特許第6869739号(P6869739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869739
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】インパクト工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20210426BHJP
   B25B 23/18 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   B25F5/00 B
   B25F5/00 Z
   B25B23/18
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-22415(P2017-22415)
(22)【出願日】2017年2月9日
(65)【公開番号】特開2018-126833(P2018-126833A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2019年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 竜之助
(72)【発明者】
【氏名】友永 聡
(72)【発明者】
【氏名】荒川 和哉
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−212800(JP,A)
【文献】 特開2013−146846(JP,A)
【文献】 特開2001−138266(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3100119(JP,U)
【文献】 特開2003−211374(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/119748(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B25B 21/00、23/18
B25D 11/00
B23B 45/00
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータが内部に収容される左ハウジング及び右ハウジングと、
前記左ハウジング及び前記右ハウジングの前方側に固定されるハンマケースと、
前記ハンマケースの内部に配置され、前記モータにより回転されるハンマと、
前記ハンマにより打撃されるアンビルと、
前記左ハウジング及び前記右ハウジングの一部として下方に延びるハンドル部と、
前記ハンドル部に収容された、前記モータへ給電するためのメインスイッチ本体部と、
前記メインスイッチ本体部の前方側に保持される、前記メインスイッチ本体部を操作するためのトリガと、
前記メインスイッチ本体部と前記ハンマケースの間に配置され、前記モータの回転方向を切り替える正逆切替スイッチと、
前記ハンマによる打撃力を切り替える打撃力変更操作部と、
を備えており、
前記トリガと前記ハンマケースの間であって前記正逆切替スイッチの前方側に、前記左ハウジング及び前記右ハウジングの一部として、前記打撃力変更操作部を入れる打撃力変更操作部設置部が形成されており、
前記打撃力変更操作部は、
後方への操作が可能である打撃力変更ボタンと、前記打撃力変更ボタンの前記後方への操作により前記打撃力を切り替えるための信号が発信される打撃力切替発信部と、を有しており、
前記打撃力変更操作部設置部に、前記打撃力変更ボタンの前部が露出する状態で入れられている
ことを特徴とするインパクト工具。
【請求項2】
前記ハンドル部の下端部は、バッテリを装着するバッテリ装着部となっており、
前記バッテリ装着部の上面には、前記打撃力を表示する表示部が配置される
ことを特徴とする請求項1に記載のインパクト工具。
【請求項3】
前記表示部には、前記ハンマによる前記打撃力を切り替える第2の打撃力変更操作部が配置される
ことを特徴とする請求項2に記載のインパクト工具。
【請求項4】
前記正逆切替スイッチと、前記打撃力変更操作部との間に、前記左ハウジングと前記右ハウジングとを合わせるためのネジが配置される
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載のインパクト工具。
【請求項5】
前記ハンマケースの外側に、弾性体で形成されたリング状のバンパが配置され、
前記打撃力変更ボタンは、前記バンパの後方側に配置される
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載のインパクト工具。
【請求項6】
前記打撃力変更ボタンの全体は、前後方向において、前記トリガの前端より前方に配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載のインパクト工具。
【請求項7】
前記打撃力変更ボタンの下端部の少なくとも一部は、露出していない
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れかに記載のインパクト工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インパクトドライバ等の電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に示されるように、ハンドル部の下端側に動作モードの切り替え操作の受付を行うスイッチパネルが設けられているインパクトドライバが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5627738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のインパクトドライバでは、スイッチパネルがハンドル部の下端側に設けられるため、使用者がスイッチパネルを確実に操作するためには、一方の手でインパクトドライバを支えつつ他方の手でスイッチパネルを操作する必要があり、操作の態様が限定され、操作性に限度がある。
