(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
マトリックスが、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(テトラフルロエチレン(tetrafluroethylene))、ポリ(メチメタクリラート(methymethacrylate))、エチレン-co-酢酸ビニル、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(エーテル-ウレタン)、ポリカルボナート、ポリエーテルスルホン、ポリベンゾイミダゾール、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ(エチレンテルフタラート(ethylene terphthalate))、ポリ(スルホン)、ポリラクチド(PLA)系、ポリグリコリド(PGA)系、ポリカプロラクトン(PCL)系のポリ(エステル)、ポリ(ヒドロキシアルカン酸)、ポリ(サッカリド)、そのコポリマー及び混合物又はコポリマーと混合物の組合せのうちの1つ又は複数のものを含むポリマーマトリックスである、請求項1〜3のいずれか1項記載の埋込み型組成物。
【背景技術】
【0003】
全身毒性を低く抑えて効果を発揮する医薬品の持続送達は、特に限定されないが悪性腫瘍および特定の感染症を含めた疾患の治療に望ましいものである。投薬は、経口、噴霧吸入、皮下、筋肉内、腹腔内、経皮、胸腔内および静脈内を含めた様々な方法で実施され得る。
【0004】
薬物送達は、必要に応じて医薬化合物を体内に輸送して所望の治療効果を安全に得るための方法、製剤、技術およびシステムを指す。従来の薬物送達は、体内の部位を標的にするか、全身薬物動態を促進するものであり得る。いずれの場合も、従来の薬物送達では通常、薬物が存在する量および持続時間が問題となる。
【0005】
ただ、薬物の全身投与では望ましくない毒性が生じ得る。多くの薬物では、全身投与による毒性は、全身が特定の濃度の薬物に曝露される総量と関係があることが多い。静脈内および全身への薬物療法が失敗するのは、薬物の溶解度が低いこと、毒性、in vivoで薬物の安定性が維持される時間が短いこと、好ましくない薬物動態、生体内分布が不十分であること、バイオアベイラビリティが低いこと、短時間で代謝および排泄されることならびに疾患標的に対する選択性が低いことのうちの1つまたは複数のものが原因であることが最も多い。
【0006】
患者間に毒性の差がみられ、1人の患者でも日によって毒性の差がみられるのは、個々の患者が血漿中に薬物を吸収し、体循環中から薬物を除去する程度にばらつきがあることが大きな成因の1つとなっていると考えられる。薬物動態のばらつきによって、1人の患者で薬物を代謝もしくは排泄する能力が日によって変化したり、患者間に薬物の代謝または排泄の差がみられたりすると考えられる。一般に、薬物を静脈内に(すなわち、IVで)投与すると、タンパク質結合および排泄による血漿からのクリアランスが原因で半減期が比較的短くなる。効果を得るために全身に投与する必要がある薬物の濃度は通常、全身副作用があることから最大耐量または投与速度による制約を受ける。用量制限毒性に起因するこの制約によって、薬物を持続的かつ効果的なレベルで送達できる可能性が低くなる。
【0007】
in vivoの薬物濃度は血液中のものを測定するのが一般的である。ほとんどの薬物は、その効果が現れるのに最小有効血漿中濃度およびこの濃度の持続が必要である。薬物の濃度が特定の閾値濃度および/または特定の閾値濃度を超えた持続時間を上回ると、用量制限毒性が生じる。薬物のレベルが最小有効血漿中濃度を下回ると、その目的とする効果はみられない。
【0008】
血中薬物レベルの測定は有用な手段ではあるが、実際の標的組織での濃度の代用にすぎない。有効性は薬物効果の目標持続時間および強度と相関し、それは吸収、分布および消失(生体内変換、排泄)の速度に左右される。標準的な経口投与経路、静脈内投与経路または腹腔内投与経路は、上記の作用により、標的指向性を欠き、治療薬のレベルの持続時間が比較的短いことから、標的組織の過少治療、オフターゲット毒性および用量制限毒性を生じることが多いほか、化学療法抵抗性の疾患(例えば、化学療法抵抗性の細胞集団および癌幹細胞など)への選択バイアスが生じ得る。治療薬レベルの持続時間を増大させ、オフターゲット全身毒性を軽減し、選択圧の持続による化学療法抵抗性選択バイアスを打ち消す安全な方法として、疾患部位への局所薬物送達が長年追及されてきた。治療指数は、治療効果が得られる治療剤の量と毒性を引き起こす量とを比較するものである。治療指数に有益な影響を及ぼし、薬物が必要とされる場所にのみそれを送達する薬物送達技術の作出が従来から大いに望まれているが、実際に達成するのは極めて困難である。
【0009】
従来型(「遊離型」)薬物の薬理学的特性の多くは、生物学的製剤および化学療法剤の徐放をもたらす薬物送達システムの使用によって改善することができる。制御され徐放された局所的薬物放出の方法には、薬物の有効性および安全性の増大に対して相当な薬力学的利点がある。化学療法後も生存し続ける薬剤耐性癌細胞は、腫瘍再発および患者の予後不良の原因となる。腫瘍が臨床において化学療法に耐性を示すのは、薬物がその標的腫瘍組織に対して効率的に分布しないことや治療濃度の持続時間が短いことに起因するものと思われる。薬物耐性が生じると腫瘍治療が成功しない。薬物耐性は、内因性または獲得性のいずれかであると考えることができる。内因性の耐性は、腫瘍細胞が、損傷を回避したり、最初の曝露で化学療法の細胞毒性効果によって引き起こされる損傷を修復したりすることが可能である場合に生じる。最初は化学療法に感受性であった集団から抵抗性細胞が生き残ると、獲得耐性が優勢になる。ポリマー性マトリックスおよび/またはこれらのシステムの分解により腫瘍への薬物の持続的拡散を制御することによって、薬物送達を進歩させることができる。
【0010】
治療濃度の薬物を標的腫瘍に対して持続的に放出することによって、優れた患者コンプライアンスおよび患者転帰が可能になり、薬物の治療指数が上昇し、化学療法抵抗性の細胞集団の選択が妨げられる。持続的な薬物放出は通常、埋込み型リザーバーに治療薬を組み込むか、所望の薬物を含んだ生分解性または非生分解性の材料を埋め込むことによって達成される。ポンプによって薬物を所定の速度で能動的に放出させることができる。別法として、拡散、侵食または両者の組合せによって、薬物を埋植物から予測可能な制御された方法で能動的に放出させることができる。
【0011】
生分解性化学療法薬送達埋植物の開発は局所的疾患の治療に有用である(例えば、悪性腫瘍または免疫不全患者の術後感染もしくは病巣感染を治療する抗菌性化合物)。薬物徐放システムの有効性は通常、血漿中の埋植薬物の濃度の測定または治療する基礎疾患の評価(例えば、感染症の改善または癌のサイズの減少、再発の予防など)によって判定される。例えば、切除縁に癌化学療法剤送達埋植物を留置すれば局所再発のリスクが抑えられる。1つの例として、肉腫を有する患者の胸壁の除去および/または切除に関するものがある。胸壁は、脊椎、胸骨および肋骨を含めた骨と組織の枠組みであり、心臓および肺などの生命維持に係る臓器を取り囲むケージを形成している。この構造内で成長し得る腫瘍の種類は多数ある。胸壁を起源とし、良性または悪性となり得る原発性腫瘍もあれば、身体の別の部位から胸壁に転移し、ほぼ必ず悪性である続発性腫瘍もある。
【0012】
悪性胸壁腫瘍は多数の種類の肉腫を擁し、身体の場所を問わず骨、軟部組織および軟骨に形成され得る癌性腫瘍のカテゴリーの1つである。胸壁肉腫の症状は腫瘍の分類および重症度によって異なり、呼吸困難のほか腫瘍周囲の疼痛および腫脹がみられることがある。
【0013】
治療は、腫瘍の種類およびその進行段階などの因子によって異なり得る。初期段階の胸壁腫瘍のほとんどは外科的切除が治療の主流となっている。追加治療に放射線療法(癌細胞を死滅させる放射線の使用)および/または化学療法(癌細胞を死滅させる薬物の使用)含めることもある。局所再発および遠隔再発がよくみられる。肉腫再発の予防には局所薬物送達が有望な方法であることが疾患の小動物モデルを用いて明らかにされている。再発を予防する効果がありヒトへの使用が承認されている治療法は未だない。
【0014】
肺癌は世界で最も死亡数の多い癌である。肺癌は大部分が末期に発見され、全身治療が実施される。しかし、根治目的の外科手術で治療することが可能な段階で診断される肺癌患者も相当な割合を占める。手術可能な肺癌であって、患者の健康状態が外科手術に十分に耐え得るものである思われる場合、外科的切除が最適な治療法であり、治癒には最良の選択となる。肺癌を治療する手術には、肺全摘除術、肺葉切除術(すなわち、解剖学的部位をその血管供給およびリンパ排出に沿って切除すること)、区域切除術または楔状切除術が含まれ得る。医師が肺全摘除処置または肺葉切除処置の代わりに、肺容量の喪失を抑え、術後の肺機能を可能な限り保持するために切除を少なくすることを選択する場合もあるが、腫瘍細胞の除去が不完全で肺の切除縁に残存していることが原因で腫瘍学的転帰が不良となる可能性がある。楔状切除術または亜肺葉解剖学的切除では、腫瘍を含む組織塊の亜肺葉部分または原発腫瘍を超えた辺縁部を含む病巣を除去する。切除済みの組織は縫合または外科用ステープルによって留める。切除縁の端に沿ったステープルラインによって空気および血液の漏出が防止される。楔状切除の修復は一般に、基礎となる臓器が歪まずにその形状を維持できるステープル/切除ラインによるものである。楔状切除術では通常、不規則な形の切除端に沿って単一の縫合ラインまたはステープルラインのみが残る。外科的処置に関するこの利点にもかかわらず、楔状切除術は、肺葉切除術を受けるのに生理的に適している癌患者に最適な腫瘍学的切除法であるとは考えられていない。楔状切除術が、肺機能を保持することと、悪性であると考えられる組織を切除縁に沿って全部除去することとの間の妥協点となっているのは、切除縁での癌の局所再発率が肺葉切除術よりも高いという観察結果が得られているからである。
【0015】
再発の予防に用いられる切除縁の局所治療の方法の1つに近接照射療法がある。近接照射療法では、近接照射療法シードを縫い込んだvicrylパッチ/メッシュを用いる。次いで、切除領域を覆う肺組織に放射性シードを有する生分解性メッシュを貼付する。このような近接照射療法メッシュを開胸術によって、またはビデオ胸腔鏡下手術(VATS)を用い侵襲を最小限に抑えて肋間からアクセスすることによって導入して貼り付け、切除ステープルラインを覆う。ある試験では、楔状切除術と近接照射療法では局所再発(LR)が1%となり、楔状切除術単独ではLRが19%となることがわかっている(d’Amatoら,“Intraoperative Brachytherapy Following Thoracoscopic Wedge Resection of Stage 1 Lung Cancer”,Chest Off.Pub.Of the Am.Coll.Of Chest Phys.,114(4):1112−5 October 1998を参照されたい)。切除縁が適切な解剖学的区域切除術を施行すれば、接照射療法の術中にアジュバントを用いても局所再発率に影響を及ぼすことはないように思われる。しかし、解剖学的切除が適さない高リスク患者では、亜肺葉非解剖学的切除を実施し切除縁が損なわれる場合、近接照射療法には局所再発率を低下させる役割があると思われる[例えば、Fernando HC,Landreneau RJ,Mandrekar SJ,Nichols FC,Hillman SL,Heron DEら,Impact of Brachytherapy on local recurrence rates after sublobar resection:results from ACOSOG z4032(Alliance),a phase III randomized trial for high−risk operable non−small cell lung cancer.J Clin Oncol 2014;32:2456−62を参照されたい]。このように少ないながら肯定的な結果が得られているものの、この処置には実施するうえで不利な点がいくつもある。第一に、この処置は手術者に左右されるため、外科チームの経験によって結果にばらつきがある。次に、特に生理機能が低下した患者にビデオを用いて既に複雑な処置に1時間以上加わる場合、再現が長たらしいものとなる。次に、外科手術の準備および処置の間に外科スタッフおよび医療スタッフが不必要な放射線に被曝することになる。局所再発率は低下するものの、残念ながら、上記のものをはじめとする不利な点があることから、近接照射療法の採用は未だ広まっていない。
【0016】
