(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実物通りではなく変更して模式的に表す場合もあるし、構造物を区別するために付したハッチングを省略する場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して詳細な説明を省略する場合もある。
【0013】
実施形態として、静電容量方式のタッチ検出機能付きの表示装置を説明する。しかし、タッチ検出方式は静電容量方式に限らず、電磁誘導方式等の他の方式も採用可能である。静電容量方式は、互いに離間した状態で対向配置された2つの検出電極の間の静電容量を検出する相互容量方式(Mutual Capacitive Sensing)及び1つの検出電極と例えば接地電位等の基準電位との間の静電容量を検出する自己容量方式(Self Capacitive Sensing)を含む。一例として相互容量方式を説明するが、本発明は自己容量方式のタッチ検出を行う表示装置にも適用可能である。自己容量方式においては、基準電位が供給される電極は、検出電極との間で検出可能な静電容量を形成できる程度の離間距離で検出電極の周囲に配置される導体パターンであって、固定電位の供給経路が接続されていればよく、形状等は特に限定されない。タッチ検出機能を有する表示装置は、入力装置の一態様であって、指、タッチペン等の入力器具がタッチ面に近づく又は接触すると入力信号を検出すると共にタッチ位置を算出する。タッチ位置はタッチ面の入力信号を検出した点の座標である。
【0014】
表示装置は液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマディスプレイ表示装置等を利用することができるが、一例として、液晶表示装置を用いた実施形態を説明するが、本発明は有機EL表示装置、プラズマディスプレイ表示装置等にも適用可能である。液晶表示装置の表示モードは、表示機能層である液晶層の液晶分子の配向を変化させるための電界の印加方向により大きく2つに分類される。第1は表示装置の厚さ方向(あるいは面外方向)に電界が印加される所謂縦電界モードである。縦電界モードは、例えばTN(Twisted Nematic)モードや、VA(Vertical Alignment)モード等を含む。第2は表示装置の平面方向(あるいは面内方向)に電界が印加される所謂横電界モードである。横電界モードは、例えばIPS(In-Plane Switching)モードや、IPSモードの一つであるFFS(Fringe Field Switching)モード等を含む。以下で説明する技術は縦電界モードおよび横電界モードのいずれにも適用できるが、実施形態としては、横電界モードの表示装置を説明するが、本発明は縦電界モードの表示装置にも適用可能である。
【0015】
[第1実施形態(概略構成)]
図1は実施形態によるタッチ検出機能付きの表示装置の一例の全体的な概略構成を示す斜視図である。表示装置はタッチ検出機構を有する表示パネル28とタッチ検出部24と表示駆動部26と備える。表示パネル28は、ガラスや樹脂等の透明な第1基板SUB
1と、第1基板SUB
1に対向配置されたガラスや樹脂等の透明な第2基板SUB
2と、第1基板SUB
1と第2基板SUB
2との間に配置された液晶層(図示せず)とを備える。第1基板SUB
1には画素(
図5に示す)がX方向およびY方向に2次元アレイ状(マトリクス状とも称する)に配置されるので、第1基板SUB
1は画素基板又はアレイ基板とも称する。第2基板SUB
2は対向基板とも称する。表示パネル28は第2基板SUB
2側から観察される。このため、第2基板SUB
2は上側基板、第1基板SUB
1は下側基板と称することもある。
【0016】
表示パネル28は矩形の平板形状であり、短辺が沿う方向をX方向、長辺が沿う方向をY方向とする。第1基板SUB
1と第2基板SUB
2は短辺のサイズは略同じであるが、長辺のサイズは異なる。第1基板SUB
1の長辺は第2基板SUB
2の長辺より長い。長辺が沿うY方向において第1基板SUB
1の一端と第2基板SUB
2の一端の位置が揃っているので、第1基板SUB
1の他端は第2基板SUB
2の他端より突出する。Y方向において第2基板SUB
2より突出している第1基板SUB
1の部分には表示パネル28を画像表示のために駆動する表示駆動部26が搭載される。表示駆動部26はドライバIC又は表示コントローラICとも称する。画素が2次元アレイ状に配置される領域は表示領域又はアクティブエリアDAと称し、表示領域DA以外の領域は額縁領域と称する。
【0017】
表示装置はホスト装置22に接続され得る。表示パネル28とホスト装置22とは2つのフレキシブル配線基板FPC
1、FPC
2を介して接続される。ホスト装置22はフレキシブル配線基板FPC
1を介して第1基板SUB
1に接続される。ホスト装置22はフレキシブル配線基板FPC
2を介して第2基板SUB
2に接続される。タッチ検出を制御するタッチ検出部24はフレキシブル配線基板FPC
2上に配置されるCOFチップである。タッチ検出部24はタッチ検出IC又はタッチコントローラICとも称する。タッチ検出部24はフレキシブル配線基板FPC
2上ではなく、第1基板SUB
1上に配置されるCOGチップでもよい。
【0018】
