特許第6869963号(P6869963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハーの特許一覧

特許6869963腹膜の上皮間葉転換(EMT)の診断方法および診断キット
<>
  • 特許6869963-腹膜の上皮間葉転換(EMT)の診断方法および診断キット 図000005
  • 特許6869963-腹膜の上皮間葉転換(EMT)の診断方法および診断キット 図000006
  • 特許6869963-腹膜の上皮間葉転換(EMT)の診断方法および診断キット 図000007
  • 特許6869963-腹膜の上皮間葉転換(EMT)の診断方法および診断キット 図000008
  • 特許6869963-腹膜の上皮間葉転換(EMT)の診断方法および診断キット 図000009
  • 特許6869963-腹膜の上皮間葉転換(EMT)の診断方法および診断キット 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869963
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】腹膜の上皮間葉転換(EMT)の診断方法および診断キット
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20210426BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20210426BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20210426BHJP
   C12Q 1/6809 20180101ALN20210426BHJP
【FI】
   G01N33/68
   G01N33/53 D
   C12Q1/6851 Z
   !C12Q1/6809 Z
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-512387(P2018-512387)
(86)(22)【出願日】2016年9月8日
(65)【公表番号】特表2018-532995(P2018-532995A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】EP2016071149
(87)【国際公開番号】WO2017042253
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年5月10日
(31)【優先権主張番号】102015115158.8
(32)【優先日】2015年9月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ユッタ・プラスリック−デートイェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤニネ・ビュッヘル
(72)【発明者】
【氏名】ゾーニャ・シュテッパン
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル・ロペス−カブレラ
(72)【発明者】
【氏名】アベラルド・アギレラ
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・セルガス
【審査官】 草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0137584(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0030255(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0228236(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0303563(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0137681(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中のマーカーの検出剤を含んで成る、上皮間葉転換(EMT)の診断キットであって、
マーカーが、
a)細胞外マトリックスのタンパク質、
b)細胞外マトリックスの構築および/または再構築に関与するタンパク質、
c)細胞−細胞接触および/または細胞−マトリックス接触に関与するタンパク質、 d)成長因子、ならびに
e)オプションとして、BMP拮抗薬
を含んで成り、
マーカーが、カドヘリン13、コラーゲン13、コラーゲン6、ケラチン34、マトリックス・メタロプロテアーゼ1、トロンボスポンジン1、VEGFおよびグレムリン1である、
診断キット。
【請求項2】
サンプル中の複数のマーカーの非存在および/または量を検出することを含んで成る、上皮間葉転換(EMT)の診断のための方法であって、
マーカーが、
a)細胞外マトリックスのタンパク質、
b)細胞外マトリックスの構築および/または再構築に関与するタンパク質、
c)細胞−細胞接触および/または細胞−マトリックス接触に関与するタンパク質、 d)成長因子、ならびに
e)オプションとして、BMP拮抗薬
を含んで成り、
マーカーが、カドヘリン13、コラーゲン13、コラーゲン6、ケラチン34、マトリックス・メタロプロテアーゼ1、トロンボスポンジン1、VEGFおよびグレムリン1である、