本発明の主な目的は、操作性が一層良好であるインパクト工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的に鑑み、請求項1に記載の発明は、モータと、前記モータが内部に収容される左ハウジング及び右ハウジングと、前記左ハウジング及び前記右ハウジングの前方側に固定されるハンマケースと、前記ハンマケースの内部に配置され、前記モータにより回転されるハンマと、前記ハンマにより打撃されるアンビルと、前記左ハウジング及び前記右ハウジングの一部として下方に延びるハンドル部と、前記ハンドル部に収容された、前記モータへ給電するためのメインスイッチ本体部と、前記メインスイッチ本体部の前方側に保持される、前記メインスイッチ本体部を操作するためのトリガと、前記メインスイッチ本体部と前記ハンマケースの間に配置され、前記モータの回転方向を切り替える正逆切替スイッチと、前記ハンマによる打撃力を切り替える打撃力変更操作部と、を備えており、前記トリガと前記ハンマケースの間であって前記正逆切替スイッチの前方側に、前記左ハウジング及び前記右ハウジングの一部として、前記打撃力変更操作部を入れる打撃力変更操作部設置部が形成されており、前記打撃力変更操作部は、後方への操作が可能である打撃力変更ボタンと、前記打撃力変更ボタンの前記後方への操作により前記打撃力を切り替えるための信号が発信される打撃力切替発信部と、を有しており、前記打撃力変更操作部設置部に、前記打撃力変更ボタンの前部が露出する状態で入れられていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記ハンドル部の下端部は、バッテリを装着するバッテリ装着部となっており、前記バッテリ装着部の上面には、前記打撃力を表示する表示部が配置されることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記表示部には、前記ハンマによる前記打撃力を切り替える第2の打撃力変更操作部が配置されることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記正逆切替スイッチと、前記打撃力変更操作部との間に、前記左ハウジングと前記右ハウジングとを合わせるためのネジが配置されることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明において、前記ハンマケースの外側に、弾性体で形成されたリング状のバンパが配置され、前記打撃力変更ボタンは、前記バンパの後方側に配置されることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明において、前記打撃力変更ボタンの全体は、前後方向において、前記トリガの前端より前方に配置されていることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、上記発明において、前記打撃力変更ボタンの下端部の少なくとも一部は、露出していないことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の主な効果は、操作性が一層良好である電動工具を提供することができることにある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1形態に係るインパクトドライバの前方からの斜視図である。
図2図1の前面図である。
図3図1の右側面図である。
図4図1の中央縦断面図である。
図5図4の上部拡大図である。
図6図1の本体部とトリガの間に係る横断面図である。
図7図3のA−A断面図である。
図8図1のインパクトドライバに係る制御手段の主要部に関するブロック図である。
図9図8の制御手段による状態変更操作部の制御に係るフローチャートである。
図10】本発明の第2形態に係るインパクトドライバの図1相当図である。
図11】本発明の第2形態に係るインパクトドライバの図2相当図である。
図12】本発明の第2形態に係るインパクトドライバの図3相当図である。
図13】本発明の第2形態に係るインパクトドライバの図5相当図である。
図14図10における本体部の中央横断面図である。
図15図12のB−B断面図である。
図16】本発明の第2形態に係るインパクトドライバの図9相当図である。
図17】本発明の第3形態に係るインパクトドライバの後方からの斜視図である。
図18図17の後面図である。
図19】本発明の第3形態に係るインパクトドライバの図3相当図である。
図20】本発明の第3形態に係るインパクトドライバの図5相当図である。
図21】本発明の第3形態に係るインパクトドライバの図14相当図である。
図22図19のC−C断面図である。
図23】本発明の第4形態に係るインパクトドライバの図1相当図である。
図24】本発明の第4形態に係るインパクトドライバの図2相当図である。
図25】本発明の第4形態に係るインパクトドライバの図3相当図である。
図26】本発明の第4形態に係るインパクトドライバの図5相当図である。
図27】本発明の第4形態に係るインパクトドライバの図6相当図である。
図28図25のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態やその変更例が、適宜図面に基づいて説明される。
当該形態や変更例における前後上下左右は、説明の便宜上定めたものであり、作業の状況や移動する部材の状態等により変化することがある。
尚、本発明は、下記の形態や変更例に限定されない。
【0009】
[第1形態]
図1は電動工具の一例であって回転打撃工具の一例である、本発明の第1形態に係るインパクトドライバ1の前方からの斜視図であり、図2はインパクトドライバ1の前面図であり、図3はインパクトドライバ1の右側面図であり、図4はインパクトドライバ1の中央縦断面図(バッテリは断面でない)であり、図5図4の上部拡大図であり、図6はインパクトドライバ1の本体部とトリガの間に係る横断面図であり、図7図3のA−A断面図である。
インパクトドライバ1は、その外郭を形成するハウジング2を有している。
インパクトドライバ1は、中心軸を前後方向とする円柱状の本体部4と、本体部4の下部から下方へ突出するように形成されたハンドル部6を有する。尚、図3及び図4において右が前となる。
ハンドル部6は、使用者が把持する部分であり、ハンドル部6の上端部には、メインスイッチ7が配置されている。メインスイッチ7は、使用者により指先で引く操作が可能であるトリガ8と、トリガ8の操作によりオンオフが切り替わるメインスイッチ本体部9を有している。トリガ8は、メインスイッチ本体部9から突出しており、ハウジング2(ハンドル部6の上前部)から露出している。メインスイッチ本体部9は、ハウジング2内に配置されている。
【0010】
インパクトドライバ1の本体部4には、後側から順に、ファン10、モータ11、減速機構である遊星歯車機構12、スピンドル13、弾性部材であるコイル状のスプリング14、ハンマ16、及びアンビル17が、同軸に入れられ(配置され)ている。尚、各種のハウジングやケースにおける各種の部材の納入(配置)は、部材がハウジングやケースに完全に入る場合の他、部材の一部がハウジングやケースに入っており、残りの一部がハウジングやケースから突出あるいは露出している場合も適宜含んでいるものとする。
モータ11は、インパクトドライバ1の駆動源であり、その回転は、スピンドル13に伝達される。そして、スピンドル13の回転力はハンマ16等(打撃機構部)によって回転打撃力(回転力及び打撃力の少なくとも一方)に適宜変換され、スピンドル13とハンマ16の間に渡されるスプリング14の緩衝を適宜受けつつ、出力軸としてのアンビル17に伝えられる。アンビル17は、回転打撃力を受けて軸周りに回転可能な部材であり、図示されないビット(先端工具)を受け入れる。当該ビットとして、ドライバを用いることができ、インパクトドライバ1は、ネジ締めに用いることができる。
【0011】
