(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。以下の説明では、画像表示装置として両眼式ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を取り上げているが、2つの画像を並行して表示する画像表示装置であれば本発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0013】
図1は、両眼式HMDの使用形態と概略構成を示す図である。
図1(a)は、両眼式HMD1の使用形態を示す。利用者3は、両眼式HMD1を自身の頭部に装着して、両眼式HMD1が表示する左右の画像を視覚により認識する。
【0014】
図1(b)は、両眼式HMD1を利用者3の頭上方向から見た概略構成図である。両眼式HMD1は、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10L、右目用導光部11Rと左目用導光部11L、及び保持部19を備えている。保持部19は、両眼式HMD1の構成部品の全てまたは一部を保持するための筐体である。利用者3は、保持部19を頭部に装着して両眼式HMD1を使用する。
【0015】
右目用画像表示部10R及び前記左目用画像表示部10Lは、それぞれ右目用及び左目用の画像を生成し、画像光12R及び画像光12Lを出射する。出射された画像光12R及び画像光12Lは、それぞれ右目用導光部11R及び左目用導光部11Lにより、利用者3の右目30R及び利用者の左目30Lまで導光される。利用者3の右目30R及び利用者の左目30Lまで導光された画像光12R及び画像光12Lの一部または全部が、図示しない利用者3の網膜まで到達する。
【0016】
以下では、右目用画像表示部10R及び左目用画像表示部10L、右目用導光部11R及び左目用導光部11L、画像光12R及び画像光12L、利用者の右目30R及び利用者の左目30Lについては、左右の区別する必要がない場合は、まとめて画像表示部10、導光部11、画像光12、利用者の目30と記載する。
【0017】
図2は、画像表示部10の構成例を示す図である。画像表示部10は、光源部110と、パネル部120と、投影光学部130と、を備えている。
【0018】
光源部110は、画像表示部10が画像を生成する為の光を出射する。光源部110は、赤色(R)の光を出射する光源と、緑色(G)の光を出射する光源と、青色(B)の光を出射する光源と、を備えており、これらを順に点灯させ、フィールドシーケンシャル方式でフルカラーの画像を表示する。光源部110から出射した光は、パネル部120に入射する。パネル部120は例えば液晶パネルを備え、映像信号に基づいて、光源部110から入射した光を変調し画像を生成する。ただし、パネル部120には色を変換するフィルタ等を備えておらず、入射した光と略同じ色の画像を生成する。パネル部120で生成した画像の光は、投影光学部130に入射する。投影光学部130は、パネル部120から入射した画像光を所定の位置に結像するように投影する。画像表示部10から出力された画像光12は導光部11へ向かう。
【0019】
図3は、光源部110の構成例を示す図であり、ここでは2つの構成(a)(b)を示す。
図3(a)はライトトンネルを用いた構成で、光源部110Aは、3個の光源111R、111G、111Bと、ライトトンネル112と、レンズ113と、を備えている。
【0020】
光源111Rは赤色の光(R光)を出射し、光源111Gは緑色の光(G光)を出射し、光源111Bは青色の光(B光)を出射する。なお、3個の光源は各々が独立したパッケージ内に実装されていても良いし、2個以上の光源が1つのパッケージ内に集積して実装されていても良い。
【0021】
光源111R、111G、111Bのいずれかから出射した光は、ライトトンネル112に入射する。ライトトンネル112に入射した光は、ライトトンネル112の内壁で複数回反射されるため、ライトトンネル112から出射した光の照度分布は略均一となる。ライトトンネル112から出射した光は、レンズ113を透過する。レンズ113は、ライトトンネル112から出射した発散光を集光する役割を果たす。レンズ113は、1枚のレンズでもよいし、複数枚のレンズで構成されていてもよい。以上の構成により、光源部110Aは、パネル部120を略均一な照度分布で照明することが可能である。
【0022】
図3(b)はクロスプリズムを用いた構成で、光源部110Bは、3個の光源111R、111G、111Bと、3個の集光レンズ114R、114G、114Bと、クロスプリズム115と、マイクロレンズアレイ116と、レンズ117と、を備えている。
【0023】
光源111R、111G、111Bから出射した光は、それぞれ集光レンズ114R、114G、114Bを透過する。集光レンズ114R、114G、114Bは、光源111R、111G、111Bから出射した発散光を、略平行光にする役割を果たす。集光レンズ114R、114G、114Bはそれぞれ1枚のレンズでもよいし、複数枚のレンズで構成されていてもよい。
【0024】
集光レンズ114R、114G、114Bから出射した光は、クロスプリズム115に入射する。クロスプリズム115は第1から第4の面を備えており、集光レンズ114R、114G、114Bから出射した光は、それぞれクロスプリズム115の第1、第2、第3の面に入射する。クロスプリズム115に入射した光は、いずれもクロスプリズム115の第4の面から出射する。
【0025】
クロスプリズム115から出射した光は、マイクロレンズアレイ116及びレンズ117を透過する。そのとき、マイクロレンズアレイ116の各入射セル(物体)が、パネル部120内の液晶パネル上で結像し、結像した像の大きさが液晶パネル内における光変調領域の大きさと略等しくなるように、マイクロレンズアレイ116及びレンズ117が設計され配置されている。レンズ117は1枚のレンズでもよいし、複数枚のレンズで構成されていてもよい。以上の構成により、光源部110Bは、パネル部120内の液晶パネルを略均一な照度分布で照明することが可能である。
【0026】
図4は、パネル部120の構成例を示す図である。パネル部120は、偏光板121と、透過型の液晶パネル122と、偏光板123と、を備えている。
【0027】
光源部110からパネル部120に入射した光は、まず偏光板121に入射する。偏光板121は特定の向きの偏光を持つ光を透過するため、偏光板121の透過光は、特定の向きの偏光を持つ。
【0028】
次に、偏光板121の透過光は、液晶パネル122に入射する。本実施例における液晶パネル122は、色を変換するフィルタ等を備えておらず、入射した光と略同じ色の画像を生成する。液晶パネル122は、図示しない液晶層と、画素電極と、対向電極を備えている。液晶層は画素電極と対向電極に挟まれており、画素電極と対向電極との間に印加した電圧に応じて、液晶分子の配向を変更する。液晶パネル122に入射した光は、液晶層に入射し、液晶層の液晶分子の配向に応じて偏光が回転し、液晶層から出射する。液晶層から出射した光は、液晶パネル122から出射する。
【0029】
そして、液晶パネル122から出射した光は偏光板123に入射する。偏光板123の偏光軸と同一の方向に偏光した光が偏光板123を透過する。偏光板123から出射した光は、パネル部120から出射する。画素電極と対向電極の間に印加する電気信号を制御することにより、パネル部120は光源部110からパネル部120に入射した光に対して、強度変調を与えることができる。
【0030】
上記では、パネル部120は透過型の液晶パネル122を備えるとして説明したが、本実施例はこれに限らない。例えば、パネル部120は反射型の液晶パネルを備えてもよいし、ミラー付きのMEMS(Micro-Electro Mechanical Systems)がアレイ上に並んだ素子を利用してもよい。