診断のための方法。
【請求項3】
サンプル中のマーカーの検出剤が、抗体またはその断片である、請求項1に記載の診断キット。
【請求項4】
サンプル中のマーカーの検出剤が、固体サポートに結合されている、請求項1または3に記載の診断キット。
【請求項5】
キットが抗体チップを含んで成る、請求項1、3または4に記載の診断キット。
【請求項6】
マーカーの増加量が、上皮間葉転換(EMT)を示す、請求項1および3〜5のいずれかに記載の診断キット。
【請求項7】
上皮間葉転換が、腹膜の上皮間葉転換である、請求項1および3〜6のいずれかに記載の診断キット。
【請求項8】
サンプルが、
a)腹膜流出物、腹水、血清、腹膜組織を含んで成る患者から得られるサンプル、および
b)腹膜透析のモデルとして有用な、細胞または組織培養物から得られる培養培地または細胞溶解物
を含んで成る群から選択される、請求項1および3〜7のいずれかに記載の診断キット。
【請求項9】
上皮間葉転換を診断するための、請求項1および3〜8のいずれかに記載の診断キットの使用。
【請求項10】
サンプル中のマーカーが、抗体またはその断片により検出される、請求項2に記載の診断のための方法。
【請求項11】
サンプル中のマーカーが、固体サポートへの結合を介して検出される、請求項2または10に記載の診断のための方法。
【請求項12】
マーカーの増加量が、上皮間葉転換(EMT)を示す、請求項2、10および11のいずれかに記載の診断のための方法。
【請求項13】
上皮間葉転換が、腹膜の上皮間葉転換である、請求項2および10〜12のいずれかに記載の診断のための方法。
【請求項14】
サンプルが、
a)腹膜流出物、腹水、血清、腹膜組織を含んで成る患者から得られるサンプル、および
b)腹膜透析のモデルとして有用な、細胞または組織培養物から得られる培養培地または細胞溶解物
を含んで成る群から選択される、請求項2および10〜13のいずれかに記載の診断のための方法。
【請求項15】
請求項1および3〜8のいずれかに記載の診断キットならびに/または請求項2および10〜14のいずれかに記載の診断のための方法を用いて、患者の組織の状態を分析することを含んで成る、患者の組織の上皮間葉転換の進行を予測する、方法。
【請求項16】
腹膜透析溶液の検査方法であって、
a)腹膜のモデルとして作用する腹膜または細胞もしくは組織培養物と、溶液とを接触させること、
b)請求項1および3〜8のいずれかに記載の診断キットならびに/または請求項2および10〜14のいずれかに記載の診断のための方法を用いて、腹膜または細胞もしくは組織培養物の状態を分析すること
を含んで成る、検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹膜透析の際にしばしば生じる上皮間葉転換(または上皮から間葉への移行、epithelial-to-mesenchymal transition、EMT)、特に中皮間葉転換(mesothelial-to-mesenchymal transition、MMT)、特に腹膜のEMTの診断の分野に関する。本発明は、少なくとも1つの細胞外マトリックスのタンパク質、例えばコラーゲン13、コラーゲン6および/もしくはケラチン34、少なくとも1つの細胞外マトリックスの構築および/または再構築に関与するタンパク質、例えばマトリックス・メタロプロテイナーゼ1、少なくとも1つの細胞−細胞接触および/または細胞−マトリックス接触に関与するタンパク質、例えばカドヘリン13もしくはトロンボスポンジン1、少なくとも1つの増殖因子、例えばVEGF、ならびにオプションとして、少なくとも1つのBMP拮抗薬、例えばグレムリン1を含んで成るマーカーに基づく方法およびキットを供する。
【背景技術】
【0002】
腹膜透析(peritoneal dialysis、PD)は、透析人口の約10〜15%にわたる末期腎疾患の治療における、血液透析(hemodialysis、HD)の有効かつ費用効率の高い代替法である。PD中に、腹膜組織または腹膜は、限外濾過および拡散が起こる半透膜として機能する。しかしながら、PDの長期使用は未だに限定される。50%近くの患者が、PDの治療から4年または5年以内に血液透析に切り替えることを余儀なくされている。生体非適合性の(またはバイオインコンパティブルな、bioincompatible)PD液への長時間の曝露、腹膜炎および腹膜の症状の発現(expression)は、腹膜組織の変性変化を誘発し、最終的に限外濾過が失敗する。これらの腹膜の進行性の機能的および形態学的変化は、PD液における高濃度のグルコース、低pHおよび乳酸緩衝液によって引き起こされ得、炎症反応、中皮細胞(mesothelial cell、MC)単層の漸次的な浸食(または露出、denudation)、副皮質線維症および新血管新生によって反映される。
【0003】
