(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869856
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】鉄道車両駆動用電動機およびそれを用いた鉄道車両
(51)【国際特許分類】
H02K 9/06 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
H02K9/06 A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-171253(P2017-171253)
(22)【出願日】2017年9月6日
(65)【公開番号】特開2019-47694(P2019-47694A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】沢田 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 克彦
(72)【発明者】
【氏名】芝 侑来
【審査官】
三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−068317(JP,A)
【文献】
特開昭63−190533(JP,A)
【文献】
実開昭61−192657(JP,U)
【文献】
実開平01−120763(JP,U)
【文献】
特開昭54−096707(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102014216693(DE,A1)
【文献】
特開2008−306922(JP,A)
【文献】
特開2016−158454(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0146512(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第101253670(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子と、
前記固定子の内径側に所定の空隙を介して対向配置された回転子と、
前記回転子と一体となって回転するファンと、から成り、
前記固定子を保持するためのフレームと固定子コアとの間に設けた回転軸方向の第1の流路と、
回転子コアに回転軸方向に貫通して設けた第2の流路と、
を備え、
前記ファンは、回転することにより、前記第1の流路および前記第2の流路を通して、冷却空気を電動機内部に循環通風させるものであり、
前記第1の流路または前記第2の流路に、冷却空気温度が上昇する加減速時には流路の通風断面積を大きくし、冷却空気温度が低い巡航速度時は流路の通風断面積を小さくする可変式の絞り機構を有することを特徴とする鉄道車両駆動用電動機。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄道車両駆動用電動機において、
前記可変式の絞り機構が、流路絞り板と該流路絞り板を駆動する形状記憶合金により構成され、該可変式の絞り機構を流れる冷却空気の温度または該可変式の絞り機構を取り付けた電動機の温度により該流路絞り板が駆動されることを特徴とする鉄道車両駆動用電動機。
【請求項3】
請求項1に記載の鉄道車両駆動用電動機において、
前記可変式の絞り機構が、流路の断面積を変化させるバイメタルにより構成され、該可変式の絞り機構を流れる冷却空気の温度または該可変式の絞り機構を取り付けた電動機の温度により該バイメタルが駆動されることを特徴とする鉄道車両駆動用電動機。
【請求項4】
請求項1に記載の鉄道車両駆動用電動機において、
前記可変式の絞り機構が、流路絞り板と該流路絞り板を押圧する弾性体により構成され、前記回転子の回転により生じる遠心力により前記流路絞り板が駆動されることを特徴とする鉄道車両駆動用電動機。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の鉄道車両駆動用電動機を用いた鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に係り、特に、空気を用いて冷却する回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機は、電動機として電気的な入力を機械的な出力に変換する際に、あるいは、発電機として機械的な入力を電気的な出力に変換する際に、渦電流損失やジュール損失に起因して発熱する。
【0003】
回転電機を構成する材料には、それぞれ上限温度が規定されており、電動機あるいは発電機として動作する際に、各部の温度がそれぞれの上限温度を超えないように冷却する必要がある。
【0004】
回転電機の冷却方式として広く用いられているものに、空冷方式がある。
空冷方式は、空気を回転電機の発熱部に直接的あるいは間接的にあてることにより熱を取り除き冷却する冷却方式である。
さらに、空冷方式は、冷却のための空気をファンなどの装置を用いて強制的に流す強制空冷方式と、ファンなどの装置を用いずに自然対流により放熱する自然空冷方式とに分類できる。
【0005】
従来の強制空冷方式を用いた回転電機では、回転電機の回転子と一体となって回転する通風ファンにより回転電機機内の空気を循環させることにより、回転電機を冷却する構造となっている。
【0006】
