(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1がんぎ歯車と、前記第1がんぎ歯車と同軸上に配置されると共に第1がんぎ歯車とは外径が異なる第2がんぎ歯車と、を有し、伝達される動力によって回転する二層構造のがんぎ車と、
相対変位可能に互いに連結され、てんぷの回転に基づいて回動する衝撃アンクルユニット及び停止アンクルユニットと、を備え、
前記停止アンクルユニットは、少なくとも1つ以上のアンクルで構成されると共に、前記第1がんぎ歯車に対して係脱可能とされた停止爪石を有し、
前記衝撃アンクルユニットは、少なくとも1つ以上のアンクルで構成されると共に、複数の衝撃爪石を有し、
複数の前記衝撃爪石のうちの少なくとも1つの衝撃爪石は、前記停止爪石の非係合時に、前記第2がんぎ歯車に対して接触可能とされ、
前記衝撃アンクルユニットは、相対変位可能に互いに連結されると共に、前記衝撃爪石をそれぞれ有する第1衝撃アンクル及び第2衝撃アンクルを備え、
前記第1衝撃アンクル及び前記第2衝撃アンクルのうちの少なくともいずれか一方の衝撃アンクルが有する前記衝撃爪石が、前記停止爪石の非係合時に前記第2がんぎ歯車に対して接触可能とされ、
前記第1衝撃アンクル及び前記第2衝撃アンクルは、前記第1衝撃アンクル及び前記第2衝撃アンクルのうちの一方の衝撃アンクルが前記がんぎ車の回転方向と同方向に回動するときに、他方の衝撃アンクルが前記がんぎ車の回転方向とは逆方向に回動するように連結されている、脱進機。
【背景技術】
【0002】
一般的に機械式時計は、てんぷに対して往復回転するための動力を伝達すると共に、てんぷの規則正しい往復回転を利用して一定の振動で輪列を制御する脱進機を備えている。この種の脱進機は、従来から改良等が繰り返し行われながら進化しており、現在では様々なタイプのものが提案されている。
【0003】
例えば、高効率で耐久性の高い脱進機の一つとして、ブレゲ考案のナチュラル脱進機(ナチュラル・エスケープメント)を始祖とするものが知られている。この系統の脱進機としては、2つのがんぎ車を有し、これら2つのがんぎ車からてんぷに対して直接的な衝撃と、アンクルを介した間接的な衝撃と、を交互に行うことで、てんぷに対して動力を伝達する特徴を具備している。
特に、この脱進機は機械式時計の主流を占めているクラブトゥース・レバー脱進機とは異なり、衝撃時にがんぎ車の歯先のすべりが少なくなるように設計されている。これにより、がんぎ車の歯先の摩耗を抑制することができ、耐久性を高めている。また、てんぷに対して直接的な衝撃を行う場合には、他の時計部品を介在せずにがんぎ車からてんぷに対して衝撃を伝達することができる。これにより、高効率化を図っている。
【0004】
ところで、がんぎ車からてんぷに対して動力を伝達させる方式に着目して脱進機を大別すると、がんぎ車から直接的にてんぷに動力を伝える直接衝撃型と、アンクル等の他の時計部品を介してがんぎ車からてんぷに対して間接的に動力を伝える間接衝撃型と、に主に大別される。また、直接衝撃及び間接衝撃を両方併用する脱進機も知られている。
【0005】
てんぷは、脱進機の調速を行う調速機を構成する時計部品であり、所定の振動周期で往復運動(振動)することが求められている。そのため一般的には、摩擦等に起因するてんぷの振幅の減衰を抑制するために、てんぷのほぞは非常に細く形成されている。そのため、てんぷのほぞに対して外部から衝撃が加わった場合には、ほぞが変形或いは破断するおそれがあり、てんぷの精度低下や動作停止を招くことが考えられる。
そこで、外部からの衝撃によるてんぷのほぞの変形或いは破断等を防止するために、てんぷの軸受には耐振軸受が採用されている場合が多い。耐振軸受は、てんぷに衝撃が加わったときに、てんぷが軸方向及び径方向に移動することを許容した状態で、てんぷを軸支している。これにより耐振軸受は、てんぷのほぞに加わる衝撃を吸収或いは緩和させ、耐衝撃性を確保している。
【0006】
上述のように、てんぷが耐振軸受によって軸支されている場合、脱進機からてんぷに対して動力が伝達されたときに、てんぷは少なからず軸方向及び径方向に移動する。このとき、直接衝撃型の脱進機の場合には、その動作上、がんぎ車の歯先とてんぷ側の衝撃爪石との係合量が数十μm程度とされている場合が多い。そのため、衝撃開始時及び衝撃終了時では、上記係合量がさらに少なくなってしまう。
【0007】
従って、がんぎ車からてんぷに対して直接的に動力が伝達されたときに、耐振軸受の作用によっててんぷが例えば径方向に移動した場合には、がんぎ車とてんぷとの中心距離が変化して、がんぎ車の歯先とてんぷ側の衝撃爪石との係合が不安定、或いは最悪時には係合が外れるおそれがあった。このため、脱進機の安定した動作を確保することが難しくなってしまううえ、がんぎ車がてんぷに先行して回転してしまい、てんぷへの動力の伝達を行うことが難しくなるという不都合が生じ易かった。
特に、がんぎ車がてんぷに先行して回転した場合、がんぎ車とアンクルとの相互の位相関係によってはアンクルの停止爪石でがんぎ車の回転を停止することができない場合があり、時計が急激に進むといった歩度の急な変化を引き起こす可能性もあった。
【0008】
これに対して、がんぎ車からてんぷに対して間接的に動力を伝達する間接衝撃型の脱進機の場合には、耐振軸受の作用によっててんぷが例えば径方向に移動したときであっても、クラブトゥース・レバー脱進機と同様に、アンクル及びてんぷの相対的な位置関係が移動前の状態に復帰できるような安全作用が設けられている場合があり、上述した不都合が生じ難い構成とされている。
【0009】
例えば、特許文献1には、がんぎ車に対して係脱可能に配設された第1アンクル及び第2アンクルを備えた間接衝撃型の脱進機が開示され、やはり上述した不都合が生じ難い構成とされている。この脱進機では、第1アンクルがてんぷの回転に基づいて回動可能とされ、がんぎ車の歯先に対して係脱可能な第1停止爪石及び第2停止爪石を有すると共に、がんぎ車の歯先に対して接触可能な第1衝撃爪石を有している。第2アンクルは、第1アンクルの回動に基づいて回動可能とされ、がんぎ車の歯先に対して接触可能な第2衝撃爪を有している。
【0010】
このように構成された特許文献1に記載の脱進機では、例えば第1停止爪石ががんぎ車の歯先に対して係合している状態(がんぎ車の回転が停止している状態)で、第1アンクルがてんぷの振り石に押されて、てんぷの回転に基づいて回動すると、第1停止爪石ががんぎ車の歯先から離脱する。これにより、第1停止爪石とがんぎ車の歯先との係合が解除されるので、がんぎ車が輪列からの動力によって回転を開始する。
その直後、第1アンクルの回動に伴って第2アンクルが回動し、第2衝撃爪ががんぎ車の歯先の回転軌跡上に進入する。これにより、回転を開始したがんぎ車の歯先が第2衝撃爪に接触(衝突)する。これにより、がんぎ車に伝わった動力を、第2アンクル及び第1アンクルを介しててんぷに間接的に伝えることができ、てんぷに回転エネルギーを補充することができる。
【0011】
その後、第1アンクル及び第2アンクルの回動がさらに進むと、第2衝撃爪ががんぎ車の歯先から離脱しつつ、第2停止爪石ががんぎ車の歯先の回転軌跡上に進入する。これにより、がんぎ車の歯先が第2停止爪石に対して係合し、がんぎ車の回転が停止する。
その後、てんぷは慣性によって回転し続け、振り石が第1アンクルから離れる。そして、てんぷの回転エネルギーがひげぜんまいに全て蓄えられると、てんぷは一瞬静止した後に、ひげぜんまいに蓄えられた回転エネルギーによって逆方向に回転しはじめる。
【0012】
すると、第1アンクルがてんぷの振り石に再び押されて、てんぷの回転に基づいて逆方向に回動し、第2停止爪石ががんぎ車の歯先から離脱する。これにより、第2停止爪石とがんぎ車の歯先との係合が解除されるので、がんぎ車が輪列からの動力によって再び回転を開始する。
その直後、第1アンクルの回動に伴って第2アンクルが逆方向に回動すると共に、第1衝撃爪石ががんぎ車の歯先の回転軌跡上に進入する。これにより、回転を開始したがんぎ車の歯先が第1衝撃爪石に接触(衝突)する。これにより、先ほどと同様に、がんぎ車に伝わった動力を、第1アンクルを介しててんぷに間接的に伝えることができ、てんぷに回転エネルギーを補充することができる。
【0013】
その後、第1アンクル及び第2アンクルの回動がさらに進むと、第1衝撃爪石ががんぎ車の歯先から離脱しつつ、第1停止爪石ががんぎ車の歯先の回転軌跡上に進入する。これにより、がんぎ車の歯先が第1停止爪石に対して係合し、がんぎ車の回転が停止する。その後、上述した一連のサイクルが繰り返し行われる。
【0014】
さらに、特許文献1には、第1がんぎ車と、第1がんぎ車よりも大径に形成された第2がんぎ車とが同軸上に重なった二層構造のがんぎ車を利用した脱進機が開示されている。
この場合、第1がんぎ車の歯先が、第1アンクルの第1衝撃爪石に接触可能とされている。また、第2がんぎ車の歯先が、第1アンクルの第1停止爪石及び第2停止爪石に係脱可能とされていると共に、第2アンクルの第2衝撃爪に接触可能とされている。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、時計の一例として機械式時計を例に挙げて説明する。また、各図面において、各部品を視認可能な大きさとするために、必要に応じて各部品の縮尺を適宜変更している。
【0037】
(時計の基本構成)
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。
