(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
先ず、
図1は自動車におけるバンパ構造11の配置位置を示す。バンパ構造11は、通常、自動車車体12の前部と後部に自動車車体12に対して幅方向に配置される。自動車車体12において車室が形成される。尚、各図に適宜に示される矢印FRは、車両前方側を示し、矢印RRは車両後方側を示し、又、矢印UPは車両上方側を示している。更に、矢印INは、車幅方向内側を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。
【0015】
バンパ構造11は、バンパリインフォースメント15と、バンパ被覆部材16と、バンパ支持部材18とから成っている。バンパリインフォースメント15はバンパ構造11の強度上の芯材として配設されている。バンパ被覆部材16はバンパリインフォースメント15の前面を被覆するように配設されている。バンパ被覆部材16はバンパ構造11の最外面に配設され、見栄えを考慮した構成とされている。通常、意匠の成形に適する樹脂製で形成されている。
【0016】
バンパ支持部材18はバンパリインフォースメント15の長手方向(自動車車体12で見て幅方向)の両側部の位置で自動車車体12のフレーム部材(不図示)とバンパリインフォースメント15との間に配設されている。そして、このバンパ支持部材18によりバンパリインフォースメント15で受ける衝突荷重を自動車車体12に伝え、自動車車体12で支持する。なお、以後に説明する実施形態は、自動車車体12の前部に配設されるバンパリインフォースメント15の場合を例にして説明する。
【0017】
上記のような配置構成であることにより、自動車の正面衝突によりバンパ構造11の中央部位置に作用する衝突荷重は、先ずは、バンパ被覆部材16で受けて、これをバンパリインフォースメント15で支える。そしてバンパリインフォースメント15に作用した荷重は、バンパリインフォースメント15の両側部に配設されたバンパ支持部材18を介して自動車車体12により受けられる。
【0018】
図2はバンパリインフォースメント15とバンパ支持部材18との配置関係を左斜め後方から見た状態を示している。
図2に示すように、バンパリインフォースメント15は、本体部材21と、蓋部材22と、長手方向中央部分のX範囲に配置される内部補強部材25とから構成されている。これら各部材21、22、25は鋼製である。バンパリインフォースメント15の長手方向中央部分における少なくともX範囲は、断面形状一定で車幅方向に沿って直線状の筒状に形成され、内側に内部補強部材25が配設されている。
【0019】
また、バンパリインフォースメント15は、X範囲よりも長手方向における両外側部分は、長手方向外側へ向かうに従って車両前後方向内側へ徐々に傾斜すると共に、車両前後方向の幅が徐々に狭くなるように筒状に形成され、全体として平面視略弓形に形成されている。尚、内部補強部材25が配置されるX範囲は、バンパリインフォースメント15の全長の約25%〜40%の範囲が好ましい。
【0020】
図3は
図2に示すバンパリインフォースメント15のX範囲の中央位置における断面構造を示す。
図4は
図2に示すバンパリインフォースメント15の内部補強部材25の長手方向端部における断面構造を示す。
図3及び
図4に示すように、本体部材21は、断面コの字状の長尺部材として形成されており、コの字状の開口部が車両前後方向外側に向くように、つまり、自動車車体12により形成される車室から見て外方に向けて開口した状態として配設される。
【0021】
本体部材21の底面部21Aには、内側へ所定深さ(例えば、深さ約3mm〜5mm)窪む補強用溝21Bが、幅方向(車両上下方向)の中央部に全長に渡って形成されている。この補強用溝21Bは、内部補強部材25の車両前後方向における両側壁部に形成された一対の内側に窪む断面コの字状の凹部26の開口側の幅とほぼ同じ幅に形成され、内部補強部材25の車両前後方向後側の後壁部25Aに当接されて、点溶接27により溶接接合される。
【0022】
点溶接27は、スポット溶接、アーク溶接、レーザ溶接等何でも良く、適宜選定して行われる。以後に説明する点溶接による溶接箇所も同じである。尚、
図3及び
図4において、×印により溶接個所を示している。また、本体部材21の両側壁部21C、21Dは、
図2に示すように、X範囲よりも長手方向における両外側部分の車両前後方向の幅が、長手方向外側へ向かうに従って徐々に狭くなるように形成されている。
【0023】
蓋部材22は、本体部材21のコの字状の開口部を塞ぐ部材として配設され、車両衝突時に荷重を受ける当たり面となっている。蓋部材22は本体部材21の開口部全面を塞ぐ形状の長尺の板状部材として形成されている。蓋部材22と本体部材21との接合は、コの字状断面形状の本体部材21の両側壁部21C、21Dの開口端部の内側面に蓋部材22の両端部22B、22Cとが重ね合わされて行われる。かかる重ね合わせ形態とするため、本実施形態では、蓋部材22の両端部22B、22Cを、本体部材21の底面部21A方向に凹形状に湾曲させて形成されている。
