特許第6869768号(P6869768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869768
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】固定子および電動機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/34 20060101AFI20210426BHJP
   H02K 3/28 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   H02K3/34 C
   H02K3/28 M
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-60160(P2017-60160)
(22)【出願日】2017年3月24日
(65)【公開番号】特開2018-164356(P2018-164356A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2019年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】特許業務法人勇智国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100106725
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 敏行
(74)【代理人】
【識別番号】100105120
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 哲幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 重貴
【審査官】 若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−072128(JP,A)
【文献】 特開2002−112488(JP,A)
【文献】 特開2005−184994(JP,A)
【文献】 特開2013−118717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/34
H02K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機を構成する固定子であって、
固定子コアと、第1の端部絶縁部材と、第2の端部絶縁部材と、固定子巻線と、相間絶縁部材を備え、
前記固定子コアは、軸方向に直角な断面で見て、周方向に沿って延在するヨークと、前記ヨークから径方向に沿って径方向内周側に延在するティース基部および前記ティース基部の径方向内周側に設けられ、周方向に沿って延在するティース先端部により形成される複数のティースと、周方向に隣接するティースによって形成され、隣接するティース先端部間にスロット開口部を有する複数のスロットとを有し、
前記ティース先端部は、径方向内周側にティース先端部内周面を有し、径方向外周側で、周方向一方側に第1のティース先端部外周面を有し、径方向外周側で、周方向他方側に第2のティース先端部外周面を有し、
前記第1の端部絶縁部材および前記第2の端部絶縁部材は、周方向および軸方向に沿って延在する外壁部と、前記外壁部より径方向内周側に配置され、周方向および軸方向に沿って延在する複数の内壁部と、径方向に沿って延在し、前記外壁部と前記各内壁部を連結する複数の連結部とを有し、
前記内壁部は、径方向外周側に内壁部外周面を有し、径方向内周側に内壁部内周面を有し、
前記第1の端部絶縁部材および前記第2の端部絶縁部材は、前記固定子コアの軸方向一方側および軸方向他方側に、前記外壁部、前記連結部および前記内壁部が前記固定子コアの前記ヨーク、前記ティース基部および前記ティース先端部に対向し、前記第1の端部絶縁部材および前記第2の端部絶縁部材の前記内壁部の前記内壁部外周面が、前記固定子コアの前記ティース先端部の前記第1のティース先端部外周面および前記第2のティース先端部外周面より径方向外周側に配置されるように配置され、
前記固定子巻線は、前記第1の端部絶縁部材および前記第2の端部絶縁部材が前記固定子コアの軸方向一方側および軸方向他方側に配置されている状態で巻き付けられ、
前記固定子巻線が巻き付けられた状態において、前記ティース先端部を挟んで軸方向一方側に配置されている前記第1の端部絶縁部材の前記内壁部と軸方向他方側に配置されている前記第2の端部絶縁部材の前記内壁部との間に、当該第1の端部絶縁部材の前記内壁部の前記内壁部外周面および当該第2の端部絶縁部材の前記内壁部の前記内壁部外周面と当該ティース先端部の前記第1のティース先端部外周面とにより規定される第1の隙間と、当該第1の端部絶縁部材の前記内壁部の前記内壁部外周面および当該第2の端部絶縁部材の前記内壁部の前記内壁部外周面と当該ティース先端部の前記第2のティース先端部外周面とにより規定される第2の隙間が形成されるように構成され、
前記相間絶縁部材は、周方向一方側の第1の縁部を含む第1の縁部分と、周方向他方側の第2の縁部を含む第2の縁部分と、前記第1の縁部分と前記第2の縁部分との間に設けられた第1の中央部分および第2の中央部分とを有し、断面がV字状を有するよう折り曲げられており、前記第1の縁部は、前記スロット内に形成されている前記第1の隙間と前記第2の隙間のうちの一方の隙間に配置され、前記第2の縁部は、他方の隙間に配置され、前記第1の中央部分と前記第2の中央部分は、当該スロット内に挿入されている異なる相の固定子巻線の間に径方向に沿って延在するように配置され、
