(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
識別モジュールを有し、該識別モジュールは、前記フィルターを通したプロファイルを処理して、その中の一つ以上のピークを識別するように構成されかつ作動可能であり、該一つ以上のピークは、所定条件を満たし、かつ、前記対象物に含まれる材料のXRFシグネチャーと関連付けられている、請求項1または2に記載のXRF装置。
データストレージを有し、該データストレージは、複数の対象物を示す情報と複数のXRFマーカーを示す標識データとを関連付ける関連データを記憶し、該複数のXRFマーカーはそれぞれ、前記複数の対象物をそれぞれ標識するために用いられる一つ以上の材料のXRFシグネチャーを示し、かつ、前記XRF装置は、識別モジュールを含み、該識別モジュールは、前記関連データを利用して、前記対象物を標識しかつ前記フィルターを通したプロファイル中に現れるXRFマーカーを関連付け、かつ、前記対象物について取得された前記XRFシグネチャーデータに基づいて前記対象物の対象物データを判定するように構成されている、請求項1−3のいずれか一項に記載のXRF装置。
手に持てる大きさのXRF検知装置として構成されたXRF装置であって;前記XRF装置が、通信モジュールを有し、該通信モジュールは、前記フィルターを通したプロファイルを示すデータを遠隔処理中央部に伝達し、かつ、それに応じて前記対象物を示す対象物データを前記処理中央部から取得するように構成されている、請求項1−5のいずれか 一項に記載のXRF装置。
ディスプレイと、ディスプレイ制御器とを有し、該ディスプレイ制御器は、前記対象物データを示す指標を提示するよう前記ディスプレイを作動させるように構成されている、 請求項6または7に記載のXRF装置。
位置ロケーターを有し、該位置ロケーターは、前記XRF装置の位置を識別するように構成されており、かつ、前記通信モジュールは、前記位置を示すデータを前記フィルターを通したプロファイルの前記データと一緒に前記処理中央部に伝達することが可能である、請求項6−9のいずれか一項に記載のXRF装置。
さらに光学式リーダーを有し、該光学式リーダーは、前記対象物と関連付けられた光学式コードを読み取るように構成されており、かつ、前記通信モジュールは、前記光学式コードを示すデータを前記フィルターを通したプロファイルの前記データと一緒に前記処理中央部に送達することが可能である、請求項6−10のいずれか一項に記載のXRF装置。
前記フィルターを通したプロファイルを演算することが、フィルターにかけられている前記複数の前記波長スペクトルプロファイルの平均プロファイルを計算することを有する、請求項13に記載のXRF装置。
前記フィルター処理モジュールが、時系列技術を前記波長スペクトルプロファイルに適用して前記トレンド成分および前記周期的成分を抑制し、かつ、改善されたSNRまたはSCRを持つ前記フィルターを通したプロファイルを取得するように適合されている、請求項1−14のいずれか一項に記載のXRF装置。
前記フィルター処理モジュールが、前記フィルターにかけることを実行するために所定の自己回帰(AR)モデルを利用するように適合されている、請求項15に記載のXRF装置。
前記フィルター処理モジュールが、前記検知されたXRF信号の前記部分をフィルターにかける際に、ボックス−ジェンキンス処理および季節性分解処理のうちの少なくとも一つを利用するように適合されている、請求項15−17のいずれか一項に記載のXRF装置。
前記放射線検知器が、XRFマーカー材料の検知を可能にし、前記XRFマーカー材料は、前記対象物を標識し、かつ、数100ppbのオーダーの濃度を持つ、請求項1−20のいずれか一項に記載のXRF装置。
前記放射線検知器が、マーカー材料の定量化を可能にし、該マーカー材料は、前記対象物を標識し、かつ、1ppmのオーダーの濃度を持つ、請求項1−21のいずれか一項に記載のXRF装置。
前記装置が記憶装置を有し、該記憶装置は、前記装置に特有の識別コードを有し、前記装置が、前記識別コードを前記通信モジュールを介して中央コンピューターに伝達するように構成されている、請求項1−22のいずれか一項に記載のXRF装置。
X線蛍光(XRF)装置であって、当該XRF装置は、処理器を有し、該処理器は、X線またはガンマ線放射線による対象物への照射に応じて前記対象物から到達し、かつ、放射線検知器により検知されるX線信号部分の波長スペクトルプロファイルを示すデータを取得し、かつ、前記対象物に含まれる材料のシグネチャーを識別するために前記波長スペクトルプロファイルを処理するように適合されており;
前記処理器は、前記波長スペクトルプロファイルをフィルターにかけてフィルターを通したプロファイルを取得するように構成されたフィルター処理モジュールを有し、
前記波長スペクトルプロファイルのトレンド成分および周期的成分は、前記放射線検知器により検知された前記X線信号部分におけるノイズおよびクラッターのうちの少なくとも一つと関連付けられており;
前記フィルター処理モジュールは、前記トレンド成分を抑制し、かつ、前記波長スペクトルプロファイルからの前記周期的成分を抑制するように適合されており、かつ、それにより、改善された信号対ノイズおよび/または信号対クラッター比を有する前記のフィルターを通したプロファイルを取得し、そこから前記対象物に含まれる材料のシグネチャーと関連付けられたスペクトルピークが改善された精度および信頼性をもって識別され得、前記フィルター処理モジュールは:
− 定常性フィルターを有し、該定常性フィルターは、波長スペクトルプロファイルに移動平均処理を適用することによって前記波長スペクトルプロファイルからのトレンド成分を抑制して、前記トレンド成分を示す定常性プロファイルを取得し、かつ、前記波長スペクトルプロファイルと前記定常性プロファイルとを区別して、前記の抑制されたトレンド成分を有する波長スぺクトルプロファイルを取得するように構成されており;かつ、
− 前記周期的成分を抑制するように作動する季節性フィルターを有する、前記XRF装置。
前記X線またはガンマ線放射線による前記対象物への照射に応じて前記対象物から放出されたX線信号を検知するための放射線検知器を有し、前記放射線検知器は、前記検知されたX線信号部分の前記波長スペクトルプロファイルを示すデータを提供する分光器検知と関連付けられている、請求項24に記載のXRF装置。
複数の時間枠の間に検知された前記X線信号の複数の時間枠部分において前記対象物から到達する前記X線信号の複数の部分と関連付けられた波長スペクトルプロファイルについて前記フィルターにかけることを実行することと、前記複数の時間枠においてそれぞれ取得された前記X線信号の前記複数の部分の前記フィルターにかけることにより取得された複数のフィルターを通したスペクトルプロファイルの平均を演算することにより前記フィルターを通したプロファイルを取得することとを有する、請求項26または27に記載の方法。
前記一つ以上のピークの前記波長および場合によっては大きさを利用して、前記対象物に含まれる材料のタイプおよび濃度を示す材料データを判定することと、前記材料データを利用して前記対象物を認証することとを有する、請求項26−28のいずれか一項に記載の方法。
前記所定条件を満たす前記一つ以上のピークが、前記対象物を標識するために前記対象物に含まれるX線蛍光(XRF)材料のXRF反応を示すピークを含む、請求項29に記載の方法。
前記スペクトル処理が、特定のX線帯で作動するX線分光器を利用して前記X線信号の前記部分を検知することにより実行される、請求項26−30のいずれか一項に記載の方法。
前記フィルターにかけることにより抑制される前記トレンドおよび周期的成分が、前記X線信号の前記検知された部分中に現れ、かつ、次の一つ以上を源とするクラッターおよびノイズのうちの少なくとも一つと関連付けられており:前記検知装置の器械的なノイズ、前記対象物の近傍にある一つ以上の異物、後方散乱ノイズ、および隣接するピークからの干渉信号;前記フィルターにかけることは、それにより改善された信号対ノイズ比(SNR)を提供する、請求項26−31のいずれか一項に記載の方法。
前記フィルターにかけることが、前記検知された信号部分の前記波長スペクトルプロファイルに時系列分析技術を適用して前記波長スペクトルプロファイルからの前記トレンドおよび周期的成分を抑制することにより実行される、請求項26−32のいずれか一項に記載の方法。
前記フィルターにかけることが、前記検知されたX線信号の前記部分にボックス−ジェンキンス処理および季節性分解処理のうちの少なくとも一つを適用することにより実行さ れる、請求項33−37のいずれか一項に記載の方法。
【発明の概要】
【0008】
一般記載
固形廃棄物は、多くの国で、ゴミ処理地といったそのような廃棄物の処理用に設計された施設で処理されなければならない。固形廃棄物は、道路、建物および他の人造の構造物の破壊または修復から生じる廃棄物である建設廃材を有しているかも知れない。建設廃材は、コンクリート、アスファルト、金属、木材、絶縁材、乾式壁、ガラス、プラスチックおよび他の関連する破片を有しているかも知れない。
【0009】
多くの国では、固形廃棄物の処理は、適切な処理施設に廃棄物を輸送するための輸送費および廃棄物を処理するために処理施設により徴収される処理費に由来する高額の費用に関連付けられている。私的な建設および地方自治体の建設に責任を負う契約者はしばしば、建設廃材を処理し、かつ、そのような処理の費用を負担する必要があるが、不徳な契約者は時々、処理費用を避けるために不法投棄場で廃棄物を処理する。不法投棄は、環境的にも美的にもマイナスの影響を与える。結果として、当局はしばしば、不法投棄を犯罪とし、かつ、固形廃棄物を不法に投棄しているところを見つかった違反者に高額の罰金を科す。通常、当局は、不法投棄中に「現行犯であること」が目撃された犯罪者のみ起訴することができる。執行官はしばしば、市民が廃棄物を不法に投棄する時および場所にいないので、不法投棄に関する法律の執行は困難である。投棄が禁じられている地域で発見された固形廃棄物と不法投棄の犯人とを関連付けることには、困難さが残る。
【0010】
したがって、本技術分野には、対象物/材料を標識するマーカーシグネチャーの、それらが配置される場所での(例えば、専門的な実験室に検査される対象物のサンプルを運ぶことなしに、野外での)現場検知を許容する方法で、固形廃棄物のような対象物/材料の標識および識別に用いるのに適する標識技術の必要性がある。
【0011】
しかしながら、従来のX線蛍光(XRF)標識技術によるXRFマーカーの信頼性が高く高精度である識別は、携帯可能なXRF検知/測定装置を利用することによる現場条件での現場のXRF信号の測定を試みる際にはしばしば利用可能ではないかも知れない、相対的に高い信号対ノイズ比(SNR)および/または相対的に高い信号対クラッター比(SCR)を有するXRF信号を取得することを必要とする。これは、いくつかの理由によるが、中でも:
− このXRF信号は二次的な蛍光信号(相対的に弱い)であるので、従来技術に用いるのに十分なSNR/SCRを有するXRF信号を取得するには高性能のX線/ガンマ線放射線放出器(radiation emitter)が必要とされるかも知れない一方で、そのような高性能のX線/ガンマ線放射線放出器は、野外での使用および/または適切な保護のない携帯装置との使用には利用できないかも知れず、および/または、適さないかも知れない;
− 現場で真空条件なしで作動する際、検査される対象物からのXRF信号は、それが検査される対象物と検知器との間の空気を通過すると顕著な減衰を被り、したがって、測定のSNRを損なうかも知れない;
− 検査される対象物および/またはその近傍にある対象物からの一次的な放射線の後方散乱ならびに隣接するピークからの干渉信号および/または検査される対象物の近傍に(例えば、ところに/上に)配置された汚染材料/対象物(例えば、他の異物/廃棄材料)からの不要なXRF反応は、顕著なクラッターを生成し、測定のSCRを劣化させるかも知れない;