表示駆動部26とタッチ検出部24はタイミングパルス等で互いに電気的に接続され、動作タイミングが連携している。表示駆動部26とタッチ検出部24は別々のICではなく、同一のICとして構成されても良い。この場合、単一のICは第1基板SUB
1上に配置しても良いし、フレキシブル配線基板FPC
1上に配置しても良い。表示駆動部26も第1基板SUB
1上ではなく、フレキシブル配線基板FPC
1上に配置しても良い。
【0019】
第1基板SUB
1の裏側(つまり、表示パネル28の背面側)には表示パネル28を照明する照明装置としてのバックライトユニットBLが設けられる。ホスト装置22はフレキシブル配線基板FPC
3を介してバックライトユニットBLに接続される。バックライトユニットBLとして、種々の形態のバックライトユニットが利用可能であり、光源として発光ダイオード(LED)を利用したもの及び冷陰極管(CCFL)を利用したもの等がある。バックライトユニットBLとして、表示パネル28の背面側に配置される導光板とその側面側に配置されるLED又は冷陰極管を用いた照明装置が使用可能であるし、表示パネル28の背面側に発光素子を平面的に配列した点状光源を用いた照明装置も使用可能である。照明装置としては、バックライトに限らず、表示パネル28の表示面側に配置されるフロントライトも使用可能である。表示装置が反射型の表示装置である場合、又は表示パネル28が有機ELを用いる場合、照明装置を備えない構成でも良い。図示していないが、表示装置は2次電池と電源回路等を備える。
【0020】
なお、
図1の例はY方向の長さがX方向の長さより長く、X方向を左右方向とした場合の縦長の画面を説明したが、X方向の長さがY方向の長さより長い横長の画面に応用しても良い。
[タッチ検出原理]
図2は相互容量方式の表示パネル28の基本構成の一例を示す。第2基板SUB
2に検出電極12
1、12
2、…(12と総称することもある)が形成される。検出電極12
1、12
2、…はY方向に延びるストライプ状の電極であり、X方向に配列される。第1基板SUB
1に共通電極14
1、14
2、…(14と総称することもある)が形成される。共通電極14
1、14
2、…はX方向に延びるストライプ状の電極であり、Y方向に配列される。すなわち、表示パネル28上で共通電極14は検出電極12と直交する。後述するが、画素に映像信号を供給する信号線(ソース線とも称する)はY方向に延びており、共通電極14と直交する。この配置を横COM型と称する。すなわち、横COM型では、信号線の延びる方向に共通電極14が配列される。検出電極12と共通電極14の配列は
図2の逆に、検出電極12をX方向に延びるストライプ形状とし、Y方向に配列し、共通電極14をY方向に延びるストライプ形状とし、X方向に配列してもよい。この場合、信号線と共通電極14は平行である。この配置を縦COM型と称する。すなわち、縦COM型では、信号線の延びる方向に検出電極12が配列される。以下の説明は、横COM型を例にとるが、本発明は縦COM型にも同様に適用可能である。
【0021】
第1基板SUB
1と第2基板SUB
2との間には液晶層があり、検出電極12と共通電極14とは間隔をあけて配置される。このため、検出電極12と共通電極14との間には静電容量Cが存在する。検出電極12は画素アレイの各列(Y方向に延びる)に対して1つ設ける必要は無く、任意の複数列に対して1つ設けてもよい。共通電極14も画素アレイの各行(X方向に延びる)の画素に対して1つ設ける必要は無く、画素アレイの任意の複数行の画素に対して1つ設けてもよい。
【0022】
共通電極14
1、14
2、…が高周波のパルス信号である駆動信号により順次駆動される。例えば、人間の指が検出電極12
3と共通電極14
4との交差部近傍に接触あるいは近接していると、共通電極14
4に駆動信号が供給されたときに、検出電極12
3からは他の検出電極12
1、12
2、12
4、12
5、…から得られる信号よりも低レベルのパルス状の検出信号が出力される。検出電極12は共通電極14からのフリンジ電界をモニターしており、指のような導電性の物体が近接すると、このフリンジ電界が遮蔽され、静電容量Cの値が変化し、検出電極12の検出電位が低下する。相互容量方式のタッチ検出は、この検出電位の差をタッチ位置の検出信号として取り扱う。
【0023】
静電容量Cの値は、指が検出電極12に近い場合と遠い場合とで異なる。このため、検出信号のレベルも指が検出電極12に近い場合と遠い場合とで異なる。従って、表示パネル28の画面に対する指の近接度を検出信号のレベルで判断することができる。駆動信号による共通電極14の駆動タイミングと、低レベルの検出信号が出力される検出電極12の位置とに応じて画面上の指のタッチ位置を検出することができる。
【0024】
共通電極14は、タッチ検出のための電極として用いられるとともに、表示のため液晶を駆動する駆動電極としても用いられる。このため、1フレーム期間に複数の表示期間が設定され、表示期間と次の表示期間の間にタッチ検出期間(非表示期間とも称する)が設定され、表示動作とタッチ検出動作とが時分割的に行われる。
【0025】
表示期間に、表示用の一定の直流電圧である駆動信号が全ての共通電極14に供給され、ホスト装置22から1又は複数行の映像信号が画素に書込まれ、映像信号に応じた画像が表示される。
