特許第6869810号(P6869810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869810
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】シートベルト装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/18 20060101AFI20210426BHJP
   B60R 21/18 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   B60R22/18
   B60R21/18
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-105983(P2017-105983)
(22)【出願日】2017年5月29日
(65)【公開番号】特開2018-199466(P2018-199466A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2020年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】村上 吉樹
(72)【発明者】
【氏名】樋口 竜也
【審査官】 田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−058698(JP,A)
【文献】 特開平6−56001(JP,A)
【文献】 特開平6−262995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/18
B60R 22/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェビングと、
前記ウェビングを引き出し及び収容可能なリトラクタと、
前記ウェビングに摺動可能に取り付けられるタングと、
前記タングより前記リトラクタ側にて前記ウェビングに取り付けられるエアベルトと、
前記タングと前記エアベルトとを連結する連結構造部と、
を備え、
前記エアベルトは、前記ウェビングが摺動方向に移動自在に挿通する筒状のウェビングガイドと、前記ウェビングガイドの外側に配置された膨張可能なエアバッグと、を有し、
前記連結構造部は、前記ウェビングガイドの端部と連結し、かつ、前記タングと連結し、前記ウェビングガイドと前記タングとの間で前記ウェビングを摺動可能とするボトムガイドを有し、
前記ボトムガイドは、前記タングから前記ウェビングの摺動方向へ外れることを規制するよう前記タングと係止する第一係止部と、前記タングから前記摺動方向と直交する直交方向に外れることを規制するよう前記タングと係止する第二係止部とを有する、
シートベルト装置。
【請求項2】
前記ボトムガイドは、前記タングから前記直交方向へ外れることを規制するよう前記タングと係止する第三係止部を有する、
請求項1に記載のシートベルト装置。
【請求項3】
前記ウェビングガイドと前記ボトムガイドとの連結部分の外周側に配置され、前記連結部分を押圧する筒状のホルダを備え、
前記ウェビングガイドは、前記ボトムガイドと連結する端部に孔を有し、
前記ボトムガイドは、前記ウェビングガイドとの連結時に前記孔を貫通する突起を有し、
前記ホルダは、前記連結部分への組み付け時に前記突起を係合させる係合部を有する、
請求項1または2に記載のシートベルト装置。
【請求項4】
前記ボトムガイドは、前記ウェビングガイドとの接触部の表面に凹凸面を有する、
請求項3に記載のシートベルト装置。
【請求項5】
前記突起及び前記孔は、周方向に沿って複数設けられる、
請求項3または4に記載のシートベルト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シートベルト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートベルト装置のウェビングに沿ってエアバッグを設け、車両緊急時にエアバッグを膨張させる構成が知られている。このようなエアバッグを有するシートベルト装置は、例えば特許文献1に記載されるように、エアバッグを内部に収容するエアベルトに対して、ウェビングを摺動可能に挿通する。リトラクタから引き出されたウェビングは、エアベルトに挿通され、さらにタングに挿通されて折り返され、その端部がシートまたは車体の固定部に固定される。エアベルトはタングに連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4331853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される従来のエアバッグを備えるシートベルト装置では、タングとエアベルトとが連結されているため、ベルト装着状態においてエアベルトのみを上方へ引っ張るとタングとエアベルトとの連結部分に受ける負荷が大きくなる虞がある。このため、エアベルトとタングとの連結をより強固にできることが望ましい。