時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側(すなわち、文字板のある方の側)をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側(すなわち、文字板と反対の側)をムーブメントの「表側」と称する。
なお、本実施形態では、文字板からケース裏蓋に向かう方向を上方、その反対側を下方と定義して説明する。
【0038】
図1に示すように、本実施形態の時計1のコンプリートは、図示しないケース裏蓋及びガラス2からなる時計ケース内に、ムーブメント(本発明に係る時計用ムーブメント)10と、少なくとも時に関する情報を示す目盛りを有する文字板3と、時針5、分針6及び秒針7を含む指針4と、を備えている。
【0039】
図2に示すように、ムーブメント10は、基板を構成する地板11を有している。なお、
図2では、図面を見易くするためにムーブメント10を構成する部品の一部の図示を省略している。
地板11の表側には、表輪列(本発明に係る輪列)12と、表輪列12の回転を制御する脱進機13と、脱進機13を調速する調速機14と、を備えている。
【0040】
表輪列12は、主に香箱車20、二番車21、三番車22及び四番車23を備えている。香箱車20は、地板11と図示しない香箱受との間に軸支されており、内部に図示しないぜんまい(動力源)が収容されている。ぜんまいは、角穴車24が回転することによって巻き上げられる。なお、角穴車24は、
図1に示すリュウズ25に連結された図示しない巻真の回転によって、回転する。
【0041】
二番車21、三番車22及び四番車23は、地板11と図示しない輪列受との間に軸支されている。これら二番車21、三番車22及び四番車23は、巻き上げられたぜんまいの弾性復元力によって香箱車20が回転すると、この回転に基づいて順に回転する。
【0042】
すなわち、二番車21は香箱車20と噛合しており、香箱車20の回転に基づいて回転する。なお、二番車21が回転すると、この回転に基づいて図示しない筒かなが回転する。筒かなには、
図1に示す分針6が取り付けられており、筒かなの回転によって分針6が「分」を表示する。分針6は、脱進機13及び調速機14によって調速された回転速度、すなわち1時間で1回転する。
【0043】
また、二番車21が回転すると、この回転に基づいて図示しない日の裏車が回転し、さらに日の裏車の回転に基づいて図示しない筒車が回転する。なお、日の裏車及び筒車は、表輪列12を構成する時計部品である。筒車には、
図1に示す時針5が取り付けられており、筒車の回転によって時針5が「時」を表示する。時針5は、脱進機13及び調速機14によって調速された回転速度、例えば12時間で1回転する。
【0044】
三番車22は、二番車21と噛合しており、二番車21の回転に基づいて回転する。四番車23は、三番車22に噛合しており、三番車22の回転に基づいて回転する。四番車23には、
図1に示す秒針7が取り付けられており、四番車23の回転に基づいて秒針7が「秒」を表示する。秒針7は、脱進機13及び調速機14によって調速された回転速度、例えば1分間で1回転する。
【0045】
四番車23には、がんぎかな41を介して後述するがんぎ車40が噛合している。これにより、がんぎ車40には、主に二番車21、三番車22及び四番車23を介して、香箱車20内に収容されたぜんまいからの動力が伝達される。これにより、がんぎ車40は回転軸線O2回りに回転する。
【0046】
調速機14は、主にてんぷ30を備えている。
てんぷ30は、てん真31、てん輪32及び図示しないひげぜんまいを備え、地板11と図示しないてんぷ受との間に軸支されている。てんぷ30は、ひげぜんまいを動力源として、回転軸線O1回りに、香箱車20の出力トルクに応じた定常振幅(振り角)で往復回転(正逆回転)する。
【0047】
てん真31における軸方向の両端には、先細りしたほぞが形成されている。てん真31は、これらのほぞを介して、地板11とてんぷ受との間に軸支されている。てん真31には、てん輪32が一体的に外嵌固定されていると共に、図示しないひげ玉を介してひげぜんまいの内端部が固定されている。
なお、図示の例では、回転軸線O1を中心として90度の間隔をあけて4つのアーム部33が配置されたてん輪32としているが、アーム部33の数、配置や形状はこの場合に限定されるものではなく、自由に変更して構わない。
【0048】
てん真31には、
図3に示すように円環状の振り座35が外嵌固定されている。
振り座35は、大つば36、及び大つば36よりも下方(地板11側)に位置する小つば37を有している。大つば36には、ルビー等の人工宝石から形成された振り石38が例えば圧入固定されている。
振り石38は、平面視で半円形状に形成され、大つば36から下方に向けて延びるように形成されている。振り石38は、てんぷ30に伴って回転軸線O1回りに往復回転し、その途中で後述するアンクルハコ74に対して離脱可能に係合する。
【0049】
小つば37は、大つば36よりも小径に形成されている。小つば37には、振り石38に対応した位置に、径方向の内側に向けて曲面状に凹むツキガタ39が形成されている。ツキガタ39は、アンクルハコ74と振り石38とが係合しているときに、後述する剣先75が小つば37と接触することを防止する逃げ部として機能している。
なお、
図3以外の各図面では、図面を見易くするために、振り座35のうち小つば37及び振り石38を主に図示している。
【0050】
(脱進機の構成)
図4に示すように、脱進機13は、上述した振り座35と、ぜんまいから伝達される動力によって回転するがんぎ車40と、アンクルチェーン50と、第1衝撃爪石(本発明に係る衝撃爪石)60及び第2衝撃爪石(本発明に係る衝撃爪石)61と、第1停止爪石(本発明に係る停止爪石)62及び第2停止爪石(本発明に係る停止爪石)63と、を備えている。
なお、振り座35は、上述したようにてんぷ30及び調速機14を構成する構成部品であると共に、脱進機13を構成する構成部品とされている。
【0051】
がんぎ車40は、四番車23と噛合するがんぎかな41と、複数の第1がんぎ歯44を有する第1がんぎ歯車42と、複数の第2がんぎ歯46を有する第2がんぎ歯車45と、を備えた二層構造とされ、地板11と図示しない輪列受との間に軸支されている。なお、
図2以外の各図面では、がんぎかな41の図示を簡略化している。
【0052】
本実施形態では、
図4に示すようにムーブメント10を表側から見た平面視で、がんぎ車40が、がんぎかな41を介して四番車23側から伝達された動力によって回転軸線O2を中心として時計回りに回転する場合を例に挙げて説明する。
なお、
図4において回転軸線O2を中心として時計回りに回転する方向を第1回転方向M1、その反対方向を第2回転方向M2と称している。
【0053】
がんぎかな41、第1がんぎ歯車42及び第2がんぎ歯車45は、同軸上、すなわち共通の回転軸線O2上に配設された状態で一体に形成されている。がんぎかな41及び第2がんぎ歯車45は、第1がんぎ歯車42の上方側(ケース裏蓋側)に一体に形成されている。
【0054】
第1がんぎ歯車42は、歯車本体43と、歯車本体43の外周に沿って形成された複数の第1がんぎ歯44と、を備えている。
図示の例では、第1がんぎ歯44の歯数は8歯とされている。ただし、この場合に限定されるものではなく、第1がんぎ歯44の歯数は適宜変更して構わない。例えば6歯、10歯、12歯の第1がんぎ歯44を有する第1がんぎ歯車42としても構わない。
なお、がんぎ車40の回転に伴って第1がんぎ歯44の歯先が描く回転軌跡R1を、単に第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1という。
【0055】
第2がんぎ歯車45は、第1がんぎ歯車42における歯車本体43上に一体に形成されていると共に、第1がんぎ歯車42よりも小径に形成されている。
なお、本実施形態では、第2がんぎ歯車45のうち、歯先部分である第2がんぎ歯46だけが第1がんぎ歯車42の歯車本体43上に一体に形成されている場合を例にしている。また、第2がんぎ歯46の歯数は、第1がんぎ歯44の歯数と同じ8歯とされている。これにより、第2がんぎ歯46は、第1がんぎ歯車42における歯車本体43と第1がんぎ歯44との接続部分に一体に形成されている。
【0056】
第2がんぎ歯46の歯数は、第1がんぎ歯44の歯数と同数であれば良く、8歯に限定されるものではない。よって、第1がんぎ歯44の歯数を例えば6歯、10歯、12歯とした場合には、これに対応して第2がんぎ歯46の歯数を変更すれば良い。
また、第2がんぎ歯車45は、第1がんぎ歯車42に対して回転軸線O2回りに位相が僅かにずれている。図示の例では、第2がんぎ歯46は、第1がんぎ歯44よりも第1回転方向M1側に位置するように、位相がずれている。
【0057】
なお、がんぎ車40の回転に伴って第2がんぎ歯46の歯先が描く回転軌跡R2を、単に第2がんぎ歯車45の回転軌跡R2という。上述したように、第2がんぎ歯車45は第1がんぎ歯車42よりも小径とされているので、第2がんぎ歯車45の外径は第1がんぎ歯車42の外径よりも小さい。よって、回転軌跡R2は回転軌跡R1の内側に位置する。
【0058】
上述した第1がんぎ歯44のうち、第1回転方向M1を向いた側面は、第2衝撃爪石61に対して接触すると共に、第1停止爪石62及び第2停止爪石63が係合する第1作用面44aとされている。また、上述した第2がんぎ歯46のうち、第1回転方向M1を向いた側面は、第1衝撃爪石60に対して接触する第2作用面46aとされている。
【0059】