− 携帯型のXRFシステムの大きさおよび重さの制限は、高精度のX線検知器/分光器の使用を制限するかも知れず、かつ、測定のSNRに影響するより高い内部ノイズ(例えば、検知装置の電子的なノイズ/器械的なノイズ)および/または低いスペクトル分解能に関連する相対的に小さく軽いX線検知器/分光器の使用を許容するかも知れない;
したがって、上記の理由のいくつかまたは全部のために、および、場合によっては他の理由のために、信頼性が高く高精度にXRF標識を読み取るための現行の技術は、典型的には制御された環境(実験室および/または他の適切な施設/システム)で実行される。
【0012】
本発明は、精度および信頼性が改善された、対象物(例えば固体材料だが、それだけではない)のXRF標識を読み取るための新規な技術を提供する。本発明の技術は、制御されていない環境(例えば、検査される対象物が発見/配置された現場)で対象物のXRF標識を読み取るための手に持てる大きさの/携帯型のXRFリーダーの使用を容易にする。より詳細には、本発明の特定の実施形態は、たとえ制御されていない環境で作動されてもよい手に持てる大きさの/携帯型のXRFリーダーから取得される劣化したSNRおよび/またはSCRの相対的にノイズの多い信号からであっても、検査される対象物の正確なXRFシグネチャー(すなわち、以下では指紋(fingerprint)とも示される)を抽出することを許容するXRF信号処理器およびXRF信号処理方法を提供する。
【0013】
本発明のXRF信号処理技術の特定の態様は、ノイズの多いXRF信号に現れるノイズおよびクラッターの多くが、信号の波長スペクトルプロファイルに現れるトレンド(trend;傾向)および/または周期的成分の形態で現れ、かつ、そのような成分の除去のための適切なフィルター処理(filtration)の適用がフィルターを通したスペクトルプロファイルを産出してもよく、そこではXRFシグネチャーが顕著により高いSNR/SCRを有して現れるという本発明者らの理解に基づく。このため、本発明の特定の実施形態は、XRF信号のスペクトルプロファイルをフィルターにかけるために自己回帰(AR)および移動平均(MA)技術のような時系列処理方法を利用する、新規なXRF信号処理器およびXRF信号処理方法を提供する。以下の説明から把握されるように、本発明はまた、XRF信号をフィルターにかけるために特別に設計された自己回帰統合移動平均(ARIMA)モデルのような特定のARモデルおよび/またはMAモデルを提供する。また、特定の実施形態は、XRF信号の波長スペクトルをフィルターにかけるために自己回帰モデルおよび/または移動平均モデルを適用するためのボックス−ジェンキンスおよび/または季節性分解アプローチに基づく方法を提供する。実際、ARIMAのようなARおよびMAモデルは、ボックス−ジェンキンスおよび季節性分解と同様に、概して、典型的には時間区間にわたってなされた連続的な測定値からなる時系列データを分析するために従来用いられている時系列分析統計技術である。しかしながら、驚くべきことに、本発明の発明者らは、XRFの波長スペクトルのフィルター処理へのこれらの技術の適用(例えば、試行錯誤を介してしばしば到達される適切な調節を用いて)がすべて、XRF信号からのノイズおよび/またはクラッターをフィルターにかけて取り除くことにおいて包括的な結果を提供することを見出した。
【0014】
ここおよび以下では、成句「制御されていない環境」が、XRF信号が真空条件なしで周囲媒質/空気を通って検知器まで伝播し、かつ、検査される材料の近く/上に存在するかも知れない汚染対象物/材料が検査前に必ずしも取り除かれない野外のようなあらゆる環境として理解されるべきであることは注目されるべきである。XRF装置の文脈で本明細書で用いられる時、用語「手に持てる大きさの」および「携帯型の」が、個人により持ち運ばれるように構成され得、かつ、XRF読み取りを実行するために現場で作動可能である装置を示すこともまた注目されるべきである。
【0015】
したがって、特定の実施形態では、本発明のXRF信号処理器および/またはXRF信号処理方法は、ノイズの多いXRF信号からXRFシグネチャーを高精度で抽出するのに用いられる。上述のとおり、本発明の処理方法/システムは、手に持てる大きさの/携帯型のXRFリーダーにより取得されるXRF信号を処理するのに用いられてもよい。したがって、本発明の特定の態様は、本発明のXRF信号処理器および/またはXRF信号処理方法を組み込んだ、新規なXRF装置に関する。本発明の特定の実施形態はまた、新規な手に持てる大きさの/携帯型のXRF装置を提供し、該XRF装置は、本発明のXRF信号処理器を含むように、および/または、本発明のXRF信号処理器(例えば、場合によっては処理中央部に存在する)と通信するように構成され、かつ、手に持てる大きさの/携帯型のXRF装置により読み取られたXRF信号のスペクトルをフィルターにかけ、かつ、そこからXRFシグネチャーを抽出するためにXRF信号処理器を作動させるように適合されている。
【0016】
本発明の技術は、制御されていない環境(例えば、検査される対象物が発見/配置された現場)で対象物のXRF標識を読み取るための手に持てる大きさの/携帯型のXRFリーダーの使用を容易にする。より詳細には、本発明の特定の実施形態は、制御されていない環境で作動されてもよい手に持てる大きさの/携帯型のXRFリーダーから取得される劣化したSNRおよび/またはSCRの相対的にノイズの多い信号からでさえ、検査される対象物の正確なXRFシグネチャー(すなわち、以下では指紋とも示される)を許容する新たな解決策を提供する。
【0017】
したがって、本発明の広い態様によれば、XRF標識で標識された対象物を認証する方法が提供される。当該方法は:(i)波長スペクトルプロファイルからのトレンドおよび周期的成分を抑制するために対象物にあてられたX線またはガンマ線放射線に反応して対象物から到達するX線信号の検知された部分の波長スペクトルプロファイルをフィルターにかけ、それによりフィルターを通したプロファイルを取得することと;(ii)所定の条件を満たすフィルターを通したプロファイルにおける一つ以上のピークを識別し、それにより対象物に含まれる材料のシグネチャーを識別するのに一つ以上のピークの波長を利用することを可能にすることとを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、本発明の方法はまた、X線またはガンマ線放射線で対象物に照射することと;対象物にあてられた放射線に反応して対象物から到達するX線信号の部分を検知することと;検知されたX線信号にスペクトル処理を適用し、特定のX線帯内のその波長スペクトルプロファイルを示すデータを取得することとを含む。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、フィルタリングは、複数の時間枠(タイムフレーム)中に検知されるX線信号の複数の時間枠部分において対象物から到達するX線信号の複数の部分に関連する波長スペクトルプロファイルについて実行される。その後、フィルターを通したプロファイルを取得することは、複数の時間枠について取得されるX線信号の複数の部分のフィルタリングにより取得される複数のフィルターを通したスペクトルプロファイルの平均を計算することにより達成される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、一つ以上のピークの波長および場合よっては大きさ(magnitude)もまた、対象物に含まれる材料のタイプおよび場合によっては濃度もまた示す材料データを判定するのに用いられる。材料データは、その後、対象物を認証するのに用いられる。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、フィルタリングは、波長スペクトルプロファイルからの前記トレンドおよび周期的成分を抑制するために、検知された信号部分の波長スペクトルプロファイルに時系列分析技術を適用することにより実行される。フィルタリングにより抑制されるトレンドおよび周期的成分は、X線信号の検知された部分に現れ、かつ、次の一つ以上を発生源とする少なくとも一つのクラッターおよびノイズに関連する:検知装置の器械的なノイズ、対象物の近傍にある一つ以上の異物、後方散乱ノイズ、および隣接するピークからの干渉信号;前記フィルタリングは、それにより改善された信号対ノイズ比(SNR)を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態では、フィルタリングは、XRF信号のスペクトルをフィルターにかけるための所定の自己回帰(AR)モデルを提供することを含む。例えば、所定の自己回帰(AR)モデルは、自己回帰統合移動平均(ARIMA)モデルであってもよい。ARIMAモデルの自己回帰および移動平均オーダーは、それぞれp=5およびq=12であってもよい。代替的または追加的には、ARIMAモデルの自己回帰重量は、波長スペクトルプロファイルの自己相関機能に基づいて判定されてもよい。
【0023】
また、いくつかの実施形態では、フィルタリングは、検知されたX線信号の前記部分へのボックス−ジェンキンス処理および季節性分解処理のうちの少なくとも一つを適用することにより実行される。例えば、フィルタリングは、周期的成分を抑制するために適用される季節性フィルター処理および/またはトレンド成分を抑制するために適用される定常性フィルター処理を含んでいてもよい。
【0024】
本発明の別の広い態様によれば、X線蛍光(XRF)装置が提供され、該X線蛍光装置は、対象物からX線またはガンマ線放射線による前記対象物への照射に反応して到達するX線信号部分の波長スペクトルプロファイルを示し、かつ、放射線検知器により検知されるデータを取得し、かつ、対象物に含まれる材料のシグネチャーを識別するために波長スペクトルプロファイルを処理するように適合された処理器を有する。当該処理器は、波長スペクトルプロファイルからのトレンド成分および周期的成分を抑制するために前記波長スペクトルプロファイルをフィルターにかけるように適合されたフィルター処理モジュールを含み、トレンド成分および周期的成分は、前記放射線検知器により検知されるX線信号部分におけるノイズおよびクラッターのうちの少なくとも一つに関連する。当該処理器はそれにより、改善された信号対ノイズ比および/または信号対クラッター比を有するフィルターを通したプロファイルを取得することを提供し、そこから、対象物に含まれる材料のシグネチャーに関連するスペクトルピークが改善された精度および信頼性をもって識別され得る。
【0025】
本発明の実施形態はまた、好ましくはX線蛍光(XRF)を用いて識別され得るマーカー(単数)またはマーカー(複数)を用いて材料を標識する方法を提供する。マーカーは、特定の検知可能な量で材料に対して容易に適用され得る。任意的には、マーカーは、XRFを用いて検知可能な原子を有するマーカー化合物を有する組成物を有する。マーカーは、独特のXRFシグネチャー(「指紋」)を提供するようにコードされてもよく、該独特のXRFシグネチャーは、標識された材料と適切な製造者、バッチ番号、製造日、製造場所、通し番号、顧客データ、仕出し港、仕向け港ならびに供給網および/または製品に関連する他のデータとを関連付けるデータベースの形成を可能にする。標識は、外部から見えなくてもよく、かつ、XRF検知器を用いて、好ましくは手に持てる大きさの/携帯型の検知器により検知されてもよい。検知器は、材料の認証の指示を提供するために、サーバと通信するように構成されていてもよい。
【0026】
