(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献のコンバインでは、排気路の一部を構成し且つ少なくとも一部が車台フレームの下方に臨むテールパイプが排気ガスによって高温に加熱される場合がある。刈取作業中、排藁等が高温のテールパイプに排藁に接触すると、不測の不具合が発生する可能性がある。また、テールパイプに付着した泥等は、このテールパイプへの排藁等の付着をさらに促進させる。特に、最近では、粒子状物質除去装置のフィルタで捕捉した粒子状物質等の付着物を高温の排気ガスによって除去するフィルタ再生を、刈取作業中に行う場合があり、さらに温度が高温になる。
【0005】
このような不具合を防止するために、前記排気路をエンジンから上方に向かって形成することが考えられる。
【0006】
しかし、この場合、キャビンとグレンタンクの間の狭いスペースへの配管が必要になり、しかも、キャビンの背面側には、通常、後方確認用窓を設けることが多く、この後方確認用窓からの視界を妨げないようにする必要がある。
【0007】
本発明は、グレンタンクの前方にキャビンを配置し、キャビンの下側にエンジンを設置し、エンジンから外部への排気ガスの流動経路である排気路が形成されたコンバインであって、キャビンの背面側に設けられた後方確認用窓からの視界が妨げられない状態で、前記排気路がエンジンから上方に向かって形成されたコンバインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、
キャビンと、前記キャビンの後方に配置されたグレンタンクと、前記キャビンの下側に配置されたエンジンと、該エンジンから排気される排気ガスの外部への排気口と、前記エンジンから前記排気口への前記排気ガスの流動経路である排気路とを有する排気装置とを備え、前記キャビンは、その背面側に形成された開口部を閉塞する後方確認用窓を有し、前記排気路は、背面視で前記エンジンから前記後方確認用窓を避けて前記グレンタンクの上方に至るように形成され、前記排気口は、前記キャビンの後方且つグレンタンクの上方に配置されたことを特徴とする。
【0009】
前記エンジンへ吸気されるエヤの外部からの吸気口と、該吸気口から前記エンジンへのエヤの流動経路である吸気路とを有する吸気装置を備え、前記吸気路は、背面視で前記エンジンから前記後方確認用窓を避けて前記グレンタンクの上方に至るように形成され、前記排気口は、機体の左右外寄りに配置され、前記吸気口は、背面視で前記後方確認用窓と前記排気口との間に配置され
、前記後方確認窓は、その上端部を支点とした前後揺動によって、前記開口部を閉塞するように前記キャビンの背面に沿う閉姿勢と、前記開口部の少なくとも一部を開放するように前記キャビンの背面から後方に突出する開姿勢とに切換可能に構成され、前記排気装置は、前記排気路の一部を構成し且つ上方に延出され且つその延出側端部には前記排気口が形成された排気パイプを有し、前記吸気装置は、前記吸気路の一部を構成し且つ前記吸気口から下方に延びる吸気パイプを有し、前記排気口が機体の左右外寄りに位置し且つ前記吸気口が背面視で前記後方確認用窓と前記排気口との間に位置した状態で、該排気口と該吸気口とが左右に並べて配置されるように、前記排気パイプ及び前記吸気パイプを側面視で一部が重複するように配管したものとしてもよい。
【0010】
キャビンと、前記キャビンの後方に配置されたグレンタンクと、前記キャビンの下側に配置されたエンジンと、該エンジンから排気される排気ガスの外部への排気口と、前記エンジンから前記排気口への前記排気ガスの流動経路である排気路とを有する排気装置と、前記エンジンへ吸気されるエヤの外部からの吸気口と、該吸気口から前記エンジンへのエヤの流動経路である吸気路とを有する吸気装置とを備え、前記キャビンは背面側に後方確認用窓を有し、前記排気路は、背面視で前記エンジンから前記後方確認用窓を避けて前記グレンタンクの上方に至るように形成され、前記排気口は、前記キャビンの後方且つグレンタンクの上方に配置され、前記吸気路は、背面視で前記エンジンから前記後