特許第6869915号(P6869915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869915
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】車載部品の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20210426BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   B60R16/02 610J
   F16B5/02 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-45718(P2018-45718)
(22)【出願日】2018年3月13日
(65)【公開番号】特開2019-156164(P2019-156164A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2020年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠啓
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−040410(JP,A)
【文献】 実開昭63−147916(JP,U)
【文献】 実開昭48−036273(JP,U)
【文献】 特開2018−016199(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0120838(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
F16B 5/00−5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を固定するための第1ブラケットと、
車体に取り付けられる第2ブラケットと、
を有し、
前記第1ブラケットは、第1位置決め部を有し、
前記第2ブラケットは、前記第1位置決め部と協働して位置決めされる第2位置決め部を有し、
前記第1位置決め部および前記第2位置決め部のいずれか一方は、平行でない3辺を有し、他方は、前記第1ブラケットの第1の取付位置に対応した平行でない3辺を有するとともに、前記第1ブラケットの第2の取付位置に対応した平行でない3辺を有する
ことを特徴とする車載部品の取付構造。
【請求項2】
前記第1ブラケットの第1位置決め部および前記第2ブラケットの第2位置決め部は、貫通孔であることを特徴とする請求項1に記載の車載部品の取付構造。
【請求項3】
前記第1ブラケットの第1位置決め部としての貫通孔は、三角形状をなし、三角形の3辺で前記平行でない3辺を構成していることを特徴とする請求項2に記載の車載部品の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラケットを用いた車載部品の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブラケットを介してECUを車体に取り付ける構造が知られている(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−94154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、何らかの理由により部品を位置を変えて取り付けたい場合、例えば右ハンドル車と左ハンドル車で部品の取り付け位置を変えたい場合がある。この場合、車体に取り付けられるブラケットに対し部品を固定するためのブラケットを位置決めした状態で両ブラケットを溶接する車載部品の取付構造を採用した場合において、右ハンドル車と左ハンドル車で車載部品の取付位置を変える場合には、搭載位置、即ち、右ハンドル車、左ハンドル車毎に専用のブラケットを用意する必要があった。つまり、左ハンドル、右ハンドルによって位置が異なる場合にブラケットが複数必要となる。
【0005】
本発明の目的は、車体における車載部品の取付位置が異なる場合にもブラケットの共通化を図ることができる車載部品の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、部品を固定するための第1ブラケットと、車体に取り付けられる第2ブラケットと、を有し、前記第1ブラケットは、第1位置決め部を有し、前記第2ブラケットは、前記第1位置決め部と協働して位置決めされる第2位置決め部を有し、前記第1位置決め部および前記第2位置決め部のいずれか一方は、平行でない3辺を有し、他方は、前記第1ブラケットの第1の取付位置に対応した平行でない3辺を有するとともに、前記第1ブラケットの第2の取付位置に対応した平行でない3辺を有することを要旨とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、第1ブラケットの第1位置決め部と第2ブラケットの第2位置決め部とが協働して位置決めされる。このとき、第1ブラケットの第1の取付位置においては、平行でない3辺と平行でない3辺により位置合わせする。また、第1ブラケットの第2の取付位置においては、平行でない3辺と平行でない3辺により位置合わせする。これにより、車体における車載部品の取付位置が異なる場合にもブラケットの共通化を図ることができる。
