(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
●第1剤組成物
〔成分(A):カチオン界面活性剤〕
成分(A)のカチオン界面活性剤としては、例えば、(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩、(ii)アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0011】
(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩
アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、例えば下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
R
1−N
+(CH
3)
3 X
- (1)
〔式中、R
1は炭素数12以上22以下のアルキル基を示し、X
-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;メトサルフェートイオン、メトカーボナートイオン等を示す。〕
【0012】
具体的には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
【0013】
(ii)アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩
アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、例えば下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
R
2−O−R
3−N
+(CH
3)
3 X
- (2)
〔式中、R
2は炭素数12以上22以下のアルキル基を示し、R
3はヒドロキシ基が置換していてもよいエチレン基又はプロピレン基を示し、X
-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;メトサルフェートイオン、メトカーボナートイオン等を示す。〕
【0014】
具体的には、ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0015】
(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩
ジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、例えば下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
(R
4)
2N
+(CH
3)
2 X
- (3)
〔式中、R
4はそれぞれ独立して炭素数12以上22以下のアルキル基又はベンジル基を示し、X
-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;メトサルフェートイオン、メトカーボナートイオン等を示す。〕
【0016】
具体的には、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0017】
これらの中で、染毛後の毛髪に対して優れた感触を付与させる観点、及びアルカリ剤共存下における分解安定性の観点から、(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩、(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩が好ましい。
【0018】
これらカチオン界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第1剤組成物中における成分(A)の含有量は、エアゾール容器内への充填後にも分離させないという安定性確保の観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
【0019】
〔成分(B):非イオン界面活性剤〕
成分(B)の非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、アルキルアルカノールアミド、アルキルポリグルコシド、アルキルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0020】
ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルとしては、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル又はアルケニルエーテル等が挙げられ、好ましくは次の一般式(4)で表されるものを用いることができる。
【0021】
R
5-O-[(CH
2)
x-O]
n-H (4)
〔式中、R
5は炭素数8以上22以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、xは2又は3の数、nは平均値で1以上100以下の数を示す。〕
【0022】
一般式(4)において、R
5の炭素数は、保存中に析出物を生じないという配合安定性の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。また、nは、好ましくは2以上、より好ましくは4以上であり、また、好ましくは80以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは45以下である。成分(B)として一般式(4)で示すものを用いる場合、1種を単独で使用してもよく、nが異なるものを2種以上組合せて使用してもよい。
【0023】
ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルの具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル等が挙げられる。
【0024】
アルキルアルカノールアミドとしては、次の一般式(5)で表されるものを用いることができる。
【0026】
〔式中、R
6は炭素数5以上23以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、R
7及びR
8は各々独立に水素原子又は炭素数1以上4以下のアルカノール基を示す。ただし、R
7及びR
8が同時に水素原子である場合を除く。〕