本発明の実施形態は、固形廃棄材料のような廃棄材料または場合によっては処理を必要とするであろう材料を標識するための方法を提供する。廃棄材料を標識することは、XRFを用いて識別され得るマーカーを用いて実行されてもよい。マーカーは、廃棄材料に対して地方自治体のような関係当事者により材料の処理前に容易に適用され得、かつ、廃棄材料が投棄された後、廃棄材料に付着したままであるか、または、廃棄材料により吸収されたままであり得る。マーカーは、独特の「指紋」を提供するようコードされてもよく、該独特の「指紋」は、当局が標識された廃棄材料または潜在的廃棄材料と廃棄物の適切な処理に責任を負う実体(人々または組織)とを関連付けるデータベースを形成することを可能にする。
【0027】
不法に処理された廃棄物を発見すると、当局またはその代理人は、マーカーの存在を確認するために廃棄物をスキャンし得る。マーカーの識別の際、マーカーは、廃棄物の適切な処理に責任を負う実体の身元と関連していてもよい。
【0028】
本発明の実施形態によれば、固形廃棄材料を標識するための方法が提供され、該方法は、X線蛍光を用いて識別され得る材料を取得することを有し、材料と液体キャリアーとを混ぜて標識組成物を形成することを有し、かつ、固形廃棄材料と標識組成物とを接触させることを有する。
【0029】
本発明のさらなる実施形態は、固形廃棄物のような材料/対象物の処理に責任を負う実体を識別するための方法を提供する。当該方法は、場合によっては処理を必要とするであろう材料/対象物(例えば、固形材料)を標識するために用いられるXRFマーカーの独特のXRFシグネチャーを示すデータを提供すること;材料/対象物/固形廃棄物の処理に責任を負う実体とそれらを標識するために用いられる一つのマーカーまたは複数のマーカーのXRFシグネチャーとを関連付ける関連データを提供すること(例えば、関連データはデータベースに記憶されてもよい);一つのXRFマーカーまたは複数のXRFマーカーの存在を確認するために固形廃棄材料のサンプル/部分の試験を示す測定データを受信すること;一つのXRFマーカーまたは複数のXRFマーカーのXRFシグネチャーを識別するために測定データを処理すること;および、固形廃棄材料の処理に責任を負う実体を識別するために関連データを用いること(例えば、それが記憶されているデータベースに問い合わせることにより)を有する。
【0030】
議論中、逆の言及のない限り、発明の実施形態の特徴(単数)もしくは特徴(複数)の条件または関連性の特徴を修飾する「実質的に」および「約」のような形容詞は、条件または特徴が、それが意図される適用についての実施形態の作動にとって受け入れられ得る許容範囲を規定することを意味すると理解される。逆のことが示されない限り、明細書および特許請求の範囲における単語「または」は、排他的な「または」というよりはむしろ包含的な「または」であると考えられ、かつ、それが結合する事項の「少なくとも一つ」または「あらゆる組み合わせ」を示す。
【0031】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される概念の抜粋を観客化された形式で紹介するために提供される。この概要は、請求される主題の主要な特徴または必要不可欠な特徴を特定することを意図するものではなく、請求される主題の範囲を限定するために用いられることを意図するものでもない。
【発明を実施するための形態】
【0035】
実施形態の詳細な説明
以下の詳細な説明では、固形廃棄物のような対象物/材料を標識かつ識別するための新規な方法が、詳細に説明されるであろう。
【0036】
ここで、本発明の特定の実施形態によるXRF標識を読み取るための方法100についての方法100を描いたフローチャートを示す
図1Aを参照する。方法100は、検査の対象である対象物のXRF標識を読み取るための新規な技術を提供し、該新規な技術は、対象物のXRF標識に基づいて対象物と関連する特定の特性の識別および/または認証および/または判定を許容する。方法100は、ノイズの多いXRF信号からの改善されたSNRおよび改善されたSCRを有するXRFシグネチャーの抽出を許容し、それにより移動可能な(携帯型の/手に持てる大きさの)装置を介する対象物および/または材料の現場での検査を容易にする。方法100は、波長スペクトルプロファイルからのトレンド成分および/または周期的成分、好ましくは両方を除去/抑制するために統計的時系列技術を利用することにより、かつ、フィルターを通した信号から対象物のXRFシグネチャーを識別することにより、対象物にあてられるX線および/またはガンマ線放射線に反応して取得/検知されるXRF信号の波長スペクトルプロファイルをフィルターにかけるための作動120、130および150を少なくとも含む。
【0037】
方法100の任意の作動105は、X線またはガンマ線放射線により検査される対象物に照射して、対象物からのXRF反応を刺激することを含む。X線/ガンマ線放射線で対象物に照射するために、種々の技術が作動105において用いられてもよく、かつ、本発明の方法の様々な実装において変化してもよいことは、理解されるべきである。当業者は、XRF標識の読み取りが様々な実装において必要とされる要件および条件を考慮して、使用可能に用いられる放射線の波長帯および/または強度と同様、放射線放出器のタイプも容易に把握するであろう。例えば、用いられる放射線放出器は、XRF−標識の一部を形成する原子/要素の「エネルギー」より高いエネルギーを有するX線放射線を放出するために作動可能であるべきであり、したがって識別される必要がある。任意的には、作動105は、X線またはガンマ線で検査される対象物に照射する前の予防対策/安全対策の適用を含む。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、XRF装置は、検査される対象物のサンプル/部分が放出器に隣接して配置されなければ(例えば、放射線の伝播路を妨げる)、放射線源/放射線放出器の駆動を妨げる近接センサー/触覚センサーを含む。
【0038】
方法100の任意的な作動110は、対象物からそれにあてられるX線またはガンマ線放射線に反応して到達するXRF信号の少なくとも部分を検知し、かつ、スペクトル的に処理することを含む。XRF信号は例えば、所望のX線帯において作動可能な検知器および/または分光器により検知されてもよい。XRF信号の検知された部分は、その波長スペクトルプロファイルを判定するために、多チャネル分析器のような適切なスペクトル処理技術を利用することにより処理される。
【0039】
作動105および110が任意的な作動であり、本発明の方法100を実装するすべてのシステム/装置において必ず実行されるものではないことは、注目されるべきである。例えば、中央XRF信号処理システムとして実装されるいくつかのシステムは、検査される対象物に照射する作動および/またはXRF反応を検知する作動を実装する外部XRF測定ユニット/モジュールから検知された信号部分のスペクトルプロファイルを示すデータを受信するように適合されていてもよい。また、本発明により構成される移動可能なXRFリーダーは、分離した放射線源モジュールにより検査される対象物にあてられるX/ガンマ線放射線に応じて到達するXRF信号を検知するように構成されていてもよく、したがって、そのような移動可能なXRFリーダーは、対象物に照射する作動105を実装しないかも知れない。
【0040】
このため、作動120では、検知されたXRF信号の少なくとも部分の波長スペクトルプロファイルを示すデータは、それがスペクトル的に分析された後、その中のXRFシグネチャーを識別するために、本発明の技術による処理のために提供される。
【0041】
作動130は、波長スペクトルプロファイルをフィルターにかけて、その中に現れるトレンドおよび/または周期的成分を抑制し、かつ、フィルターを通したプロファイルを取得することを含む。本発明の利点は、方法100のこの作動および次の作動に関連して以下で説明され、かつ、
図2A−2Hを参照して下記で詳細に例証される、XRFスペクトルプロファイルをフィルターにかけるための新規なフィルタリング技術に関する。本発明によれば、検知されたXRF信号におけるノイズおよびクラッターの有効部分は、XRF信号の波長スペクトルプロファイル内で識別可能な特質を有して分配される。特に、ノイズおよびクラッターの有効部分は、トレンドおよび/または周期的成分の形態で現れ、波長スペクトルプロファイルからのそれらを検知かつ抑制することを可能にする特質的特徴を有する。
【0042】
これは例えば、XRF信号の波長プロファイルの様々な成分の概略的なスペクトルグラフ(波長の関数としての任意単位の強度)を示す
図1Bにおいて示される:
G1は、検知器から取得されるXRF信号の波長スペクトルプロファイルの部分を示すグラフである。ここで示されるように、XRF信号の強度は、任意単位で50と100との間で釣り合いを取って変動する。
G2は、特定の周期性を有する波長スペクトルプロファイルの周期的成分を示すグラフである。この周期的成分は例えば、電子的なノイズおよび/または後方散乱のようなノイズ/クラッターと関連付けられてもよい。このグラフに示される周期的成分の強度の大きさが、上記のグラフにおけるものと同一の任意単位で−10と10との間で変動することは、注目される。
G3は、上昇/下降に対するXRF信号の強度の傾向を波長の関数として示す波長スペクトルプロファイルのトレンド成分を示すグラフである。このトレンド成分は例えば、ノイズ/クラッターと関連付けられてもよい。トレンド成分の強度が、本実施例では上述のグラフにおけるものと同一の任意単位で50から95までほぼ単調に上昇することは、注目される。
G4は、G1に示されるXRF信号の波長スペクトルプロファイルからのG2およびG3に示される周期的およびトレンド成分を抑制するために作動130を適用することにより取得可能なフィルターを通したプロファイルを示すグラフである。ここで示されるように、波長スペクトルプロファイル(G1)からトレンド成分(G3)および周期的成分(G2)を減じること/区別することは、XRFシグネチャーのスペクトル線がより明確に現れ、かつ、ノイズに関連付けられるトレンドおよび周期的成分によって不明瞭であることがないか、または不明瞭であることが少ない、フィルターを通したスペクトルプロファイルを提供する。本実施例におけるXRFシグネチャーのスペクトル線の強度が、0と4(上記で用いられたものと同一の任意単位で)との間の尺度であり、したがって、本実施例ではトレンド成分からより低い大きさのオーダーであり、また周期的成分からより一層低いことは、注目されるべきである。
【0043】
上記に鑑みれば、G1のXRF信号におけるXRFシグネチャーが、周期的およびトレンド成分G3およびG2(ほとんどがノイズ/クラッターを有する)によって完全に不明瞭であることは、明らかである。したがって、これらの成分を抑制することなしにそのようなXRF信号からXRFシグネチャーを読み取ることができるためには、より高い強度のX線/ガンマ線放出器、より精度が高くよりノイズの少ない検知器を用いること、および/または、低減されたクラッターを提供するよりノイズの少ない条件で測定を実行することが必要である。本発明の技術は、XRF信号からトレンドおよび周期的成分を除去することにより、これらの問題を解決するために提供される。さらにより具体的には、以下でより詳細に説明されるように、本発明はまた、時系列統計分析の分野からアイデアを借り、かつ、時系列に従来用いられている統計技術を利用することにより周期的またはトレンド成分を除去するために、これらのノイズ成分を識別かつフィルターにかける新規な技術を提供する。例えば、本発明の特定の実施形態では、作動130において、自己回帰モデルおよび/または移動平均モデル(例えば、ARIMA)のような所定のモデルが、XRF信号の波長スペクトルプロファイルの周期的および/またはトレンド成分を識別/フィルターにかけるために提供され、かつ用いられる。
【0044】
