特許第6869953号(P6869953)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869953
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】染毛用又は毛髪脱色用化粧品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20210426BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20210426BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20210426BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20210426BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   A61K8/41
   A61K8/19
   A61K8/22
   A61K8/02
   A61K8/44
   A61K8/46
   A61K8/86
   A61Q5/08
   A61Q5/10
【請求項の数】22
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-505945(P2018-505945)
(86)(22)【出願日】2017年3月14日
(86)【国際出願番号】JP2017010160
(87)【国際公開番号】WO2017159670
(87)【国際公開日】20170921
【審査請求日】2019年12月11日
(31)【優先権主張番号】62/308,511
(32)【優先日】2016年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/447,090
(32)【優先日】2017年1月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 崇
【審査官】 松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−107962(JP,A)
【文献】 特表2013−516434(JP,A)
【文献】 特開2013−184967(JP,A)
【文献】 特開2012−072128(JP,A)
【文献】 特開2015−044806(JP,A)
【文献】 特開2012−097024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/41
A61K 8/02
A61K 8/19
A61K 8/22
A61K 8/44
A61K 8/46
A61K 8/86
A61Q 5/08
A61Q 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤、及び過酸化水素を含有する第2剤を備え、
第1剤及び第2剤のいずれか一方の剤の25℃における粘度が100mPa・s以下、他方の剤の25℃における粘度が1000mPa・s以上、かつ第1剤と第2剤の混合物の25℃における粘度が5000mPa・s以上35000mPa・s以下であり、
第1剤と第2剤の混合物中に次の成分(A)〜(D)を含有し、該混合物中の成分(A)に対する成分(B)と成分(C)の合計の質量比[(B)+(C)]/(A)が2以上11以下である、
染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
(A) ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含み、電荷密度が2.5meq/g以上9meq/g以下である重合体
(B) 下記一般式(3)で表される化合物
5-O-(CH2CH2O)n-[CH2CH(CH3)O]m-SO31 (3)
〔式中、R5は炭素数8以上25以下の炭化水素基を示し、nは0以上50以下の平均付加モル数を示し、mは0以上50以下の平均付加モル数を示し、M1はアルカリ金属又はNH4を示す。〕
(C) カルボキシ基を有するアニオン界面活性剤
(D) オキシエチレン基の平均付加モル数が90以上250以下であるポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤
【請求項2】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(B)と成分(C)の合計に対する成分(B)の質量比(B)/[(B)+(C)]が0.1以上0.8以下である請求項1に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項3】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(A)に対する成分(B)と成分(C)の合計の質量比[(B)+(C)]/(A)が4以上11以下である、請求項1又は2に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項4】
更に、第1剤と第2剤の混合物中に成分(E)として炭素数12以上24以下の脂肪族アルコールを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項5】
更に、第1剤と第2剤の混合物中に成分(F)として4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項6】
成分(A)の電荷密度が8.0meq/g以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項7】
成分(A)の重合体が、次の一般式(1)又は(2)で表される骨格を有する重合体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【化1】
〔式中、R1及びR2は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1以上18以下のアルキル基、アリール基、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基又はカルボアルコキシアルキル基を示し、R3及びR4は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基又はフェニル基を示し、X-はアニオンを示す。〕
【請求項8】
成分(A)の重合体が、式(1)又は(2)で表される構成単位を、一分子中に20モル%以上100モル%以下含有する請求項7に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項9】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(A)の含有量が、0.1質量%以上5質量%以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項10】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(B)の含有量が、0.05質量%以上10質量%以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項11】
成分(C)が、N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩、及びアルキルエーテルカルボン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜10のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項12】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(C)の含有量が、0.05質量%以上10質量%以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項13】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(B)及び成分(C)の合計の含有量が、2.0質量%以上15質量%以下である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項14】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(B)及び成分(C)の合計に対する成分(B)の質量比(B)/[(B)+(C)]が、0.1以上0.8以下である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項15】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(D)の含有量が、0.1質量%以上10質量%以下である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項16】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(E)の含有量が、0.5質量%以上20質量%以下である請求項4〜15のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項17】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(F)の含有量が、0.05質量%以上5質量%以下である請求項5〜16のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項18】