一般にファンの性能は、風量がファンの回転数に比例し、必要な動力がファンの回転数の3乗に比例することが知られている。したがって、ファンが回転子と一体となって回転するような回転電機においては、ファンの風量は回転子の回転数に比例し、ファンの動力は回転子の回転数の3乗に比例する。このような回転電機の例として特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−126309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、回転電機の損失は、式(1)に示すように、回転数とトルクと効率の逆数の積で得られるため、回転数が高くてもトルクが小さい、あるいは効率が高い場合には、損失が小さくなるため、必要な冷却風量が少ない場合がある。
回転電機の損失=(回転数)×(トルク)×(1/効率−1) 式(1)
たとえば鉄道車両駆動用主電動機においては、鉄道車両が停止状態から発進し加速する間と、巡航速度から減速して停止するまでの間の加減速時の損失が大きく、巡航速度で走行する間の損失は小さい。しかし、巡航速度時は、回転電機の回転数が高いため、冷却風量が過剰に大きく、過剰なファン動力による効率低下や、過剰なファン風量による騒音増大の要因となっている。
【0009】
本発明の目的は、上記のような課題を解決して、回転子と一体となって回転する通風ファンを有する空気冷却式の回転電機において、過剰な冷却風の風量を削減し、ファン動力とファン騒音を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための、本発明の「
鉄道車両駆動用電動機」の一例を挙げるならば、
固定子と、前記固定子の内径側に所定の空隙を介して対向配置された回転子と、前記回転子と一体となって回転するファン
と、から成り、
前記固定子を保持するためのフレームと固定子コアとの間に設けた回転軸方向の第1の流路と、回転子コアに回転軸方向に貫通して設けた第2の流路と、を備え、前記ファンは、回転することにより、前記第1の流路および前記第2の流路を通して、冷却空気を電動機内部に循環通風させるものであり、前記第1の流路または前記第2の流路に、
冷却空気温度が上昇する加減速時には流路の通風断面積を大きくし、冷却空気温度が低い巡航速度時は流路の
通風断面積を
小さくする可変式の絞り機構を有することを特徴とする
鉄道車両駆動用電動機である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、過剰な冷却風の風量を削減し、ファン動力とファン騒音を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1の回転電機を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施例1の回転電機を示す、絞り機構の低温時の状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の実施例1の回転電機を示す、絞り機構の高温時の状態を示す断面図である。
【
図4】本発明の実施例1の回転電機の効果を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施例1の回転電機の変形例を示す断面図である。
【
図6】本発明の実施例1の回転電機の他の変形例を示す断面図である。
【
図7】本発明の実施例2の回転電機を示す断面図である。
【
図8】本発明の実施例2の回転電機を示す、絞り機構の低回転時の状態を示す断面図である。
【
図9】本発明の実施例2の回転電機を示す、絞り機構の高回転時の状態を示す断面図である。
【
図10】本発明の実施例2の回転電機の効果を示す模式図である。
【
図11】本発明の実施例2の回転電機の変形例を示す断面図である。
【
図12】本発明の実施例2の回転電機の他の変形例を示す断面図である。
【
図13】本発明の実施例3の回転電機を示す断面図である。
【
図14】本発明の実施例3の回転電機の変形例を示す断面図である。
【
図15】本発明の実施例4の回転電機を示す、絞り機構の低温時の断面図である。
【
図16】本発明の実施例4の回転電機を示す、絞り機構の高温時の断面図である。
【
図17】本発明の実施例5の回転電機を搭載する車両の模式図である。
【
図18】本発明の実施例5の回転電機を車両に搭載したときの車両床下の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。なお、実施の形態を説明するための各図において、同一の構成要素にはなるべく同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
【実施例1】
【0014】
図1から
図4を用いて、本発明の第1の実施例の回転電機を説明する。
【0015】
図1に、本発明を誘導電動機に適用した第1の実施例の断面図を示す。
なお、これ以降の実施例の説明では、本発明を適用する回転電機を誘導電動機として説明するが、特にこれに限定するものではなく、強制空冷式であれば永久磁石型同期電動機などの他の電動機に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。また、電動機に限らず、発電機にも適用することができる。
【0016】
誘導電動機である回転電機1は、固定子2と、回転子3と、固定子を保持するためのフレーム4から構成されている。
【0017】