長期間のPDの間、MCは、上皮特徴の進行性喪失を受け、筋線維芽細胞様表現型(myofibroblast-like phenotype)を獲得する。上皮間葉転換(EMT)は、頂端−側底極性の喪失(the loss of apical-basolateral polarity)、細胞間接合の破壊ならびに移動性および侵襲性の獲得を特徴とする、複雑で段階的なプロセスである(Selgasら(2006)による「腎臓病学のダイアル移植(Nephrol Dial Transplant) 21 [補遺(Suppl) 2] ii2-ii7、Aroeiraら(2007)による「自己組織化腎臓病学の米国学会誌(J Am Soc Nephrol)18:2004-2013」)。EMTを受けるMCは、細胞外マトリックス成分ならびに炎症性(inflammatory)、線維形成性(fibrogenic)および血管新生因子(angiogenic factors)を生成する能力を獲得する。腹膜組織のEMTの進行中に、変換成長因子(transforming growth factor)TGF−β1および血管内皮成長因子(vascular endothelial growth factor、VEGF)の上方制御(またはアップレギュレーション、upregulation)を介して、腹膜線維症および血管形成が誘発される。
【0004】
現在のところ、PD中の腹膜の変化は避けられないが、例えば生体適合性溶液または別の治療スキーム(例えば、充填量および/または滞留時間の変更)による最適化処理は、少なくともこれらの変化を遅らせることができる。EMTは少なくとも初期段階では可逆的なプロセスである。さらに、PD処理の効率は、患者の腹膜の状態に基づいて最適化されてもよい。
【0005】
EMTは、PDの間の腹膜の変化に関与するのみでなく、胚形成および創傷治癒においても役割を果たす生物学的プロセスである。EMTはまた、器官の線維化を引き起こし、癌の進行および転移に影響を及ぼし得る。EMTはまた、肺を含む様々な器官における癌または変性線維性疾患などの種々の疾患の病因に寄与することも示している(WO2014/139885 A2)。
【0006】
WO2014/139885 A2は、マトリックス・メタロプロテイナーゼMMP10、細胞性および可溶性フィブロネクチン、E−カドヘリンならびにビメンチンがEMTのマーカーであることを教示している。従来技術において、EMTに関連する、EMTまたは一般的には線維症のいくつかのさらなるマーカーが確認されている。例えば、WO2011/054893 A2は、TLR−9発現のレベルと線維症との間の関連を示す。WO2012/042091は、TAK1の測定(または判定、determination)に基づいて線維症の進行を測定する方法を教示している。US2013/0303563 A1は、ペリオスチン、HSPG分解、PDGF、レプチン、およびCD68+マクロファージ密度が腹膜損傷のマーカーであることを開示している。US2013/020940 A1は、BMP9またはBMP10の測定が、線維性疾患を発症するリスクを評価するのに有用であることを示している。Aroeiraら(2007)は、PD患者の腹膜において、E−カドヘリン、サイトケラチン、クローディン、オクルディン、デスモプラキン、ZO−1、ムチン−1、tPAおよびCD34の発現の減少、ならびにN−カドヘリン、スネイル、ビメンチン、TGF−β、ファブロネクチン、細胞外マトリックスのタンパク質、特にコラーゲンIおよびIII、αSMA、FGF−1およびFGF−2、MMP−2およびMMP−9、FSP−1、PAI−1、VEGF、ならびにシクロオキシゲナーゼ−2などの発現の増加を教示する。
【0007】
しかしながら、EMTを受ける組織の機能、例えばPDにおける腹膜の濾過能力と密接に関連するEMTのマーカーを供する必要性に対する課題が残っている。本発明者らは、そのようなマーカーを供する課題を解決し、対応するキットおよびEMTを診断するための方法を見出した。本発明の保護対象は、例えば、添付の特許請求の範囲によって説明される。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、サンプル中の複数のマーカーの非存在および/または量を検出することを含んで成る、上皮間葉転換(EMT)、特にMMT、または最も好ましくは腹膜のEMTの診断方法を供し、マーカーが以下を含んで成る。
a)細胞外マトリックスのタンパク質(extracellular matrix protein)、
b)細胞外マトリックスの構築および/または再構築に関与するタンパク質(protein involved in building and/or restructuring of extracellular matrix)、
c)細胞−細胞接触および/または細胞−マトリックス接触に関与するタンパク質(protein involved in cell-cell and/or cell-matrix contacts)、
d)成長因子(growth factor)、ならびにオプションとして、
e)BMP拮抗薬(antagonist)。
【0009】
本発明の文脈において、冠詞「1の(a)」は、他に明示的に指定されない限り、「1またはそれ以上の(one or more)」を意味すると解される。したがって、例えば、マーカーはまた、2または3(またはそれ以上)の細胞外マーカーのタンパク質または細胞−細胞接触および/または細胞−マトリックス接触に関与する2または3のタンパク質を含み得る。
【0010】
本発明はまた、サンプル中のマーカーの検出剤(または試薬、agent)を含んで成る、上皮間葉転換(EMT)の診断に対応するキットを供し、マーカーが以下を含んで成る。
a)細胞外マトリックスのタンパク質、
b)細胞外マトリックスの構築および/または再構築に関与するタンパク質、
c)細胞−細胞接触および/または細胞−マトリックス接触に関与するタンパク質、
d)成長因子、ならびにオプションとして、
e)BMP拮抗薬。
【0011】