前記第1の端部絶縁部材の前記内壁部および前記第2の端部絶縁部材の前記内壁部は、前記相間絶縁部材の前記第1の縁部および前記第2の縁部を前記第1の隙間および前記第2の隙間のうちの一方の隙間および他方の隙間に配置するための相間絶縁部材案内通路を有していないことを特徴とする固定子。
【請求項2】
請求項1に記載の固定子であって、
前記相間絶縁部材の前記第1の縁部分および前記第2の縁部分の周方向に沿った長さは、前記相間絶縁部材を、前記第1の縁部と前記第2の縁部との間の間隔が短くなるように圧縮した状態で、前記スロット開口部を介して径方向内周側から前記スロット内に挿入する際に、弾性復帰力によって、前記第1の縁部が前記一方の隙間に挿入されるとともに、前記第2の縁部が前記他方の隙間に挿入されるように設定されていることを特徴とする固定子。
【請求項3】
固定子と、前記固定子に対して相対的に回転可能に支持される回転子とを備える電動機であって、前記固定子として請求項1または2に記載の固定子が用いられていることを特徴とする電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定子巻線が集中巻き方式で巻き付けられる固定子および電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
機器を駆動する駆動電動機(例えば、空調機駆動電動機、車両駆動電動機、車載機器駆動電動機)として、固定子巻線が集中巻き方式で巻き付けられる固定子(「集中巻き固定子」と呼ばれている)を備える電動機(「集中巻き電動機」と呼ばれている)が用いられている。集中巻き固定子は、固定子コアと、端部絶縁部材(「樹脂ボビン」と呼ばれている)と、固定子巻線と、相間絶縁部材とを備えている。固定子巻線は、固定子コアの軸方向両側に端部絶縁部材が配置されている状態で巻き付けられる。また、相間絶縁部材は、スロット内に挿入されている、隣接する異なる相の固定子巻線間に配置される。
【0003】
このような集中巻き電動機は、例えば、特許文献1(特開2012−55098号公報)に開示されている。図12および図13に、特許文献1に開示されている集中巻き電動機を構成する固定子(集中巻き固定子)10の概略構成が示されている。なお、図12は、固定子10の斜視図であり、図13は、図12を矢印XIII−XIII線から見た断面図である。
固定子10は、固定子コア20、第1の端部絶縁部材300、第2の端部絶縁部材400、固定子巻線40および相間絶縁部材50を有している。固定子コア20は、ヨーク21、ティース基部23とティース先端部24により形成されるティース22および周方向に隣接するティース22によって形成されるスロット25を有している。第1の端部絶縁部材300は、外壁部310、内壁部320および連結部330を有している。なお、図示を省略しているが、第2の端部絶縁部材400も、第1の端部絶縁部材300と同様に外壁部410、内壁部420および連結部430を有している。固定子巻線40は、固定子コア20の軸方向両側に第1の端部絶縁部材300および第2の端部絶縁部材400が配置されている状態で巻き付けられる。また、固定子コア20のスロット25内には、隣接する異なる相の固定子巻線40間に、V字状に折り曲げられた相間絶縁部材50が配置されている。
固定子コア20の軸方向両側に第1の端部絶縁部材300および第2の端部絶縁部材400が配置されている状態で固定子巻線40を巻き付ける場合には、第1の端部絶縁部材300の内壁部320の内壁部外周面322および第2の端部絶縁部材400の内壁部410の内壁部外周面422が、固定子巻線40を巻き付け可能な領域(巻き付け領域)の境界となる。すなわち、固定子巻線40が巻き付けられた状態では、第1の端部絶縁部材300の内壁部320の内壁部外周面322および第2の端部絶縁部材400の内壁部420の内壁部外周面422とティース先端部24の、周方向一方側の第1のティース先端部外周面24dとの間に第1の隙間S1が形成され、第1の端部絶縁部材300の内壁部320の内壁部外周面322および第2の端部絶縁部材400の内壁部420の内壁部外周面422とティース先端部24の、周方向他方側の第2のティース先端部外周面24eとの間に第2の隙間S2が形成される。
従来の固定子10では、V字状に折り曲げられている相間絶縁部材50の周方向一方側の第1の縁部および周方向他方側の第2の縁部を、スロット25内に形成されている第2の隙間S2および第1の隙間S1に配置するために、少なくとも一方の端部絶縁部材、例えば、第1の端部絶縁部材300の内壁部320に、第1の隙間S1および第2の隙間S2に連通するように軸方向に沿って延在する相間絶縁部材案内通路が形成されている。従来の固定子10では、図13に示されているように、第1の端部絶縁部材300の内壁部320に、内壁部内周面321側で、第1の内壁部側面323側が切り欠かれた第1の切り欠き部341により構成される第1の相間絶縁部材案内通路および内壁部内周面321側で、第2の内壁部側面324側が切り欠かれた第2の切り欠き部342により構成される第2の相間絶縁部材案内通路が形成されている。あるいは、図示を省略しているが、第1の内壁部側面323に開口し、周方向に沿って延在するとともに軸方向両側が開口している第1の溝(スリット)により構成される第1の相間絶縁部材案内通路および第2の内壁部側面324に開口し、周方向に沿って延在するとともに軸方向両側が開口している第2の溝(スリット)により構成される第2の相間絶縁部材案内通路が形成される。
