特許第6869893号(P6869893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869893
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】前頭葉機能障害治療剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4439 20060101AFI20210426BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20210426BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20210426BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   A61K31/4439
   A61P25/00
   A61P25/16
   A61P25/28
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-547186(P2017-547186)
(86)(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公表番号】特表2018-508540(P2018-508540A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】JP2016059788
(87)【国際公開番号】WO2016148308
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2019年3月6日
(31)【優先権主張番号】特願2015-55532(P2015-55532)
(32)【優先日】2015年3月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001029
【氏名又は名称】協和キリン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】堀田 崇子
【審査官】 大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/063743(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/126082(WO,A1)
【文献】 太田晃一,パーキンソン病とレビ−小体型認知症、そしてアルツハイマー病,Frontiers in Parkinson Disease,2009年,Vol.2, No.3,p30-35
【文献】 Dennis W. Dickson,脳21,2007年,Vol.10, No.3,p.102-108
【文献】 鈴木由希子、数井裕光、武田雅俊,パーキンソン病の認知機能障害,老年精神医学雑誌,2014年,第25巻、第11号,p.1218-1221
【文献】 中島健二、瀧川洋史、足立正,進行性核上性麻痺(PSP)およびその亜型,Medical Practice,2013年,vol.30, no.1,p.60-63
【文献】 Takao Kadowaki Horita et al.,Effects of adenosine A2A antagonist istradefylline on cognintive performance in rats with a 6-OHDA leision in prefrontal cortex,Psycopharmacology,2013年,vol.230, no.3,p.345-352
【文献】 Jose Luis Albasanz Herrero,Purines 2010 Adenine Nucleosides and Nucleotides in Biomedicine/Different modulation of adenosine receptors in human brain from dementia with Lewy body,Purinergic Signalling,2010年 6月17日,Vol.6,p.108-109
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4439
A61P 25/00
A61P 25/16
A61P 25/28
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する前頭葉機能障害の治療および/または予防剤であって、前頭葉機能障害が認知障害であり、認知障害が、パーキンソン病における認知障害、慢性ストレスによる認知障害、レビー小体型認知症または前頭側頭型認知症である剤。
【請求項2】
認知障害が、パーキンソン病における認知障害である請求項1に記載の剤。
【請求項3】
パーキンソン病における認知障害が、遂行機能障害、記憶障害、視空間認知障害または嗅覚障害である請求項2に記載の剤。
【請求項4】
認知障害が、慢性ストレスによる認知障害である請求項1に記載の剤。
【請求項5】
認知障害が、レビー小体型認知症である請求項1に記載の剤。
【請求項6】
式(I):
【化2】