第1剤及び第2剤のいずれか一方の剤の25℃における粘度が、1mPa・s以上95mPa・s以下、他方の剤の25℃における粘度が、3000mPa・s以上35000mPa・s以下である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【請求項19】
第1剤と第2剤の混合物の全量を毛髪の根元部に塗布する請求項1〜18のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品の使用方法。
【請求項20】
次の工程(a)及び(b)を有する、染毛又は毛髪脱色方法。
(a) 請求項1〜18のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品の第1剤及び第2剤を容器本体内で混合する工程
(b) 該容器本体に先細ノズル部を備えたキャップ体を装着させたアプリケーターから前記混合物を注出して毛髪の根元部分に塗布する工程
【請求項21】
工程(b)の後、更に次の工程(c)を有する、請求項20に記載の染毛又は毛髪脱色方法。
(c) 毛髪の根元部分に塗布された混合物を1〜30分間放置する工程
【請求項22】
工程(c)の後、更に次の工程(d)を有する、請求項21に記載の染毛又は毛髪脱色方法。
(d) 毛髪の根元部分の混合物を毛髪全体に塗り広げる工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛用又は毛髪脱色用化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の染色及び脱色には、2種以上の剤を使用直前に混合する酸化型の染毛剤や毛髪脱色剤が広く用いられている。こういった酸化型の染毛剤や毛髪脱色剤では、アルカリを含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤を混合して過酸化水素を活性化させ、頭髪上で毛髪メラニンの分解及び酸化染料の重合を行っているため、非常に効率よく頭髪の色を変えることができる。
【0003】
しかし、酸化型染毛剤及び脱色剤では活性化した過酸化水素によって毛髪繊維が損傷を受けることが広く知られている。酸化による損傷を受けた毛髪は、一定の期間が経過した後に、再度染毛処理や脱色処理をする場合に、染料が過剰に浸透したり、過剰な脱色が起こったりして想定どおりの染め上がりにならないという問題があった。
【0004】
このような問題に対して、酸化による損傷を受けていない新生毛部にのみ酸化型染毛剤又は毛髪脱色剤を塗布して一定時間放置した後、既染毛部に改めて酸化型染毛剤又は毛髪脱色剤を塗布する方法が推奨されているが、酸化型染毛剤又は脱色剤を2度に分けて塗布する必要があるため、操作が煩雑で手間のかかるものであった。また、1回以上酸化染毛処理又は脱色処理した毛髪部位を、ケラチン加水分解物で前もって処理する方法(特許文献1)や、新生毛に対してはアルカリ性酸化染毛剤組成物を塗布し、既染毛に対しては微アルカリ性酸化染毛剤組成物を塗布する方法(特許文献2)が提案されているが、これらの方法も、毛髪に剤を2度に分けて塗布する必要があり煩雑さを避けることができない。
【0005】
(特許文献1)特開2002-114644号公報
(特許文献2)特開2002-241248号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤、及び過酸化水素を含有する第2剤を備え、
第1剤及び第2剤のいずれか一方の剤の25℃における粘度が100mPa・s以下、他方の剤の25℃における粘度が1000mPa・s以上であり、
第1剤と第2剤の混合物中に次の成分(A)〜(D)を含有し、該混合物中の成分(A)に対する成分(B)と成分(C)の合計の質量比[(B)+(C)]/(A)が2以上11以下である、
染毛用又は毛髪脱色用化粧品を提供するものである。
(A) ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含み、電荷密度が2.5meq/g以上9meq/g以下である重合体
(B) 下記一般式(3)で表される化合物
5-O-(CH2CH2O)n-[CH2CH(CH3)O]m-SO31 (3)
〔式中、R5は炭素数8以上25以下の炭化水素基を示し、nは0以上50以下の平均付加モル数を示し、mは0以上50以下の平均付加モル数を示し、M1はアルカリ金属又はNH4を示す。〕
(C) カルボキシ基を有するアニオン界面活性剤
(D) オキシエチレン基の平均付加モル数が90以上250以下であるポリオキシアルキレン型非イオン界面活性剤
【0007】
更に本発明は、第1剤と第2剤の混合物の全量を毛髪の根元部に塗布する前記染毛用又は毛髪脱色用化粧品の使用方法を提供するものである。
【0008】
更に本発明は、次の工程(a)及び(b)を有する、染毛又は毛髪脱色方法を提供するものである。
(a) 前記の染毛用又は毛髪脱色用化粧品の第1剤及び第2剤を容器本体内で混合する工程
(b) 該容器本体に先細ノズル部を備えたキャップ体を装着させたアプリケーターから前記混合物を注出して毛髪の根元部分に塗布する工程
【発明の詳細な説明】
【0009】
本発明者は、酸化による損傷を受けていない新生毛部(毛髪の根元部)にのみ酸化型染毛剤又は毛髪脱色剤を塗布して一定時間放置した後、その塗布した剤を既染毛部(毛髪の毛先部)に塗り伸ばすことができれば、新生毛部には高い染色又は脱色効果を与えながら既染毛部には穏やかな染色又は脱色効果が得られ、2度塗りすることなく、新生毛部と既染毛部の均一な染め上がりが可能となると考えた。
【0010】
しかしながら、頭髪への塗り伸ばし易さを改善しようとして酸化型染毛剤又は毛髪脱色剤を低粘度にすると、液だれの原因となる。一方、液だれを抑制しようとして酸化染毛剤又は毛髪脱色剤を高粘度にすると、毛先部まで均一に塗り伸ばすことが困難となる。
【0011】
本発明は、液だれすることなく毛髪の根元部に正確に塗布しやすい一方で、根本部に一定時間放置した後であっても、毛先部まで均一に伸ばし易い、毛髪全体への均染性に優れた染毛用又は毛髪脱色用化粧品に関する。
【0012】
本発明者らは、特定のカチオン性ポリマーと、特定の2種類のアニオン界面活性剤と、特定の非イオン界面活性剤とを併用し、かつ上記カチオン性ポリマーと上記2種類のアニオン界面活性剤との比率を一定範囲内とすることにより、前記要求を満たす染毛用又は毛髪脱色用化粧品が得られることを見いだした。すなわち、本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品は、頭髪への適用の初期の段階では液だれすることなく毛髪の根元部分や生え際に対し正確に塗布しやすく、かつ、その染まりにくい根元部や生え際を十分に染色するために塗布して一定時間経過させた後であっても、指やコーム等で毛先方向にシェアをかけることで容易に塗り伸ばしできる状態となり、その結果、慣れない使用者であっても、頭髪全体の均一な染色又は脱色が可能である。
【0013】
本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品は、第1剤及び第2剤を混合して用いる二剤式化粧品、又は、第1剤及び第2剤に加え、更に過硫酸塩等の造粒物などの第3剤を混合して用いる三剤式化粧品として使用することができる。本発明において、第1剤と第2剤の混合物とは、二剤式化粧品の場合には第1剤及び第2剤の混合物を、三剤式化粧品の場合には第1剤、第2剤及び第3剤の混合物を意味する。
【0014】
〔アルカリ剤〕
第1剤中にはアルカリ剤を含有する。アルカリ剤としては、アンモニア及びその塩(例えば炭酸水素アンモニウム);モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノブタノール等のアルカノールアミン及びその塩;1,3-プロパンジアミン等のアルカンジアミン及びその塩;炭酸グアニジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩などが挙げられる。これらのアルカリ剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第1剤と第2剤の混合物中におけるアルカリ剤の含有量は、十分な染毛効果の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上、更に好ましくは0.20質量%以上であり、また、毛髪損傷や頭皮刺激の低減の観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0015】
〔過酸化水素〕
第2剤中には過酸化水素を含有する。第2剤中における過酸化水素の含有量は、十分な脱色効果の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは12質量%以下、より好ましくは9質量%以下である。第1剤と第2剤の混合物中における過酸化水素の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。
【0016】
〔成分(A):ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む重合体〕
本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品は、第1剤と第2剤の混合物中に、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含み、電荷密度2.5meq/g以上9meq/g以下である重合体を含有する。ここで、本発明において電荷密度とは、ポリマー1g当たりのカチオン性基のモル数×1000(meq/g)をいう。なお、本発明におけるジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む重合体には、ジアリル4級アンモニウム塩以外のカチオン性基を有する構成単位や、アニオン性基及び/又はノニオン性基を有する構成単位を更に含む重合体も含まれる。本発明においては、このような重合体の場合も、カチオン性基の電荷密度のみを考慮するものとする。