V字状に折り曲げられている相間絶縁部材50を隣接する固定子巻線40間に配置する場合には、図12に示されているように、相間絶縁部材50を、第1の縁部と第2の縁部との間の間隔が短くなるように圧縮した状態で、第1の縁部および第2の縁部の一方端を、周方向に隣接する第1の端部絶縁部材300のうちの周方向一方側の第1の端部絶縁部材300の内壁部320の第2の切り欠き部342(第2の相間絶縁部材案内通路)および周方向他方側の第1の端部絶縁部材300の内壁部320の第1の切り欠き部341(第1の相間絶縁部材案内通路)に配置した後、相間絶縁部材50を軸方向に沿って移動させる。これにより、相間絶縁部材50の第1の縁部および第2の縁部が、第2の切り欠き部342および第1の切り欠き部341を介して第2の隙間S2および第1の隙間S1内に配置される。そして、相間絶縁部材50の第1の縁部および第2の縁部は、弾性復帰力によって、第2の隙間S2および第1の隙間S1内に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−55098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の集中巻き固定子では、第1の端部絶縁部材300の内壁部320に、内壁部320(内壁部外周面322)と固定子コア20のティース先端部24(第1のティース先端部外周面24d、第2のティース先端部外周面24e)により規定される第1の隙間S1および第2の隙間S2に連通するように軸方向に沿って延在する相間絶縁部材案内通路(切り欠き部あるいは溝)を形成している。このため、第1の端部絶縁部材300の内壁部320の径方向に沿った長さ(内壁部内周面321と内壁部外周面322との間の径方向に沿った間隔)が長くなり、スロット25内における第1の端部絶縁部材300の内壁部320の占有面積が大きかった。
近年、固定子巻線の巻数の増大が要望されている。そこで、本発明者は、相間絶縁部材案内通路が形成されている、端部絶縁部材の内壁部のスロット内における占有面積を減少させる手法について種々検討した。その結果、従来の、相間絶縁部材を、端部絶縁部材の内壁部に形成した相間絶縁部材案内通路を介してスロット内に挿入する方法に代えて、スロット開口部を介して径方向内周側からスロット内に挿入する方法を用いることにより、端部絶縁部材の内壁部に相間絶縁部材案内通路を形成する必要がなくなり、端部絶縁部材の内壁部の径方向に沿った長さを短くして、スロット内における端部絶縁部材の内壁部の占有面積を低減させることができることを見出した。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、固定子巻線の巻数を増大させることができる集中巻き固定子および集中巻き電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明は、固定子に関し、特に、固定子巻線が集中巻き方式で巻き付けられる集中巻き固定子に関する。
本発明の固定子は、固定子コアと、第1の端部絶縁部材と、第2の端部絶縁部材と、固定子巻線と、相間絶縁部材を備えている。なお、好適には、スロット内に挿入されるスロット絶縁部材を備える。
固定子コアは、軸方向に直角な断面で見て、ヨークと、複数のティースと、複数のスロットを有している。ヨークは、周方向に沿って延在している。ティースは、ヨークから径方向に沿って径方向内周側に延在するティース基部と、ティース基部の径方向内周側に設けられ、周方向に沿って延在するティース先端部とにより形成される。ティース先端部は、径方向内周側にティース先端部内周面を有し、径方向外周側で、周方向一方側に第1のティース先端部外周面を有し、径方向外周側で、周方向他方側に第2のティース先端部外周面を有する。スロットは、周方向に隣接するティースによって形成され、隣接するティース先端部間にスロット開口部を有する。
第1の端部絶縁部材および第2の端部絶縁部材は、外壁部と、複数の内壁部と、複数の連結部を有している。外壁部は、周方向および軸方向に沿って延在している。内壁部は、外壁部より径方向内周側に配置され、周方向および軸方向に沿って延在している。内壁部は、径方向内周側に内壁部内周面を有し、径方向外周側に内壁部外周面を有する。連結部は、径方向に沿って延在し、外壁部と内壁部を連結する。そして、第1の端部絶縁部材および第2の端部絶縁部材は、固定子コアの軸方向一方側および軸方向他方側に、外壁部、連結部および内壁部が、それぞれ固定子コアのヨーク、ティース基部およびティース先端部に対向し、第1の端部絶縁部材および第2の端部絶縁部材の内壁部の内壁部外周面が、固定子コアのティース先端部の第1のティース先端部外周面および第2のティース先端部外周面より径方向外周側に配置されるように配置される。好適には、第1の端部絶縁部材と第2の端部絶縁部材は、同じ構造の端部絶縁部材が用いられる。
固定子巻線は、固定子コアの軸方向一方側および軸方向他方側に第1の端部絶縁部材および第2の端部絶縁部材が配置されている状態で巻き付けられる。好適には、固定子巻線は、第1の端部絶縁部材の外壁部、内壁部および連結部により形成される凹部(第1の凹部)と、第2の端部絶縁部材の外壁部、内壁部および連結部により形成される凹部(第2の凹部)を通るように巻き付けられる。