【0008】
請求項2に記載のように、請求項1に記載の車載部品の取付構造において、前記第1ブラケットの第1位置決め部および前記第2ブラケットの第2位置決め部は、貫通孔であるとよい。
【0009】
請求項3に記載のように、請求項2に記載の車載部品の取付構造において、前記第1ブラケットの第1位置決め部としての貫通孔は、三角形状をなし、三角形の3辺で前記平行でない3辺を構成しているとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車体における車載部品の取付位置が異なる場合にもブラケットの共通化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は実施形態における車載部品の取付構造を示す平面図、(b)は車載部品の取付構造を示す正面図、(c)は車載部品の取付構造を示す右側面図、(d)は車載部品の取付構造を示す下面図。
図2】(a)は第1ブラケットの平面図、(b)は第1ブラケットの正面図。
図3】(a)は第2ブラケットの平面図、(b)は第2ブラケットの正面図。
図4】(a)は車載部品の取付構造を示す平面図、(b)は車載部品の取付構造を示す正面図、(c)は車載部品の取付構造を示す右側面図、(d)は車載部品の取付構造を示す下面図。
図5】(a)は左ハンドル車用の取付工程を説明するための平面図、(b)は同じく正面図、(c)は同じく下面図。
図6】(a)は右ハンドル車用の取付工程を説明するための平面図、(b)は同じく正面図、(c)は同じく下面図。
図7】第1ブラケットと第2ブラケットの位置関係を説明するための第2ブラケットの一部下面図。
図8】別例の第1ブラケットと第2ブラケットの位置関係を説明するための第2ブラケットの一部下面図。
図9】別例の第1ブラケットと第2ブラケットの位置関係を説明するための第2ブラケットの一部下面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
本実施形態では、車載部品としてのDCMECU(データコミュニケーションモジュールECU(ECU:電子制御ユニット))を車体に取り付けるための構造に適用している。なお、図面において、水平面を、直交するX,Y方向で規定するとともに、上下方向をZ方向で規定している。
【0013】
図1(a),(b),(c),(d)に示すように、車載部品の取付構造10は、部品としてのDCMECU80を固定するための第1ブラケット20と、車体(例えばインストルメントパネル)90に取り付けられる第2ブラケット30と、を有する。DCMECU80は、例えば緊急通信用に用いられる。
【0014】
図2(a),(b)に示すように、第1ブラケット20は、一枚の金属板よりなる。第1ブラケット20は、平板状の本体部21を有し、本体部21は図2(a)に示すように全体概略形状として三角形をなしている。本体部21の左端部には部品取付用の立設部22が形成されている。本体部21の右端部には部品取付用の立設部23が形成されている。三角形の本体部21の頂上部には部品取付用の立設部24が形成されている。そして、3つの立設部22,23,24の内方に、図1(a),(b),(c),(d)に示すように、箱型のDCMECU80が配置され、箱型のDCMECU80が立設部22,23,24により位置決めされた状態で第1ブラケット20に固定される。
【0015】
図3(a),(b)に示すように、第2ブラケット30は、一枚の金属板よりなる。第2ブラケット30は、平板状の本体部31を有し、本体部31は図3(a)に示すように全体概略形状として左右方向(X方向)に長い長方形状をなしている。本体部31の左端部には車体取付用の立設部32が形成されている。本体部31の右端部には車体取付用の立設部33が形成されている。第2ブラケット30の車体取付用の立設部32の内面にはナットN1が溶接され、立設部32の外面側からボルトを、立設部32を貫通してナットN1に螺入することができるようになっている。同様に、第2ブラケット30の車体取付用の立設部33の内面にはナットN2が溶接され、立設部33の外面側からボルトを、立設部33を貫通してナットN2に螺入することができるようになっている。
【0016】
そして、2つの立設部32,33の外側に、図1(a),(b),(c),(d)に示すように、車体90の取付部が配置され、立設部32,33の外面側からボルトを、立設部32,33を貫通してナットN1,N2に螺入することにより第2ブラケット30が車体90に固定される。
【0017】
第2ブラケット30の本体部31の上に第1ブラケット20の本体部21が配置され、第2ブラケット30の本体部31と第1ブラケット20の本体部21とが重ねられた状態で4か所のスポット溶接部B1,B2,B3,B4において溶接される。これにより、第1ブラケット20と第2ブラケット30とが連結固定される。
【0018】
DCMECU80を車体90に取り付ける際には、第1ブラケット20と第2ブラケット30とを溶接により固定した後に、第1ブラケット20にDCMECU80を固定し、引き続き、第2ブラケット30を車体90に固定する。
