特許第6869863号(P6869863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869863
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】建具及び建具の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/32 20060101AFI20210426BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   E06B3/32 Z
   E06B3/46
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-182023(P2017-182023)
(22)【出願日】2017年9月22日
(65)【公開番号】特開2019-56260(P2019-56260A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2020年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】荒川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】西塔 都志雄
(72)【発明者】
【氏名】成岡 絵美
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−066660(JP,A)
【文献】 特開平10−102929(JP,A)
【文献】 特開2016−217072(JP,A)
【文献】 特開2004−270278(JP,A)
【文献】 特開2017−075526(JP,A)
【文献】 米国特許第02788097(US,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2017−0075270(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00− 1/70
E06B 3/04− 3/46
E05D 15/00−15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱又は耐力壁を挟んで位置する2つの開口のうちの一方の前記開口に設けられる開口枠と、
前記開口枠に囲まれた空間を閉塞可能に設けられ、スライドして他方の前記開口側に移動可能な障子と、
透光性を有する面材を備え、前記他方の開口を閉塞する面材ユニットと、
を有し、
前記障子は、前記面材ユニットの屋外側に位置する状態まで移動可能であることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記面材ユニットは、前記他方の開口において、前記柱又は前記耐力壁の屋外側の面より屋内側に位置する部位を有していることを特徴とする建具
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記障子がスライドするレールを備え前記一方の開口側から前記他方の開口側に亘って設けられるレール枠を有し、
前記面材ユニットは、前記面材を保持して躯体に固定される面材枠を有し、
前記レール枠は、前記面材枠に載置されていることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の建具であって、
前記障子の幅は、前記柱及び前記耐力壁の幅より広いことを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項4に記載の建具の施工方法であって、
前記一方の開口の内周に前記開口枠を取り付ける開口枠取付ステップと、
前記他方の開口の内周に前記面材ユニットを取り付ける面材ユニット取付ステップと、
上下に配置される前記レール枠が方立により連結された枠ユニットを前記開口枠及び前記面材ユニットに取り付ける枠ユニット取付ステップと、
を有することを特徴とする建具の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具及び建具の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建具としては、たとえば窓枠や障子を備えた建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような建具の窓枠は、上枠 、下枠および左右両端の縦枠を四角枠状に接合され、まぐさ、窓台、柱等の建物躯体側にビス止めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−238224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような建具は、まぐさ、窓台、柱等の躯体に囲まれた開口内に取り付けられるので、上記建具により形成される窓は、躯体に囲まれた開口より小さくならざるを得ない。