【0005】
本開示は、エアバッグを備えるシートベルト装置において、エアバッグを収容するエアベルトとタングとの連結を強固にできるシートベルト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一観点に係るシートベルト装置は、ウェビングと、前記ウェビングを引き出し及び収容可能なリトラクタと、前記ウェビングに摺動可能に取り付けられるタングと、前記タングより前記リトラクタ側にて前記ウェビングに取り付けられるエアベルトと、前記タングと前記エアベルトとを連結する連結構造部と、を備え、前記エアベルトは、前記ウェビングが摺動方向に移動自在に挿通する筒状のウェビングガイドと、前記ウェビングガイドの外側に配置された膨張可能なエアバッグと、を有し、前記連結構造部は、前記ウェビングガイドの端部と連結し、かつ、前記タングと連結し、前記ウェビングガイドと前記タングとの間で前記ウェビングを摺動可能とするボトムガイドを有し、前記ボトムガイドは、前記タングから前記ウェビングの摺動方向へ外れることを規制するよう前記タングと係止する第一係止部と、前記タングから前記摺動方向と直交する直交方向に外れることを規制するよう前記タングと係止する第二係止部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、エアバッグを備えるシートベルト装置において、エアバッグを収容するエアベルトとタングとの連結を強固にできるシートベルト装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るシートベルト装置の構成の一例を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示すシートベルト装置のタング及びエアベルト付近の断面図である。
図3】エアベルトの下側連結構造部の概略構成を示す斜視図である。
図4図3に示す下側連結構造部の分解斜視図である。
図5図3に示す下側連結構造部のウェビング摺動方向に沿った断面図である。
図6】ボトムガイドとタングとが連結した状態をX負方向側から見た斜視図である。
図7図6に示すボトムガイドとタングとの分解斜視図である。
図8図6に示す下側連結構造部のA−A断面図である。
図9】ボトムガイドをX正方向側から見た斜視図である。
図10】ボトムガイドのタングへの組み付け手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
図1及び図2を参照して、本実施形態に係るシートベルト装置100の全体構成について説明する。図1は、一実施形態に係るシートベルト装置100の構成の一例を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示すシートベルト装置100のタング4及びエアベルト10付近の断面図である。
【0011】
なお、図2以降において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向である。Z方向は、エアベルト10のウェビングガイド30内を通過するウェビング11の摺動方向である。以下の説明では、Z正方向側を「ウェビングガイド30の上側」や「タング4の後端側」などと表現し、Z負方向側を「ウェビングガイド30の下側」や「タング4の先端側」などとも表現する場合がある。X方向はウェビングガイド30、ボトムガイド60、タング4などの主面に対して垂直な方向である。Y方向は、ウェビングガイド30、ボトムガイド60、タング4の幅方向である。
【0012】
図1に示されるシートベルト装置100は、車両の座席1に装備されている。シートベルト装置100は、リトラクタ2、ウェビング11、エアベルト10、ショルダアンカ7、タング4及びバックル9を備える。
【0013】