【0017】
成分(A)の電荷密度は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの両観点から、2.5meq/g以上9meq/g以下であって、好ましくは3.0meq/g以上、より好ましくは3.5meq/g以上、更に好ましくは4.5meq/g以上であり、また、好ましくは8.0meq/g以下、より好ましくは7.0meq/g以下、更に好ましくは6.5meq/g以下、更に好ましくは6.0meq/g以下、更に好ましくは5.5meq/g以下である。
【0018】
成分(A)の重合体は、次の一般式(1)又は(2)で表される骨格を有する重合体である。
【0019】
【化1】
【0020】
〔式中、R1及びR2は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1以上18以下のアルキル基、アリール基(フェニル基等)、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基又はカルボアルコキシアルキル基を示し、R3及びR4は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基又はフェニル基を示し、X-はアニオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸アニオン、スルホン酸アニオン、メチル硫酸アニオン、リン酸アニオン、硝酸アニオン等)を示す。〕
【0021】
成分(A)の重合体は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、式(1)又は(2)で表される構成単位を、一分子中に好ましくは20〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%、更に好ましくは50〜100モル%含有する。
【0022】
成分(A)の重合体としては、ジアリル4級アンモニウム塩の単独重合体、ジアリル4級アンモニウム塩とアクリル酸との共重合体、ジアリル4級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体が好ましい。
【0023】
ジアリル4級アンモニウム塩とアクリル酸との共重合体としては、例えば次の一般式(1a)又は(2a)で表されるものが好ましい。また、ジアリル4級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体としては、例えば次の一般式(1b)又は(2b)で表されるものが好ましい。
【0024】
【化2】
【0025】
〔各式中、R1、R2、R3、R4及びX-は前記と同じ意味を示す。x及びyはそれぞれ1〜99の数を示し、zは150〜8,000の数を示す。〕
【0026】
xとyの割合(x:y)は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、好ましくは50:50〜95:5、より好ましくは55:45〜90:10であり、更に好ましくは60:40〜85:15である。
xとyの付加形態はブロックでもランダムでもよい。
【0027】
【化3】
【0028】
〔各式中、R1、R2、R3、R4及びX-は前記と同じ意味を示す。x及びyはそれぞれ1〜99の数を示し、zは150〜8,000の数を示す。〕
【0029】
xとyの割合(x:y)は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは15:85〜80:20、更に好ましくは20:80〜70:30である。
xとyの付加形態はブロックでもランダムでもよい。
【0030】
成分(A)の重量平均分子量は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、好ましくは40,000以上、より好ましくは200,000以上、更に好ましくは4000,000以上、更に好ましくは2,000,000以上、更に好ましくは4,000,000以上であり、また好ましくは50,000,000以下、より好ましくは10,000,000以下、更に好ましくは5,000,000以下である。
【0031】
ここで、重量平均分子量は、例えばゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、以下の条件にて測定することができる。
移動層:50mM LiBr, 1質量%CH3COOH/エタノール:水=3:7
カラム:TSK gel α-M(2本直列)
標準物質:ポリエチレングリコール
【0032】
成分(A)の具体例としては、マーコート100(Lubrizol社製、ジアリル4級アンモニウムの単独重合体)、マーコート280、同295(Lubrizol社製、ジアリル4級アンモニウム塩とアクリル酸との共重合体)、マーコート740、同550(Lubrizol社製、ジアリル4級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体)が挙げられる。
【0033】
成分(A)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。成分(A)は、本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品の第1剤、第2剤、第3剤のいずれに含有させてもよいが、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、第1剤中に含有させることが好ましい。
【0034】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(A)の含有量は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、好ましくは0.10質量%以上、より好ましくは0.125質量%以上、更に好ましくは0.15質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0035】
〔成分(B):一般式(3)で表される化合物〕
本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品は、第1剤と第2剤の混合物中に、下記一般式(3)で表される化合物を含有する。
5-O-(CH2CH2O)n-[CH2CH(CH3)O]m-SO31 (3)
〔式中、R5は炭素数8以上25以下の炭化水素基を示し、nは0以上50以下の平均付加モル数を示し、mは0以上50以下の平均付加モル数を示し、M1はアルカリ金属又はNH4を示す。〕
【0036】
一般式(3)中のR5の炭素数は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、8以上であって、好ましくは10以上であり、また、25以下であって、好ましくは24以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは18以下である。また、R5は、直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、直鎖のアルキル基がより好ましい。
【0037】
一般式(3)中のnは、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上であり、また、好ましくは45以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、更に好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。
【0038】
一般式(3)中のmは、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、好ましくは30以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、更に好ましくは0である。
【0039】
一般式(3)中のM1は、塩を形成する陽イオン基であり、アルカリ金属又はNH4である。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、リチウムが挙げられるが、これらの中でも、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、ナトリウム、カリウムがより好ましく、ナトリウムが更に好ましい。
【0040】
成分(B)の(CH2CH2O)及び[CH2CH(CH3)O]の付加形態はブロックでもランダムでもよい。
【0041】
成分(B)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。成分(B)は、本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品の第1剤、第2剤、第3剤のいずれに含有させてもよいが、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、第1剤中に含有させることが好ましい。
【0042】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(B)の含有量は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0043】
〔成分(C):カルボキシ基を有するアニオン界面活性剤〕
本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品は、第1剤と第2剤の混合物中に、カルボキシ基を有するアニオン界面活性剤を含有する。それらの中でも、N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩、及びアルキルエーテルカルボン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0044】