で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する前頭葉機能障害の治療および/または予防剤であって、前頭葉機能障害が、内側前頭前皮質のドパミン機能低下による認知障害である剤。
【請求項7】
式(I):
【化3】

で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するレビー小体病の治療および/または予防剤であって、レビー小体病が、パーキンソン病における認知障害、びまん性レビー小体病またはレビー小体型認知症である治療および/または予防剤
【請求項8】
レビー小体病が、パーキンソン病における認知障害である請求項7に記載の剤。
【請求項9】
レビー小体病が、びまん性レビー小体病である請求項7に記載の剤。
【請求項10】
レビー小体病が、レビー小体型認知症である請求項7に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば前頭葉機能障害(例えば認知障害(例えばパーキンソン病における認知障害(例えば遂行機能障害、記憶障害(特に短期記憶障害)、視空間認知障害、嗅覚障害など)、慢性ストレスによる認知障害、レビー小体型認知症、進行性核上性麻痺、前頭側頭型認知症など)など)、レビー小体病(例えば、パーキンソン病における認知障害、びまん性レビー小体病、レビー小体病型認知症、レビー小体病における運動障害など)などの治療および/または予防剤に関する。
【背景技術】
【0002】
脳の前頭葉の前頭前皮質は認知機能(例えば理解力、判断力、計算力、見当識、実行機能など)を司っている。前頭前皮質の機能にはドパミン、セロトニン、ノルエピネフリン、ガンマアミノ酪酸などの神経伝達物質が関与しており、これらの物質が欠乏すると、認知障害が起きる。例えば、高齢者ではドパミン機能の低下と認知機能低下が相関することが報告されている(American Journal of Psychiatry 155:3, p.344 (1998))。また、前頭前皮質のドパミンの機能低下はパーキンソン病における認知障害および慢性ストレスによる認知障害に関係している可能性があることが報告されている(Archives of Neurology, 57, p.470 (2000); The Journal of Neuroscience, 20(4), p.1568 (2000))。認知症を伴うパーキンソン病患者およびレビー小体型認知症患者の前頭前皮質ではドパミンが欠乏していることが報告されている(Neurology, 74, p.885 (2010))。
【0003】
α-シヌクレイン(α-synuclein)は脳内のシナプス前終末に多く存在し、シナプス可塑性や神経伝達に関与する蛋白である(Journal of Chemical Neuroanatomy,42,p.242(2011))。α-シヌクレイノパチー(α-synucleinopathy)はα-シヌクレインの集積・凝集形成を特徴とする神経変性疾患の総称であり、例えば、レビー小体病(lewy body disease)(例えばパーキンソン病における認知症(Parkinson's disease dementia)、びまん性レビー小体病(diffuse lewy body disease)、レビー小体型認知症(lewy body dementia)、レビー小体病における運動障害など)、多系統萎縮症(multiple system atrophy)(例えばオリーブ橋小脳萎縮症(olivopontocerebellar atrophy)、線条体黒質変性症(striatonigral degeneration)、シャイ・ドレーガー症候群(Shy-Drager syndrome)など)などが含まれる。
【0004】
レビー小体病では神経細胞内にα-シヌクレイン凝集体を主成分とするレビー小体がみられ、多系統萎縮症ではグリア細胞内にα-シヌクレイン陽性となる封入体が認められる。これら病変分布の度合いにより、パーキンソニズム、認知障害、自律神経症状、小脳性運動失調など、種々の症状を呈する(Parkinsonism and related disorders,20S1,p.S62(2014))。
【0005】
レビー小体病の認知障害には、前頭葉でのドパミンおよびコリン作動性神経の機能低下が関与すると考えられている(Brain,137,p.2493(2014);Neurology,74,p.885(2010))。脳の前頭葉の前頭前皮質は認知機能(例えば理解力、判断力、計算力、見当識、実行機能など)を司る部位である。前頭前皮質の機能にはドパミン、セロトニン、ノルエピネフリン、ガンマアミノ酪酸などの神経伝達物質が関与しており、これらの物質が欠乏すると認知障害が起こる。
【0006】
一方、アデノシンA2A受容体と認知機能の関連について、アデノシンA2A受容体欠損マウスは作業記憶が亢進していることが知られている(非特許文献1)。アデノシンA2A受容体拮抗活性を有するトリアゾロトリアジン誘導体は、高血圧ラットの短期社会記憶障害を改善することが知られている(非特許文献2)。さらに、アデノシンA2A受容体拮抗剤であるイストラデフィリンは、神経変性に対する抑制活性(例えば、特許文献1)、パーキンソン病における認知障害の改善作用(非特許文献3)などを有することが知られている。
