特許第6869881号(P6869881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869881
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】層状サンプルのXRFによる分析
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/223 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   G01N23/223
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-239122(P2017-239122)
(22)【出願日】2017年12月14日
(65)【公開番号】特開2018-105859(P2018-105859A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年4月2日
(31)【優先権主張番号】16206358.0
(32)【優先日】2016年12月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503310327
【氏名又は名称】マルバーン パナリティカル ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】アルマンド ヨンカース
(72)【発明者】
【氏名】ユスティナ ヴィーデマイア
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−210932(JP,A)
【文献】 特開2000−097885(JP,A)
【文献】 特開昭61−250509(JP,A)
【文献】 特開昭56−153209(JP,A)
【文献】 特開昭57−197409(JP,A)
【文献】 特開2008−039542(JP,A)
【文献】 米国特許第04696023(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
G01B 15/00−15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主要面と、第2の主要面と、前記第1の主要面と前記第2の主要面との間の少なくとも1つの第1の層と1つの第2の層とを含む層状サンプルのX線蛍光(XRF)測定を行う方法であって、当該方法は、
第1の元素に対応する第1のXRF線の第1のX線強度値(I)を得るため、前記第1の主要面を貫通する第1のX線測定を実施するステップと、
前記第1の元素に対応する前記第1のXRF線の第2のX線強度値(I)を得るため、前記第2の主要面を貫通する第2のX線測定を実施するステップと、
前記第1のX線強度値(I)および前記第2のX線強度値(I)から、複数の層パラメータから選択された少なくとも2の分析パラメータを計算するステップと、
を含み、前記層パラメータは、
第1の層における前記第1の元素の濃度(C)、
第2の層における前記第1の元素の濃度(C)、
前記第1の層の密度(d)、
前記第2の層の密度(d)、
前記第1の層の厚さ(t)、および
前記第2の層の厚さ(t)、
を包含し、
ここで、前記層パラメータから選択された前記少なくとも2の分析パラメータを計算することは、反復プロセスであり、前記反復プロセスは、
(i)前記少なくとも2の分析パラメータとは別に、前記層パラメータのそれぞれについて仮定値または既知の値を取るステップ、
(ii)少なくとも1の分析パラメータとは別に、前記分析パラメータの仮定値を仮定し、且つ、前記分析パラメータの前記仮定値、前記層パラメータの前記仮定もしくは既知の値、および前記第1のX線強度値または前記第2のX線強度から、前記少なくとも1の分析パラメータの分析値を計算するステップ、および
前記分析パラメータおよびX線強度値のそれぞれについてステップ(ii)を繰り返し、前記分析パラメータの分析値が収束するまで、前記分析パラメータの前記仮定値を、前記分析パラメータの以前に得られた分析値で置き換えるステップ、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2のX線測定を実施する前に、前記第1のX線測定を実施する前記ステップの後に、前記サンプルを反転させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のX線測定は、各XRF線の少なくとも2のX線強度値の測定を包含し、且つ、前記第2のX線測定は、各XRF線の少なくとも2のX線強度値の測定を包含し、少なくとも4のX線強度値をもたらす、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも4のX線強度値から少なくとも3の分析パラメータを計算するステップを包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
測定されたX線強度値と同数の分析パラメータを計算するステップを包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記層パラメータから選択された少なくとも2の分析パラメータを計算するステップは、
(a)第1の分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、第2の分析パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第1のX線強度値(I)および前記層パラメータのそれぞれおよび前記第2の分析パラメータの前記仮定値について、前記仮定もしくは既知の値から前記第1の分析パラメータの分析値を計算するステップと、
(b)前記第2の分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定もしくは既知の値を取り、前記第1の分析パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記層パラメータのそれぞれおよび前記第1の分析パラメータの前記仮定値について、前記第2のX線強度値(I)および前記仮定もしくは既知の値から前記第2の分析パラメータの分析値を計算するステップと、
(c)前記第2の分析パラメータの前記仮定値を前記第2の分析パラメータの分析値で置き換え、且つ、前記第1のX線強度値(I)、前記層パラメータのそれぞれについて前記仮定もしくは既知の値、および前記第2の分析パラメータの前記分析値から、前記第1の分析パラメータの分析値を再計算するステップと、
