(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1に示す血液バッグシステム10は、複数の成分を含有する血液を比重の異なる複数の成分(例えば、軽比重成分及び重比重成分の2つの成分)に遠心分離し、各成分を異なるバッグに分けて収容、保存するためのものである。
【0020】
本実施形態に係る血液バッグシステム10は、全血から白血球及び血小板を除去した残余の血液成分を血漿及び濃厚赤血球の2つの成分に遠心分離し、血漿及び濃厚赤血球を異なるバッグに分けて収容、保存するように構成されている。
【0021】
具体的に、この血液バッグシステム10は、ドナーから血液(全血)を採取する血液採取部12と、全血から所定の血液成分を除去する前処理部14と、所定成分が除去された残余の血液成分を遠心分離して複数の血液成分に分けるとともに各成分を異なるバッグに収容(貯留)する分離処理部16とを有する。
【0022】
血液採取部12は、採血針18と、一端が採血針18に接続された採血チューブ20と、採血チューブ20の他端が接続された採血バッグ22(第1バッグ)とを有する。
【0023】
採血チューブ20の途中部位には、採血チューブ20の流路を閉塞及び開放するクランプ24が設けられている。なお、採血チューブ20には、分岐コネクタを介して、初流血を採取するための初流血バッグが接続されていてもよい。
【0024】
採血バッグ22は、ドナーから採取した血液(全血)を収容(貯留)するためのバッグである。採血バッグ22内には、予め抗凝固剤が入れられていることが好ましい。
【0025】
採血バッグ22は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンのような軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁のシール部において融着(熱融着、高周波融着)又は接着し、袋状に構成されたものである。なお、後述する親バッグ40、子バッグ42及び薬液バッグ44も同様に袋状に構成されたものである。
【0026】
前処理部14は、所定細胞を除去する血液処理フィルタ30Aと、一端が採血バッグ22に接続され他端が血液処理フィルタ30Aの入口(後述する流入ポート60)に接続された入口側チューブ26と、一端が血液処理フィルタ30Aの出口(後述する流出ポート62)に接続され他端が分離処理部16に接続された出口側チューブ28とを有する。
【0027】
本実施形態では、血液処理フィルタ30Aは、白血球除去フィルタとして構成されている。このような白血球除去フィルタは、軟質樹脂シートから形成された袋状のハウジング52内に、一方の面から他方の面に連通する多数の微細な孔を有した通液性のある多孔質体を収容した構造を有する。本実施形態では、血液処理フィルタ30Aは、血小板も補足できるように構成されている。血液処理フィルタ30Aの詳細な構成については後述する。
【0028】
入口側チューブ26は、ドナーから採取した血液を採血バッグ22から血液処理フィルタ30Aに移送するためのチューブであり、採血バッグ22の上部に接続されている。本実施形態では、入口側チューブ26の、採血バッグ22側の端部に封止部材32が設けられている。封止部材32は、初期状態では流路が閉塞しているが、破断操作を行うことで流路が開通するように構成されたものであり、後述する他の封止部材34、36も同様である。
【0029】
出口側チューブ28は、血液処理フィルタ30Aで所定細胞(本実施形態では、白血球及び血小板)が除去された残余の血液成分を分離処理部16(具体的には、後述する親バッグ40)に移送するためのチューブである。この出口側チューブ28の途中部位には、出口側チューブ28の流路を閉塞及び開放するクランプ38が設けられている。
【0030】
次に、分離処理部16について説明する。分離処理部16は、血液処理フィルタ30Aで所定細胞が除去された残余の血液成分を収容(貯留)する親バッグ40(第2バッグ)と、親バッグ40内の血液成分を遠心分離して得られた上清成分を収容及び保存する子バッグ42と、赤血球保存液Mを収容する薬液バッグ44と、親バッグ40、子バッグ42及び薬液バッグ44に接続された移送ライン46(分岐部47及び複数のチューブ48〜50)とを有する。
