【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有する血液処理装置によって達成される。
【0005】
従って、少なくとも1つの膜が、この膜の両側に位置する少なくとも2つのコンデンサプレートを有する少なくとも1つのコンデンサの要素を形成できるようにする。
【0006】
コンデンサに接続されて、第1の空間から第2の空間への漏れを検出する目的でコンデンサの少なくとも1つの電気的特性又は物理的特性を検出するように構成されたモニタリング手段をさらに設ける。
【0007】
従って、本発明の基本的発想は、膜、従って2つの媒体空間の、すなわち第1の空間と第2の空間の流体的接続部を通じて起こり得る、流体の汚染を引き起こす恐れがある漏れを電気的モニタリングによって検出することである。
【0008】
この電気的モニタリングは、コンデンサにおいて測定されるインピーダンス、静電容量、電圧などの出力信号などの、コンデンサの電気的又は物理的特性のうちの1つ又は2つ以上に関してコンデンサをモニタするという点で行われる。
【0009】
それぞれのパラメータの所望の値又は所望の発展との相違がモニタリング手段によって判定された場合、漏れに関する結論を出して対応する対策を講じることができる。
【0010】
従って、このコンデンサ又は膜の電気的モニタリングにより、生物学的物質及び化学物質によって汚染された供給液などの流体を投与してしまう可能性がゼロに近づく。
【0011】
モニタリング手段は、連続的に機能し、すなわち血液処理装置の動作中にモニタリングが継続することが好ましい。しかしながら、特定の時間間隔の終了後又は特定の時点でのモニタリングなどの他のあらゆるタイプのモニタリングも本発明に含まれる。
【0012】
この血液処理装置は、検出された漏れに対してさらなるモニタリング装置の評価を伴わずに即座に応答できるので、任意に熱交換器の膜のモニタリングによって他のリスク軽減対策を省くことも可能である。従って、漏れをモニタするさらなる手段が存在しないようにすることが好ましい。
【0013】
第1の空間と第2の空間との間にコンデンサプレートと膜の両方が存在する配置が想定される。従って、この場合、コンデンサプレート及び膜が2つの流体間に位置し、コンデンサプレート及び/又は膜の一方又は両方における漏れを検出することができる。
【0014】
この段階で指摘しておくと、「コンデンサプレート(極板)」という用語は、板状であるか、それとも異なる形態を有するかに関わらず、コンデンサ要素として使用できるあらゆる所望の要素を含む。
【0015】
第1の空間と第2の空間との間に膜が存在し、第1の空間及び第2の空間がコンデンサプレート間に配置された事例も本発明に含まれる。
【0016】
従って、全体としては、内部空間に、すなわちプレート間に膜だけでなく第1の流体及び第2の流体も配置されたコンデンサが形成される。従って、漏れの場合に一次側と二次側との間、すなわち第1の空間から第2の空間内への、又はこの逆方向の液体輸送に起因して特性が変化する誘電体が形成される。
【0017】
モニタリング手段は、コンデンサプレートに接続された極を有するDC電圧源又はAC電圧源を含むことができる。漏れによって変化するコンデンサの電気的特性を検出するためにコンデンサの電圧を検出して、入力電圧に対する、又は所望の(すなわち、漏れのない)状態の電圧に対する測定電圧の振幅、周波数又は位相シフトの変動から、漏れが発生したとの結論を出すことができる。
【0018】
しかしながら、一般的にはDC電圧源の使用も想定される。例えば、この場合には、コンデンサのオーム抵抗を測定し、抵抗の変化に基づいて漏れに関する結論を出すことが可能と思われる。
【0019】
2つのコンデンサプレートは、サンドイッチ状の構造が得られるように膜の両側に直接接触することができる。
【0020】
コンデンサプレートは、金属を、具体的にはステンレス鋼又はチタンを含むことが好ましい。
【0021】
膜は、電気絶縁体として、ただし熱交換器の2つの空間間の良好な熱伝達が可能になるように熱伝導性を有して設計されることが好ましい。
【0022】
膜は、「カプトン(Kapton)」から設計することが想定される。この材料は、ポリイミドである。一般的には、他の高分子又は他の材料を膜に使用することもできる。
【0023】
一般に、漏れの際に変化するコンデンサのあらゆる所望の電気的特性又は物理的特性は、モニタリング手段によってモニタリングされるパラメータと見なすことができる。例えば、コンデンサのインピーダンス又は静電容量は、モニタされるパラメータと見なすことができる。
【0024】
コンデンサを共振回路に一体化し、コンデンサの共振周波数の測定を行うようにモニタリング手段を構成することも想定される。
【0025】
コンデンサのインピーダンス、静電容量又は共振周波数が変化した場合には、膜及び/又は(単複の)コンデンサプレートの漏れに関する結論を出すことができる。
【0026】
モニタリング手段が少なくとも1つの測定抵抗器を含み、この測定抵抗器を介して電圧を求めることも想定される。
【0027】
この測定抵抗器は、膜によって形成される抵抗器と直列に接続することができる。
【0028】
本発明のさらなる実施形態では、モニタリング手段が、コンデンサにおいて測定される電圧の平均値を求めるためのローパスフィルタを有する。
【0029】
さらに、モニタリング手段をチェックする目的で、膜によって形成される抵抗器と並列に接続された又は接続できる少なくとも1つの試験抵抗器を設け、又は使用できるようにすることもできる。
【0030】
従って、この試験抵抗器は、漏れの発生をシミュレートする。この結果、配置した試験抵抗器を用いて、対応する信号変化がモニタリング手段によって特定されたかどうかをチェックすることができる。特定された場合、モニタリング手段の正しい動作に関する結論を出すことができる。
【0031】
血液処理装置は、血液透析装置などの透析装置であることが好ましい。
【0032】
血液処理装置を給水装置に接続し、熱供給装置に熱交換器を接続することにより、熱交換器の指定された第1の空間に真水が、具体的には給水装置からのRO水が流れるようにすることができる。
【0033】
この真水又はRO水を用いて、濃縮物を追加することによって透析液を調製することができる。
【0034】
熱交換器の第2の空間は、消費済みの加熱された透析液が流れるように構成することができる。従って、消費済み透析液から真水への熱伝達が行われる。
【0035】
熱交換器の効率は、とりわけ一次側と二次側との間の、すなわち熱交換器の2つの空間間の耐熱性の増加と共に高まる。透析装置では、水道又は水の流入路の直後に最も低い媒体温度を有する地点が存在する。上述したように、二次側の、すなわち他方の空間には、装置から流出方向に離れる前の加熱された透析液が流れる。
【0036】
本発明によれば、具体的には熱交換膜の連続的モニタリング、又は時間間隔を空けて行われるモニタリングを用いて、例えばポンプが停止し、又は弁が閉じるという点で直接的に漏れに対応することができる。このような直接的な対応が容易に可能であるため、他のリスク軽減対策及びコストを伴う対策を任意に排除することができる。
【0037】
モニタリング手段は、ディスプレイに接続して、そこにモニタリング手段が検出した状態を表示することができる。例えば、漏れの発生時にユーザに知らせる音響的手段及び/又は光学的手段などの他の出力手段も検討され、本発明に含まれる。
【0038】
図面に示す実施形態を参照しながら、本発明のさらなる詳細及び利点についてさらに詳細に説明する。