(d)前記第1の分析パラメータの前記仮定値を前記第1の分析パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第2のX線強度値(I)、前記層パラメータのそれぞれについて前記仮定もしくは既知の値、および前記第1の分析パラメータの前記分析値から、前記第2の分析パラメータの分析値を再計算するステップと、
前記第1の分析パラメータおよび前記第2の分析パラメータの前記分析値が、前記第1の分析パラメータの収束値および前記第2の分析パラメータの収束値に収束するまで、ステップ(c)および(d)を繰り返し、且つ、前記第1の分析パラメータの前記収束値および前記第2の分析パラメータの前記収束値を出力するステップと、
を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記層パラメータから選択された少なくとも2の分析パラメータを計算するステップは、
(a)第1の分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定もしくは既知の値を取り、第2の分析パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記層パラメータのそれぞれおよび前記第2の分析パラメータの前記仮定値について、前記第1のX線強度値(I)および前記仮定もしくは既知の値から前記第1の分析パラメータの分析値を計算するステップと、
(b)前記分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定もしくは既知の値を取り、前記第1の分析パラメータの前記分析値を取り、且つ、前記第2のX線強度値(I)および前記分析され且つ既知の値から前記第2の分析パラメータの分析値を計算するステップと、
(c)前記第2の分析パラメータの前記仮定値を前記第2の分析パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第1のX線強度値(I)、前記層パラメータのそれぞれについて前記仮定もしくは既知の値、および前記第2の分析パラメータの前記分析値から、前記第1の分析パラメータの分析値を再計算するステップと、
(d)前記第1の分析パラメータの前記仮定値を前記第1の分析パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第2のX線強度値(I)、前記層パラメータのそれぞれについて前記仮定もしくは既知の値、および前記第1の分析パラメータの前記分析値から、前記第2の分析パラメータの分析値を再計算するステップと、
前記第1の分析パラメータおよび前記第2の分析パラメータの前記分析値が、前記第1の分析パラメータの収束値および前記第2の分析パラメータの収束値に収束するまで、ステップ(c)および(d)を繰り返し、且つ、前記第1の分析パラメータの前記収束値および前記第2の分析パラメータの前記収束値を出力するステップと、
を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記サンプルが第3の層をさらに包含し、且つ、前記層パラメータが、
前記第3の層における前記第1の元素の濃度(C)、
前記第3の層の密度(d)、および
前記第3の層の厚さ(t)、
をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のX線測定中に前記第2の主要面に隣接する既知の組成のバッキング層を提供すること、および/または
前記第2のX線測定中に前記第1の主要面に隣接する既知の組成のバッキング層を提供すること、
をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記バッキング層は、前記第1の元素とは異なる第2の元素の既知の組成を有し、且つ、同じバッキング層が前記第1および第2のX線測定に使用され、
前記第1の主要面を貫通する第1のX線測定を実施する前記ステップは、前記第1のX線強度値(I)に加えて前記第2の元素に対応する第2のXRF線の第3のX線強度値(I)を取得し、且つ、
前記第2の主要面を貫通する第2のX線測定を実施する前記ステップは、前記第2のX線強度値(I)に加えて前記第2の元素に対応する前記第2のXRF線の第4のX線強度値(I)を取得する、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記バッキング層は、前記第1の元素とは異なる第2の元素の既知の組成の第1のバッキング層、および前記第1および第2の元素とは異なる第3の元素の既知の組成の第2のバッキング層を含み、
前記第1の主要面を貫通する第1のX線測定を実施する前記ステップは、前記第1の元素に対応する前記第1のX線強度値(I)に加えて、前記第2の元素に対応する第2のXRF線の第3のX線強度値(I)を得るため、前記第1のバッキング層を使用し、且つ、
前記第2の主要面を貫通する第2のX線測定を実施する前記ステップは、前記第1の元素に対応する前記第2のX線強度値(I)に加えて、前記第3の元素に対応する第4のXRF線の第4のX線強度値(I)を得るため、前記第2のバッキング層を使用する、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
第1の主要面と、第2の主要面と、前記第1の主要面と前記第2の主要面との間の少なくとも1つの第1の層と1つの第2の層とを含む層状サンプルのX線蛍光測定を行うように構成されたコンピュータプログラムであって、前記測定は、第1の元素に対応する第1のXRF線の第1のX線強度値(I)を得るため、前記第1の主要面を貫通する第1のX線測定と、前記第1の元素に対応する前記第1のXRF線の第2のX線強度値(I)を得るため、前記第2の主要面を貫通する第2のX線測定と、を包含し、
前記サンプルは、前記第1の層における前記第1の元素の濃度(C)と、前記第2の層における前記第1の元素の濃度(C)と、前記第1の層の密度(d)と、前記第2の層の密度(d)と、前記第1の層の厚さ(t)と、前記第2の層の厚さ(t)と、を包含する層パラメータにより特徴付けられ、
当該コンピュータプログラムは、コンピュータ上で実行されるとき、以下のステップ:
(i)複数の分析パラメータとは別に、前記層パラメータのそれぞれについて既知の値を取るステップ、
(ii)少なくとも1の分析パラメータとは別に、前記分析パラメータの仮定値を仮定し、且つ、前記層パラメータのそれぞれについて、前記第1のX線強度値(I)、前記分析パラメータの前記仮定値および前記既知の値から、前記少なくとも1の分析パラメータの分析値を計算するステップ、および
