(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869811
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】自動車両の照明および/または合図装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/657 20180101AFI20210426BHJP
B60Q 1/12 20060101ALI20210426BHJP
F21S 41/19 20180101ALI20210426BHJP
F21S 45/43 20180101ALI20210426BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20210426BHJP
F21V 29/67 20150101ALI20210426BHJP
F21V 29/74 20150101ALI20210426BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20210426BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20210426BHJP
【FI】
F21S41/657
B60Q1/12 100
F21S41/19
F21S45/43
F21V29/503
F21V29/67 100
F21V29/74
F21W102:00
F21Y115:10
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-106623(P2017-106623)
(22)【出願日】2017年5月30日
(65)【公開番号】特開2018-37399(P2018-37399A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2020年5月29日
(31)【優先権主張番号】1654917
(32)【優先日】2016年5月31日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ、ショリー
【審査官】
大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−99535(JP,A)
【文献】
特開2014−86302(JP,A)
【文献】
特表2013−532889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/657
B60Q 1/12
F21S 41/19
F21S 45/43
F21V 29/503
F21V 29/67
F21V 29/74
F21W 102/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
− 軸線(A−A)回りの回動方向に可動な1つの照明モジュール(2)と、
− この照明モジュールを前記軸線(A−A)回りに回動するよう案内するための複数の要素(10)と、
− 前記回動案内要素(10)のうちの少なくとも一部を支える基部(12)と、
− ファン(36)と、
を備えた、自動車両の方向性照明および/または合図装置(1)において、
前記回動案内要素の軸受(11)が、部分的に前記基部(12)によって形成されると共に、部分的に前記ファン(36)の支持部品(34)によって形成されていることを特徴とする方向性照明および/または合図装置。
【請求項2】
前記案内軸受(11)は、前記基部(12)の壁上に配置された円形プロファイルの一部分と、前記基部に対向して配置される前記支持部品(34)の壁上に配置された円形プロファイルの一部分とによって形成されていることを特徴とする、請求項1記載の方向性照明および/または合図装置。
【請求項3】
前記案内軸受(11)は、鏡像形態で配置された等しいプロファイル同士の2つの部分によって形成されていることを特徴とする、請求項2記載の方向性照明および/または合図装置。
【請求項4】
前記支持部品(34)は、前記案内軸受(11)の両側に配置された固定部材(52)によって前記基部(12)に固定されていることを特徴とする、請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の方向性照明および/または合図装置。
【請求項5】
前記基部(12)と前記支持部品(34)とが全く同一の材料で形成されていることを特徴とする、請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の方向性照明および/または合図装置。
【請求項6】
前記支持部品(34)は、前記ファン(36)の端部を受け入れるための開放部を有していることを特徴とする、請求項1から請求項5のうちのいずれか一項に記載の方向性照明および/または合図装置。
【請求項7】
前記支持部品(34)の前記開放部は、前記案内軸受(11)を形成する部分とは反対の側に形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の方向性照明および/または合図装置。
【請求項8】
