(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
<水硬性組成物用分散剤組成物>
〔(A)成分〕
(A)成分は、カルボン酸基を有するモノマー単位を有する重合物である。ここで、「モノマー単位」とは、重合物中の「繰り返しユニット」を意味する。例えば、ポリアクリル酸ナトリウムの場合、下記式に示す「繰り返しユニット」をモノマー単位と呼ぶ。下記式において、mは繰り返しユニット数を示す。
【0013】
カルボン酸基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸、及びマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸が挙げられる。
(A)成分としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸/マレイン酸共重合体、及びこれらの塩が挙げられる。塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
(A)成分は、ポリアクリル酸又はその塩が好ましく、ポリアクリル酸のナトリウム塩、及びポリアクリル酸のアンモニウム塩から選ばれる重合物がより好ましい。
【0014】
(A)成分の重合物は、中和度が0%以上75%以下であることができる。すなわち、(A)成分は、未中和又は部分中和の重合物であってよい。部分中和の重合物の場合、中和度は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、そして、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下である。
【0015】
また、(A)成分の全モノマー単位中における、カルボン酸基を有するモノマー単位の含有量は、セメントミルクの増粘抑制の観点およびソイルセメントの増粘抑制の観点から、好ましくは51モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である。
【0016】
(A)成分の重合物は、公知の方法で製造可能である。また、市販品として入手可能である。市販品の具体例としてはポイズシリーズ(花王株式会社)、アクアリックLシリーズ(株式会社日本触媒)、アクアリックHシリーズ(株式会社日本触媒)、ジュリマーシリーズ(東亜合成株式会社)、アロンシリーズ(東亜合成株式会社)が挙げられる。
【0017】
(A)成分の重量平均分子量は、好ましくは2,000以上、より好ましくは4,000以上、更に好ましくは6,000以上、そして、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは50,000以下である。(A)成分の重量平均分子量は下記条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定することができる。
[GPC条件]
カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(東ソー(株)製)、
溶離液:0.2Mリン酸緩衝液/アセトニトリル=7/3(体積比)
標準物質:分子量既知の単分散ポリエチレングリコール
【0018】
〔(B)成分〕
(B)成分は、オキシカルボン酸化合物である。(B)成分は、オキシカルボン酸及びその塩から選ばれる化合物が好ましい。
オキシカルボン酸は、分子中にヒドロキシ基とカルボキシ基とを有する、いわゆるヒドロキシカルボン酸である。オキシカルボン酸の炭素数は、2以上、更に3以上、そして、18以下、更に12以下であってよい。オキシカルボン酸が有する水酸基の数は、1以上、更に2以上、そして、18以下、更に12以下であってよい。オキシカルボン酸が有するカルボキシル基の数は、1以上、そして、12以下、更に6以下であってよい。
【0019】
オキシカルボン酸としては、具体的には、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸、酒石酸などが挙げられる。
オキシカルボン酸の塩は、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩が挙げられる。
(B)成分としては、セメントミルクの流動安定性の観点から、グルコン酸、クエン酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
【0020】
〔組成、任意成分等〕
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、(A)成分、及び(B)成分を合計で、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下含有する。この組成は、組成物中の(A)成分、及び(B)成分の濃度が相対的に高い場合、例えば、本発明の分散剤組成物の濃縮物や希釈して用いる濃厚系の本発明の分散剤組成物について示している。
また、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、(A)成分、及び(B)成分を合計で、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上、そして、好ましくは4質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下含有する。この組成は、希薄系の組成物や混練水など、組成物中の(A)成分及び(B)成分の濃度が相対的に低い場合、例えば、混練水など本発明の分散剤組成物の希釈物について示している。
