特許第6869906号(P6869906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6869906組織のパラメータに基づく同時エネルギーモダリティを使用するユーザーが適合可能な技法を有する外科用システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869906
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】組織のパラメータに基づく同時エネルギーモダリティを使用するユーザーが適合可能な技法を有する外科用システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20210426BHJP
   A61B 17/32 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   A61B18/14
   A61B17/32 510
【請求項の数】12
【全頁数】76
(21)【出願番号】特願2017-568290(P2017-568290)
(86)(22)【出願日】2016年6月24日
(65)【公表番号】特表2018-519919(P2018-519919A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】US2016039224
(87)【国際公開番号】WO2017003855
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2019年6月24日
(31)【優先権主張番号】62/186,984
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/235,368
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/235,466
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/235,260
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/279,635
(32)【優先日】2016年1月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/330,669
(32)【優先日】2016年5月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/177,466
(32)【優先日】2016年6月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】イェイツ・デビッド・シー
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー・ケビン・エル
【審査官】 高松 大
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/016346(WO,A1)
【文献】 特開2009−247887(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/064530(WO,A1)
【文献】 特開2013−078585(JP,A)
【文献】 特開2015−091612(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0254080(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/108295(WO,A1)
【文献】 特開2008−246222(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/076869(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0265196(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0203504(US,A1)
【文献】 特開2004−329930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を凝固及び切開するための外科用器具であって、前記外科用器具が、
プロセッサと、
前記外科用器具の遠位端のエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、組織と相互作用するように構成されており、前記エンドエフェクタが、
電極を備えるクランプアームと、
超音波ブレードと、を備える、エンドエフェクタと、
前記超音波ブレードに音響的に連結され、かつ前記超音波ブレードの超音波運動を引き起こすために発生器から駆動信号を受信し、前記超音波ブレードに超音波エネルギーを送達するように構成された超音波トランスデューサと、を備え、
前記プロセッサが、
前記エンドエフェクタに係合された前記組織の組織インピーダンスの決定に基づいて、無線周波数(RF)エネルギーの前記電極への送達及び前記超音波エネルギーの前記超音波ブレードへの送達を制御することと、
第1の時間の期間で前記組織インピーダンスが初期レベルのときに前記エンドエフェクタに前記RFエネルギーを送達させることと、
前記第1の時間の期間の後の第2の時間の期間で前記組織インピーダンスが前記初期レベルよりも低い第2のレベルのときに前記エンドエフェクタに前記RFエネルギーを送達させ続けることと、
前記第2の時間の期間の後の第3の時間の期間で前記組織インピーダンスが前記初期レベルよりも高い閾値と一致したときに、前記RFエネルギーの前記電極への送達から前記超音波エネルギーの前記超音波ブレードへの送達に、前記エンドエフェクタに切り替えさせることと、を行うように構成されており、
前記発生器は、前記第1及び第2の時間の期間に前記エンドエフェクタ内の前記電極まで送達される前記RFエネルギーをパルス出力するように更に構成され
前記発生器が、単一出力ポートを備え、前記RFエネルギー及び前記超音波エネルギーが、前記単一出力ポートを通じて前記エンドエフェクタに送達され、
前記RFエネルギーの電圧は、前記超音波エネルギーの電圧よりも低く、
前記RFエネルギーの電流は、前記超音波エネルギーの電流よりも高い、外科用器具。
【請求項2】
前記組織インピーダンスが、前記RFエネルギーの電圧測定値を前記RFエネルギーの電流測定値で除することによって決定される、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記組織インピーダンスの前記閾値は、前記RFエネルギーを利用する前記組織の凝固中に組織封止が完了する終端インピーダンスである、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記組織が、前記RFエネルギーを利用する凝固中の組織封止の完了後に、前記超音波エネルギーを利用して切断される、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記RFエネルギーが、前記組織の血管を凝固させるために利用され、前記超音波エネルギーが、前記組織を切り開くために利用される、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記発生器が、前記発生器から前記エンドエフェクタに送達される電力を制御するため技法を利用し、前記技法が、前記組織インピーダンスを、前記エンドエフェクタによって前記組織と相互作用するために使用されるエネルギーの種類を決定するための入力として含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
決定された前記組織インピーダンスが、組織情報データベースに格納された組織インピーダンス閾値と比較される、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記プロセッサが、神経回路網を使用して、前記RFエネルギーと前記超音波エネルギーとを切り替えるように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記プロセッサが、ベクトルマシンを使用して、前記RFエネルギーと前記超音波エネルギーとを切り替えるように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記エンドエフェクタは、前記エンドエフェクタが前記組織と係合したときの前記組織インピーダンスを得るための1つまたはそれ以上のセンサを更に備え、
前記プロセッサが、前記センサからの信号を処理して前記組織インピーダンスを決定することを行うように更に構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項11】
前記第1及び第2の時間の期間、前記RFエネルギーはピーク値が徐々に大きくなるように出力される、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項12】
前記クランプアームと前記超音波ブレードとは、その間に前記組織を把持できるように構成されており、前記クランプアームは、前記組織が位置付けられる凹部を形成するように外側部が傾斜しており、前記電極は、前記クランプアームの外側部に位置付けられている、請求項1に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連技術の相互参照)
本出願は、2015年6月30日に出願された米国仮出願第62/186,984号、2015年9月30日に出願された米国仮出願第62/235,260号、2015年9月30日に出願された米国仮出願第62/235,368号、2015年9月30日に出願された米国仮出願第62/235,466号、2016年1月15日に出願された米国仮出願第62/279,635号、及び2016年5月2日に出願された米国仮出願第62/330,669号の利益を主張するものであり、これらの内容は、本明細書に参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は概して、超音波外科用システムに関し、より具体的には、外科医が切断及び凝固を行い、組織のパラメータに基づいて、同時エネルギーモダリティを使用して、そのような処置を行うための技法を適合させ、個別化することを可能にする超音波及び電気外科用システムに関する。
【背景技術】
【0003】
超音波外科用器具は、そのような器具の特殊な性能特性のおかげで、外科処置における広範囲にわたる用途が増々見出されている。特定の器具構成及び操作パラメータに応じて、超音波外科用器具は、組織の切断及び凝固による止血を実質的に同時にもたらし、望ましくは、患者の外傷を最小限に抑えることができる。切断行為は、典型的には、器具の遠位端におけるエンドエフェクタ又はブレード先端によって実現され、これにより、エンドエフェクタと接触した組織に超音波エネルギーが伝送される。このような性質の超音波器具は、ロボット支援処置を含む切開外科用用途、腹腔鏡又は内視鏡の外科的処置用に構成され得る。
【0004】
いくつかの外科器具は、正確な切断及び凝固の調節の両方のために超音波エネルギーを利用する。超音波エネルギーは、組織と接触しているブレードを振動させることによって切断及び凝固させる。超音波ブレードは高周波(例えば、毎秒55,500回)で振動し、組織中のタンパク質を変性させて粘着性の凝塊を形成する。ブレード表面が組織に及ぼす圧力により血管が崩壊され、凝塊が止血シールを形成することを可能にする。切断及び凝固の精度は、外科医の技術、並びに電力レベル、ブレードエッジ、組織トラクション、及びブレード圧力の調整によって制御される。
【0005】
組織を治療及び/又は破壊するために電気エネルギーを組織に印加するための電気外科用装置も、外科的処置において、広範囲にわたる用途が増々見出される。電気外科用装置は、典型的には、遠位に取り付けられたエンドエフェクタ(例えば、1つ又は2つ以上の電極)を有する器具であるハンドピースを含む。エンドエフェクタは、電流が組織内に導入されるように、組織に対して位置付けられ得る。電気外科用装置は、双極又は単極動作用に構成することができる。双極動作中、電流は、エンドエフェクタの活性電極によって組織に導入され、エンドエフェクタの戻り電極によって組織から戻される。単極動作中、電流は、電流がエンドエフェクタの活性電極によって組織に導入され、患者の体に別個に位置する戻り電極(例えば、接地パッド)を介して戻される。組織を流れる電流によって生成される熱は、組織内及び/又は組織間の止血シールを形成することができ、それ故に、例えば、血管を封止するために特に有用であり得る。電気外科用装置のエンドエフェクタは、組織を離断するための、組織及び電極に対して移動可能な切断部材も含み得る。
【0006】
電気外科用装置によって印加された電気エネルギーは、ハンドピースと通信している発生器によって器具に伝送され得る。電気エネルギーは、無線周波数(「RF」)エネルギーの形態であってもよい。RFエネルギーは、200キロヘルツ(kHz)〜1メガヘルツ(MHz)の周波数帯域であり得る電気エネルギーの一形態である。印加中、電気外科用装置は、組織を通じて低周波数RFエネルギーを伝送することができ、これはイオン撹拌又は摩擦、すなわち抵抗加熱を生じさせ、これによって組織の温度を増加させる。罹患組織と周囲組織との間にはっきりとした境界が形成されるため、外科医は、標的としない隣接する組織を犠牲にすることなく、高度な正確性及び制御で操作することができる。RFエネルギーの低動作温度は、軟組織を除去、収縮、又は成形し、同時に血管を封止するのに有用である。RFエネルギーは、主にコラーゲンから成り、熱による接触の際に収縮する結合組織に特に良好に作用し得る。
【0007】
RFエネルギーは、EN60601−2−2:2009+A11:2011,Definition 201.3.218−高周波数に記載される周波数範囲であり得る。例えば、単極RF用途における周波数は、典型的には、5MHz未満に制限され得る。しかしながら、双極RF用途においては、周波数は、ほぼどのような周波数でもよい。200kHz超の周波数は、典型的には、低周波数の電流の使用から生じる神経及び筋肉の不必要な刺激を避けるために、単極用途に使用され得る。リスク分析が、神経筋刺激の可能性が許容可能なレベルにまで緩和されたと示す場合、より低い周波数が双極用途に使用され得る。通常、5MHz超の周波数は、高周波数の漏洩電流に関連する問題を最小限に抑えるために使用されない。しかしながら、より高い周波数は、双極用途の場合には使用され得る。一般に、10mAが、組織への熱効果のより低い閾値であると認識されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの医療用装置を利用する課題は、これらの装置によって治療される組織の種類に応じて出力を制御及び個別化ができないことである。現在の器具の欠点のうちのいくつかを克服する外科用器具を提供することが望ましいであろう。本明細書に記載される外科用システムは、これらの欠点を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、組織を切開及び凝固するための装置が提供される。この装置は、その遠位端で組織と相互作用するように構成されたエンドエフェクタを有する外科用器具と、外科用器具に電気的に連結し、かつ無線周波数(RF)エネルギー及び超音波エネルギーをエンドエフェクタに送達して、エンドエフェクタが組織と相互作用することを可能にするように構成された発生器とを含み、エンドエフェクタに送達されるエネルギーが、エンドエフェクタと相互作用している組織の組織インピーダンスの決定に基づいて、RFエネルギーと超音波エネルギーとが切り替わり、これにより、組織インピーダンスが閾値レベルに達するときに、発生器がRFエネルギーから超音波エネルギーへ切り替える。
【0010】
前述のものに加えて、様々な他の方法並びに/又はシステム及び/若しくはプログラム製品の態様が、本開示の本文(例えば、特許請求の範囲及び/若しくは詳細な説明)並びに/又は図面等の教示に記載及び説明される。
【0011】
前述は、概要であり、このため、詳細の簡略化、一般化、包含、及び/又は省略を含み得、結果として、当業者は、この概要が、例示的であるにすぎず、いかようにも制限は意図されないことを理解するであろう。本明細書に記載される本装置並びに/又はプロセス及び/若しくは他の主題の他の態様、特徴、及び利点は、本明細書に記載される教示において明らかになるであろう。
【0012】
つ又は2つ以上の様々な態様では、関連するシステムは、本明細書で言及される方法態様を達成するための回路及び/又はプログラミングを含むが、これらに限定されず、回路及び/又はプログラミングは、システム設計者の設計選択に応じて、本明細書で言及される方法態様に影響を及ぼすように構成されている、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの事実上任意の組み合わせとすることができる。前述のものに加えて、様々な他の方法及び/又はシステム態様が、本開示の本文(例えば、特許請求の範囲及び/若しくは詳細な説明)並びに/又は図面等の本教示に記載及び説明される。
【0013】
更に、以下に記載される形態、形態の表現、実施例のうちのいずれか1つ又は2つ以上が、他の以下に記載される形態、形態の表現、及び実施例のうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わされ得ることが理解される。
【0014】
上記の概要はあくまで例示的なものにすぎず、いかなる意味においても限定を目的としたものではない。上記に述べた例示的な態様、実施形態、及び要素以外にも、更なる態様、実施形態、及び要素が、図面及び以下の詳細な説明を参照することで明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
記載される形態の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載される。しかしながら、記載される形態は、編成及び操作方法の両方に関して、以下の説明を、添付の図面と併せて参照することにより最良に理解され得る。
図1】発生器及び発生器と共に使用可能な様々な外科用器具を備える外科用システムの一態様を例示する。
図2図16の超音波外科用器具の一態様の図である。
図3図16の外科用システムの一態様の図である。
図4】動作分岐電流の一態様を例示するモデルである。
図5】発生器構成の一態様の構造図である。
図6】超音波トランスデューサを駆動するための超音波電気信号を発生させる発生器の駆動システムの一態様を例示する。
図7】組織インピーダンスモジュールを含む発生器の駆動システムの一態様を例示する。
図8】複数のエネルギーモダリティを外科用器具に送達するための発生器の一態様を例示する。
図9】発生器の一態様からのエネルギーの2つの波形の例示的なグラフである。
図10図9の波形の和の例示的なグラフである。
図11】RF波形が超音波波形に依存する、図9の波形の和の例示的なグラフである。
図12】RF波形が超音波波形の関数である図9の波形の和の例示的なグラフである。
図13】複合RF波形の例示的なグラフである。
図14】クランプアーム上に位置するRFデータセンサを含むエンドエフェクタの一態様を例示する。
図15】センサがフレキシブル回路に取り付けられ得るか、又はフレキシブル回路と一体に形成され得る、図14に示されるフレキシブル回路の一態様を例示する。
図16図15に示されるフレキシブル回路の断面図である。
図17】エンドエフェクタのクランプアームに固定的に取設されるように構成された分割されたフレキシブル回路の一態様を例示する。
図18】エンドエフェクタのクランプアームに取り付けられるように構成された分割されたフレキシブル回路の一態様を例示する。
図19】組織間隙Gを測定するように構成されたエンドエフェクタの一態様を例示する。
図20】左から右に分割されたフレキシブル回路の一態様を例示する。
図21図20に示される分割されたフレキシブル回路を含むエンドエフェクタの一態様を例示する。
図22】クランプアームがクランプアームと超音波ブレードとの間に組織を固定している、図21に示すエンドエフェクタを例示する。
図23】局所的に感知された組織のパラメータに基づいてエンドエフェクタの右側及び左側によって印加されたエネルギーのグラフを例示する。
図24】連続性、温度、圧力などの二次組織パラメータの測定に起因する閾値の調整の一態様を描写するグラフを例示する。
図25】フレキシブル回路内に埋め込まれたRF電極及びデータセンサを含むフレキシブル回路の一態様の断面図である。
図26】クランプアームと超音波ブレードとの間に位置する組織に加えられた力又は圧力を感知するように構成されたエンドエフェクタの一態様の断面図である。
図27】フレキシブル回路の信号層の一態様の概略図である。
図28図27に示すフレキシブル回路のセンサ配線の概略図である。
図29】RFエネルギー駆動回路の一態様の概略図である。
図30】事前設定された時間における組織間隙の測定のグラフ表示である。
図31】薄い、中程度、及び厚い組織の種類に関する、事前設定された力までの時間に対する時間のグラフである。
図32】3つの曲線のグラフのグラフ描写であり、第1の曲線は、電力(P)、電圧(VRF)、及び電流(IRF)に対する組織インピーダンス(Z)を表し、第2の曲線及び第3の曲線は、組織インピーダンス(Z)に対する時間(t)を表す。
図33】エンドエフェクタの一態様の平面図である。
図34】クランプアーム及び超音波ブレードの下層構造を露呈するための部分的切り欠き図を有する、図33に示すエンドエフェクタの側面図である。
図35】超音波ブレード並びに右及び左の電極をそれぞれ露呈するための、図33、34に示すエンドエフェクタの部分的断面図である。
図36図33に示すエンドエフェクタの断面36−−36で切り取られた断面図である。
図37図33に示すエンドエフェクタの断面37−−37で切り取られた断面図である。
図38】超音波ブレードが異なる幾何学的形状を有することを除いて、図33に示すエンドエフェクタの断面36−−36で切り取られた断面図である。
図39】超音波ブレードが異なる幾何学的形状を有することを除いて、図33に示すエンドエフェクタの断面37−−37で切り取られた断面図である。
図40】超音波ブレードが異なる幾何学的形状を有することを除いて、図33に示すエンドエフェクタの断面36−−36で切り取られた断面図である。
図41】超音波ブレードが異なる幾何学的形状を有することを除いて、図33に示すエンドエフェクタの断面37−−37で切り取られた断面図である。
図42A】組織を囲む医療用装置の一態様のグラフ表示である。
図42B】組織を圧縮する医療用装置の一態様のグラフ表示である。
図43A】組織を圧縮する医療用装置の一態様のグラフ表示である。
図43B】組織を圧縮する医療用装置のエンドエフェクタの一態様によって及ぼされた力の例も描写する。
図44】フィードバックシステムの一態様の論理フロー図を例示する。
図45】RFエネルギーを利用して、適切な組織封止が達成される終端インピーダンスの一態様を示している、時間(秒)の関数としての組織インピーダンス|Z|(オーム)として表された組織インピーダンス機能のグラフ表示である。
図46】外科用器具によって治療される組織の組織インピーダンスの決定に基づいて、外科用器具に送達されるエネルギーを動的に変化させる方法の一態様の論理フロー図である。
図47A】発生器から外科用器具のエンドエフェクタに送達される電力及びインピーダンスの時間の関数としてのグラフ表示である。
図47B】発生器から外科用器具のエンドエフェクタに送達される電力及び電流の時間の関数としてのグラフ表示である。
図47C図47A及び47Bに示した、発生器から外科用器具のエンドエフェクタに送達される電力、インピーダンス、電圧、及び電流の時間の関数としてのグラフ表示である。
図48】異なるエネルギーモダリティの同時起動を組織に適用するプロセスの一態様の論理フロー図である。
図49】超音波及びRF終端インピーダンスを例示するために、図48の論理フロー図に関連して、時間(秒)の関数としてのRF組織インピーダンス(オーム)として表されたRF組織インピーダンス機能のグラフ表示である。
図50図48及び49に関連して記載されたRFエネルギー及び超音波エネルギーモダリティの同時起動を利用して血管内に作製された封止の質の例を示す。
図51】(1)RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時印加と、(2)図48〜50に関連して記載されたRFエネルギーのみの印加とを利用して作製された頚動脈封止の破裂圧力の箱ひげ図の図形比較である。
図52】(1)RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時印加と、(2)図48〜50に関連して記載されたRFエネルギーのみの印加とを利用して作製された頚動脈束封止の破裂圧力の箱ひげ図の図形比較である。
図53】(1)RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時印加と、(2)図48〜50に関連して記載されたRFエネルギーのみの印加とを利用して作製された甲状頚動脈封止の破裂圧力の箱ひげ図の図形比較である。
図54】(1)RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時印加と、(2)図48〜50に関連して記載されたRFエネルギー及びより高い超音波エネルギーの同時印加とを利用して作製された頚動脈束封止の破裂圧力の箱ひげ図の図形比較である。
図55図48〜50に関連して記載された、異なる終端インピーダンスにおけるRFエネルギー及び超音波エネルギーの同時印加を利用して作製された頚動脈束封止の破裂圧力の箱ひげ図の図形比較である。
図56】RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時印加を利用して作製された部分的封止と、超音波エネルギーを利用して作製された部分的離断とを有する血管の例である。
図57】「封止のみ」モダリティ中の、時間(秒)の関数としてのRF組織インピーダンス(オーム)として表されたRF組織インピーダンス機能及び時間(秒)の関数としての超音波電流(mA)として表された超音波電流機能のグラフ表示である。
図58】封止のみプロセスを達成するために、RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時起動並びに超音波エネルギーの調節のための技法の一態様の論理フロー図である。
図59】「封止及び切断」モダリティ中の、時間(秒)の関数としてのRF組織インピーダンス(オーム)として表されたRF組織インピーダンス機能及び時間(秒)の関数としての超音波電流(mA)として表された超音波電流機能のグラフ表示である。
図60】封止及び切断プロセスを達成するために、RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時起動並びに超音波エネルギーの調節のための技法の一態様の論理フロー図である。
図61A】様々なn値についてのRF組織インピーダンスZ(オーム)の関数として、超音波トランスデューサに送達された超音波電流I(アンペア)として表された超音波電流機能のグラフ表示である。
図61B】様々なn値についてRF組織インピーダンスZ(オーム)の関数としての超音波トランスデューサに送達された超音波電流I(アンペア)として表された超音波電流機能のグラフ表示である。
図62】時間の関数として表された複数の超音波機能のグラフ表示である。
図63】RFエネルギーが500オームの終端インピーダンスで停止する状態で、等式1に入力されたRF定電力のグラフ表示である。
図64】複合負荷曲線の選択及び適用を説明する一態様のブロック図である。
図65】発生器を制御するための神経回路網の一態様を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
外科用器具の様々な形態を詳細に説明する前に、例示的形態が、適用又は使用において、添付の図面及び説明で例示される部品の構造及び配置の詳細に限定されないことに留意されたい。例示的な形態は、他の形態、変形、及び修正で実行されるか、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な手段で実施又は行われてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な形態を説明する目的で選ばれており、それらを限定するためのものではない。
【0017】
更に、以下に記載される形態、形態の表現、実施例のうちのいずれか1つ又は2つ以上が、他の以下に記載される形態、形態の表現、及び実施例のうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わされ得ることが理解される。
【0018】
様々な形態は、外科的処置中の組織の切開、切断、及び/又は凝固をもたらすように構成された改善された超音波及び/又は電気外科用(RF)器具を対象とする。一形態では、超音波と電気外科用器具とを組み合わせたものが切開外科的処置における使用のために構成され得るが、腹腔鏡、内視鏡、及びロボット支援処置等の他の種類の手術における用途も有する。超音波及びRFエネルギーの選択的な使用によって、多方面の使用が容易になる。
【0019】
様々な形態が本明細書に記載される超音波器具と組み合わせて記載される。そのような記載は限定するものではなく例として提供されており、その範囲及び適用を限定することを意図しない。例えば、記載される形態のうちのいずれか1つは、例えば、米国特許第5,938,633号、同第5,935,144号、同第5,944,737号、同第5,322,055号、同第5,630,420号、及び同第5,449,370号に記載されるものを含む多様な超音波器具と組み合わせて有用である。
【0020】
以下の説明から明らかになるように、本明細書に記載される外科用器具の形態は、外科用システムの発振器ユニットと関連付けて使用され得、それにより発振器ユニットからの超音波エネルギーが本外科用器具に所望の超音波作動をもたらすことが企図される。本明細書に記載される外科用器具の形態は、外科用システムの信号発生器ユニットと関連付けて使用され得、それにより無線周波(RF)の形態の電気エネルギーが、例えば、外科用器具に関してユーザーにフィードバックを提供するために使用されることも企図される。超音波発振器及び/若しくは信号発生器は、取り外し不能に外科用器具と一体化されてもよく、又は外科用器具に電気的に取り付け可能であり得る分離した構成要素として提供されてもよい。
【0021】