【0027】
R
6の炭素数は、保存中に析出物を生じないという配合安定性の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上であり、また、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である。
【0028】
アルキルアルカノールアミドの具体例としては、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等が挙げられる。
【0029】
アルキルポリグルコシドとしては、保存中に析出物を生じないという配合安定性の観点から、炭素数6以上22以下のアルキル基を有し、グルコシド単位の平均縮合度が1以上7以下のものが好ましい。具体例としては、オクチルポリグルコシド、2-エチルヘキシルポリグルコシド、デシルポリグルコシド、ラウリルポリグルコシド、ミリスチルポリグルコシド、パルミチルポリグルコシド、イソステアリルポリグルコシド、ステアリルラウリルポリグルコシド、オレイルポリグルコシド、ベヘニルポリグルコシド等が挙げられる。これらのうち、炭素数8以上18以下のアルキル基を有し、グルコシド単位の平均縮合度が1以上7以下、更には1以上2以下のものが好ましい。
【0030】
アルキルグリセリルエーテルとしては、保存中に析出物を生じないという配合安定性の観点から、アルキル基の炭素数が好ましくは8以上、より好ましくは14以上であり、好ましくは30以下、より好ましくは20以下であるものが挙げられ、また分岐鎖アルキル基であるものが好ましい。具体例としては、2-エチルヘキシルグリセリルエーテル、イソステアリルグリセリルエーテル、イソステアリルペンタエリスリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0031】
これらの非イオン界面活性剤の中でも、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、なかでもポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルが、染毛剤の乳化状態の安定性と染毛剤に含有される染料の溶解安定性の観点から好ましい。
【0032】
成分(B)の非イオン界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第1剤組成物中における成分(B)の含有量は、保存中に析出物を生じないという配合安定性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
【0033】
〔成分(C):高級アルコール〕
成分(C)の高級アルコールとしては、下記一般式(6)で表されるものを用いることができる。
【0034】
R
9-OH (6)
〔式中、R
9は炭素数12以上24以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。〕
【0035】
成分(C)としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
【0036】
第1剤組成物に含有される成分(C)は、エアゾール容器内での第1剤の乳化状態の安定性を向上させる観点、経時的に増粘を抑制しエアゾール容器からの吐出量比率を一定の範囲内に保つ観点、及び刺激臭を抑制する観点から、一般式(6)中のR
9が、(C1)炭素数12以上20未満、好ましくは炭素数14以上20未満の直鎖アルキル基であるものと、(C2)炭素数20以上24以下、好ましくは炭素数20以上22以下の直鎖アルキル基であるものとの組合せが使用される。(C1)と(C2)はいずれも、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、同様の観点、及び第1剤組成物と第2の組成物の等比率吐出性の観点から、成分(C2)と成分(C1)との質量比(C2)/(C1)は、0.30以上であって、好ましくは0.40以上、より好ましくは0.45以上、更に好ましくは0.50以上であり、また、2.00以下であって、好ましくは1.90以下、より好ましくは1.80以下、更に好ましくは1.75以下、更に好ましくは1.50以下、更に好ましくは1.25以下である。
質量比(C2)/(C1)が前記範囲内であると、第1剤の乳化液晶構造が安定化するため、吐出時にかかるシェアにより当該構造が破壊され難くなり、その結果刺激臭のあるアンモニア等の揮散が抑制されるものと考えられる。
【0037】
第1剤組成物中における成分(C)の含有量は、第1剤組成物の経時的増粘を抑制し、エアゾール容器からの吐出量を一定に保つ観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
【0038】
〔成分(D):アルカリ剤〕
アルカリ剤としては、アンモニア及びその塩(例えば炭酸水素アンモニウム);モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノブタノール等のアルカノールアミン及びその塩;1,3-プロパンジアミン等のアルカンジアミン及びその塩;炭酸グアニジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩等が挙げられる。これらのアルカリ剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
第1剤組成物中における成分(D)の含有量は、十分な染毛効果の点から、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上であり、また、毛髪損傷や頭皮刺激の低減の点から、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。
【0040】
〔成分(E):酸化染料中間体〕
第1剤組成物は、成分(E)として、酸化染料中間体を含有する。酸化染料中間体としては、染毛剤に通常使用されている公知のプレカーサー及びカプラーを用いることができる。
【0041】
プレカーサーとしては、例えばパラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、オルトクロルパラフェニレンジアミン、N-フェニルパラフェニレンジアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、3-メチル-4-アミノフェノール、2-ヒドロキシエチルパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、4-アミノ-メタクレゾール、オルトアミノフェノール、2,2'-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール及びこれらの塩等が挙げられる。