ハウジング2は、半割状の左モータハウジング18及び右モータハウジング19と、リヤカバー20と、筒状のハンマケース21を有している。左モータハウジング18は、複数のネジボス部22,22・・を有しており、右モータハウジング19は、ネジボス部22,22・・に対応するネジ孔を有している。左モータハウジング18及び右モータハウジング19は、ネジ孔とネジボス部22,22・・に入るネジ23,23・・により、合わせられている。
左モータハウジング18と右モータハウジング19は、本体部4後部(後端部を除く)からハンドル部6に亘っている。左モータハウジング18と右モータハウジング19における、本体部4の後端部に隣接する部分は、開口部となっている。
リヤカバー20(本体部4外郭部分)の後部の両側には、上下に並ぶ排気口24,24・・が設けられており、排気口24,24・・の前方であって、左モータハウジング18と右モータハウジング19の後部両側(本体部4外郭部分)の上下には、前後に並ぶ吸気口25,25・・が設けられている。
リヤカバー20は、上下左右に広がっており、左モータハウジング18と右モータハウジング19における開口部を覆う(本体部4の後端部に配置される)状態で、図示されないネジにより止められている。
ハンマケース21は、前部が後部に対して縮径した釣鐘状の部材であり、本体部4の前部の外郭を形成している。ハンマケース21の後部は、本体部4における左モータハウジング18と右モータハウジング19の前端部に形成された開口部内に入っている。
ハンマケース21の前後方向中央部の外側には、筒状のカバー26が配置されており、ハンマケース21の前端部外側には、弾性体で形成されたリング状のバンパ27が配置されている。
【0012】
本体部4とハンドル部6の間であって、トリガ8の後方には、モータ11の回転方向を切り替えるスイッチである正逆切替レバー28が、ハウジング2を左右に貫通するように設けられている。
【0013】
ハンドル部6の下端部は、その上部に対して外方へ広がるバッテリ装着部29となっており、バッテリ装着部29の下方には、バッテリボタン30により着脱可能であるバッテリ31が保持されている。バッテリ31は、14.4V(ボルト)のリチウムイオンバッテリであって、樹脂製のバッテリケース内に、図示されないセルを8個内包するものである。セルは、軸方向に長い円柱状であり、左右方向を向いている。
バッテリ装着部29の内部には、回路基板を含むコントローラ33が入れられている。コントローラ33には、モータ11の変速を行うためのスイッチング素子が搭載されている。
バッテリ31は、上面にバッテリ端子部を有しており、前上部に隆起部34を有している。バッテリ31は、バッテリ装着部29の前から後方へスライドさせることで装着される。装着時、隆起部34の後部がバッテリ装着部29の前部に当たり、バッテリ端子部がバッテリ装着部29に組み込まれたターミナル35に接触する。ターミナル35は、コントローラ33と電気的に接続されている。又、装着時、図示されない弾性部材により上方に付勢され、バッテリ31の他の部分の上面から突出したバッテリ爪36が、バッテリ装着部29下前部に設けられた上方に窪むバッテリ装着凹部37に入る。一方、バッテリ31を外す場合、バッテリ爪36の弾性部材とつながるバッテリボタン30を操作し、バッテリ爪36をバッテリ装着凹部37から外れた状態としながら、バッテリ31を前方にスライドさせる。
【0014】
ハウジング2の下端部であって、バッテリ装着部29の上部の左右には、フック38を取付可能であるフック用溝39が設けられている。一方のフック用溝は、左モータハウジング18において形成されており(図示されない)、他方のフック用溝39は、右モータハウジング19において形成されている。フック38は、ネジ40により取り付けられている。
又、ハウジング2の下端部であって、バッテリ装着部29の後部には、ストラップ42が取り付けられている。ストラップ42の一端にはループ状のストラップ取付ループが形成されており、そのストラップ取付ループは後下のネジボス22に入れられる。ストラップ42におけるストラップ取付ループ以外の部分は、長いループ状のストラップループとなっている。
【0015】
更に、ハウジング2の下端部であって、バッテリ装着部29の前上部(ハンドル部6の広がった下部の前側上面部)には、操作パネル44が設けられている。
操作パネル44は、コントローラ33と電気的に接続されており、ハンマ16による打撃力の大きさを切り替える打撃力切替ボタン46と、自動変速モードにするか否かを切り替える自動変速モード切替ボタン48と、表示部49(図8)を有している。
表示部49は、現在の打撃力の表示を行う打撃力表示部や、バッテリ31の残量の表示を行うバッテリ残量表示部、自動変速モードであるか否かの表示を行う自動変速モード表示部を有している。
【0016】
モータ11は、ブラシレスモータ(ブラシレスDCモータ)であり、左モータハウジング18及び右モータハウジング19(本体部4後部)内に入れられている。モータ11は、左モータハウジング18及び右モータハウジング19内において内方に立てられたリブ内に配置される円筒状のステータ51と、ステータ51の内側に配置されるロータ52を備えている(インナーロータ)。
ステータ51は、軸方向が前後方向であり内方に突出する複数(6個)の内歯を有する円筒状の固定子鉄心54と、固定子鉄心54の前後に設けられる前絶縁部材56及び後絶縁部材58と、前絶縁部材56及び後絶縁部材58を介して固定子鉄心54の内歯にそれぞれ巻かれる複数の駆動コイル60,60・・とを有する。又、前絶縁部材56には、センサ基板62がネジ63,63・・で固定されている。センサ基板62の前面には、3個の図示されない磁気センサが固定されている。更に、前絶縁部材56の前面周縁には、各駆動コイル60とセンサ基板62を電気的に接続する接点としての図示されないコイル接続部が、合計6個設けられている。それらコイル接続部は、下方に突出した端子部64と電気的に接続されており、端子部64には図示されないリード線の一端が接続されていて、リード線の他端は、コントローラ33に接続されている。
ロータ52は、回転軸(ロータ軸)であるモータ軸66と、モータ軸66の周囲に配置された円筒状の回転子鉄心68と、回転子鉄心68の外側に配置されており、筒状で周方向に極性を交互に変えた永久磁石70,70・・と、これらの前側(ステータ51のセンサ基板62側)において放射状に配置された複数の図示されないセンサ用永久磁石とを有する。回転子鉄心68と、各永久磁石70と、センサ用永久磁石は、ロータアッセンブリを構成する。ロータアッセンブリにおける永久磁石70,70・・及びセンサ用永久磁石は、一体で構成することにより、4個の板状の永久磁石にすることも可能である。