タッチ検出期間に、駆動信号が共通電極14
1、14
2、14
3、…に順次供給され、共通電極14の電圧が変化する。1タッチ検出期間に駆動されるのは1つの共通電極に限らず、複数の共通電極が纏めて1タッチ検出期間に駆動されてもよく、その数は、任意に設定可能である。相互容量方式のタッチセンサでは、全ての共通電極を同時に駆動することはなく、1又は複数の共通電極ずつ順次駆動する。前者を同時駆動、後者を順次駆動と称する。順次駆動は、複数の共通電極を順番に駆動することに限らず、ランダムに駆動することも含む。
【0026】
[回路構成]
図3は実施形態の表示装置の一例を示す回路図である。表示パネル28は表示部&タッチセンサ部30とタッチセンサ駆動回路32とゲート駆動回路44と備える。表示部&タッチセンサ部30は
図2に示す検出電極12、共通電極14を含み、検出電極12から出力される検出信号が複数のセンサ線を介してタッチ検出部24に供給され、共通電極14は複数の信号線(ソース線とも称する)とコモン線を介して表示駆動部26に接続される。表示駆動部26はゲート制御信号をゲート駆動回路44に供給し、タッチセンサ制御信号をタッチセンサ駆動回路32に供給する。ゲート駆動回路44は表示部&タッチセンサ部30を表示期間に駆動する。タッチセンサ駆動回路32は表示部&タッチセンサ部30をタッチ検出期間に駆動する。タッチ検出部24は座標信号をホスト装置22と通信する。
【0027】
図4は、表示駆動部26とタッチセンサ駆動回路32の平面レイアウトの一例を示す。実施形態は2つのタッチセンサ駆動回路32a、32bと1つの補助駆動回路34を備える。補助駆動回路34はタッチセンサ駆動回路32a,32bと等価である。タッチセンサ駆動回路32a、32bは表示領域DAの左右(X方向)の額縁領域にそれぞれ配置される。Y方向は上下方向であり、表示駆動部26の配置される側が上側である。補助駆動回路34は表示領域DAの下の額縁領域に配置される。表示駆動部26は表示領域DAの上の額縁領域に配置される。表示駆動部26は垂直同期信号TSVDと水平同期信号TSHDをタッチ検出部24に供給し、タッチ検出部24は駆動同期信号EXVCOMを表示駆動部26に供給する。表示駆動部26はタッチセンサ駆動回路32a、32b、補助駆動回路34に、スタートパルス、クロック、選択電圧信号VCOMSEL、直流電圧信号VCOMDC、駆動パルスTxVCOMを供給する。
【0028】
表示領域DAはタッチ検出のためのn個の共通電極COM
1〜COM
n(COMと総称することもある)を含む。共通電極COMは
図2の共通電極14に対応する。共通電極COMはX方向に延びるストライプ状の電極であり、1又は複数の画素行毎に設けられている。しかし、共通電極COMはY方向に延びる縦長のストライプ状の電極で、1又は複数の画素列毎に設けられていてもよい。タッチセンサ駆動回路32aはn個の共通電極COM
1〜COM
nにタッチ駆動信号L−Tx
1〜L−Tx
n(L−Txと総称することもある)を順次供給する。タッチセンサ駆動回路32bは、クロックに基づいてタッチセンサ駆動回路32aと同期して、n個の共通電極COM
1〜COM
nにタッチ駆動信号R−Tx
1〜R−Tx
n(R−Txと総称することもある)を順次供給する。補助駆動回路34とn個の共通電極COM
1〜COM
nとは補助配線により接続され、補助駆動回路34は、クロックに基づいてタッチセンサ駆動回路32a、タッチセンサ駆動回路32bと同期して、補助配線を介してn個の共通電極COM
1〜COM
nに補助タッチ駆動信号B−Tx
1〜B−Tx
n(B−Txと総称することもある)を順次供給する。タッチ駆動信号L−Tx、R−Tx、B−Txは
図2の駆動信号に対応する。このように、共通電極COMにタッチ駆動信号L−Tx、R−Tx、B−Txが同時に供給され、駆動信号のレベルはタッチ駆動信号L−Tx、R−Tx、B−Txの総和である。共通電極COMは左、右、下の3カ所あるいは3方向から駆動され、1つの駆動回路により駆動される場合の3倍の駆動能力で駆動される。
タッチ検出のための共通電極COMは表示のための電極を兼ね、複数のストライプ電極からなる。タッチセンサ駆動回路32a、32bは複数のストライプ電極の両短辺に沿って配置され、補助駆動回路34は複数のストライプ電極の1つの長辺に沿って配置される。複数のストライプ電極のそれぞれはタッチセンサ駆動回路32a、32b、補助駆動回路34により駆動される。
【0029】
図4に示すように、X方向において補助駆動回路34は共通電極COMと略同じ長さであり、補助タッチ駆動信号B−Tx
1〜B−Tx
n線は共通電極COMの略全長において配置される。すなわち、1番目(最も左)の補助タッチ駆動信号B−Tx
1は共通電極COMの略左端に配置され、n番目(最も右)の補助タッチ駆動信号B−Tx
nは共通電極COMの略右端に配置され、1番目の補助タッチ駆動信号B−Tx
1は1行目の共通電極COM
1の略左端に接続され、n番目の補助タッチ駆動信号B−Tx
nはn行目の共通電極COM
nの略右端に接続される。
【0030】
図5は表示領域DAに含まれる画素アレイの回路図である。各画素は、TFT(Thin Film Transistor)からなるスイッチング素子46と、画素電極48と、共通電極50を有する。回路図では、各画素がそれぞれ共通電極50を含むように表されているが、実際には画素毎に個別の共通電極50