【0042】
また、カプラーとしては、例えばレゾルシン、2-メチルレゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、5-アミノオルトクレゾール、メタフェニレンジアミン、オルトアミノフェノール、メタアミノフェノール、パラアミノフェノール、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2,6-ジアミノピリジン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、及びこれらの塩等が挙げられる。
【0043】
プレカーサーとカプラーはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、第1剤組成物中におけるプレカーサーとカプラーそれぞれの含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下である。
【0044】
(直接染料)
第1剤組成物には、上記成分(E)の酸化染料中間体に加え、更に直接染料を含有させることもできる。直接染料としては、酸性染料、ニトロ染料、分散染料、塩基性染料等が挙げられる。より具体的には、酸性染料としては、青色1号、紫色401号、黒色401号、だいだい色205号、赤色227号、赤色106号、黄色203号、黄色202号の(1)、酸性橙3等が挙げられる。ニトロ染料としては、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、HC青2、HC橙1、HC赤1、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC赤3、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン等が挙げられる。分散染料としては、分散紫1、分散青1、分散黒9等が挙げられる。塩基性染料としては、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性赤76、塩基性黄76、塩基性橙31、塩基性赤51等が挙げられる。
【0045】
直接染料は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第1剤組成物中における直接染料の含有量は、染色領域を広げる観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、また、組成物中の凝集、沈殿を防止する観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
【0046】
〔媒体〕
第1剤組成物には、媒体として、水及び必要により有機溶剤が使用される。有機溶剤としては、エタノール、2-プロパノール等の低級アルカノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等の芳香族アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン等のポリオール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ベンジルセロソルブ等のセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトールが挙げられる。
【0047】
〔pH〕
第1剤組成物のpH(25℃)は、好ましくは8以上、より好ましくは9以上であり、また、好ましくは13以下、より好ましくは12以下である。pH調整剤としては、前記のアルカリ剤のほか、塩酸、リン酸等の無機酸;クエン酸、グリコール酸、乳酸等の有機酸;リン酸二水素一カリウム、リン酸一水素二ナトリウム、クエン酸ナトリウム等の無機酸塩又は有機酸塩;炭酸グアニジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩等が挙げられる。
【0048】
〔その他任意成分〕
第1剤組成物には、上記成分のほかに通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。このような任意成分としては、炭化水素油、シリコーン油、動植物油脂、高級脂肪酸、カチオン性以外の天然、半合成又は合成の高分子、アミノ酸、防腐剤、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、紫外線吸収剤が挙げられる。
【0049】
〔炭化水素油〕
炭化水素油としては、25℃において液状であるものが好ましく、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、スクワラン等が挙げられる。これらの中でも、流動パラフィンが好ましい。炭化水素油は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0050】
第1剤組成物中における炭化水素油の含有量は、第1剤組成物の経時的増粘を抑制し、エアゾール容器からの吐出量を一定に保つ観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下である。
【0051】
〔シリコーン油〕
シリコーン油としては、25℃において液状であるものが好ましく、例えば、以下に示すものが挙げられる。
【0052】
(1) ジメチルポリシロキサン
例えば下記一般式(7)で表されるものが挙げられる。
(CH
3)
3SiO-[(CH
3)
2SiO]
r-Si(CH
3)
3 (7)
〔式中、rは3以上20000以下の数を示す。〕
【0053】
(2) アミノ変性シリコーン
各種のアミノ変性シリコーンが使用できるが、平均分子量が約3000以上100000以下の、アモジメチコン(Amodimethicone)の名称でICID(米国化粧品工業会発行,International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)第16版中に記載されているものが好ましい。このアミノ変性シリコーンは水性乳濁液として用いるのが好ましく、市販品としては、SM 8904、CB-1002(東レ・ダウコーニング社)、XF42-B8922(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)等が挙げられる。