リトラクタ2から引き出されたウェビング11は、ショルダアンカ7を通って引き回され、タング4で折り返される。ウェビング11の端部は、アンカープレート6に定着されている。アンカープレート6は、固定ボルト5を介してシート又は車体の不図示の固定部に固定される。
【0014】
座席1は、例えば、運転席又は助手席などの前方座席である。座席1は、後方座席でもよい。
【0015】
リトラクタ2は本実施形態ではBピラーに設置されている。しかしながら、リトラクタ2は、座席1の位置に対応して、例えばBピラー、Cピラー、後方座席の後方のトレイなどの車体側部位に設置されてもよい。また、リトラクタ2は、座席1の内部(例えば、シートバック1Bの内部)に設置されてもよい。
【0016】
ウェビング11に摺動可能に取り付けられたタング4よりもショルダアンカ7側では、エアベルト10がウェビング11に取り付けられている。タング4は、ガス供給パイプ4aとタングプレート4b等を備えている。ガス供給パイプ4aは、金属製筒状体であり、ガス供給パイプ4aに連通するタング4内のガス供給経路を介して、エアベルト10の内部のエアバッグ20に連通している。
【0017】
図2に示すように、タング4のタングプレート4bの先端側には、タングプレート4bがバックル9内に差し込まれたときにバックル9内のラッチ部材が係合するラッチ孔4cが設けられている。タングプレート4bの後端側は、樹脂モールド4d内に埋設されている。樹脂モールド4dに、ウェビング11の挿通口4eが設けられている。
【0018】
図1に示すように、タング4が着脱されるバックル9は、ブラケット9aを介してシート又は車体の固定部(図示せず)にボルト等の固定部材を介して固定される。バックル9には、タングプレート支持穴9bとガス供給パイプ連結穴9cとが形成されており、タング4の装着時にタングプレート4bとガス供給パイプ4aとはバックル9の各穴9b,9cに挿入される。ガス供給パイプ4aが挿入されるガス供給パイプ連結穴9cには、バックル9に設置されたインフレータ16のガス噴出口(図示せず)が連通されている。衝突時等に、インフレータ16内の点火剤の反応によりインフレータ16のガス噴出口からガスが噴出し、エアベルト10が図1の二点鎖線10'で示すようにウェビング11に沿って膨張する。
【0019】
図2に示すように、エアベルト10は、ウェビング11が挿通されたウェビングガイド30と、ウェビングガイド30に沿って延在する膨張可能なエアバッグ20と、エアバッグ20の折り畳み体を覆うバッグカバー40とを備える。
【0020】
ウェビングガイド30は、ウェビング11が摺動方向に移動自在に挿通する平坦で細長い筒状部材であり、ポリウレタン樹脂やシリコーンエラストマー等の樹脂材料により形成されている。エアバッグ20は、ウェビング11の挿通方向に細長く折り畳まれた状態でウェビングガイド30の外側に配置されている。
【0021】
また、エアベルト10は、ウェビングガイド30及びバッグカバー40の下端側をタング4に連結する下側連結構造部50(連結構造部)と、エアバッグ20、ウェビングガイド30及びバッグカバー40の上端側同士を連結する上側連結構造部51とを備える。
【0022】
図3図5を参照して、本実施形態の要部である下側連結構造部50の構成について説明する。図3は、エアベルト10の下側連結構造部50の概略構成を示す斜視図である。図4は、図3に示す下側連結構造部50の分解斜視図である。図5は、図3に示す下側連結構造部50のウェビング摺動方向に沿った断面図である。
【0023】
下側連結構造部50は、タング4とエアベルト10とを連結する。下側連結構造部50は、ボトムガイド60と、ホルダ70とを有する。なお、図2〜5に示すように、下側連結構造部50は、ボトムガイド60、ホルダ70、及びタング4の後部を包囲するタングカバー80をさらに有するが、図3以降では図示を省略している。
【0024】
ボトムガイド60は、エアベルト10のウェビングガイド30とタング4とを連結して、ウェビングガイド30とタング4のウェビング挿通口4eとを連通し、ウェビング11の適正な摺動性を確保する部材である。ボトムガイド60は、ウェビングガイド30とタング4との間でウェビング11を摺動可能とする。ボトムガイド60は、扁平環状の基部61と、基部61の下端から外周側に張り出す段差部62と、段差部62の外周側端部からタング先端側(Z負方向側)に向って延在するタング連結部63とを有する。
【0025】