前記支持部品(34)は、少なくとも前記ファン用の固定要素を有していることを特徴とする、請求項1から請求項7のうちのいずれか一項に記載の方向性照明および/または合図装置。
【請求項9】
前記ファン(36)用の前記固定要素は、前記支持部品(34)の前記案内軸受(11)を形成する部分とは反対の側へ伸びる少なくとも1対の保持ラグ(44)を備えていることを特徴とする、請求項8に記載の方向性照明および/または合図装置。
【請求項10】
前記ファン(36)用の固定要素が前記支持部品(34)の側方に配置されているのに対して、前記支持部品に対しての中央位置には位置決め部材(60)が配置されていることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の方向性照明および/または合図装置。
【請求項11】
前記照明モジュール(2)は、少なくとも光線放出装置および冷却部材(4)を備えていることを特徴とする、請求項1から請求項10のうちのいずれか一項に記載の方向性照明および/または合図装置。
【請求項12】
前記ファン(36)は、前記回動の軸線(A−A)の方向に関して、前記冷却部材(4)の少なくとも一部の直上に位置していることを特徴とする、請求項11に記載の方向性照明および/または合図装置。
【請求項13】
回動方向に可動な少なくとも1つの照明モジュールのためのハウジングを閉鎖外側レンズと共に画成するケーシングを備えていることを特徴とする、請求項1から請求項12のうちのいずれか一項に記載の方向性照明および/または合図装置。
【請求項14】
前記基部(12)が前記ケーシングに対して固定されていることを特徴とする、請求項13に記載の方向性照明および/または合図装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の照明および/または合図装置に関し、より具体的には、そのような装置を装備した車両の辿る経路に従って枢動することのできる回動式照明モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両には、夜間や明るさの減じた場合に車両前方の道路を広域的な照明ビームによって照らすように企図された、照明および/または合図装置を形成するためのヘッドライトが装備される。これらのヘッドライト(左側ヘッドライトおよび右側ヘッドライト)は、前記の広域的な照明ビームを形成するように追加される中間照明ビームを生成したり方向付けたりするのに適した、1つないし複数の照明モジュールを備えている。
【0003】
自動車両市場の有力者たちは、特に運転者の快適性や運転の安全性のために、複数の補足的な照明機能を開発してきている。それらの機能の中でも、(ダイナミック・ベンディング・ライトについての)頭字語DBLの方がよく知られた方向性照明機能を特に認めることができる。そのような機能の目的は、車両が曲がっているときに屈曲路を動的に照らすことである。この目的のために、略垂直な回動軸線の回りに枢動する照明モジュールを搭載するのが既知の慣行となっている。それは、屈曲路においては、ヘッドライトの出光部にて投射されるビームが、もはや車両の縦軸線の方へ向けられるのではなく、屈曲路の内側の方に向けられるようにである。
【0004】
本発明の分野は概して、方向性照明機能を実現する自動車両用のヘッドライトの分野である。この文脈において、特許文献1(FR2965039)は、照明装置のケーシング内に固定基部を介して回動するように取り付けることのできる照明モジュールを開示している。その基部は、一方では、モジュールを回動するように駆動するためのモーター駆動手段を、他方では、モジュールに対してモーター駆動手段とは反対の側に、モジュールを回動するように案内するための少なくとも1つの軸受を備えている。それは、駆動軸線回りでのモジュールの回動を保証するためである。その回動案内軸受は特に、対応した形状および寸法のピンを把持するように基部に対して付加された半殻体から成っている。そのピンは、モジュール上に、より特定的にはモジュールの囲いの上に取り付けられている。その囲いは、その他の点では、光源や関連した光学投射システムの位置決めや固定に加えて、ヒートシンクやファンを含む冷却部材類の位置決めや固定を可能とするものである。モジュールの囲いは、基部によって支えられた回動駆動および案内要素と協働するように構成されている。そして、この囲いの回動が、モジュールを構成する部品それぞれの回動を生じさせる。囲いに対して付加される相当数の部品が、モジュールの重量を増大させて、方向性照明のためのモジュールの回動にとって不利となる可能性があり、モジュールの回動駆動要素の大型化を必要としてしまうかもしれない、ということを理解されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】仏国特許第2965039号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術の上述した欠点を改善すべく、本発明は、軸線回りの回動方向に可動な照明モジュールを備えた、即ち少なくとも1つの方向付け可能な照明ビームを作り出すことのできる、自動車両の方向性照明および/または合図装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