【0054】
(3) その他のシリコーン油
上記以外に、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0055】
シリコーン油は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができるが、少なくとも前記(2)のアミノ変性シリコーンを含有することが好ましい。第1剤組成物中における含有量は、第1剤組成物の経時的増粘を抑制し、エアゾール容器からの吐出量を一定に保つ観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.7質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
【0056】
〔質量比[(炭化水素油)+(シリコーン油)]/成分(C)〕
第1剤組成物中における成分(C)の高級アルコールに対する炭化水素油及びシリコーン油の合計の質量比[(炭化水素油)+(シリコーン油)]/成分(C)は、第1剤組成物の経時的増粘を抑制し、エアゾール容器からの吐出量を一定に保つ観点から、好ましくは0.16以上、より好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.31以上、更に好ましくは0.40以上、更に好ましくは0.50以上であり、また、好ましくは2.20以下、より好ましくは2.00以下、更に好ましくは1.90以下、更に好ましくは1.84以下、更に好ましくは1.70以下、更に好ましくは1.50以下である。
【0057】
●エアゾール容器
〔エアゾール容器の形態〕
本発明のエアゾール染毛化粧品は、染毛剤の第1剤組成物を封入した内袋が収容されたエアゾール容器を有するものであり、当該エアゾール容器が、第2の組成物を封入した内袋が収容された第2のエアゾール容器と連結して二連式エアゾール容器を構成するものであるか、又は前記第1剤組成物を封入した内袋と共に前記第2の組成物を封入した内袋をも連結して収容する二重式エアゾール容器であるものである。そして、第1剤組成物と第2の組成物とを共通の操作で同時に吐出する機構を有するものである。このような構成のエアゾール容器を採用することにより、外容器と内袋との間に噴射剤としての圧縮ガスを封入することができ、内袋内に充填した乳化物の構造に影響を与えることがないため、吐出時にアンモニア等による刺激臭を抑制することができると考えられる。
【0058】
すなわち、本発明のエアゾール化粧品に使用し得るエアゾール容器としては、(1)第1剤組成物を封入した内袋と第2の組成物を封入した内袋とが互いに独立したエアゾール容器に収容される二連式エアゾール容器(例えば、特開2015-229666号公報の
図2及び
図4に記載の容器)、又は(2)第1剤組成物を封入した内袋と第2の組成物を封入した内袋のそれぞれが1つのエアゾール容器に収容される二重式エアゾール容器(例えば、特開2015-229666号公報の
図3に記載の容器)である。
【0059】
内袋としては、弾性を有するものが好ましく、高密度又は低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合物ケン化物、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂製のもの、これらを積層したもの等が用いられ、噴射ガス透過性が低いものが好ましい。また、内袋の内面を耐薬品性の樹脂でコートして用いることもできる。
【0060】
前記エアゾール容器における「連結」とは、前記第1剤組成物を封入した内袋が収容されたエアゾール容器と前記第2の組成物を封入した内袋が収容された第2のエアゾール容器、又は前記第1剤組成物を封入した内袋と前記第2の組成物を封入した内袋とが、同一の構造体にそれぞれの組成物の吐出口部分で結合されていることをいう。また、前記構造体は、前記第1剤組成物と前記第2の組成物とが、共通の操作でそれぞれ別の吐出口から吐出された後、同一の吐出口から吐出されるような内部構造を有していてもよく、別々の吐出口から吐出されるような構造としてもよい。
【0061】
●第2の組成物
本発明において使用する第2の組成物としては、1)酸化剤を含有しない組成物(すなわち、トリートメント組成物)と、2)酸化剤を含有する組成物(すなわち、酸化染毛剤の第2剤組成物)が挙げられる。
【0062】
いずれの場合にも、第2の組成物は、第1剤組成物の毛髪の根元付近の白髪に対する染毛力や、経時での色持ちを向上させ、毛髪の根元付近での第1剤組成物を根元から毛先方向及び/又は根元の広範囲へ、塗り広げやすくする成分を含有することができる。また、経時的に増粘を抑制しエアゾール容器からの第1剤組成物との吐出量比率を一定の範囲内に保つ観点、及び乳化を安定化させて吐出時に第1剤組成物と混合された際に、第1剤組成物の乳化を破壊せず刺激臭を抑制する観点から、具体的には、第2の組成物は、非イオン界面活性剤及び高級アルコールを含有することが好ましい。
【0063】
〔成分(B'):非イオン界面活性剤〕
第2の組成物は、成分(B')として非イオン界面活性剤を含有することが好ましい。成分(B')としては、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、アルキルアルカノールアミド、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルポリグルコシド、アルキルグリセリルエーテル等が挙げられる。これらの中でもポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルが好ましく、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルがより好ましい。
【0064】
ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルとしては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル等が挙げられ、好ましくは次の一般式(8)で表されるものを用いることができる。
【0065】
R
