(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1インジケータ組立体が、前記第2部材を通過して移動するマーカの数をカウントするよう動作可能であり、かつ前記第1インジケータ組立体は、前記第2部材を通過して移動する際にカウントされた前記マーカの数に基づいて、前記間隙距離が前記アンビルと前記遠位表面との間から組織をリリースするようなサイズになっているかどうかを示すフィードバックを提供するように構成されている、請求項2に記載の外科用器具。
第2インジケータ組立体を更に備え、前記ステープル留めヘッド組立体が既に作動されてステープルの環状アレイを前記遠位表面を通じて駆動したかどうかを、前記第2インジケータ組立体が示すように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
ステープル駆動アクチュエータを更に備え、前記本体に対する前記ステープル駆動アクチュエータの位置に基づいて、前記ステープル留めヘッド組立体が既に作動されてステープルの環状アレイを前記遠位表面を通じて駆動したかどうかを、前記第2インジケータ組立体が示すように構成されている、請求項5に記載の外科用器具。
前記第2インジケータ組立体が前記本体に形成された窓部を備え、前記窓部が、前記ステープル駆動アクチュエータの一部の動きを観察するための視覚的経路を提供するように構成されている、請求項6に記載の外科用器具。
前記第1インジケータ組立体がライトを備え、前記第1インジケータ組立体は、前記第2部材に対する前記第1部材の位置づけに反応して前記ライトを発光させて、前記間隙距離が前記アンビルと前記遠位表面との間から組織をリリースするようなサイズになっていることを示すように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
前記移動部材を長手方向に駆動するよう動作可能な手動入力特徴部を更に備え、前記第1インジケータ組立体は、前記第2部材に対する前記第1部材の位置づけに反応して前記手動入力特徴部の動きに対する抵抗の増加をもたらして、前記間隙距離が前記アンビルと前記遠位表面との間から組織をリリースするようなサイズになっていることを示すように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術の特定の実施例に関する以下の説明は、本技術の範囲を限定するために用いられてはならない。本技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明より当業者には明らかとなろう。理解されるように、本明細書に述べられる技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、他の異なる明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものとみなされるべきである。
【0009】
I.例示的な円形ステープル留め外科用器具の概要
図1〜2は、患者の消化管の一部位のような解剖学的管腔の2つの断面どうしの間で、その端部どうしの吻合を提供するために用いられ得る、例示的な円形ステープル留め外科用器具(10)を描いている。本例の器具(10)は、ハンドル組立体(100)、シャフト組立体(200)、ステープル留めヘッド組立体(300)、アンビル(400)を備える。ハンドル組立体(100)は、斜めに向けられたピストルグリップ(112)を画定する、ケーシング(110)を備える。一部の形態では、ピストルグリップ(112)は、垂直方向に向けられている。別の一部の形態では、ピストルグリップ(112)は省略されている。ハンドル組立体(110)は、以下に詳述するように、移動可能なインジケータ針(526)を視ることを可能にする窓部(114)を更に含む。一部の形態では、一連の符号、着色領域、及び/又はその他の固定インジケータが窓部(114)に隣接して位置して、インジケータ針(526)に対する視覚的背景を提供し、それによって、窓部(114)内で針(526)がどの位置にいるのかを操作者が評価するのを容易にしている。本明細書の教示を鑑みると、当業者には、ハンドル組立体(112)のさまざまな好適な代替的な特徴及び構成が、明らかであろう。
【0010】
本例の器具(10)は、バッテリパック(120)を更に含む。バッテリパック(120)は、後で詳しく説明するように、ピストルグリップ(112)内のモータ(160)に、電力を供給するように動作可能である。バッテリパック(120)は、ハンドル組立体(100)から取り外し可能である。特に、
図1〜2に示すように、バッテリパック(120)は、ケーシング(110)によって画定されるソケット(116)の中に挿入され得る。バッテリパック(120)がソケット(116)内に完全に挿入された後、バッテリパック(120)のラッチ(122)が弾性的にケーシング(110)の内側特徴部に係合して、スナップ嵌めされ得る。バッテリパック(120)を取り外すには、操作者はラッチ(122)を内側に押し込んでラッチ(122)とケーシング(110)の内側特徴部との係合を解除した後、バッテリパック(120)をソケット(116)から近位方向に引き抜くことで実現し得る。なお、バッテリパック(120)及びハンドル組立体(100)は、補足的な電気的接点、ピン及びソケット、並びに/又は、バッテリパック(120)がソケット(116)内に挿入された場合に、バッテリパック(120)からハンドル組立体(100)内の電動部品への電気的通信用の経路を提供するその他の特徴部を有し得るということが理解されるはずである。また、一部の形態では、バッテリパック(120)がハンドル組立体(100)から取り外し不可能なように、バッテリパック(120)はハンドル組立体(100)に一体的に統合されるということも理解されるはずである。
【0011】
シャフト組立体(200)は、ハンドル組立体(100)から遠位方向に延在し、予め形成された曲がり部を含む。一部の形態では、予め形成された曲がり部は、患者の大腸内にステープル留めヘッド組立体(300)を位置づけるのを容易にするように構成されている。本明細書の教示を鑑みると、採用可能なさまざまな、好適な曲がり角度又は曲率半径が当業者には明らかであろう。一部の他の形態では、シャフト組立体(200)は真っ直ぐであり、シャフト組立体(200)には、予め形成された曲がり部が存在しない。さまざまな例示的な構成部品が、シャフト組立体(100)に統合され得るが、それについては後で詳しく説明する。
【0012】
ステープル留めヘッド組立体(300)が、シャフト組立体(200)の遠位端に配置される。
図1〜2に示すように、また、後で詳しく説明するように、アンビル(400)は、ステープル留めヘッド組立体(300)に隣接して、シャフト組立体(200)に取り外し可能に結合するように構成される。また、後で詳しく説明するように、アンビル(400)及びステープル留めヘッド組立体(300)は、3とおりに協働して組織を操作するように構成されているが、それには、組織を挟むこと、組織を切断すること、及び組織をステープル留めすることが含まれる。ハンドル組立体(100)の近位端に設けられたノブ(130)は、ケーシング(110)に対して回転可能であり、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との間で、組織を正確に挟むことができるようになっている。ハンドル組立体(100)の安全トリガー(140)が、ハンドル組立体(100)の発射トリガー(150)から遠ざかるように枢動した場合、発射トリガー(150)は、組織が切断されステープル留めされるように作動され得る。
【0013】
A.例示的なアンビル
アンビル(400)についての以後の議論では、「遠位」及び「近位」という用語(並びにそれらのバリエーション)は、アンビル(400)が器具(10)のシャフト組立体(200)に連結された場合のアンビル(400)の向きを指して用いられる。したがって、アンビル(400)の近位側特徴部は、器具(10)の操作者に近い側にあり、アンビル(400)の遠位側特徴部は、器具(10)の操作者から遠い側にある。
【0014】
図3〜5に最もよく示されるように、本例のアンビル(400)は、ヘッド(410)及び柄(420)を備える。ヘッド(410)は、複数のステープル成形ポケット(414)を画定する近位表面(412)を含む。ステープル成形ポケット(414)は、同心の2列の環状アレイ状に配置される。一部の他の形態では、ステープル成形ポケット(414)は、同心の3列又はそれより多くの列の環状アレイ状に配置される。ステープル成形ポケット(414)は、ステープルがステープル成形ポケット(414)内に駆動されるにつれてステープルを変形させるように構成されている。例えば、各ステープル成形ポケット(414)は、当該技術分野では既知のように、概ねU字形状のステープルを、B字形状に変形し得る。
図4に最もよく示されるように、近位表面(412)は内縁部(416)で終焉し、それによって柄(420)の周りを囲む環状凹部(418)の外側の境界線が画定される。
【0015】
柄(420)は穴(422)を画定し、穴(422)内に位置する一対のラッチ部材(430)を含む。
図5に最もよく示されるように、各ラッチ部材(430)は、T字形状の遠位端(432)と、丸みのある近位端(434)と、近位端(434)の遠位側に位置するラッチシェルフ(436)とを含む。T字形状の遠位端(432)が、ラッチ部材(430)を穴(422)内に取り付ける。ラッチ部材(430)は、遠位端(434)が、柄(420)の側壁を貫通して形成される横方向開口部(424)の近位端に位置づけられるように穴(422)内に位置する。このようにして横方向開口部(424)は、遠位端(434)とラッチシェルフ(436)に対して、柄(420)によって画定される長手方向軸線から、径方向外側に反ることができるようにするクリアランスを提供する。しかしながら、ラッチ部材(430)は、遠位端(434)とラッチシェルフ(436)とを径方向内側に、柄(420)によって画定される長手方向軸線に向かって弾性的に付勢するように構成されている。このようにしてラッチ部材(430)は、保持クリップとして動作する。このことにより、後で詳しく説明するように、ステープル留めヘッド組立体(300)のトロカール(330)に、アンビル(400)が取り外し可能に取り付けられるのが可能とされる。しかしながら、ラッチ部材(436)は、任意で設けられるものにすぎないということが理解されるはずである。アンビル(400)は、他の任意の好適な構成部品、特徴部、又は技法を用いて、トロカール(330)に取り外し可能に取り付けられ得る。
【0016】
前述のことに加えて、又はそれに代えて、アンビル(400)は、米国特許第5,205,459号、米国特許第5,271,544号、米国特許第5,275,322号、米国特許第5,285,945号、米国特許第5,292,053号、米国特許第5,333,773号、米国特許第5,350,104号、米国特許第5,533,661号、及び/又は米国特許第8,910,847号の少なくとも一部の教示することに従って更に構築され、動作可能になり得るが、これらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。更に他の好適な構成については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0017】
B.例示的なステープル留めヘッド組立体
図6〜7に最もよく示されるように、本例のステープル留めヘッド組立体(300)は、シャフト組立体(200)の遠位端に結合され、かつスライド可能なステープル駆動部材(350)を収容する、管状ケーシング(310)を備える。円筒状内側芯部材(312)が、管状ケーシング(310)内を遠位方向に延在している。管状ケーシング(310)は、管状ケーシング(310)がステープル留めヘッド組立体(300)にとって機械的土台として機能するように、シャフト組立体(200)の外部シース(210)に固定的に取り付けられている。
【0018】
トロカール(330)は、管状ケーシング(310)の内側芯部材(312)に同軸的に位置づけられている。後で詳しく説明するように、トロカール(330)は、ノブ(130)がハンドル組立体(100)のケーシング(110)に対して回転するのに反応して管状ケーシング(310)に対して遠位側及び近位側に移動動作可能になっている。トロカール(330)は、シャフト(332)とヘッド(334)とを備える。ヘッド(334)は、尖形状の先端部(336)と、内側向きに延在する近位表面(338)とを含む。したがってシャフト(332)は、ヘッド(334)のちょうど近位側で外径が小さくなっていて、表面(338)が、シャフト(332)のその小さくなった外径部分とヘッド(334)の外径との間の移行部を提供する。本例では、先端部(336)が尖形状であるが、先端部(336)は鋭利ではない。したがって先端部(336)は、組織との不注意な接触による組織への外傷を容易には引き起こさない。ヘッド(334)と、シャフト(332)の遠位部位とは、アンビル(420)の穴(422)に挿入されるように構成されている。近位表面(338)とラッチシェルフ(436)とは、アンビル(400)の柄(420)がトロカール(330)上に完全に着座した場合に、ラッチシェルフ(436)が近位表面(338)に係合するような、補完的な位置と構成とを有する。したがってアンビル(400)は、ラッチ部材(430)によるスナップ嵌めを介して、トロカール(330)に取り付けられる。
【0019】
ステープル駆動部材(350)は、後で詳しく説明するように、モータ(160)の作動に反応して、管状ケーシング(310)内で長手方向に作動するよう動作可能になっている。ステープル駆動部材(350)は、遠位方向に向けられた、ステープルドライバー(352)の2列の同心環状アレイを含む。ステープルドライバー(352)は、上述のステープル成形ポケット(414)の配置に対応するように配置されている。したがって、各ステープルドライバー(352)は、ステープル留めヘッド組立体(300)が作動されると、対応するステープルを対応するステープル成形ポケット(414)の中に駆動するように構成されている。上述のように、ステープルドライバー(352)の配置は、ステープル成形ポケット(414)とちょうど同じように修正し得るということが理解されるはずである。ステープル駆動部材(350)はまた、管状ケーシング(310)の芯部材(312)を同軸的に受容するように構成されている穴(354)を画定する。スタッド(356)の環状アレイが、穴(354)を取り囲む遠位方向に向けられた表面から遠位側に突き出している。
【0020】
円筒状ナイフ部材(340)が、ステープル駆動部材(350)内に、同軸的に位置づけられている。ナイフ部材(340)は、遠位方向に向けられた、鋭利な円形切断縁部(342)を含む。ナイフ部材(340)は、ステープルドライバー(352)の内側の環状アレイにより画定される直径よりも小さい外径を、ナイフ部材(340)が画定するようなサイズになっている。ナイフ部材(340)はまた、管状ケーシング(310)の芯部材(312)を同軸的に受容するように構成されている開口部を画定する。ナイフ部材(340)に形成された開口部(346)の環状アレイは、ステープル駆動部材(350)のスタッド(356)の環状アレイを補完するように構成され、ナイフ部材(340)が、スタッド(356)と開口部(346)とを介してステープル駆動部材(350)に固定的に取り付けられるようになっている。ナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)との間の、他の好適な構造的関係については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0021】
デッキ部材(320)が、管状ケーシング(310)に固定的に取り付けられている。デッキ部材(320)は、ステープル開口部(324)の2列の同心環状アレイを画定する、遠位方向に向けられたデッキ表面(322)を含む。ステープル開口部(324)は、上述のステープルドライバー(352)とステープル成形ポケット(414)との配置に対応するように配置されている。このように、各ステープル開口部(324)は、ステープル留めヘッド組立体(300)が作動された場合に、対応するステープルドライバー(352)が対応するステープルを、デッキ部材(320)を通して、対応するステープル成形ポケット(414)の中に駆動する経路を提供するように構成されている。上述のように、ステープル開口部(322)の配置は、ステープル成形ポケット(414)の配置とちょうど同じように修正し得るということが、理解されるはずである。また、ステープル留めヘッド組立体(300)が作動される前に、ステープルをステープル留めヘッド組立体(300)に装填するために、さまざまな構造及び技法が用いられ得るということも理解されるはずである。ステープルをステープル留めヘッド組立体(300)内に装填するために用いられ得るそのような構造及び技法は、ステープル留めヘッド組立体(300)が作動される前に、意図に反してステープルが、ステープル開口部(324)を通して脱落するのを防ぎ得る。このような構造及び技法が取り得るさまざまな好適な形態については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0022】
図6に最もよく示されるように、ナイフ部材(340)が画定する外径よりも、ちょうどわずかに大きい内径を、デッキ部材(320)は画定する。かくしてデッキ部材(320)は、ナイフ部材(340)が遠位方向に、切断縁部(342)がデッキ表面(322)の遠位側に位置する点まで移動するのを可能にするように構成されている。
【0023】
前述のことに加えて又はそれに代えて、ステープル留めヘッド組立体(300)は、米国特許第5,205,459号、米国特許第5,271,544号、米国特許第5,275,322号、米国特許第5,285,945号、米国特許第5,292,053号、米国特許第5,333,773号、米国特許第5,350,104号、米国特許第5,533,661号、及び/又は米国特許第8,910,847号の教示の少なくとも一部に従って更に構築され、動作可能とされ得るが、これらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。更に他の好適な構成については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0024】