方確認用窓を避けて前記グレンタンクの上方に至るように形成され、前記排気口は、機体の左右外寄りに配置され、前記吸気口は、背面視で前記後方確認用窓と前記排気口との間に配置され、前記排気装置は、前記排気路の一部を構成し且つ前記エンジンの上方に配置された窒素酸化物浄化装置又は粒状物質除去装置と、前記排気路の一部を構成し且つ前記窒素酸化物浄化装置又は前記粒状物質除去装置から排気口に至る範囲に形成された排気パイプとを有し、前記吸気装置は、前記吸気路の少なくとも一部を構成し且つ前記吸気口まで至る吸気パイプを有し、前記吸気パイプは、一部の部分を前記排気パイプよりも左右外側に配管するとともに、該部分から前記吸気口に至る範囲を、背面視で、前記排気パイプと交差させたものとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
前記排気路が、背面視で前記エンジンから前記後方確認用窓を避けて前記グレンタンクの上方に至るように形成されるため、後方確認用窓からの視界が妨げられない状態で、エンジンから上方に向かって排気路を形成可能であり、しかも、前記排気口が前記キャビンの後方且つグレンタンクの上方に配置されるため、排気路を構成するテープパイプ等の排気パイプと藁屑との接触も効率的に防止される。
【0012】
前記エンジンへ吸気されるエヤの外部からの吸気口と、該吸気口から前記エンジンへのエヤの流動経路である吸気路とを有する吸気装置を備え、前記吸気路は、背面視で前記エンジンから前記後方確認用窓を避けて前記グレンタンクの上方に至るように形成され、前記排気口は、機体の左右外寄りに配置され、前記吸気口は、背面視で前記後方確認用窓と前記排気口との間に配置されたものによれば、排気口をより外側に配置できるため、排気ガスの熱の影響を少なくできる。
【0013】
前記排気装置は、前記排気路の一部を構成し且つ前記エンジンの上方に配置された窒素酸化物浄化装置又は粒状物質除去装置と、前記排気路の一部を構成し且つ前記窒素酸化物浄化装置又は前記粒状物質除去装置から排気口に至る範囲に形成された排気パイプとを有し、前記吸気装置は、前記吸気路の少なくとも一部を構成し且つ前記吸気口まで至る吸気パイプを有し、前記吸気パイプは、一部の部分を前記排気パイプよりも左右外側に配管するとともに、該部分から前記吸気口に至る範囲を、背面視で、前記排気パイプと交差させたものによれば、吸気パイプの一部が、排気ガスで高温になり易い排気パイプの左右外側に位置しているので、熱の影響を少なくすることが可能になるとともに、窒素酸化物浄化装置又は粒状物質除去装置を設けた場合でも、有効スペースを活用して、全体をコンパクトに形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1乃至
図3は、本発明を提供した自脱式のコンバインの右側面図、左側面図及び平面図である。図示するコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1L,1Rを有する走行機体2と、該走行機体2の前部に昇降可能に連結された前処理部3とを備えている。
【0016】
上記走行機体2は、左右のクローラ式走行装置1L,1Rに支持される機体フレーム(車台フレーム)2aを備えている。この機体フレーム2a上には、オペレータが乗込むキャビン4と、穀粒を溜めるグレンタンク6と、脱穀装置7とが設置されている。脱穀装置7が走行機体2の左部に配置され、グレンタンク6が走行機体2の右部に配置され、キャビン4がグレンタンク6の前方に配置されている。
【0017】
上記前処理部3は、走行機体2の前進走行中、左右に往復作動するレシプロ式の刈刃8によって圃場の穀稈を刈取り、この刈取った穀稈を搬送機構9により脱穀装置7側まで後方搬送するように構成されている。
【0018】
上記脱穀装置7は、前処理部3の搬送機構9によって後方搬送されてくる穀稈を受取って脱穀・選別処理を行う。脱粒されて排藁になった穀稈は、排藁搬送体11によって、走行機体2の後端部に配置された後処理部12まで搬送され、そのまま機外に排出されるか、或いは前記後処理部12で切断処理されて機外に排出される。穀稈から脱粒された処理物は、藁屑等の排出物と、籾等の穀粒とに選別される。排出物は機外に排出される一方で、穀粒は脱穀装置7からグレンタンク6内に搬送されて貯蔵される。