回動の軸線は、モジュールを軸線回りに回動するよう案内するための複数の要素を支える基部によって支持される。本発明によれば、回動案内要素の軸受が、部分的に基部によって形成されると共に、部分的にファンの支持部品によって形成されている。
【0008】
かくしてモジュールは、自動車両の通り抜ける屈曲路に従ってモジュールの光軸を方向付けるよう、車両の照明および/または合図装置を回動させるように取り付けられることができる。装置に対する照明モジュールの回動は、(特に装置のケーシングに対して固定された)基部によって保証される。基部の形状寸法は、照明モジュールを取り囲めるように定めることができる。
【0009】
照明モジュールは、回動案内要素および駆動要素を介して基部と協働するが、その駆動要素もまた、基部に付加されて、この回動をもたらすことのできるものである。回動案内要素と駆動要素とは、モジュールの回動の軸線を定める(特に垂直な)軸線に合わせて同軸となっていることができる。回動案内要素および駆動要素は、それぞれ上方案内軸受および下方案内軸受を画成することができる。それらの案内軸受同士は、向かい合って、照明モジュールの回動の軸線に合わせて整列している。
【0010】
照明モジュールは、例えば開口を介して駆動要素に嵌合されることができ、枢軸連結を介して回動案内要素と協働することができる。
【0011】
本発明の、他の諸特徴によれば、下記を、単独で、或いは組合せて採用することが可能である。
− 案内軸受が、基部の壁上に配置された円形プロファイルの一部分と、基部に対向して配置される支持部品の壁上に配置された円形プロファイルの一部分とによって形成されている。
− 案内軸受が、鏡像形態で配置された等しいプロファイル同士の2つの部分によって形成されている。
− 支持部品が、案内軸受の両側に配置された固定部材によって基部に固定されている(これらの固定部材は、特に締付ネジを備えることができるであろうし、固定部材の位置を、従って案内軸受を形成する2つの部分の正確な位置を保証することを可能とするよう、位置合わせ手段がこれらの固定部材と関連付けられるようにしておくことができるであろう)。
− 基部と支持部品とが全く同一の材料で形成されている(使用される材料は特に、熱可塑性ポリマー、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)とすることができ、ガラス繊維で充填されているのが有利であろう)。
− 支持部品が、ファンの端部を受け入れるための開放部を有している。
− 支持部品の開放部が、案内軸受を形成する部分とは反対の側に形成されている。
− 支持部品が、少なくともファン用の固定要素を有している。
− ファン用の固定要素が、支持部品の案内軸受を形成する部分とは反対の側へ伸びる少なくとも1対の保持ラグを備えている。
− ファン用の固定要素が支持部品の側方に配置されているのに対して、支持部品に対しての中央位置には位置決め部材が配置されている。
− 照明モジュールが、少なくとも光線放出装置および冷却部材を備えている。
− ファンが、互いに対向する面のうちの(上面および下面と称される)2つが平方形の基礎を有する平行六面体に似ていることができると共に、正方形の対角線が、放出される光線の光軸と略平行であるような体勢で支持部品内に収容されている。
− ファンが、回動の軸線の方向に関して、冷却部材の少なくとも一部の直上に位置している(特に冷却部材は、モジュールと周囲空気との間の熱交換表面を最適化するよう、そのモジュールから突出して配置されたフィンを備えることができ、ファンは、これらのフィンの少なくとも一部の直上に位置するように支持部品によって支えられる)。
− 光線放出装置のレンズ形成部分が、基部の前方に定置および固定されるのに対して、冷却部材、支持部品、およびファンは、この基部の背後に定置および固定されている。
− 当該装置が、回動方向に可動な少なくとも1つの照明モジュールのためのハウジングを閉鎖外側レンズと共に画成するケーシングを備えている。
− 基部がケーシングに対して固定されている。
− ケーシングおよび閉鎖外側レンズによって画成されるハウジング内に、複数の回動式照明モジュールを配置することができ、その外側レンズが各々のモジュールに共通のものとなっている。
【0012】
本発明における、その他の特徴および利点は、例示的かつ非限定的な例として与えられ、以下の図面によって裏付けられる本発明の実施形態の詳細な説明を読み取れば、よりはっきりと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による照明モジュールの前方4分の3斜視による部分図。
【
図3】
図1の照明モジュール用の回動支持体の役目を果たす基部と、モジュールを回動するように案内するための軸受を基部と共に形成する、ファンの支持部品との分解斜視図。
【