C.代表的な軸アセンブリ
図8は、シャフト組立体(200)のさまざまな構成部品を示し、このシャフト組立体(200)は、ステープル留めヘッド組立体(300)の構成部品を、ハンドル組立体(100)の構成部品に連結するものである。特に、かつ上に記したように、シャフト組立体(200)は、ハンドル組立体(100)と管状ケーシング(310)との間に延在する外部シース(210)を含む。本例では、外部シース(210)は剛性があり、かつ上に記したように、予め形成された、湾曲区域を含む。
【0025】
シャフト組立体(200)は、トロカール作動ロッド(220)とトロカール作動バンド組立体(230)とを更に含む。トロカール作動バンド組立体(230)の遠位端は、トロカールシャフト(332)の近位端に固定的に取り付けられている。トロカール作動バンド組立体(230)の近位端は、トロカール作動ロッド(220)の遠位端に固定的に取り付けられている。したがって、トロカール作動バンド組立体(230)とトロカール作動ロッド(220)とが外部シース(210)に対して移動するのに反応して、トロカール(330)が長手方向に外部シース(210)に対して移動するということが理解されるはずである。トロカール作動バンド組立体(230)は、トロカール作動バンド組立体(230)が、長手方向に、外部シース(210)に対して移動させられるにつれて、トロカール作動バンド組立体(230)が、シャフト組立体(200)内の予め形成された曲がり部に沿って動き得るように曲がって構成されている。しかしながら、トロカール作動バンド組立体(230)は、遠位方向及び近位方向の力を、トロカール作動ロッド(220)からトロカールシャフト(332)に伝えるのに十分な柱強度と引っ張り強さとを有する。トロカール作動ロッド(220)は剛性を有するものである。クリップ(222)は、トロカール作動ロッド(220)に固定的に取り付けられており、かつ、クリップ(222)は、トロカール作動ロッド(220)がハンドル組立体(100)内で長手方向に移動するのを可能に維持している一方で、ハンドル組立体(100)内の補完的特徴部と協働して、トロカール作動ロッド(220)がハンドル組立体(100)内で回転するのを防止するように構成されている。トロカール作動ロッド(220)は、並目螺旋ねじ山(224)と細目螺旋ねじ山(226)とを更に含む。トロカール作動ロッド(220)の動きに関する詳細については、後で詳述する。
【0026】
シャフト組立体(200)は、外部シース(210)内に、スライド可能に受容されるステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)を更に含む。ステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)の遠位端は、ステープル駆動部材(350)の近位端に固定的に取り付けられている。ステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)の近位端は、ピン(242)を介して駆動ブラケット(250)に取り付けられている。したがって、ステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)と駆動ブラケット(250)とが外部シース(210)に対して移動するのに反応して、ステープル駆動部材(350)が長手方向に、外部シース(210)に対して移動するということが理解されるはずである。ステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)は、ステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)が長手方向に、外部シース(210)に対して移動するにつれて、ステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)が、シャフト組立体(200)内の予め形成された曲がり部に沿って動き得るように曲がって構成されている。しかしながら、ステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)は、遠位方向の力を、駆動ブラケット(250)からステープル駆動部材(350)に伝えるのに十分な柱強度を有する。駆動ブラケット(250)の動きに関する詳細については、後で詳述する。
【0027】
図8には示されていないが、シャフト組立体(200)が、外部シース(210)内に、1つ以上のスペーサ要素を更に含み得るということが理解されるはずである。そのようなスペーサ要素は、トロカール作動バンド組立体(230)及び/又はステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)が外部シース(210)を通って移動する間、トロカール作動バンド組立体(230)及び/又はステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)を支持するように構成され得る。例えば、そのようなスペーサ要素は、トロカール作動バンド組立体(230)及び/又はステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)が外部シース(210)を通って移動する間、トロカール作動バンド組立体(230)及び/又はステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)が、歪むのを防止し得る。そのようなスペーサ要素が取り得るさまざまな好適な形態については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0028】
前述のことに加えて又はそれに代えて、シャフト組立体(200)は、米国特許第5,205,459号、米国特許第5,271,544号、米国特許第5,275,322号、米国特許第5,285,945号、米国特許第5,292,053号、米国特許第5,333,773号、米国特許第5,350,104号、米国特許第5,533,661号、及び/又は米国特許第8,910,847号の教示の少なくとも一部に従って更に構築され、動作可能とされ得るが、これらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。更に他の好適な構成については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0029】
D.例示的なアクチュエータハンドル組立体
図9に示すように、ハンドル組立体(100)は、アンビル(400)及びステープル留めヘッド組立体(300)を作動させるように動作可能ないくつかの構成部品を含む。ハンドル組立体(100)はまた、アンビル(400)の、ステープル留めヘッド組立体(300)に対する相対位置に基づいて、トリガー(140、150)を選択的にロックアウトするように動作可能な構成部品をも含む。トリガー(140、150)がロックアウトされた場合、発射トリガー(150)がステープル留めヘッド組立体(300)の作動を開始することが防止される。かくして、トリガー(150)は、ステープル留めヘッド組立体(300)に対するアンビル(400)の位置が、所定の範囲内にある場合にのみ、ステープル留めヘッド組立体(300)の作動を開始するよう動作可能である。前述の動作可能性を提供するハンドル組立体(100)の構成部品については、後でより詳細に説明する。
【0030】
1.例示的なアンビル作動組立体
ノブ(130)は、ハンドル組立体のケーシング(110)から近位側に突き出しており、ケーシング(110)に対して回転可能である。
図9に示すように、ナット(160)は、ノブ(130)の遠位端に取り付けられている。本例では、ナット(160)は、ナット(160)がノブ(130)と一体で回転するように、ノブ(130)の遠位端に固定的に取り付けられている。ナット(160)とノブ(130)とは、トロカール作動ロッド(220)と協働して、ナット(160)とノブ(130)とがケーシング(110)に対して回転するのに反応して、トロカール作動ロッド(220)を長手方向に、ケーシング(110)に対して移動させるように構成されている。上に記したように、トロカール作動ロッド(220)が、外部シース(210)とケーシング(110)とに対して移動するのに反応して、トロカール(330)は長手方向に、外部シース(210)に対して移動する。
【0031】
トロカール作動ロッド(220)の近位部位は、ナット(160)とノブ(130)とに係合するように、ハンドル組立体(100)内部に位置づけられている。特に、トロカール作動ロッド(220)は、並目螺旋ねじ山(224)が、ナット(160)内部のねじ係合特徴部(不図示)に選択的に係合するように、かつ、細目螺旋ねじ山(226)が、ノブ(130)内部のねじ係合特徴部(不図示)に選択的に係合するように、ハンドル組立体(100)内に位置づけられる。一部の形態では、ナット(160)のねじ係合特徴部は、内側に方向付けられたタブを備える一方で、ノブ(130)のねじ係合特徴部は、螺旋ねじ山を備える。このようなねじ係合特徴部が取り得る、他の好適な形態については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0032】
本例では、ナット(160)とノブ(130)とが、ケーシング(110)に対して回転した場合に、トロカール作動ロッド(220)は、並目螺旋ねじ山(224)がナット(160)に係合されて、比較的速い移動速度を提供する、長手方向動作の第1の範囲を通じて近位方向に移動する。この動作の範囲の間は、細目螺旋ねじ山(226)はノブ(130)と係合しない。トロカール作動ロッド(220)が最初の動作範囲を完了した後で、ナット(160)とノブ(130)とがケーシング(110)に対して更に回転した場合に、トロカール作動ロッド(220)は、細目螺旋ねじ山(226)がノブ(130)に係合して、比較的遅い移動速度を提供する、長手方向動作の第2範囲を通じて近位方向に移動し続ける。かくして、トロカール作動ロッド(220)は、まずは並目螺旋ねじ山(224)とナット(160)との間の係合に基づいて、その後、細目螺旋ねじ山(226)とノブ(130)との間の係合に基づいて、急速な移動の後に遅い移動が続くシーケンスを通じて近位方向に移動する。
【0033】
アンビル(400)が、トロカール(330)に連結された場合に、ノブ(130)が回転すると、それに対応してアンビルを、ステープル留めヘッド組立体(300)に対して移動させるということが理解されるはずである。また、ノブ(130)は、第1の角方向(例えば、時計回り)に回転され、アンビル(400)をステープル留めヘッド組立体(300)に向けて待避させ得るとともに、第2の角方向(例えば、反時計回り)に回転され、アンビル(500)をステープル留めヘッド組立体(300)から遠ざけるように前進させ得るということも理解されるはずである。
図21Cに示され、かつ後で詳しく説明するように、ノブ(130)は、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との対向する表面(412、322)どうしの間の間隙距離(d)を、好適な間隙距離(d)が達成されるまで調整するために用いられ得る。
【0034】
2.例示的なトリガーロックアウト組立体
上に記したように、ノブは、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との対向する表面(412、322)どうしの間の間隙距離(d)を調整するために用いられ得る。ステープル留めヘッド組立体(300)を作動する前に適切な間隙距離(d)を設定することは、吻合を成功裏に行う上で、決定的に重要であり得る。例えば、間隙距離(d)が大きすぎる場合には、吻合する箇所に配置されたステープルが、ステープル成形ポケット(414)によって充分に成形をされない場合があり得る。この結果、吻合個所からの漏れが起こる場合があり得るが、時には、最終的に、吻合箇所で接合されている解剖学的管腔断面どうしの分離へとつながる場合があり得る。間隙距離(d)が小さすぎる場合には、表面(412、322)間で圧縮された組織の内部構造が、組織の構造的一体性が損なわれるまで損傷され得る。このことは、成形されたステープルを組織が適切に保持するのを妨げ得るが、その結果やはり、漏れや、その他の吻合の不具合が発生し得る。それゆえ、操作者に対して、間隙距離(d)が適切な範囲にあるかどうかを示す何らかの形のフィードバックを提供することが望ましい場合があり得る。また、間隙距離(d)が適切な範囲になるまで、操作者がステープル留めヘッド組立体(300)を作動するのを防止することも望ましい場合があり得る。
【0035】
図9〜12Eは、操作者に対して、間隙距離(d)が適切な範囲にあるかどうかを示すためのフィードバックを提供し、かつ間隙距離(d)が適切な範囲になるまで、操作者がステープル留めヘッド組立体(300)を作動するのを防止するための構成部品を示す。
図12B〜12Cに最もよく示されるように、ブラケット(500)は、トロカール作動ロッド(220)の動きに反応して、動くように構成され、位置づけられている。
図10に最もよく示されるように、ブラケット(500)は、第1スロット(504)と、第2スロット(506)と、第3スロット(508)とを画定する、剛性のある本体(502)を含む。直立特徴部(510)が本体(502)の近位端に位置づけられ、開口部(512)を画定する。トロカール作動ロッド(220)が、開口部(512)を通って同軸的に延在する。
図9に示すように、コイルばね(170)が、直立特徴部(510)の近位端と、ケーシング(110)により画定され、ナット(160)に対して支持ジャーナル部を形成する剛性のある隔壁特徴部との間に挿入される。隔壁は、ケーシング(110)内に固定され、それにより、コイルばね(170)が弾性的に直立特徴部(510)を介してブラケット(500)に、遠位方向のバイアスを付与するように、コイルばね(170)の近位端に土台を提供する。ブラケット(500)は、本体(502)の遠位端に設けられた、横方向に向けられたフランジ(516)を更に含む。フランジ(516)は、スロット(514)を画定する。
【0036】
図12B〜12Cに最もよく示されるように、インジケータ部材(520)は、ブラケット(500)の移動に反応して枢動するように構成されている。
図11に最もよく示されるように、インジケータ部材(520)は、直立アーム(522)と、アーム(522)の下端から横方向に突き出すスナップピン(524)と、アーム(522)の上端から横方向に突き出すインジケータ針(526)と、アーム(522)の中間領域から横方向に突き出す連結ピン(528)とを備える。スナップピン(524)は、ケーシング(110)によって提供される補完的凹部にカチンと嵌るように構成されている。それによりスナップピン(524)は、インジケータ部材(520)をケーシング(110)に取り付けつつも、なお、インジケータ部材(520)がケーシング(110)に対して、スナップピン(524)の長手方向軸線周りに枢動するのを可能にしている。インジケータ針(526)は、ハンドル組立体(110)の窓部(114)を通して見えるように位置づけられ、それによって、インジケータ部材(520)の枢動位置を視覚的に示すようになっている。連結ピン(528)は、ブラケット(500)のフランジ(516)のスロット(514)内にスライド可能に受容される。インジケータ部材(520)、ケーシング(110)、及びブラケット(500)間のこの係合によって、ブラケット(500)の移動に反応した、インジケータ部材(520)の枢動動作が提供されている。
【0037】
ブラケット(500)は、トリガー(140、150)の作動を、選択的に防止したり可能にしたりするように構成されている。特に、ブラケット(500)のスロット(504、506)は、トリガー(140、150)の作動に対するクリアランスを選択的に提供するように構成されている。
図12A〜12Eに示すように、安全トリガー(140)は、第1直立部材(144)に枢動可能に連結されている。安全トリガー(140)がピストルグリップ(112)に向かって枢動するのに反応して、第1直立部材(144)が上方に移動するように構成されるように、第1直立部材(144)がケーシング(110)に連結されている。しかしながら、ブラケット(500)の本体(502)は、第1直立部材(144)の上端(146)を係合することにより、第1直立部材(144)と安全トリガー(140)の上記の動きを防止するように構成されている。かくして、スロット(506)が上端(146)に位置揃えされ、それにより、ブラケット(500)が、第1直立部材(144)の上方向の動きに対してクリアランスを提供する位置に動くまで、第1直立部材(144)と安全トリガー(140)との動きを、本体(502)がブロックする。したがって、スロット(506)が上端(146)の上に位置づけられるまで、安全トリガー(140)は、ピストルグリップ(112)に向かって枢動できないということが理解されるはずである。
【0038】
同様に、発射トリガー(150)は、第2直立部材(154)に枢動可能に連結されている。安全トリガー(150)がピストルグリップ(112)に向かって枢動するのに反応して、第2直立部材(154)が上方に移動するように構成されるように、第2直立部材(154)がケーシング(110)に連結されている。しかしながら、ブラケット(500)の本体(502)は、第2直立部材(154)の上端(156)を係合することにより、第2直立部材(154)と発射トリガー(150)の上記の動きを防止するように構成されている。たとえ安全トリガー(140)が、そうでなければ発射トリガー(150)の動きを可能にするように枢動したとしても、スロット(504)が上端(156)に位置揃えされ、それにより、ブラケット(500)が、第2直立部材(154)の上方向の動きに対してクリアランスを提供する位置に動くまで、第2直立部材(154)と発射トリガー(150)の動きを、本体(502)がブロックする。したがって、たとえ安全トリガー(140)が、そうでなければ発射トリガー(150)の動きを可能にするように枢動したとしても、スロット(504)が上端(156)の上に位置づけられるまで、発射トリガー(150)は、ピストルグリップ(112)に向かって枢動することができないということが理解されるはずである。