固定子巻線が巻き付けられた状態において、ティース先端部を挟んで軸方向一方側に配置された第1の端部絶縁部材の内壁部と軸方向他方側に配置された第2の端部絶縁部材の内壁部との間に、第1の端部絶縁部材の内壁部、第2の端部絶縁部材の内壁部およびティース先端部によって規定される第1の隙間および第2の隙間が形成されるように構成されている。第1の隙間は、第1の端部絶縁部材の内壁部の内壁部外周面、第2の端部絶縁部材の内壁部の内壁部外周面およびティース先端部の第1のティース先端部外周面により規定され、第2の隙間は、第1の端部絶縁部材の内壁部の内壁部外周面、第2の端部絶縁部材の内壁部の内壁部外周面およびティース先端部の第2のティース先端部外周面により規定される。
相間絶縁部材は、周方向一方側の第1の縁部を含む第1の縁部分と、周方向他方側の第2の縁部を含む第2の縁部分と、第1の縁部分と第2の縁部分との間に設けられた第1の中央部分および第2の中央部分とを有し、断面がV字状を有するよう折り曲げられている。なお、「周方向一方側の第1の縁部」および「周方向他方側の第2の縁部」は、周方向に離間して配置される2つの縁部のうち、周方向一方側に配置される縁部および周方向他方側に配置される縁部を示す。第1の縁部は、スロット内に形成されている第1の隙間と第2の隙間のうちの一方の隙間(好適には、第2の隙間)に配置され、第2の縁部は、他方の隙間(好適には、第1の隙間)に配置され、第1の中央部分と第2の中央部分は、スロット内に挿入されている異なる相の固定子巻線の間に径方向に沿って延在するように配置される。相間絶縁部材の第1の縁部および第2の縁部が、第1の隙間および第2の隙間の一方および他方に配置されることで、相間絶縁部材の、軸方向および周方向への移動が規制される。また、相間絶縁部材の第1の中央部分および第2の中央部分が、隣接する、異なる相の固定子巻線間に配置されることで、隣接する固定子巻線間が絶縁される。
また、本発明では、相間絶縁部材は、スロット開口部を介して、径方向内周側からスロット内に挿入される。このため、端部絶縁部材の内壁部には、従来の集中巻き固定子のように、相間絶縁部材の第1の縁部および第2の縁部を第1の隙間と第2の隙間のうちの一方の隙間および他方の隙間に配置するための、軸方向に沿って延在する相間絶縁部材案内通路を有していない。
本発明では、第1および第2の端部絶縁部材の内壁部に相間絶縁部材案内通路が形成されていないため、第1および第2の端部絶縁部材の内壁部の径方向に沿った長さを短くして、スロット内における第1および第2の端部絶縁部材の内壁部の占有面積を低減させることができる。これにより、スロット内における、固定子巻線を巻き付け可能な有効面積が増大し、固定子巻線の巻数を増大させることができる。
第1発明の他の形態では、相間絶縁部材の第1の縁部分の周方向に沿った長さおよび第2の縁部分の周方向に沿った長さが、相間絶縁部材を、第1の縁部と第2の縁部との間の間隔が短くなるように圧縮した状態で、第1の中央部分と第2の中央部分との間の折り曲げ部から、スロット開口部を介して径方向内周側からスロット内に挿入する際に、弾性復帰力によって、第1の縁部が一方の隙間に挿入される長さおよび第2の縁部が他方の隙間に挿入される長さに設定されている。好適には。第1の縁部分の周方向に沿った長さと第2の縁部分の周方向に沿った長さは等しくなるように設定される。
「第1の縁部分の周方向に沿った長さ」は、第1の縁部と第1の中央部分との間の長さを示し、「第2の縁部分の周方向に沿った長さ」は、第2の縁部と第2の中央部分との間の長さを示す。
本形態では、相間絶縁部材を、スロット開口部を通過可能に圧縮した状態で、第1の中央部分と第2の中央部分との間の折り曲げ部から、スロット開口部を介して径方向内周側からスロット内に挿入することによって、相間絶縁部材の第1の縁部および第2の縁部が自動的に一方の隙間および他方の隙間に挿入される。これにより、相間絶縁部材のスロット内への挿入作業が容易となり、従来の集中巻き固定子では困難であった、機械による、相間絶縁部材のスロット内への挿入作業が可能となる。
第2発明は、電動機に関し、特に、固定子巻線が集中巻き方式で巻き付けられる集中巻き電動機に関する。
本発明の電動機は、前述したいずれかの固定子と、固定子に対して相対的に回転可能に支持される回転子とを備えている。
本発明は、前述した固定子と同様の効果を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の固定子および電動機では、固定子巻線を集中巻き方式で巻き付けながら、固定子巻線の巻数を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の電動機を構成する固定子の一実施形態示す図である。
図2図1の矢印IIで示す部分の拡大図である。
図3図2をIII−III線から見た断面図である。
図4図3の矢印IVで示す部分の拡大図である。
図5】相間絶縁部材の一実施形態を示す図である、
図6図5をVI−VI線から見た断面図である。
図7】相間絶縁部材を圧縮した状態を示す図である。
図8図7をXIII−XIIIIX線から見た断面図である。
図9】相間絶縁部材をスロット内に挿入する動作を説明する図である。
図10】相間絶縁部材をスロット内に挿入する動作を説明する図である。
図11】相間絶縁部材をスロット内に挿入する動作を説明する図である。
図12】従来の固定子の斜視図である。
図13図12をXIII−XIII線から見た断面図の要部を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