10-O-(CH
2CH
2-O)
m-H (8)
〔式中、R
10は炭素数8以上22以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、mは平均値で1以上100以下の数を示す。〕
【0066】
一般式(8)において、R
10の炭素数は、頭髪塗布時の展伸性の観点、染毛剤に含有される染料の溶解性の観点、吐出量比率を一定の範囲内に保つ観点、及び頭髪への塗布時に刺激臭を抑制する観点から、8以上であって、好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、また、22以下であって、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。成分(B')は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0067】
成分(B')における一般式(8)中のmは、第2の組成物の乳化を安定化し、吐出量比率を一定の範囲内に保つ観点、及び頭髪への塗布時に刺激臭を抑制する観点から、好ましくは2以上、より好ましくは4以上であり、また、好ましくは60以下、より好ましくは45以下である。また、mの数が異なる成分(B')を、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0068】
組合せとしては、mが1以上30未満であるものと、mが30以上100以下であるものとの組合せであることが好ましく、mが1以上20以下であるものと、mが35以上60以下であるものとの組合せであることがより好ましく、mが1以上10以下であるものと、mが35以上45以下であるものとの組合せであることが更に好ましい。
【0069】
第2の組成物中における成分(B')の含有量は、第2の組成物の粘度を一定に保ち、吐出量比率を一定の範囲内に保つ観点、及び頭髪への塗布時に刺激臭を抑制する観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは9質量%以下である。
【0070】
〔成分(C'):高級アルコール〕
第2の組成物は、成分(C')として高級アルコールを含有することが好ましい。成分(C')としては、次の一般式(9)で表されるものを用いることができる。
【0071】
R
11-OH (9)
〔式中、R
11は炭素数12以上24以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。〕
【0072】
成分(C')としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナービルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。成分(C')は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0073】
成分(C')は、第2の組成物の粘度を一定に保ち、吐出量比率を一定の範囲内に保つ観点、及び頭髪への塗布時に刺激臭を抑制する観点から、一般式(9)中のR
11が、炭素数12以上20未満の直鎖アルキル基であるものと、炭素数20以上24以下の直鎖アルキル基であるものとの組合せであることが好ましく、炭素数14以上18以下の直鎖アルキル基であるものと、炭素数20以上22以下の直鎖アルキル基であるものとの組合せであることがより好ましい。
【0074】
第2の組成物中における成分(C')の含有量は、第2の組成物の粘度を一定に保ち、吐出量比率を一定の範囲内に保つ観点、及び頭髪への塗布時に刺激臭を抑制する観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である。
【0075】
〔成分(F):炭化水素〕
更に、第2の組成物の流動性と保形成の両立の観点から、第2の組成物は成分(F)として炭化水素を含有することが好ましい。成分(F)の炭化水素としては、25℃において液状であるものが好ましく、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、スクワラン等が挙げられる。これらの中でも、流動パラフィンが好ましい。成分(F)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0076】
第2の組成物中における成分(F)の含有量は、染毛又は脱色後の明るさを向上させる観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である。
【0077】
また、第2の組成物中における成分(B')に対する成分(C')及び(F)の合計の質量比[(C')+(F)]/(B')は、第2の組成物の粘度を一定に保ち、吐出量比率を一定の範囲内に保つ観点、及び頭髪への塗布時に刺激臭を抑制する観点から、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.5以上であり、また、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.3以下、更に好ましくは3.2以下である。
【0078】
更に、第2の組成物中における成分(C')に対する成分(F)の質量比(F)/(C')は、第2の組成物の粘度を一定に保ち、吐出量比率を一定の範囲内に保つ観点、及び頭髪への塗布時に刺激臭を抑制する観点から、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.3以上であり、また、好ましくは2.2以下、より好ましくは2.1以下である。
【0079】
〔成分(G):酸化剤〕
第2の組成物が酸化染毛剤の第2剤組成物である場合には、第2の組成物中には、更に、成分(G)として酸化剤を含有してもよい。成分(G)としては、過酸化水素が好ましい。第2の組成物中における酸化剤の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは9質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。
【0080】
〔圧縮ガス〕
本発明に用いられる圧縮ガスとしては、ジメチルエーテル、液化石油ガス、窒素ガス、代替フロン等、一般にエアゾール製品に用いられるものであれば特に限定されずに使用することができる。中でも、変質防止の面から窒素ガスが好ましい。
【0081】
〔剤形〕