(iii)少なくとも1の分析パラメータとは別に、前記分析パラメータの前記値を仮定し、且つ、前記第2のX線強度値(I)および前記仮定および既知の値から、前記少なくとも1の分析パラメータの分析値を計算するステップ、
前記分析パラメータおよび強度値のそれぞれについてステップ(ii)および(iii)を繰り返し、ステップ(ii)で計算された前記少なくとも1つの分析パラメータの前記分析値が収束値に収束し、且つステップ(iii)で計算された前記少なくとも1つの分析パラメータの前記分析値値が収束値に収束するまで、ステップ(ii)で仮定された前記分析パラメータの前記仮定値およびステップ(iii)で仮定された前記分析パラメータの前記仮定値を、前記分析パラメータの以前に得られた分析値で置き換えるステップ、および
前記分析パラメータの前記収束値を出力するステップ、
を実行するように構成される、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムは、コンピュータ上で実行されるとき、以下のステップ:
(a)第1の層パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、第2の層パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第1のX線強度値(I)および前記仮定および既知の値から前記第1の層パラメータの分析値を計算するステップと、
(b)前記第2の層パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、第1の分析パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第2のX線強度値(I)および前記層パラメータのそれぞれおよび前記第1の分析パラメータの前記仮定値について、前記仮定もしくは既知の値から前記第2の層パラメータの分析値を計算するステップと、
(c)前記第2の層パラメータの前記仮定値を前記第2の層パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第1のX線強度値(I)、前記層パラメータのそれぞれについて前記仮定もしくは既知の値、および前記第2の層パラメータの前記分析値から、前記第1の層パラメータの分析値を再計算するステップと、
(d)前記第1の層パラメータの前記仮定値を前記第1の層パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第2のX線強度値(I)、前記層パラメータのそれぞれについて前記仮定もしくは既知の値、および前記第1の層パラメータの前記分析値から、前記第2の層パラメータの分析値を再計算するステップと、
前記第1の層パラメータおよび前記第2の層パラメータの前記分析値が、前記第1の層パラメータの収束値および前記第2の層パラメータの収束値に収束するまで、ステップ(c)および(d)を繰り返し、且つ、前記第1の層パラメータの前記収束値および前記第2の層パラメータの前記収束値を出力するステップと、
を実行するように構成される、コンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項12に記載のコンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムは、コンピュータ上で実行されるとき、以下のステップ:
(a)第1の層パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定もしくは既知の値を取り、第2の層パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第1のX線強度値(I)および前記層パラメータのそれぞれについて前記仮定もしくは既知の値および前記第2の層パラメータの前記仮定値から前記第1の層パラメータの分析値を計算するステップと、
(b)前記第2の層パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定もしくは既知の値を取り、且つ、前記第1の層パラメータの前記分析値を取り、且つ、前記第2のX線強度値(I)および前記層パラメータのそれぞれについて前記仮定もしくは既知の値から前記第2の層パラメータの分析値を計算するステップと、
(c)前記第2の層パラメータの前記仮定値を前記第2の層パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第1のX線強度値(I)、前記層パラメータのそれぞれについて前記仮定もしくは既知の値、および前記第2の層パラメータの前記分析値から、前記第1の層パラメータの分析値を再計算するステップと、
(d)前記第1の層パラメータの前記仮定値を前記第1の層パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第2のX線強度値(I)、前記層パラメータのそれぞれについて前記仮定もしくは既知の値、および前記第1の層パラメータの前記分析値から、前記第2の層パラメータの分析値を再計算するステップと、
前記第1の層パラメータおよび前記第2の層パラメータの前記分析値が、前記第1の層パラメータの収束値および前記第2の層パラメータの収束値に収束するまで、ステップ(c)および(d)を繰り返し、且つ、前記第1の層パラメータの前記収束値および記第2の層パラメータの前記収束値を出力するステップと、
を実行するように構成される、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、X線蛍光(X-ray fluorescence,XRF)を用いた層状サンプルの分析に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
X線蛍光(XRF)によるサンプルの測定は、工業分析でよく知られた技術である。個々のスペクトル線は個々の元素(elements)に対応する。サンプルを測定することができ、且つ、それぞれのXRFスペクトル線の強度が、対応する元素の量の尺度を与える。
【0003】
層状のサンプル(layered samples)では分析が困難な場合がある。これは、特に限られた量のスペクトル線のみが測定に利用可能である場合に当てはまる。有限の厚さの層では、1つの層上のX線は別の層を通過し、且つ、部分的に吸収され得る。
【0004】