【0031】
パネル部120から出射した光は、投影光学部130に入射する。投影光学部130は、例えば1枚以上のレンズを備えており、パネル部120から入射した光を投影する。例えば、投影光学部130は、パネル部120が生成した画像を、所定の位置に結像させる。結像による像は、実像でもよいし虚像でもよい。さらに、結像位置は、有限距離の位置でもよいし、無限遠でもよい。画像表示部10は、投影光学部130が投影した光を画像光12として出力する。
【0032】
画像表示部10から出射した画像光12は、導光部11に入射する。導光部11は、画像表示部10から入射した画像光を、利用者の目30まで導光する。
【0033】
上記では、画像表示部10が投影光学部130を備えるとしたが、これに限らない。例えば、画像表示部10が投影光学部130を備えておらず、代わりに導光部11が画像を投影する投影光学部130の役割を備えていてもよいし、画像表示部10と導光部11の両方が画像を投影する役割を備えていてもよい。
【0034】
図5Aは、両眼式HMD1の制御ブロックの一例を示す図である。両眼式HMD1は、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lとタイミング制御部15と電源16とを備えている。タイミング制御部15は、右目用画像表示部10R及び左目用画像表示部10Lがそれぞれ1フレームの画像表示を行うタイミングを制御する。電源16は例えば充電式電池からなり、右目用画像表示部10R内の光源部110Rと左目用画像表示部10L内の光源部110Lに電源を供給する。また、右目用画像表示部10Rは、右目用光源ドライバ140Rと右目用パネルドライバ150Rを備えており、左目用画像表示部10Lは、左目用光源ドライバ140L及び左目用パネルドライバ150Lを備えている。
【0035】
タイミング制御部15は、右目用パネルドライバ150Rに右目用パネル部駆動トリガ信号を、左目用パネルドライバ150Lに左目用パネル部駆動トリガ信号を送信する。その際、右目用パネル部駆動トリガ信号と左目用パネル部駆動トリガ信号に時間差を設けて送信し、後述する右目用画像表示と左目用画像表示が所定の時間だけずれるようにする。
【0036】
両眼式HMD1は、図示しない映像信号受信ポートを経て右目用映像信号及び左目用映像信号を受信する。または、両眼式HMD1は、図示しない映像信号生成部において右目用映像信号及び左目用映像信号を生成する。両眼式HMD1は、受信または生成した右目用及び左目用映像信号を、それぞれ右目用パネルドライバ150Rと左目用パネルドライバ150Lに入力する。パネルドライバ150R、150Lでは、入力した映像信号を一時保存する。
【0037】
以下では、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lの内部動作は同様なので、特に区別することなく説明する。
パネルドライバ150は、受信した映像信号及びパネル部駆動トリガ信号を基に、パネル部駆動トリガ信号に同期した所定のタイミングで、パネル部駆動信号をパネル部120に送信する。パネル部駆動信号は、パネル部120が表示する画像の各画素の明るさが所定の明るさとなるように、パネル部120の状態を変化させることを指示する電圧や電流などの信号である。
【0038】
また、パネルドライバ150は、パネル部駆動トリガ信号に同期した所定のタイミングで、光源部駆動トリガ信号を光源ドライバ140に送信する。光源ドライバ140は、受信した光源部駆動トリガ信号に同期して、光源部110に光源部駆動信号を送信する。光源部駆動信号は、光源部110が備える光源を駆動する電流等の信号である。光源ドライバ140は、電源16から供給される電源により、光源駆動信号を生成する。
【0039】
図5Bは両眼式HMD1の制御ブロックの他の例を示す図である。ブロックの基本構成は
図5Aと同様であり、相違点について説明する。
【0040】
本例の両眼式HMD1は、受信または生成した右目用及び左目用映像信号を、タイミング制御部15に入力する。タイミング制御部15は、右目用及び左目用映像信号を一時保存し、それぞれ右目用パネルドライバ150R及び左目用パネルドライバ150Lに送信する。タイミング制御部15が右目用及び左目用映像信号を送信する際には、両者の映像信号の間で所定の時間だけずれるように送信するタイミングを調整する。
【0041】
パネルドライバ150R,Lは、受信した映像信号を基に、映像信号に同期した所定のタイミングで、パネル部駆動信号をパネル部120R,Lに送信する。また、パネルドライバ150R,Lは、映像信号に同期した所定のタイミングで、光源部駆動トリガ信号を光源ドライバ140R,Lに送信する。
【0042】
上記の例では、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lは、それぞれ独立に光源ドライバ140R,L及びパネルドライバ150R,Lを備える構成としたが、これに限らず、光源ドライバとパネルドライバの一方または両方を、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lとが共用し、それぞれのタイミングを制御するようにしてもよい。
【0043】
次に、両眼式HMD1の画像表示部10による画像表示動作について説明する。画像表示部10は、前述したように光源部110とパネル部120を備えている。光源部110は、赤色光を出射する光源111Rと、緑色光を出射する光源111Gと、青色光を出射する光源111Bと、を備える。また、パネル部120は、画像を生成する液晶パネル122を備える。なお、液晶パネル122には色を変換するフィルタ等を備えておらず、入射した光と略同じ色の画像を生成する。
【0044】
図6は、1つの画像表示部10が画像を表示するタイムシーケンスの一例を示す図である。画像表示部10は、赤色(R)と、緑色(G)と、青色(B)の画像を順番に表示するフィールドシーケンシャル方式により、カラーの画像を表示する。つまり、画像表示部10は、カラーの画像の各画素の各色の階調値に応じて赤色の画像、緑色の画像、青色の画像の順に表示することで、1フレームの画像を表示する。
【0045】
図6において、時刻t11から時刻t17までの期間P10が、1フレームの画像を表示する期間である。1フレームの期間の長さをTframeとする。
【0046】
時刻t11は1フレームの期間の始まりであり、時刻t11から時刻t13までは、赤色の画像を表示するための期間である。まず、時刻t11から時刻t12までの期間P11において、画像表示部10は、赤色の画像を表示するための準備を行う。パネルドライバ150はパネル部120に対して、各画素の赤色の階調値を示す画像データをパネル部駆動信号として送信する。そして、パネル部120の状態が、画像データに対応する状態で安定するまで待機する。すなわち、パネル部120に液晶パネル122を用いている場合は、液晶の角画素の配向状態が画像データに対応する状態に遷移するまで待機する。パネル部120に対して画像データを送信し、パネル部120の状態が安定するまで待機することは、画像表示部10が所定の画像を表示するための準備として必要となる。よって、この期間は光源を点灯させて当該画像を表示することはできない。以下では、このようにパネル部120の状態が安定するまで光源を点灯させない期間を、パネル部120の「待機期間」と呼ぶ。また、この待機期間の長さは、表示する画像の色に依存しない。
【0047】