ここで、N-アシルアミノ酸塩のアミノ酸残基としては、グルタミン酸、アスパラギン酸等の残基が挙げられ、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩のアミノ酸残基としては、グルタミン酸、グリシン、β-アラニン等の残基が挙げられる。また、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩のアルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル基が挙げられる。また、アシル基としては、炭素数12〜18のアシル基が好ましく、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル基等が挙げられ、これらの塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各塩が挙げられる。これらの好ましい具体例として、N-アシルアミノ酸としては、N-ラウロイルグルタミン酸、N-ミリストイルグルタミン酸、N-ココイルグルタミン酸等が挙げられ、N-アシル-N-アルキルアミノ酸としては、N-ラウロイル-N-イソプロピルグリシン、N-ラウロイルサルコシン、N-ミリストイルサルコシン、N-パルミトイルサルコシン、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニン等が挙げられる。
【0045】
アルキルエーテルカルボン酸塩としては、次の一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0046】
6-Z-(CH2CH2O)q-CH2COOM2 (4)
〔式中、R6は炭素数7以上19以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、Zは−O−又は−CONH−を示し、M2は水素原子、アルカリ金属、トリエタノールアミン又はアンモニウムを示し、qは1以上20以下の数を示す。〕
【0047】
上記一般式(4)において、R6の炭素数は、7以上であって、好ましくは11以上であり、また、19以下であって、好ましくは15以下である。qは1以上であって、好ましくは3以上、より好ましくは6以上であり、また、20以下であって、好ましくは15以下、より好ましくは12以下である。一般式(4)で表される化合物の具体例としては、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸(一般式(4)中、R6=C1225、Z=−O−、q=10)、ポリオキシエチレン(8)ミリスチルエーテル酢酸(一般式(4)中、R6=C1429、Z=−O−、q=8)、ラウリン酸アミドポリオキシエチレン(6)エーテル酢酸(一般式(4)中、R6=C1123、Z=−CONH−、q=6)、ラウリン酸アミドポリオキシエチレン(10)エーテル酢酸(一般式(4)中、R6=C1123、Z=−CONH−、q=10)等が挙げられる。またその中和度は60〜120%であるのが好ましく、M2としては、アルカリ金属、更にはカリウムが好ましい。
【0048】
成分(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。成分(C)は、本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品の第1剤、第2剤、第3剤のいずれに含有させてもよいが、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、第1剤中に含有させることが好ましい。
【0049】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(C)の含有量は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0050】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(B)及び(C)の合計の含有量は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である。
【0051】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(B)及び(C)の合計に対する成分(B)の質量比(B)/[(B)+(C)]は、液だれのし難さの観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.4以上であり、また、剤の物性変化の観点、例えば、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さの観点から、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.6以下である。
【0052】
第1剤と第2剤の混合物中における成分(A)に対する成分(B)及び(C)の合計の質量比[(B)+(C)]/(A)は、2以上11以下であり、剤の物性変化の観点、例えば、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さの観点から、好ましくは2.2以上、より好ましくは2.4以上、更に好ましくは2.6以上、更に好ましくは2.8以上、更に好ましくは3.0以上、更に好ましくは4以上であり、また、液だれのし難さの観点から、好ましくは10以下、より好ましくは9以下である。この質量比にすることで、混合物を根元部や生え際に塗布して一定時間経過後であっても、混合物を毛先方向に向けて容易に塗り伸ばすことができる。
【0053】
〔成分(D):ポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤〕
本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品は、第1剤と第2剤の混合物中に、オキシエチレン基の平均付加モル数が90以上250以下であるポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤を含有する。
【0054】
オキシエチレン基の平均付加モル数が90以上250以下であるポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤としては、次の一般式(5)で表されるものを用いることができる。
7-O-(CH2CH2O)r-H (5)
〔式中、R7は炭素数8以上22以下の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、rは平均値で90以上250以下の数を示す。〕
【0055】
7の炭素数は、染毛剤に含有される染料の溶解性の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。
rは、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、好ましくは95以上、より好ましくは100以上、また好ましくは220以下、より好ましくは200以下、更に好ましくは180以下である。
【0056】
ポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等が挙げられる。
【0057】
成分(D)のポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、第1剤、第2剤、第3剤のいずれに含有させてもよい。第1剤と第2剤の混合物中における成分(D)の含有量は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さ及び液だれのし難さの観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0058】
〔成分(E):脂肪族アルコール〕
本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さの観点から、第1剤と第2剤の混合物中に、成分(E)として炭素数12以上24以下の脂肪族アルコールを含有することができる。成分(E)としては、下記一般式(6)で表されるものを用いることができる。
【0059】
8-OH (6)
〔式中、R8は炭素数12以上24以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示す。〕
【0060】
一般式(6)中のR8の炭素数は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さの観点から、12以上であって、好ましくは14以上であり、また、24以下であって、好ましくは22以下である。また、R8は、直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、直鎖のアルキル基がより好ましい。
【0061】
炭素数12以上24以下の脂肪族アルコールの具体例としては、例えば、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
【0062】
成分(E)は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、第1剤、第2剤、第3剤のいずれに含有させてもよいが、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さの観点から、第2剤中に含有させることが好ましい。第1剤と第2剤の混合物中における成分(E)の含有量は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さの観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である。