本発明の第1剤組成物をエアゾール容器から吐出させたときの剤形は、クリーム状、ゲル状、ペースト状、泡状などとすることができる。
【0082】
〔染毛用具〕
本発明のエアゾール染毛化粧品は、容器から吐出した後、染毛用具を用いて毛髪に塗布することができる。染毛用具としては、特開2006-326081号公報に記載されるような刷毛部及び櫛部を有する染毛用具を用いることができる。
【0083】
以上述べた実施形態に関し、以下に本発明の好ましい態様を更に開示する。
【0084】
<1> 染毛剤の第1剤組成物を封入した内袋が収容されたエアゾール容器を有するエアゾール染毛化粧品であって、
前記第1剤組成物が、(A)カチオン界面活性剤、(B)非イオン界面活性剤、(C)高級アルコール、(D)アルカリ剤及び(E)酸化染料中間体を含み、(C)高級アルコールが、(C1)炭素数12以上20未満の直鎖アルキル基を有するものと(C2)炭素数20以上24以下の直鎖アルキル基を有するものとの組合せであり、かつその質量比(C2)/(C1)が0.30以上2.00以下であり、
前記エアゾール容器が、第2の組成物を封入した内袋が収容された第2のエアゾール容器と連結して二連式エアゾール容器を構成するものであるか、又は前記第1剤組成物を封入した内袋と共に前記第2の組成物を封入した内袋をも連結して収容する二重式エアゾール容器であり、
前記第1剤組成物と前記第2の組成物とを共通の操作で同時に吐出する機構を有する、エアゾール染毛化粧品。
【0085】
<2> 好ましくは成分(A)が、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、及びジアルキルジメチルアンモニウム塩から選ばれる1種又は2種以上である、<1>に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0086】
<3> 第1剤組成物中における成分(A)の含有量が、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である、<1>又は<2>に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0087】
<4> 好ましくは成分(B)が、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、アルキルアルカノールアミド、アルキルポリグルコシド及びアルキルグリセリルエーテルから選ばれる1種又は2種以上である、<1>又は<2>に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0088】
<5> 好ましくは成分(B)が、次の一般式(4)で表されるポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルである<4>に記載のエアゾール染毛化粧品。
R
5-O-[(CH
2)
x-O]
n-H (4)
〔式中、R
5は炭素数8以上22以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、xは2又は3の数、nは平均値で1以上100以下の数を示す。〕
【0089】
<6> 一般式(4)において、R
5の炭素数が、好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは18以下であり、また、nが、好ましくは2以上、より好ましくは4以上であり、また、好ましくは80以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは45以下である、<5>に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0090】
<7> 第1剤組成物中における成分(B)の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0091】
<8> 好ましくは成分(C)が、(C1)炭素数14以上20未満の直鎖アルキル基を有するものと(C2)炭素数20以上22以下の直鎖アルキル基を有するものとの組合せである、<1>〜<7>のいずれか1項に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0092】
<9> 成分(C)における質量比(C2)/(C1)が、好ましくは0.40以上、より好ましくは0.45以上、更に好ましくは0.50以上であり、また、好ましくは1.90以下、より好ましくは1.80以下、更に好ましくは1.75以下、更に好ましくは1.50以下、更に好ましくは1.25以下である、<1>〜<8>のいずれか1項に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0093】
<10> 第1剤組成物中における成分(C)の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である、<1>〜<9>のいずれか1項に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0094】
<11> 好ましくは、第1剤組成物中に更に炭化水素油を含有する、<1>〜<10>のいずれか1項に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0095】
<12> 第1剤組成物中における炭化水素油の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である、<11>に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0096】
<13> 好ましくは、第1剤組成物中に更にシリコーン油を含有する、<1>〜<12>のいずれか1項に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0097】
<14> 第1剤組成物中におけるシリコーン油の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.7質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である、<13>に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0098】