好ましくは、マーカーがタンパク質形態である場合、サンプル中のマーカーの検出剤は、抗体またはその断片(fragment)である。抗体は、タンパク質形態のマーカーの検出に適している。抗体またはその断片は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ヤギ、ネコ、トリ、例えばニワトリ、またはキメラ起源のものであってもよい。それらは、ポリクローナルまたはモノクローナルであってもよく、または遺伝子工学によって生成されてもよい。抗体の断片は、例えばFab断片、Fab断片、scFvを含んで成る。
【0012】
あるいは、サンプル中のマーカーの検出剤は、核酸、例えば核酸形態におけるマーカーの検出剤に適している、特にマーカーのRNA転写物またはそれに由来するcDNAの検出のためのマーカーの検出に適している、RNAまたはDNAであってもよい。核酸は、好ましくは少なくとも部分的に一本鎖であり、またマーカーをエンコードする核酸と厳しい(stringent)条件下でハイブリダイズ(hybridizing)することができる。
【0013】
好ましくは、サンプル中のマーカーの検出剤は、個体サポート(または支持体、support)、例えば磁性を有し得る、チップ、異なるサイズのビーズなどに結合され(または連結され、linked)てもよい。好ましくは、キットは、マイクロアレイ、特に抗体マイクロアレイ(抗体チップ(antibody chip)とも称される)を含んで成る。本発明に適合させることができる適切な抗体チップ・フォーマットは、例えば、Wingrenらによる「分子生物学における方法(Methods Mol Biol.) 509:57-84、2009」、Chagaらによる「分子生物学における方法 441:129-51、2008」に開示されており、またはAbnova Corporation、R&D Systems、Full Moon BioSystems、Raybiotech,Inc.、BioSimsなどの会社によってカスタム・メイドされていてもよい。
【0014】
本発明者らは、健康な中皮細胞(腎不全のない患者の腹膜網(omentum)から得られた細胞)、類上皮細胞(epithelioid cells)(すなわち、PD患者の流出物(または流出液、effluent)から得られる、中皮細胞と同様の表現型(phenotype)を有する中皮細胞/MMTのEMTの第1段階の細胞)、およびEMTの進行段階における細胞(すなわち、表現型を変えた細胞、非類上皮細胞とも呼ばれる細胞)の遺伝子発現を分析した。細胞が非類上皮細胞表現型を獲得すると、顕著かつ特異的に上方調整されるいくらかの遺伝子が確認された。それらの発現および機能との相関を検証し、血清および流出物を含む種々の体液中のそれぞれのタンパク質レベルを調べた。驚くべきことに、本発明者らは、いくつかの官能基由来のマーカーがEMTにおいて重要な役割を果たすことを見出した。本発明者らはさらに、これらのマーカーのRNAおよびタンパク質の両方のレベルが、患者からの入手可能な臨床パラメーターと相関し、それらの調整が機能的に完了すること(functional conclusions)を可能にすることを見出した。特に、本発明のマーカーは、EMTの早期段階と進行段階とを区別することも可能にする。例えば、CDH13、COL6A3、COL13A1、THBS1およびMMP1のmRNAレベルは、EMTの早期および進行期の間の識別(または区別、discrimination)を可能にし、腹膜水輸送/限外濾過の臨床データと相関する。
【0015】
本発明にしたがって分析されるマーカーの少なくとも1つ、好ましくは2つまたは3つは、細胞外マトリックスのタンパク質である。それは、ケラチン34(keratin 34)(KRT34)を含んで成る群から選択されるケラチン、ならびに/またはコラーゲン13(collagen 13)(COL13A1)およびコラーゲン6(collagen 6)(COL6A1)を含んで成る群から選択されるコラーゲンであってもよい。好ましくは、マーカーは、細胞外マトリックスのタンパク質のケラチン34、コラーゲン13およびコラーゲン6を含んで成る。細胞外マトリックスのタンパク質の群からの代替マーカーまたは追加マーカーは、コラーゲン1および/またはコラーゲン3を含んで成る(Selgasら(2006)、Aroeiraら(2007))。
【0016】
本発明にしたがって分析されるマーカーの少なくとも1つは、細胞外マトリックスの構築および/または再構築に関与するタンパク質である。それは、マトリックス・メタロプロテイナーゼ1(matrix metalloproteinase 1)(MMP1)を含んで成る群から選択されるマトリックス・メタロプロテイナーゼであってもよい。細胞外マトリックスの構築および/または再構築に関与するタンパク質の群からの代替的または追加マーカーは、MMP2、MMP9および/またはMMP10を含んで成る(Selgasら(2006)、Aroeiraら(2007)、US2013/0303563 A1、WO2014/139885 A2)。
【0017】
本発明にしたがって分析される少なくとも1つ、好ましくは2つのマーカーは、細胞−細胞接触および/または細胞−マトリックス接触に関与するタンパク質である。カドヘリン13(cadherin 13)(CDH13)を含んで成る群から選択されるカドヘリンであってもよく、および/またはトロンボスポンジン1(thrombospondin 1)(THBS1またはTPS1)を含んで成る群から選択されるトロンボスポンジンであってもよい。好ましくは、マーカーは、カドヘリン13およびトロンボスポンジン1を含んで成る。