【0019】
DCMECU80の車体における取り付け位置は、右ハンドル車と左ハンドル車で異なっており、左ハンドル車では図1(a),(b),(c),(d)に示す位置に配置する必要があり、右ハンドル車では図4(a),(b),(c),(d)に示す位置に配置する必要がある。具体的には、左ハンドル車と右ハンドル車とでは左右方向(X方向)に10mm程度ずらして配置する必要がある。
【0020】
そのために以下の構成としている。
図2(a),(b)に示すように、第1ブラケット20の本体部21における中央部分に、正三角形の貫通孔25が形成されている。貫通孔25は底辺25aと斜辺(等辺)25b,25cを有する。底辺25aはX方向に延びている。
【0021】
図3(a),(b)に示すように、第2ブラケット30の本体部31における左右方向の中央部分に、貫通孔34が形成されている。貫通孔34は正三角形状をなし、底辺34aと斜辺(等辺)34b,34cを有する。底辺34aはX方向に延びている。
【0022】
図1(a)および図1(d)に示すように、第1ブラケット20を第2ブラケット30の上に重ねて配置した状態において第2ブラケット30の辺34a,34b,34cは第1ブラケット20の辺25a,25b,25cと一致する。即ち、3辺で位置決めできる。
【0023】
図3(a)に示すように、第2ブラケット30の本体部31における貫通孔34について、左側の斜辺34bにおける底辺34aに接近した部位には長方形の突起35が形成されている。長方形の突起35の長辺35aは斜辺34bと平行に延びている。また、第2ブラケット30の本体部31における貫通孔34について、右側の斜辺34cにおける頂点34pに接近した部位には長方形の凹部36が形成されている。長方形の凹部36の底辺36aは斜辺34cと平行に延びている。
【0024】
突起35の長辺35aと斜辺34bとの距離L1と、凹部36の底辺36aと斜辺34cとの距離L2は等しい(L1=L2)。
図4(a)および図4(d)に示すように、第1ブラケット20を第2ブラケット30の上に重ねて配置した状態において第2ブラケット30の辺34aは第1ブラケット20の辺25aと一致するとともに第2ブラケット30の辺35aは第1ブラケット20の辺25bと一致し、第2ブラケット30の辺36aは第1ブラケット20の辺25cと一致する。即ち、3辺で位置決めできる。
【0025】
このように、第1ブラケット20は、第1位置決め部としての貫通孔25を有し、第2ブラケット30は、貫通孔25と協働して位置決めされる第2位置決め部としての貫通孔34を有し、貫通孔25は、平行でない3辺(25a,25b,25c)を有する。貫通孔34は、第1ブラケット20の第1の取付位置としての左ハンドル車での取付位置に対応した平行でない3辺(34a,34b,34c)を有するとともに、第1ブラケット20の第2の取付位置としての右ハンドル車での取付位置に対応した平行でない3辺(34a,35a,36a)を有する。
【0026】
詳しくは、第1ブラケット20の第1位置決め部および第2ブラケット30の第2位置決め部は、貫通孔25,34である。特に、第1ブラケット20の第1位置決め部としての貫通孔25は、三角形状をなし、三角形の3辺で平行でない3辺を構成している。
【0027】
次に、作用について説明する。
DCMECU80の車体における取り付け位置として、左ハンドル車の場合には、次のようにする。
【0028】
図5(a),(b),(c)に示すように、第2ブラケット30の本体部31の上に第1ブラケット20の本体部21を載置する。ここで、第1ブラケット20の貫通孔25の底辺25aと第2ブラケット30の貫通孔34の底辺34aとを一致させるとともに、第1ブラケット20の貫通孔25の斜辺25bと第2ブラケット30の貫通孔34の斜辺34bとを一致させ、さらに、第1ブラケット20の貫通孔25の斜辺25cと第2ブラケット30の貫通孔34の斜辺34cとを一致させる。このように3辺で位置決めされた状態(3点で位置決めされた状態)を治具等で保持し、第2ブラケット30の本体部31と第1ブラケット20の本体部21とが重ねられた状態で4か所のスポット溶接部B1,B2,B3,B4において溶接する。これにより、第1ブラケット20と第2ブラケット30とが連結固定される。
【0029】
このように第1ブラケット20と第2ブラケット30とを溶接により固定した後に、第1ブラケット20にDCMECU80を固定する。さらに、第2ブラケット30を車体90に固定する。
【0030】
次に、DCMECU80の車体における取り付け位置として、右ハンドル車の場合について説明する。
図6(a),(b),(c)に示すように、第2ブラケット30の本体部31の上に第1ブラケット20の本体部21を載置する。ここで、第1ブラケット20の貫通孔25の底辺25aと第2ブラケット30の貫通孔34の底辺34aとを一致させるとともに、第1ブラケット20の貫通孔25の斜辺25bと第2ブラケット30の突起35の長辺35aとを一致させ、さらに、第1ブラケット20の貫通孔25の斜辺25cと第2ブラケット30の凹部36の底辺36aとを一致させる。この状態を治具等で保持し、第2ブラケット30の本体部31と第1ブラケット20の本体部21とが重ねられた状態で4か所のスポット溶接部B1,B2,B3,B4において溶接する。これにより、第1ブラケット20と第2ブラケット30とが連結固定される。