【0031】
親バッグ40は、血液処理フィルタ30Aで所定細胞が除去された残余の血液成分(白除血)を収容(貯留)するためのバッグと、当該血液成分を遠心分離して得られた沈降成分(濃厚赤血球)を保存するための赤血球バッグとを兼ねている。
【0032】
親バッグ40と移送ライン46のチューブ48は、封止部材34を介して接続されている。子バッグ42は、移送ライン46のチューブ49と接続されている。薬液バッグ44と移送ライン46のチューブ50は、封止部材36を介して接続されている。
【0033】
図2及び
図3に示すように、血液処理フィルタ30Aは、袋状に形成されたハウジング52と、ハウジング52内を血液流入室54と血液流出室56とに区画するフィルタ部材58と、血液流入室54と連通する流入ポート60と、血液流出室56と連通する流出ポート62と、フィルタ部材58の周縁部に成形された周縁成形体64と、周縁成形体64から外方に延出する接続シート66とを備える。
【0034】
ハウジング52は、処理(濾過)される血液を収容するための袋状容器であって、互いに反対側の壁を構成する一対の樹脂シート(第1樹脂シート68及び第2樹脂シート70)を有する。第1樹脂シート68及び第2樹脂シート70は、例えば、ポリ塩化ビニル等の軟質樹脂からなる。
【0035】
第1樹脂シート68と第2樹脂シート70の周縁部同士は、流入ポート60及び流出ポート62の部分を除く全周において、接続シート66を介して、融着(熱融着、超音波融着等)により接合されている。
図2において、シール部71が、第1樹脂シート68及び第2樹脂シート70と接続シート66との融着による接合箇所である。
【0036】
図3に示すように、血液流出室56側の流路をより確保しやすくするために、第2樹脂シート70の第1樹脂シート68に対向する側(フィルタ部材58に対向する側)には、複数本のリブ72(
図1も参照)が設けられている。なお、第1樹脂シート68の第2樹脂シート70に対向する側にも、リブ72と同様のリブが設けられていてもよい。第2樹脂シート70において、リブ72は、なくしてもよい。
【0037】
フィルタ部材58は、第1樹脂シート68と第2樹脂シート70との間に設けられており、ハウジング52内を血液流入室54と血液流出室56とに区画するとともに、血液流入室54中の血液が血液流出室56に移動する際の流路となり、所定の血液成分(白血球等)を分離・除去する部材である。具体的に、フィルタ部材58は、互いに同一形状の複数の濾材74が厚さ方向に積層されて構成されている。
【0038】
濾材74は、一方の面から他方の面に連通する多数の微細な連続孔を有するシート状の多孔質体からなる。このような多孔質体としては、例えばポリウレタン製のスポンジシート、不織布等が挙げられる。濾材74の積層枚数は、例えば、2〜10枚程度である。なお、
図3のフィルタ部材58では6枚の濾材74が積層されている。フィルタ部材58を構成する濾材74の枚数は1枚のみであってもよい。
【0039】
流入ポート60は、処理される血液をハウジング52内に流入させるための部材であって、例えばポリ塩化ビニル等の軟質樹脂からなる。流入ポート60は、ハウジング52の一端側において、第1樹脂シート68と接続シート66との間に挟まれて、これらと融着により接合されている。
【0040】
流出ポート62は、処理された血液をハウジング52内から流出させるための部材であって、例えばポリ塩化ビニル等の軟質樹脂からなる。流出ポート62は、ハウジング52の他端側において、第2樹脂シート70と接続シート66との間に挟まれて、これらと融着により接合されている。
【0041】
周縁成形体64は、インサート成形によって形成された額縁状の樹脂製部材である。具体的に、周縁成形体64は、フィルタ部材58の周縁部を全周に亘って囲むように形成されている。周縁成形体64の内周部が、フィルタ部材58を構成する複数の濾材74の各々の外周端縁と結合している。
【0042】