また、例えば、柱を切除して柱の両側に設けられている2つの開口を1つの開口とすると、大きな窓を形成することは可能であるが、構造耐力が低下するため、大掛かりな補強が必要である。このため、躯体を取り除くことなく、広く開放的な窓を形成することができなかった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、躯体を取り除くことなく広く開放的な窓を形成する建具及び建具の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、柱又は耐力壁を挟んで位置する2つの開口のうちの一方の前記開口に設けられる開口枠と、前記開口枠に囲まれた空間を閉塞可能に設けられ、スライドして他方の前記開口側に移動可能な障子と、透光性を有する面材を備え、前記他方の開口を閉塞する面材ユニットと、を有することを特徴とする建具である。
【0007】
このような建具によれば、柱又は耐力壁を挟んで位置する2つの開口の一方に設けられている開口枠に囲まれた空間を閉塞可能な障子と、他方を閉塞する面材ユニットは、いずれも透光性を有する面材を備えている。そして、障子は他方の開口側にスライドする。このため、柱又は耐力壁を挟む2つの開口が全体として1つの窓として認識され易い。このため、建物躯体を取り除くことなく広く開放的な窓を形成する建具を提供することが可能である。
【0008】
かかる建具であって、前記面材ユニットは、前記他方の開口において、前記柱又は前記耐力壁の屋外側の面より屋内側に位置する部位を有していることが望ましい。
このような建具によれば、面材ユニットが、柱又は耐力壁より屋外側に突出する量が小さくなるので、建具の建物から屋外側への突出量をより小さく抑えることが可能である。
【0009】
かかる建具であって、前記障子がスライドするレールを備え前記一方の開口側から前記他方の開口側に亘って設けられるレール枠を有し、前記面材ユニットは、前記面材を保持して躯体に固定される面材枠を有し、前記レール枠は、前記面材枠に載置されていることが望ましい。
【0010】
このような建具によれば、障子がスライドするレールを備え一方の開口側から他方の開口側に亘って設けられるレール枠が、面材ユニットの面材枠に載置されているので、自重が大きく障子の重量が作用するレール枠を面材枠により支持することが可能である。
【0011】
かかる建具であって、前記障子の幅は、前記柱及び前記耐力壁の幅より広いことが望ましい。
このような建具によれば、障子の幅は、柱及び耐力壁の幅より広いので障子を開放したときには、障子の一部が柱及び耐力壁よりも他方の開口側に移動する。このため、柱または耐力壁を挟んだ2つの開口が全体として1つの窓としてより認識され易い。このため、柱及び耐力壁の幅が広い場合であっても、2つの開口に広く開放的な窓を形成する建具を提供することが可能である。
【0012】
また、上記建具の施工方法であって、前記一方の開口の内周に前記開口枠を取り付ける開口枠取付ステップと、前記他方の開口の内周に前記面材ユニットを取り付ける面材ユニット取付ステップと、上下に配置される前記レール枠が方立により連結された枠ユニットを前記開口枠及び前記面材ユニットに取り付ける枠ユニット取付ステップと、を有することを特徴とする建具の施工方法である。
【0013】
このような建具の施工方法によれば、建具が、開口枠、面材ユニット、枠ユニットに分割されており、開口枠、面材ユニット、枠ユニットを各々別個に取り付けるので、開口枠、面材ユニット、枠ユニットが一体となったユニットより各々軽量であり、一体となったユニットを一挙に取り付けるより施工が容易である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、建物躯体を取り除くことなく広く開放的な窓を形成する建具及び建具の施工方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る建具を示す横断面図である。
図2】FIX窓側の縦断面図である。
図3】開口窓側の縦断面図である。
図4】建具の施工方法を説明するため図である。
図5】建具の変形例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態の建具1は、図1に示すように、柱6を挟んで左右に位置している建物の2つの開口1a、1bのうちの一方(図1では右側)の開口1aに設けられるFIX窓2と、2つの開口1a、1bのうちの他方(図1では左側)の開口1bに設けられる開口窓3とを1つの窓として構成する。開口窓3は、建具1が備える、左右にスライド可能な引戸障子4により閉塞可能であり、引戸障子4は、開口窓3を閉塞する状態から開放する状態、すなわち、FIX窓2の屋外側に位置する状態まで移動可能である。
【0017】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の建具1を屋外側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。建具1の各部位であっても、また、建具1を構成する各部材については単体の状態であっても、建物等に取り付けられた状態にて上下方向、左右方向、見込み方向となる方向にて方向を特定して説明する。
