特許第6869933号(P6869933)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869933
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】手押し車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/04 20060101AFI20210426BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20210426BHJP
   B62B 3/02 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   B62B3/04 B
   B62B3/00 F
   B62B3/02 C
   B62B3/04 A
   B62B3/02 B
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-198261(P2018-198261)
(22)【出願日】2018年10月22日
(65)【公開番号】特開2020-66245(P2020-66245A)
(43)【公開日】2020年4月30日
【審査請求日】2019年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】518373601
【氏名又は名称】株式会社アスール
(74)【代理人】
【識別番号】100182154
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100109014
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 充
(72)【発明者】
【氏名】二宮 浩史
【審査官】 久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−029647(JP,U)
【文献】 韓国登録実用新案第20−0376213(KR,Y1)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0018033(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0005475(KR,A)
【文献】 特開2005−047417(JP,A)
【文献】 中国実用新案第202089095(CN,U)
【文献】 米国特許第05553877(US,A)
【文献】 韓国登録実用新案第20−0391504(KR,Y1)
【文献】 特開平11−59428(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0228928(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00−5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が操作するハンドルと、前記ハンドル側で前記ハンドルと一体に形成され床面に対して垂直に延びる支柱部(13)とが取り付けられた本体部(10)と、
前記本体部に配設され、一又は複数の車輪と、前記ハンドル側で前記支柱部に取り付けられ床面に対して垂直に延びる後脚部(21)が取り付けられた台車部(20)と、
前記本体部に取り付けられ、買い物カゴ(S)を載置できる荷台部(30)と、
前記荷台部(30)の左方向側と右方向側に取り付けられ、前記荷台部に載置した前記買い物カゴ(S)の左右への移動を抑止する移動抑止部(40)と、
前記ハンドル側に取り付けられ、前記移動抑止部が前記買い物カゴ(S)の左右への移動を抑止する抑止状態と、前記抑止状態を解除する解除状態とを切り替える切替部(50)と
前記荷台部に取り付けられ、載置した前記買い物カゴ(S)の下で回転し、前記買い物カゴを左右に移動させる一又は複数の転動部(60)を有し、
前記支柱部及び/又は前記後脚部に取り付けられ、前記後脚部に配置されたバネの付勢力により前記支柱部を床面に対して垂直方向に付勢し、前記荷台部の高さ位置をカゴ置き台の高さと同じ位置に調整する位置調整部(70)を有する
ことを特徴とする手押し車。
【請求項2】
請求項1に記載された手押し車であって、
前記台車部及び/又は前記荷台部は折りたたみ自在である