【0031】
このように第1ブラケット20と第2ブラケット30とを溶接により固定した後に、第1ブラケット20にDCMECU80を固定する。さらに、第2ブラケット30を車体90に固定する。
【0032】
このようにして、第1の取付位置とは、図1(a),(b),(c),(d)に示す左ハンドル車に取り付ける位置であり、図1(b)に示すように第2ブラケット30の左側の立設部32からDCMECU80の左端面までの距離がD1であり、第2ブラケット30の右側の立設部33からDCMECU80の右端面までの距離がD2である。例えば、距離D1が10mm、距離D2が20mmである。
【0033】
また、第2の取付位置とは、図4(a),(b),(c),(d)に示す右ハンドル車に取り付ける位置であり、図4(b)に示すように第2ブラケット30の左側の立設部32からDCMECU80の左端面までの距離がD3であり、第2ブラケット30の右側の立設部33からDCMECU80の右端面までの距離がD4である。例えば、距離D3が20mm、距離D4が10mmである。
【0034】
図7を用いて左ハンドル車にDCMECU80を設置する場合と右ハンドル車にDCMECU80を設置する場合を対比して説明する。
左ハンドル車にDCMECU80を設置する場合においては、図5(c)を用いて説明したように第1ブラケット20の貫通孔25の底辺25aと第2ブラケット30の貫通孔34の底辺34a、斜辺25bと斜辺34b、斜辺25cと斜辺34cを一致させる。このとき、平面視において貫通孔25の頂点25pと貫通孔34の頂点34p、貫通孔25の底辺25aの左端25qと貫通孔34の底辺34aの左端34q、貫通孔25の底辺25aの右端25rと貫通孔34の底辺34aの右端34rが、それぞれ一致する。
【0035】
一方、右ハンドル車にDCMECU80を設置する場合においては、図6(c)を用いて説明したように第1ブラケット20の貫通孔25の底辺25aと第2ブラケット30の貫通孔34の底辺34a、斜辺25bと長辺35a、斜辺25cと底辺36aとを一致させる。このとき、第1ブラケット20、即ち、DCMECU80は右に所定量ΔXだけ位置が変わる。具体的には、貫通孔25の頂点25pは貫通孔34の頂点34pに対し所定量ΔXだけ右側に位置が変わるとともに貫通孔25の底辺25aの左端25qは貫通孔34の底辺34aの左端34qに対し所定量ΔXだけ右側に位置が変わり、さらに、貫通孔25の底辺25aの右端25rは貫通孔34の底辺34aの右端34rに対し所定量ΔXだけ右側に位置が変わる。
【0036】
このように、第2ブラケット30の形状を工夫することでDCMECU80の位置が車両の幅方向に変わっても第2ブラケット30を共通に設定できる。第2ブラケット30と第1ブラケット20の位置を合わせる場所を一つの辺に二箇所作れば第2ブラケット30を右ハンドル車と左ハンドル車とで共用することができる。つまり、DCMECU80は、DCMECU80に共通の第1ブラケット20に第2ブラケット30を溶接する構造において、DCMECU共通の第1ブラケット20と車両専用の第2ブラケット30とは、DCMECU共通の第1ブラケット20の内側の辺と車両専用の第2ブラケット30の内側の辺とを一致させることにより位置決めされ、位置決めされた状態においてDCMECU共通の第1ブラケット20と車両専用の第2ブラケット30とが溶接される。
【0037】
即ち、車載機器であるDCMECU80は、右ハンドル車と左ハンドル車とでは車両の幅方向において搭載位置が異なっている。よって、第1ブラケット20で位置を合わせるためには搭載位置、即ち、右ハンドル車、左ハンドル車毎に専用の第2ブラケットを用意する必要があったが、本実施形態では、車両専用の第2ブラケット30を共通で使うことが可能となり、原価低減を図ることができるとともに部品管理が容易となる。
【0038】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)車載部品の取付構造10として、部品としてのDCMECU80を固定するための第1ブラケット20と、車体90に取り付けられる第2ブラケット30と、を有する。第1ブラケット20は、第1位置決め部としての貫通孔25を有し、第2ブラケット30は、貫通孔25と協働して位置決めされる第2位置決め部としての貫通孔34を有する。貫通孔25は、平行でない3辺(25a,25b,25c)を有する。貫通孔34は、第1ブラケット20の第1の取付位置としての左ハンドル車での取付位置に対応した平行でない3辺(34a,34b,34c)を有するとともに、第1ブラケット20の第2の取付位置としての右ハンドル車での取付位置に対応した平行でない3辺(34a,35a,36a)を有する。
【0039】