待機期間P11が終了した後、時刻t12から時刻t13までの期間P12は、光源11Rを点灯させて赤色の画像を表示する期間である。時刻t12において、パネルドライバ150は光源ドライバ140に対し、赤色光を出射する光源111Rの点灯を指示する光源部駆動トリガ信号を送信する。光源ドライバ140は光源部駆動トリガ信号に従い、光源部110に対し、光源111Rに電流を流し始めることを指令する光源部駆動信号を送信する。これにより光源111Rは、時刻t12において赤色光の出射を開始する。また、時刻t13において、パネルドライバ150は光源ドライバ140に対し、光源111Rに電流を流すことを停止することを指示する光源部駆動トリガ信号を送信する。光源ドライバ140は光源部駆動トリガ信号に従い、光源部110に対し、光源111Rに電流を流すことを停止することを指令する光源部駆動信号を送信する。これにより光源111Rは、時刻t13において赤色の光の出射を停止する。つまり、期間P12において、画像表示部10は赤色の画像を表示する。以下では、光源を点灯させて画像を表示する期間を光源部110の「点灯期間」と呼ぶ。
【0048】
次に、時刻t13から時刻t15までは、緑色の画像を表示するための期間である。このうち、時刻t13から時刻t14までの待機期間P13において、緑色の画像を表示するための準備を行う。この待機期間P13では、パネル部120に対して、各画素の緑色の階調値を示す画像データに対応する状態に移行させる。待機期間P13の長さは、前記の赤色の画像の待機期間P11の長さに略等しい。また、時刻t14から時刻t15までの点灯期間P14は、緑色光を出射する光源111Gを点灯させて緑色の画像を表示する期間である。光源111Gに対する点灯制御は、前記した赤色光の光源111Rの場合と同様である。
【0049】
次に、時刻t15から時刻t17までは、青色の画像を表示するための期間である。このうち、時刻t15から時刻t16までの待機期間P15において、青色の画像を表示するための準備を行う。この待機期間P15では、パネル部120に対して、各画素の青色の階調値を示す画像データに対応する状態に移行させる。待機期間P15の長さは、前記の赤色の画像の待機期間P11や緑色の画像の待機期間P13の長さに略等しい。また、時刻t16から時刻t17までの点灯期間P16は、青色光を出射する光源111Bを点灯させて青色の画像を表示する期間である。光源111Bに対する点灯制御は、前記した赤色光の光源111Rの場合と同様である。
【0050】
画像表示部10は、上述した時刻t11から時刻t17までの動作により1フレームの期間P10の画像を表示し、表示する画像データをフレーム毎に適宜更新しながら上記動作を繰り返すことで、静止画像や動画などの画像表示を継続することができる。
【0051】
なお、画像表示部10において、各色の画像を表示する期間の長さは、互いに等しくても異なっていてもよい。つまり、各点灯期間P12、P14、P16の長さは、互いに等しくても異なっていてもよい。また、各色光を出射する各光源111R,G,Bに流す電流値は、互いに等しくても異なっていてもよい。さらに、各光源111R,G,Bに流す電流波形は、時間変動しない一定電流でもよいし、パルス幅変調された電流でもよい。
【0052】
例えば、赤色と緑色と青色の画像を表示する各期間において、赤色と緑色と青色のそれぞれの光源に流れる電流は時間変動せず互いに等しく、各色の画像を表示する期間の長さをそれぞれ所定の長さに設定することで、画像表示部10は、所定のホワイトバランスで画像を表示することが可能である。他の例として、赤色と緑色と青色の画像を表示する期間において、各色の画像を表示する期間の長さは互いに等しく、赤色と緑色と青色のそれぞれの光源に流れる電流値をそれぞれ所定の値に設定する、またはパルス幅変調のデューティー比を所定の値に設定することで、画像表示部10は、所定のホワイトバランスで画像を表示することが可能である。
【0053】
また、各色画像表示に付随するパネル部の待機期間の長さをTwait、画像を表示する期間の長さが最大となる色を色C、当該色Cの画像に対応する光源の点灯期間の長さをTlightとする。
図6に示した例では、色C=緑色である。本実施例では、Twait≧Tlightの場合とする。
【0054】
本実施例の両眼式HMD1は、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lの2つの画像表示部を備える。2つの画像表示部がそれぞれの備える光源を同時に点灯させて画像光を生成すると、そのタイミングで、電源16が光源ドライバ140に供給する電流のピークが非常に大きくなる。これに対応するため大きなピーク電流を供給可能な電源を使用すると、電源が大型化し、両眼式HMDが大型化するという問題がある。そこで本実施例では、2つの画像表示部の画像表示タイミングを調整して、電源が供給する電流のピーク抑えるようにした。
【0055】
図7は、2つの画像表示部10が画像を表示するタイムシーケンスの一例を示す図である。上段が右目用画像表示部10R、下段が左目用画像表示部10Lの表示タイミングを示す。時刻t21から時刻t27までの期間P20は、右目用画像表示部10Rが、赤色と、緑色と、青色の画像を1枚ずつ順番に表示する1フレームの期間である。また、時刻t31から時刻t37までの期間P30は、左目用画像表示部10Lが、赤色と、緑色と、青色の画像を1枚ずつ順番に表示する1フレームの期間である。右目用画像表示部10Rにおいて各色表示に付随するパネル部の待機期間P21,P23,P25の長さと、左目用画像表示部10Lにおいて各色表示に付随するパネル部の待機期間P31,P33,P35の長さは全て等しく、Twaitである。また、右目用画像表示部10Rにおいて各色の画像を表示する点灯期間P22,P24,P26の長さと、左目用画像表示部10Lにおいて各色の画像を表示する点灯期間P32,P34,P36の長さは、色毎に互いに等しい。
【0056】
図7に示すように、タイミング制御部15は、右目用画像表示部10Rが1フレームの画像を表示する期間P20と、左目用画像表示部10Lが1フレームの画像を表示する期間P30とが、時間的に重なりを持ち、かつ所定の遅延時間Td1=t31−t21だけずれるように、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lを制御する。ただし、0≦Td1<Tframeとして、遅延時間Td1は、1フレームの期間以内としている。
【0057】
各色画像表示に付随するパネル部の待機期間の長さをTwait、画像を表示する期間の長さが最大となる色を色C(緑色)、当該色Cの画像を表示する点灯期間の長さをTlightとする。また、右目用画像表示部10Rが備える光源と左目用画像表示部10Lが備える光源の両方の光源が、同時に点灯する重複点灯期間の和をTsumとする。本例の場合、タイミング制御部15は、1フレームの画像を表示する期間内において両方の光源が同時に点灯しないように、すなわち、重複点灯期間の和をTsumが0となるように遅延時間Td1を設定する。これが成立する条件は、
Tlight≦Td1≦Twait・・(1a)、または
Tframe−Twait≦Td1≦Tframe−Tlight・・(1b)
である。
【0058】
図7では、(1a)式を満たすように遅延時間Td1を選択した場合を示す。左目用画像表示部10Lの赤色光源の発光開始時刻t32は、右目用画像表示部10Rの赤色光源の発光終了時刻t23よりも遅くなり(t23<t32)、左目用画像表示部10Lの赤色光源の発光終了時刻t33は、右目用画像表示部10Rの緑色光源の発光開始時刻t24よりも早くなる(t33<t24)。言い換えれば、左目用画像表示部10Lでの赤色光源の点灯期間P32は、右目用画像表示部10Rの赤色光源の点灯期間P22と重複せず、かつ、右目用画像表示部10Rの緑色光源の点灯期間P24とも重複しない。同様に、左目用画像表示部10Lでの緑色光源の点灯期間P34は、右目用画像表示部10Rの緑色光源の点灯期間P24と重複せず、かつ、右目用画像表示部10Rの青色光源の点灯期間P26とも重複しない。また、左目用画像表示部10Lでの青色光源の点灯期間P36は、右目用画像表示部10Rの青色光源の点灯期間P26と重複せず、かつ、右目用画像表示部10Rの赤色光源の点灯期間P28とも重複しない。