【0007】
式(I)で表される化合物は、アデノシンA2A受容体に対し親和性を有し、パーキンソン病の治療効果を有することが知られている(特許文献2)。また、この化合物は、運動障害の治療および/または予防剤として有用であることが知られている(特許文献3)。
【0008】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第99/12546号
【特許文献2】国際公開第2005/063743号
【特許文献3】国際公開第2010/126082号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「Brain Research」、2009年、第1303巻、p.74
【非特許文献2】「Behavioural Brain Research」、2005年、第159巻、p.197
【非特許文献3】「Psychopharmacology」、2013年、第230巻、p.345
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、例えば前頭葉機能障害(例えば認知障害(例えばパーキンソン病における認知障害(例えば遂行機能障害、記憶障害(特に短期記憶障害)、視空間認知障害、嗅覚障害など)、慢性ストレスによる認知障害、レビー小体型認知症、進行性核上性麻痺、前頭側頭型認知症など)など)、レビー小体病(例えば、パーキンソン病における認知障害、びまん性レビー小体病、レビー小体型認知症、レビー小体病における運動障害など)などの治療および/または予防剤などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下の(1)〜(52)に関する。
(1) 式(I):
【0013】
【化2】
【0014】
で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する前頭葉機能障害の治療および/または予防剤。
(2) 前頭葉機能障害が、認知障害である(1)に記載の剤。
(3) 認知障害が、パーキンソン病における認知障害、慢性ストレスによる認知障害、レビー小体型認知症、進行性核上性麻痺または前頭側頭型認知症である(2)に記載の剤。
(4) 認知障害が、パーキンソン病における認知障害である(2)に記載の剤。
(5) パーキンソン病における認知障害が、遂行機能障害、記憶障害、視空間認知障害または嗅覚障害である(4)に記載の剤。
(6) 認知障害が、慢性ストレスによる認知障害である(2)に記載の剤。
(7) 認知障害が、レビー小体型認知症である(2)に記載の剤。
(8) 前頭葉機能障害が、内側前頭前皮質のドパミン機能低下による認知障害である(1)に記載の剤。
(9) 式(I):
【0015】
【化3】
【0016】
で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するレビー小体病の治療および/または予防剤。
(10) レビー小体病が、パーキンソン病における認知障害である(9)に記載の剤。
(11) レビー小体病が、びまん性レビー小体病である(9)に記載の剤。
(12) レビー小体病が、レビー小体型認知症である(9)に記載の剤。
(13) レビー小体病が、レビー小体病における運動障害である(9)に記載の剤。
(14) 式(I):
【0017】
【化4】
【0018】
で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む、前頭葉機能障害の治療および/または予防方法。
(15) 前頭葉機能障害が、認知障害である(14)に記載の方法。
(16) 認知障害が、パーキンソン病における認知障害、慢性ストレスによる認知障害、レビー小体型認知症、進行性核上性麻痺または前頭側頭型認知症である(15)に記載の方法。
(17) 認知障害が、パーキンソン病における認知障害である(15)に記載の方法。
(18) パーキンソン病における認知障害が、遂行機能障害、記憶障害、視空間認知障害または嗅覚障害である(17)に記載の方法。
(19) 認知障害が、慢性ストレスによる認知障害である(15)に記載の方法。
(20) 認知障害が、レビー小体型認知症である(15)に記載の方法。
(21) 前頭葉機能障害が、内側前頭前皮質のドパミン機能低下による認知障害である(14)に記載の方法。
(22) 式(I):
【0019】
【化5】
【0020】
で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む、レビー小体病の治療および/または予防方法。
(23) レビー小体病が、パーキンソン病における認知障害である(22)に記載の剤。
(24) レビー小体病が、びまん性レビー小体病である(22)に記載の剤。
(25) レビー小体病が、レビー小体型認知症である(22)に記載の剤。
(26) レビー小体病が、レビー小体病における運動障害である(22)に記載の剤。
(27) 前頭葉機能障害の治療および/または予防に使用するための、式(I):
【0021】
【化6】
【0022】
で表される化合物またはその薬学的に許容される塩。