上記に示されるとおり、ARIMAモデル(一般的に、ARIMA(p、d、q)と呼ばれ、パラメーターp、dおよびqはそれぞれ、モデルの自己回帰、統合および移動平均部分のオーダーを示す自然数である)は、データをよりよく理解するために、または時系列における将来の位置を予測するために時系列の統計処理において従来用いられている。本明細書では、ARIMAモデルは、XRF信号の波長スペクトルを処理するために用いられ、かつ、モデルのパラメーターp、dおよびqは、XRF信号からトレンドおよび/または周期的成分をフィルターにかけて取り除くために選択される。本発明のいくつかの実施形態では、モデルのパラメーターp、dおよびqは、XRF信号の波長スペクトルプロファイルのフィルター処理のために特に選択/判定される。パラメーターは、判定されてもよく(例えば、例えば試行錯誤および/またはコンピューターシミュレーションにより前もって判定されている)、それらがXRF信号の周期的および/またはトレンド(ノイズ/クラッター)スペクトル成分の抽出/フィルター処理に適合するようになっている。また、本発明の特定の実施形態では、作動130において、ボックス−ジェンキンスおよび/もしくは季節性分解法のような時系列方法ならびに/またはそれらの方法の変形が、信号からの周期的および/またはトレンドスペクトル成分を抑制するためにXRF信号をフィルターをかけるのに用いられる。例えば、ボックス−ジェンキンスおよび/または季節性分解法は、選択されたARIMAモデルに基づいてXRF信号の波長スペクトルを処理するために適用されてもよく、それによりXRFシグネチャーがそこから抽出され得るXRF信号のフィルターを通したスペクトルプロファイルを取得する。
図1Cは、方法100によりフィルターにかけられる前と後の実際のXRF信号のグラフA1およびA2をそれぞれ描いている。方法100の実装の実施例は、
図2Aのフローチャートを参照して詳細に説明される。
【0045】
この点に関して、XRF信号におけるノイズおよびクラッターがXRF信号の波長スペクトルにおいて周期的および/またはトレンド成分の形態で表現されるという事実が驚くべきものであり、かつ、当業者にとって自明でないことは、注目されるべきである。したがって、スペクトルからトレンド成分(本明細書では、非定常性とも呼ばれる)および/もしくは周期的成分(本明細書では、定常性成分とも呼ばれる)を識別ならびに/またはフィルターにかけるための時系列技術の使用もまた、当業者にとって自明ではない。
【0046】
時系列統計分析分野において、時系列のトレンドおよび周期的成分がそれぞれ、しばしば非定常性および季節性成分と呼ばれ、したがって、これらの用語がまた、本明細書において交換可能に用いられ、たとえスペクトルのこれらのトレンドおよび周期的成分が時間の尺度ではなく波長の尺度に関してトレンドおよび/または周期性を提示するものであっても、スペクトルのトレンドおよび周期的成分をそれぞれ示すことは、注目される。
【0047】
任意的には、いくつかの実施形態では、次に説明される作動150で続いて取得されるXRFシグネチャーの精度および信頼性をさらに改善するために、作動140が実行される。任意の作動140は、複数の時間枠において対象物から到達する複数のX線信号部分の波長スペクトルプロファイルをフィルターにかけるために、上述の作動120−130の繰り返しを含む。XRF信号の最終的なフィルターを通したプロファイルはその後、それぞれの複数の時間枠の波長スペクトルをフィルターにかけることにより作動130において取得されるフィルターを通したプロファイルを統合する(例えば、合計する/平均化する)ことにより算定される。この方法では、最終的なフィルターを通したプロファイルにおけるSCR/SNRは、単一の時間枠のフィルターを通したプロファイルと比べてさらに改善され、それにより、改善された信頼性および精度を有するXRFシグネチャーを取得することを可能にする。
【0048】
作動150では、対象物のXRFシグネチャーを示すデータが、作動130または任意の作動140において取得されたフィルターを通したプロファイル(例えば、最終的なフィルターを通したプロファイル)から取得される。作動150は、所定の条件を満たすフィルターを通したプロファイルにおけるピークを識別することおよびそれらのピークを利用して検査される対象物のXRFシグネチャーを判定することを含む。
【0049】
例えば、本発明のいくつかの実施形態では、所定の条件は、ピークを識別することを含み、該ピークの最大強度および/またはスロップ(slop)は、特定の所定の閾値を超える。この場合、150では、強度/スロップが閾値より低いピークは無視され、かつ、高さ/スロップが閾値より上である残りの波長および場合によっては残りのピークの強度もまた、XRFシグネチャーを示すデータを提供するために用いられる。
【0050】
代替的または追加的には、特定の実施形態では、所定の条件は、対象物のXRF標識の部分として考えられる基準材料の所定の設定のXRFスペクトル反応に基づく。一つ以上の異なる基準材料の基準スペクトル反応を示す早見表(LUT)のような基準データが、記憶装置に記憶されてもよい。例えば、各基準材料について、基準データは、概して材料のスペクトルXRF反応に含まれる一つ以上のスペクトルピークの波長を含んでいてもよく、かつ、場合によっては、それらのピークの相対的な高さ(基準データにおける高さもまた、特定の尺度に(例えば、基準材料の特定の濃度に)正規化されてもよい。そのような実施形態では、作動150は、基準データに基づいてフィルターを通したプロファイルを処理して、基準材料の基準スペクトル反応とフィルターを通したプロファイルとの相関の程度を示す相関値を判定することを含む。相関値は、検査される対象物のXRFシグネチャーを示すデータを判定するために役立つおよび/または用いられるかも知れず、かつ、検査される対象物における基準材料の濃度を実際に示すかも知れない。
【0051】
一つ以上のピークの波長および大きさは、対象物に含まれるXRF標識材料のタイプおよび/または濃度を示すXRFシグネチャーデータを判定するために150において用いられる。XRF標識材料のタイプおよび/または濃度(すなわち、XRFシグネチャーデータ)は、対象物を識別および/または認証するために、さらに用いられ得る。
【0052】
このため、対象物は、X線蛍光を用いて検知可能なXRF標識化合物(以下、XRFマーカーおよび/またはマーカー化合物および/または
マーカーとも呼ばれる)により標識されていてもよい。任意的には、マーカー化合物は、少なくとも一つの水素原子がX線蛍光分析器(XRF)により検知され得る要素により置換されている、置換されたアルカンであってもよい。結果として生じる化合物は、一般式CnH2n+2−mXmを有していてもよく、n=1、2、3...であり、かつ、m=1、2、3...である。「X」は、X線蛍光分析器(XRF)により検知され得るあらゆる要素である。例えば、Xは、炭素原子と一つの共有結合を形成するリチウム(Li)、アルカリ金属であってもよい。
【0053】
別の実施例によれば、マーカーは、一般式CnH2n+2−mXmを有し、n=1、2、3...であり、m=1、2、3...であるハロゲン化アルキルのようなハロゲン化合物であり得る。「X」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)のようなハロゲンである。そのようなハロゲン化アルキルの実施例は、分子式C2H2Br4を有する4臭化エタンである。マーカーはまた、C6H6−mXmを有し、m=1、2、3、4、5または6であり、かつ、「X」がフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)のようなハロゲンであるハロゲン化アリルであってもよい。
【0054】
任意的には、マーカー化合物は、1,1,2,2 テトラクロロエタン(すなわち、C2H2Cl4)、1,1,2 トリクロロエタン(すなわち、C2H3Cl3)、ペンタクロロエタン(すなわち、C2HCl5)、ヘキサクロロエタン(すなわち、C2Cl6)、1,2,4 トリクロロベンゼン(C6H3Cl3)、1,2,4,5 テトラクロロベンゼン(C6H2Cl4)、ヨウ化エチル(すなわち、C2H5I)、臭化エチル(すなわち、C2H5Br)、ジクロロ 1,2 ジブロモエタン(すなわち、C2H2Cl2Br2)、ジクロロトリブロモエタン(すなわち、C2HCl2Br3)、ジフルオロ−1−クロロエタン(すなわち、C2H3F2Cl)、ジフルオロ 1,2 ジブロモエタン(すなわち、C2H2F2Br2)、トリフルオロ 1,2,2 ジブロモエタン(すなわち、C2HF3Br2)、トリブロモプロパン(すなわち、C3H5Br3)、ジブロモベンゼン(すなわち、C6H4Br2)、ジブロモエタン(すなわち、C2H4Br4)、n−プロピルブロミド(すなわち、C3H7Br)、パラブロモフルオロベンゼン(C6H4FBr)、臭化ブチル(すなわち、C4H9Br)および臭化オクチル(すなわち、C8H17Br)からなる群より選択されるハロゲン化アルキルまたはアリルであってもよい。
【0055】
別の実施例によれば、マーカーは、有機金属系であるか、または少なくとも一つの金属要素もしくは少なくとも一つのハロゲンがアルケン(オレフィン)の少なくとも一つの炭素原子と結合しており、一般式CnH2n−mXmを有し、n=1、2、3...であり、m=1、2、3...であるハロゲン化合物であり得る。「X」は、アルカリ金属かハロゲンのいずれかである。そのような化合物の実施例は、分子式C2H3Brを有するブロモエチレンである。
【0056】
さらなる実施例によれば、マーカーは、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などが炭素原子を置換する上述の化合物のうちのいずれかであり得る。例えば、ジエチルシラン(すなわち、C4H12Si)は、そのような化合物である。シリコンがX線蛍光分析器により検知可能であって、かつ、水素原子についての置換基が必要ないことは、注目されるであろう。したがって、シリコン、ゲルマニウムまたは他の要素がX線蛍光分析器により検知可能な標識要素として役立つならば、「X」要素は化合物中に現れる必要がない。アルカンについては、化合物の一般式がCn−mH2n+2Ymであり、n=1、2、3...であり、m=1、2、3であり、m<nであり、かつ、「Y」がシリコン、ゲルマニウムまたは他の要素を示す。アルケン(オレフィン)については、化合物の一般式がCn−mH2nYmであり、n=1、2、3...であり、m=1、2、3であり、かつ、「Y」がシリコン、ゲルマニウムまたは他の要素を示す。
【0057】
本発明の実施形態によれば、マーカーは、リチウムに匹敵するか、またはそれより高い原子数を持つ原子を有する塩を有する。本発明の実施形態によれば、マーカーは、マグネシウムに匹敵するか、またはそれより高い原子数を持つ原子を有する塩を有する。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、XRFマーカーにより対象物を標識するために使用可能な検知可能な組成物は、XRFマーカー化合物とキャリアーとを混ぜることにより形成される。検知可能な組成物は、液状であってもよい。好ましくは、組成物は、標識される材料への組成物の付着を補助する剤または標識される材料中への組成物の吸収を補助する剤を有する。剤は、本発明の実施形態によれば、結合剤であってもよい。結合剤は、アルキド、アクリル、ビニルアクリル、酢酸ビニル/エチレン(VAE)、ポリウレタン、ポリエステル、メラミン樹脂、エポキシまたは油のうちの一つまたは組み合わせを有していてもよい。検知可能な組成物は、顔料および/または溶剤をさらに有していてもよい。例えば、検知可能な組成物は、塗料、接着剤またはエポキシの形状であってもよい。
【0059】