本外科用装置の一形態は、その単純な構造により使い捨て使用のために特に構成されている。しかしながら、本外科用器具の他の形態は、使い捨てではないか又は複数回使用されるように構成され得ることも企図される。関連付けられる発振器及び信号発生器ユニットとの、本発明の外科用器具の取り外し可能な接続について、ここでは1人の患者用として、あくまで例示を目的として開示する。しかし、本外科用器具を、関連付けられる発振器及び/又は信号発生器ユニットと取り外し可能にせずに、一体化接続することも企図される。したがって、本明細書に記載される外科用器具の様々な形態は、限定されないが、取り外し可能及び/又は取り外し不能のいずれかの一体型発振器及び/又は信号発生器ユニットと共に、単回使用及び/又は複数回使用するように構成され得、そのような構成の全ての組み合わせは、本開示の範囲内にあることが企図される。
【0022】
本明細書に開示される外科用器具は、以下の同一所有者の出願で本明細書と同時に出願されたもの:END7747USNP(「Surgical System With User Adaptable Techniques」と題され、Yatesらによる)、END7747USNP1(「Surgical System With User Adaptable Techniques」と題され、Stulenらによる)、END7747USNP2(「Surgical System With User Adaptable Techniques Employing Multiple Energy Modalities Based On Tissue Parameters」と題され、Wiener らによる)、及びEND7747USNP3(「Surgical System With User Adaptable Techniques Based On Tissue Impedance」と題され、Yatesらによる)に記載される外科用器具に関するものであり、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
図1〜5を参照して、超音波外科用器具を含む外科用システム10の一形態が例示される。図1は、発生器102及び発生器と共に使用可能な様々な外科用器具104、106、108を備える外科用システム100の一形態を例示する。図2は、図1の超音波外科用器具104の図である。
【0024】
図1は、複数の外科用器具104、106、108を駆動するように構成された発生器102を例示する。第1の外科用器具104は、ハンドピース105、超音波トランスデューサ120、シャフト126、及びエンドエフェクタ122を備える。エンドエフェクタ122は、トランスデューサ120と音響的に連結された超音波ブレード128及びクランプアーム140を備える。ハンドピース105は、クランプアーム140を動作させるトリガ143と、超音波ブレード128又は他の機能にエネルギーを与え、駆動するためのトグルボタン134a、134b、134cの組み合わせと、を備える。トグルボタン134a、134b、134cは、発生器102で超音波トランスデューサ120にエネルギーを与えるように構成され得る。
【0025】
依然として図1を参照すると、発生器102は、第2の外科用器具106を駆動するようにも構成されている。第2の外科用器具106は、RF電気外科用器具であり、ハンドピース107、シャフト127、及びエンドエフェクタ124を備える。エンドエフェクタ124は、クランプアーム143内の、超音波ブレード149を通って戻る電極を備える。電極は、発生器102内の双極エネルギー源に連結され、双極エネルギー源によってエネルギーを与えられる。ハンドピース107は、クランプアーム145を動作させるためのトリガ147と、エンドエフェクタ124内の電極にエネルギーを与えるためのエネルギースイッチを作動するためのエネルギーボタン135と、を備える。
【0026】
依然として図1を参照すると、発生器102は、電気外科用と超音波器具108との組み合わせを駆動するようにも構成されている。電気外科用と超音波多機能外科用器具108との組み合わせは、ハンドピース109、シャフト129、及びエンドエフェクタ125を備える。エンドエフェクタは、超音波ブレード149及びクランプアーム145を備える。超音波ブレード149は、超音波トランスデューサ120と音響的に連結される。ハンドピース109は、クランプアーム145を動作させるためのトリガ147と、超音波ブレード149又は他の機能にエネルギーを与え、駆動するためのトグルボタン137a、137b、137cの組み合わせと、を備える。トグルボタン137a、137b、137cは、発生器102で超音波トランスデューサ120にエネルギーを与え、かつ発生器102内に同様に収容された双極エネルギー源で超音波ブレード149にエネルギーを与えるように構成され得る。
【0027】
図1及び2の両方を参照すると、発生器102は、様々な外科用装置との使用のために構成可能である。様々な形態に従って、発生器102は、例えば、超音波外科用器具104、RF電気外科用器具106等の電気外科用又はRF外科用装置、並びに発生器102から同時に送達される電気外科用RF及び超音波エネルギーを統合する多機能外科用器具108を含む異なる種類の異なる外科用装置との使用のために構成可能であり得る。図1の形態では、発生器102は、外科用器具104、106、108とは別個に示されているが、一形態では、発生器102は外科用器具104、106、108のうちのいずれかと一体的に形成されて、一体型外科用システムを形成してもよい。発生器102は、発生器102のコンソールの前側パネル上に位置する入力装置110を備える。入力装置110は、発生器102の動作をプログラミングするのに好適な信号を生成する、任意の好適な装置を備え得る。発生器102は、1つ又は2つ以上の出力装置112も備えてもよい。
【0028】
発生器102は、ケーブル144を介して超音波トランスデューサ120に連結される。超音波トランスデューサ120及びシャフト126(導波管は図2に示さず)を通って延在する導波管は、エンドエフェクタ122の超音波ブレード128を駆動する超音波駆動システムを集合的に形成してもよい。エンドエフェクタ122は、クランプアーム140と超音波ブレード128との間に組織を固定するためのクランプアーム140を更に備えてもよい。一形態では、発生器102は、段階式であり得るか、又はさもなければ高分解能、精度、及び繰り返し性で修正することができる特定の電圧、電流、及び/又は周波数出力信号の駆動信号を発生させるように構成されてもよい。
【0029】
依然として図2を参照すると、外科用器具104は、トグルボタン134a、134b、134cの任意の組み合わせを備え得ることが理解されよう。例えば、外科用器具104は、最大超音波エネルギー出力を発生させるためのトグルボタン134aと、最大又は最大電力レベル未満のいずれかでパルス出力を発生させるためのトグルボタン134cと、の2つのトグルボタンのみを有するように構成され得る。このようにして、発生器102の駆動信号出力構成は、5個の連続信号及び、5又は4又は3又は2又は1個のパルス信号であり得る。ある特定の形態では、特定の駆動信号構成は、例えば、発生器102におけるEEPROM設定及び/又はユーザー電力レベル選択(複数可)に基づいて制御されてもよい。
【0030】
ある特定の形態では、2位置スイッチがトグルボタン134cの代替として設けられてもよい。例えば、外科用器具104は、最大電力レベルで連続出力を発生させるためのトグルボタン134aと、2位置トグルボタン134bと、を含んでもよい。第1の戻り止め位置において、トグルボタン134bは最大電力レベル未満で連続出力を発生させてもよく、第2の戻り止め位置において、トグルボタン134bは(例えば、EEPROM設定に応じて、最大又は最大出力レベル未満で)パルス出力を発生させてもよい。
【0031】
依然として図2を参照すると、発生器102の形態は、器具ベースのデータ回路との通信を可能にし得る。例えば、発生器102は、第1のデータ回路136及び/又は第2のデータ回路138と通信するように構成されてもよい。例えば、第1のデータ回路136は、本明細書に記載されるバーンイン周波数スロープを示してもよい。加えて、又はあるいは、任意の種類の情報は、データ回路インターフェースを介して(例えば、論理デバイスを使用して)第2のデータ回路に格納するために第2のデータ回路に通信されてもよい。このような情報は、例えば、器具が使用された最新の動作数、並びに/又はその使用の日付及び/若しくは時間を含み得る。ある特定の形態では、第2のデータ回路は、1つ又は2つ以上のセンサ(例えば、器具ベースの温度センサ)によって取得されたデータを送信してもよい。ある特定の形態では、第2のデータ回路は、発生器102からデータを受信し、受信したデータに基づきユーザーに表示を提供してもよい(例えば、LED表示又は他の可視表示)。外科用装置の多機能外科用器具108に収容された第2のデータ回路138。いくつかの形態では、第2のデータ回路138は、本明細書に記載される第1のデータ回路136のものと類似した多くのものに実装される。器具インターフェース回路は、この通信を可能にするための第2のデータ回路インターフェースを備えてもよい。一形態では、第2のデータ回路インターフェースは、トライステートデジタルインターフェースを備え得るが、他のインターフェースも使用され得る。ある特定の形態では、第2のデータ回路は、一般にデータを送信及び/又は受信するための任意の回路であり得る。一形態では、例えば、第2のデータ回路は、第2のデータ回路が関連付けられた特定の外科用器具に関する情報を格納してもよい。このような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用器具が使用された動作数、及び/又は任意の他の種類の情報を含み得る。いくつかの形態では、第2のデータ回路138は、関連トランスデューサ120、エンドエフェクタ122、又は超音波駆動システムの電気的及び/又は超音波的特性に関する情報を格納してもよい。本明細書に記載される様々なプロセス及び技法は、発生器によって実行され得る。しかしながら、ある特定の実施例の形態では、これらのプロセス及び技法の全て又は一部は多機能外科用器具108の内部論理139によって行われ得ることが理解されよう。
【0032】
図3は、図1の外科用システム100の図である。様々な形態では、発生器102は、モジュール及び/又はブロック等の複数の別個の機能的要素を備え得る。異なる機能的要素又はモジュールは、異なる種類の外科用器具104、106、108を駆動するように構成されてもよい。例えば、超音波発生器駆動回路114は、ケーブル142を介して超音波外科用器具104等の超音波装置を駆動してもよい。電気外科/RF発生器駆動回路116は、ケーブル144を介して電気外科用器具106を駆動してもよい。例えば、それぞれの駆動回路114、116は、外科用器具104、106、108を駆動するためのそれぞれの駆動信号を生成してもよい。様々な形態では、超音波発生器駆動回路114(例えば、超音波駆動回路)及び/又は電気外科/RF発生器駆動回路116(例えば、RF駆動回路)は各々、発生器102と一体的に形成されてもよい。あるいは、駆動回路114、116のうちの1つ又は2つ以上が、発生器102に電気的に連結された別個の回路モジュールとして設けられてもよい。(駆動回路114及び116は、この選択肢を例示するために幻影で示される。)また、いくつかの形態では、電気外科/RF発生器駆動回路116は、超音波発生器駆動回路114と一体的に形成されてもよいか、又は逆もまた同様である。また、いくつかの形態では、発生器102は、完全に省かれてもよく、駆動回路114、116は、それぞれの外科用器具104、106、108内のプロセッサ又は他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0033】
他の形態では、超音波発生器駆動回路114及び電気外科/RF発生器駆動回路116の電気出力部は、単一の駆動回路に組み合わされ、ケーブル146を介して電気外科用RFエネルギー及び超音波エネルギーと同時に多機能外科用器具108を駆動することができる単一の電気信号を提供してもよい。多機能外科用器具108は、電気外科用RFエネルギーを受け取るために、超音波ブレード149及びエンドエフェクタ124内の1つ又は2つ以上の電極に連結された超音波トランスデューサ120を備える。このような実装においては、組み合わせRF/超音波信号は、多機能外科用器具108に連結される。多機能外科用器具108は、RF信号がエンドエフェクタ124内の電極に送達され得、かつ超音波信号が超音波トランスデューサ120に送達され得るように、組み合わせRF/超音波信号を分割する信号処理構成要素を備える。
【0034】
記載された形態によれば、超音波発生器駆動回路114は、特定の電圧、電流、及び周波数、例えば55,500サイクル毎秒(Hz)の駆動信号(複数可)を発生させてもよい。駆動信号(複数可)は、超音波外科用器具104に、具体的にはトランスデューサ120に提供され得、トランスデューサは、例えば本明細書に記載されるように動作することができる。トランスデューサ120及びシャフト126を通って延在する導波管(導波管は図2には示さず)は、エンドエフェクタ122の超音波ブレード128を駆動する超音波駆動システムを集合的に形成してもよい。一形態では、発生器102は、段階式であり得るか、又はさもなければ高分解能、精度、及び繰り返し性で修正することができる特定の電圧、電流、及び/又は周波数出力信号の駆動信号を発生させるように構成されてもよい。
【0035】
発生器102は、任意の好適な方法で駆動信号をトランスデューサ120に提供するように起動され得る。例えば、発生器102は、フットスイッチケーブル132を介して発生器102に連結されたフットスイッチ130を備えてもよい。臨床医は、フットスイッチ130を押圧することによって、トランスデューサ120を起動し得る。フットスイッチ130に加えて、又はその代わりに、超音波外科用器具104のいくつかの形態は、起動されると、発生器102にトランスデューサ120を起動し得る、ハンドピース上に位置付けられた1つ又は2つ以上のスイッチを利用してもよい。一形態では、例えば1つ又は2つ以上のスイッチは、例えば、外科用器具104の動作モードを決定するために、一対のトグルボタン134a、134b(図2)を備えてもよい。トグルボタン134aが押圧されると、例えば超音波発生器102は、最大駆動信号をトランスデューサ120に提供し、これに最大超音波エネルギー出力を生成させてもよい。トグルボタン134bを押圧することにより、超音波発生器102がトランスデューサ120にユーザー選択可能な駆動信号を提供し、よってこれがより小さい最大超音波エネルギー出力を生成してもよい。外科用器具104は、加えて、又はあるいは、例えば、エンドエフェクタ122のジョーを動作させるためのジョークロージャトリガの位置を示すために、第2のスイッチ(図示せず)を備えてもよい。また、いくつかの形態では、超音波発生器102は、ジョークロージャトリガの位置に基づいて起動されてもよい(例えば、臨床医がジョークロージャトリガを押圧して、ジョーを閉じると、超音波エネルギーが印加され得る)。
【0036】
加えて、又はあるいは、1つ又は2つ以上のスイッチは、押圧されると、発生器102にパルス出力を提供させる、トグルボタン134cを備えてもよい。パルスは、例えば、任意の好適な周波数及び分類で提供され得る。ある特定の形態では、パルスの電力レベルは、例えば、トグルボタン134a、134bに関連する電力レベル(最大、最大未満)であってもよい。
【0037】
記載される形態によれば、電気外科/RF発生器駆動回路116は、無線周波数(RF)エネルギーを用いて双極電気外科を実行するのに十分な出力電力を有する駆動信号(複数可)を発生させ得る。双極電気外科用途において、例えば、駆動信号は、例えば、電気外科用器具106の電極に提供され得る。したがって、発生器102は、組織を治療するために十分な電気エネルギーを組織に印加することによって、治療目的のために構成されてもよい(例えば、凝固、焼灼、組織溶接)。
【0038】
発生器102は、例えば、発生器102コンソールの前側パネル上に位置する入力デバイス110(図1)を備え得る。入力装置110は、発生器102の動作をプログラミングするのに好適な信号を生成する、任意の好適な装置を備え得る。動作中、ユーザーは、入力装置110を使用して発生器102の動作をプログラミングないしは別の方法で制御し得る。入力装置110は、発生器によって(例えば、発生器内に収容された1つ又は2つ以上のプロセッサによって)、発生器102の動作(例えば、超音波発生器駆動回路114及び/又は電気外科/RF発生器駆動回路116の動作)を制御するために使用され得る信号を生成する任意の好適な装置を備えてもよい。様々な形態では、入力装置110は、汎用又は専用のコンピュータへのボタン、スイッチ、サムホイール、キーボード、キーパッド、タッチスクリーンモニタ、ポインティングデバイス、リモート接続のうちの1つ又は2つ以上を含む。他の形態では、入力装置110は、例えば、タッチスクリーンモニタ上に表示される1つ又は2つ以上ユーザーインターフェーススクリーンなどの好適なユーザーインターフェースを備えてもよい。したがって、入力装置110を通して、ユーザーは、例えば、超音波発生器駆動回路114及び/又は電気外科/RF発生器駆動回路116により生成された駆動信号(複数可)の電流(I)、電圧(V)、周波数(f)、及び/又は期間(T)などの、発生器の種々の動作パラメータを設定又はプログラムすることができる。
【0039】
発生器102はまた、例えば、発生器102のコンソールの前側パネル上に位置する出力インジケータなどの、出力装置112(図1、3)を備えてもよい。出力装置112は、ユーザーに感覚的フィードバックを提供するための1つ又は2つ以上の装置を含む。かかる装置は、例えば、視覚的フィードバック装置(例えば、視覚的フィードバック装置は、白熱ランプ、発光ダイオード(LED)、グラフィカル・ユーザー・インターフェース、ディスプレイ、アナログインジケータ、デジタルインジケータ、棒グラフ表示、デジタル文字数字表示、液晶ディスプレイ表示スクリーン、LEDインジケータを含み得る)、可聴フィードバック装置(例えば、可聴フィードバック装置は、スピーカ、ブザー、可聴式のコンピュータで生成されたトーン、コンピュータ化されたスピーチ、音声/スピーチプラットフォームを介してコンピュータと相互作用するためのボイスユーザーインターフェース(VUI)を含み得る)、又は触覚的フィードバック装置(例えば、触覚的フィードバック装置は、任意の種類の振動フィードバック、触覚アクチュエータを含む)を含み得る。
【0040】
発生器102のある特定のモジュール、回路、及び/又はブロックが例として記載され得るが、より多くの又はより少ないモジュール、回路、及び/又はブロックが使用されてもよく、依然として本形態の範囲内に入ることが理解され得る。更に、説明を容易にするために、様々な形態がモジュール、回路、及び/又はブロックに関して記載され得るが、このようなモジュール、回路、及び/又はブロックは、1つ又は2つ以上のハードウェア構成要素、例えば、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、特定用途向け集積回路(ASIC)、回路、レジスタ、及び/又はソフトウェア構成要素、例えば、プログラム、サブルーチン、論理、並びに/若しくはハードウェア及びソフトウェア構成要素の組み合わせにより実現され得る。また、いくつかの形態では、本明細書に記載される様々なモジュールは、外科用器具104、106、108内に位置付けられた同様のハードウェアを利用して実現されてもよい(すなわち、発生器102は省かれてもよい)。
【0041】
一形態では、超音波発生器駆動回路114及び電気外科/RF駆動回路116は、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、又はこれらの任意の組み合わせとして実装される1つ又は2つ以上の埋め込みアプリケーションを含んでもよい。駆動回路114、116は、例えば、ソフトウェア、プログラム、データ、ドライバ、アプリケーションプログラムインターフェース(API)などの様々な実行可能なモジュールを備えてもよい。ファームウェアは、ビットマスクされた読み出し専用メモリ(ROM)又はフラッシュメモリのような不揮発性メモリ(NVM)に格納され得る。様々な実現形態では、ファームウェアをROMに格納することにより、フラッシュメモリが保存され得る。NVMは、例えば、プログラミング可能ROM(PROM)、消去可能なプログラミング可能ROM(EPROM)、電気的消去可能なプログラミング可能ROM(EEPROM)、又はダイナミックRAM(DRAM)、ダブルデータレートDRAM(DDRAM)、及び/若しくは同期DRAM(SDRAM)のような電池バックアップ式ランダムアクセスメモリ(RAM)を含む他のタイプのメモリを含み得る。
【0042】
一形態では、駆動回路114、116は、外科用器具104、106、108の様々な測定可能な特性をモニタリングし、かつ外科用器具104、106、108を動作させるための対応する出力制御信号を発生させるためのプログラム命令を実行するために、プロセッサとして実装されるハードウェア構成要素を備える。発生器102が外科用器具104と共に使用される形態では、出力制御信号は、超音波トランスデューサ120を切断及び/又は凝固動作モードで駆動させてもよい。外科用器具104及び/又は組織の電気特性は、発生器102の動作態様を制御するために測定及び使用されてもよく、かつ/又はユーザーへのフィードバックとして提供されてもよい。発生器102が電気外科用器具106と共に使用される形態では、出力制御信号は、電気エネルギー(例えば、RFエネルギー)をエンドエフェクタ124に切断、凝固、及び/又は乾燥モードで供給してもよい。電気外科用器具106及び/又は組織の電気特性は、発生器102の動作態様を制御するために測定及び使用されてもよく、かつ/又はユーザーへのフィードバックとして提供されてもよい。様々な形態では、前述のように、ハードウェア構成要素は、DSP、PLD、ASIC、回路、及び/又はレジスタとして実装されてもよい。一形態では、プロセッサは、コンピュータソフトウェアプログラム命令を記憶及び実行して、超音波トランスデューサ120及びエンドエフェクタ122、124などの外科用器具104、106、108の様々な構成要素を駆動するための出力信号関数を生成するように構成されてもよい。
【0043】
図4は、一形態による図1〜3に示した超音波トランスデューサ120などの超音波トランスデューサの等価回路150を例示する。回路150は、共振器の電気外科特性を規定する、連続的に接続されたインダクタンスL、抵抗R、静電容量Cを有する第1「動作」分岐と、静電容量Cを有する第2容量性分岐とを含む。駆動電流Iは、発生器から駆動電圧Vで受け取られ、動作電流Iは、第1の分岐を通じて流れ、電流I−Iは、容量性分岐を通じて流れる。超音波トランスデューサの電気機械特性の制御は、I及びVを好適に制御することによって達成され得る。上述のように、従来の発生器構造は、並列共振回路内において静電容量Coを共振周波数で調整するための調整インダクタL図4に仮想線で示される)を含んでもよく、それによって発生器の電流出力Iの実質的に全てが動作分岐を流れる。このようにして、動作分岐電流Iの制御は、発生器電流出力Iを制御することによって達成される。調整インダクタLは、超音波トランスデューサの静電容量Cに特有であるが、異なる静電容量を有する異なる超音波トランスデューサは、異なる調整インダクタLを必要とする。更に、調整インダクタLは、共振周波数での静電容量Coの公称値と一致するため、動作分岐電流Iの正確な制御は、この周波数でのみ確保され、トランスデューサの温度と共に周波数が下がると、動作分岐電流の正確な制御は悪化する。
【0044】
図1〜3に示した発生器102の形態は、動作分岐電流Iをモニタリングするために調整インダクタLに依存しない。その代わりに、発生器102は、特定の超音波外科用器具104への電力の印加間の静電容量Cの測定値(それと共に、駆動信号電圧及び電流フィードバックデータ)を使用して、動的かつ継続的に(例えば、リアルタイムで)動作分岐電流Iの値を決定し得る。したがって、発生器102のこのような形態は、任意の周波数で、また静電容量Cの公称値によって決定された共振周波数でなくとも、共振周波数静電容量Cのいかなる値とも同調又は共振するシステムをシミュレートするために仮想同調を提供することができる。
【0045】
図5は、数ある利点の中でも、本明細書に記載されるインダクタなし同調を提供するための、図1〜3に示した発生器102の一形態である発生器200の簡略ブロック図である。発生器102の追加の詳細は、本願と同一譲受人に譲渡され、同時出願された「Surgical Generator For Ultrasonic And Electrosurgical Devices」という表題の米国特許出願第12/896,360号、代理人整理番号END6673USNP/100558に記載されており、この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。図5を参照すると、発生器200は、電力変圧器206を介して非絶縁段階204と通信する患者絶縁段階202を備えてもよい。電力変圧器206の二次巻線208は、絶縁段階202で封じ込められ、例えば、超音波外科用器具104及び電気外科用器具106(図1〜3に図示)などの異なる外科用装置に駆動信号を出力するための駆動信号出力部210a、210b、210cを画定するタップ構成(例えば、センタータップ又は非センタータップ構成)を備えてもよい。具体的には、駆動信号出力部210a、210cは、超音波駆動信号(例えば、420VのRMS駆動信号)を超音波外科用器具104に出力することができ、駆動信号出力部210b、210cは、出力部210bが電力変圧器206のセンタータップに対応して、電気外科用RF駆動信号(例えば、100VのRMS駆動信号)を電気外科用器具106に出力することができる。
【0046】
ある特定の形態では、超音波及び電気外科用駆動信号は、別個の外科用器具に同時に提供されてもよく、かつ/又は多機能外科用器具108(図1及び3)などの、超音波エネルギー及び電気外科用エネルギーの両方を組織に送達する能力を有する単一の外科用器具に提供されてもよい。専用の電気外科用器具に、かつ/又は組み合わされた多機能超音波/電気外科用器具のいずれかに提供される電気外科用信号は、治療量のレベルの信号又は治療量以下のレベルの信号のいずれかであってもよいことが理解されよう。例えば、超音波及び無線周波数信号は、以下でより詳細に論じられるように、所望の出力信号を外科用器具に提供するために、単一の出力ポートを有する発生器から別個に又は同時に送達され得る。したがって、発生器は、超音波エネルギー及び電気外科用RFエネルギーを組み合わせて、組み合わせられたエネルギーを多機能超音波/電気外科用器具に送達することができる。双極電極は、エンドエフェクタの一方又は両方のジョーの上に位置し得る。一方のジョーは、同時に働く、電気外科用RFエネルギーに加えて超音波エネルギーによって駆動されてもよい。超音波エネルギーが組織を切開するために用いられてもよい一方で、電気外科用RFエネルギーは、血管封止に用いられてもよい。
【0047】
非絶縁段階204は、電力変圧器206の一次巻線214と接続された、出力端子を有する電力増幅器212を備えてもよい。ある特定の形態では、電力増幅器212はプッシュプル増幅器を備えてもよい。例えば、非絶縁段階204は、デジタル出力をデジタル−アナログ変換器(DAC)218に供給するための論理デバイス216を更に備えてもよく、デジタル−アナログ変換器(DAC)218は、次いで、対応するアナログ信号を電力増幅器212の入力端子に供給する。ある特定の形態では、論理デバイス216は、数ある論理回路の中で、例えば、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理デバイス(PLD)を含んでもよい。したがって、論理デバイス216は、DAC218を介して電力増幅器212の入力を制御することによって、駆動信号入力部210a、210b、210cで出現する駆動信号の多くのパラメータ(例えば、周波数、波形、波形振幅)のうちのいずれかを制御することができる。ある特定の形態では、以下で論じられるように、論理デバイス216は、プロセッサ(例えば、以下で論じられるデジタル信号プロセッサ)と共に、多数のデジタル信号処理(DSP)ベースの及び/又は他の制御技法を実装して、発生器200によって出力される駆動信号のパラメータを制御し得る。
【0048】
電力は、スイッチ−モード調節器220によって、電力増幅器212の電力レールに供給され得る。ある特定の形態では、スイッチ−モード調節器220は、例えば、調節可能なバック調節器を含み得る。非絶縁段階204は、DSPプロセッサ222などの第1のプロセッサを更に備えることができ、これは、一形態では、例えば、Norwood,MAのAnalog Devicesから入手可能なAnalog Devices ADSP−21469 SHARC DSPなどの、DSPプロセッサを含み得るが、様々な形態では任意の好適なプロセッサが用いられ得る。ある特定の形態では、DSPプロセッサ222は、電力増幅器212からDSPプロセッサ222がアナログ・デジタル変換器(ADC)224を介して受信する、電圧フィードバックデータに応答するスイッチ−モード電力変圧器220の動作を制御し得る。例えば、一形態では、DSPプロセッサ222は、電力増幅器212によって増幅される信号(例えば、RF信号)の波形エンベロープを、ADC 224を介して入力として受信し得る。次いで、DSPプロセッサ222は、電力増幅器212に供給されるレール電圧が、増幅された信号の波形エンベロープを追跡するように、スイッチ−モード調節器220(例えば、パルス幅変調(PWM)出力)を制御し得る。波形エンベロープに基づいて、電力増幅器212のレール電圧を動的に変調することにより、電力増幅器212の効率は、固定レール電圧増幅器スキームに対して顕著に改善され得る。
【0049】
ある特定の形態では、論理デバイス216は、DSPプロセッサ222と共に、直接デジタルシンセサイザ(DDS)制御スキームを実行して、発生器200による駆動信号出力の波形、周波数、及び/又は振幅を制御し得る。一形態では、例えば、論理デバイス216は、FPGAに内蔵され得る、RAM LUTなどの、動的に更新されるルックアップテーブル(LUT)に格納された波形サンプルを呼び出すことによって、DDS制御技法を実行することができる。この制御技法は、超音波トランスデューサ120(図1〜3)などの超音波トランスデューサが、その共振周波数での明瞭な正弦波電流によって駆動され得る、超音波用途において特に有用である。他の周波数が寄生共振を励起し得るため、動作分岐電流の全歪みの最小化又は低減が、これに対応して望ましくない共振効果を最小化又は低減し得る。発生器200よって出力される駆動信号の波形は、出力駆動回路内に存在する様々な歪み源(例えば、電力変圧器206、電力増幅器212)によって影響されるため、駆動信号に基づく電圧及び電流フィードバックデータは、DSPプロセッサ222によって実行される誤差制御技法などの技法に入力され得、これは、動的かつ進行に応じたベース継続的に(例えば、リアルタイムで)、LUTに格納された波形サンプルを好適に事前に歪ませる又は修正することによって、歪みを補償する。一形態では、LUTサンプルに加えられる事前歪みの量又は程度は、計算された動作分岐電流と所望の電流波形との間の誤差に基づく場合があり、誤差は、サンプルごとに決定される。このようにして、予め歪ませたLUTサンプルは、駆動回路により処理される場合、超音波トランスデューサを最適に駆動するために、所望の波形(例えば、正弦波形状)を有する動作分岐駆動信号を生じ得る。このような形態では、LUT波形サンプルはしたがって、駆動信号の所望の波形を表すのではなく、歪み効果を考慮した際の、動作分岐駆動信号の所望の波形を最終的に生成するために必要な波形を表す。