よって、第1ブラケット20の第1位置決め部としての貫通孔25と第2ブラケット30の第2位置決め部としての貫通孔34とが協働して位置決めされる。このとき、第1ブラケット20の第1の取付位置としての左ハンドル車での取付位置においては、第1ブラケット20の平行でない3辺(25a,25b,25c)と第2ブラケット30の平行でない3辺(34a,34b,34c)により位置合わせする。また、第1ブラケット20の第2の取付位置としての右ハンドル車での取付位置においては、第1ブラケット20の平行でない3辺(25a,25b,25c)と第2ブラケット30の平行でない3辺(34a,35a,36a)により位置合わせする。これにより、車体におけるDCMECU80の取付位置が異なる場合にもブラケットの共通化を図ることができる。
【0040】
(2)第1ブラケット20の第1位置決め部および第2ブラケット30の第2位置決め部は、貫通孔25,34であるので、容易に位置決め部を形成することができる。
(3)第1ブラケット20の第1位置決め部としての貫通孔25は、三角形状をなし、三角形の3辺で平行でない3辺を構成しているので、容易に平行でない3辺を構成することができる。
【0041】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 第1ブラケット20の第1の取付位置(左ハンドル車での取付位置)と第1ブラケット20の第2の取付位置(右ハンドル車での取付位置)とを有する場合について述べたが、第1ブラケット20の取付位置として、3つ以上の取付位置を有する場合であってもよい。
【0042】
例えば、図7に示した構成に代わり図8に示すように、突起による段差は複数の突起40,41により複数設けるとともに、凹部による段差は、複数の凹部50,51により複数設けてもよい。つまり、斜辺34bに低い突起40と高い突起41とを形成するとともに、斜辺34cに浅い凹部50と深い凹部51とを形成する。そして、貫通孔25の底辺25aと貫通孔34の底辺34a、貫通孔25の斜辺25bと突起40の辺40a、貫通孔25の斜辺25cと凹部50の底辺50aを、それぞれ一致させる。これにより、X方向に所定距離ΔX10だけ位置を変えることができる。また、貫通孔25の底辺25aと貫通孔34の底辺34a、貫通孔25の斜辺25bと突起41の辺41a、貫通孔25の斜辺25cと凹部51の底辺51aを、それぞれ一致させる。これにより、X方向に、距離ΔX10よりも大きな距離ΔX11だけ位置を変えることができる。
【0043】
○一つの方向(X方向)に位置を変えるのではなく二つの方向に位置を変えるようにしてもよい。具体的には、図7に示した構成に代わり図9に示す構成とする。図9において、第2ブラケットと第1ブラケットの位置を合わせる場所を三つの辺にそれぞれ設けることにより、車両幅方向Xだけでなく車両前後方向Yにも位置を変えることができる。つまり、斜辺34bに突起60を、斜辺34cに凹部70を、底辺34aに凹部71を、それぞれ形成する。そして、貫通孔の底辺25aと凹部71の底辺71a、貫通孔の斜辺25bと突起60の辺60a、貫通孔の斜辺25cと凹部70の底辺70aを、それぞれ一致させる。これにより、X方向にΔX20だけ、Y方向にΔY1だけ位置を変えることができる。
【0044】
○ 位置決め部としての貫通孔の形状は正三角形であったが、位置決め部としての貫通孔の形状は、正三角形以外の二等辺三角形、直角三角形等の三角形であってもよい。位置決め部としての貫通孔の形状が三角形であると、3箇所(3つの辺)で位置決めできるため安定する。
【0045】
○ 第1ブラケット20に三角形の貫通孔25を形成し、第2ブラケット30における貫通孔34に突起35および凹部36を形成する構成としたが、第2ブラケットに三角形の貫通孔を形成し、第1ブラケットにおける貫通孔に突起、凹部を形成する構成としてもよい。要は、第1ブラケットは、第1位置決め部を有し、第2ブラケットは、第1位置決め部と協働して位置決めされる第2位置決め部を有し、第1位置決め部および第2位置決め部のいずれか一方は、平行でない3辺を有し、他方は、第1ブラケットの第1の取付位置に対応した平行でない3辺を有するとともに、第1ブラケットの第2の取付位置に対応した平行でない3辺を有する構成であればよい。
【0046】
○ 位置決め部としての貫通孔に代わり切欠きでもよい。
○ 第1の取付位置は左ハンドル車での取付位置であり、第2の取付位置は左ハンドル車での取付位置であったが、これに限るものではない。第1の取付位置と第2の取付位置とは部品の取り付け位置が異なっていればよい。
【0047】
○ 車載部品としてのDCMECUを車体に取り付ける場合について説明したが、部品はDCMECUに限ることはない。DCMECU以外のECUでもよい。また、ECU以外の部品であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…車載部品の取付構造、20…第1ブラケット、25…貫通孔、25a,25b,25c…辺、30…第2ブラケット、34…貫通孔、34a,34b,34c…辺、35a,36a…辺、40…突起、40a…辺、41…突起、41a…辺、50…凹部、50a…底辺、51…凹部、51a…底辺、60…突起、60a…辺、70…凹部、70a…底辺、71…凹部、71a…底辺、80…DCMECU、90…車体。
図1
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図5
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図9