周縁成形体64は、例えばポリ塩化ビニル等の軟質樹脂からなる。周縁成形体64は、複数種類の樹脂の混合体、例えば、ポリ塩化ビニルとポリウレタンとの混合樹脂により構成されてもよい。
【0043】
周縁成形体64は、フィルタ部材58の互いに反対側の表面を露出させる開口部76、77を有する。周縁成形体64の開口部76、77の大きさは、フィルタ部材58の主面58a、58bの大きさと略同じである。具体的には、フィルタ部材58の主面58a、58bの面積に対する、周縁成形体64の開口部76、77の開口面積の割合(面積割合)は、95〜100%であり、好ましくは、98〜100%である。なお、上記面積割合が100%の場合、周縁成形体64は実質的に濾材74の端面(側面)のみで濾材74を保持することになる。この場合、周縁成形体64は、濾材74の端面のみと融着等されている。
【0044】
ここで、「フィルタ部材58の主面58a、58b」とは、フィルタ部材58における、フィルタ部材58の厚さ方向(濾材74の積層方向)に略垂直な表面、すなわち、第1樹脂シート68及び第2樹脂シート70にそれぞれ対向する表面のことをいう。従って、フィルタ部材58の主面58a、58bの面積は、フィルタ部材58をその厚さ方向に投影した面積ということもできる。
【0045】
周縁成形体64の成形過程において、フィルタ部材58の周縁部はその厚さ方向に圧縮されておらず、あるいは殆ど圧縮されていない。すなわち、フィルタ部材58の周縁部の厚さは、フィルタ部材58における周縁部以外の部分の厚さと同じ(あるいは略同じ)である。具体的には、フィルタ部材58における周縁部以外の部分の濾材74の厚さに対する、周縁部における濾材74の厚さは、90〜100%であり、好ましくは、95〜100%である。濾材74の厚さ測定は、例えば、定圧厚さ測定器を用いて行うことができる。軟質発泡材、軟質ウレタンフォーム等の軟質材用の定圧厚さ測定器を用いれば、濾材74を潰すことなく厚さを測定することができる。
【0046】
周縁成形体64から外方に延出した接続シート66は、ハウジング52に接続されている。従って、周縁成形体64は、接続シート66を介して第1樹脂シート68及び第2樹脂シート70に接続されている。
【0047】
図3において、接続シート66は、周縁成形体64の周囲を囲むように形成されている。接続シート66の一方面(第1樹脂シート68側の面)の周縁部は、流入ポート60の部分を除き全周に亘って第1樹脂シート68と融着により接合されている。接続シート66の他方面(第2樹脂シート70側の面)の周縁部は、流出ポート62の部分を除き全周に亘って第2樹脂シート70と融着により接合されている。
【0048】
図3において、接続シート66は、周縁成形体64と一体的にインサート成形により形成されている。なお、接続シート66は、周縁成形体64に対して融着、接着等により接合された部材であってもよい。
【0049】
上記のように構成される血液処理フィルタ30Aは、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0050】
図4Aのように、所定形状の複数枚の積層された濾材74(フィルタ部材58)を提供する。例えば、濾材74の素材を複数枚積層し、この積層体を厚さ方向に所定形状に打ち抜くことにより、
図4Aのようなフィルタ部材58が得られる。次に、
図4Bのように、インサート成形により、フィルタ部材58の周縁部に額縁状の周縁成形体64を成形する(周縁成形工程)。本実施形態では、この周縁成形工程により、接続シート66も周縁成形体64と一体的にインサート成形される。
【0051】
周縁成形工程では、フィルタ部材58の主面58a、58bの面積に対する、周縁成形体64におけるフィルタ部材58の表面を露出させる開口部76、77の開口面積の割合が95〜100%(好ましくは98〜100%)となり、フィルタ部材58における周縁部以外の部分の濾材74の厚さに対する、周縁部における濾材74の厚さが90〜100%(好ましくは95〜100%)となるように、周縁成形体64を成形する。
【0052】