モータ軸66における回転子鉄心68の前側には、筒状で樹脂製のスリーブ72が設けられている。スリーブ72の前方に、モータ軸66の前部の周りに配置されるモータ前軸受74が設けられている。モータ前軸受74は、ベアリングリテーナ75の後部の開口部内において取り付けられている。モータ前軸受74の前側であって、モータ軸66の先端部には、ピニオンギヤ76が、モータ軸66と一体に固定されている。他方、モータ軸66の後端部は、モータ後軸受77によって回転可能に支持されている。モータ後軸受77は、リヤカバー20の内側中央部において保持されている。
【0017】
モータ軸66の後部周辺には、ファン10が配置されている。ファン10は、複数枚の羽根を有する遠心ファンであり、ファンスリーブ78を介してモータ軸66に一体に固定されている。
ファン10の外方には、排気口24,24・・が位置している。
尚、ファン10やその一部は、モータ11の構成要素とすることも可能である。
【0018】
遊星歯車機構12は、内歯を有するリング状の内歯ギヤ80と、内歯ギヤ80に噛み合う外歯を有する複数の遊星歯車82,82・・と、各遊星歯車82の軸である各ピン84を含む。
内歯ギヤ80は、ハンマケース21の後端部の開口部内において回転不能に取り付けられている。
各遊星歯車82は、内歯ギヤ80の内方に配置される。
各ピン84は、前後方向を軸方向とする円柱状である。
各遊星歯車82は、対応するピン84の周りで回転可能である状態で、ピン84に周設される。
【0019】
スピンドル13は、その後部において、中空の円盤状部90を備えている。円盤状部90は、スピンドル13の他の部分に対して、外方(上下左右)に突出しており、径が他の部分より大きくなっている。円盤状部90の前面には、スプリング14のリング状に形成された後端が当たっている。又、スピンドル13の後端部は、円盤状部90の後面から後方に円筒状に突出した状態となっており、その外側には、ベアリングリテーナ75の中央部内に取り付けられたスピンドル軸受94が配置されていて、スピンドル13を回転可能に支えている。
ベアリングリテーナ75は、後部の円筒状内面と、これより径の大きい中央部の円筒状内面と、更に径の大きい前部の円筒状内面を有しており、これら内面はつながっている。ベアリングリテーナ75の中央部と後部の間には、左モータハウジング18及び右モータハウジング19の内部に形成されたハウジングリブ96が入っている。又、ベアリングリテーナ75は、中央部と前部の間において、外方へ突出するリテーナリブ98を備えており、リテーナリブ98は、ハンマケース21の後端部とハウジングリブ96の前面とで挟まれている。更に、ベアリングリテーナ75の前部は、ハンマケース21の後端部内側と内歯ギヤ80の外面とで挟まれている。
スピンドル軸受94の内径は、ベアリングリテーナ75により保持されるモータ前軸受74の内径より大きくなっている。又、スピンドル軸受94の後面は、モータ前軸受74の前面より前にあり、スピンドル軸受94とモータ前軸受74は前後方向において互いにずれた状態で配置されている。よって、スピンドル13からスピンドル軸受94に伝わった力が、モータ前軸受74に伝わり難くなり、モータ前軸受74やモータ11が長寿命になる。
スピンドル13の内部には、内孔100が開けられている。内孔100は、スピンドル13を貫いており、前部は細く、後部は前部より太くなっている。内孔100の後部は、円盤状部90の中空部とつながっている。内孔100の後部には、モータ軸66の先端部やピニオンギヤ76が入っており、円盤状部90の内部には、ピン84,84・・が固定されていて遊星歯車82,82・・が配置されており、ピニオンギヤ76と遊星歯車82,82・・が噛み合っている。
【0020】
ハンマ16は、後面から前方へ筒状に窪む窪み101を有しており、窪み101には、スプリング14の前部が入っていて、窪み101の底(前端)には、複数のスプリングボール102,102・・及びハンマワッシャ104を介して、スプリング14のリング状に形成された前端が配置されている。
尚、ハンマ16とスピンドル13の前部との間には、打撃時にハンマ16を主に前後方向に案内するハンマボール106,106が介装されている。
【0021】
ハンマ16前側のアンビル17は、前部の周囲において、チャック112を備える。
アンビル17は、放射方向にそれぞれ延びる一対の延設部114,114を、後部に有している。
延設部114,114の前側には、アンビル17を軸周りに回転自在に支持するアンビル軸受116が設けられている。アンビル軸受116は、ハンマケース21の前端部内壁に取り付けられる。
又、アンビル17の後端部中央であって、延設部114,114の内部には、前方へ開けられた後穴が設けられており、その後穴には、スピンドル13の前端部に形成された凸部118が入っている。スピンドル13の回転は、ハンマ16を介してアンビル17に伝達され、よってハンマ16、スピンドル13ないし遊星歯車機構12は、アンビル17に動力を伝達する動力伝達機構を構成する。動力伝達機構は、本体部4(ハンマケース21)内に入れられている。動力伝達機構における主な動力伝達方向は、前後方向を軸とした回転方向である。
アンビル17の内部には、アンビル17の前端から後方へ向かうアンビル穴120が開けられている。アンビル穴120は、図示されないビットを受け入れる。
【0022】
チャック112は、アンビル穴120に受け入れたビットを固定する。
チャック112は、チャックスリーブ122と、チャックスプリング124と、チャックワッシャ126と、チャックスプリング止め127と、複数のチャックボール128,128を有する。
チャックスリーブ122は、円筒状の部材であり、アンビル17の前部外径より大きい内径を有する、前端から中央部に亘り開けられたチャック前穴部130と、アンビル17の前部外径と同等の内径を有し、チャック前穴部130に対して内方に突出するチャックボール押さえ部132を有する。
チャックスプリング124は、チャック前穴部130に入れられている。
チャックワッシャ126は、チャック前穴部130前端部内であってチャックスプリング124の前側に配置されている。
チャックスプリング止め127は、C字状の部材であり、チャックワッシャ126の前側に配置された状態で、アンビル17の先端部外面に固定されている。チャックスプリング止め127は、チャックワッシャ126を介して、チャックスプリング124をチャック前穴部130内に収めている。
チャックボール128,128は、アンビル穴120の径方向の線上で並ぶように配置され、アンビル穴120内に露出していると共に、チャックスリーブ122のチャックボール押さえ部132に接触可能である。
チャックスリーブ122は、チャックスプリング124の弾性力を受けつつ前に引かれると、チャックボール押さえ部132が各チャックボール128から離れて、各チャックボール128が径方向外側に大きく移動可能になり、ビット挿入時に各チャックボール128がアンビル穴120内から退いて、ビットがアンビル穴120に挿入可能となり、ビットが装着可能となる。そして、ビットの後部を入れた状態で、チャックスリーブ122を後方に戻すと、チャックボール押さえ部132が各チャックボール128に接触して各チャックボール128を内方に押し、ビットを押さえてアンビル17に対して固定する。
【0023】