【0050】
非絶縁段階204は、発生器200によって出力される駆動信号の電圧及び電流をそれぞれサンプリングするために、各絶縁変圧器230、232を介して電力変圧器206の出力端子に連結されたADC 226及びADC 228を更に備え得る。ある特定の形態では、ADC 226、228は、駆動信号のオーバーサンプリングを可能にするために、高速(例えば、80MSPS)でサンプリングするように構成され得る。一形態では、例えば、ADC 226、228のサンプリング速度は、駆動信号のおよそ200x(周波数による)のオーバーサンプリングを可能にし得る。ある特定の形態では、ADC 226、228のサンプリング動作は、双方向マルチプレクサを介し、入力電圧及び電流信号を受信する単一のADCによって実施される。発生器200の形態における高速サンプリングの使用はとりわけ、動作分岐を流れる複素電流の算出(これは、本明細書に記載のDDSベースの波形制御を実施するために、ある特定の形態で使用され得る)、サンプリングされた信号の正確なデジタルフィルタリング、及び高度の正確性を有する実質電力消費の算出を可能にし得る。ADC 226、228によって出力される電圧及び電流フィードバックデータは、論理デバイス216によって受信かつ処理され得(例えば、FIFOバッファリング、マルチプレクシング)、例えば、DSPプロセッサ222による、以後の読み出しのために、データメモリに格納されてもよい。上記のように、電圧及び電流フィードバックデータは、動的かつ継続的にLUT波形サンプルを予め歪ませるか又は修正するための技法への入力として使用され得る。ある特定の形態では、これは電圧及び電流フィードバックデータ対が得られる場合に、論理デバイス216によって出力された対応するLUTサンプルに基づき、ないしは別の方法でこれに関連して、各格納された電圧及び電流フィードバックデータ対が索引されることを必要とし得る。LUTサンプルと電圧及び電流フィードバックデータのこの方法による同期は、予歪み技法の正確なタイミング及び安定性に寄与する。
【0051】
ある特定の形態では、電圧及び電流フィードバックデータは、駆動信号の周波数及び/又は振幅(例えば、電流振幅)を制御するために使用され得る。例えば、一形態では、電圧及び電流フィードバックは、インピーダンス相を決定するために使用され得る。駆動信号の周波数はその後、決定されたインピーダンス相とインピーダンス相設定点(例えば、0°)との間の差を最小化又は低減するように制御されてもよく、したがって超音波歪みの効果を最小化又は低減し、これに対応してインピーダンス相測定正確性を向上させる。相インピーダンス及び周波数制御信号の決定は、DSPプロセッサ222で実行されてもよく、例えば、周波数制御信号は、論理デバイス216によって実行されるDDS制御技法への入力として供給される。
【0052】
例えば、別の形態では、駆動信号の電流振幅を電流振幅設定点で維持するために、電流フィードバックデータがモニタリングされ得る。電流振幅設定点は、直接指定されてもよく、又は指定された電圧振幅及び電流設定点に基づいて間接的に決定されてもよい。ある特定の形態では、電流振幅の制御は、例えば、DSPプロセッサ222内のPID制御技法といった、制御技法によって実行され得る。駆動信号の電流振幅を好適に制御するために、制御技法によって制御される変数には、例えば、論理デバイス216に格納されるLUT波形サンプルのスケーリング、及び/又はDAC234を介したDAC218(これは電力増幅器212に入力を供給する)のフルスケール出力電圧が挙げられ得る。
【0053】
非絶縁段階204は、とりわけ、ユーザーインターフェース(UI)機能性を提供するために、UIプロセッサ236などの第2のプロセッサを更に備え得る。一形態では、UIプロセッサ236は例えば、Atmel Corporation(San Jose,CA)から入手可能な、ARM 926EJ−Sコアを有するAtmel AT91SAM9263プロセッサを含み得る。UIプロセッサ236によってサポートされるUI機能性の例としては、例えば、図3に示すように、可聴及び視覚的ユーザーフィードバック、周辺デバイスとの通信(例えば、Universal Serial Bus(USB)インターフェースによる)、フットスイッチ130との通信、入力装置118との通信(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)、及び出力装置112との通信(例えば、スピーカー)が挙げられ得る。UIプロセッサ236は、DSPプロセッサ222及び論理デバイス216(例えば、シリアル周辺インターフェース(SPI)バスを介して)と通信し得る。UIプロセッサ236はUI機能性を主にサポートし得るが、これはまた、ある特定の形態では、DSPプロセッサ222と協調して、危険の緩和を実行し得る。例えば、UIプロセッサ236は、ユーザー入力及び/又は他の入力(例えば、タッチスクリーン入力、フットスイッチ130入力(図3)、温度センサ入力)の様々な態様をモニタリングするようにプログラミングされてもよく、かつ誤った状態が検出される際に、発生器200の駆動出力を無効化し得る。
【0054】
ある特定の形態では、DSPプロセッサ222及びUIプロセッサ236の双方は、例えば、発生器200の動作状態を決定及びモニタリングし得る。DSPプロセッサ222に関し、発生器200の動作状態は、例えば、どの制御及び/又は診断プロセスがDSPプロセッサ222によって実行されるかを表し得る。UIプロセッサ236に関し、発生器200の動作状態は、例えば、ユーザーインターフェース(例えば、ディスプレイスクリーン、音)のどの要素がユーザーに提示されるかを表し得る。対応するDSP及びUIプロセッサ222、236は、発生器200の現在の動作状態を別個に維持し、現在の動作状態からの可能な遷移を、認識及び評価する。DSPプロセッサ222は、この関係におけるマスターとして機能し、動作状態間の遷移が生じるときを決定し得る。UIプロセッサ236は、動作状態間の有効な遷移を認識してもよく、また特定の遷移が適切であるかを確認してもよい。例えば、DSPプロセッサ222が、UIプロセッサ236に特定の状態へと遷移するように命令すると、UIプロセッサ236は、要求される遷移が有効であることを確認し得る。要求される状態間の遷移がUIプロセッサ236によって無効であると決定される場合、UIプロセッサ236は、発生器200を故障モードにし得る。
【0055】
非絶縁段階204は、入力装置110をモニタリングするために、コントローラ238を更に含み得る(例えば、発生器200を入力及び切断するために使用される容量性タッチセンサ、例えば図1及び3に示される容量性タッチスクリーン)。ある特定の形態では、コントローラ238は、少なくとも1つのプロセッサ、及び/又はUIプロセッサ236と通信する他のコントローラデバイスを含み得る。一形態では、例えば、コントローラ238は、1つ又は2つ以上の容量性タッチセンサを介して提供されるユーザー入力をモニタリングするように構成されたプロセッサ(例えば、Atmelから入手可能なMega168 8ビットコントローラ)を含み得る。一形態では、コントローラ238は、容量性タッチスクリーンからのタッチデータの獲得を制御及び管理するための、タッチスクリーンコントローラ(例えば、Atmelから入手可能なQT5480タッチスクリーンコントローラ)を含み得る。
【0056】
ある特定の形態では、発生器200が「電力オフ」状態にあるとき、コントローラ238は、動作電力を受け取り続けてもよい(例えば、発生器200の電源からのラインを介して)。このようにして、コントローラ238は、発生器200を入力及び切断するために、入力装置110(例えば、発生器200の前側パネル上に位置する容量性タッチセンサ)をモニタリングし続けてもよい。発生器200が切断状態にあるとき、コントローラ238は、ユーザーによる「オン/オフ」入力装置110の起動が検出される際に電源を起動し得る(例えば、電源の1つ又は2つ以上のDC/DC電圧変圧器の動作を可能にする)。コントローラ238はしたがって、発生器200を「入力」状態に遷移させるために、シーケンスを開始することができる。逆に、発生器200が入力状態にあるとき、コントローラ238は、「オン/オフ」入力装置110の起動が検出される際に、発生器200を切断状態に遷移するためのシーケンスを開始することができる。例えば、ある特定の形態では、コントローラ238は、「オン/オフ」入力装置110の起動をUIプロセッサ236に報告してもよく、これは、次いで、発生器200の切断状態への遷移のために必要なプロセスシーケンスを実行する。この形態では、コントローラ238は、発生器200の入力状態が確立された後の、それから電力を排除するための別個の能力を有しないことがある。
【0057】
ある特定の形態では、コントローラ238は、ユーザーに入力又は切断シーケンスが開始されたことを警告するために、発生器200に可聴又は他の感覚的フィードバックを提供させ得る。このような警告は、入力又は切断シーケンスの開始時、及びシーケンスと関連する他のプロセスの開始前に提供され得る。
【0058】
ある特定の形態では、絶縁段階202は、例えば、外科用装置の制御回路(例えば、ハンドピーススイッチを含む制御回路)と、非絶縁段階204の構成要素(例えば、プログラミング可能な論理デバイス216、DSPプロセッサ222及び/又はUIプロセッサ236)との間の通信インターフェースを提供するために、器具インターフェース回路240を含んでもよい。器具インターフェース回路240は、例えば、赤外線(IR)ベースの通信リンクなどの、段階202と204との間の好適な度合いの電気的絶縁を維持する通信リンクを介し、非絶縁段階204の構成要素と情報を交換し得る。例えば、非絶縁段階204から駆動される絶縁変圧器によって駆動される、低ドロップアウト電圧調節器を使用して、器具インターフェース回路240に電力が供給され得る。
【0059】
一形態では、器具インターフェース回路240は、信号調整回路242と通信する論理デバイス242(例えば、論理回路、プログラミング可能な論理回路、PGA、FPGA、PLD)を含み得る。信号調整回路244は、同一の周波数を有する双極呼びかけ信号を生成するために、論理回路242から周期信号(例えば、2kHz方形波)を受信するように構成されてもよい。呼びかけ信号は、例えば、差動増幅器により供給される双極電流源を使用して生成され得る。呼びかけ信号は、外科用装置制御回路に伝達され(例えば、発生器200を外科用装置に接続する、ケーブル内の導電対を使用して)、制御回路の状態又は構成を決定するためにモニタリングされ得る。制御回路は、多数のスイッチ、抵抗器、及び/又はダイオードを含んでもよく、制御回路の状態又は構成が1つ又は2つ以上の特性に基づいて個別に識別可能であるように、呼びかけ信号の1つ又は2つ以上の特性(例えば、振幅、整流)を修正してもよい。例えば、一形態では、信号調整回路244は、呼びかけ信号が通過する経路から生じる制御回路の入力にわたって出現する電圧信号のサンプルを生成するため、ADCを含み得る。論理デバイス242(又は、非絶縁段階204の構成要素)はその後、ADCサンプルに基づく制御回路の状態又は構成を決定し得る。
【0060】
一形態では、器具インターフェース回路240は、第1のデータ回路インターフェース246を含み、論理回路242(又は、器具インターフェース回路240の他の要素)と、外科用装置内に配置されるかないしは別の方法で関連する第1のデータ回路との間の情報交換を可能にしてもよい。ある特定の形態では、例えば、第1のデータ回路136(図2)は、発生器200を有する特定の外科用装置タイプ又はモデルとインターフェース接続させるために、外科用装置ハンドピースに一体的に取り付けられたケーブル内、又はアダプタ内に配設されてもよい。第1のデータ回路136は、任意の好適な方法で実装されてもよく、例えば、第1の回路136に関して本明細書に記載されたものを含む任意の好適なプロトコルに従って発生器と通信してもよい。ある特定の形態では、第1のデータ回路は、電気的に消去可能なプログラミング可能読み取り専用メモリ(EEPROM)デバイスなどの、不揮発性記憶デバイスを含み得る。ある特定の形態では、かつ図5を再び参照すると、第1のデータ回路インターフェース246は、論理デバイス242とは別個に実施されてもよく、好適な回路(例えば、別個の論理デバイス、プロセッサ)を含み、プログラミング可能な論理デバイス242と第1のデータ回路との間の通信を可能にし得る。他の形態では、第1のデータ回路インターフェース246は、論理デバイス242と一体であり得る。
【0061】
ある特定の形態では、第1のデータ回路136(図2)は、これを伴う特定の外科用装置に関する情報を格納し得る。このような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用装置が使用された動作数、及び/又は他の種類の情報を含み得る。この情報は、器具インターフェース回路1098によって(例えば、論理デバイス242によって)読み出され、出力装置112(図1及び3)を介したユーザーへの提供のために、かつ/又は発生器200の機能又は動作の制御のために、非絶縁段階204の構成要素(例えば、論理デバイス216、DSPプロセッサ222、及び/又はUIプロセッサ236)に転送され得る。加えて、任意の種類の情報が、第1のデータ回路インターフェース246を介して内部に格納するために、(例えば、論理デバイス242を使用して)第1のデータ回路136に伝達され得る。このような情報は例えば、外科用装置が使用された最新の動作数、並びに/又は、その使用の日付及び/若しくは時間を含み得る。
【0062】
前述のように、外科用器具は、器具の互換性及び/又は廃棄性を促進するために、ハンドピースから取り外し可能であり得る(例えば、図1及び2に示すように、トランスデューサ120及びシャフト126は、超音波外科用器具104のハンドピース105から取り外し可能である)。このような場合、従来の発生器は、使用されている特定の器具構成を認識し、これに対応して制御及び診断プロセスを最適化する能力が制限されている場合がある。しかしながら、この問題に対処するために、外科用装置器具に読み取り可能なデータ回路を追加することは、適合性の観点から問題がある。例えば、必要なデータ読み取り機能性を欠く発生器との後方互換性を保つように外科用装置を設計することは、例えば、異なる信号スキーム、設計複雑性、及び費用のために、実用的でない場合がある。本明細書で論じられる器具の形態は、既存の外科用器具に実装され得るデータ回路を経済的に使用し、外科用装置と最新の発生器プラットフォームとの適合性を維持するための設計変更を最小限にすることによってこれらの懸念に対処する。
【0063】
加えて、図1〜3及び5を参照すると、発生器200の形態は、器具ベースのデータ回路との通信を可能にし得る。例えば、発生器200は、超音波外科用器具104(例えば、及び/又は他の外科用器具106、108)内に収容される第2のデータ回路138と通信するように構成され得る。いくつかの形態では、第2のデータ回路138は、本明細書に記載される第1のデータ回路136のものと類似した多くのものに実装され得る。器具インターフェース回路240は、この通信を可能にする第2のデータ回路インターフェース248を含み得る。一形態では、第2のデータ回路インターフェース248は、トライステートデジタルインターフェースを含み得るが、他のインターフェースも使用され得る。ある特定の形態では、第2のデータ回路は、一般にデータを送信及び/又は受信するための任意の回路であり得る。一形態では、例えば、第2のデータ回路は、第2のデータ回路が関連付けられた特定の外科用器具に関する情報を格納してもよい。このような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用器具が使用された動作数、及び/又は任意の他の種類の情報を含み得る。いくつかの形態では、第2のデータ回路138は、関連トランスデューサ120、エンドエフェクタ122、又は超音波駆動システムの電気的及び/又は超音波的特性に関する情報を格納してもよい。例えば、第1のデータ回路136は、本明細書に記載されるバーンイン周波数スロープを示してもよい。加えて、又はあるいは、第2のデータ回路インターフェース248を介して(例えば、論理デバイス242を使用して)内部に格納するために、第2のデータ回路に任意の種類の情報を伝達してもよい。このような情報は例えば、器具が使用された最新の動作数、並びに/又は、その使用の日付及び/若しくは時間を含み得る。ある特定の形態では、第2のデータ回路は、1つ又は2つ以上のセンサ(例えば、器具ベースの温度センサ)によって取得されたデータを送信してもよい。ある特定の形態では、第2のデータ回路は、発生器200からデータを受信し、受信したデータに基づきユーザーに表示を提供してもよい(例えば、LED表示又は他の可視表示)。
【0064】
ある特定の形態では、第2のデータ回路及び第2のデータ回路インターフェース248は、論理デバイス242と第2のデータ回路との間の通信が、この目的のための追加的な導体(例えば、ハンドピースを発生器200に接続するケーブルの専用導体)の提供を必要とせずにもたらされ得るように構成され得る。例えば、一形態では、情報は、既存のケーブル(例えば、信号調整回路244からハンドピース内の制御回路に呼びかけ信号を伝送するために使用される導体のうちの1つ)で実施される、1ワイヤバス通信スキームを使用して、第2のデータ回路に、かつそれから伝達され得る。このようにして、元来必要であり得る外科用装置の設計変更又は修正が最小化又は低減される。更に、一般的な物理的チャネル上で実施される異なる種類の通信が周波数帯域分離され得るため、第2のデータ回路の存在は、必要なデータ読み取り機能を有しない発生器にとって「不可視」であり、それ故に外科用装置器具の後方互換性を可能にする。
【0065】
ある特定の形態では、絶縁段階202は、直流電流の患者への通過を防ぐために、駆動信号出力210bに接続された、少なくとも1つの阻止コンデンサ250−1を備え得る。単一の阻止コンデンサは、例えば、医学的規制又は基準に準拠することが必要とされる場合がある。単一コンデンサ設計における故障が比較的稀であるが、それでもなおこのような故障は否定的な結果をもたらし得る。一形態では、第2の阻止コンデンサ250−2は、阻止コンデンサ250−1と直列で提供され、阻止コンデンサ250−1と250−2との間の点からの電流漏洩が、漏洩電流により誘発される電圧をサンプリングするために、ADC 252によってモニタリングされる。サンプルは、例えば、論理デバイス242によって受信され得る。漏洩電流の変化に基づき(図5の形態における電圧サンプルによって示される)、発生器200は、阻止コンデンサ250−1及び250−2のうちの少なくとも一方が故障した際にこれを決定し得る。したがって、図5の形態は、単一の破損点を有する単一コンデンサ設計に対して利益を提供する。
【0066】
ある特定の形態では、非絶縁段階204は、好適な電圧及び電流において、DC電力を出力するための、電源254を含み得る。電源は、例えば、48VDCシステム電圧を出力するための、400W電源を含み得る。電源254は、発生器200の様々な構成要素によって必要とされる電圧及び電流において、DC出力を生成するために電源の出力を受信するための、1つ又は2つ以上のDC/DC電圧変換器256を更に含み得る。コントローラ238に関連して上述されるように、DC/DC電圧変換器256の動作又は起動を可能にするために、コントローラ238によってユーザーによる「オン/オフ」入力装置110(図3)の起動が検出されると、DC/DC電圧変換器256のうちの1つ又は2つ以上がコントローラ238からの入力を受信し得る。
【0067】
図1に戻って参照すると、外科用システム100の様々な形態の動作に関する詳細を説明してきたが、上記の外科用システム100の動作について、入力装置110及び発生器102を備える外科用器具を使用して、組織を切断及び凝固させるためのプロセスに関して、更に説明することができる。特定のプロセスが動作の詳細に関連して説明されるが、本明細書で説明される全体的な機能性が外科用システム100によってどのように実施され得るかを示す例をこのプロセスが提供しているにすぎないことは理解できよう。更に、所与のプロセスは、特に指定されない限り、必ずしも本明細書に提示されている順序で実施されなくてもよい。前述のように、入力装置110を使用して、外科用器具104、106、108の出力(例えば、インピーダンス、電流、電圧、周波数)をプログラミングすることができる。
【0068】
図6は、本開示の一態様による駆動システム302の一形態を含む発生器300を例示する。発生器300は、図1及び5に関連して記載される発生器102、200と同様である。発生器300は、超音波トランスデューサを駆動するための駆動超音波電気信号(駆動信号とも称される)を生成する。駆動システム302は可撓性であり、超音波電気出力駆動信号304を、超音波トランスデューサ306を駆動するために望ましい周波数及び電力レベル設定で生成することができる。様々な形態では、発生器300は、モジュール及び/又はブロック等の複数の別個の機能的要素を含み得る。特定のモジュール、回路、及び/又はブロックが一例として説明され得るが、それより多数又は少数のモジュール、回路、及び/又はブロックが使用されてもよく、また依然として実施形態の範囲内に含まれることが明らかとなる。更に、説明を容易にするために、様々な形態がモジュール、回路、及び/又はブロックに関して記述され得るが、このようなモジュール、回路、及び/又はブロックは、1つ又は2つ以上のハードウェア構成要素、例えば、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、特定用途向け集積回路(ASIC)、回路、レジスタ、及び/又はソフトウェア構成要素、例えば、プログラム、サブルーチン、論理、並びに/若しくはハードウェア及びソフトウェア構成要素の組み合わせにより実現され得る。
【0069】
一形態では、発生器300の駆動システム302は、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、又はこれらの任意の組み合わせとして実施される1つ又は2つ以上の埋め込みアプリケーションを含むことができる。駆動システム302は、ソフトウェア、プログラム、データ、ドライバ、アプリケーションプログラムインターフェース(API)などのような様々な実行可能なモジュールを含むことができる。ファームウェアは、ビットマスクされた読み出し専用メモリ(ROM)又はフラッシュメモリのような不揮発性メモリ(NVM)に格納することができる。様々な実現形態では、ファームウェアをROMに格納することにより、フラッシュメモリが保存され得る。NVMは、例えば、プログラミング可能ROM(PROM)、消去可能なプログラミング可能ROM(EPROM)、電気的消去可能なプログラミング可能ROM(EEPROM)、又はダイナミックRAM(DRAM)、ダブルデータレートDRAM(DDRAM)、及び/若しくは同期DRAM(SDRAM)のような電池バックアップ式ランダムアクセスメモリ(RAM)を含む他のタイプのメモリを含み得る。
【0070】
一形態では、駆動システム302は、超音波外科用器具104(図1)の様々な測定可能な特性をモニタリングするため、並びに切断及び/又は凝固動作モードで超音波トランスデューサ306を駆動するための出力信号として様々な機能を生成するためのプログラム命令を実行するためにプロセッサ308として実施されたハードウェア構成要素を備える。当業者であれば、発生器300及び駆動システム302が追加的な構成要素又はより少ない構成要素を備える場合があること、及び正確さと明瞭さのために本明細書には簡易版の発生器300及び駆動システム302だけが記述されていることを理解するであろう。様々な形態では、前述のように、ハードウェア構成要素は、DSP、PLD、ASIC、回路、及び/又はレジスタとして実装されてもよい。一形態では、プロセッサ308は、コンピュータソフトウェアプログラム命令を格納かつ実行して、超音波トランスデューサ306及びエンドエフェクタ、及び/又はブレード340などの超音波外科用器具104(図1)の様々な構成要素を駆動するための出力信号関数を生成するように構成されてもよい。
【0071】
一形態では、1つ又は2つ以上のソフトウェアプログラムルーチンの制御下で、プロセッサ308はここに記述されている形態に従って方法を実行して、様々な時間間隔又は期間(T)にわたる電流(I)、電圧(V)、及び/又は周波数(f)を含む駆動信号の階段状波形によって形成される関数を生成する。それらの駆動信号の階段状波形は、発生器300の駆動信号、例えば、出力駆動電流(I)、電圧(V)、及び/又は周波数(f)を変化させることによって、複数の時間間隔にかけての定数関数の区分的線形の組み合わせを形成することによって生成され得る。時間間隔又は期間(T)は既定(例えば、ユーザーによって固定及び/又はプログラムされる)であっても、可変であってもよい。可変時間間隔は、駆動信号を第1の値に設定し、かつモニタリングされる特性に変化が検出されるまで駆動信号をその値に維持することによって定義され得る。モニタリングされる特性の例としては、例えば、トランスデューサインピーダンス、組織インピーダンス、組織加熱、組織離断、組織凝固などが挙げられ得る。発生器300によって生成される超音波駆動信号は、限定されないが、例えば、プライマリ縦モード及びその高調波、並びに曲げ及びねじれ振動モードのような様々な振動モードで超音波トランスデューサ306を励起することができる超音波駆動信号を含む。
【0072】
一形態では、実行可能なモジュールはメモリに格納された1つ又は2つ以上の技法(複数可)310を備え、この技法によってプロセッサ308は、実行されたときに様々な時間間隔又は期間(T)にわたる電流(I)、電圧(V)、及び/又は周波数(f)を含む駆動信号の階段状波形によって形成される関数を生成する。駆動信号の階段状波形は、発生器300の出力駆動電流(I)、電圧(V)、及び/又は周波数(f)を変化させることによって生成される2つ又は3つ以上の時間間隔にかけての定数関数の区分的線形の組み合わせを形成することによって生成され得る。駆動信号は、1つ又は2つ以上の技法(複数可)310に従って既定の固定時間間隔若しくは期間(T)又は変動時間間隔若しくは期間のいずれかにわたって生成され得る。プロセッサ308の制御下で、発生器300は、既定の期間(T)にわたって、又はモニタリングされる特性(例えば、トランスデューサインピーダンス、組織インピーダンス)における変化のような既定条件が検出されるまで、特定の分解能で電流(I)、電圧(V)、及び/又は周波数(f)を上又は下に変化させる(例えば、経時的にインクリメント又はデクリメントする)。これらの階段は、プログラムされたインクリメント又はデクリメントにおいて変化することができる。他の階段が望まれる場合は、発生器300は、測定されたシステムの特性に基づき適合して階段を増すこと又は減らすことができる。
【0073】
動作に際し、ユーザーは、発生器300のコンソールの前側パネル上に位置する入力デバイス312を使用して発生器300の動作をプログラムすることができる。入力装置312は、プロセッサ308に適用して発生器300の動作を制御することができる信号314を生成する任意の適した装置を備えることができる。様々な形態では、入力装置312は多目的又は専用コンピュータへのボタン、スイッチ、サムホイール、キーボード、キーパッド、タッチスクリーンモニタ、指先指示デバイス、リモート接続を含む。他の形態では、入力装置312は適したユーザーインターフェースを備えることができる。したがって、入力装置312を使用してユーザーは発生器300の出力関数をプログラムするための電流(I)、電圧(V)、周波数(f)、及び/又は期間(T)を設定又はプログラムすることができる。次いで、プロセッサ308は、ライン316で信号を出力インジケータ318に送ることによって、選択された電力レベルを表示する。
【0074】
様々な形態では、出力インジケータ318は視覚的、可聴及び/又は触覚的フィードバックを外科医に提供して、超音波外科用器具104(図1)の測定された特性(例えば、トランスデューサインピーダンス、組織インピーダンス、又は他の、後に説明するような測定値)に基づいて、例えば組織切断及び凝固の完了のような、外科的処置の状態を指示することができる。限定ではなく例示として、視覚的フィードバックには、白熱電灯又は発光ダイオード(LED)、グラフィカル・ユーザー・インターフェース、ディスプレイ、アナログインジケータ、デジタルインジケータ、棒グラフ表示、デジタル文字数字表示を含む、任意のタイプの視覚的指示装置が挙げられる。限定ではなく例示として、可聴フィードバックには、音声/スピーチプラットフォームを介してコンピュータと相互作用するための任意のタイプのブザー、コンピュータで生成されたトーン、コンピュータ化されたスピーチ、ボイスユーザーインターフェース(VUI)が挙げられる。限定ではなく例示として、触覚的フィードバックには、器具ハウジングのハンドルアセンブリを介して提供される任意のタイプの振動フィードバックが挙げられる。
【0075】
一形態では、プロセッサ308は、デジタル電流駆動信号320及びデジタル周波数信号322を生成するように構成又はプログラムされ得る。これらの駆動信号320、322は、超音波トランスデューサ306への出力駆動信号304の振幅及び周波数(f)を調整するために、直接デジタルシンセサイザ(DDS)回路324に適用される。DDS回路324の出力は増幅器326に適用され、増幅器326の出力は変圧器328に適用される。変圧器328の出力は、導波管によってブレード340に連結された超音波トランスデューサ306に適用される出力駆動信号304である。
【0076】
一形態では、発生器300は、超音波外科用器具104(図1)の測定可能な特性をモニタリングするように構成され得る1つ又は2つ以上の測定モジュール又は構成要素を備える。図示の形態では、プロセッサ308を使用して、システムの特性をモニタリング及び算出することができる。図のように、プロセッサ308はトランスデューサ306に供給される電流及び超音波トランスデューサ306に印加される電圧をモニタリングすることによって超音波トランスデューサ306のインピーダンスZを測定する。一形態では、電流検知回路330を使用して、超音波トランスデューサ306に供給される電流を検知し、電圧検知回路332を使用して、超音波トランスデューサ306に印加される出力電圧を検知する。これらの信号は、アナログマルチプレクサ334回路又はスイッチ回路構成を介してアナログ−デジタルコンバータ336(ADC)に適用することができる。アナログマルチプレクサ334は、変換される適切なアナログ信号をADC 336に送る。他の形態では、マルチプレクサ334回路の代わりに複数のADC 336をそれぞれの測定された特性のために使用することができる。プロセッサ308はADC 336のデジタル出力338を受信し、電流及び電圧の測定値に基づいてトランスデューサインピーダンスZを算出する。プロセッサ308は、負荷曲線に対する望ましい電力を生成することができるように出力駆動信号304を調整する。プログラムされた技法310に従って、プロセッサ308は、トランスデューサインピーダンスZに応答して、駆動信号320(例えば電流又は周波数)を任意の適したインクリメント又はデクリメントで変化させることができる。