【0018】
図1図3に示すように、建具1は、FIX窓2を構成する面材ユニットとしてのFIX窓ユニット20と、屋内外を連通する開口窓3を形成する開口枠30及び引戸障子4と、引戸障子4が案内される上下のレール50aを備えたレール枠ユニット50と、FIX窓2と開口窓3との間に位置する柱(以下、中央の柱という)6を屋外側から覆うカバー材7と、を有している。
【0019】
FIX窓ユニット20は、透光性を有する面材としての複層ガラス21と、複層ガラス21の外周部を囲み、中央の柱6などの建物の躯体に固定される面材枠としてのFIX枠22と、を有している。本実施形態においては、複層ガラスとして、スペーサーを用いて3枚のガラス板を互いに間隔を隔てて対面配置した3層構造の複層ガラスを図示しているが、層をなすガラス板は、2枚であっても、3枚以上であっても構わない。
【0020】
FIX枠22は、中央の柱6及び右側に位置する柱(以下、右の柱という)8と、2本の柱6、8間に亘って上下に設けられている窓まぐさ9により形成されている矩形状の開口1aの内周から、柱6、8よりも屋外側に亘って配置されている。すなわち、FIX枠22は、中央の柱6の屋外側の面6aより屋外側に位置する部位を有している。
【0021】
FIX枠22を形成するFIX上枠221、FIX下枠222、左右のFIX縦枠223は、いずれもアルミニウム製の押出成形部材であり、FIX上枠221及びFIX下枠222には、屋内側の部位と屋外側の部位との間に断熱材が介在されている。FIX上枠221、FIX下枠222、左右のFIX縦枠223には各々、柱6、8及び窓まぐさ9にビス止めされるヒレ状のFIX固定部221a、222a、223aが外周側に突出させて設けられている。矩形状に枠組みされたFIX枠22には内周側に、複層ガラス21の周端部を屋外側から押圧するガスケット10が設けられており、屋内側から嵌合される押縁11とともに複層ガラス21を保持している。
【0022】
複層ガラス21を保持して矩形状に枠組みされたFIX枠22は、全周にFIX固定部221a、222a、223aが突出しており、柱6、8及び窓まぐさ9により形成される、建物の開口1aに屋外側から挿入される。そして、FIX固定部221a、222a、223aが、屋外側から屋内側に向かって進入するビスにより柱6、8及び窓まぐさ9に固定されている。
【0023】
開口枠30は、中央の柱6及び左側に位置する柱(以下、左の柱という)12と、2本の柱6、12間に亘って上下に設けられている窓まぐさ9により形成されている矩形状の開口1bの内周から柱6、12よりも屋外側に亘って配置されている。すなわち、開口枠30は、中央の柱6の屋外側の面6aより屋内側に位置する部位を有している。
【0024】
開口枠30を形成する開口上枠31、開口下枠32、左右の開口縦枠33は、いずれもアルミニウム製の押出成形部材であり、開口上枠31及び開口下枠32には、屋内側の部位と屋外側の部位との間に断熱材が介在されている。開口上枠31、開口下枠32、左右の開口縦枠33には各々、柱6、12及び窓まぐさ9にビス止めされるヒレ状の開口固定部31a、32a、33aが外周側に突出させて設けられている。
【0025】
本実施形態の開口枠30の開口上枠31及び開口下枠32は、FIX枠22のFIX上枠221及びFIX下枠222と同じ部材が用いられており、開口枠30として用いたときに内周側に露出する部分、すなわち、FIX窓ユニット20として用いたときに複層ガラス21、ガスケット9、押縁11が設けられる部分を覆うカバー材30aが取り付けられている。
【0026】
矩形状に枠組みされた開口枠30は、全周に開口固定部31a、32a、33aが外周側に突出しており、柱6、8及び窓まぐさ9により形成される、建物の開口1bに屋外側から挿入される。そして、開口固定部31a、32a、33aは、屋外側から屋内側に向かって進入するビスにより柱6、12及び窓まぐさ9に固定されている。
【0027】
引戸障子4は、アルミニウム製の押出成形部材と合成樹脂製の押出成形部材との複合材でなる上框41、下框42、戸先框43、召合せ框44が、矩形状に接合された框体40と、框体40の内周側に装着され透光性を有する面材としての複層ガラス21と、を備えている。框体40の内周には、全周に亘って、外周側に窪む溝部が設けられており、複層ガラス21は、周端部がガスケット45と共に溝部に収容されて保持されている。引戸障子4の左右方向の幅は、中央の柱6の左右方向の幅より広く構成されており、引戸障子4を開いたときには、召合せ框44が右の柱8側に近づいて、引戸障子4が右の開口1a側に移動するように構成されている。
【0028】
レール枠ユニット50は、上下のレール枠51、52と、上下のレール枠51、52を左右方向におけるほぼ中央で連結する方立53と、引戸障子4の戸当たりをなす戸当たり枠54と、を有している。上のレール枠(以下、上レール枠という)51、下のレール枠(以下、下レール枠という)52、方立53、及び、戸当たり枠54は、いずれもアルミニウム製の押出成形部材である。ここで、レール枠ユニット50が、枠ユニットに相当する。