【0059】
これにより、右目用画像表示部10Rのいずれかの光源が点灯している期間には、左目用画像表示部10Lのどの光源も点灯しておらず、また、左目用画像表示部10Lのいずれかの光源が点灯している期間には、右目用画像表示部10Rのどの光源も点灯していないように制御することができる。
【0060】
また、上記(1b)式を満たすように遅延時間Td1を選択した場合においても、同様のことが言える。この場合、左目用画像表示部10Lでの赤色光源の点灯期間P32は、右目用画像表示部10Rの青色光源の点灯期間P26の後になるが、該点灯期間P26と重複せず、かつ、次に点灯する赤色光源の点灯期間P28とも重複しない。
【0061】
つまり、タイミング制御部15が、(1a)式または(1b)式を満足するように遅延時間Td1を選択して、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lを制御することで、どの時刻においても、2つ以上の光源が同時に重複して点灯することをなくすことができる。その結果、2つの光源を同時に駆動するためにピーク電流が大きくなることを防ぐことができる。また、1フレームの間に、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lの両方により画像を表示するため、表示画像の明るさは低下することがない。
【0062】
上記では、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lは、1フレームの期間の間に、赤色と、緑色と、青色の画像をこの順序に表示したが、表示する色の順序はこれに限らず任意である。
【0063】
また、光源部110は、赤色光と緑色光と青色光をそれぞれ出射する3つの光源111R,111G,111Bを備え、フルカラーの画像を表示するものとしたが、上記以外の色の光を出射する光源を追加してもよい。これにより、画像表示部が表示可能な色再現範囲を増やすことができる。逆に、表示可能な色再現範囲を限定して、2種類の色の光を出射する光源や、1種類の色の光を出射する光源のみとしてもよい。これにより、光学系を小型にすることが可能である。
【0064】
このように光源の個数を変更する場合には、1フレームの画像を表示する期間において、パネル部の待機期間と光源の点灯期間との組の個数は、変更後の光源の個数となって、フィールドシーケンシャル方式に従い画像表示を行う。その場合でも、右目用画像表示部10Rが1フレームの画像を表示する期間と、左目用画像表示部10Lが1フレームの画像を表示する期間とが、所定の遅延時間Td1だけずれるように制御すればよい。
【0065】
上記では、パネル部120は液晶パネル122を備えるが色を変換するフィルタ等を備えておらず、フィールドシーケンシャル方式に従い各色の画像を順次生成すると説明したが、これに限定せず、色変換フィルタを備えた構成の場合にも適用できる。その場合、光源部110は、赤色光と緑色光と青色光をそれぞれ出射する3つの光源111R,111G,111Bを備え、全ての色の光源が同時に点灯させる構成でもよいし、白色光を出射する光源を備える構成でもよい。その場合でも、右目用画像表示部10Rが1フレームの画像を表示する期間と、左目用画像表示部10Lが1フレームの画像を表示する期間とが、所定の遅延時間Td1だけずれるように制御すればよい。この方式によれば、フィールドシーケンシャル方式におけるカラーブレイク現象を抑えることが可能となる。
【0066】
実施例1によれば、どの時刻においても、2つ以上の光源が同時に点灯していることはないため、2つの光源を同時に駆動するためにピーク電流が大きくなることを防ぐことが可能な両眼式HMD(画像表示装置)を提供できる。また、1フレームの間に、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lの両方により画像を表示するため、高輝度な画像を表示することが可能である。
【実施例2】
【0067】
実施例2では、1つの光源の点灯期間の長さの最大値Tlightが、各色画像表示に付随するパネル部の待機期間の長さTwait以上であってもよい構成とした(Tlight≧Twait)。これにより、1フレームの期間における光源の点灯時間を長くすることができ、両眼式HMD1の輝度を向上することが可能となる。ただしTlight≧Twaitの場合には、1フレームの画像を表示する期間内において、右目用画像表示部10Rが備える光源と、左目用画像表示部10Lが備える光源とが、同時に点灯する期間が存在する(つまり重複点灯期間の和Tsum>0)。よって本実施例では、重複点灯期間の和Tsumが最小となるように遅延時間を設定するとともに、光源ドライバ140に供給する電流のピークが大きい場合にも耐えられるよう、電源16の構成を変更している。まず。電源の構成から説明する。
【0068】
図8は、本実施例に係る電源16Aの構成と動作を示す図である。
図8(a)は電源16Aの一構成例を示し、メイン電源部161と電流ブースト部162を備えている。メイン電源部161は、例えば充電式電池からなり、電流ブースト部162は、例えば所定の容量のコンデンサからなる。メイン電源部161は、所定の最大電流まで電流を供給することができる。一方電流ブースト部162は、前記最大電流を超える大きな電流を光源ドライバ140に供給することが必要になったタイミングに、不足する電流を供給する役割を果たす。ただし電流ブースト部162は、所定の電荷量までしか電荷を放出できないため、メイン電源部161の最大電流を超えて電流を供給可能な時間には上限がある。
【0069】
図8(b)は、電源16Aの動作特性を説明する図である。電源16Aが光源ドライバ140を介して光源部110の光源に印加する電位Vと、光源に流れる電流Iの時間変化を示したグラフである。光源ドライバ140は、電流Iが所定の電流Ifで一定となるように、光源のプラス端子の電位V2とマイナス端子の電位V1の少なくとも一方を制御し、光源を駆動する。光源に印加される電圧Vfは、電位V2と電位V1の差(Vf=V2−V1)となる。光源の駆動時間が経過するにつれて、電源16Aの電位V1,V2が低下するが、光源ドライバ140は、電流Ifを所定の値で維持するために、電圧Vfを所定の値に維持しようとする。しかし、電位V1が所定の下限電位V0に到達すると、電位差(V2−V1)を所定の値Vfに維持することができず、電流Iも所定の値Ifで維持することができなくなる。このように、電流ブースト部162を備えた電源16Aにおいても、光源部110を駆動することにより電源16Aの電圧が低下し、光源部110に所定の電流Ifを供給できなくなるまでの時間Tlimitが存在し、これを「制限時間」と呼ぶことにする。
【0070】
本実施例の画像表示でも、右目用画像表示部10Rが1フレームの画像を表示する期間と、左目用画像表示部10Lが1フレームの画像を表示する期間とが、重なりを持ち、かつ所定の遅延時間Td2だけずれるように制御する。すなわち、1フレームの期間の長さTframeに対し、0≦Td2<Tframeである。そして、1フレームの画像を表示する期間内において、右目用画像表示部10Rが備える光源と、左目用画像表示部10Lが備える光源とが同時に点灯する重複点灯期間の和Tsumが、上記の電源16Aの制限時間Tlimit以下となるように、遅延時間Td2を選択する。