【0077】
図1に示す外科用システム100の様々な形態の動作に関する詳細を説明してきたが、上記の外科用システム100の動作について、図6を参照して説明される、入力装置110及び駆動システム302のトランスデューサインピーダンス測定能力を備える外科用器具を使用して血管を切断及び凝固させるためのプロセスに関して、更に説明することができる。特定のプロセスが動作の詳細に関連して説明されるが、本明細書で説明される全体的な機能性が外科用システム100によってどのように実施され得るかを示す例をこのプロセスが提供しているにすぎないことは理解できよう。更に、所与のプロセスは、特に指定されない限り、必ずしも本明細書に提示されている順序で実施されなくてもよい。
【0078】
図7は、組織インピーダンスモジュール442を含む発生器400の駆動システムの一態様を例示する。駆動システム402は超音波電気駆動信号404を生成して、超音波トランスデューサ406を駆動する。一形態では、組織インピーダンスモジュール442は、ブレード440とクランプアームアセンブリ444との間に把持された組織のインピーダンスZtを測定するように構成され得る。組織インピーダンスモジュール442は、RF発振器446と、電圧感知回路448と、電流感知回路450と、を備える。電圧感知回路448及び電流感知回路450は、ブレード440の電極に印加されたRF電圧Vrfと、ブレード440の電極、組織、及びクランプアームアセンブリ444の導電部分を通って流れるRF電流irfとに、応答する。電流感知回路430及び電圧感知回路432からの感知電流Irf及び感知電圧Vrfは、アナログマルチプレクサ434を介してADC 436によってデジタル形態に変換される。プロセッサ408はADC 436のデジタル化された出力438を受信し、組織インピーダンスZtを、電圧感知回路448と電流感知回路450によって測定されるRF電圧Vrf対電流Irfの比率を算出することによって決定する。
【0079】
一形態では、プロセッサ408はデジタル電流駆動信号420及びデジタル周波数信号422を生成するように構成又はプログラムされ得る。これらの信号420、422は、トランスデューサ406への電流出力信号404の振幅及び周波数(f)を調整するために、直接デジタルシンセサイザ(DDS)回路424に適用される。DDS回路424の出力は増幅器426に適用され、増幅器426の出力は変圧器428に適用される。変圧器428の出力は、導波管によってブレード440に連結された超音波トランスデューサ406に適用される信号404である。
【0080】
一態様では、内側筋肉層及び組織の離断は、組織インピーダンスZtを検知することによって検出され得る。したがって、組織インピーダンスZtの検出を自動プロセスと統合して、通常なら共振で生じる有意な量の加熱を引き起こさずに、組織を離断する前に内側筋肉層を外膜層から分離することができる。
【0081】
一形態では、ブレード440の電極に印加されたRF電圧Vrfと、ブレード440の電極、組織、及びクランプアームアセンブリ444の導電部分を通って流れるRF電流Irfとは、血管封止及び/又は切開に好適である。したがって、発生器400のRF電力出力は、組織インピーダンス測定などの非治療的機能並びに血管封止及び/又は切開などの治療的機能のために選択され得る。本開示の文脈において、超音波及びRF電気外科用エネルギーが、個々又は同時のいずれかで発生器により供給され得ることが理解されよう。
【0082】
動作に際し、ユーザーは、発生器400のコンソールの前側パネル上に位置する入力デバイス412を使用して発生器400の動作をプログラムすることができる。入力装置412は、プロセッサ408に適用して発生器400の動作を制御することができる信号414を生成する任意の適した装置を備えることができる。様々な形態では、入力装置412は多目的又は専用コンピュータへのボタン、スイッチ、サムホイール、キーボード、キーパッド、タッチスクリーンモニタ、指先指示デバイス、リモート接続を含む。他の形態では、入力装置412は適したユーザーインターフェースを備えることができる。したがって、入力装置412を使用してユーザーは発生器400の関数出力をプログラムするための電流(I)、電圧(V)、周波数(f)、及び/又は期間(T)を設定又はプログラムすることができる。次いで、プロセッサ408は、ライン416で信号を出力インジケータ418に送ることによって、選択された電力レベルを表示する。
【0083】
様々な形態では、フィードバックは、出力インジケータ418によって提供される。出力インジケータ418は、エンドエフェクタによって操作されている組織がユーザーの視野から外れており、組織の状態の変化がいつ発生するかをユーザーが見ることができない用途で特に有用である。出力インジケータ418は、組織状態における変化が生じたことをユーザーに通信する。上述のように、出力インジケータ418は、視覚的、可聴、及び/又は触覚的フィードバックを含むが、それらに限定されない様々な種類のフィードバックをユーザーに提供して、組織が組織の状態又は条件の変化を経たことをユーザー(例えば、外科医、医師)に示すように構成され得る。限定ではなく例示として、上述のように、視覚的フィードバックには、白熱電灯又はLED、グラフィカル・ユーザー・インターフェース、ディスプレイ、アナログインジケータ、デジタルインジケータ、棒グラフ表示、デジタル文字数字表示を含む、任意のタイプの視覚的指示装置が挙げられる。限定ではなく例示として、可聴フィードバックには、音声/スピーチプラットフォームを介してコンピュータと相互作用するために任意のタイプのブザー、コンピュータで生成されたトーン、コンピュータ化されたスピーチ、VUIが挙げられる。限定ではなく例示として、触覚的フィードバックには、器具ハウジングのハンドルアセンブリを介して提供される任意のタイプの振動フィードバックが挙げられる。組織の状態の変化は、先に記載したトランスデューサ及び組織インピーダンス測定値に基づいて決定されてもよく、又は電圧、電流、及び周波数測定値に基づいて決定されてもよい。
【0084】
一形態では、コンピュータ読み取り可能な命令を含む様々な実行可能なモジュール(例えば、アルゴリズム410)が、発生器400のプロセッサ408部分によって実行され得る。様々な形態では、その技法に関して記述される動作は、1つ又は2つ以上のソフトウェア構成要素、例えば、プログラム、サブルーチン、論理;1つ又は2つ以上のハードウェア構成要素、例えば、プロセッサ、DSP、PLD、ASIC、回路、レジスタ、並びに/又はソフトウェア及びハードウェアの組み合わせとして実装され得る。一形態では、技法を実施するために実行可能な命令は、メモリに格納されてもよい。実行されると、それらの命令は、プロセッサ408が、組織の状態の変化を決定し、出力インジケータ418によってユーザーにフィードバックを提供することを可能にする。そのような実行可能な命令に従って、プロセッサ408は発生器400から入手可能な電圧、電流、及び/又は周波数の信号サンプルをモニタリング及び評価し、そのような信号サンプルの評価に従って、組織の状態の変化が生じたかどうかを決定する。下記に詳述するように、組織の状態の変化は、超音波器具のタイプと、その器具が受けている電力レベルとに基づいて決定され得る。フィードバックに応答して、超音波外科用器具の動作モードはユーザーによって制御され得るか、又は自動的若しくは半自動的に制御され得る。
【0085】
上述の通り、単一の出力発生器は、RFエネルギー及び超音波エネルギーの両方を、単一のポートを通して送達することができ、これらの信号は、組織を治療するために、エンドエフェクタに別個に又は同時に送達され得る。単一の出力ポートの発生器は、実行される組織の治療の種類に応じて、電力、RFエネルギー又は超音波エネルギーのいずれかをエンドエフェクタに提供するために、複数のタップを有する単一出力変圧器を含み得る。例えば、発生器は、超音波トランスデューサを駆動するために高電圧かつ低電流で、組織封止のための電極を駆動するのに必要とされる低電圧かつ高電流で、又は単極若しくは双極電気外科用電極のいずれかを用いてのスポット凝固のための凝固波形で、エネルギーを送達することができる。発生器からの出力波形は、誘導され、切り替えられ、又はフィルタ処理されて、所望の周波数を外科用器具のエンドエフェクタに提供し得る。
【0086】
図8は、複数のエネルギーモダリティを外科用器具に送達するための発生器500の一例を例示する。発生器500は、図1に関連して説明された発生器102と同様であり、図5〜7に示した発生器200、300、400の機能性を含む。以降の開示の簡潔性及び明瞭性のために、高レベルブロック図表現である、様々な論理フロー図が、発生器500に関連して説明される。したがって、発生器500に関連して以降に説明される論理フロー図を理解しかつ実践するのに必要とされ得る追加的な細目のために、本読者は、図5〜7の発生器200、300、400の機能的ブロックの説明に向けられる。
【0087】
図8に戻ると、発生器500は、エネルギーを外科用器具に送達するための無線周波数信号及び超音波信号を提供する。無線周波数信号及び超音波信号は、単独で、又は組み合わせて提供されてもよく、また同時に提供されてもよい。上述の通りに、少なくとも1つの発生器出力は、単一のポートを通じて複数のエネルギーモダリティ(例えば、とりわけ、超音波双極又は単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法、並びに/又はマイクロ波エネルギー)を送達することができ、これらの信号は、組織を治療するために、別個に、又は同時にエンドエフェクタに送達され得る。発生器500は、波形発生器504に連結されたプロセッサ502を備える。プロセッサ502及び波形発生器504は、プロセッサ502に連結されたメモリに格納された情報(開示を明瞭にするために示されず)に基づいて、様々な信号波形を発生するように構成されている。波形に関連するデジタル情報は、1つ又は2つ以上のデジタル・アナログ変換器(DAC)を含む波形発生器504に提供され、デジタル入力をアナログ出力に変換する。アナログ出力は、信号調節及び増幅のために、増幅器1106に供給される。増幅器506の調節かつ増幅された出力は、電力変圧器508に連結される。信号は、電力変圧器508にわたって患者絶縁側にある二次側に連結される。第1のエネルギーモダリティの第1の信号は、ENERGY1及びRETURNとラベルされた端子間の外科用器具に提供される。第2のエネルギーモダリティの第2の信号は、コンデンサ510にわたって連結され、ENERGY2及びRETURNとラベルされた端子間の外科用器具に提供される。2つを超えるエネルギーモダリティが出力されてもよく、したがって添え字「n」は、最大n個のENERGYn端子が提供され得ることを表示するために使用することができ、このnは、1超の正の整数であることが理解されよう。最大「n」個のリターンパス(RETURNn)が、本開示の範囲から逸脱することなく提供されてもよいことも理解されよう。
【0088】
第1の電圧感知回路512は、ENERGY1及びRETURNパスとラベルされた端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。第2の電圧感知回路524は、ENERGY2及びRETURNパスとラベルされた端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。電流感知回路514は、いずれかのエネルギーモダリティの出力電流を測定するために、図示した電力変圧器508の二次側のRETURN区間と直列に配設される。異なるリターンパスが各エネルギーモダリティに対して提供される場合、別個の電流感知回路が、各リターン区間で提供されねばならない。第1及び第2の電圧感知回路512、524の出力が対応の絶縁変圧器516、522に提供され、電流感知回路514の出力は、別の絶縁変圧器518に提供される。電力変圧器508の一次側(非患者絶縁側)上における絶縁変圧器516、518、522の出力は、1つ又は2つ以上のアナログ・デジタル変換器526(ADC)に提供される。ADC 526のデジタル化された出力は、更なる処理及び算出のためにプロセッサ502に提供される。出力電圧及び出力電流のフィードバック情報は、外科用器具に提供される出力電圧及び電流を調整するために、またいくつかあるパラメータの中で出力インピーダンスを計算するために使用され得る。プロセッサ502と患者絶縁回路との間の入力/出力通信は、インターフェース回路520を通して提供される。センサはまた、インターフェース520を介してプロセッサ502と電気通信してもよい。
【0089】
一態様では、インピーダンスは、ENERGY1/RETURNとラベルされた端子にわたって連結された第1の電圧感知回路512、又はENERGY2/RETURNとラベルされた端子にわたって連結された第2の電圧感知回路524を、電力変圧器508の二次側のRETURN区間と直列に配設された電流感知回路514の出力で除することによって、プロセッサ502により決定され得る。第1及び第2の電圧感知回路512、524の出力が別個の絶縁変圧器516、522に提供され、電流感知回路514の出力は、別の絶縁変圧器516に提供される。ADC 526からのデジタル化された電圧及び電流感知測定値は、インピーダンスを計算するためにプロセッサ502に提供される。一例として、第1のエネルギーモダリティENERGY1は、超音波エネルギーであってもよく、第2のエネルギーモダリティENERGY2は、RFエネルギーであってもよい。それでも、超音波エネルギーモダリティ及び双極若しくは単極RFエネルギーモダリティに加えて、他のエネルギーモダリティには、数ある中でも不可逆並びに/又は可逆電気穿孔法及び/若しくはマイクロ波エネルギーが挙げられる。また、図8に例示された例は、単一のリターンパス(RETURN)が2つ又は3つ以上のエネルギーモダリティに提供され得ることを示しているが、他の態様では、複数のリターンパスRETURNnが、各エネルギーモダリティENERGYnに提供されてもよい。したがって、本明細書に記載されるように、超音波トランスデューサのインピーダンスは、第1の電圧感知回路512の出力を電流感知回路514の出力で除することによって測定されてもよく、組織のインピーダンスは、第2の電圧感知回路524の出力を電流感知回路514の出力で除することによって測定されてもよい。
【0090】
図8に示すように、少なくとも1つの出力ポートを備える発生器500は、実行される組織の治療の種類に応じて、とりわけ、超音波、双極若しくはモノモーラRF、不可逆並びに/又は可逆電気穿孔法、及び/若しくはマイクロ波エネルギーなどの1つ又は2つ以上のエネルギーモダリティの形態で電力を、例えば、エンドエフェクタに提供するために、単一の出力部を有しかつ複数のタップを有する電力変圧器508を含むことができる。例えば、発生器500は、超音波トランスデューサを駆動するために高電圧かつ低電流で、組織封止のためのRF電極を駆動するために低電圧かつ高電流で、又は単極若しくは双極RF電気外科用電極のいずれかを用いてのスポット凝固のための凝固波形で、エネルギーを送達することができる。発生器500からの出力波形は、誘導され、切り替えられ、又はフィルタ処理されて、周波数を外科用器具のエンドエフェクタに提供し得る。超音波トランスデューサの発生器500の出力部への接続部は、好ましくは、図8に示したENERGY1とラベルされた出力部とRETURNとラベルされた出力部との間に位置するであろう。一例では、RF双極電極の発生器500の出力部への接続部は、好ましくは、ENERGY2とラベルされた出力部とRETURNとラベルされた出力部との間に位置するであろう。単極出力の場合、好ましい接続部は、ENERGY2出力部及びRETURN出力部に接続された好適なリターンパッドへの活性電極(例えば、ペンシル型又は他のプローブ)であろう。
【0091】
他の態様では、図1〜3及び5〜8に関連して説明された発生器102、200、300、400、500、図3に関連して説明された超音波発生器駆動回路114、及び/又は電気外科/RF駆動回路116は、図1及び2に関連して説明された外科用器具104、106、108のうちのいずれか1つで一体に形成されてもよい。したがって、発生器102、200、300、400、500のうちのいずれか1つに関連して説明されたプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、回路、コントローラ、論理デバイス、ADC、DAC、増幅器、変換機、変圧器、信号調整器、データインターフェース回路、電流並びに電圧感知回路、直接デジタル合成回路、マルチプレクサ(アナログ若しくはデジタル)、波形発生器、RF発生器、メモリ等は、外科用器具104、106、108内に位置し得るか、又は外科用器具104、106、108からは遠隔に位置し、有線及び/若しくは無線の電気的接続を介して外科用器具に連結されてもよい。
【0092】
発生器からの送達のためのエネルギーを表す波形の例を、図9〜13に例示する。図9は、比較の目的で、同じ時間及び電圧スケールで重ね合わされたRF出力信号602及び超音波出力信号604を表す第1及び第2の個々の波形を示す例示のグラフ600を図示している。これらの出力信号602、604は、図8に示した発生器500のENERGY出力部において提供されるものである。時間(t)を水平軸に沿って示し、電圧(V)を垂直軸に沿って示す。RF出力信号602は、約330kHzのRFの周波数及び±1Vのピーク間電圧を有する。超音波出力信号604は、約55kHzの周波数及び±1Vのピーク間電圧を有する。水平軸に沿っての時間(t)スケール及び垂直軸に沿っての電圧(V)スケールは、比較の目的に正規化され、異なる実際の実装であり得るか、又は電流などの他の電気的パラメータを表してもよいことが理解されよう。
【0093】
図10は、図9に示した2つの出力信号602、604の和を示す例示のグラフ610を図示している。時間(t)を水平軸に沿って示し、電圧(V)を垂直軸に沿って示す。図9に示したRF出力信号602及び超音波出力信号604の和は、図9に示した元々のRF信号及び超音波信号(1Vのピーク間電圧)の2倍の振幅である2Vのピーク間電圧を有する組み合わせ出力信号612を生成する。元々の振幅の2倍の振幅は、出力の歪み、飽和、クリッピング、又は出力構成要素への応力などの、発生器の出力部で問題を引き起こし得る。したがって、複数の治療構成要素を有する単一の組み合わせ出力信号612の管理は、図8に示した発生器500の重要な態様である。この管理を得るために様々な方法がある。一形態では、2つのRF出力信号又は超音波出力信号602、604のうちの1つは、他の出力信号のピークに依存し得る。
【0094】
例えば、図11は、図9に示した出力信号602、604の依存和を表す組み合わせ出力信号622を示す例示のグラフ620を図示する。時間(t)を水平軸に沿って示し、電圧(V)を垂直軸に沿って示す。図11に示すように、図9のRF出力信号602構成要素は、依存和組み合わせ出力信号622のRF出力信号構成要素の振幅が、超音波ピークが予想され得るときに減少するように、図9の超音波出力信号604構成要素のピークに依存する。図11における例示のグラフ620に示すように、これらのピークは2から1.5まで減少している。別の形態では、出力信号のうちの1つは、他の出力信号の関数である。
【0095】
例えば、図11は、図9に示した出力信号602、604の依存和を表す出力信号632を示す例示のグラフ630を図示する。時間(t)を水平軸に沿って示し、電圧(V)を垂直軸に沿って示す。図12に示すように、RF出力信号は、超音波出力信号の関数である。これが、出力の振幅に対してハードリミットを提供する。図12に示すように、超音波出力信号が正弦波として抽出可能である一方で、RF出力信号は、歪みを有するが、RF出力信号の凝固性能に多少なりとも影響を及ぼすものではない。
【0096】
様々な他の技法が、出力信号の波形を圧縮及び/又は制限するために使用され得る。RF出力信号602が、神経筋刺激を回避するように安全な患者レベルのために低周波数構成要素を有する限り、超音波出力信号604(図9)の整合性は、RF出力信号602(図9)の整合性よりも重要であり得ることに留意するべきである。別の形態では、RF波形の周波数は、波形のピークを管理するために、継続的に変化させることが可能である。図13に示したグラフ640に例示されるような凝固型波形644などのより複雑なRF波形が本システムで実行されるために、波形の制御は重要である。ここでも、時間(t)を水平軸に沿って示し、電圧(V)を垂直軸に沿って示す。
【0097】
図14〜42(26〜54)は、本明細書に記載される様々な適応性組織同定及び治療技法の実行を容易にするために組織パラメータを測定するためのセンサ、回路、及び技法の様々な構成を例示する。図14は、クランプアーム702上に位置するRFデータセンサ706、708a、708bを含むエンドエフェクタ700の一態様を例示する。エンドエフェクタ700は、クランプアーム702と、超音波ブレード704とを備える。クランプアーム702は、クランプアーム702と超音波ブレード704との間に位置する組織710を固定して示されている。第1のセンサ706は、クランプアーム702の中央部に位置する。第2及び第3のセンサ708a、708bは、クランプアーム702の外側部に位置する。センサ706、708a、708bは、クランプアーム702に固定的に取り付けられるように構成されたフレキシブル回路712(図15により具体的に示し、より具体的には、図17及び18に示した分割されたフレキシブル回路800、900)上に取り付けられるか、又はフレキシブル回路と一体に形成される。
【0098】
エンドエフェクタ700は、図1及び2に示した多機能外科用器具108のための例示のエンドエフェクタである。センサ706、708a、708bは、例えば、図8に示した発生器500などのエネルギー源に電気的に接続される。センサ706、708a、708bは、発生器内の好適な供給源によって通電され、センサ706、708a、708bによって生成された信号は、発生器500のアナログ及び/又はデジタル処理回路に提供される。
【0099】
一態様では、第1のセンサ706は、クランプアーム702によって組織710に加えられた垂直力Fを測定するための力センサである。第2及び第3のセンサ708a、708bは、組織710にRFエネルギーを印加し、パラメータの中でもとりわけ、組織インピーダンス、下向きの力F、横力F、及び温度を測定するために、1つ又は2つ以上の要素を含む。電極709a、709bは、発生器に電気的に連結され、RFエネルギーを組織710に印加する。一態様では、第1のセンサ706と第2及び第3のセンサ708a、708bとは、力又は単位面積当たりの力を測定するための歪みゲージである。下向きの力F、横向きの力F、及び垂直力Fの測定値は、力センサ706、708a、708bがその上に作用している表面積を決定することによって、圧力に容易に変換され得ることが理解されよう。更に、本明細書に詳細に記述するように、フレキシブル回路712は、フレキシブル回路712の1つ又は2つ以上の層内に埋め込まれた温度センサを備えてもよい。1つ又は2つ以上の温度センサは、対称的に又は非対称的に配置されてもよく、発生器の制御回路に組織710の温度フィードバックを提供してもよい。
【0100】
図15は、センサ706、708a、708bがフレキシブル回路712に取り付けられ得るか、又はフレキシブル回路712と一体に形成され得る、図14に示したフレキシブル回路712の一態様を例示する。フレキシブル回路712は、クランプアーム702に固定的に取設されるように構成されている。図15に詳細に示すように、非対称型温度センサ714a、714bは、フレキシブル回路712に取り付けられ、組織710(図14)の温度を測定することを可能にする。
【0101】
図16は、図15に示されるフレキシブル回路712の断面図である。フレキシブル回路712は、クランプアーム702に固定的に取設される多層を含む。フレキシブル回路712の最上層は、電極709aであり、この電極は、発生器102、200、300、400、500(図1〜3及び4〜8)などのエネルギー源に電気的に連結され、RFエネルギーを組織710(図14)に印加する。電気絶縁層718が電極709a層の下に設けられ、センサ714a、706、708aを電極709aから電気的に絶縁する。温度センサ714aは、電気絶縁層718の下に配設される。第1の力(圧力)センサ706は、温度センサ714aを収容する層の下に、かつ圧縮層720の上に位置する。第2の力(圧力)センサ708aは、圧縮層720の下に、かつクランプアーム702フレームの上に位置する。
【0102】
図17は、エンドエフェクタのクランプアーム804に固定的に取設されるように構成された分割されたフレキシブル回路800の一態様を例示する。分割されたフレキシブル回路800は、例えば、図14〜16に関連して本明細書に記載される、局所的な組織制御を提供するために、個々のアドレス可能なセンサを含む遠位セグメント802aと外側部セグメント802b、802cとを備える。セグメント802a、802b、802cは、セグメント802a、802b、802cの各々の内部に位置する個々のセンサに基づいて、組織を治療するために、また組織パラメータを測定するために個々にアドレス可能である。分割されたフレキシブル回路800のセグメント802a、802b、802cは、クランプアーム804に取り付けられ、また発生器102、200、300、400、500(図1〜3及び4〜8)などのエネルギー源に、導電性要素806を介して電気的に連結される。ホール効果センサ808、又は任意の好適な磁気センサが、クランプアーム804の遠位端に位置する。ホール効果センサ808は、クランプアーム804によって画定された開口(さもなければ、図19に詳細に示される、組織間隙と称され得る)の測定値を提供するために、磁石と共に動作する。
【0103】
図18は、エンドエフェクタのクランプアーム904に取り付けられるように構成された分割されたフレキシブル回路900の一態様を例示する。分割されたフレキシブル回路1900は、例えば、図14〜17に関連して本明細書に記載される、組織制御のための個々のアドレス可能なセンサを含む遠位セグメント902aと外側部セグメント902b、902cとを備える。セグメント902a、902b、902cは、組織を治療するために、またセグメント902a、902b、902cの各々の内部に位置する個々のセンサを読み取るために、個々にアドレス可能である。分割されたフレキシブル回路900のセグメント902a、902b、902cは、クランプアーム904に取り付けられ、また発生器102、200、300、400、500(図1〜3及び4〜8)などのエネルギー源に、導電性要素906を介して電気的に連結される。ホール効果センサ908、又は他の好適な磁気センサが、クランプアーム904の遠位端に設けられている。ホール効果センサ908は、図19に詳細に示されるエンドエフェクタのクランプアーム904によって画定された開口又は組織間隙の測定値を提供するために、磁石と共に動作する。加えて、複数の外側部非対称型温度センサ910a、910bは、分割されたフレキシブル回路900上に取り付けられるか、形式上、分割されたフレキシブル回路900と一体化され、組織温度フィードバックを発生器の制御回路に提供する。
【0104】
図19は、組織間隙Gを測定するように構成されたエンドエフェクタ1000の一態様を例示する。エンドエフェクタ1000は、ジョー部材1002とクランプアーム904とを備える。図18に記載されるフレキシブル回路900は、クランプアーム904に取り付けられている。フレキシブル回路900は、ジョー部材1002に取り付けられた磁石1004と動作して組織間隙Gを測定する、ホール効果センサ908を備える。この技法は、クランプアーム904とジョー部材1002との間に画定された開口を測定するために使用され得る。ジョー部材1002は、超音波ブレードであってもよい。
【0105】
図20は、左から右に分割されたフレキシブル回路1100の一態様を例示する。左から右に分割されたフレキシブル回路1100は、左から右に分割されたフレキシブル回路1100の左側の複数のセグメントL1〜L5及び左から右に分割されたフレキシブル回路1100の右側の複数のセグメントR1〜R5を含む。セグメントL1〜L5及びR1〜R5は各々、各セグメントL1〜L5及びR1〜R5内の組織パラメータを局所的に感知するために、温度センサ及び力センサを含む。左から右に分割されたフレキシブル回路1100は、セグメントL1〜L5及びR1〜R5の各々の内部で局所的に感知された組織パラメータに基づいて、RF治療エネルギーに影響を及ぼすように構成されている。
【0106】
図21は、図20に示す分割されたフレキシブル回路1100を含むエンドエフェクタ1200の一態様を例示する。エンドエフェクタ1200は、クランプアーム1202と、超音波ブレード1204とを備える。分割されたフレキシブル回路1100は、クランプアーム1202に取り付けられている。セグメント1〜5の内部に配設されたセンサは各々、クランプアーム1202と超音波ブレード1204との間に位置付けられた組織の存在を検出し、組織ゾーン1〜5を表すように構成されている。図21に示した構成において、エンドエフェクタ1200は、クランプアーム1202と超音波ブレード1204との間に組織を受け取るか、又は把持する準備ができている開放位置で示されている。
【0107】
図22は、クランプアーム1202がクランプアーム1202と超音波ブレード1204との間に組織1206を固定している、図21に示すエンドエフェクタ1200を例示する。図22に示すように、組織1206は、セグメント1〜3の間に位置付けられ、組織ゾーン1〜3を表す。したがって、組織1206は、セグメント1〜3内のセンサによって検出され、組織の不在(空の場合)は、セグメント4〜5によってセクション1208で検出される。ある特定のセグメント1〜3及び4〜5内に位置付けられた組織1206の存在及び不在に関する情報は、それぞれ、発生器102、200、300、400、500(図1〜3及び4〜8)などの発生器の制御回路に通信される。発生器500は、組織1206が検出されているセグメント1〜3のみに通電するように構成されており、組織が検出されていないセグメント4〜5には通電しない。セグメント1〜5は、ある特定のセグメント1〜5内に位置する組織の組織パラメータを測定するための任意の好適な温度、力/圧力、及び/又はホール効果磁気センサと、ある特定のセグメント1〜5内に位置する組織にRFエネルギーを送達するための電極とを収容してもよいことが理解されよう。