そして、本体部4の下部(ハンマケース21やバンパ27の下側)であって、トリガ8の上側であり、正逆切替レバー28の前方には、状態変更操作部140が設けられている。
状態変更操作部140は、使用者により押下操作可能な状態切替スイッチとしての状態切替ボタン142と、状態切替ボタン142の操作により各種の状態等を切り替えるための信号が発信される状態切替発信部144と、を有している。
状態変更操作部140は、状態切替ボタン142の前部が露出する状態で、左モータハウジング18及び右モータハウジング19における本体部4の前端部の下部に形成された状態変更操作部設置部146に入れられている。
又、状態変更操作部140は、放射方向において左モータハウジング18及び右モータハウジング19とハンマケース21とがオーバーラップする部分に配置されており、状態切替ボタン142は、ハンマケース21の外側に配置されている。
状態変更操作部140(状態切替発信部144)は、図示されないリード線によって、コントローラ33と接続されている。
【0024】
図8には、インパクトドライバ1の制御手段の主要な構成が示される。
コントローラ33は、各種の要素を制御する制御部150を備えている。
制御部150は、メインスイッチ本体部9と接続されており、モータ11を制御する。メインスイッチ本体部9は、トリガ8の引き込み量に応じ、例えば第1の引き込み量以上の引き込みでオンとなり、第1の引き込み量未満でオフとなる。制御部150は、メインスイッチ本体部9のオンオフに従い、モータ11をオンオフする。
又、メインスイッチ本体部9は、第1の引き込み量から、更に引き込んだ位置(例えば最大引き込み位置)における第2の引き込み量までの引き込み量に応じた信号を発信し、制御部150は、その信号(トリガ8の引き込み量)に応じ、引き込み量が多い程回転速度が高速となるようにモータ11を制御して、モータ11の回転速度を変更する。制御部150は、トリガ8が第2の引き込み量まで最大に引き込まれると、モータ11を、現在の打撃力の設定に係る最高速度となるように駆動する。従って、メインスイッチ7は、モータ11の回転速度を変更する回転速度変更操作部として捉えることもできる。
【0025】
又、制御部150は、操作パネル44における打撃力切替ボタン46や自動変速モード切替ボタン48の切替状態を把握し、切替状態に応じ、モータ11の駆動や表示部49における表示等を制御する。
制御部150は、打撃力切替ボタン46が押下される毎に、打撃力の設定を「最速」,「強」,「中」,「弱」の4段階で順次切り替える。制御部150は、打撃力の設定が「最速」である場合、モータ11駆動時の最高速度を4段階中最速の状態とし、ハンマ16による打撃力を4段階中最高とする。又、制御部150は、打撃力の設定が「強」,「中」,「弱」である場合、モータ11駆動時の最高速度を4段階中2,3,4番目とし、ハンマ16による打撃力を4段階中2,3,4番目とする。加えて、制御部150は、表示部49(打撃力表示部)における表示を行う。例えば、制御部150は、4個のランプ(LED)を含む打撃力表示部において、打撃力の設定が「最速」,「強」,「中」,「弱」であると、順にランプを4,3,2,1個点灯する。
他方、制御部150は、自動変速モード切替ボタン48が押下される毎に、自動変速モードとしたりこのモードを解除して通常モードとしたりする。制御部150は、自動変速モードである場合、現在の打撃力の設定にかかわらず、モータ11の速度について、予め入力されたプログラムに従い自動で変更する。又、制御部150は、表示部49(自動変速モード表示部)における表示を行う。例えば、制御部150は、1個のランプ(LED)を含む自動変速モード表示部において、自動変速モードであるとランプを点灯し、通常モードであるとランプを消灯する。
【0026】
更に、制御部150は、状態変更操作部140の操作状態を把握し、各種のモードに係る状態の変更を制御する。
図9に示されるように、インパクトドライバ1の制御部150では、打撃力切替ボタン46に係る制御と同様に、状態変更操作部140に関する制御がなされる。尚、処理のステップは適宜Sと省略される。
即ち、制御部150は、バッテリ31が接続されると、モータ11駆動時の最高速度を4段階中最速の状態に設定することで、ハンマ16による打撃力を4段階中最高である「最速」に設定する(S1)。
そして、制御部150は、状態切替ボタン142が押されて状態切替発信部144が切り替わると(S2でYes)、モータ11駆動時の最高速度を4段階中2番目に速い状態に設定することで、ハンマ16による打撃力を4段階中上から2番目の「強」に設定する(S3)。
更に、制御部150は、状態切替ボタン142が押されて状態切替発信部144が切り替わると(S4でYes)、モータ11駆動時の最高速度を4段階中3番目に速い状態に設定することで、ハンマ16による打撃力を4段階中下から2番目の「中」に設定する(S5)。
又更に、制御部150は、状態切替ボタン142が押されて状態切替発信部144が切り替わると(S6でYes)、モータ11駆動時の最高速度を4段階中最も遅い状態に設定することで、ハンマ16による打撃力を4段階中下から1番目の「弱」に設定する(S7)。
加えて、制御部150は、状態切替ボタン142の押下を待機し(S8)、押下があると打撃力が再び「最速」に設定される(S1に戻る)。
合わせて、制御部150は、上述の通り、表示部49(打撃力表示部)における打撃力の表示を行う。
【0027】
このようなインパクトドライバ1の動作例が説明される。
使用者がハンドル部6を把持してトリガ8を引くと、メインスイッチ本体部9における切替により、バッテリ31からモータ11への給電がなされ、モータ11がトリガ8の引き込み量に応じた速度で駆動される。よって、トリガ8は、メインスイッチ本体部9を介してモータ11のオンオフを切替えるものであり、モータ11のオンオフを操作するスイッチ操作部であって、トリガ8とメインスイッチ本体部9はモータ11のメインスイッチ7を構成する。
センサ基板62の磁気センサにより把握されたロータ52の回転位置に応じ、コントローラ33のスイッチング素子が各駆動コイルのスイッチングを行って、ロータ52(モータ軸66)が回転する。
モータ軸66の回転により、ファン10が回転して排気口24,24・・から空気が排気され、吸気口25,25・・から排気口24への空気の流れが形成される。空気の流れによって、モータ11を始めとするインパクトドライバ1の内部機構が冷却される。
更に、モータ軸66の回転力は、遊星歯車機構12により減速されてスピンドル13に伝わり、スピンドル13の回転力は、ハンマ16を介してアンビル17に伝わる。
又、スピンドル13は、アンビル17において所定閾値以上のトルクを受けた場合に、ハンマ16を前後に揺動(打撃)するように案内する。打撃時において、スプリング14は、その弾性力によりハンマ16を各打撃毎に復帰させる。
更に、使用者は、ハンドル部6を人差し指以外で把持してトリガ8の上の状態変更操作部140を人差し指で押すことができ、状態変更操作部140が押される毎に、制御部150が状態切替発信部144の切替を把握して、打撃力の設定を順次切り替える。