【0071】
好適には、タイミング制御部15は、重複点灯期間の和Tsumが最小となるように遅延時間Td2を選択する。これにより、電源16A内の電流ブースト部162の容量を最小化し、両眼式HMD1を小型化することができる。
【0072】
次に、本実施例における画像表示の具体例を示す。以下では、各色画像表示に付随するパネル部の待機期間の長さは全てTwait、赤色画像を表示する点灯期間の長さはTred、緑色画像を表示する点灯期間の長さはTgreen、青色画像を表示する点灯期間の長さはTblueとする。
【0073】
図9は、本実施例における画像表示動作の第1のケースを示す図であり、(a)はタイムシーケンスを、(b)は重複点灯期間の和Tsumを示す。第1のケースでは、赤色と緑色と青色のうち、緑色画像を表示する点灯期間の長さのみが、パネル部の待機時間以上であり、赤色と青色の画像を表示する点灯期間の長さは、パネル部の待機時間の長さ未満となっている。すなわち、Tred<Twait、Tgreen≧Twait、Tblue<Twaitである。
【0074】
(a)のタイムシーケンスにおいて、期間P40は、右目用画像表示部10Rの1フレームの期間であり、期間P50は、左目用画像表示部10Lの1フレームの期間である。そして、右目用画像表示部10Rの1フレーム期間P40に対し、左目用画像表示部10Lの1フレーム期間P50は、遅延時間Td2だけずれている。
【0075】
タイミング制御部15は、重複点灯期間の和Tsumが最小となるように遅延時間Td2を選択する。その条件は、次の2つの式
Td2=Twait・・・(2a)、または
Td2=Tframe−Twait・・・(2b)
のいずれかを満足すればよい。
【0076】
図9(a)は遅延時間Td2として(2a)式の条件を選択した場合を示している。右目用画像表示部10Rの緑色光の点灯期間P44と、これに続く左目用画像表示部10Lの緑色光の点灯時間P54とが一部重なるだけで、他の点灯期間P42,P52,P46,P56は重複することはない。
【0077】
また、遅延時間Td2として(2b)式の条件を選択した場合は、左目用画像表示部10Lの各色画像表示が右目用画像表示部10Rの各色画像表示よりも先行する。そして、左目用画像表示部10Lの緑色光の点灯時間P54と、これに続く右目用画像表示部10Rの緑色光の点灯期間P44とが一部重なるだけで、他の点灯期間P52,P42,P56,P46は重複することはない。
【0078】
図9(b)は、遅延時間Td2と重複点灯期間の和Tsumの関係をグラフにしたものである。ここに具体数値として、パネル部の待機期間の長さTwait=1.50ms、赤色光の点灯期間の長さTred=1.20ms、緑色光の点灯期間の長さTgreen=2.00ms、青色光の点灯期間の長さTblue=0.63msとする。
【0079】
(2a)式の条件を満足する遅延時間Td2=1.50msの場合、重複点灯期間の和Tsum=0.50ms(最小値)となる。また、(2b)式の条件を満足する遅延時間Td2=6.83msにおいて、同様に、重複点灯期間の和Tsum=0.50ms(最小値)となる。他の遅延時間Td2の場合は、重複点灯期間の和Tsum>0.50msとなる。
このように、(2a)または(2b)式を満足するよう遅延時間Td2を選択することで、重複点灯期間の和Tsumを最小とすることができる。もちろん、これ以外の遅延時間Td2を選択した場合でも、遅延時間Td2=0の場合の重複点灯期間の和Tsum=3.83msと比べれば大幅に低減できるのは明らかである。
【0080】
図10は、本実施例における画像表示動作の第2のケースを示す図であり、(a)はタイムシーケンスを、(b)は重複点灯期間の和Tsumを示す。第2のケースでは、赤色と緑色と青色のうち、赤色画像と緑色画像を表示する点灯期間の長さが、パネル部の待機時間以上であり、青色画像を表示する点灯期間の長さは、パネル部の待機時間の長さ未満となっている。すなわち、Tred≧Twait、Tgreen≧Twait、Tblue<Twaitである。
【0081】
タイミング制御部15は、重複点灯期間の和Tsumが最小となるように遅延時間Td2を選択する。第2のケースにおいても、上記した(2a)または(2b)式を満足すればよい。
【0082】
図10(a)は遅延時間Td2として(2a)式の条件を選択した場合を示している。右目用画像表示部10Rの赤色光の点灯期間P42と、これに続く左目用画像表示部10Lの赤色光の点灯時間P52とが一部重なり、右目用画像表示部10Rの緑色光の点灯期間P44と、これに続く左目用画像表示部10Lの緑色光の点灯時間P55とが一部重なり、両者の重複点灯期間の和Tsumが最小になっている。青色光の点灯期間P46,P56は重複することはない。
【0083】
図10(b)は、遅延時間Td2と重複点灯期間の和Tsumの関係をグラフにしたものである。ここに具体数値として、パネル部の待機期間の長さTwait=1.30ms、赤色光の点灯期間の長さTred=1.60ms、緑色光の点灯期間の長さTgreen=2.00ms、青色光の点灯期間の長さTblue=0.83msとする。
【0084】
(2a)式の条件を満足する遅延時間Td2=1.30msにおいて、重複点灯期間の和Tsum=1.00ms(最小値)となる。また、(2b)式の条件を満足する遅延時間Td2=7.03msにおいて、同様に、重複点灯期間の和Tsum=1.00ms(最小値)となる。このように、(2a)または(2b)式を満足するよう遅延時間Td2を選択することで、重複点灯期間の和Tsumを最小とすることができる。
【0085】
図11は、本実施例における画像表示動作の第3のケースを示す図であり、(a)はタイムシーケンスを、(b)は重複点灯期間の和Tsumを示す。第3のケースでは、赤色と緑色と青色の全ての画像を表示する点灯期間の長さが、パネル部の待機時間以上となっている。すなわち、Tred≧Twait、Tgreen≧Twait、Tblue≧Twaitである。このうち、点灯期間が最も短い期間の長さをTlight0とする。この例では、点灯時間の最小値Tlight0は、青色光の点灯期間Tblueである。
【0086】
タイミング制御部15は、重複点灯期間の和Tsumが最小となるように遅延時間Td2を選択する。その条件は、次の2つの式
Twait≦Td2≦Tlight0・・・(3a)、または
Tframe−Tlight0≦Td2≦Tframe−Twait・・・(3b)
のいずれかを満足すればよい。
【0087】
図11(a)は遅延時間Td2として(3a)式の条件を選択した場合を示している。右目用画像表示部10Rの赤色光の点灯期間P42と、これに続く左目用画像表示部10Lの赤色光の点灯時間P52とが一部重なり、右目用画像表示部10Rの緑色光の点灯期間P44と、これに続く左目用画像表示部10Lの緑色光の点灯時間P54とが一部重なり、右目用画像表示部10Rの青色光の点灯期間P46と、これに続く左目用画像表示部10Lの青色光の点灯時間P56とが一部重なり、これらの重複期間の和Tsumが最小になっている。
【0088】
図11(b)は、遅延時間Td2と重複点灯期間の和Tsumの関係をグラフにしたものである。ここに具体数値として、Twait=1.15ms、Tred=1.60ms、Tgreen=2.00ms、Tblue=1.28msとする。この場合、Tlight0=1.28msである。
【0089】
(3a)式の条件を満足する1.15ms≦Td2≦1.28ms、または(3b)式の条件を満足する7.05ms≦Td2≦7.18msにおいて、重複点灯期間の和Tsum=1.43ms(最小値)となる。このように、(3a)または(3b)式を満足するよう遅延時間Td2を選択することで、重複点灯期間の和Tsumを最小とすることができる。