【0108】
図23は、局所的に感知された組織パラメータに基づいて、エンドエフェクタの右側及び左側によって印加されたエネルギーのグラフ1300を例示する。本明細書で論じられるように、エンドエフェクタのクランプアームは、例えば、図14〜22に示したクランプアームの右側及び左側に沿って、とりわけ、温度センサ、力/圧力センサ、ホール効果センサを備えてもよい。したがって、RFエネルギーは、クランプジョーと超音波ブレードとの間に位置付けられた組織に選択的に印加され得る。上部のグラフ1302は、局所的に感知された組織パラメータに基づいて、クランプアームの右側セグメントに印加された電力Pに対する時間(t)を描写する。したがって、発生器102、200、300、400、500(図1〜3及び4〜8)などの発生器は、感知された組織パラメータを測定し、電力Pをクランプアームの右側セグメントに印加するように構成されている。発生器500は、右側セグメントを介して初期電力レベルPを組織に送達し、次いで1つ又は2つ以上のセグメントにおける組織パラメータ(温度、力/圧力、厚さ)の局所的な感知に基づいて、電力レベルをPまで低下させる。底部のグラフ1304は、局所的に感知された組織パラメータに基づいて、クランプアームの左側セグメントに印加された電力Pに対する時間(t)を描写する。発生器500は、左側セグメントを介してPの初期電力レベルを組織に送達し、次いで組織パラメータ(例えば、温度、力/圧力、厚さ)の局所的な感知に基づいて、電力レベルをPまで上昇させる。底部グラフ1304に描写するように、発生器は、組織パラメータ(例えば、温度、力/圧力、厚さ)の感知に基づいて、送達されたエネルギーPを再調整するように構成されている。
【0109】
図24は、連続性、温度、圧力などの二次組織パラメータの測定に起因する閾値の調整の一態様を描写するグラフ1400を例示する。グラフ1400の水平軸は時間(t)であり、垂直軸は組織インピーダンス(Z)である。曲線1412は、異なるエネルギーモダリティが組織に適用されたときの組織インピーダンス(Z)の時間(t)に対する変化を表す。更に図20〜22を参照すると、元々の閾値1402は、組織が全ての5つのセグメント1〜5(組織ゾーン1〜5)で検出されたときに適用され、調整された閾値1404は、組織が組織セグメント1〜3(組織ゾーン1〜3)で検出されたときに適用される。したがって、組織が特定のセグメント(ゾーン)内に位置すると、発生器の制御回路は、それに応じて閾値を調整する。
【0110】
図24に示すように、曲線1412は、3つの別個のセクション1406、1408、1410を含む。曲線1412の第1のセクション1406は、RFエネルギーが、組織インピーダンスが調整された閾値1404を下回るまで組織ゾーン1〜3内の組織に印加される時間を表す。組織封止が完了していることを示す点1414において、組織ゾーン1〜3に適用されるエネルギーモダリティは、RFエネルギーから超音波エネルギーに変化する。次いで、超音波エネルギーが、第2及び第3のセクション1408、1410に印加され、インピーダンスは、組織が切り離されるか又は切断されるまで指数的に上昇する。
【0111】
図25は、フレキシブル回路1500内に埋め込まれたRF電極及びデータセンサを含むフレキシブル回路1500の一態様の断面図である。フレキシブル回路1500は、金属などの導電性材料から作成される、RFクランプアーム1502の右又は左部分に取り付けられ得る。RFクランプアーム1502の下に、下向きの力/圧力センサ1506a、1506bが、ラミネート層1504の下に埋め込まれている。横力/圧力センサ1508は、下向きの力/圧力センサ1506a、1506b層の下に位置し、温度センサ1510は、横力/圧力センサ1508の下に位置する。電極1512は、発生器に電気的に連結され、RFエネルギーを組織1514に印加するように構成されており、温度センサ1510の下に位置する。
【0112】
図26は、クランプアームと超音波ブレードとの間に位置する組織に加えられた力又は圧力を感知するように構成されたエンドエフェクタ1600の一態様の断面図である。エンドエフェクタ1600は、クランプジョー1602と、クランプアーム1602に固定的に取り付けられたフレキシブル回路1604とを備える。クランプアーム1602は、力F及びFを、可変密度及び厚さの組織1606に加え、これらの力は、フレキシブル回路1604の異なる層に位置する第1及び第2の力/圧力センサ1608、1610によって測定され得る。圧縮層1612は、第1及び第2の力/圧力センサ1608、1610の間に挟まれている。電極1614は、組織に接触するフレキシブル回路1604の外側部分上に位置する。本明細書に記載したように、フレキシブル回路1604の他の層は、例えば温度センサ、厚さセンサ等の追加のセンサを備えてもよい。
【0113】
図27〜29は、信号層のフレキシブル回路、センサ配線、及びRFエネルギー駆動回路の様々な概略図を例示する。図27は、フレキシブル回路1700の信号層の一態様の概略図である。フレキシブル回路1700は、複数の層を含む(例えば、約4〜約6個の)。1つの層は、集積回路に電力を供給し、別の層は接地を有するであろう。2つの追加の層は、RF電力RF1及びRF2を別々に運ぶであろう。アナログマルチプレクサスイッチ1702は、ICバスを通して制御され得る8つの双方向変換スイッチを有する。SCL/SDA上流対は、8つの下流対、又はチャネルに拡がる。任意の個々のSCn/SDnチャネル又はチャネルの組み合わせは、プログラマブル制御レジスタの内容によって、選択され、決定され得る。上流対SCL/SDAは、発生器内の制御回路に接続される。6つの下流センサがあり、その3つはクランプアームの両側にある。第1の側1704aは、第1の熱電対1706a、第1の圧力センサ1708a、及び第1のホール効果センサ1710aを備える。第2の側1704bは、第2の熱電対1706b、第2の圧力センサ1708b、及び第2のホール効果センサ1710bを備える。図28は、図27に示すフレキシブル回路1700のセンサ配線の概略図1750である。
【0114】
図29は、RFエネルギー駆動回路1800の一態様の概略図である。RFエネルギー駆動回路1800は、図27に関連して記載されたアナログマルチプレクサ1702を備える。アナログマルチプレクサは、上流チャネルSCL/SDAからの様々な信号を多重化する。電流センサ1802は、電源回路のリターン又は接地区間と直列に連結され、電源により供給される電流を測定する。FET温度センサ1804は周囲温度で提供される。パルス幅変調(PWM)ウォッチドッグタイマ1808は、主プログラムが定期的なサービス提供を怠る場合にシステムリセットを自動的に生じさせる。これは、ソフトウェア又はハードウェアの故障のため、これがハングすると、RFエネルギー駆動回路1800を自動的にリセットするために設けられている。
【0115】
駆動回路1806は、左右のRFエネルギー出力部に設けられている。デジタル信号は、発生器の制御回路からアナログマルチプレクサ1702のSCL/SDA入力部に提供される。デジタル・アナログ変換器(DAC)は、デジタル入力をアナログ出力に変換して、発振器1814に連結されたパルス幅変調(PWM)回路1812を駆動する。PWM回路1812は、第1のゲート駆動信号1816aを第1のトランジスタ出力段1818aに提供して、第1のRF(左側)エネルギー出力を駆動する。PWM回路1812はまた、第2のゲート駆動信号1816bを第2のトランジスタ出力段1818に提供して、第2のRF(右側)エネルギー出力を駆動する。
【0116】
図27〜29に関連して記載された回路1700、1750、1800は、図5〜7に示した発生器200、300、400、500に電気的に連結される。例えば、回路1700、1750、1800は、信号調整回路244を介して発生器200に連結されてもよく、インターフェース回路520を通して発生器500に連結されてもよい。
【0117】
図30は、事前設定された時間における組織間隙の測定のグラフ表示1900である。第1のグラフ1902は、組織インピーダンスZに対する時間(t)を表し、ここでは、水平軸は時間(t)を表し、垂直軸は組織インピーダンスZを表している。第2のグラフ1904は、組織間隙における変化Δ間隙に対する時間(t)を表し、ここでは、水平軸は時間(t)を表し、垂直軸は組織間隙における変化Δ間隙を表している。第3のグラフ1906は、力Fに対する時間(t)を表し、ここでは水平軸は時間(t)を表し、垂直軸は、力Fを表している。一定の力Fを組織に加えることによって、また待機期間、エネルギーモダリティ(例えば、RF並びに超音波)、及びモータ制御パラメータを画定するためのインピーダンスZの問い合わせによって、変位が同時に速度を提供する。3つのグラフ1902、1904、1906を参照して、インピーダンス感知エネルギーは、第1の期間1908中に印加され、薄い腸間膜組織(実線)、中程度の厚さの血管組織(破線)、又は厚い子宮/腸組織(鎖線)などの組織の種類を決定する。
【0118】
第3のグラフ1906に示すように、クランプアームは、初期に、それが一定の力1924に達するまでゼロから指数的に上昇する力を加える。事前設定された時間tは、これが、クランプアームの力が一定の力1924に達した後、しばらくしてから起こるように選択される。第1及び第2のグラフ1902、1904に示すように、事前設定された時間tに達するまで固定力が腸間膜組織に加えられる時間から、組織間隙における変化Δ間隙曲線1912は、指数的に減少し、組織インピーダンス曲線1918もまた、事前設定された時間tに達するまで減少する。事前設定された時間tから、短い遅延1928が適用され、その後、治療エネルギーが腸間膜組織にtE1で印加される。
【0119】
第1及び第2のグラフ1902、1904に示すように、事前設定された時間tに達するまで固定力が血管組織に加えられる時間から、組織間隙における変化Δ間隙曲線1916は、指数的に減少し、組織インピーダンス曲線1920もまた、事前設定された時間tに達するまで減少する。事前設定された時間tから、中程度の遅延1930が適用され、その後、治療エネルギーが血管組織にtE2で印加される。
【0120】
第1及び第2のグラフ1902、1904に示すように、事前設定された時間tに達するまで固定力が子宮/腸組織に加えられる時間から、組織間隙における変化Δ間隙曲線1914は、指数的に減少し、組織インピーダンス曲線1914もまた、事前設定された時間tに達するまで減少する。事前設定された時間tから、短い遅延1928が適用され、その後、治療エネルギーが腸間膜組織にtE1で印加される。
【0121】
図31は、薄い、中程度、及び厚い組織の種類に関する、事前設定された力2008までの時間に対する時間のグラフ2000である。水平軸は時間(t)を表し、垂直軸は、クランプアームにより組織に加えられた力(F)を表す。グラフ2000は、3つの曲線を描写しており、1つは薄い組織2002についてのものであり、実線で示されており、1つは中程度の厚さの組織2004についてのものであり、鎖線で示されており、もう1つは厚い組織2006についてのものであり、破線で示されている。グラフ2000は、遅延エネルギーモード及び他の制御パラメータを制御するために、組織間隙に代わる手段として、事前設定された力における測定時間を描写する。したがって、厚い組織2006の事前設定された力2008にかかる時間はt1aであり、中程度の厚さの組織2004についての事前設定された力2008にかかる時間はt1bであり、薄い組織2002についての事前設定された力2008にかかる時間はt1cである。
【0122】
力が事前設定された力2008に達すると、エネルギーが組織に印加される。薄い組織2002の場合、事前設定されたt1cに至るまでの時間は、0.5秒超であり、その後、RFエネルギーが、約1〜3秒の通電時間tで印加される。厚い組織2006の場合、事前設定されたt1aに至るまでの時間は、0.5秒未満であり、その後、RFエネルギーが、約5〜9秒の通電時間tで印加される。中程度の厚さの組織2004の場合、事前設定されたt1bに至るまでの時間は、約0.5秒であり、その後、RFエネルギーが、約3〜5秒の通電時間tで印加される。
【0123】
図32は、3つの曲線2102、2104、2106のグラフ2100のグラフ描写であり、第1の曲線2102は電力(P)、電圧(VRF)、及び電流(IRF)に対する組織インピーダンス(Z)を表し、第2の曲線2104及び第3の曲線2106は、組織インピーダンス(Z)に対する時間(t)を表す。第1の曲線2102は、厚い組織のインピーダンス範囲2110及び薄い組織のインピーダンス範囲2112についての電力(P)の印加を例示する。組織インピーダンスZが増加すると、電流IRFは減少し、電圧VRFは増加する。電力曲線Pは、それが、電流IRF曲線と電圧VRF曲線との交点2114と一致する最大出力2108に達するまで増加する。
【0124】
第2の曲線2104は、測定された組織インピーダンスZに対する時間(t)を表す。組織インピーダンス閾値限界2120は、RFと超音波エネルギーモダリティを切り替えるための交差限界である。例えば、図32に示すように、RFエネルギーは、組織インピーダンスが組織インピーダンス閾値限界2120を上回る間に印加され、超音波エネルギー2124は、組織インピーダンスが組織インピーダンス閾値限界2120を下回る間に印加される。したがって、第2の曲線2104に戻って参照すると、薄い組織の曲線2116の組織インピーダンスは、組織インピーダンス閾値限界2120を上回ったままであるため、RFエネルギーモダリティのみが組織に適用される。他方では、RFエネルギーは、組織インピーダンスが組織インピーダンス閾値限界2120を上回る間に厚い組織に印加され、超音波エネルギーは、組織インピーダンスが組織インピーダンス閾値限界2120を下回ったときに組織に印加される。したがって、組織インピーダンスが組織インピーダンス閾値限界2120を下回ったときに、エネルギーモダリティは、RFから超音波に切り替わり、組織インピーダンスが組織インピーダンス閾値限界2120を突破したときに、エネルギーモダリティは超音波からRFに切り替わる。
【0125】
図33は、エンドエフェクタ2200の一態様の平面図である。エンドエフェクタ2200は、クランプアーム2202と、シャフト2204とを備える。クランプアーム2202は、ピボット点2206の周りを旋回し、ピボット角を画定する。図34は、クランプアーム2202及び超音波ブレード2208の下層構造を露呈するための部分的切り欠き図を有する、図33に示すエンドエフェクタ2200の側面図である。電極2210は、クランプアーム2202に固定的に取り付けられている。電極2210は、発生器に電気的に連結され、RFエネルギーをクランプアーム2202と超音波ブレード2208との間に位置する組織に印加するように構成されている。図35は、超音波ブレード及び右と左の電極2210a、2210bをそれぞれ露呈するための、図33、34に示すエンドエフェクタの部分的断面図である。
【0126】
図36は、図33に示すエンドエフェクタ2200の断面36−−36で切り取られた断面図である。エンドエフェクタ2200は、発生器により電気的に駆動される超音波トランスデューサと音響的に連結された超音波ブレード2208を含む。クランプアーム2202は、(操作者の視点から)右側の電極2210aと、左側の電極2210bとを備える。右側の電極2210aは、第1の幅Wを画定し、かつ電極2210aと超音波ブレード2208との間に第1の間隙Gを画定する。左側の電極2210bは、第2の幅Wを画定し、かつ電極2210bと超音波ブレード2208との間に第2の間隙Gを画定する。一態様では、第1の幅Wは、第2の幅Wよりも小さく、第1の間隙Gは第2の間隙Gよりも小さい。図35を参照すると、軟質ポリマーパッド2212は、超音波ブレード2208とクランプアーム2202との間に位置する。高密度ポリマーパッド2214は、軟質ポリマーパッド2212に隣接して位置し、超音波ブレード2208が電極2210a、2210bを短絡することを防止する。一態様では、軟質ポリマーパッド2212、2214は、例えば、商品名TEFLON(ポリテトラフルオロエチレンポリマー及びコポリマー)として既知のポリマーから作製され得る。
【0127】
図37は、図33に示すエンドエフェクタ2200の断面37−−37で切り取られた断面図である。断面37−−37の平面において、エンドエフェクタ2200は、より薄く、断面36−−36よりも大きな曲率を有する。右側の電極2210aは、第3の幅Wを画定し、かつ電極2210aと超音波ブレード2208との間に第3の間隙Gを画定する。左側の電極2210bは、第4の幅Wを画定し、かつ電極2210bと超音波ブレード2208との間に第4の間隙Gを画定する。一態様では、第3の幅Wは、第4の幅Wよりも小さく、第3の間隙Gは第4の間隙Gよりも小さい。
【0128】
図38は、超音波ブレード2208’が異なる幾何学的形状を有することを除いて、図33に示すエンドエフェクタ2200の断面36−−36で切り取られた断面図である。エンドエフェクタ2200’は、発生器により電気的に駆動される超音波トランスデューサと音響的に連結された超音波ブレード2208’を含む。クランプアーム2202’は、(操作者の視点から)右側の電極2210a’と、左側の電極2210b’とを備える。右側の電極2210a’は、第1の幅Wを画定し、かつ電極2210a’と超音波ブレード2208’との間に第1の間隙Gを画定する。左側の電極2210b’は、第2の幅Wを画定し、かつ電極2210b’と超音波ブレード2208’との間に第2の間隙Gを画定する。一態様では、第1の幅Wは、第2の幅Wよりも小さく、第1の間隙Gは第2の間隙Gよりも小さい。高密度ポリマーパッド2214’は、軟質ポリマーパッド2212’に隣接して位置し、超音波ブレード2208’が電極2210a’、2210b’を短絡することを防止する。一態様では、軟質ポリマーパッド2212’、2214’は、例えば、商品名TEFLON(ポリテトラフルオロエチレンポリマー及びコポリマー)として既知のポリマーから作製され得る。
【0129】
図39は、超音波ブレード2208’が異なる幾何学的形状を有することを除いて、図33に示すエンドエフェクタ2200の断面37−−37で切り取られた断面図である。断面37−−37の平面において、エンドエフェクタ2200’は、より薄く、断面36−−36におけるエンドエフェクタ2200’よりも大きな曲率を有する。右側の電極2210a’は、第3の幅Wを画定し、かつ電極2210a’と超音波ブレード2208’との間に第3の間隙Gを画定する。左側の電極2210b’は、第4の幅Wを画定し、かつ電極2210b’と超音波ブレード2208’との間に第4の間隙Gを画定する。一態様では、第3の幅Wは、第4の幅Wよりも小さく、第3の間隙Gは第4の間隙Gよりも小さい。
【0130】
図40は、超音波ブレード2208”が異なる幾何学的形状を有することを除いて、図33に示すエンドエフェクタ2200の断面36−−36で切り取られた断面図である。エンドエフェクタ2200”は、発生器により電気的に駆動される超音波トランスデューサと音響的に連結された超音波ブレード2208”を含む。クランプアーム2202”は、(操作者の視点から)右側の電極2210a”と、左側の電極2210b”とを備える。右側の電極2210a”は、第1の幅Wを画定し、かつ電極2210a”と超音波ブレード2208”との間に第1の間隙Gを画定する。左側の電極2210b”は、第2の幅Wを画定し、かつ電極2210b”と超音波ブレード2208”との間に第2の間隙Gを画定する。一態様では、第1の幅Wは、第2の幅Wよりも小さく、第1の間隙Gは第2の間隙Gよりも小さい。高密度ポリマーパッド2214”は、軟質ポリマーパッド2212”に隣接して位置し、超音波ブレード2208”が電極2210a”、2210b”を短絡することを防止する。一態様では、ポリマーパッド2212”、2214”は、例えば、商品名TEFLON(ポリテトラフルオロエチレンポリマー及びコポリマー)として既知のポリマーから作製され得る。
【0131】
図41は、超音波ブレード2208”が異なる幾何学的形状を有することを除いて、図33に示すエンドエフェクタ2200の断面37−−37で切り取られた断面図である。断面37−−37の平面において、エンドエフェクタ2200”は、より薄く、断面36−−36におけるエンドエフェクタ2200’よりも大きな曲率を有する。右側の電極2210a”は、第3の幅Wを画定し、かつ電極2210a”と超音波ブレード2208”との間に第3の間隙Gを画定する。左側の電極2210b”は、第4の幅Wを画定し、かつ電極2210b”と超音波ブレード2208”との間に第4の間隙Gを画定する。一態様では、第3の幅Wは、第4の幅Wよりも小さく、第3の間隙Gは第4の間隙Gよりも小さい。
【0132】
本明細書に記載される外科用器具はまた、発生器により送達されるエネルギーが、外科用器具のエンドエフェクタにより治療される組織の種類及び組織の様々な特性に基づいて動的に変化されることを可能にする特徴部を含むことができる。一態様では、外科用器具のエンドエフェクタに送達される、発生器102、200、300、400、500(図1〜3及び4〜8)などの発生器からの出力を制御するための技法は、発生器からのエネルギープロファイルが、外科用器具のエンドエフェクタにより作用がもたらされる組織の種類に基づいて、処置中に動的に変化されることを可能にする組織の種類を表す入力を含み得る。
【0133】
本明細書に開示されるように、組織の種類に基づいて発生器を制御するための技法が提供され得る。様々な技法を使用して、発生器から送達されるエネルギーが、外科用器具により治療される組織の種類に基づいて動的に変化することを可能にするように電力プロファイルを選択することができる。
【0134】
図42Aは、クランプアーム2302と、超音波ブレード2304とを備え、クランプアーム2302が電極2306を含む、エンドエフェクタ2300を例示する。エンドエフェクタ2300は、図1〜3で言及した外科用器具104、106、108のうちの1つで使用され得る。エンドエフェクタ122、124、125に加えて、外科用器具104、106、108は、それぞれ、ハンドピース105、107、109と、シャフト126、127、129を含む。エンドエフェクタ122、124、125は、組織を圧縮、切断、又は封止するために使用されてもよい。図42Aを参照すると、図1〜3に示すエンドエフェクタ122、124、125と同様のエンドエフェクタ2300は、圧縮、切断、又はステープル留めの前に、医師により、組織2308を包囲するように位置付けられてもよい。図42Aに示すように、エンドエフェクタ2300を使用する準備をしている間、組織に圧縮が加えられなくてもよい。図42Aに示すように、組織2308は、クランプアーム2302と超音波ブレード2304との間で圧縮下にはない。
【0135】
次に、図42Bを参照すると、外科用器具のハンドル上のトリガを係合させることによって、医師は、エンドエフェクタ2300を使用して組織2308を圧縮してもよい。一態様では、組織2308は、図42Bに示すように、その最大閾値まで圧縮されてもよい。図42Aに示すように、組織2308は、クランプアーム2302と超音波ブレード2304との間で最大圧縮下にある。
【0136】
図43Aを参照すると、様々な力が、エンドエフェクタ2300によって組織2308に加えられてもよい。例えば、組織2308がエンドエフェクタ2300のクランプアーム2302と超音波ブレード2304との間で圧縮されると、それによって垂直力F1及びF2が加えられてもよい。次に、図43Bを参照すると、エンドエフェクタ2300によって圧縮されると、様々な斜め方向及び/又は横方向の力も組織2308に加えられてもよい。例えば、力F3が加えられてもよい。外科用器具104、106、108などの医療用装置を操作するために、エンドエフェクタによって組織に加えられている様々な形態の圧縮を検出又は算出することが望ましいことがある。例えば、垂直方向又は横方向の圧縮の理解は、エンドエフェクタがステープル動作をより精密又は正確に適用することを可能にし得るか、又は外科用器具をより適切又は安全に使用することができるような外科用器具の情報を操作者に与え得る。
【0137】
一形態では、歪みゲージを用いて、図42A〜B及び43A〜Bに示すエンドエフェクタにより組織2308に加えられた力を測定することができる。歪みゲージは、エンドエフェクタ2300に連結され、エンドエフェクタ2300により治療される組織2308に及ぼす力を測定することができる。ここでまた図44を参照すると、図44に例示する態様では、組織2308に加えられた力を測定するためのシステム2400は、例えば、マイクロ歪みゲージなどの歪みゲージセンサ2402を備え、組織の圧縮の指標であり得る、固定動作中に図43A〜Bのクランプアーム2302などのエンドエフェクタのクランプアームに及ぼされた、例えば歪みの振幅などのエンドエフェクタ2300の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成されている。測定された歪みは、デジタル信号に変換され、マイクロコントローラ2408のプロセッサ2410に提供される。負荷センサ2404は、エンドエフェクタ2300のクランプアーム2302と超音波ブレード2304との間に捕捉された組織2308を切断するように超音波ブレード2304を動作させるための力を測定することができる。磁界センサ2406は、捕捉された組織2308の厚さを測定するために用いることができる。磁界センサ2406の測定値もまた、デジタル信号に変換され、プロセッサ2410に提供される。
【0138】
上記に加えて、フィードバックインジケータ2414もまた、マイクロコントローラ2408と通信するように構成され得る。一態様では、フィードバックインジケータ2414は、図1〜3に示すものなどの外科用器具のハンドル内に配設され得る。あるいは、フィードバックインジケータ2414は、例えば、外科用器具のシャフト組立体内に配設することができる。任意の事象において、マイクロコントローラ2408は、フィードバックインジケータ2414を用いて、外科用器具の操作者に、例えば、エンドエフェクタに組織をきつく固定するために使用される、発射トリガの選択された位置などの手動入力の妥当性に関するフィードバックを提供することができる。そのためには、マイクロコントローラ2408は、クランプアーム2302及び/又は発射トリガの選択された位置を評価し得る。センサ2402、2404、及び2406によってそれぞれ測定されるような、組織2308の圧縮、組織2308厚さ、及び/又はエンドエフェクタ2300を閉鎖させるために要する力の測定値は、発射トリガの選択された位置、及び/又はエンドエフェクタの速度の対応する値を特徴付けるために、マイクロコントローラ2408によって使用することができる。一例では、メモリ2412は、評価においてマイクロコントローラ2408によって用いることができる技法、式、及び/又はルックアップテーブルを格納することができる。
【0139】
本明細書に記載される発生器102、200、300、400、500(図1〜3及び4〜8)、外科用器具104、106、108(図1〜3)、及びエンドエフェクタ122、124、125、700、800、900、1000、1100、1200、2200、2200’、2200”、2300(図1〜3、14〜22、33〜43B)は、以下に記載される技法及びプロセスに従って外科的処置を行うために、単独で、又は組み合わせて使用されてもよい。それでもやはり、簡潔かつ明確にするために、外科的処置は、多機能外科用器具108及び発生器500を参照して説明される。多機能外科用器具108は、クランプアーム145と、超音波ブレード149とを含むエンドエフェクタ125を備える。エンドエフェクタ125は、以下に記載されるように、RFエネルギーを組織に印加するための電極、温度センサ、力/圧力センサ、及び間隙測定センサを提供するために、エンドエフェクタ122、124、125、700、800、900、1000、1100、1200、2200、2200’、2200”、2300のうちのいずれか1つの構造的又は機能的な特徴部のうちのいずれかを有するように構成されてもよい。
【0140】
組み合わせRF/超音波外科用器具においてRFエネルギーで組織を封止し、超音波エネルギーで組織を切断するための技法
一態様では、本開示は、発生器102、200、300、400、500(図1〜3及び4〜8)のうちのいずれか1つなどの発生器からの出力を制御して、組織をRFエネルギーで封止し、かつ組織を超音波エネルギーで切断するための技法を提供する。外科用器具のエンドエフェクタに送達される電力は、組織パラメータのフィードバックを表す入力を含み得る。組織をRFエネルギーで封止し、かつ組織を超音波エネルギーで切断するために、発生器からのエネルギープロファイルは、組織パラメータに基づいて調整され得る。開示の簡潔性及び明瞭性のために、組織をRFエネルギーで封止し、かつ組織を超音波エネルギーで切断するために、発生器の出力を制御するための技法は、図8の発生器500に連結された図2の外科用器具108を参照して説明されるであろうが、本明細書に記載される器具、発生器、及びエンドエフェクタの他の構成が、本開示の範囲から逸脱することなく容易に置き換えられ得ることが理解されよう。
【0141】
様々な態様では、本開示は、RFエネルギーを利用して組織及び/又は血管を封止し、封止が完了した適切な時点で超音波エネルギーを駆動するように切り替えて、切断し、処置を終了するための技法を提供する。切り替え点は、組織インピーダンス測定データ、神経回路網、及び/又はベクトルマシンを利用することによって決定することができるが、クレームに記載された対象の範囲から逸脱することなく、他の方法が使用されてもよい。組織インピーダンスは、本明細書で論議されるRFエネルギー信号を利用することによって測定されてもよい。神経回路網アプローチは、組織インピーダンス(RF信号によって測定される)、初期組織インピーダンス(RF信号によって測定される)、処置に投入されたジュールでのエネルギー、処置時間、初期クランプジョー開口部、現在のジョー開口部、及び/又は組織インピーダンス変化率などであるが、これらに限定されないいくつかの因子を考慮に入れることができる。特にコンピュータ化された処理工程による、計算又は他の問題解決操作に従うべき「ベクトルマシン」及び/又は他の処理工程若しくは一連のルールを利用して、処置時間及び封止の質を最適化することができる。
【0142】
組織のインピーダンスに基づいて、RFエネルギーと超音波エネルギーとを切り替えるための技法
一態様では、本開示は、組織インピーダンスに基づいて、RFエネルギーと超音波エネルギーとを切り替えるための技法を提供する。発生器102、200、300、400、500(図1〜3及び4〜8)などの発生器からの出力は、外科用器具のエンドエフェクタに供給され、組織インピーダンスに基づいて制御され得る。発生器からの出力のエネルギープロファイルは、外科用器具のエンドエフェクタのクランプジョーと超音波ブレードとの間に固定された組織を治療するために、組織インピーダンスに基づいて、RFエネルギーモダリティと超音波エネルギーモダリティとの間で動的に切り替えられる。開示の簡潔性及び明瞭性のために、組織インピーダンスに基づいてRFエネルギーと超音波エネルギーとを切り替えるための技法は、図8の発生器500に連結された図2の外科用器具108を参照して説明されるであろうが、本明細書に記載される器具、発生器、及びエンドエフェクタの他の構成が、本開示の範囲から逸脱することなく容易に置き換えられ得ることが理解されよう。