上述のように構成された二層構造のがんぎ車40は、例えば金属材料や単結晶シリコン等の結晶方位を有する材料等により形成される。がんぎ車40の製造方法としては、例えば電鋳加工、フォトリソグラフィ技術のような光学的な手法を取り入れたLIGAプロセス、DRIE、金属粉末射出成型(MIM)等が挙げられる。
ただし、がんぎ車40の材料や製造方法は、上述した場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。また、がんぎ車40の性能や剛性等に影響を与えない範囲で、がんぎ車40に肉抜き孔や薄肉部を適宜設けて軽量化を図っても構わない。図示の例では、第1がんぎ歯車42に肉抜き孔を複数形成している。
【0060】
アンクルチェーン50は、複数のアンクルが一列状に繋がるように、相対変位可能に互いに連結し合うことで構成され、てんぷ30の往復回転に基づいて複数のアンクルを各別に回動(揺動)させるように変位する。
具体的には、アンクルチェーン50は、第1衝撃アンクル51及び第2衝撃アンクル52を有する衝撃アンクルユニット53と、停止アンクル55を有する停止アンクルユニット56と、を備えている。衝撃アンクルユニット53と停止アンクルユニット56とは互いに相対変位可能に連結されている。
つまり、第1衝撃アンクル51と第2衝撃アンクル52とが相対変位可能に互いに連結され、第1衝撃アンクル51と停止アンクル55とが相対変位可能に互いに連結されている。これにより、停止アンクル55、第1衝撃アンクル51及び第2衝撃アンクル52は、一列状に繋がるように互いに連結されている。
【0061】
なお、衝撃アンクルユニット53及び停止アンクルユニット56は、少なくとも1つ以上のアンクルで構成されていれば良い。
本実施形態では、衝撃アンクルユニット53が2つのアンクルで構成され、停止アンクルユニット56が1つのアンクルで構成されている。
【0062】
第1衝撃爪石60及び第2衝撃爪石61は、がんぎ車40に伝わった動力をてんぷ30に伝えるための爪石とされている。第1衝撃爪石60及び第2衝撃爪石61のうち、第1衝撃爪石60は、第1衝撃アンクル51に取り付けられ、第2がんぎ歯46の第2作用面46aに対して接触可能とされている。第2衝撃爪石61は第2衝撃アンクル52に取り付けられ、第1がんぎ歯44の第1作用面44aに対して接触可能とされている。
【0063】
第1停止爪石62及び第2停止爪石63は、第1がんぎ歯44の第1作用面44aに対して係脱可能とされ、がんぎ車40の停止及びその解除を行うための爪石とされている。第1停止爪石62及び第2停止爪石63は、ともに停止アンクル55に取り付けられている。
【0064】
なお、第1衝撃爪石60及び第2衝撃爪石61は、第1停止爪石62及び第2停止爪石63の非係合時に第1がんぎ歯車42の第1がんぎ歯44又は第2がんぎ歯車45の第2がんぎ歯46に接触し、第1停止爪石62及び第2停止爪石63は、第1衝撃爪石60及び第2衝撃爪石61の非接触時に第1がんぎ歯車42の第1がんぎ歯44に係合する。これら各爪石は、振り石38と同様に例えばルビー等の人工宝石から形成されている。
【0065】
第1衝撃アンクル51について詳細に説明する。
図4〜
図7に示すように、第1衝撃アンクル51は、平面視でがんぎ車40とてん真31との間に配置され、回動軸であるアンクル真70、アンクル体71及びアンクルアーム72を備えている。そして、第1衝撃アンクル51は、てんぷ30の往復回転に基づいて回動軸線O3回りに回動する。
【0066】
アンクル真70は、回動軸線O3と同軸に配置され、地板11と図示しない輪列受との間に軸支されている。図示の例では、アンクル真70は、平面視でがんぎ車40の回転軸線O2とてんぷ30の回転軸線O1とを結んだ中心線上に位置するように配置されている。アンクル真70は、アンクル体71の基部に対して、例えば下方(地板11側)から圧入され、一体に固定されている。
【0067】
アンクル体71及びアンクルアーム72は、例えば電鋳加工やMEMS技術によって板状に一体に形成されている。これらアンクル体71及びアンクルアーム72は、がんぎ車40よりも上方に配置されている。
なお、がんぎ車40と同様に、アンクル体71及びアンクルアーム72に肉抜き孔や薄肉部を適宜設けて軽量化を図っても構わない。図示の例では、アンクル体71及びアンクルアーム72に肉抜き孔を複数形成している。
【0068】
アンクル体71は、アンクル真70が固定された基部から、アンクル真70の径方向に沿っててんぷ30側に向けて延びるように形成されている。アンクル体71の先端部には、回動軸線O3の周方向に並んで配置された一対のクワガタ73が設けられている。クワガタ73の内側は、てん真31側に向けて開口すると共に、てんぷ30の往復回転に伴って移動する振り石38が係脱可能に収容されるアンクルハコ74とされている。
【0069】
アンクル体71の先端部には、剣先75が取り付けられている。
剣先75は、アンクル体71の先端部に対して下方から例えば圧入等によって固定されている。剣先75は、平面視で一対のクワガタ73間に位置(すなわちアンクルハコ74の内側に位置)すると共に、クワガタ73よりもてん真31側に突出するように延びている。剣先75の先端部は、振り石38がアンクルハコ74から離脱している状態において、小つば37の外周面のうちツキガタ39を除いた部分に対して若干の隙間をあけて径方向に対向し、且つ振り石38がアンクルハコ74に係合している状態において、ツキガタ39内に収容される。
【0070】
なお、振り石38がアンクルハコ74から離脱しているときに、剣先75の先端部が小つば37の外周面に対して若干の隙間をあけて径方向に対向しているので、例えばてんぷ30の自由振動中に外乱が入力され、その外乱の影響によってアンクルチェーン50全体の停止が解除されようとしても、剣先75の先端部を小つば37の外周面に対して真っ先に接触させることができる。これにより、外乱による第1衝撃アンクル51の変位を抑制でき、アンクルチェーン50全体の停止が解除されてしまうことを防止することができる。なお、アンクルチェーン50の停止については、後に詳細に説明する。
【0071】
アンクル体71の基部には、回動軸線O3を挟んでアンクル体71とは径方向の反対側に向けて突出するように第1爪石保持部76が設けられている。第1爪石保持部76は、がんぎ車40側に向けて開口しており、この開口を利用して第1衝撃爪石60を保持している。
第1衝撃爪石60は、第1爪石保持部76よりもがんぎ車40側に突出した状態で保持されている。第1衝撃爪石60の突出部分のうち、第2回転方向M2側を向いた側面は、第2がんぎ歯46の第2作用面46aが接触する第1衝撃面60aとされている。
【0072】
なお、図示の例では、第1衝撃爪石60と第2がんぎ歯46との接触を可能とさせるために、第1爪石保持部76が第1がんぎ歯44の上方に位置する程度まで、がんぎ車40側に突出している。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば第1爪石保持部76を第1がんぎ歯車42よりも径方向の外側に配置し、第1爪石保持部76からの第1衝撃爪石60の突出量を大きくして、第1衝撃爪石60だけを第1がんぎ歯44の上方に位置させても構わない。
【0073】
アンクル体71の基部には、第1回転方向M1側に向けて第1係合フォーク77が突設されている。第1係合フォーク77の先端部は、回動軸線O3の周方向に二股状に分岐している。
アンクルアーム72は、アンクル体71の基部から、第2回転方向M2側に向けて延びるように形成されている。アンクルアーム72の先端部には第2係合フォーク78が形成されている。第2係合フォーク78の先端部は、第1係合フォーク77と同様に回動軸線O3の周方向に二股状に分岐している。
【0074】
このように構成された第1衝撃アンクル51は、先に述べたようにてんぷ30の回転に基づいて回動する。
具体的には、第1衝撃アンクル51は、てんぷ30の往復回転に伴って移動する振り石38によって、てんぷ30の回転方向とは反対の方向に向けて回動軸線O3回りに回動する。このとき、第1衝撃爪石60は、第1衝撃アンクル51の回動によって第2がんぎ歯車45の回転軌跡R2に対する進入と退避とを繰り返す。これにより、第2がんぎ歯46の第2作用面46aを、第1衝撃爪石60の第1衝撃面60aに対して接触(衝突)させることが可能となる。
【0075】
第2衝撃アンクル52について詳細に説明する。
第2衝撃アンクル52は、平面視で第1衝撃アンクル51よりも第2回転方向M2側に配置され、回動軸であるアンクル真80及びアンクル体81を備えている。そして、第2衝撃アンクル52は、第1衝撃アンクル51の回転に基づいて、第1衝撃アンクル51の回動方向とは反対の方向に向けて回動軸線O4回りに回動する。
【0076】
アンクル真80は、回動軸線O4と同軸に配置され、地板11と図示しない輪列受との間に軸支されている。アンクル真80は、アンクル体81に対して例えば下方から圧入され、一体に固定されている。
【0077】
アンクル体81は、例えば電鋳加工やMEMS技術によって板状に形成されている。図示の例では、アンクル体81はがんぎ車40の周方向に沿って延びるように形成されている。なお、アンクル体81に肉抜き孔や薄肉部を適宜設けて軽量化を図っても構わない。
【0078】
アンクル体81のうち、第2回転方向M2側に位置する周端部81bに、アンクル真80が固定されている。なお、アンクル体81は、第1衝撃アンクル51のアンクル体71よりも下方に配置され、且つがんぎ車40の第1がんぎ歯車42よりも上方に配置されている。
