(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869964
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】無線により放射線を放射する無線放射装置の状態を知らせるシグナリング装置
(51)【国際特許分類】
H05G 1/02 20060101AFI20210426BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
H05G1/02 J
A61B6/00 310
A61B6/00 390Z
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-512496(P2018-512496)
(86)(22)【出願日】2016年5月9日
(65)【公表番号】特表2018-521491(P2018-521491A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】FR2016051081
(87)【国際公開番号】WO2016185112
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2019年3月1日
(31)【優先権主張番号】1554474
(32)【優先日】2015年5月19日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517403710
【氏名又は名称】ビオメディカ
【氏名又は名称原語表記】BIOMEDIQA
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マールル,フアド
(72)【発明者】
【氏名】ゲリン,ローラ
【審査官】
佐々木 龍
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−310595(JP,A)
【文献】
特開2003−175030(JP,A)
【文献】
特開2010−094327(JP,A)
【文献】
特開2003−110716(JP,A)
【文献】
特開2005−276530(JP,A)
【文献】
特表2011−501643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
A61N 5/00 − 5/10
G21K 1/00 − 3/00
G21K 5/00 − 7/00
G01N 23/00 −23/2276
G01T 1/00 − 1/16
G01T 1/167− 7/12
H05G 1/00 − 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線により放射線を放射する放射装置(6)の状態を知らせるシグナリング装置であって、
‐ 前記放射装置(6)の電力ケーブル(9)の位置で接続でき、前記放射装置(6)の電流要求を測定する手段(10)、前記電流測定に応じて前記放射装置(6)の状態、すなわち停止、待機または使用中を決定できる処理手段(11)、前記決定された状態を第2の部分(3)に向かって送信する手段(12)を含む第1の部分(2)と、
‐ 前記第1の部分によって決定された前記放射装置(6)の前記状態を知らせる信号手段(13)を含む第2の部分(3)と、を備えることを特徴とするシグナリング装置。
【請求項2】
前記第1の部分(2)と前記第2の部分(3)は互いに独立したケーシング(4,5)に収納され、前記送信手段(12)は無線リンクを含む、請求項1に記載のシグナリング装置。
【請求項3】
前記第1の部分(2)と前記第2の部分(3)との間の前記無線リンクは、ペアリングエラーを回避するために符号化される、請求項2に記載のシグナリング装置。
【請求項4】
前記測定手段(10)は、前記放射装置(6)によって要求される電流の強度を測定できる電流クランプメータを含む、請求項1または2に記載のシグナリング装置。
【請求項5】
前記処理手段(11)は少なくとも二つの閾値を含み、それらの閾値の内、前記放射装置(6)が待機状態のとき、第1の低閾値(S1)が最小電流要求よりも低く、使用中には、第2の高閾値(S2)が前記放射装置(6)の最小電流要求よりも低い、請求項1〜4の何れか1項に記載のシグナリング装置。
【請求項6】
前記処理手段(11)は、待機状態における第1のセッティングおよび前記放射装置(6)の作動時の第1のセッティング中に前記低閾値および前記高閾値を夫々自己学習できる、請求項5に記載のシグナリング装置。