1、50
2、…(50と総称することもある)が設けられるのではない。
図4に示す共通電極COM
1が
図5の1行目の画素の共通電極50
1、50
1、…に対応し、共通電極COM
2が2行目の画素の共通電極50
2、50
2、…に対応する。便宜上、共通電極COMと共通電極50を使い分ける場合があるが、両者は同じものを意味する。
【0031】
各行の画素のスイッチング素子46のゲート端子はゲート線Gに共通に接続される。各行のゲート線G
1、G
2、…の両端は表示領域DAの左右の額縁領域まで引き出され、額縁領域に配置されたゲート駆動回路44a、44bに接続される。ゲート駆動回路44a、44bは、表示期間に、画素を行毎に選択的にオンさせる。なお、表示領域DAの左右にゲート駆動回路44a、44bを配置しないで、片側だけにゲート駆動回路44を配置してもよい。
【0032】
各列の画素のスイッチング素子46のドレイン端子は信号線Sに共通に接続される。各列の信号線S
1、S
2、…の一端は表示領域DAの上の額縁領域まで引き出され、額縁領域に配置された表示駆動部26内のソース増幅器42に接続される。ソース増幅器42は表示期間に選択的にオンされている画素行の各列の画素に表示のための映像信号を供給する。映像信号は赤、緑、青の3色の色成分の映像信号からなり、ホスト装置22から表示駆動部26に供給される映像信号は、赤、緑、青の3色の色成分の映像信号が多重化された信号である。そのため、図示しないが、表示駆動部26は、多重化信号を赤、緑、青の3色の色成分の映像信号に分離するマルチプレクサを含み、各画素には赤、緑、青の3色の色成分の映像信号のいずれかが供給される。
【0033】
各列の画素のスイッチング素子46のソース端子は画素電極48に接続される。画素電極48と共通電極50との間に液晶層が設けられる。タッチセンサ駆動回路32aは各行の画素の共通電極50にタッチ駆動信号L−Tx
1、L−Tx
2、…を供給する。タッチセンサ駆動回路32bは各行の画素の共通電極50にタッチ駆動信号R−Tx
1、R−Tx
2、…を供給する。補助駆動回路34は各行の多数の画素のうちの1つの画素の共通電極50に補助タッチ駆動信号B−Tx
1、B−Tx
2、…を供給する。例えば、補助駆動回路34は1行目の画素のうちの1列目の画素の共通電極50
1に補助タッチ駆動信号B−Tx
1を供給し、2行目の画素のうちの2列目の画素の共通電極50
2に補助タッチ駆動信号B−Tx
1を供給する。このように、共通電極50は等価な3つの駆動回路32a、32b、34により駆動される。そのため、共通電極50は1つの駆動回路により駆動される場合の3倍の駆動能力で駆動される。
【0034】
補助駆動回路34の数を1つとしたが、タッチセンサ駆動回路32と同様に2つの補助駆動回路34を用意し、上下の額縁領域にそれぞれ配置してもよい。その場合、共通電極50は上下左右の4カ所あるいは4方向から駆動され、1つの駆動回路により駆動される場合の4倍の駆動能力で駆動される。
【0035】
3つ又は4つの駆動回路を表示領域の上下左右の額縁領域のいずれか複数の領域に配置したが、駆動回路は1か所に配置し、表示領域に沿って配線を引き廻して表示領域の上下左右の額縁領域のいずれか複数の領域から駆動信号線を共通電極に接続して、共通電極に複数の位置あるいは方向から駆動信号を供給しても良い。
【0036】
タッチセンサ駆動回路32a、32bと補助駆動回路34は同じ構造であるが、便宜上、表示領域の左右に配置されるものをタッチセンサ駆動回路32a、32bと称し、表示領域の下に配置されるものを補助駆動回路34と称する。
図6はタッチセンサ駆動回路32a、32b、補助駆動回路34の回路図の一例である。タッチセンサ駆動回路32a、32b、補助駆動回路34は、スタートパルスとクロックが供給されるスキャナ回路52を備える。スキャナ回路52はスタートパルスとクロックを受けてクロックと同じ信号である複数のイネーブル信号EN
1、EN
2、…(ENと総称することもある)を順次出力する。イネーブル信号ENの数は共通電極COMの数と等しい。共通電極COMはスキャナ回路52によりスキャンされる。
【0037】
図4に示すように、表示駆動部26はスタートパルス、クロック、選択電圧信号VCOMSEL、直流電圧信号VCOMDC、駆動パルスTxVCOMを出力するポートを2つ備え、2つの出力ポートがタッチセンサ駆動回路32a、32bにそれぞれ接続される。タッチセンサ駆動回路32aに供給されたスタートパルス、クロック、選択電圧信号VCOMSEL、直流電圧信号VCOMDC、駆動パルスTxVCOMは、タッチセンサ駆動回路32aから補助駆動回路34にも供給される。
【0038】
各イネーブル信号ENは同じ構成の回路を介してタッチ駆動信号L−Tx、R−Tx又はB−Txとして共通電極COMに供給される。イネーブル信号ENは第1アンドゲート54の第1入力端子に入力されると共にインバータ58を介して第2アンドゲート56の第1入力端子に入力される。選択電圧信号VCOMSELが第1、第2アンドゲート54、56の第2入力端子に入力される。駆動パルスTxVCOMがスイッチ60を介してタッチ駆動信号L−Tx、R−Tx又はB−Txとして出力される。あるいは、直流電圧VCOMDCがスイッチ62を介してタッチ駆動信号L−Tx、R−Tx又はB−Txとして出力される。第1アンドゲート54の出力がスイッチ60をオン/オフし、第2アンドゲート56の出力がスイッチ62をオン/オフする。スイッチ60、62はアンドゲート54、56の出力が“1”レベルの時オンし、“0”レベルの時オフする。