【0024】
蓋部材22の幅方向(車両上下方向)の中央部には、内側へ所定深さ(例えば、深さ約3mm〜5mm)窪む補強用溝22Aが、全長に渡って形成されている。この補強用溝22Aは、内部補強部材25の車両前後方向における両側壁部に形成された一対の内側に窪む断面コの字状の凹部26の開口側の幅とほぼ同じ幅に形成され、内部補強部材25の車両前後方向前側の前壁部25Bに当接されて、レーザ溶接等の点溶接28により溶接接合されている。
【0025】
蓋部材22の両端部22B、22Cと本体部材21の両側壁部21C、21Dの開口端部の内側面との接合は点溶接29により溶接接合される。この点溶接29が行われる本体部材21の両側壁部21C、21Dと蓋部材22の両端部22B、22Cとの接合箇所は、蓋部材22の当たり面に対する衝突荷重の作用方向と同じ方向に沿って形成されており、各点溶接29の接合箇所には衝突荷重によって剪断力が作用する構成となっている。
【0026】
各フランジ部23B、23Cが、蓋部材22の両端部22B、22Cの端部から車両上下方向外方へ延出されている。つまり、各フランジ部23B、23Cの配設方向は、コの字状断面形状の本体部材21の開口端を結ぶ仮想線Mに沿った平面形状方向と同じ方向であって、本体部材21の開口端部から離反する外側方向となっている。
【0027】
また、各フランジ部23B、23Cの配置位置は、この仮想線Mから距離Hだけ車両前後方向外側に飛び出した位置となっている。この飛び出し方向は衝突荷重の入力方向に対向する方向である。これにより衝突荷重の作用は、各フランジ部23B、23Cに早く作用することになり、各フランジ部23B、23Cを介して本体部材21の両側壁部21C、21Dを内側方向に変形させる作用力として働く。
【0028】
次に、本体部材21と蓋部材22とにより形成される閉断面の内部の長手方向中央に配設される内部補強部材25について
図3乃至
図6に基づいて説明する。
図3乃至
図6に示すように、内部補強部材25は、断面コの字状の前方補強部材31Aと後方補強部材31Bとに2分割されて形成されており、重ね合わせ面がレーザ溶接等の点溶接32により溶接接合されて一体化されている。前方補強部材31Aと後方補強部材31Bは、同じ断面形状とすることによって、部品の共用化を図ることができ、製造コストの削減化を図ることができる。尚、前方補強部材31Aと後方補強部材31Bの溶接接合は、コの字状の開口側の端部を突き合せて行うこともできる。
【0029】
内部補強部材25は、後壁部25A、前壁部25B、上壁部25C、下壁部25Dとからなり、略矩形状の箱断面形状として形成されている。上記の通り、後壁部25Aは、本体部材21の底面部21Aに形成された内側へ窪む補強用溝21Bに当接されて、点溶接27により溶接接合され、前壁部25Bは、蓋部材22に形成された内側に窪む補強用溝22Aに当接されて、点溶接28により溶接接合されている。また、上壁部25Cと下壁部25Dは、本体部材21の両側壁部21C、21Dとは、所定隙間を有して配設される。これは、後述のように、衝突荷重によって本体部材21の両側壁部21C、21Dが変形する際に、内方へ撓みやすくして外方への変形を抑制するためである。
【0030】
図3、
図5、
図6に示すように、内部補強部材25の長手方向中央位置には、後壁部25Aと前壁部25Bのそれぞれの幅方向(車両上下方向)の中央部に、内側に窪む断面コの字状の凹部26が、長手方向に沿って、底面部26Aの長さ2L1で全長L0の中心位置に対して対称となるように形成されている。また、各凹部26の底面部(当接部分)26Aは、互いに当接された状態で、レーザ溶接等の点溶接33により溶接接合されている。尚、
図3及び
図6において、×印により溶接個所を示している。
【0031】
従って、各凹部26の底面部26Aの窪み深さは、上壁部25Cと下壁部25Dの幅の約1/2になるように形成されている。また、各凹部26の底面部26Aの長さ2L1の当接部分の長手方向両端部から、長手方向外側へ向かうに従って、窪んだ深さが徐々に浅くなる一対の傾斜底面部26Bが、長さL2で全長L0の中心位置に対して対称となるように形成されている。従って、
図4〜
図6に示すように、一対の傾斜底面部26Bの長手方向外側の両端部よりも長手方向外側の部分における、内部補強部材25の断面形状は、略矩形状の箱断面形状として形成される。
【0032】
また、各凹部26の底面部26Aの長手方向両端部から、長手方向外側へ向かうに従って、窪んだ深さが徐々に浅くなる一対の傾斜底面部26Bを形成することによって、衝突荷重を長手方向中央部に受けた際に、各凹部26の底面部26Aの長手方向両端部における応力集中を抑制し、内部補強部材25の一対の凹部26における衝突荷重による座屈を効果的に抑制することができる。
【0033】