本明細書では、「軸方向」という記載は、回転子が固定子に対して相対的に回転可能に配置されている状態において、回転子の回転中心O(図3参照)を通る回転中心線P(図1参照)の方向を示す。「周方向」という記載は、回転子が固定子に対して相対的に回転可能に配置されている状態において、軸方向に直角な断面(図3参照)で見て、回転中心Oを中心とする円周方向を示す。「径方向」という記載は、回転子が固定子に対して相対的に回転可能に配置されている状態において、軸方向に直角な断面で見て、回転中心Oを通る方向を示す。「径方向内周側」という記載は、径方向に沿って回転中心O側を示し、「径方向外周側」という記載は、径方向に沿って回転中心Oと反対側を示す。
なお、端部絶縁部材に対しては、「軸方向」、「周方向」および「径方向」という記載は、端部絶縁部材が固定子コアのコア端面に対向する位置に配置されている状態における「軸方向」、「周方向」および「径方向」を示す。
また、以下では、軸方向に直角な断面(図3図4)において、時計方向を「周方向一方側」と呼び、反時計方向を「周方向他方側」と呼んでいるが、「周方向一方側」および「周方向他方側」は、逆方向であってもよい。
【0010】
本発明の電動機を構成する固定子の一実施形態10を、図1図4を参照して説明する。なお、図1は、一実施形態の固定子10の斜視図である。図2は、図1の矢印IIで示されている部分を拡大した拡大図であり、図3は、図2をIII−III線から見た断面図であり、図4は、図3の矢印IVで示されている部分を拡大した拡大図である。
本発明の電動機は、図1に示されている固定子10と、固定子10に対して相対的に回転可能に支持されている回転子(図示省略)により構成される。回転子としては、電動機の種類に応じた回転子が用いられる。
【0011】
本実施形態の固定子10は、固定子コア20、スロット絶縁部材30、固定子巻線40、相間絶縁部材50、第1の端部絶縁部材100、第2の端部絶縁部材200により構成されている。
固定子コア20は、積層された複数の電磁鋼板により構成され、軸方向両側にコア端面を有している。図1では、軸方向一方側にコア端面20Aを有し、軸方向他方側にコア端面20Bを有している。
固定子コア20は、ヨーク21、複数のティース22、複数のスロット25を有している。軸方向に直角な断面(図3図4)で見て、ヨーク21は、周方向に沿って延在している。ティース22は、ヨーク21から径方向に沿って径方向内周側(回転中心側)に延在するティース基部23と、ティース基部23の径方向内周側に設けられ、周方向に沿って延在するティース先端部24により形成されている。
ティース基部23は、周方向一方側に形成された第1のティース基部側面(周方向一方側のティース基部側面)23a、周方向他方側に形成された第2のティース基部側面(周方向他方側のティース基部側面)23bを有している。
ティース先端部24は、径方向内周側に形成されたティース先端部内周面24a、周方向一方側に形成された第1のティース先端部側面(周方向一方側のティース先端部側面)24b、周方向他方側に形成された第2のティース先端部側面(周方向他方側のティース先端部側面)24c、径方向外周側で、周方向一方側に形成された(第1のティース先端部側面24bと第1のティース基部側面23aとの間に形成された)第1のティース先端部外周面(周方向一方側のティース先端部外周面)24d、径方向外周側で、周方向他方側に形成された(第2のティース先端部側面24cと第2のティース基部側面23bとの間に形成された)第2のティース先端部外周面(周方向他方側のティース先端部外周面)24eを有している。
周方向に隣接するティース22によって、スロット25が形成される。スロット25は、隣接するティース先端部24間に、スロット開口部25aを有している。スロット25内には、スロット絶縁部材30を介して固定子巻線40が挿入される。また、スロット25内には、隣接する異なる相の固定子巻線40間に配置される相間絶縁部材50が挿入される。相間絶縁部材50については、後述する。
ティース先端部24のティース先端部内周面24aによって、回転子が挿入される回転子挿入空間20aが形成される。
なお、固定子コア20のコア端面20Aおよび20Bには、位置決め凹部26が形成されている。
【0012】
第1の端部絶縁部材100および第2の端部絶縁部材200は、それぞれ固定子コア20の軸方向一方側および軸方向他方側に配置される。本実施形態では、第1の端部絶縁部材100と第2の端部絶縁部材200は、同一の構成を有している。したがって、以下では、第1の端部絶縁部材100の構成について説明する。以下の説明において、第2の端部絶縁部材200の各構成要素のうち、第1の端部絶縁部材100の構成要素と同じ構成要素を記載する場合には、第1の端部絶縁部材の構成要素に付されている符号と、3桁目以外が同一である符号を用いる。
なお、第1の端部絶縁部材100と第2の端部絶縁部材が同一の構成を有していない場合でも、両者の基本構成は同じである。
第1の端部絶縁部材100は、絶縁特性を有する樹脂により形成され(「樹脂ボビン」と呼ばれている)、絶縁部材端面100Aを有している。第1の端部絶縁部材100は、絶縁部材端面100Aが固定子コア20のコア端面20Aと対向するように固定子コア20の軸方向一方側に、あるいは、コア端面20Bと対向するように固定子コア20の軸方向他方側に配置される。
【0013】
第1の端部絶縁部材100は、外壁部110、複数の内壁部120、複数の連結部130を有している。
外壁部110は、周方向および軸方向に沿って延在している。外壁部110は、径方向内周側に形成されている外壁部内周面111、径方向外周側に形成されている外壁部外周面112を有している。