<15> 第1剤組成物中における成分(C)に対する炭化水素油及びシリコーン油の合計の質量比[(炭化水素油)+(シリコーン油)]/成分(C)が、好ましくは0.16以上、より好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.31以上、更に好ましくは0.40以上、更に好ましくは0.50以上であり、また、好ましくは2.20以下、より好ましくは2.00以下、更に好ましくは1.90以下、更に好ましくは1.84以下、更に好ましくは1.70以下、更に好ましくは1.50以下である、<13>又は<14>に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0099】
<16> 第2の組成物が、好ましくは(B')非イオン界面活性剤及び(C')高級アルコールを含有する、<1>〜<15>のいずれか1項に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0100】
<17> 成分(B')が、好ましくはポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、アルキルアルカノールアミド、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルポリグルコシド又はアルキルグリセリルエーテル、より好ましくはポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、更に好ましくはポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルである、<16>に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0101】
<18> 成分(B')が、好ましくは次の一般式(8)で表されるポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルである、<16>又は<17>に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0102】
R
10-O-(CH
2CH
2-O)
m-H (8)
〔式中、R
10は炭素数8以上22以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、mは平均値で1以上100以下の数を示す。〕
【0103】
<19> 一般式(8)中のR
10の炭素数が、好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である、<18>に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0104】
<20> 成分(B')が、好ましくは一般式(8)中のmが1以上30未満であるポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルと一般式(8)中のmが30以上100以下であるポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルとの組合せ、より好ましくは一般式(8)中のmが1以上20以下であるポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルと一般式(8)中のmが35以上60以下であるポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルとの組合せ、更に好ましくは一般式(8)中のmが1以上10以下であるポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルと一般式(8)中のmが35以上45以下であるポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルとの組合せである、<18>又は<19>に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0105】
<21> 第2の組成物中における成分(B')の含有量が、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは9質量%以下である<16>〜<20>のいずれか1項に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0106】
<22> 成分(C')が、次の一般式(9)で表される高級アルコールである、<16>〜<21>のいずれか1項に記載のエアゾール染毛化粧品。
R
11-OH (9)
〔式中、R
11は炭素数12以上24以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。〕
【0107】
<23> 成分(C')が、好ましくは一般式(9)中のR
11が炭素数12以上20未満の直鎖アルキル基であるものと炭素数20以上24以下の直鎖アルキル基であるものとの組合せ、より好ましくは一般式(9)中のR
11が炭素数14以上18以下の直鎖アルキル基であるものと炭素数20以上22以下の直鎖アルキル基であるものとの組合せである、<22>に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0108】
<24> 第2の組成物中における成分(C')の含有量が、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である、<16>〜<23>のいずれか1項に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0109】
<25> 第2の組成物が、好ましくは更に(F)炭化水素を含有する、<16>〜<24>のいずれか1項に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0110】
<26> 第2の組成物中における成分(F)の含有量が、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である、<25>に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0111】