ことを特徴とする手押し車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手押し車に関する。さらに詳しく説明すると、本発明は、例えば、買い物カゴ等の積み卸しが容易な手押し車に関する。
【背景技術】
【0002】
手押し車は、一又は複数の車輪がつけられ、使用者がそれを手で押すことでものを運搬すること等に使用される。例えば、手押し車の一つであるショッピングカートは、スーパーマーケットやホームセンター等の店舗で、買い物カゴを載せて商品を精算所まで運ぶことができる。また、手押し車の一つであるシルバーカーは、高齢者が移動するときに、体を支えるために使用される。このように、従来から様々な方法で手押し車は使用されているが、特許文献を基に従来の技術を説明する。
【0003】
簡単に、短時間で折りたたみ、組立が可能であり、軽量で携帯、運搬性にすぐれ、自動車のトランクルームに入れても嵩張ることがない多目的キャリングカートの技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。シンプルな構成ながら、車輪が前後・両側に付いた4輪式のもので、立てかけても倒れず必要なら手を離すことができ、また安定感があって老人等の杖代わりに歩行することもでき、かつ狭い場所へ持ち込む際には他人の邪魔にならぬようコンパクト化できる、ショッピングカートの技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3066132号公報
【特許文献2】実用新案登録第3039830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示された多目的キャリングカートや特許文献2に示されたショッピングカート等の手押し車は、買い物カゴの積み卸しが容易でないという問題点があった。つまり、これらの手押し車に載せた買い物カゴは、精算所のカゴ置き台に移動させる必要があるが、買い物カゴに入れた商品の量が多いと持ち上げることが困難である。特に高齢者や子供が、単独で重い荷物になっている買い物カゴを、カゴ置き台に持ち上げて移動させることは非常に困難である。
【0006】
本発明は、このような社会的、技術的背景に基づいたものであり、次のような目的を達成する。本発明の目的は、買い物カゴの積み卸しが容易な手押し車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の手押し車は、使用者が操作するハンドルと、前記ハンドル側で前記ハンドルと一体に形成され床面に対して垂直に延びる支柱部(13)とが取り付けられた本体部(10)と、前記本体部に配設され、一又は複数の車輪と、前記ハンドル側で前記支柱部に取り付けられ床面に対して垂直に延びる後脚部(21)が取り付けられた台車部(20)と、前記本体部に取り付けられ、買い物カゴ(S)を載置できる荷台部(30)と、前記荷台部(30)の左方向側と右方向側に取り付けられ、前記荷台部に載置した前記買い物カゴ(S)の左右への移動を抑止する移動抑止部(40)と、前記ハンドル側に取り付けられ、前記移動抑止部が前記買い物カゴ(S)の左右への移動を抑止する抑止状態と、前記抑止状態を解除する解除状態とを切り替える切替部(50)と前記荷台部に取り付けられ、載置した前記買い物カゴ(S)の下で回転し、前記買い物カゴを左右に移動させる一又は複数の転動部(60)を有し、前記支柱部及び/又は前記後脚部に取り付けられ、前記後脚部に配置されたバネの付勢力により前記支柱部を床面に対して垂直方向に付勢し、前記荷台部の高さ位置をカゴ置き台の高さと同じ位置に調整する位置調整部(70)を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の手押し車は、本発明1であって、前記台車部及び/又は荷台部は折りたたみ自在であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明の手押し車は、移動抑止部の買い物カゴの移動を抑止する抑止状態と、買い物カゴの移動を許容する解除状態とを切り替えることができるので、買い物カゴの積み卸しが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施形態の手押し車1の外観図である。
図2】手押し車1の抑止状態を示す図である。
図3】手押し車1の解除状態を示す図である。