直視下手術、腹腔鏡下手術および内視鏡下手術で実施するものを含めた多くの外科的処置では、組織同士を留めたり、ステープルで閉じたり、縫合したり、接着剤、クリップまたは鉗子で留めたりすることが必要な場合が多い。臨床医は、薬物を局所的に送達して再発を予防したり疾患を局所的に治療したりすることが可能であり、手術者に左右されず、再現性があり、効果的で、患者および外科的処置に関与する者の両方に安全な外科手術用組成物およびこのような組成物の使用法を強く求めてきた。このような結果が得られる組成物および方法として、本明細書に記載されるものが挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(詳細な説明)
A.組成物
第一の実施形態では、本開示は、マトリックスとともに少なくとも1つのポリマーと治療活性物質とを含む、埋込み型組成物を提供する。
【0024】
理解されるように、「埋込み型」という用語は、内部の身体組織(例えば、内部の切除縁病巣)を覆い、かつ/またはそれに貼付されるのに十分な機械的特性を有する開示の組成物の1つまたは複数の層を指す。「埋込み型」という用語は「埋植物」と互換的に使用され得る。埋植物の例としては、特に限定されないが、本明細書に明記される特徴のうちの1つまたは複数のものを備えた外科用バットレスまたは外科用メッシュが挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される場合、ABC103−AはPGA(ポリグリコール酸)バットレス材料(Neoveil(登録商標)または適切な同等物)を含み;ABC103−BはPGA/TMC(ポリグリコール酸/トリメチレンカルボナート)系バットレス(例えば、GORE(登録商標)SEAMGUARD(登録商標))を含み;ABC103−CはPGAバットレス材料(例えば、Neoveil(登録商標))を含む。上記の製剤はそれぞれ、所与のバットレス材料を覆う25%PEG8K+50/50PLGA+パクリタキセル(薬物を充填する場合)からなる。
【0026】
第二の実施形態では、本開示は、マトリックスとともに少なくとも1つのポリマーと、少なくとも1つの賦形剤と、治療活性物質とを含む、埋込み型組成物を提供する。
【0027】
第三の実施形態では、第一または第二の実施形態の少なくとも1つのポリマー、少なくとも1つの賦形剤および治療活性物質は、分離した別個の実体である。
【0028】
第四の実施形態では、第一、第二または第三の実施形態の少なくとも1つのポリマー、少なくとも1つの賦形剤および治療活性物質は、マトリックス内に包埋されているか、マトリックス上にコーティングされているか、マトリックス内に包埋されマトリックス上にコーティングされているか、マトリックスと共有結合している。1つの選択肢では、第一、第二または第三の実施形態の少なくとも1つのポリマー、少なくとも1つの賦形剤および治療活性物質は、マトリックス内に包埋されマトリックス上にコーティングされている。
【0029】
第五の実施形態では、本明細書に記載される組成物のマトリックスは膜または多孔性の足場を含み、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三または第四の実施形態に記載される通りのものである。あるいは、本明細書に記載される組成物のマトリックスは膜または非多孔性の足場を含み、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三または第四の実施形態に記載される通りのものである。
【0030】
第六の実施形態では、本明細書に記載される組成物のマトリックスは、不織ポリマーメッシュまたは織ったポリマーメッシュであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四または第五の実施形態に記載される通りのものである。
【0031】
第七の実施形態では、本明細書に記載される組成物のマトリックスは生体マトリックスであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五または第六の実施形態に記載される通りのものである。生体マトリックスとしては、例えば動物細胞の物質または組織に由来する任意のマトリックスが挙げられる。生体材料としては、例えば、織ったもの、編んだもの、不織性のものを問わずヒアルロン酸、アガロース、絹フォブロイン(silk fobroin)、自己集合性ペプチド、キトサン、グリコサミノグリカンのような多糖材料、無細胞性真皮グラフト(ALLODERM)、無細胞性コラーゲン(PERISTRIPS)が挙げられ、生体吸収性のものであっても非生体吸収性のものであってもよい。生体マトリックスとしては、例えば、グリコリド、グリコール酸、ラクチド、乳酸、p−ジオキサノン、α−カプロラクトンおよびトリメチレンカルボナートからなる群より選択される1つまたは複数のモノマーから得られるホモポリマー、コポリマーまたはその混合物から作製されるものが挙げられる。ポリマーマトリックスとしては、特に限定されないが、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ホスファジン)、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメチルアクリラート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアセタート、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリシュウ酸アルキレン、ポリアミド、ポリ(イミノカルボナート)、ポリシュウ酸アルキレン、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、ポリホスファゼンならびにそのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、混合物および組合せが挙げられる。
【0032】
第八の実施形態では、本明細書に記載される組成物のマトリックスは、コラーゲンシート、ウシ心膜、ヒトまたは動物の硬膜などから選択される生体マトリックスであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六または第七の実施形態に記載される通りのものである。
【0033】
第九の実施形態では、本明細書に記載される組成物のマトリックスは、ポリ(エチレン)ポリ(プロピレン)、ポリ(テトラフルロエチレン(tetrafluroethylene))、ポリ(メチメタクリラート(methymethacrylate))、エチレン−co−酢酸ビニル、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(エーテル−ウレタン)、ポリカルボナート、ポリエーテルスルホン、ポリベンゾイミダゾール、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ(エチレンテルフタラート(ethylene terphthalate))、ポリ(スルホン)、ポリラクチド(PLA)系、ポリグリコリド(PGA)系、ポリカプロラクトン(PCL)系のポリ(エステル)、ポリ(ヒドロキシアルカン酸)、ポリ(サッカリド)、そのコポリマーおよび混合物またはコポリマーと混合物の組合せのうちの1つまたは複数のものを含むポリマーマトリックスであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五または第六の実施形態に記載される通りのものである。1つの選択肢では、本明細書に記載される組成物のマトリックスは、ポリグリコール酸(PGA)を含むポリマーマトリックスであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五または第六の実施形態に記載される通りのものである。別の選択肢では、本明細書に記載される組成物のマトリックスは、生分解性ポリグリコール酸(PGA)メッシュ、例えばGunze社のNeoveil(登録商標)およびCovidien社のBard Seprameshなどであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五または第六の実施形態に記載される通りのものである。また別の選択肢では、本明細書に記載される組成物のマトリックスは柔軟な合成メッシュ、例えばCovidien社のParietex(商標)Composite(PCO)Meshであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五または第六の実施形態に記載される通りのものである。その他の選択肢では、本明細書に記載される組成物のマトリックスはポリグリコール酸とトリメチレンカルボナートの組合せであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五または第六の実施形態に記載される通りのものである。また別の選択肢では、本明細書に記載される組成物のマトリックスは、例えばポリグリコール酸(PGA)とトリメチレンカルボナート(TMC)のモル比が約10:90、約15:85、約20:80、約25:75、約30:70、約35:65、約40:60、約45:55、約50:50、約55:45、約60:40、約65:35、約70:30、約75:25、約80:20、約85:15または約90:10であるPGA:TMCメッシュであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五または第六の実施形態に記載される通りのものである。また別の選択肢では、本明細書に記載される組成物のマトリックスは、例えばポリグリコール酸(PGA)とトリメチレンカルボナート(TMC)のモル比が約85:15であるPGA:TMCメッシュ、例えばGORE(登録商標)SEAMGUARD(登録商標)であり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五または第六の実施形態に記載される通りのものである。
【0034】
第十の実施形態では、本明細書に記載される組成物の治療活性物質は、マトリックス内に包埋されているか、マトリックス上にコーティングされているか、マトリックス内に包埋されマトリックス上にコーティングされている少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの賦形剤の総重量の約50重量%以下を占め、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八または第九の実施形態に記載される通りのものである。あるいは、治療活性物質は、マトリックス内に包埋されているか、マトリックス上にコーティングされているか、マトリックス内に包埋されマトリックス上にコーティングされている少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの賦形剤の総重量の約25重量%以下を占め、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八または第九の実施形態に記載される通りのものである。あるいは、治療活性物質は、マトリックス内に包埋されているか、マトリックス上にコーティングされているか、マトリックス内に包埋されマトリックス上にコーティングされている少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの賦形剤の総重量の約20重量%以下を占め、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八または第九の実施形態に記載される通りのものである。別の選択肢では、治療活性物質は、マトリックス内に包埋されているか、マトリックス上にコーティングされているか、マトリックス内に包埋されマトリックス上にコーティングされている少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの賦形剤の総重量の約15重量%以下を占め、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八または第九の実施形態に記載される通りのものである。また別の選択肢では、治療活性物質は、マトリックス内に包埋されているか、マトリックス上にコーティングされているか、マトリックス内に包埋されマトリックス上にコーティングされている少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの賦形剤の総重量の約10重量%を占め、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八または第九の実施形態に記載される通りのものである。また別の選択肢では、治療活性物質は、マトリックス内に包埋されているか、マトリックス上にコーティングされているか、マトリックス内に包埋されマトリックス上にコーティングされている少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの賦形剤の総重量の約5重量%を占め、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八または第九の実施形態に記載される通りのものである。また別の選択肢では、治療活性物質は、マトリックス内に包埋されているか、マトリックス上にコーティングされているか、マトリックス内に包埋されマトリックス上にコーティングされている少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの賦形剤の総重量の約1重量%を占め、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八または第九の実施形態に記載される通りのものである。