尚、本体部材21と蓋部材22により形成される閉断面形状内に配設される内部補強部材25の固定は、蓋部材22を本体部材21に点溶接29によって溶接接合する前に、略矩形状の箱断面形状に形成された内部補強部材25を閉断面形状内に入れておき、蓋部材22を点溶接29によって溶接接合して、内部補強部材25を内封した状態とする。かかる状態で、内部補強部材25の上壁部25Cと蓋部材22の補強用溝22Aとを蓋部材22の外方からレーザ溶接等の点溶接28によって溶接接合する。また、内部補強部材25の下壁部25Dと本体部材21の補強用溝21Bとを本体部材21の外方からレーザ溶接等の点溶接27によって溶接接合する。
【0034】
次に、
図2〜
図4に示すバンパリインフォースメント15の正面衝突時の作用について
図7〜
図9に基づいて説明する。
図7はバンパリインフォースメント15の評価試験を行った3点曲げ解析条件を示す。
図8は
図3に示すバンパリインフォースメント15の長手方向中央位置の断面形状の変形の経過を示す。
図9は
図4に示すバンパリインフォースメント15の内部補強部材25の長手方向端部における断面形状の変形の経過を示す。
【0035】
図7に示すように、3点曲げ解析条件は、バンパリインフォースメント15をバンパ支持部材18の設置位置に対応する位置において支持部材41によって支持し、蓋部材22の長手方向中央位置に車両前後方向前側からインパクター(荷重負荷部材)42で衝突荷重を負荷するものである。
【0036】
従って、
図8及び
図9に示すように、インパクター42によって衝突荷重を負荷すると、インパクター42は、先ず、蓋部材22の両端部22B、22C(
図3、
図4参照)の端部から車両上下方向外方へ延出されて、断面コの字状の本体部材21の開口端よりも距離Hだけ外方に飛び出した各フランジ部23B、23Cに当接する。そして、インパクター42は、各フランジ部23B、23Cを車両前後方向斜め後方へ変形させた後、蓋部材22に当接する。この衝突荷重により、蓋部材22の各端部22B、22Cと、本体部材21の各側壁部21C、21Dとの接合面を形成する各点溶接29(
図3、
図4参照)には、せん断方向の作用力が作用して、耐衝突荷重の増大化を図ることができる。
【0037】
また、各フランジ部23B、23Cが車両前後方向斜め後方へ変形されるため、本体部材21の両側壁部21C、21Dを内方側、即ち、内部補強部材25の上壁部25C、下壁部25D方向へ変形させる。この変形により、本体部材21の各側壁部21C、21Dと、内部補強部材25の上壁部25C、下壁部25Dとの間の隙間がなくなり、両者が接触するため、本体部材21の各側壁部21C、21Dの変形が抑制される。これにより、閉断面形状を形成する本体部材21の各側壁部21C、21Dの断面崩れを、更に大きな衝突荷重状態まで抑制することができる。
【0038】
また、
図9に示すように、内部補強部材25の断面形状は、ほぼ全長に渡って、略矩形状の箱断面形状として形成されており、前壁部25Bが蓋部材22に点溶接28(
図4参照)により溶接接合され、後壁部25Aが本体部材21の底面部21Aに点溶接27(
図4参照)により溶接接合されている。これにより、内部補強部材25の一対の凹部26よりも長手方向外側の部分においては、略矩形状の箱断面形状によって衝突荷重を受けることができ、耐衝突荷重の増大と、衝突エネルギー吸収(EA)量の増大化を図ることができる。
【0039】
更に、
図8に示すように、内部補強部材25の一対の凹部26のそれぞれの底面部26Aは、互いに当接された状態で、点溶接33(
図3参照)により溶接接合されている。これにより、内部補強部材25の長手方向中央部に、長手方向に沿って形成された一対の凹部26のそれぞれの内側面の車両上下方向における相対向する両側壁部26C、26Dによって衝突荷重が支持されるため、内部補強部材25の長手方向中央位置における座屈を抑制し、衝突エネルギー吸収(EA)量の更なる増大化を図ることができる。
【0040】
また、内部補強部材25の長手方向中央部に、長手方向に沿って所定長さ2L1(例えば、内部補強部材25の全長L0の約17.4%〜20%の長さである。)の底面部26Aを有する一対の凹部26を形成するため、バンパリインフォースメント15の質量の増大を抑制することができる。また、バンパリインフォースメント15の略矩形状の箱断面形状の変形を抑制し、断面崩れが抑制されて、耐衝突荷重の更なる増大化を図ることができる。
【0041】
また、一対の凹部26は、本体部材21の底面部21Aと蓋部材22に対向する後壁部25Aと前壁部25Bの幅方向中央位置に設けられているため、内部補強部材25の長手方向中央位置の断面は車両上下方向において対称な形となる。これにより、衝突荷重が車両上下方向において均等に支持されるため、内部補強部材25の長手方向中央位置における座屈を抑制し、衝突エネルギー吸収(EA)量の更なる増大化を図ることができる。
【0042】
次に、上記のように構成された内部補強部材25の一対の凹部26の長手方向における長さを種々変化させて、
図7に示す3点曲げ解析条件により解析したインパクター42の変位量に対するバンパリインフォースメント15の荷重の変化と、エネルギー吸収(EA)量を
図10乃至
図20に基づいて説明する。
図10は、一対の凹部26の長手方向における長さを種々変化させた5種類の各形態Y1〜Y5の内部補強部材25を備えたバンパリインフォースメント15について、