【0039】
第3スロット(508)は、トロカール作動ロッド(220)に強固に取り付けられている、下方に向かって突き出すクリップ(222)のボス(223)を受容するように構成されている。ケーシング(110)が、ブラケット(500)に、ケーシング(110)内で長手方向に移動するのを可能にするように構成されている一方で、ケーシング(110)は、ブラケット(500)がケーシング(110)内で回転するのを防ぐ、レール、チャネル、及び/又はその他の特徴部を含む。かくして、スロット(508)内でボス(223)を位置づけることにより、クリップ(222)とトロカール作動ロッド(220)とが、ケーシング(110)内で回転するのを防止する。それでもなお、後で詳しく説明するように、ボス(223)とスロット(508)とは、ブラケット(500)に、ケーシング(110)内で長手方向に移動することを可能にする。
【0040】
図12A〜12Eは、さまざまな運転段階における上述の構成部品を図示している。特に、
図12Aでは、トロカール(330)が最も遠位側の位置になるように、トロカール作動ロッド(220)が、最も遠位側の位置にある。この段階では、操作者は、ラッチ部材(430)が、トロカール(330)のヘッド(334)に取り付けられるまで、トロカール(330)を穴(422)に挿入することにより、アンビル(400)をトロカール(330)に結合し得る。操作者は次に、ノブ(130)を回し、それによりナット(160)が回転する。ノブ(130)とナット(160)とが回転するにつれて、トロカール作動ロッド(220)の並目螺旋ねじ山(224)とナット(160)の補完的特徴部との間の係合が、トロカール作動ロッド(220)を、比較的速い速度で近位方向に待避させ、トロカール作動ロッド(220)を
図12Bに図示される位置に至らしめる。このようにトロカール作動ロッド(220)を近位方向に待避させたことにより、トロカール(330)とアンビル(400)とを待避させることができる。トロカール作動ロッド(220)が、
図12Aに図示される位置から
図12Bに図示される位置に動く間、ブラケット(500)は静止したままである。これは、
図12Aに図示されている段階では、クリップ(222)が直立特徴部(510)から離間されており、トロカール作動ロッド(220)が、
図12Bに図示されている位置に達するまでは、クリップ(222)が直立特徴部(510)に係合していないという事実によるものである。
【0041】
図12Bに図示されている段階に達した後も操作者は、ノブ(130)とナット(160)とを回転させ続け得るが、それにより、
図12Cに示すように、トロカール作動ロッド(220)は更に近位方向に待避する。もちろん、このことにより、トロカール(330)とアンビル(400)とが更に近位方向に待避する。トロカール作動ロッド(220)が、
図12Bに図示されている位置から
図12Cに図示されている位置に移動するにつれて、クリップ(222)はブラケット(500)に当接して、ブラケット(500)を近位方向に駆動する。このブラケット(500)の近位方向への動きにより、フランジ(516)のスロット(514)内にピン(528)が位置づけられるため、インジケータ部材(520)が、
図12Bに図示されている位置から
図12Cに図示されている位置へと枢動する。
【0042】
インジケータ部材(520)が
図12Bに図示されている位置から
図12Cに図示されている位置に枢動する間、操作者は、ハンドル組立体(110)の窓部(114)を通して、インジケータ針(526)の位置を観察し得る。上に記したように、一連の符号、着色領域、及び/又はその他の固定インジケータが窓部(114)に隣接して位置して、インジケータ針(526)に対する視覚的背景を提供し、それによって、窓部(114)内で針(526)がどの位置にいるのかを操作者が評価するのを容易にし得る。窓部(114)内での針(526)の位置は、トロカール(330)とアンビル(400)との長手方向位置を示すということが理解されるはずである。しかるに窓部(114)内での針(526)の位置は、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との対向する表面(412、322)どうしの間の間隙距離(d)を示す。窓部(114)内の針(526)の位置を観察している間、操作者は、ノブ(130)を時計回り又は反時計回りに回して、トロカール(330)とアンビル(400)とを更に待避させるか又は前進させ得るが、それにより、適切な範囲内の所望の間隙距離(d)に到達するまで、間隙距離(d)を微調整することができる。
【0043】
図12Cに図示されている段階における間隙距離(d)の微調整を提供するためには、細目螺旋ねじ山(226)がノブ(130)の補完的特徴部に係合し、かつ並目螺旋ねじ山(224)がナット(160)の補完的特徴部との係合を解除された状態になる長手方向位置に、トロカール作動ロッド(220)が存在する。一部の形態では、トロカール作動ロッド(220)が、
図12Bに図示されている長手方向位置に到達すると(すなわち、クリップ(222)が直立部材(510)と最初に係合する時)、並目螺旋ねじ山(224)はナット(160)との係合を解除され、かつ細目螺旋ねじ山(226)がノブ(130)に係合し始める。一部の他の形態では、並目螺旋ねじ山(224)による係合から、細目螺旋ねじ山(226)による係合への移行は、
図12Bに図示されている段階と
図12Cに図示されている段階との間のどこかで起こっている。並目から細目への移行が起こり得る、他の好適な段階については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。また、トロカール作動ロッド(220)のいくつかの代替的な形態が、ねじ山の全長にわたりねじ山のピッチが一貫している、単一のねじ山区域のみを有し得るということも理解されるはずである。言い換えると、トロカール作動ロッド(220)は、異なるピッチの、2つの異なるねじ山区域(224、226)を、必ずしも有する必要はない。
【0044】
図12Cに図示されている段階において、スロット(506)は上端(146)に位置揃えされ、それによって、第1直立部材(144)の上方への動きに対してクリアランスを提供する。同様に、スロット(504)は上端(156)に位置揃えされ、それによって、第2直立部材(154)の上方への動きに対してクリアランスを提供する。本例では、間隙距離(d)が臨床的に許容可能な範囲にあるという場合に、スロット(504、506)が直立部材(144、154)の上方への動きに対するクリアランスを提供するのみであるようなサイズ及び位置に、スロット(504、506)がなっている。あくまでも例として、間隙距離(d)について「臨床的に許容可能な範囲」とは、約0.280cmと約0.10cmとの間(約0.110インチと約0.040インチとの間)であり得る。別の単に例示的な例として、間隙距離(d)について「臨床的に許容可能な範囲」とは、約0.280cmと約0.051cmとの間(約0.110インチと約0.020インチとの間)であり得る。
図12Cに示すように、スロット(504、506)が直立部材(144、154)の上方への動きに対するクリアランスを提供するように位置づけられた場合でも、安全トリガー(140)が
図12Cに図示されている非作動位置にある場合には、安全トリガー(140)は発射トリガー(150)が、ピン(152)(
図9)周りに枢動するのを依然としてブロックする。かくして、発射トリガー(150)の動きを可能にするためには、操作者は、まず安全トリガー(140)をピン(142)(
図9)周りに、
図12Cに図示されている位置から
図12Dに図示されている位置へと作動させる必要がある。
【0045】
図12Dに示すように、安全トリガー(140)が
図12Cに図示されている位置から
図12Dに図示されている位置に枢動されるにつれて、上端(146)は、スロット(506)を通過する。この上端(146)の動きは、
図12A〜12Bに図示されている段階では(間隙距離(d)が大きすぎる場合)不可能であるが、それは、本体(502)が直立部材(144)の上方への動きを物理的にブロックし、それにより安全トリガー(140)の枢動を物理的にブロックするからであるということが理解されるはずである。本例では、ノブ(130)に組み込まれたキャップ(不図示)が、アンビル(400)が、近位方向にあまりに遠く待避させられる(間隙距離(d)が小さすぎるような)地点まで、ノブ(130)が回転するのを防止する。別の一部の形態では、たとえノブ(130)がアンビル(400)に、近位方向にあまりに遠く(間隙距離(d)が小さすぎるように)待避させられるのを可能にしたとしても、操作者がトロカール(330)とアンビル(400)とを、近位方向にあまりに遠く待避させた(間隙距離(d)が小さすぎる)場合には、本体(502)が直立部材(144)の上方への動きを物理的にブロックし、それにより、安全トリガー(140)の枢動を物理的にブロックする。間隙距離(d)が小さすぎる場合、本体(502)、ノブ(130)、又は、別の何らかの特徴部が、作動を防止するかどうかにかかわらず、器具(10)が安全トリガー(140)の作動を許すのは、間隙距離(d)が臨床的に許容可能な範囲内にある場合のみであるということが理解されるはずである。
【0046】
上に記したように、安全トリガー(140)が作動されるまで、安全トリガー(140)は、発射トリガー(150)の作動を防止するように構成されている。安全トリガー(140)が作動されると、操作者は発射トリガー(150)を、
図12Dに図示されている位置から
図12Eに図示されている位置に作動させ得る。
図12Eに示すように、発射トリガー(150)が、
図12Dに図示されている位置から
図12Eに図示されている位置に枢動されるにつれて、上端(156)は、スロット(504)を通過する。安全トリガー(140)が完全に存在しないという場合においても、この上端(156)の動きは、
図12A〜12Bに図示されている段階では(間隙距離(d)が大きすぎる場合)不可能であるが、それは、本体(502)が直立部材(154)の上方への動きを物理的にブロックし、それにより発射トリガー(150)の枢動を物理的にブロックするからであるということが理解されるはずである。また、操作者がトロカール(330)とアンビル(400)とを、近位方向にあまりに遠く待避させる(間隙距離(d)が小さすぎるように)場合にも、本体(502)が、直立部材(154)の上方への動きを物理的にブロックし、それにより、発射トリガー(150)の枢動を物理的にブロックするということも理解されるはずである。かくして、安全トリガー(140)が完全に存在しないという場合においても、発射トリガー(150)は、間隙距離(d)が臨床的に許容可能な範囲にある場合にのみ作動され得る。
【0047】
本例の発射トリガー(150)は、一体型の作動パドル(158)を含む。発射トリガー(150)が
図12Dに図示されている位置から
図12Eに図示されている位置に枢動するにつれて、パドル(158)が前方に枢動する。パドル(158)は、発射トリガー(150)が
図12Dに図示されている位置から
図12Eに図示されている位置に枢動した場合に、
図9に図示されているモータ作動モジュール(180)のスイッチを作動させるように構成されている。モータ作動モジュール(180)は、バッテリパック(120)とモータ(160)とに通信しており、パドル(158)がモータ作動モジュール(180)のスイッチを作動させるのに反応して、モータ作動モジュール(180)が、バッテリパック(120)からの電力でモータ(160)を作動させるように構成されている。かくして、発射トリガー(150)が
図12Dに図示されている位置から
図12Eに図示されている位置に枢動された場合に、モータ(160)が作動される。後で詳述するように、このモータ(160)の作動により、ステープル留めヘッド組立体(300)が作動される。
【0048】
3.例示的なステープル留めヘッド作動組立体
図13〜20Dは、ステープル留めヘッド組立体(300)を作動させるよう動作可能である、さまざまな構成部品を示す。これらの構成部品には、モータ(160)、ギヤボックス(162)、ロータリーカム部材(700)、カム従動子(600)、駆動ブラケット(250)、及びステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)が含まれる。ギヤボックス(162)は、モータ(160)の駆動シャフトに連結され、更に、カム部材(700)に連結される。かくして、モータ(160)の作動により、ギヤボックス(162)を介して、カム部材(700)が回転する。ギヤボックス(162)に用い得るさまざまな好適な構成が、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。後で詳しく説明するように、カム部材(700)は、カム従動子(160)と相互作用して、カム従動子(160)を、ピン(118)の周りで2とおりの角方向に枢動させるように構成されている。ピン(118)は、ケーシング(110)に連結される。ブッシング(701)は、カム部材(700)に、ケーシング(110)に対して回転する支持を提供する。
【0049】
カム従動子(600)は、駆動ブラケット(250)の補完ノッチ(252)に受容される一対の統合ピン(602)を介して、駆動ブラケット(250)に枢動可能に連結されている。
図14〜15に示すように、カム従動子(600)は、第1ベアリング特徴部(604)と第2ベアリング特徴部(610)とを含む。第1ベアリング特徴部(604)は、丸みのある、水平延伸表面からなる。第2ベアリング特徴部(610)は、直線垂直表面(612)と、水平延伸表面(614)と、湾曲表面(616)とによって画定される4分の1サイズのパイのような形状である。第2ベアリング特徴部(610)は、第1ベアリング特徴部(504)に対して近位側に突き出している。
【0050】
図16〜17は、カム部材(700)をより詳細に図示している。カム部材(700)は、遠位端面(702)と、遠位方向に突き出しているポスト(704)と、外周面(706)とを備える。第1カム特徴部(710)と第2カム特徴部(720)とは、遠位端面(702)から遠位方向に突き出している。ポスト(704)は、ブッシング(701)と係合する。第1カム特徴部(710)は、第1表面領域(712)と、第2表面領域(714)と、第3表面領域(716)とを備える。第1表面領域(712)は、第1表面領域(712)がほぼ平坦になるように比較的大きな曲率半径で、凸状に画定されている。第2表面領域(714)は、次第に増加する曲率半径で、凸状に画定されている。第3表面領域(716)は、比較的大きな曲率半径で、凹状に画定されている。遠位端面(702)から遠位方向に突き出していることに加えて、第2カム特徴部(720)は、外周面(706)から外側に突き出している。第2カム特徴部(720)は、第1表面領域(722)と第2表面領域(724)とを含む。第1表面領域(722)は、実質的に平坦であり、他方、第2表面領域(724)は、凹状に湾曲している。各湾曲表面領域(712、714、716、724)の曲率半径の起点は、ポスト(704)の中心からずれた位置にある。
【0051】
図18A〜18Bは、カム従動子(600)と第1及び第2カム特徴部(710、720)との間の一般的な相互作用を図示しているが、この相互作用については、
図20A〜20Dを参照しながら、後でより詳しく説明される。カム部材(700)が、
図18Aに図示されている位置から
図18Bに図示されている位置に回転するにつれて、第1カム特徴部(710)はカム従動子(600)の第1ベアリング特徴部(604)に当接して、カム従動子(600)をピン(118)の周りで枢動させる。
図18A〜18Bに示す図において、カム部材(700)が
図18Aに図示されている位置から
図18Bに図示されている位置に回転させられるにつれて、カム従動子(600)は反時計回りに枢動する。
図18Aから
図18Bへの移行に見られるように、カム従動子(600)のこの反時計回りの枢動が、駆動ブラケット(250)とステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)とを遠位方向に駆動し、それによって、ステープル留めヘッド組立体(300)を作動させる。カム部材(700)が、
図18Aに図示されている位置に向かって戻るように同じ方向に回転し続けるにつれて、第2カム特徴部(720)がカム従動子(600)の第2ベアリング特徴部(610)に係合して当接し、カム従動子(600)をピン(118)の周りで、時計回りに枢動させる。このようにカム従動子(600)がピン(118)の周りで時計回りに枢動すると、駆動ブラケット(250)とステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)とが、
図18Aに図示されている位置に戻るように近位方向に待避する。
【0052】
再びここで
図16〜17を参照すると、第3カム特徴部(730)は、外周面(706)から外側に向かって突き出している。第3カム特徴部(730)は、第1表面領域(732)と第2表面領域(734)とを備える。第1表面領域(732)は平坦であり、外周面(706)に対して概ね接線方向に配向されている。第2表面領域(732)もまた平坦であり、外周面(706)に対して径方向外側に配向されている。第3カム特徴部(730)は、
図19A〜19Bに示すように、振動部材(800)と相互作用するように構成されている。振動部材(800)は、統合ピン(802)と、ベアリング部材(804)と、パドル(806)とを備える。振動部材(800)が、ケーシング(110)内で、ピン(802)によって画定される長手方向軸線の周りで枢動可能なように、ピン(802)はケーシング(110)に枢動可能に連結されている。後で詳しく説明するように、ベアリング部材(804)は、第3カム特徴部(730)と相互作用するように構成されている。パドル(806)は、後でまたより詳しく説明するように、短絡回路モジュール(190)のスイッチボタン(192)を作動させるように構成されている。
【0053】
図19Aは、カム部材(700)を、
図18Aに示すのと同じ位置に図示している。この段階では、第3カム特徴部(730)の第2表面領域(734)は、振動部材(800)のベアリング部材(804)に隣接している。