図4】荷台部30の高さを調整する状態を示す側面図である。
図5】荷台部30の高さをカゴ置き台Tの高さに調整する状態を示す正面図である。
【0013】
図6】抑止状態の手押し車1を解除状態にする状態を示す図である。
図7】解除状態の手押し車1の買い物カゴSを移動する状態を示す図である。
図8】手押し車1を折りたたんだ状態を示す側面図である。
図9】本発明の第二実施形態の手押し車101の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第一実施形態〕
本発明の第一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の第一実施形態の手押し車1の外観図である。図2は、手押し車1の抑止状態を示す平面図(a)、外観図(b)、正面図(c)、右側面図(d)である。図3は、手押し車1の解除状態を示す平面図(a)、外観図(b)、正面図(c)、右側面図(d)である。図1に示すように、矢印U方向を「上方向」とし、その逆方向である矢印D方向を「下方向」として説明を行う。上下方向と直交する一の方向である矢印F方向を「前方向」とし、直交する他の方向である矢印B方向を「後方向」として説明を行う。前後方向と直交する一の方向である矢印L方向を「左方向」とし、他の方向である矢印R方向を「右方向」として説明を行う。また、手押し車1が載置される面は「床面」として説明する。
【0015】
〔手押し車1〕
図1に示すように、本実施形態の手押し車1は、スーパーマーケット等の店舗で使用され、買い物カゴSを載せて商品を精算所まで運ぶショッピングカートを例にして説明する。手押し車1は、本体部10、台車部20、荷台部30、移動抑止部40、切替部50、転動部60及び位置調整部70とから構成されている。本例の手押し車1は、店舗内では高さ位置を調整できるショッピングカートとして利用され、店舗外では荷物を運ぶキャリーバックとして使用することができ、折りたたんで収納することができる。
【0016】
〔本体部10〕
本体部10は、使用者が操作する一対のハンドル11が取り付けられ、手押し車1の操作をする部位である。本体部10、10は、図1に示すように、左右一対のハンドル11、11、グリップ12、12、支柱部13、13及び荷台載置部14、14とから構成されている。本体部10のハンドル11と支柱部13とは、一体に形成されたスチール製のパイプ状部材である。
【0017】
〔ハンドル11〕
ハンドル11は、使用者が手でつかみ回転させることで手押し車1の進行方向を変えて操作すると共に、使用者の体を支える部位である。ハンドル11は、図2(c)に示すように正面から観察すると、下方向から上方向に延び、内側に直角に曲がるように形成されている。ハンドル11は、図2(d)に示すように側面から観察すると、支柱部13の上方向先端に配設され、斜め後方向に延びるように形成されている。ハンドル11は、直角に曲げられた部分にグリップ12が取り付けられている。なお、ハンドル11には、前車輪24W又は後車輪21Wの移動の原則や停止をするためのブレーキを取り付けても良い。
【0018】
〔グリップ12〕
グリップ12は、ハンドル11に取り付けられ、手押し車1を使用者が操作するときに握る部分であり、ゴムやシリコン等の軟質な弾性を有する樹脂系材料で形成された滑り止めである。グリップ12は、ハンドル11から着脱自在であり、好みの色に交換可能である。グリップ12は、抗菌材が入れられて抗菌作用を有するものでも良い。
【0019】
〔支柱部13〕
支柱部13は、ハンドル11の高さ位置を調整する部位である。支柱部13は、図2に示すように側面から観察すると、垂直に一直線に延びるように形成され、上方向先端にハンドル11が配設されている。支柱部13の外径は後脚部21の内径と同一又はやや小さく形成され、支柱部13は、後脚部21に昇降自在に取り付けられている。支柱部13は、後脚部21の内部に配置されたバネで上方向側に付勢されている。支柱部13には、荷台載置部14と荷台支持部15とを介して荷台部30が取り付けられており、支柱部13がバネで付勢されると、図5(a)に示すように、荷台部30の高さが精算所のカゴ置き台Tの高さと同じ位置になる。一対の支柱部13、13には、金属板を折り曲げて形成された一対の荷台載置部14、14が取り付けられている。なお、支柱部13には、所定の高さを示すための目盛りが形成されても良い。
【0020】