【0090】
ここで、
図9に示した第1のケースの変形例を説明する。すなわち、赤色と緑色と青色のうち、1つの色(緑色)の画像を表示する点灯期間の長さTgreenのみが、パネル部の待機時間Twait以上となる場合である。
図9では、(2a)または(2b)式の条件から遅延時間Td2を設定し、右目用画像表示部10Rの緑色光の点灯期間P44と、これに続く左目用画像表示部10Lの緑色光の点灯時間P54とが重なるようにした。
【0091】
これに対し変形例では、右目用画像表示部10Rの緑色光の点灯期間P44は、左目用画像表示部10Lの緑色光の点灯時間P54と重なることがなく、代わりに、左目用画像表示部10Lの他の色光(赤色光と青色光)の点灯期間P52,P56と重なるように、遅延時間Td2を設定する。
【0092】
具体数値は、Twait=1.00ms、Tred=0.80ms、Tgreen=4.00ms、Tblue=0.53msとする。この時の遅延時間Td2を、4.00ms≦Td2≦4.33msとすれば、重複点灯期間の和Tsum=2.66ms(最小値)となる。
【0093】
上記では、タイミング制御部15は、重複点灯期間の和Tsumが最小となるように遅延時間Td2を設定する場合について説明したが、これに限らない。例えば、1フレームの期間に重複点灯期間が複数存在するとき、最大の長さとなる重複点灯期間を最小化するように、遅延時間Td2を選択することも有効である。
【0094】
また、
図8に示した電源16Aは、電流ブースト部162を備えるとしたが、これに限らない。制限時間Tlimitが1フレームの画像を表示する期間Tframeよりも十分長い場合は、電流ブースト部162を備えていなくてもよい。
【0095】
また、電源16として、電源16の電圧を変更することが可能なDCDCコンバータなどの電圧変換部を備える電源16B(図示せず)を利用することも可能である。その場合、タイミング制御部15は電源16Bに電圧変換制御信号を送信する。タイミング制御部15は電位V1が所定の下限電位V0に到達しないように、電源16Bの電圧を変更する電圧変換制御信号を当該電源に送信し、電源16Bは前記電圧変換制御信号に従って電圧を変更する。これにより、電位V1が所定の下限電位V0に到達することなく、光源ドライバ140は光源部110を駆動可能である。なお、上記の電圧変換部は電源16Bが備えるのではなく、光源ドライバ140が備えていてもよい。
【0096】
実施例2によれば、少なくとも1つの色の画像を表示する点灯期間の長さが、各色画像表示に付随するパネル部の待機期間の長さ以上であっても、右目用画像表示部10Rが備える光源と左目用画像表示部10Lが備える光源との重複点灯期間を短縮し、光源駆動のピーク電流の継続を抑える効果がある。また、これに対応する電源を有する両眼式HMD(画像表示装置)を提供できる。
【実施例3】
【0097】
実施例3では、フィールドシーケンシャル駆動において右目用画像表示部10Rが第1の色の画像を表示する前後に、左目用画像表示部10Lは前記第1の色とは異なる第2及び第3の色の画像を表示するように構成した。言い換えれば、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lとは、同じ色の画像を連続して表示しないように構成した。これにより、カラーブレイクを低減することが可能となる。
【0098】
図12は、本実施例における画像表示動作を示す図であり、(a)はタイムシーケンスを、(b)は重複点灯期間の和Tsumを示す。なお、ここでは、各色画像表示に付随するパネル部の待機期間の長さTwaitは、光源の点灯期間の最大の長さTlight以上とする(Twait≧Tlight)。
【0099】
図12(a)において、フィールドシーケンシャル駆動により表示する色の順番は、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lで共通であり、赤色→緑色→青色の順序である。タイミング制御部15は、右目用画像表示部10Rが1フレームの画像を表示する期間P40と、左目用画像表示部10Lが1フレームの画像を表示する期間P50とが重なりを持ち、かつ各色光の点灯順序が以下のようになるよう遅延時間Td2を定める。
P42(右目用赤色)→P56”(左目用青色)→P44(右目用緑色)→P52(左目用赤色)→P46(右目用青色)→P54(左目用緑色)→P42’(右目用赤色)・・・
ただし、P56”は1つ前のフレーム、P42’は1つ後のフレームである。
【0100】
この場合でも、右目用画像表示部10Rが備える光源と、左目用画像表示部10Lが備える光源とが、同時に点灯することをなくすことができる。
【0101】
図12(b)は、遅延時間Td2と重複点灯期間の和Tsumの関係を示すグラフである。具体数値として、Twait=1.91ms、Tred=0.90ms、Tgreen=1.30ms、Tblue=0.40msとする。ここで遅延時間Td2として4.11ms≦Td2≦4.22msに設定することで、重複点灯期間の和Tsum=0ms(最小値)となり、どの時刻においても、2つ以上の光源が同時に重複して点灯することはない。なお、遅延時間Td2が2ms近傍及び7ms近傍のときTsum=0msとなるが、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lとが連続して同じ色の画像を表示するので、本実施例には該当しない。
【0102】
ここで、フィールドシーケンシャル駆動において同一の色の画像の表示期間が長いとき、利用者3が目を移動したときに表示している画像色が赤色、緑色、青色に分離して視認される現象(カラーブレイク)がある。本実施例では、右目用画像表示部10Rが第1の色の画像を表示する前後に、左目用画像表示部10Lは前記第1の色以外の第2及び第3の色の画像を表示する。つまり両眼式HMD1は、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lとが連続して同じ色の画像を表示することはない。利用者3は、右目30Rと左目30Lの両方で両眼式HMD1が表示する画像を視認するため、利用者3が視認するカラーブレイクを低減することが可能となる。
【0103】
上記の説明では、パネル部の待機期間の長さTwaitは点灯時間の長さの最大値Tlight以上としたが、これに限定しない。実施例2で述べたように、少なくとも1つの点灯期間の長さがパネル部の待機期間の長さよりも大きい場合であっても、重複点灯期間の和Tsumを最小化するとともに、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lとが連続して同じ色の画像を表示しないようにすることで、利用者3が視認するカラーブレイクを低減することが可能となる。
【0104】
上記の説明では、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lにおいて、表示する色の順番は共通としたが、これに限定しない。右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lとにおいて、表示する色の順番が異なるようにしてもよい。ただしその場合には、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lとが連続して同じ色の画像を表示するタイミングが含まれるので、カラーブレイクの低減効果が小さくなる。
【0105】
