【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明の第1の態様によれば、第1の主要面(major surface)と、第2の主要面と、前記第1の主要面と前記第2の主要面との間の少なくとも2の層とを含む層状サンプルのX線蛍光(XRF)測定を行う方法であって、当該方法は、
第1の元素に対応する第1のXRF線の第1のX線強度値(I
1)を得るため、前記第1の主要面を貫通する(through)第1のX線測定を実施するステップと、
前記第1の元素に対応する前記第1のXRF線の第2のX線強度値(I
2)を得るため、前記第2の主要面を貫通する第2のX線測定を実施するステップと、
前記第1のX線強度値(I
1)および第2のX線強度値(I
2)から、層パラメータから選択される少なくとも2の分析パラメータ(analysis parameters)を計算するステップと、
を含み、前記層パラメータは、
第1の層における第1の元素の濃度(C
1)、
第2の層における
前記第1の元素の濃度(C
2)、
前記第1の層の密度(d
1)、
前記第2の層の密度(d
2)、
前記第1の層の厚さ(t
1)、および
前記第2の層の厚さ(t
2)、
を包含する、方法が提供される。
【0007】
2つの測定を実施することにより、層状サンプルの各主要面(major surface)(face,面)からの1つ、2つの測定値が得られ、およびしたがって、層状サンプルの2つのパラメータを得ることができる。例えば、厚さと密度が分かっている場合には、第1の層および第2の層のそれぞれの厚さ、または、濃度と密度が分かっている場合には、第1の層および第2の層のそれぞれにおける第1の元素の濃度、を得ることができる。
【0008】
好ましい装置(arrangement)において、第2の測定は、第2のX線測定を実施する前に、第1のX線測定を実施するステップの後にサンプルを反転させることによって都合よく実施されてもよい。このようにして、両方の測定値は、1回の測定を行うのに通常使用されるのと同じ装置(equipment)を使用して取得することができる。
【0009】
好ましい実施形態では、計算は反復プロセスを使用する。
【0010】
例えば、一実施形態では、前記層パラメータから選択された少なくとも2の分析パラメータを計算することは、
(i)複数の分析パラメータとは別に、前記層パラメータのそれぞれについて仮定値または既知の値を取るステップ、
(ii)少なくとも1の分析パラメータとは別に、前記分析パラメータの前記値を仮定し、且つ、X線強度値および前記仮定および既知の値から、前記少なくとも1の分析パラメータの分析値を計算するステップ、および
前記分析パラメータおよびX線強度値のそれぞれについてステップ(ii)を繰り返し、前記分析パラメータの計算値が収束するまで、前記分析パラメータの前記仮定値を、前記分析パラメータの以前に得られた計算値で置き換えるステップ、
を含む。
【0011】
この反復プロセスは、多層構造の測定値(a measurement)から、本書では分析パラメータと呼ばれる単一のパラメータを計算するための既知の技術を使用することができ、且つ、それを少なくとも2つの分析パラメータの計算に適用することができる。従来、多層フィルムのXRF測定から2以上の(more than one)変数値を見出すことは困難であり、またはそれどころか不可能であった。第2の測定値を取るためにサンプルを単純に反転させることにより、または代わりに別の側からin situでサンプルを測定することにより、反復プロセスを使用して2つの分析パラメータを簡単に見つけるため、十分なデータが利用可能になる。
【0012】
本発明は、2つの分析パラメータを得るために2回の測定のみに限定されない。実施形態において、第1のX線測定は、それぞれのXRF線の少なくとも2つのX線強度値の測定を含むことができ、且つ、第2のX線測定は、同様に、それぞれのXRF線の少なくとも2つのX線強度値の測定を含むことができ、少なくとも4つのX線強度値をもたらす。計算され得る分析パラメータの数は、測定されたX線強度値の数までである。例えば、4つの強度値が測定される場合、4つの分析パラメータが計算されてもよい。もちろん、他のものが分かっている場合は、3つの分析パラメータを計算することもできる。第4の強度値は、照合(a check)として使用することができる。
【0013】
前記層パラメータから選択された少なくとも2の分析パラメータを計算するステップは、
(a)第1の分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定(assumed)または既知の(known)値を取り、第2の分析パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第1のX線強度値(I
1)および前記仮定および既知の値から前記第1の分析パラメータの分析値を計算するステップと、
(b)前記第2の分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、前記第1の分析パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第2のX線強度値(I
2)および前記仮定および既知の値から前記第2の分析パラメータの分析値を計算するステップと、