【0021】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、セメントミルクの流動安定性の観点から、(A)成分と(B)成分の質量比が、(A)/(B)で、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、そして、好ましくは9以下、より好ましくは7.5以下、更に好ましくは7以下、より更に好ましくは6以下である。
【0022】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、セメントミルクの流動安定性の観点から、22℃でのpHが、好ましくは9.0以下、より好ましくは8.8以下、更に好ましくは8.3以下、より更に好ましくは7.5以下、より更に好ましくは7以下、より更に好ましくは6.9以下、より更に好ましくは6.6以下であり、そして、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上である。
ここで、該pHは、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物が液体である場合は、該組成物そのもののpHである。また、該pHは、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物が固体である場合は、該組成物を(A)成分及び(B)成分の合計含有量が、1質量%以上50質量%以下、好ましくは1質量%以上30質量%以下、より好ましくは1質量%以上10質量%以下、更に好ましくは1質量%以上5質量%以下、更に好ましくは1質量%以上3質量%以下、更に好ましくは2質量%となるように水で希釈して得た液体組成物のpHである。この合計含有量に幅がある場合は、その範囲の少なくともいずれかの質量%において、前記pHであればよい。
【0023】
また、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、セメントミルクの流動安定性の観点から、例えば、好ましくはpH7.5以下で用いられる。具体的には、例えば、水を含有するpHが7.5以下の液体組成物として水硬性組成物の調製に用いられる。該pHは、より好ましくは7以下、更に好ましくは6.9以下であり、そして、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上である。
一般に、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、水で希釈された混練水として使用される。この混練水のpHが22℃で7.5以下であることが好ましい。希釈前の組成物のpHが22℃で7.5以下であれば、混練水のpHも通常、22℃で7.5以下となる。
【0024】
本発明の一例として、水、(A)成分及び(B)成分を含有し、22℃でのpHが好ましくは9.0以下、より好ましくは8.8以下、更に好ましくは8.3以下、より更に好ましくは7.5以下、より更に好ましくは7以下、より更に好ましくは6.9以下、より更に好ましくは6.6以下、そして、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上である、水硬性組成物用液体分散剤組成物が挙げられる。
本発明の他の例として、水、(A)成分及び(B)成分を含有し、(A)成分及び(B)成分の合計含有量が好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下であり、22℃でのpHが好ましくは9.0以下、より好ましくは8.8以下、更に好ましくは8.3以下、より更に好ましくは7.5以下、より更に好ましくは7以下、より更に好ましくは6.9以下、より更に好ましくは6.6以下、そして、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上である、水硬性組成物用液体分散剤組成物が挙げられる。この組成物は、混練水として、そのまま、あるいは任意の添加剤を添加して、使用することができる。
【0025】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、更に水硬性粉体用分散剤(C)〔(A)成分を除く〕〔以下、(C)成分という〕を含有することが好ましい。
水硬性粉体用分散剤としては、ポリカルボン酸系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸塩、フェノール・スルファニル酸塩ホルムアルデヒド縮合物などが挙げられる。
水硬性粉体用分散剤が、ポリカルボン酸系共重合体、及びナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これらの化合物は、塩であってもよい。塩は、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩が挙げられる。
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物が(C)成分を含有する場合、該組成物は(C)成分を、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下含有する。
【0026】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、更に糖化合物(D)〔以下、(D)成分という〕を含有することが好ましい。
(D)成分は、好ましくは分子量が1,000以下の糖化合物である。(D)成分は、分子量700以下、更に500以下の糖化合物が好ましい。また、(D)成分は、単糖類、二糖類及び三糖類から選ばれる1種以上の糖化合物が好ましい。