固定子2は、固定子コア20と、固定子コア20の内径側に設けられ、かつ、周方向に所定の間隔をもって形成され、回転軸方向に延伸する複数の固定子スロットに巻き回された固定子コイル22から構成されている。フレーム4と固定子コア20との間には、回転電機内の冷却空気6を循環させるための空気流路301が設けられており、空気流路301の出口部分に絞り機構5を設置している。
【0018】
また、回転子3は、固定子コア20と径方向に所定の空隙をもって対向して配置された回転子コア30と、回転子コア30の外径側に設けられ、かつ、周方向に所定の間隔をもって形成され、回転軸方向に延伸する複数の回転子スロットに挿入された界磁部材である複数の回転子バー32と、各回転子バー32を両軸端で短絡するための導体であるエンドリング33と、各回転子バー32とエンドリング33とを保持するためのリテイニングリング34と、回転子コア30が嵌合されているシャフト36から構成されている。シャフト36は軸受37に回転可能に保持されている。また、回転子コア30には冷却空気6の通路となる空気通路302が回転軸方向に貫通して設けられている。
【0019】
また、回転子3には、冷却空気6を通風するためのファン35が取り付けられており、ファン35は回転子3と一体となって回転し、冷却空気6を回転電機内部に循環通風させる。回転子3と一体となって回転するファン35によって励起される回転電機内の空気は、固定子コイルエンド23にあたり固定子コイル22から徐熱した後、フレーム4と固定子コア20との間に設けた空気通路301に流れる。冷却空気6は、空気通路301を流れる間に、固定子コア20から徐熱するとともに、フレーム4により冷却される。空気通路301を通過した冷却空気は、絞り機構5を通過した後に、回転子コア30に設けた空気通路302に流れ、ファン35に再び流入する。
【0020】
図2及び
図3に、形状記憶合金を用いた絞り機構5を示す。
図2は、絞り機構5を通過する冷却空気6が低温時の様子であり、
図3は、冷却空気6が高温時の様子である。
【0021】
絞り機構5は、形状記憶合金から成る第1のバネ51と、非形状記憶合金から成る第2のバネ52と、第1のバネ51と第2のバネ52との間に取り付けた流路絞り板53から構成されている。
絞り機構5を通過する冷却空気6の温度が低く、第1のバネ51を構成する形状記憶合金の変態温度よりも低い場合には、第1のバネ51が第2のバネ52に押されて流路絞り板53を押し上げる。これにより空気通路301の一部が流路絞り板53によりさえぎられるために、空気通路の通風断面積が小さくなる。
【0022】
一方、冷却空気温度が上昇し、第1のバネ51を構成する形状記憶合金の変態温度よりも高くなると、
図3に示したように、第1のバネ51はあらかじめ設定した形状に回復し、第2のバネ52を押し下げ、流路絞り板53を押し下げる。これにより、空気通路301の通風断面積が広くなる。これにより、冷却空気の温度が低いときは空気通路302の通風断面積を小さく、冷却空気の温度が高いときは空気通路302の通風断面積を大きくすることが可能となる。
【0023】
図4は、本実施例の効果を模式的に表した図である。
冷却空気が低温時には、絞り機構により通風路の流量-圧力特性はO−Aを通る曲線で表され、ファンの動作点はA点、そのときの風量はQ
A、ファン動力はW
aとなる。
冷却空気の温度が上昇し、絞り機構により流路の通風断面積が大きくなると、通風路の流量−圧力特性はO−Bを通る曲線に変化し、そのときのファンの動作点はB点、風量はQ
B、ファン動力はW
bとなる。
【0024】
本実施例の絞り機構を用いない場合には、通風路の流量−圧力特性は、冷却空気の温度によらず常にO−Bとなるため、ファン動力も常にW
bとなる。すなわち本実施例の絞り機構により、冷却空気が低温のときの空気流量をQ
BからQ
Aに低減し、ファン動力をW
bからW
aに低減することができる。
【0025】
なお、
図1では、通風路301の出口側に絞り機構5を取り付けているが、変形例として、
図5に示すように通風路301の中間に取り付けたり、
図6に示すように入口側に取り付けても同等の効果を得ることができる。
【0026】
本実施例によれば、過剰な冷却風の風量を削減し、ファン動力とファン騒音を低減することができる。
【実施例2】
【0027】
本発明の第2の実施例の回転電機を、
図7〜
図10を用いて説明する。
【0028】
図7は、本発明を誘導電動機に適用した第2の実施例の断面図である。
第1の実施例との違いは、絞り機構5をフレーム4と固定子コア20との間の通風路301から、回転子コア30に設けた通風路302の入口に設けた点である。
【0029】
図8は、第2の実施例の絞り機構5の低回転数時の状態を示した図である。絞り機構5は、第1のバネ51と流路絞り板53から構成されており、第1のバネ51は非形状記憶合金からできている。低回転数時には、第1のバネ51が流路絞り板53を下側(回転子の内径側)に押し付けることにより通風路302の通風断面積を広く保つ。
一方、
図9は、本発明の第2の実施例の絞り機構5の高回転数時の状態を示した図である。回転子の回転数が増大することにより、第1のバネ51および流路仕切り板53に上向き(回転子の外径向き)に遠心力が働き、第1のバネ51が縮められ、流路仕切り板53が上側(回転子の外径側)に移動する。これにより、回転子の通風路302の通風断面積が小さくなる。
【0030】
図10は、本実施例の効果を模式的に表した図である。
回転子の回転数が低回転(N1)の時には、通風路の圧力損失特性はO−Bを通る曲線で表され、ファンの動作点はC点、そのときの風量はQ