【0028】
以上のインパクトドライバ1は、モータ11と、モータ11が配置される本体部4と、本体部4から下方に延びるハンドル部6と、ハンドル部6(上部)に設けられた、モータ11のオンオフを切り替えるメインスイッチ7と、本体部4の下部前端部であって、メインスイッチ7の上方に設けられた、モータ11に係る回転状態(打撃力)を変更する状態変更操作部140と、を備えている。よって、使用者は、片方の手でインパクトドライバ1を握りつつもう片方の手で状態変更操作部140を操作することの他、片方の手の人差し指以外でハンドル部6を握りつつその人差し指で状態変更操作部140を操作することができ、インパクトドライバ1では片方の手のみで状態変更操作部140が操作されて打撃力が切替可能となって、操作性が一層良好になる。
加えて、状態変更操作部140は、メインスイッチ7の前方に配置されている。よって、片手でハンドル部6を保持しながらの状態切替ボタン142の操作が、人差し指等の前方の指で行えて、より一層容易である。
又、インパクトドライバ1は、モータ11と、モータ11が配置される本体部4と、本体部4から下方に延びるハンドル部6と、ハンドル部6の上部に設けられた、モータ11のオンオフを切り替えるメインスイッチ7と、本体部4の前端部であって、メインスイッチ7の上方に設けられた、モータ11に係る回転状態(打撃力)を切り替える状態切替ボタン142と、を備えている。よって、インパクトドライバ1では、片方の手のみで前端部の状態切替ボタン142が操作されることで打撃力が切替可能となって、操作性が一層良好になる。
更に、インパクトドライバ1の状態切替ボタン142は、本体部4の下部に設けられている。よって、状態切替ボタン142がハンドル部6の隣接箇所に配置され、片手でハンドル部6を保持しながらの状態切替ボタン142の操作が、より一層容易である。
【0029】
尚、本発明の形態は上記第1形態に限定されず、例えば第1形態は次のような変更例を適宜有する。
メインスイッチやトリガがハンドル部の上部であって上端部以外に配置され、状態変更操作部がハンドル部の上端部に設けられても良い。この場合であっても、メインスイッチに係る操作性を維持しながら、状態変更操作部を片手で操作し易くすることができる。
打撃力の段階は、増減することができる。打撃力の切替は、「弱」から順に強くなるようにしても良い。打撃力の切替と自動変速モードの切替が融合され、例えば「最速」、「強」、「中」、「弱」、「自動変速モード」の順で切り替えられても良い。
操作パネルにおける各種の表示部の少なくとも何れかが省略されたり、他の種類の表示部が追加されたり、表示部やボタンの位置が操作パネル外等に変更されたりしても良い。自動変速モードやその切替ボタンが省略されても良い。自動変速モード以外の他のモードが設けられても良い。
操作パネルや打撃力切替ボタンが省略され、状態変更操作部のみで打撃力が変更されても良い。
状態変更操作部は、状態切替ボタンや状態切替レバー等といった、打撃力の段階等を切り替える状態切替スイッチであっても良いし、状態変更ダイヤル等といった、打撃力等を無段階あるいは連続的に変更するものであっても良い。又、状態変更操作部は、打撃力の段階等を切り替え、又は打撃力等を無段階あるいは連続的に変更するタッチパネルとされても良い。
状態切替ボタンを始めとする各種のスイッチやその発信部(スイッチ本体部)は、ボタンの押下により切り替えられるものに代えて、レバーを操作するトグルスイッチや、ロッカースイッチ、ディップスイッチ、接触センサによるスイッチ等、他の形式のものとすることができる。メインスイッチについても、トリガの引き込み以外の形式のものが用いられても良い。メインスイッチは、モータの回転速度を変更せず、モータのオンオフのみ切り替えるものであっても良い。スイッチやダイヤルと、発信部(スイッチ本体部)とは、一体であっても良い。スイッチやダイヤル等に係る信号は、可変抵抗の抵抗値等であっても良い。
モータを制御するモータ制御部とスイッチを制御するスイッチ制御部をハードウェア上で分けても良い。
【0030】
遊星歯車機構に関し、ピンをキャリアへ挿入することに代えて、あるいはこれと共に、突起の孔への挿入や、爪同士の係止等として良い。又、ピンを挿入する孔は、有底の穴とされても良い。
遊星歯車機構は、他の減速機構に変更されても良いし、省略されても良い。
モータは、ステータの外側にロータが配置されたアウターロータ型のものであっても良い。又、モータはブラシレスモータ以外のモータであっても良い。6個のスイッチング素子はコントローラではなくセンサ基板上に配置しても良い。又、スイッチング素子や駆動コイル、センサ用永久磁石や磁気センサ等の数は、適宜増減することができる。センサ基板は、後絶縁部材の後方に配置させた状態で、後絶縁部材にネジ止めすることも可能である。
モータ軸とアンビルの間に1又は2以上の中間軸が介装されても良い。
【0031】
バッテリは、10.8V、18V(最大20V),18V,25.2V,28V,36V等の任意のリチウムイオンバッテリを用いても良いし、10.8V未満あるいは36Vを超える電圧のリチウムイオンバッテリを用いても良いし、他の種類のバッテリを用いても良い。
ハウジングの区分の数や遊星歯車の設置数、増速機構の段数や吸排気口の数を増減したりする等、各種の部材や部分の数や配置、材質、大きさ、形式等を適宜変更することができる。
ギヤケースを採用し、ハンマ及びアンビルを省略して、更に例えば2段階の遊星歯車機構等の減速機構部を配置して、減速機構部の出力軸をギヤケースから前方へ突出させて、先端工具を保持する先端工具保持部を出力軸の前部に固定することにより、充電式のドライバドリル又は振動ドライバドリルとすることも可能である。
又、出力軸(先端工具保持部)の方向が軸方向(モータのモータ軸の方向やその回転力を伝達する機構の伝達方向)と異なる(略90度となる)充電式アングル電動工具にも、本発明を適用することができる。
更に、インパクトレンチ、スクリュードライバ、ハンマドリル、レシプロソーや、他の充電式の電動工具、商用電源に接続する電動工具、又はクリーナ、ブロワ、あるいは園芸用トリマをはじめとする園芸工具等に、本発明を適用することができる。
【0032】
[第2形態]
図10は本発明の第2形態に係るインパクトドライバ201の前方からの斜視図であり、図11はインパクトドライバ201の前面図であり、図12はインパクトドライバ201の右側面図であり、図13はインパクトドライバ201の中央縦断面図の上部拡大図であり、図14はインパクトドライバ201の本体部204の中央横断面図であり、図15図12のB−B断面図である。
インパクトドライバ201は、本体部の前部の構成を除いて第1形態のインパクトドライバ1と同様に成る。以下、同様の構成要素については、第1形態と同じ符号が付され、適宜説明が省略される。
【0033】