【0035】
第十一の実施形態では、本明細書に記載される組成物中の少なくとも1つの賦形剤は、マトリックス内に包埋されているか、マトリックス上にコーティングされているか、マトリックス内に包埋されマトリックス上にコーティングされている少なくとも1つのポリマーと治療活性物質の総重量の約50重量%以下を占め、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九または第十の実施形態に記載される通りのものである。あるいは、賦形剤は、マトリックス内に包埋されているか、マトリックス上にコーティングされているか、マトリックス内に包埋されマトリックス上にコーティングされている少なくとも1つのポリマーと治療活性物質の総重量の約10重量%〜約40重量%を占め、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九または第十の実施形態に記載される通りのものである。別の選択肢では、賦形剤は、マトリックス内に包埋されているか、マトリックス上にコーティングされているか、マトリックス内に包埋されマトリックス上にコーティングされている少なくとも1つのポリマーと治療活性物質の総重量の約5重量%〜約50重量%を占め、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九または第十の実施形態に記載される通りのものである。別の選択肢では、賦形剤は、マトリックス内に包埋されているか、マトリックス上にコーティングされているか、マトリックス内に包埋されマトリックス上にコーティングされている少なくとも1つのポリマーと治療活性物質の総重量の約5重量%〜約35重量%を占め、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九または第十の実施形態に記載される通りのものである。別の選択肢では、賦形剤は、マトリックス内に包埋されているか、マトリックス上にコーティングされているか、マトリックス内に包埋されマトリックス上にコーティングされている少なくとも1つのポリマーと治療活性物質の総重量の約5重量%〜約20重量%を占め、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九または第十の実施形態に記載される通りのものである。
【0036】
本明細書で使用される「治療活性物質」は、人為を加えなくてもin vitroおよび/またはin vivoで治療効果のある生物学的作用を発揮することができる任意の薬剤を指す。
【0037】
第十二の実施形態では、本明細書に記載される組成物の治療活性物質は、合成有機分子、タンパク質、酵素、増殖因子、ポリアニオン、ヌクレオシド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチドならびに同様のものを含有する既知の医薬品および薬物から選択され、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十または第十一の実施形態に記載される通りのものである。1つの選択肢では、本明細書に記載される組成物の治療活性物質は、(1)ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェンおよびナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)鎮痛剤;(2)コデイン、フェンタニル、ヒドロモホン(hydromophone)およびモルヒネなどのオピエートアゴニスト鎮痛剤;(3)アスピリン(ASA)(腸溶コートASA)などのサリチル酸系鎮痛剤;(4)クレマスチンおよびテルフェナジンなどのH1ブロッカー系抗ヒスタミン剤;(5)シメチジン、ファモチジン、ニザジン(nizadine)およびラニチジンなどのH2ブロッカー系抗ヒスタミン剤;(6)ムピロシンなどの抗感染症剤;(7)クロラムフェニコールおよびクリンダマイシンなどの抗嫌気性抗感染症剤;(8)アンホテリシンb、クロトリマゾール、フルコナゾールおよびケトコナゾールなどの抗真菌性抗生物質抗感染症剤;(9)アジスロマイシンおよびエリスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質抗感染症剤;(10)アズトレオナムおよびイミペネムなどの種々のβラクタム系抗生物質抗感染症剤;(11)ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンGおよびペニシリンVなどのペニシリン系抗生物質抗感染症剤;(12)シプロフロキサシンおよびノルフロキサシンなどのキノロン系抗生物質抗感染症剤;(13)ドキシサイクリン、ミノサイクリンおよびテトラサイクリンなどのテトラサイクリン系抗生物質抗感染症剤;(14)イソニアジド(INH)およびリファンピンなどの抗結核抗マイコバクテリア抗感染症剤;(15)アトバコンおよびダプソンなどの抗原虫抗感染症剤;(16)クロロキンおよびピリメタミンなどの抗マラリア抗原虫抗感染症剤;(17)リトナビルおよびジドブジンなどの抗レトロウイルス抗感染症剤;(18)アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロンαおよびリマンタジンなどの抗ウイルス抗感染症剤;(19)カルボプラチンおよびシスプラチンなどのアルキル化抗悪性腫瘍剤;(20)カルムスチン(BCNU)などのニトロソウレア系アルキル化抗悪性腫瘍剤;(21)メトトレキサートなどの代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤;(22)フィウオロウラシル(fiuorouracil)(5−FU)およびゲムシタビンなどのピリミジンアナログ系代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤;(23)ゴセレリン、ロイプロリドおよびタモキシフェンなどのホルモン系抗悪性腫瘍;(24)天然の抗悪性腫瘍物質、例えばアルデスロイキン、インターロイキン2、ドセタキセル、エトポシド(VP−16)、インターフェロンα、パクリタキセルおよびトレチノイン(ATRA)など;(25)ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシンおよびマイトマイシンなどの抗生物質系の天然の抗悪性腫瘍物質;(26)ビンブラスチンおよびビンクリスチンなどのビンカアルカロイド系の天然の抗悪性腫瘍物質;(27)ニコチンなどの自律神経剤;(28)ベンズトロピンおよびトリヘキシフェニジルなどの抗コリン性自律神経剤;(29)アトロピンおよびオキシブチニンなどの抗ムスカリン性抗コリン性自律神経剤;(30)ブロモクリプチンなどの麦角アルカロイド系自律神経剤;(31)ピロカルピンなどのコリン作動性アゴニスト系副交感神経刺激剤;(32)ピリドスチグミンなどのコリンエステラーゼ阻害剤系副交感神経刺激剤;(33)プラゾシンなどのαブロッカー系交感神経遮断剤;(34)アテノロールなどのβブロッカー系交感神経遮断剤;(35)アルブテロールおよびドブタミンなどのアドレナリンアゴニスト系交感神経刺激剤;(36)アスピリン(ASA)、plavix(硫酸クロピドグレル)などの心血管剤;(37)アテノロールおよびプロプラノロールなどのβブロッカー系抗狭心症剤;(38)ニフェジピンおよびベラパミルなどのカルシウムチャネル遮断剤系抗狭心症剤;(39)二硝酸イソソルビド(ISDN)などの硝酸系抗狭心症剤;(40)ジゴキシンなどの強心配糖体系抗不整脈剤;(41)リドカイン、メキシレチン、フェニトイン、プロカインアミドおよびキニジンなどのクラスI抗不整脈剤;(42)アテノロール、メトプロロール、プロプラノロールおよびチモロールなどのクラスII抗不整脈剤;(43)アミオダロンなどのクラスIII抗不整脈剤;(44)ジルチアゼムおよびベラパミルなどのクラスIV抗不整脈剤;(45)プラゾシンなどのαブロッカー系降圧剤;(46)カプトプリルおよびエナラプリルなどのアンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)系降圧剤;(47)アテノロール、メトプロロール、ナドロールおよびプロパノロールなどのβブロッカー系降圧剤;(48)ジルチアゼムおよびニフェジピンなどのカルシウムチャネル遮断剤系抗高血圧剤;(49)クロニジンおよびメチルドパなどの中枢作用性アドレナリン作動性降圧剤;(50)アミロリド、フロセミド、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)およびスピロノラクトンなどの利尿性抗高血圧剤;(51)ヒドララジンおよびミノキシジルなどの末梢血管拡張剤系降圧剤;(52)ゲムフィブロジルおよびプロブコールなどの抗脂血剤;(53)コレスチラミンなどの胆汁酸捕捉剤系抗脂血剤;(54)ロバスタチンおよびプラバスタチンなどのHMG−CoA還元酵素阻害剤系抗脂血剤;(55)アムリノン、ドブタミンおよびドパミンなどの変力物質;(56)ジゴキシンなどの強心配糖体系変力物質;(57)アルテプラーゼ(TPA)、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼなどの血栓溶解剤または血栓溶解酵素(58)コルヒチン、イソトレチノイン、メトトレキサート、ミノキシジル、トレチノイン(ATRA)などの外皮用剤;(59)ベタメタゾンおよびデキサメタゾンなどの外皮用副腎皮質ステロイド系抗炎症剤;(60)アンホテリシンB、クロトリマゾール、ミコナゾールおよびナイスタチンなどの抗真菌性局所抗感染症剤;(61)アシクロビルなどの抗ウイルス性局所抗感染症剤;(62)フルオロウラシル(5−FU)などの局所抗悪性腫瘍;(63)ラクツロースなどの電解質剤および腎臓剤;(64)フロセミドなどのループ利尿薬;(65)トリアムテレンなどのカリウム保持性利尿剤;(66)ヒドロクロロチアジド(HCTZ)などのチアジド系利尿薬;(67)プロベネシドなどの尿酸排泄促進剤;(68)RNアーゼおよびDNアーゼなどの酵素;(69)シクロスポリン、ステロイド、メトトレキサート、タクロリムス、シロリムス、ラパマイシンなどの免疫抑制剤;(70)プロクロルペラジンなどの制吐剤;(71)スルファサラジンなどのサリチル酸系胃腸管抗炎症剤;(72)オメプラゾールなどの胃酸ポンプ阻害剤系抗潰瘍剤;(73)シメチジン、ファモチジン、ニザチジンおよびラニチジンなどのH
2ブロッカー系抗潰瘍剤;(74)パンクレリパーゼなどの消化剤;(75)エリスロマイシンなどの消化管運動促進剤;(76)フェンタニルなどのオピエートアゴニスト系静脈麻酔剤薬;(77)エリスロポエチン、フィルグラスチム(G−CSF)およびサルグラモスチム(GM−CSF)などの造血抗貧血剤;(78)抗血友病因子1〜10(XHF1〜10)などの凝固剤;(79)ワルファリン、ヘパリンおよびアルガトロバンなどの抗凝固剤;(80)エルロチニブおよびゲフェチニブ(gefetinib)などの成長受容体阻害剤;(82)メトトレキサートなどの堕胎剤;(83)インスリンなどの抗糖尿病剤;(84)エストロゲンおよびプロゲスチンなどの経口避妊剤;(85)レボノルゲストレルおよびノルゲストレルなどのプロゲスチン系避妊剤;(86)コンジュゲートエストロゲン、ジエチルスチルベストロール(DES)、エストロゲン(エストラジオール、エストロンおよびエストロピペート)などのエストロゲン;(87)クロミフェン、ヒト絨毛ゴナダトロピン(gonadatropin)(HCG)およびメノトロピンなどの妊娠促進剤;(88)カルシトニンなどの副甲状腺剤;(89)デスモプレシン、ゴセレリン、オキシトシンおよびバソプレッシン(ADH)などの下垂体ホルモン;(90)メドロキシプロゲステロン、ノルエチンドロンおよびプロゲステロンなどのプロゲスチン;(91)レボチロキシンなどの甲状腺ホルモン;(92)インターフェロンβ−1bおよびインターフェロンγ−1bなどの免疫生物学的製剤;(93)免疫グロブリンIM、IMIG、IGIMおよび免疫グロブリンIV、IVIG、IGIVなどの免疫グロブリン;(94)リドカインなどのアミド系局所麻酔剤;(95)ベンゾカインおよびプロカインなどのエステル系局所麻剤;(96)筋骨格副腎皮質ステロイド系抗炎症剤、例えばベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾンおよびプレドニゾンなど;(97)アザチオプリン、シクロホスファミドおよびメトトレキサートなどの筋骨格抗炎症免疫抑制剤;(98)ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、ケトルラク(ketorlac)およびナプロキセンなどの筋骨格非ステロイド性抗炎症剤(NSAID);(99)バクロフェン、シクロベンザプリンおよびジアゼパムなどの骨格筋弛緩剤;(100)ピリドスチグミンなどの逆神経筋ブロッカー系骨格筋弛緩剤;(101)ニモジピン、リルゾール、タクリンおよびチクロピジンなどの神経学的薬剤;(102)カルバマゼピン、ガバペンチン、ラモトリギン、フェニトインおよびバルプロ酸などの抗痙攣剤;(103)フェノバルビタールおよびプリミドンなどのバルビツール酸系抗痙攣剤;(104)クロナゼパム、ジアゼパムおよびロラゼパムなどのベンゾジアゼピン系抗痙攣剤;(105)ブロモクリプチン、レボドパ、カルビドパおよびペルゴリドなどの抗パーキンソン病剤;(106)メクリジンなどの抗眩暈剤;(107)コデイン、フェンタニル、ヒドロモルホン、メサドンおよびモルヒネなどのオピエートアゴニスト;(108)ナロキソンなどのオピエートアンタゴニスト;(109)チモロールなどのβブロッカー系抗緑内障剤;(110)ピロカルピンなどの縮瞳剤系抗緑内障剤;(111)ゲンタマイシン、ネオマイシンおよびトブラマイシンなどの眼科用アミノグリコシド系抗感染症剤;(112)シプロフロキサシン、ノルフロキサシンおよびオフロキサシンなどの眼科用キノロン系抗感染症剤;(113)デキサメタゾンおよびプレドニゾロンなどの眼科用副腎皮質ステロイド剤;(114)ジクロフェナクなどの眼科用非ステロイド性抗炎症剤(NSAID);(115)クロザピン、ハロペリドールおよび,リスペリドンなどの抗精神病剤;(116)クロナゼパム、ジアゼパム、ロラゼパム、オキサゼパムおよびプラゼパムなどのベンゾジアゼピン系抗不安剤、鎮静剤および睡眠剤;(117)メチルフェニデートおよびペモリンなどの精神刺激剤;(118)コデインなどの鎮咳剤;(119)テオフィリンなどの気管支拡張剤;(120)アルブテロールなどのアドレナリンアゴニスト系気管支拡張剤;(121)デキサメタゾンなどの呼吸器副腎皮質ステロイド系抗炎症剤;(122)フルマゼニルおよびナロキソンなどの解毒剤;(123)ペニシラミンなどの重金属アンタゴニスト/キレート剤;(124)ジスルフィラム、ナルトレキソンおよびニコチンなどの物質乱用抑止剤;(125)ブロモクリプチンなどの離脱症状物質乱用剤;(126)鉄、カルシウムおよびマグネシウムなどのミネラル;(127)シアノコバラミン(ビタミンB12)およびナイアシン(ビタミンB3)などのビタミンB化合物;(128)アスコルビン酸などのビタミンC化合物;(129)カルシトリオールなどのビタミンD化
合物;(130)ビタミンA、ビタミンEおよびビタミンE化合物;(131)ラシン(racin)などの毒物;(132)プロタミンなどの抗出血剤;(133)メトロニダゾールなどの抗蠕虫抗感染症剤;ならびに(134)タルク、アルコールおよびドキシサイクリンなどの硬化剤から選択され、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十または第十一の実施形態に記載される通りのものである。
【0038】
第十三の実施形態では、本明細書に記載される組成物の治療活性物質は、タンパク質同化剤、麻酔剤、制酸剤、抗喘息剤、抗コレステロール血症および抗脂質剤、抗凝固剤、抗痙攣剤、止瀉剤、制吐剤、抗感染症剤、抗炎症剤、抗うつ剤、制吐剤、抗悪性腫瘍剤、抗肥満剤、解熱鎮痛剤、抗痙攣剤、抗血栓剤、抗尿酸血症剤、抗狭心症剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、食欲抑制剤、生物学的製剤、脳血管拡張剤(cerebral dilator)、冠動脈拡張剤、うっ血除去剤、利尿剤、診断剤、赤血球造血剤、去痰剤、胃腸管鎮静剤、高血糖剤、睡眠剤、血糖降下剤、イオン交換樹脂、緩下剤、ミネラル補給剤、粘液溶解剤、神経筋薬、末梢血管拡張剤、向精神剤、鎮静剤、刺激剤、甲状腺剤および抗甲状腺剤、子宮弛緩剤、ビタミンならびにプロドラッグから選択され、組成物の残りの特徴は、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十または第十一の実施形態に記載される通りのものである。使用することができる具体的な薬物の例としては、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルビジン(dacarbizine)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デキスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、フィオクスウリジン(fioxuridine)、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、パクリタキセル、ペントスタチン、プリカマイシン、プレメクストレドプロカルバジン、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、ビンプラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビンが挙げられ、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十または第十一の実施形態に記載される通りのものである。
【0039】
第十四の実施形態では、本明細書に記載される組成物の治療活性物質は、抗真菌剤、抗感染症抗悪性腫瘍剤、抗ウイルス剤、鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症剤、麻薬、アルツハイマー病剤、抗癌剤、アンドロゲン剤、アンジオテンシンモジュレーター、抗凝固剤、抗痙攣剤、抗うつ剤、抗パーキンソン剤、抗精神病剤、抗狭心症剤、βブロッカー、αブロッカー、骨吸収抑制および関連薬剤、BPH剤、ブロンコダイアレーター(bronchodialator)抗コリンおよびβアンタゴニスト剤、カルシウムチャネル遮断剤、サイトカインおよびCAMアンタゴニスト、グルココルチコイド、ホルモン、肝炎治療剤、ロイコトリエン調節剤、多発性硬化症剤、点眼緑内障剤ならびに肺血圧降下−エンドセリン受容体アンタゴニストから選択され、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十または第十一の実施形態に記載される通りのものである。1つの選択肢では、治療活性物質は抗癌剤であり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十または第十一の実施形態に記載される通りのものである。別の選択肢では、治療活性物質は、アルキル化剤、DNA架橋剤、阻害核酸、抗腫瘍抗生物質、チロシン/セリン/スレニン(Threnine)キナーゼ阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、副腎皮質ステロイド剤、治療用抗体、生体応答修飾物質または微小管安定剤から選択される抗癌剤であり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十または第十一の実施形態に記載される通りのものである。また別の選択肢では、治療活性物質は、パクリタキセル、ディスコデルモリド、エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC、エポチロンD、エポチロンE、エポチロンF、エポチロンB N−オキシド、エポチロンA N−オキシド、16−アザ−エポチロンB、21−アミノエポチロンB、21−ヒドロキシエポチロンD、プレドニゾン、26−フルオロエポチロン、トポテカン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、5‐フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、カペシタビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、ペメトレキセド、アクチノマイシンD、イリノテカン、エトポシド、デキサメタゾン、FR−182877、BSF−223651、AC−7739、AC−7700、フィジアノリドB、ラウリマライド、カリベオシド、カリベオリン、タッカロノリド、エロイテロビン、サルコジクチイン、ラウリマライド、ジクチオスタチン1およびジャトロファンエステルならびにそのアナログおよび誘導体から選択され、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十または第十一の実施形態に記載される通りのものである。
【0040】
第十五の実施形態では、治療活性物質はパクリタキセルまたはシスプラチンであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十または第十三の実施形態に記載される通りのものである。あるいは、治療活性物質はパクリタキセルであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十三または第十四の実施形態に記載される通りのものである。
【0041】
第十六の実施形態では、治療活性物質は、約10ug/cm
2〜約450ug/cm
2の範囲の量のパクリタキセルであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十四または第十五の実施形態に記載される通りのものである。1つの選択肢では、治療活性物質は、約150ug/cm
2〜約300ug/cm
2の範囲の量のパクリタキセルであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十四または第十五の実施形態に記載される通りのものである。別の選択肢では、治療活性物質は、約225ug/cm
2〜約275ug/cm
2の範囲の量のパクリタキセルであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十四または第十五の実施形態に記載される通りのものである。別の選択肢では、治療活性物質は約250ug/cm
2の量のパクリタキセルであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十四または第十五の実施形態に記載される通りのものである。
【0042】
第十七の実施形態では、本明細書に記載される組成物中の治療活性物質は、マイクロ構造物またはナノ構造物に封入されており、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五または第十六の実施形態に記載される通りのものである。
【0043】
第十八の実施形態では、本明細書に記載される組成物中の治療活性物質は、リポソーム、ポリマー、デンドリマー、ケイ素材料もしくは炭素材料または磁性粒子の中に封入されており、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六または第十七の実施形態に記載される通りのものである。
【0044】
第十九の実施形態では、本明細書に記載される組成物中の治療活性物質はポリマーの中に封入されており、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七または第十八の実施形態に記載される通りのものである。
【0045】
第二十の実施形態では、本明細書に記載される組成物中の少なくとも1つの賦形剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMCAS)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、メタクリラート、エチルセルロース(EC)、セルロースアセタートブチラート(CAB)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセタート(PVAc)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、PLA/PGAとポリカプロラクトン(PCL)のコポリマー、ポリビニルピロリドン−co−酢酸ビニルおよびポリウレタンから選択され、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八または第十九の実施形態に記載される通りのものである。1つの選択肢では、少なくとも1つの賦形剤はポリエチレングリコールであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八または第十九の実施形態に記載される通りのものである。
【0046】