〔荷台載置部14〕
荷台載置部14は、荷台部30を支持すると共に、荷台部30を開閉させる部位である。荷台載置部14は、図2(c)に示すように正面から観察すると、略L字形状に形成され、荷台部30を載置できる床面と平行な面が形成されている。一対の荷台載置部14、14は、図2(d)に示すように側面から観察すると、五角形形状に形成され、それぞれ一対の支柱部13、13にネジ止されて取り付けられている。一対の荷台載置部14、14には、荷台支持部15を挿通するための貫通孔が形成されている。荷台載置部14の底板は、荷台部30が載置できるよう平らに形成されている。荷台載置部14は、スチール製の板状部材を折り曲げて形成されている。
【0021】
〔荷台支持部15〕
荷台支持部15は、荷台部30を支持すると共に、荷台部30を開閉させるスチール製の棒状の支持軸である。荷台支持部15は、支柱部13、13に直交するように配置され、床面と平行になるように荷台載置部に配置されている。荷台支持部15は、荷台載置部14の貫通孔と荷台部30の貫通孔に挿通されている。荷台支持部15の両端は拡径されており、荷台部30を荷台載置部14に対して揺動自在に取り付けられている。
【0022】
〔後側移動抑止部16〕
荷台部30の前側には、荷台部30に載置した買い物カゴSの後への移動を抑止する後側移動抑止部16が取り付けられている。後側移動抑止部16は、本体部10、10を繋ぐスチール製のパイプ状部材である。図2(b)に示すように、後側移動抑止部16は、本体部10、10に直交するように取り付けられ、床面と平行になるように配置されている。後側移動抑止部16は、本体部10、10を繋げるように、本体部10、10と一体に取り付けられている。
【0023】
後側移動抑止部16の寸法は、買い物カゴSの奥行と同一又はやや大きくなるように形成されている。前側移動抑止部31と後側移動抑止部16との間の寸法は、買い物カゴの幅と同一又はやや大きくなるように形成されている。後側移動抑止部16には、携帯端末が取り付けられる携帯端末支持部(図示せず)や、飲み物が取り付けられる飲み物支持部(図示せず)や、傘が取り付けられる傘支持部(図示せず)が取り付けられている。
【0024】
〔台車部20〕
台車部20は、一又は複数の車輪が取り付けられ、本体部10及び荷台部30を支持する土台となると共に、使用者の操作に応じて手押し車1を移動する部位である。台車部20は、図2(c)に示すように正面から観察すると、左右一対の後脚部21、21、前脚載置部22、22及び前脚部24、24とから構成されている。台車部20には、図2(c)に示すように前連結部25、後連結部26及び下荷台27が取り付けられている。台車部20の後脚部21、前脚部24、前連結部25、後連結部26及び下荷台27とは、スチール製のパイブ状部材である。
【0025】
〔後脚部21〕
後脚部21は、ハンドル11の高さ位置を調整する部材であり、本体部10及び荷台部30を支持する土台となる部位である。後脚部21は、図2(d)に示すように側面から観察すると、垂直に一直線に延びるように形成されている。後脚部21は、上方向側における先端の開口21hから支柱部13が入れられている。後脚部21は、その内部に支柱部13を上方向側に付勢するためのバネ(図示せず)が配置されている。図1(b)に示すように、後脚部21の上方向側の端部には、挟持部21nが形成されている。
【0026】
挟持部21nは、後脚部21の上方向側の端部において、開口21hの部分から後脚部21の長さ方向に沿って切り欠かれて形成されている。挟持部21nは、所定の力を加えることによって、支柱部13を挟んだ状態で固定する部材である。挟持部21nの外周には、支柱部13を所定の位置で固定する位置調整部70が取り付けられている。後脚部21の下方向側の端部には、手押し車1を移動させるための後車輪21Wが取り付けられている。
【0027】
〔前脚載置部22〕
前脚載置部22は、前脚部24を支持すると共に、前脚部24を開閉させる部位である。前脚載置部22は、図2(d)に示すように正面から観察すると、略L字形状に形成され、前脚部24を載置できる床面と平行な面が形成されている。一対の前脚載置部22、22は、図2(d)に示すように側面から観察すると、五角形形状に形成され、それぞれ一対の後脚部21、21にネジ止されて取り付けられている。一対の前脚載置部22、22には、前脚支持部23を挿通するための貫通孔が形成されている。前脚載置部22の底板は、前脚部24が載置できるよう平らに形成されている。前脚載置部22は、スチール製の板状部材を折り曲げて形成されている。