インパクトドライバ201の本体部204の下部の前端部には、第1形態の状態変更操作部140と同様に成る、状態変更操作部240が配置されている。状態変更操作部240は、状態切替スイッチとしての状態切替ボタン242と、状態切替発信部245を備えている。
尚、第1形態に係る図では現れていなかった、リヤカバー20固定用のネジ208が、図14において現れている。
【0034】
インパクトドライバ201の本体部204の前部の左右であって、ハウジング202に係る左ハウジング218の前端部及び右ハウジング219の前端部(カバー26の後側)には、一対のライト210が設けられている。ハウジング202における各ライト210の設置部は、左右方向外方に突出するライト設置部209となっている。
各ライト210は、発光部材であるLED212と、LED212を搭載するライト基板214を備えている。
各LED212は、発光部と端子部を有しており、発光部は、ハウジング202から前方へ露出している。各LED212の端子部は、ライト基板214を介して、コントローラ33に電気的に接続されている。
【0035】
各ライト210(各LED212)は、コントローラ33(制御部150)により、例えば図16に示されるように制御される。
【0036】
即ち、図16(a)に示されるように(ライト切替)、制御部150は、バッテリ31が接続されると、ライト210の点灯状態を消灯に設定し、LED212を発光させない(S11)。
そして、制御部150は、状態切替ボタン242が押されて状態切替発信部245が切り替わると(S12でYes)、ライト210の点灯状態を点灯に設定し、各ライト基板214を介して各LED212に電力を供給し、各LED212を発光させる(S13)。
加えて、制御部150は、状態切替ボタン242の押下を待機し(S14)、押下があると(Yes)、ライト210の点灯状態が再び消灯となる(S11に戻る)。
尚、インパクトドライバ201の操作パネル244は、第1形態の操作パネル44に対して、ライト切替ボタン247が追加されて成る。制御部150は、ライト切替ボタン247への入力によっても、点灯状態を現在の状態とは別の状態に切り替える。操作パネル244に、ライト210の点灯状態に関する表示部が設けられても良い。
【0037】
又、図16(b)に示されるように(正逆回転切替)、制御部150は、状態切替ボタン242に対する所定時間(例えば2秒間)以上継続した押下(長押し)があると、切替受付モードを、モータ11の回転方向の状態の切替に係るものに切り替える。尚、切替受付モードの切替は、状態切替ボタン242の長押しに代えて、あるいはこれと共に、状態切替ボタン242とトリガ8の同時押しや、状態切替ボタン242のダブルクリック(所定時間(例えば1秒間)内における複数回の入力)、又はこれらの組合せによって行われても良い。切替受付モードの切替は、専用のスイッチで行われても良い。
切替受付モードは、状態切替ボタン242によって何れの状態を切り替えるかで区別されており、図16(a)に示されるようにライト210の点灯状態を切り替えるライト切替モードと、図16(b)に示されるようモータ11の回転方向を正転状態(ここでは前から見て時計回り)又は逆転状態(反時計回り)に切替える正逆回転切替モードと、図9に示されるような打撃力を切り替える打撃力切替モードと、を含む。
インパクトドライバ201の制御部150は、バッテリ31接続時(初期)ではライト切替モードとし、状態切替ボタン242の長押しの度に、順次正逆回転切替モード、打撃力切替モードとしてライト切替モードに戻る。尚、切替受付モードの遷移は、これ以外の順番であっても良く、又何れかの切替受付モードが省略されても良いし、別の種類の切替受付モードが追加されても良い。更に、操作パネル244等において、現在の切替受付モードの種類(に対応する記号)を表示する切替受付モード表示部が設けられても良い。
【0038】
正逆回転切替モードにおいて、制御部150は、初期状態で正転状態であるモータ11の回転方向を(S21)、状態切替ボタン242の押下により(S22でYes)、逆転状態に切り替える(S23)。
又、制御部150は、状態切替ボタン242の押下を待機し(S24)、押下があると(Yes)、モータ11の回転方向の状態が正転となる(S21に戻る)。
制御部150は、現在の回転方向の状態に合わせ、正逆切替レバー28を切り替える。
【0039】
以上のインパクトドライバ201は、モータ11と、モータ11が配置される本体部204と、本体部204から下方に延びるハンドル部6と、ハンドル部6(上部)に設けられた、モータ11のオンオフを切り替えるメインスイッチ7と、光を照射するライト210と、本体部204の下部であって、メインスイッチ7の上方に設けられた、ライト210に係る点灯状態を変更する状態変更操作部240と、を備えている。よって、使用者は、インパクトドライバ201を片手で保持しつつ、状態変更操作部240の操作によりライト210の点灯状態を変更することができ、操作性に優れたインパクトドライバ201が提供される。
加えて、状態変更操作部240は、メインスイッチ7の前方に配置されている。よって、片手でハンドル部6を保持しながらの状態切替ボタン242の操作が、前方の指で行えて、より一層容易である。
又、インパクトドライバ201は、モータ11と、モータ11が配置される本体部204と、本体部204から下方に延びるハンドル部6と、ハンドル部6に設けられた、モータ11のオンオフを切り替えるメインスイッチ7と、光を照射するライト210と、本体部204の前端部であって、メインスイッチ7の上方に設けられた、ライト210に係る点灯状態を切り替える状態切替ボタン242と、を備えている。よって、ライト210の点消灯に係る操作が容易である。
更に、インパクトドライバ201の状態切替ボタン242は、本体部4の下部に設けられている。よって、状態切替ボタン242がハンドル部6の隣接箇所に配置され、片手でハンドル部6を保持しながらの状態切替ボタン242の操作が、より一層容易である。
【0040】
尚、上記第2形態は、第1形態と同様の変更例を適宜有する。
例えば、状態変更操作部がハンドル部の上端部前側に配置され、その下側にトリガが設けられても良い。
又、ライトは、ライト基板を備えていなくても良いし、設置数が増減されても良いし、別の箇所に設置されていても良い。
正逆切替レバーやライト切替ボタンは、省略されても良い。
状態変更操作部がダイヤル等の連続的変更操作手段とされ、ライトの明るさが無段階あるいは連続的に変更されても良い。
【0041】
[第3形態]
図17は、本発明の第3形態に係るインパクトドライバ301の後方からの斜視図であり、図18はインパクトドライバ301の後面図であり、図19はインパクトドライバ301の右側面図であり、図20はインパクトドライバ301の中央縦断面図の上部拡大図であり、図21はインパクトドライバ301の本体部304の中央横断面図であり、図22図19のC−C断面図である。
インパクトドライバ301は、本体部(状態変更操作部)の構成を除いて第1形態のインパクトドライバ1と同様に成る。以下、同様の構成要素については、第1形態と同じ符号が付され、適宜説明が省略される。