【0063】
〔成分(F):カチオン界面活性剤〕
本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さの観点から、第1剤と第2剤の混合物中に、成分(F)として4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を含有することができる。成分(F)のカチオン界面活性剤としては、次の一般式(7)で表されるものを用いることができる。
【0064】
【化4】
【0065】
〔式中、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R9、R10、R11及びR12のうち1又は2個が炭素数8以上36以下であって、かつ残余が炭素数1以上7以下である。Y-はアニオンを示す。〕
【0066】
ここで炭化水素基としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、アリール基、アラルキル基が挙げられ、置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、エポキシ基、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基、トリアルキルアンモニウム基、脂肪酸アミド基、脂肪酸エステル基が挙げられる。
【0067】
9、R10、R11及びR12のうち1又は2個(好ましくは1個)は、炭素数8以上36以下の炭化水素基であるが、直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることが好ましく、またその炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、また、好ましくは30以下、より好ましくは24以下、更に好ましくは18以下である。また、残余の基は、炭素数1以上3以下、更には炭素数1又は2、更には炭素数1のアルキル基であることが好ましい。
【0068】
アニオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、乳酸イオン、サッカリンイオンが挙げられ、なかでも入手の容易性の観点から塩化物イオン及び臭化物イオンが好ましい。
【0069】
成分(F)の具体例としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム(INCI名:セトリモニウムクロリド)、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(INCI名:ステアルトリモニウムクロリド)、塩化イソステアリルトリメチルアンモニウム(INCI名:イソステアリルトリモニウムクロリド)、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(INCI名:ラウリルトリモニウムクロリド)、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(INCI名:ベヘントリモニウムクロリド)、塩化ココイルトリメチルアンモニウム(INCI名:ココトリモニウムクロリド)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(INCI名:セトリモニウムブロミド)、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム(INCI名:ステアルトリモニウムブロミド)、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム(INCI名:ラウリルトリモニウムブロミド)、塩化イソステアリルラウリルジメチルアンモニウム(INCI名:イソステアリルラウリルジモニウムクロリド)、塩化ジセチルジメチルアンモニウム(INCI名:ジセチルジモニウムクロリド)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(INCI名:ジステアリルジモニウムクロリド)、塩化ジココイルジメチルアンモニウム(INCI名:ジココジモニウムクロリド)等が挙げられる。
【0070】
成分(F)としては、塩化モノアルキルトリメチルアンモニウム、臭化モノアルキルトリメチルアンモニウムが好ましく、なかでも塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(INCI名:ステアルトリモニウムクロリド)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(INCI名:セトリモニウムクロリド)、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(INCI名:ラウリルトリモニウムクロリド)がより好ましい。
【0071】
成分(F)は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、第1剤、第2剤、第3剤のいずれに含有させてもよい。第1剤と第2剤の混合物中における成分(F)の含有量は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さの観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0072】
〔高級脂肪酸又はその塩〕
本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さの観点から、第1剤と第2剤の混合物中に、高級脂肪酸又はその塩を含有し得る。高級脂肪酸塩としては、例えば炭素数8〜22の脂肪酸の塩基塩が挙げられる。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の単一脂肪酸の塩基塩、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸等の混合脂肪酸の塩基塩を挙げることができる。ここで塩としては、ナトリウム、カリウム等の無機塩基性塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノ-2-メチルプロパンジオール等のアルカノールアミン塩、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。
【0073】
高級脂肪酸又はその塩は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、第1剤、第2剤、第3剤のいずれに含有させてもよい。第1剤と第2剤の混合物中における成分(G)の含有量は、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さの観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
【0074】
〔成分(D)以外の非イオン界面活性剤〕
本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品は、第1剤と第2剤の混合物中に、更に成分(D)以外の非イオン界面活性剤を含有することができる。
【0075】
成分(D)以外の非イオン界面活性剤としては、次の一般式(8)で表される第2級アルコールのポリエトキシレート、アルキルグリコシドが挙げられる。
【0076】
【化5】
【0077】
〔式中、a及びbは、合計で7以上21以下となる数を示し、cは重量平均で6以上16以下の数を示す。〕
【0078】
一般式(8)中、a及びbの合計は、好ましくは7以上、より好ましくは9以上であり、また、好ましくは19以下、より好ましくは15以下である。cは、好ましくは8以上であり、また、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。第2級アルコールのポリエトキシレートとしては、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(日本触媒社のソフタノール90;一般式(8)においてa+b=9〜11、c=9)を好適に使用することができる。
【0079】
また、アルキルグルコシドとしては、アルキル基の平均炭素数が8以上16以下であり、糖の平均縮合度が1以上、2以下であるアルキルグリコシドを好適に使用することができる。
【0080】
〔両性界面活性剤〕
本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品は、第1剤と第2剤の混合物中に、更に両性界面活性剤を含有することができる。
【0081】
両性界面活性剤としては、炭素数8以上24以下のアルキル基、アルケニル基又はアシル基を有するカルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系、ホスホベタイン系、イミダゾリニウム系、アミンオキサイド系の界面活性剤が挙げられ、なかでもカルボベタイン系界面活性剤、スルホベタイン系界面活性剤が好ましい。好ましい両性界面活性剤としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0082】
両性界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、第1剤、第2剤、第3剤のいずれに含有させてもよい。第1剤と第2剤の混合物中における両性界面活性剤の含有量は、染毛剤の塗布性の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0083】
〔染料〕
本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品が、染毛用化粧品である場合、第1剤中に酸化染料中間体又は直接染料を含有する。
【0084】
(酸化染料中間体)