【0028】
〔前脚支持部23〕
前脚支持部23は、前脚部24を支持すると共に、前脚部24を開閉させるスチール製の棒状の支持軸である。前脚支持部23は、後脚部21、21に直交するように配置され、床面と平行になるように配置されている。前脚支持部23は、前脚載置部22の貫通孔と前脚部24の貫通孔に挿通されている。前脚支持部23の両端は拡径されており、前脚部24を前脚載置部22に対して揺動自在に取り付けている。
【0029】
〔前脚部24〕
前脚部24は、本体部10及び荷台部30を支持する土台となる部位であり、開閉自在に折りたためる部位である。また、前脚部24は、下荷台27に載置した買い物カゴSの左右への移動を抑止する部材である。前脚部24は、図2(d)に示すように側面から観察すると、略L字形状に形成されている。前脚部24は、一方の端部が前脚載置部22に対して揺動自在に取り付けられている。前脚部24の一方の端部には、左から右にかけて前脚支持部23を挿通する貫通孔(図示せず)が形成されている。前脚部24の貫通孔には、前脚支持部23が挿通されて、前脚部24が前脚載置部22に開閉自在に取り付けられる。前脚部24は、前脚載置部22の底板と後脚部21との範囲内で揺動自在であり、本体部10側に折りたたむことができる。前脚部24は、他方の端部には、手押し車1を移動させるための前車輪24Wが取り付けられている。
【0030】
〔前連結部25〕
前連結部25は、前脚部24、24を補強させるスチール製のパイプ状部材である。また、前連結部25は、下荷台27に載置した買い物カゴSの前への移動を抑止する部材である。図2(b)に示すように、前連結部25は、前脚部24、24に直交するように取り付けられ、床面と平行になるように配置されている。前連結部25は、前脚部24、24の屈曲した部分を繋げるように、前脚部24、24と一体に取り付けられている。前連結部25の寸法は、買い物カゴSの奥行と同一又はやや大きくなるように形成されている。
【0031】
〔後連結部26〕
後連結部26は、前脚部24、24を補強させるスチール製のパイプ状部材である。また、後連結部26は、下荷台27に載置した買い物カゴSの後への移動を抑止する部材である。図2(b)に示すように、後連結部26は、前脚部24、24に直交するように取り付けられ、床面と平行になるように配置されている。後連結部26は、前脚部24、24の一端側を繋げるように、前脚部24、24と一体に取り付けられている。後連結部26の寸法は、買い物カゴSの奥行と同一又はやや大きくなるように形成されている。前連結部25と後連結部26との間の寸法は、買い物カゴの幅と同一又はやや大きくなるように形成されている。
【0032】
〔下荷台27〕
下荷台27は、台車部20に取り付けられ、買い物カゴSを載置する部位である。下荷台27は、前連結部25と後連結部26に取り付けられている。図2(b)に示すように、下荷台27は、一体に形成されたスチール製のパイプ状部材を屈曲して、買い物カゴSの正面、背面、底面を支持できる3つの面が形成されている。下荷台27は、図2(d)に示すように側面から観察すると、コ字形状に形成されている。下荷台27の底面の寸法は、買い物カゴSの幅と同一は又はやや大きくなるように形成されている。
【0033】
〔荷台部30〕
荷台部30は、本体部10に取り付けられ、買い物カゴSを載置すると共に、載置された買い物カゴSを精算所のカゴ置き台に移動させる部位であり、開閉自在に折りたためる部位である。荷台部30は、図2(a)に示すように平面から観察すると、長方形形状の枠体に形成されている。荷台部30には、移動抑止部40、切替部50及び転動部60が取り付けられている。荷台部30は、一方の端部が荷台載置部14に対して揺動自在に取り付けられている。
【0034】
荷台部30の一方の端部には、左から右にかけて荷台支持部15を挿通する貫通孔が形成されている。荷台部30の貫通孔には、荷台支持部15が挿通されて、荷台部30が荷台載置部14に開閉自在に取り付けられる(図示せず)。荷台部30は、荷台載置部14の底板と支柱部13との範囲内で揺動自在であり、本体部10側に折りたたむことができる。
【0035】