図19Bは、カム部材(700)が
図18Bに図示されている位置を通過して、
図18Aに図示されている位置に向かって戻ろうとするように回転された位置にあるカム部材(700)を図示している。しかしながら、カム部材(700)はまだ丸一回転を完了した状態ではない。
図19Bに図示されている段階において、第1表面領域(732)は、ベアリング部材(804)に既に係合し、当接した状態であるが、それにより、ピン(802)によって画定される長手方向軸線の周りに、振動部材(800)を枢動させている。これにより、パドル(806)が、短絡回路モジュール(190)のスイッチボタン(192)を作動させた状態である。短絡回路モジュール(190)は、スイッチボタン(192)が作動された場合に、モータ(160)が更に作動されるのを防止するように構成されている。一部の形態では、スイッチボタン(192)が作動された場合に、短絡回路モジュール(190)は、回路短絡モータ(160)に加えて、受電回路でバッテリパック(120)に連結される。これは、ステープル留めヘッド組立体(300)の作動ストロークが完了すると、結果として、モータ(160)の作動を停止することに加えて、バッテリパック(120)の放電をもたらす場合があり得る。あくまでも例としてであるが、短絡回路モジュール(190)は、米国特許出願公開第2015/0083774号の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能とされ得るが、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。他の好適な構成は、本明細書の教示を考慮することにより当業者に明らかになるであろう。
【0054】
図20A〜20Dは、カム部材(700)が回転するにつれて、カム部材(700)と、カム従動子(600)の特徴部と、振動部材(800)の特徴部との間に起こる相互作用を、模式的に図示している。
図20A〜20Dに図示されている段階を通じて、カム部材(700)の回転は、モータ(160)とギヤボックス(162)とによって駆動されるということが理解されるはずである。
図20Aは、
図18A及び19Aに図示されている位置と同じ位置にあるカム部材(700)を図示している。この段階では、カム従動子(600)の第1ベアリング特徴部(604)が、第1表面領域(712)上に位置し、かつベアリング部材(804)又は振動部材(800)が、第3カム特徴部(730)の第2表面領域(734)に隣接している。またこの段階では、ナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とが、近位位置にあり、ステープル留めヘッド組立体(300)が、非作動位置に存在している。カム部材(700)が
図20Bに図示されている位置に回転するにつれて、第2表面領域(714)がベアリング部材(804)に当接し、それによってベアリング部材(804)を上方に駆動する。これにより、カム従動子(600)がピン(118)の周りで、
図18Bに図示されている位置まで枢動する。かくしてカム従動子(600)がナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とを遠位方向に、駆動ブラケット(250)とステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)とを介して駆動する。かくしてステープル留めヘッド組立体(300)は、
図20Bに図示されている段階で、作動された状態にある。一部の形態では、カム部材(700)は、ステープル留めヘッド組立体(300)を非作動状態から作動状態へと移行させるため、約270°の角範囲を通って回転する。
【0055】
ステープル留めヘッド組立体(300)が作動された後で、カム部材(700)は、
図20Cに図示されている位置まで回転を続ける。この段階では、第2カム部材(720)の第1表面領域(722)が、カム従動子(600)の第2ベアリング特徴部(610)の湾曲表面(616)に係合を開始する。カム部材(700)が、
図20Dに図示されている位置まで回転し続けるにつれて、第2表面領域(724)が第2ベアリング特徴部(610)の湾曲表面(616)に係合し、第2ベアリング特徴部(610)を下方に駆動する。これにより、カム従動子(600)が、
図18Bに図示されている位置から
図18Aに図示されている位置に向かって戻るように、ピン(118)の周りに枢動する。かくしてカム従動子(600)がナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とを近位方向に、駆動ブラケット(250)とステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)とを介して駆動する。加えて、第1表面領域(732)は、既にベアリング部材(804)と係合し、当接した状態であるが、それにより、振動部材(800)を、
図20Dに図示されている段階において、ピン(802)によって画定される長手方向軸線の周りに枢動させる。かくして振動部材(800)は、
図20Dでは、
図19Bに示すのと同じ状態である。かくして短絡回路モジュール(190)は、
図20Dに図示されている段階において、作動されている。
【0056】
前述のことから、カム部材(700)は、ナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とを遠位方向に駆動し、次に、ナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とを近位側に駆動し、更に、
図20A〜20Dに図示されている動きの範囲を通して単一の角方向に回転させることによって、短絡回路モジュール(190)を作動するように動作可能である、ということが理解されるはずである。ナイフ部材(340)と、ステープル駆動部材(350)と、短絡回路モジュール(190)とが作動され得る他の好適な方法は、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0057】
E.例示的な吻合手順
図21A〜21Eは、2つの筒状解剖学的構造(20、40)どうしの間の吻合(70)を形成するために用いられている器具(10)を図示している。あくまでも例として、筒状解剖学的構造(20、40)は、患者の食道の区域、患者の大腸の区域、患者の消化管のその他の区域、又は他の任意の筒状解剖学的構造を含み得る。
図21Aに示すように、アンビル(400)は、1つの筒状解剖学的構造(20)内に位置づけられ、かつステープル留めヘッド組立体(300)は、別の筒状解剖学的構造(40)内に位置づけられる。筒状解剖学的構造(20、40)が、患者の大腸の区域を含む形態では、ステープル留めヘッド組立体(300)は、患者の直腸を介して挿入され得る。また、
図21A〜21Eに図示されている処置は開腹手術であるが、その処置は腹腔鏡手術としても実施され得るということも理解されるはずである。吻合(70)を腹腔鏡手術で形成するために器具(10)が用いられ得るさまざまな好適な方法が、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0058】
図21Aに示すように、アンビル(400)は、柄(420)が筒状解剖学的構造(20)の開放切断端(22)から突き出すように筒状解剖学的構造(20)内に位置づけられる。巾着縫合糸(30)が、柄(420)の中央領域の周りに提供され、アンビル(400)の筒状解剖学的構造(20)内での位置を大まかに確保する。同様に、ステープル留めヘッド組立体(300)は、トロカール(330)が筒状解剖学的構造(20)の開放切断端(42)から突き出すように、筒状解剖学的構造(40)内に位置づけられる。巾着縫合糸(50)が、シャフト(332)の中央領域周りに提供され、ステープル留めヘッド組立体(300)の筒状解剖学的構造(40)内での位置を大まかに確保する。
【0059】
次に、
図21Bに示すように、トロカール(330)を穴(422)に挿入することによって、アンビル(400)が、トロカール(330)に取り付けられる。ラッチ部材(430)が、トロカール(330)のヘッド(334)に係合し、それによって、アンビル(400)とトロカール(330)との間のしっかりとした嵌合を提供する。次に操作者は、ピストルグリップ(112)を介して、ケーシング(110)を静止状態に保ちつつ、ノブ(130)を回転させる。このノブ(130)の回転により、(
図12A〜12Cを参照しつつ既に説明したように)トロカール(330)とアンビル(400)とが近位側に待避する。
図21Cに示すように、上のようにトロカール(330)とアンビル(400)とが近位側に待避することによって、筒状解剖学的構造(20、40)の組織が、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との表面(412、322)どうしの間で圧縮される。操作者は、窓部(114)内での針(526)の位置を観察して、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との互いに対向する表面(412、322)どうしの間の間隙距離(d)が適切であるかどうかを判断し、調整が必要な場合には、ノブ(130)を介して調整を行う。
【0060】
操作者がノブ(130)を介して間隙距離(d)を適切に設定した後、操作者は、(
図12Dに示すように)安全トリガー(140)を作動させて、発射トリガー(150)の作動を可能にする。次に、操作者は発射トリガー(150)を、(
図12Dに示すように)作動させる。これにより、パドル(158)が、モータ作動モジュール(180)のスイッチを作動させ、それによってモータを作動させてカム部材(700)を(
図20A〜20Dに示すように)回転させる。このようにカム部材(700)が回転することによって、
図21Dに示すように、ナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とを遠位方向に駆動することで、ステープル留めヘッド組立体(300)が作動する。ナイフ部材(340)が遠位方向に移動するにつれて、ナイフ部材(340)の切断縁部(342)がアンビル(400)の内縁部(416)と協働し、それによって、アンビル(400)の環状凹部(418)内でかつナイフ部材(340)の内部に位置づけられた余分な組織を切断する。
【0061】
図4に示すように、本例のアンビル(400)は、環状凹部(418)内の脱離ワッシャ(417)を含む。ナイフ部材(340)が、
図21Cに図示されている位置から
図21Dに図示されている位置まで、完全に遠位方向の範囲一杯に動いた場合には、このワッシャ(417)は、ナイフ部材(340)によって破壊される。第2表面領域の次第に増加する曲率半径は、ナイフ部材(340)がその遠位方向の動きの終端に到達するにつれて、増加する機械的利益を提供するが、それによって、ワッシャ(417)を破壊するために必要な、より大きな力が提供され得る。もちろん、一部の形態では、脱離ワッシャ(417)は完全に省略され得る。ワッシャ(417)が含まれる形態では、ワッシャ(417)がナイフ部材(340)が組織の切断をアシストするためのカッティングボードとしても役立ち得るということが理解されるはずである。そのようなカッティング技術が、既に説明した、内縁部(416)とナイフ部材(340)との間での切断アクションに加えて、又はそれに代えて採用され得る。
【0062】
ステープル駆動部材(350)が、
図21Cに図示されている位置から
図21Dに図示されている位置に遠位方向に移動するにつれて、ステープル駆動部材(350)がステープル(90)を、筒状解剖学的構造(20、40)の組織を通って、アンビル(400)のステープル成形ポケット(414)の中に駆動する。ステープル成形ポケット(414)は、当該技術分野では既知のように、駆動されたステープル(90)を、B字形状に変形する。成形されたステープル(90)はこのようにして、組織の端部どうしをしっかり閉じる。
【0063】
図21Dに示すように、操作者がテープル留めヘッド組立体(300)を作動させた後、操作者はノブ(130)を回転させて、アンビル(400)を遠位方向に、ステープル留めヘッド組立体(300)から離れる方向に駆動し、間隙距離(d)を増加させて、表面(412、322)どうしの間の組織のリリースを容易にする。操作者は次に、アンビル(400)がまだトロカール(330)に取り付けられている状態で、器具(10)を患者から取り外す。筒状解剖学的構造(20、40)が患者の大腸の区域を含む例を再び参照すると、器具(10)は、患者の直腸を介して取り外され得る。器具(10)が取り外されると、筒状解剖学的構造(20、40)は、
図21Eに示すように、吻合(70)部にあるステープル(90)の2列の環状アレイによって、しっかりと閉じられた状態に残される。吻合(70)部の内径は、ナイフ部材(340)によって残された切断された縁部(60)によって画定される。
【0064】
II.例示的な発射表示システム
一部の例では、ステープル留めヘッド組立体(300)の完全な作動を確認することが望ましい場合があり得る。特に、操作者が、いつステープル駆動部材(350)がステープル(90)を駆動して、ナイフ部材(340)の切断縁部(342)が成功裏に余分な組織を切断したかを知ることは有益であり得るが、それにより操作者がいつアンビル(400)を遠位方向に、ステープル留めヘッド組立体(300)から遠ざかるように駆動し、間隙距離(d)を増加させて、器具(10)を患者から取り外す前に、表面(412、322)どうしの間の組織をリリースするのを容易にするのが適切かを決定することができる。以下は、ステープル駆動部材(350)及びナイフ部材(340)の発射がいつ完了したのかを示すためのさまざまな方法の単に例示的な例である。本例及び/若しくは他の形態の他の形態例又は適切な組み合わせが、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0065】
A.マイクロプロセッサ発射表示システム
図22は、いつステープル留めヘッド組立体(300)が完全に作動されたかを示すために器具(10)にいつでも組み込まれ得る、例示的システム(6000)を示すブロック図である。本例のシステム(6000)は、電源(6001)、モータ(6003)、及びインジケータ(6004)と通信を行うマイクロプロセッサ(6002)を備える。電源(6001)は、操作者が、適切な発射機構(不図示)を作動させた際に、電力をモータ(6003)に提供するように構成されている。あくまでも例としてであるが、モータ(6003)は、上述のモータ(160)を含み得るが、電源(6001)は、上述のバッテリパック(120)を含み得る。
【0066】
インジケータ(6004)は、操作者に情報を適切に伝えるため、器具の上、内部、近傍のいずれに配置されてもよい。例えば、インジケータ(6004)は、外科用器具の内部又は外部に配置された、聴覚によるフィードバック特徴部(作動されると、さまざまな音を発生させることができるもの)を含み得る。また、インジケータ(6004)は、操作者に情報を伝えるために外科用ステープラーの外部に光を発することが可能な、器具の本体の半透明の部位に配置されたLEDランプを含み得る。インジケータ(6004)はまた、操作者に適切な情報を伝えるように、器具の本体の外側にも配置され得る。インジケータ(6004)は、器具の本体に取り付けられた、又は器具とは別体に設けられた、液晶ディスプレイのスクリーンをも含み得る。一部の例においては、インジケータ(6004)は、窓部(114)を通して見ることが可能であり、あるいは窓部(114)の場所にその他のあり方で配置される。インジケータ(6004)が取り得るさまざまな好適な形態、及びインジケータ(6004)が配置され得るさまざまな場所については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0067】
マイクロプロセッサ(6002)は、電源(6001)とモータ(6003)との両方に電気的に連結される。したがって、マイクロプロセッサ(6002)は、電源(6001)からモータ(6003)に供給される電流を測定することが可能である。もちろん、電流を測定するための任意の他の手段を、マイクロプロセッサ(6002)の代わりに用いることも可能である。
図23に最もよく図示されるように、適切な発射機構が作動された場合、電源(6001)からモータ(6003)に供給される電流は増加する。
図20Dに例示されるようにモータがその移動のコースを完了すると、電源(6001)は、ステープル駆動部材(350)又はナイフ部材(340)をそれ以上は駆動しない。そのことは、概ね、
図23に示されている切断点の周りで示される。電源(6001)は、それ以上ステープル駆動部材(350)又はナイフ部材(340)を駆動しないため、マイクロプロセッサ(6002)によって測定される電流レベルは、電源(6001)がモータ(6003)に給電する場合と比較して降下する。
【0068】
マイクロプロセッサ(6002)が、ステープル留めヘッド組立体(300)の作動の完了に関連づけられた電流量の降下を検出すると、マイクロプロセッサ(6002)は次にインジケータ(6004)を作動させる。かくしてインジケータ(6004)は、電源(6001)からモータ(6003)に提供される電力による電流のレベルが降下したという、すなわちステープル留めヘッド組立体(300)の作動完了を意味する信号を、操作者に対して送る。なお、マイクロプロセッサ(6002)が電源(6001)からモータ(6003)に供給される電流を測定するが、発射プロセスの完了を判定するために、マイクロプロセッサ(6002)が厳密に電流を測定したり、又は電源(6001)及びモータ(6003)の両方に接続されたりする必要はないということに留意すべきである。例えば、マイクロプロセッサ(6002)は、電源(6001)とインジケータ(6004)とだけ通信することも可能であり、モータ(6003)の作動によって引き起こされる、電源(6001)の電位の降下を測定することが可能であり得る。モータ(6003)の作動及び作動終了を測定するために用いられ得る他の好適な構成及び技法については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0069】