【0079】
アンクル体81のうち、第1回転方向M1側に位置する周端部81aには、上方に向けて延びた係合ピン82が圧入等によって固定されている。係合ピン82は、例えば中実の円柱状に形成され、その上端部は第1衝撃アンクル51の第2係合フォーク78の内側に入り込んでいる。係合ピン82の外周面と第2係合フォーク78の内面とは、互いに摺動可能に係合している。
これにより、第1衝撃アンクル51及び第2衝撃アンクル52は、相対変位可能に互いに連結され、互いに反対方向に向けて回動する。
【0080】
アンクル体81の周端部81bには、がんぎ車40側に向けて突出するように第2爪石保持部83が設けられている。第2爪石保持部83は、がんぎ車40側に向けて開口しており、この開口を利用して第2衝撃爪石61を保持している。
第2衝撃爪石61は、第2爪石保持部83よりもがんぎ車40側に突出した状態で保持されている。第2衝撃爪石61の突出した部分のうち、第2回転方向M2側を向いた側面は、第1がんぎ歯44の第1作用面44aが接触する第2衝撃面61aとされている。
【0081】
このように構成された第2衝撃アンクル52は、先に述べたように、てんぷ30の往復回転に伴って回動する第1衝撃アンクル51の回動に基づいて回動軸線O4回りに回動する。このとき、第2衝撃爪石61は、第2衝撃アンクル52の回動によって第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1に対する進入と退避とを繰り返す。これにより、第1がんぎ歯44の第1作用面44aを、第2衝撃爪石61の第2衝撃面61aに対して接触(衝突)させることが可能となる。
【0082】
特に、第1衝撃アンクル51と第2衝撃アンクル52とは、回動方向が反対となるように連結されているので、第1衝撃アンクル51及び第2衝撃アンクル52のうち一方の衝撃アンクルががんぎ車40の回転方向と同方向に回動したときに、他方の衝撃アンクルががんぎ車40の回転方向とは逆方向に回動する。これにより、第1衝撃爪石60が第2がんぎ歯46に対して接触するときに第2衝撃爪石61が第1がんぎ歯44から離脱し、第1衝撃爪石60が第2がんぎ歯46から離脱したときに第2衝撃爪石61が第1がんぎ歯44に接触する。
なお、本実施形態では第1衝撃アンクル51と第2衝撃アンクル52とは、回動方向が反対となるように連結されているが、これに限定されるものではなく、第1衝撃アンクル51と第2衝撃アンクル52とが同方向に回動するように連結されていてもよい。
【0083】
停止アンクル55について詳細に説明する。
停止アンクル55は、平面視で第1衝撃アンクル51よりも第1回転方向M1側に配置され、回動軸であるアンクル真90及びアンクル体91を備えている。そして、停止アンクル55は、第1衝撃アンクル51の回転に基づいて、第1衝撃アンクル51の回動方向とは反対の方向に向けて回動軸線O5回りに回動する。
【0084】
アンクル真90は、回動軸線O5と同軸に配置され、地板11と図示しない輪列受との間に軸支されている。アンクル真90は、アンクル体91に対して例えば下方から圧入され、一体に固定されている。
【0085】
アンクル体91は、例えば電鋳加工やMEMS技術によって板状に形成されている。図示の例では、アンクル体91はがんぎ車40の周方向に沿って延びるように円弧状に形成されている。なお、図示の例では、アンクル体91に複数の肉抜き孔が形成されている。
【0086】
アンクル体91における中央部分にアンクル真90が固定されている。なお、アンクル体91は、第1衝撃アンクル51のアンクル体71よりも下方に配置され、且つがんぎ車40の第1がんぎ歯車42よりも上方に配置されて、第2衝撃アンクル52のアンクル体81と同一の平面上に配置されている。
従って、第1衝撃アンクル51、第2衝撃アンクル52、停止アンクル55及びがんぎ車40の高さ関係としては、がんぎ車40が最も地板11に近い最下層に位置し、その上方に第2衝撃アンクル52及び停止アンクル55が位置し、さらにその上方に第1衝撃アンクル51が位置する関係となる。
【0087】
アンクル体91のうち、第2回転方向M2側に位置する周端部91aには、上方に向けて延びた係合ピン92が圧入等によって固定されている。係合ピン92は、例えば中実の円柱状に形成され、その上端部は第1衝撃アンクル51の第1係合フォーク77の内側に入り込んでいる。係合ピン92の外周面と第1係合フォーク77の内面とは、互いに摺動可能に係合している。これにより、第1衝撃アンクル51及び停止アンクル55は、相対変位可能に互いに連結され、互いに反対方向に向けて回動する。
【0088】
アンクル体91のうち、アンクル真90と係合ピン92との間に位置する部分には、がんぎ車40側に向けて開口した第3爪石保持部93が設けられている。第3爪石保持部93は、この開口を利用して第1停止爪石62を保持している。
第1停止爪石62は、第3爪石保持部93よりもがんぎ車40側に突出した状態で保持されている。第1停止爪石62の突出した部分のうち、第2回転方向M2側を向いた側面は、第1がんぎ歯44の第1作用面44aが係合する第1係合面62aとされている。なお、第1停止爪石62は、いわゆる入爪石として機能する。
【0089】
なお、第1停止爪石62は、所定の引き角を有した状態で第1係合面62aが第1がんぎ歯44の第1作用面44aに係合するように取り付けられている。
【0090】
アンクル体91のうち、第1回転方向M1側に位置する周端部91bには、がんぎ車40側に向けて開口した第4爪石保持部94が設けられている。第4爪石保持部94は、この開口を利用して第2停止爪石63を保持している。
第2停止爪石63は、第4爪石保持部94よりもがんぎ車40側に突出した状態で保持されている。第2停止爪石63の突出した部分のうち、第2回転方向M2側を向いた側面は、第1がんぎ歯44の第1作用面44aが係合する第2係合面63aとされている。なお、第2停止爪石63は、いわゆる出爪石として機能する。
【0091】
なお、第2停止爪石63は、第1停止爪石62と同様に、所定の引き角を有した状態で第2係合面63aが第1がんぎ歯44の第1作用面44aに係合するように取り付けられている。
【0092】
このように構成された停止アンクル55は、先に述べたように、てんぷ30の往復回転に基づいて回動する第1衝撃アンクル51の回動に基づいて回動軸線O5回りに回動する。このとき、第1停止爪石62及び第2停止爪石63は、停止アンクル55の回動によって第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1に対する進入と退避とを交互に繰り返す。
これにより、第1がんぎ歯44の第1作用面44aを、第1停止爪石62の第1係合面62a、或いは第2停止爪石63の第2係合面63aに対して係合させることが可能となる。
【0093】
特に、第1停止爪石62と第2停止爪石63とが回動軸線O5を挟んで配置されているので、第1停止爪石62が第1がんぎ歯44に対して係合するときに第2停止爪石63が第1がんぎ歯44から離脱し、第1停止爪石62が第1がんぎ歯44から離脱したときに第2停止爪石63が第1がんぎ歯44に係合する。
【0094】
上述のようにアンクルチェーン50は、第1衝撃アンクル51、第2衝撃アンクル52及び停止アンクル55が互いに一列状に繋がるように連結されることで構成され、てんぷ30の往復回転に基づいて各アンクル51、52、55が各別に回動するように変位する。すなわち、第1衝撃アンクル51がてんぷ30の回転方向とは反対の方向に向けて回動し、第2衝撃アンクル52及び停止アンクル55が第1衝撃アンクル51の回動方向とは反対の方向に向けてそれぞれ回動する。
【0095】
なお、第2衝撃アンクル52及び停止アンクル55は、アンクルチェーン50の連結端に位置するアンクルに相当する。このうち、第2衝撃アンクル52には、第1停止爪石62及び第2停止爪石63ががんぎ車40の第1がんぎ歯車42と係合したときに、第2衝撃アンクル52を位置決めしてアンクルチェーン50全体の変位を規制する規制部が形成されている。
【0096】
すなわち、第2衝撃アンクル52におけるアンクル体81の外側面84は、アンクル体81よりも第1回転方向M1側に配置された一方のドテピン86に対して接触することで、第2衝撃アンクル52の回動を規制して位置決めする上記規制部として機能する。
同様に、第2衝撃アンクル52の第2爪石保持部83の外側面85は、第2爪石保持部83よりも第2回転方向M2側に配置された他方のドテピン87に対して接触することで、第2衝撃アンクル52の回動を規制して位置決めする上記規制部として機能する。
一対のドテピン86、87は、例えば地板11から上方に向けて突出するように固定されている。
【0097】
アンクル体81の外側面84は、第1停止爪石62が第1がんぎ歯車42の第1がんぎ歯44と係合したときに、一方のドテピン86に接触して第2衝撃アンクル52を位置決めする。また、第2爪石保持部83の外側面85は、第2停止爪石63が第1がんぎ歯車42の第1がんぎ歯44と係合したときに、他方のドテピン87に接触して第2衝撃アンクル52を位置決めする。
【0098】
(脱進機の動作)
次に、上述のように構成された脱進機13の動作について説明する。
なお、以下の説明における動作開始状態では、
図4に示すように、第1がんぎ歯44の第1作用面44aが第1停止爪石62の第1係合面62aに係合していると共に、第2衝撃アンクル52における外側面84が一方のドテピン86に対して接触して第2衝撃アンクル52が位置決めされている。これにより、がんぎ車40は回転が停止している。さらに、てんぷ30の自由振動によって振り石38が時計回りに移動し、アンクルハコ74の内側に進入している。