荷台部30の前側には、荷台部30に載置した買い物カゴSの前への移動を抑止する前側移動抑止部31が取り付けられている。前側移動抑止部31は、図2(c)に示すように荷台部30の前方向側端部に取り付けられており、台形形状に形成されたスチール製のパイプ状の部材である。図2(b)に示すように、前側移動抑止部31は、荷台部30の前方向側端部に起立するように取り付けられている。前側移動抑止部31は、荷台部30と一体に取り付けられている。前側移動抑止部31と後側移動抑止部16との間の寸法は、買い物カゴの幅と同一又はやや大きくなるように形成されている。
【0036】
前側移動抑止部31には、照明が取り付けられる照明支持部(図示せず)が取り付けられている。荷台部30には、ヒンジ51を介して移動抑止部40が開閉自在に取り付けられている。枠体に形成された荷台部30の内側には、転動部60を取り付けるための軸32が配設されている。軸32は、図2(a)に示すように、前方向から後方向に延びる棒状に形成されており、荷台部30の枠内に所定の間隔で6つ配設されている。
【0037】
〔移動抑止部40〕
移動抑止部40は、荷台部30に取り付けられ、荷台部30に載置した買い物カゴSの左右への移動を抑止する部位である。移動抑止部40は、図2(a)に示すように荷台部30の左方向側端部と右方向側端部に取り付けられており、図2(d)に示すように、柵状の部材である。移動抑止部40は、ヒンジ51を介して荷台部30に開閉自在に取り付けられている。移動抑止部40は、切替部50によって、起立した抑止状態(図2(b)(d)参照)と外側に倒れた解除状態(図3(b)(d)参照)に切り替えることができる。
【0038】
〔切替部50〕
切替部50は、手押し車1を移動抑止部40が買い物カゴSの移動を抑止する抑止状態と、抑止状態を解除する解除状態とを切り替える部位である。本例において、切替部50は、図2(b)に示すようにヒンジ51及び丸棒ラッチ52とから構成されている。ヒンジ51は、移動抑止部40を荷台部30に対して開閉する部品である。丸棒ラッチ52は、移動抑止部40を直立した抑止状態にするための部品である。
【0039】
丸棒ラッチ52は、ハンドル11に取り付けられて進退移動するラッチ棒52fと、移動抑止部40に取り付けられラッチ棒の先端が挿入可能な受け金具52mとから構成されている。移動抑止部40は起立した状態で、丸棒ラッチ52のラッチ棒52fを受け金具52mに挿入すると、図2に示すように買い物カゴSの移動を抑止する抑止状態となる。移動抑止部40は、丸棒ラッチ52のラッチ棒52fを受け金具52mから抜いて、倒された状態になると、図3に示すように買い物カゴSをスライド移動できる解除状態となる。
【0040】
〔転動部60〕
転動部60は、荷台部30の表面から上方向側に突出するように軸32に取り付けられ、載置した買い物カゴSの下で回転して、買い物カゴSを左右に移動させるローラーである。転動部60は、図2(a)に示すように平面から観察すると、荷台部30の枠内で回転自在に配設されている。転動部60は、前方向から後方向に延びる筒状に形成されており、荷台部30の枠内に6つ配設されている。本例において、転動部60は、ゴムやシリコン等の軟質な弾性を有する樹脂系材料で形成されている。
【0041】
転動部60は、移動抑止部40が抑止状態のときは買い物カゴSを載置する。転動部60は、軟質な弾性変形する部材で形成されているため、載置された買い物カゴSが揺れにくくなる。また、転動部60は、移動抑止部40が解除状態のときは買い物カゴSを移動させる。転動部60は、軟質な弾性変形する部材で形成されているため、載置された買い物カゴSを滑らかに移動させることができる。
【0042】
〔位置調整部70〕
位置調整部70は、本体部10及び/又は台車部20に取り付けられ、荷台部30の高さ位置を調整する部位である。位置調整部70は、図2(d)に示すように側面から観察すると、後脚部21の先端において、挟持部21nを覆うように挟むことで、支柱部13を後脚部21に固定する。位置調整部70は、工具無しでレバーを使って締め付けて、後脚部21で支柱部13を挟むものである。本例において、手押し車1は、店舗で使用されるショッピングカートであるため、容易に荷台部30の高さ位置を調整できるように、位置調整部70を工具無しで締め付けるものを使用している。しかし、位置調整部70は、工具を使用してボルトで締め付けて、後脚部21で支柱部13を挟むものでも良い。
【0043】
〔手押し車1の使用方法〕