(c)前記第2の分析パラメータの前記仮定値を前記第2の分析パラメータの分析値で置き換え、且つ、前記第1のX線強度値(I
1)、前記仮定および既知の値、および前記第2の分析パラメータの前記分析値から、前記第1の分析パラメータの分析値を再計算するステップと、
(d)前記第1の分析パラメータの前記仮定値を前記第1の分析パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第2のX線強度値(I
2)、前記仮定および既知の値、および前記第1の分析パラメータの前記分析値から、前記第2の分析パラメータの分析値を再計算するステップと、
前記第1
の分析パラメータおよび前記第2
の分析パラメータの前記分析値が収束するまで、ステップ(c)および(d)を繰り返し、且つ、前記第1のおよび第2の分析パラメータの前記収束値を出力するステップと、
を含むことができる。
【0014】
あるいは、前記層パラメータから選択された少なくとも2の分析パラメータを計算するステップは、
(a)第1の分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、第2の分析パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第1のX線強度値(I
1)および前記仮定および既知の値から前記第1の分析パラメータの分析値を計算するステップと、
(b)前記分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて既知の値を取り、前記第1の分析パラメータの前記計算値を取り、且つ、前記第2のX線強度値(I
2)および前記計算され且つ既知の値から前記第2の分析パラメータの分析値を計算するステップと、
(c)前記第2の分析パラメータの前記仮定値を前記第2の分析パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第1のX線強度値(I
1)、前記仮定および既知の値、および前記第2の分析パラメータの前記分析値から、前記第1の分析パラメータの分析値を再計算するステップと、
(d)前記第1の分析パラメータの前記仮定値を前記第1の分析パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第2のX線強度値(I
2)、前記仮定および既知の値、および前記第1の分析パラメータの前記分析値から、前記第2の分析パラメータの分析値を再計算するステップと、
前記第1
の分析パラメータおよび前記第2
の分析パラメータの前記分析値が収束するまで、ステップ(c)および(d)を繰り返し、且つ、前記第1のおよび第2の分析パラメータの前記収束値を出力するステップと、
を含むことができる。
【0015】
前記サンプルは第3の層をさらに包含することができ、且つ、前記層パラメータは、
前記第3の層における前記第1の元素の濃度(C
3)、
前記第3の層の密度(d
3)、および
前記第3の層の厚さ(t
3)、
をさらに含む。
【0016】
当該方法は、
前記第1の測定中に前記第2の主要面に隣接する既知の組成のバッキング(backing)層を提供すること、および/または
前記第2の測定中に前記第1の主要面に隣接する既知の組成のバッキング層を提供すること、
をさらに含むことができる。
【0017】
同じバッキング層が前記第1および第2の測定に使用され得る。この場合、前記第1の主要面を貫通する第1のX線測定を実施する前記ステップは、前記第1のX線強度値(I
1)に加えて前記第2の元素に対応する第2のXRF線の第3のX線強度値(I
3)を取得し、且つ、
前記第2の主要面を貫通する第2のX線測定を実施する前記ステップは、前記第2の元素に対応する前記第2のXRF線の第4のX線強度値(I
4)を取得する。
【0018】
あるいは、前記異なる測定のための前記バッキング層は、異なっていてよい。この場合、第1のバッキング層は前記第1の元素とは異なる第2の元素の既知の組成を有してよく、且つ、第2のバッキング層は前記第1および第2の元素とは異なる第3の元素の既知の組成を有してよい。
前記第1の主要面を貫通する第1のX線測定を実施する前記ステップは、前記第1の元素に対応する前記第1のX線強度値(I
1)に加えて、前記第2の元素に対応する第2のXRF線の第3のX線強度値(I
3)を得るため、前記第1のバッキング層を使用してよく、且つ、
前記第2の主要面を貫通する第2のX線測定を実施する前記ステップは、前記第1の元素に対応する前記第2のX線強度値(I
2)に加えて、前記第3の元素に対応する第4のXRF線の第4のX線強度値(I
4)を得るため、前記第2のバッキング層を使用してよい。
【0019】
第1の主要面と、第2の主要面と、前記第1の主要面と前記第2の主要面との間の少なくとも2の層とを含む層状サンプルのX線蛍光測定を行うように構成されたコンピュータプログラムプロダクトが提供され得る。前記測定は、第1の元素に対応する第1のXRF線の第1のX線強度値(I
1)を得るため、前記第1の主要面を貫通する第1のX線測定と、前記第1の元素に対応する前記第1のXRF線の第2のX線強度値(I
2)を得るため、前記第2の主要面を貫通する第2のX線測定と、を包含し、
前記サンプルは、前記第1の層における前記第1の元素の濃度(C