B.物理的発射表示システム
図24〜25は、ステープル留めヘッド組立体(300)の完全な作動を確認するために用いられ得る、さまざまな特徴部を図示している。これらの特徴部は、器具(10)にいつでも組み込まれ得る。電源(6001)とモータ(6003)との間の電気的特性を測定する代わりに、
図24〜25に図示されている特徴部は、ステープル留めヘッド組立体(300)を作動する構成部品の物理的な位置づけを測定する。ステープル留めヘッド組立体(300)を作動する構成部品の物理的な場所が、ステープル留めヘッド組立体(300)が発射された状態であるか、又は未発射の状態であるかを示し得るということは、理解されるはずである。
【0070】
図24は、ケーシング(6107)、表示ランプ(6101)、透明インジケータ窓部(6105)、及び駆動ブラケット(6103)上に位置するインジケータマーク(6102)を示している。ケーシング(6107)が、上記のケーシング(110)と実質的に類似のものであるということに注意すべきである。また、駆動ブラケット(6103)は、上記の駆動ブラケット(250)と実質的に類似のものである。透明インジケータ窓部(6105)とインジケータマーク(6102)とは、一緒に使用されて、駆動ブラケット(6103)の物理的な位置を視覚的に表示する。透明インジケータ窓部(6105)とケーシング(6107)とは、駆動ブラケット(6103)の位置を決定するために、インジケータマーク(6102)の位置を、それと比較するための参照点を提供する固定マークを含む。透明インジケータ窓部(6105)とケーシング(6107)上の所定のマークに対するインジケータマーク(6102)の位置に基づいて、操作者は決定し得る。ステープル留めヘッド組立体(300)が作動を完了しているかどうかということが理解されるはずである。
【0071】
例えば、ステープル留めヘッド組立体(300)が未発射の状態である場合には、駆動ブラケット(6103)は近位側の位置にあり、インジケータマーク(6102)もまた近位側の位置にある。インジケータマーク(6102)が近位側の位置にある場合には、インジケータマーク(6102)は、「X」又は何らかのその他のしるしに隣接する透明インジケータ窓部(6105)を通して見ることができ、それによって、操作者に対して、ステープル留めヘッド組立体(300)が未発射の状態であることを示す。ステープル留めヘッド組立体(300)が発射状態にあるか又は既に発射済みの状態である場合には、駆動ブラケット(6103)が遠位側の位置に前進しており、インジケータマーク(6102)もまた、遠位側の位置に前進している。インジケータマーク(6102)が遠位側の位置にある場合には、インジケータマーク(6102)は、チェックマーク又は何らかのその他のしるしに隣接する透明インジケータ窓部(6105)を通して見ることができ、それによって、操作者に対して、ステープル留めヘッド組立体(300)が発射済みの状態であることを示す。
【0072】
表示ランプ(6101)は、インジケータマーク(6102)及び透明インジケータ窓部(6105)から分離されてかつ独立に動作する。したがって、器具が表示ランプ(6101)を含むが、インジケータマーク(6102)及び透明インジケータ窓部(6105)を有しない場合があり得るということが理解されるはずである。同様に、器具がインジケータマーク(6102)及び透明インジケータ窓部(6105)を含むが、表示ランプ(6101)を有しない場合もあり得る。
図25に示すように、本例では、表示ランプ(6101)は、配線(6107)を介してスイッチ(6106)と通信している。表示ランプ(6101)及びスイッチ(6106)はともに、ケーシング(6107)に取り付けられている。スイッチ(6106)は、凸部(6104)との接触に基づいて、枢動するように動作可能である。凸部(6104)がスイッチ(6106)を作動させると、表示ランプ(6101)が点灯するように、スイッチ(6106)の枢動が、表示ランプ(6101)作動させる。表示ランプ(6101)は、スイッチ(6106)が枢動する角方向に基づいて、又は任意の他の理由に基づいて、異なる色で点灯するように構成され得るが、そのことは、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0073】
凸部(6104)は、駆動ブラケット(6103)に固定されている。凸部(6104)は、ステープル留めヘッド組立体(300)の発射状況に基づいて凸部(6104)がスイッチ(6106)を作動させるような場所で、駆動ブラケット(6103)から延在している。例えば、ステープル留めヘッド組立体(300)が未発射の状態である場合には、駆動ブラケット(6103)は近位側の位置にある。それゆえに、凸部(6104)もまた、凸部(6104)がスイッチ(6106)から離間されているような、近位側の位置にある。凸部(6104)が、いかなる角方向でもスイッチ(6106)を作動させていないので、表示ランプ(6101)は消えたままであり(すなわち、点灯していない状態である)、それによって、操作者に対して、ステープル留めヘッド組立体(300)が未発射の状態であるということを示す。ステープル留めヘッド組立体(300)が発射状態にあるか又は既に発射済みの状態である場合には、駆動ブラケット(6103)が遠位側の位置に動いており、凸部(6104)もまた、遠位側の位置に動いている。凸部(6104)が近位側の位置から遠位側の位置に移動するにつれて、凸部(6104)はスイッチ(6106)を第1の角方向に回転させる。凸部(6104)がスイッチを第1の角方向に回転させたので、表示ランプ(6101)が第1の光色で点灯し、それによって、ステープル留めヘッド組立体(300)が発射済みであることを操作者に示す。
【0074】
また、凸部(6104)は、ステープル留めヘッド組立体(300)が組織を切断してステープル留めした後で、駆動ブラケット(6103)が近位側の位置に戻った場合に、スイッチ(6106)を再び作動させるように構成され得る。凸部(6104)が、このように駆動ブラケット(6103)上に位置づけられる場合には、凸部(6104)は、遠位側の位置から近位側の位置に戻るように移動し、それによって、スイッチ(6106)を、駆動ブラケット(6103)の遠位方向への移動中にスイッチ(6106)が回転する方向とは逆方向である第2の角方向に回転させる。凸部(6104)がスイッチを第2の角方向に回転させたので、表示ランプ(6101)が第2の光色で点灯し得、それによって、ステープル留めヘッド組立体(300)の丸々1回のストロークが完了済みであることを操作者に示す。言い換えると、凸部(6104)はスイッチ(6106)を第1の角方向に回転させて、いつ、組織の切断とステープル留めが起こるのかを示し得るが、次に凸部(6104)は、スイッチ(6106)を第2の角方向に回転させて、いつステープル留めヘッド組立体(300)がその移動の完全な行程を完了したのかを示し得る。
【0075】
例示的な目的で、スイッチ(6106)は、凸部(6104)がスイッチ(6106)を、第1の角方向又は第2の角方向のいずれかに回転させた場合にのみ点灯するよう構成され得るものとする。スイッチ(6106)は、第1の角方向に回転した場合には点滅し、第2の、すなわち反対の角方向に回転した場合には点灯したままであるとして、表示ランプ(6101)を1つの色で点灯させることが可能であり得る。表示ランプ(6101)は、例えば視覚的なものよりも聴覚的なもののような、他の形態の指示法を用いることも可能であり得る。他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0076】
III.例示的なアンビル位置インジケータ
上に述べたように、
図21Dに示すように、操作者がステープル留めヘッド組立体(300)を作動させた後、操作者はノブ(130)を回転させて、アンビル(400)を遠位方向に、ステープル留めヘッド組立体(300)から離れる方向に駆動し、間隙距離(d)を増加させて、表面(412、322)どうしの間の組織のリリースを容易にする。操作者は次に、アンビル(400)がまだトロカール(330)に取り付けられている状態で、器具(10)を患者から取り外す。一部の例では、操作者にとって、表面(412、322)どうしの間の適切な間隙距離(d)を増加させて組織のリリースを容易にするために、いつノブ(130)が、アンビル(400)をステープル留めヘッド組立体(300)から十分に遠くに駆動するのに十分な量回転されたかを知ることは、望ましい場合があり得る。以下は、アンビル(400)及びステープル留めヘッド組立体(300)が、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との表面(412、322)どうしの間の組織をリリースするのを容易にするために十分な間隙距離(d)を有しているのかを示すための、あくまでも例示的な例である。本例及び/若しくは他の形態の他の形態例又は適切な組み合わせが、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0077】
A.電気的コンタクトスイッチインジケータ
図26〜28は、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との表面(412、322)どうしの間のステープル留めされた組織を適切にリリースするのを容易にするために十分な間隙距離(d)があることを示すように動作可能であるスイッチシステム(6200)を図示している。スイッチシステム(6200)は、器具(10)にいつでも組み込まれ得る。スイッチシステム(6200)は、トロカール作動ロッド(6201)と、トロカール作動ロッド(6201)に連結されるブラケット(6202)と、ケーシング(6206)に固定されるスイッチ(6205)と、カウンタ(6207)と、インジケータ(6208)とを備える。トロカール作動ロッド(6201)は、上記のトロカール作動ロッド(220)と実質的に類似のものである。したがって、トロカール作動ロッド(6201)が外部シース(210)に対して移動するのに反応して、トロカール(330)とアンビル(400)とが長手方向に、外部シース(210)に対して移動するということが理解されるはずである。ブラケット(6202)は、上記のブラケット(500)と実質的に類似のものである。しかしながら、本例のブラケット(6202)は、トロカール作動ロッド(6201)により画定される長手方向に平行な経路に沿って、長手方向に延在するアレイ状に配置されるマーカ(6203)の直線的アレイを更に備える。ブラケット(6202)は、トロカール作動ロッド(6201)の長手方向の動きに反応して長手方向に動くように構成され、位置づけられている。
【0078】
マーカ(6203)の直線的アレイの隣接する各マーカ(6203)は、互いに等距離に離間して位置づけられている。マーカ(6203)は、スイッチ(6205)を圧縮しリリースするためにブラケット(6202)に沿って位置づけられている一方で、トロカール作動ロッド(6201)は、遠位方向にステープル留めヘッド組立体(300)から離間させるように、トロカール(330)を作動させて、組織をリリースするのに十分な間隙距離(d)を創出する。言い換えると、マーカ(6203)は、ブラケット(6202)とトロカール作動ロッド(6201)とともに遠位方向に駆動され、マーカ(6203)が順次固定されたスイッチ(6205)と係合するようになっている。一部の形態では、マーカ(6203)は、スイッチ(6205)を物理的に押圧し、それによって、スイッチ(6205)を、直接の接触を介して作動させる。一部の他の形態では、スイッチ(6205)は、マーカ(6203)がスイッチ(6205)上を通過したこと(ただしマーカ(6203)とスイッチ(6205)とは直接の接触をする必要は必ずしもない)に反応する、近接センサ、光学センサ、又は何らかの他の種類のセンサを備える。
【0079】
スイッチ(6205)は、配線(6204)を介して、カウンタ(6207)(マイクロプロセッサ(6002)に類似のものであり得る)に連結されている。カウンタ(6207)は、マーカ(6203)がスイッチ(6205)を圧縮しリリースする回数をカウントする。マーカ(6203)はそれぞれ等間隔に離間されているので、スイッチ(6205)の各圧縮及びリリースは、ブラケット(6202)、トロカール作動ロッド(6201)、及びアンビル(400)による移動の、所定の距離(y)と相互に関連する。したがって、ひとたびスイッチ(6205)が、所定の回数圧縮されリリースされると、カウンタ(6207)は、いつ十分な間隙距離(d)が創出されて、表面(412、322)間の組織のリリースを容易にするのかを決定することができるようになる。
【0080】
図28に示すように、マーカ(6203)が、スイッチ(6205)が完全に圧縮されリリースされるのを可能にするのに互いに十分遠くに離間されており、それにより、所定の距離(y)の各セグメントがカウンタ(6207)によって確実に勘定されるようにすることは重要である。また、スイッチ(6205)は現在、直線的に作動されるように示されているが、スイッチはまた、回転の角度、又は本明細書の教示を鑑みると当業者には明らかな任意の他の手段によっても、マークをカウントし得る。また、マーカ(6203)の直線的なアレイは、十分な間隙距離(d)がアンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との表面(412、322)から組織を安全に取り外すために規定される正確な地点で、スイッチ(6405)に係合するように配置されている1つのマーカ(6203)の代わりに用いられ得る。
【0081】
ひとたびカウンタ(6207)が、適切な間隙距離(d)を示す十分な回数にわたりスイッチ(6205)が作動されてきたと判定すると、カウンタ(6207)はインジケータ(6208)を作動させる。インジケータ(6208)の作動は、表面(412、322)どうしの間の組織を開放するために十分な間隙距離(d)が創出されたことを、操作者に示し得る。そうなると操作者は、器具(10)を患者から取り外し得る。あくまでも例として、インジケータ(6208)は、可聴の音トーン、自動音声応答、文字による指示、グラフィックによる指示、発光、ピストルグリップ(112)の振動、及び/又は聴覚的、視覚的、及び/又は触感によるフィードバックの任意の他の好適な形態を提供し得る。インジケータ(6208)が取り得るさまざまな好適な形態が、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0082】
B.ノブ戻り止め特徴部インジケータ
図29〜31Cは、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との表面(412、322)どうしの間のステープル留めされた組織を適切にリリースするのを容易にするために十分な間隙距離(d)を示すように動作可能である、例示的なノブ戻り止めインジケータ(6300)を図示している。ノブ戻り止めインジケータ(6300)は、いつでも器具(10)に組み込まれ得る。
図29に最もよく示されるように、ノブ戻り止めインジケータ(6300)は、ノブ(6304)と、ハンドル組立体(6301)と、シャフト遠位セグメント(6306)に一体的に連結されたシャフト近位セグメント(6305)とを備える。ハンドル組立体(6301)は、上記のハンドル組立体(100)に、実質的に類似のものであるが、例外は、後で詳しく説明するように、ハンドル組立体(6301)が、ノブ(6304)と相互作用するように構成されている弾性タブ(6302)を備えるという点である。タブ(6302)は、ハンドル組立体(6301)から近位方向に延在し、周辺の経路に沿って配向されている。
【0083】
ノブ(6304)は、上記のノブ(130)と実質的に同じものであるが、例外は、後で詳しく説明するように、ノブ(6304)が、ハンドル組立体(6301)の弾性タブ(6306)と相互作用するように構成されている戻り止め(6303)の環状アレイを更に備えるという点である。戻り止め(6303)は、ノブ(6304)から遠位方向に延在し、シャフトセグメント(6305、6306)によって共有される長手方向軸線と関連し、タブ(6302)の場所に対応する半径で環状アレイ状に配列される。シャフト近位セグメント(6305)及びシャフト遠位セグメント(6306)は、ノブ(6304)をナット(160)と一体的に接続しているので、上に説明したように、ノブ(6304)とナット(160)とが、一体的に回転する。
【0084】
上記のように、
図21Dに示すように、ステープル留めヘッド組立体(300)を作動させた後、間隙距離(d)を増加させるために操作者がノブ(6304)を回転させる。間隙距離(d)を増加させることは、表面(412、322)どうしの間の組織をリリースするのを容易にするのに役立つ。戻り止め(6303)は、等しい角セグメント間隔で、環状に互いに離間され、弾性タブ(6302)と相互作用して、個別の戻り止め(6303)が弾性タブ(6302)上を通過すると、「クリック」の形態での可聴/可触反応を提供するように構成されている。戻り止め(6303)は、等しい各セグメント間隔で互いに離間しているので、戻り止め(6303)と弾性タブ(6302)とが相互作用して、可聴/可触クリックを提供するたびごとに、トロカール作動ロッド(220)が、回転の方向次第で近位方向又は遠位方向のいずれかに、所定の距離を移動したことについて操作者は報告され得る。操作者は、トロカール作動ロッド(220)がどのくらい遠くまで移動したかを、戻り止め(6303)と弾性タブ(6302)とからの可聴/可触フィードバックに基づいて判断可能であるから、操作者は、ステープル留めされた組織の適切なリリースを容易にするのに十分な間隙距離(d)がいつ創出されるのかを、十分な間隙距離(d)に関連づけられた可聴/可触クリックの所定の数を数えることにより判断することが可能である。ひとたび所定の数の可聴/可触クリックがカウントされると、操作者は、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との表面(412、322)どうしの間の組織をリリースするために十分な間隙距離(d)が創出されたということを確認し得る。かくして操作者は、アンビル(400)が、器具(10)を患者から取り外すために適切な位置に到達したことを通知され得る。
【0085】