内壁部120は、外壁部110より径方向内周側(回転中心側)に配置され、周方向および軸方向に沿って延在している。内壁部120は、径方向内周側に形成された内壁部内周面121、径方向外周側に形成された内壁部外周面122、周方向一方側に形成された第1の内壁部側面(周方向一方側の内壁部側面)123、周方向他方側に形成された第2の内壁部側面(周方向他方側の内壁部側面)124、軸方向に沿って絶縁部材端面100A側(固定子コア20側)で、周方向一方側に形成された第1の内壁部端面(周方向一方側の内壁部端面)125、軸方向に沿って絶縁部材端面100A側(固定子コア20側)で、周方向他方側に形成された第2の内壁部端面(周方向他方側の内壁部端面)126を有している。内壁部120の内壁部内周面121によって、回転子が挿入される回転子挿入空間100aが形成される。
連結部130は、径方向に沿って延在し、外壁部110と内壁部120を連結する。連結部130は、周方向一方側に形成された第1の連結部側面(周方向一方側の連結部側面)131、周方向他方側に形成された第2の連結部側面(周方向他方側の連結部側面)132、径方向内周側に形成された連結部内周面133を有している。本実施形態では、連結部内周面133は、内壁部内周面121と面一に形成されている。
外壁部110、内壁部120および連結部130によって、固定子巻線40をティース22(詳しくは、ティース基部23)に巻き付ける際に、固定子巻線40が収容される(通される)凹部が形成される(図2)。
なお、第1の端部絶縁部材100の絶縁部材端面100Aには、固定子コア20のコア端面20Aあるいは20Bに形成された位置決め凹部26に嵌合可能な位置決め突部140が形成されている。位置決め突部140を位置決め凹部26に嵌合させることにより、固定子コア20に対する第1の端部絶縁部材100の配置位置を容易に設定することができる。これにより、第1の端部絶縁部材100の外壁部110、連結部130および内壁部120は、固定子コア20のヨーク21、ティース基部23およびティース先端部24に対向する位置に容易に配置される。
【0014】
固定子巻線40は、固定子コア20の軸方向一方側および軸方向他方側に第1の端部絶縁部材100および第2の端部絶縁部材200が配置された状態で、固定子コア20のティース22(ティース基部23)に巻き付けられる。具体的には、第1の端部絶縁部材100の連結部130および第2の端部絶縁部材200の連結部230を介して巻き付けられる。
この時、第1の端部絶縁部材100の内壁部120は、固定子コア20のティース22に対して、図4に示される位置に配置される。すなわち、第1の端部絶縁部材100の内壁部120の内壁部外周面122は、固定子コア20のティース先端部24の第1のティース先端部外周面24dおよび第2のティース先端部外周面24eより径方向外周側に配置される。第2の端部絶縁部材200の内壁部220も同様に配置される。
固定子巻線40は、第1の端部絶縁部材100の外壁部110、内壁部120および連結部130により形成される凹部に巻き付けられる。すなわち、第1の端部絶縁部材100の内壁部120の第1の内壁部外周面122は、スロット25内における、固定子巻線40を巻き付け可能な領域(巻き付け領域)の境界を規定する。
このため、固定子巻線40が巻き付けられた状態においては、固定子コア20の軸方向一方側に配置された第1の端部絶縁部材100の内壁部120と、軸方向他方側に配置された第2の端部絶縁部材200の内壁部220との間に第1の隙間S1と第2の隙間S2が形成される。第1の隙間S1は、第1の端部絶縁部材100の内壁部120の内壁部外周面122、第2の端部絶縁部材200の内壁部220の内壁部外周面222および固定子コア20のティース先端部24の第1のティース先端部外周面24dによって規定される。また、第2の隙間S2は、第1の端部絶縁部材100の内壁部120の内壁部外周面122、第2の端部絶縁部材200の内壁部220の内壁部外周面222および固定子コア20のティース先端部24の第2のティース先端部外周面24eによって規定される。
【0015】
次に、本実施形態の固定子10で用いられる相間絶縁部材50を、図5図6を参照して説明する。図5は、相間絶縁部材50の斜視図であり、図6は、図5をVI−VI線から見た断面図である。
図5に示されている相間絶縁部材50は、四角形の絶縁フィルムを、折り曲げて形成される。すなわち、相間絶縁部材50は、第1の縁部50aを含む第1の縁部分51a、第2の縁部50bを含む第2の縁部分51d、第1の縁部分51aと第2の縁部分51dの間に設けられている第1の中央部分51bと第2の中央部分51cを有し、第1の縁部分51aと第1の中央部分51bとの間の第1の折り曲げ部52a、第1の中央部分51bと第2の中央部分51cとの間の第2の折り曲げ部52b、第2の中央部分51cと第2の縁部分51dとの間の第3の折り曲げ部52cの箇所で、断面がV字状を有するように折り曲げられている。本実施形態では、図6に示されているように、第1の縁部分51aに対して第1の中央部分51bが角度θ1で折り曲げられ、第1の中央部分51bに対して第2の中央部分51cが角度θ2で折り曲げられ、第2の中央部分51cに対して第2の縁部分51dが角度θ3で折り曲げられている。なお、「断面がV字状を有するように折り曲げられている」という記載は、「第1の中央部分51cと第2の中央部分51dがV字状に折り曲げられている」態様を意味する。
【0016】