このため、150において用いられる基準データは、対象物を標識かつ識別するために本発明の技術により用いられる種々の検知可能な組成物および/またはマーカーを示すデータを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の技術は、約10億分の100(ppb)と100万分の100(ppm)との間の範囲の濃度で対象物内に存在するXRFマーカーの検知を可能にする。
【0060】
図2Aは、本発明の特定の実施形態によるXRF信号を処理するための方法200を詳細に示すフローチャートである。当該方法は、作動220、230および任意の作動240を含み;作動220では、検知されたXRF信号の少なくとも部分の波長スペクトルプロファイルを示すデータ/信号が提供され、230では、検知されたXRF信号の部分の波長スペクトルプロファイルが、トレンドおよび周期的成分を抑制するためにフィルターにかけられ、かつ、任意の作動240は、複数の時間枠において対象物から到達する複数のX線信号部分の波長スペクトルプロファイルをフィルターにかけるための作動220および230の繰り返しおよび統合(例えば、改善されたSNRおよび/または改善されたSCRを有する最終的なフィルターを通したプロファイルを取得するためにこの方法で取得された複数のフィルターを通したスペクトルプロファイルの平均化)を含む。作動220および240は、上述の作動120および140に概して類似し、したがって以下でより詳細に説明される必要がない。方法200の作動230は、上述の方法100の作動130の実装の具体的な実施例である。
【0061】
作動230は、220で提供される波長スペクトルプロファイルをフィルターにかけるための自己回帰(AR)モデルを提供するためのサブ作動232を含む。232.1において示されるように、任意的には、用いられるモデルはARIMAモデルである。モデルのパラメーターは、XRF信号をフィルターにかけるために取得される。パラメーターは、XRF信号(例えば、記憶装置に記憶されている)のフィルター処理に適合するように先に判定された所定のパラメーターであってもよく、かつ/または、任意的には、232.2において、特定のパラメーターは、フィルターにかけられる波長スペクトルプロファイルに基づいて判定されてもよい。例えば、自己回帰パラメーターpは、波長スペクトルプロファイルの自己相関関数を計算し、かつ、自己相関関数における極値(例えば、最大値)の位置を識別することにより判定されてもよい(例えば、リアルタイムで動的に判定される)。
【0062】
例えば、いくつかの実施形態では、ARIMAモデルの自己回帰P、統合dおよび移動平均qパラメーター/オーダーは、次のように設定される:p=5であり、かつ、q=12である。特定の実施形態では、繰り返される一連の重量から選択される連続する移動平均(MA)重量qが、ARIMAモデルのMA部分について用いられる。本発明の発明者らは、このMA重量の設定を用いることが、XRF波長スペクトルをフィルターにかける際に良好な結果を提供することがあることに気付いた。
【0063】
作動230は、ボックス−ジェンキンスおよび季節性分解処理技術のXRF信号のフィルター処理への適合である時系列処理技術を利用することにより波長スペクトルプロファイルがAR(例えば、ARIMA)モデルに基づいてフィルターにかけられるサブ作動234を含む。
【0064】
例えば、任意のサブ作動234.1では、波長スペクトルプロファイルからの周期的成分を抑制するために、季節性フィルター処理が適用される。この実施例では、季節性フィルター処理は、以下を含んでいてもよい:
a.− 波長スペクトルプロファイルに移動平均を適用して波長スペクトルの滑らかなプロファイルを取得すること。220において提供されるXRF信号の波長スペクトルプロファイルの実施例は、
図2Bに示される。この実施例では、移動平均は、サブ作動232において提供されるARIMAモデルにおいて与えられるq=12である重量を有するXRF信号のq=12である連続するサンプルを平均化することにより適用される。
b.− 次に、滑らかなプロファイルは、この場合、ノイズおよび/またはクラッターと関連し、かつ、波長スペクトルプロファイルP1内に存在する周期的ピークを示す季節性プロファイルを取得するために、波長スペクトルプロファイルP1からの滑らかなプロファイルの減算により区別される。本発明者らが、いくつかの実装においては波長スペクトルプロファイルP1からの滑らかなプロファイルの減算による区別を実行することが好ましいことを見出したが、いくつかの実施形態では季節性プロファイルを取得するために別の方法で、例えば滑らかなプロファイルによる波長スペクトルプロファイルの分割(例えば、またはその逆)により区別が実行されてもよいことは、注目されるべきである。
c.− 最後に、波長スペクトルプロファイルP1からの周期的成分を抑制し、かつ、「季節性のない」波長スペクトルプロファイルを取得するために、(b.)において取得された季節性プロファイルは、移動平均を適用して滑らかな季節性プロファイルを取得し、その後に波長スペクトルプロファイルP1から滑らかな季節性プロファイルを区別することにより滑らかになり、それによりそこからの少なくともいくつかの周期的成分が抑制された「季節性のない」波長スペクトルプロファイルを取得する。
【0065】
任意のサブ作動234.2では、「季節性のない」波長スペクトルプロファイルからの(または、例えば上記の工程a−cが実行されなかった場合は波長スペクトルプロファイルP1からの)トレンド成分を抑制するために、定常性フィルター処理が適用される。この実施例では、定常性フィルター処理は、以下を含む:
d.− 「季節性のない」波長スペクトルプロファイル(例えば、これは波長スペクトルプロファイルP1に対して適用されてもよい)に対して移動平均を適用し、波長スペクトルプロファイルP1内に存在するトレンド成分の少なくとも部分を示す定常性プロファイルを取得すること。
e.− その後、季節性のないスペクトルプロファイル(例えば、または波長スペクトルプロファイルP1)と定常性プロファイルとを区別し、「季節性のない」波長スペクトルプロファイルからの(例えば、または波長スペクトルプロファイルP1からの)トレンド成分を抑制し、かつ、トレンド成分が抑制されたトレンドのないスペクトルプロファイルP6を取得すること。この段階で取得される「トレンドのない」スペクトルプロファイルP6は、例えば
図2Cに示される。ここで、区別が「季節性のない」波長スペクトルプロファイルから定常性プロファイルを減算することにより実行されること、および、このためプロファイルP6が実際、そこからの季節性(周期的)成分および定常性(トレンド)成分の両方が抑制されたXRF信号のフィルターを通した波長スペクトルプロファイルであることは、注目されるべきである。この工程の区別は本実施例では減算により実行されたが、いくつかの実施形態では、トレンド成分を除去するための区別が他の技術、例えば定常性プロファイルによる「季節性のない」波長スペクトルプロファイル(例えば、または波長スペクトルプロファイルP1からの)の分割により実行されてもよいこともまた、理解されるべきである。
【0066】
したがって、上記で例証される作動234の最後には、そこからのノイズ/クラッターと関連するトレンドおよび周期的成分の両方の有効部分が除去された、フィルターを通した波長スペクトルプロファイルP6が取得される。残りの顕著なピークは、検査される対象物の実際のXRFシグネチャーを主に示す。次に、改善された精度および信頼性を有するフィルターを通したプロファイルP6からのXRFシグネチャーを示すデータを抽出するために、上述の150と同様の作動が実行されてもよい。
【0067】
本発明の技術によるフィルター処理の前後のスペクトルプロファイルP1およびP6を比較すると、ノイズおよびクラッターの多くがプロファイルP6において抑制されていることが、注目される。フィルター処理後のプロファイルP6では、y軸に沿う850の領域におけるピークを見ることができる。感度は、約0−80の範囲にある
図2BのY軸の尺度とほぼ0−2の範囲である
図2CのY軸の尺度を比較することにより見られ得るように改善されている。この増大した感度は、ピークの解像度が増大するにつれて、使用者にとって標識物質の量をより少なくすることを許容する。
【0068】
ここで
図3に移ると、本発明のいくつかの実施形態により構成されたX線蛍光(XRF)装置300を例証するブロック図が例証される。XRF装置300は、XRFスペクトルデータ/信号プロバイダー320を含み、該XRFスペクトルデータ/信号プロバイダー320は、X線またはガンマ線放射線による対象物への照射と放射線検知器による反応XRF信号の検知とに応じて対象物から到達されるXRF信号部分の波長スペクトルプロファイルを示すデータを提供するように適合されている。XRF装置300はまた、XRF標識読取処理器310(以下「処理器」)を含み、該処理器は、対象物内に含まれる材料(例えば、XRFマーカー)のXRFシグネチャーを示すフィルターを通したプロファイルに対して、本発明の技術(例えば、上述の方法100および/または方法200を実装すること)により波長スペクトルプロファイルを処理するように適合されている。XRF装置300はまた、フィルターを通したプロファイルを処理してその中のXRF信号を識別し、かつ、それを示すデータを提供するように適合された識別モジュール330を含む。識別モジュール330は、例えば上述の方法100の作動150を実行してフィルターを通したプロファイル内で所定の基準を満たしたピークを識別するように適合されていてもよく、かつ、それらのピークの波長および場合によっては大きさもまた利用して対象物のXRFシグネチャーを識別する。また、装置300はまた、対象物を標識するために用いられる種々の検知可能な組成物および/またはマーカーを示す基準データを記憶する記憶装置と関連し、かつ、基準データに基づいて識別モジュール330により取得されるXRFシグネチャーを示すデータを処理するように適合されていてもよい、XRF標識データ検索器340を含んでいてもよく、対象物を標識するために用いられるXRFマーカーを判定し、かつ、それを示すデータを提供および/または記憶する。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態によれば、処理器310は、フィルター処理モジュール315を含み、該フィルター処理モジュール315は、それぞれそこからの周期的成分およびトレンド成分を抑制するために波長スペクトルプロファイルをフィルターにかけるように適合された周期性フィルター315.2およびトレンドフィルター315.4のうちの少なくとも一つを含む。例えば、いくつかの実施形態では、フィルター処理モジュール315は、それぞれXRF信号部分の波長スペクトルプロファイルからの周期的およびトレンド成分を抑制するために上述の作動234.1および234.2を実装するように構成されかつ作動可能な周期性フィルター315.2およびトレンドフィルター315.4を含む。
【0070】
本発明のいくつかの態様によれば、処理器310はまた、最終的なフィルターを通した信号からのノイズおよび/またはクラッターをさらに低減するために方法作動140および/または240を実装するように構成されかつ作動可能な時間枠セグメンター312および時間枠インテグレーター317を含む。このため、時間枠セグメンター312は、XRFスペクトルデータ/信号プロバイダー320により提供されるXRF信号を複数(すなわち、二つ以上)の波長スペクトルプロファイルに分割するように構成されかつ作動可能である。フィルター処理モジュール315はその後、各波長スペクトルプロファイルを独立にフィルターにかけ、そこからのトレンドおよび/または周期性成分を除去/抑制する。その後、時間枠インテグレーター317は、様々な時間枠の信号部分のそれぞれについてフィルター処理モジュールにより取得されるフィルターを通したプロファイルを統合(例えば、平均化)し、改善されたSNRおよび/またはSCRを有する最終的なフィルターを通したプロファイルを取得する。