次に、本実施形態の手押し車1を使用して使用者が買い物をする動作について説明する。図4は、荷台部30の高さを調整する前の状態を示す側面図(a)、荷台部30の高さを調整した後の状態を示す側面図(b)である。図5は、荷台部30の高さをカゴ置き台Tの高さに調整する前の状態を示す正面図(a)、荷台部30の高さをカゴ置き台Tの高さに調整した後の状態を示す正面図(b)である。
【0044】
図6は、抑止状態の手押し車1を解除状態にする前の状態を示す図(a)、抑止状態の手押し車1を解除状態にした後の状態を示す図(b)である。図7は、解除状態の手押し車1の買い物カゴSを移動する途中の状態を示す図(a)、解除状態の手押し車1の買い物カゴSをカゴ置き台Tに移動した状態を示す図(b)である。図8は、手押し車1を折りたたんだ状態を示す側面図である。
【0045】
使用者は、図1に示すように、手押し車1の移動抑止部40を起立させた状態で丸棒ラッチ52のラッチ棒52fを受け金具52mに挿入して、買い物カゴSの移動を抑止する抑止状態にする。使用者は、抑止状態にした手押し車1の荷台部30に買い物カゴSを載置する。買い物カゴSは、前側移動抑止部31、移動抑止部40及び後側移動抑止部16に囲まれるので、荷台部30の上から落ちることなく載置される。使用者は、買い物カゴSが載置された手押し車1を移動させて、買い物をすることができる。
【0046】
使用者は、図4に示すように、陳列された商品の位置に応じて、手押し車1の高さ位置を調整することができる。手押し車1の高さ位置の調整は、位置調整部70が、後脚部21の先端において、挟持部21nを覆うように挟んだ状態を解除して、支柱部13を後脚部21に固定した状態を解除することで行われる。使用者は、支柱部13を後脚部21に固定した状態を解除した後に、図4(b)に示すように、支柱部13を後脚部21に押し込むように動かして好みの高さに調整する。使用者が支柱部13を後脚部21に押し込むことで、後脚部21の内部に配置されたバネ(図示せず)が弾性変形して縮む。使用者は、支柱部13を好みの高さに調整した後に、位置調整部70を挟持部21nを覆うように挟むことで、支柱部13を後脚部21に固定する。なお、使用者は、支柱部13に形成された目盛りに従って、支持部13の高さを調整しても良い。
【0047】
また、使用者は、図5に示すように、精算所のカゴ置き台Tの位置に手押し車1の高さ位置を容易に調整することができる。まず、使用者は、図5(a)に示すように、手押し車1を精算書のカゴ置き台Tに近づける。使用者が、位置調整部70を外すと、後脚部21の内部で縮められたバネによって、支柱部13が上方向に付勢される。手押し車1は、支柱部13が付勢されると、図5(b)に示すように、荷台部30の高さを精算所のカゴ置き台Tの高さと同じ位置に配置する。使用者は、支柱部13が付勢された状態で、位置調整部70で挟持部21nを挟んで支柱部13を固定する。
【0048】
さらに、使用者は、図6に示すように、手押し車1に載置された買い物カゴSを、持ち上げることなく、精算所のカゴ置き台Tに移動させることができる。まず、使用者は、手押し車1の切替部50を使用して移動抑止部40が買い物カゴSの移動を抑止する抑止状態から、抑止状態を解除する解除状態に切り替える。より具体的に説明すると、使用者は、図6(a)に示すように、丸棒ラッチ52のラッチ棒52fを受け金具52mから抜いて、図6(b)に示すように、移動抑止部40を倒した状態にする。使用者は、移動抑止部40を倒した状態で、買い物カゴSを荷台部30からカゴ置き台Tにスライド移動する。
【0049】
使用者は、図5(b)に示すように、買い物に使用している手押し車1において、荷台部30の高さが精算所のカゴ置き台Tの高さ位置と同じ位置に配置されているので、買い物カゴSを持ち上げることなくカゴ置き台Tに移動できる。使用者は、図7(a)に示すように、手押し車1に積まれた買い物カゴSが、回転自在に配設された転動部60に載置されているため、図7(b)に示すように、少ない力で買い物カゴSをカゴ置き台Tにスライド移動することができる。つまり、使用者は、買い物カゴSに商品が多く載せられていても、買い物カゴSを持ち上げることなく、回転する転動部60の上で買い物カゴSをスライド移動をさせることができ、少ない力で買い物カゴSの積み卸しができる。
【0050】