基部61は、ウェビングガイド30の下端内部に挿入される。ボトムガイド60は、ウェビングガイド30の下端が基部61を覆い段差部62に当接するまでウェビングガイド30に挿入される。
【0026】
ホルダ70は、ウェビングガイド30の下端に挿入されたボトムガイド60を固定する部材である。ホルダ70は、ボトムガイド60の基部61よりも一回り大きい扁平環状の固定部71を有する。
【0027】
ホルダ70の外面からは複数のフック73が立設されている。バッグカバー40(図2参照)の下端近傍には、フック73に掛けられる小孔(図示せず)が設けられている。バッグカバー40の小孔をフック73に掛けた後、ボトムガイド60をタング4の樹脂モールド4dに係合させる。
【0028】
ボトムガイド60の基部61の外側にウェビングガイド30の下端部が嵌まり、ウェビングガイド30の下端部の外側にホルダ70の固定部71が嵌まる。ホルダ70は、ウェビングガイド30の上端側(Z正方向側)からウェビングガイドに沿って下端側(Z負方向側)にスライドして嵌合される。これにより、ホルダ70の固定部71とボトムガイド60の基部61との間で、ウェビングガイド30の下端部が挟持され、ウェビングガイド30がボトムガイド60に連結される。
【0029】
特に本実施形態では、ボトムガイド60の基部61の外周面には、周方向に沿って複数の突起64が設けられている。一方、ウェビングガイド30の下端部において、ウェビングガイド30がボトムガイド60と連結されたときに突起64と対向する部分には孔31が設けられており、ボトムガイド60の突起64がウェビングガイド30の内側から孔31を介して外側に突出するように構成されている。
【0030】
また、ホルダ70の固定部71には、ボトムガイド60の突起64を係合させる溝72(係合部)が設けられている。溝72は、例えば図4に示すように、ホルダ70の固定部71の上端からタング4側(Z負方向)に沿って形成されている。図3図5に示すように、ボトムガイド60、ウェビングガイド30、ホルダ70が連結された状態において、ボトムガイド60の突起64がウェビングガイド30の孔31を貫通してホルダ70の溝72に係止される。これにより、ホルダ70がボトムガイド60に対してZ正方向側に移動することが規制され、ホルダ70がZ正方向側にスライドして抜けるのを防止できるので、ホルダ70により固定されているウェビングガイド30とボトムガイド60との連結を強固にできる。
【0031】
なお、ホルダ70の溝72は、ホルダ70がウェビングガイド30とボトムガイド60との連結部分に組み付けられるときに、ボトムガイド60の突起64を係合させることができる係合部であればよく、例えば孔部など溝72以外の要素に置き換えてもよい。
【0032】
また、図5に示すように、ボトムガイド60の複数の突起64の一部(本実施形態では基部61の主面の中央にある一対の突起)には、その先端にタング側(Z負方向側)に突出する返し部65が設けられている。返し部65は、突起64が溝72に嵌っているときにホルダ70の固定部71の外周面に引っ掛かるように形成されている。これにより、ボトムガイド60の突起64とホルダ70の溝72とをより強固に係合して、ホルダ70が外れるのを防止でき、ウェビングガイド30とボトムガイド60との連結をより強固にできる。
【0033】
なお、本実施形態では、ボトムガイド60の突起64は、基部61のうちX正方向側に向く面に設けられる3個と、X負方向側に向く面に設けられる3個と、Y正方向及びY負方向に突出する各1個、合計8個を有する構成を例示しているが、突起64の数はこれに限られず1個でも複数個でもよい。突起64の数が多いほど、ホルダ70をより確実に固定させることができ、ウェビングガイド30とボトムガイド60との連結をより一層強固にできる。また、ウェビングガイド30の孔31と、ホルダ70の溝72の数も、ボトムガイド60の突起64の数に応じて変更できる。
【0034】
また、図4及び図5に示すように、ボトムガイド60の複数の突起64の端面は、Z正方向側に傾斜するよう形成されている。これにより、ホルダ70を、図4に示すように、ウェビングガイド30の上端側(Z正方向側)からウェビングガイド30に沿って下端側(Z負方向側)にスライドして嵌合する際に、ホルダ70の固定部71が突起64を越えやすくできる。
【0035】