図7に示す3点曲げ解析条件により解析したインパクター42の変位量に対する荷重の変化と、エネルギー吸収(EA)量を対比して示す線図である。
【0043】
先ず、
図10に示すバンパリインフォースメント15の荷重の変化と、エネルギー吸収(EA)量の各線図に対応する内部補強部材25の各形態Y1〜Y5について
図5、
図6、
図11〜
図13に基づいて説明する。尚、
図6に示すように、内部補強部材25の全長[L0]に対する凹部26の点溶接33にて溶接接合された底面部26Aの長さ[2L1]の割合P(%)は、下記式(1)にて算出される。また、凹部26の底面部26Aは、内部補強部材25の長手方向中央位置に対して対称な長さ2L1で正面視横長の長方形状に形成されている。
P=2L1÷L0×100・・・(1)
【0044】
図11に示すように、内部補強部材25の形態Y1は、内部補強部材25の全長[L0]に対する凹部26の点溶接33にて溶接接合された底面部26Aの長さ[2L1]の割合P(%)が、P=0(%)の形態である。つまり、
図12に示すように、内部補強部材25の形態Y1は、前壁部25Bと後壁部25Aに凹部26が形成されていない、即ち、一対の凹部26を有しないで、全長に渡って断面略矩形状の筒状に形成された従来技術の形態である。
【0045】
また、
図11に示すように、内部補強部材25の形態Y2は、内部補強部材25の全長[L0]に対する凹部26の点溶接33にて溶接接合された底面部26Aの長さ[2L1]の割合P(%)が、P<17.4(%)の形態である。内部補強部材25の形態Y3は、内部補強部材25の全長[L0]に対する凹部26の点溶接33にて溶接接合された底面部26Aの長さ[2L1]の割合P(%)が、17.4(%)≦P≦20.0(%)の形態である。内部補強部材25の形態Y4は、内部補強部材25の全長[L0]に対する凹部26の点溶接33にて溶接接合された底面部26Aの長さ[2L1]の割合P(%)が、20(%)<P<100(%)の形態である。
【0046】
つまり、
図5及び
図6に示すように、内部補強部材25の各形態Y2〜Y4は、前壁部25Bと後壁部25Aの幅方向中央部に、長手方向において全長L0よりも短い所定長さの凹部26が形成されている、即ち、長手方向において全長L0よりも短い所定長さの一対の凹部26を有する形態である。そして、内部補強部材25の一対の凹部26の各底面部26Aは、互いに当接された状態で、レーザ溶接等の点溶接33により溶接接合された形態である。従って、内部補強部材25の長手方向両端部は、略矩形状の箱断面形状を有する筒状に形成されている。
【0047】
また、
図11に示すように、内部補強部材25の形態Y5は、内部補強部材25の全長[L0]に対する凹部26の点溶接33にて溶接接合された底面部26Aの長さ[2L1]の割合P(%)が、P=100(%)の形態である。つまり、
図13に示すように、内部補強部材25の形態Y5は、前壁部25Bと後壁部25Aのそれぞれの全長に渡って幅方向中央部に、凹部26の底面部26Aが形成された形態である。そして、内部補強部材25の一対の凹部26の各底面部26Aは、互いに当接された状態で、レーザ溶接等の点溶接33により溶接接合されている。
【0048】
続いて、上記のように構成された5種類の各形態Y1〜Y5の内部補強部材25を備えたバンパリインフォースメント15の3点曲げ解析条件により解析した荷重の変化と、エネルギー吸収(EA)量について
図10、
図14〜
図21に基づいて説明する。
【0049】
尚、バンパリインフォースメント15は、全長が約800mmで、車両前後方向の幅が約60mm〜70mmとした。内部補強部材25の全長は、約240mmとした。インパクター42は、直径約254mmで、長さ約272mmとした。インパクター42の変位量は、150mmとした。エネルギー吸収(EA)量は、Y1(荷重)〜Y5(荷重)の各線図について、変位量0mm〜150mmを積分して求めた。また、
図14〜
図21において、内部補強部材25の応力分布を白黒の濃淡をつけて示し、濃淡が濃い部分ほど応力が大きくなっている。
【0050】
図10に示すように、Y1(荷重)の線図にて示される形態Y1の従来技術の内部補強部材25を備えたバンパリインフォースメント15の荷重の変化は、インパクター42の変位量が約40mmに達するまで増加して、約310kNのピーク荷重に達した後は、内部補強部材25が座屈して荷重はなだらかに減少した。また、Y1(EA量)の線図にて示されるように、形態Y1の内部補強部材25を備えたバンパリインフォースメント15の変位量が150mmに達するまでのエネルギー吸収(EA)量は、約28.5kJであった。
【0051】
また、Y2(荷重)の線図にて示される形態Y2の内部補強部材25、つまり、凹部26の割合P(%)が、P<17.4(%)の内部補強部材25を備えたバンパリインフォースメント15の荷重の変化は、インパクター42の変位量が約40mmに達するまで増加して、約275kNの荷重に達した。その後、バンパリインフォースメント15の荷重は、インパクター42の変位量が約90mmに達するまで緩やかに増加して、約330kNのピーク荷重に達した後は、変位量が約150mmに達するまで、内部補強部材25が座屈して荷重はなだらかに減少した。