実施例3によれば、右目用画像表示部10Rがフィールドシーケンシャル駆動における第1の色の画像を表示する前後に、左目用画像表示部10Lは前記第1の色とは異なる第2及び第3の色の画像を表示することで、利用者が視認するカラーブレイクを低減することが可能である。
【実施例4】
【0106】
実施例4では、フィールドシーケンシャル駆動において、各色画像表示に付随するパネル部の待機期間の長さTwaitが色毎に異なってもよい構成とした。これにより、タイミング制御部15による右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lの駆動の自由度が増加する。
【0107】
本実施例では、パネル部の待機期間Twaitとして、パネル部に対して画像データを送信し、パネルの状態が安定するまで待機する期間(パネル動作期間)の他に、例えばホワイトバランス調整用の期間(パネル調整期間)などを追加する。追加するパネル調整期間は色毎に長さが異なっていてもよく、よって、各色画像表示に付随するトータルの待機期間の長さが色毎に異なるようになる。パネル動作期間とともにパネル調整期間においては、光源部110での点灯を停止する。
【0108】
図13は、本実施例における画像表示動作を示す図であり、(a)はタイムシーケンスを、(b)は重複点灯期間の和Tsumを示す。なお、ここでは、パネル部の待機期間の長さTwaitは、いずれの色の画像表示においても、点灯期間の最大長さTlight以上とする(Twait≧Tlight)。
【0109】
図13(a)のタイムシーケンスでは、右目用画像表示部10Rの1フレームの期間P40において、期間P41、P43、P45はパネルの状態が安定するまでのパネル動作期間であり、さらにホワイトバランス調整用のパネル調整期間として、期間P41’、P45’を追加している。期間P41’は赤色表示の待機期間P41に付随し、期間P45’は青色表示の待機期間P45に付随する。これらの関係は左目用画像表示部10Lの1フレームの期間P50においても同様で、パネル調整期間P51’、P55’を追加している。また、期間P42とP44とP46は、右目用画像表示部10Rの赤色と緑色と青色の光源がそれぞれ点灯する期間であり、上記のパネル調整期間P41’、P45’において点灯することはない。左目用画像表示部10Lにおいても同様である。
【0110】
この場合にも、タイミング制御部15は、右目用画像表示部10Rの1フレームの期間P40と、左目用画像表示部10Lの1フレーム期間P50との間に、遅延時間Td2を設けることで、右目用画像表示部10Rが備える光源と、左目用画像表示部10Lが備える光源とが、同時に点灯することをなくすことができる。
【0111】
図13(b)は、遅延時間Td2と重複点灯期間の和Tsumの関係を示すグラフである。具体数値として、各色共通のパネル動作期間はTw=1.58msとし、赤色のパネル調整期間Twr=0.20ms、緑色のパネル調整期間Twg=0ms、青色のパネル調整期間Twb=0.70ms、とする。また、赤色の点灯期間Tred=1.00ms、緑色の点灯期間Tgreen=1.20ms、青色の点灯期間Tblue=0.50msとする。なお、この数値設定は、1フレームの期間を、赤色の画像の表示期間(Tw+Tred+Twr=2.78ms)と、緑色の画像の表示期間(Tw+Tgreen+Twg=2.78ms)と、青色の画像の表示期間(Tw+Tblue+Twb=2.78ms)とが均等になるよう分配した場合である。
【0112】
上記の設定において、遅延時間Td2を、1.20ms≦Td2≦1.58ms、または3.98ms≦Td2≦4.36ms、または6.76ms≦Td2≦7.14msとすることで、重複点灯期間の和Tsum=0ms(最小値)とすることができる。従って、どの時刻においても、2つ以上の光源が同時に重複して点灯することはない。
【0113】
上記の説明では、1フレームの期間を赤色と、緑色と、青色の表示期間で均等に分配されるようにしたが、これに限らず、1フレームの期間を赤色と、緑色と、青色とで不均等に分配する場合でも、重複点灯期間の和Tsum=0ms(最小値)とすることができる。また、パネル調整期間を、赤色と青色画像表示のパネル動作期間に追加したが、赤色と緑色と青色の少なくとも1つの色の画像表示のパネル動作期間に追加してもよい。
【0114】
また、パネル調整期間は、各色光の光源の点灯期間の後に追加したが、これに限らず、各色光の光源の点灯期間の前に追加してもよいし、各色光の光源の点灯期間の前後に追加してもよい。
【0115】
さらに、パネル部の待機期間の長さTwaitは光源点灯時間の長さの最大値Tlight以上としたが、これに限定しない。実施例2で述べたように、少なくとも1つの点灯期間の長さがパネル部の待機期間の長さよりも大きい場合であってもよい。
【0116】
実施例4によれば、各色画像表示に付随するパネル部の待機期間の長さが色毎に異なる場合でも、光源駆動のピーク電流を抑える若しくはピーク電流の継続を抑えることが可能な、両眼式HMDを提供することができる。
【実施例5】
【0117】
前記各実施例1〜4では、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lとが、それぞれ光源部110R、110Lを備える構成としたが、実施例5では、右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lとが、光源部110を共用する構成とした。これにより両眼式HMD1を小型にすることが可能となる。
【0118】
図14は、本実施例に係る両眼式HMD1の制御ブロックの一例を示す図である。両眼式HMD1は、右目用画像表示部10Rと、左目用画像表示部10Lと、タイミング制御部15と電源16とを備える。ここに右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lは、光源部110と光源ドライバ140を共用し、さらに切換え部17を有している。タイミング制御部15は、右目用パネルドライバ150Rと左目用パネルドライバ150Lに、右目用パネル部駆動トリガ信号と左目用パネル部駆動トリガ信号を送信するとともに、切換え部17に対して、切換え部制御信号を送信する。右目用パネルドライバ150Rと左目用パネルドライバ150Lは、光源ドライバ140に光源部駆動トリガ信号を送信する。
【0119】
光源部110から出射した光は、切換え部17に入射する。切換え部17は、タイミング制御部15から受信した切換え部制御信号に応じて、光源部110から入射した光を右目用パネル部120Rと左目用パネル部120Lの一方に、あるいは、右目用パネル部120Rと左目用パネル部120Lの両方に分岐して出射する。なお、光源部110は、前記
図3(a)または
図3(b)に示す110Aまたは110Bの構成である。
【0120】
図15は、切換え部17のいくつかの構成例を示す図である。
図15(a)に示す切換え部17Aは、切換えミラー171を備えており、タイミング制御部15から受信した切換え部制御信号に応じて、光源部110から入射した光を全て透過したり、全て反射したり、一部透過一部反射したりする。光源部110から入射した光を全て透過または全て反射する場合には、切換えミラー171として、例えば可動式ミラーを利用すればよい。また、光源部110から入射した光を一部透過一部反射する場合には、切換えミラー171として、例えば可動式ミラーと可動式ビームスプリッターを組み合わせて利用すればよい。この構成により、光源部110から出射した光を、全て右目用パネル部120Rに出射するか、全て左目用パネル部120Lに出射するか、または分岐して両方に出射するかを切り換えることができる。
【0121】
図15(b)に示す切換え部17Bは、切換えミラー172R、172G、172Bと、ミラー173Rと、ダイクロイックミラー174G、174Bと、を備えている。