【0018】
細胞−細胞接触および/または細胞−マトリックス接触に関与するタンパク質の群からの代替マーカーまたは追加マーカーは、N−カドヘリン、E−カドヘリン(CDH1)、CD44、ビメンチンまたはフィブロネクチンである(Selgasら(2006)、Aroeiraら(2007))。
【0019】
本発明にしたがって分析されるマーカーの少なくとも1つは、成長因子、例えば血管新生を促進する成長因子であり、成長因子は、好ましくは血管内皮増殖因子であるVEGF(Selgasら(2006))であり、Aroeiraら(2004)はEMTにおけるVEGFの役割を教示している。増殖因子の群からの代替マーカーまたは追加マーカーは、TGF−β、FGF−1、FGF−2(Aroeiraら(2007))である。
【0020】
オプションとして、本発明にしたがって分析されるマーカーは、BMP拮抗薬、好ましくはグレムリン1(DANファミリーBMP拮抗薬またはGREMとも称される)である。Leeら(2007)らによる「眼科学および視覚科学に関する研究学会誌(Investigative Ophthalmology&Visual Science) September 2007、Vol.48、4291-4299」は、グレムリン1が増殖性硝子体網膜症(proliferative vitreoretinopathy)におけるEMTに関与していることを教示している。好ましくは、GREMなどのBMP拮抗薬は、潜在的にEMTを受ける細胞、特にPD患者の流出物からの細胞の上清(または浮遊物、supernatant)において測定される。発明者らは、流出物におけるGREMの発現がEMTと有意に関連していないため、流出物の分析がGREMのようなBMP拮抗薬の分析を含む必要はないことを示した。
【0021】
オプションのさらなるマーカーには、組織因子経路阻害剤(Tissue Factor Pathway Inhibitor、TFI2)、トロンボモジュリン(Thrombomodulin、THBD)、アクアポリン1(Aquaporin 1、AQP1)および/またはキナーゼ・インサート・ドメイン受容体(Kinase Insert Domain Receptor、KDR)が含まれる。
【0022】
好ましい態様では、マーカーは、カドヘリン13、コラーゲン13、コラーゲン6、ケラチン34、マトリックス・メタロプロテアーゼ1、トロンボスポンジン1、VEGF、およびオプションとしてグレムリン1である。
【0023】
本発明者らは、上述したマーカーの増加量が上皮間葉転換(EMT)を示すことを見出した。マーカーの量は、対照サンプル(control sample)、例えば健康な被験体(subject)、例えばPDを受けていないヒトから採取したサンプル、好ましくは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10または少なくとも20の健康な被験体からのサンプルを含んで成るそのような対照サンプルのプールと比較することができる。あるいは、標準サンプル(standards)を用いて分析対象のサンプル中のマーカーの量を測定し、その結果を対照サンプルまたはそのプールから得られた結果と比較することができる。
【0024】
2またはそれ以上の時点で(例えば処理前に(例えば腹膜の状態を分析する場合、PDの前に)、処理後に(例えば特定の時間でPDを用いて、例えば少なくとも1ヶ月後、少なくとも6ヶ月後、少なくとも1年後、少なくとも2年後、少なくとも3年後、少なくとも4年後、少なくとも5年後、少なくとも6年後、少なくとも7年後、少なくとも8年後、少なくとも9年後、少なくとも10年後、少なくとも11年後、少なくとも12年後、少なくとも13年後、少なくとも14年後、少なくとも15年後、または少なくとも20年後に))同じ被験体のマーカーの量を比較することも可能である。EMTは可逆的であり得るので、治療レジメン(または投薬計画、regimen)の変更、または使用されるPD流体の変更後にも分析を行うこともできる。
【0025】
好ましくは、本発明を通して、上皮間葉転換は腹膜の上皮間葉転換であり、好ましくは、サンプルは腹膜透析患者、例えば慢性腎疾患を有するPD患者に由来する。本発明者らは、驚くべきことに、本発明のマーカーのセットが、腹膜の機能、特に腹膜による濾過の有効性と密接な関連を示すことを見出した。
【0026】
PDは、例えばCAPD(連続歩行型腹膜透析、continuous ambulatory peritoneal dialysis)、CCPD(連続的な周期PD、continuous cyclic PD)、IPD(断続的PD、intermittent PD)、またはNIPD(夜間断続的PD、nightly intermittent PD)であってもよい。
【0027】
胚形成または創傷治癒に関与するEMTを分析することも興味深い。EMTの診断は、PDに加えて、癌の進行および転移(特に腹部癌進行および腹膜転移)において、または(WO2014/139885 A2で開示されているような)肺を含む種々の器官における変性線維性疾患において、または術後の腹膜癒着形成において、臨床的に関連する。一般的に、EMTは腹膜疾患のマーカーとすることができる。
【0028】