(D)成分の糖化合物としては、糖類及び糖アルコールから選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。糖類としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単糖類、サッカロース等の二糖類、三糖類が挙げられる。糖類は、単糖類及び二糖類から選ばれる化合物が好ましく、二糖類がより好ましい。糖アルコールとしてはソルビトール等が挙げられる。
(D)成分は、サッカロース、グルコース、マルトース、及びラクトースから選ばれる1種以上の化合物が好ましく、サッカロースがより好ましい。本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、(D)成分としてサッカロースを含有することが好ましい。
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物が(D)成分を含有する場合、該組成物は(D)成分を、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下含有する。
【0027】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、強度発現性の観点から、消泡剤(E)〔以下、(E)成分という〕を含有することが好ましい。
(E)成分は、消泡性の観点から、好ましくは、ポリシロキサン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、ポリプロピレンオキサイド及びその誘導体(ポリオキシプロピレン、ポリオキシプロピレングリセリルエーテルなど)、アセチレングリコール及びその誘導体(アセチレングリコール、アセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物など)、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミド、リン酸トリアルキル、アルキルアミン、並びにアルコールから選ばれる1種又は2種以上の化合物である。より好ましくはこれらの化合物であって、水に不溶の化合物である。
【0028】
ポリシロキサンとしては、ポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ポリヒドロキシメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0029】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンとしては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンランダムポリマー、ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロックポリマーなどが挙げられる。消泡性の観点から、これらの重量平均分子量は、2,000以上100,000以下が好ましい。
【0030】
ポリプロピレンオキサイド及びその誘導体としては、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンなどが挙げられる。これらの、ポリプロピレンオキサイド部分の重量平均分子量は、消泡性の観点から、2,000以上100,000以下が好ましい。
【0031】
アセチレングリコール及びその誘導体としては、アセチレノールE00、アセチレノールE13(いずれも川研ファインケミカル(株))、DYNOL(登録商標)604、SURFYNOL(登録商標)440、SURFYNOL(登録商標)104、SURFYNOL(登録商標)2502、SURFYNOL(登録商標)420、SURFYNOL(登録商標)DF−75(いずれもエアープロダクツアンドケミカルズ社)などの市販品が挙げられる。アセチレングリコールの誘導体としては、アセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。消泡性の観点から、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、1以上100以下が好ましい。アルキレンオキサイドはプロピレンオキサイドが好ましい。
【0032】
ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとしては、炭素数が4から22までの脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。消泡性の観点から、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、1以上100以下が好ましい。また、同様の観点から、アルキレンオキサイドはプロピレンオキサイドを含むことが好ましい。
【0033】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、炭素数が4から22までのアルコールのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。消泡性の観点から、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、1以上100以下が好ましい。また、同様の観点から、アルキレンオキサイドはプロピレンオキサイドが好ましい。具体的には、ポリプロピレングリコールラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールミリスチルエーテル及びこれらの混合物が挙げられる。
【0034】