【0039】
[動作波形]
図7は、
図6に示すタッチセンサ駆動回路32a、32b、補助駆動回路34の動作の一例を示すタイミングチャートである。表示駆動部26は垂直同期信号TSVDに同期して水平同期信号TSHDを発生する。タッチ検出部24は表示駆動部26から垂直同期信号TSVDと水平同期信号TSHDを受信すると、内部の図示しない基準周波数発振器から高周波パルスである駆動同期信号EXVCOMを発生させ、駆動同期信号EXVCOMを表示駆動部26に供給する。表示駆動部26は垂直同期信号TSVDが立ち下がると、水平同期信号の1周期のパルス幅のスタートパルスと、水平同期信号と同じ波形のクロックと選択電圧信号VCOMSELをタッチセンサ駆動回路32a、32b、補助駆動回路34に供給する。クロックと選択電圧信号VCOMSELは、垂直同期信号TSVDが出力される間は、出力されない。さらに、表示駆動部26は一定のVCOM電位である直流電圧信号VCOMDCと、タッチ検出部24から供給された駆動同期信号EXVCOMと同じ波形の駆動パルスTxVCOMをタッチセンサ駆動回路32a、32b、補助駆動回路34に供給する。
【0040】
タッチセンサ駆動回路32a、32b、補助駆動回路34はスタートパルスが供給されると、選択電圧信号VCOMSELと同じ波形のイネーブル信号EN
1、EN
2、EN
3、…をクロックに同期して順次出力する。イネーブル信号ENはタッチ検出期間に出力される。すなわち、選択電圧信号VCOMSELが“1”レベルの期間はタッチ検出期間であり、“0”レベルの期間は表示期間である。
【0041】
イネーブル信号EN
1、EN
2、EN
3、…が出力されるタッチ検出期間、第1アンドゲート54は選択電圧信号VCOMSELを通過させスイッチ60をオンさせる。そのため、タッチ検出期間に駆動パルスTxVCOMがタッチ駆動信号L−Tx
1、R−Tx
1、B−Tx
1;L−Tx
2、R−Tx
2、B−Tx
2;L−Tx
3、R−Tx
3、B−Tx
3…として出力される。これにより、タッチ検出期間に共通電極COMにタッチ検出用の高周波パルスが供給される。
【0042】
イネーブル信号EN
1、EN
2、EN
3、…が出力されない表示期間、第2アンドゲート56は選択電圧信号VCOMSELを通過させスイッチ62をオンさせる。そのため、表示期間に駆動パルスTxVCOMのタッチ駆動信号L−Tx
1、R−Tx
1、B−Tx
1;L−Tx
2、R−Tx
2、B−Tx
2;L−Tx
3、R−Tx
3、B−Tx
3…ではなく、一定の直流電圧信号VCOMDCが共通電極COMに供給される。
【0043】
[断面構造]
図8は第1基板SUB
1の平面図である。
図9(a)は
図8のA−A´線に沿った断面図、
図9(b)は
図8のB−B´線に沿った断面図である。
図8に示すように、信号線Sと補助駆動回路34に接続される補助タッチ駆動信号B−Tx線がY方向に延びて形成され、ゲート線GがX方向に延びて形成される。信号線S又は補助タッチ駆動信号B−Tx線とゲート線Gで囲まれた領域に画素(TFT)が形成される。n列目の画素の補助タッチ駆動信号B−Tx
n線は(n+1)列目の画素の信号線S
n+1と重なって形成される。
【0044】
図9に示すように、第1基板SUB
1のガラス基板(TFT Glass)102上にP−Si層103及びSiNx/SiO2層104が形成される。ゲート線G
nがSiNx/SiO2層104を介してP−Si層103上に形成されTFT46が構成される。信号線S
2はビアホール120を介してTFT46のドレイン端子と導通される。
【0045】
図示しないが、第2基板SUB
2にカラーフィルタやブラックマトリクスが形成される。ブラックマトリクスは各画素を区画するように配置される遮光部である。信号線Sはブラックマトリクスで遮光されている領域に形成される。表示パネルの配線抵抗を低減するために第3メタル配線と称するメタル配線108がブラックマトリクスで遮光されている領域に配置される。第3メタル配線108により補助タッチ駆動信号B−Tx
1線が形成される。
【0046】
第3メタル配線(補助タッチ駆動信号B−Tx線)108はSiNx/SiO2層104の上に形成された有機平坦化膜(HRC膜)106により覆われる。HRC膜106の上に共通電極COMを構成する第1ITO(Indium Tin Oxide)層110が形成される。第1ITO層110の両端がタッチセンサ駆動回路32a、32bに接続される。第1ITO層110には第3メタル配線(補助タッチ駆動信号B−Tx線)108とのコンタクト領域118が設けられる。第1ITO層110の上にSiN層112を介して画素電極48を構成する第2ITO層114が形成される。第2ITO層114はビアホール122をTFT46のソース端子と導通される。
【0047】
[第1実施形態の纏め]