図4】ファン支持体と、その支持体が支持するファンとの組立状態の図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、「前(方)」と「後(方)」の用語は、照明モジュールの出光部における当該モジュールの光軸に沿った光線の放出の主方向に関して、また、これらの光線の後方から前方への放出の方向において理解されたい。また、各構成部分における、および/または、ある構成部分の各構造的要素における「上(方)/下(方)」の位置特定に関する言及は、車両におけるモジュールの運用位置との関係において理解されたい。
【0015】
本発明により方向性照明機能に関与するように構成された照明および/または合図装置1は、以下で例として説明されることとなるような、少なくとも1つの照明モジュール2を備えている。この少なくとも1つの照明モジュールは特に、閉鎖外側レンズによって閉鎖される装置のケーシング内に、単独で、或いは別の照明モジュールに近接して収容される。
【0016】
照明モジュール2は、光線放出装置と、冷却部材4と、これらの要素の全てを支持するように構成されたケース6とを備えている。ケースが、ケースおよび特に放出装置を回動の軸線A−Aの回りに回動させるように設けられた駆動要素8と協働する、という点において、モジュールは回動式となっている。その回動は、少なくとも回動案内要素10によって容易にされている。有利であることに、これらの回動案内要素10における案内軸受11が、基部12の一部に対して付け加えられた付加部品14との、この基部の一部の協働によって形成されている。
【0017】
照明モジュール2は、(他の場所でケーシングに固定された)基部12に対して、2つの末端角度位置同士の間で回動の軸線A−A回りに枢動するように取り付けられている。それらの末端角度位置は、装置の設置面積や、基部の壁に対するモジュールの当接部によって規定される。そして、このことにより、車両の経路に合わせて、照明および/または合図装置によって作り出される光ビームの左右の方向付けを可能としている。
【0018】
光線放出装置は、少なくとも1つの光源(図示せず)と、(ここでは反射器(図示せず)およびレンズ16を備えた)光線形成光学システムとを具備している。
【0019】
冷却部材4は特に、少なくとも1つの光源が上に配置される支持板20を有した熱交換器ないしヒートシンク18を備えている。その支持板20は、一連の冷却フィン22によってモジュールの後方へ延長されている。
光源によって(特に、光源が発光ダイオードである場合には、関連したプリント回路基板によって)発せられる熱は、支持板および各冷却フィンを通じてモジュールから排出される、ということを理解されたい。
【0020】
ケース6は、モジュールの放出装置および冷却部材のそれぞれを少なくとも部分的に覆うと共に、それらの相互間の正確な位置決めを保証するように構成されている。図示例では、互いに向かい合って配置されて固定された上方6aおよび下方6bの2つの外殻によって、ケースが形成されている。但し、光源および反射器の数(ここでは各外殻について1つずつ)を、ケースを形成するのに単一の外殻しか必要とされないように変えることができるであろう、ということを理解されたい。
【0021】
各外殻は、ヒートシンク18からレンズ16まで縦方向に、即ちモジュールの光軸の方向へ伸びている。
【0022】
上方外殻6bはピン24を備えているが、このピン24は、基部12と協働して、モジュールを回動するように案内するための要素を形成するよう、その外殻の上面から突出して配置されている。一方、下方外殻は、その下面からくり抜かれた穴を備えているが、この穴の断面は、基部によって支えられた駆動要素8の雄要素26と相補形となる窪みを形成している。
【0023】
モジュールは、本実施形態においては、フレームを形成する基部12によって取り囲まれて示されている。基部は、照明および/または合図装置のケーシングに対して、固定され、ここでは固く結び付けられている。特に
図3で見える基部形成フレームは、互いに平行ないし略平行に伸びて固定手段を支える2つの直立材28を備えている。それらの固定手段は、照明および/または合図装置のケーシング(ここでは図示せず)に対して基部を固定するためのものであり、それらの固定手段うちの一部は調節可能とすることができる。また基部は、各直立材の上端部同士および下端部同士を一緒に結び付ける上方バー30および下方バー32を備えている。
【0024】
下方バー32は、図示の場合においては、駆動要素8および関連した雄要素26に対して固く結び付けられている。下方の回動案内軸受(ここでは存在せず)を、この下方バーの高さの所に形成することができるであろう。
【0025】
駆動要素とは反対の側、即ちモジュールが基部形成フレームによって取り囲まれたときのモジュールの他方の側には、回動案内軸受11が設けられている。その軸受11は、部分的に基部12の上方バー30によって形成されると共に、部分的に、ファン36の支持部品34を成す付加部品14によって形成されている。
【0026】
より特定的には、上方バーは、その略中央部に、案内軸受11の第1の部分を形成する第1の切欠37を備えている。この第1の切欠は、回動の軸線A−Aに対して直角な切断面内において、半円の形状をとるプロファイルを有している。その半円は、この第1の切欠が形成するのを助ける案内軸受11と協働するように作られたピンの直径とぴったり合うように規定された寸法のものである。
【0027】