次に、相間絶縁部材50をスロット25内に挿入する動作を説明する。
本実施形態では、V字状に折り曲げられた相間絶縁部材50は、第1の縁部50aおよび第2の縁部50bが、軸方向に延在するように配置される。すなわち、相間絶縁部材50の第1の縁部50aが、周方向一方側に配置され、第2の縁部50bが、周方向他方側に配置される。
周方向一方側に配置される第1の縁部50aが、本発明の「周方向一方側の第1の縁部」に対応し、周方向他方側に配置される第2の縁部50bが、本発明の「周方向他方側の第2の縁部」に対応する。
【0017】
前述したように、固定子コア20の軸方向両側に第1の端部絶縁部材100および第2の端部絶縁部材200を配置した状態で固定子巻線40を巻き付けた場合、スロット35内(詳しくは、スロット35内に挿入されているスロット絶縁部材30により囲まれる空間内)に、第1の端部絶縁部材100の内壁部120、第2の端部絶縁部材200の内壁部220およびティース先端部24によって規定される第1の隙間S1と第2の隙間S2が形成される。
従来の集中巻き固定子では、端部絶縁部材の内壁部に、第1の隙間S1および第2の隙間S2に連通するように、軸方向に沿って延在する相間絶縁部材案内通路を形成し、相間絶縁部材案内通路を介して相間絶縁部材の第1の縁部および第2の縁部を一方の隙間および他方の隙間内に配置していた。
本発明では、相間絶縁部材を、スロット開口部を介して、径方向内周側からスロット内に挿入することによって、相間絶縁部材の第1の縁部および第2の縁部を一方の隙間および他方の隙間に配置している。
【0018】
相間絶縁部材50を、スロット開口部25aを介して、径方向内周側からスロット25内に挿入する動作を、図9図11を参照して具体的に説明する。
なお、本実施形態では、図6に示されている、第1の縁部分51aの幅L1および第2の縁部分51dの幅L2は、相間絶縁部材50を、圧縮した状態で、スロット開口部25aを介して、径方向内周側からスロット25内に移動させる際に、弾性復帰力によって、第1の縁部50aが一方の隙間に挿入される長さおよび第2の縁部50bが他方の隙間に挿入される長さに設定されている。第1の縁部分51aの長さL1は、第1の縁部50aと第1の中央部分51bとの間の長さであり、第2の縁部分51dの幅L2は、第2の縁部50bと第2の中央部分51cとの間の長さである。好適には。第1の縁部分51aの幅L1と第2の縁部分51dの幅L2は等しくなるように設定される。
図9は、第1の縁部50aおよび第2の縁部50bがスロット開口部25aを通過する前の状態を示し、図9(b)は、図9(a)を矢印(b)の方向から見た図であり、図9(c)は、図9(a)を(c)−(c)線から見た断面図である。図10は、第1の縁部50aおよび第2の縁部50bがスロット開口部25aを通過した状態を示し、図10(b)は、図10(a)を矢印(b)方向から見た図であり、図10(c)は、図10(a)を(c)−(c)線から見た断面図である。図11は、第1の縁部分51aおよび第2の縁部分51dがスロット開口部25aを通過した状態を示し、図11(b)は、図11(a)を矢印(b)方向から見た図であり、図11(c)は、図11(a)を(c)−(c)線から見た断面図である。
なお、図9図11に示されている40aは、第1端部絶縁部材100の内壁部120の内壁部外周面122により規定される巻き付け領域の境界である。
【0019】
先ず、図7に示されているように、相間絶縁部材50の第1の縁部50aと第2の縁部50bとの間の間隔が短くなるように圧縮する。この時、相間絶縁部材50が、スロット開口部25aを通過できるように圧縮する。例えば、図8に示されているように、第1の縁部分51aに対して第1の中央部分51bが角度α1(>θ1)で折り曲げられ、第1の中央部分51bに対して第2の中央部分51cが角度α2(>θ2)で折り曲げられ、第2の中央部分51cに対して第2の縁部分51dが角度α3(>θ3)で折り曲げられるように圧縮する。この時、相間絶縁部材50は、圧縮力が解除されると、弾性復帰力によって元の形状に復帰可能に圧縮される。
そして、圧縮した状態の相間絶縁部材50を、第1の中央部分51bと第2の中央部分51cとの間の第2の折り曲げ部52bから、スロット開口部25aを介して、径方向内周側からスロット25内に移動させる。
【0020】
図9に示されている状態では、第1の縁部50aおよび第2の縁部50bがスロット開口部25aを通過していないため、相間絶縁部材50は圧縮された状態を保持する。
図10に示されている状態では、第1の縁部50aおよび第2の縁部50bがスロット開口部25aを通過しているため、弾性復帰力によって、第1の縁部50aは、第1の縁部分51aと第1の中央部分51bとの間の第1の折り曲げ部52aを中心に第1の中央部分51bから離れる方向に回動し、また、第2の縁部50bは、第2の縁部分51dと第2の中央部分51cとの間の第3の折り曲げ部52cを中心に第2の中央部分51cから離れる方向に回動する。ここで、相間絶縁部材50の弾性復帰力と第1の縁部分51aの幅L1および第2の縁部分51dの幅L2が適切に設定されているため、第1の縁部50aおよび第2の縁部50bがスロット開口部25aを通過した後に、弾性復帰力によって元の形状に戻る際に、第1の縁部50aおよび第2の縁部50bが第1の隙間S1および第2の隙間S2のうちの一方および他方に自動的に挿入される。