以上説明したように、第1実施形態では、タッチ検出のための共通電極は少なくとも3つの駆動回路により駆動される。そのため、寄生容量や寄生抵抗によるCRの時定数が大きい場合でも、共通電極を所望の波形で駆動することが可能であり、正確にタッチ検出をすることができる。少なくとも3つの駆動回路は基板の表示領域以外の額縁領域に配置される。少なくとも3つの駆動回路を設ける必要はなく、駆動能力の高い1つ又は2つの駆動回路を設ける変形が可能である。駆動回路から共通電極に駆動信号を供給する信号線を少なくとも3種類設け、少なくとも3種類の信号線を共通電極の周囲の少なくとも3カ所あるいは3方向から供給電極に配線してもよい。実施例によれば、画面サイズが大型化、特に横長(X方向に長い)となっても、タッチ検出期間を長くしなくてもタッチ検出が可能となる。タッチ検出時間を長くすることがないので、表示のフレームレートを高くすることができる。
【0048】
[第2実施形態]
[回路構成]
図10は第2実施形態における表示駆動部26とタッチセンサ駆動回路32のレイアウトの一例を示す。第2実施形態も2つのタッチセンサ駆動回路32c、32dと1つの補助駆動回路34を備える。第1実施形態では、補助駆動回路34に接続されY方向に延びる補助タッチ駆動信号B−Tx線と、ソース増幅器42に接続されY方向に延びる信号線Sとを別々に設けた。そのため、補助タッチ駆動信号B−Tx線は第3メタル配線により形成される。補助タッチ駆動信号B−Tx線はタッチ検出期間に使用され、信号線Sは表示期間に使用され、両信号線は同時に使用されることはないので、第2実施形態では、1本の配線が両者を兼用する。共通電極COMはY方向に延びる配線に接続され、その配線の一端は補助駆動回路34に接続される補助タッチ駆動信号B−Tx線となり、他端はスイッチ素子を介して表示駆動部(ソース増幅器)に接続される信号線Sとなる。
【0049】
図11は
図10の表示領域DAに含まれる画素アレイの回路図である。各画素は、TFTからなる第1スイッチング素子46と、画素電極48と、共通電極70を有する。補助駆動回路34は各行の多数の画素のうちの1つの画素の共通電極70にTFTからなる第2スイッチング素子72を介して補助タッチ駆動信号B−Tx
1、B−Tx
2、…を供給する。例えば、補助駆動回路34は1行目の画素のうちの1列目の画素の共通電極70
1に補助タッチ駆動信号B−Tx
1を供給し、2行目の画素のうちの2列目の画素の共通電極70
2に補助タッチ駆動信号B−Tx
1を供給する。第1スイッチング素子46は第1実施形態と同様に表示期間に映像信号を画素に書き込むためのスイッチング素子であり、第2スイッチング素子72はタッチ検出期間に補助タッチ駆動信号B−Txを画素に書き込むためのスイッチング素子である。共通電極50と同様に、
図4に示す共通電極COM
1が
図11の1行目の画素の共通電極70
1、70
1、…に対応し、共通電極COM
2が2行目の画素の共通電極70
2、70
2、…に対応する。
【0050】
第1実施形態と同様に、各行の画素の第1スイッチング素子46のゲート端子はゲート線Gに共通に接続される。各行のゲート線G
1、G
2、…の両端は表示領域DAの左右の額縁領域まで引き出され、額縁領域に配置されたゲート駆動回路44a、44bに接続される。ゲート駆動回路44a、44bは、表示期間に、画素を行毎にオンさせる。各列の画素の第1スイッチング素子46のソース端子は信号線S/補助タッチ駆動信号B−Tx線に共通に接続される。各列の信号線S/補助タッチ駆動信号B−Tx線の一端は表示領域DAの上の額縁領域まで引き出され、スイッチング素子74を介して、額縁領域に配置された表示駆動部26内のソース増幅器42に信号線Sとして接続される。スイッチング素子74は表示駆動部26から出力され、インバータ76を介した選択電圧信号VCOMSELによりオン/オフされる。選択電圧信号VCOMSELはタッチ検出期間に“1”レベル、表示期間に“0”レベルであるので、スイッチング素子74は表示期間にオンされ、タッチ検出期間にオフされる。このため、表示期間にソース増幅器42の出力信号が信号線Sを介して各画素に書き込まれる。タッチ検出期間に信号線Sはフローティング状態となる。各列の信号線S/補助タッチ駆動信号B−Tx線の他端は表示領域DAの下の額縁領域まで引き出され、額縁領域に配置された補助駆動回路34に補助タッチ駆動信号B−Tx線として接続される。
【0051】
各列の画素のスイッチング素子46のソース端子は画素電極48に接続される。画素電極48と共通電極70との間に液晶層が設けられる。タッチセンサ駆動回路32cは各行の画素の共通電極70
1、70
2、…にタッチ駆動信号L−Tx
1、L−Tx
2、…を供給する。タッチセンサ駆動回路32dは各行の画素の共通電極70
1、70
2、…にタッチ駆動信号R−Tx
1、R−Tx
2、…を供給する。各列の画素の第2スイッチング素子72のドレイン端子は信号線S/補助タッチ駆動信号B−Tx線に共通に接続され、ソース端子は共通電極70に接続される。
【0052】
タッチセンサ駆動回路32cは各行の画素の第2スイッチング素子72のゲートにセンサ線選択ゲート信号L−TG
1、L−TG
2、…を供給する。タッチセンサ駆動回路32dは各行の画素の第2スイッチング素子72のゲートにセンサ線選択ゲート信号R−TG
1、R−TG
2、…を供給する。第2スイッチング素子72は、タッチ検出期間に共通電極70に補助タッチ駆動信号B−Txを供給するためのスイッチング素子である。