ポリオキシアルキレンアルキルアミドとしては、炭素数が8から22までの脂肪酸とモノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミンとのアミドのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。消泡性の観点から、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、1以上100以下が好ましい。また、同様の観点から、アルキレンオキサイドはプロピレンオキサイドが好ましい。
【0035】
リン酸トリアルキルとしては、リン酸トリブチル、リン酸トリイソブチルなどが挙げられる。消泡性の観点から、アルキル基の炭素数は、1以上5以下が好ましい。
【0036】
アルキルアミンとしては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミンなどが挙げられる。難水溶性及び消泡性の観点から、アルキル基の炭素数が8以上18以下のモノメチルアルキルアミン、アルキル基の炭素数が8以上18以下のジメチルアルキルアミンが好ましい。アルキルアミンとしては、カプリルアミン(オクチルアミン)、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ココナットアミン、ジステアリルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルベヘニルアミン、ジメチルココナットアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、牛脂アミン、トリオクチルアミンが挙げられる。
【0037】
アルコールとしては、炭素数が4から22のアルコール、好ましくは炭素数が4から22の1価アルコールなどが挙げられる。消泡性の観点から、アルコールの炭素数は、6以上18以下が好ましい。
【0038】
消泡剤の適当な例には、ポリシロキサンとして、SAGTEX DSA(商標)が、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、又はポリオキシアルキレンアルキルアミドとして、ポリプロピレングリコールラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールミリスチルエーテル及びこれらの混合物、オレイン酸のプロピレンオキサイド・エチレンオキサイド付加物、SNデフォーマー260(商標)、SNデフォーマー265(商標)、SNデフォーマー466(商標)(いずれもサンノプコ株式会社)、消泡剤 NO.21(商標)、消泡剤 NO.8(商標)(いずれも花王株式会社)が、アセチレングリコールとして、DYNOL(商標)604、SURFYNOL(登録商標)440が、リン酸トリアルキルとして、リン酸トリブチル、リン酸トリイソブチルが、アルコールとして、2−エチルヘキサノールが、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンとして、ニューポールPE−61(商標)、ニューポールPE−71(商標)(いずれも三洋化成株式会社)が、及びポリオキシプロピレンとして、分子量が2,000以上100,000以下のポリプロピレングリコールが含まれる。
【0039】
また、消泡剤は、保存安定性の観点から、好ましくは、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、又はポリオキシアルキレンアルキルアミドとして、ポリプロピレングリコールラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールミリスチルエーテル及びこれらの混合物、オレイン酸のプロピレンオキサイド・エチレンオキサイド付加物、SNデフォーマー260(商標)、SNデフォーマー265(商標)、SNデフォーマー466(商標)、消泡剤 NO.21(商標)、消泡剤 NO.8(商標)が、アセチレングリコールとして、DYNOL(商標)604、SURFYNOL(登録商標)440が、リン酸トリアルキルとして、リン酸トリブチル、リン酸トリイソブチルが、アルコールとして、2−エチルヘキサノールが、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンとして、ニューポールPE−61(商標)、ニューポールPE−71(商標)が、及びポリオキシプロピレンとして、分子量が2,000以上100,000以下のポリプロピレングリコールが挙げられる。
【0040】
また、消泡剤は、経済性の観点から、好ましくは、ポリシロキサンとして、DK Q1−1183(商標)が、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、又はポリオキシアルキレンアルキルアミドとして、SNデフォーマー260(商標)、SNデフォーマー265(商標)、SNデフォーマー466(商標)、消泡剤 NO.21(商標)、消泡剤 NO.8(商標)が、リン酸トリアルキルとして、リン酸トリブチル、リン酸トリイソブチルが、アルコールとして、2−エチルヘキサノールが、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンとしてニューポールPE−61(商標)、ニューポールPE−71(商標)が、及びポリオキシプロピレンとして、分子量が2,000以上100,000以下のポリプロピレングリコールが挙げられる。
【0041】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、強度向上の観点および消泡性の観点から、消泡剤(E)として、脂肪酸エステル及びアルキルアミンから選ばれる1種以上の化合物を含むことが好ましい。