XRF測定から層状サンプルのパラメータを計算するために使用できる方法の詳細については、Handbook of Practical X−Ray Fluorescence Analysis XRF, by Peter Brouwer(ISBN 90−9016758−7)の第5.5章を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
XRF線が層のうち単一の層(a single one)における元素(an element)から来た場合、強度を測定し、且つ、1つの変数、例えば、その層における元素の濃度もしくは層の厚さ、またはその元素を含有する層の上の層の厚さ、を計算することが可能である。しかし、元素が2以上の(more than one of)層に存在し得る場合には、どの層から測定シグナルが来ているかを知ることは一般的に不可能である。したがって、特定のスペクトル線における強度が2以上の層から来る場合には、特に工業的設定では、利用可能ではない可能性がある、より多くの情報なしにこのような分析を行うことは不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明の第1の態様によれば、第1の主要面(major surface)と、第2の主要面と、前記第1の主要面と前記第2の主要面との間の少なくとも2の層とを含む層状サンプルのX線蛍光(XRF)測定を行う方法であって、当該方法は、
第1の元素に対応する第1のXRF線の第1のX線強度値(I)を得るため、前記第1の主要面を貫通する(through)第1のX線測定を実施するステップと、
前記第1の元素に対応する前記第1のXRF線の第2のX線強度値(I)を得るため、前記第2の主要面を貫通する第2のX線測定を実施するステップと、
前記第1のX線強度値(I)および第2のX線強度値(I)から、層パラメータから選択される少なくとも2の分析パラメータ(analysis parameters)を計算するステップと、
を含み、前記層パラメータは、
第1の層における第1の元素の濃度(C)、
第2の層における前記第1の元素の濃度(C)、
前記第1の層の密度(d)、
前記第2の層の密度(d)、
前記第1の層の厚さ(t)、および
前記第2の層の厚さ(t)、
を包含する、方法が提供される。
【0007】
2つの測定を実施することにより、層状サンプルの各主要面(major surface)(face,面)からの1つ、2つの測定値が得られ、およびしたがって、層状サンプルの2つのパラメータを得ることができる。例えば、厚さと密度が分かっている場合には、第1の層および第2の層のそれぞれの厚さ、または、濃度と密度が分かっている場合には、第1の層および第2の層のそれぞれにおける第1の元素の濃度、を得ることができる。
【0008】
好ましい装置(arrangement)において、第2の測定は、第2のX線測定を実施する前に、第1のX線測定を実施するステップの後にサンプルを反転させることによって都合よく実施されてもよい。このようにして、両方の測定値は、1回の測定を行うのに通常使用されるのと同じ装置(equipment)を使用して取得することができる。
【0009】
好ましい実施形態では、計算は反復プロセスを使用する。
【0010】
例えば、一実施形態では、前記層パラメータから選択された少なくとも2の分析パラメータを計算することは、
(i)複数の分析パラメータとは別に、前記層パラメータのそれぞれについて仮定値または既知の値を取るステップ、
(ii)少なくとも1の分析パラメータとは別に、前記分析パラメータの前記値を仮定し、且つ、X線強度値および前記仮定および既知の値から、前記少なくとも1の分析パラメータの分析値を計算するステップ、および
前記分析パラメータおよびX線強度値のそれぞれについてステップ(ii)を繰り返し、前記分析パラメータの計算値が収束するまで、前記分析パラメータの前記仮定値を、前記分析パラメータの以前に得られた計算値で置き換えるステップ、
を含む。
【0011】
この反復プロセスは、多層構造の測定値(a measurement)から、本書では分析パラメータと呼ばれる単一のパラメータを計算するための既知の技術を使用することができ、且つ、それを少なくとも2つの分析パラメータの計算に適用することができる。従来、多層フィルムのXRF測定から2以上の(more than one)変数値を見出すことは困難であり、またはそれどころか不可能であった。第2の測定値を取るためにサンプルを単純に反転させることにより、または代わりに別の側からin situでサンプルを測定することにより、反復プロセスを使用して2つの分析パラメータを簡単に見つけるため、十分なデータが利用可能になる。
【0012】
本発明は、2つの分析パラメータを得るために2回の測定のみに限定されない。実施形態において、第1のX線測定は、それぞれのXRF線の少なくとも2つのX線強度値の測定を含むことができ、且つ、第2のX線測定は、同様に、それぞれのXRF線の少なくとも2つのX線強度値の測定を含むことができ、少なくとも4つのX線強度値をもたらす。計算され得る分析パラメータの数は、測定されたX線強度値の数までである。例えば、4つの強度値が測定される場合、4つの分析パラメータが計算されてもよい。もちろん、他のものが分かっている場合は、3つの分析パラメータを計算することもできる。第4の強度値は、照合(a check)として使用することができる。
【0013】
前記層パラメータから選択された少なくとも2の分析パラメータを計算するステップは、
(a)第1の分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定(assumed)または既知の(known)値を取り、第2の分析パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第1のX線強度値(I)および前記仮定および既知の値から前記第1の分析パラメータの分析値を計算するステップと、
(b)前記第2の分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、前記第1の分析パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第2のX線強度値(I)および前記仮定および既知の値から前記第2の分析パラメータの分析値を計算するステップと、
(c)前記第2の分析パラメータの前記仮定値を前記第2の分析パラメータの分析値で置き換え、且つ、前記第1のX線強度値(I)、前記仮定および既知の値、および前記第2の分析パラメータの前記分析値から、前記第1の分析パラメータの分析値を再計算するステップと、
