特許第6869898号(P6869898)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869898
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】血液処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   A61M1/16 169
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-560770(P2017-560770)
(86)(22)【出願日】2016年5月19日
(65)【公表番号】特表2018-518258(P2018-518258A)
(43)【公表日】2018年7月12日
(86)【国際出願番号】EP2016000835
(87)【国際公開番号】WO2016184572
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2019年5月20日
(31)【優先権主張番号】102015006601.3
(32)【優先日】2015年5月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】スピッカーマン ライナー
(72)【発明者】
【氏名】バルシャット クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ステブレイン ティルマン
(72)【発明者】
【氏名】ペーテルス アーン
(72)【発明者】
【氏名】クレッフェル ペーテル
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−182059(JP,U)
【文献】 特表2013−541690(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/156207(WO,A1)
【文献】 特開2014−151096(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0262409(US,A1)
【文献】 特表2009−533154(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0198289(US,A1)
【文献】 特開2006−043466(JP,A)
【文献】 特開2014−167291(JP,A)
【文献】 特表2013−518675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/14− 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の空間と第2の空間とを有する熱交換器を有する血液処理装置であって、前記血液処理装置の動作時に、前記第1の空間に第1の流体が流れ、前記第2の空間に第2の流体が流れ、前記熱交換器は、前記第1の空間を前記第2の空間から分離する膜を有する血液処理装置において、
前記膜が間に配置された2つのコンデンサプレートを有するコンデンサの要素を形成し、前記コンデンサに接続され前記第1の空間から前記第2の空間への漏れを検出する目的で前記コンデンサの電気的特性を検出するように構成されたモニタリング手段が設けられている、
ことを特徴とする血液処理装置。
【請求項2】
前記コンデンサプレート及び前記膜は、前記第1の空間と前記第2の空間との間に位置する、
請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項3】
前記膜は、前記第1の空間と前記第2の空間との間に位置し、前記第1の空間及び前記第2の空間は、前記コンデンサプレート間に配置される、
請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項4】
前記モニタリング手段は、前記コンデンサプレートに接続された極を有するDC又はAC電圧源を含む、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の血液処理装置。
【請求項5】
前記コンデンサプレートは、サンドイッチ状の構造が得られるように前記膜の両側に直接接触する、
請求項1または2に記載の血液処理装置。
【請求項6】
前記コンデンサプレートは金属を含み、及び/又は前記膜は、電気絶縁体として設計されている
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の血液処理装置。
【請求項7】
前記モニタリング手段は、前記コンデンサのインピーダンス測定又は静電容量測定を行うように構成されている、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の血液処理装置。
【請求項8】
前記コンデンサは、共振回路に一体化され、前記モニタリング手段は、前記コンデンサの共振周波数の測定を行うように構成されている、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の血液処理装置。
【請求項9】
前記モニタリング手段は測定抵抗器を含み、該測定抵抗器を介して電圧が求められる、
請求項1ないし8いずれか1項に記載の血液処理装置。
【請求項10】
前記測定抵抗器は、前記膜によって形成される抵抗器と直列に接続される、
請求項9に記載の血液処理装置。
【請求項11】
前記モニタリング手段は、前記電圧の平均値を求めるためのローパスフィルタを有する、