【0143】
以下の説明は、処置中に、組織インピーダンスを測定し、組織インピーダンスに基づいてRFエネルギーモダリティと超音波エネルギーモダリティとの間で発生器のエネルギープロファイルを動的に切り替えるための技法を提供する。より良好な封止を提供するために、器具108を組織に適用する間に、器具が組織凝固モードから組織切断モードまで移行するように、「組み合わせ」RF/超音波器具108を動作させることが望ましいことがある。RF(凝固又は封止)モードから超音波(切断又は離断)モードまで自動的に移行するための方法が開示される。様々なRF封止技法において、組織インピーダンスを、「終端」インピーダンスと呼ばれる特定のレベルまで駆動させる目的で、RFエネルギーが印加される。RF封止技法が、組織インピーダンスをこの終端インピーダンスまで駆動させることができる場合に、適切な封止が達成されることが立証されている。
【0144】
外科用器具108のエンドエフェクタ125により治療される組織インピーダンスを決定するために、組織インピーダンスが算出されねばならない。算出された組織インピーダンスは、以下により詳細に論じられるように、閾値と比較される。算出された組織インピーダンスは、組織インピーダンスが閾値レベルに達したときに、エネルギーがRFエネルギーと超音波エネルギーとの間で切り替わることを可能にするために、発生器500から外科用器具108まで送達されるエネルギーを制御するための技法によって使用される。一形態では、組織インピーダンスは、電圧測定値を電流測定値で割ることによって説明される。より具体的には、インピーダンスは、電圧ベクトルと電流ベクトルとの比であり、組織特性、並びに加えられた刺激の周波数及びスペクトルの両方に依存する、実成分R及び虚数成分Xを有する、複素数をもたらす。この数はまた、大きさ、|Z|及び位相の形態で表され得る。組織インピーダンスのほとんどの算出は、電圧と電流との間の相差の小さい寄与を無視し、インピーダンスベクトル|Z|の大きさが、インピーダンスの実成分Rに本質的と同等であると推定する。説明の目的上、組織インピーダンスを示すR及びZという用語は、同義的に使用されるが、組織インピーダンスの感知は、インピーダンスベクトルが、一般的な形態であることを示唆し、かつ組織特性の決定、エネルギー送達の制御などのために、このベクトルの大きさ、相、実及び虚数成分の任意の組み合わせが、本開示によって示唆されることに留意されたい。
【0145】
例えば、RFエネルギーと超音波エネルギーとの間を自動的に移行することができる外科用器具108を利用するとき、RFエネルギーは、エンドエフェクタ108を利用して組織に印加され、組織の組織インピーダンスを、終端インピーダンスなどの特定のレベルまで駆動させることができる。終端インピーダンスはRFエネルギーが組織の適切な凝固を達成したことを保証する、組織のインピーダンスレベルである。
【0146】
図45は、RFエネルギーを利用して、適切な組織封止が達成される終端インピーダンスを示している、時間(秒)の関数としての組織インピーダンス|Z|(オーム)として表された組織インピーダンス機能2500のグラフ表示である。組織インピーダンス機能2500は、適切な組織封止が、RFエネルギーを利用して達成される終端インピーダンスZ 2516を示す。時間を秒で横軸に沿って示し、インピーダンスをオームで縦軸に沿って示す。組織インピーダンス機能2500は、3つのセクションで説明され得る。第1セクション2502では、組織インピーダンス機能2500は、RFエネルギーが組織に印加された直後の時間から、組織インピーダンスが、第2セクション2504に示した最小値まで下降する時間までの組織の初期インピーダンス2508を表す。組織インピーダンス機能2500の第1セクションにおいて、組織インピーダンスは、初期値2508から下降し、減少する、例えば、負の勾配を有し、その後、組織インピーダンスは第1の変曲点2510に達し、組織インピーダンス機能2500の第2のセクション2504における最小インピーダンス2512に安定化し、ここでは、組織インピーダンス機能平坦部2500は平らになる。エネルギーがある特定の時間(例えば、図示するように4.5秒)にわたって組織に印加された後に、組織の含水量は蒸発して、組織の乾燥を引き起こし、組織インピーダンス機能2500の第3セクション2506における第2の変曲点2514で、組織インピーダンスが上昇し始め、例えば正の勾配を有し、その後、組織インピーダンスが所定の終端インピーダンス2516に達し、この時点で、エンドエフェクタへのRFエネルギーは遮断される。第3セクション2506における組織インピーダンス機能2500の最後の部分2518(破線で図示)は、RFエネルギーが、終端インピーダンス2516のポイントで遮断される代わりに連続して印加されるべき場合に結果として生じる組織インピーダンスZの増加を表す。組織インピーダンス機能2500は、その特徴的な形状のために、組織封止プロセスにおける「浴槽」ゾーンと称され得る。
【0147】
終端インピーダンス2516に達すると、発生器500は、エンドエフェクタ125へのRFエネルギーの送達から超音波エネルギーの送達に切り替えることができる。終端インピーダンス2516は、電極及び圧縮特性に基づく固定値であり得るか、又は終端インピーダンスは、把持された組織の量、初期インピーダンス、及び最小値インピーダンスなどの把持及び凝固サイクル中に測定される因子に依存する変数であり得る。それはまた、インピーダンスの様々な勾配、最小インピーダンス等の凝固サイクル中の様々な時点におけるエネルギー送達、及び/又は変曲点、並びにこれらの組み合わせに依存する、変数でもあり得る。
【0148】
図46は、発生器500が、所定の終端インピーダンスに達する際に、RFエネルギーと超音波エネルギーとを切り替えるように制御するための論理フロー図2600である。本明細書に記載されるように、論理フロー図2600は、発生器500、外科用器具108、又はこれらの組み合わせにおいて実施されてもよい。ここで図46に示す論理フロー図を参照すると、プロセッサ502は、本明細書に記載されるように、組織インピーダンスを決定する。例えば、プロセッサ502は、図8に示すように、ENERGY2/RETURNとラベルされた端子を超えて連結された第2の電圧感知回路524の出力を、電力変圧器508の二次側のRETURN区間と直列に配設された電流感知回路514の出力で除することによって、組織インピーダンスを決定してもよい。最初に、外科用器具108のエンドエフェクタ125は、組織上で閉じられており(2602)、エンドエフェクタ125は、発生器500からのRFエネルギーで起動される。発生器500から組織に送達されるRFエネルギーを制御するための技法は、RFエネルギーを使用して組織封止を成し遂げるために適用される(2604)。この技法は、以下に図64に関連して記載されるように、発生器500のプロセッサ502によって、複合負荷曲線(CLC)テーブルを選択及び適用することを含んでもよい。プロセッサ502は、組織インピーダンスを閾値と比較し(2606)、組織インピーダンスが終端インピーダンスに達しているかどうかを判定し、この時点で、発生器500は、組織を凝固又は封止するためのRFエネルギーから組織を切断するための超音波エネルギーに切り替えることができる。終端インピーダンスに達するまでは、プロセッサ502は、いいえ(NO)分岐に沿って進み、波形発生器540又は増幅器506がRFエネルギーをエンドエフェクタ125に送達し続ける(2604)ように信号を送る。終端インピーダンスに達したときに、プロセッサ502は、はい(YES)分岐に沿って進み、波形発生器504又は増幅器506がRFエネルギーの送達(ENERGY2/RETURN)を停止し、超音波エネルギーの送達(ENERGY1/RETURN)に切り替える(2608)ように信号を送る。超音波エネルギーを用いる組織切断の完了時には、組織は、エンドエフェクタ125から解放される(2610)。
【0149】
図47A及び47Bは、発生器500から外科用器具108のエンドエフェクタ125に送達される、RF及び超音波の両方のエネルギーの例示のグラフを示す。本明細書に記載される技法は、RFエネルギーから超音波エネルギーに自動的に切り替わり、組織の切断を行うように、RFエネルギー及び超音波エネルギーを制御するために使用され得る。組み合わせRF及び超音波外科用器具108は、次いで、図47A及び47Bで図式的に描写された技法を使用して、RFエネルギーをエンドエフェクタ125の電極に送達及び制御するであろう。終端パルス2706(図47A)の終わりに、発生器500は、超音波モードに自動的に切り替わり、組織切断を行うことができる。
【0150】
特に、図47Aは、時間の関数として表された、発生器のRF電力2702機能及びRF組織インピーダンス機能2704のグラフ表示2700である。RF電力機能2702は、発生器500から外科用器具108のエンドエフェクタ125まで送達される。電力(ジュール)を、左縦軸に沿って示し、組織インピーダンス(オーム)を右縦軸に沿って示し、時間(秒)を横軸に沿って示している。図47Bは、時間の関数として表された、RF電圧機能2752及びRF電流機能2754のグラフ表示2750である。RF電圧及び電流機能2752、2754は、発生器500から外科用器具108のエンドエフェクタ125内の電極まで送達されるRF電力及びインピーダンス機能2702、2704と一致する。RF電圧(V)を、左縦軸に沿って示し、RF電流(mA)を右縦軸に沿って示し、時間(秒)を横軸に沿って示している。RF電力機能2702並びにRF組織インピーダンス機能2704及びRF電圧並びにRF電流機能2752、2754のグラフ表示2700、2750は、2つの別個のグラフで示されているが、全ての4つの機能2702、2704、2752、2754が、組織インピーダンス及び発生器500の制御回路によって実行される技法に応答して同時に発生することが理解されよう。
【0151】
RF電力機能2702、RF組織インピーダンス機能2704、RF電圧機能2752、及びRF電流機能2754のグラフ表示2700は、3つの別個のモードに分割される。モード1では、発生器500はRF電力機能2702を、エンドエフェクタ125のクランプジョー145と超音波ブレード149との間に固定された組織と接触する電極に送達する。モード1では、組織インピーダンスは低く、発生器500からの高RF電流2754を必要とする。したがって、RF電流2752がパルスされると、RF電圧2754は、その公称出力レベル未満に下降する。RF電力2702が組織に供給される間に、発生器500は、適切な封止を成し遂げるために、制御回路が組織に供給されるRF電力2702を管理するモード2に入る。一態様では、モード2の間に、プロセスは、以下に図64に関連して記載されるように、発生器500のプロセッサ502によって、複合負荷曲線(CLC)テーブルを選択及び適用することを含んでもよい。モード1及び2においてRF電力機能2702が組織に印加されると、組織は封止し始めて、プロセス中に発生した熱のために水分が組織から蒸発し、組織インピーダンスを増大させる。これは、図45で組織インピーダンス機能2500に関連して先に記載したように、「浴槽」ゾーンとして知られる。図47Bに戻ると、発生器500は、組織インピーダンスが、RF組織インピーダンス機能2704の終端インピーダンス2706に達するときに、モード3に入る。モード3では、プロセッサ502が、波形発生器504に、RFエネルギーを使用して、組織インピーダンスを測定させ、また超音波エネルギーを使用して超音波ブレード149に組織を切断させるように信号を送る。モード3における超音波切断期中に、非治療的なRF電力機能2702が組織に印加され、組織インピーダンスを測定してもよい。
【0152】
図47Cは、図47A及び47Bに示した、発生器から外科用器具のエンドエフェクタに送達される電力機能2702、インピーダンス機能2704、電圧機能2752、及び電流機能2753の時間の関数としてのグラフ表示2775である。
【0153】
組み合わせ超音波/RF外科用器具のための同時制御技法
一態様では、本開示は、発生器102、200、300、400、500(図1〜3及び4〜8)などの発生器からの出力を制御するための技法を提供する。外科用器具のエンドエフェクタに供給される電力は、外科用器具のエンドエフェクタのクランプジョーと超音波ブレードとの間に固定された組織を治療するために、RFエネルギーモダリティ及び超音波エネルギーモダリティの同時起動を含み得る。開示の簡潔性及び明瞭性のために、RFエネルギーモダリティ及び超音波エネルギーモダリティの同時起動のための技法は、図8の発生器500に連結された図2の外科用器具108を参照して説明されるであろうが、本明細書に記載される器具、発生器、及びエンドエフェクタの他の構成が、本開示の範囲から逸脱することなく容易に置き換えられ得ることが理解されよう。
【0154】
以下の説明は、外科用器具のエンドエフェクタのクランプジョーと超音波ブレードとの間に固定された組織を治療するために、RFエネルギーモダリティ及び超音波エネルギーモダリティの同時起動のための技法を提供する。開示の簡潔性及び明瞭性のために、異なるエネルギーモダリティの同時起動は、図8の発生器500に連結された図2の外科用器具108を参照して説明されるであろうが、本明細書に記載される器具、発生器、及びエンドエフェクタの他の構成が、本開示の範囲から逸脱することなく容易に置き換えられ得ることが理解されよう。
【0155】
RFエネルギー及び超音波エネルギーの両方を送達することができる外科用器具108には多くの利点がある。1つの器具108内に両方のモダリティを有することによって、器具108は、より強固な封止を作り出すことができ、別個のナイフを必要とすることなく切断を行うこともできる。以下の開示は、様々な血管を封止するために使用することができる複数の同時エネルギー送達技法を提供する。
【0156】
広くは、本開示は、RFエネルギーモダリティ及び超音波エネルギーモダリティの両方の同時起動が可能な外科用器具108及び発生器500を提供する。RFエネルギーモダリティ及び超音波エネルギーモダリティの両方の同時起動は、RFエネルギーモダリティ及び超音波エネルギーモダリティの両方の送達が可能な単一の発生器、2つの別個の発生器、又は単一ポートを介してRFエネルギーモダリティ及び超音波エネルギーモダリティの両方の送達が可能な単一ポートの発生器500を利用して実施されてもよい。同時技法の複数の構成が開示される。一態様では、技法はCLCテーブルを利用してRF封止技法を実施し、それと同時に、超音波エネルギーが定電力レベルで起動される。したがって、RF CLCテーブルは、超音波エネルギーが送達されるのと同時に起動される。一態様では、本技法は、図64に従ってCLCテーブルプロセスを選択及び適用する。
【0157】
封止のみのモード中に、RFエネルギー及び超音波エネルギーの両方に対する電力投入は、RF終端インピーダンスに達した時点で停止し、したがって、不注意に組織を切開するリスクを防止する。RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時起動の利点は、超音波エネルギーが超音波ブレード149を熱くして、熱超音波ブレード149と電極との間の質量部における差の低減をもたらす助けとなることである。
【0158】
特に、図48は、異なるエネルギーモダリティの同時起動を組織に適用するプロセスの一態様の論理フロー図2800である。本明細書に記載されるように、論理フロー図2800は、発生器500、外科用器具108、又はこれらの組み合わせにおいて実施されてもよい。ここで論理フロー図2800を参照すると、組織は、外科用器具108のエンドエフェクタ125のクランプアーム145と超音波ブレード149との間に固定されており、次いで、発生器500は同時エネルギーモダリティを適用する。RFエネルギー送達プロセス2802を論理フロー図2800の左側に示し、超音波エネルギー送達プロセス2812を右側に示す。組織がクランプジョー145と超音波ブレード149との間に固定されると、プロセッサ502は、波形発生器504に、RFエネルギーを起動させ(2804)、かつ超音波エネルギーを低電力レベルで起動させる(2814)ように信号を送る。RFエネルギーが起動されると(2804)、プロセッサ502は、波形発生器504に、RF係止技法を供給して(2806)、超音波エネルギーを低電力レベルの起動で維持させるように(2816)信号を送る。一態様では、発生器500によって適用される封止技法は、図64に記載されるプロセスに従ってCLCテーブルを選択及び適用することを伴う。図48に戻って参照すると、RF封止技法の適用(2806)中に、プロセッサ502は、組織インピーダンスを監視し、終端インピーダンスに達したときを判定する。終端インピーダンスに達したとき(2808)、フィードバックがプロセッサ502に信号送信され(2818)、超音波電力供給を停止する。その後、プロセッサ502は、波形発生器504に、RF電力を停止させ(2810)、超音波電力を停止させる(2820)ように信号を送る。先に論じたように、プロセッサ502は、第2の電圧感知回路524の出力を電流感知回路514の出力で除することによって、RF組織インピーダンスを測定する。
【0159】
図49は、第1及び第2の終端インピーダンスを例示するために、図48の論理フロー図2800に関連して、時間(秒)の関数としてのRF組織インピーダンス(オーム)として表されたRF組織インピーダンス機能2902のグラフ表示2900である。先に述べたように、RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時起動の利点は、超音波エネルギーがブレードを熱くして、ブレードと電極との間の質量部における差の低減をもたらす助けとなることである。図49のグラフ表示2900において、横軸は時間(分)であり、縦軸はRF組織インピーダンス(オーム)である。RF組織インピーダンス機能2902の第1の部分2904は、図64に関連して記載されるRFエネルギー封止プロセスの適用及び定超音波電力と一致する。この組織インピーダンスは、RFエネルギーを利用する組織封止プロセス中に監視される。組織インピーダンスが第1の終端インピーダンス2906に達するとき、超音波電力は停止され、組織インピーダンスが第2の周端インピーダンス2908に達するとき、RF電力は停止され、封止された組織を切開してしまうことを回避する。
【0160】
図50は、図48及び49に関連して記載されたRFエネルギー及び超音波エネルギーモダリティの同時起動を利用して血管3000内に作製された封止3002の質の例を示す。RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時起動の利点は、超音波エネルギーが超音波ブレード149を熱くして、熱超音波ブレード149とクランプアーム145内の電極との間の質量部における差の低減をもたらす助けとなることである。RFモダリティ及び超音波モダリティの両方を利用する非同時起動封止サイクル中には、エンドエフェクタ125のジョーの両側で熱質量部が変化する状態で強固な封止をもたらすという課題が生じる。以下の図51及び52に示す箱ひげ図は、同時エネルギーモダリティ技法を起動することの上述した組織効果の利点(超音波ブレード149及び電極を同時に加熱すること)を実証する。
【0161】
図51は、(1)RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時印加と、(2)図48〜50に関連して記載されたRFエネルギーのみの印加とを利用して作製された頚動脈封止の破裂圧力の箱ひげ図の図形3100比較である。エネルギーモダリティを、横軸に沿って示し、第1及び第2の箱ひげ図3102、3104によって表された2つの頸動脈封止の破裂圧力(mmHg)を、縦軸に沿って示す。横軸に沿って、第1の箱ひげ図3102は、同時RF/超音波エネルギーを利用して作製された頸動脈封止を表し、第2の箱ひげ図3104は、RFエネルギーのみを利用して作製された頸動脈封止を表す。第1及び第2の箱ひげ図3102、3104は、超音波ブレード149及び電極を同時に加熱することが、図50に示す質の高い組織封止3002を提供する、図48の論理フロー図2800によって描写されるRF/超音波エネルギーモダリティの同時適用によってもたらされた組織効果の利点を実証している。
【0162】
図52は、(1)RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時印加と、(2)図48〜50に関連して記載されたRFエネルギーのみの印加とを利用して作製された頚動脈束封止の破裂圧力の箱ひげ図の図形3200比較である。エネルギーモダリティを、横軸に沿って示し、第1及び第2の箱ひげ図3202、3204によって表された2つの頸動脈束封止の破裂圧力(mmHg)を、縦軸に沿って示す。横軸に沿って、第1の箱ひげ図3202は、同時RF/超音波エネルギーを利用して作製された頸動脈束封止を表し、第2の箱ひげ図3204は、RFエネルギーのみを利用して作製された頸動脈封止を表す。第1及び第2の箱ひげ図3202、3204は、超音波ブレード149及び電極を同時に加熱することが、図50に示す質の高い組織封止3002を提供する、図48の論理フロー図2800によって描写されるRF/超音波エネルギーモダリティの同時適用によってもたらされた組織効果の利点を実証している。
【0163】
図53は、(1)RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時印加と、(2)図48〜50に関連して記載されたRFエネルギーのみの印加とを利用して作製された甲状頚動脈封止の破裂圧力の箱ひげ図の図形3300比較である。エネルギーモダリティを、横軸に沿って示し、第1及び第2の箱ひげ図3302、3304によって表された2つの甲状頸動脈封止の破裂圧力(mmHg)を、縦軸に沿って示す。横軸に沿って、第1の箱ひげ図3302は、同時RF/超音波エネルギーを利用して作製された甲状頸動脈封止を表し、第2の箱ひげ図3304は、RFエネルギーのみを利用して作製された甲状頸動脈封止を表す。第1及び第2の箱ひげ図3302、3304は、超音波ブレード149及び電極を同時に加熱することが、図50に示す質の高い組織封止3002を提供する、図48の論理フロー図2800によって描写されるRF/超音波エネルギーモダリティの同時適用によってもたらされた組織効果の利点を実証している。
【0164】
同時RF/超音波エネルギー印加技法を推進することができるいくつかの因子がある。超音波電力レベルは、「封止のみ」の構成が望ましい場合の因子である。例えば、より低い超音波電力レベルは、組織を切開しないように選択され得る。図54に関連して以下に示し及び記載するように、データは、超音波電力レベルがより高くなると、より大きな封止をもたらすことを示唆している。特に、図54は、(1)RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時印加と、(2)図48〜50に関連して記載されたRFエネルギー及びより高い超音波エネルギーの同時印加とを利用して作製された頚動脈束封止の破裂圧力の箱ひげ図の図形3400比較である。超音波電力レベルを、横軸に沿って示し、第1及び第2の箱ひげ図3402、3404によって表された2つの頸動脈束封止の破裂圧力(mmHg)を、縦軸に沿って示す。横軸に沿って、第1の箱ひげ図3402は、RFエネルギー及びより低い超音波エネルギーを同時に利用して作製された頸動脈束封止を表し、第2の箱ひげ図3404は、RFエネルギー及び第1の箱ひげ図3402と比べてより低い超音波エネルギーを利用して作製された頸動脈封止を表す。第1及び第2の箱ひげ図3402、3404は、超音波電力レベルが高くなると、より大きな封止となることを実証している。
【0165】
「封止及び切断」構成が望ましい場合、より高い超音波電力レベルが、大きな組織効果を伴いより効率的に組織を封止及び切断する選択肢として選択され得る。更に、超音波電力レベルは、RF組織インピーダンスのフィードバックに基づいて、封止/離断サイクル中に変更され得る。封止及び切断サイクル中に、RF組織インピーダンスは監視され、超音波電力は、RFフィードバックインピーダンスに基づいて供給され得る。例えば、終端インピーダンス及び電力パルスインピーダンスが含まれる、インピーダンスの読み取りが有用である封止中の異なるポイントが存在する。
【0166】
終端インピーダンスに関しては、そのうちの1つが、図49に示すように、インピーダンスが封止ゾーン2904の外で一定の速度で上昇するときに発生する終端インピーダンスである。特に、図55は、図48〜50に関連して記載された、異なる終端インピーダンスにおけるRFエネルギー及び超音波エネルギーの同時印加を利用して作製された頚動脈束封止の破裂圧力の箱ひげ図の図形3500比較である。終端インピーダンス(オーム)を、横軸に沿って示し、第1及び第2の箱ひげ図3502、3504によって表された2つの頸動脈束封止の破裂圧力(mmHg)を、縦軸に沿って示す。横軸に沿って、第1の箱ひげ図3502は、1000オームの終端インピーダンスにおいてRFエネルギー及び超音波エネルギーの同時印加を利用して作製された頸動脈束封止を表し、第2の箱ひげ図3504は、2000オームの終端インピーダンスにおいてRFエネルギー及び超音波エネルギーの同時印加を利用して作製された頸動脈束封止を表す。第1及び第2の箱ひげ図3502、3504は、終端インピーダンスが高くなると、より大きな封止となることを実証している。したがって、終端インピーダンスは、それがより大きな破裂圧力の結果をもたらすために、破裂圧力についての束組織モデルにおける統計因子である。
【0167】
電力パルスインピーダンスの閾値は、封止プロセスが最適化され得る別のポイントである。これは、CLCテーブルの電力パルスが、最も多いエネルギーを組織に到達するポイントである。これは、組織がいつ終端パルスを開始する状態に達するかを知るために、インピーダンス閾値が達するポイントを監視する。電力パルスのインピーダンス値を変化させること(より低い値に)は、同じ大きな破裂圧力をもたらす状態でより速い封止時間を可能にし得る。
【0168】
封止のみのモードと封止及び切断のモードとにおける超音波エネルギーの調節技法
一態様では、本開示は、封止のみモードと封止及び切断のモードとにおいて超音波エネルギーを調節するための技法を提供する。発生器102、200、300、400、500(図1〜3及び4〜8)などの発生器からの出力は、封止のみのモードと封止及び切断のモードとにおいて超音波エネルギーを調節するように制御される。外科用器具のエンドエフェクタに送達される超音波エネルギーは、外科用器具のエンドエフェクタのクランプジョーと超音波ブレードとの間に固定された組織を治療するために、「封止のみ」のモード又は「封止及び切断」のモードを提供するように調製され得る。開示の簡潔性及び明瞭性のために、封止のみのモードと封止及び切断のモードとにおいて超音波エネルギーを調節するための技法は、図8の発生器500に連結された図2の外科用器具108を参照して説明されるであろうが、本明細書に記載される器具、発生器、及びエンドエフェクタの他の構成が、本開示の範囲から逸脱することなく容易に置き換えられ得ることが理解されよう。
【0169】
以下の説明は、外科用器具のエンドエフェクタのクランプジョーと超音波ブレードとの間に固定された組織を治療するために、封止のみのモードと封止及び切断のモードとにおいて超音波エネルギーを調節するための技法を提供する。開示の簡潔性及び明瞭性のために、異なるエネルギーモダリティの同時起動は、図8の発生器500に連結された図2の外科用器具108を参照して説明されるであろうが、本明細書に記載される器具、発生器、及びエンドエフェクタの他の構成が、本開示の範囲から逸脱することなく容易に置き換えられ得ることが理解されよう。
【0170】
広くは、「封止のみ」のモードと「封止及び切断」のモードとを有するように構成された外科用器具108は、外科医に、彼らの意図する外科タスクに基づいて組織を封止するか、又は封止及び切断するかの選択肢を提供する。一態様では、外科用器具108は、このタスクを達成するために、RF及び超音波技法の両方を組み合わせて利用するように構成される。一実施形態では、「封止のみ」のモードにおいて、発生器500は、以下の図56に示すように、部分的な離断3604を排除するために、切断がいつ完了するかを判定するように構成される。RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時印加を利用して作製された優れた血管封止を有する血管の例を図50に示す。特に、図56は、RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時印加を利用して作製された部分的封止3602と、超音波エネルギーを利用して作製された部分的離断3604とを有する血管3660の例である。
【0171】
したがって、封止動作と封止及び切断動作の質を最適化するために、RFエネルギーモダリティ及び超音波エネルギーモダリティを利用する「封止のみ」技法と「封止及び切断」技法とを提供することが望ましい。一態様では、「封止のみ」の技法は、図57に図式描写されるように適用され得る。封止のみの技法は、封止の持続時間に超音波及びRFのエネルギーを同時に送達する。封止のみの技法は、RF組織インピーダンスに基づいて、送達される超音波エネルギーを調節することによって最適化され得る。
【0172】
特に、図57は、「封止のみ」モダリティ中の、時間(秒)の関数としてのRF組織インピーダンス(オーム)として表されたRF組織インピーダンス機能3702及び時間(秒)の関数としての超音波電流(mA)として表された超音波電流機能3704のグラフ表示3700である。時間(秒)を横軸に沿って示し、インピーダンス(オーム)を左縦軸に沿って示し、超音波電流(mA)を右縦軸に沿って示す。「封止のみ」モダリティは、3つの別個のステージで達成される。第1のステージ3706中に、RFエネルギーのみが電極に送達され、超音波電流機能3704はゼロである。第1のステージ3706中に、電力が組織に供給され得るように、インピーダンスはわずかにゼロよりも高い。第1のステージ3706の終わりで第2のステージ3708の開始となる時点で、超音波エネルギーが、RFエネルギーと併せて超音波ブレード149に送達される。第2のステージ3708中に、超音波電流3714は、約200mAで一定のままであり、インピーダンスは、組織が封止プロセス中に乾燥すると、ゆっくりと増加し始める。インピーダンス機能3702の変曲点3712に達すると、第2のステージ3708の終わりで第3のステージ3710の開始となる時点で、インピーダンスは急激に増加し始める。インピーダンスは発生器500にフィードバックされ、インピーダンスが変曲点3712のインピーダンス以上になるとき、発生器500は、超音波電流を減少させて、組織を切断することを回避し、かつ封止のみモダリティを達成するために、組織に印加される超音波エネルギーの量を低下させる。第3のステージ3710中に、超音波電流は、図57に示した等しい段階ずつ減少され(3716)、その後封止が完了するが、組織を切断することはない。他の態様では、超音波電流は、可変かつ不等段階ずつ減少され得る(3716)。一態様では、減少値は、約50mAであり、したがって、第1の減少された電流値は、約150mAである。インピーダンスが終端インピーダンスに達したとき、RF電力及び超音波電力の両方が切られる。