【0019】
上記グレンタンク6は、その内部に穀粒を貯蔵可能であるとともに、走行機体2後端部から延出されたオーガ13によって、内部に溜めた穀粒を機外に排出させることが可能である。前記オーガ13は、上下方向の縦筒14と、該縦筒14の上端側を基端部とし且つ該基端部から先端部に向かって一直線状に延出された排出筒16とを有している。
【0020】
前記排出筒16の先端部には、グレンタンク6からの穀粒を下方に排出する排出部16aが設けられている。この排出筒16は、その基端側を支点として全体が上下揺動(昇降)可能であるとともに、縦筒14の軸回りに全体が左右揺動(左右旋回)可能である。この昇降及び左右旋回によって、排出部16aの平面位置及び高さを調整し、穀粒の排出箇所を適宜変更調整する。
【0021】
また、このグレンタンク6の前端部には、前方に向かって下方傾斜した傾斜面6aが形成され、グレンタンク6における傾斜面6aの真後ろには、フラットな平面6bが形成されている。グレンタンク6における傾斜面6a及び平面6bには、覗き窓17,18がそれぞれ形成されている。
【0022】
これらの各覗き窓17,18は、開口部に嵌め込み固定されるか、或いは開閉自在に支持された透明パネルによって構成されている。この覗き窓17,18から、グレンタンク7内に溜められた穀粒の量を視認することが可能になる。
【0023】
図4,
図5は、キャビン及びその周辺の左側断面図及び背面図である。上記キャビン4は、ルーフ19によって操縦部21の上方を覆うとともに、該操縦部21の四方を透明なパネルによって囲繞している。さらに詳しく説明すると、キャビン4の右側面には出入口が開口形成され、この出入口には開閉扉22が開閉自在に設けられている。
【0024】
キャビン4の背面の左右内側(具体的には、左側)寄りの開口部が形成された部分には、透明なパネルによって構成された後窓(後方確認用窓)23が設けられている。この後窓23は、上端部の左右方向の軸Sを支点として、前後揺動可能にキャビン4に支持されている。この後窓23は、上記前後揺動によって、側面視でキャビン4の背面に沿う状態で前記開口部を閉塞する閉姿勢と、側面視でキャビン4から後方に突出して前記開口部の少なくとも一部を開放する開姿勢とに切換可能に構成される。
【0025】
操縦部21は、オペレータが着座する座席24と、該座席24の前方の低い位置に形成されたフロアステップ(床面)21aと、該座席24の平面視で床面21aよりもさらに前方に配置されたマルチレバー26及び各種設定等を行うタッチパネル27と、前記座席24の側方に配置された変速レバー28とを有している。
【0026】
前方を向いたオペレータは、座席24に着脱するか、或いはフロアステップ21aに起立した状態で、変速レバー28による揺動操作によって、前後進切換及び変速を行い、マルチレバー26の左右方向への揺動操作によって、前進走行中又は後進走行中の左右旋回を行い、マルチレバー26の前後方向への揺動操作によって、前処理部3を昇降させる。
【0027】
また、オペレータは、オーガ13の左右旋回及び昇降や該オーガ13による穀粒排出の有無の切換等の操作も可能である。さらに、穀稈の刈取作業や脱穀・選別作業中、キャビン4内のオペレータは、後方を向いて、後窓23から、2つの覗き窓17,18を目視し、グレンタンク6内の穀粒量を視認できる。言換えると、後窓23は、閉姿勢及び開姿勢の何れの場合でも、キャビン4内のオペレータから、覗き窓17,18を視認することができるように構成されている。
【0028】
該構成の操縦部21の後方斜め下方(キャビン4の下側)には、各部を駆動させる動力を発生させるエンジン29が設置されている。このエンジン29は、さらに具体的にはディーゼルエンジンであり、このエンジン29の動力は、左右のクローラ式走行装置1L.1R、前処理部3及び脱穀装置7等の各部に伝動され、該各部を駆動させる。また、このエンジン29へのエヤの吸気や、該エンジン29からの排気ガスの排気は、キャビン4の背面側のスペースを利用して行う。