サンプルは、潜在的にEMTを受けているあらゆる生物学的サンプルに由来してもよい。例えば、変性線維性障害を受けている器官または組織に由来するサンプルであってもよい。患者の体液、例えば患者の腹水、血液、血清または血漿であってもよい。サンプルがPD患者由来である場合、サンプルは、好ましくは、腹膜流出物(すなわち、使用後の腹膜透析液)、腹水、血清、血漿、もしくは腹膜組織から選択されるか、またはそれらからの由来物(例えば、腹膜流出物からの培養細胞の上清)であってもよい。本発明者らは、腹膜流出物に基づいて優れた結果が得られることを示した。
【0029】
サンプルはまた、EMTのモデル(例えば腹膜透析のモデル)として有用な、細胞または組織培養物(tissue culture)から得られる培養培地(または培養媒体、culture medium)または細胞溶解物(cell lysate)から選択することができる。例えば、ARPE−19細胞はEMTの有用なモデルであることが示された(Leeら(2007))。別のモデルは、例えば、PDのマウスモデルである。
【0030】
本発明はまた、好ましくは、腹膜透析患者の腹膜の上皮間葉転換の診断のために、上皮間葉転換の診断のための本発明のキットの使用を供する。EMTの状態、特に、腹膜の状態は、本発明のキットおよび方法を使用して測定することができ、早期段階と進行段階とを区別することができる。
【0031】
本発明はまた、本発明のキットおよび/または方法を用いて患者の組織の状態を分析することを含んで成る、患者の組織(好ましくは腹膜)の上皮間葉転換の進行を予測する方法を供する。組織はまた、癌であり得、したがって、癌の進行および/または転移の予測を可能にする。
【0032】
本発明はまた、本発明のキットおよび/または方法を用いて患者の腹膜の状態を分析することを含んで成る、腹膜透析患者の治療を最適化するための方法を供し、この治療は患者の腹膜の状態に合わせられる。この治療は、腹膜透析の可能な限り長い使用を可能にする方法で、および/または腹膜透析の効率を最適化する方法で適合させ得る。
【0033】
本発明はまた、以下を含んで成るPD溶液の検査方法を供する。
a)腹膜のモデルとして作用する(または機能する、serving as)腹膜または細胞または組織培養物と、PD溶液とを接触させること、および
b)本発明のいずれかの診断キットおよび/または方法を用いて、腹膜または細胞または組織培養物の状態を分析すること。
【0034】
PD溶液の検査方法は、インビボ(in vivo)またはインビトロ(in vitro)で行うことができる。本発明者らは、アクアポリン1(AQP1)の発現が生体非適合性のPD液の使用と相関するため、PD溶液を検査するためにこのマーカーの分析を含むことが好ましいことを示した。
【0035】
本明細書で引用した文献は、参照により本明細書に十分に組み込まれる。本発明は、以下の図、実施例および例示的な態様によりさらに説明されるが、本発明を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、E(類上皮細胞、epithelioid)およびNE(非類上皮細胞、non- epithelioid)に分類された、患者からの流出物におけるVEGFの発現を示し、タンパク質は抗体で定量された。分類は楕円係数(Elliptical Factor)に基づいて行った。各細胞培養物の2枚の写真を撮影した。10個の細胞をランダムに選択し、細胞の長軸および短軸を測定し、比を計算した。各培養物の平均を計算し、この平均値が2以上である場合(細胞がその幅の2倍以上の長さである場合)、培養物を非類上皮細胞として分類し、そうでなければ類上皮細胞として分類した。類上皮細胞=12.73±12.81pg/ml(N=20)、非類上皮細胞=43.70±6.181pg/ml(N=20)。
図2図2は、上記のように、E(類上皮細胞)およびNE(非類上皮細胞)に分類された、患者からの流出物におけるGREM1の発現を示し、タンパク質は抗体で定量された。類上皮細胞=0.4405±0.3598ng/ml(N=20)、非類上皮細胞=0.3555±0.3756ng/ml(N=20)。
図3図3は、上記のように、E(類上皮細胞)およびNE(非類上皮細胞)に分類された、患者からの流出物におけるトロンボスポンジン1の発現を示し、タンパク質は抗体で定量された。類上皮細胞=5.791±7.669ng/ml(N=20)、非類上皮細胞=66.62±42.18ng/ml(N=20)。
図4図4は、クレアチニンの物質移動係数(Cr−MTC)にしたがって分類された、患者からの流出物におけるトロンボスポンジン1の発現(すなわち腹膜を横切る輸送を決定するパラメーター)を示し、タンパク質は抗体で定量された。Cr−MTC<11=19.19±26.11ng/ml(N=26)、Cr−MTC>11=67.81±50.66ng/ml(N=14)。
図5図5は、楕円係数で分類された、患者からの流出物におけるCOL13の発現を示し、タンパク質は抗体で定量された。類上皮細胞=166.4±120.1ng/ml(N=33)、非類上皮細胞=228.0±132.4ng/ml(N=43)。
図6図6は、クレアチニンの物質移動係数(Cr−MTC)にしたがって分類された、患者からの流出物におけるCOL13の発現を示し、タンパク質は抗体で定量された。Cr−MTC<11=189.8±132.8ng/ml(N=51)、Cr−MTC>11=243.8±108.6ng/ml(N=23)。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0037】