(d)前記第1の分析パラメータの前記仮定値を前記第1の分析パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第2のX線強度値(I)、前記仮定および既知の値、および前記第1の分析パラメータの前記分析値から、前記第2の分析パラメータの分析値を再計算するステップと、
前記第1分析パラメータおよび前記第2分析パラメータの前記分析値が収束するまで、ステップ(c)および(d)を繰り返し、且つ、前記第1のおよび第2の分析パラメータの前記収束値を出力するステップと、
を含むことができる。
【0014】
あるいは、前記層パラメータから選択された少なくとも2の分析パラメータを計算するステップは、
(a)第1の分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、第2の分析パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第1のX線強度値(I)および前記仮定および既知の値から前記第1の分析パラメータの分析値を計算するステップと、
(b)前記分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて既知の値を取り、前記第1の分析パラメータの前記計算値を取り、且つ、前記第2のX線強度値(I)および前記計算され且つ既知の値から前記第2の分析パラメータの分析値を計算するステップと、
(c)前記第2の分析パラメータの前記仮定値を前記第2の分析パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第1のX線強度値(I)、前記仮定および既知の値、および前記第2の分析パラメータの前記分析値から、前記第1の分析パラメータの分析値を再計算するステップと、
(d)前記第1の分析パラメータの前記仮定値を前記第1の分析パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第2のX線強度値(I)、前記仮定および既知の値、および前記第1の分析パラメータの前記分析値から、前記第2の分析パラメータの分析値を再計算するステップと、
前記第1分析パラメータおよび前記第2分析パラメータの前記分析値が収束するまで、ステップ(c)および(d)を繰り返し、且つ、前記第1のおよび第2の分析パラメータの前記収束値を出力するステップと、
を含むことができる。
【0015】
前記サンプルは第3の層をさらに包含することができ、且つ、前記層パラメータは、
前記第3の層における前記第1の元素の濃度(C)、
前記第3の層の密度(d)、および
前記第3の層の厚さ(t)、
をさらに含む。
【0016】
当該方法は、
前記第1の測定中に前記第2の主要面に隣接する既知の組成のバッキング(backing)層を提供すること、および/または
前記第2の測定中に前記第1の主要面に隣接する既知の組成のバッキング層を提供すること、
をさらに含むことができる。
【0017】
同じバッキング層が前記第1および第2の測定に使用され得る。この場合、前記第1の主要面を貫通する第1のX線測定を実施する前記ステップは、前記第1のX線強度値(I)に加えて前記第2の元素に対応する第2のXRF線の第3のX線強度値(I)を取得し、且つ、
前記第2の主要面を貫通する第2のX線測定を実施する前記ステップは、前記第2の元素に対応する前記第2のXRF線の第4のX線強度値(I)を取得する。
【0018】
あるいは、前記異なる測定のための前記バッキング層は、異なっていてよい。この場合、第1のバッキング層は前記第1の元素とは異なる第2の元素の既知の組成を有してよく、且つ、第2のバッキング層は前記第1および第2の元素とは異なる第3の元素の既知の組成を有してよい。
前記第1の主要面を貫通する第1のX線測定を実施する前記ステップは、前記第1の元素に対応する前記第1のX線強度値(I)に加えて、前記第2の元素に対応する第2のXRF線の第3のX線強度値(I)を得るため、前記第1のバッキング層を使用してよく、且つ、
前記第2の主要面を貫通する第2のX線測定を実施する前記ステップは、前記第1の元素に対応する前記第2のX線強度値(I)に加えて、前記第3の元素に対応する第4のXRF線の第4のX線強度値(I)を得るため、前記第2のバッキング層を使用してよい。
【0019】
第1の主要面と、第2の主要面と、前記第1の主要面と前記第2の主要面との間の少なくとも2の層とを含む層状サンプルのX線蛍光測定を行うように構成されたコンピュータプログラムプロダクトが提供され得る。前記測定は、第1の元素に対応する第1のXRF線の第1のX線強度値(I)を得るため、前記第1の主要面を貫通する第1のX線測定と、前記第1の元素に対応する前記第1のXRF線の第2のX線強度値(I)を得るため、前記第2の主要面を貫通する第2のX線測定と、を包含し、
前記サンプルは、前記第1の層における前記第1の元素の濃度(C)と、前記第2の層における前記第1元素の濃度(C)と、前記第1の層の密度(d)と、前記第2の層の密度(d)と、前記第1の層の厚さ(t)と、前記第2の層の厚さ(t)と、を包含する層パラメータにより特徴付けられ、
当該コンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータ上で実行されるとき、以下のステップ:
(i)複数の分析パラメータとは別に、前記層パラメータのそれぞれについて既知の値を取るステップ、
(ii)少なくとも1の分析パラメータとは別に、前記分析パラメータの前記値を仮定し、且つ、前記第1のX線強度値(I)および前記仮定および既知の値から、前記少なくとも1の分析パラメータの分析値を計算するステップ、および
(iii)少なくとも1の分析パラメータとは別に、前記分析パラメータの前記値を仮定し、且つ、前記第2のX線強度値(I)および前記仮定および既知の値から、前記少なくとも1の分析パラメータの分析値を計算するステップ、
前記分析パラメータおよび強度値のそれぞれについてステップ(ii)および(iii)を繰り返し、前記計算値が収束するまで、前記分析パラメータの前記仮定値を、前記分析パラメータの以前に得られた計算値で置き換えるステップ、および
前記分析パラメータの前記収束計算値を出力するステップ、
を実行するように構成される。
【0020】
当該コンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータ上で実行されるとき、以下のステップ:
(a)第1の層パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、第2の層パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第1のX線強度値(I)および前記仮定および既知の値から前記第1の層パラメータの分析値を計算するステップと、
(b)前記第2の層パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、第1の層パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第2のX線強度値(I)および前記仮定および既知の値から前記第2の層パラメータの分析値を計算するステップと、
(c)前記第2の層パラメータの前記仮定値を前記第2の層パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第1のX線強度値(I)、前記仮定および既知の値、および前記第2の層パラメータの前記分析値から、前記第1の層パラメータの分析値を再計算するステップと、
(d)前記第1の層パラメータの前記仮定値を前記第1の層パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第2のX線強度値(I)、前記仮定および既知の値、および前記第1の層パラメータの前記分析値から、前記第2の層パラメータの分析値を再計算するステップと、
前記第1の層パラメータおよび前記第2の層パラメータの前記分析値が収束するまで、ステップ(c)および(d)を繰り返し、且つ、前記第1のおよび第2の層パラメータの前記収束値を出力するステップと、
を実行するように構成されてよい。
【0021】
当該コンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータ上で実行されるとき、以下のステップ:
(a)第1の層パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、第2の層パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第1のX線強度値(I)および前記仮定および既知の値から前記第1の層パラメータの分析値を計算するステップと、
(b)前記第2の層パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定もしくは既知の値を取り、且つ、前記第1の層パラメータの前記分析値を取り、且つ、前記第2のX線強度値(I)および前記仮定および既知の値から前記第2の層パラメータの分析値を計算するステップと、
(c)前記第2の層パラメータの前記仮定値を前記第2の層パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第1のX線強度値(I)、前記仮定および既知の値、および前記第2の層パラメータの前記分析値から、前記第1の層パラメータの分析値を再計算するステップと、
(d)前記第1の層パラメータの前記仮定値を前記第1の層パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第2のX線強度値(I)、前記仮定および既知の値、および前記第1の層パラメータの前記分析値から、前記第2の層パラメータの分析値を再計算するステップと、
前記第1の層パラメータおよび前記第2の層パラメータの前記分析値が収束するまで、ステップ(c)および(d)を繰り返し、且つ、前記第1のおよび第2の層パラメータの前記収束値を出力するステップと、
を実行するように構成されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施例がここで添付図面を参照して説明される。
図1】第1のサンプルに関する測定(measurements)を示す図である。
図2】本発明の一実施形態のフロー図である。
図3】本発明の特定の実施形態のフロー図である。
図4】本発明の別の特定の実施形態のフロー図である。
図5】本発明のさらなる実施形態による別のサンプルに関する測定(measurements)を示す図である。
図6】本発明のさらなる実施形態によるバッキング層を使用する測定(measurements)を示す図である。
図7図7は、本発明のさらに別の実施形態による2つのバッキング層を使用する測定を示す図である。
図8】本発明のさらなる実施形態によるさらなるサンプルに関する測定(measurements)を示す。 図は概略図であり、縮尺どおりではない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
第1の例では、図1に示すようなサンプルの測定を考慮する。サンプルは、第2の層12の上に第1の層10を有する2層のサンプルである。第1の層は厚さtを有し、且つ、濃度C(%)および密度dで存在するSiOを有するポリマーから構成される。第2の層12は厚さtを有し、且つ、濃度C(%)および密度dで存在するSiOを有するポリマーから構成される。これらの濃度、厚さおよび密度は、層を記述するパラメータであるため、層パラメータ(layer parameters)と呼ばれる。
【0024】
この例では、測定は、他の層パラメータが既知であると仮定して、厚さtおよびtを測定することを意図している。測定しようとするこれらのパラメータは、分析パラメータ(analysis parameters)と呼ばれる。
【0025】
第1のステップでは、Si Kαスペクトル線を用いて、従来のXRF測定が第2の層12の側から行われる(測定(measurement)A)。次に、第2のステップにおいて、サンプルを上下逆さまにし、Si Kαスペクトル線を用いて、第1の層10の側から第2の従来のXRF測定を行なわれる(測定B)。各測定は、それぞれの計数率(count rate)(強度)を送達する。
【0026】
詳細については、Handbook of Practical X−Ray Fluorescence Analysis XRF, by Peter Brouwerの5.5章を参照。これは、多層サンプルの1以上のXRF線(lines)の測定が1以上のパラメータ値を生じさせる方法を記述する。セクション5.5.4で説明されるように、XRF線の測定から決定できるパラメータの最大数は、各測定線について1パラメータである。したがって、例えば2つの元素に対応する2つの測定線を放出するサンプルに対して、2つのパラメータを測定することができる。
【0027】
本発明者らは、サンプルを2回測定することにより、1サンプルから2倍のパラメータ数を測定できることを認識した。1回は、一方の主要面からであり、1回は、他方の主要面からである。これは以前は不可能だった多くのパラメータの測定を可能にする。