1)と、前記
第2の層における前記第1
の元素の濃度(C
2)と、前記第1の層の密度(d
1)と、前記第2の層の密度(d
2)と、前記第1の層の厚さ(t
1)と、前記第2の層の厚さ(t
2)と、を包含する層パラメータにより特徴付けられ、
当該コンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータ上で実行されるとき、以下のステップ:
(i)複数の分析パラメータとは別に、前記層パラメータのそれぞれについて既知の値を取るステップ、
(ii)少なくとも1の分析パラメータとは別に、前記分析パラメータの前記値を仮定し、且つ、前記第1のX線強度値(I
1)および前記仮定および既知の値から、前記少なくとも1の分析パラメータの分析値を計算するステップ、および
(iii)少なくとも1の分析パラメータとは別に、前記分析パラメータの前記値を仮定し、且つ、前記第2のX線強度値(I
2)および前記仮定および既知の値から、前記少なくとも1の分析パラメータの分析値を計算するステップ、
前記分析パラメータおよび強度値のそれぞれについてステップ(ii)および(iii)を繰り返し、前記計算値が収束するまで、前記分析パラメータの前記仮定値を、前記分析パラメータの以前に得られた計算値で置き換えるステップ、および
前記分析パラメータの前記収束計算値を出力するステップ、
を実行するように構成される。
【0020】
当該コンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータ上で実行されるとき、以下のステップ:
(a)第1の層パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、第2の層パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第1のX線強度値(I
1)および前記仮定および既知の値から前記第1の層パラメータの分析値を計算するステップと、
(b)前記第2の層パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、第1の層パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第2のX線強度値(I
2)および前記仮定および既知の値から前記第2の層パラメータの分析値を計算するステップと、
(c)前記第2の層パラメータの前記仮定値を前記第2の層パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第1のX線強度値(I
1)、前記仮定および既知の値、および前記第2の層パラメータの前記分析値から、前記第1の層パラメータの分析値を再計算するステップと、
(d)前記第1の層パラメータの前記仮定値を前記第1の層パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第2のX線強度値(I
2)、前記仮定および既知の値、および前記第1の層パラメータの前記分析値から、前記第2の層パラメータの分析値を再計算するステップと、
前記第1の層パラメータおよび前記第2の層パラメータの前記分析値が収束するまで、ステップ(c)および(d)を繰り返し、且つ、前記第1のおよび第2の層パラメータの前記収束値を出力するステップと、
を実行するように構成されてよい。
【0021】
当該コンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータ上で実行されるとき、以下のステップ:
(a)第1の層パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、第2の層パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第1のX線強度値(I
1)および前記仮定および既知の値から前記第1の層パラメータの分析値を計算するステップと、
(b)前記第2の層パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定もしくは既知の値を取り、且つ、前記第1の層パラメータの前記分析値を取り、且つ、前記第2のX線強度値(I
2)および前記仮定および既知の値から前記第2の層パラメータの分析値を計算するステップと、
(c)前記第2の層パラメータの前記仮定値を前記第2の層パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第1のX線強度値(I
1)、前記仮定および既知の値、および前記第2の層パラメータの前記分析値から、前記第1の層パラメータの分析値を再計算するステップと、
(d)前記第1の層パラメータの前記仮定値を前記第1の層パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第2のX線強度値(I
2)、前記仮定および既知の値、および前記第1の層パラメータの前記分析値から、前記第2の層パラメータの分析値を再計算するステップと、
前記第1の層パラメータおよび前記第2の層パラメータの前記分析値が収束するまで、ステップ(c)および(d)を繰り返し、且つ、前記第1のおよび第2の層パラメータの前記収束値を出力するステップと、
を実行するように構成されてよい。