(実施例1)
示差的遺伝子発現研究(Differential gene expression studies)は、PD患者の流出物に由来する培養された中皮細胞において実施された。PD患者に由来する、類上皮細胞表現型を有する9つのサンプルおよび非類上皮細胞表現型を有する8つのサンプルを対照プール(4つの異なる健康なドナーの腹膜網に由来する中皮細胞)と比較した。様々な群の誘導性遺伝子(induced gene)または抑制遺伝子(repressed gene)が得られ、RT−qPCRによって40の遺伝子が検証された。15の遺伝子のサブセット(または小集団、subset)の結果を表1に示す。さらに、生体適合性(例えば、BicaVera)およびより生体適合性の低い(生体非適合性)PD流体(例えば、Stay-safe)の使用にしたがって、表2に示すようにグループ分けした。表3は、生体非適合性PD流体の使用が、生体適合性PD流体の使用より高いEMT率をもたらすことを示す。表1および表2の結果は、本発明のマーカーの高い機能的意義を示す。
【0038】
CDH13、COL6A3、COL13A1、KRT34、MMP1、THBS1(TPS1とも称される)、VEGFAおよびCDH1のmRNAは、類上皮細胞表現型および非類上皮細胞表現型の間で、またPD流体の、特徴的な生体適合性および生体非適合性の間で統計的な差を示した。CD44、TFI2、KDRおよびTHBDは、類上皮細胞表現型および非類上皮細胞表現型の間で有意差を示し、AQP1は、生体適合性PD流体および生体非適合性PD流体の間で異なった。
【表1】
【表2】
【表3】
【0039】
(実施例2)
酵素結合免疫吸着検定法(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay、ELISA)により、26のPD患者の流出物に由来する中皮細胞の培養物から得られた上清においてタンパク質を測定し、PD処理開始時で26検体、12ヶ月で26検体、18カ月で20検体および24カ月で11検体(データ示さず)のように分布した。中皮細胞を、20%のFBSおよび50U/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシンおよび2%のBiogro−2を添加したEarle’sM199培地で培養した。細胞がコンフルエント(または密集、confluency)に達したとき、培地を24時間の間、新鮮な培地と交換した。上清を回収し、使用するまで−80℃で保存した。上清の分析のために、細胞溶解物中の全タンパク質で上清中のタンパク質を標準化した(normalized)。選択マーカーをELISAで分析した。TSP1、VEGF、MMP2、CDH13およびGREM1は、非類上皮細胞群において、これらのタンパク質のすべてがより多量であり、類上皮細胞表現型および非類上皮細胞表現型の間で異なる発現を示した。
【0040】
(実施例3)
PD患者に由来する40の流出物をELISAによって分析し、タンパク質レベルの異なるマーカーについての例示的データを本明細書に含める。
【0041】
流出物中のVEGFは、類上皮細胞表現型および非類上皮細胞表現型の間で有意差を示した(図1)。これは、中皮細胞のEMTの進行に応じて、VEGFが増加することを示す。クレアチニン(Cr)の物質移動係数(MTC)は、腹膜輸送状態を示す臨床(clinical)パラメーターである。11よりも高いMTCは、病理学的腹膜輸送(pathological peritoneal transport)に対して特徴的である。流出物におけるVEGFの結果をMTCでグループ分けすると、11よりも高いかまたは11よりも低いMTCを有する患者間で統計学的差が観察され、VEGFはMTC>11群でより高かった。したがって、流出物におけるVEGFを用いて、腹膜組織の機能状態を測定し得る。生物非適合性(より攻撃的な流体)および生体適合性PD流体によってグループ化した場合、流出物におけるVEGFはまた、生体非適合性流体においてより多くのVEGFを有し、これらのグループ間で有意差を示した。
【0042】
流出物におけるGREM1は、類上皮細胞群においてより多量のタンパク質を有し、類上皮細胞表現型および非類上皮細胞表現型の間に有意な差異は見られなかったが(図2)、上清において差異は有意であり、非類上皮細胞表現型がより多量のタンパク質を示した。MTCによって分類された場合、流出物におけるGREM1は、MTC<11群においてより高いレベルのタンパク質を有し、統計的差異を示した。GREM1は、生体適合性PD流体および生体非適合性PD流体の間で有意差を示さなかった。
【0043】
類上皮細胞表現型および非類上皮細胞表現型の間で(図3)、またMTC<11群またはMTC>11群の間で(図4)、流出物におけるTSP1は有意差を示した。したがって、TSP1は、中皮細胞/MMTプロセスのEMTおよび腹膜組織における輸送と関連している。流出物におけるTSP1タンパク質は、生体適合性PD流体および生体非適合性PD流体の間で差異を示さなかったが、p値(p=0.16)は有意性を示す傾向を表す。
【0044】
流出物におけるCOL13も分析され、表現型およびクレアチニン輸送に依存して差異を示した。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
〔1〕