酸化染料中間体としては、通常染毛剤に使用されている公知のプレカーサー及びカプラーを用いることができる。プレカーサーとしては、例えばパラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、オルトクロルパラフェニレンジアミン、N-フェニルパラフェニレンジアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、3-メチル-4-アミノフェノール、2-ヒドロキシエチルパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、4-アミノ-メタクレゾール、オルトアミノフェノール、及びこれらの塩等が挙げられる。
【0085】
また、カプラーとしては、例えばレゾルシン、2-メチルレゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、5-アミノオルトクレゾール、メタフェニレンジアミン、オルトアミノフェノール、メタアミノフェノール、パラアミノフェノール、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2,6-ジアミノピリジン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、及びこれらの塩等が挙げられる。
【0086】
プレカーサーとカプラーはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、第1剤中におけるプレカーサーとカプラーそれぞれの含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下である。
【0087】
(直接染料)
直接染料としては、酸性染料、ニトロ染料、分散染料、塩基性染料等が挙げられる。より具体的には、酸性染料としては、青色1号、紫色401号、黒色401号、だいだい色205号、赤色227号、赤色106号、黄色203号、酸性橙3等が挙げられ、ニトロ染料としては、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、HC青2、HC橙1、HC赤1、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC赤3、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン等が挙げられ、分散染料としては、分散紫1、分散青1、分散黒9等が挙げられ、塩基性染料としては、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性赤76、塩基性黄76、塩基性橙31、塩基性赤51等が挙げられる。
【0088】
直接染料は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、酸化染料中間体と併用してもよい。第1剤中における直接染料の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
【0089】
〔その他任意成分〕
本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品には、上記成分のほかに通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。このような任意成分としては、油剤、シリコーン類、不揮発性親水性溶剤、動植物油脂、天然又は合成の高分子、エーテル類、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、防腐剤、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0090】
〔pH〕
本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品の第1剤のpH(25℃)は、染毛効果と皮膚刺激性抑制の点から、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.0以上であり、また、好ましくは11.5以下、より好ましくは11.0以下、更に好ましくは10.8以下である。また、第2剤のpH(25℃)は、過酸化水素の分解抑制の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上であり、また、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。更に、第1剤と第2剤の混合物のpH(25℃)は、染毛効果と皮膚刺激性の点から、好ましくは8以上、より好ましくは9以上であり、また、好ましくは12以下、より好ましくは11.0以下、更に好ましくは10.5以下である。pH調整剤としては、前記のアルカリ剤のほか、塩酸、リン酸等の無機酸;クエン酸、グリコール酸、乳酸等の有機酸;リン酸二水素一カリウム、リン酸一水素二ナトリウム等のリン酸塩等が挙げられる。
【0091】
〔粘度〕
本発明の第1剤及び第2剤のいずれか一方の25℃における粘度は100mPa・s以下、他方の25℃における粘度は1000mPa・s以上である。
【0092】
(25℃における粘度が100mPa・s以下の剤の粘度)
25℃における粘度が100mPa・s以下の剤の粘度は、BROOKFIELD VISCOMETER(Model:LV DV-I Prime、BROOKFIELD社製)を用い、LV SPINDLE(62)、回転数60rpmの条件下で25℃で1分間回転させた後の値とする。
25℃における粘度が100mPa・s以下の剤の粘度は、混合のしやすさの観点から、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは2mPa・s以上、更に好ましくは3mPa・s以上であり、また好ましくは95mPa・s以下、より好ましくは90mPa・s以下、更に好ましくは85mPa・s以下である。
【0093】
(25℃における粘度が1000mPa・s以上の剤の粘度)
25℃における粘度が1000mPa・s以上の剤の粘度は、ヘリカルスタンド付きBROOKFIELD VISCOMETER(Model:RV DV-I Prime、BROOKFIELD社製)を用い、HELIPATH SPINDLE(T-bar spindle C(93))、回転数10rpmの条件下で25℃で1分間回転させた後の値とする。
25℃における粘度が1000mPa・s以上の剤の粘度は、混合剤の液ダレ防止の観点から、好ましくは3000mPa・s以上、より好ましくは5000mPa・s以上、更に好ましくは10000mPa・s以上であり、また好ましくは35000mPa・s以下、より好ましくは30000mPa・s以下、更に好ましくは25000mPa・s以下、更に好ましくは20000mPa・s以下である。
【0094】
(第1剤と第2剤の混合物の25℃における粘度)
第1剤と第2剤の混合物の粘度は、ヘリカルスタンド付きBROOKFIELD VISCOMETER(Model:RV DV-I Prime、BROOKFIELD社製)を用い、HELIPATH SPINDLE(T-bar spindle C(93))、回転数10rpmの条件下で25℃で1分間回転させた後の値を、混合物の粘度とする。測定に際しては、第1剤(48g)と第2剤(72g)を内容積150mLの容器本体に入れ、容器本体に先細ノズル部を備えたキャップ体を装着する。先端ノズル部を手で押さえ、上下に10〜50回振とうして混合物を調製した後に30秒間静置し、その後上記の測定に付するものとする。
混合物の25℃における粘度は、混合物の液ダレ防止、及び混合物の毛髪上での伸ばしやすさの両観点から、好ましくは5000mPa・s以上、より好ましくは7000mPa・s以上、更に好ましくは9000mPa・s以上、更に好ましくは20000mPa・s以上であり、また、好ましくは35000mPa・s以下、より好ましくは33000mPa・s以下、更に好ましくは31000mPa・s以下、更に好ましくは29000mPa・s以下である。
【0095】
第1剤と第2剤の混合物の粘度が上記範囲となるように調整することにより、毛髪の根元に塗布された混合物の毛先方向への伸ばし易さを実現することができ、かつ毛髪に塗布された混合物の垂れ落ちを抑制することができる。混合物の粘度を前述の範囲に調整するためには、水溶性溶剤を添加したり、あるいは界面活性剤、ポリオール類、高級アルコール等の含有量や種類を適宜調整したりすればよい。
【0096】
〔アプリケーター〕
本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品は、混合物を毛髪の根元に直接塗布し得るように、先細の吐出部を備えたアプリケーターに収容させることもできる。アプリケーターとしては、例えば、実開平6-65254号公報の図1に記載されるものを用いることができる。
【0097】
本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品における第1剤と第2剤との混合比は、質量比で1:4〜4:1が好ましく、1:3〜1:1がより好ましい。
【0098】
〔毛髪脱色又は染毛方法〕
・前処理工程
本発明の染毛又は毛髪脱色方法は、本発明の染毛用又は毛髪脱色用化粧品を用い、次の工程(a)及び(b)を含むものであるが、前処理工程として、予め毛髪を梳かしておく工程を有してもよい。これにより、混合物を毛髪の根元に塗布した後、一定時間放置後、該混合物を毛先方向に伸ばす際に毛髪が絡まりにくくなるので、混合物が飛び散るおそれがなくなる。
【0099】
・工程(a)