<27> 第2の組成物中における成分(B')に対する成分(C')及び(F)の合計の質量比[(C')+(F)]/(B')が、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.5以上であり、また、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.3以下、更に好ましくは3.2以下である、<25>又は<26>に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0112】
<28> 第2の組成物中における成分(C')に対する成分(F)の質量比(F)/(C')が、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.3以上であり、また、好ましくは2.2以下、より好ましくは2.1以下である、<25>〜<27>のいずれか1項に記載のエアゾール染毛化粧品。
【0113】
<29> 第2の組成物が、好ましくは更に(G)酸化剤を含有する、<16>〜<28>のいずれか1項に記載のエアゾール染毛化粧品。
【実施例】
【0114】
第1剤組成物処方例1〜6
表1に示す配合処方の染毛剤第1剤組成物を調製した。次いで、これらのうち処方例1、2、5及び6の第1剤組成物について、以下に示す方法により粘度を測定した。
【0115】
(粘度測定法)
第1剤組成物の粘度(30℃)は、第1剤組成物を調製直後、50mLのガラス容器に30g充填し、30℃の恒温槽にて30分間保持した後に測定した。より具体的には、TVB10形粘度計(東機産業社製B型粘度計)により、T-Cのローターを用いて10rpmで1分間回転させた後の値である。また、第1剤組成物を調製後、東京の毎月の平均気温の年間変化を14日間に短縮した継時安定性試験(加速試験)を経たサンプルについても同様に粘度を測定した。
【0116】
【表1】
【0117】
処方例1、2及び5の染毛剤第1剤は、調製直後、加速試験後のいずれにおいても、粘度が過度に高くならないことが示された。これに対し処方例6では、処方例1、2及び5に比べて調製直後の粘度が高く、加速試験後の粘度の上昇も大きかった。
【0118】
実施例1〜5
表1の第1剤組成物処方例1〜5をそれぞれ実施例1〜5の第1剤組成物として用いた。また、表2に示す配合処方の第2剤組成物を第2の組成物として調製した。次いで、第1剤組成物を封入した内袋と第2の組成物を封入した内袋とが互いに独立したエアゾール容器に収容される二連式エアゾール容器(特開2015-229666号公報の
図2)の2つの内袋のそれぞれに第1剤組成物40gと第2剤組成物40gとを充填し、更に内袋と容器との間に窒素ガスを充填して本発明のエアゾール染毛化粧品を製造した。製造したエアゾール染毛化粧品について、以下に示す方法により、刺激臭を評価し、結果を表3に示した。
【0119】
(刺激臭の評価方法)
前記エアゾール染毛化粧品から、第1剤組成物及び第2剤組成物を同時に吐出して染毛用のブラシ上に合計で約5g載置させ、約8gの毛束(幅4cm×長さ20cm)に塗布した。次いで、この染毛用ブラシを毛束上で根元から毛先へ通す操作を5回行い、第1剤組成物及び第2剤組成物を、毛束上で塗布しながら混合した。
各エアゾール染毛化粧品により染毛処理する際の「混合時の刺激臭」及び「毛束からの刺激臭」の各項目に関して、染毛の施術経験者である5人のパネラーにより、直接判定法の非制限的選択回答方式で評価した。すなわち、長さ5cmの直線を水平に引き、直線の左端が「刺激臭がない」、右端が「刺激臭がある(口径約4cmの100mLガラス容器に1質量%アンモニア水1gを入れ、ガラス容器の吐出口から鼻を10cm離して嗅いだときの刺激臭)」として、この直線状の左端から何cmの位置になるかをチェックすることで、刺激臭の評価を行った。各項目で左端から1cm以内にマークを付けたパネラーの人数を表3に示す。
【0120】
本発明における前記第1剤組成物は、その粘度が温度条件に関わらず経時的に安定なものとなることが判明し、また、この粘度は増粘剤等の他の手段で粘度レベルを変化させても、一定範囲に維持されることも判明した。そして、当該第1剤組成物を使用してエアゾール染毛化粧品とすることにより、これに組み合わせる第2の組成物の粘度に合わせ、通常の手段により第1剤組成物の粘度を調整するのみで、2つの組成物を初期に設定した比率で吐出(等比率吐出)することが可能となることを見いだした。
なお、本明細書において等比率吐出とは、製造時に設定された同時吐出される第1剤組成物と第2の組成物との質量比が、長期間保存後でも一定範囲内に維持されることをいい、以下に示す方法により、等比率吐出性を評価した。結果を表3に示す。
【0121】
(等比率吐出性の評価方法)
第1剤組成物と第2剤組成物とを異なる吐出口から吐出させる方式の前記エアゾール染毛化粧品を製造後、直ちに30℃又は10℃の水浴に浸漬した。浸漬開始から30分後に水浴からエアゾール容器を取り出し、染毛剤組成物を吐出させ、クリーム状の第1剤組成物と第2剤組成物とを分取した。ここで、水浴から取り出した直後の吐出開始時をT
1とし、T
1から5秒間吐出したときの第1剤組成物及び第2剤組成物の吐出質量をそれぞれM
1及びN
1とし、N
1に対するM
1の比率を吐出量比率R
1とした。次いで、T
1から2分後のT
2に再度5秒間吐出し、その際の第1剤組成物及び第2剤組成物の吐出質量をそれぞれM
2及びN
2とし、N
2に対するM
2の比率を吐出量比率R
2とした。すなわち、吐出開始時T
nにおける5秒間に吐出された第1剤組成物及び第2剤組成物の各吐出質量をM
n及びN
nとすると、吐出量比率R
nは次式(10)に従って算出することができる。
(R
n)=(M
n)/(N
n) (10)
吐出量比率(R
n)が、下限1−0.33(すなわち0.67)から、上限1+0.50(すなわち1.50)の範囲内であると、染毛剤として十分な染毛効果を発揮できるため、当該範囲内の場合が等比率状態であるとする。
また、エアゾール染毛化粧品を製造後、45℃にて3ヶ月保存したものを長期間保存品とし、保存環境から取り出し後、直ちに30℃又は10℃の水浴に浸漬し、前記製造直後の評価と同じ方法にて、T
1及びT
2の時点での吐出量比率の評価を行った。なお、長期間保存品の吐出量比率については、R
S1及びR
S2と表記した。結果を表3に合わせて示す。
【0122】
【表2】
【0123】
【表3】
【0124】
第1剤組成物と第2剤組成物の吐出量比率Rは0.84〜1.39の範囲であり、いずれも等比率状態の定義の範囲内であった。すなわち、第1剤の吐出量と第2剤の吐出量とが等比率状態であった。