次に、ハウジング成形工程を行う。ハウジング成形工程では、周縁成形体64が周縁部に成形されたフィルタ部材58を第1樹脂シート68と第2樹脂シート70との間に配置するとともに、周縁成形体64に接続シート66を介して第1樹脂シート68と第2樹脂シート70とを融着により接合することにより、内部がフィルタ部材58によって血液流入室54と血液流出室56とに区画されたハウジング52を成形する。
【0053】
接続シート66を介して第1樹脂シート68と第2樹脂シート70とを接合する際、第1樹脂シート68と接続シート66との間に流入ポート60を配置するとともに第2樹脂シート70と接続シート66との間に流出ポート62を配置した状態で接合することにより、流入ポート60及び流出ポート62が接続されたハウジング52が得られる。
【0054】
以上により、
図2及び
図3に示す構成の血液処理フィルタ30Aが得られる。
【0055】
次に、上記のように構成された血液処理フィルタ30A及び血液バッグシステム10の作用及び効果を説明する。
【0056】
図1に示す血液バッグシステム10の使用においては、まず、採血針18を供血者の血管に穿刺して採血する。供血者からの血液は、採血チューブ20を介して採血バッグ22内に収容される。このとき、封止部材32は未開通(流路閉塞状態)であるため、採血バッグ22から入口側チューブ26への血液の流出は防止される。そして、採血終了後、チューブシーラ等により採血チューブ20の採血バッグ22の近傍箇所を融着により封止し、その封止部を切断して、採血バッグ22から採血針18を分離する。
【0057】
次に、封止部材32を破断操作して封止部材32内の流路を開通させ、採血バッグ22内の血液を入口側チューブ26に排出する。
図3において、排出された血液は、入口側チューブ26を介して、血液処理フィルタ30Aの流入ポート60から血液流入室54に流入する。この場合、例えば、採血バッグ22をスタンド等により吊り下げて高所に配置し、落差(重力)を利用して血液を移送する。
【0058】
そして、血液流入室54に流入した血液は、フィルタ部材58を介して血液流出室56へと移動する。このとき、血液の流路には複数の濾材74が介在するため、血液中の白血球及び血小板は複数の濾材74によって除去される。白血球及び血小板が除去された血液は、流出ポート62から流出し、
図1に示す出口側チューブ28を介して、親バッグ40内に導入される。
【0059】
親バッグ40内に血液が収容された後、チューブシーラ等により出口側チューブ28の親バッグ40の近傍箇所を融着により封止し、その封止部を切断して、採血バッグ22及び血液処理フィルタ30Aを親バッグ40から分離する。そして、親バッグ40を、子バッグ42及び薬液バッグ44とともに遠心分離して、親バッグ40内の血液を赤血球層と血漿層に分離する。分離された血漿は、子バッグ42に移送して保存される。薬液バッグ44内の赤血球保存液Mは、親バッグ40内へと移送され、親バッグ40内に残った赤血球に添加される。
【0060】
この場合、上述した血液処理フィルタ30Aによれば、
図3に示したように、フィルタ部材58の周縁部にはインサート成形により周縁成形体64が形成されており、周縁成形体64の内周部は、複数の濾材74の各々の外周端縁と結合している。従って、フィルタ部材58(濾材74)に皺が発生することが抑制され、これにより、皺によって濾材74が有効に使われない部分の発生を防止することができる。
【0061】
また、フィルタ部材58の周縁部の潰れが抑制されていることにより、当該周縁部での孔構造が維持されるため、フィルタ部材58の周縁部においても濾過機能を発揮できる。加えて、周縁成形体64の開口部76、77はフィルタ部材58の主面58a、58bと略同じ大きさであるため、大きな濾材有効面積を確保することができる。よって、濾過時の流速の低下、白血球漏れ、濾過詰まり、溶血等の発生を抑制することができる。
【0062】
さらに、フィルタ部材58の周縁部の潰れが抑制されていることから、フィルタ部材58とハウジング52との間の余分な隙間を小さくできる。これにより、ハウジング52内のデッドスペースを小さくし、残血による血液回収率の低下を抑制することができる。
【0063】