【0071】
概して本発明のXRF装置がアナログおよび/またはデジタル手段により実装されてもよいことは、注目されるべきである。XRF装置が、コンピューター処理器(CPU)と記憶装置とを含むコンピューター化されたシステムを含む場合もある。装置のモジュールはしたがって、上述の方法100および/または200の作動を実装するように構成されたコンピューター読み取り可能なコードを含む適切な回路ならびに/またはソフトウェアおよび/もしくはハードウェア部品により実装されてもよい。
【0072】
本発明のXRF装置は、XRF信号処理中央部の部分として、および/または、携帯型の(例えば、手に持てる大きさの)XRF読取装置として実装されてもよい。
【0073】
XRF信号処理中央部において実装される本発明のXRF装置300は、
図4Aにおけるブロック図に示される。
図3に示される装置のものと類似する装置300の共通要素/モジュールの構成および作動の説明が、ここで繰り返されるであろう。XRF信号処理中央部におけるXRF信号の実装においては、XRFスペクトルデータ/信号プロバイダー320は、通信モジュール322を含むか、またはそれと関連しており、かつ、対象物からのXRF信号反応を検知するのに用いられる遠隔XRF読取装置との通信を介してXRF信号を示すデータを受信するように作動可能である。また、この実装においては、XRF標識データ検索器340は、XRF装置300により識別される複数のXRFマーカーを示す基準データ標識データを記憶するデータストレージ(記憶装置)344を含むか、またはそれと関連する。場合によっては、データストレージ(記憶装置)344はまた、複数の対象物を示す関連情報とXRFマーカーとを関連付ける関連データを記憶する。データ検索器340は、データストレージ344を閲覧し/データストレージ344に問い合わせ、識別モジュール330により取得されるXRFシグネチャーに最も適合するXRFマーカーを判定する。任意的には、データ検索器340はまた、データストレージ344を閲覧し/データストレージ344に問い合わせ、識別されたXRFマーカーとデータストレージに記憶されている関連データとに基づいて対象物の特性を判定する。その後、識別されたXRFマーカーおよび/または識別された対象物の特性を示すデータが、XRF信号を提供するXRFリーダーに通信されてもよい(例えば、通信モジュール322および/または異なるモジュールを介して)。
【0074】
携帯型の/手に持てる大きさのXRFリーダーとして実装される本発明のXRF装置300は、
図4Bにおけるブロック図に示される。
図3を参照して上述された装置のものと類似する装置300の共通要素/モジュールの構成および作動の説明は、ここでは繰り返されないであろう。手に持てる大きさの/携帯型の装置としてのXRF装置300の実装においては、XRFスペクトルデータ/信号プロバイダー320は、X線またはガンマ線による対象物への照射に応じて対象物から到達するXRF信号を検知かつスペクトル的に分析し、かつ、検知された信号の波長スペクトルプロファイルを示すデータ信号を提供するように適合されたX線分光器のような放射線検知器324を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、放射線検知器324は、前記対象物を標識し、かつ、約1ppmのオーダーまたはさらに下、数100ppbのオーダーの濃度を有するXRFマーカー材料の検知を可能にする。
【0075】
いくつかの実施形態では、XRF装置300は任意にまた、携帯型のXRF装置300により検査される対象物に照射するための前記X線またはガンマ線放射線を放出するように構成されかつ作動可能な放射線放出器350を含む。この実装においては、XRF標識データ検索器340は、識別されたXRFシグネチャーに基づいて対象物を標識するXRFマーカーおよび/または対象物の特性を示す対象物データと関連付けられたXRF標識データを取得するために利用される通信モジュール342および/またはデータストレージ344を含んでいてもよい。この目的のため、データストレージ344は、基準データおよび/または関連データを記憶していてもよく、該関連データは、種々のXRFシグネチャーと特定のXRFマーカーとを関連付け、かつ/または、XRFシグネチャーおよび/もしくは種々のマーカーとそれにより標識される対象物の特性とを関連付ける。代替的または追加的には、手に持てる大きさの装置300は、通信モジュール342(例えば、無線通信モジュール)を用いて、XRFシグネチャーおよび/またはフィルターを通したプロファイルを示すデータを処理中央部に通信し、かつ、そこから対象物を示すデータおよび/または対象物を標識するのに用いられるXRFマーカーを示すマーカーデータを受信してもよい。
【0076】
XRF標識データ検索器340により取得されるマーカーデータが、次の一つ以上を示す場合もある:未加工の形態における対象物のXRFシグネチャー;対象物を標識するためにそれに追加される一つ以上の追加のXRF標識材料;および/または対象物にXRF標識材料を付着させるのに用いられるキャリアー材料。XRF標識データ検索器340により取得される対象物データが、次の一つ以上を示すデータを含む場合もある:対象物の独自性;前記対象物と関連付けられた製品の独自性;前記対象物の製造者の身元;対象物のバッチ番号;対象物の製造日;対象物の製造場所および/または対象物の通し番号;ならびに前記対象物の所有者の識別子。いくつかの実施形態では、XRF装置300は、表示モジュール390(例えば、表示スクリーンと表示制御器(図示せず)とを含む)を含み、該表示モジュール390は、XRF標識データ検索器340からマーカーデータおよび/または対象物データを取得し、かつ、対象物を示す印を表示スクリーン上に提示するように構成されかつ作動可能である。
【0077】
いくつかの実施形態では、XRF装置300は、XRF装置300の位置を判定し/見積もり、かつ、通信モジュール(例えば、342)を利用して位置を示すデータをフィルターを通したプロファイル/XRFシグネチャーのデータと一緒に処理中央部に通信するように構成された位置(position)ロケーター360(例えば、GPS)を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、XRF装置300は、対象物のバーコード/QRコード)のような光学式コードを読み取り、かつ、光学式コードを示すデータをフィルターを通したプロファイルと一緒に処理中央部に通信するように構成された光学式リーダー370(例えば、バーコード/QRコードリーダー)を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、XRF装置300はまた、XRF装置300の独特な識別コードを記憶する記憶装置を含む。XRF装置300は、独特な識別コードをフィルターされたプロファイルのデータと一緒に通信モジュールを介して中央コンピューターに通信するように構成されていてもよい。
【0080】
ここで、廃棄材料/対象物の標識のための方法500を描いたフローチャートを示す
図5を参照する。
【0081】
方法500は、廃棄材料を標識するための検知可能な組成物を提供/準備すること520を含む。任意的には、検知可能な組成物は、X線蛍光を用いて検知可能な原子を有するXRFマーカー化合物を有する。本発明の実施形態によれば、XRFマーカー化合物は、上述の装置300のようなXRF装置による検知が可能な量で検知可能な組成物中に存在する。本発明の実施形態によれば、XRFマーカー化合物は、XRF装置により検知され得る要素の濃度が約10億分の100(ppb)と100万分の100(ppm)との間の範囲に存在するような量で組成物中に存在する。
【0082】
本発明の実施形態によれば、方法500はさらに、520において提供/準備された検知可能な組成物(例えば、XRFマーカー化合物)により、潜在的に処理を必要とするであろう廃棄物および/または対象物/または固形材料を標識すること530を含む。本発明の実施形態によれば、標識された対象物/材料は、道路、建物および他の人造の構造物の破壊または修復の結果としての建設廃材であってもよいか、または建設廃材になってもよい建設材料を有していてもよい。そのような建設材料は、コンクリート、アスファルト、金属、木材、絶縁材、乾式壁、ガラス、プラスチックおよび他の関連する破片を有していてもよい。本発明のさらなる実施形態はまた、液状材料/廃棄物に関する。本発明のいくつかの実施形態では、標識された対象物/材料は、標識の時点では未だ廃棄物の形態ではない。例えば、建物が取り壊される予定であれば、建物を形成する建材は、固形廃棄材料と考えられてもよく、かつ、建物の取り壊し前に検知可能な組成物で標識されてもよい。
【0083】
本発明の実施形態によれば、検知可能な(例えば、XRFマーカーにより)組成物は、塗料の形態である。そのような実施形態では、530において、対象物/材料/固形廃棄物は、塗料の形状の検知可能なXRF標識組成物を対象物に適用する/塗料の形態の検知可能なXRF標識組成物で対象物を塗装することにより(例えば、吹きかけることにより)標識される。検知可能な/XRF標識組成物を塗料の形状で固形廃棄材料に適用することは、固形廃棄材料から検知可能な組成物を除去するのに甚大な努力を必要とし、それにより組成物の除去およびそれに続く不法処理を思いとどまらせる。本発明のいくつかの実施形態では、検知可能な/XRF標識組成物は、色のついた塗料の形態である。色のついた塗料は、それが適用される対象物/材料とは異なる色で色づけされてもよく、それにより廃棄物として処理された標識された対象物/材料の容易な識別を可能にする。代替的には、いくつかの実施形態では、色のついた塗料は、それが適用される対象物の表面と類似する色で色づけされてもよい。例えば、対象物が白または黄色のストライプを有する道路であれば、検知可能な組成物は、ストライプと同じ色を有する塗料で適用されてもよく、それにより標識を「覆い隠し」、かつ、標識が発見および/または除去されるのを困難にする。
【0084】
本発明の実施形態によれば、検知可能な組成物は、廃棄材料に適用後少なくとも一年の期間その安定性およびそのX線蛍光を通して検知される能力を維持する安定的な組成物である。本発明の実施形態によれば、検知可能な組成物は、廃棄材料に適用後少なくとも三年の期間そのX線蛍光を通して検知される能力を維持する。
【0085】
本発明の実施形態によれば、適切な検知可能な組成物は、標識される建設廃材の特定のタイプに適合する。例えば、建設廃材がコンクリートであれば、標識されていないコンクリートのサンプルが原子の検知可能な存在についてX線蛍光により分析される。コンクリートは検知可能なレベルの二つの要素LiおよびBrを含まないという結果が取得される。分析の結果として、公知の量のLiおよびBrを有する検知可能な組成物が形成され、かつ、コンクリート建設廃材に適用される。
【0086】
本発明の実施形態によれば、方法500はさらに、対象物/材料を標識するのに用いられる検知可能な組成物のシグネチャー/指紋と廃棄物としての対象物/材料の処理に責任を負う実体の身元のような対象物/材料の特性/パラメーターを含む対象物データとを関連付ける作動540を含む。対象物を標識する検知可能な組成物/XRFマーカーと対象物パラメーターとの間の関連データはその後、適切なデータストレージに記憶されてもよい。
【0087】
廃棄物を効果的に標識するために、コード化システムが用いられてもよく、そこでは、標識化合物の様々な相対濃度および/または同一性が、廃棄物の処理に責任を負う様々な実体と関連付けられてもよい。
【0088】