(28) 前頭葉機能障害が、認知障害である(27)に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
(29) 認知障害が、パーキンソン病における認知障害、慢性ストレスによる認知障害、レビー小体型認知症、進行性核上性麻痺または前頭側頭型認知症である(28)に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
(30) 認知障害が、パーキンソン病における認知障害である(28)に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
(31) パーキンソン病における認知障害が、遂行機能障害、記憶障害、視空間認知障害または嗅覚障害である(30)に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
(32) 認知障害が、慢性ストレスによる認知障害である(28)に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
(33) 認知障害が、レビー小体型認知症である(28)に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
(34) 前頭葉機能障害が、内側前頭前皮質のドパミン機能低下による認知障害である(27)に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
(35) レビー小体病の治療および/または予防に使用するための、式(I):
【0023】
【化7】
【0024】
で表される化合物またはその薬学的に許容される塩。
(36) レビー小体病が、パーキンソン病における認知障害である(35)に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
(37) レビー小体病が、びまん性レビー小体病である(35)に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
(38) レビー小体病が、レビー小体型認知症である(35)に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
(39) レビー小体病が、レビー小体病における運動障害である(35)に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
(40) 前頭葉機能障害の治療および/または予防剤の製造のための、式(I):
【0025】
【化8】
【0026】
で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
(41) 前頭葉機能障害が、認知障害である(40)に記載の使用。
(42) 認知障害が、パーキンソン病における認知障害、慢性ストレスによる認知障害、レビー小体型認知症、進行性核上性麻痺または前頭側頭型認知症である(41)に記載の使用。
(43) 認知障害が、パーキンソン病における認知障害である(41)に記載の使用。
(44) パーキンソン病における認知障害が、遂行機能障害、記憶障害、視空間認知障害または嗅覚障害である(43)に記載の使用。
(45) 認知障害が、慢性ストレスによる認知障害である(41)に記載の使用。
(46) 認知障害が、レビー小体型認知症である(41)に記載の使用。
(47) 前頭葉機能障害が、内側前頭前皮質のドパミン機能低下による認知障害である(40)に記載の使用。
(48) レビー小体病の治療および/または予防剤の製造のための、式(I):
【0027】
【化9】
【0028】
で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
(49) レビー小体病が、パーキンソン病における認知障害である(48)に記載の使用。
(50) レビー小体病が、びまん性レビー小体病である(48)に記載の使用。
(51) レビー小体病が、レビー小体型認知症である(48)に記載の使用。
(52) レビー小体病が、レビー小体病における運動障害である(48)に記載の使用。
【発明の効果】
【0029】
本発明により、式(I):
【0030】
【化10】
【0031】
で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、前頭葉機能障害(例えば認知障害(例えばパーキンソン病における認知障害(例えば遂行機能障害、記憶障害(特に短期記憶障害)、視空間認知障害、嗅覚障害など)、レビー小体型認知症、慢性ストレスによる認知障害、進行性核上性麻痺、前頭側頭型認知症など)など)、レビー小体病(例えば、パーキンソン病における認知障害、びまん性レビー小体病、レビー小体型認知症、レビー小体病における運動障害など)などの治療および/または予防剤などが提供される。
本発明の治療および/または予防剤は、例えば前頭葉機能障害などの疾患、中でも内側前頭前皮質のドパミン機能低下による認知障害の治療および/または予防に利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明における前頭葉機能障害としては、例えば認知障害(例えばパーキンソン病における認知障害(例えば遂行機能障害、記憶障害(特に短期記憶障害)、視空間認知障害、嗅覚障害など)、慢性ストレスによる認知障害、レビー小体型認知症、進行性核上性麻痺、前頭側頭型認知症など)などがあげられる。これらの疾患は内側前頭前皮質のドパミン機能低下と関係する。