特に、フィルタ部材58の主面58a、58bの面積に対する、周縁成形体64におけるフィルタ部材58の表面を露出させる開口部76、77の開口面積の割合は、95〜100%である。これにより、フィルタ部材58の主面58a、58bの略全面が露出しているため、大きな濾材有効面積を一層効果的に確保することができる。
【0064】
また、フィルタ部材58における周縁部以外の部分の濾材74の厚さに対する、周縁部における濾材74の厚さは、90〜100%である。これにより、濾材74の潰れが殆どないため、大きな濾材有効面積を一層効果的に確保することができる。
【0065】
血液処理フィルタ30Aでは、接続シート66は、周縁成形体64の周囲を囲むように設けられ、周縁成形体64は、接続シート66を介して第1樹脂シート68及び第2樹脂シート70に接続されている。この構成により、1枚の接続シート66により周縁成形体64とハウジング52とを接続することができる。
【0066】
上記によれば、以下の第1の血液処理方法が把握される。すなわち、当該第1の血液処理方法は、血液処理フィルタ30Aを用いて血液から所定の血液成分を除去する血液処理方法であって、前記血液処理フィルタ30Aは、互いに反対側の壁を構成する第1樹脂シート68と第2樹脂シート70とを有するハウジング52と、前記第1樹脂シート68と前記第2樹脂シート70との間に設けられ、積層された複数の濾材74が設けられてなり、前記ハウジング52内を血液流入室54と血液流出室56とに区画するフィルタ部材58と、前記血液流入室54と連通する流入ポート60と、前記血液流出室56と連通する流出ポート62と、前記フィルタ部材58の周縁部を覆う額縁状に成形され、内周部が前記複数の濾材74の外周端縁と結合した周縁成形体64と、を備え、前記フィルタ部材58の主面の面積に対する、前記周縁成形体64における前記フィルタ部材58の表面を露出させる開口部76、77の開口面積の割合は、95〜100%であり、前記血液処理方法は、前記血液流入室54に血液を流入させること、前記血液流入室54から前記フィルタ部材58を介して前記血液流出室56へと血液を移動させ、当該血液の移動に伴って複数の濾材74により所定の血液成分をトラップすること、前記血液流出室56から血液を流出させること、を含み、前記血液流入室54から前記フィルタ部材58へと前記血液が流動する際、前記血液は、前記血液流入室54に臨む一方の前記開口部76を通過し、前記フィルタ部材58から前記血液流出室56へと前記血液が流動する際、前記血液は、前記血液流出室56に臨む他方の前記開口部77を通過する。第1の血液処理方法は、後述する血液処理フィルタ30B〜30Eを用いた場合でも同様に実施することができる。なお、血液処理フィルタ30D又は30Eを用いる場合、上記第1の血液処理方法中、周縁成形体64の代わりに周縁成形体64a又は64bが用いられることになる。
【0067】
また、上記によれば、以下の第2の血液処理方法が把握される。すなわち、当該第2の血液処理方法は、血液処理フィルタ30Aを用いて血液から所定の血液成分を除去する血液処理方法であって、前記血液処理フィルタ30Aは、互いに反対側の壁を構成する第1樹脂シート68と第2樹脂シート70とを有するハウジング52と、前記第1樹脂シート68と前記第2樹脂シート70との間に設けられ、積層された複数の濾材74が設けられてなり、前記ハウジング52内を血液流入室54と血液流出室56とに区画するフィルタ部材58と、前記血液流入室54と連通する流入ポート60と、前記血液流出室56と連通する流出ポート62と、前記フィルタ部材58の周縁部を覆う額縁状に成形され、内周部が前記複数の濾材74の外周端縁と結合した周縁成形体64と、前記周縁成形体64から外方に延出し、前記ハウジング52に接続された接続シート66と、を備え、前記血液処理方法は、前記血液流入室54に血液を流入させること、前記血液流入室54から前記フィルタ部材58を介して前記血液流出室56へと血液を移動させ、当該血液の移動に伴って複数の濾材74により所定の血液成分をトラップすること、前記血液流出室56から血液を流出させること、を含む。第2の血液処理方法は、後述する血液処理フィルタ30B、30Cを用いた場合でも同様に実施することができる。なお、血液処理フィルタ30Cを用いる場合、上記第2の血液処理方法中、接続シート66の代わりに接続シート67が用いられることになる。