【0029】
次に、
図1乃至
図5に基づき、前記エンジン29の構成を説明する。
【0030】
前記座席24の後方斜め下方には、エンジンルーム31が形成され、このエンジンルーム31における機体フレーム2a上には、防振装置32を介して、エンジン29が設置され、エンジンルーム31における前記エンジン29の後側には、機体フレーム2aから上方に一体的に突出形成された支持フレーム33が配置され、このエンジンルーム31の外側側方(具体的には、右側方)は着脱自在なエンジンカバー30によって開閉可能にカバーされている。
【0031】
前記エンジン29の上方近傍には、エヤクリーナ34が横置きされた状態で配置され、前記エンジン29の上方における該エヤクリーナ34の後方近傍には粒子状物質除去装置36が横置きされた状態で配置され、エヤクリーナ34及び粒子状物質除去装置36の上方近傍には、窒素酸化物浄化装置37が横置きされた状態で配置されている。
【0032】
ちなみに、エヤクリーナ34、粒子状物質除去装置36及び窒素酸化物浄化装置37は、前記支持フレーム33に支持されている。
【0033】
前記粒子状物質除去装置36は、本例では、ディーゼルエンジン29から排出された排気ガス中に含まれる煤等の粒子状物質を補足する補足フィルタを有するDPF(登録商標)である。この粒子状物質除去装置36とエンジン29とは第1排気パイプ(排気パイプ)38によって接続されている。
【0034】
具体的には、前記粒子状物質除去装置36の前部の左右内側(具体的には左寄り部分)に形成された導入口36aと、該エンジン29の上面における左右内側部分(具体的には左側端部)に形成された排気部29aとが、後方に向かって斜め上方に延出され且つ背面視でキャビン19の左右内側寄りに配置された前記第1排気パイプ38によって接続されている。このようにして、導入口36aから粒子状物質除去装置36内に導入された排気ガス中の粒子状物質は、上述の補足フィルタによって補足されて除去され、該粒子状物質除去装置36の上面側且つ左右外側(具体的には、右寄り部分)に形成された導出口36bから導出される。
【0035】
ちなみに、粒子状物質除去装置36は、捕捉フィルタが目詰まりを起こし、粒子状物質を補足する機能が低下した場合、前記エンジン29から高温の排気ガスを排出させ、この高温の排気ガスによって、補足フィルタに付着した付着物を燃焼させ、該補足フィルタの機能を再生するフィルタ再生の処理を行うことが可能である。この処理は、補足フィルタの下流と上流の所定以上の圧力差の検出等によって、目詰まりを認識した場合に、ECU等のマイコンによって、自動的に行われるようにしてもよい。
【0036】
前記窒素酸化物浄化装置37は、エンジン29からの排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置の一種である尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)である。そして、この窒素酸化物浄化装置37は、アンモニアが窒素酸化物を還元して窒素ガス及び水になることに着目し、尿素タンクに溜めた尿素を排気ガス中に噴射してアンモニアガスを生成し、このアンモニアガスによる酸化によって、窒素酸化物を還元して浄化を行う。この窒素酸化物浄化装置37は、第2排気パイプ(排気パイプ)39によって、前記粒子状物質除去装置36に接続されている。
【0037】
具体的には、前記粒子状物質除去装置36の導出口36bと、前記窒素酸化物浄化装置37の左右内側(具体的には、左寄り部分)に形成された導入口37aとが該窒素酸化物浄化装置37の背面側近傍に配管された前記第2排気パイプ39によって、接続されている。このようにして、導入口37aから窒素酸化物浄化装置37内に導入された排気ガス中の窒素酸化物は、上述の還元処理によって浄化され、該窒素酸化物浄化装置37の上面側且つ左右外側(具体的には、右寄り部分)に形成された導出口37bから導出される。