請求項9又は10に記載の血液処理装置。
【請求項12】
前記モニタリング手段をチェックする目的で、前記膜によって形成される前記抵抗器と並列に接続された試験抵抗器が設けられている、
請求項9ないし11のいずれか1項に記載の血液処理装置。
【請求項13】
前記血液処理装置は、透析装置である、
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の血液処理装置。
【請求項14】
前記血液処理装置は、給水装置に接続され、前記熱交換器は、該熱交換器の前記第1の空間に真水が、具体的には前記給水装置からのRO水が流れるように前記給水装置に接続される、
請求項13に記載の血液処理装置。
【請求項15】
前記熱交換器の前記第2の空間は、消費された透析液が流れるように構成される、
請求項13又は14に記載の血液処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの空間と少なくとも1つの第2の空間とを有する少なくとも1つの熱交換器を有する血液処理装置であって、動作時に、第1の空間に少なくとも1種類の第1の流体が流れ、第2の空間に少なくとも1種類の第2の流体が流れ、熱交換器が、指定された第1の空間を指定された第2の空間から分離する少なくとも1つの膜を有する血液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従って、本発明は血液処理装置に関し、具体的には、少なくとも1つの熱交換器又は復熱器を有する透析装置に関する。熱交換器は、少なくとも1つの熱回復膜(heat−recuperating membrane)によって互いに分離された少なくとも2つの媒体空間を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、第1の流体が第2の流体によって(又は第2の流体が第1の流体によって)汚染される可能性を最小化することを背景として、熱交換器の膜、従って2つの媒体空間の流体的接続部を通じた起こり得る漏れが素早く確実に認識されるように、最初に指定した種類の血液処理装置をさらに開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有する血液処理装置によって達成される。
【0005】
従って、少なくとも1つの膜が、この膜の両側に位置する少なくとも2つのコンデンサプレートを有する少なくとも1つのコンデンサの要素を形成できるようにする。
【0006】
コンデンサに接続されて、第1の空間から第2の空間への漏れを検出する目的でコンデンサの少なくとも1つの電気的特性又は物理的特性を検出するように構成されたモニタリング手段をさらに設ける。
【0007】
従って、本発明の基本的発想は、膜、従って2つの媒体空間の、すなわち第1の空間と第2の空間の流体的接続部を通じて起こり得る、流体の汚染を引き起こす恐れがある漏れを電気的モニタリングによって検出することである。
【0008】
この電気的モニタリングは、コンデンサにおいて測定されるインピーダンス、静電容量、電圧などの出力信号などの、コンデンサの電気的又は物理的特性のうちの1つ又は2つ以上に関してコンデンサをモニタするという点で行われる。
【0009】
それぞれのパラメータの所望の値又は所望の発展との相違がモニタリング手段によって判定された場合、漏れに関する結論を出して対応する対策を講じることができる。
【0010】
従って、このコンデンサ又は膜の電気的モニタリングにより、生物学的物質及び化学物質によって汚染された供給液などの流体を投与してしまう可能性がゼロに近づく。
【0011】
モニタリング手段は、連続的に機能し、すなわち血液処理装置の動作中にモニタリングが継続することが好ましい。しかしながら、特定の時間間隔の終了後又は特定の時点でのモニタリングなどの他のあらゆるタイプのモニタリングも本発明に含まれる。
【0012】
この血液処理装置は、検出された漏れに対してさらなるモニタリング装置の評価を伴わずに即座に応答できるので、任意に熱交換器の膜のモニタリングによって他のリスク軽減対策を省くことも可能である。従って、漏れをモニタするさらなる手段が存在しないようにすることが好ましい。
【0013】
第1の空間と第2の空間との間にコンデンサプレートと膜の両方が存在する配置が想定される。従って、この場合、コンデンサプレート及び膜が2つの流体間に位置し、コンデンサプレート及び/又は膜の一方又は両方における漏れを検出することができる。
【0014】
この段階で指摘しておくと、「コンデンサプレート(極板)」という用語は、板状であるか、それとも異なる形態を有するかに関わらず、コンデンサ要素として使用できるあらゆる所望の要素を含む。
【0015】
第1の空間と第2の空間との間に膜が存在し、第1の空間及び第2の空間がコンデンサプレート間に配置された事例も本発明に含まれる。
【0016】
従って、全体としては、内部空間に、すなわちプレート間に膜だけでなく第1の流体及び第2の流体も配置されたコンデンサが形成される。従って、漏れの場合に一次側と二次側との間、すなわち第1の空間から第2の空間内への、又はこの逆方向の液体輸送に起因して特性が変化する誘電体が形成される。
【0017】
モニタリング手段は、コンデンサプレートに接続された極を有するDC電圧源又はAC電圧源を含むことができる。漏れによって変化するコンデンサの電気的特性を検出するためにコンデンサの電圧を検出して、入力電圧に対する、又は所望の(すなわち、漏れのない)状態の電圧に対する測定電圧の振幅、周波数又は位相シフトの変動から、漏れが発生したとの結論を出すことができる。
【0018】