【0068】
図1に示す血液バッグシステム10において、血液処理フィルタ30Aに代えて、
図5〜
図9に示す血液処理フィルタ30B〜30Eのいずれかが採用されてもよい。
【0069】
図5に示す血液処理フィルタ30Bにおいて、接続シート66の流入ポート60側の部分66aは、周縁成形体64の第2樹脂シート70側から延出している。一方、接続シート66の流出ポート62側の部分66bは、周縁成形体64の第1樹脂シート68側から延出している。また、接続シート66において、周縁成形体64の流入ポート60側の端部から流出ポート62側の端部まで延在する部分66cは、流入ポート60側から流出ポート62側に向かって第1樹脂シート68側に傾斜している。
【0070】
なお、血液処理フィルタ30Bのその他の部分については、血液処理フィルタ30Aと同様に構成されている。
【0071】
このように構成された血液処理フィルタ30Bによれば、血液処理フィルタ30Aと同様に、広い濾材有効面積を確保することができるとともに、残血による血液回収率の低下を抑制することができる。特に、この血液処理フィルタ30Bによれば、接続シート66がフィルタ部材58に対して傾斜しているため、濾過時の血液の流路が好適に確保され、ハウジング52内での血液の流れをより円滑にすることができる。
【0072】
図6及び
図7に示す血液処理フィルタ30Cにおいて、周縁成形体64から外方に延出した接続シート67は、流入ポート60側に設けられた第1接続シート67aと、流出ポート62側に設けられた第2接続シート67bとを有する。第1樹脂シート68は、周縁成形体64及び第1接続シート67aに接続されている。第2樹脂シート70は、周縁成形体64及び第2接続シート67bに接続されている。
【0073】
図6に示すように、第1接続シート67aは、周縁成形体64の流入ポート60側の部分に沿って幅方向に円弧状に延在し、第1樹脂シート68の流入ポート60側の周縁部と融着により接合されている。第1樹脂シート68の周縁部のうち第1接続シート67aが接合されている部分は、流入ポート60側の領域のみであるため、第1樹脂シート68の周縁部の大部分は、周縁成形体64に接合されている。
【0074】
第2接続シート67bは、周縁成形体64の流出ポート62側の部分に沿って幅方向に円弧状に延在し、第2樹脂シート70の流出ポート62側の周縁部と融着により接合されている。第2樹脂シート70の周縁部のうち第2接続シート67bが接合されている部分は、流出ポート62側の領域のみであるため、第2樹脂シート70の周縁部の大部分は、周縁成形体64に接合されている。
【0075】
図7に示すように、ハウジング52の流入ポート60側の端部領域において、第1樹脂シート68の周縁部以外の箇所では、第1樹脂シート68と第1接続シート67aとは接合されていないため、当該領域には、第1樹脂シート68と第1接続シート67aとによる袋構造78が形成されている。また、ハウジング52の流出ポート62側の端部領域において、第2樹脂シート70の周縁部以外の箇所では、第2樹脂シート70と第2接続シート67bとは接合されていないため、当該領域には、第2樹脂シート70と第2接続シート67bとによる袋構造79が形成されている。
【0076】
図7において、第1接続シート67a及び第2接続シート67bは、周縁成形体64とは別部材として構成されている。なお、第1接続シート67a及び第2接続シート67bは、周縁成形体64と一体成形された部分であってもよい。
【0077】
なお、血液処理フィルタ30Cのその他の部分については、血液処理フィルタ30Aと同様に構成されている。
【0078】