【0033】
本発明におけるレビー小体病としては、例えばパーキンソン病における認知障害、びまん性レビー小体病、レビー小体型認知症、レビー小体病における運動障害などがあげられる。
【0034】
以下、式(I)で表される化合物を化合物(I)ということもある。
化合物(I)の薬学的に許容される塩は、例えば薬学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩などを包含する。化合物(I)の薬学的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩などの有機酸塩などがあげられ、薬学的に許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などがあげられ、薬学的に許容されるアンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの塩があげられ、薬学的に許容される有機アミン付加塩としては、例えばモルホリン、ピペリジンなどの付加塩があげられ、薬学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、例えばリジン、グリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの付加塩があげられる。
【0035】
本発明で用いられる化合物(I)またはそれらの薬学的に許容される塩は、例えばWO2005/063743の実施例504に記載の方法により製造することができる。
【0036】
化合物(I)の塩を取得したいとき、化合物(I)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られるときは、化合物(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて塩を形成させて単離、精製すればよい。
【0037】
また、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これらの付加物も本発明の治療および/または予防剤に使用することができる。
【0038】
次に、化合物(I)の代表的な薬理作用について試験例により具体的に説明する。
【0039】
[試験例1]内側前頭前皮質ドパミン神経終末破壊ラットを用いたオブジェクト認識試験における化合物(I)の効果
オブジェクト認識試験は、動物が新奇な物質を好んで探索する性質を利用した認知機能の評価系として知られている(Behavioural Brain Research 31, p. 47 (1988))。2つの同じオブジェクトを置いた装置内に動物を入れて、自由に探索させた後(獲得試行)、装置内のオブジェクトの1つを異なる形状の物体(新奇物体)に変え、自由に探索させる(テスト試行)。動物は、獲得試行で提示されたオブジェクトの形状を覚えている場合、テスト試行では新奇物体をより長く探索する特性がある。本試験は、この特性を、認知機能の指標として評価する手法である。また本試験に用いられる内側前頭前皮質ドパミン神経終末破壊ラットは、内側前頭前皮質のドパミン含量および基礎遊離量の低下と作業記憶障害を呈しており、前頭前皮質の機能低下を反映したモデルであると考えられている(Psychopharmcology, 230, p. 345 (2013))。
【0040】
<モデル動物作製>
CD(SD)IGSラット(雄性、チャールスリバー)にペントバルビタールナトリウム(pentobarbital sodium salt;東京化成工業、30 mg/kg)を腹腔内投与し、麻酔下で脳定位装置(SR-6、成茂科学機械研究所)に固定した。マイクロインジェクションポンプ(CMA/100、Carnegie Medicine)を用いて、ドパミン神経毒である6-ヒドロキシドパミン塩酸塩(6-hydroxydopamine hydrochloride、6-OHDA、シグマ-アルドリッチ)をラットのbregma縫合から(1)前方へ3.2 mm、左方へ0.8 mmおよび下方へ3.0 mm、(2)前方へ3.2 mm、右方へ0.8 mmおよび下方へ3.0 mm、(3)前方へ3.2 mm、左方へ0.8 mmおよび下方へ5.0 mm、(4)前方へ3.2 mm、右方へ0.8 mmおよび下方へ5.0 mm、(5)前方へ4.2 mm、左方へ0.8 mmおよび下方へ4.0 mm、ならびに(6)前方へ4.2 mm、右方へ0.8 mmおよび下方へ4.0 mmの各位置に約1分かけて注入し、内側前頭前皮質ドパミン神経終末を破壊した。6-OHDAは4 μg/μLの濃度となるように調製し、流速 1 μL/min で1分間注入した後、1分間静置した。偽手術群には、同座標へステンレスカニューレを挿入した。この時、ノルアドレナリン神経が障害を受けるのを防ぐために、6-OHDA注入の約30分前にデシプラミン塩酸塩(desipramine hydrochloride、シグマ-アルドリッチ、25 mg/kg)を腹腔内投与した。なお、ペントバルビタールナトリウムおよびデシプラミン塩酸塩の投与容量は、投与日に測定した体重を基にそれぞれ1および5 mL/kgで換算した。ラットは、手術後5日以上の回復期間をおいた後に薬効試験に使用した。