第二十一の実施形態では、本明細書に記載される組成物中の少なくとも1つの賦形剤は、約1,000g/mol超の分子量を有するポリエチレングリコールであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九または第二十の実施形態に記載される通りのものである。1つの選択肢では、少なくとも1つの賦形剤は、約2,000g/mol〜約15,000g/molの範囲の分子量を有するポリエチレングリコールであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九または第二十の実施形態に記載される通りのものである。別の選択肢では、少なくとも1つの賦形剤は、約4,000g/mol〜約10,000g/molの範囲の分子量を有するポリエチレングリコールであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九または第二十の実施形態に記載される通りのものである。別の選択肢では、少なくとも1つの賦形剤は、約7,000g/mol〜約9,000g/molの範囲の分子量を有するポリエチレングリコールであり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九または第二十の実施形態に記載される通りのものである。また別の選択肢では、少なくとも1つの賦形剤はポリエチレングリコール8000であり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九または第二十の実施形態に記載される通りのものである。
【0047】
第二十二の実施形態では、本明細書に記載される組成物中の少なくとも1つのポリマーはポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー(PGLA)であり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九、第二十または第二十一の実施形態に記載される通りのものである。
【0048】
第二十三の実施形態では、本明細書に記載される組成物中の少なくとも1つのポリマーは、約20:80、約25:75、約40:60、約45:55、約53:47、約55:45、約50:50、約60:40、約75:25または約80:20のラクチド/グリコリドモル比を有するポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー(PGLA)であり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九、第二十、第二十一または第二十二の実施形態に記載される通りのものである。あるいは、少なくとも1つのポリマーは、約50:50、約47:53および/または約53:47のラクチド/グリコリドモル比を有するポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー(PGLA)であり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九、第二十、第二十一または第二十二の実施形態に記載される通りのものである。別の選択肢では、少なくとも1つのポリマーは、約50:50のラクチド/グリコリドモル比を有するポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー(PGLA)であり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九、第二十、第二十一または第二十二の実施形態に記載される通りのものである。
【0049】
第二十四の実施形態では、本明細書に記載される組成物中の少なくとも1つのポリマーは、約20,000g/mol〜約250,000g/mol、約50,000g/mol〜約150,000g/mol、約65,000g/mol〜約100,000g/mol、約70,000g/mol〜約80,000g/molまたは約72,5000g/molの範囲の分子量を有するポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー(PGLA)であり、組成物の残りの特徴は、本明細書、例えば第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九、第二十、第二十一、第二十二または第二十三の実施形態に記載される通りのものである。
【0050】
B.使用法
本明細書に記載される組成物、例えば、第一〜第二十五の実施形態に例示される組成物などは、対象(例えば、ヒト)の様々な疾患もしくは病態を治療する、または対象(例えば、ヒト)がそれに罹患するリスクを低下させるのに有用である。このような疾患および病態についてはのちに例示する。
【0051】
本明細書で使用される「〜に罹患するリスクを低下させること」は、本明細書に記載される疾患または病態に罹患する可能性を妨げる、阻止する、または減少させることを意味するものとする。「〜に罹患するリスクを低下させること」という用語は、「〜に罹患するリスクを低下させる」および「〜に罹患するリスクを低下させた」と互換的に使用され得る。本明細書に記載される病態のうちの1つまたは複数のものを軽減することは、例えば、所与の疾患または障害の原因となる1つまたは複数の危険因子を回避する、または減少させることを含み得る。例えば癌の場合、本明細書に明記される組成物を貼付することによって、その癌または他の潜在的な癌の再発リスクを回避する、または低下させることは、その癌「に罹患するリスクを低下させること」であると考えられる。例えば、(例えば、病態の外科的除去によって生じる、または再発する既知のまたは罹患しやすい症状または病態を含めた症状の既往を考慮に入れ、かつ/または遺伝因子を始めとする罹患因子を考慮に入れて)症状発現または診断の前に本明細書に記載される組成物を罹患しやすい個体に貼付する場合、すなわち、予防的処置。
【0052】
本明細書で使用される「治療」、「治療する」および「治療すること」という用語は、本明細書に記載される疾患もしくは障害またはその1つもしくは複数の症状を、その病態または1つまたは複数の症状が発現した後に回復させる、緩和する、さらに上記疾患または障害の進行を阻害する、または寛解を誘導すること、すなわち、治療的処置を指す。一態様では、治療は治療的処置である。
【0053】
病態または疾患としては、例えば、上の例えば第一〜第二十五の実施形態に記載される病態もしくは疾患および/または同実施形態の組成物で明記される治療活性物質によって治療可能な病態もしくは疾患が挙げられる。一実施形態では、本明細書、例えば第一〜第二十五の実施形態に記載される組成物によって治療可能な病態または疾患は癌である。
【0054】
一実施形態では、本明細書に明記される組成物、例えば第一〜第二十五の実施形態に記載される組成物などによって治療可能な病態もしくは疾患または上記の組成物によって罹患のリスクが低下する疾患もしくは病態は、術後局所再発がみられる可能性のある疾患および場合によっては切除部位にも局所的に再発する疾患である。このような疾患および病態としては、例えば、頭頸部癌、胸部の癌、眼癌、鼻の癌、咽喉癌、肺癌、乳癌、肛門癌、腹部癌および膀胱癌が挙げられる。
【0055】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物によって治療される病態または疾患は肺癌である。したがって、一実施形態では、本開示は、対象の癌(例えば、肺癌)を治療する、または対象がそれに罹患するリスクを低下させる方法であって、本明細書に記載に記載される、例えば第一〜第二十五の実施形態に記載される組成物を対象の体内または身体上に貼付することを含む、方法を提供する。
【0056】
上記のように、本明細書に記載される組成物は、対象の体内または身体上に貼付(例えば、外科的に貼付)し得る。術後局所再発が起こる疾患または障害の場合であって、再発が切除部位に局所的に起こる場合(例えば、肺癌除去後の切除の場合など)、本明細書に記載される組成物を切除部位、切除縁または病巣の中または上に直接貼付し得る。組成物としては、例えば第一〜第二十五の実施形態に記載される組成物が挙げられる。したがって、一態様では、本明細書に記載される組成物、例えば第一〜第二十五の実施形態に記載される組成物を例えば、必要とする対象の胸部内もしくは胸部上、対象の腹部内もしくは腹部上、対象の四肢内もしくは四肢上、必要とする対象の頭部内もしくは頭部上、必要とする対象の頸部内もしくは頸部上、必要とする対象の肺系統内もしくは肺系統上、必要とする対象の眼球内もしくは眼球上、必要とする対象の鼻内もしくは鼻上または必要とする対象の咽喉部内もしくは咽喉部上あるいはその組合せに貼付することができる。
【0057】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物、例えば第一〜第二十五の実施形態の組成物を対象の肺内または肺上に貼付する。別の実施形態では、上記の組成物を必要とする対象の肺組織内または肺組織上に貼付する。例えば、別の実施形態では、本開示は、必要とする対象の肺癌を治療する、または同対象が肺癌に罹患するリスクを低下させる方法であって、本明細書に記載される組成物、例えば第一〜第二十五の実施形態に記載される組成物を対象の肺組織内または肺組織上に貼付することを含む、方法を提供する。さらに別の実施形態では、本開示は、必要とする対象の肺癌を治療する、または同対象が肺癌に罹患するリスクを低下させる方法であって、対象の肺癌の除去によって生じる切除縁または病巣の部位に本明細書に記載される組成物、例えば第一〜第二十五の実施形態に記載される組成物を貼付することを含む、方法を提供する。
【0058】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物、例えば第一〜第二十五の実施形態の組成物が縦隔組織、脳、胸腺および腎臓に治療活性物質(例えば、パクリタキセル)を送達することがわかった。
図19を参照されたい。したがって、本明細書に記載される組成物、例えば第一〜第二十五の実施形態の組成物を用いて治療活性物質をリンパ系に送達する方法が本明細書に提供される。
【0059】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物、例えば第一〜第二十五の実施形態の組成物は、治療活性物質(例えば、パクリタキセル)の持続性、変動性またはS字状の放出を示す。
【0060】
別の実施形態および/または上記の諸実施形態との組合せでは、本明細書に記載される組成物、例えば第一〜第二十五の実施形態の組成物は、約100nM未満、約50nM未満、約2〜約20nMでの治療活性物質(例えば、パクリタキセル)の持続性放出を維持する。ある場合には、連続性放出は約20nM/日である。いくつかの場合および/または上記の諸実施形態との組合せでは、約100nM未満のパクリタキセルで毒性作用はみられない。
【0061】
一実施形態および/または上記の諸実施形態との組合せでは、本明細書に記載される組成物、例えば第一〜第二十五の実施形態の組成物は、約100nM/日未満、約50nM/日未満、約2〜約20nM/日でのパクリタキセルの徐放を維持する。ある場合には、徐放は約20nM/日である。いくつかの場合および/または上記の諸実施形態との組合せでは、約100nM/日未満のパクリタキセルで毒性作用はみられない。
【0062】
一実施形態および/また上記の諸実施形態との組合せでは、本明細書に記載される組成物、例えば第一〜第二十五の実施形態の組成物を用いて、治療剤パクリタキセルの70%超、75%超、80%超または85%超が放出される。
【0063】
一実施形態および/または上記の諸実施形態との組合せでは、送達および放出の全体を通じて治療剤パクリタキセルの完全溶出が維持される。
【0064】
C.技術的利点
本明細書に開示される組成物の特定の技術的利点を以下に示す。これらの利点は決して限定的なものではなく、単に例示を目的に記載されるものである。これらは本発明の範囲を限定することを意図するものでも、そのように解釈されるべきものでもない。さらに、本明細書に記載される利点が本発明の組成物のあらゆる利点を包括することを決して意図するものではないことが理解されよう。以下に記載される利点はむしろ、本発明によって解決される問題をさらに説明するために特定の技術的特徴を示すものにすぎない。
【0065】
上で説明したように、直視下手術および内視鏡下手術で実施するものを含めた多くの外科的処置では、組織同士を留めたり、ステープルで閉じたり、縫合したり、接着剤、クリップまたは鉗子で留めたりすることが必要な場合が多い。ステープリング装置のような外科的閉合装置は、身体組織を結合または除去しなければならない外科手術で広く用いられてきた。薄い組織、例えば薄い気腫性肺組織に手術を実施する場合、特に空気が漏出しやすくなることがある組織を効率的に密閉することが重要である。空気の漏出を予防または軽減することにより術後回復時間を大幅に短縮することができる。したがって、手術部位の切除部位に効率的に貼り付いて密閉する外科用メッシュまたは外科用バットレスがあれば有利であると考えられる。本明細書に記載される組成物によって、例えば
図1に示されるように、本開示による組成物を14日間貼付しても依然として肺組織が密閉され漏出がみられないという結果が得られる。さらなる詳細については、例えば下の「実施例」の節に記載する。
【0066】