上記のように構成された血液処理フィルタ30Cによれば、血液処理フィルタ30Aと同様に、広い濾材有効面積を確保することができるとともに、残血による血液回収率の低下を抑制することができる。特に、血液処理フィルタ30Cによれば、この第1樹脂シート68の周縁部はその大部分が周縁成形体64に接合されており、第2樹脂シート70の周縁部はその大部分が周縁成形体64に接合されている。これにより、ハウジング52内のデッドスペースをより小さくし、残血による血液回収率の低下を一層効果的に抑制することができる。
【0079】
図8に示す血液処理フィルタ30Dにおいて、フィルタ部材58の周縁部にインサート成形により成形された周縁成形体64aは、周縁成形体64aの外周部と内周部とを連通し且つ血液流入室54に臨む第1連通孔80と、周縁成形体64aの外周部と内周部とを連通し且つ血液流出室56に臨む第2連通孔82とを有する。
【0080】
周縁成形体64aの一端部は第1樹脂シート68側に向かって突出した第1突出部84を有し、この第1突出部84に第1連通孔80が形成されている。第1連通孔80には流入ポート60が接続されている。
【0081】
周縁成形体64aの他端部は第2樹脂シート70側に向かって突出した第2突出部86を有し、この第2突出部86に第2連通孔82が形成されている。第2連通孔82には流出ポート62が接続されている。第1連通孔80及び第2連通孔82は、周縁成形体64aの壁厚方向(矢印A方向)に直線状に貫通している。
【0082】
なお、周縁成形体64aのその他の部分については、周縁成形体64と同様に構成されている。血液処理フィルタ30Dのその他の部分についても、血液処理フィルタ30Aと同様に構成されている。
【0083】
上記のように構成された血液処理フィルタ30Dによれば、血液処理フィルタ30Aと同様に、広い濾材有効面積を確保することができるとともに、残血による血液回収率の低下を抑制することができる。
【0084】
特に、この血液処理フィルタ30Dによれば、第1樹脂シート68と周縁成形体64aとの間、及び第2樹脂シート70と周縁成形体64aとの間には、流入ポート60及び流出ポート62が介在していないため、周縁成形体64aに対する第1樹脂シート68及び第2樹脂シート70の接合面には、流入ポート60及び流出ポート62による凸部が形成されない。このため、製造工程において、第1樹脂シート68及び第2樹脂シート70を周縁成形体64aに接合しやすい。
【0085】
なお、血液処理フィルタ30Dにおいて、第1連通孔80及び第2連通孔82の一方のみが直線状に形成されてもよい。
【0086】
上記によれば、以下の第3の血液処理方法が把握される。すなわち、当該第3の血液処理方法は、血液処理フィルタ30Dを用いて血液から所定の血液成分を除去する血液処理方法であって、前記血液処理フィルタ30Dは、互いに反対側の壁を構成する第1樹脂シート68と第2樹脂シート70とを有するハウジング52と、前記第1樹脂シート68と前記第2樹脂シート70との間に設けられ、積層された複数の濾材74が設けられてなり、前記ハウジング52内を血液流入室54と血液流出室56とに区画するフィルタ部材58と、前記血液流入室54と連通する流入ポート60と、前記血液流出室56と連通する流出ポート62と、前記フィルタ部材58の周縁部を覆う額縁状に成形され、内周部が前記複数の濾材74の外周端縁と結合した周縁成形体64aと、を備え、前記周縁成形体64aは、前記周縁成形体64aの外周部と前記内周部とを連通し且つ前記血液流入室54に臨む第1連通孔80と、前記周縁成形体64aの前記外周部と前記内周部とを連通し且つ前記血液流出室56に臨む第2連通孔82とを有し、前記第1連通孔80には前記流入ポート60が設けられ、前記第2連通孔82には前記流出ポート62が設けられており、前記血液処理方法は、前記第1連通孔80を介して前記血液流入室54に血液を流入させること、前記血液流入室54から前記フィルタ部材58を介して前記血液流出室56へと血液を移動させ、当該血液の移動に伴って複数の濾材74により所定の血液成分をトラップすること、前記第2連通孔82を介して前記血液流出室56から血液を流出させること、を含む。第3の血液処理方法は、後述する血液処理フィルタ30Eを用いた場合でも同様に実施することができる。なお、血液処理フィルタ30Eを用いる場合、上記第3の血液処理方法中、周縁成形体64aの代わりに、第1連通孔90及び第2連通孔92を有する周縁成形体64bが用いられることになる。