【0029】
上レール枠51は、引戸障子4の上端側を案内する上のレール50aを備えており、下レール枠52は、引戸障子4の下端側を案内する下のレール50aを備えている。引戸障子4は、開口窓3を閉塞する状態からFIX窓2の屋外側まで移動するので、上下のレール50aを備える上レール枠51及び下レール枠52は、右の柱8と左の柱12との間隔とほぼ同じ長さを有している。
【0030】
上レール枠51は屋内側に、FIX上枠221及び開口上枠31の屋外側の部位に当接する屋内上当接部51aと、屋内上当接部51aより屋内側に延出してFIX上枠221及び開口上枠31が有する上見込み面221b、31bと対面する上対面部51bと、を有している。上レール枠51は、屋内上当接部51aがFIX上枠221及び開口上枠31に当接された状態で、上対面部51bがFIX上枠221及び開口上枠31の内周側に入り込み、内周側から外周側に向かって進入するビスにより上対面部51bが上見込み面221b、31bに固定されている。
【0031】
下レール枠52は屋内側に、FIX下枠222及び開口下枠32の屋外側の部位に当接する屋内下当接部52aと、屋内下当接部52aより屋内側に延出してFIX下枠222及び開口下枠32が有する下見込み面222b、32bと対面する下対面部52bと、を有している。下レール枠52は、屋内下当接部52aがFIX下枠222及び開口下枠32に当接された状態で、下対面部52bがFIX下枠222及び開口下枠32の内周側に入り込み、内周側から外周側に向かって進入するビスにより下対面部52bが下見込み面222b、32bに固定されている。
【0032】
方立53は、上レール枠51と下レール枠52とを、上下のレール50aより屋内側にて連結し、中央の柱6に固定されている右の開口縦枠33に固定されている。方立53は、屋外側に、閉じた引戸障子4の召合せ框44と係合する煙返し片53a、及び、召合せ框44との間をシールするシール材53bを備え、屋内側に右の開口縦枠33に固定される方立固定部53cを有している。方立固定部53cは、右の開口縦枠33の屋外側の部位に当接されたときに、右の開口縦枠33が有する屋外に臨む面33bと対向し、屋外側から屋内側に向かって進入するビスにより固定される。
【0033】
戸当たり枠54は、引戸障子4にて開口窓3を閉じたときに引戸障子4の戸先框353が当接され、左の柱12に固定されている左の開口縦枠33に固定されている。引戸障子4は、戸先框353が左の開口縦枠33に当接されたときに、戸先框353の先端が、開口窓3の左の見込み面3aより外周側に位置するように構成されている。
【0034】
戸当たり枠54は、屋内側に左の開口縦枠33の屋外側の部位と当接するとともに、左の開口縦枠33が有する見付け面33cと対向する戸当たり枠固定部54aを有しており、枠固定部54aが屋外側から屋内側に向かって進入するビスにより左の開口縦枠33の見付け面33cに固定されている。
【0035】
図4に示すように、本実施形態の建具1の施工方法は、まず、FIX窓ユニット20を建物の右の開口1aの内周側に挿入し、FIX固定部221a、222a、223aを躯体側に当接させてビスにより柱6、8及び窓まぐさ9に固定する。
【0036】
次に、開口枠30を、建物の左の開口1bの内周側に挿入し、開口固定部31a、32a、33aを躯体側に当接させてビスにより柱6、12及び窓まぐさ9に固定する。ここで、FIX窓ユニット20と開口枠30とは、いずれを先に固定しても構わない。
【0037】
次に、FIX窓ユニット20の下側のFIX固定部222a及び開口枠30の下側の開口固定部32aよりも屋外側に突出している部位を支持する支持部材13を、取り付ける。支持部材13は、断面がほぼL字状をなすスチール製の部材であり、L字状をなす2枚の板部13a、13bの一方をなす鉛直板部13aが躯体側に固定され、他方をなす水平板部13bがFIX窓ユニット20及び開口枠30を下から支持している。水平板部13bは、FIX窓ユニット20及び開口枠30より屋外側に延出されている。尚、支持部材13は、右の柱8と左の柱12との間隔とほぼ同じ長さを有している、或いは、右の柱8と左の柱12との間隔より短い部材が複数設けられていても構わない。支持部材13は、FIX固定部222a及び開口固定部32aの下面に水平板部13bを当接させ下側の窓まぐさ9に鉛直板部13aを固定する。
【0038】
次に、レール枠ユニット50を、支持部材13上に載置しつつ、屋外側からFIX窓ユニット20及び開口枠30に当接させる。このとき、下レール枠52の屋内側の部位52cは、FIX下枠222及び開口下枠32に載置される。そして、上対面部51bをFIX上枠221及び開口上枠31に、下対面部52bをFIX下枠222及び開口下枠32に、方立固定部53cを右の開口縦枠33に、枠固定部54aを左の開口縦枠33に、それぞれ固定する。
【0039】
次に、支持部材13上に載置されている下レール枠52の、FIX下枠222及び開口下枠32よりも屋外側にて支持部材13と重なっている部位を、下方から進入するビスにより支持部材13に固定する。