【0099】
また、第1衝撃爪石60は、第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1を超えて第2がんぎ歯車45の回転軌跡R2に既に進入している。ただし、第1衝撃爪石60の第1衝撃面60aと第2がんぎ歯46の第2作用面46aとの間には隙間が確保されており、第2がんぎ歯46は第1衝撃爪石60に対して非接触とされている。
【0100】
このような動作開始状態から、てんぷ30の往復回転に伴う脱進機13の動作について、順を追って説明する。
【0101】
図4に示す状態から、てんぷ30がひげぜんまいに蓄えられた回転エネルギー(動力)によって時計回りにさらに回転すると、振り石38がアンクルハコ74の内面のうち、振り石38よりも該振り石38の進行方向側に位置するクワガタ73側の内面に接触して係合すると共に、アンクルハコ74を時計回りに押圧する。これにより、振り石38を介して、ひげぜんまいからの動力が第1衝撃アンクル51に伝わる。
なお、アンクルハコ74と振り石38との係合時、小つば37と剣先75とは互いに接触することがないので、てんぷ30からの動力を第1衝撃アンクル51に効率よく伝えることができる。
【0102】
これにより、
図8に示すように、第1衝撃アンクル51、第2衝撃アンクル52及び停止アンクル55がそれぞれ回動するように、アンクルチェーン50の全体が変位する。
すなわち、第1衝撃アンクル51が回動軸線O3を中心として反時計回りに回動し、第2衝撃アンクル52が回動軸線O4を中心として時計回りに回動し、停止アンクル55が回動軸線O5を中心として時計回りに回動する。
【0103】
第2衝撃アンクル52が回動することで、
図9に示すように、第2衝撃アンクル52における外側面84が一方のドテピン86から離間する。また、停止アンクル55が回動することで、第1停止爪石62が第1がんぎ歯44の第1作用面44a上を滑るように、第1がんぎ歯車42から離脱する方向(第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1から退避する方向)に移動する。
そして、第1停止爪石62が第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1から僅かに外れた位置まで移動することで、第1停止爪石62を第1がんぎ歯44から離脱させて、第1がんぎ歯44との係合を解除することができる。これにより、がんぎ車40の停止の解除を行うことができる。
【0104】
ところで、第1がんぎ歯44と第1停止爪石62との係合を解除する際、第1停止爪石62には引き角がついているので、
図9に示すように、がんぎ車40は本来の回転方向である第1回転方向M1(時計回り)ではなく、第2回転方向M2(反時計回り)に瞬間的に後退する。がんぎ車40は、この瞬間的な後退を経た後に、表輪列12を介して伝えられた動力によって第1回転方向M1に回転を再開する。
このように、がんぎ車40を瞬間的に後退させることで、表輪列12の噛み合いをより確実にすることができ、安定且つ高い信頼性で表輪列12を作動させることができる。
【0105】
そして、
図10に示すように、後退したがんぎ車40が第1回転方向M1に向けて回転を再開すると、第2がんぎ歯車45の回転軌跡R2に既に進入していた第1衝撃爪石60の第1衝撃面60aに対して第2がんぎ歯46の第2作用面46aが接触(衝突)する。
【0106】
これにより、がんぎ車40の回転力を第1衝撃アンクル51に伝えることができ、アンクルハコ74の内面のうち、振り石38よりも該振り石38の進行方向とは反対側に位置するクワガタ73側の内面が振り石38に接触して係合する。そのため、がんぎ車40に伝わった動力を、第1衝撃アンクル51を介しててんぷ30に間接的に伝えることができると共に、振り石38に追従するように第1衝撃アンクル51を引き続き回動させることができる。
このように、がんぎ車40に伝わった動力を、第1衝撃アンクル51を介しててんぷ30に間接的に伝えることで、てんぷ30に回転エネルギーを補充することができる。
【0107】
上述のように第2がんぎ歯46が第1衝撃爪石60に接触すると、第2がんぎ歯46は第1衝撃面60a上を滑るように第1回転方向M1に回転すると共に、第1衝撃爪石60は第1衝撃アンクル51の回動に伴って徐々に第2がんぎ歯車45から離脱する方向(第2がんぎ歯車45の回転軌跡R2から退避する方向)に移動する。
そして、
図11に示すように、第1衝撃爪石60が第2がんぎ歯車45の回転軌跡R2から僅かに外れた位置まで移動することで、上述したてんぷ30への間接的な衝撃が終了する。
【0108】
また、第1衝撃アンクル51の回動によって第1衝撃爪石60が第2がんぎ歯車45から離脱する方向に移動している際、
図11に示すように、第2停止爪石63が停止アンクル55の時計回りの回動によって第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1に進入する。
【0109】
そして、第1衝撃爪石60が第2がんぎ歯車45の回転軌跡R2から外れた位置まで移動した直後に、第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1に進入した第2停止爪石63の第2係合面63aに対して第1がんぎ歯44の第1作用面44aが接触する。このとき、第2衝撃アンクル52は、時計回りの回動に伴って他方のドテピン87に向かって移動しているが、この段階では他方のドテピン87に対して非接触とされている。そのため、第1がんぎ歯44と第2停止爪石63とが接触したまま、停止アンクル55、第1衝撃アンクル51及び第2衝撃アンクル52はそれぞれ僅かに回動する。
【0110】
そして、
図12に示すように、第2衝撃アンクル52における外側面85が他方のドテピン87に接触すると、第2衝撃アンクル52はそれ以上の回動が規制されて位置決めされる。そのため、アンクルチェーン50全体の変位が規制され、第1がんぎ歯44と第2停止爪石63とが係合した状態となる。これにより、がんぎ車40は回転が停止し、アンクルチェーン50は停止した状態となる。
【0111】
なお、第2衝撃爪石61は、第2衝撃アンクル52が時計回りへの回動を開始して以降、第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1側に徐々に接近し、第2衝撃アンクル52が他方のドテピン87に接触した時点で、
図12に示すように第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1に進入する。ただし、第2停止爪石63と第1がんぎ歯44とが係合している段階では、第2衝撃爪石61の第2衝撃面61aと第1がんぎ歯44の第1作用面44aとの間には隙間が確保されている。これにより、第1がんぎ歯44は第2衝撃爪石61に対して非接触とされている。
【0112】
その後、振り石38はアンクルハコ74内から離脱し、てんぷ30の時計回りの回転に伴って第1衝撃アンクル51から離間する。これ以降、てんぷ30は慣性によって時計回りに回転し続けると共に、その回転エネルギーがひげぜんまいに蓄えられていく。そして、回転エネルギーが全てひげぜんまいに蓄えられると、てんぷ30は時計回りの回転を止めて、一瞬静止した後に、ひげぜんまいに蓄えられた回転エネルギーによって反時計回りに回転を開始する。
これにより、
図13に示すように、振り石38は、てんぷ30の反時計回りの回転に伴って第1衝撃アンクル51に向けて接近するように移動を開始する。
【0113】
そして、
図14に示すように、振り石38が第1衝撃アンクル51のアンクルハコ74内に進入すると、振り石38はアンクルハコ74の内面のうち、振り石38よりも該振り石30の進行方向側に位置するクワガタ73側の内面に接触して係合すると共に、アンクルハコ74を反時計回りに押圧する。これにより、振り石38を介してひげぜんまいからの動力が第1衝撃アンクル51に伝わる。
【0114】
これにより、第1衝撃アンクル51、第2衝撃アンクル52及び停止アンクル55がそれぞれ回動するように、アンクルチェーン50の全体が再び変位する。すなわち、第1衝撃アンクル51が回動軸線O3を中心として時計回りに回動し、第2衝撃アンクル52が回動軸線O4を中心として反時計回りに回動し、停止アンクル55が回動軸線O5を中心として反時計回りに回動する。
【0115】
第2衝撃アンクル52が回動することで、該第2衝撃アンクル52における外側面85が他方のドテピン87から離間する。また、停止アンクル55が回動することで、第2停止爪石63は第1がんぎ歯44の第1作用面44a上を滑るように、第1がんぎ歯車42から離脱する方向(第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1から退避する方向)に移動する。そして、第2停止爪石63が第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1から僅かに外れた位置まで移動することで、第2停止爪石63を第1がんぎ歯44から離脱させて、第1がんぎ歯44との係合を解除することができる。これにより、がんぎ車40の停止の解除を行うことができる。
【0116】
また、第1停止爪石62と同様に、第2停止爪石63には引き角がついているので、
図14に示すように、がんぎ車40は第2回転方向M2に瞬間的に後退した後に、表輪列12を介して伝えられた動力によって第1回転方向M1に回転を再開する。