また、上記消泡剤の中でも、本発明の分散剤組成物の保存安定性の観点から、アルキルアミンが好ましく、アルキル基の炭素数が8以上18以下のジメチルアルキルアミンがより好ましく、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、及びジメチルパルミチルアミンから選ばれる1種以上のアルキルアミンが更に好ましい。
【0042】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物が(E)成分を含有する場合、該組成物は(E)成分を、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下含有する。
また、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物が(E)成分を含有する場合、(A)成分、(B)成分、任意の(C)成分及び任意の(D)成分の含有量の合計に対して、(E)成分を、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下含有する。
【0043】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、更にアルカノールアミン(F)〔以下、(F)成分という〕を含有することが好ましい。
アルカノールアミンの炭素数は、2以上、更に4以上、そして、12以下、更に6以下であってよい。アルカノールアミンが有する水酸基の数は、2以上、更に3以上、そして、8以下、更に4以下であってよい。アルカノールアミンは、窒素原子を1つ含むモノアミンが好ましい。モノアミンは、アルカノール基を2つ又は3つ有する化合物が好ましい。また、アルカノールアミンは、窒素原子1つに対して、結合するアルカノール基が2つ又は3つである化合物が好ましい。
【0044】
アルカノールアミンとしては、具体的には、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンが挙げられる。好ましくは、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンである。
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物が(F)成分を含有する場合、該組成物は(F)成分を、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下含有する。
また、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物が(F)成分を含有する場合、(A)成分、(B)成分、任意の(C)成分及び任意の(D)成分の含有量の合計に対して、(F)成分を、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下含有する。
【0045】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物が(F)成分を含有する場合、セメントミルクの流動安定性の観点から、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物の22℃でのpHは、10以下、更に9.0以下、更に8.8以下、更に8.3以下、更に7.5以下、更に7以下、更に6.9以下、更に6.6以下、そして、2以上、更に3以上、更に4以上、更に5以上とすることができる。
また、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物が(F)成分を含有する場合、水硬性組成物の硬化体の強度の観点から、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物の22℃でのpHは、11以下、更に10.5以下、更に10以下、そして、8以上、更に8.5以上、更に9以上とすることができる。
【0046】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、組成物のpHを前記範囲に調整する観点、およびセメントミルクの流動安定性の観点から、酸(G)〔以下、(G)成分という〕を含有することが好ましい。酸は、(A)成分、(B)成分以外の酸である。ここでの酸は(A)成分よりも相対的に分子量の小さいものである。(G)成分の酸は、分子量1,000未満の酸が好ましい。(G)成分の酸は、有機酸、無機酸が使用でき、水硬性粉体の水和に影響しにくい酸がよい。(G)成分として好ましい酸は、オキシカルボン酸以外の有機酸及び無機酸から選ばれる一種以上の酸である。有機酸は、カルボン酸基を有することが好ましく、セメントゲル化防止の観点から、一分子につきカルボン酸基を1以上5以下有する有機酸がより好ましい。有機酸としては、酢酸、及びギ酸から選ばれる有機酸が挙げられる。無機酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸から選ばれる無機酸が挙げられる。
【0047】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、該組成物のpHを前記範囲に調整する観点から、(G)成分を、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.2質量%以下、更に好ましくは0.7質量%以下で含有する。
【0048】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、水溶性高分子化合物、空気連行剤、セメント湿潤剤、膨張材、防水剤、遅延剤、急結剤、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、硬化促進剤、防腐剤などの成分〔(A)成分、又は(B)成分に該当するものを除く〕を含有することができる。