c、ファン動力はW
cとなる。
回転子の回転数が高回転(N2、N2>N1)となると、本実施例の絞り機構がない場合には、ファンの動作点はB点となり、そのときの風量はQ
B、ファン動力はW
bとなる。
一方、本実施例の絞り機構を設けることにより、通風路の圧力損失特性がO−Aを通る曲線に変わり、回転数N2のときのファンの動作点がA点、ファン風量がQ
A、ファン動力がW
aとなる。この結果、本実施例の絞り機構がない場合と比較して、ファン風量をQ
BからQ
Aに、ファン動力をW
bからW
aに低減することができる。
【0031】
なお、
図7では絞り機構を回転子の通風路302の入口側に設けたが、変形例として、
図11に示すように通風路302の中間や、
図12に示すように通風路の出口側に設けても同等の効果を得ることができる。
【0032】
本実施例によれば、過剰な冷却風の風量を削減し、ファン動力とファン騒音を低減することができる。
【実施例3】
【0033】
図13は、本発明の第3の実施例を示す回転電機の断面図である。
本実施例では、絞り機構5を軸受冷却風の通風路303に設けている。ファン35には、軸受冷却用の羽根38が設けられており、シャフト36とともにこれが回転することにより軸受冷却風が発生する。軸受冷却風の通風路303に、
図2及び
図3で示した第1の実施例と同様の絞り機構5を取り付けることにより、軸受冷却風に対しても、低温時の通風量を低減し、騒音、ファン動力を低減する効果が得られる。
【0034】
図13では、絞り機構5を軸受冷却風の排気側に取り付けているが、変形例として、
図14に示すように絞り機構5を吸気側に取り付けても同等の効果を得ることができる。
本実施例によれば、軸受冷却風について、過剰な冷却風の風量を削減し、ファン動力とファン騒音を低減することができる。
【実施例4】
【0035】
図15および
図16は、絞り機構5にバイメタル材54を用いた実施例である。バイメタル材とは、熱膨張率が異なる2種類の金属を接合し、熱膨張率の違いを利用して温度変化により変形する材料である。
【0036】
図15は、通風路内にバイメタル材54による絞り機構5を取り付けた例である。冷却空気の温度が上昇すると、
図16のように、バイメタル材54が温度上昇に伴い湾曲する。これにより通風断面積が広くなり、実施例1に示した絞り機構5と同等の効果を得ることができる。本実施例で示したバイメタル材54による絞り機構は、実施例1のフレーム4と固定子コア20との間の通風路301や、実施例2の回転子コア30の通風路302、あるいは、実施例3の軸受冷却風の通風路303のいずれに設置しても、同様の効果を得ることができる。
【0037】
なお、絞り機構5に、実施例1では形状記憶合金のばねにより移動する流路仕切り板を、実施例2では遠心力により移動する流路仕切り板を、実施例4ではバイメタル材を用いたが、絞り機構5をアクチュエータ等の駆動手段により流路断面積を変化させるように構成しても良い。
【実施例5】
【0038】
図17および
図18は、上記各実施例の回転電機を、鉄道車両駆動用の電動機として用いた実施例である。
図17は、上記各実施例の回転電機を、鉄道車両駆動用の電動機として用いた鉄道車両400を側面から見た模式図である。また、
図18は鉄道車両の床下の機器配置を示した模式図である。本実施例に示した鉄道車両では、車両の上部に設けた集電装置404を介して、車両の駆動に必要な電力を架線からとりこみ、電力変換装置403により、電動機1に駆動電力として供給する。電動機1は、減速機406を介して車輪402を接続されている。図において、401は台車、405は車軸である。
【0039】
鉄道車両駆動用電動機においては、鉄道車両が停止状態から発進して加速する間と、巡航速度から減速して停止するまでの間の加減速時の損失が大きく、巡航速度で走行する間の損失は小さい。
【0040】
実施例1の回転電機を鉄道車両駆動用電動機に用いることにより、冷却空気温度が上昇する加減速時には空気通路の通風断面積が広くなり、また、冷却空気温度が低い巡航速度で走行する間は、空気通路の通風断面積が小さくなる。これにより、巡航速度で走行する時の、過剰な冷却風の風量を削減し、ファン動力とファン騒音を低減することができる。
【0041】
また、実施例2の回転電機を鉄道車両駆動用電動機に用いることにより、電動機が低速回転する加減速時には空気通路の通風断面積が広くなり、また、電動機が高速回転する巡航速度で走行する間は、空気通路の通風断面積が小さくなる。これにより、同様に、巡航速度で走行する時の、過剰な冷却風の風量を削減し、ファン動力とファン騒音を低減することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 回転電機
2 固定子
3 回転子
4 フレーム
5 絞り機構
6 冷却空気
20 固定子コア
22 固定子コイル
23 固定子コイルエンド
30 回転子コア
32 回転子バー
33 エンドリング
34 リテイニングリング
35 ファン
36 シャフト
37 軸受
38 軸受冷却用の羽根
51 第1のバネ
52 第2のバネ
53 流路絞り板
54 バイメタル板
55 高熱膨張材
56 低熱膨張材
301 フレームと固定子コアとの間の空気通路
302 回転子コアの空気通路
303 軸受冷却風の空気通路
400 鉄道車両
401 台車
402 車輪
403 電力変換装置
404 集電装置
405 車軸
406 減速機