【0028】
Handbook of Practical X−Ray Fluorescence Analysis XRFの第5.5章に提示されている計算は幾分複雑であるため、実際には、測定された各X線ラインについて1つの変数が存在し、且つ、他のすべてのパラメータが既知である場合、多層サンプルについての結果を分析することができる、市販の分析ソフトウェアを使用するのが普通である。このような市販の分析ソフトウェアは、例えばStratosおよびFP−Multiの名称で入手可能である。
【0029】
1より多い変数を分析するために、測定値(measurements)(この例では各層の厚さtおよびt)から複数の分析パラメータを見つけるために、反復手順が使用される。
【0030】
市販ソフトウェアを使用すると、まず、測定Aと測定Bの両方のためにソフトウェアに材料スタックが設定される。測定Aの場合、C%SiOを有するポリマーの第2の層は、C%SiOを有する第1の層の上方に設定される。測定Bの場合、C%SiOを有する第1の層は、C%SiOを有するポリマーの第2の層の上方に設定される。これらの層の値CおよびCは、事前に既知であり、−それらは、別々に測定されてもよく、または単に定数および仮定値(assumed)でもよく、―およびしたがって既知の値と呼ばれる。
【0031】
手順を開始するために、第1の層について、厚さt1,assumedが仮定され、および、測定Aの測定されたカウントから第2の層の厚さ、t2,analysedを誘導するのにソフトウェアが使用される。並行して、第2の層について、厚さt2,assumedが仮定され、測定Bのカウントから第2の層の厚さ、t2,analysedを誘導するのにソフトウェアが使用される。
【0032】
これらの分析値t1,assumedおよびt2,analysedは順番であり(in turn)、次いで測定AおよびBの両方の仮定値の代わりに入力として使用され、且つ、同じ係数率が、厚さt2,assumedおよびt2,analysedを再計算するために同じ計数率が使用される。
【0033】
この手順は、反復プロセスが収束するまで繰り返される。
【0034】
この反復プロセスを使用する一例が実行され、以下の結果を得た。

反復# 厚さ(層2、μm) 厚さ(層1、μm)
0 13.099 0.99
1 13.099 1.612
2 13.099 1.612
【0035】
理解されるように、この特定の例では、プロセスは、層2の厚さと層1の厚さの両方の計算値(計算された分析値)を得るため、1回の反復後に非常に迅速に収束する。
【0036】
測定は、元素Siに限定されず、例示的な測定で使用されるライン型Kαの使用に限定されないことに留意されたい。代わりに、異なるスペクトル線および異なる元素が、測定されるスタックの組成に応じて測定されてもよい。
【0037】
より一般的には、プロセスの一実施形態に関するフローチャートが図2に示されている。この方法は、前記特定の例において示すように、IおよびIより高い(above)、測定された強度から開始する。必要であれば、複数の元素、並びに複数のX線ラインによって、測定が取られてもよい。
【0038】
次に、測定された強度から計算される分析パラメータ以外の層パラメータの既知の値が取られる(ステップ30)。
【0039】
次に、1以上の測定(measurements)から、分析パラメータの少なくとも1つ(ステップ32)および計算された少なくとも1の他の分析パラメータ(ステップ34)について、値が仮定される。以下に図3を参照してより詳細に説明するように、これを行う1つの方法は、その他の分析パラメータの各々について仮定値を有するそれぞれの測定から、並列に書く分析パラメータを計算することである。あるいは、図4に関して図示されているように、このステップではただ1つの単一の分析パラメータが計算可能である。
【0040】
次に、いずれの計算された分析パラメータ値を、それぞれの仮定値を置き換えるのに用いる(ステップ36)。少なくとも1つの分析パラメータが再計算される(ステップ38)。ステップ34においてすべての分析パラメータが計算された場合、典型的には、ステップ38において全てが再計算され、各再計算は、それぞれの測定強度を使用する。あるいは、ステップ38は、再び単独で順番に取られた測定強度から、単独で順番に各分析パラメータを計算することができる。
【0041】
次いでプロセスの集束(convergence)がテストされる。分析パラメータが収束していない場合、ステップ36および38は、収束するまで(until they are)、反復的な方法で繰り返される。
【0042】
分析パラメータが収束すると、それらが出力される(ステップ42)。
【0043】
図3を参照すると、図1に関して上述した特定の例では、本方法は、まず、第1の強度値から第1の分析パラメータの計算を実施し、並行して、第2の強度値からの第2の分析パラメータの計算を実施する。
【0044】
より詳細には、一連のステップは、
(a)第1の分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、第2の分析パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第1のX線強度値(I)および前記仮定および既知の値から前記第1の分析パラメータの分析値を計算するステップ、
(b)前記第2の分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、前記第1の分析パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第2のX線強度値(I)および前記仮定および既知の値から前記第2の分析パラメータの分析値を計算するステップ、
(c)前記第2の分析パラメータの前記仮定値を前記第2の分析パラメータの分析値で置き換え、且つ、前記第1のX線強度値(I)、前記仮定および既知の値、および前記第2の分析パラメータの前記分析値から、前記第1の分析パラメータの分析値を再計算するステップ、
(d)前記第1の分析パラメータの前記仮定値を前記第1の分析パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第2のX線強度値(I)、前記仮定および既知の値、および前記第1の分析パラメータの前記分析値から、前記第2の分析パラメータの分析値を再計算するステップ、および