【0042】
インパクトドライバ301の状態変更操作部340は、本体部304の後端下部に配置されている。
状態変更操作部340は、ファン10の下方に形成された状態変更操作部設置部346内に設置されている。状態変更操作部設置部346は、ハウジング302におけるリヤカバー320の下端部並びに左ハウジング318及び右ハウジング319の間において形成される。
状態変更操作部340の状態切替発信部344は、ハウジング302内に格納されており、状態切替スイッチとしての状態切替ボタン342の後面は、ハウジング302の後面から露出している。
制御部150は、状態変更操作部340への入力を把握すると、打撃力を順次切り替える。
【0043】
以上のインパクトドライバ301は、モータ11と、モータ11が配置される本体部304と、本体部304から下方に延びるハンドル部6と、ハンドル部6に設けられた、モータ11のオンオフを切り替えるメインスイッチ7と、本体部304の下部後端部であって、メインスイッチ7の上方に設けられた、モータ11に係る回転状態(打撃力)を変更する状態変更操作部340と、を備えている。よって、使用者は、片方の手の親指以外と手のひらでハンドル部6を挟みつつその親指で状態変更操作部340を切り替えることができ、あるいはトリガ8側を下方にして片方の手の親指以外でハンドル部6を受けつつその親指で状態変更操作部340を切り替えることができ、インパクトドライバ301では、片方の手のみで状態変更操作部340への入力がなされて打撃力が切替可能であって、操作性が一層良好になる。
又、インパクトドライバ301は、モータ11と、モータ11が配置される本体部304と、本体部304から下方に延びるハンドル部6と、ハンドル部6に設けられた、モータ11のオンオフを切り替えるメインスイッチ7と、本体部304の後端部であって、メインスイッチ7の上方に設けられた、モータ11に係る回転状態(打撃力)を切り替える状態切替ボタン342と、を備えている。よって、インパクトドライバ301では、片方の手のみで前端部の状態切替ボタン342が操作されることで打撃力が切替可能となって、操作性が一層良好になる。
更に、インパクトドライバ301の状態切替ボタン342は、本体部304の下部に設けられている。よって、状態切替ボタン342がハンドル部6の隣接箇所に配置され、片手のみでのハンドル部6を保持しながらの状態切替ボタン342の操作が、より一層容易である。
【0044】
尚、上記第3形態は、第1形態や第2形態と同様の変更例を適宜有する。
例えば、状態変更操作部は、ハンドル部の上端部後側に設けられても良い。
又、状態変更操作部設置部は、リヤカバー内や、左ハウジングないし右ハウジング内に配置されても良い。
第3形態において、第2形態のようにライトが配置されたり、他の入力受付モードの設定やその切替がなされたりしても良い。ライトは、本体部の前端部の下部(第1形態に係る状態変更操作部設置部の位置)に設けられても良い。
状態変更操作部は、第3形態の位置と第1形態の位置等において、複数設けられても良い。
【0045】
[第4形態]
図23は本発明の第4形態に係るインパクトドライバ401の前方からの斜視図であり、図24はインパクトドライバ401の前面図であり、図25はインパクトドライバ401の右側面図であり、図26はインパクトドライバ401の中央縦断面図の上部拡大図であり、図27はインパクトドライバ401の本体部404とトリガ8の間に係る横断面図であり、図28図25のD−D断面図である。
インパクトドライバ401は、本体部前下部(状態変更操作部)の構成を除いて第1形態と同様に成る。以下、同様の構成要素については、第1形態と同じ符号が付され、適宜説明が省略される。
【0046】
インパクトドライバ401の状態変更操作部440は、本体部404の前端下部において、状態切替スイッチとしての状態切替ボタン442が右側に露出するように配置されている。
状態変更操作部440は、ハウジング402(左ハウジング418及び右ハウジング419)において右側に開口するように形成された状態変更操作部設置部446内に設置されている。
状態変更操作部440の状態切替発信部444は、ハウジング402内に格納されており、状態切替ボタン442は、ハウジング402の右面から露出している。
制御部150は、状態変更操作部440の切替を把握すると、打撃力の大きさを順次切り替える。
【0047】
以上のインパクトドライバ401は、モータ11と、モータ11が配置される本体部404と、本体部404から下方に延びるハンドル部6と、ハンドル部6に設けられた、モータ11のオンオフを切り替えるメインスイッチ7と、本体部404の下部後端部であって、メインスイッチ7の上方に設けられた、モータ11に係る回転状態(打撃力)を変更する状態変更操作部440と、を備えている。よって、使用者は、インパクトドライバ401を一方の手でチャック112が内側を向いた状態で保持しつつ、他方の手で本体部404前端下部の状態変更操作部440を操作することができ、他方の手をインパクトドライバ401側へ深く入れなくても打撃力切替のために状態変更操作部440を操作することができて、操作性が一層良好になる。
又、インパクトドライバ401は、モータ11と、モータ11が配置される本体部404と、本体部404から下方に延びるハンドル部6と、ハンドル部6の上部に設けられた、モータ11の駆動を切り替えるメインスイッチ7と、本体部404の前端部右側であって、メインスイッチ7の上方に設けられた、モータ11に係る回転状態(打撃力)を切り替える状態切替ボタン442と、を備えている。よって、インパクトドライバ401では、前端部右側の状態切替ボタン442が操作されることで打撃力が切替可能となって、操作性が一層良好になる。
更に、インパクトドライバ401の状態切替ボタン442は、本体部404の下部に設けられている。よって、状態切替ボタン442がハンドル部6の隣接箇所に配置され、ハンドル部6を保持しながらの状態切替ボタン442の操作が、より一層容易である。
【0048】
尚、上記第4形態は、第1形態ないし第3形態と同様の変更例を適宜有する。
例えば、第4形態において、第2形態のようにライトを備え、又切替受付モードの変更ないしライト点灯状態の切替や回転方向状態の切替が行われても良い。
更に、状態変更操作部は、本体部の左側に設けられても良いし、ハンドル部の上端部側方に設けられても良い。
第4形態において、第1形態や第3形態ないしその変更例等の状態切替ボタンが併設されても良い。1個の状態切替発信部に複数の状態切替ボタンが設けられても良い。
【符号の説明】
【0049】
1,201,301,401・・インパクトドライバ(電動工具)、4,204,304,404・・本体部、6・・ハンドル部、7・・メインスイッチ、140,240,340,440・・状態変更操作部、142,242,342,442・・状態切替ボタン(状態切替スイッチ)、210・・ライト。
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