【0041】
<オブジェクト認識試験>
黄白色の円形の装置(直径82 cm、高さ20 cm)を使用した。オブジェクトには、褐色ガラス瓶(直径5 cm、高さ8 cm)と灰色のメノウ乳鉢(直径8.5 cm、高さ5 cm)を使用した。2つのオブジェクトは壁から20 cm内側に置いた。装置およびオブジェクトは、試行毎に50%エタノールで拭いてから使用した。
【0042】
試験実施前に、実験者に慣れさせる目的でラットを3日間ハンドリングした。試験の60分前に化合物(I)(0.5 w/v% メチルセルロース400 (MC)水溶液に懸濁し、投与日のラットの体重100 gあたり0.5 mL投与となるように調製したもの)を0.3 mg/kgの用量で経口投与するか、または、試験化合物を含まない媒体(0.5 w/v% MC水溶液)を投与日のラットの体重100 gあたり0.5 mL経口投与した。装置内に2つの同じオブジェクトを置き、ラットを入れて10分間自由に探索させた後(獲得試行)、ラットをホームケージに戻した。3分後、装置内に獲得試行で呈示したオブジェクトと同じ形状のオブジェクト(familiar object)および異なる形状のオブジェクト(novel object)を置き、ラットを装置内に入れて3分間自由に探索させた(テスト試行)。テスト試行での各オブジェクトに対するラットの探索行動(sniffing)の時間を測定し、総探索時間に対する割合(%)を算出した。データ解析には、テスト試行での総探索時間が5秒以上のラットのデータのみを採用した。
【0043】
<結果>
表1に、familiar objectおよびnovel object探索時間の総探索時間に対する割合を平均値±標準誤差で示した。なお、統計解析には統計解析ソフトSAS(Release 9.1.3、SAS Institute Inc.)を使用した。Familiar objectとnovel objectの探索時間の割合の比較は、Shapiro-Wilk testで正規分布していることを確認した後、Paired t-testを行った。有意水準はp<0.05とした。
【0044】
【表1】
【0045】
偽手術群では、familiar objectに比べてnovel objectに対する探索時間が有意に長かった(p<0.01)。また媒体投与群では両者の探索時間に差がなかった。これに対し、化合物(I)投与群では、familiar objectに比べてnovel objectに対する探索時間が有意に長くなった(p<0.001)。
上記試験により、化合物(I)は内側前頭前皮質のドパミン機能低下による認知障害を改善することが確認された。
すなわち、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、例えば認知障害(例えばパーキンソン病における認知障害(例えば遂行機能障害、記憶障害(特に短期記憶障害)、視空間認知障害、嗅覚障害など)、慢性ストレスによる認知障害、レビー小体型認知症、進行性核上性麻痺、前頭側頭型認知症など)などの前頭葉機能障害の治療および/または予防に有用であると考えられた。
【0046】
[試験例2] α-シヌクレイノパチーモデルにおける化合物(I)の効果
文献(Science,338,p.949(2012);Behavioral Brain Research,208,p.274(2010))を参考にα-シヌクレイノパチー(例えば、レビー小体病(例えば該レビー小体病は、パーキンソン病における認知障害、びまん性レビー小体病、レビー小体型認知症、レビー小体病における運動障害など)の治療および/または予防効果を確認できるモデル動物を作成する。
SLC: ICR雄性マウスの線条体または側脳室に、α-シヌクレイン(rPeptide, S-100)またはNAC61-95 (custom, Sigma)をリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline(PBS))に溶解した溶液をそれぞれ適用量注入し認知障害および/または運動障害を惹起する。病態が惹起されていることを確認後、該マウスに化合物(I)を適用量投与する。投与後数時間における該マウスの病態改善をY-maze、自発運動量、CATWALKなどの行動薬理学的評価で確認する。
上記試験により、化合物(I)がα-シヌクレイノパチー(例えば、レビー小体病(該レビー小体病は、パーキンソン病における認知障害、びまん性レビー小体病、レビー小体型認知症、レビー小体病における運動障害などが含まれる)など)の治療および/または予防効果を有することが確認できる。
【0047】
[試験例3] α-シヌクレイノパチーモデルにおける化合物(I)の効果
文献(Science,338,p.949(2012);Behavioral Brain Research,208,p.274(2010))を参考にα-シヌクレイノパチー(例えば、レビー小体病(例えば該レビー小体病は、パーキンソン病における認知障害、びまん性レビー小体病、レビー小体型認知症、レビー小体病における運動障害など)の治療および/または予防効果を確認できるモデル動物を以下の通り作成した。