手押し車1は、図8に示すように、前脚部24と荷台部30とを折りたたむことができる。使用者は、前脚支持部23を支持軸として、前脚部24を本体部10側に折りたたむことができる。使用者は、荷台支持部15を支持軸として、荷台部30を本体部10側に折りたたむことができる。このため、使用者は、手押し車1を使用しないときなどは、前脚部24と荷台部30とを折りたたんで、小さくまとめて収納することができる。なお、手押し車1の折りたたむ方法は、他の方法を使用しても良い。
【0051】
手押し車101は、軽量なスチール製のパイプ状部材が折り畳み自在であるため持ち運びが良く、店舗内での使用に限らず、自宅と店舗間で荷物を運ぶために使用しても良い。この場合、照明支持部に照明を取り付けることで、夜間でも安全に荷物を運ぶことができる。また、飲み物が取り付けられる飲み物支持部や傘が取り付けられる傘支持部が取り付けられているため、使用者は両手でしっかりとグリップ12を握ることができ、片手で操作をする機会が減る。また、携帯端末支持部にスマートフォンを取り付けることで、使用者は、スマートフォンの画面に料理レシピのウェブサイト等を表示させ、買い物に必要なものを確認をしながら、買い物をすることができる。
【0052】
〔第二実施形態〕
本発明の第二実施形態を図面に基づいて説明する。図9(a)は、本発明の第二実施形態の手押し車101を示す外観図である。第二実施形態では、前述した第一実施形態と同一の部位には同一の符号を付与し詳細な説明を省略する。手押し車101は、手押し車1と比較して、折りたたむ方法が異なる。手押し車101は、本体部110、台車部120、荷台部130、移動抑止部140、切替部(図示せず)、転動部(図示せず)及び位置調整部170とから構成されている。手押し車101は、図9(a)に示すように、本体部110と台車部120とが、支持軸190を介して取り付けられている。手押し車101は、図9(a)に示すように、本体部110を支持軸190を介して台車部120側に近づけるように折りたたむことができる。
【0053】
手押し車101は、手押し車1と比較して、荷台部130の高さ位置を調整する方法が異なる。手押し車101は、図9(a)に示すように、荷台部130が本体部110に対して、位置調整部170を介して取り付けられている。手押し車101は、図9(b)に示すように、本体部110に取り付けられた荷台部130を、位置調整部170を介して、高さ位置を調整することができる。手押し車101は、手押し車1と同様に移動抑止部140を抑止状態と解除状態にすることができる。また、使用者は、買い物カゴSに商品が多く載せられていても、買い物カゴSを持ち上げることなく、転動部(図示せず)の上でスライド移動をさせることができ、少ない力で買い物カゴSの積み卸しができる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態の説明を行ったが、本発明は、この実施の形態に限定されることはなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内で変更ができる。本例において、本体部10、台車部20、荷台部30及び移動抑止部40は、スチール製のパイプ状部材であるが、ステンレス製やアルミ製のパイプ状部材であっても良いし、合成樹脂で製造されたものであっても良い。また、買い物カゴSは、前連結部25、前脚部24及び後連結部26に区画された部分に載置しても良い。
【0055】
本例において、転動部60は、筒状に形成されているが、1つの軸32に対して回転可能な複数の玉形状等のその他の形状であっても良い。位置調整部70は、エアスプリングやガススプリング等を使用して支柱部13の高さを調整しても良い。位置調整部70は、ネジの締め付けで支柱部13の高さ調整するネジ固定式でも良い。本例において、小さい車輪が4つ取り付けられているが、比較的大きい車輪が3つ取り付けられても良い。手押し車1は、大きい車輪が3つ取り付けられていることで、いままでのショッピングカートにはない意匠性が生じる。また、手押し車は、大きい車輪が3つ取り付けられていることで、段差を容易に乗り越えることができ、年配者でも重い荷物を楽に移動させることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 :手押し車
10 :本体部
20 :台車部
30 :荷台部
40 :移動抑止部
50 :切替部
60 :転動部
70 :位置調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9