ステープル留めされた組織の適切なリリースを容易にするのに十分な間隙距離(d)を創出する場合には、トロカール作動ロッド(220)の遠位作動は、トロカール作動ロッド(220)の近位作動よりも当面妥当であるため、ノブ(6304)の回転方向に基づいて異なるレベルの可聴/可触反応を創出することが望ましい場合があり得る。しかしながら、異なる可聴/可触反応を、ノブ(6304)の回転方向に基づいて創出することは、完全に任意選択である。
【0086】
図30A〜Cに示すように、戻り止め(6303)の環状アレイは、ハンドル(6301)の弾性タブ(6302)と相互作用して、ノブ(6304)の回転がトロカール作動ロッド(220)を遠位方向に移動させる場合に、比較的大きな又ははっきりとしたクリックを作るように構成されている。それぞれの戻り止め(6303)は、ノブ(6304)の遠位端面から斜めに延在する緩斜面(6308)と、ノブ(6304)の遠位端面から垂直又は斜めに延在する急斜面(6307)とによって画定される。
図30Bに見られるように、ノブ(6304)が第1の方向に回転されると、緩斜面(6308)が弾性タブ(6302)に接触し、戻り止め(6303)の頂点に基づいて、弾性タブを所定の距離だけずらす。
図30Cに最もよく示されるように、戻り止め(6303)の緩斜面(6308)がもう弾性タブ(6302)に接触していない場合には、弾性タブ(6302)は、変形していない状態に急速に戻る。しかしながら、緩斜面(6308)と急斜面(6307)との間で、傾斜が急に変化するので、弾性タブ(6302)は、変形していない状態に徐々にリリースされるというわけではなく、そのため弾性タブ(6302)は、大きなクリック音を発生させる。上記のように、弾性タブ(6302)がこの音を発生するたびごとに、操作者は、クリックを聴き、かつ/又は感じて、それによって、トロカール作動ロッド(220)が所定の距離移動したということを理解し得る。
【0087】
図31A〜Cに示すように、戻り止め(6303)の環状アレイは、ハンドル(6301)の弾性タブ(6302)と相互作用して、ノブ(6304)の回転が、トロカール作動ロッド(220)を近位方向に移動させる場合に、比較的ソフトな又は抑え目なクリックを発生させるように構成されている。
図31A〜Bは、ノブ(6304)が第2の方向(
図30A〜30Cに関連づけられた第1の方向とは逆方向)に回転されて、急斜面(6307)が弾性タブを、所定の戻り止め(6303)の頂点にずらすのを図示している。しかしながら、
図31Cに最もよく示されるように、急斜面(6307)がもはや弾性タブ(6302)に接触していない場合には、弾性タブ(6302)は徐々に、変形していない状態に、緩斜面(6308)との接触を介して戻る。弾性タブ(6302)が徐々にリリースされることにより、ノブ(6303)が第1の方向に回転された場合に発生する「大きな」クリックに比べて「ソフト」なクリックが発生する。したがって、操作者は、どの方向にトロカール作動ロッド(220)が移動しているかを、クリック音に基づいて判断することが可能となり、かつまた、トロカール作動ロッド(220)が移動した距離を、聴こえたかつ/又は感じたクリックの数に基づいて判断することも可能になる。
【0088】
C.ホール効果センサインジケータ
図32A〜32Bは、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との表面(412、322)どうしの間の、ステープル留めされた組織の適切なリリースを容易にするのに十分な間隙距離(d)を示すように動作可能である、ホール効果センサインジケータシステム(6400)を図示している。ホール効果センサインジケータシステム(6400)は、いつでも器具(10)に組み込まれ得る。ホール効果センサインジケータシステム(6400)は、ホール効果センサ(6401)と、トロカール作動ロッド(6404)と、磁石(6405)と、ノブ(6406)に取り付けられたインジケータ(6407)とを備える。ホール効果センサ(6401)は、ケーシング(6402)に対して固定されている。ホール効果センサ(6401)は、後で詳しく説明するように、配線(6403)を介してインジケータ(6407)に接続され、ホール効果センサ(6401)が、インジケータ(6407)を作動させるためのスイッチとして効果的に動作するようになっている。ノブ(6406)、ケーシング(6402)、及びトロカール作動ロッド(6404)は、上記のノブ(130)、ケーシング(110)、及び作動ロッド(220)とそれぞれ実質的に同じものである。したがって、トロカール作動ロッド(6404)が外部シース(210)に対して移動するのに反応して、トロカール(330)が長手方向に、外部シース(210)に対して移動するということが理解されるはずである。また、ノブ(6406)が回転することにより、トロカール作動ロッド(6404)が移動する。しかしながら、トロカール作動ロッド(6404)が、ステープル留めされた組織の適切なリリースを容易にするのに十分な間隙距離(d)を画定するように位置づけられると、ホール効果センサ(6401)が、磁石に直接的に隣接するように、磁石(6405)がトロカール作動ロッド(6404)に戦略的に固定されている。
【0089】
ホール効果センサ(9401)は、インジケータ(6407)をオンにするスイッチとして動作する。したがって、ホール効果センサ(9401)が磁石に隣接していない場合には、スイッチは効果的にオフになっており、インジケータ(6407)は作動していない状態にされている。しかしながら、ホール効果センサ(6401)が磁石に直接隣接している場合には、スイッチは効果的にオンになっており、インジケータ(6407)は、作動している状態にされている。本例では、インジケータ(6407)は、磁石(6405)がホール効果センサ(9401)を作動させた場合に発光するLEDを備える。もちろん、インジケータ(6407)は、任意の他の好適な形態を取り得るだけでなく、フィードバックを操作者に、聴覚的、視覚的、及び/又は触覚的なフィードバックの形態で提供し得る。
【0090】
図32Aに示すように、組織が切断され、ステープル留めが施された場合、操作者はノブを回し始めて、トロカール作動ロッド(6404)を遠位方向に押し、ステープル留めされた組織の適切なリリースを容易にし得る。トロカール作動ロッド(6404)が遠位方向に移動するにつれて、磁石(6405)がホール効果センサ(6401)に向かって近づくように移動する。上記のように、ひとたび磁石(6405)がホール効果センサ(6401)に隣接すると、トロカール作動ロッド(6404)は、ステープル留めされた組織の適切なリリースを容易にするのに十分な間隙距離(d)を画定するように、位置づけられる。したがって、ホール効果センサ(6401)がインジケータ(6407)を、作動状態に切り替えて、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との表面(412、322)どうしの間の組織をリリースするのに十分な間隙距離(d)が創出済みであるということを操作者が確認するのを可能にする。かくして操作者は、アンビル(400)が、器具(10)を患者から取り外すために適切な位置に到達したことを通知され得る。
【0091】
D.展開可能な可聴機構インジケータ
図33〜34Cは、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との表面(412、322)どうしの間の、ステープル留めされた組織の適切なリリースを容易にするのに十分な間隙距離(d)を示すための可聴フィードバックを提供する、例示的な展開可能なインジケータシステム(6500)を図示している。展開可能なインジケータシステム(6500)は、いつでも器具(10)に組み込まれ得る。展開可能なインジケータシステム(6500)は、ギヤボックス(6502)によって駆動される回転式カム特徴部(6512)と、ケーシング(6508)にスライド可能に連結されるクリック機構(6509)と、一端がクリック機構(6509)に係合し、一端がケーシング(6508)に固定された弾性部材(6507)と、ブラケット(6511)とを備える。ギヤボックス(6502)は、ギヤボックス(6502)がモータ(不図示)によって駆動され、かつロータリーカム部材(6512)を駆動して、ステープル留めヘッド組立体(300)を駆動させるという事実において、ギヤボックス(162)と実質的に類似のものである。
【0092】
ロータリーカム部材(6512)は、上記のロータリーカム部材(700)と実質的に類似のものである。ロータリーカム部材(6512)は、ロータリーカム部材(700)の第1カム特徴部(710)と、第2カム特徴部(720)と、第3カム特徴部(730)とにそれぞれ実質的に類似の、第1カム特徴部(6503)と、第2カム特徴部(6513)と、第3カム特徴部(不図示)とを備える。しかしながら、上述のカム部材(700)とは異なり、本例のカム部材(6512)は、追加的な第4カム特徴部(6505)を備える。
図34A〜34Cに最もよく示されるように、第4カム特徴部(6505)は、第1カム特徴部(6503)の上の径方向の経路内で傾斜し、ロータリーカム部材(6512)がギヤボックス(6502)によって駆動される場合に、第4カム特徴部(6505)の傾斜した面が、クリック機構(6509)の近位端に係合する。
【0093】
ブラケット(6511)は、上述のブラケット(500)と実質的に類似のものである。ブラケット(6511)は、トロカール作動ロッド(6514)の動きに反応して、長手方向に動くように構成され、位置づけられている。トロカール作動ロッド(6514)は、上述のトロカール作動ロッド(220)実質的に類似のものである。したがって、トロカール作動ロッド(6514)が外部シース(210)に対して移動するのに反応して、トロカール(330)とアンビル(400)とが長手方向に、外部シース(210)に対して移動するということが理解されるはずである。上述のブラケット(500)とは異なり、本例のブラケット(6511)はまた、トロカール作動ロッド(6514)によって画定される長手方向に平行な、長手方向に延在するアレイ状に位置づけられている歯(6510)のセットをも備える。後で詳しく説明するように、クリック機構(6509)が展開された位置にある場合に、歯(6510)は、クリック機構(6509)に係合するように構成されている。
【0094】
上に記したように、クリック機構(6509)が直線的な経路に沿ってスライド可能であるように、クリック機構(6509)はケーシング(6508)にスライド可能に連結されている。弾性部材(6507)は、その一端をケーシング(6508)に固定され、別端をクリック機構(6509)に固定されている。
図34Aに最もよく示されるように、弾性部材(6507)は、クリック機構(6509)をカム特徴部(6505)に向けて、かつブラケット(6511)から遠ざけるように付勢し、クリック機構(6509)が、展開前の位置にある、歯(6510)の直線的アレイからの係合を解除されるように、弾性的に付勢されている。
【0095】
図34A〜34Cは、さまざまな運転段階における上述の構成部品を図示している。
図34Aは、展開前の位置にある、展開可能なインジケータシステム(6500)を示す。展開前の位置では、クリック機構(6509)は近位側の位置に、ブラケット(6511)から遠ざかるように付勢されている。ロータリーカム部材(6512)は、
図18A、19A、及び20Aに図示されているカム部材(700)の位置と、同様の位置に位置づけられている。したがって、この段階では、ナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とが、近位位置にあり、ステープル留めヘッド組立体(300)が、非作動位置に存在している。
【0096】
図34Bは、展開後の位置にある、展開可能なインジケータシステム(6500)を示す。展開後の位置では、ロータリーカム部材(6512)が、
図20Dに図示されているカム部材(700)の位置と同様の位置に位置づけられている。したがって、この段階では、ナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とが、遠位側及び近位側の両方で作動済みであり、切断とステープル留め動作を完了させている。しかしながら、上に記したように、第4カム特徴部(6505)が、第4カム特徴部(6505)の傾斜面が、クリック機構(6509)と係合するように回転済みなので、それにより、クリック機構(6509)を、弾性部材(6507)によって提供されている付勢力とは反対の遠位方向に、ブラケット(6511)に向けてずらしている。この時点では、クリック機構(6509)は、ブラケット(6511)が長手方向に移動された場合に、歯(6510)の直線的アレイと相互作用するのが可能なレベルに位置づけられているということに留意することは重要である。
【0097】
図34Cは、ブラケット(6511)がトロカール作動ロッド(6514)とノブ(130)とを介して作動されている一方で、展開後の位置にある、展開可能なインジケータシステム(6500)を図示している。図に見られるように、ブラケット(6511)の直線的作動によって、歯(6510)がクリック機構(6509)上に引っ張られ、可聴音を発生するように、クリック機構(6509)の遠位端は、歯(6510)の直線的アレイに接触している。言い換えると、クリック機構(6509)は、ブラケット(6511)が長手方向に移動するにつれて、歯(6510)に沿って掛け金をかける爪を提供している。歯(6510)は、歯(6510)と展開されたクリック機構(6509)との間のいかなる耳に聴こえるクリック音も、操作者に、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との表面(412、322)どうしの間の組織をリリースするのに十分な間隙距離(d)が創出され、器具を取り外すのに適切であるという信号を送るように、ブラケット(6511)に沿って位置づけられ得る。したがって、歯(6510)と展開されたクリック機構(6509)との間に発生した所定の数のクリックが、操作者に対して、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との表面(412、322)どうしの間の組織をリリースするのに十分な間隙距離(d)が創出されたことを示し、それにより、患者から器具(10)を取り出すのが適切であるということを示すように、歯(6510)は、ブラケット(6511)に沿って位置づけられ得る。
【0098】
E.抵抗増加インジケータ
図35〜36Cは、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との表面(412、322)どうしの間にステープル留めされた組織の適切なリリースを容易にするのに十分な間隙距離(d)を示すように動作可能である、例示的な抵抗インジケータシステム(6600)を図示している。抵抗システム(6600)は、いつでも器具(10)に組み込まれ得る。抵抗インジケータシステム(6600)は、トロカール作動ロッド(6606)と、部分的にケーシング(6601)に固定されている抵抗ばね(6612)とを備える。トロカール作動ロッド(6606)は、上述のトロカール作動ロッド(220)に実質的に類似のものである。したがって、トロカール作動ロッド(6606)が外部シース(210)に対して移動するのに反応して、トロカール(330)とアンビル(400)とが長手方向に、外部シース(210)に対して移動するということが理解されるはずである。トロカール作動ロッド(220)とは異なり、本例のトロカール作動ロッド(6606)は、角度をつけたガイド表面(6607)と、平坦表面(6609)と、抵抗表面(6610)とを備える、切り欠き部(6608)を画定する。抵抗表面(6610)とガイド表面(6607)の双方は、トロカール作動ロッド(6606)の外側(6612)から内側に、平坦表面(6609)へ向かって傾斜している。
【0099】
抵抗ばね(6612)は、ケーシング(6601)のチャネル(6602)内に配置された固定部材(6605)と、遠位脚部(6603)と、近位脚部(6611)と、遠位脚部(6603)及び近位脚部(6611)の間にある変形表面(6604)とを備える。抵抗ばね(6612)は、後で詳しく説明するように、トロカール作動ロッド(6606)の遠位側作動に反応して変形するように構成されている。
【0100】
図36A〜36Cは、さまざまな運転段階における上述の構成部品を図示している。
図36Aは、ナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とが、遠位側及び近位側の双方において作動済みであり、切断とステープル留めの動作を完了しているが、ステープル留めされた表面(412、322)どうしの間の組織をリリースするのを容易にするために間隙距離(d)が広げられる前の状態の、抵抗インジケータシステム(6600)を示している。この状態では、抵抗ばね(6605)の遠位脚部(6603)が、切り欠き部(6608)のガイド表面(6607)に接触している。抵抗ばね(6612)の頂点が、平坦表面(6009)に接触するまで、ガイド表面(6607)は、遠位脚部(6603)に接触している。しかしながら、この段階では、ガイド表面(6607)が遠位脚部(6603)に接触している必要はないということに留意するのは重要である。
【0101】
表面(412、322)どうしの間の組織を取り除くための間隙距離(d)を広げるために、トロカール作動ロッド(6606)を遠位方向に前進させるにつれて、抵抗ばね(6612)の頂点が、平坦表面(6009)に接触する一方で、遠位脚部(6603)はもはやガイド表面(6607)とは接触しなくなる。抵抗ばね(6612)の固定部材(6605)は、抵抗ばね(6612)がトロカール作動ロッド(6606)とともに遠位方向に移動するのを防ぐ。トロカール作動ロッド(6606)は、
図36Bに示すように、変形表面(6604)が抵抗表面(6610)に接触するまで、遠位方向に更に前進する。
【0102】