【0052】
例えば、
図14及び
図15に示すように、インパクター42の変位量が約120mmに達した際には、形態Y2の内部補強部材(内部R/F)25は、長手方向中央部に形成された一対の凹部26の底面部26A周辺に応力集中が発生して、長手方向中央部にて座屈している。また、
図10に示すように、Y2(EA量)の線図にて示されるように、形態Y2の内部補強部材25を備えたバンパリインフォースメント15の変位量が150mmに達するまでのエネルギー吸収(EA)量は、約37kJであった。
【0053】
また、Y3(荷重)の線図にて示される形態Y3の内部補強部材25を備えたバンパリインフォースメント15の荷重の変化は、インパクター42の変位量が約40mmに達するまで増加して、約275kNの荷重に達した。その後、バンパリインフォースメント15の荷重は、インパクター42の変位量が約63mmに達するまで緩やかに増加して、約330kNのピーク荷重に達した後は、変位量が約110mmに達するまで、ほぼ330kNのピーク荷重を維持した。その後、バンパリインフォースメント15の荷重は、変位量が約150mmに達するまで、内部補強部材25が座屈することなく大きく撓んで、荷重はなだらかに減少した。
【0054】
例えば、
図16及び
図17に示すように、インパクター42の変位量が約120mmに達した際には、形態Y3の内部補強部材(内部R/F)25は、全長に渡ってほぼ均等な応力分布となって、座屈することなく大きく撓んでいる。また、
図10に示すように、Y3(EA量)の線図にて示されるように、形態Y3の内部補強部材25を備えたバンパリインフォースメント15の変位量が150mmに達するまでのエネルギー吸収(EA)量は、約42kJであった。
【0055】
また、Y4(荷重)の線図にて示される形態Y4の内部補強部材25を備えたバンパリインフォースメント15の荷重の変化は、インパクター42の変位量が約40mmに達するまで増加して、約275kNの荷重に達した。その後、バンパリインフォースメント15の荷重は、インパクター42の変位量が約63mmに達するまで緩やかに増加して、約330kNのピーク荷重に達した後は、変位量が約85mmに達するまで、ほぼ330kNのピーク荷重を維持した。
【0056】
その後、バンパリインフォースメント15の荷重は、変位量が約150mmに達するまで、内部補強部材25が座屈して荷重はなだらかに減少した。例えば、
図18及び
図19に示すように、インパクター42の変位量が約120mmに達した際には、形態Y4の内部補強部材(内部R/F)25は、一対の凹部26の長手方向中央位置において、一対の凹部26よりも車両上下方向外側部分に応力集中が発生して、長手方向中央部にて座屈している。また、
図10に示すように、Y4(EA量)の線図にて示されるように、形態Y4の内部補強部材25を備えたバンパリインフォースメント15の変位量が150mmに達するまでのエネルギー吸収(EA)量は、約39kJであった。
【0057】
更に、Y5(荷重)の線図にて示される形態Y5の内部補強部材25を備えたバンパリインフォースメント15の荷重の変化は、インパクター42の変位量が約40mmに達するまで増加して、約310kNの荷重に達した。その後、バンパリインフォースメント15の荷重は、インパクター42の変位量が約50mmに達するまで緩やかに増加して、約330kNのピーク荷重に達した後は、変位量が約150mmに達するまで、内部補強部材25が座屈して荷重はなだらかに減少した。
【0058】
例えば、
図20及び
図21に示すように、インパクター42の変位量が約120mmに達した際には、形態Y5の内部補強部材(内部R/F)25は、長手方向中央位置に車両上下方向に沿って応力集中が発生して、長手方向中央部にて座屈している。また、
図10に示すように、Y5(EA量)の線図にて示されるように、形態Y5の内部補強部材25を備えたバンパリインフォースメント15の変位量が150mmに達するまでのエネルギー吸収(EA)量は、約36kJであった。
【0059】
従って、
図10に示すように、各形態Y1〜Y5の内部補強部材25のうち、各形態Y2〜Y5の内部補強部材25を備えたバンパリインフォースメント15のエネルギー吸収(EA)量は、従来技術の形態Y1の内部補強部材25を備えたバンパリインフォースメント15のエネルギー吸収(EA)量よりも大幅な増大を図ることができる。つまり、各形態Y2〜Y5の内部補強部材25は、従来技術の形態Y1の内部補強部材25よりもバンパリインフォースメント15の閉断面の変形を抑制し、断面崩れが抑制されて、エネルギー吸収(EA)量の増大化を図ることができる。引いては、衝突荷重を最終的に受ける自動車車体12の負担軽減化を図ることができる。
【0060】
特に、各形態Y2〜Y5の内部補強部材25うちで、形態Y3の内部補強部材25、つまり、一対の凹部26の底面部26Aの長さ[2L1](