【0038】
この窒素酸化物浄化装置37の導出口37bからは、上方且つ後方に向かってテールパイプ(排気パイプ)41が延出されている。このテールパイプ41の延出側端部には、前記窒素酸化物浄化装置37によって窒素酸化物の浄化が完了してクリーンになった排気ガスを外部に排出する排気口41aが、排出方向を後方斜め上方に向けた状態で、開口形成されている。この排気口41aは、キャビン4の後方におけるグレンタンク6の直上に配置形成されている。言換えると、テールパイプ41は、平面視で、グレンタンク6と重複する位置まで後方に突出形成されている。
【0039】
第1排気パイプ38と、粒子状物質除去装置36と、第2排気パイプ39と、窒素酸化物浄化装置37と、テールパイプ41とによって排気装置40を構成している。この排気装置40は、エンジン29→第1排気パイプ38→粒子状物質除去装置36→第2排気パイプ39→窒素酸化物浄化装置37→テールパイプ41の順に排気ガスを流動させる流動経路(排気路)を有している。この排気路を流動した排気ガスは、排気口41aから外部に排出される。
【0040】
ところで、窒素酸化物浄化装置37は、背面視で後窓23と重複しないように、該後窓23よりも下方位置に配置され、前記窒素酸化物浄化装置37の背面側に配置された第2排気パイプ39も背面視で前記後窓23と重複しないように該後窓23よりも下方位置に配置され、また、粒子状物質除去装置36、第1排気パイプ38及びエンジン29も窒素酸化物浄化装置37よりも下方に配置され、前記テールパイプ41は背面視で後窓23と重複しない左右外側(右側)に配置されているため、前記排気路は、背面視で後窓23よりも下方位置に配置されたエンジン29から、該後窓23を避ける(背面視で非ラップな)流動経路を形成し、グレンタンク6の上面よりも上方の位置まで延出されている。
【0041】
また、前記テールパイプ41は、前記窒素酸化物浄化装置37側から上方に向かって後方且つ左右外側(右側)に傾斜し、さらに、その延出側端部は、前記傾斜した部分に対して左右内側且つ下方に屈曲されて後方斜め上方を向いて排気口41aを構成している。この排気口41aは、背面視でキャビン4の左右外側(具体的には右側)の端部側に位置している。
【0042】
一方、外部からエンジン29にエヤを吸気する吸気装置45は、排気口41aと左右に隣接させた状態で配置され且つエヤの吸気口となるプレクリーナ42と、該プレクリーナ42と前記エヤクリーナ34の背面の左右内側(具体的には左)寄り部分とを接続する第1吸気パイプ(吸気パイプ)43と、該エヤクリーナ34と、該エヤクリーナ34の左右内側側面(左側面)部分と前記エンジン29の上面の中央寄り部分に形成された吸気部29bとを接続する第2吸気パイプ44とによって構成されている。
【0043】
そして、この吸気装置45は、前記プレクリーナ42から吸気したエヤを、該プレクリーナ42→第1吸気パイプ43→エヤクリーナ34→第2吸気パイプ44→エンジン29の吸気部29bの順に流動させる流動経路(吸気路)を有している。
【0044】
前記プレクリーナ42は、排気口41aの左右内側(具体的には、左側)に近接させて配置されている。このプレクリーナ42は、外部からのエヤを吸気する際、該吸気に形成される渦状の気流によってエヤ中に含まれる大きな異物を分離する構造を有するエヤクリーナの一種である。
【0045】
前記第1吸気パイプ43は、プレクリーナ42から真下に向かって延びるストレート部43aと、該ストレート部43aの下端側から下方に向かって前方且つ左右外側(具体的には、右側)に傾斜して延びる傾斜部43bと、該傾斜部43bの下端側からエヤクリーナ34の背面側に向かって前方且つ下方に延出された接続部43cとを一体的に有している。この傾斜部43bの下端部は、前記窒素酸化物浄化装置37の左右外側(具体的には、右側)であって且つ背面視でキャビン4の左右外側(具体的には、右側)端側に位置している。
【0046】