【請求項7】
前記処理手段(11)は、前記シグナリング装置(1)が対応する前記放射装置(6)に従って、予め記録された固定の高閾値および予め記録された固定の低閾値を含むメモリを含む、請求項5に記載のシグナリング装置。
【請求項8】
前記信号手段(13)は、可聴性タイプの信号手段および/または蛍光性タイプの信号手段および/またはメッセージディスプレイである、請求項1〜7の何れか1項に記載のシグナリング装置。
【請求項9】
前記第1の部分(2)は、前記放射装置(6)のオープンフィールドのエリアにおいて存在検出手段に連結された前記放射装置(6)の電源を遮断する手段を含む、請求項1〜8の何れか1項に記載のシグナリング装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の前記シグナリング装置(1)の少なくとも1つの第1の部分(2)によって放射された信号を受信でき、且つ幾つかのシグナリング装置(1)に関連する状態データを収集できる中央ユニット(15)を含む、セット。
【請求項11】
前記放射装置(6)は、X線管を備えている、請求項1に記載のシグナリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープンフィールドの無線放射装置(radio electric emitting apparatus)の状態を知らせるシグナリング装置(signaling apparatus)、特にX線管を設けた装置の状態を知らせるシグナリング装置に関する。特に本発明は、病院または診療所の可動型の放射線装置に搭載される。
【0002】
しかしながら、これの使用は制限されず、本装置は、特に固定されたものであろうと可動性のものであろうと任意のタイプの放射装置に広く関連することができ、研究所または工業プラントに備えられる装置からの放射は、安全性の問題を引き起こす可能性がある。
【背景技術】
【0003】
一般的に、病院は、無線放射装置(本願の以下では<<放射装置>>という)の使用専用の部屋を有し、病院は、特に従来の放射線室またはスキャナー室やガンマ線カメラ室を備えている。
【0004】
一般的に、これらの部屋は、固定の放射装置を装備し、且つ放射線からの保護のための手段を備えている。これらの保護手段の中でとりわけ、一般的には、イオン化放射線の存在の可能性について知らせる、特に文字による受動的な標識が提供されている。相補的に、これらの部屋は、放射装置が作動中か否かを示す蛍光パネルも含んでいる。放射装置の受け入れ専用のこれらの部屋は、指定のセットアップ作業や、特に蛍光パネルと放射装置との間に敷設されるケーブルを必要とする。
【0005】
高価でかつ装備するためにその部屋の一時的な閉鎖を必要とするが、この解決策は、比較的に満足のいくものである。それにもかかわらず、可動性放射装置にとって適切ではなく、実際に、一つの部屋から他の部屋へ容易に移動できる一定数の放射装置があり、非専用室内、例えば操作室内でしばしば使用される。
【0006】
これらの放射装置の中に、例えばX線管または画像増強管を設けた装置があり、後者は、操作室から他の部屋へ必要に応じて移動される。
【0007】
特に非専用室における放射装置の使用は、放射線の存在のリスクに関して情報提供する通知手段がないので、医療スタッフおよび患者の安全性に問題がある。
【0008】
もちろん、放射装置を受け入れる可能性がある全ての部屋で被ったリスクを示すことが可能であり、したがって、全ての部屋の一定の標識は、施設内で移動を困難にするかまたはユーザへの警告の影響を弱め、特にこれらの部屋は最終的に時々放射線を被ることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の目的は、上述の従来の技術に関連する技術的問題点の全てまたは一部を解決することである。
【0010】
本発明の他の目的は、なんら部屋の特定の配置を必要とすることなくその部屋の放射装置の存在下で放射線放射を知らせることを可能とする、シグナリング装置を提案することである。
【0011】
本発明の他の目的は、任意のタイプの固定のまたは可動性の放射装置に対して迅速かつ信頼できる方法で適合されることができる、シグナリング装置を提案することである。
【0012】
本発明の他の目的は、部屋への全ての立ち入り口で可視であるために標識が複数あり、且つ容易に移動できる、シグナリング装置を提案することである。
【0013】