【0049】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、無機炭酸塩を含んでもよい。無機炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。無機炭酸塩を含むことで、ソイルセメントに海成粘土が混入するような条件でも効果を発現できる。
【0050】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物の形態は、液体、固体のいずれでもよく、液体であることが好ましい。本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は水を含有することができる。
【0051】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物の対象とする水硬性組成物は、水硬性粉体と水とを含有する水硬性組成物が挙げられる。水硬性粉体とは、水和反応により硬化する物性を有する粉体のことであり、セメント、石膏等が挙げられる。好ましくはセメント、より好ましくは普通ポルトランドセメント、ビーライトセメント、中庸熱セメント、早強セメント、超早強セメント、耐硫酸塩セメント等のセメントである。また、セメント等に高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフュームなどのポゾラン作用及び/又は潜在水硬性を有する粉体や、石粉(炭酸カルシウム粉末)等が添加された高炉スラグセメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等でもよい。
【0052】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、水/水硬性粉体比が、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、そして、好ましくは150質量%以下、より好ましくは120質量%以下、更に好ましくは80質量%以下の水硬性組成物に好適に用いられる。
【0053】
ここで、水/水硬性粉体比は、水硬性組成物中の水と水硬性粉体の質量百分率(質量%)であり、水の質量/水硬性粉体の質量×100により算出される。水/水硬性粉体比は、水の量と、水和反応により硬化する物性を有する粉体の量とに基づいて算出される。水和反応により硬化する物性を有する粉体が、ポゾラン作用を有する粉体、潜在水硬性を有する粉体、及び石粉(炭酸カルシウム粉末)から選ばれる粉体を含む場合、本発明では、それらの量も水硬性粉体の量に算入する。また、水和反応により硬化する物性を有する粉体が、高強度混和材を含有する場合、高強度混和材の量も水硬性粉体の量に算入する。これは、水硬性粉体の質量が関係する以下の質量部においても同様である。
【0054】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、セメントミルク用として好適である。セメントミルクは、水/水硬性粉体比が、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、そして、好ましくは150質量%以下、より好ましく120質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
【0055】
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物は、排泥液を用いる工法、具体的にはグラウト工法又は流動化処理土工法に適する。
本発明の水硬性組成物用分散剤組成物の対象とする水硬性組成物としては、グラウト工法又は流動化処理土工法用セメント組成物が挙げられる。
【0056】
<水硬性組成物>
本発明は、水硬性粉体、水、カルボン酸基を有するモノマー単位を有する重合物(A)〔(A)成分〕、及びオキシカルボン酸化合物(B)〔(B)成分〕を含有する、水硬性組成物を提供する。セメントミルクは、本発明の水硬性組成物の1つの例である。
(A)成分、(B)成分、水硬性粉体の具体例及び好ましい態様は、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物と同じである。また、水/水硬性粉体比の具体例及び好ましい態様も、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物と同じである。また、本発明の水硬性組成物は、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分、(G)成分から選ばれる成分を含有することができる。また、無機炭酸塩を含有することができる。
【0057】
本発明の水硬性組成物は、流動性が維持される。そして、土壌などの粘土質が混入した場合でも、粘性の上昇が抑えられる。このような特性を生かして、地盤改良などの用途に好適に用いることができる。
例えば、本発明の水硬性組成物は、杭周固定液用として好適である。本発明の水硬性組成物は、そのまま、あるいは、掘削土と混合したソイルセメントとして、基礎杭施工における杭周固定液や根固め液として用いることができる。
【0058】
本発明の水硬性組成物は、(A)成分、及び(B)成分を合計で、水硬性粉体に対して、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、そして、好ましくは1.6質量%以下、より好ましくは1.2質量%以下含有する。