【0087】
図9に示す血液処理フィルタ30Eは、
図8に示した血液処理フィルタ30Dの変形例であり、周縁成形体64aに形成された第1連通孔90及び第2連通孔92の形状が、血液処理フィルタ30Dにおける第1連通孔80及び第2連通孔82の形状(直線状)と異なる。第1連通孔90及び第2連通孔92は、いずれも屈曲形状を有する。
図9では、第1連通孔90及び第2連通孔92は、いずれもクランク状に屈曲している。
【0088】
具体的に、第1連通孔90は、周縁成形体64aの壁厚方向(矢印A方向)に延びるとともに周縁成形体64aの外周部を貫通する第1外側路90aと、周縁成形体64aの壁厚方向に延びるとともに周縁成形体64aの外周部を貫通する第1内側路90bと、フィルタ部材58の厚さ方向に沿って延びるとともに第1外側路90aと第1内側路90bとを連通する第1中間路90cとにより構成されている。
【0089】
フィルタ部材58の厚さ方向において、第1外側路90aは、第1連通孔90が設けられた部分における周縁成形体64aの略中央に形成されている。一方、第1内側路90bは、周縁成形体64aの第1突出部84の突出端側に形成されている。従って、第1外側路90aと第1内側路90bとは、フィルタ部材58の厚さ方向にずれた位置に形成されている。
【0090】
第1内側路90bは、周縁成形体64aに形成された孔ではなく溝の形態を有する。周縁成形体64aに第1樹脂シート68が接合されることにより、第1内側路90bの一部が第1樹脂シート68により覆われている。これにより、流入ポート60から血液流入室54へと至る流路が構築されている。
【0091】
第2連通孔92は、周縁成形体64aの壁厚方向に延びるとともに周縁成形体64aの外周部を貫通する第2外側路92aと、周縁成形体64aの壁厚方向に延びるとともに周縁成形体64aの外周部を貫通する第2内側路92bと、フィルタ部材58の厚さ方向に沿って延びるとともに第2外側路92aと第2内側路92bとを連通する第2中間路92cとにより構成されている。
【0092】
フィルタ部材58の厚さ方向において、第2外側路92aは、第2連通孔92が設けられた部分における周縁成形体64aの略中央に形成されている。一方、第2内側路92bは、周縁成形体64aの第2突出部86の突出端部に形成されている。従って、第2外側路92aと第2内側路92bとは、フィルタ部材58の厚さ方向にずれた位置に形成されている。
【0093】
第2内側路92bは、周縁成形体64aに形成された孔ではなく溝の形態を有する。周縁成形体64aに第2樹脂シート70が接合されることにより、第2内側路92bの一部が第2樹脂シート70により覆われている。これにより、血液流出室56から流出ポート62へと至る流路が構築されている。
【0094】
上記のように構成された血液処理フィルタ30Eによれば、血液処理フィルタ30Aと同様に、広い濾材有効面積を確保することができるとともに、残血による血液回収率の低下を抑制することができる。
【0095】
特に、この血液処理フィルタ30Eによれば、第1連通孔90及び第2連通孔92は、屈曲形状を有しているため、周縁成形体64aの外周部側の開口部(第1外側路90a及び第2外側路92a)を任意の位置に設けることができる。
【0096】
また、第1連通孔90の第1内側路90bと、第2連通孔92の第2内側路92bは、第1突出部84及び第2突出部86の各突出端面に臨む溝形状である。このため、周縁成形体64aをインサート成形により成形する際に、可動方向が異なる複数のコアピンを用いることにより、屈曲した第1連通孔90及び第2連通孔92を容易に形成することができる。
【0097】
なお、血液処理フィルタ30Eにおいて、第1連通孔90及び第2連通孔92の一方のみが屈曲形状に形成されてもよい。この場合、第1連通孔90及び第2連通孔92の他方は、
図8に示した第1連通孔80及び第2連通孔82と同様に直線状に形成されてもよい。
【0098】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。