本発明の他の目的は、特に工業プラントにおいて、被爆のリスクがある場合に放射装置を停止することができる、シグナリング装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、無線により、放射装置、特にX線管を設けた装置の状態を知らせるシグナリング装置であって、前記シグナリング装置は、
‐ 前記放射装置の電力ケーブルの位置で接続でき、前記放射装置の電流要求を測定する手段、前記電流測定に従って前記放射装置の状態、すなわち停止、待機または使用中を決定できる処理手段、前記
決定された状態を第2の部分に向かって送信する手段を含む第1の部分と、
‐ 前記第1の部分によって
決定された前記放射装置の前記状態を知らせる信号手段を含む第2の部分と、を備えている。
【0015】
用語<<無線による放射装置>>は、本発明の文脈において、構造体から無線放射を発生する任意の装置を定義している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明は、非制限的な例示として提供された添付図面を参照して詳細な実施の形態の記載を読むことによってより良く理解される。
【
図1】本発明に係るシグナリング装置の実施の形態の概略図である。
【
図2】部屋に配置された放射装置の上方に位置されたシグナリング装置の一実施の形態の斜視図である。
【
図3】放射装置の状態に応じた、その放射装置の電流のグラフである。
【
図4】一つの中心ユニットを有する二つのシグナリング装置を含むセットの一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、無線により放射装置の状態を知らせるシグナリング装置の保護を目的とする。主に
図1を参照すると、概略的に表示されたシグナリング装置1の一実施の形態が表されている。
【0018】
このシグナリング装置1は、二つの部分、すなわち放射装置の電力ケーブルの位置で接続される第1の部分2と、部屋への立ち入り部の前に有利に配置される第2の部分3と、を備えている。
【0019】
好ましくは、
図1に表されるように、これら二つの部分2と3は、夫々別個のケーシング4と5内に配置されるが、他の可能な実施の形態では、シグナリング装置1の全ての要素が単一のケーシングに組み込まれる。
【0020】
放射装置6の上で作動時のシグナリング装置1を表す
図2を参照すると、第1の部分2が装置の電源7と電力ケーブル9のプラグ8との間に接続されることがわかる。
【0021】
第1の部分2は、前記放射装置6の電流要求を測定する手段10を備えている。好ましくは、これらの測定手段10は、放射装置によって必要とされる電流の強度を測定することができる電流クランプメータよりなる。そうだとすれば、前記電流クランプメータの代わりに、当業者に既知の他の電流測定装置が想定されてもよい。
【0022】
第1の部分2は、測定装置10によって実行される電流測定に従って、前記放射装置の状態、すなわち停止時、待機時または使用時を決定できる処理手段11をさらに備えている。
【0023】
有利なことに、処理手段11は、放射装置6の待機状態での第1の設定および動作状態での第1の設定中に夫々低閾値と高閾値を自己学習できる。
【0024】
図3を参照すると、放射装置6の状態に応じて、放射装置6、例えば画像増強管の電流のニーズのグラフが表されている。この画像増強管に対して、放射装置6が待機中であるときの第1のニーズレベルがあり、次に使用中の同じ装置に対応する第2のレベルがある。
【0025】
本願において、待機は、差し込まれているが放射線を放射していないときの放射装置6である状態を意味している。しかしながら、この待機状態において、放射装置6は、コマンドまたは計算を実行する。さらに、<<使用中>>という表現は、放射装置6が放射線を放射する状態を意味している。
【0026】
処理手段11は、待機状態のために必要な電流量未満の第1の低閾値S1を自動的に生成でき、この閾値S1は、放射装置6が放射線を放射しそうであることを決定することができ、第2の高閾値S2は、S1よりも高くかつ使用中の放射装置の最小の電流要求よりも低い電流値を表している。有利なことに、閾値S2の値は、S1の値に比例する。電流が益々過剰になると、この第2の閾値S2は、放射装置6が放射しているか放射の待機をしているかを決定できる。
【0027】
したがって、好適な実施の形態では、処理手段は、放射装置が待機状態のときに第1の低閾値S1が最小電流要求よりも低いこと第2の高閾値S2が使用中の装置の最小電流要求よりも低いことの少なくとも二つの閾値を含んでいる。しかしながら、単純な変形例では、S2に対応するただ一つの閾値を含む処理手段11が提供される。