図示の実施形態において、駆動要素8は、下方回動案内要素として働く。これらの駆動要素8と、フレームの反対側の(ここでは上方の)直立材上に作り出される回動案内要素10とは、モジュールの回動の軸線A−Aに合わせて同軸ないし略同軸に配置される。上方軸受と下方軸受とが、かくして画成されるが、それらの軸受同士は、互いに対向して、(ここでは垂直な)軸線A−Aに合わせて整列している。
【0028】
先に詳述することができたように、モジュールはそのケース6上に、駆動要素および回動案内要素の案内軸受とそれぞれ相補形となっている部材を有している。それは特に、案内軸受11内に収容されるよう寸法付けられたピン24の存在を通じてのものであり、事によれば、軸受からピンが分離するのを防止するための位置止め手段と関連付けられる。軸受内でのピンの回動を、従って回動の軸線A−A回りでのモジュールの回動を容易にするように、転がり軸受を設けることが可能であろうが、この転がり軸受の存在は本発明の正確な作動にとって本質的なものはならない。反対側の端部で基部の下方バーの高さの所において、非限定的な例として、ケースの下面上に位置して駆動要素8の雄要素26と相補形となる(例えば星形断面の)形状を有した開口を介して、その雄要素26上へとケースを嵌め込むことができるであろう。
【0029】
ここで、上方回動案内要素、即ちモジュールに対して駆動要素とは反対の側に配置された要素の詳細な説明を、以下で、特に
図3から
図5を参照して行う。
【0030】
支持部品34は、一方では、基部12に対して合体させられたときに回動案内軸受11を形成する穴を画定するように、他方では、ファン36を決められた作動位置に支持するよう、そのファンを少なくとも部分的に受け入れるように構成されている。ファンを「支持する」は、当該構成要素上に及ぼされる諸荷重を受けて、それらの荷重を自動車両の構造へと伝える働きを意味するものと理解されたい。従って、(特にファンの)重量によって影響を受けるのは、ヘッドライトのケーシングであって、モジュールのケースではないないのであり、モジュールの回動運動をより速く、より確実にすることができる。
【0031】
図1および
図2は、冷却部材4における各フィン22の直上の、ファンの作動に望ましい位置を示すことができていた。この位置においてファン36は、フィン22同士の間での空気の循環に、そしてモジュールの効果的な冷却に関与する。
【0032】
支持部品34は、本体38を備えている。その本体38は、第1端部40において複数のピンおよびドラムによって延長され、反対側の第2端部42において複数の保持ラグ44によって延長されている。それらの保持ラグ44は、互いに平行ないし略平行となっている。
【0033】
第1端部40の所では、横方向端部壁46が、図示の例においては2つのピン48と2つのドラム50とを支えている。それらのピン48およびドラム50は、支持部品の本体38から遠ざかって延びると共に、基部の上方バー32上に配置された対応する各雌要素と協働するように構成されている。各ピン48は、基部の上方バーに対して押し付けられたときに支持部品の位置合わせを可能とし、各ドラムは、これらのドラムを貫通する固定用のネジないしピン52を介した基部上への支持部品の固定を可能とし、かくして固定用部材を形成している、ということを理解されたい。
【0034】
ピンおよびドラムは、横方向端部壁46上で、第2の切欠54の両側に配置されている。その第2の切欠54は、第1の切欠によって形成さる案内軸受の第1の部分を補完する、案内軸受の第2の部分を形成している。基部12の上方バー32における第1の切欠37について前述することができたことと重なるように、第2の切欠54は、回動の軸線A−Aに対して直角な切断面内において半円の形状をとるプロファイルを有し、その半円は、この第2の切欠が形成するのを助ける案内軸受11と協働するように作られたピンの直径と合うように規定された寸法のものである。以上のことから、第1の切欠37と第2の切欠54とは、対称なプロファイルを有し、それらを組み立てることによって、円形断面の回動案内軸受を形成することを可能とする。本発明の文脈から逸脱することなく、軸受を形成する切欠同士が異なるプロファイルを有するようにしておいたり、切欠の一方を他方の切欠よりも深くして軸受の半分よりも僅かに多くを構成するようにしておいたりすることも可能であろう。それは、支持部品が基部に対して固定されたときに、横方向端部壁の外面が基部に対して押し付けられ、2つの切欠同士が一緒になることで円形の輪郭を有した案内軸受を形成する、という条件においてである。
【0035】
さらに、第2の切欠54が、当該切欠の上縁部の延長において段部55を有していることに留意されたい。この段部は、案内軸受11内部の所定位置にピン24を止めるための手段を収容することを可能としている、ということを理解されたい。第1の切欠37は、対称な段部(この場合、
図3では見えない)を備えていることが有利であろう。
【0036】
回動案内要素10の軸受11を形成する2つの部分同士、即ち基部12と支持部品34との固定を容易にするためには、これら2つの部分が全く同一の材料、例えば(有利にはガラス繊維で充填された)ポリブチレンテレフタレート(PBT)タイプの熱可塑性ポリマーで製造されるようにしておくことが可能であろう。