また、本発明の水硬性組成物は、(A)成分及び(B)成分、並びに任意の(D)成分及び/又は任意の(E)成分を合計で、水硬性粉体に対して、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、そして、好ましくは2.3質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、さらに好ましくは1.9質量%以下、特に好ましくは1.5質量%以下含有する。
【0059】
本発明の水硬性組成物は、(A)成分を、水硬性粉体に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、そして、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下含有する。
【0060】
本発明の水硬性組成物は、(B)成分を、水硬性粉体に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、そして、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下含有する。
【0061】
本発明の水硬性組成物は、セメントミルクの流動安定性の観点から、(A)成分と(B)成分の質量比が、(A)/(B)で、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、そして、好ましくは9以下、より好ましくは7.5以下、更に好ましくは7以下、より更に好ましくは6以下である。
【0062】
本発明の水硬性組成物は、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物を用いて調製することが好ましい。また、本発明の水硬性組成物は、水、(A)成分及び(B)成分を含有するpH9.0以下、更に7.5以下の混練水を、水硬性粉体と混合して調製することが好ましい。なお、前記混練水も、本発明の分散剤組成物の要件を満たす限り、本発明の分散剤組成物に含まれる。
【0063】
本発明により、水、(A)成分及び(B)成分を含有するpH9.0以下、更に7.5以下の液体組成物を、水硬性粉体と混合する、水硬性組成物の製造方法が提供される。この方法では、(A)成分及び(B)成分を合計で、水硬性粉体に対して、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、そして、好ましくは1.6質量%以下、より好ましくは1.2質量%以下混合する。この方法では、前記液体組成物のpHが、好ましくは9.0以下、より好ましくは8.8以下、更に好ましくは8.3以下、より更に好ましくは7.5以下、より更に好ましくは7以下、より更に好ましくは6.9以下、より更に好ましくは6.6以下、そして、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上である。この製造方法における前記液体組成物は、混練水であり、また、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物である。
【0064】
<本発明の分散剤組成物を用いた工法>
本発明により、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物を使用する、グラウト工法又は流動化処理土工法が提供される。
グラウト工法とは、地中に水硬性組成物を高圧ジェット噴流体として送り、周囲の土砂を削り取り、排泥液として地上に排出しながら、地中に柱体や壁体を構築する軟弱地盤の改良工法である。また流動化処理土工法とは建設や土木工事で排出される土をセメント類と混合して埋め戻し、再利用する工法である。
【0065】
本発明により、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物を含有する水硬性組成物を地盤と混合する、地盤の改良工法が提供される。該水硬性組成物と地盤との混合は撹拌しながら行うことができる。
地盤の改良工法としては、具体的には、浅層改良や深層改良が挙げられる。これら浅層改良や深層改良は、「セメント系固化材による地盤改良マニュアル 第3版」(社団法人セメント協会)を参照できる。地盤の改良工法としては、より詳細には、「既製コンクリート杭の埋め込み工法」が挙げられ、更に「プレボーリング工法」、「中堀り工法」の杭根固め部、杭周部に本発明の水硬性組成物が用いられる。鋼管杭においては、上記工法以外にも「鋼管ソイルセメント杭工法」が挙げられる。その他、既製杭を用いない機械撹拌工法として「TRD工法」や「SMW工法」、「パワーブレンダ―工法」などが挙げられる。本発明の地盤の改良工法は、これらの工法において、地盤と本発明の水硬性組成物用分散剤組成物を含有する水硬性組成物とを混合するものである。該水硬性組成物の混合量は、水硬性組成物の組成、工法、地盤の土質、目標強度などを考慮して適宜決めることができる。例えば、土1m
3に対して該水硬性組成物の混合量を100kg以上1,000kg以下とすることができる。
本発明の地盤の改良工法の一例として、本発明の水硬性組成物用分散剤組成物を含有する水硬性組成物を、杭周固定液及び/又は根固め液として使用する、プレボーリング根固め工法が挙げられる。より詳細には、水、(A)成分及び(B)成分を含有するpH9.0以下、更に7.5以下の液体組成物を、水硬性粉体と混合して水硬性組成物を調製し、得られた水硬性組成物を、杭周固定液及び/又は根固め液として使用する、プレボーリング根固め工法が挙げられる。
【実施例】
【0066】
<配合成分>
下記に、以下の実施例、比較例で用いた成分を示した。
(A)成分
・A−1:ポリアクリル酸ナトリウム、重量平均分子量9000