前記第1分析パラメータおよび前記第2分析パラメータの前記分析値が収束するまで、ステップ(c)および(d)を繰り返し、且つ、前記第1のおよび第2の分析パラメータの前記収束値を出力するステップ、
であり得る。
【0045】
図4を参照して説明した別の手法では、当該方法はまず、第1の強度値から第1の分析パラメータの計算を行い、その後、図3の方法におけるような仮定値からではなく、第1の計算結果を用いて第2の強度値から第2の分析パラメータの計算を行う。
【0046】
より詳細には、一連のステップは、
(a)第1の分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて仮定または既知の値を取り、第2の分析パラメータの仮定値を包含し、且つ、前記第1のX線強度値(I)および前記仮定および既知の値から前記第1の分析パラメータの分析値を計算するステップ、
(b)前記分析パラメータとは別に前記層パラメータのそれぞれについて既知の値を取り、前記第1の分析パラメータの前記計算値を取り、且つ、前記第2のX線強度値(I)および前記計算され且つ既知の値から前記第2の分析パラメータの分析値を計算するステップ、
(c)前記第2の分析パラメータの前記仮定値を前記第2の分析パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第1のX線強度値(I)、前記仮定および既知の値、および前記第2の分析パラメータの前記分析値から、前記第1の分析パラメータの分析値を再計算するステップ、
(d)前記第1の分析パラメータの前記仮定値を前記第1の分析パラメータの前記分析値で置き換え、且つ、前記第2のX線強度値(I)、前記仮定および既知の値、および前記第1の分析パラメータの前記分析値から、前記第2の分析パラメータの分析値を再計算するステップ、および
前記第1分析パラメータおよび前記第2分析パラメータの前記分析値が収束するまで、ステップ(c)および(d)を繰り返し、且つ、前記第1のおよび第2の分析パラメータの前記収束値を出力するステップ、
であり得る。
【0047】
当該方法は、より複雑なシナリオに適用することができる。
【0048】
図5を参照すると、当該方法は2つの層だけに限定されない。当該方法はまた、図5に示す3つの層(第1の層10、第2の層12および第3の層14)などの多層サンプルについても機能する。この場合、9つの潜在的なパラメータ(C、C、C、t、t、t、d、d、d)が存在し、且つ、他のものが既知であれば、それらのうちのいずれ2つを計算するために当該方法を使用することができる。
【0049】
特に、各元素(respective elements)の厚さおよび密度が既知であれば、各元素の濃度を計算することができることが理解されよう。
【0050】
当該方法は、他のタイプの材料でも使用でき、特に金属箔、ガラス、紙、およびその他の測定に使用することができる。
【0051】
当該方法は、それらが測定可能なX線ラインを生成する限り、例えば添加剤およびコーティングを包含する、興味対象の層の測定に使用することができる。当該方法は、他の材料の線を吸収する元素の測定にも使用できる。
【0052】
2より多い変数が必要な場合には、図6に示すように、当該方法の拡張を使用することができる。この場合、3層構造の3つの層の厚さが得られる。図5に関して上述した当該方法は、2つの測定データ(測定値Aと測定値B)しか生成しないので、原則として3つの厚さを決定することはできない。
【0053】
本発明者らは、既知の組成において追加の元素を含有する層である追加の層、バッキング層20を使用することが可能であることを理解した。バッキング層は、必要に応じて、そのような元素を2以上(more than one)含むことができ、異なる厚さおよび密度の複数の層を包含することができる。
【0054】
図6の例では、バッキング層はモリブデン(Mo)の金属箔である。測定Aはここで、MoとSiとの両方に対応する線を測定する。この実施形態では、測定BはMoバッキング層を省略している。
【0055】
追加の元素(ここではMo)からのX線ラインは、追加の(extra)パラメータの分析を可能にするため、追加の(extra)情報を提供する層のスタックを貫通して(through)吸収される。
【0056】
再び、測定AおよびBにおける厚さを計算するために繰り返しが使用される。3つ以上の(more than two)変数が測定される場合、各反復について変数の1つを除いてすべてが仮定され、且つ、1つの変数が計算される。計算された変数は、各反復を通じて一度に1つずつ循環される。
【0057】
この場合、測定Aは2つの強度値(SiおよびMo)を送達し、且つ、測定Bは1つの強度値(Si)を送達し、3つのパラメータを分析できるようにする3つの測定をもたらす。
【0058】
この手法の変形例を図7に示される。この場合、測定AおよびBには、それぞれ異なるバッキング層20、22が使用される。各場合において、それぞれ異なる元素、例えばバッキング層20におけるMoが測定Aに使用され、バッキング層22におけるNiが測定Bに使用される。
【0059】
更なる変形例が図8に示される。この例では、サンプルは、銅、いずれかの側に1つ、を含有する2つのポリマー層を有するAl層である。測定AおよびBのそれぞれは、CuKαおよびCuLαの両方を用いた測定値を包含する。このようにして、Cuの存在に関する合計4つの強度値が作られる。4つの測定が行われているので、4つの異なるパラメータを決定することが可能であり、且つ、このようにして、密度が既知であると仮定して、Cu含有層の両方の厚さおよび濃度を測定することができる。
【0060】
したがって、当該方法は、2つの測定から2つのパラメータを得ることにのみに限定されず、追加の元素またはラインを測定することによって、追加のパラメータを測定することができる。サンプルを反転させる(または異なる側から測定する)ことにより、可能な場合に比べて2倍の測定数を行うことができる。
【0061】
さらに、Alの密度および厚さは、Alラインを用いて測定することもできる。
【0062】
図8はもちろんSiを含まない測定プロセスの例でもある。当該方法は、Si、Cu、Alなどに限定されず、且つ、いずれの適切な元素を測定することができる。
【0063】
この手法は、場合によっては追加の変数の決定を可能にする、異なる測定で異なる線を使用することにより、さらに多くのデータを送達することが理解されよう。
【符号の説明】
【0064】
10 第1の層
12 第2の層
14 第3の層
20、22 バッキング層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8