【0173】
図58は、封止のみプロセスを達成するために、RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時起動並びに超音波エネルギーの調節のための技法の一態様の論理フロー図3800である。本明細書に記載されるように、論理フロー図3800は、発生器500、外科用器具108、又はこれらの組み合わせにおいて実施されてもよい。図57のグラフ表示3700を参照し、また図58の論理フロー図3800によれば、プロセッサ502は、封止のみプロセスの第1のステージ3706中に、波形発生器504に、RFエネルギーをエンドエフェクタ125(例えば、電極)に第1の期間に送達させる(3802)ように信号を送る。第1の期間の終わりに、プロセッサ502は、封止のみプロセスの第2のステージ3708中に、波形発生器504に、超音波エネルギーをエンドエフェクタ125に(例えば、超音波ブレード149)に第2の期間送達させる(3804)ように信号を送る。プロセッサ502は、RF組織インピーダンスを監視し(3806)、RF組織インピーダンスを、図57に示したインピーダンス機能3702の変曲点3712のインピーダンスに対応する所定のインピーダンスと比較する(3808)。RF組織インピーダンスが、所定の変曲点3712のインピーダンス(「変曲インピーダンス」)未満である場合、インピーダンスが急激に上昇し始める封止段階の終わり近くで、プロセッサ502は、いいえの分岐に沿って進み、RF組織インピーダンスを監視し続け(3806)、これと同時に、封止のみプロセスの第2の段階3708中に、RFエネルギー及び一定の超音波エネルギーがエンドエフェクタ125に送達される(3802、3804)。先に論じたように、プロセッサ502は、第2の電圧感知回路524の出力を電流感知回路514の出力で除することによって、RF組織インピーダンスを測定する。
【0174】
RF組織インピーダンスが変曲インピーダンス以上である場合、プロセスははいの分岐に沿って進み、プロセッサ502は、波形発生器504に、超音波エネルギーを、所定の減少段階(約50mA、又は任意の好適若しくは所望の値)ずつ、第1の電力レベルから第2の電力レベルに低下させる(3810)ように信号を送る。超音波エネルギーは、数量の離散的な減少によって低下されてもよく、又は連続量により低下されてもよい。一態様では、第2のステージ3708中に送達される約200mAの超音波電流は、約50mA段階ずつ約150mAまで減少され、血管を部分的に離断又は切断するリスクを最小化して、封止のみモダリティを達成する。プロセッサ502は、RF組織インピーダンスを所定の終端インピーダンスと比較する(3812)。RF組織インピーダンスが、終端インピーダンス未満である場合、プロセッサ502はいいえの分岐に沿って進み、超音波電流機能3704は、所定の段階ずつ低下され(3810)、これは等段階又は可変段階で行うことができる。RF組織インピーダンスが終端インピーダンス以上である場合、プロセッサ502は、はいの分岐に沿って進み、発生器500は、RFエネルギー及び超音波エネルギーの両方を停止させる(3814)。図57に示す調節された超音波電流機能3704は、部分的な離断のリスクなく、「封止のみ」モダリティの達成を可能にする。この技法は、外科用器具108又は発生器500上に配置されたEEPROMなどのメモリ内のルックアップテーブル中の論理関数又は一連のコンピュータ実行可能命令として格納され得る。
【0175】
特に、図59は、「封止及び切断」モダリティ中の、時間(秒)の関数としてのRF組織インピーダンス(オーム)として表されたRF組織インピーダンス機能3902及び時間(秒)の関数としての超音波電流(mA)として表された超音波電流機能3704のグラフ表示3900である。時間(秒)を横軸に沿って示し、インピーダンス(オーム)を左縦軸に沿って示し、超音波電流(mA)を右縦軸に沿って示す。「封止及び切断のみ」モダリティは、3つの別個のステージで達成される。第1のステージ3906中に、RFエネルギーのみが電極に送達され、超音波電流機能3904はゼロである。第1のステージ3906中に、電力が組織に供給され得るように、インピーダンスはわずかにゼロよりも高い。第1のステージ3906の終わりで第2のステージ3908の開始となる時点で、超音波エネルギーが、RFエネルギーと併せて超音波ブレード149に送達される。第2のステージ3908中に、超音波電流3914は、約200mAで一定のままであり、インピーダンスは、組織が封止プロセス中に乾燥すると、ゆっくりと増加し始める。インピーダンス機能3902の変曲点3912に達すると、第2のステージ3908の終わりで第3のステージ3910の開始となる時点で、インピーダンスは急激に増加し始める。インピーダンスは発生器500にフィードバックされ、インピーダンスが変曲点3912のインピーダンス以上になるとき、発生器500は、超音波電流を増加させて、封止及び切断モダリティを達成するために、組織に印加される超音波エネルギーの量を増大させる。第3のステージ3910中に、超音波電流は、図59に示した等しい段階ずつ減少され(3916)、その後封止及び切断が達成される。他の態様では、超音波電流は、可変かつ不等段階ずつ増加され得る。一態様では、増加段階3916値は、約50mAであり、したがって、第1の増加された電流値は、約150mAである。インピーダンスが、切断が完了したことを示す終端インピーダンスに達したとき、RF電力及び超音波電力の両方が切られる。
【0176】
図60は、封止及び切断プロセスを達成するために、RFエネルギー及び超音波エネルギーの同時起動並びに超音波エネルギーの調節のための技法の一態様の論理フロー図4000である。本明細書に記載されるように、論理フロー図4000は、発生器500、外科用器具108、又はこれらの組み合わせにおいて実施されてもよい。図59のグラフ表示3900を参照し、また図60の論理フロー図4000によれば、プロセッサ502は、封止及び切断プロセスの第1の段階3906中に、波形発生器504に、RFエネルギーをエンドエフェクタ125(例えば、電極)に第1の期間に送達させる(4002)ように信号を送る。第1の期間の終わりに、プロセッサ502は、封止及び切断プロセスの第2の段階3908中に、波形発生器504に、超音波エネルギーをエンドエフェクタ125(例えば、超音波ブレード149)に第2の期間送達させる(4004)ように信号を送る。プロセッサ502は、封止及び切断プロセスの封止部分中に、RF組織インピーダンスを監視する(4006)。プロセッサ502は、RF組織インピーダンスを、インピーダンス機能3902の変曲点3912に対応する所定のインピーダンスと比較する(4008)。RF組織インピーダンスが、所定の変曲点3912のインピーダンス(「変曲インピーダンス」)未満である場合、インピーダンスが急激に上昇し始める封止段階の終わり近くで、プロセッサ502は、いいえの分岐に沿って進み、RF組織インピーダンスを監視し続け(4006)、これと同時に、封止及び切断プロセスの第2の段階3708中に、RFエネルギー及び一定の超音波エネルギーがエンドエフェクタ125に送達される(4002、4004)。先に論じたように、プロセッサ502は、第2の電圧感知回路524の出力を電流感知回路514の出力で除することによって、RF組織インピーダンスを測定する。
【0177】
RF組織インピーダンスが変曲インピーダンス以上である場合、プロセッサ502ははいの分岐に沿って進み、波形発生器504に、超音波エネルギーを、所定の減少段階(約75mA、又は任意の好適若しくは所望の値)ずつ、第1の電力レベルから第2の電力レベルに増加させる(4010)ように信号を送る。超音波エネルギーは、数量の離散的な減少によって増加されてもよく、又は連続量により増加されてもよい。一態様では、約200mAの超音波電流は、約75mA段階ずつ約275mAまで増加され、封止及び切断モダリティを達成する。プロセッサ502は、RF組織インピーダンスを所定の終端インピーダンスと比較する(4012)。RF組織インピーダンスが、終端インピーダンス未満である場合、プロセッサ502はいいえの分岐に沿って進み、超音波電流機能3904は、所定の段階ずつ増加され(4010)、これは等段階又は可変段階で行うことができる。RF組織インピーダンスが終端インピーダンス以上である場合、プロセスははいの分岐に沿って進み、発生器500は、封止及び切断が達成されると、RFエネルギー及び超音波エネルギーの両方を停止させる(4014)。図59に示す調節された超音波電流機能3904は、「封止及び切断」モダリティの達成を可能にする。この技法は、外科用器具108又は発生器500上に配置されたEEPROMなどのメモリ内のルックアップテーブル中の論理関数又は一連のコンピュータ実行可能命令として格納され得る。
【0178】
超音波ブレードの変位をRF組織インピーダンスの関数として低減するための技法
一態様では、本開示は、RF/超音波組み合わせ外科用器具のための、超音波ブレードの変位をRF組織インピーダンスの関数として減少させるために技法を提供する。発生器102、200、300、400、500(図1〜3及び4〜8)などの発生器からの出力は、外科用器具のエンドエフェクタに送達され、外科用器具のエンドエフェクタのクランプジョーと超音波ブレードとの間に固定された組織を治療するために、超音波ブレードの変位をRF組織インピーダンスの関数として低減するように制御され得る。開示の簡潔性及び明瞭性のために、超音波ブレードの変位をRF組織インピーダンスの関数として低減するための技法は、図8の発生器500に連結された図2の外科用器具108を参照して説明されるであろうが、本明細書に記載される器具、発生器、及びエンドエフェクタの他の構成が、本開示の範囲から逸脱することなく容易に置き換えられ得ることが理解されよう。
【0179】
以下の説明は、外科用器具のエンドエフェクタのクランプジョーと超音波ブレードとの間に固定された組織を治療するために、超音波ブレードの変位をRF組織インピーダンスの関数として減少させるための技法を提供する。開示の簡潔性及び明瞭性のために、異なるエネルギーモダリティの同時起動は、図8の発生器500に連結された図2の外科用器具108を参照して説明されるであろうが、本明細書に記載される器具、発生器、及びエンドエフェクタの他の構成が、本開示の範囲から逸脱することなく容易に置き換えられ得ることが理解されよう。
【0180】
広くは、超音波ブレード149の変位をRF組織インピーダンスの関数として減少させることが望ましい。超音波ブレード149の変位の減少は、組織を切断することが望ましくない場合に、エンドエフェクタ125のクランプジョー145と超音波ブレード149との間に固定された組織を早期に切断することを防止する。超音波ブレード149の変位を減衰させるために、RF組織インピーダンスが組織の状態を示すことが周知であるように、RF組織インピーダンスにおける上昇を、発生器500へのフィードバックとして使用することができる。例えば、現在の動作圧力において低インピーダンスを有する組織(すなわち、組織封止プロセスの第1期における)は、低インピーダンスが、エンドエフェクタ125のクランプジョー145と超音波ブレード149との間の組織の存在を示唆しているために、組織がまだ切断されていないことを示す。一般には、組織を早期に切断してしまうことを恐れて、組織が封止の第1期にある間は、高超音波エネルギーを使用することへの抵抗がある。それでもやはり、RF組織インピーダンスが組織の大きな咬合部へ電力を駆動するのには低すぎるときの組織へのエネルギー送達を容易にするために、高い超音波エネルギーがこの時期には望ましい。
【0181】
RF組織インピーダンス(Z)と、超音波トランスデューサを通って流れる電流Iによって制御される超音波ブレードの変位との間の簡単な数学的関係を使用して、超音波ブレードの変位をゼロ又は同様な低い値まで減衰させて、組織の切断を防止することができる。例えば神経回路網、ファジー論理、多項式、放射基底関数、フーリエ数列等のZの関数としてIを適切に減少させるために多くの数学的マッピングが存在し、これは多くの関数及び数列が、十分に高い次元が使用されるときに、いかなる関係もマッピングすることが証明されているためである。しかしながら、最適化を可能にすることを直感できる数少ない調整可能なゲインを有するほんのわずかな関数が存在する。直感的な機能マッピングは、以下の等式:
【0182】
【数1】
で表される。
式中、Imaxは、超音波ブレードが耐容できる最大電流であり、閾値インピーダンスZminは、組織が「第1期」を出たときを示し、インピーダンスZmaxはI=0アンペアを有することが望ましく、指数nは組織の崩壊率を示す。最大及び最小インピーダンス値の両方共に、エネルギーの立ち上がりの間に組織の初期Zの関数として動的に更新され得る。様々なn値についてZmax=500オーム、Zmin=50オーム、Imax=200mAによる等式1のプロットを図61に提示する。
【0183】
特に、図61Aは、様々なn値についてのRF組織インピーダンスZ(オーム)の関数として、超音波トランスデューサに送達された超音波電流I(アンペア)として表された超音波電流機能のグラフ表示4100である。横軸はRF組織インピーダンスZ(オーム)であり、縦軸は超音波電流I(アンペア)である。第1の超音波電流機能4102は、n=2を有する。第2の超音波電流機能4104は、n=1を有する。第3の超音波電流機能4106は、n=−0.25を有する。第4の超音波電流機能4108は、n=−1を有する。第5の超音波電流機能4110は、n=−3を有する。第6の超音波電流機能4112は、n=−10を有する。
【0184】
更に、図61Bは、様々なn値についてRF組織インピーダンスZ(オーム)の関数としての超音波トランスデューサに送達された超音波電流I(アンペア)として表された超音波電流機能の別のセットのグラフ表示4100’である。横軸はRF組織インピーダンスZ(オーム)であり、縦軸は超音波電流I(アンペア)である。第1の超音波電流機能4102’は、n=0.03を有する。第2の超音波電流機能4104は、n=0.04を有する。第3の超音波電流機能4106’は、n=0.06を有する。第4の超音波電流機能4108’は、n=0.1を有する。
【0185】
図62は、時間の関数として表された複数の超音波機能のグラフ表示4200である。特に、図62は、時間(秒)の関数としての電圧4202(V)、時間(秒)の関数としての電流4204(A)、時間(秒)の関数としての電力4206(W)、及び時間(秒)の関数として周波数(kHz)のグラフ表示4200であり、ここでは電圧(V)及び電流(A)を左縦軸に沿って示す、電力(W)及びインピーダンス(オーム)を右縦軸に沿って示し、時間(秒)を横軸に沿って示している。
【0186】
図63は、RFエネルギーが500オームの終端インピーダンスで停止する状態で、等式1に入力されたRF定電力のグラフ表示4300である。特に、図63は、時間(秒)の関数としての電圧4302(V)、時間(秒)の関数としての電流4304(A)、時間(秒)の関数としての電力4306(W)、及び時間(秒)の関数としてインピーダンス(オーム)のグラフ表示4300であり、ここでは電圧(V)及び電流(A)を左縦軸に沿って示す、電力(W)及びインピーダンス(オーム)を右縦軸に沿って示し、時間(秒)を横軸に沿って示している。
【0187】
外科用システム100は、適用されるRF技法とは独立しているが、例示を明瞭にするために、一定のRF電力が組織に供給され、超音波トランスデューサへの超音波電流は、図62及び63に示すように、それに応じて減少された。この技法は、組織を切断することなく組織の封止を達成する。図63では、RF終端インピーダンスを、500オーム及びn=−1で設定した。供給されるRF電力(組織を切断するリスクなく)は、超音波電力が停止されるのと同時に停止される必要はない。第1期後に、組織を加熱するRF電力は、封止を改善し、超音波電力が遮断されても継続することができる。所定のジョー圧力及び形状のために実験の表面応答設計は、パラメータ値を最適化するように実施され得る。
【0188】
パルス駆動信号を利用するいくつかの態様では、例えば図1〜3及び5〜8に関連して記載された発生器102、200、300、400、500のうちの1つなどの発生器は、1つ又は2つ以上の複合負荷曲線を駆動信号に、最終的には組織に適用してもよい。複合負荷曲線は、組織に供給される電力のレベルを、測定された組織の特性又は特性(複数)(例えば、インピーダンス)の関数として規定し得る。複合負荷曲線は、加えて、測定される組織の特性という観点から、パルス幅などのパルス特性を規定し得る。
【0189】
図64は、発生器102、200、300、400、500のうちのいずれか1つによる複合負荷曲線の選択及び適用についてのブロック図4400の一態様を示す。ブロック図4400は、任意の好適な種類の発生器又は外科用装置で実施され得ることが理解されよう。様々な態様によれば、ブロック図4400は、図1に関連して上述された装置106などの電気外科用装置、図1に関して上述された装置104などの超音波外科用装置、又は図1に関して上述された装置108などの組み合わせ装置を利用して実施されてもよい。
【0190】
図64に戻って参照すると、制御プロセス4402は、複合負荷曲線4406、4408、4410、4412を選択及び適用するために、例えば、発生器102のデジタル装置によって実行されてもよい。制御プロセス4402は、時計4604からの時間入力を受け取ってもよく、またセンサ4418からループ入力4424を受け取ってもよい。ループ入力4424は、複合負荷曲線を選択及び/又は適用するために、制御プロセス4402で利用され得る組織の特性又は特質を表し得る。このような特質の例は、例えば、電流、電圧、温度、反射率、組織に加えられる力、共振周波数、共振周波数の変化率等が含まれてもよい。センサ4418は、専用センサ(例えば、温度計、圧力センサ等)であってもよく、又は他のシステム値に基づいて組織の特質を導出するための(例えば、駆動信号に基づいて、電圧、電流、組織温度等を観測及び/又は算出するための)ソフトウェア実装センサであってもよい。制御回路4402は、複合負荷曲線4406、4408、4410、4412のうちの1つを選択して、例えば、ループ入力4424及び/又は時計4404からの時間入力に基づいて適用することができる。4つの複合不可曲線が示されているが、任意の好適な数の複合負荷曲線が使用され得ることが理解される。
【0191】
制御プロセス4402は、選択された複合負荷曲線を任意の好適な方法で適用してもよい。例えば、制御プロセス4402は、選択された複合負荷曲線を用いて、組織インピーダンスに基づいて電力レベル及び1つ又は2つ以上のパルス特性を算出してもよく(例えば、現在測定されている組織インピーダンスが、ループ入力の一部であってもよく、又はループ入力から導出されてもよい)、若しくは超音波装置104の共振周波数特性を算出してもよい。複合負荷曲線による組織インピーダンスに基づいて決定され得るパルス特性の例は、パルス幅、ランプ時間及びオフ時間を含み得る。
【0192】
設定点4414において、得られた電力及びパルス特性は、駆動信号に適用され得る。様々な態様では、フィードバックループ4422が、駆動信号のより正確な調節を可能にするために実施されてもよい。設定点4414の出力において、駆動信号は、好適な増幅を提供し得る振幅4416に提供され得る。増幅された駆動信号は、負荷4420に提供され得る(例えば、センサ4418により)。負荷4420は、組織、外科用装置104、106、108、及び/又は発生器を外科用装置104、106、108に電気的に連結する任意のケーブル(例えば、ケーブル142、144、146)を含み得る。
【0193】
図65は、発生器を制御するための神経回路網4500の一態様を例示する。図65は、超音波外科用器具104、106、108(図1〜3)などの超音波外科用器具を用いる超音波エネルギーの印加からもたらされる推定温度Testを生じさせるための人工神経回路網4500の一態様を示す。ある特定の態様では、神経回路網4500は、発生器102(図1)のプロセッサ及び/又はプログラマブル論理デバイスで実施されてもよい。神経回路網4500は、入力層4502、隠れ層4506を画定する1つ又は2つ以上のノード4504、及び出力層4510を画定する1つ又は2つ以上のノード4508を含み得る。明確にするために、1つの隠れ層4506だけが示されている。ある特定の態様では、神経回路網4500は、1つ又は2つ以上の追加の隠れ層を、各追加の隠れ層が、隠れ層4506における多くのノード4504と等しいか、又は異なってもよい多くのノード4504を有する状態で、継続接続で含んでもよい。
【0194】
層4502、4510内の各ノード4504、4508は、1つ又は2つ以上の重み値w 4512、バイアス値b 4514、及び変換関数f 4516を含み得る。図73では、これらの値及び関数に対する異なる添え字の使用は、これらの値及び関数のそれぞれが、他の値及び関数とは異なり得ることを示すよう意図している。入力層4502は、隠れ層4506の各ノード4504が、入力変数p 4518のうちの少なくとも1つを入力として受信する状態で、1つ又は2つ以上の入力変数p 4518を含む。例えば、図73に示すように、各ノード4504は、入力変数p 4518の全てを受信してもよい。他の態様では、入力変数p 4518の一部のみが、ノード4504によって受信されてもよい。特定のノード4504によって受信された各入力変数p 4518は、対応する重み値w 4512によって重み付けされ、次いで任意の他の同様に重み付けされた入力変数p 4518に、またバイアス値b 4512に付加される。ノード4504の変換関数f 4516は、次いで、得られた和に適用され、ノードの出力を生成する。例えば、図73では、ノード4504−1の出力は、f(n),として与えられることができ、式中、n=(w1,1・p+w1,2・p+...+w1,j・p)+bである。
【0195】
出力層4510の特定のノード4508は、隠れ層4506のノード4504のうちの1つ又は2つ以上から出力を受信することができ(例えば、各ノード4508は、出力f(・),f(・),...,f(・)を図73の対応のノード4504−1、4504−2、...、4504−iから受信する)、それと共に、それぞれの受信された出力が、対応する重み値w 4512によって重み付けされ、その後、任意の他の同様に重み付けされた出力値に、またバイアス値b 4514に付加される。ノード4508の変換関数f 4516は、次いで、得られた和に適用され、ノードの出力を生成し、この出力は、神経回路網4500の出力(例えば、図73の態様における推定温度Test)に相当する。図73の神経回路網4500の態様が、出力層4510内に1つだけのノード4508を含むが、他の態様では、神経回路網4500は、2つ以上の出力を含んでもよく、この場合、出力層4510は、複数のノード4508を含み得る。
【0196】
ある特定の態様では、ノード4504、4508の変換関数f 4516は、非線形変換関数であってもよい。例えば、一態様では、変換関数f 4516のうちの1つ又は2つ以上は、シグモイド関数であってもよい。他の態様では、変換関数f 4516は、正接シグモイド、双曲線正接シグモイド、対数シグモイド、線形伝達関数、飽和線形伝達関数、放射基底伝達関数、又はいくつかの他の種類の伝達関数を含んでもよい。特定のノード4504、4508の変換関数f 4516は、別のノード4504、4508中の変換関数f 4516と同じであっても、又は異なってもよい。
【0197】
ある特定の態様では、隠れ層4506のノード4504によって受信された入力変数p 4518は、例えば、超音波エネルギーの印加から生じた温度若しくは加熱に影響を有することが知られ、又は考えられている、信号及び/又は他の量若しくは状態を表してもよい。このような変数は、例えば、発生器102による駆動電圧出力、発生器102による駆動電流出力、発生器出力102の駆動周波数、発生器102による駆動出力、発生器102による駆動エネルギー出力、超音波トランスデューサ120のインピーダンス、及び超音波エネルギーが送達される持続時間のうちの1つ又は2つ以上を含んでもよい。更に、入力変数p 4518のうちの1つ又は2つ以上は、発生器102の出力とは無関係であってもよく、例えば、エンドエフェクタ122、125の特性(例えば、ブレード先端部のサイズ、形状、及び/又は材料)並びに超音波エネルギーにより標的とされる組織の特定の種類を含んでもよい。
【0198】
神経回路網4500は、訓練されてもよく(例えば、重み値w 4512、バイアス値b 4514、及び変換関数f 4516を変更又は変化させることによって)、これにより、その出力(例えば、図73の態様における推定温度Test)が、出力の測定依存性を、入力変数p 4518の既知の値に適切に近づける。トレーニングは、例えば、入力変数p 4518の既知のセットを供給し、神経回路網4500の出力を、入力変数p 4518の既知のセットに対応する測定出力値と比較し、神経回路網4500の出力値と対応する測定出力値との間の差が、所定の誤差レベル未満になるまで、重み値w 4512、バイアス値b 4514、及び/又は変換関数f 4516を修正することによって実行され得る。例えば、神経回路網4500は、平均平方誤差が、所定の誤差閾値未満になるまで訓練され得る。ある特定の態様では、トレーニングプロセスの態様は、神経回路網4500によって実施され得る(例えば、神経回路網4500を通して誤差を逆伝搬して、重み値w 4512及び/又はバイアス値b 4514を適応的に調整することにより)。
【0199】
様々な詳細が先の説明で記載されたが、組織のパラメータ基づいて同時エネルギーモダリティを利用するユーザー適応技法を伴う外科用システムの様々な態様が、これらの具体的詳細なしに実行されてもよい。例えば、簡潔かつ明確にするために、選択された態様は、詳細に示すのではなく、ブロック図で示されている。本明細書に示した詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリに格納されたデータに対して動作する命令という点で提示され得る。そのような説明及び表現は、当業者によって、自身の仕事の内容を当該技術分野の他者に説明及び伝達するために使用されているものである。一般に、技法とは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、必ずしも必要ではないが、格納、伝送、組み合わせ、比較、及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をなすことができる物理量の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などで参照することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、また単に、これらの物理量に当てはめられる便利なラベルである。
【0200】
別段の明確な定めがない限り、以下の議論から明らかなように、説明の全体を通じて、「処理する」又は「計算する」又は「算出する」又は「決定する」又は「表示する」などの用語を利用する議論は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ、又はそのような情報格納、伝送、若しくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピュータシステム又は類似の電子コンピューティングデバイスの動作及び処理を指していることが理解されよう。
【0201】
「一態様」、「態様」、「一形態」、又は「形態」と言う場合、その態様に関連して記載される特定の要素、構造、又は特性が少なくとも1つの態様に含まれるものであることを意味する点は特筆に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる「一態様では」、「態様では」、「一形態では」、又は「形態では」なる語句は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の態様において任意の適当な形で組み合わせることができる。
【0202】
いくつかの態様は、「連結された」及び「接続された」という表現を、それらの派生語と共に利用して記載されることがある。これらの用語は、互いに同義語であることは意図されないことを理解されたい。例えば、いくつかの態様は、2つ以上の要素が互いに直接物理的又は電気的に接触していることを示すため、「接続された」という用語を利用して記載されることがある。別の例では、いくつかの態様は、2つ以上の要素が直接物理的又は電気的に接触していることを示すため、「連結された」という用語を利用して記載されることがある。しかしながら、「連結された」という用語はまた、2つ又は3つ以上の要素が互いに直接接触はしないが、依然として互いに協働又は相互作用することを意味することがある。
【0203】
以上、様々な形態について本明細書で述べたが、これらの形態に対する多くの改変例、変形例、置換例、変更例、及び均等物を実施することが可能であり、また、当業者には想到されるであろう。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の「特許請求の範囲」は、全てのそのような改変例及び変形例を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを目的としたものである点を理解されたい。以下の「特許請求の範囲」は、全てのそのような改変例及び変形例を網羅することを目的としたものである。
【0204】
一般的な意味で、当業者に理解されたいこととして、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせによって、個々に及び/又は共同に実現され得る、本明細書で説明する様々な態様を、様々な種類の「電気回路」から構成されたものと見なすことができる。その結果として、本明細書で使用されるとき、「電気回路」は、限定するものではないが、少なくとも1つの個々の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの専用集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムで構成された汎用コンピューティングデバイス(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成された汎用コンピュータ、又は、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリデバイスを形成する(例えばランダムアクセスメモリを形成する)電気回路、及び/又は、通信装置(例えばモデム、通信スイッチ、又は光学的−電気的設備)を形成する電気回路を含む。当業者に理解されたいこととして、本明細書で述べた主題は、アナログ若しくはデジタルの形式又はそれらのいくつかの組み合わせで実現され得る。