工程(a)は、第1剤及び第2剤(三剤式化粧品の場合は、更に第3剤)を容器本体内で混合する工程である。第1剤及び第2剤のいずれか一方の25℃における粘度を100mPa・s以下に設定することで、他方の25℃における粘度が1000mPa・s以上の剤を容器本体内で容易に混合させることができる。容器本体を上下に好ましくは2回以上、より好ましくは3回以上、更に好ましくは4回以上振とうさせることで、第1剤及び第2剤(三剤式化粧品の場合は、更に第3剤)を確実に混合させ、染色ムラ又は脱色ムラを防止することができる。
【0100】
・工程(b)
工程(b)は、容器本体に先細ノズル部を備えたキャップ体を装着させたアプリケーターから第1剤と第2剤(三剤式化粧品の場合は、更に第3剤)の混合物を注出して毛髪の根元部分に塗布する工程である。例えば、実開平6-65254号公報の図1に記載されるアプリケーターを用いることで、毛髪の根元部に確実に塗布することができる。
【0101】
・工程(c)
工程(b)の後、工程(c)として、毛髪の根元部分に塗布された混合物を1〜30分間放置する工程を有することが好ましい。この工程により、染まりにくい、新たに生えてきた毛髪の根元部分をより確実に染毛又は脱色することができる。
【0102】
・工程(d)
工程(c)の後、更に、工程(d)として、毛髪の根元部分の混合物を毛髪全体に塗り広げる工程、例えば、手を用いて毛髪上で混合物を揉みこむ工程を有することが好ましい。
【0103】
・工程(e)
工程(d)の後、更に、工程(e)として、5〜20分放置する工程を有することが好ましい。この際、放置の間の液ダレを一層防止する観点から、手を用いて毛髪上で揉みこむことが好ましい。
【0104】
これらの工程(a)及び(b)の後、好ましくは工程(a)〜(c)の後、より好ましくは工程(a)〜(d)の後、更に好ましくは工程(a)〜(e)の後、混合物を洗い流し、その後、適宜シャンプーやリンスをした後水洗して、髪を乾燥させることができる。
【0105】
以上述べた実施形態に関し、以下に本発明の好ましい態様を更に開示する。
【0106】
<1> アルカリ剤を含有する第1剤、及び過酸化水素を含有する第2剤を備え、
第1剤及び第2剤のいずれか一方の25℃における粘度が100mPa・s以下、他方の25℃における粘度が1000mPa・s以上であり、
第1剤と第2剤の混合物中に次の成分(A)〜(D)を含有し、該混合物中の成分(A)に対する成分(B)と成分(C)の合計の質量比[(B)+(C)]/(A)が2以上11以下である、
染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
(A) ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含み、電荷密度が2.5meq/g以上9meq/g以下である重合体
(B) 下記一般式(3)で表される化合物
5-O-(CH2CH2O)n-[CH2CH(CH3)O]m-SO31 (3)
〔式中、R5は炭素数8以上25以下の炭化水素基を示し、nは0以上50以下の平均付加モル数を示し、mは0以上50以下の平均付加モル数を示し、M1はアルカリ金属又はNH4を示す。〕
(C) カルボキシ基を有するアニオン界面活性剤
(D) オキシエチレン基の平均付加モル数が90以上250以下であるポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤
【0107】
<2> 成分(A)の電荷密度が、好ましくは3.0meq/g以上、より好ましくは3.5meq/g以上、更に好ましくは4.5meq/g以上であり、また、好ましくは8.0meq/g以下、より好ましくは7.0meq/g以下、更に好ましくは6.5meq/g以下、更に好ましくは6.0meq/g以下、更に好ましくは5.5meq/g以下である、<1>に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0108】
<3> 成分(A)の重合体が、好ましくは次の一般式(1)又は(2)で表される骨格を有する重合体である、<1>又は<2>に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0109】
【化6】
【0110】
〔式中、R1及びR2は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1以上18以下のアルキル基、アリール基(フェニル基等)、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基又はカルボアルコキシアルキル基を示し、R3及びR4は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基又はフェニル基を示し、X-はアニオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸アニオン、スルホン酸アニオン、メチル硫酸アニオン、リン酸アニオン、硝酸アニオン等)を示す。〕
【0111】
<4> 成分(A)の重合体が、式(1)又は(2)で表される構成単位を、一分子中に好ましくは20〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%、更に好ましくは50〜100モル%含有する、<3>に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0112】
<5> 成分(A)の重量平均分子量が、好ましくは40,000以上、より好ましくは200,000以上、更に好ましくは4000,000以上、更に好ましくは2,000,000以上、更に好ましくは4,000,000以上であり、また好ましくは50,000,000以下、より好ましくは10,000,000以下、更に好ましくは5,000,000以下である、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0113】
<6> 第1剤と第2剤の混合物中における成分(A)の含有量が、好ましくは0.10質量%以上、より好ましくは0.125質量%以上、更に好ましくは0.15質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0114】
<7> 一般式(3)中のR5が、好ましくは直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは直鎖のアルキル基であり、R5の炭素数が、好ましくは10以上であり、また、好ましくは24以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは18以下である、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0115】
<8> 一般式(3)中のnが、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上であり、また、好ましくは45以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、更に好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0116】
<9> 一般式(3)中のmが、好ましくは30以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、更に好ましくは0である、<1>〜<8>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0117】
<10> 第1剤と第2剤の混合物中における成分(B)の含有量が、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である、<1>〜<9>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0118】
<11> 成分(C)が、好ましくはN-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩、及びアルキルエーテルカルボン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である、<1>〜<10>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0119】
<12> 第1剤と第2剤の混合物中における成分(C)の含有量が、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である、<1>〜<11>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0120】
<13> 第1剤と第2剤の混合物中における成分(B)及び(C)の合計の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である、<1>〜<12>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0121】
<14> 第1剤と第2剤の混合物中における成分(B)と成分(C)の合計に対する成分(B)の質量比(B)/[(B)+(C)]が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.4以上であり、また、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.6以下である、<1>〜<13>に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0122】
<15> 第1剤と第2剤の混合物中における成分(A)に対する成分(B)及び(C)の合計の質量比[(B)+(C)]/(A)が、好ましくは2.2以上、より好ましくは2.4以上、更に好ましくは2.6以上、更に好ましくは2.8以上、更に好ましくは3.0以上、更に好ましくは4以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは9以下である、<1>〜<14>に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0123】