また、図4及び図5に示すように、ボトムガイド60の基部61の外周面(ウェビングガイド30との接触部の表面)には、Z方向に沿って連続的に段差をつけ蛇腹状に加工された蛇腹面66(凹凸面)が設けられている。蛇腹面66にウェビングガイド30の内面が接触して、ホルダ70の固定部71により外側から押圧されることで、ボトムガイド60とウェビングガイド30との接触面積が増え、ボトムガイド60とウェビングガイド30との密着性を高めてより強固に結合させることができる。なお、蛇腹面66は、ボトムガイド60の基部61の表面積を増やすことができれば、蛇腹面66以外の凹凸面でもよい。蛇腹面66は、本願に示すように、ウェビングガイド30をZ負方向へ挿入しやすくでき、また、挿入されたウェビングガイド30をZ正方向に外れ難くできるように、傾斜した面を有することが好ましい。
【0036】
本実施形態に係るシートベルト装置100は、図3図5を参照して説明した構成により、エアベルト10のウェビングガイド30と、タング4に連結されるボトムガイド60とをより強固に連結させることが可能となる。この結果、シートベルト装置100は、エアバッグ20を収容するエアベルト10とタング4との連結を強固にできる。
【0037】
次に図6図10を参照して、ボトムガイド60とタング4との連結構造について説明する。図6は、ボトムガイド60とタング4とが連結した状態をX負方向側から見た斜視図である。図7は、図6に示すボトムガイド60とタング4との分解斜視図である。図8は、図6に示す下側連結構造部50のA−A断面図である。図9は、ボトムガイドをX正方向側から見た斜視図である。なお、図8の断面は、Y方向のうちボトムガイド60の第一の爪67と第二の爪68がある位置にて、ウェビング摺動方向(Z方向)に沿ったものである。
【0038】
図7に示すように、タング4の樹脂モールド4dは、ウェビング挿通口4eを挟んでタング先端側の先端側モールド部4d1と、タング後端側の後端側モールド部4d2とを有する。先端側モールド部4d1と後端側モールド部4d2とがX方向に沿って所定間隔をとって対向配置されることにより、両者の間にウェビング挿通口4eが形成されている。
【0039】
図7及び図9に示すように、ボトムガイド60のタング連結部63は、タング4との連結時に先端側モールド部4d1と接触する先端側接触壁63Aと、後端側モールド部4d2と接触する後端側接触壁63Bとを有する。先端側接触壁63Aと後端側接触壁63BとはX方向に沿って所定間隔をとって対向して配置されている。また、タング連結部63は、先端側接触壁63Aと後端側接触壁63BとをY方向両端で接続する一対の側壁63Cを有する。
【0040】
先端側接触壁63AのZ負方向側の先端部には、タング4の先端側モールド部4d1と係合する一対の第一の爪67,67(第一係止部)が設けられている。第一の爪67は、その先端にX正方向側に突出する爪先部67Aを有し、図8に示すように、先端側モールド部4d1の係合溝41にこの爪先部67Aが係合される。これにより、ボトムガイド60がタング4からZ正方向に外れることを規制できる。
【0041】
また、一対の第一の爪67,67のY方向の中間部分には、第一の爪67とZ方向の略同一位置まで延在する挿入部63Dが設けられる。挿入部63Dは、先端側モールド部4d1の浮き防止部42により、先端側モールド部4d1の表面との間で挟持されるようにX正方向側から押さえられる(図5参照)。これにより、ボトムガイド60の先端側接触壁63Aがタング4の先端側モールド部4d1からX負方向側に浮き出ることが抑制され、第一の爪67が係合溝41から外れることを抑制できる。
【0042】
図9に示すように、後端側接触壁63Bには、タング4の後端側モールド部4d2と係合する一対の第二の爪68,68(第二係止部)が設けられている。第二の爪68は、後端側接触壁63Bの接触面上からX正方向側へ突出して設けられ、その先端にZ正方向側に突出する爪先部68Aを有する。第二の爪68は、後端側モールド部4d2の貫通孔43に挿入され、図8に示すように、爪先部68Aが貫通孔43を貫通して貫通孔43の周縁に係止される。これにより、ボトムガイド60がタング4からX負方向(タング4に対してウェビング摺動方向と直交する直交方向の一例)に外れることが規制できると共に、ボトムガイド60がタング4からZ正方向に抜け出ることを確実に防止できる。このように第二の爪68を貫通孔43に組み付ける構成により、シートベルト装置100の通常使用時の負荷方向(Z方向)に対する高い抗力が得られ、ボトムガイド60とタング4とを強固に連結させることができる。
【0043】