【0053】
図10は1つの共通電極7Oに対して1つの第2スイッチング素子72が接続されることを想定しているが、1つの共通電極7Oに対して複数の第2スイッチング素子72を介して複数の補助タッチ駆動信号B−Txを供給してもよい。この場合、複数の第2スイッチング素子72は共通電極7Oに対して並列接続抵抗となり、抵抗値が下がる。
【0054】
図12はタッチセンサ駆動回路32c、32dの回路図の一例である。タッチセンサ駆動回路32c、32dは、スタートパルスとクロックが供給されるスキャナ回路82を備える。スキャナ回路82はスタートパルスとクロックを受けてクロックと同じ信号である複数のイネーブル信号EN
1、EN
2、…(ENと総称することもある)を順次出力する。イネーブル信号ENの数は共通電極COMの数と等しい。共通電極COMはスキャナ回路82によりスキャンされる。各イネーブル信号ENは同じ構成の回路を介してタッチ駆動信号L−Tx又はR−Tx及びセンサ線選択ゲート信号L−TG又はR−TGとして補助駆動回路32c、32dから出力される。イネーブル信号ENはアンドゲート84の第1入力端子に入力される。選択電圧信号VCOMSELがアンドゲート84の第2入力端子に入力される。アンドゲート84の出力がセンサ線選択ゲート信号L−TG又はR−TGとなる。
【0055】
駆動パルスTxVCOMがスイッチ86を介してタッチ駆動信号L−Tx又はR−Txとして出力される。あるいは、直流電圧VCOMDCがスイッチ88を介してタッチ駆動信号L−Tx又はR−Txとして出力される。アンドゲート84の出力がスイッチ86をオン/オフし、アンドゲート84の出力がインバータ90を介してスイッチ88をオン/オフする。スイッチ86、88は制御信号が“1”レベルの時オンし、“0”レベルの時オフする。
【0056】
補助駆動回路34は第1実施形態の補助駆動回路と同一の構成である。
図13は、第2実施形態におけるタッチセンサ駆動回路32c、32d、補助駆動回路34の動作の一例を示すタイミングチャートである。信号線Sと兼用される補助タッチ駆動信号B−Tx線以外の波形は
図7に示す第1実施形態と同じである。
【0057】
選択電圧信号VCOMSELはタッチ検出期間に“1”レベルであり、表示期間に“0”レベルである。タッチ検出期間でイネーブル信号ENが“1”の場合、選択電圧信号VCOMSELがアンドゲート84を通過するので、選択電圧信号VCOMSELがセンサ線選択ゲート信号L−TG、R−TGとして各行の画素の第2スイッチング素子72のゲートに供給され、スイッチング素子72がオンし、各行の画素の共通電極70が補助タッチ駆動信号B−Tx線に接続される。タッチ検出期間に補助駆動回路34は駆動パルスTxVCOMをタッチ駆動信号B−Txとして出力するので、共通電極70にタッチ検出用の高周波パルスが供給される。また、タッチ検出期間でイネーブル信号ENが“1”の場合、スイッチ86がオンし、タッチセンサ駆動回路32c、32dは駆動パルスTxVCOMをタッチ駆動信号L−Tx、R−Txとして出力するので、共通電極COMにタッチ検出用の高周波パルスが供給される。
【0058】
表示期間にアンドゲート84の出力が“0”レベルであるので、スイッチ88がオンし、駆動パルスTxVCOMであるタッチ駆動信号L−Tx、R−Txではなく、一定の直流電圧信号VCOMDCが共通電極COMに供給される。表示期間にスイッチング素子74がオンであるので、ソース増幅器42から出力される表示書き込み用の映像信号が信号線Sを介して行毎の画素電極48に供給され、画像が表示される。
【0059】
[断面構造]
図14は第1基板SUB
1の平面図である。
図15(a)は
図14のA−A´線に沿った断面図、
図15(b)は
図14のB−B´線に沿った断面図である。
図14に示すように、信号線S/補助タッチ駆動信号B−Tx線がY方向に延びて形成され、ゲート線Gとセンサ線選択ゲート信号L−TG/R−TG線がX方向に延びて形成される。信号線S/補助タッチ駆動信号B−Tx線とゲート線G(またはセンサ線選択ゲート信号L−TG/R−TG線)で囲まれた領域に画素(TFT)が形成される。n行目の画素のゲート線G
nは(n+1)行目の画素のセンサ線選択ゲート信号L−TG
n+1/R−TG
n+1線の近傍に形成される。
【0060】
図15に示すように、第1基板SUB
1のガラス基板(TFT Glass)102上にP−Si層103及びSiNx/SiO2層104が形成される。ゲート線G
nがSiNx/SiO2層104を介してP−Si層103上に形成されTFT46が構成される。信号線S
1はビアホール120を介してTFT46のドレイン端子と導通される。
【0061】
第1実施形態では、第3メタル配線108により補助タッチ駆動信号B−Tx線が形成されるが、第2実施形態では、補助タッチ駆動信号B−Tx線は信号線Sと兼用されるので、第3メタル配線108は使用されない。
【0062】
HRC膜106の上に共通電極COMを構成する第1ITO層110が形成される。第1ITO層110の両端がタッチセンサ駆動回路32c、32dに接続される。第1ITO層110はビアホール128を介してTFT72のドレイン端子と接続される。第1ITO層110の上にSiN層112を介して画素電極48を構成する第2ITO層114が形成される。第2ITO層114はビアホール122をTFT46のソース端子と導通される。