図6参照)の内部補強部材25の全長[L0](
図6参照)に対する割合P(%)が、17.4(%)≦P≦20.0(%)に形成された内部補強部材25を備えたバンパリインフォースメント15は、座屈することなく大きく撓んで、最も大きいエネルギー吸収(EA)量の増大化を図ることができる。
【0061】
以上、本発明に係るバンパリインフォースメントを具体化したバンパリインフォースメント15について詳細に説明したが、本発明に係るバンパリインフォースメントは、前記実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形、追加、削除が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。尚、以下の説明において上記
図1〜
図21の前記実施形態に係るバンパリインフォースメント15及び内部補強部材25の構成等と同一符号は、前記実施形態に係るバンパリインフォースメント15及び内部補強部材25の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0062】
[他の第1実施形態]
(A)例えば、
図3及び
図5に示す内部補強部材25に替えて、
図22に示す内部補強部材51を用いてもよい。
図22に示すように、内部補強部材51は、開口側の車両上下方向の幅が徐々に広くなる断面略U字状の前方補強部材52Aと後方補強部材52Bとに2分割されて形成されており、重ね合わせ面がレーザ溶接等の点溶接53により溶接接合されて一体化されている。
【0063】
その結果、内部補強部材51は、断面略六角形状の箱断面形状として形成されている。また、内部補強部材51は、本体部材21の底面部21Aに形成された内側へ窪む補強用溝21Bに当接されて、点溶接により溶接接合される後壁部51Aと、蓋部材22に形成された内側に窪む補強用溝22Aに当接されて、点溶接により溶接接合される前壁部51Bと、を有している。
【0064】
内部補強部材51の長手方向中央位置には、後壁部51Aと前壁部51Bのそれぞれの幅方向(車両上下方向)全幅に渡って開口して、内側に窪む断面コの字状の凹部26が、長手方向に沿って、長さ2L1で全長L0の中心位置に対して対称となるように形成されている。また、各凹部26の底面部26Aは、互いに当接された状態で、レーザ溶接等の点溶接55により溶接接合されている。尚、
図22において、×印により溶接個所を示している。
【0065】
これにより、バンパリインフォースメント15は、内部補強部材51を長手方向中央部分のX範囲(
図2参照)に配置することによって、前記実施形態に係る内部補強部材25を備えることによって車両衝突時に奏する効果と同等の効果を奏することができる。
【0066】
[他の第2実施形態]
(B)また、例えば、
図3及び
図5に示す内部補強部材25に替えて、
図23に示す内部補強部材61を用いてもよい。
図23に示すように、内部補強部材61は、前記実施形態に係る内部補強部材25とほぼ同じ構成である。但し、後壁部25Aの幅方向(車両上下方向)の中央部には、凹部26に替えて、凹部26よりも開口端の上下方向の幅が少し広がり、且つ、所定窪み深さだけ深くなるように内側に窪む断面コの字状の凹部62が、長手方向に沿って、長さ2L1で全長L0の中心位置に対して対称となるように形成されている。
【0067】
また、前壁部25Bの幅方向(車両上下方向)の中央部には、凹部26に替えて、開口端の上下方向の幅が凹部26の開口端の上下方向の幅とほぼ同じで、且つ、凹部26よりも所定窪み深さだけ浅くなるように内側に窪む断面コの字状の凹部63が、長手方向に沿って、長さ2L1で全長L0の中心位置に対して対称となるように形成されている。そして、凹部62の底面部(当接部分)62Aと凹部63の底面部(当接部分)63Aとは、車両上下方向の幅がほぼ同じ幅に形成され、互いに当接された状態で、レーザ溶接等の点溶接65により溶接接合されている。尚、
図23において、×印により溶接個所を示している。
【0068】
これにより、バンパリインフォースメント15は、内部補強部材61を長手方向中央部分のX範囲(
図2参照)に配置することによって、前記実施形態に係る内部補強部材25を備えることによって車両衝突時に奏する効果と同等の効果を奏することができる。
【0069】
[他の第3実施形態]
(C)また、例えば、
図3及び
図5に示す内部補強部材25に替えて、
図24に示す内部補強部材71を用いてもよい。
図24に示すように、内部補強部材71は、前記実施形態に係る内部補強部材25とほぼ同じ構成である。但し、後壁部25Aの幅方向(車両上下方向)の中央部には、凹部26に替えて、開口端の上下方向幅が凹部26の開口端の上下方向の幅とほぼ同じで、且つ、凹部26よりも所定窪み深さだけ浅くなるように内側に窪む断面コの字状の凹部72が、長手方向に沿って、長さ2L1で全長L0の中心位置に対して対称となるように形成されている。
【0070】