認知機能は、自発交替課題を用いて評価した。自発交替課題は、動物が新しい環境を好んで探索する性質を利用した、認知機能の評価系として知られている(Neuroscience and Biobehavioral Reviews 28, p. 497 (2004))。すなわち、Y字型迷路装置内の探索において、動物が直前に進入したアームを覚えていた場合、自発的に異なるアームに入る行動を交替行動率で表すことにより、認知機能の指標とした。運動機能は、歩行解析システムを用い、自然歩行下での歩行機能を評価した。
【0048】
<モデル動物作製>
NAC61-95 (custom, Sigma)をPBSに溶解し、4 μg/μLのNAC61-95溶液を調製した。
ペントバルビタール(ソムノペンチル、共立製薬、50 mg/kg、i.p.)麻酔下で、Slc:ICRマウス(雄性、日本エスエルシー)の右側脳室に、2 段針(27G、針長3 mm)を装着したハミルトンシリンジ(10 μL)を用いて、5 μLのNAC61-95溶液を約1分間かけて注入した後、1分間静置し、認知障害および/または運動障害を惹起した。また、偽処置群には、5 μLのPBSを注入した。
【0049】
<自発交替課題:認知機能評価>
黒色アクリル製の壁でできた3本のアーム(高さ20 cm、長さ25 cm、幅5 cm)が、それぞれ120度の角度で接続されたY字型迷路装置を使用した。
試験の前日からマウスを実験室へ搬入し、馴化させた。Y字型迷路装置のいずれかのアームの先端にマウスを入れ、迷路内を7分間自由に探索させた。このとき、マウスの四肢が全て1つのアーム内に入った状態をアームへの進入と定義し、マウスがアームに進入した順番を記録した。異なる3つのアームに連続して進入する行動を自発交替行動と定義し、次の計算式で交替行動率を算出した。
【0050】
【数1】
【0051】
なお、交替行動率の算出には、アームへの総進入回数が10回以上の個体のデータのみを採用した。
【0052】
<歩行解析:運動機能評価>
歩行解析システム(キャットウォークXT、ver.9.1、ノルダス)を使用した。システムは、感圧発光ガラスのウォークウェイおよびライトソース、発光シーリング、高感度ハイスピードカメラ並びに解析ソフトで構成され、感圧発光ガラスが圧力に応じて発光する輝度をデジタル化することで歩行を解析した。歩行データは、解析ソフトにより、ウォークウェイ上の設定範囲内を途中で止まることなくまっすぐ進んだ場合にのみ自動的に記録および解析された。
マウスを消灯した実験室へ搬入し、1時間以上馴化させた。マウスを装置に入れ、1個体あたり6つの走行データが取得されるまで自由に歩かせた。解析可能な走行のみをデータ取得時点の早いものから3つ採用し、その平均値を算出した。パーキンソン病モデル動物の運動障害に関する文献(Journal of Biomedical Science 17, p. 9 (2010))を参考に、最大接地面積(ある足跡においてその接地面積が最大となるときの面積)および足跡面積(足跡全体の面積)の減少、および歩行パターン(4つの肢が接地した順序)の変化を運動障害の指標とした。
【0053】
<薬物処置>
試験の60分前に、化合物(I)(0.5 w/v% MC水溶液に懸濁し、投与日のマウスの体重100 gあたり0.5 mL投与となるように調製したもの)を0.1 mg/kgの用量で経口投与するか、または、試験化合物を含まない媒体(0.5 w/v% MC水溶液)を投与日のマウスの体重100 gあたり0.5 mL経口投与した。
【0054】
<結果>
表2に、自発交替課題試験の交替行動率を平均値±標準誤差で示した。なお、統計解析には統計解析ソフトSAS(Release 9.2, SAS Institute Inc.)を使用した。2群間の比較は、F-testの結果から等分散性を仮定し、Student’s t-testを行った。有意水準はp<0.05とした。
【0055】
【表2】
【0056】
媒体投与群は偽処置群に比べて交替行動率が有意に低く(p<0.01)、NAC61-95処置により認知障害が惹起されていた。それに対し、化合物(I)投与群は媒体投与群に比べて交替行動率が有意に高く(p<0.01)、NAC61-95処置による認知障害の改善が認められた。
表3に、歩行試験の各歩行パラメーターを平均値±標準誤差で示した。
【0057】
【表3】
【0058】
媒体投与群は偽処置群に比べて右前肢および左後肢の最大接地面積および足跡面積が有意に小さく(いずれもp<0.05)、歩行パターンが変化(パターンABが減少、パターンCBが増加)しており、NAC61-95処置により運動障害が惹起されていた。それに対し、化合物(I)投与群は媒体投与群に比べて左後肢の最大接地面積および足跡面積が有意に大きく(p<0.05)、右前肢の最大接地面積および足跡面積が大きい傾向がみられ(p<0.1)、歩行パターンはパターンABが増加してパターンCBが減少していた。以上より、化合物(I)投与群ではNAC61-95処置による運動障害の改善が認められた。