【0037】
この横方向端部壁46の内面は、本体38によって画成されて保持ラグ44同士の間で反対側の端部からくり抜かれた空洞の底壁面を形成している。この空洞は、一方では当該部分の重量を軽減することを可能とし、それにより、ファンの固定前の正確な位置決めのために、そのファンの支持部品内への少なくとも部分的な挿入を可能としている。
【0038】
各保持ラグ44は、ファン36の各取付部分と係合によって協働するように構成されている。保持ラグ同士の間におけるファンの位置を固定するように、付加的な固定手段(ここでは図示せず)を設けることができる。より特定的には、本体38の同じ側の側方に並べられた2つの第1保持ラグ44a同士が、一緒にファン保持要素を形成している。これらの第1保持ラグ同士の隔たりは、これら2つの第1ラグ同士の間にファンが、その厚さ方向において収容されることができるようになっている。2つの第2保持ラグ44bは、横方向の反対側で、同様の保持要素を形成する。
【0039】
各保持ラグ44は、支持部品34の後方へ水平に伸びている。それは、モジュールにおける回動の軸線A−Aの方向に従って、ファン36が各冷却フィン22の直上に位置するようにである。
【0040】
ファン36は、内部に回転ブレード58が配置されたケーシング56を備えている。そのケーシングは、上面36aと、反対側の下面36bとが、各側壁36cによって相互に連結された平行六面体の形状を有している。上面と下面とは、正方形の基礎を有し、ブレードの回転によって掻き回される空気の流れが通るのを可能とするように、互いに隔てられている。ケーシングのそれぞれの角には、ファンの固定を可能とするように貫通穴が設けられている。
【0041】
特に
図4に見える、ファン36と支持部品34との組立状態において、ファンの向きは、正方形の対角線の一方が、光軸と整列しているか、或いは平行であるようになっている。かくして、ファンの第1の頂点が支持部品の方を向いて、第1の角59が本体に対して略中央に位置している。この本体は、対応するケーシングの第1の角59の直上を伸びる位置決め指部60を有している。位置決め指部は、ファンの傾きを防止するのを可能とすることによって、支持部品に対するファンの固い結び付きに関与している。ファンのこの配置は、保持ラグのレベルにおける側方の2つの位置決めおよび固定の区域と、中央の少なくとも位置決めの区域とでの支持部品への固定に対応している。
【0042】
まさに説明してきたように、ファンと支持部品との組立状態において、ファンの有効な表面、即ち支持部品によって覆われていない表面が、できるだけ大きくなっている、ということを理解することができる。
【0043】
図2は、3つの平行面上に整列した、固定基部12の上方バー32、支持部品34、およびファン36の「階段状」の配置を示している。それらは、各構成要素が、前の構成要素の高さよりも僅かに低い高さに位置するように配置されている。特にファンは、支持部品の高さの中央には位置していない。このようにして、冷却機能を最適化するよう、ファンが各冷却フィンに近付けられているのである。
【0044】
本発明による照明モジュールでは、熱冷却用の各部材がモジュールの回動運動に従う、ということを理解することができる。それは、各冷却フィンを支える光源の支持板が、回動するようにケース6に対して固く結び付けられているからである。また同時に、モジュールの枢動運動中、ファン36は、それに関する限りは固定されたままである。そのファンは、照明および/または合図装置のケーシングに固定された基部12に対して、固く結び付けられているからである。各冷却フィンに対するファンの相対運動が、フィン同士の間を通過させられる空気流の攪乱に関与する、ということが重要である。その攪乱が、ヒートシンクによる熱交換の効率を向上させるのである。
【0045】
上記の説明は、本発明が、それについて設定された目的を達成すること、特に次のような照明および/または合図装置を提案することを如何にして可能とするかを説明しようと努めたものである。即ち、少なくとも1つの照明モジュールで方向性照明ビームを作り出すことを可能とする照明および/または合図装置であって、そのモジュールについて、二重機能を付与するように一部分の構造が改変されている装置である。その結果は、照明および/または合図装置を製造するのに供されるべき部品数の低減という文脈における、二面的な利点となる。それは、一方では、装置のケーシングに対して固定された、回動するモジュールとは別個の諸要素によるファンの固い結び付けにあり、他方では、もはやファン用の支持体として働く必要のないモジュールのケースの簡素化にある。上述した特定部分の形態、例えば支持部品および/またはファンの形態は、支持部品が、基部とで案内軸受を作り出すことと、回動式モジュールの本体から距離を置いたヒートシンクの位置決めおよび固定をすることとを可能とする以上は、変更することができるであろう。また、本発明の文脈から逸脱することなく、基部がフレームの形態にはなく、例えば(従前のように)駆動要素と回動案内要素とを支える、互いに独立した2つの上方および下方バーの形態にあることも考えられるであろう。