そして、
図15に示すように、後退したがんぎ車40が第1回転方向M1に向けて回転を再開すると、第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1に進入していた第2衝撃爪石61の第2衝撃面61aに対して第1がんぎ歯44の第1作用面44aが接触(衝突)する。
【0117】
これにより、がんぎ車40の回転力を、第2衝撃アンクル52を介して第1衝撃アンクル51に伝えることができ、アンクルハコ74の内面のうち、振り石38よりも該振り石38の進行方向とは反対側に位置するクワガタ73側の内面が振り石38に接触して係合する。そのため、がんぎ車40に伝わった動力を、第2衝撃アンクル52及び第1衝撃アンクル51を介しててんぷ30に間接的に伝えることができると共に、振り石38に追従するように第1衝撃アンクル51を引き続き回動させることができる。
このように、がんぎ車40に伝わった動力を、第2衝撃アンクル52及び第1衝撃アンクル51を介しててんぷ30に間接的に伝えることで、てんぷ30に回転エネルギーを補充することができる。
【0118】
上述のように第1がんぎ歯44が第2衝撃爪石61に接触すると、第1がんぎ歯44は第2衝撃面61a上を滑るように第1回転方向M1に回転すると共に、第2衝撃爪石61は第2衝撃アンクル52の回動に伴って徐々に第1がんぎ歯車42から離脱する方向(第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1から退避する方向)に移動する。
そして、
図16に示すように、第2衝撃爪石61が第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1から僅かに外れた位置まで移動することで、上述したてんぷ30への間接的な衝撃が終了する。
【0119】
また、第2衝撃アンクル52の回動によって第2衝撃爪石61が第1がんぎ歯車42から離脱する方向に移動している際、
図16に示すように、第1停止爪石62が停止アンクル55の反時計回りの回動によって第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1に進入する。
【0120】
そして、第2衝撃爪石61が第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1から外れた位置まで移動した直後に、第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1に進入していた第1停止爪石62の第1係合面62aに対して第1がんぎ歯44の第1作用面44aが接触する。このとき、第2衝撃アンクル52は、反時計回りの回動に伴って一方のドテピン86に向かって移動しているが、この段階では一方のドテピン86に対して非接触とされている。そのため、第1がんぎ歯44と第1停止爪石62とが接触したまま、停止アンクル55、第1衝撃アンクル51及び第2衝撃アンクル52はそれぞれ僅かに回動する。
【0121】
そして、
図17に示すように、第2衝撃アンクル52の外側面84が一方のドテピン86に接触すると、第2衝撃アンクル52はそれ以上の回動が規制されて位置決めされる。そのため、アンクルチェーン50全体の変位が規制され、第1がんぎ歯44と第1停止爪石62とが係合した状態となる。これにより、がんぎ車40は回転が停止し、アンクルチェーン50は停止した状態となる。
【0122】
これ以降、てんぷ30の往復回転に伴って上述した動作を繰り返すことにより、脱進機13は第1がんぎ歯44と第1停止爪石62及び第2停止爪石63との係脱を繰り返し行うと共に、第2がんぎ歯46と第1衝撃爪石60との接触、及び第1がんぎ歯44と第2衝撃爪石61との接触を利用したてんぷ30への間接的な動力の伝達を行う。
従って、いわゆる間接衝撃型の脱進機13として動作させることができ、てんぷ30に対して直接的に動力を伝達する場合に比べて、安定した動作および動力の伝達を確保することができる。
【0123】
特に、本実施形態の脱進機13によれば、1つの共通するアンクルに衝撃爪石及び停止爪石が組み込まれていた従来のものとは異なり、第1衝撃アンクル51及び第2衝撃アンクル52が第1衝撃爪石60、第2衝撃爪石61をそれぞれ有し、停止アンクル55が第1停止爪石62及び第2停止爪石63を有している。
そのため、がんぎ車40に対する衝撃アンクルユニット53(第1衝撃アンクル51及び第2衝撃アンクル52)の相対位置、及びがんぎ車40に対する停止アンクルユニット56(停止アンクル55)の相対位置をそれぞれ制約少なく自由に設計配置することができ、衝撃及び停止にそれぞれ最適なレイアウトで衝撃アンクルユニット53及び停止アンクルユニット56を配置することが可能である。
【0124】
ここで、停止アンクル55とがんぎ車40との作動関係について説明する。
図18は、がんぎ車40の回転中心(すなわち回転軸線O2)と、停止アンクル55の回動中心(すなわち回動軸線O5)と、がんぎ車40の退却角と、の関係を示す。
なお、
図18では、がんぎ車40の図示を省略しているが、第1がんぎ歯44の歯先が描く回転軌跡R1については図示している。よって、回転軌跡R1は第1がんぎ歯車42の外径に対応する。
【0125】
さらに、
図18においては、停止アンクル55の回動中心を、第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1に対して距離L1だけ離れた位置に配置した場合と、距離L1よりも遠い距離L2だけ離れた位置に配置した場合を図示している。
これらのいずれの場合であっても、第1停止爪石62は、第1がんぎ歯44が係合する係合位置X1と、第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1から外れた位置に移動して、第1がんぎ歯44との係合が解除される解除位置X2と、の間を停止アンクル55の回動に伴って移動する。
【0126】
また、第1停止爪石62の第1係合面62aと停止アンクル55の回動中心とを結ぶ線分と、第1係合面62aに対する法線と、の間の角度が引き角α1となる。また、第1停止爪石62が、係合位置X1から解除位置X2まで移動する間に要する停止アンクル55の回動角度が作動角(或いは解除角)α2となる。さらに、第1停止爪石62が、係合位置X1から解除位置X2まで移動することに伴うがんぎ車40の後退角度を退却角α3という。
【0127】
上述した条件のもと、作動角α2を所定値に固定した場合において、停止アンクル55の回動中心と第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1との間の距離が、退却角α3にどのような影響を与えるかについて説明する。
図18に示すように、停止アンクル55の回動中心が第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1に対して距離L2だけ離れている状態と、停止アンクル55の回動中心が第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1に対して距離L1だけ離れている状態と、で停止アンクル55を同じ作動角α2だけそれぞれ回動させた場合には、距離L2よりも距離L1のときの方が退却角α3を小さくすることができる。すなわち、停止アンクル55の回動中心が回転軌跡R1に近い場合の方が退却角α3を小さくすることができる。
【0128】
従って、第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1に対して停止アンクル55の回動中心をできるだけ接近させることで、がんぎ車40の退却角を小さくすることが可能となり、がんぎ車40の停止解除に必要なエネルギー(すなわち、後退したがんぎ車40を元の回転方向に戻すために必要なエネルギー)を小さくすることができる。
【0129】
なお、
図18では、第1停止爪石62に着目して説明したが、第2停止爪石63においても同様である。従って、第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1(すなわち第1がんぎ歯車42の外径)に対して停止アンクル55の回動中心をできるだけ接近させることが、停止に最適なレイアウトとなる。
【0130】
特に、脱進機13を作動させるうえで、アンクルの作動角は非常に重要なパラメータとされている。この点、本実施形態によれば、停止アンクル55に衝撃用の爪石が取り付けられておらず、停止用の爪石である第1停止爪石62及び第2停止爪石63だけが取り付けられているので、停止の作用だけに着目して停止アンクル55の作動角α2を最適な角度に設定することができると共に、停止アンクル55の回動中心を第1がんぎ歯車42の回転軌跡R1側に接近させるように停止アンクル55を配置することが可能である。
従って、本実施形態によれば、がんぎ車40の停止解除に必要なエネルギーを小さくして、動力の伝達効率を向上させると共に、作動誤差を少なくすることができる。
【0131】
また、第1衝撃アンクル51とがんぎ車40との作動関係について説明する。
図19は、第2がんぎ歯車45の第2がんぎ歯46と第1衝撃爪石60とが接触している場合の関係を示す図である。なお、
図19では、第2がんぎ歯46の歯先と第1衝撃爪石60とが線接触に近い状態で接触するものとして説明する。
【0132】