【0028】
逆に、他の変形例では、S1とS2の間の中間値に対応する第3の閾値S3がさらに設けられ、この第3の閾値S3は、放射のための待機時の電流要求と放射時の電流要求を区別する。この閾値S3は、放射装置のさらなる状態、すなわち放射のための準備について知らせることができる。
【0029】
他の実施の形態では、処理手段11は、自己学習手段を含まず、代わりにシグナリング装置1が対応する放射装置に従って予め記録された固定高閾値と予め記録された固定低閾値を含むメモリを含んでいる。
【0030】
第1の部分2は、放射装置6の
決定された状態を第2の部分3に送信する手段12をさらに含んでいる。
【0031】
例示の実施の形態では、第1の部分2と第2の部分3は互いに独立したケーシング4と5に収納されており、前記送信手段12は、無線リンクを含んでいる。
【0032】
この特徴は、ケーブルが拘束されること無く、その部屋への立ち入り部から目に見える位置に信号手段(signaling means)13を含む第2の部分2を配置することを可能とするので、特に興味深い。これに関して、ケーシング5は、第2の部分2の自律性を保証することを可能とするバッテリーを収納できる。
【0033】
それ自体既知の方法で、無線送信手段12は、例えばブルートゥースタイプまたはNFCタイプの無線送信器/受信機からなっている。任意ではあるが、二つの部分2と3の間のリンクは、インターフェアレンスおよび/または例えば地理的に近接する部屋に配置される、異なるシグナリング装置1間のペアリングエラーのリスクを回避するように符号化されることができる。
【0034】
好適には、信号手段13は、蛍光性および/または可聴性である。好適な第1の実施の形態によれば、着色信号コーディングを得ることができる少なくとも一個のランプ14が第2の部分3の高さにある。他の実施の形態によれば、第2の部分3は、特に第1の部分2によって識別され、且つ送信される放射装置6の状態に対応するテキストを表示できるディスプレイを備えている。
【0035】
ここで
図4を参照すると、幾つかの放射装置6を備える部屋があり、各放射装置6は、シグナリング装置1に接続される。この実施の形態では、各放射装置6の状態に従って1つの信号またはメッセージを表示することができる中央ディスプレイユニット15が設けられている。
【0036】
このように、中央ユニット15は、その部屋で測定された、何れかの放射装置が到達した最も高い状態の度合いに対応する信号を表示し、最も高い状態は、もちろん使用中の放射装置6である。
【0037】
好ましくは、中央ユニット15は、その部屋に存在するシグナリング装置1の第1の部分2の全てと対となる第2の部分3からなっている。
【0038】
一変形例では、中央ユニット15は、中央ユニット15が各装置1のコードまたは名前で識別されて接続される各シグナリング装置1の状態を別々に表示することもできる。
【0039】
このように、本発明は、シグナリング装置1の少なくとも1つの第1の部分2によって放射される信号を受信でき、且つ幾つかのシグナリング装置に関連する状態のデータを収集できる中央ユニットを含む一セットを保護することを目的としている。
【0040】
一変形例では、決定された期間を通して放射装置の使用時間を夫々の放射装置毎にまたはエリア毎に監視する手段を処理手段11の位置に備える装置1が提供される。このために、各装置の使用履歴は、異なる関連する装置に関連するデータの全てを収集する中央ユニットに送信される。以降、これらのデータは、リスク研究を実行するためおよび可変リスクを有するエリアを決定するため、または放射装置のメンテナンスの作業をスケジュール化するために処理される。
【0041】
もちろん、本発明の他の特徴も、請求項によって定義される本発明の範囲から離れることなく考慮され得る。
【0042】
一例として、一変形例のシグナリング装置1は、放射装置のオープンフィールドのエリアにおいて存在検出手段に連結される放射装置の電源を切断する手段を含む第1の部分を備えている。特に、これらの検出手段は、特にドア通路に位置するスポットタイプのものでよく、あるいは容量検出器によって構成されてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 シグナリング装置
2 第1の部分
3 第2の部分
4、5 ケーシング
6 放射装置
7 電源
8 プラグ
9 電力ケーブル
10 測定手段
11 処理手段
12 送信手段
13 信号手段
14 ランプ
15 中央ディスプレイユニット