また、前壁部25Bの幅方向(車両上下方向)の中央部には、凹部26に替えて、凹部26よりも開口端の上下方向の幅が少し広がり、且つ、所定窪み深さだけ深くなるように内側に窪む断面コの字状の凹部73が、長手方向に沿って、長さ2L1で全長L0の中心位置に対して対称となるように形成されている。そして、凹部72の底面部(当接部分)72Aと凹部73の底面部(当接部分)73Aとは、車両上下方向の幅がほぼ同じ幅に形成され、互いに当接された状態で、レーザ溶接等の点溶接75により溶接接合されている。尚、
図24において、×印により溶接個所を示している。
【0071】
これにより、バンパリインフォースメント15は、内部補強部材71を長手方向中央部分のX範囲(
図2参照)に配置することによって、前記実施形態に係る内部補強部材25を備えることによって車両衝突時に奏する効果と同等の効果を奏することができる。
【0072】
[他の第4実施形態]
(D)また、例えば、
図3及び
図5に示す内部補強部材25に替えて、
図25に示す内部補強部材81を用いてもよい。
図25に示すように、内部補強部材81は、前記実施形態に係る内部補強部材25とほぼ同じ構成である。但し、後壁部25Aの幅方向(車両上下方向)の略中央部には、凹部26に替えて、凹部26よりも開口端の上下方向の幅が車両上下方向下方側に少し広がり、且つ、同じ窪み深さになるように内側に窪む断面コの字状の凹部82が、長手方向に沿って、長さ2L1で全長L0の中心位置に対して対称となるように形成されている。
【0073】
また、前壁部25Bの幅方向(車両上下方向)の略中央部には、凹部26に替えて、開口端の上下方向の幅が前壁部25Bの下端縁部まで車両上下方向下方側に広がり、且つ、同じ窪み深さになるように内側に窪む断面コの字状の凹部83が、長手方向に沿って、長さ2L1で全長L0の中心位置に対して対称となるように形成されている。そして、凹部82の底面部(当接部分)82Aと凹部83の底面部(当接部分)83Aとは、車両上下方向の幅がほぼ同じ幅に形成され、互いに当接された状態で、レーザ溶接等の点溶接85により溶接接合されている。尚、
図25において、×印により溶接個所を示している。
【0074】
これにより、バンパリインフォースメント15は、内部補強部材81を長手方向中央部分のX範囲(
図2参照)に配置することによって、前記実施形態に係る内部補強部材25を備えることによって車両衝突時に奏する効果と同等の効果を奏することができる。
【0075】
[他の第5実施形態]
(E)また、例えば、
図3及び
図5に示す内部補強部材25に替えて、
図26に示す内部補強部材91を用いてもよい。
図26に示すように、内部補強部材91は、前記実施形態に係る内部補強部材25とほぼ同じ構成である。但し、後壁部25Aの幅方向(車両上下方向)の略中央部には、凹部26に替えて、開口端の上下方向の幅が前壁部25Bの上端縁部まで車両上下方向上方側に広がり、且つ、同じ窪み深さになるように内側に窪む断面コの字状の凹部92が、長手方向に沿って、長さ2L1で全長L0の中心位置に対して対称となるように形成されている。
【0076】
また、前壁部25Bの幅方向(車両上下方向)の略中央部には、凹部26に替えて、凹部26よりも開口端の上下方向の幅が車両上下方向上方側に少し広がり、且つ、同じ窪み深さになるように内側に窪む断面コの字状の凹部93が、長手方向に沿って、長さ2L1で全長L0の中心位置に対して対称となるように形成されている。そして、凹部92の底面部(当接部分)92Aと凹部93の底面部(当接部分)93Aとは、車両上下方向の幅がほぼ同じ幅に形成され、互いに当接された状態で、レーザ溶接等の点溶接95により溶接接合されている。尚、
図26において、×印により溶接個所を示している。
【0077】
これにより、バンパリインフォースメント15は、内部補強部材91を長手方向中央部分のX範囲(
図2参照)に配置することによって、前記実施形態に係る内部補強部材25を備えることによって車両衝突時に奏する効果と同等の効果を奏することができる。
【0078】
[他の第6実施形態]
(F)また、例えば、
図3及び
図5に示す内部補強部材25に替えて、
図27に示す内部補強部材101を用いてもよい。
図27に示すように、内部補強部材101は、前記実施形態に係る内部補強部材25とほぼ同じ構成である。但し、後壁部25Aと前壁部25Bのそれぞれの幅方向(車両上下方向)の中央部には、凹部26に替えて、凹部26よりも開口端の上下方向の幅が少し狭く、且つ、同じ窪み深さになるように内側に窪む断面U字状の凹部102が、長手方向に沿って、長さ2L1で全長L0の中心位置に対して対称となるように形成されている。また、各凹部102の底面部(当接部分)102Aは、互いに当接された状態で、レーザ溶接等の点溶接105により溶接接合されている。尚、
図27において、×印により溶接個所を示している。
【0079】
これにより、バンパリインフォースメント15は、内部補強部材101を長手方向中央部分のX範囲(
図2参照)に配置することによって、前記実施形態に係る内部補強部材25を備えることによって車両衝突時に奏する効果と同等の効果を奏することができる。
【0080】
[他の第7実施形態]
(G)また、例えば、
図3及び