ここで、廃棄材料の処理に責任を負う実体を識別するための本発明の実施形態による方法600を描いたフローチャートを示す
図6を参照する。
【0089】
本発明の実施形態によれば、方法600は、廃棄材料の識別/分析に関する作動610を含む。本発明の実施形態によれば、廃棄材料は、建設廃材を有する固形廃棄材料であってもよい。建設廃材は、コンクリート、アスファルト、金属、木材、乾式壁、ガラス、プラスチックおよび他の関連する破片を有していてもよい。廃棄材料は、不法な場所に投棄されていることが発見されるかも知れない。作動610は、XRFマーカー標識分光器の形態で提供される
図4Bに示されるもののようなXRF装置により実行されてもよい。標識を識別するために廃棄材料を分析することは、本発明の実施形態により、標識を識別するためにX線蛍光を利用してもよい。分析は、廃棄材料に電磁放射線を浴びせること、ならびに廃棄材料の標識により放出される蛍光パターンの波長および/または強度を分析することを含んでいてもよい。放出される蛍光パターンの波長および/または強度に基づいて、マーカーは、マーカー組成物の独自性と関連付けられる特定の原子を特定の濃度有していると判定されてもよい。本発明の実施形態によれば、廃棄材料は、例えば
図4Bに示されるもののような手に持てる大きさのXRF装置を用いて分析される。
【0090】
本発明の実施形態によれば、方法600はさらに、標識と関連付けられた実体との比較に関する作動620を有する。作動620は、蛍光パターン(例えば、マーカーのXRFシグネチャー)が検知された後に実行される。検知された蛍光パターン/XRFシグネチャーは、複数のマーカー(それを用いて廃棄物が先に標識された)のうちの一つの濃度と相関関係があってもよい特定の原子の特定の相対濃度を示していてもよい。放出される蛍光パターン/XRFシグネチャーは、先に適用されたマーカーの濃度と相関関係があってもよい特定の原子の特定の相対濃度を示していてもよい。このため、作動620では、データベースに記憶された基準データ(上述)は、検知されたXRFマーカーの蛍光パターン/XRFシグネチャーと先に対象物を標識するのに用いられかつデータベースに記憶された複数のXRFマーカーのシグネチャー/化学組成物とを比較するのに用いられてもよい。
【0091】
本発明の実施形態によれば、方法600はさらに、識別されたマーカーにより標識された対象物/廃棄材料のデータを判定すること、例えば、対象物/廃棄材料の処理に責任を負う実体の身元を示す対象物データを判定することに関する作動630を含む。このため、作動630では、データベースに記憶された関連データ(上述)は、620において識別されたマーカーにより標識される対象物/材料の特性/パラメーターを判定するのに用いられてもよい。対象物の特性パラメーターは、対象物の処理に責任を負う実体を示すデータを含んでいてもよい。
【0092】
本発明の実施形態によれば、方法600はさらに、廃棄材料処理に責任を負う実体に対する初動の自動開始を含んでいてもよい任意の作動640を含む。これは例えば、廃棄材料の処理に責任を負う実体に対して送達される罰金の自動発行、および/または、適切な人材によるさらなる処理のためのログ/タスク−ブックにおける廃棄物の処理に責任を負う実体の自動リスト化であってもよい。このため、上記のとおり、本発明のXRFリーダー装置が次の一つ以上を含む場合もある:位置ロケーター(GPS)、光学式/バーコードリーダーおよび独特の識別を記憶する記憶装置。そのようなモジュールにより提供されるデータを利用する際、次のデータパラメーターが、廃棄物の処理を自動的に記入/リスト化する時に記録されてもよい:
− 廃棄物処理に責任を負う実体−これは、場合によっては廃棄物の他のパラメーターと同様、630における関連付けから判定されてもよい;
− 廃棄物処理の場所−このデータは、XRF装置のGPS/位置ロケーターから取得されてもよい;
− 処理された廃棄物を記録する現場職員の身元−このデータは、XRF装置の独特な識別コードを利用することにより取得されてもよい;
− 場合によっては、廃棄対象物/材料にコード化されたバーコード情報から取得され、かつ、XRF装置の光学式リーダーにより読み取られてもよい廃棄物についてのさらなる情報。
【0093】
ここで、本発明の実施形態による材料を認証するための方法700を描いたフローチャートを示す
図7を参照する。
【0094】
方法700は、標識のための材料/対象物を有する作動710を有する。標識のための対象物/材料は、製品の偽造または供給網の流用について懸念のあるあらゆる材料または製品を有していてもよい。標識のための材料/対象物は、本発明の実施形態により標識されてもよい包装を有していてもよい。材料は、天然ガス、宝石用原石、貨幣、流通証券、識別書類、識別カード、パスポート、自動車の部品、ブランド商品、消費者向け商品、プラスチック、紙類、接着剤、塗料、顔料、ナイロン、綿、合成繊維、金属、合金、ゴム、合成ゴム、光ファイバー、シリコン、ボール紙、インクおよび合成高分子からなる群より選択されてもよい。本発明の実施形態によれば、接着剤は、エポキシ、高分子のりおよび接触のりからなる群より選択される。本発明の実施形態によれば、消費者向けの商品は、食品、飲料類、アルコール飲料類、電子装置類、衣類、宝石類、靴類、ファッション小物類、時計類、ソフトウェア、香水、化粧品類、医薬品類および芸術品からなる群より選択される。
【0095】
方法700はさらに、マーカー物質とキャリアーとを有するXRFマーカー組成物を提供する作動715を有する。マーカー物質化合物は、上述のマーカー(例えば、置換されたアルカンおよび/もしくはハロゲン化合物、ならびに/または、ハロゲン化アルキルもしくはアリル、ならびに/または、有機金属もしくはハロゲン化合物、ならびに/または、リチウムに匹敵するか、もしくはそれより高い原子数を持つ原子を有する塩のような)のいずれであってもよい。本発明の実施形態によれば、マーカー物質は、原子番号12(マグネシウム)と上記とを持つ要素を有する。本発明の実施形態によれば、マーカー物質は、マーカー化合物またはマーカー原子を有する。本発明によれば、検知可能な組成物は、二つ以上のマーカー物質を有して準備される。本発明の実施形態によれば、二つ以上のマーカー物質は、様々な周波数でXRFを放出する。
【0096】
本発明の実施形態によれば、マーカー物質は、キャリアーに対して100万分の0.1と100万分の100との間の濃度で追加される。本発明の実施形態によれば、マーカー物質は、キャリアーに対して100万分の0.5と100万分の30との間の濃度で追加される。
【0097】
本発明の実施形態によれば、検知可能な組成物は、その中で、特定のエネルギーで検知可能な組成物に照射する際に放出されるXRF放射線のエネルギーが、標識された物質が同じエネルギーで照射される際に放出されるXRF放射線のエネルギーと対応しないように形成される。これは、標識されていない物質が「偽陽性」信号を放出せず、かつ、対応する標識された物質から識別可能であろうことを確実にする。そのXRF反応がマーカーのXRF信号と干渉しない結合材料を用いることもまた可能である。
【0098】
本発明の実施形態によれば、検知可能な組成物は、標識された物質の作用と干渉しない。例えば、標識された物質が接着剤であれば、検知可能な組成物の追加は、接着剤の接着性を変更しない。
【0099】
本発明の実施形態によれば、検知可能な組成物は、環境に悪影響を与えず、かつ、標識された材料の使用者が取り扱いかつ用いるのに安全である。
【0100】
本発明の実施形態によれば、特定のエネルギーで照射される際に検知可能な組成物により放出されるXRF放射線のエネルギーおよび/または強度は、キャリアーの不存在下で単独で照射される際に検知可能な組成物が有するマーカー物質(単数)またはマーカー物質(複数)により放出されるXRFのエネルギーおよび/または強度とは異なる。キャリアーおよびマーカーはそれぞれ、標識されていない物質に関連する検知可能な組成物のXRF「指紋」に貢献してもよい。
【0101】
マーカー物質中に存在する特定の要素の原子、キャリアーおよび標識された物質またはそれらのあらゆる組み合わせはすべて、XRFにより検知可能であってもよい。適切なエネルギーで照射されると、各要素は、種々のシェルに帰属する電子に基づいて種々のタイプのエネルギーを放出してもよい。各シェル、例えばKシェル、Lシェル、MシェルおよびNシェルはそれぞれ、各要素および各シェルについて異なる特定の量のエネルギーを放出してもよい。標識され照射された物質からのエネルギーレベルの読み取りの組み合わせは、グラフ上に表示されると、マーカー物質、キャリアーおよび標識された物質のあらゆる組み合わせにおける要素に関連して、各要素について種々のエネルギーレベルに対応する複数のピークを示してもよい。本発明の実施形態による方法は、独特なXRF指紋がマーカー物質、キャリアーおよび標識された物質の所定の組み合わせに起因するものとする。マーカー物質、キャリアーおよび標識された物質の分析から取得される独特なXRF指紋は、マーカー物質、キャリアーおよび標識された物質単独の分析からは取得可能でないかも知れない。
【0102】
本発明の実施形態によれば、マーカー物質は、キャリアーと混合される。本発明の実施形態によれば、マーカー物質は、キャリアーに化学的に結合される。
【0103】
方法700はさらに、材料を検知可能な組成物で標識することを有する作動720を有する。
【0104】
本発明の実施形態によれば、材料は、検知可能な組成物と材料を混合して混合物を形成することにより、検知可能な組成物で標識される。本発明の実施形態によれば、混合物は、均一な混合物である。標識された材料が塗料のような液状材料であれば、検知可能な組成物は、それが液状材料中に均一に分散し、かつ、継時的に液状材料から分離して沈殿することがないように選択される。
【0105】
本発明の実施形態によれば、材料は、外面的に標識される。本発明の実施形態によれば、材料は、検知可能な組成物で被覆されるか、または検知可能な組成物で塗装される。本発明の実施形態によれば、材料の包装が標識される。材料は、その製造場所で標識されてもよい。
【0106】
方法700はさらに、データベースに標識を記録することを有する作動725を有する。データベースは、検知可能な組成物標識に対応する独特なコードを提供するように構成されていてもよい。独特なコードは、検知可能な組成物標識と関連付けられるXRF指紋/シグネチャーと対応していてもよい。独特なコードは、マーカー(単数)のそれぞれの組み合わせまたはマーカー(複数)の組み合わせについて生成されてもよい。例えば、作動725は、対象物を標識するのに用いられる標識組成物のシグネチャーを示す基準データをデータベースに記憶し、かつ、場合によっては対象物の特性および/または独自性と標識のシグネチャーとを関連付ける関連データもまた記憶することを含んでいてもよい。コードは、好ましくはアクセスの制限された安全なデータベースに記憶される。各マーカーの濃度は、コードの複数の選択肢を提供するために変動してもよい。本発明の実施形態によれば、様々な製品/対象物が、互いに約10ppm異なる濃度の同一のマーカーで標識されてもよい。本発明の実施形態による方法は、2−シグマの信頼性のレベルで標識された対象物を識別することに成功する。
【0107】
コードおよびそれらの関連する蛍光パターンは、製品の独自性、製造者の身元、バッチ番号、製造日、製造場所および/または通し番号を含むがそれらに限定されない、標識された材料に関するデータと関連付けられていてもよい。
【0108】
以下で説明される方法700の作動730−755は概して、標識された対象物が流通する(例えば、販売される)前に実行され、疑わしい偽造サンプルが提供/発見される。サンプルは、標識された品目と類似しているように見え、かつ/または、標識された品目と同様にラベルが付けられている材料のサンプルであってもよい。
【0109】