(B)成分
・B−1:グルコン酸ナトリウム
(C)成分
・C−1:ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、デモールNL、花王株式会社
(D)成分
・D−1:サッカロース
(E)成分
・E−1:消泡剤No.21、花王株式会社
(G)成分
・G−1:酢酸
【0067】
<実施例1及び比較例1>
前記の成分を用いて、セメントミルクとソイルセメントに対する評価を以下のように行った。結果を表1に示す。
【0068】
(1)セメントミルク評価方法
(1−1)セメントミルクの調製
前記の成分と水とを混合して分散剤水溶液を調製し、2Lプラスチックカップ(2Lディスポカップ、ニッコー・ハンセン株式会社)内でセメントと混合し、ハンドミキサーにて1分間混練してセメントミルクを調製した。その際、各材料、水、及び各成分の温度、並びに室温は、すべて22℃とした。
セメントは普通セメントを用いた。分散剤水溶液を調製するための水は上水道水を用いた。セメントと分散剤水溶液は、分散剤水溶液/セメントが60%となるように用いた。分散剤水溶液/セメントは、実質的に水/水硬性粉体比に相当する。
(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(G)成分は、セメントに対する添加量が表1の通りとなるように用いた。
表1では、(E)成分として、消泡剤No.21を、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の合計量(有効分換算)に対し、0.2質量%添加した。
【0069】
(1−2)評価
セメントミルクの調製後、表に示す経過時間ごとに、メカニカルスターラー(アズワン株式会社製、トルネードスタンダード)で、セメントミルクを、200rpmで30分間攪拌した。メカニカルスターラーには、攪拌羽として、アズワン株式会社製、トルネード用撹拌羽根 FUT−100と、攪拌棒として、アズワン株式会社製、撹拌シャフト S−500をセットして用いた。
撹拌終了後、セメントミルクの外観を観察し、ゲル化層の形成の有無を確認し、ゲル化層の厚み、流動層(流動可能な層)の高さを、それぞれ、定規で測定した。カップの底から液面の高さをAとし、流動層の高さをB、ゲル化層の厚みをCとするとA=B+Cとなる。B/A×100により流動率(%)を求め、表に示した。流動率は100%に近いほど好ましい。経過時間は、セメントと水が最初に接触してからの時間を表す。
【0070】
(2)ソイルセメント評価方法
(2−1)ソイルセメントの調製
まず、セメントミルクを次の手順で調製した。前記の成分と水とを混合して分散剤水溶液を調製し、500mlプラスチックカップ(500mLディスポカップ、ニッコー・ハンセン株式会社)内でセメントと混合し、ハンドミキサーにて1分間混練してセメントミルクを調製した。その際、各材料、水、及び各成分の温度、並びに室温は、すべて22℃とした。
セメントは普通セメントを用いた。分散剤水溶液を調製するための水は上水道水を用いた。セメントと分散剤水溶液は、分散剤水溶液/セメントが60質量%となるように用いた。分散剤水溶液/セメントは、実質的に水/水硬性粉体比に相当する。
(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(G)成分は、セメントに対する添加量が表1の通りとなるように用いた。
表1では、(E)成分として、消泡剤No.21を、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の合計量(有効分換算)に対し、0.2質量%添加した。
その後、別の500mlプラスチックカップ内に、泥水とセメントミルクとを投入し、ハンドミキサーにて30秒撹拌してソイルセメントを調製した。泥水は、笠岡粘土(水を加え比重1.5に調整)を用いた。泥水とセメントミルクは、泥水/セメントミルク=240/70の質量比で用いた。攪拌後、振動を与えて上面を均し、ラップフィルムで封をして所定時間まで22℃で静置した。
【0071】
(2−2)評価
ソイルセメントの調製から2、3、4時間後に、ソイルセメントの粘性をベーンせん断試験機によるトルクを測定して評価した。ベーンせん断試験機はテスコ社製のものを使用した。ベーン(羽根)は15mm×30mm、トルクドライバーはFTD5CN−S、FTD20CN−S、FTD50CN2−Sを使用した。
【0072】
(3)圧縮強度
ソイルセメントの硬化体について、圧縮強度を、JIS A 1216 土の一軸圧縮試験方法に準じて測定した。
【0073】
【表1】
【0074】
*1 質量比は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の合計を100とする質量比である(以下同様)。
*2 (E)成分の質量%は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の合計に対する質量%である(以下同様)。
*3 (G)成分の質量%は、セメントに対する質量%である。
*4 (A)+(B)+(C)+(D)添加量は、セメントに対する質量%である(以下同様)。
【0075】
<実施例2及び比較例2>
前記の成分を表2のように用いてセメントミルクとソイルセメントを調製し、実施例1と同様に圧縮強度の評価を行った。結果を表2に示す。本例では、(F)成分として、トリエタノールアミンを表2の量で用いた。なお、本例でのセメントミルクの流動率とソイルセメントのベーンせん断抵抗値は、表2の組成から(F)成分を除いた組成に対応する表1の例と同等となる。
【0076】
【表2】
【0077】
*5 (F)成分の添加量は、セメントに対する質量%である。