切除部位が十分に密閉されることに加え、また別の利点として、薬物溶出作用も備えた組成物の貼付が考えられる。このことは、感染組織または悪性組織を除去した場合に特に重要になると考えられる。例えば、癌に関して上で説明したように、楔状切除術は、19%の割合で切除縁に癌の局所再発が起こることから望ましいものではない。一方、本明細書に記載される組成物は、切除部位を密閉する効果があるのみならず、貼付部位(組織)に治療濃度の薬物を局所的に送達する。このため、例えば、(例えば患者の肺から)1つまたは複数の悪性腫瘍を除去した後、本発明の組成物を切除縁に貼付して(または病巣に貼付して)密閉し、その部位を効果的に密閉し、治療濃度の活性薬剤(例えば、パクリタキセルおよび/またはシスプラチンなどの抗癌剤)を送達して局所再発を予防することができる。
【0067】
切除部位を密閉して治癒時間を増大させ、貼付組織に治療濃度の薬物を局所的に送達することに加え、本発明の組成物はさらに、優れた投与特性をもたらす。本明細書に記載される組成物の治療剤は全身に放出されるわけではない。例えば
図14を参照されたい。下の実施例の節に記載するように、治癒後に有害作用は認められず、組成物はin vivoで優れた耐容性を示した。治療剤パクリタキセルを含む組成物の場合、放出傾向、すなわち、持続性放出、変動性放出、S字状放出、バースト放出、その組合せなどに関係なく、50nM超の濃度でも毒性は認められなかった。ほかにも、治療剤パクリタキセルを含む本発明の組成物を用いて、送達および放出の全体を通じて完全溶出(インフィニットシンク(infinite sink))が維持された。上記の場合の用量送達速度は、450ug/cm
2および10%パクリタキセル濃度を含む組成物で患者1人当たり約10.1mgである。
【0068】
本発明の組成物のまた別の利点として、薬物分解による過量放出および有害作用が最小限に抑えられるということがある。パクリタキセルの場合、本発明の組成物は、この治療剤の約80%が標的組織に局所的に送達されてもなお治療効果がみられる。例えば、1日当たりに送達されるパクリタキセルの実際の累積放出濃度を示した
図4C〜8Cを参照されたい。このことおよび上記の利点から、全体として必要な薬物(すなわち、パクリタキセル)の量は少なくなり、したがって、分解する量がごくわずかなものに維持されるため、過量放出(非標的的領域内への過量放出など)によるリスクが低下し、はるかに安全に使用できる。
【0069】
上記の技術的利点が積み重なって、感染組織または悪性組織を除去した後に切除部位を効果的に密閉し、さらに切除部位を治療剤で局所的に治療するのに使用することが可能な単一の組成物であって、組織の広範囲の局所領域に少なくとも60日という一定期間(または少なくとも30日という一定期間)にわたって効果的に送達し、毒性作用が全く認められない組成物が得られる。換言すれば、上記の期間にわたって有害作用は全くみられなかった。
【0070】
以下、本発明の実施形態を示す。
(1)マトリックスとともに少なくとも1つのポリマーと治療活性物質とを含む、埋込み型組成物。
(2)少なくとも1つの賦形剤をさらに含む、(1)に記載の埋込み型組成物。
(3)前記少なくとも1つのポリマー、前記少なくとも1つの賦形剤および前記治療活性物質が、分離した別個の実体である、(1)または(2)に記載の埋込み型組成物。
(4)前記少なくとも1つのポリマー、前記治療活性物質および前記少なくとも1つの賦形剤が、前記マトリックス内に包埋されているか、前記マトリックス上にコーティングされているか、前記マトリックス内に包埋され前記マトリックス上にコーティングされているか、または前記マトリックスと共有結合している、(2)または(3)に記載の埋込み型組成物。
(5)前記マトリックスが膜または多孔性の足場を含む、(1)〜(4)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(6)前記マトリックスが不織ポリマーメッシュである、(1)〜(5)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(7)前記マトリックスが、織ったポリマーメッシュである、(1)〜(5)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(8)前記マトリックスが生体マトリックスである、(1)〜(7)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(9)前記マトリックスが、コラーゲンシート、ウシ心膜、ヒトまたは動物の硬膜などから選択される生体マトリックスである、(1)〜(8)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(10)前記マトリックスが、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(テトラフルロエチレン(tetrafluroethylene))、ポリ(メチメタクリラート(methymethacrylate))、エチレン−co−酢酸ビニル、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(エーテル−ウレタン)、ポリカルボナート、ポリエーテルスルホン、ポリベンゾイミダゾール、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ(エチレンテルフタラート(ethylene terphthalate))、ポリ(スルホン)、ポリラクチド(PLA)系、ポリグリコリド(PGA)系、ポリカプロラクトン(PCL)系のポリ(エステル)、ポリ(ヒドロキシアルカン酸)、ポリ(サッカリド)、そのコポリマーおよび混合物またはコポリマーと混合物の組合せのうちの1つまたは複数のものを含むポリマーマトリックスである、(1)〜(7)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(11)前記マトリックスが、ポリグリコール酸(PGA)を含むポリマーマトリックスである、(1)〜(7)および(10)のいずれか1に記載の組成物。
(12)前記治療活性物質が、前記マトリックス内に包埋されているか、前記マトリックス上にコーティングされているか、または前記マトリックス内に包埋され前記マトリックス上にコーティングされている前記少なくとも1つのポリマーと前記少なくとも1つの賦形剤の総重量の約50重量%以下または約25重量%以下を占める、(3)〜(11)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(13)前記治療活性物質が、前記マトリックス内に包埋されているか、前記マトリックス上にコーティングされているか、または前記マトリックス内に包埋され前記マトリックス上にコーティングされている前記少なくとも1つのポリマーと前記少なくとも1つの賦形剤の総重量の約20重量%以下を占める、(3)〜(12)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(14)前記治療活性物質が、前記マトリックス内に包埋されているか、前記マトリックス上にコーティングされているか、または前記マトリックス内に包埋され前記マトリックス上にコーティングされている前記少なくとも1つのポリマーと前記少なくとも1つの賦形剤の総重量の約15重量%以下を占める、(3)〜(13)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(15)前記治療活性物質が、前記マトリックス内に包埋されているか、前記マトリックス上にコーティングされているか、または前記マトリックス内に包埋され前記マトリックス上にコーティングされている前記少なくとも1つのポリマーと前記少なくとも1つの賦形剤の総重量の約10重量%、約5重量%または約1重量%を占める、(3)〜(14)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(16)前記賦形剤が、前記マトリックス内に包埋されているか、前記マトリックス上にコーティングされているか、または前記マトリックス内に包埋され前記マトリックス上にコーティングされている前記少なくとも1つのポリマーと前記治療活性物質の総重量の約50重量%以下を占める、(3)〜(15)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(17)前記賦形剤が、前記マトリックス内に包埋されているか、前記マトリックス上にコーティングされているか、または前記マトリックス内に包埋され前記マトリックス上にコーティングされている前記少なくとも1つのポリマーと前記治療活性物質の総重量の約5重量%〜約50重量%を占める、(3)〜(16)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(18)前記賦形剤が、前記マトリックス内に包埋されているか、前記マトリックス上にコーティングされているか、または前記マトリックス内に包埋され前記マトリックス上にコーティングされている前記少なくとも1つのポリマーと前記治療活性物質の総重量の約5重量%〜約35重量%を占める、(3)〜(17)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(19)前記治療活性物質が、タンパク質、多糖、脂質、核酸、合成小分子およびその組合せから選択される、(1)〜(18)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(20)前記治療活性物質が、抗真菌剤、抗感染症抗悪性腫瘍剤、抗ウイルス剤、鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症剤、麻薬、アルツハイマー病剤、抗癌剤、アンドロゲン剤、アンジオテンシンモジュレーター、抗凝固剤、抗痙攣剤、抗うつ剤、抗パーキンソン病剤、抗精神病剤、抗狭心症剤、βブロッカー、αブロッカー、骨吸収抑制剤および関連薬剤、BPH剤、ブロンコダイアレーター(bronchodialator)抗コリンおよびβアンタゴニスト剤、カルシウムチャネル遮断剤、サイトカインおよびCAMアンタゴニスト、グルココルチコイド、ホルモン、肝炎治療剤、ロイコトリエン調節剤、多発性硬化症剤、点眼緑内障剤ならびに肺血圧降下−エンドセリン受容体アンタゴニストから選択される、(1)〜(19)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(21)前記治療活性物質が抗癌剤である、(1)〜(20)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(22)前記治療活性物質が、アルキル化剤,DNA架橋剤,阻害核酸,抗腫瘍抗生物質,チロシン/セリン/スレニン(Threnine)キナーゼ阻害剤,トポイソメラーゼ阻害剤,有糸分裂阻害剤,副腎皮質ステロイド剤,治療用抗体,生体応答修飾物質または微小管安定剤から選択される抗癌剤である、(1)〜(21)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(23)前記治療活性物質が、パクリタキセル、ディスコデルモリド、エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC、エポチロンD、エポチロンE、エポチロンF、エポチロンB N−オキシド、エポチロンA