しかしながら、一般的にはDC電圧源の使用も想定される。例えば、この場合には、コンデンサのオーム抵抗を測定し、抵抗の変化に基づいて漏れに関する結論を出すことが可能と思われる。
【0019】
2つのコンデンサプレートは、サンドイッチ状の構造が得られるように膜の両側に直接接触することができる。
【0020】
コンデンサプレートは、金属を、具体的にはステンレス鋼又はチタンを含むことが好ましい。
【0021】
膜は、電気絶縁体として、ただし熱交換器の2つの空間間の良好な熱伝達が可能になるように熱伝導性を有して設計されることが好ましい。
【0022】
膜は、「カプトン(Kapton)」から設計することが想定される。この材料は、ポリイミドである。一般的には、他の高分子又は他の材料を膜に使用することもできる。
【0023】
一般に、漏れの際に変化するコンデンサのあらゆる所望の電気的特性又は物理的特性は、モニタリング手段によってモニタリングされるパラメータと見なすことができる。例えば、コンデンサのインピーダンス又は静電容量は、モニタされるパラメータと見なすことができる。
【0024】
コンデンサを共振回路に一体化し、コンデンサの共振周波数の測定を行うようにモニタリング手段を構成することも想定される。
【0025】
コンデンサのインピーダンス、静電容量又は共振周波数が変化した場合には、膜及び/又は(単複の)コンデンサプレートの漏れに関する結論を出すことができる。
【0026】
モニタリング手段が少なくとも1つの測定抵抗器を含み、この測定抵抗器を介して電圧を求めることも想定される。
【0027】
この測定抵抗器は、膜によって形成される抵抗器と直列に接続することができる。
【0028】
本発明のさらなる実施形態では、モニタリング手段が、コンデンサにおいて測定される電圧の平均値を求めるためのローパスフィルタを有する。
【0029】
さらに、モニタリング手段をチェックする目的で、膜によって形成される抵抗器と並列に接続された又は接続できる少なくとも1つの試験抵抗器を設け、又は使用できるようにすることもできる。
【0030】
従って、この試験抵抗器は、漏れの発生をシミュレートする。この結果、配置した試験抵抗器を用いて、対応する信号変化がモニタリング手段によって特定されたかどうかをチェックすることができる。特定された場合、モニタリング手段の正しい動作に関する結論を出すことができる。
【0031】
血液処理装置は、血液透析装置などの透析装置であることが好ましい。
【0032】
血液処理装置を給水装置に接続し、熱供給装置に熱交換器を接続することにより、熱交換器の指定された第1の空間に真水が、具体的には給水装置からのRO水が流れるようにすることができる。
【0033】
この真水又はRO水を用いて、濃縮物を追加することによって透析液を調製することができる。
【0034】
熱交換器の第2の空間は、消費済みの加熱された透析液が流れるように構成することができる。従って、消費済み透析液から真水への熱伝達が行われる。
【0035】
熱交換器の効率は、とりわけ一次側と二次側との間の、すなわち熱交換器の2つの空間間の耐熱性の増加と共に高まる。透析装置では、水道又は水の流入路の直後に最も低い媒体温度を有する地点が存在する。上述したように、二次側の、すなわち他方の空間には、装置から流出方向に離れる前の加熱された透析液が流れる。
【0036】
本発明によれば、具体的には熱交換膜の連続的モニタリング、又は時間間隔を空けて行われるモニタリングを用いて、例えばポンプが停止し、又は弁が閉じるという点で直接的に漏れに対応することができる。このような直接的な対応が容易に可能であるため、他のリスク軽減対策及びコストを伴う対策を任意に排除することができる。
【0037】
モニタリング手段は、ディスプレイに接続して、そこにモニタリング手段が検出した状態を表示することができる。例えば、漏れの発生時にユーザに知らせる音響的手段及び/又は光学的手段などの他の出力手段も検討され、本発明に含まれる。
【0038】
図面に示す実施形態を参照しながら、本発明のさらなる詳細及び利点についてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】水の流入、透析液の流出及び熱交換器の概略図である。
図2】膜の直接的な電気的モニタリングの第1の変形例を示す図である。
図3】膜の電気的モニタリングのさらなる実現可能性を示す図である。
図4】試験抵抗器を含む図2に対応する膜の直接的な電気的モニタリングを示す図である。
図5】電圧値を求めるための測定抵抗器及びローパスフィルタを含む図2による配置の回路図である。
図6】漏れが生じていないコンデンサ及び漏れが生じたコンデンサの概略図である。
図7】漏れの発生時における図2による配置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1に、透析装置の真水の流入を参照番号10で示す。この真水は、RO水であることが好ましい。この水は、熱交換器100の第1の空間を流れ、概略的に示す第2の空間2には、管路20を通じて第2の空間2に流入する消費済み透析液が流れる。
【0041】
このようにして、消費(即ち「消耗」)済み透析液によるRO水の加熱が行われる。
【0042】
2つの空間1、2間には、熱伝導性かつ電気絶縁性の膜が存在し、これについては以下の図に示す。
【0043】
図2に、この膜を参照番号30で示す。この点において、この膜は、コンデンサプレートとしての金属層40に隣接する、又は金属層40によって両側を取り囲まれた電気絶縁体である。これらの2つの金属層は、例えばチタン膜又は鋼膜によって形成することができる。