第2がんぎ歯46と第1衝撃爪石60とが接触を開始してから接触が終了するまでに要するがんぎ車40の回動角度である作動角α4は、例えば第2がんぎ歯46の歯数により決定される。そして、がんぎ車40の作動角α4に基づいて、第2がんぎ歯46と第1衝撃爪石60とが接触を開始してから接触が終了するまでに要する第1衝撃アンクル51の回動角度である作動角α5も決定される。
第2がんぎ歯46と第1衝撃爪石60との接触によって、がんぎ車40から第1衝撃爪石60に効率良く動力を伝達する際、例えば歯部同士の噛み合いにおけるピッチ点と同様に、第2がんぎ歯46と第1衝撃爪石60とのピッチ点P0で動力を伝達することが好ましい。
【0133】
なお、ピッチ点P0とは、第2がんぎ歯46と第1衝撃爪石60との接触開始時における接触点P1と、接触終了時における接触点P2とを結んだ作用線と、がんぎ車40の回転中心(すなわち回転軸線O2)と第1衝撃アンクル51の回動中心(すなわち回動軸線O3)とを結んだ中心線との交点に相当する。
【0134】
そして、ピッチ点P0で動力を伝達することを考慮した場合、がんぎ車40の回転中心とピッチ点P0との距離L3と、第1衝撃アンクル51の回動中心とピッチ点P0との距離L4と、の比率が決定される。
この場合、がんぎ車40の回転中心とピッチ点P0との間の距離L3と、第1衝撃アンクル51の回動中心とピッチ点P0との間の距離L4との比率が、がんぎ車40の作動角α4と第1衝撃アンクル51の作動角α5との比率に対して略逆比となる。つまり、(L3/L4)≒(α5/α4)をほぼ満たす関係となる。
【0135】
よって、このように設計することが、衝撃に最適なレイアウトになる。なお、この点は、第2衝撃爪石61及び第2衝撃アンクル52においても同様である。
本実施形態によれば、第1衝撃アンクル51に、停止用の爪石が取り付けられておらず、衝撃用の爪石である第1衝撃爪石60だけが取り付けられている。同様に、第2衝撃アンクル52に、衝撃用の爪石である第2衝撃爪石61だけが取り付けられている。そのため、衝撃の作用だけに着目して、第1衝撃アンクル51及び第2衝撃アンクル52の作動角を最適な角度に設定することが可能である。
従って、がんぎ車40に伝わった動力をてんぷ30に対して効率良く伝えることができる。
【0136】
特に、本実施形態では、第1がんぎ歯車42の第1がんぎ歯44に対して第1停止爪石62及び第2停止爪石63を係脱可能とさせ、第1がんぎ歯車42とは異なる第2がんぎ歯車45の第2がんぎ歯46に対して第1衝撃爪石60を接触可能とさせるので、第1がんぎ歯44及び第2がんぎ歯46の歯数や、各アンクルの作動角を決定した後であっても、がんぎ車40に対する停止アンクル55及び第1衝撃アンクル51の回動中心の位置を自在に調整することができる。そのため、第1がんぎ歯車42と第2がんぎ歯車45との径比を自由に選択することができ、二層構造のがんぎ車40の設計自由度を向上させることができる。
【0137】
以上説明したように、本実施形態の脱進機13によれば、衝撃及び停止に最適化した設計が可能となり、動力の伝達効率に優れ、作動誤差の少ない脱進機13とすることができる。また、第1がんぎ歯車42と第2がんぎ歯車45との径比を自由に選択することが可能であり、がんぎ車40の設計自由度を向上させることができる。
【0138】
なお、本実施形態では、第2衝撃アンクル52の第2衝撃爪石61が、第1停止爪石62及び第2停止爪石63が係脱する第1がんぎ歯車42の第1がんぎ歯44に接触する。そのため、例えば停止に最適なレイアウトで停止アンクル55と第1がんぎ歯車42との位置関係を決定した場合、それによって第1がんぎ歯車42に対する第2衝撃アンクル52の相対位置も決定され易い。
しかしながらこの場合であっても、第1衝撃アンクル51が、第1がんぎ歯車42とは異なる第2がんぎ歯車45の第2がんぎ歯46に対して接触可能な第1衝撃爪石60を有しているので、例えば第1がんぎ歯車42と第2がんぎ歯車45との位相を変化させることで、衝撃に最適なレイアウトとなるように第1衝撃アンクル51の位置を調整しながら配置することが可能である。従って、てんぷ30に対して効率良く動力を伝えることができる。
この点、本実施形態においても、第1がんぎ歯車42と第2がんぎ歯車45との位相を変化させている。
【0139】
さらに、第1がんぎ歯44が第1停止爪石62或いは第2停止爪石63に係合して、がんぎ車40の回転が停止している場合、すなわち振り石38がアンクルハコ74から離脱しててんぷ30が自由振動している場合には、第2衝撃アンクル52が外側面84、85を利用して一対のドテピン86、87のいずれに接触する。これにより、アンクルチェーン50の連結端に位置する第2衝撃アンクル52を位置決めすることができ、アンクルチェーン50全体の変位を規制することができる。
【0140】
従って、例えばてんぷ30が自由振動している最中に、何らかの外乱が入力されたとしても、アンクルチェーン50ががたつく、或いは振動してしまうことを抑制することができる。これにより、脱進機13を安定して作動させることができる。
【0141】
また、本実施形態のムーブメント10及び時計1によれば、動力の伝達効率に優れ、作動誤差が少ない上述した脱進機13を備えているので、時刻誤差の少ない高性能なムーブメント及び時計となる。
【0142】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、第2衝撃爪石61が第1がんぎ歯44に対して接触する構成とされていたが、第2実施形態では、第1衝撃爪石60及び第2衝撃爪石61の両方が第2がんぎ歯46に対して接触可能とされている。
【0143】
図20に示すように、本実施形態の脱進機100は、第2衝撃アンクル52の周端部81bに一体に固定されるアンクル真80が、第1実施形態に比べてがんぎ車40側寄りに位置した状態で地板11に固定されている。これにより、第2爪石保持部83は、第1がんぎ歯車42の第1がんぎ歯44の上方に位置する程度まで、がんぎ車40側に突出している。従って、第2衝撃爪石61は、第2衝撃アンクル52の回動に伴って、第2がんぎ歯車45の回転軌跡R2に対して進入と退避とを繰り返すように移動可能とされている。そのため、第2衝撃爪石61の第2衝撃面61aに対して、第2がんぎ歯46を接触させることが可能とされている。
【0144】
また、本実施形態では、第1衝撃アンクル51におけるアンクル体71よりも第1回転方向M1側に一方のドテピン86が配置され、アンクル体71よりも第2回転方向M2側に他方のドテピン87が配置されている。
これにより、
図20に示すように、第1がんぎ歯44と第1停止爪石62とが係合しているときに、第1衝撃アンクル51が一方のドテピン86に接触して位置決めされる。なお、第1がんぎ歯44と第2停止爪石63とが係合しているときに、第1衝撃アンクル51が他方のドテピン87に接触して位置決めされる。
【0145】
(脱進機の動作)
このように構成されている本実施形態の脱進機100の場合には、第1実施形態と同様に、第1がんぎ歯44と第1停止爪石62及び第2停止爪石63との係脱を交互に繰り返し行うことができる。これに対して、衝撃に関しては、第1衝撃爪石60及び第2衝撃爪石61が、ともに第2がんぎ歯46に接触可能とされているので、第1衝撃爪石60と第2衝撃爪石61とを交互に第2がんぎ歯46に接触(衝突)させることができる。
【0146】
特に、第1停止爪石62及び第2停止爪石63が係脱する第1がんぎ歯車42とは異なる第2がんぎ歯車45の第2がんぎ歯46に第1衝撃爪石60及び第2衝撃爪石61を接触させるので、第1衝撃アンクル51及び第2衝撃アンクル52を、衝撃に最適なレイアウトにそれぞれ配置させることができる。従って、第1衝撃アンクル51及び第2衝撃アンクル52を利用して、さらに効率良くてんぷに動力を伝え易い。
【0147】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態では、第1衝撃アンクル51がてんぷ30の振り石38に追従するように回動したが、第3実施形態では、第2衝撃アンクル52がてんぷ30の振り石38に追従して回動するように構成されている。
【0148】
図21及び
図22に示すように、本実施形態の脱進機110は、第2衝撃アンクル52における周端部81bに、アンクルハコ74を画成させる一対のクワガタ73が一体に形成されている。なお、本実施形態では、アンクルハコ74の位置に対応して、てんぷ30の位置が第2実施形態と異なっている。
また、本実施形態では、第2衝撃アンクル52に一対のクワガタ73が形成されていることに伴って、一対のクワガタ73よりも第2回転方向M2側に一方のドテピン86が配置され、一対のクワガタ73よりも第1回転方向M1側に他方のドテピン87が配置されている。
【0149】
(脱進機の動作)
このように構成されている本実施形態の脱進機110の場合であっても、てんぷ30の振り石38によって第2衝撃アンクル52が最初に回動する点が第2実施形態と異なるだけで、各アンクルを第2実施形態と同様に回動させることができる。
つまり、第1がんぎ歯44と第1停止爪石62及び第2停止爪石63との係脱を交互に繰り返し行うことができると共に、第2がんぎ歯46と第1衝撃爪石60及び第2衝撃爪石61との接触を利用したてんぷ30への間接的な動力の伝達を行うことができる。
【0150】
特に、アンクルチェーン50の連結端に位置する第2衝撃アンクル52を、てんぷ30の振り石38に追従して回動するように構成しているので、てんぷ30とがんぎ車40とを、第1実施形態及び第2実施形態に比べて近い位置に配置することができる。