サンプル中のマーカーの検出剤を含んで成る、上皮間葉転換(EMT)の診断キットであって、
マーカーが、
a)細胞外マトリックスのタンパク質、
b)細胞外マトリックスの構築および/または再構築に関与するタンパク質、
c)細胞−細胞接触および/または細胞−マトリックス接触に関与するタンパク質、
d)成長因子、ならびに
e)オプションとして、BMP拮抗薬
を含んで成る、
診断キット。
〔2〕
サンプル中の複数のマーカーの非存在および/または量を検出することを含んで成る、上皮間葉転換(EMT)の診断方法であって、
マーカーが、
a)細胞外マトリックスのタンパク質、
b)細胞外マトリックスの構築および/または再構築に関与するタンパク質、
c)細胞−細胞接触および/または細胞−マトリックス接触に関与するタンパク質、
d)成長因子、ならびに
e)オプションとして、BMP拮抗薬
を含んで成る、
診断方法。
〔3〕
サンプル中のマーカーの検出剤が、抗体またはその断片である、〔1〕に記載の診断キットまたは〔2〕に記載の診断方法。
〔4〕
サンプル中のマーカーの検出剤が、固体サポートに結合されており、キットが好ましくは抗体チップを含んで成る、〔1〕もしくは〔3〕に記載の診断キットまたは〔2〕〜〔3〕のいずれかに記載の診断方法。
〔5〕
細胞外マトリックスのタンパク質が、ケラチン34を含んで成る群から選択されるケラチン、ならびに/またはコラーゲン13およびコラーゲン6を含んで成る群から選択されるコラーゲンであり、
マーカーが、好ましくは細胞外マトリックスのタンパク質であるケラチン34、コラーゲン13およびコラーゲン6を含んで成る、〔1〕もしくは〔3〕〜〔4〕のいずれかに記載の診断キットまたは〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の診断方法。
〔6〕
細胞外マトリックスの構築および/または再構築に関与するタンパク質が、マトリックス・メタロプロテイナーゼ1を含んで成る群から選択されるマトリックス・メタロプロテイナーゼである、〔1〕もしくは〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の診断キットまたは〔2〕〜〔5〕のいずれかに記載の診断方法。
〔7〕
細胞−細胞接触および/または細胞−マトリックス接触に関与するタンパク質が、カドヘリン13を含んで成る群から選択されるカドヘリンおよび/またはトロンボスポンジン1を含んで成る群から選択されるトロンボスポンジンであり、
マーカーが、好ましくはカドヘリン13およびトロンボスポンジン1を含んで成る、〔1〕もしくは〔3〕〜〔6〕のいずれかに記載の診断キットまたは〔2〕〜〔6〕のいずれかに記載の診断方法。
〔8〕
成長因子がVEGFである、〔1〕もしくは〔3〕〜〔7〕のいずれかに記載の診断キットまたは〔2〕〜〔7〕のいずれかに記載の診断方法。
〔9〕
BMP拮抗薬がグレムリン1である、〔1〕もしくは〔3〕〜〔8〕のいずれかに記載の診断キットまたは〔2〕〜〔8〕のいずれかに記載の診断方法。
〔10〕
マーカーが、カドヘリン13、コラーゲン13、コラーゲン6、ケラチン34、マトリックス・メタロプロテアーゼ1、トロンボスポンジン1、VEGFおよびグレムリン1である、〔1〕もしくは〔3〕〜〔9〕のいずれかに記載の診断キットまたは〔2〕〜〔9〕のいずれかに記載の診断方法。
〔11〕
マーカーの増加量が、上皮間葉転換(EMT)を示す、〔1〕もしくは〔3〕〜〔10〕のいずれかに記載の診断キットまたは〔2〕〜〔10〕のいずれかに記載の診断方法。
〔12〕
上皮間葉転換が、腹膜の上皮間葉転換であり、好ましくは、サンプルが腹膜透析患者に由来する、〔1〕もしくは〔3〕〜〔11〕のいずれかに記載の診断キットまたは〔2〕〜〔11〕のいずれかに記載の診断方法。
〔13〕
サンプルが、
a)腹膜流出物、腹水、血清、腹膜組織を含んで成る患者から得られるサンプル、および
b)腹膜透析のモデルとして有用な、細胞または組織培養物から得られる培養培地または細胞溶解物
を含んで成る群から選択される、〔1〕もしくは〔3〕〜〔12〕のいずれかに記載の診断キットまたは〔2〕〜〔12〕のいずれかに記載の診断方法。
〔14〕
上皮間葉転換を診断するための、好ましくは、腹膜透析患者の腹膜の上皮間葉転換を診断するための、〔1〕または〔3〕〜〔13〕のいずれかに記載の診断キットの使用。
〔15〕
〔1〕もしくは〔3〕〜〔13〕のいずれかに記載の診断キットおよび/または〔2〕〜〔13〕のいずれかに記載の診断方法を用いて、患者の組織の状態を分析することを含んで成る、患者の組織、好ましくは腹膜の上皮間葉転換の進行を予測する、方法。
〔16〕
〔1〕もしくは〔3〕〜〔13〕のいずれかに記載の診断キットおよび/または〔2〕〜〔13〕のいずれかに記載の診断方法を用いて、患者の腹膜の状態を分析することを含んで成る、腹膜透析患者の治療を最適化する方法であって、該治療が患者の腹膜の状態に合わせられる、方法。
〔17〕
腹膜透析溶液の検査方法であって、
a)腹膜のモデルとして作用する腹膜または細胞または組織培養物と、溶液とを接触させること、
b)〔1〕もしくは〔3〕〜〔13〕のいずれかに記載の診断キットおよび/または〔2〕〜〔13〕のいずれかに記載の診断方法を用いて、腹膜または細胞または組織培養物の状態を分析すること
を含んで成る、検査方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6