領域に配置することで、ノズル交換装置のノズル格納ユニットを移動しないように固定した構成にしてもよい。
【0113】
(3)上記実施形態では、ノズル格納ユニット61に共用ノズル34Aやスペアノズル34Cを収容する構成にした。しかしながら、これに限らず、ノズル格納ユニットに専用ノズルのみを収容してもよく、専用ノズルと共用ノズルの双方のみを収容する構成にしてもよい。
【0114】
(4)上記実施形態では、部品実装装置20が4つのヘッドユニット30を有する構成とした。しかしながら、これに限らず、部品実装装置のヘッドユニットが1つや2つだけに構成されてもよく、3つや5つ以上であってもよい。
【0115】
(5)上記実施形態では、実装ヘッド32が左右に複数並んだインライン型のヘッドユニット30として構成とした。しかしながら、これに限らず実装ヘッドが円周上に並んだヘッドユニット、いわゆるロータリヘッドとして構成してもよい。
【0116】
(6)上記実施形態では、基台11上に基板搬送路12が前後に一対並んだ構成とした。しかしながら、これに限らず、基台上に基板搬送路が1つや2つだけ配置された構成にしてもよく、基台上に基板搬送路が3つや5つ以上配置された構成であってもよい。
【0117】
(7)上記実施形態では、プリント基板Pに電子部品Eを実装する表面実装機10として構成した。しかしながら、これに限らず、プリント基板にカバーなどの部品を実装する表面実装機として構成してもよい。
【0118】
(8)上記実施形態では、負圧が供給される吸着ノズル34によって電子部品Eを吸着して保持する構成とした。しかしながら、これに限らず、複数の保持爪によって電子部品などをチャックして保持する構成としてもよい。