なお、第二の爪68の延在方向は、後端側モールド部4d2の貫通孔43に貫通して取り付けることができれば、X正方向側に限られない。例えば、第二の爪68の延在方向は、Z方向に対して略直角でもよいし、Z方向と交差する方向でもよい。また、ボトムガイド60がタング4に対して外れる方向は本実施形態のX負方向に限らず、例えばX正方向やY方向など、ウェビング摺動方向と直交する直交方向であればよい。この場合、第二の爪68(第二係止部)は当該方向にボトムガイド60が外れることを規制する構成であればよい。
【0044】
また、図7及び図9に示すように、後端側接触壁63BのY方向の両端には、一対の突起63Eが設けられる。この突起63Eが後端側モールド部4d2の挿入孔44に挿入されることにより、ボトムガイド60がタング4からZ正方向に抜け出ることをさらに抑制できる。
【0045】
図7及び図9に示すように、一対の側壁63CのZ負方向側の先端部には、タング4のウェビング挿通口4eにて樹脂モールド4dに係合される一対の第三の爪69,69(第三係止部)が設けられている。第三の爪69は、ウェビング挿通口4eの溝45に挿入されることによってX方向の移動が規制される。これにより、ボトムガイド60の先端側接触壁63Aがタング4の先端側モールド部4d1からX負方向側に浮き出ることを抑制でき、ボトムガイド60がタング4からX負方向へ外れることをさらに規制できる。
【0046】
また、側壁63Cには、X正方向側の端面からX負方向側に凹んだ凹部63Fが設けられる。この凹部63Fに、後端側モールド部4d2の凸部46が嵌ることにより、ボトムガイド60のZ方向の移動が規制され、ボトムガイド60がタング4に対してZ正方向側に抜け出ることをさらに抑制できる。
【0047】
なお、本実施形態では、ボトムガイド60の第一の爪67、第二の爪68、第三の爪69が、それぞれタング4の挿入部63D、貫通孔43、溝45に係止される構成を示したが、ボトムガイド60とタング4とを係止できる係止部であればよく、例えば本実施形態とは反対に、タング4に爪を設け、ボトムガイド60に設けた凹部に係止させる構成でもよい。
【0048】
図10は、ボトムガイド60のタング4への組み付け手順を示す図である。図10に示すように、ボトムガイド60は二段階の手順でタング4に組み付けられる。まず第一段階では、図10(A)に示すように、先端側接触壁63Aの挿入部63Dを先端側モールド部4d1の浮き防止部42にX負方向側からやや斜めに差し込み、併せて、側壁63Cの第三の爪69をウェビング挿通口4eの溝45にX負方向側からやや斜めに差し込む。これにより、先端側接触壁63Aの第一の爪67が先端側モールド部4d1の係合溝41に係合される。
【0049】
次に第二段階では、図10(B)に示すように、後端側接触壁63Bの第二の爪68を後端側モールド部4d2の貫通孔43にX正方向側から差し込んで貫通孔43に固定する。これにより、後端側接触壁63Bの突起63Eが後端側モールド部4d2の挿入孔44に挿入され、また、後端側モールド部4d2の凸部46が側壁63Cの凹部63Fに嵌合する。
【0050】
本実施形態に係るシートベルト装置100は、図6図10を参照して説明した構成により、ボトムガイド60とタング4とをより強固に連結させることが可能となる。この結果、シートベルト装置100は、エアバッグ20を収容するエアベルト10とタング4との連結をより一層強固にできる。
【0051】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0052】
上記実施形態では、シートベルト装置100が、図3図5に示すように、エアベルト10のウェビングガイド30と、タング4に連結されるボトムガイド60とを強固に結合させる構成と、図6図10に示すように、ボトムガイド60とタング4とを強固に結合させる構成との両方を備えるものを例示したが、上記の2つの構成のうち一方のみを備えるものでもよい。
【符号の説明】
【0053】
100 シートベルト装置
2 リトラクタ
4 タング
10 エアベルト
11 ウェビング
20 エアバッグ
30 ウェビングガイド
31 孔
50 下側連結構造部(連結構造部)
60 ボトムガイド
64 突起
66 蛇腹面(凹凸面)
67 第一の爪(第一係止部)
68 第二の爪(第二係止部)
69 第三の爪(第三係止部)
70 ホルダ
72 溝(係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10