方法700はさらに、サンプルに照射することを有する作動730を含んでいてもよい。サンプルは、X線またはガンマ線で照射されてもよい。サンプルは、40keVまでのエネルギーで照射されてもよい。
【0110】
本発明の実施形態によれば、サンプルは、手に持てる大きさのXRF装置を用いて照射される。本発明の実施形態によれば、サンプルは、検知可能な組成物の独自性を知らないXRF技師により照射される。
【0111】
サンプルの照射の前または後で、手に持てる大きさのXRF装置の技師は、彼が特定の材料の認証を試験することを求めていることを、手に持てる大きさのXRFに入力してもよい。技師は、材料に関連付けられた文章または通し番号を用いて、どの材料が検証されているのかを示してもよい。手に持てる大きさのXRF装置は、技師の材料の指示について中央コンピューターデータベースに伝達してもよい。
【0112】
本発明の実施形態によれば、手に持てる大きさのXRF装置は、バーコード、QRコードまたは他のタイプの光学的にコードされたデータをスキャンするように構成されたバーコードリーダーを有していてもよい。光学的にコードされたデータはその後、どのような材料タイプまたは製造者が分析されるのかを示す中央コンピューターに伝達されてもよい。
【0113】
任意的には、方法700はさらに、照射されたサンプルからXRFを検知することを有する作動735を含んでいてもよい。本発明の実施形態によれば、検知は、手に持てる大きさのXRF装置を用いて実行される。本発明の実施形態によれば、検知にはシリコンドリフトダイオード検知器が用いられる。本発明の実施形態によれば、XRFは、約2−30keVの間の範囲で検知される。
【0114】
任意的には、方法700はさらに、検知器から受信したXRFデータをコードする信号を中央コンピューターに伝達することを有する作動740を含んでいてもよい。XRFデータは、サンプルのX線蛍光のエネルギーおよび/または強度に関するデータを含んでいてもよい。XRFデータは、フィルター処理の前および/または後のXRF信号の波長スペクトルプロファイルを示すデータを含み、そこからトレンドおよび/または周期的成分を除去してもよい。XRFデータ信号は、暗号化されてもよい。
【0115】
XRF装置からの信号の伝達は、例えば、有線通信、無線通信、電話通信もしくはセルラー通信またはそれらのあらゆる組み合わせを通じて実行されてもよい。
【0116】
XRF装置から中央コンピューターへの伝達は、情報の検索用にXRF装置を識別するためにXRF装置に特有の識別子信号を含んでいてもよい。中央コンピューターは、XRF装置との通信を継続するように構成されるか、または、特有の識別子信号を介するXRF装置の検証の際のみ情報をXRF装置に伝達するように構成されていてもよい。
【0117】
任意的には、方法700はさらに、受信したXRFデータをデータベース内のデータと比較することを有する作動745を含んでいてもよい。受信したXRFデータは、データベースに記録されてもよい。記録された受信したXRFデータは、将来のサンプルの将来の分析のために用いられてもよい。
【0118】
任意的には、方法700はさらに、データベースのデータに基づいてサンプルの独自性を評価することを有する作動750を含んでいてもよい。独自性を評価することは、統計的分析を用いて実行されてもよく、該統計的分析では、受信したXRFデータがデータベースのXRFデータと比較され、かつ、統計的比較が実行される。所定のレベルの類似性が示されれば、XRFデータは、一致するサンプルからのものであると考えられる。
【0119】
任意的には、方法700はさらに、コンピューターからの信号を検知装置に伝達することを有する作動755を含んでいてもよい。信号は、製造者、バッチ番号、製造日、製造場所および通し番号を含むがそれらに限定されない、標識された材料に関するデータの識別を有し得る。
【0120】
代替的には、伝達される信号は、本物の肯定的な識別を示す肯定的な読み取りまたは品目が本物でないことを示す否定的な読み取りの指示を有していてもよい。送達される信号は、サンプルがXRF技師によりサンプルに関して入力された情報に対応するのかしないのかの指示であってもよい。
【0121】
本発明の実施形態によれば、中央コンピューターとXRF検知器との間の通信のログは、データベースに記録されてもよい。
【0122】
ここで、材料の識別ならびに/または廃棄物の分析およびその出所の判定のための本発明の実施形態により用いられてもよいシステムを描く
図4を参照する。
【0123】
図8は、本発明の実施形態による材料分析システム800に関する。材料分析システム800は、対象物のXRF信号を読み取ることができる移動可能なXRF装置/分析器810と、XRF信号および/またはそのシグネチャーを示すデータを受信し、かつ、それに応じて対応するXRFマーカーにより標識された対象物を示すデータ/パラメーターを検索することができる中央コンピューター840とを有する。中央コンピューター840およびXRF装置/分析器810のうちの少なくとも一つは、
図3を参照して上述されたXRF装置300と同様に構成され、かつ、XRF標識読取処理器310(ソフトウェアおよび/またはハードウェアにより実装される)を含んでいてもよく、該XRF標識読取処理器310は、上述の本発明の技術(例えば、上述の方法100および/または方法200を実装すること)により波長スペクトルプロファイルをフィルターにかけ得る。
【0124】
移動可能なXRF分析器810は、通信モジュール812と、処理器814と、記憶装置816と、ディスプレイ818と、放射線放出器820と、放射線検知器822と、アンテナ824とを有する。中央コンピューター840は、通信モジュール842と、処理器844と、データベース846とを有し、該データベース846は、標識シグネチャーおよびそれにより標識された対象物のそれぞれの特性(例えば、対象物の処理に責任を負うそれぞれの実体)と関連する基準データならびに/または関連データを記憶する。
【0125】
いくつかの実施形態では、材料分析システム800は、クラウドに基づく構成に構成され、かつ/または、インターネットに基づく演算を利用し、処理器814、処理器844、データベース846および/または記憶装置816の部品が複数の別個の地理的位置に存在してもよいようになっている。
【0126】
移動可能なXRF装置/分析器810は、手に持てる大きさの装置であってもよい。作動時、技師802は、材料または廃棄物のサンプル/対象物830を分析するために、手に持てる大きさの移動可能な分析器810を保持していてもよい。手に持てる大きさの移動可能な分析器810の駆動の際、処理器814は、放射線放出器820に放射線(例えば、X線放射線)を放出するように信号を送る。処理器814は、サンプル830に組成物を標識することから放出される放射線蛍光信号パターンを、放射線検知器822を介して検知する。処理器814は、通信モジュール812を介して、データ通信を介して(例えば、セルラー通信網860を介して)、蛍光信号パターン(蛍光波長およびまたは強度)に関するデータを中央コンピューター840の通信モジュール842に送達してもよい。中央コンピューター840の処理器244は、サンプル/対象物830(例えば、対象物の詳細および/またはその処理に責任を負う実体の身元)についての対象物データを検索するために、受信したデータをデータベース846に記録してもよく、かつ/または、受信したデータとデータベース846内のデータとを問い合わせ/相互参照してもよく、かつ、そのような対象物データを移動可能な装置に伝達してもよく、そこで、処理器814は、ディスプレイ818に対象物データに対応するメッセージを表示するように信号を送ってもよい。
【0127】
上記に鑑みれば、本発明の実施形態は、材料および廃棄物の標識ならびに分析のための便利な方法を提供する。XRF技師は、材料を容易に分析し、それらが偽造されたものであるか本物であるかを判定してもよい。環境廃棄物技師は、廃棄物の不法処理に責任を負う実体を素早く容易に識別し得る携帯型で手に持てる大きさの機械を用いて、不法に投棄された廃棄物を容易に分析してもよい。
【実施例】
【0128】
本発明の実施形態による方法は、以下の実施例により示されてもよい:
【0129】
実施例1:
イスラエル国ハイファ市の工務課は、市の範囲内の道路建設に責任を負う。該課は、市内の種々の道路建設計画のために、10の入札(1から10までの番号が付けられる)を提示した。10の入札すべては、道路廃棄物からなる大量の建設廃材の除去を伴う。ハイファ地域には建設廃材用のゴミ処理地が存在せず、結果として、建設廃材は、最も近いゴミ処理地まで約100km運ばれなければならない。ゴミ処理地は、大型ゴミ容器なしで10ヤードのロールにつき約500ドルを請求する。10の入札はすべて、AからJまでの文字で示される別々の請負業者により勝ち取られる。
【0130】
ハイファ市の工務課は、ハイファにおける建設作業からの建設廃材がハイファ近郊に不法投棄されないであろうことを確実にするために、環境コンサルタントを雇う。コンサルタントは、二つの異なるマーカー化合物、Liを有する化合物とBrを有する化合物とを有する、白色の道路用塗料の形状の検知可能な組成物を準備する。検知可能な組成物と道路用塗料の非マーカー材料とが適用されるアスファルトの道路表面は、検知可能な量のLiまたはBrが存在しないことを判定するために分析される。判定がなされると、検知可能な組成物が100万分率のレベルで表1により準備され、かつ、特定の建設現場および請負業者に割り当てられる。
【0131】
【表1】
【0132】
コンサルタントは、表1により独特の検知可能な組成物を準備し、かつ、これを10の請負業者のそれぞれによる道路建設開始の際にもしかすると破壊されるであろう地域における道路表面に適用する。コンサルタントは、その場所の請負業者および標識の組成物について知らずに、建設の開始前に、現場1−10で検知可能な組成物を適用する。
【0133】
不法に処理された建設廃材を発見すると、ハイファ自治体は、建設廃材のサンプルを分析するコンサルトに知らせてもよい。コンサルタントは、X線蛍光を用いて、サンプルが10ppmのLiと100ppmのBrを有する検知可能な組成物で標識されていたことを見出す。コンサルタントは、不法に処理された廃棄物が請負業者Hの責任下にある建設現場8からのものであるとハイファ自治体に知らせる。ハイファ自治体は、廃棄材料を不法投棄したことについて、請負業者Hに対して法的措置をとってもよい。
【0134】
上記の実施例で説明されたように、自治体は、特定の標識と標識が対応していた請負業者との相関関係を知らなかった。コンサルトが、特定のマーカーと対応する請負業者とを対応付けるコードを知る唯一の実体であった。この処理は、自治体の管理外でのコードの制御および維持を許容する。さらに、それは、州全体または国全体のデータベースが廃棄物処理をモニターすることを許容する。
【0135】
本発明の実施形態による方法は、同様に多数の廃棄物の処理に責任を負う実体と関連付けられる、何十万もの廃棄物の独特な標識の可能性を提供するために、相対的に高価でない標識化合物を用いてもよい。
【0136】
本願における発明の実施形態の説明は、実施例を介して提供され、かつ、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。説明された実施形態は、様々な特徴を有し、それらのすべてが本発明のすべての実施形態において必要とされるわけではない。いくつかの実施形態は、特徴のいくつかのみまたは特徴の考え得る組み合わせを利用する。説明された本発明の実施形態の変形および説明された実施形態において注目された特徴の様々な組み合わせを有する本発明の実施形態が、当業者には思い浮かぶであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。