<16> 成分(D)が、好ましくは次の一般式(5)で表されるポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤である、<1>〜<15>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
7-O-(CH2CH2O)r-H (5)
〔式中、R7は炭素数が8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、また22以下、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、rは平均値で90以上、好ましくは95以上、より好ましくは100以上であり、また、250以下、好ましくは220以下、より好ましくは200以下、更に好ましくは180以下である数を示す。〕
【0124】
<17> 第1剤と第2剤の混合物中における成分(D)の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である、<1>〜<16>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0125】
<18> 好ましくは、更に、第1剤と第2剤の混合物中に成分(E)として炭素数12以上24以下の脂肪族アルコールを含有する、<1>〜<17>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0126】
<19> 成分(E)が、好ましくは下記一般式(6)で表されるものである、<18>に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0127】
8-OH (6)
〔式中、R8は炭素数が12以上、好ましくは14以上であり、また、24以下、好ましくは22以下である、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、好ましくは直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、より好ましくは直鎖のアルキル基を示す。〕
【0128】
<20> 第1剤と第2剤の混合物中における成分(E)の含有量が、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である<18>又は<19>に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0129】
<21> 好ましくは、更に、第1剤と第2剤の混合物中に成分(F)として4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を含有する、<1>〜<20>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0130】
<22> 第1剤と第2剤の混合物中における成分(F)の含有量が、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である、<21>に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0131】
<23> 第1剤のpH(25℃)が、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.0以上で、好ましくは11.5以下、より好ましくは11.0以下、更に好ましくは10.8以下であって、第2剤のpH(25℃)が、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上で、好ましくは6以下、より好ましくは4以下であって、第1剤と第2剤の混合物のpH(25℃)が、好ましくは8以上、より好ましくは9以上で、好ましくは12以下、より好ましくは11.0以下、更に好ましくは10.5以下である、<1>〜<22>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0132】
<24> 第1剤及び第2剤のいずれか一方の剤の25℃における粘度が、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは2mPa・s以上、更に好ましくは3mPa・s以上で、好ましくは95mPa・s以下、より好ましくは90mPa・s以下、更に好ましくは85mPa・s以下であって、他方の剤の25℃における粘度が、好ましくは3000mPa・s以上、より好ましくは5000mPa・s以上、更に好ましくは10000mPa・s以上で、好ましくは35000mPa・s以下、より好ましくは30000mPa・s以下、更に好ましくは25000mPa・s以下、更に好ましくは20000mPa・s以下である、<1>〜<23>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0133】
<25> 第1剤と第2剤の混合物の25℃における粘度が、好ましくは5000mPa・s以上、より好ましくは7000mPa・s以上、更に好ましくは9000mPa・s以上、更に好ましくは20000mPa・s以上であり、また、好ましくは35000mPa・s以下、より好ましくは33000mPa・s以下、更に好ましくは31000mPa・s以下、更に好ましくは29000mPa・s以下である、<1>〜<24>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品。
【0134】
<26> 第1剤と第2剤の混合物の全量を毛髪の根元部に塗布する<1>〜<25>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品の使用方法。
【0135】
<27> 次の工程(a)及び(b)を有する、染毛又は毛髪脱色方法。
(a) <1>〜<25>のいずれか1項に記載の染毛用又は毛髪脱色用化粧品の第1剤及び第2剤を容器本体内で混合する工程
(b) 該容器本体に先細ノズル部を備えたキャップ体を装着させたアプリケーターから前記混合物を注出して毛髪の根元部分に塗布する工程
【0136】
<28> 好ましくは、工程(b)の後、更に工程(c)として、毛髪の根元部分に塗布された混合物を1〜30分間放置する工程を有する、<27>に記載の染毛又は毛髪脱色方法。
【0137】
<29> 好ましくは、工程(c)の後、更に工程(d)として、毛髪の根元部分の混合物を毛髪全体に塗り広げる工程を有する、<27>又は<28>に記載の染毛又は毛髪脱色方法。
【0138】
<30> 好ましくは、工程(d)の後、更に工程(e)として、5〜20分放置する工程を有する、<29>に記載の染毛又は毛髪脱色方法。
【実施例】
【0139】
実施例1〜12、比較例1〜6
表1に示す配合処方の第1剤と表2に示す配合処方の第2剤を調製し、1:1.5の質量比率で混合して混合物を調製した。
混合物は、KIMBLE-CHASE社製30mLビーカー(径35mm)に、第1剤10g及び第2剤15gをそれぞれ投入し、CORNING社製プラスチックスパチュラ(番手3005)を用いて30秒間攪拌することにより調製した。これらの混合物を用いて、以下の評価を行った。
【0140】
<液だれのなさ>
混合物0.5gを、株式会社アイピーエス社製カンパネのプラスチックフィルム表面上に直径2cm以内の部分に塗布し、カンパネを地面に対して垂直にし、5分間放置し、放置後の混合物の塗布した地点からの下方向への移動距離を評価した。これらの評価結果を表3に示す。
4:移動距離が5cm以下である。
3:移動距離が5cmを超え10cm以下の範囲である。
2:移動距離が10cmを超え15cm以下の範囲である。
1:移動距離が15を超える。
上記評価により移動距離が短い混合物は、頭上に塗布後、液だれなく、頭上で安定に保持できる。
【0141】
<混合物の伸ばし易さ>
混合物2gを、IHIP社製25cm、10gのトレスに対し、一端から3cm以内の部分に塗布し、5分間放置した。その後、トレスをもみほぐしながら、混合物をトレスの他端方向へ伸ばしたときの、混合物の伸ばし易さを評価した。これらの評価結果を表3に示す。
4:トレスの一端から20cmを超える範囲まで伸ばすことができる。
3:トレスの一端から15cmを超え20cm以下の範囲まで伸ばすことができる。
2:トレスの一端から10cmを超え15cm以下の範囲まで伸ばすことができる。
1:トレスの一端から5cmを超え10cm以下の範囲まで伸ばすことができる。
上記評価により混合物を長い距離まで伸ばすことができるトレスは、色ムラを生ずることなく染色することができる。
【0142】
表1中に示す*1〜*7は、以下のとおりである。
*1:Lubrizol Advanced Materials, Inc.製,マーコート280,電荷密度5.0meq/g(アクティブ量),MW 4,500,000
*2:Lubrizol Advanced Materials, Inc.製,マーコート295,電荷密度6.0meq/g(アクティブ量),MW 190,000
*3:Lubrizol Advanced Materials, Inc.製,マーコート100,電荷密度6.2meq/g(アクティブ量),MW 150,000
*4:Lubrizol Advanced Materials, Inc.製,マーコート740,電荷密度2.6meq/g(アクティブ量),MW 120,000
*5:Lubrizol Advanced Materials, Inc.製,マーコート550,電荷密度3.1meq/g(アクティブ量),MW 1,600,000
*6:SEPPIC社製,Oramix NS10
*7:花王社製,エマルゲン709
【0143】
【表1】
【0144】
【表2】
【0145】
【表3】