N−オキシド、16−アザ−エポチロンB、21−アミノエポチロンB、21−ヒドロキシエポチロンD、プレドニゾン、26−フルオロエポチロン、トポテカン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、5‐フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、カペシタビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、ペメトレキセド、アクチノマイシンD、イリノテカン、エトポシド、デキサメタゾン、FR−182877、BSF−223651、AC−7739、AC−7700、フィジアノリドB、ラウリマライド、カリベオシド、カリベオリン、タッカロノリド、エロイテロビン、サルコジクチイン、ラウリマライド、ジクチオスタチン1およびジャトロファンエステルならびにそのアナログおよび誘導体から選択される、(1)〜(22)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(24)前記治療活性物質がパクリタキセルである、(1)〜(23)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(25)前記治療活性物質が、10ug/cm2〜450ug/cm2、約150ug/cm2〜約300ug/cm2または約225ug/cm2〜約275ug/cm2の範囲の量のパクリタキセルである、(1)〜(24)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(26)前記治療活性物質が、約250ug/cm2の量のパクリタキセルである、(1)〜(24)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(27)前記少なくとも1つの賦形剤が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMCAS)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、メタクリラート、エチルセルロース(EC)、セルロースアセタートブチラート(CAB)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセタート(PVAc)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、PLA/PGAとポリカプロラクトン(PCL)のコポリマー、ポリビニルピロリドン−co−酢酸ビニルおよびポリウレタンから選択される、(2)〜(26)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(28)前記少なくとも1つの賦形剤がポリエチレングリコールである、(2)〜(27)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(29)前記少なくとも1つの賦形剤が、約1,000g/mol超の分子量を有するポリエチレングリコールである、(2)〜(28)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(30)前記少なくとも1つの賦形剤が、約2,000g/mol〜約15,000g/molの範囲の分子量を有するポリエチレングリコールである、(2)〜(29)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(31)前記少なくとも1つの賦形剤が、約4,000g/mol〜約10,000g/molの範囲の分子量を有するポリエチレングリコールである、(2)〜(30)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(32)前記少なくとも1つの賦形剤が、約7,000g/mol〜約9,000g/molの範囲の分子量を有するポリエチレングリコールである、(2)〜(31)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(33)前記少なくとも1つの賦形剤がポリエチレングリコール8000である、(2)〜(32)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(34)前記少なくとも1つのポリマーがポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー(PGLA)である、(1)〜(33)のいずれか1に記載の組成物。
(35)前記少なくとも1つのポリマーが、約20:80、約25:75、約40:60、約45:55、約53:47、約55:45、約50:50、約60:40、約75:25または約80:20のラクチド/グリコリドモル比を有するポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー(PGLA)である、(1)〜(34)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(36)前記少なくとも1つのポリマーが、約50:50、47:53〜53:47、より好ましくは50:50のラクチド/グリコリドモル比を有するポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー(PGLA)である、(1)〜(35)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(37)前記少なくとも1つのポリマーが、約20,000g/mol〜約250,000g/mol、約50,000g/mol〜約150,000g/mol、約65,000g/mol〜約100,000g/molまたは約70,000g/mol〜約80,000g/molの範囲の分子量を有するポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー(PGLA)である、(1)〜(36)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(38)前記少なくとも1つのポリマーが、約72,5000g/molの分子量を有するポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー(PGLA)である、(1)〜(37)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(39)前記治療活性物質が、マイクロ構造物またはナノ構造物に封入されている、(1)〜(38)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(40)前記治療活性物質が、リポソーム、ポリマー、デンドリマー、ケイ素材料もしくは炭素材料または磁性粒子の中に封入されている、(1)〜(39)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(41)前記治療活性物質がポリマーの中に封入されている、(1)〜(40)のいずれか1に記載の埋込み型組成物。
(42)必要とする対象が癌に罹患するリスクを低下させる方法であって、(1)〜(41)のいずれか1に記載の埋込み型組成物を前記対象の体内または身体上に外科的に貼付することを含む、方法。
(43)前記埋込み型組成物を前記対象の胸部内もしくは胸部上、前記対象の腹部内もしくは腹部上、前記対象の四肢内もしくは四肢上、前記対象の膀胱、肝臓、膵臓、腎臓、胃、腸、心臓、頭部内もしくは頭部上、前記対象の頸部内もしくは頸部上、前記対象の肺内もしくは肺上、前記対象の眼球内もしくは眼球上、前記対象の鼻内もしくは鼻上または前記対象の咽喉部内もしくは咽喉部上あるいはその組合せに貼付する、(42)に記載の方法。
(44)前記埋込み型組成物を、前記対象の肺組織内または肺組織上に貼付する、(42)または(43)に記載の方法。
(45)前記埋込み型組成物を切除縁または病巣の部位に貼付する、(42)〜(44)のいずれか1に記載の方法。
(46)前記埋込み型組成物を、癌の除去によって生じる切除縁または病巣の部位に貼付する、(42)〜(45)のいずれか1に記載の方法。
(47)必要とする対象が肺癌に罹患するリスクを低下させる方法であって、肺癌の除去によって生じる切除縁または病巣の部位に埋込み型組成物を外科的に貼付することを含み、前記埋込み型組成物が、
ポリグリコール酸もしくはポリグリコール酸:トリメチレンカルボナート(PGA:TMC)のメッシュもしくはバットレスまたは
ポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー(PGLA)とパクリタキセルと少なくとも1つの賦形剤とを含む混合物
を含む、方法。
(48)前記埋込み型組成物が、ポリエチレングリコール8000と、ラクチド/グリコリドモル比が約50:50のポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマーと、総量が約10ug/cm2総組成物〜450ug/cm2総組成物の範囲になる量のパクリタキセルとを含む、(47)に記載の方法。
(49)前記パクリタキセルが450ug/cm2総組成物の量で存在する、(47)または(48)に記載の方法。
(50)前記対象に投与するパクリタキセルの総用量が約10.1mgである、(47)〜(49)のいずれか1に記載の方法。
(51)前記パクリタキセルの持続性、変動性またはS字状の放出を維持する、(47)〜(50)のいずれか1に記載の組成物。
(52)前記パクリタキセルの70%超、75%超、80%超または85%超が放出される、(47)〜(51)のいずれか1に記載の組成物。
(53)送達および放出の全体を通じてパクリタキセルの完全溶出が維持される、(47)〜(52)のいずれか1に記載の組成物。
以下の「実施例」の節に上記の提供される組成物および使用の特定の例を記載する。いくつかの実施形態では、提供される組成物および/または使用は、以下の「実施例」の節に例示されるものから選択される1つまたは複数のものである。
【実施例】
【0071】
以下の代表的な実施例は本発明の説明の補助を意図するものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものでも、そのように解釈されるべきものでもない。実際、本明細書に図示および記載されるものに加えて、以下の実施例ならびに本明細書に引用される科学文献および特許文献の参照を含めた本明細書の内容全体から、本発明の様々な修正形態およびその多数のさらなる実施形態が当業者に明らかになるであろう。さらに、上記の引用される参考文献の内容は、最新技術の説明を補助するため参照により本明細書に組み込まれることが理解されるべきである。
【0072】
1%、5%および10%のパクリタキセルでコーティングしたバットレス埋植物のいずれでも、第14日に2.5cm超の肺組織に治療レベルのパクリタキセルが送達された。処置および埋植物には優れた耐容性が認められた。いずれの埋植物でも、治療用埋植物の直下の薬物がuM濃度であっても正常な治癒が認められた。第2日、第7日および第14日のパクリタキセルレベルは血中で0.5pg/ml未満であり、胸水では10〜100nMと測定された。
【0073】
測定値に関して、1%は25ug/cm
2前後、5%は120ug/cm
2前後、10%は225ug/cm
2前後、20%は415ug/cm
2前後である。
【0074】
1.in vitro放出の開発の全般的方法および方法
フィルム塗布具/Gate方法を用いて、20%重量/体積の25%PEG8K 50/50PLGA+Pax溶液を含むPGAメッシュまたはPGA/TMCメッシュをコーティングすることにより、7%、10%、15%および20%のパクリタキセルを含む本明細書に記載される組成物を調製した。
図3に、基質の様々な位置の試料間の再現性を示す。
図4A〜4Cに示されるように、放出データから、パクリタキセル(Pax)充填量の増大とともにバーストおよび全体の放出量が増大することが明らかになった。
【0075】
放出される薬物の量(ug/日)を減らすため、1%、5%および10%のPax充填製剤を用いてフォローアップ試験を実施した。
図5A〜5Cを参照されたい。
図7に2つの追加の放出試験を示し、そのうちの一方は第30日まで実施したものである。
【0076】
ほかのバットレス材料を用いて同様の実験を実施した。例えば、PGA/TMCバットレス(GORE(登録商標)SEAMGUARD)を比較用の市販品対照として用いた。この実験の結果を
図6に示す。
【0077】
2.in vitro+/−滅菌の影響
エチレンオキシド(EtO)で処理すると、本開示の組成物のin vitroでの放出に特定の影響がみられた。例えば、
図8A〜8Cは、全製剤とも、EtO処理がいずれの全測定基準(ug、%、ug/cm
2)でもパクリタキセル(Pax)放出を阻害することを示している。この影響は%Paxが最も高い製剤で最も顕著であった。しかし、この結果が薬物充填量の増大に有害な作用を及ぼすようにみえても、in vivoではあまり顕著な影響は及ぼさないように思われたのは驚くべきことである。実際、パクリタキセルの放出速度の低下(および%Pax充填量が高いときのバースト放出量の減少)は、本開示の組成物がin vivoで極めて優れた性能を発揮する理由に関する別の累積効果であり得る。
【0078】
3.本発明の組成物を用いたウサギ肺埋植物試験の全般的方法
麻酔をかけたウサギの胸部を第8肋間腔で切開した。尾側肺葉の一部を下層の靭帯から剥離した。切除する尾側肺葉の先端部に埋植物をサンドイッチのように貼付した。いずれの場合も、上下2つの埋植物を30mm GIAステープラーに予め装填した。30mm GIAステープラーを用いてステープリングおよび切除を実施した。ウサギに縫合を実施し、胸部から空気を除去し、創傷を回復させた。いずれの個体もこの方法に耐容性を示し、正常に回復した。リセット法の概略を
図13に示す。例えば、組織をつかむようにステープラーの顎部を(埋植物とともに)配置する(
図13A)。次いで、ステープルを埋植物全体に配置して組織に留め、同時に、ステープルで留めた組織を内部の刃物で2分する(
図13B)。2分された埋植物をステープラーから切り離す。切除した組織を除去する。埋植物がステープルによって切除縁に固定されて空気および血液の漏出を防ぎ、パクリタキセルが局所投与される(
図13C)。
【0079】
a.被験組成物
標準PGAバットレス(すなわち、PGAメッシュ)。
【0080】
標準PGAバットレス(すなわち、PGAメッシュ)+PLGA/PEGコーティング−未充填ABC103−A
【0081】