従って、例えば本実施形態の脱進機110をトゥールビヨンに適用する場合には、脱進機110を含む機構が搭載されるキャリッジユニットの小型化に貢献できる。従って、トゥールビヨンに特に適した脱進機110とすることができる。
【0151】
また、
図21に示すように、第1がんぎ歯44と第1停止爪石62とが係合しているときに、第2衝撃アンクル52における外側面111が一方のドテピン86に接触して位置決めされる。また、
図22に示すように、第1がんぎ歯44と第2停止爪石63とが係合しているときに、第2衝撃アンクル52における外側面112が他方のドテピン87に接触して位置決めされる。
いずれの場合であっても、第2衝撃アンクル52は、アンクルチェーン50の連結端に相当するアンクルであるので、第1がんぎ歯44が第1停止爪石62或いは第2停止爪石63に係合して、がんぎ車40の回転が停止しているときに、アンクルチェーン50全体の変位を規制することができる。
【0152】
従って、本実施形態であっても、例えばてんぷ30が自由振動している最中に、何らかの外乱が入力されたとしても、アンクルチェーン50ががたつく、或いは振動してしまうことを抑制することができる。これにより、脱進機110を安定して作動させることができる。
【0153】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第4実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態では、第1衝撃アンクル51がてんぷ30の振り石38に追従するように回動したが、第4実施形態では、停止アンクル55がてんぷ30の振り石38に追従して回動するように構成されている。
【0154】
図23及び
図24に示すように、本実施形態の脱進機120は、停止アンクル55における周端部91bに、アンクルハコ74を画成させる一対のクワガタ73が一体に形成されている。なお、本実施形態では、アンクルハコ74の位置に対応して、てんぷ30の位置が第2実施形態と異なっている。
【0155】
また、第1衝撃アンクル51における第1係合フォーク77は、停止アンクル55の係合ピン92を挟持するように構成されている。すなわち、第1係合フォーク77のうち、一方のフォーク部分の根元部には屈曲部121が形成されており、
図23に示す矢印のように、先端部側が屈曲部121を中心として他方のフォーク部分に向けて接近するように付勢されている。
これにより、第1衝撃アンクル51の第1係合フォーク77と停止アンクル55の係合ピン92とは、第1係合フォーク77の内面が係合ピン92の外周面に対して押し付けられた状態で互いに連結されている。
【0156】
さらに、第1衝撃アンクル51におけるアンクルアーム72の先端には、回動軸線O3の周方向に沿って並んだ複数の歯部122が第2回転方向M2側に突出するように形成されている。これに対応して、第2衝撃アンクル52におけるアンクル体81の周端部81aには、第1衝撃アンクル51側の歯部122に噛み合う複数の歯部123が形成されている。これにより、第2衝撃アンクル52は、歯部122、123同士の噛み合いによって第1衝撃アンクル51に対して連結されている。
【0157】
さらに、第1衝撃アンクル51側の歯部122は、一対の弾性部124でそれぞれ構成されている。一対の弾性部124は、それぞれ平面視半円形状に形成され、
図23に示す矢印のように、互いに離間し合うように付勢されている。これにより、第1衝撃アンクル51側の歯部122と第2衝撃アンクル52側の歯部123とは、一対の弾性部124が歯部123に対して押し付けられた状態で互いに噛み合っている。
【0158】
さらに、本実施形態では、停止アンクル55のうち、第2停止爪石63とは反対側に位置する外側面125に対して、接触可能に一方のドテピン86が配置され、第1停止爪石62とは反対側に位置する外側面126に対して、接触可能に他方のドテピン87が配置されている。
これにより、
図23に示すように、第1がんぎ歯44と第1停止爪石62とが係合しているときに、停止アンクル55における外側面125が一方のドテピン86に接触して位置決めされる。また、
図24に示すように、第1がんぎ歯44と第2停止爪石63とが係合しているときに、停止アンクル55における外側面126が他方のドテピン87に接触して位置決めされる。
【0159】
(脱進機の動作)
このように構成されている本実施形態の脱進機120であっても、てんぷ30の振り石38によって停止アンクル55が最初に回動する点が第2実施形態と異なるだけで、各アンクルを第2実施形態と同様に回動させることができる。
つまり、第1がんぎ歯44と第1停止爪石62及び第2停止爪石63との係脱を交互に繰り返し行うことができると共に、第2がんぎ歯46と第1衝撃爪石60及び第2衝撃爪石61との接触を利用したてんぷ30への間接的な動力の伝達を行うことができる。
【0160】
特に、本実施形態の脱進機120によれば、第3実施形態と同様に、てんぷ30とがんぎ車40とを、第1実施形態及び第2実施形態に比べて互いに近い位置に配置することができるので、トゥールビヨンに特に適した脱進機120とすることができる。
【0161】
さらに、第1衝撃アンクル51の第1係合フォーク77と停止アンクル55の係合ピン92とが、第1係合フォーク77の内面が係合ピン92の外周面に対して押し付けられた状態で互いに連結されているので、第1係合フォーク77と係合ピン92との間に隙間が生じることを抑制することができる。これにより、第1衝撃アンクル51と停止アンクル55とをがたつき少なく互いに連結させることができる。
同様に、第1衝撃アンクル51の歯部122と第2衝撃アンクル52の歯部123とが、一対の弾性部124が歯部123に対して押し付けられた状態で互いに噛み合っているので、歯部122、123同士の間に隙間が生じることを抑制することができる。これにより、第1衝撃アンクル51と第2衝撃アンクル52とをがたつき少なく互いに連結させることができる。
【0162】
従って、第1衝撃アンクル51と停止アンクル55との間、及び第1衝撃アンクル51と第2衝撃アンクル52との間に、バックラッシュが発生することを効果的に抑制することができ、第1衝撃アンクル51、第2衝撃アンクル52及び停止アンクル55を、反応良く回動させることができる。これにより、脱進機120をよりスムーズに作動させることができ、作動性能をさらに向上させることができる。
【0163】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。各実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0164】
例えば上記各実施形態では、香箱車内に収容されたぜんまいの動力をがんぎ車に伝達する構成を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば香箱車以外に設けられたぜんまいから、がんぎ車に動力が伝達されるように構成されても構わない。
【0165】
また、上記各実施形態では、リュウズを利用してぜんまいを手動で巻き上げる手巻き式のムーブメントとしたが、この場合限定されるものではなく、例えば回転錘を備えた自動巻き式のムーブメントとしても構わない。
【0166】
また、上記各実施形態では、衝撃爪石及び停止爪石の各爪石をルビー等の人工宝石で形成する場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えばその他の脆性材料や鉄系合金等の金属材料で形成しても構わない。さらには、DeepRIE等の半導体加工技術により、シリコン等の半導体材料で爪石をアンクルと一体に形成しても構わない。いずれにしても、上述した爪石としての機能を奏功できれば、材質や形状等は、適宜変更して構わない。
【0167】
また、上記各実施形態では、第2がんぎ歯車の歯先部分である第2がんぎ歯だけが第1がんぎ歯車における歯車本体に一体に形成されていたが、この場合に限定されるものではなく、例えば
図25に示すように、第2がんぎ歯車45が、第1がんぎ歯車42の歯車本体43上に重なった状態で一体に形成され、その外周に沿って第2がんぎ歯46が形成された歯車本体47を備えても良い。この場合には、第2がんぎ歯車45の歯車本体47にがんぎかな41を一体に形成すれば良い。この場合であっても、例えば第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
【0168】
また、上記各実施形態では、衝撃アンクルユニットを2つのアンクルで構成したが、この場合に限定されるものではなく、例えば1つのアンクル、或いは3つ以上のアンクルで構成し、そのうちの2つのアンクルに衝撃爪石を取り付けても構わない。
なお、衝撃アンクルユニットを1つのアンクルで構成する場合には、例えばアンクルをがんぎ車の周方向に沿って延びる円弧状に形成し、且つ周方向の両端部ががんぎ車を挟んで径方向の反対側に位置するように形成すれば良い。そして、アンクルの両端部に衝撃爪石をそれぞれ取り付ければ良い。
このように構成することで、1つのアンクルの回動であっても、アンクルの両端部に取り付けた衝撃爪石を交互にがんぎ車に接触(衝突)させることができるので、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することが可能となる。
【0169】
また、上記各実施形態では、停止アンクルユニットを1つのアンクルで構成したが、この場合に限定されるものではなく、例えば2つ以上のアンクルで構成し、そのうちの2つのアンクルに停止爪石を取り付けても構わない。