【0063】
[第2実施形態の纏め]
以上説明したように、第2実施形態は、第1実施形態におけるY方向に延びる補助タッチ駆動信号B−Tx線と同じくY方向に延びる信号線Sとを共通としたものであり、第1実施形態の作用効果に加えて、信号配線の数を減らすことができる。信号配線の数が減ると、配線スペースに余裕ができるとともに、寄生抵抗、寄生容量が減る効果がある。
【0064】
[変形例]
上述の実施形態では、表示駆動部26はスタートパルス、クロック、選択電圧信号VCOMSEL、直流電圧信号VCOMDC、駆動パルスTxVCOMをタッチセンサ駆動回路32a、32bに供給する2つの出力ポートを備え、補助駆動回路34にはタッチセンサ駆動回路32aからスタートパルス、クロック、選択電圧信号VCOMSEL、直流電圧信号VCOMDC、駆動パルスTxVCOMが供給されている。
図16はこの変形に関するものであり、表示駆動部26aはスタートパルス、クロック、選択電圧信号VCOMSEL、直流電圧信号VCOMDC、駆動パルスTxVCOMをタッチセンサ駆動回路32a、32b、補助駆動回路34に供給する3つの出力ポートを備える。表示駆動部26が駆動回路32a、32b、34をそれぞれ駆動することにより、駆動能力を向上させることができるとともに、駆動回路32a、32b、34を確実に同期させることができる。
【0065】
次に、複数の補助駆動回路
34を設ける変形例を
図17に示す。
図17(a)に示すように、表示領域の上下の額縁領域に2つの補助駆動回路34b、34aがそれぞれ設けられ、左右上下から共通電極COMが駆動されてもよい。上述の実施形態では、表示領域の下側の額縁領域に設けた補助駆動回路34は、
図4に示すようにX方向において共通電極COMと略同じ長さであるが、上下に額縁領域に設けた2つの補助駆動回路34b、34aはX方向において共通電極COMより短くてもよい。これにより、額縁領域の実装スペースを有効に活用することができる。
【0066】
図17(a)では、表示領域の上下に一対の補助駆動回路34b、34aが設けられたが、この対の数は複数でもよい。例えば、
図17(b)に示すように、表示領域の上側の額縁領域に複数、例えば3つの補助駆動回路34b
1、34b
2、34b
3が設けられ、下側の額縁領域に複数、例えば3つの補助駆動回路34a
1、34a
2、34a
3が設けられてもよい。
図17(b)の変形例によれば、各共通電極COMの3カ所に補助タッチ駆動信号B−Txが供給され、駆動能力が向上する。
【0067】
インセルタイプの表示パネルは回路数、配線数が大きいので、額縁領域に補助駆動回路34を実装するスペースの余裕が無い場合がある。そのような場合には、
図17(c)に示すように、寄生容量、寄生抵抗が大きく時定数が大きい部分にだけ補助タッチ駆動信号B−Txを供給してもよい。例えば、表示駆動部26から遠い共通電極(図では下側)は表示駆動部26からの配線長が長いので、寄生容量、寄生抵抗が大きいと考えられる。そのため、
図17(c)では、表示領域の下側の額縁領域に複数、例えば3つの補助駆動回路34a
1、34a
2、34a
3が設けられ、下側の共通電極、例えば(n−1)番目、n番目の共通電極COM
n−1、COM
nの3カ所に補助タッチ駆動信号B−Txが供給される。なお、
図17(c)で、補助駆動回路対の数は1つでもよい。
【0068】
図18は、
図17を信号線と共通電極は平行である縦COM型の表示パネルに適用した場合の変形例である。縦COM型の表示パネルでは、共通電極COMはY方向に延びるストライプ形状であり、X方向に配列され、表示領域の上下の額縁領域にタッチセンサ駆動回路32a、32bが配置される。
図18(a)の変形例では、表示領域の左右の額縁領域に2つの補助駆動回路34a、34bがそれぞれ設けられ、左右上下から共通電極COMが駆動されてもよい。左右の額縁領域に設ける2つの補助駆動回路34a、34bはY方向において共通電極COMより短くてもよい。これにより、額縁領域の実装スペースを有効に活用することができる。
【0069】
図18(a)は、表示領域の左右に一対の補助駆動回路34a、34bを設けたが、この対の数は複数でもよい。例えば、
図18(b)に示すように、表示領域の左側の額縁領域に複数、例えば3つの補助駆動回路34a
1、34a
2、34a
3を設け、右側の額縁領域に複数、例えば3つの補助駆動回路34b
1、34b
2、34b
3を設けてもよい。
図18(b)の変形例によれば、各共通電極COMの3カ所に補助タッチ駆動信号B−Txが供給され、駆動能力が向上する。
【0070】
図18(c)に示すように、表示領域の左側の額縁領域に複数、例えば3つの補助駆動回路34a
1、34a
2、34a
3が設けられ、右側の額縁領域に複数、例えば3つの補助駆動回路34b
1、34b
2、34b
3が設けられてもよい。各補助駆動回路は全ての共通電極COMに補助タッチ駆動信号B−Txを供給するのではなく、
図17(c)と同様に時定数が大きい部分、例えば中央部の共通電極にだけ補助タッチ駆動信号B−Txを供給してもよい。なお、
図18(c)で、補助駆動回路対の数は1つでもよい。
【0071】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。