抵抗表面(6610)は、十分な間隙距離(d)が創出された場合には、ばね(6612)の変形表面(6604)に接触するように、トロカール作動ロッド(6606)上に位置づけられる。抵抗表面(6610)が変形表面に接触した結果として、操作者は、ノブ(130)を回してトロカール作動ロッド(6606)を更に遠位方向に移動させる間に感じる抵抗が増加しているのを感じる。この抵抗の増加は、トロカール作動ロッド(6606)の抵抗表面(6610)が、抵抗ばね(6612)を変形させるために、追加的な力をかけなければならないために、発生する。抵抗表面(6610)は、トロカール作動ロッド(6606)が更に遠位方向に移動するにつれて、抵抗ばね(6612)を下向きに押すように傾斜している。抵抗ばね(6612)は、抵抗表面(6610)の作動によって力が加えられてもねじれないよう、十分な柱強度を有する。この段階では、ばね(6612)と切り欠き部(6608)によって提供される追加的な抵抗が、触覚的なフィードバックを操作者に提供し、器具(10)を患者から取り外すのを容易にするのに十分に大きな間隙が、表面(412、322)どうしの間に提供されるような距離だけ、トロカール作動ロッド(6606)が前進したことを示す。
【0103】
操作者がトロカール作動ロッド(6606)を、
図36Bに図示されている位置から更に遠位方向に駆動した場合、抵抗表面(6610)と変形表面(6604)とが協働して、
図36Cに示すように、やがてはばね(6612)を潰れた状態に移行させる。ばね(6612)がこの潰れた状態に至った場合には、ノブ(130)を更に回転させる際の抵抗が、突然低下し得る。ノブ(130)の回転に対する抵抗の、この突然の低下は、更なる触覚的フィードバックを操作者に提供し得、器具(10)を患者から取り外すのを容易にするのに十分に大きな間隙が、表面(412、322)どうしの間に提供されるような距離だけ、トロカール作動ロッド(6606)が前進したことを示す。しかしながら、一部の例では、上に述べた構成部品が、
図36Bに示す状態にあって、
図36Cに示す状態には未だ至っていない時に、操作者が器具(10)を患者から取り出す場合があり得る。
【0104】
F.デュアルモード視覚的インジケータ
図37〜39は、ステープル留めヘッド組立体(300)とアンビル(400)との間にステープル留めされた組織の適切なリリースを容易にするのに十分な間隙距離(d)があることを示すための別の形態の視覚的フィードバックを提供するように構成されている、例示的なインジケータシステム(6700)を図示している。インジケータシステム(6700)は、いつでも器具(10)に組み込まれ得る。インジケータシステム(6700)は、インジケータ窓部(6707)、インジケータパネル(6708)、バックライト(6708)、枢動インジケータ部材(6711)、及び組織リリースインジケータ(6705)を備える。
【0105】
インジケータ窓部(6707)は、上述の窓部(114)と実質的に同じものである。インジケータ部材(6711)は、インジケータ窓部(6707)とインジケータパネル(6708)との間に位置づけられる。インジケータ部材(6711)は、上述のインジケータ部材(520)と実質的に同じものである。インジケータ部材(6711)は、上述のブラケット(500)と実質的に同じものであるブラケット(6702)の移動に反応して、枢動するように構成されている。ブラケット(6702)は、上述のトロカール作動ロッド(220)と実質的に同じものであるトロカール作動ロッド(6701)の移動に反応して、移動するように構成されている。
【0106】
既に述べたことから、操作者がステープル留めヘッド組立体(300)を作動させる前に、操作者は、窓部(6707)を通してインジケータ部材(6711)を見た上で、間隙距離(d)が適切な範囲にあるかどうかを判断し得るということが理解されるはずである。
図39に示すように、インジケータパネル(6708)は、操作者にとって、インジケータ部材(6711)の移動を見る際の参照点を提供する、固定マーク(6720)を提供し得る。バックライト(6708)は、インジケータ窓部(6707)を通してインジケータ部材(6711)を、インジケータパネル(6708)を背景に見るのを容易にする照明を提供し得る。
図38A〜38Bは、操作者が、ステープル留めヘッド組立体(300)を作動させる前に、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との互いに対向する表面(412、322)どうしの間の間隙距離(d)を調整するにつれて、トロカール作動ロッド(6701)とブラケット(6702)との近位方向への移動に反応して、インジケータ部材(6711)が動くのを示している。
【0107】
組織リリースインジケータ(6705)は、トロカール作動ロッド(6701)に固定されている。組織リリースインジケータ(6705)は、固定部(6713)と、ステム(6709)と、オプションの延長アーム(6704)と、ばねアーム(6706)と、遠位タブ(6714)とを備える。固定部(6713)は、トロカール作動ロッド(6701)に固定的に取り付けられている。ステム(6709)は、ステープル留めヘッド組立体ドライバー(6715)に形成されたスロット(6710)を通って、固定部(6713)から上方に突き出している。ステープル留めヘッド組立体ドライバー(6715)のスロット(6710)は、十分なクリアランスをステム(6709)に対して提供しており、そのクリアランスによって、組織リリースインジケータ(6705)とトロカール作動ロッド(6701)とがともに、ステープル留めヘッド組立体ドライバー(6715)に対して独立して動くのを可能になっている。
図37に示すように、延長アーム(6704)は、ばねアーム(6706)をステム(6709)に取り付けるために、近位側に延在するように提供され得る。あるいは、
図38A〜38Cに示すように、ばねアーム(6706)は、直接ステム(6709)に取り付けられ得る。双方の形態で、遠位タブ(6714)が、ばねアーム(6706)の自由遠位端に提供される。
【0108】
ばねアーム(6706)は弾性的に付勢されて、遠位タブ(6714)を上方に窓部(6707)に向けて付勢する。しかしながら、アンビル(400)が待避して、表面(412、322)をステープル留めヘッド組立体(300)を作動させるのに適切な間隙距離(d)の範囲にさせる前の、操作の初期段階において、
図38Aに示すように、遠位タブ(6714)は、インジケータパネル(6708)の下方に位置づけられ、インジケータパネル(6708)によって覆い隠されている。
図38Aに図示されるこの操作の段階は、上述した
図21A〜21Bに図示されている操作の段階に対応している。
【0109】
ひとたびアンビル(400)が、表面(412、322)がステープル留めヘッド組立体(300)を作動させるのに適切な間隙距離(d)の範囲になる位置まで待避すると、
図38Bに示すように、遠位タブ(6714)は、インジケータパネル(6708)の近位端を通過して、ばねアーム(6706)に遠位タブ(6714)を上方に駆動させる。この段階では、上述したように、操作者はステープル留めヘッド組立体(300)を作動させる。かくして
図38Bに図示されるこの操作の段階は、上述した
図21C〜21Dに図示されている操作の段階に対応している。
【0110】
ステープル留めヘッド組立体(300)が作動された後、操作者は、アンビル(400)を遠位方向に前進させて、間隙距離(d)を増やして、それにより表面(412、322)どうしの間の組織のリリースを容易にし、それにより、
図21Eに関連して既に説明したように、器具(10)を患者から取り外すのを容易にするのを望む場合があり得る。操作者がアンビル(400)を、トロカール作動ロッド(6701)を介して遠位方向に前進させるにつれて、遠位タブ(6714)もまた遠位方向に移動する。
図38Cに示すように、この操作の段階中に遠位タブ(6714)が遠位方向に移動するにつれて、遠位タブ(6714)は、窓部(6707)とインジケータパネル(6708)との間に位置づけられる。かくして操作者は、拡張された間隙距離(d)を示す視覚的フィードバックを受けるために、窓部(6707)を通して、インジケータパネル(6708)を背景とした遠位タブ(6714)の位置を、目視によって観察し得る。ここで再び
図39を参照すると、インジケータパネル(6708)の関連する領域は、操作者にとって、遠位タブ(6714)の動きを見る際の参照点として役立つ固定マーク(6722)を提供し得る。ここでも再び、バックライト(6708)は、インジケータ窓部(6707)を通して、遠位タブ(6714)をインジケータパネル(6708)を背景にして見るのを容易にする照明を提供し得る。
【0111】
これまで述べたことから、インジケータパネル(6708)は、2種類の異なる視覚的フィードバックを提供するように構成されている:1つは、ステープル留めヘッド組立体(300)が作動される前に、好適な間隙距離(d)が達成されたかどうかを示すものであり;もう1つは、表面(412、322)どうしの間の組織をリリースするのを容易にし、それにより器具(10)を患者から取り外すのを容易にするために十分、間隙距離(d)が増加されたかどうかを示すものである、ということが理解されるはずである。
図39に図示されているインジケータパネル(6708)の例は、単に例示的なものであるということが理解されるはずである。インジケータパネル(6708)が取り得るさまざまな好適な形態については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
【0112】
IV.典型的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができるさまざまな非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得るいずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではない点は理解されるべきである。一切の放棄を意図するものではない。以下の実施例は単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書のさまざまな教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると企図され得る。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してもよいことも企図される。したがって、本発明者によって、又は本発明者の利益となる継承者によって、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、これらの更なる特徴は、特許性に関連するいずれの理由によって追加されたものとしても仮定されるべきではない。
【実施例】
【0113】
(実施例1)
外科用器具であって、(a)本体と、(b)本体から遠位方向に延在するシャフト組立体と、(c)シャフト組立体の遠位端に配置され、遠位表面を備え、遠位表面を介してステープルの環状アレイを駆動するように動作可能なステープル留めヘッド組立体と、(d)ステープル留めヘッド組立体と連結するように構成されているアンビルと、(e)本体に対して長手方向軸線に沿って移動して、それによりアンビルとステープル留めヘッド組立体の遠位表面との間の間隙距離を調整するように動作可能な移動部材を備える、アンビル調整組立体と、(f)第1インジケータ組立体であって、(i)移動部材の本体に対する移動に反応して移動するように構成されている第1部材と、(ii)第1部材が本体に対して移動する間、本体に対して静止し続けているように構成されている第2部材とを備える、第1インジケータ組立体と、を備える外科用器具であって、第1インジケータ組立体は、第2部材に対する第1部材の位置づけに基づいて、間隙距離がアンビルと遠位表面との間から組織をリリースするようなサイズになっているかどうかを示すフィードバックを提供するように構成されている、外科用器具。
【0114】
(実施例2)
第1部材が、マーカのアレイを備える、実施例1に記載の外科用器具。
【0115】
(実施例3)
マーカが、第2部材を順次通過して移動するよう構成されている、実施例2に記載の外科用器具。
【0116】
(実施例4)
第2部材がスイッチを備え、マーカが順次スイッチを通過して移動するにつれて、マーカが順次スイッチを作動させるように構成されている、実施例3に記載の外科用器具。
【0117】
(実施例5)
第1インジケータ組立体が、第2部材を通過して移動するマーカの数をカウントするよう動作可能であり、かつ第1インジケータ組立体は、第2部材を通過して移動する際にカウントされたマーカの数に基づいて、間隙距離がアンビルと遠位表面との間から組織をリリースするようなサイズになっているかどうかを示すフィードバックを提供するように構成されている、実施例3〜4のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【0118】
(実施例6)
第2インジケータ組立体を更に備え、ステープル留めヘッド組立体が既に作動されてステープルの環状アレイを遠位表面を通じて駆動したかどうかを、第2インジケータ組立体が示すように構成されている、実施例1〜5のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【0119】
(実施例7)
ステープル駆動アクチュエータを更に備え、本体に対するステープル駆動アクチュエータの位置に基づいて、ステープル留めヘッド組立体が既に作動されてステープルの環状アレイを遠位表面を通じて駆動したかどうかを、第2インジケータ組立体が示すように構成されている、実施例6に記載の外科用器具。
【0120】
(実施例8)
第2インジケータ組立体が本体に形成された窓部を備え、窓部が、ステープル駆動アクチュエータの一部の動きを観察するための視覚的経路を提供するように構成されている、実施例7に記載の外科用器具。
【0121】
(実施例9)
第2インジケータ組立体が(i)ライトと、(ii)スイッチと、を備え、ステープル駆動アクチュエータの動きに反応して、スイッチがライトを作動するように構成されている、実施例7〜8のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【0122】
(実施例10)
移動部材がロッドを備える、実施例1〜9のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【0123】
(実施例11)
第1部材がブラケットを備え、本体に対するロッドの移動に反応して、ブラケットが、本体に対して移動するように構成されている、実施例10に記載の外科用器具。
【0124】
(実施例12)
第2インジケータ組立体を更に備え、前記第2インジケータ組立体が(i)第1部材と、(ii)第3部材と、を備え、第1部材は、第3部材を駆動して、それにより本体に対する第1部材の位置づけに基づいて、間隙距離がアンビルと遠位表面との間の組織をステープル留めするようなサイズになっているかどうかを示すように構成されている、実施例1〜11のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【0125】
(実施例13)
第3部材が、第1部材の移動に反応して枢動するように構成され、第3部材がインジケータ針を備える、実施例12に記載の外科用器具。
【0126】
(実施例14)
ディスプレイ装置を更に備え、ディスプレイ装置が、第1部材の第1の動きの範囲の間に、第2インジケータ組立体からの視覚的フィードバックを提供するように構成され、ディスプレイ装置が、第1部材の第1の動きの範囲の間は、第1インジケータ組立体からの視覚的フィードバックを提供するようには構成されておらず、ディスプレイ装置が、第1部材の第2の動きの範囲の間は、第1インジケータ組立体からの視覚的フィードバックを提供するように構成されている、実施例12〜13のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【0127】
(実施例15)
第1インジケータ組立体がライトを備え、第1インジケータ組立体は、第2部材に対する第1部材の位置づけに反応してライトを発光させて、間隙距離がアンビルと遠位表面との間から組織をリリースするようなサイズになっていることを示すように構成されている、実施例1〜14のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【0128】
(実施例16)
第1部材が磁石を備え、第2部材がホール効果センサを備える、実施例1〜15のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【0129】
(実施例17)
第1部材が1組の歯を備え、第2部材が、歯に沿って歯止めをかますように構成されている爪を備える、実施例1〜16のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【0130】
(実施例18)
移動部材を長手方向に駆動するよう動作可能な手動入力特徴部を更に備え、第1インジケータ組立体は、第2部材に対する第1部材の位置づけに反応して手動入力特徴部の動きに対する抵抗の増加をもたらして、間隙距離がアンビルと遠位表面との間から組織をリリースするようなサイズになっていることを示すように構成されている、実施例1〜17のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
【0131】
(実施例19)
(a)本体と、(b)本体から遠位方向に延在するシャフト組立体と、(c)シャフト組立体の遠位端に配置され、遠位表面を備え、遠位表面を介してステープルの環状アレイを駆動するように動作可能なステープル留めヘッド組立体と、(d)ステープル留めヘッド組立体と連結するように構成されているアンビルと、(e)ステープル留めヘッド組立体を作動させ、それによりステープルを遠位表面を通じてアンビルに向けて駆動するよう動作可能であり、モータを備える発射組立体と、(f)モータに電力を供給するよう動作可能な電源と、(g)電源及びモータと通信し、電源からモータに流れる電流をモニターするよう動作可能な制御モジュールと、(h)制御モジュールと通信するインジケータと、を備える外科用器具であって、制御モジュールが、モニターした電流に反応してインジケータを作動させて、発射組立体による発射ストロークの完了を示すように構成されている、外科用器具。
【0132】
(実施例20)