【0122】
切換えミラー172Rは、緑色及び青色の光を全て透過し、タイミング制御部15から受信した切換え部制御信号に応じて、光源部110から入射した赤色の光を全て透過したり、全て反射したり、一部透過一部反射したりする。切換えミラー172Gは、赤色及び青色の光を全て透過し、タイミング制御部15から受信した切換え部制御信号に応じて、切換えミラー172Rから入射した緑色の光を全て透過したり、全て反射したり、一部透過一部反射したりする。切換えミラー172Bは、赤色及び緑色の光を全て透過し、タイミング制御部15から受信した切換え部制御信号に応じて、切換えミラー172Gから入射した青色の光を全て透過したり、全て反射したり、一部透過一部反射したりする。
【0123】
ミラー173Rは赤色の光を反射する。ダイクロイックミラー174Gは、赤色の光を透過し、緑色の光を反射する。ダイクロイックミラー174Bは、赤色及び緑色の光を透過し、青色の光を反射する。この構成により、光源部110から出射した赤色と緑色と青色の光を、色毎に、全て右目用パネル部120Rに出射するか、全て左目用パネル部120Lに出射するか、または分岐して両方に出射するかを切り換えることができる。
【0124】
図15(c)には、切換え部17Cの構成を光源部110Cとともに示す。光源部110Cは、光源111R、111G、111Bと、集光レンズ114R、114G、114Bを備えている。また切換え部17Cは、切換えミラー177R、177G、177Bと、ミラー173R、175Bと、ダイクロイックミラー174G、174B、176R、176Gと、を備えている。
【0125】
光源111R、111G、111Bから出射した光は、それぞれ集光レンズ114R、114G、114Bで集光され、光源部110Cから出射する。切換えミラー177R、177G、177Bは、タイミング制御部15から受信した切換え部制御信号に応じて、光源部110Cから入射した全ての光を透過したり、反射したり、一部透過一部反射したりする。ミラー175Bは青色の光を反射する。ダイクロイックミラー176Gは、青色の光を透過し、緑色の光を反射する。ダイクロイックミラー176Rは、赤色の光を透過し、緑色及び青色の光を反射する。この構成により、光源部110Cから出射した赤色と緑色と青色の光を、色毎に、全て右目用パネル部120Rに出射するか、全て左目用パネル部120Lに出射するか、または分岐して両方に出射するかを切り換えることができる。
【0126】
図16は、本実施例における2つの画像表示部10が画像を表示するタイムシーケンスの一例を示す図である。期間P60は、右目用画像表示部10Rの1フレームの期間であり、期間P70は、左目用画像表示部10Lの1フレームの期間である。本例では、各色の画像を表示する点灯期間の最大の長さTlightは、各色画像表示に付随するパネル部の待機期間の長さTwaitより小さいとする(Tlight<Twait)。タイミング制御部15は、右目用パネル部120Rと左目用パネル部120Lとの両方を同時に照明する重複点灯期間の和Tsumが0となるように、期間P60と期間P70との遅延時間Td3を選択する。この条件は、前記(1a)式または(1b)式で示したものと同じである。
【0127】
切換え部17として、
図15(a)の切換え部17Aを利用する場合で説明する。タイミング制御部15は、切換え部17Aに対して、切換え部制御信号170を送信する。切換え部制御信号170は、切換え部17Aに入射した光を、右目用パネル部120Rと左目用パネル部120Lのどちらに出射するかを指示する信号である。
図16では、信号レベルがHiの場合、全ての光を右目用パネル部120Rに出射し、信号レベルがLoの場合、全ての光を左目用パネル部120Lに出射することを表す。
【0128】
すなわちタイミング制御部15は、切換え部17Aに切換え部制御信号170を送信して、右目用パネル部120Rで画像を表示する期間には、光源部110から入射した光を右目用パネル部120Rに出射し、左目用パネル部120Lで画像を表示する期間には、光源部110から入射した光を左目用パネル部120Lに出射するように制御する。
【0129】
これにより、共通の光源部110から出射した光を利用して、右目用画像表示部10Rで右目用画像光を、左目用画像表示部10Lで左目用画像光を生成することができる。
【0130】
なお、切換え部17として、
図15(b)(c)に示す切換え部17B、17Cを利用することもできる。その場合、赤色の光源が点灯している期間には切り換えミラー172R、177Rで光路を切り換え、緑色の光源が点灯している期間には切り換えミラー172G、177Gで光路を切り換え、青色の光源が点灯している期間には切り換えミラー172B、177Bで光路を切り換えればよい。
【0131】
上記では、各色の画像を表示する点灯期間の最大の長さTlightは、各色画像表示に付随するパネル部の待機期間の長さTwaitより小さいとしたが、これに限らず、1つ以上の色の画像を表示する点灯期間の長さTlightが、各色画像表示に付随するパネル部の待機期間の長さTwait以上であってもよい(Tlight≧Twait)。その場合には、重複点灯期間の和Tsumが0とはならないため、共通の光源部110により、右目用パネル部120Rと左目用パネル部120Lとの両方を同時に照明する期間が存在する。
【0132】
第1のケースとして、右目用パネル部120Rと左目用パネル部120Lとの両方を同時に同じ色で照明する期間(同一色同時照明期間)が存在し、同時に異なる色で照明する期間は存在しない場合がある。この場合、切換え部17として例えば切換え部17Aを利用できる。同一色同時照明期間には、光源ドライバ140は右目用パネルドライバ150R及び左目用パネルドライバ150Lの両方から光源を点灯させる光源部駆動トリガ信号を受信する。光源ドライバ140は、光源部110に対して、右目用パネル部120Rと左目用パネル部120Lの両方に照射する光量の和を出力可能な電流で光源部110が備える光源を駆動する光源駆動信号を送信する。また、タイミング制御部15は、切換え部17Aに対して、光源部110から入射した光を一部透過一部反射するように指令する切換え部制御信号を送信する。なお、切換え部17として、切換え部17B、17Cを利用することもできる。
【0133】
第2のケースとして、右目用パネル部120Rと左目用パネル部120Lとの両方を同時に異なる色で照明する期間(異色同時照明期間)が存在する場合がある。この場合、切換え部17として、切換え部17B、17Cを利用することができる。異色同時照明期間には、光源ドライバ140は、右目用パネルドライバ150R及び左目用パネルドライバ150Lの両方から光源を点灯させる光源部駆動トリガ信号を受信する。光源ドライバ140は、光源部駆動トリガ信号を基に、該当する色の光源を点灯させる光源駆動信号を光源部110に送信する。また、タイミング制御部15は切換え部17に対し、所定の色の光が右目用パネル部120Rと左目用パネル部120Lのうち所定のパネル部に出射するように切換え部制御信号を送信する。
【0134】
実施例5によれば、光源部110を右目用画像表示部10Rと左目用画像表示部10Lで共用し、両眼式HMD1(画像表示装置)を小型化することが可能となる。
【0135】
以上、本発明の各実施例を説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0136】
また各実施例では、両眼式ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を取り上げて説明したが、これに限らず、2つの画像を並行して表示する画像表示装置であれば本発明の範囲に含まれる。