標準PGAバットレス(すなわち、PGAメッシュ)+1%w/wの薬物(パクリタキセル)を含むPLGA/PEGコーティング−ABC103−A 25ug/cm
2。
【0082】
標準PGAバットレス(すなわち、PGAメッシュ)+5%w/wの薬物(パクリタキセル)を含むPLGA/PEGコーティング−ABC103−A 120ug/cm
2。
【0083】
標準PGAバットレス(すなわち、PGAメッシュ)+10%w/wの薬物(パクリタキセル)を含むPLGA/PEGコーティング−ABC103−A 225ug/cm
2。
【0084】
PGA/TMCバットレス(GORE(登録商標)SEAMGUARD)。
【0085】
PGA/TMCバットレス(GORE(登録商標)SEAMGUARD)+PLGA/PEGコーティング−未充填ABC103−B。
【0086】
PGA/TMCバットレス(GORE(登録商標)SEAMGUARD)+1%w/wの薬物(パクリタキセル)を含むPLGA/PEGコーティング−ABC103−B 25ug/cm
2。
【0087】
各種類の試料を2個体で試験した。コーティングしたバットレスの基本重量は未コーティングバットレスに比して約50%増大していた。
【0088】
b.パクリタキセル分析および組織学検査
血液、胸水および組織のパクリタキセル濃度をアッセイした。第2日、第7日および最後に第14日に血中のパクリタキセル濃度を測定し、定量限界未満(500pg/ml未満)であることが明らかになった。パクリタキセル代謝産物はこのプロトコルの一環として測定しなかった。胸水中のパクリタキセルを第0日および剖検時の第14日に検査し、肺組織を剖検時の第14日に検査した。切開時に主要臓器および胸壁をすべて回収して2つに分け、一方を−80℃で凍結させてのちのパクリタキセル分析に供し、もう一方をホルマリンで固定してのちに組織学検査に供した。
図9に、パクリタキセル分析用に5mmの肺連続切片を切り口から2.5cmまで回収する方法を示す。下の表1に、ウサギ肺の切除縁から放射状に5mm間隔で離れた位置での組織中パクリタキセル濃度(nM)を示す。
【0089】
【表1】
【0090】
図10に、5mmの肺放射状切片当たりのパクリタキセル薬物を1%および10%についてナノモル濃度で示す。パクリタキセルの治療濃度範囲は、IC
50≧7nMまたは約6ng/ml、IC
90=約50nMまたは約42.5ng/mlであることがわかった。5mmが埋植物の下の切除端の位置であることを明確にするため、埋植物直下のパクリタキセル濃度のデータポイントはグラフに含めなかった。このパイロット実験で試験したウサギの個体数(n=2)が少なかったため、データは一様ではない。
【0091】
図11は、埋込み型組成物の半分を切除し取り出した例であり、この場合、土台となる肺よりも5mm超広くならないようにin vivo切片をトリミングした。
【0092】
図12は、治療活性物質を含まないABC103−A(A)、1%の治療活性物質を含むABC103−A(B)、5%の治療活性物質を含むABC103−A(C)および10%の治療活性物質を含むABC103−A(D)を14日間貼付した後のウサギ肺組織を示している。(C)および(D)の肺は膨張しているが漏出はみられない。
【0093】
これ以外のABC103−Aからのパクリタキセルの用量依存性in vitro放出動態は以下の通りであった。
【0094】
埋植物のin vitro薬物放出動態を定量化するため、様々なパクリタキセル充填量、すなわち、25μg/cm
2、120μg/cm
2、225μg/cm
2または415μg/cm
2(充填量はそれぞれ1%、5%、10%または20%)の1cm
2のABC103−A試料を合成した。各埋植物を沈下条件下、すなわち、2%(体積/体積)TWEEN80を含む37℃の1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)100mL中に置き、緩衝液を毎日交換した。各時点(日数:0.25、1、2、3、5、7、10、14、18、23、30)で一定量の沈下物を採取し、LC−MSによりパクリタキセルを定量化した。
【0095】
結果から、埋植物からのパクリタキセル放出動態に再現性があることが明らかになった。第1日および第2日の初期バースト放出の後、放出速度は線形プロファイルの形をとり、ポリマーの加水分解による崩壊的な放出を示す証拠はみられなかった(
図16)(解析の過程で異常なデータは除外した)。
【0096】
4.薬物の分布および安全性
第14日まで血液漏出、空気漏出、擦過創および肉眼レベルでの正常な組織学的治癒の進行を観察した。第14日に臓器、組織および体液でのパクリタキセルの分布を測定した。
【0097】
正常な治癒が観察され、肉眼レベルでの毒性の徴候はみられなかった。固定し染色した組織の組織学/顕微鏡観察を用いて肺切除の部位における正常な治癒を裏付けた(
図14)。
図14Aに未コーティングバットレスを用いた対照を示す。周囲の線維結合組織(アスタリスク)が最小限で血管結合組織(二重アスタリスク)がわずかにみられるバットレスの領域(破線で概形を示した)、aは倍率を上げた領域である。バットレスの領域(破線の内側)に広範囲にわたる炎症細胞(主として組織球および多核巨細胞)および/または炎症組織の浸潤がみられることに注目されたい。
図14Bに、薬物(パクリタキセル)を含まない本明細書に記載されるバットレスを示す。埋植物の領域(破線で概形を示した)は周囲の血管結合組織(二重アスタリスク)が最小限であることに注目されたい。図中のbは、下のパネルで倍率を上げた領域を示している。埋植物の領域(破線の内側)への炎症細胞および/または炎症組織の浸潤が最小限に抑えられていることに注目されたい。
図14Cに、225μg/cm
2のパクリアタキセル(pacliataxel)を充填したパクリタキセルコーティングバットレスを示す。埋植物の領域(破線で概形を示した)は、細胞残屑(二重アスタリスク)が混在する周囲のフィブリン(アスタリスク)および関連する炎症組織または血管結合組織が最小限に抑えられていることに注目されたい。図中のcは、下のパネルで倍率を上げた領域を示している。埋植物の領域(破線の内側)は、浸潤あるいは炎症細胞および/または炎症組織が最小限に抑えられていることに注目されたい。
【0098】
外科手術時にも第14日の終了時の剖検でも、空気漏出、血液漏出ともに急性に観察されることはなかった。血液、胸水、組織および臓器のパクリタキセルレベルを明らかにした。胸部の外側の血液および組織のパクリタキセルレベルは定量限界未満(<0.5ng/mL)であった。225μg/cm
2を充填した埋植物では、埋植物/切除縁から2.5cm超離れた位置までのパクリタキセルの浸透が350nM〜3μMの範囲の濃度で測定された(
図15)。以上の結果から、同所性ウサギモデルでは、パクリタキセルコーティングバットレスからのパクリタキセル放出動態が制御され、耐容性に優れていることがわかる。
【0099】
5.ブタ肺での埋植物の薬物の分布および安全性
ヨークシャーブタにABC103−Aを用量225μg/cm
2=約1mg(1cm×4.5cmの埋植物)および用量415μg/cm
2=約1.9mg(1cm×4.5cmの埋植物)で投与した。
【0100】
第0日、ウサギに単回外科的処置を実施し、この処置では、左頭側肺葉を露出させ、肺葉の遠位端および近位端に2つの別個のABC103−A装置を貼付した後、所定の位置にステープルで留めた。バットレス材料を貼付した後、残りの遠位肺組織を切除し、余剰のバットレス材料をトリミングし、切除前に45mmのステープル部位からトリミングした余剰のバットレス材料とともに分析用に凍結保存した。肺切除/バットレス埋植にはCovidien Endo Giaステープラーを使用した。遠位の埋植物にはCovidien EGIA60AMT(60mm)、近位の埋植物にはCovidien EGIA45AMT(45mm)。閉合前に空気漏出がみられないことを確認した。
【0101】
治癒するまで切開部位を連日観察し、14日間は連日、その後は週1回、剖検前まで臨床観察を実施した。第30日まで血液漏出、空気漏出、擦過創および肉眼レベルでの正常な組織学的治癒の進行を観察した。第2日、第14日、第30日および第60日、ウサギに麻酔をかけ、第2日、第14日および第30日の血液中のパクリタキセルを測定し、第30日の臓器および組織中のパクリタキセルを測定した。左肺葉の埋植部位の漏出を検査し、洗浄液の試料を採取した。ステープルライン/埋植部位、対応する肺領域および体壁区画を含む埋植部位を採取した。埋植した肺/バットレスの第30日および第60日の時点での試料および埋植部位付近の肺領域/体壁区画の全時点での試料を組織病理学的評価用に処理した。組織学検査用の試料は10%中性緩衝ホルマリンで固定した。埋植装置を含む試料は樹脂で処理し、ヘマトキシリン/エオシン(H&E)およびマッソントリクロームで染色した。装置を含まない組織の試料はパラフィンで処理し、H&Eで染色した。パクリタキセル分析用の試料はいずれも表示上−80℃で凍結保存した。
【0102】
肉眼検査、組織学検査ともに測定可能な局所毒性の徴候も全身毒性の兆候もみられず、治癒は正常なものであった。剖検時、血液漏出、空気漏出、擦過創のいずれも急性に起こることはなく、これらが観察されたることもなかった(
図17)。治療した肺および同側の気管気管支リンパ節に測定可能なパクリタキセルがみられ、埋植物/切除縁から少なくとも8cm離れた位置まで臨床的に意義のある145nMから85μMまでの範囲の濃度のパクリタキセルが送達された(
図18)。このデータおよび
図19の第60日のデータから、埋植物が耐容性に優れていることが確認される。
【0103】
ほかにも縦隔組織(3匹のうち2匹が2.74〜3.9ng/g)、脳(3匹のうち1匹が5.05ng/g)、胸腺(3匹のうち1匹が2.96ng/g)および腎臓(3匹のうち1匹が2.73ng/g)に測定可能な量のパクリタキセルがみられたのは驚くべきことである。現時点で、薬物がリンパ系から他の部位まで無毒性に送達された手段はほかに報告されていないと考えられる。これは予想外のことであったと同時に、注目すべきことである。
【0104】
最後に、ABC103−A 225ug/cm
2を埋植してから60日後の肺の代表的な組織像を
図20に示す。
図20Aには、ABC103−A 225ug/cm
2で処置し、埋植後60日が経過した肺尾側肺葉のH&E像が示されている。埋植物は破線で示されている。アスタリスクは、埋植物領域に接している肺領域にわずかにみられる硬化および炎症を示している。
図20Bには、
図20Aの切片のマッソントリクローム(MT)染色像を示しており、埋植物部位の周辺部にごくわずかな線維症(矢印)がみられるのがわかる。
図20Cは、
図20Aの高倍率像を示しており、一部再吸収された埋植物の内部にあるフィブリン(アスタリスク)、近接する軽度の単核球性炎症(二重アスタリスク)およびわずかに屈折性の物質を含んだ巨細胞性病巣(矢印)が見える。
【0105】
全個体(ABC103−A 225ug/cm2埋植物を埋植し、埋植から2日後、14日後、30日後または60日後に屠殺した個体)に開胸術部位に関連する所見がみられ、これには、第2日の全個体にみられた暗色/赤色の変色、第14日の全個体にみられた肥厚および/または関連する肺癒着ならびに第30日および第60日の個体にみられた関連する肺癒着が含まれる。このような所見は、埋植物の存在よりはむしろ外科的開胸術モデルと関係があるものと考えられる。いずれの時点でも、剖検時に埋植物による擦過創は認められなかった。第2日、第14日ともに空気漏出の証拠はみられなかった。第30日の全3個体および第60日の1個体に空気漏出が認められた。肺と胸郭の癒着が認められたこと、呼吸困難の臨床的証拠も、気胸を示唆する無気肺の肉眼的証拠も組織学的証拠もみられなかったことを考えると、この漏出は、剖検時の胸郭露出の一部として組織が崩壊した(すなわち、癒着が剥がれた)ことに起因する可能性がある。これ以外に治療部位、隣接する肺実質および隣接する肺表面に関連する重大な肉眼的変化(例えば、壊死、炎症)はみられなかった(
図20を参照されたい)。第2日の1個体には、開胸術部位の癒着による中側部肺葉の赤色/暗色の変色がみられた。第14日の1個体には、治療部位付近に約12×10mmの固い粒状の黄褐色の小結節がみられ、これは、フィブリンまたは壊死物質の孤発病巣と一致し、局所的な術後所見に典型的なものである。
【0106】
埋植物に対する有害な炎症性反応の徴候はみられなかった。第30日の埋植物による炎症(すなわち、より離れた位置にある気管支−細気管支リンパ組織ではなく、埋植物内または埋植した肺の表面に沿った部分の炎症)は、最小限から軽度ないし中等度のものまで平均して不均一なものであった。第60日には、炎症全体のわずかな増大のほか、白血球組成のわずかな変化、顆粒球(好中球および好酸球)のわずかな減少および単核細胞(マクロファージ、巨細胞およびリンパ球)のわずかな増加がみられた。
【0107】
肺葉切除術領域内にあるが埋植物を直接取り囲んでいるわけでも埋植物内にあるわけでもない炎症は一般に、装置/処置よりもむしろ外科手術モデルと関係があるものと解釈したが、試料数が少なかったため決定的な解釈は不可能である。