図11に示されている状態では、第1の縁部分51aおよび第2の縁部分51dがスロット開口部25aを通過している。このため、圧縮された状態でスロット25内の、異なる相の固定子巻線40間に、径方向に沿って延在するように挿入された第1の中央部分51bと第2の中央部分51cが、第1の中央部分51bと第2の中央部分51cとの間の第2の折り曲げ部52bを中心に、互いに離間する方向に回動する。これにより、第1の縁部分51aおよび第2の縁部分51dが一方の隙間および他方の隙間内に押し込まれ、相間絶縁部材50の軸方向に沿った移動および周方向に沿った移動が確実に規制される。
【0021】
以上のように、本実施形態では、相間絶縁部材50を、スロット開口部25aを介して、径方向内周側からスロット25内に移動させることによって、相間絶縁部材50の周方向一方側の第1の縁部50aおよび周方向他方側の第2の縁部50bを、端部絶縁部材100、200の内壁部120、220とティース先端部24とによって規定される第1の隙間S1および第2の隙間S2に配置するように構成されている。
これにより、従来、端部絶縁部材の内壁部に形成していた相間絶縁部材案内通路が不要となる。したがって、端部絶縁部材100、200の内壁部120、220の径方向に沿った長さを短縮して、スロット25内における内壁部120、220の占有面積を減少させることができ、スロット内における固定子巻線40の巻数を増大させることができる。
また、相間絶縁部材50を、スロット開口部25aを介して、径方向内周側からスロット内に移動させる操作だけで、相間絶縁部材50の周方向一方側の第1の縁部50aおよび周方向他方側の第2の縁部50bを第1の隙間S1および第2の隙間S2内に自動的に挿入することができるため、従来では困難であった、機械を用いた相間絶縁部材50のスロット25内への挿入作業が可能となる。
【0022】
本発明は、実施形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
端部絶縁部材の構成は、実施形態で説明した構成に限定されない。
固定子コアの軸方向両側に配置する端部絶縁部材は、同じ構造の端部絶縁部材を用いてもよいし、異なる構造の端部絶縁部材を用いてもよい。
相間絶縁部材として、周方向一方側の第1の縁部を含む第1の縁部分、周方向他方側の第2の縁部を含む第2の縁部分、第1の縁部分と第2の縁部分との間に設けられている第1の中央部分と第2の中央部分を有し、V字状に折り曲げられた相間絶縁部材を用いたが、相間絶縁部材は、少なくとも、周方向一方側の第1の縁部を含む第1の縁部分、周方向他方側の第2の縁部を含む第2の縁部分、第1の縁部分と第2の縁部分との間に設けられている中央部分を有し、第1の縁部および第2の縁部が、第1の隙間および第2の隙間のうちの一方の隙間および他方の隙間に配置され、中央部分が、隣接する異なる相の固定子巻線間に径方向に沿って延在するように配置可能に構成されていればよい。
本発明は、種々の種類の電動機として構成することができる。
【符号の説明】
【0023】
10 電動機
20 固定子コア
20A、20B コア端面
20a 回転子挿入空間
21 ヨーク
21a ヨーク内周面
22 ティース
23 ティース基部
23a 第1のティース基部側面(周方向一方側のティース基部側面)
23b 第2のティース基部側面(周方向他方側のティース基部側面)
24 ティース先端部
24a ティース先端部内周面
24b 第1のティース先端部側面(周方向一方側のティース先端部側面)
24c 第2のティース先端部側面(周方向他方側のティース先端部側面)
24d 第1のティース先端部外周面(周方向一方側のティース先端部外周面)
24e 第2のティース先端部外周面(周方向他方側のティース先端部外周面)
25 スロット
25a スロット開口部
26 位置決め凹部
30スロット絶縁部材
40 固定子巻線
50 相間絶縁部材
50a 第1の縁部
50a 第2の縁部
50c 第1の端部
50d 第2の端部
51a 第1の縁部分
51b 第1の中央部分
51c 第2の中央部分
51d 第2の縁部分
52a 第1の折り曲げ部
52b 第2の折り曲げ部
52c 第3の折り曲げ部
60 絶縁シート
60A 第1の面
60B 第2の面
60a 第1の縁部
60b 第2の縁部
60c 第1の端部
60d 第2の端部
61a 第1の部分
61b 第2の部分
61c 第3の部分
61d 第4の部分
62a 第1の折り曲げ線
62b 第2の折り曲げ線
62c 第3の折り曲げ線
100、200、300、400 端部絶縁部材
100A 絶縁部材端面
100a 回転子挿入空間
110、210、310、410 外壁部
111 外壁部内周面
112 外壁部外周面
120、220、320、420 内壁部
121、321 内壁部内周面
122、322 内壁部外周面
123、323 第1の内壁部側面(周方向一方側の内壁部側面)
124、324 第2の内壁部側面(周方向他方側の内壁部側面)
125 第1の内壁部端面(周方向一方側の内壁部端面)
126 第2の内壁部端面(周方向他方側の内壁部端面)
130、230、330、430 連結部
131、331 第1の連結部側面(周方向一方側の連結部側面)
132、332 第2の連結部側面(周方向他方側の連結部側面)
133 連結部内周面
140、240 位置決め用突部
341 第1の切り欠き部(第1の相間絶縁部材案内通路)
241a 切り欠き面
342 第2の切り欠き部(第2の相間絶縁部材案内通路)
342a 切り欠き面
S1 第1の隙間
S2 第2の隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13