最後に、レール枠ユニット50の上下のレール50aに引戸障子4を吊り込んで建具1の施工が完了する。
【0040】
本実施形態の建具1によれば、中央の柱6を挟んで位置する2つの開口1a、1bのうちの左側の開口1bが複層ガラス21を備えた引戸障子4が設けられ、他方は複層ガラス21を備えて、右の開口1aを閉塞するFIX窓ユニット20が設けられている。そして、引戸障子4は右の開口1a側、すなわち、FIX窓ユニット20の屋外側にスライドするように構成されている。このため、中央の柱6を挟む2つの開口1a、1bが1つの窓として認識され易い。このため、建物の躯体を取り除くことなく広く開放的な窓を形成する建具1を提供することが可能である。
【0041】
また、FIX窓ユニット20が、中央の柱6の屋外側の面6aより屋内側、すなわち、中央の柱6及び右の柱8との間に位置する部位を有しているので、FIX窓ユニット20が、中央の柱6及び右の柱8よりも屋外側に突出する量を小さく抑えることが可能である。このため、建具1の建物から屋外側への突出量をより小さく抑えることが可能である。
【0042】
また、引戸障子4がスライドするレール50aを備えた下レール枠52の、上レール枠51と連結されていない、方立3より右側の部位が、窓まぐさ9に固定されるFIX窓ユニット20のFIX下枠222上及び支持部材13上に載置されている。このため、引戸障子4の重量が作用する下レール枠52をFIX下枠222及び支持部材13により支持し、下レール枠52が降下するような変形を防止することが可能である。
【0043】
また、引戸障子4の幅は、中央の柱6の幅より広いので引戸障子4を開放したときには、引戸障子4の一部が中央の柱6よりも右の開口1a側に移動する。このため、中央の柱6を挟んだ2つの開口1a、1bが全体として1つの窓としてより認識され易い。このため、中央の柱6の幅が広い場合であっても、2つの開口1a、1bに、広く開放的な窓を形成する建具1を提供することが可能である。
【0044】
また、本実施形態の建具1の施工方法によれば、建具1は、FIX窓ユニット20開口枠30、レール枠ユニット50に分割されており、FIX窓ユニット20、開口枠30、レール枠ユニット50を各々別個に取り付けるので、FIX窓ユニット20開口枠30、レール枠ユニット50が一体となったユニットより各々軽量であり、一体となったユニットを躯体等に一挙に取り付けるより施工が容易である。
【0045】
上記実施形態においては、3本の柱6、8、12間に設けられた2つの開口1a、1bに設けられる建具1を例に挙げて説明したが、これに限るものではない。例えば3つ以上の開口に亘る枠体を有し、少なくとも2つの開口間にてスライドする引戸障子を備えていれば構わない。
【0046】
また、上記実施形態においては、柱6を挟んで両側に設けられている開口1a、1bに設けられる建具1の例について説明したが、これに限らず、例えば、図5に示すように、耐力壁14を挟んで両側に設けられている開口1a、1bに設けられる建具15であっても構わない。このとき、引戸障子4の左右方向の幅は、耐力壁14の左右方向の幅より広いので、引戸障子4を開いたときには、引戸障子4の一部が耐力壁14よりも右の開口1a側に移動する。このため、耐力壁14を挟んだ2つの開口1a、1bが全体として1つの窓としてより認識され易いので、耐力壁14を挟む2つの開口1a、1bであっても、広く開放的な窓を形成する建具1を提供することが可能である。
【0047】
上記実施形態においては、建具1が、他方の開口を閉塞する面材ユニットとしてFIX窓ユニット20を備えている例について説明したが、これに限らず、例えば、開閉可能な内倒し窓、上げ下げ窓等のユニットなど、透光性を有する面材を備えて、他方の開口を閉塞し、引戸障子のスライドを妨げない面材ユニットであれば構わない。
【0048】
上記実施形態においては、FIX枠22、開口枠30、上下のレール枠51、52、方立53、戸当たり枠54、を構成する各枠材を、アルミニウム製の押出成形部材、または、アルミニウム製の押出成形部材でなる屋内側の部位と屋外側の部位との間に断熱材が介在され枠材とし、引戸障子4の框体40を構成する框材を、アルミニウム製の押出成形部材と合成樹脂製の押出成形部材とで構成された複合材とした例について説明したが、これに限るものではない。すなわち、本建具1に用いる枠材及び框材は、アルミニウム製の部材のみにより構成されている形態、合成樹脂製の部材のみにより構成されている形態、2つのアルミニウム製の部材の間に断熱材が介在されている刑態、及び、アルミニウム製の部材と合成樹脂製の部材とにより構成されている形態など、いずれの形態であっても構わない。
【0049】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1 建具、1a 開口、1b 開口、4 引戸障子、6 柱、
6a 柱の屋外側の面、14 耐力壁、15 建具、20 FIX窓ユニット、
21 複層ガラス、22 FIX枠、30 開口枠、50 レール枠ユニット、
50a レール、51 上レール枠、52 下レール枠、53 方立、
図1
図2
図3
図4
図5