上記試験により、化合物(I)がα-シヌクレイノパチー(例えば、レビー小体病(該レビー小体病は、パーキンソン病における認知障害、びまん性レビー小体病、レビー小体型認知症、レビー小体病における運動障害などが含まれる)など)の治療および/または予防効果を有することが確認できた。
【0059】
化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。また、それら医薬製剤は、動物または人に使用されるものである。
本発明に係わる医薬製剤は、活性成分として化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を単独で、または任意の他の有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬学的に許容される一種またはそれ以上の担体(例えば、希釈剤、溶剤、賦形剤など)と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
【0060】
投与経路としては、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口または、例えば静脈内、経皮などの非経口をあげることができる。
投与形態としては、例えば錠剤、注射剤、外用剤などがあげられる。
経口投与に適当な、例えば錠剤などは、乳糖などの賦形剤、澱粉などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤などを用いて製造できる。
非経口投与に適当な、例えば注射剤などは、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩水とブドウ糖溶液の混合液などの希釈剤または溶剤などを用いて製造できる。
外用剤に適当な剤型としては、特に限定されないが、例えば軟膏剤、クリーム剤、リニメント剤、ローション剤、パップ剤、プラスター剤、テープ剤などがあげられる。例えば、軟膏剤、クリーム剤などは、例えば白色ワセリンなどの基剤に活性成分を溶解または混合分散して製造できる。
【0061】
化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度などにより異なるが、通常経口の場合、成人一人あたり、0.01〜1000 mg、好ましくは0.05〜100 mgの範囲で、1日1回ないし数回投与する。静脈内投与などの非経口投与の場合、通常成人一人あたり0.001〜1000 mg、好ましくは0.01〜100 mgを1日1回ないし数回投与する。経皮投与の場合、通常化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を0.001〜10%含有する外用剤を1日1回ないし数回塗布投与する。しかしながら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
【0062】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されることはない。
【実施例】
【0063】
[実施例1]
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物(I)40 g、乳糖286.8 gおよび馬鈴薯澱粉60 gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120 gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2 gを加えて混合し、径8 mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり有効成分20 mgを含有する)を得る。
【0064】
【表4】
【0065】
[実施例2]
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物(I)1 gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000 mLとする。得られた混合液をガラスバイアルに2 mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2 mgを含有する)を得る。
【0066】
【表5】
【0067】
[参考例1]
化合物(I)は、WO2005/063743の実施例504に記載の方法に従って得た。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、例えば前頭葉機能障害(例えば認知障害(例えばパーキンソン病における認知障害(例えば遂行機能障害、記憶障害(特に短期記憶障害)、視空間認知障害、嗅覚障害など)、慢性ストレスによる認知障害、レビー小体型認知症、進行性核上性麻痺、前頭側頭型認知症など)など)、レビー小体病(例えば、パーキンソン病における認知障害、びまん性レビー小体病、レビー小体型認知症、レビー小体病における運動障害など)などの治療および/または予防に利用することができる。
【0069】
本出願は、日本で出願された特許出願番号2015-55532を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。