(a)本体と、(b)本体から遠位方向に延在するシャフト組立体と、(c)シャフト組立体の遠位端に配置され、遠位表面を備え、遠位表面を介してステープルの環状アレイを駆動するように動作可能なステープル留めヘッド組立体と、(d)ステープル留めヘッド組立体と連結するように構成されているアンビルと、(e)本体に対して長手方向軸線に沿って移動してアンビルとステープル留めヘッド組立体の遠位表面との間の間隙距離を調整するように動作可能な移動部材を備える、アンビル調整組立体と、(f)インジケータ組立体であって(i)分離されたマーカ要素のアレイと、(ii)マーカ要素が順次、移動部材の移動に反応して作動させるように構成されているセンサと、(iii)マーカ要素によるセンサの作動に基づいて、間隙距離がアンビルと遠位表面との間から組織をリリースするようなサイズになっているかどうかを示すフィードバックを提供するように構成されているインジケータとを備えるインジケータ組立体と、を備える、外科用器具。
【0133】
V.その他
本明細書で述べる教示、表現、実施形態、例などのうちいずれか1つ以上は、本明細書で述べるその他の教示、表現、実施形態、例などのうちいずれか1つ以上と組み合わせることができることもまた理解されたい。したがって、上記の教示、表現要素、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができるさまざまな適当な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。かかる改変例及び変形例は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0134】
本明細書の教示の少なくとも一部は、2010年9月14日に発行された「Surgical Staples Having Compressible or Crushable Members for Securing Tissue Therein and Stapling Instruments for Deploying the Same」と題する米国特許第7,794,475号、2014年6月5日に公開された「Trans−Oral Circular Anvil Introduction System with Dilation Feature」と題する米国特許出願公開第2014/0151429号、2014年5月29日に公開された「Surgical Staple with Integral Pledget for Tip Deflection」と題する米国特許出願公開第2014/0144968号、2014年6月12日に公開された「Surgical Stapler with Varying Staple Widths along Different Circumferences」と題する米国特許出願公開第2014/0158747号、2014年5月29日に公開された「Pivoting Anvil for Surgical Circular Stapler」と題する米国特許出願公開第2014/0144969号、2014年6月5日に公開された「Circular Anvil Introduction System with Alignment Feature」と題する米国特許出願公開第2014/0151430号、2014年6月19日に公開された「Circular Stapler with Selectable Motorized and Manual Control,Including a Control Ring」と題する米国特許出願公開第2014/0166717号、2014年6月19日に公開された「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Modular End Effector」と題する米国特許出願公開第2014/0166728号、及び/又は、2014年6月19に公開された「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Lockable Flexible Shaft」と題する米国特許出願公開第2014/0166718号の教示の1つ以上と容易に組み合わされ得る(なお、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。このような教示を組み合わせることができる種々の適切な方法が当業者に明らかになるであろう。
【0135】
本明細書の実施例は、円形ステープル留め器具の文脈で説明されているが、本明細書のさまざまな教示は、さまざまな他の種類の外科用器具に容易に適用され得ることを理解すべきである。単なる一例として、本明細書のさまざまな教示は、直線状のステープル留め装置(例えばエンドカッター)に容易に適用され得る。例えば、当業者には明らかであるように、本明細書の教示するものは、2012年9月20日に公開された「Motor−Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」と題する米国特許出願公開第2012/0239012号、及び/又は2010年10月21日に公開された「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」と題する米国特許出願公開第2010/0264193号のさまざまな教示と容易に組み合わされ得る(なおそれらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。別の単なる例示的な例として、本明細書のさまざまな教示は、電動式電気的外科装置に容易に適用できる。例えば、当業者には明らかなように、本明細書のさまざまな教示は、2012年5月10日に公開された「Motor Driven Electrosurgical Device with Mechanical and Electrical Feedback」と題する米国特許出願公開第2012/0116379号(この開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)のさまざまな教示と容易に組み合わせることができる。本明細書の教示を適用できるその他の適切な種類の器具、及びそのような器具に本明細書の教示を適用できるさまざまな方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0136】
参照により本明細書に援用されると言及されたいかなる特許、刊行物、又は他の開示内容も、全体的に又は部分的に、援用された内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載された他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に援用されることを認識されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に援用されるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に援用されるものとするが、既存の定義、記載、又は本明細書に記載される他の開示文献と矛盾する任意の文献、又はそれらの部分は、援用文献と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ援用されるものとする。
【0137】
上述の装置の変形形態は、医療専門家によって行われる従来の治療及び処置での用途だけでなく、ロボット支援された治療及び処置での用途も有することができる。あくまでも一例として、本明細書のさまざまな教示は、ロボット外科システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムに容易に組み込まれ得る。
【0138】
上述の変形形態は、1回の使用後に廃棄されるように設計されてもよく、あるいは、それらは、複数回使用されるように設計されてもよい。いずれか又は両方の場合において、変形形態は、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含み得る。特に、装置のいくつかの変形形態は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部材又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換に際して、装置の特定の変形形態を、再調整用の施設において、又は手術の直前に使用者により再組み立てして、その後の使用に供することができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のためのさまざまな技術を使用できる点を認識するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、すべて本発明の範囲内にある。
【0139】
あくまで一例として、本明細書に記載される変形形態は、手術の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌法では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなどの閉鎖及び密封された容器に入れる。次いで、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置くことができる。放射線は、装置の表面及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器中で保管することができる。デバイスはまた、β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の別の技術を用いて滅菌され得る。
【0140】
以上、本発明のさまざまな実施形態を図示及び説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な改変により、本明細書に記載される方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかであろう。例えば、上記で論じた実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解されたい。
【0141】
〔実施の態様〕
(1) (a)本体と、
(b)前記本体から遠位方向に延在するシャフト組立体と、
(c)前記シャフト組立体の前記遠位端に配置され、遠位表面を備え、前記遠位表面を介してステープルの環状アレイを駆動するように動作可能なステープル留めヘッド組立体と、
(d)前記ステープル留めヘッド組立体と連結するように構成されているアンビルと、
(e)前記本体に対して長手方向軸線に沿って移動して、それにより前記アンビルと前記ステープル留めヘッド組立体の前記遠位表面との間の間隙距離を調整するように動作可能な移動部材を備える、アンビル調整組立体と、
(f)第1インジケータ組立体であって、
(i)前記移動部材の前記本体に対する移動に反応して移動するように構成されている第1部材と、
(ii)前記第1部材が前記本体に対して移動する際、前記本体に対して静止し続けているように構成されている第2部材と、を備える、第1インジケータ組立体と、を備える外科用器具であって、
前記第1インジケータ組立体は、前記第2部材に対する前記第1部材の位置づけに基づいて、前記間隙距離が前記アンビルと前記遠位表面との間から組織をリリースするようなサイズになっているかどうかを示すフィードバックを提供するように構成されている、外科用器具。
(2) 前記第1部材が、マーカのアレイを備える、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記マーカが、前記第2部材を順次通過して移動するように構成されている、実施態様2に記載の外科用器具。
(4) 前記第2部材がスイッチを備え、前記マーカが順次前記スイッチを通過して移動するにつれて、前記マーカが順次前記スイッチを作動させるように構成されている、実施態様3に記載の外科用器具。
(5) 前記第1インジケータ組立体が、前記第2部材を通過して移動するマーカの数をカウントするよう動作可能であり、かつ前記第1インジケータ組立体は、前記第2部材を通過して移動する際にカウントされた前記マーカの数に基づいて、前記間隙距離が前記アンビルと前記遠位表面との間から組織をリリースするようなサイズになっているかどうかを示すフィードバックを提供するように構成されている、実施態様3に記載の外科用器具。
【0142】
(6) 第2インジケータ組立体を更に備え、前記ステープル留めヘッド組立体が既に作動されてステープルの環状アレイを前記遠位表面を通じて駆動したかどうかを、前記第2インジケータ組立体が示すように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(7) ステープル駆動アクチュエータを更に備え、前記本体に対する前記ステープル駆動アクチュエータの位置に基づいて、前記ステープル留めヘッド組立体が既に作動されてステープルの環状アレイを前記遠位表面を通じて駆動したかどうかを、前記第2インジケータ組立体が示すように構成されている、実施態様6に記載の外科用器具。
(8) 前記第2インジケータ組立体が前記本体に形成された窓部を備え、前記窓部が、前記ステープル駆動アクチュエータの一部の動きを観察するための視覚的経路を提供するように構成されている、実施態様7に記載の外科用器具。
(9) 前記第2インジケータ組立体が、
(i)ライトと、
(ii)スイッチと、を備え、前記ステープル駆動アクチュエータの動きに反応して、前記スイッチが前記ライトを作動するように構成されている、実施態様7に記載の外科用器具。
(10) 前記移動部材がロッドを備える、実施態様1に記載の外科用器具。
【0143】
(11) 前記第1部材がブラケットを備え、前記本体に対する前記ロッドの移動に反応して、前記ブラケットが、前記本体に対して移動するように構成されている、実施態様10に記載の外科用器具。
(12) 第2インジケータ組立体を更に備え、前記第2インジケータ組立体が、
(i)前記第1部材と、
(ii)第3部材と、を備え、前記第1部材は、前記第3部材を駆動して、それにより前記本体に対する前記第1部材の位置づけに基づいて、前記間隙距離が前記アンビルと前記遠位表面との間の組織をステープル留めするようなサイズになっているかどうかを示すように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(13) 前記第3部材が、前記第1部材の移動に反応して枢動するように構成され、前記第3部材がインジケータ針を備える、実施態様12に記載の外科用器具。
(14) ディスプレイ装置を更に備え、
前記ディスプレイ装置が、前記第1部材の第1の動きの範囲の間に、前記第2インジケータ組立体からの視覚的フィードバックを提供するように構成され、
前記ディスプレイ装置が、前記第1部材の前記第1の動きの範囲の間は、前記第1インジケータ組立体からの視覚的フィードバックを提供するようには構成されておらず、
前記ディスプレイ装置が、前記第1部材の第2の動きの範囲の間は、前記第1インジケータ組立体からの視覚的フィードバックを提供するように構成されている、実施態様12に記載の外科用器具。
(15) 前記第1インジケータ組立体がライトを備え、前記第1インジケータ組立体は、前記第2部材に対する前記第1部材の位置づけに反応して前記ライトを発光させて、前記間隙距離が前記アンビルと前記遠位表面との間から組織をリリースするようなサイズになっていることを示すように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
【0144】
(16) 前記第1部材が磁石を備え、前記第2部材がホール効果センサを備える、実施態様1に記載の外科用器具。
(17) 前記第1部材が1組の歯を備え、前記第2部材が、前記歯に沿って歯止めをかますように構成されている爪を備える、実施態様1に記載の外科用器具。
(18) 前記移動部材を長手方向に駆動するよう動作可能な手動入力特徴部を更に備え、前記第1インジケータ組立体は、前記第2部材に対する前記第1部材の位置づけに反応して前記手動入力特徴部の動きに対する抵抗の増加をもたらして、前記間隙距離が前記アンビルと前記遠位表面との間から組織をリリースするようなサイズになっていることを示すように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(19) (a)本体と、
(b)前記本体から遠位方向に延在するシャフト組立体と、
(c)前記シャフト組立体の前記遠位端に配置され、遠位表面を備え、前記遠位表面を介してステープルの環状アレイを駆動するよう動作可能なステープル留めヘッド組立体と、
(d)前記ステープル留めヘッド組立体と連結するように構成されているアンビルと、
(e)前記ステープル留めヘッド組立体を作動させ、それにより前記ステープルを前記遠位表面を通じて前記アンビルに向けて駆動するよう動作可能であり、モータを備える発射組立体と、
(f)前記モータに電力を供給するよう動作可能な電源と、
(g)前記電源及び前記モータと通信し、前記電源から前記モータに流れる電流をモニターするよう動作可能な制御モジュールと、
(h)前記制御モジュールと通信するインジケータと、を備える外科用器具であって、前記制御モジュールが、モニターした電流に反応して前記インジケータを作動させて、前記発射組立体による発射ストロークの完了を示すように構成されている、外科用器具。
(20) (a)本体と、
(b)前記本体から遠位方向に延在するシャフト組立体と、
(c)前記シャフト組立体の前記遠位端に配置され、遠位表面を備え、前記遠位表面を介してステープルの環状アレイを駆動するよう動作可能なステープル留めヘッド組立体と、
(d)前記ステープル留めヘッド組立体と連結するように構成されているアンビルと、
(e)前記本体に対して長手方向軸線に沿って移動して、それにより前記アンビルと前記ステープル留めヘッド組立体の前記遠位表面との間の間隙距離を調整するよう動作可能な移動部材を備える、アンビル調整組立体と、
(f)インジケータ組立体であって、
(i)分離されたマーカ要素のアレイと、
(ii)前記マーカ要素が順次、前記移動部材の移動に反応して作動させるように構成されているセンサと、
(iii)前記マーカ要素による前記センサの作動に基づいて、前記間隙距離が前記アンビルと前記遠位表面との間から組織をリリースするようなサイズになっているかどうかを示すフィードバックを提供するように構成されているインジケータと、を備えるインジケータ組立体と、を備える、外科用器具。