【0044】
従って、膜30をモニタする可能性は、2つの鋼膜又はコンデンサプレート40によって膜が取り囲まれることを含む。
【0045】
この膜30及びプレート40の全体的構成は、2つの流体通路F1及びF2間に配置され、流体通路F1に従う流体は、第1の空間1内に存在する真水であり、流体通路F2に従う流体は、第2の空間2内に存在する消費済み透析液である。
【0046】
参照番号200は、例えばPPO(ポリフェニレンオキシド)製のハウジングを表し、参照記号Gは、2つの流体通路F1及びF2の接地を表す。
【0047】
参照番号300は、ケーブル301及び302を介してコンデンサプレート40に電気的に接続されてこれらのコンデンサプレート40にAC電圧を付与するAC電圧源を表す。
【0048】
図3による実現可能性は、コンデンサプレート40が2つの流体通路F1及びF2間に配置されるのではなく、むしろこれらを取り囲んでいるという点で、図2による実現可能性と異なる。換言すれば、流体通路F1及びF2は、2つのコンデンサプレート40間に受け入れられる。流体通路F1及びF2間には、膜30の形の電気絶縁体が位置する。
【0049】
図3の参照記号200もハウジングを表す。
【0050】
図3による変形例では、十分な熱伝導性を有する電気絶縁体30が内膜として使用される。導電性板40を外側領域に取り付けることによって、誘電体と共に設計された内部空間を有するコンデンサが得られる。
【0051】
膜30を介した内部漏れの場合には、一次側と二次側との間、すなわち流体通路F1及びF2間で液体輸送が行われる。この液体輸送の結果、誘電特性が変化する。結果として生じる容量変化を測定することによって、生じた漏れを検出することができる。
【0052】
このように、図3に従うことによってもコンデンサが全体的に構成され、この場合、図2による実施形態とは異なり、流体通路がコンデンサの要素を形成する。
【0053】
図示の全ての変形例は、漏れの場合にインピーダンス又は静電容量が変化するという原理に基づく。このように、コンデンサのこれらの物理的パラメータ、或いはその他の電気的又は物理的特性を測定する全ての既知の可能性を使用して、漏れに関する結論を出すことができる。
【0054】
これには、例えばコンデンサを共振回路に一体化すること、及び漏れに関連する共振周波数をシフトさせることも含まれる。
【0055】
図4に、2つのコンデンサプレート40間に試験抵抗器をさらに接続した図2に対応する構成を示す。この試験抵抗器は、膜30全体にわたって生じる漏れをシミュレートして、このような漏れをモニタする手段の正しい応答チェックを可能にする。
【0056】
モニタリング手段は、コンデンサプレート40に電気的に接続され、これらの間に生じるAC又はDC電圧及び/又は電流を検出する測定配置によって形成することができる。
【0057】
図5は、図2による配置の回路図を示し、パラメータR_F2は、F2による消費済み透析液によって形成されるオーム抵抗であり、パラメータF_F1は、F1による新鮮な溶液又は流入する水によって形成されるオーム抵抗である。
【0058】
パラメータR_memは、膜によって形成されるオーム抵抗を表し、パラメータC_memは、膜30を含むコンデンサプレート40によって形成されるコンデンサの静電容量を表す。
【0059】
C_Kは、管路301及び302の静電容量を表し、R_mは、測定構成又はモニタリング手段のオーム抵抗を表し、C_mは、これらの静電容量を表す。
【0060】
図5から分かるように、入力側ではAC電圧が付与される。
【0061】
漏れ、又は試験抵抗器の介在によって、測定電圧の振幅の変化及び測定抵抗器にわたる高電圧が生じ、これを図5による低域通過による平均値形成によって求めることができる。
【0062】
図5では、Vmが平均電圧値を表す。
【0063】
図6では、2つのコンデンサプレート40によってサンドイッチ状に取り囲まれた膜30を画像a)に概略図で示す。状態a)では漏れは存在しない。
【0064】
図6b)から分かるように、コンデンサプレート40及び膜30に関連する漏れが発生した場合には、測定抵抗器R_mを高電流が流れることによって測定電圧が増加する。
【0065】
図7に、漏れLの発生時における図5による回路を示す。
【0066】
従って、漏れの発生事例をこのように直接測定できることにより、対応する対策を講じることができる。例えば、モニタリング手段は、1又は2以上の弁の閉鎖、及び/又は1又は2以上のポンプの停止を開始することができる。
【0067】
図5による構成は、例えば正弦振幅が高くなると測定抵抗器R_mにおいて高電圧値が生じるという点で試験することができる。
【0068】
本発明によるモニタリングの安全性は、ケーブル301又は302の解放時、或いは電圧電源の不在時に、対応して低い信号が測定されるという点で保証される。
【0069】
好ましくはモニタリング手段によって連続的に行われる少なくとも1つの物理的又は電気的パラメータのモニタリングは、膜又はコンデンサプレートに漏れが生じた場合にコンデンサのインピーダンス又は静電容量などの測定変数の変化の直接的な検出を可能にする。
【0070】
本発明の好ましい実施形態では、熱交換器又は復熱器の2つの空間間に、少なくとも2つのプレートと、これらのプレート間に配置された膜の形の少なくとも1つの絶縁体とを含むコンデンサが存在する。この場合、コンデンサは、熱交換器の2つの流体通路又は第1の空間と第2の空間とを分離する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a)】
図6b)】
図7