図5に示す内部補強部材25に替えて、
図28に示す内部補強部材111を用いてもよい。
図28に示すように、内部補強部材111は、前記実施形態に係る内部補強部材25とほぼ同じ構成である。但し、後壁部25Aと前壁部25Bのそれぞれの幅方向(車両上下方向)の中央部には、凹部26に替えて、内側に窪む凹部112が形成されている。
【0081】
一対の凹部112は、凹部26と同様に、車両上下方向に沿って設けられた各底面部(当接部分)112Aは、車両上下方向の幅がほぼ同じ幅に形成され、互いに当接された状態で、レーザ溶接等の点溶接115により溶接接合されている。一対の凹部112のそれぞれの底面部112Aの車両上下方向両端縁部から車両前後方向外方へ延出された上下方向に相対向する両側壁部112B、112Cは、車両前後方向外方に向かうに従って互いに接近するように形成され、後壁部25Aと前壁部25Bのそれぞれの幅方向(車両上下方向)の中央部にて、所定距離だけ離間している。
【0082】
従って、一対の凹部112は、後壁部25Aと前壁部25Bのそれぞれの幅方向(車両上下方向)の中央部に、幅狭に開口する開口部112Dを有し、断面が車両前後方向外方へ横向きの略縦長台形状に形成されている。これにより、バンパリインフォースメント15は、内部補強部材111を長手方向中央部分のX範囲(
図2参照)に配置することによって、前記実施形態に係る内部補強部材25を備えることによって車両衝突時に奏する効果と同等の効果を奏することができる。
【0083】
また、車両衝突時に、バンパリインフォースメント15の閉断面の変形により、内部補強部材111の長手方向中央部の閉断面が変形された場合には、各凹部112の各側壁部112B、112Cの先端側が当接して、各開口部112Dが閉じられる。これにより、各凹部112が略三角形状の閉断面を形成するため、前記実施形態に係る内部補強部材25よりもバンパリインフォースメント15の閉断面の変形を抑制し、断面崩れが抑制されて、エネルギー吸収(EA)量の増大化を図ることができる。引いては、衝突荷重を最終的に受ける自動車車体12の更なる負担軽減化を図ることができる。
【0084】
(H)また、前記第1発明乃至第6発明は、以下の効果を奏する。例えば、第1発明に係るバンパリインフォースメントによれば、本体部材の底面部と蓋部材に対向する各面に一対の凹部を有する内部補強部材を配設することによって、一対のフランジ部を介して長手方向中央部に衝突荷重を受けた場合に、本体部材の両側壁部が内方へ変形して内部補強部材に当接する。
【0085】
これにより、内部補強部材の長手方向中央部に、長手方向に沿って形成された一対の凹部のそれぞれの内側面の車両上下方向における相対向する両側壁部によって衝突荷重が支持されるため、内部補強部材の長手方向中央位置における座屈を抑制し、衝突エネルギー吸収量の更なる増大化を図ることができる。また、内部補強部材の長手方向中央部に、長手方向に沿って一対の凹部を形成するため、バンパリインフォースメントの質量の増大を抑制することができる。また、バンパリインフォースメントの閉断面の変形を防止乃至抑制し、断面崩れが抑制されて、耐衝突荷重の増大化を図ることができる。
【0086】
また、第2発明に係るバンパリインフォースメントによれば、一対の凹部は、それぞれの当接部分の長手方向両端部から長手方向外側へ向かうに従って、窪んだ深さが徐々に浅くなるように形成されているため、それぞれの当接部分の長手方向両端部における応力集中を抑制し、内部補強部材の一対の凹部における座屈を効果的に抑制することができる。
【0087】
また、第3発明に係るバンパリインフォースメントによれば、一対の凹部は、本体部材の底面部と蓋部材に対向する各面の幅方向中央位置に設けられているため、内部補強部材の長手方向中央位置の断面は車両上下方向において対称な形となる。これにより、衝突荷重が車両上下方向において均等に支持されるため、内部補強部材の長手方向中央位置における座屈を抑制し、衝突エネルギー吸収量の更なる増大化を図ることができる。
【0088】
また、第4発明に係るバンパリインフォースメントによれば、内部補強部材は、それぞれ凹部を有する二つ割りされた2部品が接合されて形成され、一対の凹部の当接部分のそれぞれの窪み深さは、等しくなるように形成されている。これにより、内部補強部材を一部品で成形加工して製作することが可能となり、製造コストの削減化、部品の共用化を図ることができる。
【0089】
また、第5発明に係るバンパリインフォースメントによれば、内部補強部材の長手方向中央位置から一対の凹部の当接部分の両端部までの各距離は、該内部補強部材の全長に対して8.7%以上から10%以下に設定されて、互いに等しい距離になるように形成されている。このように構成することによって、内部補強部材の座屈を最も抑制して、衝突エネルギー吸収量の最大化を図ることができる。
【0090】
また、第6発明に係るバンパリインフォースメントによれば、一対の凹部の互いに当接する当接部分は、スポット溶接、レーザ溶接等の溶接によって接合されるため、簡易な構成で、迅速に接合することができ、製造コストの削減化を図ることができる。