【0205】
上述の詳細な説明は、ブロック図、流れ図、及び/又は実施例を用いて装置及び/又はプロセスの様々な形態について記載してきた。そのようなブロック図、流れ図、及び/又は実施例が、1つ又は2つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者に理解されたいこととして、そのようなブロック図、流れ図、又は実施例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの事実上、任意の組み合わせによって、個々に及び/又は共同に実現され得る。一形態では、本明細書に記載された主題のいくつかの部分は、専用集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は他の集積型の形式で実現され得る。しかしながら、当業者に理解されたいこととして、その全部か一部かを問わず、本明細書で開示される形態のいくつかの態様は、1台又は2台以上のコンピュータ上で稼働する1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台又は2台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、あるいは、それらの実質的に任意の組み合わせとして、集積回路において等価に実現され得、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれる。加えて、当業者に明らかとなることとして、本明細書に記載した主題の機構は、多様な形式でプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載した主題の具体的な形態は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定の種類にかかわらず用いられる。信号搬送媒体の例には、以下:伝送型媒体、例えば、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリ等の記録可能型媒体、並びにデジタル及び/又はアナログ通信媒体等の伝送型媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク(例えば、伝送器、受信機、伝送論理、受信論理等)等)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0206】
本明細書で言及され及び/又は任意の出願データシートで列挙された上述の米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願外国特許、外国特許出願、非特許公報、又は任意の他の開示資料は、本明細書と矛盾しない範囲において、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に援用されるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に援用されるものとするが、既存の定義、記載、又は本明細書に記載される他の開示文献と矛盾する任意の文献、又はそれらの部分は、援用文献と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ援用されるものとする。
【0207】
本明細書に記載される要素(例えば、動作)、装置、目的、及びそれらに伴う考察は、構想を明らかにするための例として使用され、様々な構成の修正が想到されることが、当業者には認識されるであろう。その結果として、本明細書で使用されるとき、説明した特定の例及びそれらに伴う考察は、より一般的な種類を代表することを意図したものである。一般に、特定の代表例を用いることは、その種類を代表することを意図したものであり、また、特定の要素(例えば、動作)、装置、及び目的を含めないことは、限定と見なされるべきではない。
【0208】
本明細書におけるほぼ全ての複数形及び/又は単数形の用語の使用に関して、当業者であれば、文脈及び/又は用法に則して複数形から単数形に、かつ/又は単数形から複数形に読み替えることができる。様々な単数形/複数形の置換えは、簡潔にするため、本明細書では明示的には記述されない。
【0209】
本明細書に記載する主題はときに、種々の他の要素の中に含められた、又はそれらと接続された種々の要素を示している。そのように表現したアーキテクチャは単なる例であり、実際に、同じ機能性を達成する多数の他のアーキテクチャが実現され得ることを理解されたい。構想の意味で、同じ機能性を達成する要素の任意の配置は、所望の機能性が達成されるように効果的に「関連付け」られる。したがって、特定の機能性を達成するように組み合わされた本明細書での任意の2つの要素は、アーキテクチャ又は中間要素にかかわらず、所望の機能性が達成されるように互いと「関連付け」られていると見なすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの要素はまた、所望の機能性を達成するように互いに「動作可能に接続」又は「動作可能に連結」されているものと見なすことができ、そのように関連付けることが可能な任意の2つの要素はまた、所望の機能性を達成するように互いに「動作可能に連結可能」であると見なすことができる。動作可能に連結可能であることの特定の例としては、物理的に噛み合い可能な、及び/若しくは物理的に相互作用する構成要素、並びに/又は無線式で相互作用可能な、及び/若しくは無線式で相互作用する構成要素、並びに/又は論理的に相互作用する、及び/若しくは論理的に相互作用可能な構成要素が挙げられるが、それらに限定されない。
【0210】
場合によっては、1つ又は2つ以上の要素が、本明細書において、「ように構成される」、「ように構成可能である」、「ように動作可能である/動作する」、「適合される/適合可能である」、「ことが可能である」、「ように適合可能である/適合される」などと呼ばれることがある。当業者に理解されたいこととして、「ように構成される」は一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の要素及び/又は非アクティブ状態の要素及び/又はスタンドバイ状態の要素を包含することができる。
【0211】
本明細書に記載される本主題の特定の態様を図示し及び説明してきたが、本明細書に記載される主題及びそのより広い態様から逸脱することなく、本明細書の技術に基づいて変更及び修正を為し得ることが当業者には明らかであり、したがって添付の請求項は、そのような変更及び修正の全てが、本明細書の主題の正確な趣旨及び範囲内に含まれるように請求項の範囲内に包含する。一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「開放的」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「〜を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「〜を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「〜を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことが、当業者には理解されるであろう。更に、導入されたクレーム記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該クレーム中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ又は2つ以上の(one or more)」という導入句を、クレーム記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によってクレーム記載を導入した場合に、たとえ同一のクレーム内に「1つ又は2つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句と「a」又は「an」という不定冠詞とが含まれる場合であっても、かかる導入されたクレーム記載を含むいかなる特定のクレームも、かかる記載事項を1つのみ含むクレームに限定されると示唆されるものと解釈されるべきではなく(例えば、「a」及び/又は「an」は、典型的には、「少なくとも1つの」又は「1つ又は2つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)、クレーム記載を導入するために用いられた不定冠詞の使用についても同じことが言える。
【0212】
加えて、導入されたクレーム記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、典型的には、少なくとも2つの記載事項、又は2つ若しくは3つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ又は3つ以上の選択的な用語を表すあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、説明文内であろうと、請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されるであろう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されるであろう。
【0213】
添付の「特許請求の範囲」に関して言えば、当業者であれば、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施されてもよいことを理解するであろう。また、様々な動作上の流れがシーケンスの形で提示されているが、様々な動作は、例示した以外の順序で行われてもよく、又は同時に行われてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆、又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「〜に応答する」、「〜に関連する」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0214】
以上、様々な形態について本明細書で述べたが、これらの形態に対する多くの改変例、変形例、置換例、変更例、及び均等物を実施することが可能であり、また、当業者には想到されるであろう。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の「特許請求の範囲」は、全てのそのような改変例及び変形例を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを目的としたものである点を理解されたい。以下の「特許請求の範囲」は、全てのそのような改変例及び変形例を網羅することを目的としたものである。
【0215】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多数の利益が記載されてきた。1つ又は2つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ又は2つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されたものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0216】
〔実施の態様〕
(1) 組織を凝固及び切開するための外科用器具であって、前記外科用器具が、
プロセッサと、
前記外科用器具の遠位端のエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、組織と相互作用するように構成されており、前記エンドエフェクタが、
電極を備えるクランプアームと、
超音波ブレードと、を備える、エンドエフェクタと、
前記超音波ブレードに音響的に連結され、かつ前記超音波ブレードの超音波運動を引き起こすために発生器から駆動信号を受信し、前記超音波ブレードに超音波エネルギーを送達するように構成された超音波トランスデューサと、を備え、
前記プロセッサが、
前記エンドエフェクタに係合された組織の組織インピーダンスの決定に基づいて、RFエネルギーの前記電極への送達及び超音波エネルギーの前記超音波ブレードへの送達を制御することと、
前記組織インピーダンスが閾値と一致したときに、RFエネルギーの前記電極への送達から超音波エネルギーの前記超音波ブレードへの送達に切り替えることと、を行うように構成されている、外科用器具。
(2) 前記組織インピーダンスが、前記RFエネルギーの電圧測定値を前記RFエネルギーの電流測定値で除することによって説明される、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記組織インピーダンスの前記閾値は、RFエネルギーを利用する前記組織の凝固中に組織封止が完了する終端インピーダンスである、実施態様1に記載の外科用器具。
(4) 前記組織が、RFエネルギーを利用する凝固中の組織封止の完了後に、超音波エネルギーを利用して切断される、実施態様1に記載の外科用器具。
(5) 前記RFエネルギーが、前記組織の血管を凝固させるために利用され、前記超音波エネルギーが、前記組織を切り開くために利用される、実施態様1に記載の外科用器具。
【0217】
(6) 前記発生器が、前記発生器から前記エンドエフェクタに送達される電力を制御するため技法を利用し、前記技法が、前記組織インピーダンスを、前記エンドエフェクタによって前記組織と相互作用するために使用されるエネルギーの種類を決定するための入力として含む、実施態様1に記載の外科用器具。
(7) 前記算出された組織インピーダンスが、組織情報データベースに格納された閾値組織インピーダンス値と比較される、実施態様1に記載の外科用器具。
(8) 前記発生器が、単一出力ポートを備え、前記RFエネルギー及び前記超音波エネルギーが、前記単一出力ポートを通じて前記エンドエフェクタに送達される、実施態様1に記載の外科用器具。
(9) 組織を凝固及び切開するための外科用器具にエネルギーを送達するための発生器であって、前記外科用器具が、その遠位端におけるエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、組織と相互作用するように構成されており、前記エンドエフェクタが、クランプアームと、超音波ブレードと、を備える、エンドエフェクタと、前記超音波ブレードに音響的に連結され、かつ前記超音波ブレードの超音波運動を引き起こすために前記発生器から駆動信号を受信し、前記超音波ブレードに超音波エネルギーを送達するように構成された超音波トランスデューサと、を備え、前記発生器が、
駆動信号を超音波トランスデューサに送達するように構成された第1の駆動回路と、
無線周波数(RF)エネルギーを前記電極に送達するように構成された第2の駆動回路と、
前記第1の駆動回路及び前記第2の駆動回路を制御するように構成されたプロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
前記エンドエフェクタに係合された組織の組織インピーダンスの決定に基づいて、前記第2の駆動回路を制御してRFエネルギーを前記電極に送達し、前記第1の駆動回路を制御して超音波エネルギーを前記超音波ブレードに送達することと、
前記組織インピーダンスが閾値インピーダンス値と一致したときに、前記第1の駆動回路及び前記第2の駆動回路を制御して、RFエネルギーの前記電極への送達から超音波エネルギーの前記超音波ブレードへの送達に切り替えることと、を行うように構成されている、発生器。
(10) 組織を切開及び凝固させる方法であって、
プロセッサによって、外科用器具のエンドエフェクタに係合された組織の組織インピーダンスを算出することと、
前記プロセッサによって、前記算出された組織インピーダンスを閾値インピーダンス値と比較することと、
前記算出された組織インピーダンスが、前記閾値インピーダンス値未満である場合、RF駆動回路によって、RFエネルギーを前記エンドエフェクタの電極に送達することと、
前記算出された組織インピーダンスが、前記閾値インピーダンス値以上である場合、超音波駆動回路によって、超音波エネルギーを前記エンドエフェクタの超音波ブレードに送達することと、を含む、方法。
【0218】
(11) 組織インピーダンスが、前記RFエネルギーの電圧測定値を前記RFエネルギーの電流測定値で除することによって説明される、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記エンドエフェクタに送達して前記エンドエフェクタによって前記組織と相互作用するためのエネルギーの種類を決定することを更に含み、前記送達されるエネルギーの種類の特性が、前記エンドエフェクタと前記組織との間の相互作用の種類に対応する、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記閾値インピーダンス値は、RFエネルギーを利用する前記組織の凝固中に封止が完了する終端インピーダンスに対応する、実施態様10に記載の方法。
(14) 前記RFエネルギー及び前記超音波エネルギーが、前記外科用器具に電気的に連結されている前記発生器の単一出力ポートを通じて前記エンドエフェクタに送達される、実施態様10に記載の方法。
(15) 組織を切開及び凝固させる方法であって、
RF駆動回路によって、RFエネルギーを外科用器具の電極に送達することであって、前記外科用器具が、組織に係合され、前記電極が、前記組織の組織凝固中に前記RFエネルギーを使用して組織封止を作り出す、送達することと、
プロセッサによって、前記組織の組織インピーダンスを算出することと、
前記算出された組織インピーダンスを閾値インピーダンス値と比較することと、
前記算出された組織インピーダンスが、前記閾値インピーダンス値以上である場合、超音波駆動回路によって、超音波エネルギーを前記外科用器具の超音波ブレードに送達することと、を含む、方法。
【0219】
(16) 前記RFエネルギーの電圧測定値を前記RFエネルギーの電流測定値で除して、前記組織インピーダンスを算出することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記エンドエフェクタに送達して前記エンドエフェクタによって前記組織と相互作用するためのエネルギーの種類を決定することを更に含み、前記送達されるエネルギーの種類の特性が、前記エンドエフェクタと前記組織との間の相互作用の種類に対応する、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記閾値インピーダンス値は、RFエネルギーを利用する前記組織の凝固中に封止が完了する終端インピーダンスに対応する、実施態様15に記載の方法。
(19) 前記RFエネルギー及び前記超音波エネルギーが、前記外科用器具に電気的に連結されている発生器の単一出力ポートを通じて前記エンドエフェクタに送達される、実施態様15に記載の方法。
(20) 組織を凝固及び切開するための外科用器具であって、前記外科用器具が、
プロセッサと、
前記外科用器具の遠位端のエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、組織と相互作用するように構成されており、前記エンドエフェクタが、
電極を備えるクランプアームと、
超音波ブレードと、を備える、エンドエフェクタと、
前記超音波ブレードに音響的に連結され、かつ前記超音波ブレードの超音波運動を引き起こすために発生器から駆動信号を受信し、前記超音波ブレードに超音波エネルギーを送達するように構成された超音波トランスデューサと、を備え、
前記プロセッサが、
前記エンドエフェクタに係合された組織の凝固状態を決定することと、
前記組織の前記凝固状態の前記決定に基づいて、RFエネルギーの前記電極への送達及び超音波エネルギーの前記超音波ブレードへの送達を制御することと、
前記組織の凝固封止が実質的に完了したときに、RFエネルギーの前記電極への送達から超音波エネルギーの前記超音波ブレードへの送達に切り替えることと、を行うように構成されている、外科用器具。
【0220】
(21) 前記組織の前記凝固状態が、RFエネルギーの送達中に前記組織の組織インピーダンスを算出することによって決定され、前記算出された組織インピーダンスを用いて、前記組織の前記凝固封止が完了する時点を決定する、実施態様20に記載の外科用器具。
(22) 前記プロセッサが、神経回路網を使用して、RFエネルギーと超音波エネルギーとを切り替えるように構成されている、実施態様20に記載の外科用器具。
(23) 前記プロセッサが、ベクトルマシンを使用して、RFエネルギーと超音波エネルギーとを切り替えるように構成されている、実施態様20に記載の外科用器具。
(24) 組織を凝固及び切開するための外科用器具にエネルギーを送達するための発生器であって、前記外科用器具が、その遠位端におけるエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、組織と相互作用するように構成されており、前記エンドエフェクタが、クランプアームと、超音波ブレードと、を備える、エンドエフェクタと、前記超音波ブレードに音響的に連結され、かつ前記超音波ブレードの超音波運動を引き起こすために前記発生器から駆動信号を受信し、前記超音波ブレードに超音波エネルギーを送達するように構成された超音波トランスデューサと、を備え、前記発生器が、
駆動信号を超音波トランスデューサに送達するように構成された第1の駆動回路と、
無線周波数(RF)エネルギーを前記電極に送達するように構成された第2の駆動回路と、
前記第1の駆動回路及び前記第2の駆動回路を制御するように構成されたプロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
前記エンドエフェクタに係合された組織の凝固状態を決定することと、
前記組織の前記凝固状態の前記決定に基づいて、前記第1の駆動回路及び前記第2の駆動回路を制御して、RFエネルギーを前記電極に送達し、超音波エネルギーを前記超音波ブレードに送達することと、
前記組織の凝固封止が実質的に完了したときに、前記第1の駆動回路及び前記第2の駆動回路を制御して、RFエネルギーの前記電極への送達から超音波エネルギーの前記超音波ブレードへの送達に切り替えることと、を行うように構成されている、発生器。
(25) 組織を切開及び凝固させる方法であって、
プロセッサによって、外科用器具のエンドエフェクタに係合された組織の凝固状態を決定することと、
前記組織の前記凝固状態の前記決定に基づいて、RF駆動回路によって、RFエネルギーを前記電極に送達し、超音波駆動回路によって、超音波エネルギーを前記超音波ブレードに送達することと、
前記組織の凝固封止が実質的に完了したときに、RFエネルギーの前記電極への送達から超音波エネルギーの前記超音波ブレードへの送達に切り替えることと、を含む、方法。
【0221】
(26) 組織を治療するための方法であって、
第1の駆動回路によって、第1のエネルギー信号を外科用器具に送達することと、
第2の駆動回路によって、第2のエネルギー信号を前記外科用器具に送達することと、
前記外科用器具に係合された組織の組織インピーダンスを測定することと、
前記組織インピーダンスが所定の閾値と一致した際に、前記第1のエネルギー信号及び前記第2のエネルギー信号の送達を停止することと、を含み、
前記第1のエネルギー信号及び前記第2のエネルギー信号が、同時に送達される、方法。
(27) 前記第1のエネルギー信号の送達及び前記第2のエネルギー信号の送達が、同時に停止する、実施態様26に記載の方法。
(28) 前記第1のエネルギー信号がRFエネルギー信号であり、前記第2のエネルギー信号が超音波エネルギー信号である、実施態様26に記載の方法。
(29) 前記第2のエネルギー信号が、定電力レベルで起動する、実施態様26に記載の方法。
(30) 前記第1のエネルギー信号に関連するフィードバックを受信して、前記第2のエネルギー信号の送達を制御することを更に含む、実施態様26に記載の方法。
【0222】
(31) 前記第1のエネルギー信号に関連する複合負荷曲線(CLC)テーブルを起動することを更に含む、実施態様26に記載の方法。
(32) 前記第1のエネルギー信号に関連する前記CLCテーブルを起動することは、前記CLCテーブルを、前記第2のエネルギー信号が前記外科用器具に送達されると同時に起動することを含む、実施態様31に記載の方法。
(33) 前記第2のエネルギー信号の電力レベルが、前記外科用器具に係合されている組織を切り開くことを回避するように選択される、実施態様26に記載の方法。
(34) 前記所定の閾値が、第1の所定の閾値であり、前記第1のエネルギー信号を前記外科用器具に送達することは、前記測定された組織インピーダンスが第2の所定の閾値と一致すると決定した際に、RFエネルギーのパルスを送達することを含む、実施態様26に記載の方法。
(35) 前記所定の閾値が、第1の所定の閾値であり、前記第2のエネルギー信号を前記外科用器具に送達することは、前記測定された組織インピーダンスが第2の所定の閾値と一致すると決定した際に、前記第2のエネルギー信号の電力レベルを低下させることを含む、実施態様26に記載の方法。
【0223】
(36) 前記第2のエネルギー信号の前記電力レベルを低下させることが、段階的関数に従って前記第2のエネルギー信号の前記電力レベルを低下させることを含む、実施態様35に記載の方法。
(37) 前記組織の前記組織インピーダンスを測定することが、前記組織インピーダンスの変化率を測定することを含み、前記第2の所定の閾値が、前記組織インピーダンスの所定の閾値変化率である、実施態様35に記載の方法。
(38) 前記所定の閾値が、第1の所定の閾値であり、前記第2のエネルギー信号を前記外科用器具に送達することは、前記測定された組織インピーダンスが第2の所定の閾値と一致すると決定した際に、前記第2のエネルギー信号の電力レベルを上昇させることを含む、実施態様26に記載の方法。
(39) 前記第2のエネルギー信号の前記電力レベルを上昇させることが、段階的関数に従って前記第2のエネルギー信号の前記電力レベルを低下させることを含む、実施態様38に記載の方法。
(40) 前記組織の前記組織インピーダンスを測定することが、前記組織インピーダンスの変化率を測定することを含み、前記第2の所定の閾値が、前記組織インピーダンスの所定の閾値変化率である、実施態様38に記載の方法。
【0224】
(41) 組織を凝固及び切開するための外科用器具であって、前記外科用器具が、
プロセッサと、
前記外科用器具の遠位端のエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、組織と相互作用するように構成されており、前記エンドエフェクタが、
電極を備えるクランプアームと、
超音波ブレードと、を備える、エンドエフェクタと、
前記超音波ブレードに音響的に連結され、かつ前記超音波ブレードの超音波運動を引き起こすために発生器から駆動信号を受信し、前記超音波ブレードに超音波エネルギーを送達するように構成された超音波トランスデューサと、を備え、
前記プロセッサが、
RFエネルギーの前記電極への送達を制御することと、
超音波エネルギーの前記超音波ブレードへの送達を制御することと、
前記エンドエフェクタに係合された組織の組織インピーダンスを測定することと、
前記組織インピーダンスが所定の閾値と一致した際に、前記RFエネルギー及び前記超音波エネルギーの送達を停止することと、を行うように構成されており、
前記RFエネルギー及び前記超音波エネルギーが、同時に送達される、外科用器具。
(42) 前記プロセッサが、前記RFエネルギーの送達及び前記超音波エネルギーの送達を同時に停止するように構成されている、実施態様41に記載の外科用器具。
(43) 前記プロセッサが、前記超音波エネルギーを定電力レベルで送達するように構成されている、実施態様41に記載の外科用器具。
(44) 前記プロセッサが、前記RFエネルギーに関連するフィードバックを受信し、かつ前記フィードバックに基づいて前記超音波エネルギーの送達を制御するように構成されている、実施態様41に記載の外科用器具。
(45) 前記プロセッサが、前記RFエネルギーに関連する複合負荷曲線(CLC)テーブルを起動するように構成されている、実施態様41に記載の外科用器具。
【0225】
(46) 組織を凝固及び切開するための外科用器具にエネルギーを送達するための発生器であって、前記外科用器具が、その遠位端におけるエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、組織と相互作用するように構成されており、前記エンドエフェクタが、クランプアームと、超音波ブレードと、を備える、エンドエフェクタと、前記超音波ブレードに音響的に連結され、かつ前記超音波ブレードの超音波運動を引き起こすために前記発生器から駆動信号を受信し、前記超音波ブレードに超音波エネルギーを送達するように構成された超音波トランスデューサと、を備え、前記発生器が、
駆動信号を超音波トランスデューサに送達するように構成された第1の駆動回路と、
無線周波数(RF)エネルギーを前記電極に送達するように構成された第2の駆動回路と、
前記第1の駆動回路及び前記第2の駆動回路を制御するように構成されたプロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
前記第2の駆動回路を制御して、RFエネルギーを前記電極に送達することと、
前記第1の駆動回路を制御して、超音波エネルギーを前記超音波ブレードに送達することと、
前記エンドエフェクタに係合された組織の組織インピーダンスを測定することと、
前記組織インピーダンスが所定の閾値と一致した際に、前記第1及び第2の駆動回路を制御して、前記RFエネルギー及び前記超音波エネルギーの送達を停止することと、を行うように構成されており、
前記第1の駆動回路及び前記第2の駆動回路が、前記RFエネルギー及び前記超音波エネルギーを同時に送達するように制御される、発生器。
(47) 前記プロセッサが、前記第1の駆動回路及び前記第2の駆動回路を、前記RFエネルギーの送達及び前記超音波エネルギーの送達を同時に停止するように構成されている、実施態様46に記載の発生器。
(48) 前記プロセッサが、前記第1の駆動回路を制御して、前記超音波エネルギーを定電力レベルで送達するように構成されている、実施態様46に記載の発生器。
(49) 前記プロセッサが、前記電極に送達される前記RFエネルギーに関連するフィードバックを受信し、かつ前記フィードバックに基づいて、前記第2の駆動回路を制御して、前記超音波エネルギーを送達するように構成されている、実施態様46に記載の発生器。
(50) 前記プロセッサが、前記第2の駆動回路に関連する複合負荷曲線(CLC)テーブルを起動するように構成されている、実施態様46に記載の発生器。
図1
図2
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