さらに、前記第1吸気パイプ43におけるストレート部43a及び傾斜部43bと、前記テールパイプ41とは、背面視で、X状に交差しており、該テールパイプ41が該ストレート部43a及び傾斜部43bよりも前側に位置している。
【0047】
前記エヤクリーナ34は、粒子状物質除去装置36よりも前方且つ左右外寄り(右寄り)に配置され、その一部は背面視で該粒子状物質除去装置36と重複している。該エヤクリーナ34は、交換可能なフィルタ等のエレメントによる濾過作用により、第1吸気パイプ43から導入されるエヤ中の異物をさらに除去するように構成されている。このエヤクリーナ34によって除去される異物は、プレクリーナ42によって除去される異物と比較して、サイズが小さくなっている。
【0048】
ちなみに、このエヤクリーナ34は、エンジン29の冷却水を冷やすラジエータ46及び該ラジエータ46側を通過させてエンジン29側にエヤを取込むファン47の真上側に配置されている。
【0049】
前記第2吸気パイプ44は、プレクリーナ42及びエヤクリーナ34によって大小の異物が除去されて浄化されたエヤを、該エヤクリーナ34から前記エンジン29の吸気部29bに流動させる流動経路を形成している。具体的には、この第2吸気パイプ44の両端部が左右方向に形成され且つその中途部が前方且つ下方に延出されている。
【0050】
該構成の吸気路は、エヤクリーナ34が背面視で後窓23と重複しないように該後面よりも左右外側(具体的には右側)に配置され、第1吸気パイプ43のストレート部43a及びプレクリーナ42が背面視で後窓23と重複しないように該後面よりも左右外側(具体的には右側)に配置されているため、この吸気路は、後窓23と背面視で重複しない流動経路を形成している。具体的には、この吸気路は、前記後窓23を避けて、エンジン29側からグレンタンク6の上面よりも上方に至るように形成されている。
【0051】
以上のように構成される本コンバインによれば、エンジン29、エヤクリーナ34、粒子状物質除去装置36、窒素酸化物除去装置37及びプレクリーナ42と、これらを上述のように適宜接続する排気パイプ38,39,41及び吸気パイプ43,44とを、キャビン4とグレンタンク6との間の狭いスペース及びその近傍に集中配置した場合でも、高温の排気ガスの影響を少なくして、適切な作業完了を実現できる。
【0052】
具体的には、排気口41aは、高温の排気ガスが排藁等に接触することを防止するため、走行の邪魔にならない範囲で、可能な限り左右外側且つ上方に配置することが望ましい。
【0053】
しかし、狭いスペースに設置する都合上、粒子状物質除去装置36及び窒素酸化物除去装置37を、背面視で、キャビン4下側に設置されたエンジン29の真上側に配置しており、第1吸気パイプ43の一部は、フィルタ再生等によって高温になる粒子状物質除去装置36や窒素酸化物浄化装置37や第2排気パイプ39等を避けて、左右外側(図示する例では、キャビン4の左右外側端部)に配管している。
【0054】
このため、通常は、第1吸気パイプ43が邪魔をして、テールパイプ41及びその流動下流側端部に形成された排気口41aを、所定以上、左右外側に配置することができない場合があるが、本例では、第1吸気パイプ42の少なくとも一部と、テールパイプ41の少なくとも一部とを前後にずらして背面視で交差するように配管することにより、上述した条件を満たした位置に、排出口41aを位置させることが可能になる。
【0055】
また、排気路及び吸気路は、背面視で後窓23と重複しないように、該後窓23を避けて形成されているため、後窓23からの視界を遮ることもなく、後窓23の開閉の邪魔になることもない。
【0056】
なお、本例では、粒子状物質除去装置36及び窒素酸化物除去装置37の両方を設けたが、窒素酸化物除去装置37及び第2排気パイプ39を省略して、粒子状物質除去装置36の導出口36bにテールパイプ41の流動上流側端部を接続させてもよい。また、この際は、粒子状物質除去装置36を、
図4及び
図5に示す上述の窒素酸化物除去装置37の配置位置に設置してもよいし、
図4及び
図5と同様の位置に設置してもよい。